(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電話システム、電話制御装置及びコードレス電話装置の親機
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20240321BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240321BHJP
【FI】
H04W56/00 110
H04W24/10
(21)【出願番号】P 2020030007
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】横田 憲
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-164474(JP,A)
【文献】特開2000-308123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とからなるコードレス電話装置の前記親機を1以上接続して構成される電話システムであって、
前記親機と前記子機との間においては、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、前記フレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割して、前記フレームごとに選択した前記タイムスロットを通じて無線通信を行うものであり、
前記電話制御装置は、
自機に接続された前記親機に対して、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示を提供する測定指示提供手段と、
前記測定指示を受け付けた前記親機からの測定結果を受け付けて、測定結果記憶手段に記録する測定結果作成手段と、
前記測定結果記憶手段に記憶されている前記測定結果に基づいて、自機に接続された前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するタイミング調整手段と
を備え、
前記親機は、
前記電話制御装置からの前記測定指示を受け付けた場合に、周囲の信号を受信して信号に関する情報を測定する周辺信号測定手段と、
前記周辺信号測定手段で測定された測定結果を、前記電話制御装置に通知する測定結果通知手段と
を備え、
前記親機の前記周辺信号測定手段は、周辺で前記タイムスロットの単位で送信されている周辺信号ごとに、前記周辺信号の送信タイミングと当該親機の前記タイムスロットの単位で送信する信号の送信タイミングとの差分と使用タイムスロット数とを測定するものであり、
前記電話制御装置の前記タイミング調整手段は、前記差分ごとに前記使用タイムスロット数を集計し、使用タイムスロット数が最大の前記差分を有する前記周辺信号の送信タイミングに合致するように、配下の前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とからなるコードレス電話装置の前記親機を1以上接続して構成される電話システムであって、
前記親機と前記子機との間においては、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、前記フレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割して、前記フレームごとに選択した前記タイムスロットを通じて無線通信を行うものであり、
前記電話制御装置は、
自機に接続された前記親機に対して、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示を提供する測定指示提供手段と、
前記測定指示を受け付けた前記親機からの測定結果を受け付けて、測定結果記憶手段に記録する測定結果作成手段と、
前記測定結果記憶手段に記憶されている前記測定結果に基づいて、自機に接続された前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するタイミング調整手段と
を備え、
前記親機は、
前記電話制御装置からの前記測定指示を受け付けた場合に、周囲の信号を受信して信号に関する情報を測定する周辺信号測定手段と、
前記周辺信号測定手段で測定された測定結果を、前記電話制御装置に通知する測定結果通知手段と
を備え、
前記電話制御装置の前記測定指示提供手段は、当該電話システムの起動時には、予め決められた配下の親機に対して、前記測定指示を送信する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項3】
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とからなるコードレス電話装置の前記親機を1以上接続して構成される電話システムであって、
前記親機と前記子機との間においては、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、前記フレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割して、前記フレームごとに選択した前記タイムスロットを通じて無線通信を行うものであり、
前記電話制御装置は、
自機に接続された前記親機に対して、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示を提供する測定指示提供手段と、
前記測定指示を受け付けた前記親機からの測定結果を受け付けて、測定結果記憶手段に記録する測定結果作成手段と、
前記測定結果記憶手段に記憶されている前記測定結果に基づいて、自機に接続された前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するタイミング調整手段と
を備え、
前記親機は、
前記電話制御装置からの前記測定指示を受け付けた場合に、周囲の信号を受信して信号に関する情報を測定する周辺信号測定手段と、
前記周辺信号測定手段で測定された測定結果を、前記電話制御装置に通知する測定結果通知手段と
を備え、
前記電話制御装置は、
当該電話システムの運用中において、配下の前記親機のそれぞれに対して、測定可否確認を提供する測定可否確認提供手段を備え、
前記電話制御装置の前記測定指示提供手段は、前記測定可否確認に応じて、測定可能応答を送信してきた前記親機に対して、前記測定指示を送信するものであり、
前記親機は、
前記電話制御装置からの前記測定可否確認を受け付けた場合に、自機の動作状態を確認し、自機が待機中である場合に、前記測定可能応答を前記電話制御装置に提供する測定可能応答提供手段
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項4】
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とからなるコードレス電話装置の前記親機を1以上接続して構成される電話システムの前記電話制御装置であって、
前記親機と前記子機との間においては、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、前記フレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割して、前記フレームごとに選択した前記タイムスロットを通じて無線通信を行うものであり、
前記親機は、前記電話制御装置からの測定指示を受け付けた場合に、周囲の信号を受信して信号に関する情報を測定する周辺信号測定手段と、前記周辺信号測定手段で測定された測定結果を、前記電話制御装置に通知する測定結果通知手段とを備え、前記周辺信号測定手段は、周辺で前記タイムスロットの単位で送信されている周辺信号ごとに、前記周辺信号の送信タイミングと当該親機の前記タイムスロットの単位で送信する信号の送信タイミングとの差分と使用タイムスロット数とを測定するものであり、
自機に接続された前記親機に対して、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する
前記測定指示を提供する測定指示提供手段と、
前記測定指示を受け付けた前記親機からの測定結果を受け付けて、測定結果記憶手段に記録する測定結果作成手段と、
前記測定結果記憶手段に記憶されている前記測定結果に基づいて、自機に接続された前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するタイミング調整手段と
を備え、
前記タイミング調整手段は、前記差分ごとに前記使用タイムスロット数を集計し、使用タイムスロット数が最大の前記差分を有する前記周辺信号の送信タイミングに合致するように、配下の前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するものである
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項5】
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とからなるコードレス電話装置の前記親機を1以上接続して構成される電話システムの前記コードレス電話装置の前記親機であって、
前記親機と前記子機との間においては、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、前記フレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割して、前記フレームごとに選択した前記タイムスロットを通じて無線通信を行うものであり、
前記電話制御装置は、自機に接続された前記親機に対して、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示を提供する測定指示提供手段と、前記測定指示を受け付けた前記親機からの測定結果を受け付けて、測定結果記憶手段に記録する測定結果作成手段と、前記測定結果記憶手段に記憶されている前記測定結果に基づいて、自機に接続された前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するタイミング調整手段とを備え、前記タイミング調整手段は、
前記測定結果である差分ごとに
前記測定結果である使用タイムスロット数を集計し、
前記使用タイムスロット数が最大の前記差分を有する
周辺信号の送信タイミングに合致するように、配下の前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するものであり
前記電話制御装置からの前記測定指示を受け付けた場合に、周囲の信号を受信して信号に関する情報を測定する周辺信号測定手段と、
前記周辺信号測定手段で測定された測定結果を、前記電話制御装置に通知する測定結果通知手段と
を備え、
前記周辺信号測定手段は、周辺で前記タイムスロットの単位で送信されている
前記周辺信号ごとに、前記周辺信号の送信タイミングと当該親機の前記タイムスロットの単位で送信する信号の送信タイミングとの
前記差分と
前記使用タイムスロット数とを測定するものである
ことを特徴とするコードレス電話装置の親機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、主装置やSIP(Session Initiation Protocol)サーバなどの電話制御装置に対して親機と子機との間が無線により接続されるコードレス電話装置を接続して構成する電話システム、当該電話システムで用いられる電話制御装置、コードレス電話装置の親機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主装置やSIPサーバなどの電話制御装置に対して、コードレス電話装置を接続してビジネスホンシステム(ボタン電話システム)が構成されるようになってきている。コードレス電話装置は、親機と子機とが無線接続されて、1台の電話装置として機能するものである。コードレス電話装置を構成する親機と子機との間では、例えば、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunication)規格の通信方式が用いられる場合がある。
【0003】
DECT規格においては、親機から子機へのダウンリンクでの通信方式は時分割多重方式を使用する時分割複信方式であること、子機から親機へのアップリンクの通信方式は時分割多元接続方式であることが定められている。また、DECT規格において、使用周波数帯は、「1.9GHz帯」を使用すること、チャネル数は、最大5チャネルであることなどが定められている。
【0004】
また、DECT規格では、符号化データの1チャネルは、10ミリ秒(ms)単位のフレームに分割され、各フレームは、
図9に示すように、24タイムスロットに分割されている。なお、以下においては、タイムスロットを単にスロットと記載する。そして、1フレームの前半の1/2フレーム期間の12スロットS0~S11は、親機から子機へのダウンリンクに用いられ、後半の1/2フレーム期間の12スロットS12~S23は、子機から親機へのアップリンクに用いられる。
【0005】
ビジネスホンシステムで用いられるDECT規格のコードレス電話装置においては、電源がオフの状態でなければ、待機状態(アイドル状態)で1台のコードレス電話装置が12スロット中の1スロットを使用して、親機から子機へ、同期信号などを含め、種々の制御情報を送信している。この時のスロット(制御信号用スロット)をダミーベアラという。なお、通常、親機に対しては複数台の子機が接続可能にされているが、親機に対して、1台の子機だけが接続されている場合にも、また、複数台の子機が接続されている場合にも、待機状態では1つのスロット(ダミーベアラ)を使用して各子機に対して制御情報などが送信される。この場合、子機から親機へ情報の送信は行われない。
【0006】
このような待機状態から、例えば着信があり、電話制御装置から親機に対して着信が通知されると、親機はダミーベアラを使用して各子機に対してデータセッション接続要求を通知し、子機が空きスロットをサーチして親機に働きかけ、通信に使用するスロットの取得を試みる。データセッション接続要求は、親機と子機とが相互に通信できる環境を整えるための要求であり、着信通知がなされるものではない。そして、データセッション接続要求に応じて、親機と子機との間で相互に通信を行うためのスロットが取得できたら、親機はダミーベアラを解放し、取得したダウンリンクのスロットを用いて着信を通知する。同時に親機は、アップリンクのスロットも特定して子機からの情報の受信もできるようにする。
【0007】
このように、親機と子機との間で相互に通信を行うために取得した対になるダウンリンクのスロットとアップリンクのスロットをトラフィックベアラという。そして、トラフィックベアラを通じては、同期信号などを含め、種々の制御情報の送信が行われると共に、通信の相手先との間に通話回線が接続された後においては、音声情報の送信も行われる。トラフィックベアラでは種々の制御情報などの送信も行われるため、トラフィックベアラを特定(取得)して、ダミーベアラを解放する処理を、ダミーベアラをトラフィックベアラにマージするという。
【0008】
従って、1つの電話制御装置に接続されるDECT規格の複数のコードレス電話装置では、フレーム同期を合わせる必要がある。同期が合っていないと、異なるスロットを選択した場合でも、時間軸上において選択したスロットが重なり合ってしまう場合が発生し、適切に通信ができなくなる可能性があるためである。しかし、ビジネスホンシステムの場合、近隣に他の電話システムが存在する場合もある。
【0009】
例えば、
図10に示すように、設置エリアAtにおいて、電話システムAと電話システムBと隣接して設けられる場合がある。例えば、1つの会社の部署ごとに、異なる主装置を用いて1A、1Bを用いて電話システムを構築する場合などである。
図10に示した例の場合、電話システムAは、主装置1Aにコードレス電話装置の親機BS1A、BS2A、BS3A、…を接続して構成されたものである。また、電話システムBは、主装置1Bに複数のコードレス電話装置の親機BS1B、BS2B、BS3B、…を接続して構成されたものである。このような場合、電話システムAと電話システムBとで、信号の送信(送出)タイミングがずれることにより、使用スロットの正確な把握を行うことができずに、送信タイミングが衝突し、正常な通信が行えなくなる場合があると考えられる。
【0010】
そこで、後に記す特許文献1に開示されているDECTシステムの同期化に関する発明を用いることが考えられる。先行文献1に開示された発明は、DECTシステムの基地局が、受信/送信到達距離内に別のアクティブなシステムが存在しているかどうかを検出する。アクティブなシステムが検出された場合、そのアクティブなシステムそれぞれの基地局から送信される信号のタイムスロットの該基地局に関する相対的な時間ズレを検出して、これを記憶する。該基地局のタイムスロットの時間的な位置を、記憶している時間的なずれの和が最小になるようにシフトさせる。このようにして、システム間の同期を合わせることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載された発明の場合、同期合わせは基地局(親機)ごとに行われる。このため、電話制御装置に複数のコードレス電話装置が接続されて構成されるビジネスホンシステムの場合、他のシステムと通信可能エリアが被っている親機と被っていない親機との間では、同期がずれてしまう可能性がある。少なくとも同じ電話制御装置に接続(収容)されたコードレス電話装置間では同期が合っていないと、当該ビジネスホンシステムにおいて、コードレス電話装置を用いた通信を適切に行うことができない。
【0013】
以上のことに鑑み、この発明は、近隣に存在する他の電話システム等の影響を極力排除し、電話制御装置に収容されたコードレス電話装置を通じて、適切に通信を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電話システムは、
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とからなるコードレス電話装置の前記親機を1以上接続して構成される電話システムであって、
前記親機と前記子機との間においては、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、前記フレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割して、前記フレームごとに選択した前記タイムスロットを通じて無線通信を行うものであり、
前記電話制御装置は、
自機に接続された前記親機に対して、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示を提供する測定指示提供手段と、
前記測定指示を受け付けた前記親機からの測定結果を受け付けて、測定結果記憶手段に記録する測定結果作成手段と、
前記測定結果記憶手段に記憶されている前記測定結果に基づいて、自機に接続された前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整するタイミング調整手段と
を備え、
前記親機は、
前記電話制御装置からの前記測定指示を受け付けた場合に、周囲の信号を受信して信号に関する情報を測定する周辺信号測定手段と、
前記周辺信号測定手段で測定された測定結果を、前記電話制御装置に通知する測定結果通知手段と
を備え、
前記親機の前記周辺信号測定手段は、周辺で前記タイムスロットの単位で送信されている周辺信号ごとに、前記周辺信号の送信タイミングと当該親機の前記タイムスロットの単位で送信する信号の送信タイミングとの差分と使用タイムスロット数とを測定するものであり、
前記電話制御装置の前記タイミング調整手段は、前記差分ごとに前記使用タイムスロット数を集計し、使用タイムスロット数が最大の前記差分を有する前記周辺信号の送信タイミングに合致するように、配下の前記親機から送信する信号の送信タイミングを調整する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、親機の周囲で送信される信号に関する情報の測定結果に基づいて、電話制御装置が、配下の全ての親機について、送信する信号の送信タイミングを調整できる。すなわち、周囲で送信されている信号の状況に応じて、電話制御装置が配下のコードレス電話装置の親機の信号の送信タイミングを一元的に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態の電話システムの全体の構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の主装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態の親機の構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態の親機に設けられる周辺信号測定テーブルの格納データの例を説明するための図である。
【
図5】実施の形態の子機の構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態の電話システムでの起動時の同期タイミング調整処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】実施の形態の電話システムの運用中に行われる同期タイミング調整処理を説明するためのシーケンス図である。
【
図9】DECT規格のフレームとスロットについて説明するための図である。
【
図10】近隣に異なる電話システムが構成される場合について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しながら、この発明の電話システムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明の電話システムを、電話制御装置としての主装置に対して、複数のコードレス電話装置を接続して構成されるビジネスホンシステムに適用した場合を例にして説明する。
【0019】
[電話システムの構成例]
図1は、この実施形態の電話システム10の全体の構成例を示すブロック図である。電話システム10においては、電話制御装置の例としての主装置1に対して、内線電話装置として、複数のコードレス電話装置21、22、23が接続されている。なお、この実施の形態においては、説明を簡単にするため、
図1に示したように、3組のコードレス電話装置21、22、23が、主装置1に接続されて電話システム10が構成される場合を例にして説明する。しかし、これに限るものではなく、更に多くのコードレス電話装置を主装置1に接続して、より規模の大きな電話システムを構築することも可能である。
【0020】
コードレス電話装置21、22、23のそれぞれは、親機としてのベースセットBS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機としてのハンドセットHS1、HS2、HS3のそれぞれとからなる。また、ベースセットは、「セルステーション(Cell Station)」あるいは「CS」と呼ばれたり、ハンドセットは、「パーソナルステーション(Personal Station)」あるいは「PS」と呼ばれたりする場合もある。以下においては、ベースセットBS1、BS2、BS3は、親機BS1、BS2、BS3と記載し、ハンドセットHS1、HS2、HS3は、子機HS1、HS2、HS3と記載する。親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとは、無線接続される。
【0021】
なお、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれに対しては、複数の子機を無線接続することも可能であるが、この例では、1台の親機に対して、1台の子機が接続される構成とされている。また、図示は省略するが、主装置1に接続される内線電話装置としては、コードレス電話装置21、22、23のみではなく、通常のビジネスホンシステムと同様に、デジタルボタン電話端末も接続することも可能である。
【0022】
この実施形態では、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、B2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとの間の無線接続は、前述したデジタルコードレス電話のDECT規格(方式)を用いたTDMA/TDD方式により行う。主装置1は、1又は複数の電話回線L1~Lm(mは2以上の整数)を収容可能である。コードレス電話装置21、22、23のそれぞれの親機BS1、BS2、BS3が、主装置1に接続されている。
図1の例では、親機BS1、BS2、BS3と主装置1とは有線で接続されているが、無線であってもよい。
【0023】
主装置1は、複数のコードレス電話装置21、22、23についての呼制御及び回線交換制御、その他のビジネスホンとしての制御を行うと共に、基準同期信号SYNCを複数のコードレス電話装置21、22、23のそれぞれに供給する機能を備えている。基準同期信号SYNCは、この例では、130ミリ秒(ms)周期の信号とされている。
【0024】
コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期して、DECT規格のデジタルコードレス電話の単位通信期間である1フレーム(10ミリ秒(ms))の周期の同期信号としてのフレーム同期信号を生成し、その生成したフレーム同期信号に基づいて、DECT規格を用いたTDMA/TDD方式の無線通信を子機HS1、HS2、HS3との間で実行する。したがって、複数のコードレス電話装置21、22、23の全ては、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期した動作をする。
【0025】
図1に示したように、コードレス電話装置21、22、23のそれぞれは、主装置1に接続されてビジネスホンシステムを構成する電話端末である。このため、着信通知や発信要求といった呼制御信号やその他の制御信号が、主装置1との間で送受される。なお、その他の制御信号には、例えば、主装置1に接続された他のコードレス電話装置の動作状態を使用者に通知するためにコードレス電話装置21、22、23のLCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)を制御するための制御信号などがある。
【0026】
コードレス電話装置においては、親機が、リンガ、LCD、LED、操作部といったユーザインターフェースを備えるものもある。しかし、親機が主装置と子機との間を接続する機能だけを実現し、子機がリンガ、LCD、LED、操作部といったユーザインターフェースを備える場合もある。この場合には、親機と子機との間でも、相互に種々の制御信号が送受される。この実施の形態においても、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3は、基本的にユーザインターフェースは備えず、主装置1と子機HS1、HS2、HS3との間を接続する機能を実現するものである。
【0027】
親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、オフィス内の決められた位置に設置される。これにより、
図1に示すように、親機BS1は、無線通信可能エリアAr1内において子機HS1等との通信が可能にされ、親機BS2は、無線通信可能エリアAr2内において子機HS2等との通信が可能にされる。また、親機BS3は、無線通信可能エリアAr3内において、子機HS3等との通信が可能にされる。
【0028】
このように、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとは、そのそれぞれの通信機能に基づいて、無線通信が可能な無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3を形成する。無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3は、少しずつ重複するように設けられる。これにより、子機HS1、HS2、HS3は、待機状態にあるときにも、また、通話状態にあるときにも、通信をする親機BS1、BS2、BS3を切り替えるようにして、無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3内を移動することができるようになっている。
【0029】
しかし、
図1では、電話システム10しか示していないが、電話システム10の近隣に他の電話システムが構築されている場合がある。例えば、部署ごとに異なる主装置を導入して、異なる電話システムを構築する場合がある。また、複数の会社が入居するオフィスビルでは、会社ごとに主装置を用いて電話システムが構築されるので、例えば、1階と2階とで異なる電話システムが構築されるというように、上下に隣接して異なる電話システムが設けられる場合もある。規模の大きな会社や大規模なオフィスビルなどでは、3つ、4つというように、複数の異なる電話システムが隣接して設けられることもある。
【0030】
このように、異なる電話システムが隣接して設けられ、それぞれの電話システムで、例えばDECT規格のコードレス電話装置が内線電話端末として用いられていたとする。この場合に、それぞれの電話システムのコードレス電話装置で用いられる同期信号がずれていると、データを送信するスロットが被ってしまうことがある。このように、隣接する異なる電話システムのコードレス電話装置間で、データを送信するスロットが被ってしまった場合には、相互にノイズの発生原因となって、正常な通信が行えなくなる可能性がある。
【0031】
そこで、この実施の形態の電話システム10では、主装置1が機能し、配下のコードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3に対して、周辺で送信される信号(周辺信号)に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示を提供する。ここで、周辺信号に関する情報には、周辺信号の送信タイミングと、自機(親機)から子機に対して送信する信号の送信タイミングとのずれ量(差分)などの情報が含まれる。主装置1からの測定指示に応じて、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行った親機は、測定結果を主装置1に通知する。主装置1は、当該親機から提供を受けた周辺信号に関する情報の測定結果に基づいて、各コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3に供給する基準同期信号SYNCを調整する。
【0032】
詳しくは後述するが、主装置1は、配下のコードレス電話装置で用いる信号の送信タイミングを、親機周辺で送信されている周辺信号で最も多く使用されている信号の送信タイミングに合わせるように、基準同期信号SYNCの同期タイミングを調整する。これにより、他の電話システムとの間でデータの送信時間が被ってしまうことを低減させ、複数の電話システムが混在する拠点での電話システム間の電波障害(通信障害)を抑制する。
【0033】
なお、周辺で送信される信号に関する情報の測定を行って通知することを指示する測定指示は、電話システム10の起動時においては、予め決められた親機に対して提供する。また、既に電話システム10が運用中の場合には、主装置1は、配下の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれに対して、周辺信号(周辺で送信される信号(電波))の送信タイミングの測定が可能か否かを問合せる。この問合せに対して、周辺信号の信号送信タイミングの測定が可能であるとの応答を返信してきた親機に対して、主装置1は、測定指示を提供し、測定結果の通知を受けることができるようにしている。
【0034】
以下においては、この実施の形態の電話システム10を構成する、主装置1と、コードレス電話装置21、22、23の構成例について説明する。なお、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、同様に構成されるものである。また、コードレス電話装置21、22、23の子機HS1、HS2、HS3のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、コードレス電話装置21、22、23の構成については、コードレス電話装置21の場合を例にして説明する。
【0035】
[主装置1の構成例]
図2は、主装置1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、主装置1は、電話回線L1~Lmが接続される回線インターフェース11と、コンピュータを搭載して、主装置1の全体を制御するための制御回路12と、回線LSI(Large Scale Integrated Circuit)部13と、測定結果記憶部14と、基準発振器15とを備えて構成されている。制御回路12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えて構成されるマイクロプロセッサであり、主装置1の各部を制御する機能を実現する。
【0036】
回線インターフェース11は、制御回路12からの制御により、回線L1~Lmからの音声信号(受話音声信号)を、回線LSI部13に供給し、回線からの呼制御信号などの制御信号を、制御回路12に供給する。また、回線インターフェース11は、制御回路12からの制御により、回線LSI部13からの音声信号(送話音声信号)を、回線L1~Lmを通じて相手方に送信し、制御回路12からの呼制御信号などの制御信号も、回線L1~Lmを通じて相手方に送信する。
【0037】
回線LSI部13は、n個の内線電話装置に対応して、n個の内線処理回路131、132、…、13nと、タイミング信号生成部130を備える。なお、添え字としての文字nは、基本的には1以上の整数を意味する。しかし、
図2においては既に内線処理回路131、132が存在するため、
図2において文字nは3以上の整数を意味している。
【0038】
タイミング信号生成部130には、水晶振動子を用いた高精度の基準発振器15からの基準クロック信号から伝送用クロック信号CK及び多重化/分割化用タイミング信号TMを生成し、n個の内線処理回路131~13nに供給する。n個の内線処理回路131~13nは、全く同一の構成を備えるもので、それぞれ、音声信号処理部31と、制御信号処理部32と、同期信号処理部33と、多重化/分割化処理部34とからなる。
【0039】
音声信号処理部31は、回線インターフェース11に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、回線インターフェース11からの受話音声信号及び多重化/分割化処理部34からの送話音声信号の処理回路である。音声信号処理部31には、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
【0040】
制御信号処理部32は、制御回路12の制御信号入出力端に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号の処理回路である。すなわち、制御信号処理部32は、主装置1からコードレス電話装置への制御信号と、コードレス電話装置から主装置1への制御信号との両方の処理回路である。制御信号処理部32にも、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
【0041】
同期信号処理部33は、制御回路12の同期信号出力端に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、制御回路12からの所定の同期信号パターンを有する基準同期信号SYNCの処理回路である。この同期信号処理部33にも、同様に、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
【0042】
多重化/分割化処理部34は、音声信号処理部31、制御信号処理部32、同期信号処理部33に接続されると共に、コードレス電話装置21~2nの親機BS1~BSnのそれぞれに接続される。そして、多重化/分割化処理部34は、タイミング信号生成部130からのタイミング信号TMに基づいて、音声信号処理部31からの音声信号と、制御信号処理部32からの制御信号と、同期信号処理部33からの基準同期信号SYNCとを多重化(時分割多重)して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を親機BS1~BSnのそれぞれに供給する。また、多重化/分割化処理部34は、タイミング信号生成部130からのタイミング信号TMに基づいて、親機BS1~BSnのそれぞれからの多重化信号を音声信号と制御信号とに分割して、音声信号は音声信号処理部31に、制御信号は制御信号処理部32に、それぞれ供給する。
【0043】
測定結果記憶部14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの、記録媒体とそのドライバとからなる装置部の当該記録媒体に形成される。測定結果記憶部14は、周辺信号に関する情報の測定を指示した親機からの周辺信号に関する情報の測定結果を記憶保持する。なお、測定結果記憶部14に記憶保持される周辺信号に関する情報の測定結果は、上述したように、周辺信号の送信タイミングと親機から子機に向けて送信する信号の送信タイミングとのずれ量(差分)を含むものであるが、測定結果の詳細については後述する。
【0044】
制御回路12は、回線I/F11、回線LSI部13の内線処理回路131、132、…、13nの制御信号処理部32、同期信号処理部33といった主装置1の各部を制御するものである。更に制御回路12は、
図2に示したように、測定指示提供部121と、タイミング調整部122と、測定結果作成部123とを備える。
【0045】
測定指示提供部121は、自機に接続された配下のコードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3に対して、周辺信号に関する情報の測定を行って主装置1に通知することを指示する測定指示を形成して提供する。測定結果作成部123は、多重化/分割化処理部34及び制御信号処理部32を通じて親機から受信した周辺で送信されている信号に関する情報の測定結果を、測定結果記憶部14に記録する処理を行う。当該測定結果は、詳しくは後述するが、周辺信号の送信タイミングについての測定結果を含むものである。
【0046】
タイミング調整部122は、測定結果記憶部14に記憶保持されている測定結果を参照し、内線処理回路131、132、…、13nの同期信号処理部33を制御して、基準同期信号SYNCの同期タイミングを調整する。この場合、タイミング調整部122は、配下の親機周辺で送信されている周辺信号で最も多く使用されている送信タイミングに合わせるように、基準同期信号SYNCの同期タイミングを調整する。これにより、基準同期信号SYNCの供給を受ける配下のコードレス電話装置21、22、23のそれぞれにおいて、信号の送信タイミングを周辺信号で最も多く使用されている送信タイミングに合わせることができる。
【0047】
また、
図2には図示しないが、主装置1には、アドレス管理部も接続されている。アドレス管理部は、主装置1に接続されているコードレス電話装置21,22,23の内線番号などの端末識別情報と内線処理回路131~13nのそれぞれとの対応を記憶管理する。このアドレス管理部の情報に基づいて、主装置1に接続されたコードレス電話装置の動作状況などを適切に把握することができると共に、主装置1に接続されたコードレス電話装置のそれぞれを適切に制御できる。
【0048】
[コードレス電話装置21、22、23の構成例]
次に、親機と子機とから構成される、この実施の形態のコードレス電話装置21、22、23の構成例について説明する。ここでは、上述もしたように、親機BS1と子機HS1とから構成されるコードレス電話装置21の場合を例にして説明する。
【0049】
<親機の構成例>
図3は、親機BS1の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、親機BS1は、親機BS1の全体を制御するための制御回路41と、回線LSI部42と、同期信号発生回路43と、無線通信回路44と、発振器45及び46とを備えて構成されている。
【0050】
制御回路41は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えて構成されるマイクロプロセッサであり、親機BS1における呼制御など、親機BS1の各部を制御する機能を実現する。また、制御回路41は、周辺信号測定テーブル(
図3においては、周辺信号測定TBLと記載。)411、テーブル作成部412、情報通知部413を備えている。これらの各部は、周辺で送信されている信号である周辺信号に関する情報の測定結果の作成と主装置1への通知を行う。なお、制御回路41の各部で行われる処理の詳細については後述する。
【0051】
回線LSI部42は、主装置1との間で音声信号、制御信号及び同期信号のやり取りをするための回路である。回線LSI部42は、分割化/多重化処理部421と、制御信号処理部422と、音声信号処理部423と、同期信号検出部424と、PLL(Phase locked Loop)部425とからなる。PLL部425には、発振器45からの基準周波数の発振信号が供給されると共に、主装置1からの多重化信号が供給される。この例では、発振器45の発振信号の周波数は、例えば2048MHz(0.488ナノ秒(ns))とされている。
【0052】
PLL部425は、主装置1からの多重化信号から、いわゆるセルフクロッキングにより、主装置1のタイミング信号生成部130からのクロック信号CK成分を抽出する。PLL部425は、抽出した当該クロック信号CK成分と発振器45からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づき、発振器45の発振信号からクロック信号CK成分に同期する親機BS1のシステムクロック信号SCKを生成する。PLL部425は、生成したシステムクロック信号SCKを分割化/多重化処理部421、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424のそれぞれに、信号処理用クロック信号として供給すると共に、同期信号発生回路43に供給する。
【0053】
分割化/多重化処理部421は、主装置1に接続されると共に、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424に接続される。分割化/多重化処理部421は、主装置1からの多重化信号から制御信号と音声信号と基準同期信号SYNCを分割(分離)する。分割化/多重化処理部421において分割(分離)された、制御信号は制御信号処理部422に、音声信号は音声信号処理部423に、基準同期信号SYNCは同期信号検出部424に、それぞれ供給される。
【0054】
また、分割化/多重化処理部421は、制御信号処理部422からの制御信号と、音声信号処理部423からの音声信号とを多重化して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を主装置1に供給する。制御信号処理部422は、制御回路41の制御信号入出力端に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されている。制御信号処理部422は、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号(主装置1からコードレス電話装置21への制御信号と、コードレス電話装置21から主装置1への制御信号の両方)の処理回路である。また、制御信号処理部422は、制御回路41からの後述する周辺信号に関する情報の測定結果を主装置1に提供する機能も実現する。
【0055】
音声信号処理部423は、無線通信回路44に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されており、無線通信回路44からの子機HS1から受信した送話音声信号及び分割化/多重化処理部421からの受話音声信号の処理回路である。同期信号検出部424は、分割化/多重化処理部421からの基準同期信号SYNCを受けて、当該基準同期信号SYNCが備える所定の同期信号パターンを検出する。これにより、同期信号検出部424は、その検出時点の信号として、基準同期信号SYNCと同期する、基準同期信号SYNCと同一周期(130ms)の基準同期パルスPSを発生する。同期信号検出部424は、発生した基準同期パルスPSを同期信号発生回路43に供給する。
【0056】
同期信号発生回路43は、カウンタ431と、同期信号生成部432とからなる。カウンタ431には、回線LSI部42の同期信号検出部424からの130msの周期の基準同期パルスPSがプリセット端子PREに供給されると共に、PLL部425からのシステムクロック信号SCKがカウント入力として供給される。カウンタ431の出力カウント値CNTが同期信号生成部432に供給される。同期信号生成部432は、カウンタ431の出力カウント値CNTから、DECT規格のフレーム周期(10ms)の同期信号FLを発生する。同期信号発生回路43は、同期信号生成部432で生成したフレーム同期信号FLを無線通信回路44に供給する。
【0057】
無線通信回路44は、制御部441と、TDMA変復調部442と、無線通信部(
図3では、「RF」と記載。)443とを備えて構成されている。無線通信部443は、子機HS1との間で、無線通信を行うための回路部である。制御部441は、TDMA変復調部442及び無線通信部443に接続されると共に、制御回路41に接続されている。制御部441は、無線通信回路44の全体の動作を制御すると共に、制御回路41から得た制御信号をTDMA変復調部442に供給する。また、制御部441は、TDMA変復調部442から得た情報を制御回路41に供給する機能も備える。
【0058】
TDMA変復調部442は、制御部441及び回線LSI部42の音声信号処理部423に接続されると共に、無線通信部443に接続されており、制御部441からの制御信号と音声信号処理部423からの音声信号を子機HS1に送信するために変調を行う。このTDMA変復調部442で変調された信号は、無線通信部443を通じて子機HS1に送信される。また、TDMA変復調部442は、無線通信部443で受信された子機HS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号は音声信号処理部423に供給し、復調した制御信号は、制御部441に供給する。
【0059】
TDMA変復調部442は、クロック生成用のPLL部4421を備える。PLL部4421には、発振器46からの発振信号が供給されると共に、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLが供給される。PLL部4421は、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLと発振器46からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づいて、発振器46の発振信号から、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を生成する。TDMA変復調部442は、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を用いて、割り当て使用可能となるダウンリンクでのスロットに相当する期間で子機HS1への送信信号を生成すると共に、アップリンクでのスロットを用いて、子機HS1からの受信信号の処理を行うようにする。
【0060】
親機BS1は、主装置1に接続されて、待機状態にある時には、子機HS1との通信のための同期処理を開始し、常に、ダミーベアラを通じて子機HS1に対して同期信号や制御情報を送信し、通信が可能な状態(いわゆるアイドル状態)を維持している。すなわち、待機状態の時には、TDMA変復調部442は、制御部441を通じた制御回路41からの制御に応じて、同期信号や制御情報を、無線通信部443を介し、指示されたスロット(ダミーベアラ)を通じて、子機HS1に送信している。
【0061】
子機HS1に着信を通知したり、子機から発信を行ったりする場合には、上述もしたように、ダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理を行い、ダウンリンクとアップリンクとに取得したトラフィックベアラを通じて通信を行う。このようなダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理は、子機からのトラフィックベアラの取得の要求に応じて、制御部441の制御により、主にTDMA変復調部442が機能して行われる。
【0062】
このように、親機BS1からは、待機状態にあるときにも、子機HS1に対して同期信号や制御信号を送信している。これは、電話システム10の他の親機BS2、BS3も同様に動作するし、電話システム10以外の他の電話システムにおいても、DECT規格のコードレス電話装置が接続されていれば同様に動作する。このため、無線通信回路44のTDMA変復調部442は、周辺信号測定部4422を備え、無線通信部443を通じて受信した周辺信号に関する情報を測定する。具体的には、受信した周辺信号のスロット単位の送信タイミングと、自機から子機に向けてスロット単位で送信する信号の送信タイミングとのずれ量(差分)を測定する。
【0063】
周囲信号には、電話システム10の親機BS2、BS3から子機HS2、HS3に向けて送信された信号と、電話システム10とは別の電話システムのコードレス電話装置の親機から子機に向けて送信された信号との両方を含む。送信タイミングのずれ量の測定は、PLL部4421で生成された自機から信号を送信する場合のタイミング(スロットのタイミング)を基準にして、受信した信号(スロット単位で送信された信号)のそれぞれについて、先頭位置がどれだけずれているのかを測定する。スロット単位で送信されるDECT方式の信号の先頭部分には、32ビットの同期用データが付加されているので、基準信号に対するずれ量(時間)を測定できる。
【0064】
また、受信した信号には、通常、送信元を示す情報も含まれている。このため、周辺信号測定部4422は、ずれ量毎であって、送信元ごとに、使用されているスロットの数(使用スロット数)をカウントし、これらの情報を、制御部441を通じて制御回路41に通知する。なお、周辺信号測定部4422による測定処理は、制御回路41からの制御に応じたタイミングで、少なくとも1フレーム分の期間である10ミリ秒(ms)の期間、或いは、連続する複数フレーム分(数十ミリ秒)の期間、或いは、飛び飛びの複数フレーム分の期間において行うようにできる。ここでは、説明を簡単にするため、制御回路41からの指示に応じたタイミングで1フレーム期間について同期ずれ(送信タイミングのずれ)の測定を行うものとする。
【0065】
<制御回路41の各部の処理>
制御回路41のテーブル作成部412は、周辺信号測定部4422からの測定結果を周辺信号測定テーブル411に記録する処理を行う。周辺信号測定テーブル411は、周辺信号測定部4422からの測定結果を記憶保持する。
図4は、周辺信号測定テーブル411の格納データの例を説明するための図である。
図4に示すように、周辺信号測定テーブル411には、信号送信タイミングと、親機IDと、使用スロット数と、システム区分とが格納される。
【0066】
信号送信タイミングは、周辺信号のスロット単位の送信タイミングと自機(親機)から子機に送信する信号のスロット単位の送信タイミングとのずれ量(差分)である。換言すれば、受信したスロット毎の周辺信号の送信タイミングと無線通信回路44における自機から送信するスロット毎の信号の送信タイミングとのずれ量を示す情報である。親機IDは、受信したスロット毎の周辺信号の送信元の識別情報である。使用スロット数は、親機IDで特定される送信元が信号を送信しているスロットの数を示す。換言すれば、使用スロット数は、同じ送信元からは、いくつのスロットを用いて信号が送信されているのかを示す情報である。システム区分は、信号送信タイミングに基づくシステムの別を示す情報である。
【0067】
図4に示した例の場合には、以下の内容を示している。自システム(この例では親機BS1)の送信タイミングに対して、1.0ms遅れたタイミングで信号を送信している機器「AAAAAAAAAA」があり、当該機器は、1つのスロットで信号を送信している。自システムの送信タイミングに対して、1.0ms遅れたタイミングで信号を送信している機器「BBBBBBBBBB」があり、当該機器は、2つのスロットで信号を送信している。自システムの送信タイミングに対して、0.5ms遅れたタイミングで信号を送信している機器「CCCCCCCCCC」があり、当該機器は、10個のスロットで信号を送信している。自システムの送信タイミングに対して、ずれ無し(ずれ量0ms)で信号を送信している機器「DDDDDDDDDD」があり、当該機器は、1つのスロットで信号を送信している。
【0068】
この場合、ずれ量無しで信号を送信している機器「DDDDDDDDDD」は、ずれ量はないので、自システムに属する機器(親機)である判別できる。また、自システムとずれ量が1.0msで信号を送信している機器「AAAAAAAAAA」と機器「BBBBBBBBBB」とは、自システムではなく、他システム1であると判別できる。また、自システムとずれ量が0.5msで信号を送信している機器「CCCCCCCCCC」は、自システムでも、他システム1でもない、他システム2であると判別できる。このシステム区分の判別は、テーブル作成部412によりなされ、周辺信号測定テーブル411のシステム区分の欄に記録される。
【0069】
このように、テーブル作成部412は、無線通信回路44の周辺信号測定部4422で測定され、制御部441を通じて提供される周辺信号に関する情報の測定結果を周辺信号測定テーブル411に記録する処理を行う。なお、テーブル作成部412は、新たに周辺信号の信号送信タイミングの測定が行われる毎に、周辺信号測定テーブル411の格納領域を初期化し、最新の測定結果を周辺信号測定テーブル411に記録することができる。
【0070】
制御回路41の情報通知部413は、テーブル作成部412により、周辺信号測定テーブル411に測定結果の記録が完了した場合に、記録された測定結果を読み出して、上述した回線LSI部42を通じて、主装置1に通知(提供)する処理を行う。これにより、主装置1では、上述した測定結果作成部123が機能して、
図4に示した周辺信号測定テーブル411の格納データと同様の測定結果のデータを主装置1の測定結果記憶部14に保持するようにできる。
【0071】
主装置1の測定結果記憶部14に、
図4に示した内容を有する測定結果が作成(整備)されると、主装置1のタイミング調整部122が機能する。
図4に示した例の場合、タイミング調整部122は、使用スロット数の最も他システム2の信号の送信タイミングに合わせるように、内線処理回路131、132、…、13nの同期信号処理部33を制御する。この例の場合には、基準同期信号SYNCの同期タイミングを、0.5ms分だけ遅らせるように制御することになる。このようにして、タイミングが調整された基準同期信号SYNCが、主装置1より配下の親機BS1、BS2、BS3に供給される。
【0072】
主装置1の配下の親機BS1、BS2、BS3では、上述したように、主装置1からの基準同期信号SYNCより、フレーム同期信号FLやスロット単位のタイミングを形成する。このため、主装置1の配下の親機BS1、BS2、BS3では、他システム2と信号の送信タイミングを合わせることができる。
【0073】
<子機の構成例>
図5は、子機HS1の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、子機HS1は、無線通信回路51と、制御回路52と、コーデック回路53と、発振器54と、マイクロホン55と、スピーカ56とを備えて構成されている。制御回路52は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサの構成とされたものであり、子機HS1の各部を制御する機能を実現する。マイクロホン55は送話器を構成し、スピーカ56は受話器を構成する。無線通信回路51は、制御部511と、TDMA変復調部512と、無線通信部(
図5では、「RF」と記載。)513とを備えて構成されている。無線通信部513は、親機BS1との間で、無線通信を行うための回路部である。
【0074】
制御部511は、TDMA変復調部512及び無線通信部513に接続されると共に、制御回路52に接続されている。制御部511は、この無線通信回路51の全体の動作を制御すると共に、制御回路52から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部512に供給する。
【0075】
TDMA変復調部512は、制御部511及び無線通信部513に接続されると共に、コーデック回路53と接続されており、制御部511からの制御信号とコーデック回路53からの音声信号を親機BS1に送信するために変調を行う。TDMA変復調部512で変調された信号は、無線通信部513を通じて親機BS1に送信される。また、TDMA変復調部512は、無線通信部513で受信された親機BS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号はコーデック回路53に供給し、復調した制御信号は、制御部511に供給する。
【0076】
TDMA変復調部512は、クロック生成用のPLL部5121を備える。PLL部5121には、発振器54からの発振信号が供給されると共に、無線通信部513からの受信信号の復調信号が供給され、PLL部5121からは、発振器54からの発振信号から、受信信号の復調信号のクロック成分に同期したクロック信号が生成される。PLL部5121からのクロック信号は、TDMA変復調部512における処理用クロック信号とされる。
【0077】
コーデック回路53は、TDMA変復調部512で復調された音声信号を復号して、アナログ音声信号に変換し、そのアナログ音声信号をスピーカ56に供給して、受話音声として放音する。また、コーデック回路53は、マイクロホン55で収音したアナログ音声信号を符号化して、TDMA変復調部512に供給する。なお、制御回路52は、この子機HS1からの発呼時には、発呼時の呼制御信号を、無線通信回路51を通じて親機BS1に送信し、また、親機BS1からの着信時の呼制御信号を受けた時には、着信音をスピーカ56から放音するなどの処理を行う。
【0078】
なお、無線通信回路51の制御部511は、自機に対応する親機BS1からの制御信号に応じてTDMA変復調部512を制御し、ダウンリンクとアップリンクとで、通信に用いるスロットをサーチして特定し、受信/送信の処理を行うことができるようにしている。例えば、一斉着信が発生し、主装置1からの着信通知が親機BS1を介して子機HS1に通知されると、子機HS1では空きスロットのサーチ処理を行って、通話に用いる空きスロットを取得する。そして、子機HS1は、親機BS1と協働し、取得した空きスロットをトラフィックベアラとして用いて、通話を行うことができるようにしている。
【0079】
なお、上述したように、待ち受け時において、子機HS1は、ダウンリンクにおいて予め決められる1つのスロット(ダミーベアラ)を通じて、同期信号や制御信号の提供を親機から受けることができるようにしている。着信や発信が発生すると、上述もしたように、ダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理を行い、上述したように、ダウンリンクとアップリンクとで、通信に用いるスロットを特定して通話を行うことになる。
【0080】
以上の説明は、コードレス電話装置21の親機BS1及び子機HS1についての説明であるが、前述したように、その他のコードレス電話装置22~2nの親機BS2~BSn及び子機HS2~HSnについても同様の構成を有するものである。
【0081】
この実施の形態の電話システム10においては、上述したように、主装置1の配下の親機BS1、BS2、BS3では、主装置1からの基準同期信号SYNCより、フレーム同期信号FLやスロット単位のタイミングを形成する。このため、親機BS1、BS2、BS3の周辺信号測定部4422及び制御回路41が備える機能と、主装置1の制御回路12が備える機能によって、周辺の他システムと信号の送信タイミングを合わせることができる。これにより、主装置1の配下のコードレス電話装置21、22、23では、自システムだけでなく、他システム2で使用されているスロットの把握(スロットのサーチ)も正確にできることになり、使用スロットの衝突を回避して通信を適切に行うことができる。
【0082】
なお、
図4を用いて説明した周辺信号測定テーブル411の格納データを用いた場合には、他システム1の機器とは、信号の送信タイミングの同期合わせは行えない。しかし、他システム1の使用スロット数は、合わせても3スロットと少ないので、スロットの衝突による影響は少ない。従って、他システム2と信号の送信タイミングを合わせることにより、スロットの衝突をより多く回避して、親機と子機との間の通信を適切に行える環境を整えられる。
【0083】
また、
図4に示した周辺信号測定テーブル411の格納データの例の場合には、他システム2は、親機IDが「CCCCCCCCCC」の機器が、1台で10個のスロットを使用している場合を示した。しかし、1台の機器が使用するスロットは少ないが、信号の送信タイミングのずれ量が同じである複数の機器が存在する場合もある。従って、使用スロット数の把握は、信号の送信タイミングのずれ量毎に行うようにする。
【0084】
これにより、例えば、
図4に示した例の場合で、親機IDが「CCCCCCCCCC」である機器の使用スロット数宇が例えば1スロットであったする。この場合、他システム1の使用スロット数の合計が3スロットで、他システム2の使用スロット数は1スロットとなる。従って、主装置1は、他システム1の信号の送信タイミングのずれ量である1.0msだけ、基準同期信号SYNCの同期タイミングを遅らせるように制御することになる。
【0085】
このように、この実施の形態の電話システム10においては、主装置1と配下のコードレス電話装置の親機BS1、BS2、BS3とが協働し、周辺信号の送信タイミングの測定を行う。この測定結果に基づいて、信号の送信タイミングが一致する機器(親機)を取りまとめて、周辺の他システム数を割り出し、システム毎の使用スロット数の統計を取って、最も使用スロット数の多いシステムの信号の送信タイミングを合わせる。これにより、電話システム10では、他のシステムと使用するスロットが重複するスロットの衝突をできるだけ回避できる。従って、電話システム10の全てのコードレス電話装置21、22、23において、親機と子機との間における通信環境を良好な環境として整えることができる。
【0086】
[電話システムの信号の送信タイミング(同期タイミング)の調整処理]
上述した構成の電話システム10で行われる信号の送信タイミングの調整処理について具体的に説明する。以下においては、電話システム10の起動時の同期タイミングの調整処理と、運用中の同期タイミングの調整処理とについて説明する。
【0087】
<起動時の同期タイミングの調整処理>
図6は、電話システム10での起動時の同期タイミング(送信タイミング)調整処理を説明するためのシーケンス図である。ここでは、説明を簡単にするため、主装置1には、親機BS1と親機BS2とが接続された場合とし、親機BS3についての説明は省略する。主装置1には、コードレス電話装置21の親機BS1とコードレス電話装置22の親機BS2とが有線により接続されている。すなわち、
図6に示すように、主装置1と親機BS1と親機BS2とは、いずれも同一システム(電話システム10)の構成要素である。
【0088】
主装置1には既に電源が投入され、稼働状態になっているものとする。この後、親機BS1の電源がオンにされ(ステップST1)、子機HS1と相互に通信が可能な活性化した状態になると、親機BS1の制御回路41は、起動及び活性化通知を形成し、主装置1に送信する(ステップST2)。同様に、親機BS2においても、電源がオンにされ(ステップST3)、子機HS2と相互に通信が可能な活性化した状態になると、親機BS2の制御回路41は、起動及び活性化通知を形成し、主装置1に送信する(ステップST4)。起動及び活性化通知は、送信元の親機が起動されたこと及び活性化された状態になったことを主装置1に通知するものである。
【0089】
起動及び活性化通知を受信した主装置1では、制御回路12の測定指示提供部121が機能し、選択した1の親機には周辺信号測定指示を送信し、その他の親機には、同期完了待ち指示を送信する。主装置1は、例えば、自機に接続される電話装置としてアドレス情報が登録された電話装置の中から予め決められたコードレス電話装置の親機や起動及び活性化通知を一番早く送信してきた親機を周辺信号の測定を行う親機として選択する。この実施の形態では、親機BS1が周辺信号の測定を行う親機として選択されたとする。
【0090】
この場合、主装置1の制御回路12の測定指示提供部121は、親機BS2に対しては、同期完了待ち指示を送信する(ステップST5)。これに応じて親機BS2は、制御回路41が各部を制御し、信号送信待機状態となる(ステップST6)。また、主装置1の制御回路12の測定指示提供部121は、親機BS1に対しては、周辺信号測定指示を送信する(ステップST7)。これに応じて、親機BS1の制御回路41は、信号の送信を停止させる(ステップST8)。そして、親機BS1の制御回路41は、無線通信回路44の制御部441を通じて、TDMA変復調部442の周辺信号測定部4422に対して測定を開始する指示を出し、周辺信号に関する情報の測定を開始する(ステップST9)。
【0091】
ステップST9では、親機BS1の周辺信号測定部4422が、上述したように、無線通信部443を通じて受信した全ての信号について、自機のスロット毎の信号の送信タイミング(スロットタイミング)を基準にして、各受信信号(周辺信号)とのずれ量を測定する。この測定処理では、送信元ごとに使用スロット数をカウントし、また、受信した信号の送信元の識別情報(親機ID)が抽出される。この測定処理により得られた信号の送信タイミングのずれ量、送信元の識別情報、使用スロット数は、制御部441を通じて制御回路41に供給される。
【0092】
制御回路41では、テーブル作成部412が機能し、
図4を用いて説明したように、システム区分を付加した測定結果を周辺信号測定テーブル411に記録する。周辺信号の送信タイミングの測定処理が完了し、周辺信号測定テーブル411に測定結果の全てが記録されると、情報通知部413が機能し、周辺信号測定テーブル411に記録された測定結果を、回線LSI部42を通じて主装置1に通知する(ステップST10)。
【0093】
主装置1では、制御回路12の測定結果作成部123が機能して、親機BS1からの周辺信号の送信タイミングの測定結果(
図4)を、主装置1の測定結果記憶部14に記録する。この後、主装置1の制御回路12のタイミング調整部122が機能し、測定結果記憶部14の格納データを参照して、自システムの周辺に起動された他システムが有るか否かを判別する(ステップST11)。ステップST11の判別処理は、
図4に示した態様で測定結果記憶部14に記憶されている測定結果のシステム区分を参照すれば判別できる。また、測定結果の信号送信タイミングにずれ量が0msでないデータが有れば、周辺に起動されている他システムがあると判別できる。
【0094】
ステップST11の判別処理において、自システムの周辺に起動されている他システムはない(無し)と判別できた場合には、基準同期信号SYNCの同期タイミングはそのまま維持する(ステップST12)。すなわち、主装置1の制御回路12のタイミング調整部122は何もしない。ステップST11の判別処理において、自システムの周辺に起動されている他システムがある(有り)と判別できたとする。この場合には、主装置1の制御回路12のタイミング調整部122が機能し、基準同期信号SYNCの同期タイミングを、使用スロット数の一番多い他システムの送信タイミングに合わせるように同期信号処理部33を制御する(ステップST13)。
【0095】
ステップST12とステップST13の処理の後においては、主装置1の制御回路12は、親機BS2に対しては、同期完了通知を送信すると共に、基準同期信号SYNCの提供を開始する(ステップST14)。これに応じて、親機BS2では、信号の送信を開始し(ステップST15)、子機HS2との通信を行えるようにする。同様に、主装置1の制御回路12は、親機BS1に対しても、同期完了通知を送信すると共に、基準同期信号SYNCの提供を開始する(ステップST16)。これに応じて、親機BS1では、信号の送信を開始し(ステップST17)、子機HS1との通信を行えるようにする。
【0096】
図6に示した処理の場合、自システムの周囲に起動されている他システムが無ければ、基準同期信号SYNCの同期タイミングを調整されない(ステップST12)。しかし、自システムの周囲に起動されている他システムが有れば、基準同期信号SYNCの同期タイミングは、使用スロット数の多い他システムの信号送信タイミングに同期するように合わせ込まれる。これにより、自システムの周囲に起動された他システムが有る場合には、当該他システムとスロットの衝突を起こさないように環境を整えて、子機との通信を行えるようにし、良好な通信環境を整えることができる。
【0097】
<運用中の同期タイミングの調整処理>
図7、
図8は、電話システム10の運用中に行われる同期タイミング調整処理を説明するためのシーケンス図である。ここでも、説明を簡単にするため、主装置1には、親機BS1と親機BS2とが接続された場合とし、親機BS3についての説明は省略する。この例の場合にも、
図7の上端側に示すように、主装置1と親機BS1と親機BS2とは、いずれも同一システム(電話システム10)の構成要素である。また、
図7、
図8に示す処理の場合には、電話システム10は既に運用中であり、コードレス電話装置21、22を用いて、電話をかけたり、電話を受けたりすることができる状態になっているものとする。
【0098】
主装置1の制御回路12の不揮発性メモリには、1日に1回、例えば、深夜、早朝、昼休み時間帯といった、電話システム10の使用頻度が比較的に少ない時間帯に、同期タイミングの調整処理を実行する時刻が設定されている。制御回路12は、
図2には図示しなかったが、時計回路を備えており、同期タイミングの調整処理を行う時刻の到来を検知することができる。この同期タイミングの調整処理を行う時刻は、配下の親機に対して、周辺システムの信号の送信タイミングを測定する処理の実行を指示するタイミング(周辺システム測定タイミング)である。
【0099】
主装置1の制御回路12は、周辺システム測定タイミングが到来したと判別すると(ステップST21)、測定指示提供部121が機能して、配下の親機BS2と親機BS1とに周辺システム測定可否確認を形成して送信する(ステップST22、ステップST24)。周辺システム測定可否確認を受信した親機BS2、BS1では、制御回路41が機能し、例えば、トラフィックベアラの使用有無を確認するなどして、自機の動作状態を把握する。この例の場合、親機BS2では、子機HS2を通じて通話中であることが把握され(ステップST23)、親機BS1では、電話をかけたり、電話を受けたりすることが可能な待機状態であることが把握されたとする。
【0100】
通話中の親機BS2は、制御回路41が測定不可通知を形成し、これを主装置1に返信し(ステップST26)、使用が継続される(ステップST27)。すなわち、通話が継続される。一方、親機BS1では、待機中の状態にあることが把握されたとする(ステップST25)。待機中の親機BS1は、制御回路41が測定可能通知を形成し、これを主装置1に返信する(ステップST28)。主装置1の制御回路12の測定指示提供部121は、測定可能通知を送信してきた親機BS1に対して、周辺信号測定指示を形成して送信する(ステップST29)。なお、電話システム10に多数のコードレス電話装置が接続されており、測定可能通知を複数の親機が主装置1に送信してきたとする。この場合、主装置1の制御回路12が、その内の1つを周辺信号の測定処理を行う親機として選択し、選択した親機に対して周辺信号測定指示を送信する。
【0101】
主装置1からの周辺信号測定指示を受信した待機中の親機BS1では、制御回路41が無線通信回路44を制御して、自機からの信号の送信を停止させる(ステップST30)。更に、制御回路41は、周辺信号測定部4422を機能させて、周辺信号に関する情報の測定処理を開始させる(ステップST31)。これにより、上述もしたように、周辺信号測定部4422においての測定結果が、制御部441を通じて制御回路41に供給され、テーブル作成部412の機能により、周辺信号測定テーブル411に記録される。測定結果の周辺信号測定テーブル411への記録が終了すると、情報通知部413が機能して、周辺信号測定テーブル411に記録された測定結果を主装置1に通知する(ステップST32)。
【0102】
親機BS1からの測定結果を受信した主装置1では、制御回路12の測定結果作成部123が、受信した測定結果を測定結果記憶部14に記録する。これにより、主装置1においても、親機BS1が把握した周辺信号に関する情報の測定結果を把握できる。この後、主装置1の制御回路12のタイミング調整部122が、測定結果記憶部14の格納データを参照し、自システム(電話システム10)の周囲に起動中の他システムが存在するか否かを判別する(ステップST33)。
【0103】
ステップST33の判別処理において、周囲に起動中の他システムが存在すると判別した場合には、タイミング調整部122は、測定結果記憶部14の格納データに基づいて、使用スロット数が一番多いのは、自システムか他システムかを判別する(ステップST34)。ステップST33の判別処理で周囲に起動中の他システムは存在しない(無し)と判別した場合と、ステップST34の判別処理で、使用スロット数が一番多いのは自システムである(自)と判別した場合には、基準同期信号SYNCの同期タイミングは維持する。
【0104】
このように、基準同期信号SYNCの同期タイミングを維持する場合には、主装置1の制御回路12は、親機BS2に対しては、同期完了通知を送信すると共に、基準同期信号SYNCの提供を開始する(ステップST35)。このステップST35の処理は、現状の状態を維持するものである。これに応じて、親機BS2では、信号の送信を継続し(ステップST36)、子機HS2を通じた通信を継続させる。同様に、主装置1の制御回路12は、親機BS1に対しても、同期完了通知を送信すると共に、基準同期信号SYNCの提供を開始する(ステップST37)。このステップST37の処理は、現状の状態を維持するものである。これに応じて、親機BS1では、信号の送信を開始(再開)し(ステップST38)、子機HS1との通信を行えるようにする。
【0105】
一方、ステップST34の判別処理において、使用スロット数が一番多いのは他システムである(他)と判別したとする。この場合には、基準同期信号の同期タイミングを当該他システムに合わせる必要がある。このため、
図8に示す処理に進み、主装置1の制御回路12は、トラフィックベアラ非使用要求を形成し、これを通話中の親機BS2に送信する(ステップST39)。すなわち、ステップST39の要求は、親機BS2に対して、通話が終了したら、通話が終了したことを通知するように要求するものである。
【0106】
トラフィックベアラ非使用要求を受信した親機BS2の制御回路41は、トラフィックベアラの使用が終了(通話が終了)すると(ステップST40)、トラフィックベアラ非使用応答を形成し、回線LSI回路42を通じて主装置1に送信する(ステップST41)。主装置1の制御回路12は、配下の親機BS1、BS2からの情報を解析し、自システム内で通話等の通信を行っているコードレス電話装置が無いかを確認する(ステップST42)。ステップST42の判別処理で、自システム内で通話等の通信を行っているコードレス電話装置が有ると判別した場合には、ステップST42からの処理を繰り返し、通信の終了を待つことになる。なお、通信を行っているコードレス電話装置の親機に、ステップST39、ステップST40、ステップST41に示したように、通信が終了したら通信が終了したことを主装置1に通知させるようにすることもできる。
【0107】
ステップST42の判別処理で、自システム内で通話等の通信を行っているコードレス電話装置はないと判別したとする。この場合には、制御回路12のタイミング調整部122が機能し、測定結果記憶部14の格納データに基づいて、使用スロット数の最も多い他システムの送信タイミングに一致するように(同期するように)、基準同期信号SYNCの生成制御を行う(ステップST43)。ステップST43の基準同期信号SYNCの生成制御は、タイミング調整部122が、内線処理回路131、132、13nの同期信号処理部33を制御して行うことになる。
【0108】
この後、主装置1の制御回路12は、親機BS2に対しては、同期完了通知を送信すると共に、同期タイミングを調整した基準同期信号SYNCの提供を開始する(ステップST44)。このステップST44の処理は、信号の送信タイミングを変更する処理である。これに応じて、親機BS2では、信号の送信を停止し(ステップST45)、新たに供給されるようになった基準同期信号SYNCを用いた信号の送信処理を開始させる(ステップST46)。同様に、主装置1の制御回路12は、親機BS1に対しても、同期完了通知を送信すると共に、同期タイミングを調整した基準同期信号SYNCの提供を開始する(ステップST47)。このステップST47の処理は、信号の送信タイミングを変更する処理である。これに応じて、親機BS1では、ステップST30で停止した信号の送信を開始(再開)し(ステップST48)、子機HS1との通信を行えるようにする。
【0109】
図7、
図8に示した処理は、1日に1回行われるため、電話システムが増えたり、減ったりした場合にも、対応することができる。これにより、自システムの周囲の環境が変化しても、これを適切に把握し、自システムで送信する信号の送信タイミングを適切に保とうとすることができる。従って、自システムの周囲の環境が変化しても、自システムの周囲に起動された他システムが有る場合には、当該他システムとスロットの衝突を起こさないように環境を整えて、子機との通信を行えるようにし、良好な通信環境を整えることができる。
【0110】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電話システムによれば、主装置1に対して、コードレス電話装置を接続して電話システムを構築した場合に、近隣の他の電話システムが構築されていても、他の電話システムの影響を極力排除することができる。具体的には、他の電話システムの使用頻度の高い信号の送信タイミングに、自システムにいて用いる信号の送信タイミングを合わせることで、用いるスロットの衝突を回避し、良好な通信環境を整えることができる。これにより、近隣に存在する他の通信システムの影響を極力排除し、主装置1に収容されたコードレス電話装置を通じて、適切に通信を行うことができる。
【0111】
[変形例]
上述した実施の形態では、主装置1には、コードレス電話装置21、22、23が接続されている場合を例にして説明したが、これに限るものではない。主装置1に対して、複数のコードレス電話装置が接続されている場合にこの発明を適用することができる。この発明は、より多くのコードレス電話装置が主装置に接続されて構成された規模の大きな電話システムに適用しても好適なものである。
【0112】
また、上述した実施の形態では、予め決められた親機や周辺システム測定可否確認に応じて、測定可能通知を送信してきた親機に、周辺信号に関する情報の測定を行わせるようにしたが、これに限るものではない。主装置1は、自機に接続された配下の全ての親機に対して、周辺信号に関する情報の測定を指示して、その測定結果を受信し、信号送信タイミング(次システムとの差分)ごとに、使用スロット数を集計する。この集計値に基づいて、最も使用スロット数の多い信号送信タイミングに、自システムから送信する信号の送信タイミングを合わせるようにしてもよい。これにより、主装置1に接続された全ての親機が受信する周辺信号を考慮して、自システムで用いる信号の送信タイミングを調整できる。なお、通話中のコードレス電話装置が存在する場合には、通話終了を待って、測定指示を出すようにすればよい。
【0113】
また、主装置1は、自機に接続された配下の親機の内、例えば、その設置位置などに基づいて、予め選定された複数の親機に対して、周辺信号に関する情報の測定を指示して、その測定結果を得るようにしてもよい。この場合にも、主装置1では、受信した測定結果について、信号送信タイミング(次システムとの差分)ごとに、使用スロット数を集計する。この集計値に基づいて、最も使用スロット数の多い信号送信タイミングに、自システムから送信する信号の送信タイミングを合わせるようにできる。この場合には、効率良く、自システムの近隣の存在する他の電話システムから送信される周辺信号を考慮して、自システムで用いる信号の送信タイミングを調整できる。なお、この場合にも、通話中のコードレス電話装置が存在する場合には、通話終了を待って、測定指示を出すようにすればよい。
【0114】
また、
図7、
図8を用いて説明した運用中の同期タイミング(送信タイミング)の調整処理は、1日に1回行うものとして説明したが、これに限るものではない。1日に複数愛行ってもよいし、2日に1回、3日に1回、1週間に1回というように、適宜の間隔で行うことができる。また、主装置に接続されたコードレス電話装置を用いた通話時に、通話が途切れるといった状態が発生するようになったとする。このような場合に、コードレス電話装置を通じて使用者が主装置に対して運用中の同期タイミング(送信タイミング)の調整処理の実行を指示して、当該指示を受け付けた主装置が、
図7、
図8を用いて説明した処理を開始させるようにすることもできる。
【0115】
また、上述した実施の形態では、DECT規格のコードレス電話装置を用いた場合を例にして説明したが、これに限るものではない。親機と子機との間では、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、このフレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割し、フレームごとに選択したタイムスロットを通じて無線通信を行う方式を用いる場合に、この発明を適用可能である。従って、近隣に構築される他の電話システムについても、DECT規格のコードレス電話装置を用いるものに限るものではない。他の電話システムについても、親機と子機との間では、所定の通信チャネルを所定時間単位のフレームに分割し、このフレームのそれぞれを更に複数のタイムスロットに分割し、フレームごとに選択したタイムスロットを通じて無線通信を行う方式を用いるものであれば対応可能である。
【0116】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の電話制御装置の測定指示提供手段、測定結果作成手段、タイミング調整手段の機能は、実施の形態の主装置1の測定指示提供部121、タイミング調整部122、測定結果作成部123が実現する。また、請求項の電話制御装置の測定結果記憶手段の機能は、実施の形態の主装置1の測定結果記憶部14が実現している。また、請求項の電話制御装置の測定可否提供手段の機能は、実施の形態の主装置1の制御回路12が実現している。
【0117】
また、請求項の親機の周辺信号測定手段、測定結果通知手段の機能は、実施の形態の親機BS1の周辺信号測定部4422、情報通知部413が実現している。また、請求項の親機の測定可否応答手段は、実施の形態の親機BS1の制御回路41が実現している。
【0118】
また、上述した実施の形態の主装置1の制御回路12が備える測定指示提供部121、タイミング調整部122、測定結果作成部123の機能は、制御回路12で実行されるプログラムにより、制御回路12の機能として実現できる。また、上述した実施の形態の親機BS1のテーブル作成部412、情報通知部413の機能は、制御回路41で実行されるプログラムにより制御回路41の機能として実現することができる。
【0119】
また、
図6、
図7及び
図8のシーケンスを用いて説明した主装置1で行われる処理を実行するためのプログラムを形成し、これを主装置1の制御回路12で実行できるようにしておくことにより、この発明の電話システムで利用可能な電話制御装置を実現できる。また。
図6、
図7及び
図8のシーケンスを用いて説明した親機BS1、BS2で行われる処理を実行するプログラムを形成し、これを親機BS1、BS2、BS3の制御回路41で実行できるようにしておくことにより、この発明の電話システムで利用可能なコードレス電話装置の親機を実現できる。
【符号の説明】
【0120】
1…主装置、12…制御回路、121…測定指示提供部、122…タイミング調整部、123…測定結果作成部、14…測定結果記憶部、21、22、23…コードレス電話装置、BS1、BS2、BS3…親機、HS1、HS2、HS3…子機、41…制御回路、411…周辺信号測定テーブル、412…テーブル作成部、413…情報通知部、42…回線LSI部、43…同期信号発生回路、44…無線通信回路、441…制御部、442…TDMA変復調部、4422…周辺信号測定部、443…無線通信部、51…無線通信回路、52…制御回路、53…コーデック回路、511…制御部、512…TDMA変復調部、513…無線通信部