(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】可燃物廃缶供給装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20240321BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20240321BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20240321BHJP
B09B 101/10 20220101ALN20240321BHJP
B09B 101/02 20220101ALN20240321BHJP
【FI】
B09B3/30
B09B3/40
B09B3/35
B09B101:10
B09B101:02
(21)【出願番号】P 2019220704
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502442854
【氏名又は名称】阿部 荒喜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良博
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252410(JP,A)
【文献】特開平08-189629(JP,A)
【文献】特開平06-002828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0348007(US,A1)
【文献】特開2019-037996(JP,A)
【文献】特開2007-061831(JP,A)
【文献】特開平11-257631(JP,A)
【文献】特開2003-126835(JP,A)
【文献】特開2014-213196(JP,A)
【文献】特開2000-202694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性の液体、高粘物、凝固物を収容した18リットル用の缶の投入後に閉じる受入蓋6と、投入した缶を下方に落下する手段を備え且つ真空引抜口を設けた落下部と、横方向に設置された油圧シリンダー14と、かくれ孔を有する押板12と、刃物抜き板13と、押板12のかくれ孔を通して缶に突き刺さる穿孔棒17と、缶の底部を切削するように設置された刃物15とを備えた穿孔装置16と、切削且つ穿孔した缶を受け入れて熱分解する熱分解槽とを設けてなる可燃物廃缶供給装置において、落下部と穿孔部が真空引抜口を介して空気を引き抜いた状態で落下部から穿孔部に落下した缶を押板12が前進して缶を押し、缶の底部を刃物15で切削し、押板12の裏面より穿孔棒17が押板12のかくれ孔を通して缶を突き刺して缶の上部を穿孔し、該切削と穿孔した缶を空気が引き抜かれた熱分解槽に送り込む構成とした可燃物廃缶供給装置。
【請求項2】
熱分解槽に送り込まれる缶は、切削および穿孔並びに体積を縮小した開栓をしない缶である請求項1に記載の可燃物廃缶供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、インク、染料など可燃物を収容する容器を内容物の残ったままの状態で、また鋼製や樹脂製など材質を問わずに熱分解装置に供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗装時の塗料の残液、色間違い、手違いなどにより発生する印刷に使用するインク、塗料などは可燃性でありしょぶんに困っている。いったん開封した缶は揮発成分が飛んで粘土があがり溶剤を加えても解けず高粘度化が始まる。
【0003】
この収容容器、一般に多用されているのは一斗缶と呼ばれる18リットル缶で鋼製(ブリキ製)である。大量に使用する場合、ドラム缶や専用容器によって扱われ貯蔵される。これらの塗料、インク、染料、またそれらの固着した容器の再利用は難しく処分にも困っている。
【0004】
この再利用が難しい可燃物と容器は焼却処分されるが鋼製の缶を完全燃焼させることは不可能である。樹脂の容器は塩化ビニール製が多く燃焼させると粉塵とダイオキシンの発生があり問題である。また灯油などの入った携行容器の処分も問題であった。
【0005】
この容器の粘度の低い液剤に近い可燃物を缶ごと熱分解槽に供給すると、熱分解槽のゲート解放時に高温ガスの発生上昇ガスにより問題があった。缶が横転すると残液の可燃物に着火、爆発するために燃焼処理には問題であった。
【0006】
これを安全に供給するためには残液をこぼさないようにする手段と熱分解槽の上昇熱を遮断し、また空気と接触しない非活性化を確実にした状態で缶の密封を解いて缶内の空気を除き、熱分解供給時に缶に穿孔して缶内のガスを引き抜く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
容器内に残る可燃性の液体、凝固物、種類の違った高粘度化した液体などがブリキ缶に占める部位と缶内空間の大小により熱分解槽内への供給と加熱の状態は大幅に違ってくる。缶を密封状態で加熱すると残留空気(酸素)により燃焼や爆発が起こる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ポリ缶もブリキ缶も同じである。それは缶が膨張し残留空気があるためと缶の一部より加熱するとガス抜き状態になるが熱分解槽内で発生するとそれ以上に危険である。
【0011】
大型の貯蔵缶や輸送缶内の廃液は、直接直熱分解槽内に供給すればよい。小型缶は開封すると早期に硬化する。この18リットル缶をここに供給して内部残留部を気化させ空の缶と液と分離することは可能か。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は金属缶もポリ缶も底の一部を切り裂き,缶の上部に穿孔し空気抜きを設ける。そのタイミングは熱分解槽供給直前に行い、早いと液漏れが起きない時点でもって缶と同伴する空気を抜く。
【発明の効果】
【0013】
塗料、染料、インク、樹脂等の残液、残留固形物の処理方法として油脂と残渣物と金属を回収することが可能で、燃やさず,埋め立てゴミとせず、回収した油や残渣物カーボンなどを再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の可燃物収容缶、供給機側面断面図である。
【
図2】供給機の切り裂き、ガス抜き構造の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するに関する
図1ないし
図3で示す実施説明図である。処理物の廃缶は、ボックスコンベヤーにより繰り上げられ
受入蓋6がセンサー指示で開き、処理缶(以下缶)が投入され
容器受ゲート2、
転倒水平板3に落下し、ガイド板4に支えられると受入蓋
6は閉められる。
軸5が旋回すると受入ゲート2は
軸5と共に90
度旋回して缶は自重で落下する。
【0016】
落ちた缶が下部の穿孔装置16に落ち着くと押板12が前進して缶を押し、缶の底部を刃物15で切削する。押し板裏面より穿孔棒とガイド棒がプロクになっていて押板12のかくれ孔を通して缶に穿孔棒17が突き刺さる。シリンダーストロークで停止し、缶は適当に圧縮される。
【0017】
缶は圧縮されると同時にこの装置下部に設けた水平稼働の耐熱ゲートが開き、穿孔棒17が突き刺さった状態でシリンダーが後退すると穿孔棒カムに引かかって穿孔棒17が抜けると缶は串刺しの串が抜けた状態で自由になる。
【0018】
缶が毀損されると液が残っていれば下部に設置した耐熱ゲート上に落ちる。押しシリンダーは後退するが缶は穿孔棒に突き刺され、共に抜けずに後退すると穿孔板はカムにより後退を停止し、更にシリンダーは後退すると穿孔板の裏面に隠れる。
【0019】
穿孔板後退と共に耐熱ゲートは開き、缶と液体は熱分解槽に送り込まれる。この上下二重装置は、熱分解槽も含めて不活性化を保つため常時装置内空気は引き抜かれる。
【符号の説明】
【0020】
1 残液缶供給フレーム
2 容器受ゲート
3 転倒水平板
4 ガイド板
5 軸
6 受入蓋
7 アーム
8 シリンダー
10 送り出し部位
11 シリンダーガイド
12 押板
13 刃物抜き板
14 油圧シリンダー
15 刃物
16 穿孔装置
17 穿孔棒
18 真空引抜口
19 供給口
20 穿孔引抜きカム
21 耐熱ゲート