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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20240321BHJP
   D06F 73/00 20060101ALI20240321BHJP
   D06F 87/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
D06F73/00 102Z
D06F87/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019236060
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104142
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝之
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-069397(JP,U)
【文献】実開昭56-104488(JP,U)
【文献】実開昭58-058499(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される収容室と、
前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、
衣類に水を噴霧する霧吹き装置が配置される配置部と、を備え、
前記スチーム供給部からスチームを供給して衣類のしわを伸ばすしわ伸ばし運転を行い、
前記スチーム供給部は、
水が貯められる給水タンクと、
前記給水タンクから供給された水を加熱してスチームを発生させるスチーム発生部と、を含み、
前記給水タンクは、タンク本体と当該タンク本体に貯められた水を噴霧するための噴霧機構とを含み、前記霧吹き装置として機能し、
前記タンク本体は、1回の前記しわ伸ばし運転で使用される使用水量よりも多い水量を貯水可能な容量を有し、
前記噴霧機構は、前記タンク本体内に挿入され、前記タンク本体内の水を吸い上げる吸水パイプを含み、
前記吸水パイプの長さは、前記吸水パイプの先端が前記タンク本体の水面に届かなくなったときに、前記タンク本体内に前記使用水量の水が残る長さに設定されている、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類処理装置において、
前記タンク本体には、その一部を凹ませてなる凹部が設けられ、
前記噴霧機構は、操作部と当該操作部が操作されたときに水が噴霧される噴霧口とを有し前記凹部内に配置されるヘッド部を含み、
前記凹部は、前記噴霧口の正面が開放されている、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の衣類処理装置において、
前記タンク本体は、角部を有し、
前記凹部は、前記角部に設けられる、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の衣類処理装置において、
前記タンク本体の底面には、前記スチーム発生部へ向かう水が流出する流出口と当該流出口を開閉する開閉弁とを有する流出口部が設けられ、
前記給水タンクが前記配置部から離脱した状態にあるときには、前記流出口が前記開閉弁により閉じられており、
前記凹部は、前記底面と前記底面と交差する2つの側面により形成される前記角部に設けられる、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項5】
請求項に記載の衣類処理装置において、
前記タンク本体の底面には、前記スチーム発生部へ向かう水が流出する流出口と当該流出口を開閉する開閉弁とを有する流出口部が設けられ、
前記凹部は、前記タンク本体の天面に設けられる、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類にしわ伸ばし等の処理を施す衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容部内において衣類を吊り下げ、その衣類のしわをスチームにより伸ばすことができる衣類処理装置が知られている。このような衣類処理装置の一例が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-057413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生地の厚い綿素材の衣類やしわの酷い衣類のしわを伸ばす場合は、衣類処理装置によるしわ伸ばし運転が行われる前に、ユーザが霧吹き装置を用いて衣類に水を噴霧し、予め衣類に水分を多く含ませておくと、しわ伸ばし運転が行われたときに衣類のしわが伸びやすくなる。
【0005】
そこで、本発明は、しわ伸ばし運転の前にユーザが手軽に霧吹き作業を行え得る衣類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係る衣類処理装置は、衣類が収容される収容室と、前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、衣類に水を噴霧する霧吹き装置が配置される配置部と、を備える。ここで、前記スチーム供給部からスチームを供給して衣類のしわを伸ばすしわ伸ばし運転を行う。前記スチーム供給部は、水が貯められる給水タンクと、前記給水タンクから供給された水を加熱してスチームを発生させるスチーム発生部と、を含む。前記給水タンクは、タンク本体と当該タンク本体に貯められた水を噴霧するための噴霧機構とを含み、前記霧吹き装置として機能する。前記タンク本体は、1回の前記しわ伸ばし運転で使用される使用水量よりも多い水量を貯水可能な容量を有する。前記噴霧機構は、前記タンク本体内に挿入され、前記タンク本体内の水を吸い上げる吸水パイプを含む。前記吸水パイプの長さは、前記吸水パイプの先端が前記タンク本体の水面に届かなくなったときに、前記タンク本体内に前記使用水量の水が残る長さに設定されている。
【0007】
上記の構成によれば、ユーザが、配置部に配置された霧吹き装置を使用して、しわ伸ばし運転の前の衣類に対して霧吹き作業を手軽に行うことができる。
【0009】
上記の構成によれば、給水タンクが霧吹き装置の機能を有するため、霧吹き作業を行うために、別途、霧吹き装置を用意する必要がない。
【0011】
このような構成とさされば、霧吹き作業に給水タンク内の水が使用され過ぎて水を補充しないとしわ伸ばし運転が行えなくなる、ということを防止できる。
【0012】
上記のように給水タンクが霧吹き装置の機能を有する構成とされた場合、さらに、前記タンク本体には、その一部を凹ませてなる凹部が設けられ得る。この場合、前記噴霧機構は、操作部と当該操作部が操作されたときに水が噴霧される噴霧口とを有し前記凹部内に配置されるヘッド部を含むような構成とされ、前記凹部は、前記噴霧口の正面が開放されるような構成とされ得る。
【0013】
このような構成とされれば、ヘッド部の周囲に存在するタンク本体の部分によってタンク本体の容積を大きくできる。しかも、凹部は、噴霧口の正面が開放されているので、噴霧口から噴霧された水を開放部分から凹部の外に放出できる。
【0014】
上記のように給水タンクが霧吹き装置の機能を有する構成とされた場合、さらに、前記タンク本体は、角部を有し、前記凹部は、前記角部に設けられるような構成が採られ得る。
【0015】
このような構成とされれば、噴霧口から噴霧された水がタンク本体に邪魔されずに拡散されやすく、また、ユーザが給水タンクを持ちながら指で操作部を操作しやすい。
【0016】
上記のように凹部が角部に設けられる構成とされた場合、さらに、前記タンク本体の底面には、前記スチーム発生部へ向かう水が流出する流出口と当該流出口を開閉する開閉弁とを有する流出口部が設けられ得る。前記給水タンクが前記配置部から離脱した状態にあるときには、前記流出口が前記開閉弁により閉じられた状態となる。この場合、前記凹部は、前記底面と前記底面と交差する2つの側面により形成される前記角部に設けられ得る。
【0017】
このような構成とされれば、給水タンクが霧吹き装置として使用されているとき、流出口は上を向けられるので、開閉弁が劣化するなどして流出口が完全に閉塞されにくくなっても、流出口から水が漏れないようにできる。また、凹部、即ちヘッド部がタンク本体の角部に設けられているので、ヘッド部が、タンク本体の同じ側に設けられた流出口部の配置の邪魔になりにくい。
【0018】
上記のように給水タンクが霧吹き装置の機能を有する構成とされた場合、さらに、前記タンク本体の底面には、前記スチーム発生部へ向かう水が流出する流出口と当該流出口を開閉する開閉弁とを有する流出口部が設けられ得る。この場合、前記凹部は、前記タンク本体の天面に設けられる。
【0019】
このような構成とされれば、ユーザは、配置部から離脱させた給水タンクを、上下の方向をそのままにした状態で、霧吹き装置として使用できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、しわ伸ばし運転の前にユーザが手軽に霧吹き作業を行え得る衣類処理装置を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1(a)は、実施の態様に係る、衣類処理装置の正面図であり、図1(b)は、実施の態様に係る、衣類処理装置の右側面図である。
図2図2は、実施の態様に係る、第1供給ユニットの位置で切断した、衣類処理装置の正面断面図である。
図3図3は、実施の態様に係る、第2供給ユニットの位置で切断した、衣類処理装置の正面断面図である。
図4図4(a)および(b)は、実施の態様に係る、排気フィルタユニットの位置で切断した、衣類処理装置の平面断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る、第1供給ユニットの吸気ダクトの位置で切断した、衣類処理装置の要部の側面断面図である。
図6図6は、左後方から見た、霧吹き機能付きの給水タンクの斜視図である。
図7図7は、霧吹き機能付きの給水タンクの側面断面図である。
図8図8(a)および(b)は、それぞれ、タンクボックスが筐体内に収められた状態およびタンクボックスが筐体内から引き出された状態の衣類処理装置の要部の側面断面図である。
図9図9は、変更例に係る、左前方から見た、霧吹き機能付きの給水タンクの斜視図である。
図10図10は、変更例に係る、噴霧機構の位置で切断された、霧吹き機能付きの給水タンクの正面断面図である。
図11図11は、その他の変更例に係る、衣類処理装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1(a)は、衣類処理装置1の正面図であり、図1(b)は、衣類処理装置1の右側面図である。図2は、第1供給ユニット300の位置で切断した、衣類処理装置1の正面断面図である。図2では、第2供給ユニット400の図示が省略されている。図3は、第2供給ユニット400の位置で切断した、衣類処理装置1の正面断面図である。図4(a)および(b)は、排気フィルタユニット270の位置で切断した、衣類処理装置1の平面断面図である。図4(a)では、カバー240が取り外されている。図5は、第1供給ユニット300の吸気ダクト350の位置で切断した、衣類処理装置1の要部の側面断面図である。なお、図2には、オゾンを含む空気および温風の流れが実線矢印で示されている。また、図3には、スチームの流れが実線矢印で示されており、結露水の流れが破線矢印で示されている。さらに、図5には、外部の空気の流れが実線矢印で示されている。
【0025】
衣類処理装置1は、縦長の直方体形状を有する筐体100を備える。筐体100の外底面には、4つの角部に脚110が設けられる。筐体100の内部には、スーツ、コート等の各種の衣類が吊られた状態で収容される収容室200が配される。収容室200は、縦長の直方体形状を有する。また、筐体100の内部には、収容室200の下方に、収容室200に温風とオゾンとを供給可能な第1供給ユニット300と、収容室200にスチームを供給可能な第2供給ユニット400とが配される。第2供給ユニット400は、本発明のスチーム供給部に相当する。
【0026】
収容室200の前面は、衣類の投入口201として開口する。筐体100の前面は、投入口201に対応する部分が開口する。筐体100の前面には、ドア500が設けられる。ドア500は、筐体100の前面とほぼ同じ大きさを有する。投入口201がドア500により覆われる。ドア500の右端部は図示しないヒンジ部により筐体100と連結されており、ヒンジ部を支点にしてドア500を前方へ開くことができる。
【0027】
図2図4(a)および(b)を参照し、収容室200には、底面の中央部に、第1供給口210と第2供給口220が、互いに隣接するように設けられる。第1供給口210および第2供給口220は、両側に直線部分を有するほぼ半円形の筒状を有する。第1供給口210の円弧状部211と第2供給口220の円弧状部221は、上方から見て、互いに反対方向に湾曲する。これにより、第1供給口210と第2供給口220とを合わせた形状が、図4(a)の一点鎖線のような円形に近い形状となる。第1供給口210と第2供給口220との間には僅かに隙間が設けられており、この隙間に取付穴231を有する取付ボス230が設けられる。
【0028】
第1供給口210および第2供給口220の上方には、これらを覆うように、カバー240が配置される。カバー240は、円盤状の天面部241と、天面部241の周縁から下斜め方向に延びる周面部242とを含む。天面部241は、第1供給口210と第2供給口220とを合わせた大きさよりも大きい。天面部241の裏面中央には、下方に突出する軸243が形成される。カバー240の天面部241と第1供給口210および第2供給口220との間に所定の隙間ができるように、軸243が取付ボス230の取付穴231に取り付けられる。カバー240の周面部242には、全周に亘って、複数の排出孔244が形成される。排出孔244は、カバー240の径方向に長い方形状を有し、第1供給口210および第2供給口220の周囲、即ち、カバー240における第1供給口210および第2供給口220の投影領域よりも外側に位置する。カバー240の外周縁と収容室200の底面との間には、所定の隙間が設けられる。
【0029】
収容室200の天面には、左右における中央部に、ハンガー台250が設けられる。ハンガー台250は、前後方向に延びるポール251と、ポール251の前後の端部を収容室200の天面から支持する支持板252とを含む。衣類が掛けられたハンガーが、ハンガー台250のポール251に掛けられる。なお、ハンガー台250は、ポール251が左右方向に延びるように、収容室200の天面に設けられてもよい。
【0030】
収容室200の後面には、上部に排気口202が形成される。本実施の形態では、排気口202が収容室200の後面の右端部に設けられているが、中央部や左端部に設けられてもよい。また、排気口202は、収容室200の天面に設けられてもよい。排気口202には排気ダクト260が繋がっており、排気ダクト260は筐体100の後面から外部に露出する。
【0031】
排気口202には、着脱可能に排気フィルタユニット270が装着される。排気フィルタユニット270は、オゾン除去フィルタ271と、オゾン除去フィルタ271が収容されるフィルタカバー272とを含む。オゾン除去フィルタ271には、活性炭・触媒フィルタが用いられ得る。フィルタカバー272には、複数の排気窓273が設けられる。
【0032】
図2および図5を参照し、第1供給ユニット300は、第1供給ダクト310と、オゾン発生器320と、加熱器330と、送風ファン340と、吸気ダクト350と、オゾン除去フィルタ360とを含む。
【0033】
第1供給ダクト310は、その導入口311が送風ファン340の吐出口342に接続され、その導出口312が第1供給口210の入口に接続される。第1供給ダクト310内の導入口311の近傍にオゾン発生器320が配置される。第1供給ダクト310は、導入口311から左方に延び、オゾン発生器320の配置位置を過ぎた部分から右方に折り返されるように湾曲した後、上方に延びて第1供給口210へと至るような形状を有する。
【0034】
オゾン発生器320は、放電方式のオゾン発生器であり、一対の電極間にコロナ放電、無声放電等の放電を生じさせ、一対の電極間に通された空気からオゾンを生成する。加熱器330は、第1供給ダクト310内において、オゾン発生器320よりも第1供給口210側に配置され、第1供給ダクト310内を流れる空気を加熱する。加熱器330として、たとえば、PTCヒータを用いることができる。
【0035】
送風ファン340は、遠心ファンであり、側面に吸込口341が設けられ、周面に吐出口342が設けられる。送風ファン340は、吸込口341から空気を取り込み、取り込んだ空気を第1供給ダクト310内のオゾン発生器320へ送る。送風ファン340として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0036】
筐体100の正面には、送風ファン340の吸込口341と対向する位置に吸気口101が形成される。吸気口101と吸込口341との間に吸気ダクト350が設けられる。
【0037】
吸気ダクト350は、前面が開口するフィルタケース351と、フィルタケース351から後方へ延びる接続ダクト352とを含む。フィルタケース351は、筐体100の吸気口101に接続される。接続ダクト352は、送風ファン340の吸込口341に接続される。接続ダクト352は、連通孔353によりフィルタケース351と繋がる。
【0038】
オゾン除去フィルタ360は、フィルタケース351内に収容される。オゾン除去フィルタ360には、オゾン除去フィルタ271と同様、活性炭・触媒フィルタが用いられ得る。なお、吸気口101には、吸気口101から取り込まれる空気に含まれる埃などを除去するダストフィルタ120が設けられる。
【0039】
ドア500には、後面における筐体100の吸気口101に対応する位置に複数の通気孔501が形成され、底面に空気の取込口502が形成される。ドア500の内部では、取込口502と複数の通気孔501とが連通する。送風ファン340が動作したとき、外部の空気は、取込口502、通気孔501および吸気口101を通じて吸気ダクト350内に取り込まれる。
【0040】
図3を参照し、第2供給ユニット400は、第2供給ダクト410と、スチーム発生装置420と、排水装置430とを含む。第2供給ダクト410は、下部が右方に膨らんだ形状を有する。第2供給ダクト410には、上端部に第2供給口220の入口に接続される導出口411が設けられる。また、第2供給ダクト410には、下部の右側面に導入口412が設けられる。さらに、第2供給ダクト410には、導入口412の下方に、その底部を導入口412の位置よりも低くすることにより、貯水部413が設けられる。貯水部413の底面には、排出口414が設けられる。
【0041】
スチーム発生装置420は、給水タンク440と、給水槽450と、ポンプモジュール460と、スチーム発生器470とを含む。スチーム発生器470は、本発明のスチーム発生部に相当する。
【0042】
給水タンク440には、スチーム発生器470に供給される水が貯められる。給水タンク440は、図示されていないタンクボックス内に出し入れ可能に配置されて、給水位置にセットされる。給水タンク440が給水位置にセットされると、その流出口441が上方から給水槽450の入口451に接続される。流出口441は開閉弁442により開閉される。流出口441が入口451に接続されると、開閉弁442が開いて給水タンク440から給水槽450に水が供給され、給水槽450内が水で満たされる。なお、給水タンク440の詳細な構成については、追って説明する。
【0043】
ポンプモジュール460は、ポンプ461と、接続ホース462と、給水ホース463とを含む。ポンプ461の吸込口は、接続ホース462により給水槽450の出口452に接続される。ポンプ461の吐出口には、給水ホース463が接続される。ポンプ461は、給水槽450内の水を、接続ホース462を通じて吸い込み、給水ホース463を通じてスチーム発生器470に送る。
【0044】
スチーム発生器470は、本体部471と、ヒータ472とを含み、第2供給ダクト410の導入口412に、図示しない断熱部材を介して装着される。本体部471は、アルミダイカスト等の金属材料で形成され、内部にスチーム発生室473を有する。また、本体部471には、スチーム発生室473の上方に、給水ホース463が接続される給水口474が設けられ、スチーム発生室473の右方に、第2供給ダクト410内に繋がる放出口475が設けられる。ヒータ472は、本体部471に埋め込まれる。
【0045】
本体部471は、ヒータ472により加熱されて高温となる。ポンプ461により送られた水がスチーム発生室473の底面に滴下し蒸発することで高温のスチームが発生する。発生したスチームは、放出口475を通じて第2供給ダクト410内へ放出される。
【0046】
排水装置430は、排水タンク480と、排水ホース490とを含む。排水ホース490は、上端部に第2供給ダクト410の排出口414に接続される接続口491を有する。接続口491には、排出口414を塞ぐようにして抵抗板492が配置される。抵抗板492は、例えば、金属製の目の細かな網板であり、脱臭・除菌運転時に収容室200内に供給されたオゾンが排水ホース490を通じて筐体100の内部に漏れにくくするためのものである。
【0047】
排水タンク480は、第2供給ダクト410内で発生した結露水を回収するための容器である。排水タンク480は、図示されていないタンクボックス内に、給水タンク440に隣接するように出し入れ可能に配置されて、排水位置にセットされる。排水タンク480が排水位置にセットされると、その入口481が、排水ホース490の下端の真下に位置づけられる。
【0048】
筐体100の前面には、筐体100内に設置された給水タンク440および排水タンク480の正面位置に、これらタンク440、480の出入口102が設けられている。出入口102は、開閉可能な蓋103で覆われる(図1参照)。ユーザは、ドア500を開いて蓋103を開けることにより、タンクボックスを、出入口102を通じて筐体100内から引き出し、タンクボックスに対して給水タンク440および排水タンク480を出し入れできる。
【0049】
図6は、左後方から見た、霧吹き機能付きの給水タンク600の斜視図である。図7は、霧吹き機能付きの給水タンク600の側面断面図である。
【0050】
本実施の形態では、給水タンク440は、衣類に水を噴霧する霧吹き装置としても機能する霧吹き機能付きの給水タンク600である。給水タンク600は、タンク本体610と、噴霧機構620と、流出口部630とを含む。
【0051】
タンク本体610は、直方体に近い形状に形成され、天面610aと、底面610bと、前側面610cと、後側面610dと、左側面610eと、右側面610fとを有する。前記タンク本体610は、1回のしわ伸ばし運転で使用される使用水量よりも多い水量を貯水可能な容量(たとえば、500~600ml)を有する。
【0052】
タンク本体610の天面610aには、その一部を凹ませてなる凹部611が設けられる。凹部611の底面には、前側に、噴霧機構620が装着される円筒状の装着口部612が形成される。装着口部612の外周面には、雄ネジが形成される。タンク本体610の底面610bには、後側に、円筒状の出入口部613が設けられる。出入口部613の外周面には、雄ネジが形成される。
【0053】
噴霧機構620は、ヘッド部640と、ポンプ部650と、吸水パイプ660とを備える。ヘッド部640は、操作部641と、保持部642と、吐出パイプ643とを含む。操作部641は、中空円柱状のボタン部641aとボタン部641aの上部を囲むほぼ方形状の回り止め部641bとが一体形成された構成を有する。操作部641には、ボタン部641aの周面に円形の噴霧窓644が形成される。噴霧窓644は、タンク本体610、即ち給水タンク600の後方を向く。
【0054】
保持部642は、上円筒部642aと、上円筒部642aより外径の大きな下円筒部642bとを含む。上円筒部642aは、操作部641のボタン部641aを上下方向に移動可能に保持する。下円筒部642bの内周面には、雌ネジが形成される。
【0055】
吐出パイプ643は、細長い円筒状を有し、上側が操作部641内に収容され、下側が操作部641から出て下方に延びる。吐出パイプ643の上端部には、噴霧窓644に向かって突出するノズル部645が形成される。ノズル部645の噴霧口645aは、噴霧窓644から外部に露出し、タンク本体610の後方を向く。吐出パイプ643の下部には、2つのピストン646が取り付けられる。吐出パイプ643の内部には、逆止弁647が設けられる。逆止弁647は、水がノズル部645に向かって流れる方向にのみ開く。
【0056】
ポンプ部650は、有低円筒状を有し、保持部642の上円筒部642aの下部に取り付けられる。吐出パイプ643の2つのピストン646は、上下方向に摺動可能にポンプ部650内に収容される。ポンプ部650内には、操作部641および吐出パイプ643を上方に付勢するコイルバネ651が配置される。また、ポンプ部650の底面には、円筒状の吸水口部652が下方に突出するように設けられる。吸水口部652には、逆止弁653が設けられる。逆止弁653は、水が吸水パイプ660からポンプ部650へ流れる方向にのみ開く。
【0057】
吸水パイプ660は、細長い円筒状を有し、ポンプ部650の吸水口部652に接続される。
【0058】
噴霧機構620は、保持部642の下円筒部642bが装着口部612に締付固定されることにより、タンク本体610に固定される。これにより、噴霧機構620のヘッド部640が凹部611内に配置される。ヘッド部640の操作部641の天面とタンク本体610の天面610aとが面一となる。即ち、ヘッド部640は、凹部611から上方へ突出しない。
【0059】
凹部611は、後側、即ちヘッド部640の噴霧口645aの正面が開放されている。また、凹部611は、ヘッド部640から後方に離れるに従って左右方向に拡がるようになっている。さらに、凹部611の前側は、操作部641に対応する部分が開放されている。
【0060】
吸水パイプ660は、タンク本体610の内部に挿入される。タンク本体610内に水が貯められると、吸水パイプ660が水中に浸かる。吸水パイプ660の長さは、吸水パイプ660の先端がタンク本体610の水面に届かなくなったときに、タンク本体610内にしわ伸ばし運転1回分の使用水量の水が残る長さに設定されている。
【0061】
流出口部630は、タンク本体610の底面610bに設けられ、キャップ670と、開閉弁機構680とを含む。
【0062】
キャップ670は、内周面に雌ネジを有し、タンク本体610の出入口部613に締付固定される。キャップ670と出入口部613の間は、パッキン671により水封される。キャップ670の底面には、流出口672が形成される。流出口672の中央部にはボス673が設けられる。ボス673の両側は、2つのリブ(図示せず)により流出口672の周縁部と連結される。
【0063】
開閉弁機構680は、開閉弁681と、ピン682と、コイルバネ683とを含む。開閉弁681は、ゴム等の弾性材料で形成される。ピン682は、金属材料や樹脂材料により形成され、上下移動可能にボス673の孔に通される。ピン682の上端部に開閉弁681が取り付けられる。ピン682の下端部は、他の部位より外径が大きくされてフランジ部682aを構成し、このフランジ部682aとボス673との間にコイルバネ683が配置される。コイルバネ683は圧縮された状態にあり、ピン682がコイルバネ683により下方に押され、図7の破線のように、開閉弁681が流出口672を閉塞する。ピン682がコイルバネ683による付勢力に抗して上方に移動すると、開閉弁681が流出口672から離れて、流出口672が開放される。
【0064】
なお、流出口672および開閉弁681は、それぞれ、図3に示された流出口441および開閉弁442である。
【0065】
給水タンク600が霧吹き装置として使用される際には、指で操作部641が下方に押される。このとき、操作部641は、回り止め部641bが凹部611の左右の内壁によりガイドされる。これにより、操作部641の左右への回動が防止され、噴霧口645aが左右に振れることが防止される。
【0066】
操作部641が下方に押されると、ポンプ部650内でピストン646が下方に移動し、ポンプ部650内の圧力が上昇する。このとき、吸水口部652の逆止弁653は閉じ、吐出パイプ643の逆止弁647は開く。これにより、ポンプ部650内に貯まっている水が、吐出パイプ643へ流れ、ノズル部645の噴霧口645aから噴霧される。噴霧された水は、噴霧窓644を通り、図6の一点鎖線のように、拡散しながら後方へ向かう。凹部611の左右の内壁は、後方に向かって拡がっているため、水の拡散の邪魔になりにくい。
【0067】
操作部641を下方へ押す力が解除されると、コイルバネ651の付勢力によってピストン646が上昇し、ポンプ部650内の圧力が降下して負圧状態となる。このとき、吸水口部652の逆止弁653は開き、吐出パイプ643の逆止弁647は閉じる。これにより、タンク本体610内の水が、吸水パイプ660で吸い上げられてポンプ部650内に貯められる。
【0068】
なお、操作部641が最初に押されたときには、ポンプ部650内に水がないので、ポンプ部650内の空気が噴霧口645aから噴射されることになる。
【0069】
図8(a)および(b)は、それぞれ、タンクボックス700が筐体100内に収められた状態およびタンクボックス700が筐体100内から引き出された状態の衣類処理装置1の要部の側面断面図である。
【0070】
給水タンク600(440)は、タンクボックス700内に収容される。また、タンクボックス700内には、給水タンク600の隣に排水タンク480も収容される。タンクボックス700は、本発明の配置部に相当する。
【0071】
タンクボックス700は、ほぼ直方体状を有し、上面が開口する。タンクボックス700の底面には、左右両側に、先端部に回動軸701aを有するアーム701が設けられる。筐体100内には、底面の前端部に、各アーム701に対応する軸受部104が設けられる。各アーム701の回動軸701aが軸受部104のボス104aの孔に挿入されることにより。タンクボックス700が前後方向に回動可能となる。ユーザは、タンクボックス700を、図8(a)に示す筐体100内に収まる収納位置と、図8(b)に示す筐体100から引き出される引出位置との間で移動させることができる。収納および引出の際、タンクボックス700は筐体100の出入口102を通る。
【0072】
タンクボックス700の底面には開口部702が形成されており、給水タンク600がタンクボックス700内に収容されると、流出口部630が開口部702から下方に突出する。
【0073】
図8(a)のように、給水タンク600および排水タンク480が収容されたタンクボックス700が筐体100内に収納されると、給水タンク600が給水位置にセットされ、流出口部630が給水槽450内に挿入される。給水槽450の底部には、流出口部630が挿入される位置に突起453が設けられる。流出口部630のピン682が突起453に衝突して押し上げられ、開閉弁681が流出口672から離れて流出口672が開放される。これにより、給水タンク600から水が流出して給水槽450に貯まる。
【0074】
図8(b)のように、タンクボックス700が筐体100内から引き出されると、タンクボックス700の上面の開口が外に開放されるため、タンクボックス700内から給水タンク600および排水タンク480が取り出せるようになる。このとき、給水タンク600の流出口部630では、流出口672が開閉弁681で閉じられた状態となるので、給水タンク600から水が漏れ出さない。
【0075】
ユーザは、タンクボックス700内から給水タンク600を取り出し、タンク本体610から流出口部630を取り外して、出入口部613を通じてタンク本体610内、即ち給水タンク600内へ水を補充できる。また、ユーザは、タンクボックス700内から排水タンク480を取り出し、排水タンク480内の水を破棄することができる。
【0076】
さらに、ユーザは、給水タンク600を霧吹き装置として使用できる。給水タンク600がタンクボックス700に収容されている状態では、噴霧機構620のヘッド部640は前側に位置し、噴霧口645aは後方を向いている。ユーザは、給水タンク600をタンクボックス700から取り出して、そのまま給水タンク600の前側を持ち、前側から操作部641へ指を延ばして操作部641を押す。これにより、噴霧口645aから水が噴霧される。
【0077】
本実施の形態の衣類処理装置1では、衣類の脱臭・除菌を行う脱臭・除菌運転と、衣類の乾燥を行う乾燥運転と、衣類のしわを伸ばすしわ伸ばし運転とを行うことができる。
【0078】
脱臭・除菌運転では、第1供給ユニット300において、送風ファン340とオゾン発生器320が動作する。図5に示すように、外部の空気が吸気口101から吸気ダクト350に取り込まれ、フィルタケース351内のオゾン除去フィルタ360により空気に含まれたオゾンが除去される。オゾンが除去された空気が送風ファン340により第1供給ダクト310内に送り込まれる。
【0079】
図2に示すように、第1供給ダクト310内を流れる空気がオゾン発生器320を通過し、この際に、オゾン発生器320で発生したオゾンが空気に混入される。こうして、オゾンを含む空気が第1供給ダクト310内を通って第1供給口210へと至り、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出されたオゾンを含む空気は、カバー240に当たって周囲に拡がり、その一部は、複数の排出孔244から排出され、残りがカバー240と収容室200の底面との間から排出される。こうして、オゾンを含む空気は、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。オゾンの脱臭・除菌作用により衣類が脱臭・除菌される。
【0080】
衣類の脱臭・除菌によりオゾン濃度が低下した空気は、収容室200の上部に設けられた排気フィルタユニット270のオゾン除去フィルタ271と排気口202とを通って筐体100の外へ排出される。オゾン除去フィルタ271により、空気に含まれるオゾンが除去される。
【0081】
乾燥運転では、第1供給ユニット300において、送風ファン340と加熱器330が動作する。図2に示すように、送風ファン340により取り込まれ第1供給ダクト310内を流れる空気は、加熱器330で加熱され、乾燥に適する温度(たとえば、60℃程度)の温風となる。その後、温風は、第1供給口210へと至り、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出された温風は、オゾンを含む空気と同様、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。これにより、衣類が乾燥する。衣類から水分を奪った温風は、排気口202を通って外部に排出される。
【0082】
しわ伸ばし運転では、まず、第2供給ユニット400において、スチーム発生器470、即ちヒータ472とポンプ461が動作する。図3に示すように、スチーム発生器470で高温のスチームが発生し、第2供給ダクト410内に放出される。放出されたスチームは、第2供給ダクト410内を上昇して第2供給口220へと至り、第2供給口220から収容室200内に排出される。排出されたスチームは、カバー240に当たって周囲に拡がり、その一部は、複数の排出孔244から排出され、残りがカバー240と収容室200の底面との間から排出される。こうして、スチームは、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。スチームが有する水分と熱により、衣類のしわが伸ばされる。
【0083】
スチームが第2供給ダクト410内を流れる際、その一部が結露して結露水が生じ得る。結露水は、下方へ流れて貯水部413に溜まり、排出口414から排出される。排出された結露水は、排水ホース490を通って排水タンク480に回収される。このように、本実施の形態では、第2供給ダクト410の導入口412よりも下方に、結露水が溜められる貯水部413が設けられているので、結露水が導入口412からスチーム発生器470の内部へと流れることが防止される。
【0084】
所定の時間、収容室200内の衣類にスチームが供給された後に、ヒータ472とポンプ461が停止する。その後、第1供給ユニット300において、送風ファン340と加熱器330が動作し、乾燥運転と同様、衣類に温風が当てられる。これにより、スチームによって湿った衣類が乾燥する。
【0085】
なお、衣類処理装置1において、脱臭・除菌運転、乾燥運転、しわ伸ばし運転の他、たとえば、乾燥に続いて脱臭・除菌が行われる乾燥・脱臭・除菌運転が行われてもよい。
【0086】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、霧吹き装置となる給水タンク600が配置されるタンクボックス700が備えられているので、ユーザが、タンクボックス700内に配置された給水タンク600を霧吹き装置として使用し、しわ伸ばし運転の前の衣類に対して霧吹き作業を手軽に行うことができる。
【0087】
また、給水タンク600が霧吹き装置の機能を有するため、霧吹き作業を行うために、別途、霧吹き装置を用意する必要がない。
【0088】
さらに、噴霧機構620は、吸水パイプ660の長さが、吸水パイプ660の先端がタンク本体610の水面に届かなくなったときに、タンク本体610内にしわ伸ばし運転1回分の使用水量の水が残る長さに設定されているので、霧吹き作業に給水タンク600内の水が使用され過ぎて水を補充しないとしわ伸ばし運転が行えなくなる、ということを防止できる。
【0089】
さらに、給水タンク600は、タンク本体610が凹部611を有し、この凹部611に噴霧機構620のヘッド部640が収容される構成とされているので、ヘッド部640の周囲に存在するタンク本体610の部分によってタンク本体610の容積を大きくできる。しかも、凹部611は、噴霧機構620の噴霧口645aの正面が開放されているので、噴霧口645aから噴霧された水を開放部分から凹部611の外に放出できる。また、ヘッド部640が凹部611から突出しないので、タンク本体610の天面610aを下にして給水タンク600を適宜の場所に置くことができる。
【0090】
さらに、凹部611がタンク本体610の天面610aに設けられており、その凹部611にヘッド部640が配置されることでヘッド部640が給水タンク600の上部に配置されるので、ユーザは、タンクボックス700から取り出した給水タンク600を、上下の方向をそのままにした状態で、霧吹き装置として使用できる。
【0091】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0092】
<変更例>
図9は、変更例に係る、左前方から見た、霧吹き機能付きの給水タンク600Aの斜視図である。図10は、変更例に係る、噴霧機構620Aの位置で切断された、霧吹き機能付きの給水タンク600Aの正面断面図である。
【0093】
上記実施の形態の霧吹き機能付きの給水タンク600に代えて、本変更例の霧吹き機能付きの給水タンク600Aを用いることができる。
【0094】
給水タンク600Aは、タンク本体610Aと、噴霧機構620Aと、流出口部630と、を備える。
【0095】
タンク本体610Aには、底面610bと前側面610cと左側面610eとにより形成される角部、即ちタンク本体610Aの底面610b側の左前の角部に、ほぼ直方体状の凹部614が形成される。凹部614の底面には、雄ネジを有する円筒状の装着口部615が設けられる。タンク本体610Aのその他の構成は、上記実施の形態のタンク本体610と同じである。
【0096】
噴霧機構620Aの構成は、吸水パイプ661の長さが、上記実施形態の噴霧機構620の吸水パイプ660の長さと異なる点を除き、噴霧機構620と同じである。吸水パイプ661の長さは、吸水パイプ661の先端がタンク本体610Aの水面に届かなくなったときに、タンク本体610A内にしわ伸ばし運転1回分の使用水量の水が残る長さに設定されている。
【0097】
噴霧機構620Aは、保持部642が装着口部615に締付固定されることにより、ヘッド部640が凹部614内に配置される。噴霧口645aは、左側に向けられる。なお、噴霧口645aが前方を向くように、ヘッド部640が凹部614内に配置されてもよい。
【0098】
凹部614、即ち、ヘッド部640は、給水タンク600Aの底面側に存在することになる。このため、霧吹き装置として使用される際、給水タンク600Aは、筐体100内への収納時とは上下逆さまにされる。ユーザは、給水タンク600Aの右側を持って、右側から操作部641へ指を延ばし、操作部641を押すことになる。
【0099】
本変更例では、凹部614がタンク本体610の角部に設けられ、その凹部614内にヘッド部640が配置されているので、噴霧口645aから噴霧された水がタンク本体610Aに邪魔されずに拡散されやすく、また、ユーザが給水タンク600Aを持ちながら指で操作部641を操作しやすい。
【0100】
さらに、本変更例では、ヘッド部640が、流出口部630と同じタンク本体610Aの底面610bに存在するため、霧吹き装置としての使用時に、給水タンク600Aが上下逆さまにされる。よって、給水タンク600Aが霧吹き装置として使用されているとき、流出口672は上を向けられることになるので、開閉弁681が劣化するなどして流出口672への開閉弁681の密着性が低下しても、流出口672から水が漏れないようにできる。また、凹部614、即ちヘッド部640がタンク本体610Aの角部に設けられているので、ヘッド部640が、タンク本体610Aの同じ側に設けられた流出口部630の配置の邪魔になりにくい。
【0101】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、噴霧機構620のヘッド部640は、噴霧口645aが後方を向くように、タンク本体610の凹部611内に配置された。しかしながら、ヘッド部640は、噴霧口645aが前方、左方および右方の何れかの方向を向くように、タンク本体610の凹部611内に配置されてもよい。この場合も、凹部611は、噴霧口645aの正面が開放される。
【0102】
また、上記変更例では、タンク本体610Aの底面610b側の左前の角部に、凹部614が設けられた。しかしながら、凹部614が、タンク本体610Aの底面610b側の右前、左後および右後の何れかの角部に設けられてもよい。また、凹部614が、タンク本体610Aの底面610b側ではなく、天面610a側の4つの角部の何れかに設けられてもよい。この場合は、霧吹き装置として使用される際に、給水タンク600Aが上下逆さまにされない。
【0103】
さらに、上記実施の形態および上記変更例では、吸水パイプ660、661がポンプ部650の吸水口部652に接続された。しかしながら、ポンプ部650の吸水口部652が、そのままタンク本体610、610Aの内部へと延びることにより、吸水パイプとなってもよい。この場合、吸水パイプである吸水口部652の長さが、吸水口部652がタンク本体610、610A内の水に浸からなくなったときに、しわ伸ばし運転1回分の使用水量の水が残るような長さとされる。
【0104】
さらに、上記実施の形態および上記変更例では、開閉弁681は、ピン682とコイルバネ683とにより流出口672を開閉するような構成とされた。しかしながら、他の構成の開閉弁が用いられてもよく、たとえば、電磁弁が開閉弁として用いられてもよい。
【0105】
さらに、上記実施の形態および上記変更例では、給水タンク600、600Aに備えられる噴霧機構620、620Aは、操作部641を押すタイプのものであった。しかしながら、噴霧機構620、620Aは、水を噴霧できれば如何なる構成でもよく、たとえば、操作部であるレバーを引いて水を噴霧させるタイプのものであってもよい。
【0106】
さらに、上記実施の形態および上記変更例では、給水タンク600、600Aに噴霧機構620、620Aが備えられることにより、給水タンク600、600Aが霧吹き装置の機能を有した。しかしながら、たとえば、図11に示すように、筐体100の側面に、上面が開口する収容ボックス810が設けられ、この収容ボックス810内に霧吹き装置820が配置されるようにしてもよい。霧吹き装置820は、水が貯められるタンク821と、タンク821内の水を噴霧するための噴霧機構822とを備えるような構成とされる。この場合、収容ボックス810が、本発明の配置部に相当する。なお、収容ボックス810がドア500に設けられてもよい。また、配置部として、筐体100の側面やドア500にフック部が設けられ、このフック部に霧吹き装置が配置される、即ち引っ掛けられるようにしてもよい。
【0107】
さらに、上記実施の形態では、第2供給ユニット400のスチーム発生器470は、高温にされたスチーム発生室473の底面にポンプ461で送られた水を落として蒸発させることによりスチームを発生させる構成であった。しかしながら、スチーム発生器470は、上記の構成に限られるものではなく、たとえば、ポンプ461からの水を水槽に溜め、水が溜められた水槽を加熱して水を沸騰させることによりスチームを発生させるような構成であってもよい。
【0108】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 衣類処理装置
200 収容室
400 第2供給ユニット(スチーム供給部)
470 スチーム発生器(スチーム発生部)
600 給水タンク
610 タンク本体
610a 天面
610b 底面
610c 前側面
610e 左側面
611 凹部
620 噴霧機構
630 流出口部
640 ヘッド部
641 操作部
645a 噴霧口
660 吸水パイプ
672 流出口
681 開閉弁
700 タンクボックス(配置部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11