(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】貨幣処理機および貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/34 20190101AFI20240321BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20240321BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20240321BHJP
G07D 11/12 20190101ALI20240321BHJP
G07D 11/24 20190101ALI20240321BHJP
【FI】
G07D11/34
G07D9/00 A
G07D9/00 Z
G07D11/60
G07D11/12
G07D11/24
(21)【出願番号】P 2020176459
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】奥 大樹
(72)【発明者】
【氏名】西出 尚矢
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-248570(JP,A)
【文献】特開2014-132407(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装貨幣を収納する収納部と、
前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を管理する在り高管理手段と、
前記収納部に収納された
状態の包装貨幣を
検出部で検出することにより再勘する再勘手段と、
前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導する目視誘導手段と、
操作が入力される操作手段と、
を備え、
前記操作手段に精査操作が入力されると、
前記目視誘導手段が前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導し、該誘導に従って、前記収納部が開放されて包装貨幣が目視確認可能となると、前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0に更新する、見なし全回収処理を行うことになり、
その後、前記再勘手段が前記収納部に収納された包装貨幣を再勘し、前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0から前記再勘手段が再勘した結果に更新する、見なし装填処理を行うことを特徴とする貨幣処理機。
【請求項2】
前記収納部には、収納している包装貨幣の数量を示す目盛りが付されており、
前記収納部が開状態になったことを検出する収納部開検知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理機。
【請求項3】
前記見なし全回収処理の後、前記見なし装填処理を行うように注意を促す注意表示を行う表示手段を備え、
該注意表示の後、前記操作手段にて前記見なし装填処理の開始操作が入力されることにより、前記見なし装填処理を行うことを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理機。
【請求項4】
前記収納部へ包装貨幣を収納する包装貨幣収納手段と、
前記収納部に収納された包装貨幣を放出する包装貨幣放出手段と、
を備え、
前記操作手段に前記精査操作が入力されると、前記見なし全回収処理を行って前記見なし装填処理を終了するまでの期間、前記包装貨幣収納手段および前記包装貨幣放出手段を無効とする制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項記載の貨幣処理機。
【請求項5】
前記操作手段に前記精査操作が入力され、前記見なし全回収処理にて前記収納部が開放された後に、目視確認された包装貨幣に係る情報が入力される入力手段を備えたことを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の貨幣処理機。
【請求項6】
前記収納部の包装貨幣の在り高は、真の在り高と仮想の在り高との二重構造に分類されて前記在り高管理手段によって管理され、
前記操作手段に前記精査操作が入力され、前記見なし全回収処理および前記見なし装填処理によって前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0から前記再勘手段が再勘した結果に更新する際に、前記在り高管理手段は、前記仮想の在り高のみを更新することを特徴とする請求項1から5の何れか一項記載の貨幣処理機。
【請求項7】
包装貨幣を収納する収納部と、
前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を管理する在り高管理手段と、
前記収納部に収納された
状態の包装貨幣を
検出部で検出することにより再勘する再勘手段と、
前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導する目視誘導手段と、
操作が入力される操作手段と、
を備える貨幣処理機による貨幣処理方法であって、
前記操作手段に精査操作が入力されると、
前記目視誘導手段が前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導するステップと、
該誘導に従って、前記収納部が開放されて包装貨幣が目視確認可能となると、前記在り高管理手段が、前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0に更新するステップと、
その後、前記再勘手段が前記収納部に収納された包装貨幣を再勘するステップと、
その後、前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0から前記再勘手段が再勘した結果に更新するステップと、
を含むことを特徴とする貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理機および貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理機においては、複数の収納部の全ての貨幣を一旦別の回収部に回収し、その後、回収部の貨幣を鑑別部で鑑別および計数しつつ複数の収納部に振り分けることで、各収納部の貨幣の在り高を確定する精査処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した精査処理では、複数の収納部の全ての貨幣を一旦別の回収部に回収し、その後、回収部の貨幣を複数の収納部に振り分けるため、処理に多くの時間が費やされてしまうという課題がある。
【0005】
従って、本発明は、精査処理の処理時間を短縮可能な貨幣処理機および貨幣処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、包装貨幣を収納する収納部と、前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を管理する在り高管理手段と、前記収納部に収納された状態の包装貨幣を検出部で検出することにより再勘する再勘手段と、前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導する目視誘導手段と、操作が入力される操作手段と、を備え、前記操作手段に精査操作が入力されると、前記目視誘導手段が前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導し、該誘導に従って、前記収納部が開放されて包装貨幣が目視確認可能となると、前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0に更新する、見なし全回収処理を行うことになり、その後、前記再勘手段が前記収納部に収納された包装貨幣を再勘し、前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0から前記再勘手段が再勘した結果に更新する、見なし装填処理を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第2の態様は、第1の態様において、前記収納部には、収納している包装貨幣の数量を示す目盛りが付されており、前記収納部が開状態になったことを検出する収納部開検知手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る第3の態様は、第1または第2の態様において、前記見なし全回収処理の後、前記見なし装填処理を行うように注意を促す注意表示を行う表示手段を備え、該注意表示の後、前記操作手段にて前記見なし装填処理の開始操作が入力されることにより、前記見なし装填処理を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る第4の態様は、第1から第3の何れか一の態様において、前記収納部へ包装貨幣を収納する包装貨幣収納手段と、前記収納部に収納された包装貨幣を放出する包装貨幣放出手段と、を備え、前記操作手段に前記精査操作が入力されると、前記見なし全回収処理を行って前記見なし装填処理を終了するまでの期間、前記包装貨幣収納手段および前記包装貨幣放出手段を無効とする制御手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第5の態様は、第1から第4の何れか一の態様において、前記操作手段に前記精査操作が入力され、前記見なし全回収処理にて前記収納部が開放された後に、目視確認された包装貨幣に係る情報が入力される入力手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第6の態様は、第1から第5の何れか一の態様において、前記収納部の包装貨幣の在り高は、真の在り高と仮想の在り高との二重構造に分類されて前記在り高管理手段によって管理され、前記操作手段に前記精査操作が入力され、前記見なし全回収処理および前記見なし装填処理によって前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0から前記再勘手段が再勘した結果に更新する際に、前記在り高管理手段は、前記仮想の在り高のみを更新することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第7の態様は、包装貨幣を収納する収納部と、前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を管理する在り高管理手段と、前記収納部に収納された状態の包装貨幣を検出部で検出することにより再勘する再勘手段と、前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導する目視誘導手段と、操作が入力される操作手段と、を備える貨幣処理機による貨幣処理方法であって、前記操作手段に精査操作が入力されると、前記目視誘導手段が前記収納部の包装貨幣の目視確認を誘導するステップと、該誘導に従って、前記収納部が開放されて包装貨幣が目視確認可能となると、前記在り高管理手段が、前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0に更新するステップと、その後、前記再勘手段が前記収納部に収納された包装貨幣を再勘するステップと、その後、前記在り高管理手段が前記収納部に収納された包装貨幣の在り高を0から前記再勘手段が再勘した結果に更新するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、精査処理の処理時間を短縮可能な貨幣処理機および貨幣処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の硬貨処理装置部を示す概略側断面図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の棒金処理装置部を示す側断面図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の棒金識別計数機構を示す側面図である。
【
図5】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機を示す前扉部を開いた状態の斜視図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機を示す棒金収納部を引き出した状態の斜視図である。
【
図7】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機を示す棒金収納部の部分側面図である。
【
図8】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の「棒金回収(目視)」処理における1枚目のアニメーション表示を示す図である。
【
図9】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の「棒金回収(目視)」処理における2枚目のアニメーション表示を示す図である。
【
図10】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の「棒金回収(目視)」処理における3枚目のアニメーション表示を示す図である。
【
図11】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の「棒金回収(目視)」処理における4枚目のアニメーション表示を示す図である。
【
図12】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の「棒金回収(目視)」処理における5枚目のアニメーション表示を示す図である。
【
図13】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の「棒金回収(目視)」処理後における注意メッセージ画面を示す図である。
【
図14】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の他の適用例を示す斜視図である。
【
図15】本発明に係る一実施形態の貨幣処理機の他の適用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る一実施形態の貨幣処理機および貨幣処理方法を図面を参照して以下に説明する。以下の説明においては、
図1に示すように、貨幣処理機1の主たる操作時に操作者が立つ側を「前」、その反対側を「後」、前から操作者が見た際の左側を「左」、右側を「右」とする。
【0016】
実施形態の貨幣処理機1は、紙幣および硬貨からなる貨幣のうちの硬貨を処理する硬貨処理機である。貨幣処理機1は、バラの硬貨(以下、硬貨と称す)と、硬貨を所定枚数重ねて包装した棒金(包装貨幣)とを処理するものである。貨幣処理機1は、主に棒金に関する処理を行う棒金処理装置部10と、主に硬貨に関する処理を行う硬貨処理装置部11と、を有している。
【0017】
硬貨処理装置部11は、
図2に概略的に示すように、硬貨が投入される入金口15と、入金口15に投入された硬貨を一枚ずつに分離して繰り出す分離繰出部16と、分離繰出部16から繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部17と、入金搬送部17で搬送中の硬貨を鑑別しつつ金種別に計数する入金鑑別部18と、入金鑑別部18の鑑別結果から真以外の硬貨を入金搬送部17から排除するリジェクト部19と、リジェクト部19で入金搬送部17から排除された硬貨を案内するリジェクト搬送部20と、リジェクト搬送部20で案内された硬貨を機外に取り出し可能とするリジェクト口21とを有している。
【0018】
また、硬貨処理装置部11は、入金鑑別部18で真と鑑別され入金搬送部17でさらに下流に搬送される硬貨を金種別に選別する金種別選別部22と、金種別選別部22で金種別に選別された硬貨を金種別に一時貯留させる金種別一時貯留部23と、金種別一時貯留部23に一時貯留された硬貨を返却のため案内する返却搬送部24と、返却搬送部24で案内された硬貨を機外に取り出し可能とする返却出金口25とを有している。
【0019】
また、硬貨処理装置部11は、金種別一時貯留部23に一時貯留された硬貨を金種別に収納すると共に収納している硬貨を計数しつつ出金可能な金種別収納出金部27と、金種別収納出金部27から出金された硬貨を返却出金口25に案内する出金搬送部28と、金種別収納出金部27から出金された硬貨を棒金処理装置部10に向けて搬送する棒金作成搬送部29とを有している。
【0020】
貨幣処理機1は、硬貨処理装置部11および棒金処理装置部10を制御する制御部31(在り高管理手段,制御手段)と、硬貨処理装置部11および棒金処理装置部10に関する操作が入力されると共に硬貨処理装置部11および棒金処理装置部10の処理に関する表示を行う操作表示部33(操作手段,目視誘導手段,表示手段,入力手段)とを有している。制御部31および操作表示部33は、硬貨処理装置部11に設けられている。
【0021】
ここで、上記した硬貨処理装置部11は、入金のための硬貨が入金口15に投入されて、操作表示部33にスタート操作が入力されると、制御部31が、入金口15内の硬貨を分離繰出部16で一枚ずつ入金搬送部17に繰り出させて入金搬送部17で搬送する。制御部31は、入金搬送部17で搬送中に入金鑑別部18で真以外と鑑別された硬貨をリジェクト部19からリジェクト搬送部20でリジェクト口21に送り、真と鑑別された硬貨を計数しつつ金種別選別部22で選別して金種別一時貯留部23に一時貯留させる。そして、入金口15に投入された硬貨がすべてリジェクト口21あるいは金種別一時貯留部23に送られると、制御部31は、操作表示部33に鑑別結果を出力する。この鑑別結果を見て操作者が操作表示部33にキャンセル操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を返却搬送部24を介して返却出金口25に返却する。他方、鑑別結果を見て操作者が操作表示部33に承認操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を金種別収納出金部27に収納させる。
【0022】
また、出金操作が操作表示部33に入力されると、制御部31が、金種別収納出金部27から入力に応じた金種および数の硬貨を出金搬送部28に繰り出させて、出金搬送部28で返却出金口25に出金させる。
【0023】
さらに、金種別収納出金部27に収納中の硬貨を包装するために、適宜のタイミングで、制御部31が、金種別収納出金部27から硬貨を出金搬送部28および棒金作成搬送部29により棒金処理装置部10に搬送する。
【0024】
図3に示すように、棒金処理装置部10は、金種別収納出金部27から棒金作成搬送部29によって搬送されてきた硬貨を受け入れて一旦貯留させ、貯留された硬貨を一枚ずつ分離し、繰り出された硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする包装部36を下部に有している。
【0025】
棒金処理装置部10は、包装部36の上方に、棒金Bを収納する棒金収納部30(収納部)を有している。棒金収納部30は、棒金Bを左右方向に沿う姿勢で前後方向に複数並べて収納可能な棒金カセット50が、上下方向に多段状に並設されて構成されている。すべての棒金カセット50は、前端側が後端側に対して位置が低くなるように傾斜している。各棒金カセット50は金種別となっており、同一の棒金カセット50には同一金種の棒金Bのみが収納される。例えば、最も上側のカセットには1円硬貨の棒金が、上から二番目のカセットには5円硬貨の棒金が、上から三番目のカセットには10円硬貨の棒金が、上から四番目のカセットには50円硬貨の棒金が、上から五番目のカセットには100円硬貨の棒金が、最下段のカセットには500円硬貨の棒金が、それぞれ収納される。
【0026】
棒金処理装置部10は、棒金カセット50の前側に、ガイド52に沿って上下方向に移動して、複数の棒金カセット50から選択的に棒金Bを1本ずつ取り出す棒金取出部53を有している。棒金取出部53は棒金カセット50の前端部から棒金Bを選択的に持ち上げて取り出す。
【0027】
棒金処理装置部10は、棒金取出部53よりも前側に、棒金カセット50から棒金取出部53によって取り出された棒金Bを搬送すると共に、包装部36により作成されて送り出された棒金Bを搬送する縦型ベルトコンベア式の棒金搬送部55を有している。棒金搬送部55は、移動方向に対して凹状に形成された載置片56を回転方向に等間隔で有する縦型ベルトコンベア57と、この縦型ベルトコンベア57の外側を覆うように設けられた搬送空間形成部58とを有している。
【0028】
棒金取出部53は、持ち上げた棒金Bを前側に転動させて縦型ベルトコンベア57の載置片56に載置させる。縦型ベルトコンベア57は、正逆回転して載置片56を上下に移動させることで載置片56に載置された棒金Bを昇降させる。
【0029】
棒金処理装置部10は、包装部36と棒金収納部30との間に後方搬送部42を有している。この後方搬送部42は、棒金搬送部55から棒金Bを1本ずつ受け取り後側に向けて搬送する。この後方搬送部42は、前端側が後端側に対して位置が低くなるように傾斜している。
【0030】
棒金処理装置部10は、後方搬送部42の後方に上昇搬送振分部48を有している。上昇搬送振分部48は、昇降するエレベータ49を有している。エレベータ49は、後方搬送部42によって後側に搬送されてきた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま受け入れて上昇搬送する。上昇搬送振分部48の前側には、上述した多段状に配置された棒金カセット50が設けられている。エレベータ49は、搬送してきた棒金Bを複数段の棒金カセット50のいずれか選択された一つに向けて押し出す。すべての棒金カセット50は、上昇搬送振分部48のエレベータ49から押し出された棒金Bを1本ずつ後端部から左右方向に沿う姿勢のまま受け入れる。
【0031】
棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57を
図3における反時計回りに回転させることによって、包装部36で作成された棒金Bを1本ずつ後方搬送部42へ受け渡す位置まで搬送可能となっている。また、棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57が
図3における反時計回りに回動することによって棒金カセット50から棒金取出部53を介して取り出された棒金Bを1本ずつ棒金出金部63へ向けて搬送可能となっている。
【0032】
また、棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57が
図3における時計回りに回動することによって、棒金取出部53によって棒金カセット50から取り出された棒金Bを1本ずつ後方搬送部42へ受け渡す位置まで搬送可能となっている。
【0033】
また、棒金搬送部55は、包装部36により前側に案内された棒金Bを受け入れて、縦型ベルトコンベア57が
図3における時計回りに回動することによって、載置片56を下方から前方、さらには上方に移動させることで棒金Bを搬送空間形成部58内で移動させ、搬送空間形成部58に形成された開口部58bおよびシュート61を介して棒金処理装置部10の前面に設けられた放出口59に案内する。放出口59に案内された棒金Bは、放出口59から放出されて、その前に載置される別体の受入ボックス60に収納される。
【0034】
棒金処理装置部10は、棒金搬送部55の前側に、搬送空間形成部58の上部に形成された開口部58dを開閉すると共に開時に搬送空間形成部58の棒金Bを開口部58dに案内する開閉部材62と、搬送空間形成部58から開口部58dを介して受け入れた棒金Bを載置させる棒金出金部63とを有している。棒金出金部63はシャッタを開くことによって棒金Bが機外に取り出し可能となる。
【0035】
以上の構成の棒金処理装置部10は、適宜のタイミングで金種別収納出金部27(
図2参照)のいずれか一つから棒金作成搬送部29(
図2参照)によって搬送されてきた同一金種の硬貨を貯留部(図示略)に一旦受け入れると、制御部31が貯留部から一枚ずつ硬貨を繰り出させて包装部36に送り、包装部36で所定枚数集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする。棒金Bが作成されると、制御部31は、この棒金Bを、棒金搬送部55に案内して、棒金搬送部55で搬送し振り分ける。
【0036】
制御部31は、包装部36から棒金搬送部55に受け入れた棒金Bを、例えば、棒金搬送部55で搬送して放出口59から放出させたり、また例えば、棒金搬送部55、後方搬送部42および上昇搬送振分部48で対応する金種の棒金カセット50に収納させたりする。棒金搬送部55、後方搬送部42および上昇搬送振分部48が、包装部36からの棒金Bを棒金収納部30へ収納する棒金収納搬送部121(包装貨幣収納手段)を構成している。
【0037】
また、制御部31は、例えば、棒金Bの出金指令を受けると、対応する棒金Bを棒金カセット50から棒金取出部53で取り出させ、棒金搬送部55で搬送させて、棒金出金部63に出金させる。棒金取出部53、棒金搬送部55および棒金出金部63が、棒金収納部30に収納された棒金Bを放出する棒金放出搬送部122(包装貨幣放出手段)を構成している。
【0038】
また、制御部31は、例えば、棒金収納部30の各棒金カセット50に受け入れた棒金Bの数と各棒金カセット50から繰り出された棒金Bの数とから、各棒金カセット50に収納された棒金Bの在り高を管理する。
【0039】
図4に示すように、各棒金カセット50の上側には、上昇搬送振分部48(
図3参照)から棒金カセット50の後端部に受け入れた棒金Bを左右方向に沿う姿勢を維持したまま保持して棒金カセット50内を前方へ移動させる棒金保持機構80が設けられている。これら棒金保持機構80は、これらを棒金カセット50の長さ方向に沿って一体に移動させる駆動機構81に連結されている。
【0040】
駆動機構81は、最も下側の棒金カセット50の下側で棒金カセット50と平行に延在するスライド軸85と、このスライド軸85に摺動自在に支持されるスライドブロック86と、スライドブロック86から上方に延出する保持板87と、スライド軸85の両端側の下方に配置された一対のプーリ88と、これらプーリ88に掛けられることでスライド軸85と平行に配設される駆動ベルト89と、一方のプーリ88に連結されたモータ90とを有しており、駆動ベルト89の一部がスライドブロック86に固定されている。これにより、駆動機構81は、モータ90の正逆回転で、スライドブロック86および保持板87を棒金カセット50の長さ方向に往復動させる。
【0041】
保持板87は、上下に多段状に配置された棒金カセット50の左右方向側方で上下に延在しており、この保持板87に各棒金カセット50側に延出するように棒金保持機構80が取り付けられている。棒金保持機構80は、保持板87に棒金カセット50側に延出するように固定されるキャリア本体95と、このキャリア本体95にキャリア本体95から後方に延出するように連結された受けブロック96と、この受けブロック96に受けブロック96よりも後方に延出するように連結された押さえブロック97とを有している。すべての棒金保持機構80のキャリア本体95が保持板87に固定されていることから、保持板87および複数のキャリア本体95で構成されるキャリア91が、棒金カセット50の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。
【0042】
棒金保持機構80は、棒金カセット50における後端側の所定の受取位置にあるとき、受けブロック96をキャリア本体95に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック97を受けブロック96に対し上側に揺動させた他側上昇状態とする。この状態で、上昇搬送振分部48(
図3参照)から棒金Bが棒金カセット50の幅方向すなわち左右方向に沿う姿勢で棒金カセット50の後端部に放出される。すると、この棒金Bは棒金カセット50の底面の傾斜によって前側に移動し、押さえブロック97の下側を通って受けブロック96に当接し棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢で停止する。なお、棒金保持機構80は、待機状態にあるときこの受取位置で停止する。また、棒金保持機構80が受取位置に位置したことを保持板87の位置から検出する受取位置センサ(図示せず)が設けられている。
【0043】
そして、棒金Bを受け取った状態から棒金保持機構80が棒金カセット50の前端側へ移動すると、押さえブロック97が下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構80は、受けブロック96および押さえブロック97が共に下降した状態となり、棒金カセット50の底面上の棒金Bを前後の上側から抱えるように保持する状態となる。このとき、棒金Bは、前側が受けブロック96に当接し、後側が押さえブロック97に当接し、下側が棒金カセット50の底面に当接した、軸方向視で三点支持の状態となり、棒金保持機構80の棒金カセット50の前端側への移動で、この三点支持状態のまま前端側へ移動する。つまり、棒金保持機構80により棒金Bが、棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢のまま、ふらついたり、斜行したり、棒金保持機構80に対し遅れたりすることなく移動する。
【0044】
棒金保持機構80は、上記のように受けブロック96を下降状態とし押さえブロック97を下降状態として棒金Bを抱えつつ棒金カセット50の前端側に向け移動すると、保持している棒金Bが棒金カセット50に既に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック96が、既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接し、その移動の力を利用してこの棒金Bに乗り上げる。これにより、受けブロック96が上側に揺動させられることになり、付勢スプリング(図示略)の付勢力で上昇状態となる。その結果、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえが解除される。このとき、既に棒金カセット50に収納されている最後尾の棒金Bに接触する前に、この最後尾の棒金Bに、受けブロック96および押さえブロック97で保持されていた棒金Bが当接して停止することになるが、後側の押さえブロック97は、保持していた棒金Bによって上方に揺動させられてこの棒金Bよりも前方に移動する。なお、棒金保持機構80が、受取位置に位置したときに、受けブロック96および押さえブロック97が既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接することがないように、棒金Bの収納スペース(満杯量)が設定されている。つまり、棒金カセット50の棒金Bを収納する収納スペースの後端部は、受取位置よりも前側に設定されている。
【0045】
キャリア本体95には、最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95を除いて、下側および上側に磁気センサ140,141が取り付けられている。最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95には下側の磁気センサ140のみが設けられている。キャリア本体95に支持された下側の磁気センサ140は、直ぐ下側の棒金カセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを検出する。同じキャリア本体95に支持された上側の磁気センサは、直ぐ上側の棒金カセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを棒金カセット50の底板部に形成された図示略の検出溝を介して検出する。
【0046】
棒金カセット50の直ぐ上側に設けられたキャリア本体95の下側の磁気センサ140と同じ棒金カセット50の直ぐ下側に設けられたキャリア本体95の上側の磁気センサ141とが、互いにキャリア本体95の移動方向における前後左右の位置を合わせて対向していて、この棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データを検出する磁気データ検出部139(再勘手段)を構成している。つまり、磁気データ検出部139は、棒金カセット50に収納された棒金Bを直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサ140,141で構成されている。なお、上記したように最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95には、下側の磁気センサ140のみが取り付けられており、上から二番目の棒金カセット50の上側のキャリア本体95の上側の磁気センサ141と対向して、最上段の棒金カセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部139を構成する。また、最下段の棒金カセット50の下側には、キャリア91を構成すると共に磁気センサ141を支持するのみの最下キャリア本体95Aが保持板87から延出しており、この最下キャリア本体95Aには上向きに磁気センサ141が取り付けられている。この磁気センサ141は、最下段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95の下側の磁気センサ140と対向して、最下段の棒金カセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部139を構成する。
【0047】
上述した棒金保持機構80を前後方向に移動させると、磁気データ検出部139の一対の磁気センサ140,141の間に棒金Bを相対的に通過させることになり、磁気センサ140,141により棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データが検出される。制御部31は、すべての磁気データ検出部139で検出した磁気データに基づいて、全ての棒金カセット50について、正常棒金の有無、何れの金種の棒金であるかを特定できなかった異常状態を含む異金種棒金の有無、棒金装填状態の姿勢異常の有無、および正常棒金の在り高を確認する。すなわち、磁気データ検出部139は、後端位置から前端位置に移動することで、棒金収納部30の全ての棒金カセット50に収納されている棒金Bの数を勘定し直す再勘を行う。
【0048】
図1に示すように、棒金処理装置部10および硬貨処理装置部11は、共通の函体101内に収められている。この函体101には、右側の側壁102にヒンジ103が設けられている。このヒンジ103によって函体101に前扉部104が開閉可能に連結されている。前扉部104はヒンジ103によって鉛直軸回りに回転する。前扉部104および函体101には、
図1に示すように函体101の前面側を覆う閉状態の前扉部104を函体101にロックする電磁駆動式の前扉部ロック機構(図示略)が設けられている。この前扉部ロック機構は、前扉部104が閉じられると機械的かつ自動的にロック状態になり、電気的に駆動されるとロックが解除される。
【0049】
この前扉部104には、
図5に示すように、棒金搬送部55、棒金出金部63、シュート61(
図3参照)、および、搬送空間形成部58(
図3参照)の前側部分などが一体的に固定される。そのため、前扉部104が、
図5に示すように開放されることで、棒金搬送部55と棒金収納部30とが分離されると共に、棒金搬送部55と包装部36とが分離される。前扉部104は、
図5に示す左右方向に沿う位置まで開放可能であり、これにより、棒金カセット50の前方に、前扉部104および前扉部104に一体化された棒金搬送部55などの機器が配置されない状態となる。
【0050】
上述した棒金カセット50が上下方向に多段状に並設されてなる棒金収納部30は、
図6に示すように、前部が開口する筐体105を有しており、この筐体105内に複数段の棒金カセット50が固定されている。この筐体105には、棒金収納部30の他に上述した棒金取出部53、後方搬送部42(
図3参照)、上昇搬送振分部48(
図3参照)および収納振分部51(
図3参照)が一体的に収められている。筐体105の右側壁107の下縁にはレール108が設けられており、棒金収納部30は、このレール108によって、函体101に前後方向にスライド可能に支持されている。函体101および筐体105には、函体101内に後端位置まで押し込まれた棒金収納部30を函体101にロックする電磁駆動式の収納部ロック機構(図示略)が設けられている。この収納部ロック機構は、棒金収納部30が後端位置まで押し込まれると機械的かつ自動的にロック状態になり、電気的に駆動されるとロックが解除される。
【0051】
筐体105の前端部には、左側の下部に鉛直方向に沿って延在する取っ手111が設けられている。この取っ手111をユーザが把持して前後に押し引きすることで、棒金収納部30を函体101から引き出したり、函体101に収納したりすることが可能となっている。なお、取っ手111の位置および向きは、筐体105の前端側にあれば良く、例えば、左上位置に鉛直に配置したり、右下位置に鉛直に配置したり、右上位置に鉛直に配置したり、下部位置に水平に配置したり、上部位置に水平に配置したりしてもよい。
【0052】
筐体105の左側面側には、上下方向に多段状に並設された棒金カセット50が、
図7に一部を示すように露出しており、棒金収納部30が前端位置まで引き出された状態にあれば、棒金カセット50に収納されている棒金Bを全て目視で計数可能となっている。棒金収納部30には、全ての棒金カセット50のそれぞれに、収納している棒金Bの金種を表示する金種表示部125と、収納している棒金Bの数量を示す目盛り126とが付されている。目盛り126は、棒金カセット50の長さ方向において対応する位置にある棒金Bの本数を示している。例えば、
図7の最上段の1円硬貨の棒金B用の棒金カセット50に示すように、目盛りの「5」までの位置に棒金Bがあって、目盛りの「6」以降の位置に棒金Bがなければ、収納している棒金Bの数量が5本であることを示す。目盛り126は、「1」から棒金カセット50に収納可能な最大数まで、前から後に向けて昇順となるように表示されている。
【0053】
図6に示す函体101には、前扉部104が閉状態にあるか開状態にあるか検知する前扉部開閉検知センサ(図示略)と、棒金収納部30が後端位置まで押し込まれて閉状態にあるか手前に引き出されて開状態にあるかを検知する収納部開閉検知センサ(図示略、収納部開検知手段)とが設けられている。前扉部開閉検知センサは、前扉部104が閉状態にあるときON信号を制御部31に出力し、前扉部104が開状態にあるときOFF信号を制御部31に出力する。収納部開閉検知センサは、棒金収納部30が閉状態にあるときON信号を制御部31に出力し、棒金収納部30が開状態にあるときOFF信号を制御部31に出力する。
【0054】
<「棒金精査(目視)」処理>
次に、以上の構成の貨幣処理機1において操作表示部33から、棒金処理装置部10の棒金収納部30の棒金カセット50内の棒金Bについて「棒金精査(目視)」処理の選択操作が行われた場合について説明する。ここで「棒金精査(目視)」処理とは、より詳しくは、操作表示部33で表示される操作メニューの一覧から「棒金精査(目視)」処理が選択操作された後に、さらに選択される「棒金回収(目視)」処理と、その後選択される「棒金装填(目視)」処理とがセットとして行われるものである。よって、「棒金回収(目視)」処理のみで処理が完結するものではなく、「棒金回収(目視)」処理を行った後には必ず「棒金装填(目視)」処理を行うことが必要であり、これら「棒金回収(目視)」処理と「棒金装填(目視)」処理とがセットで行われることによって、「棒金精査(目視)」処理が完結する仕組みとなっている。
【0055】
<「棒金回収(目視)」処理>
「棒金回収(目視)」処理について、以下に説明する。
貨幣処理機1が待機状態にあって、操作員が、操作表示部33の操作メニューの一覧から「棒金精査(目視)」を選択すると、制御部31は、前回の処理で「棒金回収(目視)」処理のみが終わるのではなく、「棒金装填(目視)」処理までが完結していることを条件として、今回行われる「棒金回収(目視)」の操作メニューを操作表示部33に表示させて実行可能とする。
【0056】
そして、操作員が操作表示部33に表示された「棒金回収(目視)」を選択して操作表示部33に表示された「実行」釦を押下すると、制御部31は、「棒金回収(目視)」処理を開始する。すなわち、まず、操作表示部33に、
図8~
図12に示すアニメーション表示を表示させて、操作員に対して操作の誘導ガイドを行う仕組みとなっている。制御部31は、まず、前部扉ロック機構(図示略)を駆動して前扉部104の閉状態でのロックを解除する。それと共に、制御部31は、操作表示部33に、
図8に示す1枚目のアニメーション表示を表示させる。この1枚目のアニメーション表示では、
図8に網掛けで示すように、操作員が前扉部104にアクセスする必要があることを、前扉部104の色を貨幣処理機1の前扉部104以外の部分とは異なる色の表示に変えて誘導表示する。例えば、貨幣処理機1の前扉部104以外の部分を白色で表示し、前扉部104を青色で表示する。
【0057】
次に、制御部31は、1枚目のアニメーション表示開始から所定時間経過後に、操作表示部33に、
図9に示す2枚目のアニメーション表示を行わせる。この2枚目のアニメーション表示では、操作員が前扉部104を回転させて開いて棒金収納部30を露出させるように誘導表示する。すなわち、
図9に網掛けで示すように、操作員が前扉部104にアクセスする必要があることを前扉部104の色を他の部分とは異なる色の表示に変えて表示すると共に、前扉部104を開いた状態とし、さらに前扉部104の開作動を示す矢印を表示する。2枚目のアニメーション表示では、例えば、1枚目と同様に貨幣処理機1の前扉部104以外の部分を白色で、前扉部104を青色で表示すると共に、矢印を、これらとは異なる赤色で表示する。
【0058】
操作員により前扉部104が開かれて開状態になると、前扉部開閉検知センサ(図示略)がOFF信号を制御部31に通知することになる。このように前扉部104が開状態になったことを示すOFF信号が前扉部開閉検知センサから通知されると、制御部31は、前扉部104が開状態になったことを認識する。この通知の所定時間経過後に、制御部31は、操作表示部33に、
図10に示す3枚目のアニメーション表示を行わせると共に、収納部ロック機構(図示略)による棒金収納部30のロックを解除する。この3枚目のアニメーション表示では、
図10に網掛けで示すように、操作員が次に棒金収納部30にアクセスする必要があることを、棒金収納部30の色を棒金収納部30以外の部分とは異なる色の表示に変えて誘導表示する。3枚目のアニメーション表示では、例えば、貨幣処理機1の棒金収納部30以外の部分を白色で表示し、棒金収納部30を青色で表示する。
【0059】
次に、制御部31は、3枚目のアニメーション表示開始から所定時間経過後に、操作表示部33に、
図11に示す4枚目のアニメーション表示を行わせる。この4枚目のアニメーション表示では、棒金収納部30の取っ手111に手を掛けるように誘導表示する。すなわち、
図11に網掛けで示すように、操作員が棒金収納部30にアクセスする必要があることを、棒金収納部30の色を棒金収納部30以外の部分とは異なる色の表示にしたまま、取っ手111の周囲を拡大して表示させ、さらに取っ手111を把持した状態の手を表示する。4枚目のアニメーション表示では、例えば、3枚目と同様に貨幣処理機1の棒金収納部30以外の部分を白色で、棒金収納部30を青色で表示すると共に、手を、これらとは異なる肌色で表示する。
【0060】
次に、制御部31は、4枚目のアニメーション表示開始から所定時間経過後に、操作表示部33に、
図12に示す5枚目のアニメーション表示を行わせる。この5枚目のアニメーション表示では、取っ手111に手を掛けたまま棒金収納部30を手前側へ引き出すように誘導表示する。すなわち、
図12に網掛けで示すように、操作員が棒金収納部30にアクセスする必要があることを棒金収納部30の色を他の部分とは異なる色の表示に変えて表示すると共に、棒金収納部30を函体101から引き出した状態とし、さらに棒金収納部30の引き出し作動を示す矢印を表示する。この5枚目のアニメーション表示では、例えば、4枚目と同様に貨幣処理機1の棒金収納部30以外の部分を白色で、棒金収納部30を青色で、手を肌色で表示すると共に、矢印を、これらとは異なる赤色で表示する。
【0061】
そして、棒金収納部30が手前側へ引き出されて開状態になると、収納部開閉検知センサ(図示略)がOFF信号を制御部31に通知することになる。このように棒金収納部30が開状態になったことを示すOFF信号が収納部開閉検知センサから通知されると、制御部31は、棒金収納部30が引き出され開状態になったことを認識する。
【0062】
棒金収納部30が引き出されて開放されると、制御部31は、手前側へ引き出された棒金収納部30の左側面に目を向けて金種別の棒金カセット50のそれぞれに収納された棒金Bの現物の本数を目視で確認するように誘導表示する6枚目のアニメーション表示(図示略)を操作表示部33に表示させる。すると、操作員は、
図7に示すように金種表示部125および目盛り126に基づいて金種別の棒金カセット50のそれぞれに収納された棒金Bの現物の本数すなわち棒金Bの現物の金種別の本数を目視で確認し、その結果を書面等の記録用媒体に記録する。
【0063】
そして、操作員が棒金の本数を確認し終えて、操作表示部33の「確認」釦を押下すると、制御部31は、「棒金回収(目視)」処理が完了した旨を、操作表示部33に表示させると共に、その所定時間経過後に、上記した5枚目のアニメーション表示に対し矢印を逆向き(押し込み方向)にした7枚目のアニメーション表示(図示略)を操作表示部33に表示させて棒金収納部30を函体101内に押し込むように促す。そして、棒金収納部30が後端位置まで押し込まれて閉状態になると、収納部ロック機構(図示略)が棒金収納部30を函体101に自動的かつ機械的にロックする。それと共に、収納部開閉検知センサ(図示略)がON信号を制御部31に通知することになる。このように棒金収納部30が閉状態になったことを示すON信号が収納部開閉検知センサから通知されると、制御部31は、棒金収納部30が閉状態になったことを認識する。すると、制御部31は、上記した2枚目のアニメーション表示に対し矢印を逆向き(閉方向)にした8枚目のアニメーション表示(図示略)を操作表示部33に表示させる。そして、前扉部104が閉状態になると、前扉部ロック機構(図示略)が前扉部104を函体101に自動的かつ機械的にロックする。それと共に、前扉部開閉検知センサ(図示略)がON信号を制御部31に通知することになる。このように前扉部104が閉状態になったことを示すON信号が前扉部開閉検知センサから通知されると、制御部31は、前扉部104が閉状態になったことを認識する。すると、制御部31は、「棒金回収(目視)」処理を完了して貨幣処理機1を待機状態に戻す。
【0064】
なお、上記した「棒金回収(目視)」処理を完了する際には、制御部31は併せて、自身に記憶している、全ての棒金カセット50のそれぞれに収納されている金種別の棒金Bの本数データを、全ての金種について0本に更新する。換言すると、「棒金回収(目視)」処理を完了する際に、制御部31は、金種別の棒金カセット50の棒金の在り高を全ての金種について“0”に更新する。
【0065】
以上のように、「棒金回収(目視)」処理とは、金種別の棒金カセット50に収納されている棒金Bを全て、擬似的に機外へ全回収して金種別の棒金カセットBの棒金Bの在り高を全ての金種について“0”に更新するという、棒金Bの全回収処理を擬似的に行う見なし全回収処理である。
【0066】
<「棒金回収(目視)」処理を行った後の状態>
次に、「棒金回収(目視)」処理を行った後の状態について説明する。「棒金回収(目視)」処理を行った後には、上述したように、必ずセットとして「棒金装填(目視)」処理が行われなければならない。従って、制御部31は、「棒金回収(目視)」処理を行った後の操作表示部33の待機画面に、最上位の案内として、
図13に示すように、「棒金回収(目視)中です。棒金装填(目視)を行ってください。」という注意メッセージ画面を操作表示部33に表示させ、操作員への確認を促す。すなわち、操作表示部33は、上記した見なし全回収処理の後、後述する見なし装填処理を行うように注意を促す注意表示を行う。そして、この注意表示の後、操作員が、操作表示部33の「確認」釦を押下すると、この注意メッセージ画面が消えて、業務処理メニュー一覧表示画面へと切り替わるようになっている。
【0067】
そして、さらに、この業務処理メニュー一覧表示においても、制御部31は、後述する「棒金装填(目視)」処理が行われていない場合には、棒金カセット50内の棒金の在り高の増減が伴う、例えば「棒金払出」や「硬貨の包装収納」等の処理ができないように、運用制限がかかっている。すなわち、制御部31は、操作表示部33に精査操作である「棒金精査(目視)」の選択操作が入力されると、上記した見なし全回収処理を行って後述する「棒金装填(目視)」処理すなわち見なし装填処理を終了するまでの期間、棒金収納搬送部121および棒金放出搬送部122の作動を無効とする。なお、例えば「硬貨の払出」や「硬貨の入金」等の棒金カセット50内の棒金Bの在り高の増減が伴わない処理は通常通りに処理可能であり、運用制限はかかっていない。
【0068】
つまり、「棒金回収(目視)」処理では、棒金Bを擬似的に全回収した扱いとして在り高が0に更新されているので、この状態で棒金Bの収納や放出が行われて在り高に増減の変動が出て影響が出ないように、すなわち、制御部31がこれらの動作ができないように無効としているのである。そして、この無効状態を操作員にガイドする方法としては、例えば、操作表示部33に表示させる業務処理メニュー一覧表示において、これら「棒金払出」や「硬貨の包装収納」等の処理メニューが赤色表示や網掛け表示等で区別されて表示されるようになっていれば良い。また、むろん、後述する「棒金装填(目視)」処理すなわち見なし装填処理が行われた後には、これらの制限が解除されて、操作表示部33の待機画面において
図13に示すような注意メッセージは表示されなくなり、業務処理メニュー一覧表示においても運用制限は解除される仕組みとなっている。すなわち、制御部31は、見なし全回収処理の後、見なし装填処理を行うように注意を促す注意表示を操作表示部33に行わせることになり、この注意表示の後、操作表示部33にて見なし装填処理の開始操作が入力されることにより、見なし装填処理を行う。
【0069】
<「棒金装填(目視)」処理>
次に、「棒金装填(目視)」処理の操作手順について、以下に説明する。操作員が、まず操作表示部33から「精査(目視)」を選択すると、制御部31は、前回の処理で、「棒金回収(目視)」処理および「棒金装填(目視)」処理のうちの「棒金回収(目視)」処理のみが終わっていることを条件として、操作表示部33に、「棒金装填(目視)」の操作メニューを表示させて「棒金装填(目視)」処理を実行可能とする。そして、続いて操作員が、操作表示部33において「棒金装填(目視)」をそのまま選択して「実行」釦を押下すると、制御部31は、
図4に示す金種別の棒金カセット50毎に備えられた全ての棒金保持機構80を棒金カセット50に沿って前後に移動させる。
【0070】
このように棒金保持機構80を前後方向に移動させることにより、磁気データ検出部139の一対の磁気センサ140 ,141の間に棒金Bを相対的に通過させることになり、全ての磁気データ検出部139において、それぞれの磁気センサ140 , 141により対応する棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データが検出される。制御部31は、すべての磁気データ検出部139で検出した磁気データに基づいて、正常棒金の有無、何れの金種の棒金であるかを特定できなかった異常状態を含む異金種棒金の有無、棒金装填状態の姿勢異常の有無、および正常棒金の在り高を確認して、再勘動作が終了する。
【0071】
そして、再勘動作が終了し、異常がなく全て正常棒金として確認されると、制御部31は、その再勘結果(棒金の金種および本数、即ち棒金の在り高)を操作表示部33に表示させる。この状態で、操作員は、例えば、操作表示部33に表示されたデータと、直前の「棒金回収(目視)」処理で書面等の記録媒体に記録したデータと比較する。そして、操作員が操作表示部33の「確認」釦を押下すると、制御部31は、「棒金装填(目視)」処理が完了した旨、操作表示部33に表示させる。そして、この際に制御部31は、併せて、各金種別の棒金カセット50に収納されている棒金Bの本数を、全ての金種つまり全ての棒金カセット50について0本から“再勘した結果”の本数に更新する。換言すると、金種別の棒金カセット50の棒金Bの在り高を全ての金種について“再勘した結果”に更新する。
【0072】
以上のように、「棒金装填(目視)」処理とは、「棒金回収(目視)」処理で擬似的に全回収した棒金Bを、擬似的に棒金カセット50へ戻し処理すなわち装填する処理であり、戻し処理する棒金Bの金種別の本数、つまりは金種別の棒金カセット50の棒金Bの在り高を全ての金種について、再勘処理によって求めて“再勘結果”に更新するという、処理を簡易化した見なし装填処理である。
【0073】
以上により、本実施形態の貨幣処理機1は、操作表示部33に精査操作である「棒金精査(目視)」の操作が入力されると、操作表示部33が棒金収納部30の棒金Bの目視確認を誘導し、この誘導に従って、棒金収納部30が開放されて棒金Bが目視確認可能となると、制御部31が棒金収納部30に収納された棒金Bの在り高を0に更新する、見なし全回収処理を行うことになる。そして、貨幣処理機1は、見なし全回収処理を行った後、全ての磁気データ検出部139が棒金収納部30に収納された棒金Bを再勘し、制御部31が棒金収納部30に収納された棒金Bの在り高を0から全ての磁気データ検出部139が再勘した結果に更新する、見なし装填処理を行うことになる。
【0074】
また、本実施形態の貨幣処理機1を用いた貨幣処理方法は、操作表示部33に精査操作である「棒金精査(目視)」の操作が入力されると、操作表示部33が棒金収納部30の棒金Bの目視確認を誘導するステップと、この誘導に従って、棒金収納部30が開放されて棒金Bが目視確認可能となると、制御部31が、棒金収納部30に収納された棒金Bの在り高を0に更新するステップと、その後、磁気データ検出部139が棒金収納部30に収納された棒金Bを再勘するステップと、その後、制御部31が棒金収納部30に収納された棒金Bの在り高を0から磁気データ検出部139が再勘した結果に更新するステップと、を含む。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の貨幣処理機1および貨幣処理方法では、棒金Bの精査について従来技術のように、全回収と戻し処理とがセットで行われる態様は同じであるものの、「棒金回収(目視)」処理においては操作員が棒金収納部30に収納された棒金Bを目視確認するだけで良く、また「棒金装填(目視)」処理においては磁気データ検出部139が棒金収納部30に収納された棒金Bを再勘するだけで良い。つまりは、棒金Bの精査処理において、貨幣処理機1内で搬送して棒金Bを回収する必要もなく、また、回収した棒金Bを貨幣処理機1内で搬送して戻し処理する必要もないので、処理時間を大幅に短縮することができる。なお、貨幣処理機1内で搬送して棒金Bを回収し、回収した棒金Bを貨幣処理機1内で搬送して戻し処理する場合としては、例えば、棒金Bの全回収は図示略の棒金放出口からの機外への放出によって行い、回収した棒金Bの戻し(装填)は図示略の棒金投入口から機内へ戻す場合と、特開2001-101483号公報に記載された装置のように、棒金を機内の範疇での移動で全回収し、また機内の範疇での移動で戻す場合とがあるが、いずれの場合に対しても、本実施形態では処理時間を大幅に短縮することができる。
【0076】
また、棒金収納部30の全ての棒金カセット50には、収納している棒金の数量を示す目盛り126が付されているため、本数を数えなくても目盛り126を見ることで本数を把握することができる。
【0077】
また、棒金収納部30が函体101から引き出され開状態になったことを検知する収納部開閉検知センサ(図示略)を備えるため、この収納部開閉検知センサが、棒金収納部30が開状態になったことを検出することで、制御部31は目盛り126が目視されたとみなすことができる。
【0078】
また、制御部31は、見なし全回収処理の後、見なし装填処理を行うように注意を促す注意表示を操作表示部33に行わせることになり、この注意表示の後、操作表示部33にて見なし装填処理の開始操作が入力されることにより、見なし装填処理を行う。よって、見なし全回収処理と見なし装填処理とをセットで行うことができる。すなわち、見なし全回収処理と見なし装填処理とは必ずセットで行われなければならないので、見なし全回収処理のみしか行われていない状態では、見なし装填処理を行うように促す注意表示が働いて、操作員が操作未完了であることを認識して、操作を完結できるようになる。
【0079】
また、制御部31は、操作表示部33に精査操作である「棒金精査(目視)」の操作が入力されると、見なし全回収処理を行って見なし装填処理を終了するまでの期間、棒金収納搬送部121および棒金放出搬送部122を無効とする。見なし全回収処理では、棒金Bを擬似的に全回収した扱いとして棒金Bの在り高が0に更新されるので、この状態で棒金Bの収納や放出が行われて棒金Bの在り高に増減の変動が出て影響が出ないように、制御部31がこれらの動作ができないように無効とすることができる。
【0080】
[変形例1]
操作表示部33に精査操作である「棒金精査(目視)」の操作が入力されることにより行われる「棒金精査(目視)」処理においては、見なし全回収処理にて、棒金収納部30が開放された後に、操作員が棒金Bの本数を目視で確認し終えて、操作表示部33の「確認」釦を押下すると、「精査(目視)」処理が完了した扱いとする旨説明したが、これに限らずとも良い。例えば、見なし全回収処理にて、棒金収納部30が開放された後に、操作員が棒金Bの本数を目視で確認し、目視にて確認された棒金Bに係る情報である、この本数を入力手段としての操作表示部33から入力することで完了した扱いとするようにしても良いし、さらには操作表示部33から入力した本数と制御部31で管理している棒金Bの本数とが一致した場合に完了した扱いとするようにしても良い。また、これとは別で、操作員が持ち運び可能な入力手段としてのタブレット端末(貨幣処理機1の操作表示部33の子機の位置付け)を備え、操作員が棒金Bの本数を目視で確認する際には、当該タブレット端末に内蔵されたカメラで左側面から棒金収納部30の全ての棒金カセット50を撮像させ、目視にて確認された棒金Bに係る情報である、この撮像データ(撮影した日時情報を含む)が制御部31へ通信によって受け渡されたことによって処理が完了した扱いとするようにしても良い。このように適宜、工夫して操作員が棒金Bの本数を目視で確認した条件を、より厳格なものとしたりすることも可能となる。
【0081】
すなわち、操作表示部33に精査操作である「棒金精査(目視)」の操作が入力され、見なし全回収処理にて棒金収納部30が開放された後に、目視にて確認された棒金Bに係る情報が入力される操作表示部33あるいはタブレット端末(図示略)を備えていても良い。これにより、目視確認の証拠として、目視確認した棒金Bの数量を操作表示部33あるいはタブレット端末(図示略)によって入力させ、これによって、操作員が本当に目視確認したか否かを入力記録できるようになる。
【0082】
[変形例2]
「棒金回収(目視)」処理を行った際には、棒金カセット50の金種別の棒金Bの在り高は全て0に更新され、また「棒金装填(目視)」処理を行った際には、棒金カセット50の金種別の棒金Bの在り高は、再勘動作を行った結果の在り高に更新される旨説明した。しかしながら、上記した処理はあくまで擬似的な処理動作であるため、棒金カセット50内の棒金Bの在り高についても、擬似的な処理動作に伴う仮想在り高として制御部31によって管理するようにしても良い。つまり、一例として、棒金カセット50内の棒金在り高が、真の在り高と仮想の在り高の二重構造に分類されて構成されるようにする。そして、真の在り高はあくまでも棒金カセット50内の棒金Bの本数が増減する処理の際にのみ更新する仕組みとし、他方、仮想の在り高は擬似的な処理動作である「棒金回収(目視)」処理や「棒金装填(目視)」処理を行った際にのみ更新する仕組みとすれば良い。このように構成することで、在り高管理が分かりやすくなる。
【0083】
すなわち、制御部31が、棒金収納部30の棒金Bの在り高を、真の在り高と仮想の在り高との二重構造に分類して管理する。そして、操作表示部33に精査操作としての「棒金精査(目視)」が入力され、見なし全回収処理および見なし装填処理によって、棒金収納部30に収納された棒金Bの在り高を0から磁気データ検出部139が再勘した結果に更新する際に、制御部31が仮想の在り高のみを更新する。これにより、棒金Bの在り高は、真の在り高と仮想の在り高の二重構造に分類されて制御部31によって管理される。つまり、精査の際には、仮想の在り高について、擬似的に全回収を行ったことによる在り高0に更新したり、戻し(装填)処理の替わりに擬似的に再勘で確認した結果の在り高に更新すれば良い。よって、擬似的に再勘で確認した結果の在り高は、真の在り高には影響しなくなるので、在り高管理が分かりやすくなる。
【0084】
実施形態では、棒金処理装置部10と硬貨処理装置部11とが併設された貨幣処理機1について説明したが、これに限らず棒金処理装置部10のみを備えた構成でも、または棒金処理装置部10に、硬貨処理装置部11に加えて、または硬貨処理装置部11なしで、その他の構成を加えた構成でも良い。棒金処理装置部10は包装部36がなくても良く、よって、少なくとも棒金Bを収納および出金できる貨幣処理機であれば、種々の貨幣処理機について適用できる。
【0085】
また、実施形態では、包装貨幣が棒金Bで処理機が棒金処理装置部10を有する貨幣処理機1を例にとり説明したが、これに限らず、包装貨幣が収納されて収納数が読み取れる形態であって再勘機能が備わっていれば、包装貨幣として小束紙幣を収納する貨幣処理機1であっても適用される。その場合、少なくとも小束紙幣を収納および出金できる貨幣処理機であれば、種々の貨幣処理機について適用できる。
【0086】
また、さらには、収納部の形態については、
図14に示すように、引き出し方式のドロア201の棒金収納部202に棒金Bを収納して、ドロア201の開閉に連動して棒金Bの収納数が読み取れる形態の貨幣処理機であっても適用でき、
図15に示すように、引き出し方式のドロア211の小束収納部212に小束紙幣Tを収納して、ドロア211の開閉に連動して小束紙幣Tの収納数が読み取れる形態の貨幣処理機であっても適用できる。なお、これらの貨幣処理機においては、収納部の棒金Bや小束紙幣Tは、操作員の手によって棒金収納部202あるいは小束収納部212に収納されたり、棒金収納部202あるいは小束収納部212から放出されたりするが、本発明の技術範囲から逸脱するものではなく適用される。つまり、取り扱う媒体が棒金Bや小束紙幣Tである硬貨処理機全般や紙幣処理機全般、及びこれらを部分的にまたは総合的に組み合わせたどのような形態の貨幣処理機についても適用できるようになる。
【符号の説明】
【0087】
1 貨幣処理機
30 棒金収納部(収納部)
31 制御部(在り高管理手段,制御手段)
33 操作表示部(操作手段,目視誘導手段,表示手段,入力手段)
121 棒金収納搬送部(包装貨幣収納手段)
122 棒金放出搬送部(包装貨幣放出手段)
126 目盛り
139 磁気データ検出部(再勘手段)