(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】安全柵
(51)【国際特許分類】
A47D 13/06 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
A47D13/06
(21)【出願番号】P 2020040478
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500075597
【氏名又は名称】株式会社 日本育児
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石迫 壮馬
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3207777(JP,U)
【文献】実開昭56-098991(JP,U)
【文献】特開2002-242522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路口に着脱可能な扉枠と、
前記扉枠に取り付けられた扉と、
前記扉に設けられたガイド部材と、を備え、
前記扉枠は、
当該扉枠の幅方向一方側に位置し鉛直方向に延びる第1縦枠部と、
当該扉枠の幅方向他方側に位置し鉛直方向に延びる第2縦枠部と、
前記第1縦枠部の下端と前記第2縦枠部の下端をつなぐレール下枠部と、を有し、
前記扉は、
幅方向基端部分が前記扉枠に回動可能に取り付けられた第1パネルと、
前記第1パネルの幅方向先端部分に幅方向基端部分が回動可能に連結された第2パネルと、
当該扉の上端側部分と下端側部分に設けられ、前記第1パネルと前記第2パネルを連結する連結機構と、を有し、
各連結機構は、
前記第1パネルの幅方向先端部分に設けられた第1ギアと、
前記第2パネルの幅方向基端部分に設けられ、前記第1ギアと噛み合う第2ギアと、
前記第1ギアと前記第2ギアを、互いに噛み合った状態で収容するギア収容部材と、を含み、
前記扉の上端側部分に位置する連結機構のギア収容部材と前記扉の下端側部分に位置する連結機構のギア収容部材とは、鉛直方向に延びる中間軸部材を介して連結されており、
前記ガイド部材は、前記第2パネルの下端部分に設けられ、
前記レール下枠部の延在方向から見て逆U字状の形状を有して前記レール下枠部を上から覆うように構成された本体部を有し、前記レール下枠部に沿って移動できるように構成されている、安全柵。
【請求項2】
前記第2パネルは前記第1パネルよりも幅方向寸法が大きく、
前記第2パネルの幅方向基端部分から前記ガイド部材が設けられている部分までの幅方向寸法は、前記第1パネルの幅方向寸法に等しい、請求項1に記載の安全柵。
【請求項3】
前記第2パネルの幅方向寸法は、前記第1パネルの幅方向寸法の1.1倍以上3倍以下である、
請求項2に記載の安全柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児やペットの通行又は侵入を規制する安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児やペットの通行又は侵入を規制する安全柵は、扉を備えるものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全柵の扉は、1枚のパネルで構成されるのが一般的である。この場合、扉を構成するパネルが大きくなり、扉の可動範囲が広くなる。その結果、安全柵の設置場所が制限されるおそれがある。これを踏まえ、本発明は、扉の可動範囲が抑制された安全柵を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る安全柵は通路口に着脱可能な扉枠と、前記扉枠に取り付けられた扉と、前記扉に設けられたガイド部材と、を備え、前記扉枠は、当該扉枠の幅方向一方側に位置し鉛直方向に延びる第1縦枠部と、当該扉枠の幅方向他方側に位置し鉛直方向に延びる第2縦枠部と、前記第1縦枠部の下端と前記第2縦枠部の下端をつなぐレール下枠部と、を有し、前記扉は、幅方向基端部分が前記扉枠に回動可能に取り付けられた第1パネルと、前記第1パネルの幅方向先端部分に幅方向基端部分が回動可能に連結された第2パネルと、を有し、前記ガイド部材は、前記第2パネルの下端部分に設けられ、前記レール下枠部に沿って移動できるように構成されている。
【0006】
この安全柵では、扉が第1パネル及び第2パネルで構成されているため、折りたたむようにして扉を開閉することができる。これにより、扉の可動範囲を抑制することができる。また、上記の安全柵では、第2パネルの下端部分に設けられたガイド部材がレール下枠部に沿って移動するため、扉を安定して開閉することができる。しかも、扉枠の一部であるレール下枠部を利用してガイド部材を移動させるため、ガイド部材を移動させるためのレールを床や天井に設ける必要がない。
【0007】
上記の安全柵において、前記第2パネルは前記第1パネルよりも幅方向寸法が大きく、前記第2パネルの幅方向基端部分から前記ガイド部材が設けられている部分までの幅方向寸法は、前記第1パネルの幅方向寸法に等しくてもよい。
【0008】
この構成によれば、扉の可動範囲を抑制しつつ、扉全体の幅方向寸法を大きくすることができる。
【0009】
上記の安全柵において、前記第1パネルの幅方向先端部分には第1ギアが設けられており、前記第2パネルの幅方向基端部分には前記第1ギアと噛み合う第2ギアが設けられており、前記第2パネルは、前記第1ギア及び前記第2ギアを介して前記第1パネルに連結されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1パネルと第2パネルを通過し幅方向に垂直な基準面に対して、第1パネルと第2パネルが対称の状態を維持しつつ扉を開閉することができる。そのため、扉を滑らかに開閉することができる。
【0011】
上記の安全柵において、前記第2パネルの幅方向寸法は、前記第1パネルの幅方向寸法の1.1倍以上3倍以下であってもよい。
【0012】
この構成によれば、扉の可動範囲を抑制しつつ、扉全体の幅方向寸法を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成によれば、扉の可動範囲が抑制された安全柵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3は、安全柵の平面図であって扉の開閉動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係る安全柵100について説明する。
図1は安全柵100の正面図である。以下では、
図1における紙面左右方向を「幅方向」と称する。また、「幅方向寸法」というときは、後述する扉20が閉じた状態における幅方向寸法を意味するものとする。
【0016】
本実施形態に係る安全柵100は通路口101に設置可能であって、幼児やペットの通行又は侵入を規制するための柵である。
図1に示すように、本実施形態に係る安全柵100は、扉枠10と、扉20と、ガイド部材30とを備えている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0017】
<扉枠>
扉枠10は、扉20を囲むように配置され、扉20が取り付けられる部材である。本実施形態の扉枠10は、正面視においてU字状に形成されており、第1縦枠部11と、第2縦枠部12と、レール下枠部13と、を有している。第1縦枠部11は、扉枠10の幅方向一方側(紙面左側)に位置し、鉛直方向に延びている。第2縦枠部12は、扉枠10の幅方向他方側(紙面右側)に位置し、鉛直方向に延びている。レール下枠部13は、扉枠10の下方部分に位置し、第1縦枠部11の下端と第2縦枠部12の下端をつないでいる。
【0018】
また、扉枠10は、扉枠10を通路口101に固定するための複数の固定部材14を有している。固定部材14は、第1縦枠部11の幅方向外端部分の上方部分及び下方部分に設けられているとともに、第2縦枠部12の幅方向外端部分の上方部分及び下方部分に設けられている。固定部材14は、円盤状の接触部16と、接触部16に固定されて幅方向に延びるねじ部17と、を有している。
【0019】
ねじ部17は、第1縦枠部11及び第2縦枠部12に締め込みながら挿入することができる。ねじ部17の挿入量を調整することにより、第1縦枠部11及び第2縦枠部12に対して接触部16を幅方向に移動させることができる。接触部16を第1縦枠部11及び第2縦枠部12から離れる方向に移動させて通路口101の壁面に押圧すれば、扉枠10を通路口101に固定することができる。また、接触部16を第1縦枠部11及び第2縦枠部12に近づく方向に移動させて通路口101から離せば、扉枠10を通路口101から取り外すことができる。
【0020】
<扉>
扉20は、第1パネル21と、第2パネル22と、を有している。第1パネル21は、格子状に形成されており、幅方向基端部分(
図1の紙面左端部分)が扉枠10に回動可能に取り付けられている。詳細には、第1パネル21の幅方向基端部分うち、上方部分は第1縦枠部11に設けられた扉保持部材15を介して回動可能に保持されており、下方部分はレール下枠部13に回動可能に保持されている。
【0021】
第2パネル22は、格子状に形成されており、幅方向基端部分(
図1の紙面左端部分)が、第1パネル21の幅方向先端部分(
図1の紙面右端部分)に回動可能に連結されている。本実施形態では、第2パネル22は、連結機構40を介して第1パネルに連結されている。この連結機構40は、扉20の上端側部分と下端側部分の2個所に設けられている。
【0022】
図2は、扉20の上端側部分に位置する連結機構40の分解斜視図である。扉20の下端側部分に位置する連結機構40は、上端側部分に位置する連結機構40と上下対称に構成されている。
図2に示すように、連結機構40は、第1ギア41と、第2ギア42と、軸受部材43と、ギア収容部材44と、を有している。
【0023】
第1ギア41は、支持棒を介して第1パネル21の幅方向先端部分(
図2では第2パネル22に向かって突出した部分の下面)に固定されており、第1パネル21の幅方向先端部分に対して鉛直方向に隙間をあけて配置されている。また、第1パネル21の幅方向先端部分の第1ギア41と反対側の面(
図2では上面)には、第1軸片45が設けられている。
【0024】
第2ギア42は、支持棒を介して第2パネル22の幅方向基端部分(
図2では第1パネル21に向かって突出した部分の下面)に固定されており、第2パネル22の幅方向基端部分に対して鉛直方向に隙間をあけて配置されている。また、第2パネル22の幅方向基端部分の第2ギア42と反対側の面(
図2では上面)には、第2軸片46が設けられている。
【0025】
軸受部材43は、外板47と、中板48と、を有している。外板47には、前述した第1軸片45が挿入される第1軸孔51と、第2軸片46が挿入される第2軸孔52が形成されている。中板48は、連結板53を介して外板47に連結されている。中板48には、第1パネル21の幅方向先端部分と第1ギア41をつなぐ図外の支持棒が挿入される第1切欠き部54と、第2パネル22の幅方向先端部分と第2ギア42をつなぐ図外の支持棒が挿入される第2切欠き部55と、が形成されている。
【0026】
ギア収容部材44は、第1ギア41と第2ギア42が、互いに噛み合った状態で収容される。扉20の上端側部分に位置する連結機構40のギア収容部材44は、鉛直方向に延びる中間軸部材56を介して、扉20の下端側部分に位置する連結機構40のギア収容部材44と連結されている(
図1参照)。
【0027】
図1に示すように、第2パネル22は、第1パネル21よりも幅方向寸法が大きい。具体的には、第2パネル22の幅方向寸法W2は、第1パネル21の幅方向寸法W1のおよそ2倍である。また、第2パネル22の幅方向先端部分の上方部分には、係止部材23が設けられている。係止部材23は、扉20が閉じた状態(
図1に示す状態)において、第2縦枠部12に設けられた被係止部18に係止するように構成されている。係止部材23が被係止部18に係止することで、扉20は閉じた状態が維持される。
【0028】
<ガイド部材>
ガイド部材30は、レール下枠部13に沿って移動し、第2パネル22をガイドする部材である。換言すれば、ガイド部材30は、第2パネル22の移動軌跡を一定に維持する部材である。ガイド部材30は、本体部31と、2本のローラ32と、支持軸部材33と、を有している。
【0029】
本体部31は、レール下枠部13を上から覆うように構成されており、幅方向から見て逆U字状の形状を有している。各ローラ32は、幅方向に対して垂直な方向(
図1の紙面に対して垂直な方向)に延びている。各ローラ32は、本体部31の内側で本体部31に回転可能に支持されており、レール下枠部13の上面上を転がるように構成されている。支持軸部材33は、鉛直方向に延び、本体部31の上面と第2パネル22の下端部分を連結する。また、支持軸部材33は、第2パネル22に回動可能に連結されている。つまり、支持軸部材33は、第2パネル22を回動可能に支持している。なお、ガイド部材30と第2パネル22の間にスプリングが介在し、ガイド部材30が第2パネル22に対して鉛直方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0030】
ここで、第2パネル22の幅方向基端部分からガイド部材30が設けられている部分までの幅方向寸法W3は、第1パネル21の幅方向寸法W1に等しい。より厳密には、第2ギア42の中心軸から支持軸部材33の中心軸までの幅方向寸法は、第1パネル21が第1縦枠部11に対して回動するときの回動軸から第1ギア41の中心軸までの幅方向寸法に等しい。
【0031】
<開閉動作及び作用効果>
次に、本実施形態に係る安全柵100の扉20の開閉動作及び作用効果について説明する。
図3は、安全柵100の平面図であって、扉20の開閉動作を説明する図である。
図3の(a)は扉20が閉まっている状態を示しており、(b)は扉20が少し開いた状態を示しており、(c)は扉20が大きく開いた状態を示している。
【0032】
図3に示すように、本実施形態の扉20は、第1パネル21と第2パネル22を有しており、これらのパネルの境界部分(連結機構40)で折れ曲がるようにして開放される。そのため、扉20が1つのパネルによって形成される場合に比べて、扉20の可動範囲を狭めることができる。そのため、安全柵100の設置の自由度が向上する。
【0033】
また、扉20が開くとき、ガイド部材30はレール下枠部13に沿って移動し、第2パネル22が一定の軌跡を描くようにして移動する。そのため、扉20が意図しない方向に折れるのを抑制することができる結果、扉20の可動範囲が広がるのを抑制することができる。
【0034】
また、第2パネル22の幅方向基端部分からガイド部材30が設けられている部分までの幅方向寸法W3は、第1パネル21の幅方向寸法W1に等しい。これに加え、第2パネル22は、第1ギア41及び第2ギア42を介して第1パネル21に連結されている。そのため、第1パネル21と第2パネル22を通過し幅方向に垂直な基準面に対して、第1パネル21と第2パネル22が対称の状態を維持しつつ扉20を開閉することができる。その結果、扉20を滑らかに開閉することができる。
【0035】
さらに、第2パネル22は第1パネル21よりも幅方向寸法が大きい。そのため、扉20の可動範囲を抑制しつつ、扉20全体の幅方向寸法を大きくすることができる。
【0036】
<変形例>
以上で説明した実施形態は、本発明の一形態に過ぎず、本発明に係る安全柵は上述した実施形態とは異なる構成を備えていてもよい。例えば、実施形態に係る安全柵100では、第2パネル22の幅方向寸法W2は、第1パネル21の幅方向寸法W1のおよそ2倍であるが、第2パネル22の幅方向寸法W2は、第1パネル21の幅方向寸法W1の1.1倍以上3倍以下であってもよい。この場合でも、扉20の可動範囲を抑制しつつ、扉20の幅方向寸法を大きくすることができる。ただし、第2パネル22の幅方向寸法W2と第1パネル21の幅方向寸法W1は同じであってもよい。
【0037】
また、実施形態に係る安全柵100では、ガイド部材30は2つのローラ32を有し、これらのローラ32がレール下枠部13の上面上を転がるように構成されている。ただし、ガイド部材30はこのように構成されていなくてもよい。例えば、レール下枠部13の上面に長手方向に延びる溝が形成されており、ガイド部材30はこの溝内を移動する棒状の部材であってもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、第1パネル21と第2パネル22は、第1ギア41及び第2ギア42を介して連結されていたが、第1パネル21と第2パネル22は、第1ギア41及び第2ギア42を介さずに連結されていてもよい。さらに、第1パネル21と第2パネル22は、連結機構40を介さずに直接連結されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 扉枠
11 第1縦枠部
12 第2縦枠部
13 レール下枠部
20 扉
21 第1パネル
22 第2パネル
30 ガイド部材
40 連結機構
41 第1ギア
42 第2ギア
100 安全柵
101 通路口