(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】粉歯磨き入り容器および粉歯磨き用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/06 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B65D83/06 M
(21)【出願番号】P 2020089575
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】397077391
【氏名又は名称】スモカ歯磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】嶌 啓志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幸秀
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119498(JP,A)
【文献】実公昭36-006066(JP,Y1)
【文献】特開2010-208640(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170807(JP,U)
【文献】実公昭36-025093(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2019/344953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
B65D 47/04
A47K 5/10-5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状の容器本体(1)と、
前記容器本体(1)に収容した粉末状の粉歯磨き(2)と、
前記容器本体(1)の上端開口を開閉する容器蓋体(3)と、
前記容器本体(1)に着脱可能に取り付けられ、前記容器本体(1)の内部を前記粉歯磨き(2)の上側で上下に仕切る仕切り部材(4)と、を有し、
前記仕切り部材(4)は、前記粉歯磨き(2)を通過させるように上下方向に貫通して形成された粉歯磨き取出孔(12)と、前記粉歯磨き取出孔(12)を下側から上側に通過した粉歯磨き(2a)を溜め、その粉歯磨き(2a)に歯ブラシ(23)を押し当てて使用する粉歯磨き受け皿部(13)とを有
し、
前記粉歯磨き取出孔(12)は、前記仕切り部材(4)の中央部分に設けられ、前記粉歯磨き受け皿部(13)は、前記粉歯磨き取出孔(12)を囲む環状に形成さ
れ、
前記仕切り部材(4)は、前記容器本体(1)の上部内周に嵌合する嵌合筒部(10)を有し、前記嵌合筒部(10)の上端に環状の内向き突起(20)が形成されてい
る
粉歯磨き入り容器。
【請求項2】
前記仕切り部材(4)には、前記粉歯磨き受け皿部(13)の最深部(14)から前記粉歯磨き取出孔(12)に向かって高くなる土手部(15)が、前記粉歯磨き取出孔(12)と前記粉歯磨き受け皿部(13)の最深部(14)との間に形成されている請求項
1に記載の
粉歯磨き入り容器。
【請求項3】
前記仕切り部材(4)の下面に、前記粉歯磨き取出孔(12)に向かって次第に高くなるように傾斜した粉歯磨き取出案内面(22)が形成されている1
または2に記載の
粉歯磨き入り容器。
【請求項4】
下端が閉塞し、上端が開口し、粉末状の粉歯磨き(2)が収容される筒状の容器本体(1)と、
前記容器本体(1)に着脱可能に取り付けられ、前記容器本体(1)の上端開口を開閉する容器蓋体(3)と、
前記容器本体(1)の内部を前記粉歯磨き(2)の上側で上下に仕切る仕切り部材(4)と、を有し、
前記仕切り部材(4)は、前記粉歯磨き(2)を通過させるように上下方向に貫通して形成された粉歯磨き取出孔(12)と、前記粉歯磨き取出孔(12)を下側から上側に通過した粉歯磨き(2a)を溜め、その粉歯磨き(2a)に歯ブラシ(23)を押し当てて使用する粉歯磨き受け皿部(13)とを有
し、
前記粉歯磨き取出孔(12)は、前記仕切り部材(4)の中央部分に設けられ、前記粉歯磨き受け皿部(13)は、前記粉歯磨き取出孔(12)を囲む環状に形成さ
れ、
前記仕切り部材(4)は、前記容器本体(1)の上部内周に嵌合する嵌合筒部(10)を有し、前記嵌合筒部(10)の上端に環状の内向き突起(20)が形成されてい
る
粉歯磨き用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器入り粉歯磨きおよび粉歯磨き用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシにつけて使用する歯磨剤は、ペースト状の練り歯磨きと、粉状または潤製(湿り気のある粉状)の粉歯磨きとに大別される。練り歯磨きは、可撓性のチューブ容器に収容され、チューブ容器から歯ブラシに搾り出して使用する。一方、粉歯磨きは、有底筒状の容器に収容され、歯ブラシを容器内の粉歯磨きに押し当てることで、粉状または潤製(以下、まとめて「粉末状」という)の粉歯磨きを歯ブラシに付着させて使用する。
【0003】
粉末状の粉歯磨を収容する容器は、特許文献1のように、上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状の容器本体と、その容器本体の上端開口を開閉する容器蓋体とからなるもの(いわゆるジャー容器)が一般に使用されている。容器蓋体は、容器本体の上端開口を塞ぐ頂壁と、頂壁の外周から下方に延びる筒壁とからなり、筒壁の内周に形成された雌ねじを、容器本体の上部外周の雄ねじに係合させることで、容器本体の上端開口を閉じるものが多い。
【0004】
上記の容器に収容された粉歯磨きを使用するにあたっては、まず、容器蓋体を容器本体から取り外すことで、容器本体に収容された粉歯磨きを露出させる。次に、歯ブラシを、容器内の粉歯磨きに押し当てることで、歯ブラシに粉歯磨きを付着させる。そして、その歯ブラシで歯磨きを行なう。この粉歯磨きで歯磨きを行なうと、歯の汚れ落ちが良く、また、さっぱりとした歯磨き後の使用感を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本願の発明者は、粉末状の粉歯磨きを使用するにあたり、以下の問題があることに気付いた。
【0007】
すなわち、歯ブラシを、容器内の粉歯磨きに押し当てて粉歯磨きを付着させるときに、本来であれば、容器内の粉歯磨きが水を含んで劣化するのを防ぐために、乾いた歯ブラシを使うことが望ましい。
【0008】
しかしながら、乾いた歯ブラシを使用すると歯ブラシに付着する粉歯磨きの分量が少ないため、思っているほどの味や清掃性などの使用感が得られず、粉歯磨きのユーザーの中には、歯ブラシを水で濡らし、その濡れた歯ブラシを容器内の粉歯磨きに押し当てるユーザーもいる。この場合、容器内の粉歯磨きが、濡らした歯ブラシの水を含んで粘土状になり、最悪の場合、泥状となることもあった。水を含んで泥状となった粉歯磨きは、衛生上好ましくない。また、いったん容器内の粉歯磨きが泥状となってしまうと、その泥状となった粉歯磨きは、ふたたび乾燥させても一体化した塊になるだけであり、粉末状には戻らない。
【0009】
また、粉歯磨きを使用するために、容器蓋体を取り外して容器本体の上端開口を開放した状態のときに、誤って容器本体を倒してしまい、容器内の大部分の粉歯磨きが、濡れた洗面台や床面にこぼれ、駄目になってしまうことがある。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、水で濡らした歯ブラシを使ったときにも、容器内の粉歯磨きを最後まで無駄なく使用することができる容器入り粉歯磨きを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成の容器入り粉歯磨きを提供する。
上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状の容器本体と、
前記容器本体に収容した粉末状の粉歯磨きと、
前記容器本体の上端開口を開閉する容器蓋体と、
前記容器本体に着脱可能に取り付けられ、前記容器本体の内部を前記粉歯磨きの上側で上下に仕切る仕切り部材と、を有し、
前記仕切り部材は、前記粉歯磨きを通過させるように上下方向に貫通して形成された粉歯磨き取出孔と、前記粉歯磨き取出孔を下側から上側に通過した粉歯磨きを溜め、その粉歯磨きに歯ブラシを押し当てて使用する粉歯磨き受け皿部とを有する
容器入り粉歯磨き。
【0012】
この容器入り粉歯磨きを使用するにあたっては、まず、容器蓋体で容器本体の上端開口を閉じ、その状態で、容器本体を上下逆さまにするか、容器本体を上下に軽く振るなどして、容器本体に収容された粉末状の粉歯磨きの一部を、仕切り部材の粉歯磨き取出孔を通過させ、仕切り部材の上面側に移動させる。このとき、粉歯磨き取出孔を下側から上側に通過した粉歯磨きの一部または全部が、仕切り部材に設けられた粉歯磨き受け皿部に溜まる。次に、容器蓋体を開けて容器本体の上端開口を開放し、粉歯磨き受け皿部に溜まった粉歯磨きを露出させ、その粉歯磨きに歯ブラシを押し当てることで、歯ブラシに粉歯磨きを付着させる。そして、その歯ブラシで歯磨きを行なう。
【0013】
ここで、歯ブラシを粉歯磨きに押し当てて粉歯磨きを付着させるときに、水で濡らした歯ブラシを使っても、歯ブラシの水を含んで粘土状や泥状となる粉歯磨きは、粉歯磨き取出孔を通過して仕切り部材の上面側に移動した粉歯磨きであり、仕切り部材の下側の大部分の粉歯磨きは、歯ブラシに直接触れないため、粉末状のままに保つことができる。また、仕切り部材の上面側に移動した粉歯磨きが、濡らした歯ブラシの水を含んで粘土状や泥状になったとしても、仕切り部材は、容器本体から取り外して掃除することが可能なので、粘土状や泥状になった粉歯磨きが、仕切り部材の下側の粉末状の粉歯磨きに混入するのを防止することができる。そのため、水で濡らした歯ブラシを使ったときにも、容器内の粉歯磨きを最後まで無駄なく使用することが可能である。
【0014】
また、容器本体の内部が、容器本体に取り付けた仕切り部材で上下に仕切られているので、誤って容器本体を倒してしまったときにも、仕切り部材の下側の大部分の粉歯磨きを容器本体の内部に保持することができ、容器本体からこぼれる粉歯磨きを少量に抑えることができる。
【0015】
前記粉歯磨き取出孔を、前記仕切り部材の中央部分に設け、前記粉歯磨き受け皿部を、前記粉歯磨き取出孔を囲む環状に形成すると好ましい。
【0016】
このようにすると、容器本体を傾けたときに、仕切り部材の上面側にある水を含んだ粉歯磨きが、粉歯磨き取出孔を通って仕切り部材の下側に混入するのを防止することができる。すなわち、容器蓋体で容器本体の上端開口を閉じ、その状態で容器本体を傾けたときに、仕切り部材の上面側にある粉歯磨きが移動し、仕切り部材の外周部分のうちの最も低い位置に集まることがある。ここで、粉歯磨き取出孔を仕切り部材の外周部分に設けたのでは、その粉歯磨き取出孔が低い位置にくる向きに容器本体を傾けたときに、仕切り部材の上面側にある水を含んだ粉歯磨きが、粉歯磨き取出孔を通って仕切り部材の下側に混入するおそれがある。これに対し、粉歯磨き取出孔を仕切り部材の中央部分に設けると、容器本体をいずれの向きに傾けても、仕切り部材の上面側にある水を含んだ粉歯磨きが、粉歯磨き取出孔を通って仕切り部材の下側に混入するのを防止することが可能である。
【0017】
前記仕切り部材には、前記粉歯磨き受け皿部の最深部から前記粉歯磨き取出孔に向かって高くなる土手部を、前記粉歯磨き取出孔と前記粉歯磨き受け皿部の最深部との間に形成すると好ましい。
【0018】
このようにすると、粉歯磨き受け皿部にある粉歯磨きが水を含んで泥状になったときにも、その泥状になった粉歯磨きが土手部でせき止められるので、泥状になった粉歯磨きが粉歯磨き取出孔を通って仕切り部材の下側に混入するのを防止することができる。
【0019】
前記仕切り部材が、前記容器本体の上部内周に嵌合する嵌合筒部を有する場合、前記嵌合筒部の上端に環状の内向き突起を形成すると好ましい。
【0020】
このようにすると、仕切り部材の上面側にある粉歯磨きを嵌合筒部の内周に沿って押し上げたときに、その粉歯磨きが、嵌合筒部の上端の内向き突起に接触して内側に落下する。そのため、仕切り部材の上面側にある粉歯磨きに歯ブラシを押し当て、その歯ブラシを動かしたときに、歯ブラシで嵌合筒部の内周に沿って押し上げられた粉歯磨きが、嵌合筒部の上端を乗り越えて容器本体の外側にこぼれ出るのを防止することができる。
【0021】
前記仕切り部材の下面に、前記粉歯磨き取出孔に向かって次第に高くなるように傾斜した粉歯磨き取出案内面を形成すると好ましい。
【0022】
このようにすると、容器蓋体で容器本体の上端開口を閉じた状態で、容器本体を上下逆さまにしたときに、粉歯磨き取出案内面の傾斜により、容器内の粉歯磨きを粉歯磨き取出孔に向かって誘導することができる。そのため、容器内の粉歯磨きを最後まで取り出すのが容易である。
【0023】
また、この発明では、上記の容器入り粉歯磨きに用いる容器として、以下のものを併せて提供する。
下端が閉塞し、上端が開口し、粉末状の粉歯磨きが収容される筒状の容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に取り付けられ、前記容器本体の上端開口を開閉する容器蓋体と、
前記容器本体の内部を前記粉歯磨きの上側で上下に仕切る仕切り部材と、を有し、
前記仕切り部材は、前記粉歯磨きを通過させるように上下方向に貫通して形成された粉歯磨き取出孔と、前記粉歯磨き取出孔を下側から上側に通過した粉歯磨きを溜め、その粉歯磨きに歯ブラシを押し当てて使用する粉歯磨き受け皿部とを有する
粉歯磨き用容器。
【発明の効果】
【0024】
この発明の容器入り粉歯磨きは、歯ブラシを粉歯磨きに押し当てて粉歯磨きを付着させるときに、水で濡らした歯ブラシを使っても、仕切り部材の下側の大部分の粉歯磨きは、歯ブラシに直接触れないため、粉末状のままに保つことができる。また、仕切り部材の上面側に移動した粉歯磨きが、濡らした歯ブラシの水を含んで粘土状や泥状になったとしても、仕切り部材は、容器本体から取り外して掃除することが可能なので、粘土状や泥状になった粉歯磨きが、仕切り部材の下側の粉末状の粉歯磨きに混入するのを防止することができる。そのため、水で濡らした歯ブラシを使ったときにも、容器内の粉歯磨きを最後まで無駄なく使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の第1実施形態にかかる容器入り粉歯磨きを示す断面図
【
図3】
図1の仕切り部材の嵌合筒部の近傍の拡大断面図
【
図4】
図3に示す仕切り部材を容器本体の上部内周に嵌め込む過程を示す図
【
図5】
図1の仕切り部材を取り出した状態を示す部分断面図
【
図6】
図1に示す容器入り粉歯磨きを上下逆さまにした状態を示す断面図
【
図7】
図6に示す容器入り粉歯磨きの上下を元通りに戻した状態を示す断面図
【
図8】
図7に示す粉歯磨き受け皿部に溜まった粉歯磨きに歯ブラシを押し当てた状態を示す断面図
【
図9】この発明の第2実施形態にかかる容器入り粉歯磨きを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に、この発明の第1実施形態にかかる容器入り粉歯磨きを示す。この容器入り粉歯磨きは、容器本体1と、容器本体1に収容した粉末状の粉歯磨き2と、容器本体1の上端開口を開閉する容器蓋体3と、容器本体1の内部に着脱可能に取り付けられた仕切り部材4とを有する。
【0027】
容器本体1は、上端が開口し、下端が閉塞した有底筒状に形成されている。この容器本体1の上端開口は、40mm以上(好ましくは45mm以上)の内径をもつ広口の円筒状開口である。容器本体1の上部外周には、雄ねじ5が設けられている。
【0028】
容器蓋体3は、容器本体1の上端開口を塞ぐ頂壁6と、頂壁6の外周から下方に延び、容器本体1の上部外周に嵌合する筒壁7とを有する。容器蓋体3の筒壁7の内周には、容器本体1の上部外周の雄ねじ5にねじ係合する雌ねじ8が設けられている。図では、樹脂製の容器本体1と容器蓋体3を採用した例を示しているが、金属製の缶で容器本体1と容器蓋体3を構成することも可能である。頂壁6の下面には、頂壁6を構成する材質よりも柔軟な材質で形成したシートパッキン9が取り付けられている。
【0029】
粉歯磨き2は、研磨剤(例えば、リン酸カルシウム等のアパタイト、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素など)を60%重量以上含む粉末状の歯磨剤である。30%重量未満の湿潤剤を添加してもよい。その他、発泡剤、香味剤、保存料等を添加することができる。粉歯磨き2は、新品未使用の状態で、容器本体1の内部の深さの50%以上の高さまで入っている。
【0030】
仕切り部材4は、容器本体1の内部を粉歯磨き2の上側で上下に仕切る部材である。仕切り部材4は、容器本体1の上部内周に嵌合する嵌合筒部10と、嵌合筒部10の下部から内向きに延びる内向きフランジ部11とを有する。嵌合筒部10と内向きフランジ部11は、軟質樹脂(例えば、低密度ポリエチレンやエラストマー)で一体成形されている。
【0031】
内向きフランジ部11は、粉歯磨き2を通過させるように上下方向に貫通して形成された粉歯磨き取出孔12と、粉歯磨き取出孔12を下側から上側に通過した粉歯磨き2を溜める粉歯磨き受け皿部13とを有する。
【0032】
図2に示すように、粉歯磨き取出孔12は、仕切り部材4の中央部分(内向きフランジ部11の中央部分)に設けられている。粉歯磨き受け皿部13は、粉歯磨き取出孔12を囲む環状に形成されている。粉歯磨き取出孔12は、直径15mm以下(好ましくは直径12mm以下、より好ましくは直径10mm以下)、直径5mm以上の丸穴を採用することができる。粉歯磨き取出孔12の直径を5mm以上に設定することで、粉歯磨き2のブロッキング(粉歯磨き2が粉体同士の物理的な相互作用で固まって粉歯磨き取出孔12から出なくなる現象)を防止し、確実に粉歯磨き2を粉歯磨き取出孔12を通過させることができる。粉歯磨き取出孔12の直径を15mm以下(好ましくは直径12mm以下、より好ましくは直径10mm以下)に設定することで、粉歯磨き2の使用時に仕切り部材4の下側から上側に通過する粉歯磨き2を適量以下に抑えることができる。
【0033】
図1、
図2に示すように、粉歯磨き受け皿部13は、粉歯磨き取出孔12を中心とする高さの最も低い環状の最深部14と、最深部14から粉歯磨き取出孔12に向かって高くなる土手部15と、最深部14と嵌合筒部10の間をつなぐ環状の外縁部16とを有する。土手部15は、粉歯磨き取出孔12と粉歯磨き受け皿部13の最深部14との間を横切って配置されている。図では、土手部15は、粉歯磨き取出孔12を取り囲む環状に形成されている。
【0034】
図5に示すように、土手部15は、図では、最深部14から粉歯磨き取出孔12に向かって、30°以上(好ましくは40°以上)の傾斜角をもって立ち上がるように内向きフランジ部11の上面側に形成された傾斜面である。土手部15は、最深部14から粉歯磨き取出孔12に向かって垂直に立ち上がる垂直面とすることも可能である。最深部14に対する土手部15の上端の高さは、3mm以上(好ましくは4mm以上)に設定されている。
【0035】
土手部15の上端は、嵌合筒部10の上端よりも低い位置に配置されている。適量の粉歯磨き2の排出を可能とするため、土手部15の上端と嵌合筒部10の上端の高低差は、2.0mm以上(好ましくは3.0mm以上)に設定されている。土手部15の上端は、バージンシール17(
図1、
図2参照)が貼り付けられるシール貼付面18に接続している。バージンシール17は、新品未使用の状態で、粉歯磨き2を仕切り部材4の下側に密封するための粘着シールである。シール貼付面18は、
図2に示すように、上方から見たときに粉歯磨き取出孔12の周囲を途切れずに囲む環状の平面である。
【0036】
外縁部16は、粉歯磨き受け皿部13の最深部14と嵌合筒部10との間を滑らかに接続する断面凹円弧状の面である。外縁部16を設けず、最深部14と嵌合筒部10を直角に接続することも可能である。
【0037】
図3に示すように、嵌合筒部10の上端には、容器本体1の上端の開口縁で下側から支持される外向きフランジ19が形成されている。外向きフランジ19は、容器蓋体3で容器本体1の上端開口を閉じたときに、容器蓋体3の頂壁6と容器本体1の上端の開口縁との間で上下に挟み込まれ、シール部材として機能する。
【0038】
嵌合筒部10の上端には、全周にわたって途切れずに連続する環状の内向き突起20が形成されている。内向き突起20の内径側への突出高さは、1.0mm以下に設定されている。内向き突起20と嵌合筒部10の間は、断面凹円弧状の面で滑らかに接続されている。
【0039】
嵌合筒部10の外周には、外向きフランジ19に対して下側の位置に、容器本体1の内周に締め代をもって接触する抜け止め突起21が形成されている。抜け止め突起21は、周方向に間隔をあけて間欠的に形成されている。これにより、
図4に示すように、容器本体1の上部内周に仕切り部材4を嵌め込む際に、容器本体1の内部の空気を、容器本体1の内周と嵌合筒部10の外周との間を通って、容器本体1の外部に逃がすことが可能となっている。
【0040】
図5に示すように、仕切り部材4の下面側には、粉歯磨き取出孔12に向かって次第に高くなるように傾斜した粉歯磨き取出案内面22が形成されている。粉歯磨き取出案内面22は、30°以上(好ましくは40°以上)の傾斜角をもって傾斜している。粉歯磨き取出案内面22は、粉歯磨き取出孔12を取り囲むように環状に設けられている。
【0041】
この容器入り粉歯磨きの使用例を説明する。
【0042】
まず、
図1に示すように、容器蓋体3で容器本体1の上端開口を閉じる。その状態で、
図6に示すように、容器本体1を上下逆さま(倒置)にするか、容器本体1を上下に軽く振るなどして、容器本体1に収容された粉末状の粉歯磨き2の一部を、仕切り部材4の粉歯磨き取出孔12を通過させ、容器本体1を正置した状態で仕切り部材4の上面側に移動させる。これにより、
図7に示すように、粉歯磨き取出孔12を下側から上側に通過した粉歯磨き2aの一部または全部が、仕切り部材4に設けられた粉歯磨き受け皿部13に溜まった状態となる。次に、
図8に示すように、容器蓋体3を開けて容器本体1の上端開口を開放し、粉歯磨き受け皿部13に溜まった粉歯磨き2aを露出させ、その粉歯磨き2aに歯ブラシ23を押し当てることで、歯ブラシ23に粉歯磨き2aを付着させる。そして、その歯ブラシ23で歯磨きを行なう。
【0043】
ここで、歯ブラシ23を粉歯磨き2aに押し当てて粉歯磨き2aを付着させるときに、水で濡らした歯ブラシ23を使っても、歯ブラシ23の水を含んで粘土状や泥状となる粉歯磨き2aは、粉歯磨き取出孔12を通過して仕切り部材4の上面側に移動した粉歯磨き2aであり、仕切り部材4の下側の大部分の粉歯磨き2(
図7参照)は、歯ブラシ23に直接触れないため、粉末状のままに保つことができる。
【0044】
また、仕切り部材4の上面側に移動した粉歯磨き2aが、濡らした歯ブラシ23の水を含んで粘土状や泥状になったとしても、仕切り部材4は、容器本体1から取り外して掃除することが可能なので、粘土状や泥状になった粉歯磨き2aが、仕切り部材4の下側の粉末状の粉歯磨き2(
図7参照)に混入するのを防止することができる。そのため、水で濡らした歯ブラシ23を使ったときにも、容器内の粉歯磨き2を最後まで無駄なく使用することが可能である。
【0045】
また、この容器入り粉歯磨きは、
図1に示すように、容器本体1の内部が、容器本体1に取り付けた仕切り部材4で上下に仕切られているので、粉歯磨き2を使用するために、容器蓋体3を取り外して容器本体1の上端開口を開放した状態のときに、誤って容器本体1を倒してしまっても、仕切り部材4の下側の大部分の粉歯磨き2を容器本体1の内部に保持することができ、容器本体1からこぼれる粉歯磨き2を少量に抑えることができる。
【0046】
また、この容器入り粉歯磨きは、粉歯磨き取出孔12を、仕切り部材4の中央部分に設け、粉歯磨き受け皿部13を、粉歯磨き取出孔12を囲む環状に形成しているので、容器本体1を傾けたときに、仕切り部材4の上面側にある水を含んだ粉歯磨き2aが、粉歯磨き取出孔12を通って仕切り部材4の下側に混入するのを防止することができる。
【0047】
すなわち、容器蓋体3で容器本体1の上端開口を閉じ、その状態で容器本体1を傾けたときに、仕切り部材4の上面側にある粉歯磨き2aが移動し、仕切り部材4の外周部分のうちの最も低い位置に集まることがある。ここで、仮に、粉歯磨き取出孔12を仕切り部材4の外周部分に設けたのでは、その粉歯磨き取出孔12が低い位置にくる向きに容器本体1を傾けたときに、仕切り部材4の上面側にある水を含んだ粉歯磨き2aが、粉歯磨き取出孔12を通って仕切り部材4の下側に混入するおそれがある。これに対し、上記実施形態のように、粉歯磨き取出孔12を仕切り部材4の中央部分に設けると、容器本体1をいずれの向きに傾けても、仕切り部材4の上面側にある水を含んだ粉歯磨き2aが、粉歯磨き取出孔12を通って仕切り部材4の下側に混入するのを防止することが可能である。
【0048】
また、この容器入り粉歯磨きは、粉歯磨き受け皿部13にある粉歯磨き2aが水を含んで泥状になったときにも、その泥状になった粉歯磨き2aが土手部15でせき止められるので、泥状になった粉歯磨き2aが粉歯磨き取出孔12を通って仕切り部材4の下側に混入するのを防止することが可能である。
【0049】
また、この容器入り粉歯磨きは、
図8に示すように、嵌合筒部10の上端に環状の内向き突起20を形成しているので、仕切り部材4の上面側にある粉歯磨き2aを嵌合筒部10の内周に沿って押し上げたときに、その粉歯磨き2aが、嵌合筒部10の上端の内向き突起20に接触して内側に落下する。そのため、仕切り部材4の上面側にある粉歯磨き2aに歯ブラシ23を押し当て、その歯ブラシ23を動かしたときに、歯ブラシ23で嵌合筒部10の内周に沿って押し上げられた粉歯磨き2aが、嵌合筒部10の上端を乗り越えて容器本体1の外側にこぼれ出るのを防止することができる。
【0050】
また、この容器入り粉歯磨きは、
図1に示すように、仕切り部材4の下面に、粉歯磨き取出孔12に向かって次第に高くなるように傾斜した粉歯磨き取出案内面22を形成しているので、容器蓋体3で容器本体1の上端開口を閉じた状態で、容器本体1を上下逆さまにしたときに、粉歯磨き取出案内面22の傾斜により、容器内の粉歯磨き2を粉歯磨き取出孔12に向かって誘導することができる。そのため、容器内の粉歯磨き2を最後まで取り出すのが容易である。
【0051】
図9、
図10に、この発明の第2実施形態の容器入り粉歯磨きを示す。第2実施形態は、第1実施形態と仕切り部材4の構成の一部が異なるのみであり、その他の構成は同一である。そのため、第1実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図9に示すように、粉歯磨き受け皿部13は、仕切り部材4の中央部分(内向きフランジ部11の中央部分)に設けられている。粉歯磨き受け皿部13は、上面側が凹んだ凹球面状に形成されている。嵌合筒部10の外周は、締め代をもって容器本体1の内周に嵌め込まれている。
図10に示すように、粉歯磨き取出孔12は、粉歯磨き受け皿部13を中心とする同一円周上に周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0053】
上記各実施形態では、容器本体1の上端開口を開閉する容器蓋体3として、容器本体1への取り付けと取り外しによって容器本体1の上端開口を開閉するものを例に挙げて説明したが、例えば、容器本体1の上端開口の縁部に設けたヒンジ(図示せず)を介して容器本体1に揺動可能に連結され、容器本体1に対する揺動によって容器本体1の上端開口を開閉する容器蓋体3を採用することも可能である。また、容器本体1の上端開口を開閉する容器蓋体3としては、例えば、容器本体1の上端に装着される蓋枠(図示せず)と、その蓋枠に揺動可能に連結された蓋本体(図示せず)とで構成され、その蓋本体の蓋枠に対する揺動によって、容器本体1の上端開口を開閉する構成のものを採用することも可能である。この場合、蓋本体の蓋枠との嵌合によって、容器本体1の上端開口が閉じた状態となり、蓋本体の蓋枠との嵌合が外れることによって、容器本体1の上端開口が開いた状態となる。
【0054】
また、上記各実施形態では、容器本体1として円筒状のものを例に挙げて説明したが、角筒状や楕円筒状のものを採用することも可能である。この場合、仕切り部材4の嵌合筒部10は、上記各実施形態の図に示す円筒状のものから、角筒状、楕円筒状の容器本体1の上部内周に嵌合する角筒状、楕円筒状のものに変更すればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 容器本体
2 粉歯磨き
3 容器蓋体
4 仕切り部材
10 嵌合筒部
12 粉歯磨き取出孔
13 粉歯磨き受け皿部
14 最深部
15 土手部
20 内向き突起
22 粉歯磨き取出案内面
23 歯ブラシ