(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】機能拡張アタッチメントを備えた膝継手、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具及び機能拡張アタッチメントの使用方法
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20240321BHJP
A61F 2/62 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61H3/00 B
A61F2/62
(21)【出願番号】P 2020144640
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年度 福祉用具実用化開発費助成金に係る事業年度末実績報告書
(73)【特許権者】
【識別番号】594140786
【氏名又は名称】株式会社徳田義肢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100169133
【氏名又は名称】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】徳田 和彦
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140303(JP,A)
【文献】特開2019-122514(JP,A)
【文献】特表2020-500732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
A61F 2/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントを備えた膝継手に於いて、
該アタッチメントは、
機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、
該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、
該アーム部材及び
該リンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、
該リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、
該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節
部材のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、
機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、
機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放するこ
とを特徴とする、
機能拡張アタッチメントを備えた膝継手。
【請求項2】
該アタッチメントベースは機能拡張部品に接する面にバネ要素部品或いはダンパー部品を有し、
機能拡張部品の装着固定時には該バネ要素部品により機能拡張部品が押圧されていることを特徴とする、請求項
1に記載の機能拡張アタッチメントを備えた膝継手。
【請求項3】
機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントを備えた長下肢装具に於いて、
該機能拡張部品は膝継手であって、一対のアタッチメントを備えてなり、
該アタッチメントは、
機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、
該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、
該アーム部材及び
該リンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、
該リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、
該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節
部材のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、
機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、
機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放するこ
とを特徴とする、
機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具。
【請求項4】
該長下肢装具に備えられた膝継手は、
立脚相での膝折れ防止機構を備えたことを特徴とする、
請求項
3記載の機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具。
【請求項5】
該長下肢装具に備えられた膝継手は、
立脚相と遊脚相の制御機構を備えたことを特徴とする、
請求項
3又は
4記載の機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具。
【請求項6】
該アタッチメントベースは機能拡張部品に接する面にバネ要素部品或いはダンパー部品を有し、
機能拡張部品の装着固定時には該バネ要素部品により機能拡張部品が押圧されていることを特徴とする、
請求項
3乃至
5の何れか一に記載の機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構の応用に関し、具体的には機能拡張アタッチメントを備えた膝継手、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具及び機能拡張アタッチメントの使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳卒中の急性期リハビリテーションをはじめとして、長下肢装具を用いることによりリハビリテーション効率を向上させ、治療効率の向上を図る取り組みがなされている。
【0003】
脳卒中のリハビリテーションに於いては、様々な機能が必要とされ、また、リハビリテーションの進捗に伴い必要な機能も変化する。このため、長下肢装具には多くのバリエーションが必要であり、これら多様なニーズに対応することはコスト的にも問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015ー217124号公報
【文献】特表2012ー525226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対応するため、異なった機能を発揮するアタッチメントを着脱して用いることができれば、コスト的にも非常に有効である。また、臨床に於いてはワンタッチで工具等を用いることなく着脱が可能であれば時間的なメリットも大きく、そのニーズは大である。
【0006】
しかし、アタッチメント機構に関しては安全性が大前提であり、その上で、ワンタッチで容易に着脱可能な嵌合機構が求められている。ここで、かかるワンタッチで容易に着脱可能な嵌合機構は、長下肢装具のみならず多くの用途に於いて機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構として有効である。
【0007】
これらの課題を解決するため、発明者は、簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができる、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントを備えた膝継手に於いて、該アタッチメントは、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であることを特徴とする、機能拡張アタッチメントを備えた膝継手である。
【0009】
また本発明は、該一対のリンク節部材が、夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、該一対のリンク節部材が夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接され、
該アタッチメントルーフに連接された部位がリンク位置として機能することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、該一対のリンク節部材及びアタッチメントルーフにより形成されたリンク位置が、該アタッチメントルーフを上下することにより思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、該一対のアーム部材が夫々の一端が軸を介して軸を介してリンク節及びアタッチメントベースに連接され、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、該アタッチメントルーフが一対のリンク節部材と軸を介して連接され、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、該アタッチメントベースが機能拡張部品に接する面にバネ要素部品或いはダンパー部品を有し、機能拡張部品の装着固定時には該バネ要素部品により機能拡張部品が押圧されていることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品がコイルバネであることを特徴とする。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が板ばね、渦巻ばね、トーションバー或いは皿ばねであることを特徴とする。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が金属製であることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたダンパー部品がゴムアイソレータであることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが金属又はプラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とし、さらに本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが軽金属、軽合金、高強度プラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントを備えた長下肢装具に於いて、該機能拡張部品は膝継手であって、一対のアタッチメントを備えてなり、該アタッチメントは、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であり、一対の該アタッチメントを長下肢装具の大腿部及び下腿部に夫々着脱することを特徴とする、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具である。
【0019】
また本発明は、該長下肢装具に備えられた膝継手が立脚相での膝折れ防止機構を備えたことを特徴とし、さらに本発明は、該長下肢装具に備えられた膝継手が立脚相と遊脚相の制御機構を備えたことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、該一対のリンク節部材が、夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接されることを特徴とする長下肢装具である。
【0021】
また本発明は、該一対のリンク節部材が夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接され、
該アタッチメントルーフに連接された部位がリンク位置として機能することを特徴とする長下肢装具である。
【0022】
また本発明は、該一対のリンク節部材及びアタッチメントルーフにより形成されたリンク位置が、該アタッチメントルーフを上下することにより思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であることを特徴とする長下肢装具である。
【0023】
また本発明は、該一対のアーム部材が夫々の一端が軸を介して軸を介してリンク節及びアタッチメントベースに連接され、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする長下肢装具である。
【0024】
また本発明は、該アタッチメントルーフが一対のリンク節部材と軸を介して連接され、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする長下肢装具である。
【0025】
また本発明は、該アタッチメントベースが機能拡張部品に接する面にバネ要素部品或いはダンパー部品を有し、機能拡張部品の装着固定時には該バネ要素部品により機能拡張部品が押圧されていることを特徴とする長下肢装具である。
【0026】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品がコイルバネであることを特徴とする長下肢装具である。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が板ばね、渦巻ばね、トーションバー或いは皿ばねであることを特徴とする長下肢装具である。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が金属製であることを特徴とする長下肢装具である。
【0027】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたダンパー部品がゴムアイソレータであることを特徴とする長下肢装具である。
【0028】
また本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが金属又はプラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とし、さらに本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが軽金属、軽合金、高強度プラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とする長下肢装具である。
【0029】
また本発明は、上記の機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントの使用方法であって、該機能部品は長下肢装具に用いる膝継手、装具に用いる機能部品、車椅子のパイプに用いる機能部品、医療介護機材への機能拡張部品、建築現場用足場に於ける接続部品或いは仮設構造物に於ける接続部品の設置、電柱等の構造物への機能部品の架設、建築物への機能部品の架設、家具への機能部品の架設、家電の設置或いは照明器具の設置に用いることを特徴とする、機能拡張アタッチメントの使用方法である。
【0030】
かかる構成とすることにより、簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができる、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構が実現され、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能な機能拡張アタッチメントを備えた膝継手或いは長下肢装具が実現された。
【0031】
本発明に係る機能拡張アタッチメントは簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができ、ワンタッチでの着脱が可能で作業性が格段に向上した機能拡張アタッチメントであり、特に長下肢装具に於ける膝継手の着脱に於いては非常な効果を発揮した。
【0032】
また本発明に係る機能拡張アタッチメントは長下肢装具に於ける膝継手の着脱に用いるのみならず、装具に用いる機能部品、車椅子のパイプに用いる機能部品、医療介護機材への機能拡張部品、建築現場用足場に於ける接続部品或いは仮設構造物に於ける接続部品の設置、電柱等の構造物への機能部品の架設、建築物への機能部品の架設、家具への機能部品の架設、家電の設置或いは照明器具の設置など、広範な用途に用いることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の機能拡張アタッチメント備えた膝継手、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具及び機能拡張アタッチメントの使用方法は、簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができる、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構が実現され、我が国産業の発展に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は本発明に係る機能拡張アタッチメントの開放時の構成例を示す概念図である。
【
図2】
図2は本発明に係る機能拡張アタッチメントの機能部品把持時の構成例を示す概念図である。
【
図3】
図3は本発明に係る機能拡張アタッチメントの機能を解説するための断面概念図である。
【
図4】
図4は本発明に係る機能拡張アタッチメントを長下肢装具の膝継手における機能拡張に用いる場合の構成例を示す概念図である。
【
図5】
図5は本発明に係る機能拡張アタッチメントを長下肢装具の膝継手における機能拡張のために用いる場合の実施例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、機能拡張部品を着脱するためのアタッチメント備えた膝継手に於いて、該アタッチメントは、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であることを特徴とする、機能拡張アタッチメント備えた膝継手である。
【0036】
また本発明は、該一対のリンク節部材が、夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接されることを特徴とする。
【0037】
また本発明は、該一対のリンク節部材が夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接され、
該アタッチメントルーフに連接された部位がリンク位置として機能することを特徴とする。
【0038】
また本発明は、該一対のリンク節部材及びアタッチメントルーフにより形成されたリンク位置が、該アタッチメントルーフを上下することにより思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であることを特徴とする。
【0039】
また本発明は、該一対のアーム部材が夫々の一端が軸を介して軸を介してリンク節及びアタッチメントベースに連接され、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする。
【0040】
また本発明は、該アタッチメントルーフが一対のリンク節部材と軸を介して連接され、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする。
【0041】
また本発明は、該アタッチメントベースが機能拡張部品に接する面にバネ要素部品或いはダンパー部品を有し、機能拡張部品の装着固定時には該バネ要素部品により機能拡張部品が押圧されていることを特徴とする。
【0042】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品がコイルバネであることを特徴とする。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が板ばね、渦巻ばね、トーションバー或いは皿ばねであることを特徴とする。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が金属製であることを特徴とする。
【0043】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたダンパー部品がゴムアイソレータであることを特徴とする。
【0044】
また本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが金属又はプラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とし、さらに本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが軽金属、軽合金、高強度プラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とする。
【0045】
また本発明は、機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントを備えた長下肢装具に於いて、該機能拡張部品は膝継手であって、一対のアタッチメントを備えてなり、該アタッチメントは、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材と、該アーム部材を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベースと、リンク節部材と連接され、位置を上下することにより該リンク節部材のリンク位置を変更するアタッチメントルーフとを備え、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であり、一対の該アタッチメントを長下肢装具の大腿部及び下腿部に夫々着脱することを特徴とする、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具である。
【0046】
また本発明は、該長下肢装具に備えられた膝継手が立脚相での膝折れ防止機構を備えたことを特徴とし、さらに本発明は、該長下肢装具に備えられた膝継手が立脚相と遊脚相の制御機構を備えたことを特徴とする。
【0047】
また本発明は、該一対のリンク節部材が、夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接されることを特徴とする長下肢装具である。
【0048】
また本発明は、該一対のリンク節部材が夫々の一端が共通の軸を介してアタッチメントルーフに連接され、夫々の他の一端が軸を介してリンク節及びアタッチメントルーフに連接され、
該アタッチメントルーフに連接された部位がリンク位置として機能することを特徴とする長下肢装具である。
【0049】
また本発明は、該一対のリンク節部材及びアタッチメントルーフにより形成されたリンク位置が、該アタッチメントルーフを上下することにより思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能であることを特徴とする長下肢装具である。
【0050】
また本発明は、該一対のアーム部材が夫々の一端が軸を介して軸を介してリンク節及びアタッチメントベースに連接され、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする長下肢装具である。
【0051】
また本発明は、該アタッチメントルーフが一対のリンク節部材と軸を介して連接され、該アタッチメントルーフを上下することにより該リンク節のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際には該アタッチメントルーフを下方に押し込むことにより該リンク節のリンク位置が思案点より下部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより該リンク節部材のリンク位置が思案点より上部に配置され且つ該リンク節部材により該アーム部材が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を着脱することを特徴とする長下肢装具である。
【0052】
また本発明は、該アタッチメントベースが機能拡張部品に接する面にバネ要素部品或いはダンパー部品を有し、機能拡張部品の装着固定時には該バネ要素部品により機能拡張部品が押圧されていることを特徴とする長下肢装具である。
【0053】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品がコイルバネであることを特徴とする長下肢装具である。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が板ばね、渦巻ばね、トーションバー或いは皿ばねであることを特徴とする長下肢装具である。さらに本発明は、該アタッチメントベースに備えられたバネ要素部品が金属製であることを特徴とする長下肢装具である。
【0054】
また本発明は、該アタッチメントベースに備えられたダンパー部品がゴムアイソレータであることを特徴とする長下肢装具である。
【0055】
また本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが金属又はプラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とし、さらに本発明は、該機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントに用いられるアーム部材、リンク節部材、アタッチメントルーフ及びアタッチメントベースが軽金属、軽合金、高強度プラスチック、或いはそれらの複合材料で構成されたことを特徴とする長下肢装具である。
【0056】
また本発明は、上記の機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントの使用方法であって、該機能部品は長下肢装具に用いる膝継手、装具に用いる機能部品、車椅子のパイプに用いる機能部品、医療介護機材への機能拡張部品、建築現場用足場に於ける接続部品或いは仮設構造物に於ける接続部品の設置、電柱等の構造物への機能部品の架設、建築物への機能部品の架設、家具への機能部品の架設、家電の設置或いは照明器具の設置に用いることを特徴とする、機能拡張アタッチメントの使用方法である。
【0057】
かかる構成とすることにより、簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができる、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構が実現され、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能な機能拡張アタッチメント備えた膝継手或いは長下肢装具が実現された。
【0058】
本発明に係る機能拡張アタッチメントは簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができ、ワンタッチでの着脱が可能で作業性が格段に向上した機能拡張アタッチメントであり、特に長下肢装具に於ける膝継手の着脱に於いては非常な効果を発揮した。
【0059】
また本発明に係る機能拡張アタッチメントは長下肢装具に於ける膝継手の着脱に用いるのみならず、装具に用いる機能部品、車椅子のパイプに用いる機能部品、医療介護機材への機能拡張部品、建築現場用足場に於ける接続部品或いは仮設構造物に於ける接続部品の設置、電柱等の構造物への機能部品の架設、建築物への機能部品の架設、家具への機能部品の架設、家電の設置或いは照明器具の設置など、広範な用途に用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明に係る機能拡張アタッチメントを備えた膝継手、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具及び機能拡張アタッチメントの使用方法につき、実施例に基づいて説明する。まず、本発明に係る特に膝継手或いは長下肢装具に用いられる機能拡張アタッチメントの構成について説明する。
図1は、本発明に係る機能拡張アタッチメントの開放時の構成例を示す概念図である。
【0061】
該アタッチメントは、機能拡張部品の固定時に機能拡張部品を把持し固定する一対のアーム部材2と、アーム部材2を機能拡張部品の固定時及び開放時に夫々の所定位置に変位させる一対のリンク節部材3と、アーム部材及びリンク節部材と連接されるアタッチメントベース1と、リンク節部材と連接され、位置を上下することによりリンク節部材3のリンク位置を変更するアタッチメントルーフ4とを備え、アタッチメントルーフ4を上下することによりリンク節3のリンク位置が思案点に対して相反する位置になるように設定されてなり、機能拡張部品を装着固定する際にはアタッチメントルーフ4を下方に押し込むことによりアーム部材2が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持し、機能拡張部品を脱着解放する際にはアタッチメントルーフ4を上方に押し上げることによりアーム部材2が機能拡張部品の解放位置に変位して機能拡張部品を解放することにより、機能拡張部品を固定把持している時点ではアーム部材2が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時にはアタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能な構成である。
【0062】
図2は、本発明に係る機能拡張アタッチメントの機能部品把持時の構成例を示す概念図である。アタッチメントルーフ4は下方に位置し、アーム部材2が機能拡張部品の固定位置に変位して機能拡張部品を固定把持する。ここで、本図では機能拡張部品は記載していないが、アーム部材2に把持される位置に機能拡張部品の一部が固定されるようにする。
【0063】
図3は本発明に係る機能拡張アタッチメントの機能を解説するための断面概念図である。リンク節部材3は、アタッチメントルーフ4の位置により思案点に対して上方或いは下方の位置を取る。思案点は、リンク装置にみられる動作で、原動リンクが一定方向に運動するにもかかわらず、従動リンクは複数以上の運動をとりうる場合があり、その特殊な位置をいう。思案点に於いては、複数の方向への運動を取りうるため、動作の制御のためには一定方向へ運動を強制する必要がある。本発明に係る機能拡張アタッチメントに於いては、この強制運動をアタッチメントルーフ4の位置により決定している。
【0064】
即ち、本発明は、思案点の両側に存在する「安全で外れる可能性のない(機械的に破壊する場合を除く)嵌合状態」と「ワンタッチで遷移させることのできる開放状態」を、シンプルな機械的構成により実現した。
【0065】
図1に於ける解放状態に於いては、アタッチメントルーフ4を意図的に上方に引き上げることによりリンク節3のリンク接合部が思案点ラインを超えて上方へ移動し、アーム部材2が開いて対象物を取り外すことができる。
【0066】
図2に於ける保持状態に於いては、アタッチメントルーフ4を意図的に引き下げることによりリンク節3のリンク接合部が思案点ラインを超えて下方へ移動し、アーム部材2が閉じて対象物を保持することができる。ここで、対象物はアタッチメントベース1に備えたバネ部材により常に下方に押されている状態とした。係る状態になると、対象物はアーム部材2を開く方向に押そうとする力が働く。対象物を外そうとする外力が加わった場合にも、同様の力が働くことは言うまでもない。この際、アーム部材2はリンク節3で接合されているため、前記のアーム部材2を開く方向に押そうとする力の作用はリンク節3の接合部を思案点より下方に動かそうとする方向に働く。
【0067】
リンク節3の接合部が思案点より上方に位置しない限りアームが開くことはないから、結局アーム部材2が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがない。なお、機能拡張部品の脱着解放時にはアタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能である。
【0068】
図4は本発明に係る機能拡張アタッチメントを長下肢装具の膝継手における機能拡張に用いる場合の構成例を示す概念図である。本実施例では、機能拡張部品を着脱するためのアタッチメントを備えた長下肢装具に於いて、該機能拡張部品は膝継手であって、本発明に係る一対のアタッチメントを備えるようにした。下肢装具に備えられた膝継手は、立脚相と遊脚相の制御機構を備えるようにした。勿論、制御機構には立脚相での膝折れ防止機構が含まれる。
【0069】
図5は本発明に係る機能拡張アタッチメントを長下肢装具の膝継手における機能拡張のために用いる場合の実施例を示す概念図である。このように、、本発明に係る一対のアタッチメントを備えたことで長下肢装具の機能拡張がワンタッチで可能となり、リハビリテーションの現場における医療従事者の負担を軽減するとともにリハビリテーション効率を向上させることのできる長下肢装具を実現することが出来た。
【0070】
かかる構成とすることにより、簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができる、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構が実現され、機能拡張部品を固定把持している時点では該アーム部材が破断しない限り機能拡張部品が脱着することがなく安全性が高く、機能拡張部品の脱着解放時には該アタッチメントルーフを上方に押し上げることにより簡便に脱着解放が可能な機能拡張アタッチメント備えた膝継手或いは長下肢装具が実現された。
【0071】
本発明に係る機能拡張アタッチメントは簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができ、ワンタッチでの着脱が可能で作業性が格段に向上した機能拡張アタッチメントであり、特に長下肢装具に於ける膝継手の着脱に於いては非常な効果を発揮した。
【0072】
また本発明に係る機能拡張アタッチメントは長下肢装具に於ける膝継手の着脱に用いるのみならず、装具に用いる機能部品、車椅子のパイプに用いる機能部品、医療介護機材への機能拡張部品、建築現場用足場に於ける接続部品或いは仮設構造物に於ける接続部品の設置、電柱等の構造物への機能部品の架設、建築物への機能部品の架設、家具への機能部品の架設、家電の設置或いは照明器具の設置など、広範な用途に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の機能拡張アタッチメントを備えた膝継手、機能拡張アタッチメントを備えた長下肢装具及び機能拡張アタッチメントの使用方法は、簡便な構成で、且つ、十分な強度と安全性を確保することができる、機能拡張部品を後付けするためのワンタッチ着脱が可能なアタッチメント機構が実現され、我が国の保健衛生の向上に有効であるとともに、産業上の利用可能性は大であると言える。
【符号の説明】
【0074】
1 アタッチメントベース
2 アーム部材
3 リンク部材
4 アタッチメントルーフ