(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
F16B 7/20 20060101AFI20240321BHJP
F16B 21/04 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F16B7/20 A
F16B21/04 B
(21)【出願番号】P 2022021224
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-031421(JP,U)
【文献】特開2017-210993(JP,A)
【文献】特表2012-500949(JP,A)
【文献】特開2004-204926(JP,A)
【文献】特開2019-027107(JP,A)
【文献】米国特許第04986690(US,A)
【文献】中国実用新案第212643271(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00-7/22
F16B 21/21-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックパーツ、キャッチパーツ、中間パーツからなるパーツを備え、前記フックパーツと前記キャッチパーツには夫々鍔部が設けられ、前記中間パーツの胴部は前記鍔部よりも径の小さく、前記フックパーツと前記キャッチパーツを直接若しくは、前記フックパーツと前記キャッチパーツの間に有する一又は複数の中間パーツを軸方向に連結する連結具であって、
前記中間パーツの片側端部及び前記フックパーツは、外周面に半径方向に突出した2つ以上の突起を有する軸部と、前記軸部の先端に設けられ、平面視において前記軸部より突出した部位を点対称位置に設け長方形状の頭部とを有し、かつ前記突起は平面視において前記突出した部位の下に隠れるように設けられており、
前記中間パーツの他方側端部及び前記キャッチパーツは、連結される他のパーツの軸部とその先端に設けられた頭部の平面視形状を合成した形状の合成孔とその奥に当該頭部が旋回可能な旋回空間が設けられ、前記合成孔の内周面に対して当該頭部が旋回したとき前記他のパーツの軸部の突起を収容する溝が設けられていることを特徴とする連結具。
【請求項2】
請求項1の連結具において、あるパーツの前記旋回空間には、他のパーツの頭部が旋回して当該他のパーツの突起が自己の複合孔の溝に収容されたとき、当該頭部のさらなる旋回を妨げるストッパが設けられていることを特徴とする連結具。
【請求項3】
請求項1の連結具において、前記中間パーツの胴部は、中心を挟んで側平面を対称に有する形状であることを特徴とする連結具。
【請求項4】
請求項3の連結具において、前記中間パーツ同士を連結するとき、一方の中間パーツの前記側平面は、他の中間パーツの突起が自己の溝に収容されたときに、他の中間パーツの側平面と揃うことを特徴とする連結具。
【請求項5】
請求項1の連結具において、前記フックパーツの鍔部には、治具により回転操作可能な操作溝が設けられていることを特徴とする連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材同士を連結する連結具に関し、特に軸長を容易に変更可能な連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場間で例えば自動車部品などの製品を運搬する運搬容器では、枠体若しくは筐体の主材となる金属フレームやプラ段にクッション材を配置し、その上に搭載される製品が傷付き若しくは変形しないように構成されている。
【0003】
部材同士を容易に固定する連結具として、例えば、特許文献1-5が知られている(尚、特許文献5は、衣服用のボタン)。代表して特許文献1を説明すると、対となる上部固定器具と下部固定器具を具備し、上部固定器具には結合構造となる頭部が設けられている。この構造は、軸部とその先端に長方形状の頭部が軸部の左右に張り出すことにより、側面視において概略T字形状をなしている。下部固定器具の挿入穴部に上部固定器具の結合構造を挿入して、捻ることにより連結される。特許文献2-5にも、側面視T字状を呈した締結具が開示されている。また、特許文献1-4には、軸方向の上下に配置された突起と孔が嵌まることにより回転を阻止して連結状態を維持する構造も開示されている。
【0004】
一方、特許文献6、7には、部材同士を連結する締結具ではないが、アルバムの台紙の増減に伴い、軸材の長さが変更できる綴具が示されている。特に、特許文献6においては、軸方向に対して垂直に張り出したピンを持つ締結構造を軸材に適用する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-256879号公報
【文献】特公昭53-4470号公報
【文献】実開平5-40608号公報
【文献】特開2002-147418号公報
【文献】特開2000-350606号公報
【文献】実開昭49-31421号公報
【文献】実開昭53-111824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1-5に示されるT字状の突起を有する連結具は、90度捻るだけで締結することができ、ボルトやナットのように何回転も回すこともなく、また電動ドライバなどの動力工具も必要無いという利点がある。また、特許文献1-4では、軸方向の上下に配置された突起と孔が嵌まることにより回転を阻止して連結状態を維持する構成を持っている。この連結状態を維持する構成のバネ性や強度を高めるに従い、部材同士の固定をより確実なものにすることができる。
【0007】
一方、特許文献6に示されるような綴具では、部材同士を固定する連結具にみられるような回転を阻止して連結状態を維持する構成は、見当たらない。従って、運搬時の振動に対しても緩まずに部材同士の固定状態を維持する運搬容器の用途には用いる事ができない。特許文献7に示されるような綴具では、ボルトやナットのように何回転も回して連結しなければならない。
【0008】
運搬容器は、搭載する製品対応に少ロット生産のものが多い。クッション材としては、発泡樹脂による厚さの厚いものや薄いものや、真空成形による薄いもの等、様々な部材が利用されており、一方、クッション材を取り付ける相手には、金属板や、段ボール板、プラ段等、こちらも厚さは多様である。運搬容器を作成するメーカは、枠体若しくは筐体に対して様々な形態のクッション材を連結できるように、多種多様な軸長の連結具を予め備えておく必要がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ボルトやナットのような何回転も回すこともなくフックパーツとキャッチパーツとにより取付け部品を挟持し、一方をひねることにより取付け部品を固定することが可能とした連結具であって、フックパーツとキャッチパーツの中間に一又は複数の中間パーツを連結してフックパーツとキャッチパーツの間隔を選択的に変更可能とする一方、運搬時の振動に対しても緩まずに部材同士の固定状態を維持する連結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明による連結具は、フックパーツ、キャッチパーツ、中間パーツからなるパーツを備え、前記フックパーツと前記キャッチパーツには夫々鍔部が設けられ、前記中間パーツの胴部は前記鍔部よりも径の小さく、前記フックパーツと前記キャッチパーツを直接若しくは、前記フックパーツと前記キャッチパーツの間に有する一又は複数の中間パーツを軸方向に連結する連結具であって、
前記中間パーツの片側端部及び前記フックパーツは、外周面に半径方向に突出した2つ以上の突起を有する軸部と、前記軸部の先端に設けられ、平面視において前記軸部より突出した部位を点対称位置に設け長方形状の頭部とを有し、かつ前記突起は平面視において前記突出した部位の下に隠れるように設けられており、
前記中間パーツの他方側端部及び前記キャッチパーツは、連結される他のパーツの軸部とその先端に設けられた頭部の平面視形状を合成した形状の合成孔とその奥に当該頭部が旋回可能な旋回空間が設けられ、前記合成孔の内周面に対して当該頭部が旋回したとき前記他のパーツの軸部の突起を収容する溝が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボルトやナットのような何回転も回すこともなく上部固定器具と下部固定器具とにより取付け部品を挟持し、一方をひねることにより取付け部品を固定することが可能とした連結具であって、軸材自体を一又は複数連結して軸の長さを選択的に変更可能とする一方、運搬時の振動に対しても緩まずに部材同士の固定状態を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】連結具を構成するパーツを示す図であり、
図1A、1Bはフックパーツの夫々平面斜視図、底面斜視図を示し、
図1C、1Dはキャッチパーツの夫々平面斜視図、底面斜視図を示し、
図1Eはキャッチパーツの底面図である。
【
図2】連結具を構成するパーツを示す図であり、
図2A、2Bは短尺の中間パーツAの夫々平面斜視図、底面斜視図を示し、
図2C、2Dは長尺の中間パーツBの夫々平面斜視図、底面斜視図を示し、
図2Eは中間パーツの平面図、
図2Fは奥部の断面図である。
【
図3】フックパーツとキャッチパーツとを連結する動作について説明する図であり、
図3Aはフックパーツとキャッチパーツの連結前の状態を示す図、
図3Bは連結途中の状態を示す図、
図3Cはキャッチパーツを捻ったときの状態を示す図、
図3Dは
図3Bの状態における平面図、
図3Eはそのときにおける軸部の位置の断面図、
図3Fは
図3Cの状態における平面図、
図2Gはそのときにおける軸部の位置の断面図である。
【
図4】中間パーツ同士を連結する動作について説明する図であり、
図4Aは連結前の状態を示す図、
図4Bは中間パーツを捻ったときの状態を示す図、
図4Cは捻る前における軸部の位置の断面図、
図4Dは
図4Bの状態における軸部の位置の断面図、
図4Eは捻る前における頭部の位置の断面図、
図4Fは
図4Bの状態における頭部の位置の断面図である。
【
図5】上からキャッチパーツ、中間パーツB、中間パーツA、フックパーツの順で連結された連結具を分解している途中の様子を示す図である。
【
図6】連結具を用いて生産された運搬容器を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の連結具は、複数のパーツから成り、鍔部を有するフックパーツとキャッチパーツ及び、キャッチパーツとフックパーツの中間に一又は複数の連結される中間パーツを具備する。本発明の連結具は、キャッチパーツとフックパーツとにより取付け部品を挟持し、一方をひねることにより取付け部品を固定することが可能である。さらに、中間パーツを一又は複数連結してキャッチパーツとフックパーツの間隔を選択的に変更可能にする。中間パーツ同士若しくは、中間パーツとキャッチパーツとフックパーツの連結の構造は、一方側の軸部とその先端に設けられた頭部を、他方側の挿入穴部に挿入して捻ることにより連結する構造で共通化する。この構造により、ボルトやナットのように何回転も回すこともなく、また電動ドライバなどの動力工具も必要無とせずに連結できるようにする。
【0014】
そして、本発明の連結具は、運搬容器に用いられる連結具を想定しており、運搬時の振動に対する緩みを止める機能を設けている。一方で、本発明の連結具は、軸方向に多段にパーツを連結することを想定している。このため、特許文献1-4に示された軸方向の上下に配置された突起と孔が嵌まる構成を採用することができない。軸方向の上下に配置された突起と孔が嵌まる構成では、捻られて突起が孔に嵌まる過程で、突起が移動する空間を確保するために上下方向の多少の隙間を空けておくことが現実的には必要である。もし、多少の隙間も無い状態にしようとすると、頭部の素材を柔軟なものにする必要性や、突起の削れに対応する必要が生じる。このような多少の隙間は、突起が孔に嵌まった状態では、上下方向のガタになる。上下方向のガタを有した状態でフックパーツとキャッチパーツ、中間パーツを多段に連結すると、ガタが蓄積されて大きくなる。また、中間パーツは、固定する部材を貫通する孔を通す為に、そもそも限られた断面積しかない。このように、特許文献1-4において開示された連結状態を維持する構成を採用することができない。
【0015】
従って、本発明では、中間パーツの片側端部とフックパーツは、軸部とその先端に設けられた頭部とを有するものであるが、挿入して捻ることにより連結する連結構造として、軸部の外周面に半径方向に突出した2つ以上の軸方向に連なる突起を設けている。中間パーツの他方側端部とキャッチパーツは、他のパーツの軸部とその先端に設けられた頭部を挿入する穴部が設けられているが、穴部の内周面に対して突起を収容する溝が設けられている。この構成の連結構造では、挿入して捻る過程において軸方向に連なる突起は、軸部と他のパーツの穴部の間の隙間を移動する。この隙間は軸方向に対して半径方向の隙間であるため、ガタがあるとしても半径方向であり、上下方向のガタではない。また、実施例において説明するように、溝と突起とが接触することにより半径方向のガタも解消される。
【0016】
図1において、フックパーツ10(
図1A、1B)、キャッチパーツ20(
図1C、1D)、の夫々平面斜視図、下面斜視図を示す。
図1Eは、キャッチパーツ20の平面図である。これの部材は、樹脂の一体成形部品である。図において、軸方向Zおよび互いに直交するX方向、Y方向を示した。
【0017】
図1A、1Bを参照し、フックパーツ10は、平面視において概ねX方向を長辺11bとする長方形状の鍔部11と、胴部12と、胴部12よりも小径の軸部13と、頭部14とを具備している。頭部14は、X方向を一対の平行な長辺14aとした概ね長方形状で有り、平面視において軸部より突出した部位14bを点対称位置に設けている。軸部13の外周面には、軸方向Zに対して半径方向に突出した2つ以上の突起15(図では、一方が隠れている)が設けられている。突起15は、平面視において軸部より突出した頭部14の部位14bの下側に隠れるように、頭部14と胴部12との間に軸方向Zに長く設けられている。本実施例においては、突起15は、180度の点対象位置であって、図ではX方向を向いている。また、突起15は、胴部12と頭部14との間を結ぶように直線状に存在している。胴部12と頭部14に接続することで、突起15の強度を高めている。
図1Bにおいて、鍔部11の中央には、マイナスドライバ等の治具により回転操作可能な操作溝11aが設けられている。また、胴部12は、中心を挟んでX方向の側平面12aを対称に有する形状になっている。
【0018】
図1C、1D、1Eを参照し、キャッチパーツ20は、平面視において概ねX方向を長辺21bとする長方形状の鍔部21と、ネックカラー部22とを具備している。
図1Dを参照し、鍔部21の底面には、フックパーツ10の胴部12若しくは後述する中間パーツの胴部32、42を周壁で外環する窪み部23が設けられている。
【0019】
窪み部23の中心には、他のパーツの軸部(13、後述の33)とその先端に設けられた頭部(14、後述の34)の平面視形状を合成した形状の合成孔60が設けられている。
図1Eを参照して合成孔60を説明すると、まず、中心の位置に中心孔61が設けられている。中心孔61の範囲を破線で示した。中心孔61には、他のパーツの軸部(13、33)が通過可能である。中心孔61の外側に他のパーツの頭部(14、34)が通過可能なY方向に広くX方向に狭い透孔62が設けられている。そして、中心孔61は、他のパーツの軸部(13、33)を包囲する包囲壁61aと、他のパーツの突起(15、後述の35)を収容する溝61bが設けられている。他のパーツの軸部(13、33)が包囲壁61aに包囲され捻られたときに他のパーツの突起(15、35)が旋回移動可能なように、他のパーツの軸部(13、33)と包囲壁61aとの間には隙間が存在するような半径方向の寸法関係になっている。他のパーツの軸部(13、33)と包囲壁61aは、軸方向Zの寸法関係ではほぼ一致する。また、透孔62からY方向に鍔部21へ達する開口63が設けられている。これは、キャッチパーツ20のX方向のバネ性を持たせるためである。
【0020】
図1Cを参照し、ネックカラー部22は、中心孔61を介して突出した他のパーツの頭部(14、34)が旋回する旋回空間を提供するものであり、頭部(14、34)が旋回を許す径の内周壁22aと、突出した他のパーツの頭部(14、34)が摺動する摺動面部22bと、内周壁22aに隣接して点対称の2箇所において、他のパーツの頭部(14、34)の旋回を妨げるストッパ22cが設けられている。ストッパ22cにより、突出した他のパーツの頭部(14、34)が180度旋回しないようになっている。
【0021】
図2は連結具を構成する中間パーツを示す図であり、
図2A、2Bは短尺の中間パーツAの夫々平面斜視図、底面斜視図を示し、
図2C、2Dは長尺の中間パーツBの夫々平面斜視図、底面斜視図を示し、
図2Eは中間パーツの平面図、
図2Fは奥部の断面図である。
【0022】
図2A、2Bを参照し、短尺の中間パーツA30は、軸方向に短い胴部32と、
図2Aの軸方向Z下側に、胴部32よりも小径の軸部33と、頭部34とを具備している。胴部32は、フックパーツ10の胴部12と同径である。また、胴部32は、中心を挟んでX方向の側平面32aを対称に有する形状になっている。胴部32の
図2Aの軸方向Z上側には、下に向かって順に入口部37、奥部38とを有している。
【0023】
入口部37には、パーツの軸部とその先端に設けられた頭部の平面視形状を合成した形状の合成孔70が設けられている。
図2Eを参照してこの合成孔70を説明すると、まず、他のパーツの軸部(13、33)が通過可能な中心孔71と、他のパーツの頭部(14、34)が通過可能なY方向に広くX方向に狭い透孔72が設けられている。中心孔71の範囲を破線で示した。中央孔71の周壁には、他のパーツの軸部(13、33)を包囲する包囲壁71aと、他のパーツの突起(15、35)を収容する溝71bが設けられている。他のパーツの軸部(13、33)が包囲壁71aに包囲され捻られたときに他のパーツの突起(15、35)が旋回移動可能なように、他のパーツの軸部(13、33)と包囲壁71aとの間には隙間が存在するような半径方向の寸法関係になっている。他のパーツの軸部(13、33)と包囲壁71aは、ほぼ一致する軸方向Zの寸法関係になっている。
【0024】
次に奥部38においては、他のパーツの頭部(14、34)が旋回可能なような旋回空間80が設けられている。
図2Fを参照して旋回空間80を説明すると、まず、その旋回空間80の内周壁81には、部分的に外側に明けられた窓部84が設けられている。透孔72を介して奥部38に侵入した他のパーツの頭部(14、34)が摺動する摺動面部82とを有している。そして、内周壁81に隣接して点対称の2箇所において、他のパーツの頭部(14、34)の旋回を妨げるストッパ83が設けられており、他のパーツの頭部(14、34)が180度旋回しないようになっている。部分的に外側に明けられた窓部84は、胴部32に側平面32aを設ける際に、他のパーツの頭部(14、34)が旋回する空間を確保する寸法の都合により開けられたものであり、必ずしも必要なものではない。
【0025】
図2C、2Dを参照し、長尺の中間パーツB40は、軸方向Zに長い胴部42を具備している。長尺の中間パーツB40は、胴部42の長さが中間パーツA30よりも長い。中心を挟んでX方向の側平面42aを対称に軸方向Zの全長に有している。その他の構成は、短尺の中間パーツA30の胴部32の一方側、他方側の構造と同じで有り、同一の機能を有するものは同じ引用符号を付して説明を省略する。
【0026】
尚、参考までに、寸法を示すと、各部の長さを示す。各パーツは、互いに嵌合する関係にあるため、寸法は統一されている。以下、例示する。
【0027】
各パーツ10、30、40の胴部12、32の直径は、9.8mm、各パーツ10、30、40の軸部13、33の直径は5.6mm、胴部12、32の側平面12a、32aの間隔は8mmである。フックパーツ10とキャッチパーツ20の鍔部11、21は、Y方向に16mm、X方向に12mmであり、胴部12の直径よりも大きい。短尺の中間パーツA30の胴部32の軸方向Zの寸法は5mmであり、長尺の中間パーツBの胴部42の軸方向Zの寸法は15mmである。
【0028】
次に、
図3において、フックパーツ10とキャッチパーツ20とを連結する動作について説明する。
図3Aにおいて、フックパーツ10の頭部14を、キャッチパーツ20の窪み部23の側から中心孔61及び透孔62に進入させる。
図3B、
図3Dにおいて、頭部14は、ネックカラー部22内に現れる。キャッチパーツ20を反時計回りに捻ると、頭部14は摺動面部22b上を移動し、ストッパ22cに突き当り(
図3E)、さらなる旋回が不能になる。
【0029】
一方、
図3E、3Fは、フックパーツ10の軸部13とキャッチパーツ20の中心孔61の包囲壁61aとの関係を断面により示している。包囲壁61aと軸部13との間には、突起15が移動可能なように隙間が存在している。突起15は、頭部14がストッパ22cに突き当った位置、若しくはその手前の位置で溝61bに嵌合する。この状態において、フックパーツ10とキャッチパーツ20は連結される。このとき、溝61bと突起15とが接触している状態であり、包囲壁61aと軸部13との間の隙間があるにも拘わらず、フックパーツ10とキャッチパーツ20のX方向、Y方向の位置関係はガタの無いゼロクリアランスになる。一方で、フックパーツ10の軸部13とキャッチパーツ20の包囲壁61aの軸方向Zの寸法は、ほぼ一致する関係になっているため、軸方向Zにおいてもガタの無いゼロクリアランスになる。
【0030】
フックパーツ10とキャッチパーツ20とが連結した状態においては、両者の鍔部11、21の長辺11b、21bは、互いに揃った状態になっている。
図3C参照。このため、フックパーツ10とキャッチパーツ20が正しく連結されたかどうかを、長辺が揃った状態であるかどうかにより判別できる効果がある。
【0031】
図4において、中間パーツA30、B40同士を連結する動作について説明する。
図4Aにおいて、中間パーツB40の頭部34を、中間パーツA30の入口部37の中心孔71、透孔72に進入させる。
図4Bにおいて、中間パーツA30を反時計回りに捻ると、中間パーツA30、B40同士を連結する。
【0032】
一方、
図4C、Dは、中間パーツB40の軸部33と中間パーツA30の包囲壁71aとの関係を断面により示している。
図4Cは捻る前における軸部33の位置の断面図、
図4Dは捻った後における軸部33の位置の断面図、
図4Eは捻る前における頭部34の位置の断面図、
図4Fは捻った後における頭部34の位置の断面図である。
図4C、4Dにおいて、包囲壁71aと軸部33との間には、突起35が移動可能なように隙間が存在している。
図4Fにおいて、突起35は、頭部34がストッパ83に突き当った位置、若しくはその手前の位置で、
図4Dに示すように溝71bに嵌合する。この状態において、中間パーツA30、B40は連結される。このとき、溝71bと突起35とが接触している状態であり、包囲壁71aと軸部33との間の隙間があるにも拘わらず、中間パーツA30、B40のX方向、Y方向の位置関係はガタの無いゼロクリアランスになる。一方で、中間パーツB40の軸部33と中間パーツA30の包囲壁71aの軸方向Zの寸法は、ほぼ一致する関係になっているため、軸方向Zにおいてもガタの無いゼロクリアランスになる。そして、突起35が溝71bに収容されて連結した状態においては、中間パーツA30、B40の胴部32、42の側平面32a、42aは、互いに揃った状態になっている。このため、中間パーツA30、B40が連結されたかどうかを、側平面32a、42aが揃った状態であるかどうかにより判別できる効果がある。
【0033】
この他、フックパーツ10と中間パーツA30若しくは中間パーツB40の連結、キャッチパーツ20と中間パーツA30若しくは中間パーツB40の連結についても同様であるので、説明を省略する。
【0034】
図5において、上からキャッチパーツ20、中間パーツB30、中間パーツA40、フックパーツ10の順で連結されていた連結具を、逆に分解している途中の様子を示している。同図では、中間パーツB40、中間パーツA30との連結が外され、そして、キャッチパーツ20と中間パーツB40の連結、中間パーツA30とフックパーツ10の連結が外されようとしている。中間パーツA30、B40の胴部32、42の側平面32a、42aは、その間隔が8mmであるために、8mmスパナによって操作することができる。同様に、キャッチパーツ20とフックパーツ10の鍔部21、11の長辺は12mmの間隔で平行であるため、12mmスパナによって操作することも可能である。同図において、突起15、35が溝61b、71bに収容されてキャッチパーツ20と中間パーツB40は、若しくは、中間パーツA30とフックパーツ10の連結状態において、鍔部11、21の長辺と側平面32a、42aとが並行に揃っていることに注意されたい(中間パーツ同士の連結においては側面が揃うことは、
図4で示した)。各パーツ10、20、30、40が連結されたかどうかを、長辺が揃った状態であるか側面が揃った状態であるかどうかにより判別できる効果がある。
【0035】
図6は、連結具を用いて生産された運搬容器を示している。
図5Aはプラ段により作成された容器本体100にクッション材200として厚さの厚いを発泡樹脂板を固定した例で有り、
図5Bは容器本体100にクッション材200として真空成形されたシートを固定した例である。容器本体100としてプラ段の他に、金属板、金属パイプ、段ボール板等の様々なものが存在する。また、クッション材200としても、その厚さは多様である。運搬容器を作成するメーカは、容器本体に対して様々な形態のクッション材を連結できるように、多種多様な軸長の連結具を予め備えておく必要があるが、本実施例による連結具を利用すれば、標準的な長さの中間パーツを揃えておけば、これを組み合わせてその軸長を様々に設定できるという効果がある。
【0036】
また、パーツ10、20、30、40を多段に組み合わせたとしても、溝61b、71bと突起15、35とが接触している状態では包囲壁61a、71aと軸部13、33との間の隙間があるにも拘わらず、連結したパーツのX方向、Y方向の位置関係はガタの無いゼロクリアランスになる。軸部13、33と包囲壁61a、71aは、ほぼ一致する軸方向Zの寸法関係になっているため、軸方向Zにおいてもガタの無いゼロクリアランスになる。よって、パーツを多段に組み合わせた連結具が、軸方向やX方向、Y方向に揺れて不安定となることが抑制される。また、包囲壁と軸部との間の隙間を確保しているため、突起と摺動面との摩擦が少なく、突起が削れてしまい再利用できる回数が減ってしまうということも避けられる。
【符号の説明】
【0037】
10 フックパーツ
11、21 鍔部
11a 操作溝
11b、21b 長辺
12、32、42 胴部
12a、32a、42a 側平面
13、33 軸部
14、34 頭部
15、35 突起
20 キャッチパーツ
22 ネックカラー部
22a 内周壁
22b 摺動面部
22c、83 ストッパ
23 窪み部
30、40 中間パーツ
37 入口部
38 奥部
60、70 合成孔
61、71 中心孔
61a、71a 包囲壁
61b、71b 溝
62、72 透孔
63 開口
80 旋回空間
81 内周壁
82 摺動面部
84 窓部
100 容器本体
200 クッション材