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特許7457400塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置
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  • 特許-塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置 図1
  • 特許-塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置 図2
  • 特許-塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20230101AFI20240321BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20240321BHJP
   C02F 1/76 20230101ALI20240321BHJP
【FI】
C02F1/50 550L
C02F1/50 550B
C02F1/50 550C
C02F1/50 510B
C02F1/50 520J
C02F1/50 531K
C02F1/50 560E
B01D61/02 500
C02F1/76 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022107402
(22)【出願日】2022-07-01
(65)【公開番号】P2024006494
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2022-07-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 史郎
(72)【発明者】
【氏名】川島 一徳
(72)【発明者】
【氏名】新妻 拓
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】河本 充雄
【審判官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-19490(JP,A)
【文献】特開平11-179163(JP,A)
【文献】特開平11-9973(JP,A)
【文献】特許第7092425(JP,B1)
【文献】特開2001-170456(JP,A)
【文献】特開2005-218904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
C02F 1/70- 1/78
C02F 1/44
C02F 1/00
B01D63/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の場所に設置可能に構成される水処理装置内の各箇所を洗浄する方法であって、
前記水処理装置内の、
塩素水が流れる流路と、
次亜塩素酸を透過しないフィルターと、を備えた水の循環流路において、
前記水処理装置が備えるタンクであって、かつ塩素水が貯められているタンクから採取された塩素水を前記フィルターへクロスフローさせることにより、前記循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御し、前記水処理装置内の各箇所の洗浄を実行する、
方法。
【請求項2】
温度センサと、
制御装置と、を備える前記水処理装置において、
前記制御装置が、
前記温度センサによって検知された温度に基づいて、前記タンク内の塩素水の塩素濃度を推定し、
推定した前記塩素濃度に応じて、前記フィルターへ流入させる塩素水の量を制御することにより、前記循環流路を循環させる塩素水の量を決定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置は、更に、
前記推定した塩素水の塩素濃度に応じて、前記循環流路内において前記塩素水を循環又は滞留させる時間を決定し、
少なくとも1つのポンプを制御することにより、決定した前記時間分、前記塩素水を循環又は滞留させる、
請求項2に記載の方法を実行する、水処理装置の洗浄システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記循環流路内の水の汚れ度に応じて、前記水処理装置内の洗浄部位と洗浄頻度とを決定し、
前記決定した洗浄部位と洗浄頻度とに応じて、所望の塩素濃度となるように前記循環流路内の塩素水の塩素濃度を制御して、水処理装置内の洗浄を実行する、
請求項3に記載の水処理装置の洗浄システム。
【請求項5】
コンピュータに、請求項2に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項3又は請求項4に記載の洗浄システムを搭載した水循環型水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塩濃度が低く、水中の金属成分やシリカ成分によるスケールやウォーターマークの生成の問題がなく、かつスライムの発生も抑制された良好な水質の軟水を製造する水処理方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、塩類及び有機物を含有する有機性廃水に関し、塩類除去処理によって得られる濃縮水の電解処理を行って安定して次亜塩素酸溶液を製造できるようにする技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、RO膜装置の濃縮水からエネルギーを回収するエネルギー回収装置を設けたRO膜処理システムにおいて、RO膜装置のバイオファウリングのみならず、エネルギー回収装置におけるバイオファウリングをも抑制して、システム全体のエネルギー効率の向上及び安定運転を図るために、エネルギー回収装置に導入されるRO膜装置の濃縮水の残留ハロゲン濃度が全塩素換算濃度で0.1~10000mg/Lとなるように、RO給水に結合塩素系および安定化臭素系の少なくともいずれかのスライムコントロール剤を添加する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-072864号公報
【文献】特開2014-014738号公報
【文献】国際公開第2016/158633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一度使用された水を浄化し、その水を再利用するような水処理装置では、水処理装置の内部洗浄に塩素が利用されることが多い。
【0007】
しかし、十分な洗浄効果を実現するためには、大量の塩素と水を要し、その結果、水処理装置の内部洗浄後には、大量の洗浄排水の処理が必要となるため、それがメンテナンスをする上でユーザの負担となっている。例えば、可搬型の水処理装置は、水の給排水が困難な場所に設置されることが多いため、水処理装置の内部洗浄の為に大量の塩素水を用意したり、発生した排水を捨てたりすることが困難になる、という一つの課題が生じる。また、塩素水を利用して水処理装置の内部洗浄をする際には、その塩素水の塩素濃度を適切な濃度とする必要がある、という一つの課題も生じる。
【0008】
本開示は、上記の事情を鑑みてなされたもので、水処理装置の内部洗浄をする際に塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御することができる、塩素濃度の制御方法、水処理装置の洗浄システム、プログラム、及び水循環型水処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様は、塩素水が流れる流路と、次亜塩素酸を透過しないフィルターと、を備えた水の循環流路において、前記塩素水を前記フィルターへクロスフローさせることにより、前記循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御する、塩素濃度の制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、水処理装置の内部洗浄をする際に塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の水処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】制御装置として機能するコンピュータの概略ブロック図である。
図3】制御装置によって実行される処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
【0013】
<実施形態の水処理システム>
図1は、本実施形態の水処理システム10を示す図である。図1に示されるように、本実施形態の水処理システム10は、洗浄水を吐出する水栓12と、シンク14と、第1タンクの一例である中間タンクT1と、第2タンクの一例である塩素水タンクT2と、貯水タンクT3と、排水タンクT4と、RO(Reverse Osmosis Membrane)フィルター16と、第1ポンプP1と、第2ポンプP2と、第3ポンプP3と、温度センサ18と、制御装置20と、を備える。また、図1に示されるように、水処理システム10には、水が流れる流路C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,Cxと、三方弁22とが備えられている。なお、水処理システム10の構成は図1に限定されるものではない。図1は、実施形態である水処理システム10を説明するためのものであり、ポンプ、タンク、センサ、フィルター、及び流路等の各種構成要素の配置及び構成は、図1に限定されるものではない。なお、水処理システム10の一部又は全部は、水処理装置、洗浄システム、及び水循環型水処理装置の一例である。
【0014】
温度センサ18と制御装置20とは電気的に接続されており、制御装置20は温度センサ18から出力された信号を取得する。また、第1ポンプP1、第2ポンプP2、及び第3ポンプP3の各々と制御装置20とは電気的に接続されており、制御装置20は第1ポンプP1、第2ポンプP2、及び第3ポンプP3の駆動を制御する。
【0015】
例えば、水処理システム10が可搬である場合には、任意の場所に設置可能であるため、屋内、屋外など様々な場所に設置され得る。例えば、水処理システム10は、特開2022‐014999号公報に開示されているような手洗い装置に搭載される。なお、水処理システム10は、可搬でなくともよい。水処理システム10が可搬でない場合の設置例としては、例えば、車両等の移動体に設置される場合又は利用者により任意の場所に設置される場合等がある。水処理システム10が車両等の移動体に設置される場合の例としては、例えば、キャンピングカー、寝台列車、飛行機、又は客船等における手洗い、シャワー、又は簡易キッチン等として水処理システム10が設置され得る。水処理システム10が任意の場所に設置される場合の例としては、例えば、コンテナハウス、キャンプ施設、別荘、山小屋、又はゴルフ場等の屋外施設等における手洗いや洗面、シャワーや風呂場、キッチン、洗濯、トイレ、又はプール等の水が使用される場所(以下、総称して「シャワー等」と略す)において水処理システム10が設置され得る。
【0016】
水栓12は洗浄水を吐出する。なお、水栓12から吐出される洗浄水は、ユーザによって手洗い等に利用される。
【0017】
シンク14は、ユーザによって利用された水を受ける。シンク14の底部には、槽内に吐水された水を排水するための排水口(図示省略)が形成されている。シンク14の排水口から排出された水W1は流路C1を通って中間タンクT1へ貯められる。
【0018】
中間タンクT1には、ユーザによって利用された水が貯められる。
【0019】
塩素水タンクT2には、塩素水が貯められている。なお、本実施形態では、次亜塩素酸ナトリム、次亜塩素酸カルシウム、塩素化イソシアヌル酸などの遊離塩素を含む水溶液を塩素水と称する。
【0020】
貯水タンクT3には、ROフィルター16を透過した水が貯められる。貯水タンクT3に貯められる水は洗浄水として再利用される水である。貯水タンクT3に貯められている水は流路Cxを通って各種の処理が施された後、洗浄水として水栓12から吐出される。
【0021】
排水タンクT4には、ROフィルター16を透過しなかった汚染物質を高濃度に含む濃縮排水が貯められる。排水タンクT4に貯められる水は再利用されることなく廃棄される。
【0022】
ROフィルター16は、水を浄化するためのものである。また、ROフィルター16を透過した水は次亜塩素酸の濃度が低下する。なお、ROフィルター16は、原則として、次亜塩素酸を透過させない。しかし、ごく微量の次亜塩素酸であれば、ROフィルター16を透過する場合もある。なお、以下では、塩素水をROフィルター16に全量透過させず、塩素水の一部をROフィルターの膜面に対し平行に流出させることを単に「クロスフロー」と称する。
【0023】
また、本実施形態では、次亜塩素酸を透過しないフィルターがROフィルターである場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、次亜塩素酸を透過させないという機能を有するフィルターであればどのようなフィルターであっても良い。なお、ROフィルター16の流出先流路にはバルブBが設けられている。バルブBの開閉により、ROフィルター16を透過した水は、流路C8及び流路C9の何れか一方へ流れる。
【0024】
第1ポンプP1、第2ポンプP2、及び第3ポンプP3は、後述する制御装置20によりその駆動が制御される。
【0025】
具体的には、図1に示されるように、第1ポンプP1が駆動することにより、中間タンクT1に貯められている水W2が汲み上げられ、流路C2及び流路C3を流れることにより、その水W2がROフィルター16を透過することでユーザによって利用された水が浄化される。
【0026】
また、図1に示されるように、第2ポンプP2が駆動することにより、塩素水タンクT2内の塩素水W3が汲み上げられ、流路C3を流れることにより、フィルター16の流入側へ供給される。この際に、流路C3を流れる水W2及びフィルター16の流入側のろ過面が塩素水W3により殺菌浄化される。
【0027】
また、図1に示されるように、第3ポンプP3が駆動することにより、塩素水タンクT2内の塩素水W4,W5が汲み上げられ、流路C4及び流路C5を流れることにより、ROフィルター16の流出側に塩素水W4が供給されフィルター16の流出側を殺菌浄化すると共に、塩素水タンクT2内の塩素水W5が貯水タンクT3へも供給され、浄化水としてユーザの利用に供される。
【0028】
なお、図1に示されるように、流路C3を流れる水W2及び塩素水W3の一部は、ROフィルター16を透過し、流路C6を流れる水W6となり、流路C7を流れる水W7となり、貯水タンクT3へ貯められる。
【0029】
一方、ROフィルター16を透過しなかった次亜塩素酸を含む水W8は流路C8を通って循環し、再びROフィルター16をクロスフローすることで循環流路において次亜塩素酸が高濃度になる。なお、循環流路には、図示されていない循環流路を構成する流路、各種タンク、フィルター、ポンプ、及びバルブ等の水処理システム10の各構成要素も含まれる。
【0030】
また、図1に示されるように、高濃度に濃縮された塩素水W9は、流路C9を流れて、排水タンクT4へ流出させてもよいし、貯水タンクに貯められている浄化水を、流路Cxを介して水栓12に供給し、循環流路内の塩素水の濃度を希釈してもよい。
【0031】
温度センサ18は、水処理システム10内部に設置され、塩素水タンクT2が配置された周囲の温度を逐次検知する。また、温度センサ18は、塩素水タンクT2内部の温度を直接検知してもよい。
【0032】
制御装置20は、水処理システム10の系内を循環する水の量、圧力、循環速度、循環間隔の他、ROフィルター16や循環流路、各タンクT1及びT3に供給する塩素水の量や濃度等を制御する。
【0033】
塩素水の塩素濃度は周囲の温度に応じて変化する。具体的には、温度が高いほど塩素水の塩素濃度は低下し、温度が低いほど塩素水の当初の塩素濃度が維持される。塩素水タンクT2に貯められている塩素水の塩素濃度も、周囲の温度に応じて変化する。このため、例えば、毎回一定量の塩素水をROフィルター16や循環流路、各タンクT1及びT3へ供給するような制御が予め定められていたとしても、塩素水の塩素濃度が温度に応じて変化するため、水が十分に浄化されない場合が生じ得る。
【0034】
そこで、本実施形態の水処理システム10の制御装置20は、温度センサ18によって時間の経過と共に検知された温度の累積変化に基づいて、塩素水タンクT2内の塩素水の塩素濃度を推定し、推定した塩素濃度に応じてROフィルター16及び貯水タンクT3へ供給する塩素水の量を決定する。そして、制御装置20は、決定した量の塩素水がROフィルター16及び貯水タンクT3へ供給されるように第2ポンプP2及び第3ポンプP3を制御する。制御装置20による、ROフィルター16及び貯水タンクT3へ供給する塩素水の量の決定方法及び制御方法等は、例えば、特許7092425号公報に開示されている方法を利用することができる。
【0035】
なお、塩素水は、水処理システム10の内部洗浄にも利用することが可能である。
【0036】
そこで、本実施形態の水処理システム10の制御装置20は、中間タンクT1と流路C2,C3,C8とROフィルター16とを含んで構成される循環流路内において、塩素水タンクT2内の塩素水を循環させることにより、水処理システム10の循環流路内の各タンクや循環流路の内部洗浄をする。
【0037】
なお、ROフィルター16は、原則として塩素水中の塩素を透過しないように構成されている。このため、中間タンクT1と流路C2,C3,C8とROフィルター16とを含んで構成される循環流路内において塩素水を循環させることにより、ROフィルター16の流入側の循環流路内において塩素を濃縮させることが可能となる。これにより、水処理システム10内に存する塩素水を利用して水処理システム10の内部洗浄を効率的に実施することができる。また、本方法により、水処理システム10の内部洗浄をするために使用する塩素水を外部から補充する量が不要、若しくは極めて少量で済み、その結果、内部洗浄により発生する濃縮排水の排出量も少なくでき、ユーザによるメンテナンス労力やメンテナンス作業の煩雑さを著しく軽減できる。
【0038】
具体的には、制御装置20は、塩素水タンクT2内の塩素水の塩素濃度の推定結果に応じて、中間タンクT1と流路C2,C3,C8とROフィルター16とを含んで構成される循環流路を内部洗浄するために循環させる塩素水の量を決定する。
【0039】
そして、制御装置20は、第1ポンプP1を制御することにより、決定した量の塩素水を循環流路において循環させる。これにより、中間タンクT1と流路C2,C3,C8とROフィルター16とを塩素水が循環する過程において、塩素水がROフィルター16を透過する際に塩素が循環流路に残留し、ROフィルター16の流入側の循環流路を循環する塩素水に含まれる塩素濃度を高くすることにより、中間タンクT1と流路C2,C3,C8とROフィルター16とを含んで構成される循環流路が浄化される。
【0040】
例えば、制御装置20は、推定した塩素水の塩素濃度に応じて、ROフィルター16に対して塩素水を通過させる塩素水の量を決定し、第1ポンプP1を制御することにより、所定回数分、第1ポンプP1を駆動させる制御をするなどして、ROフィルター16に対して所望の塩素濃度に達するまで塩素水をクロスフローさせる。塩素水をROフィルター16へクロスフローさせることを繰り返すことにより、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御することが可能となる。
【0041】
より具体的には、ROフィルター16へクロスフローさせることにより失った水(以下、単に「透過水」とも称する。)の分だけ、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度が高くなる。したがって、ROフィルター16へクロスフローさせた透過水の量を流量計(図示省略)で測ることにより、若しくは透過水が貯められる貯水タンクT3の増水量から、クロスフローにより失った透過水の水量が判明する。この透過水の分だけ塩素水は濃くなることになる。クロスフローを長時間行うことにより、累積の透過水は増加し、透過水の総量が増加するにつれて循環流路を流れる塩素水の塩素濃度は高くなる。
【0042】
このため、制御装置20は、例えば、ROフィルター16へクロスフローさせることにより循環流路の外へ流出した透過水の総量に基づいて、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度が所望の濃度となったか否かを判定することができる。
【0043】
より詳細には、塩素水タンクT2に貯められている塩素水の初期濃度は既知であるため、制御装置20は、例えば、特許7092425号公報に開示されている技術に基づいて、塩素水を作成した初期からどのくらいの時間経過と温度変化とがあったかにより、塩素水タンクT2内の塩素水の塩素濃度を推定し、推定された塩素濃度の塩素水をどれだけROフィルター16へクロスフローさせたかにより、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を推定することができる。
【0044】
また、別の方法としては、シンク14に所定量の遊離塩素を含む溶液または固体を投入し、水栓12からシンク14へ再生された水を所定量注ぐことにより、所望の濃度の塩素水を循環流路へ流入させることも可能である。この場合には、循環流路内の塩素水の塩素濃度は既知となるため、制御装置20は、上述した方法と同様に、どれだけROフィルター16へクロスフローさせたかにより、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を推定することができる。
【0045】
また、循環流路を循環している水の塩素濃度が所望の塩素濃度に達したか否かは、過去のデータ等に基づき判定されてもよい。例えば、制御装置20は、循環させる塩素水の当初の塩素濃度と、循環流路において塩素水を循環させる時間と、その際の循環流路における水の塩素濃度が対応付けられたテーブル等を参照して、循環流路を循環している水の塩素濃度が所望の塩素濃度に達したか否かを判定するようにしてもよい。
【0046】
そして、例えば、制御装置20は、推定した塩素水の塩素濃度に応じて、ROフィルター16や循環流路において塩素水を循環させる時間を決定し、第1ポンプP1を制御することにより、決定した時間分、塩素水を循環させる。この場合、より具体的には、制御装置20は、第1ポンプP1を駆動させる時間を制御するなどして、決定した時間分、循環流路において決定した量の塩素水を循環させる。第1ポンプP1を駆動させる時間は連続であっても、断続的であってもよく、水処理システム10の内部の汚れ具合に応じて制御される。
【0047】
また、例えば、制御装置20は、推定した塩素水の塩素濃度に応じて、中間タンクT1において塩素水を滞留させる滞留時間や滞留させる濃縮された塩素水の量を決定し、滞留時間に応じて、第1ポンプP1を制御することにより、中間タンクT1において塩素水を滞留させる。この場合、より具体的には、制御装置20は、第1ポンプP1を駆動させた後、第1ポンプP1を所定時間停止するように制御するなどして、決定した時間分、中間タンクT1において濃縮された塩素水を滞留させることで中間タンク内の汚れを効果的に洗浄することができる。
【0048】
以上のように、塩素水を用いて水処理システム10の内部洗浄を実施する際に、塩素水を循環させる循環流路にROフィルター16を含ませることにより、循環流路内を循環する水の塩素が濃縮され、その塩素濃度が高まることにより、水処理システム10の内部洗浄を適切に実施することができる。
【0049】
水処理システム10の制御装置20は、例えば、図2に示すコンピュータ50で実現することができる。コンピュータ50はCPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータ50は、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータ50は、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークinterface(I/F)56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0050】
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータ50を機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU51は、プログラムを記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0051】
記憶部53には、水処理システム10の内部の汚れ具合を示す指標(濁度、色度、粘度、水温、水圧、pH、SS:浮遊物質量、TOC:全有機炭素、菌数、DO:溶存酸素量、BOD:生物学的酸素要求量、COD:化学的酸素要求量、T-N:総窒素、T-P:総リン等)やその変動データと、塩素水を用いて水処理システム10の内部洗浄等を実施する際に用いられる各種データが格納される。例えば、記憶部53には、塩素水の塩素濃度と、塩素水の量と、循環流路において塩素水を循環させる時間(又は、ROフィルター16に対して塩素水を透過させる塩素水の量、循環流路において塩素水を循環させる塩素水の量、又は中間タンクT1において塩素水を滞留させる滞留時間や塩素水の量等)とが対応付けられたテーブルデータが格納されている。このテーブルデータに基づき、塩素水の塩素濃度に応じた、塩素水の量と循環流路において塩素水を循環させる時間等(又は、ROフィルター16に対して塩素水を透過させる塩素水の量、循環流路において塩素水を循環させる塩素水の量、又は中間タンクT1において塩素水を滞留させる滞留時間や塩素水の量等)とが決定される。
【0052】
なお、プログラムにより実現される機能は、例えば半導体集積回路、より詳しくはApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等で実現することも可能である。
【0053】
<水処理システム10の作用>
【0054】
次に、実施形態の水処理システム10の作用について説明する。水処理システム10の制御装置20は、所定時間が経過する毎に、図3に示す制御処理ルーチンを実行する。なお、以下では、塩素水タンクT2内の塩素水の塩素濃度に応じて、塩素水を循環させる時間を決定し、その時間分、循環流路において塩素水を循環させる場合を例に説明する。
【0055】
ステップS100において、制御装置20のCPU51は、塩素水タンクT2内の塩素水の塩素濃度を推定する。
【0056】
ステップS102において、制御装置20のCPU51は、記憶部53に格納されているテーブルデータを参照し、ステップS100で推定された塩素濃度に応じて、循環流路において循環させる塩素水の量を決定する。
【0057】
ステップS104において、制御装置20のCPU51は、記憶部53に格納されているテーブルデータを参照し、ステップS100で推定された塩素水の塩素濃度及びステップS102で決定した塩素水の量に応じて、循環流路において塩素水を循環させる時間を決定する。
【0058】
循環流路において塩素水を循環させる時間は、塩素水の量、塩素濃度、水処理システム10の規模(使用するタンクの容量や循環流路の長さや容積等)及び/又は循環流路内の汚染度や内部洗浄の実施間隔に応じて異なるものとなる。記憶部53に格納されているテーブルデータには、少なくとも塩素水の量及び塩素濃度に応じた適切な循環時間が予め設定されている。このため、制御装置20のCPU51は、記憶部53に格納されているテーブルデータを参照し、循環流路において塩素水を循環させる時間を決定する。
【0059】
ステップS106において、制御装置20のCPU51は、第2ポンプP2を駆動させるように制御することにより、ステップS102で決定された量の塩素水をROフィルター16へ供給する。なお、制御装置20のCPU51は、ROフィルター16から流出した水が流路C8へ流れるようにバルブBを切り替えるように制御する。
【0060】
ステップS108において、制御装置20のCPU51は、第1ポンプP1を駆動させるように制御することにより、ステップS106で供給された塩素水を循環流路内において循環させるように制御する。
【0061】
ステップS110において、制御装置20のCPU51は、ステップS104で決定された循環する時間が経過したか否かを判定する。ステップS104で決定された循環する時間が経過した場合には、制御処理ルーチンを終了する。一方、ステップS104で決定された循環する時間が経過していない場合には、ステップS108へ戻り、循環流路における塩素水の循環が繰り返される。
【0062】
なお、ステップS110において、制御装置20のCPU51は、上述したような判定方法により、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度が所望の濃度に達したか否かを判定し、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度が所望の濃度に達するまで、循環流路における塩素水の循環を繰り返すように制御してもよい。
【0063】
これにより、循環流路内を循環する水の塩素が濃縮され、その塩素濃度が高まることにより、水処理システム10の内部洗浄が適切に実施される。なお、この後、制御装置20のCPU51は、ROフィルター16から流出した水が流路C9へ流れるようにバルブBを切り替えるように制御する。
【0064】
以上説明したように、実施形態に係る水処理システム10は、水が流れる流路と、塩素水が貯められている塩素水タンクT2と、利用された水が貯められている中間タンクT1と、透過する水に含まれる次亜塩素酸の濃度を低下させるROフィルター16と、温度センサ18と、少なくとも1つ以上のポンプP1,P2,P3と、制御装置20と、を備えている。そして、水処理システム10の制御装置20は、温度センサ18によって検知された温度に基づいて、塩素水タンクT2内の塩素水の塩素濃度を推定し、推定した塩素濃度に応じて、中間タンクT1と流路C2,C3,C8とROフィルター16とを含んで構成される循環流路を循環させる塩素水の量を決定する。制御装置20は、少なくとも1つ以上のポンプP1,P2,P3を制御することにより、決定した量の塩素水を循環流路において循環させ、塩素水をROフィルター16へ透過させ、循環流路を循環する塩素水に含まれる塩素濃度を高くすることにより、循環流路を浄化する。これにより、水処理システム10内に存する塩素水を利用して水処理システムの内部洗浄を効率的に実施することができる。本方法により、水処理システム10の内部洗浄をするために使用する塩素水を外部から補充する量が不要、若しくは極めて少量で済み、その結果、内部洗浄により発生する濃縮排水の排出量も少なくでき、ユーザによるメンテナンス労力やメンテナンス作業の煩雑さを著しく軽減できる。このため、本実施形態によれば、水処理システムの内部洗浄をする際に発生する排水の量を抑制することができる。また、中間タンクT1内及び流路の汚れを抑制するための自律型塩素水洗浄が可能となり、ユーザビリティが向上する。
【0065】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0066】
例えば、上記実施形態では、塩素水タンクT2に貯められている塩素水を利用して内部洗浄をする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、シンク14から塩素水(又は、水と塩素タブレット)を追加投入し、その塩素水を循環流路において循環させるようにしてもよい。この場合に追加投入される塩素水(又は、水と塩素タブレット)の塩素濃度は既知であり所定値となる。このため、制御装置20は、例えば、塩素水が追加投入されたことに応答して、所定の時間分、追加投入された塩素水を循環流路において循環させるようにしてもよい。または、制御装置20は、塩素水タンクT2に貯められている塩素水と追加投入された塩素水との両方を循環流路において循環させるようにしてもよい。この場合には、制御装置20は、塩素水タンクT2に貯められている塩素水の塩素濃度と、追加投入された塩素水の塩素濃度とに応じて、循環流路において循環させる時間等を決定するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、制御装置20は、単に、循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御装置20は、循環流路内の水の汚れ度に応じて、水処理システム10内の洗浄部位と洗浄頻度とを決定し、決定した洗浄部位と洗浄頻度とに応じて、所望の塩素濃度となるように循環流路内の塩素水の塩素濃度を制御するようにしてもよい。
【0068】
なお、水の汚れ度は、一般的な水質評価項目(濁度、電気伝導率、色度、pH、全硬度、遊離塩素、COD、TOC、TN、又はNH4量等)の実測値、指標値、変動値、変動傾向の他、水処理装置が設置される場所(家庭なのか、集合住宅、集落や商業施設、又は工場なのか等)と処理対象(手洗い排水なのか、シャワー、キッチン、トイレ等で使用された生活排水なのか、又は産業排水なのか等)とによる水質の違いに関する蓄積データに基づいた推定値、水処理装置の使用履歴と基準データとに基づいた推定値(例えば、水栓から吐出された水の使用量、使用頻度、使用間隔等から水処理システム10内の水質変化を推定する)により求められる。
【0069】
このため、制御装置20は、上述したような水の汚れ度に関するデータを取得し、そのデータに基づいて、水処理システム10内の洗浄部位と洗浄頻度とを決定し、決定した洗浄部位と洗浄頻度とに応じて、所望の塩素濃度となるように循環流路内の塩素水の塩素濃度を制御する。例えば、制御装置20は、汚れ度が高い水が流れる部位を、洗浄部位として決定し、その洗浄部位の洗浄頻度が高くなるように設定する。そして、例えば、制御装置20は、汚れ度が高い場合には、循環させる塩素水の塩素濃度を高くするように制御する。これにより、水処理システム10の循環流路を流れる水の汚れ度に応じて、循環流路を流れる塩素水の塩素濃度を適切に制御することができる。
【0070】
なお、洗浄条件の一例としては、以下が挙げられる。
【0071】
水処理システム10の洗浄を毎日実施する場合には、塩素濃度は0.1ppm~100ppm、好ましくは1ppm~20ppm、1分~10時間洗浄する。洗浄のタイミングは、最初の貯水循環時に循環流路を洗浄するのに必要な量の塩素水を所望の濃度になるよう作成し、洗浄部位に自動で投入、洗浄される。
【0072】
また、濃くなった塩素を希釈する場合は、貯水タンクT3から処理水を循環流路へ必要量を投入することで所望の低濃度の塩素水を作成することもできる。
【0073】
なお、洗浄に用いる塩素水量は水処理システム10の規模や各種タンクの大きさ、循環流路の容積により定まる。塩素水の濃度は、シンク14から流入する水の汚れ度合いに応じて、蓄積データに基づき、適宜設定される。また洗浄頻度によっても塩素水の濃度は変わる。中間タンクT1の容量が10Lである場合の洗浄条件の一例を以下に示す。
【0074】
(1)高濃度塩素水(好ましくは塩素濃度100ppm~1000ppm)を作成し、循環流路内の中間タンクT1内で汚れがたまりやすい底部を1分~1時間つけ置き洗浄する。
(2)中間タンクT1に処理水を貯水タンクT3からポンプにより投入して足し、中間タンクT1内の塩素水を希釈(好ましくは塩素濃度1ppm~500ppm)、増水し、中間タンクT1内を1分~1時間つけ置き洗浄する。
(3)中間タンクT1を満水になるまで更に処理水を貯水タンクT3より投入して足し、満水の位置まで塩素水を更に希釈(塩素濃度1ppm~250ppm)して、1分~2時間つけ置き洗浄する。
(4)中間タンクT1を洗浄した塩素水をROフィルター16でろ過し、透過水は処理水として再び貯水タンクT3に送る。
(5)再度、中間タンクT1に貯水タンクT3から処理水を送り、中間タンクT1内を水洗いする。
(6)中間タンクT1に残った塩素を洗い流し、排水タンクT4へ排水し、洗浄工程が終了する。
【0075】
また、本願明細書中において、プログラムが予めインストールされている実施形態として説明したが、当該プログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。例えば、プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0076】
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。または、プロセッサとしては、GPGPU(General-purpose graphics processing UNIT)を用いてもよい。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0077】
また、本実施形態の各処理を、汎用演算処理装置及び記憶装置等を備えたコンピュータ又はサーバ等により構成して、各処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。もちろん、その他いかなる構成要素についても、単一のコンピュータやサーバによって実現しなければならないものではなく、ネットワークによって接続された複数のコンピュータに分散して実現してもよい。
【0078】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0079】
なお、上記実施形態においては、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」ことを必ずしも意味しない。
【0080】
また、何らかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、開示の技術の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本開示の技術の各態様の範囲外とするものではない。
【0081】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)
塩素水が流れる流路と、
次亜塩素酸を透過しないフィルターと、を備えた水の循環流路において、
前記塩素水を前記フィルターへクロスフローさせることにより、前記循環流路を循環する塩素水の塩素濃度を所望の濃度に制御する、
塩素濃度の制御方法。
【0083】
(付記2)
塩素水が貯められているタンクと、
温度センサと、
制御装置と、を備える水処理装置において、
前記制御装置が、
前記温度センサによって検知された温度に基づいて、前記タンク内の塩素水の塩素濃度を推定し、
推定した前記塩素濃度に応じて、前記循環流路を循環させる塩素水の量を決定する、
付記1に記載の塩素濃度の制御方法。
【0084】
(付記3)
前記制御装置は、更に、
水処理装置内の洗浄部位に応じて、前記循環流路内において前記塩素水を循環又は滞留させる時間を決定し、
少なくとも1つのポンプを制御することにより、決定した前記時間分、前記塩素水を循環又は滞留させる、
付記1又は付記2に記載の塩素濃度の制御方法を実行する、水処理装置の洗浄システム。
【0085】
(付記4)
前記制御装置は、
前記循環流路内の水の汚れ度に応じて、水処理装置内の洗浄部位と洗浄頻度とを決定し、
前記決定した洗浄部位と洗浄頻度とに応じて、所望の塩素濃度となるように前記循環流路内の塩素水の塩素濃度を制御して、水処理装置内の洗浄を実行する、
付記3に記載の水処理装置の洗浄システム。
【0086】
(付記5)
コンピュータに、付記2に記載の塩素濃度の制御方法を実行させるためのプログラム。
【0087】
(付記6)
付記3又は付記4に記載の洗浄システムを搭載した水循環型水処理装置。
【符号の説明】
【0088】
10 水処理システム
12 水栓
14 シンク
16 ROフィルター
18 温度センサ
20 制御装置
P1 第1ポンプ
P2 第2ポンプ
P3 第3ポンプ
T1 中間タンク
T2 塩素水タンク
T3 貯水タンク
T4 排水タンク
図1
図2
図3