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特許7457409操作器、および、ドローンの操作用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】操作器、および、ドローンの操作用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240321BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20240321BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240321BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
H04Q9/00 301B
G06F3/0482
G06F3/0488
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022501462
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006437
(87)【国際公開番号】W WO2021166101
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮城 了
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏記
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/168043(WO,A1)
【文献】特開2017-168035(JP,A)
【文献】特開2002-166335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G06F 3/0482
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚力発生部により飛行するドローンを制御するための操作器であって、
前記ドローンに対する動作指示を行うためのディスプレイと、を備え、
前記ディスプレイ上において、
メイン画面には、
前記ドローンの地図上の現在位置をリアルタイムで表示する地図表示領域と、
緊急メニュー画面に遷移する指示を受け付ける緊急操作入力領域と、が設けられ、
前記緊急メニュー画面には、
操作者の入力を検知する領域であって、所定の処理が対応付けられた検知領域、が設けられ、
前記緊急操作入力領域が入力を受け付けた場合、前記メイン画面から前記緊急メニュー画面に遷移すると共に、前記ドローンにホバリング指示を出力し、
前記緊急メニュー画面において、前記検知領域は、前記地図表示領域を覆うように重畳的に表示され
略同一の形状及び大きさからなる複数の前記検知領域により、複数種類の処理が規定され、
前記複数種類の処理の少なくとも1つは、前記揚力発生部を緊急停止させる揚力発生部停止処理であり、
前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域と他の前記検知領域との離間距離は、他の処理が対応付けられる前記検知領域同士の間の距離よりも大きく、
複数の前記検知領域は、それぞれに規定されている処理が選択されるときの緊急性の順序に従い、前記揚力発生部停止処理を最も緊急性の高いものとして、画面上の一定方向に順に表示される、
操作器。
【請求項2】
前記揚力発生部停止処理が規定された検知領域は、操作器のディスプレイ端部との離間距離が、前記揚力発生部停止処理が規定された検知領域と他の検知領域との離間距離よりも大きい、
請求項1記載の操作器。
【請求項3】
前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域以外の他の前記検知領域について、使用頻度が高い前記検知領域と前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域との距離が、使用頻度が低い前記検知領域と前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域の距離よりも大きい、
請求項1又は2記載の操作器。
【請求項4】
前記地図表示領域は、ジェスチャー操作可能に表示されており、
前記緊急操作入力領域が受け付ける入力動作は、単一のタップ動作よりも入力に時間を要する動作である、
請求項1乃至いずれかに記載の操作器。
【請求項5】
揚力発生部により飛行するドローンの操作用プログラムであって、
前記ドローンの地図上の現在位置をリアルタイムで表示する地図表示領域と、緊急メニュー画面に遷移する指示を受け付ける緊急操作入力領域と、が設けられたメイン画面と、操作者の入力を検知する領域であって、所定の処理が対応付けられた検知領域、が設けられた当該緊急メニュー画面と、をディスプレイ上に表示させる命令と、
前記緊急操作入力領域が入力を受け付けた場合、前記メイン画面から前記緊急メニュー画面に遷移させると共に、前記ドローンにホバリング指示を出力させる命令と、
前記緊急メニュー画面において、前記検知領域を、前記地図表示領域を覆うように重畳的に表示させる命令と、をコンピュータに実行させ
略同一の形状及び大きさからなる複数の前記検知領域により、複数種類の処理が規定され、
前記複数種類の処理の少なくとも1つは、前記揚力発生部を緊急停止させる揚力発生部停止処理であり、
前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域と他の前記検知領域との離間距離は、他の処理が対応付けられる前記検知領域同士の間の距離よりも大きく、
複数の前記検知領域は、それぞれに規定されている処理が選択されるときの緊急性の順序に従い、前記揚力発生部停止処理を最も緊急性の高いものとして、画面上の一定方向に順に表示される、
ドローンの操作用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、操作器、および、ドローンの操作用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの薬剤散布が挙げられる(たとえば、特許文献1)。比較的狭い農地においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い。
【0003】
準天頂衛星システムやRTK-GPS(Real Time Kinematic - Global Positioning System)などの技術によりドローンが飛行中に自機の絶対位置をセンチメートル単位で正確に知ることができるようになったことで、日本において典型的な狭く複雑な地形の農地でも、人手による操縦を最小限として自律的に飛行し、効率的かつ正確に薬剤散布を行なえるようになっている。
【0004】
自律飛行を行うドローンに介入して手動操作を行う場合がある。しかしながら、手動操作において誤入力があると、適切な介入操作ができない。特に、ドローンの機体の破損を伴う緊急停止操作が意図せず行われると、作業の復旧に時間を要し、圃場にも損傷があるおそれがあった。
【0005】
特許文献2には、タッチパネル上に操作ボタンや非常停止ボタンが表示される農作物育成支援システムが開示されている。特許文献3には、物理的な動作停止ボタンを押すことでドローンを停止させることが記載されている。特許文献4には、タッチスクリーンディスプレイに基本操作ボタンを備える携帯型操作デバイスが開示されている。特許文献5には、ゲーム環境又はシミュレーション環境において、ディスプレイにタッチ動作又はスワイプ動作を行うことでリソースを制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】再公表公報 再表2017/175804
【文献】特開2019-95937号公報
【文献】特開2017-21445号公報
【文献】特開2014-99858号公報
【文献】特表2015-511829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドローンの操作において、緊急操作時の誤入力を防止する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の観点に係る操作器は、揚力発生部により飛行するドローンを制御するための操作器であって、前記ドローンに対する動作指示を行う複数種類の処理が表示されるディスプレイと、前記ディスプレイ上において操作者の入力を検知する領域であって、前記複数種類の処理が互いに異なる範囲に対応付けられている検知領域と、を備え、前記処理の少なくとも1つは、前記揚力発生部を緊急停止させる揚力発生部停止処理であり、前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域と他の前記検知領域との離間距離は、他の処理が対応付けられる前記検知領域同士の間の距離よりも大きい。
【0009】
前記揚力発生部停止処理が対応付けられる検知領域と前記操作器の外縁との離間距離は、前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域と他の前記検知領域との離間距離よりも大きいものとしてもよい。
【0010】
前記ディスプレイ上に、前記複数種類の処理を入力可能な画面に遷移する指示を受け付ける緊急操作入力領域をさらに有し、前記緊急操作入力領域と、前記揚力発生部停止処理が対応付けられる検知領域との離間距離は、他の前記検知領域同士の間の距離よりも大きいものとしてもよい。
【0011】
前記緊急操作入力領域が入力を受け付けた場合に、前記複数種類の処理を入力可能な画面に遷移すると共に、前記ドローンにホバリング指示を出力する請求項3記載の操作器。
【0012】
前記緊急操作入力領域が受け付ける入力動作は、単一のタップ動作よりも入力に時間を要する動作であるものとしてもよい。
【0013】
前記緊急操作入力領域が受け付ける入力動作は、スワイプ動作と複数回のタップ動作と長押し動作の少なくともいずれかを含むものとしてもよい。
【0014】
前記他の検知領域は、ドローンの動作を再開する再開処理、離着陸地点に戻る帰還処理、ホバリング地点の下方に着陸する着陸処理、の少なくともいずれかの処理が対応付けられる検知領域を含むものとしてもよい。
【0015】
前記処理は、前記ドローンの動作を再開する再開処理と、前記ドローンをホバリング地点の下方に着陸させる着陸処理と、を含み、前記再開処理が対応付けられる検知領域と、前記着陸処理が対応付けられる検知領域と、前記揚力発生部停止処理が対応付けられる検知領域と、が前記ディスプレイ上にこの順に並列して配置されるものとしてもよい。
【0016】
本発明の別の観点に係るドローンの操作用プログラムは、揚力発生部により飛行するドローンの操作用プログラムであって、前記ドローンの操作器のディスプレイに、前記ドローンに対する動作指示を行う複数種類の処理を表示する命令と、前記ディスプレイ上において操作者の入力を検知する検知領域を規定し、前記複数種類の処理を互いに異なる範囲に対応付ける命令と、をコンピュータに実行させ、前記処理の少なくとも1つは、前記揚力発生部を緊急停止させる揚力発生部停止処理であり、前記揚力発生部停止処理が対応付けられる前記検知領域と他の前記検知領域との離間距離は、他の処理が対応付けられる前記検知領域同士の間の距離よりも大きい。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0017】
ドローンの操作において、緊急操作時の誤入力を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願発明に係るドローンの平面図である。
図2】上記ドローンの正面図である。
図3】上記ドローンの右側面図である。
図4】上記ドローンの背面図である。
図5】上記ドローンの斜視図である。
図6】上記ドローンの飛行制御システムの全体概念図である。
図7】上記ドローンが有する機能ブロック図である。
図8】上記ドローンに接続される操作器に表示されるメイン画面の例を示す模式図である。
図9】上記メイン画面に所定の動作が入力されたときに遷移する、緊急メニュー画面の例を示す模式図である。
図10】本願発明に係るドローンの第2実施形態における、緊急メニュー画面の例を示す模式図である。
図11】本願発明に係るドローンの第3実施形態における、緊急メニュー画面の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0020】
まず、本発明にかかるドローンの構成について説明する。本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0021】
図1乃至図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の筐体110からのび出たアームにより筐体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は図1における紙面下向きを進行方向とする。
【0022】
回転翼101の各セットの外周には、略円筒形を形成する格子状のプロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4が設けられ、回転翼101が異物と干渉しづらくなるようにしている。図2および図3に示されるように、プロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4を支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0023】
回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0024】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
【0025】
ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、散布物を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、散布物とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0026】
タンク104は散布物を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、タンク104と各ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、散布物をノズルから吐出するための手段である。
【0027】
図6に本願発明に係るドローン100の飛行制御システムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。同図において、ドローン100、操作器401、基地局404およびサーバ405が移動体通信網400を介して互いに接続されている。これらの接続は、移動体通信網400に代えてWi-Fiによる無線通信を行ってもよいし、一部又は全部が有線接続されていてもよい。また、構成要素間において、移動体通信網400に代えて、又は加えて、直接接続する構成を有していてもよい。
【0028】
ドローン100および基地局404は、GPS等のGNSSの測位衛星410と通信を行い、ドローン100および基地局404座標を取得する。ドローン100および基地局404が通信する測位衛星410は複数あってもよい。
【0029】
操作器401は、使用者の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、散布物の貯留量、電池残量、カメラ映像等)を表示するための手段であり、コンピュータプログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。操作器401は、ユーザインターフェース装置としての入力部および表示部を備える。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作器(図示していない)を使用してもよい。非常用操作器は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい。さらに、操作器401とは別に、操作器401に表示される情報の一部又は全部を表示可能な小型携帯端末、例えばスマートホンがシステムに含まれていてもよい。小型携帯端末は、例えば基地局404と接続されていて、基地局404を介してサーバ405からの情報等を受信可能である。
【0030】
圃場403は、ドローン100による散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他の作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の侵入者が存在する場合もある。
【0031】
基地局404は、RTK-GNSS基地局として機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっている。また、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であってもよい。Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GNSS基地局が独立した装置であってもよい。また、基地局404は、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムを用いて、サーバ405と互いに通信可能であってもよい。基地局404およびサーバ405は、営農クラウドを構成する。
【0032】
サーバ405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。サーバ405は、ハードウェア装置により構成されていてもよい。サーバ405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0033】
小型携帯端末は例えばスマートホン等である。小型携帯端末の表示部には、ドローン100の運転に関し予測される動作の情報、より具体的にはドローン100が発着地点406に帰還する予定時刻や、帰還時に使用者が行うべき作業の内容等の情報が適宜表示される。また、小型携帯端末からの入力に基づいて、ドローン100の動作を変更してもよい。
【0034】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点から離陸し、圃場403に散布物を散布した後に、あるいは、散布物の補充や充電等が必要になった時に発着地点に帰還する。発着地点から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、サーバ405等で事前に保存されていてもよいし、使用者が離陸開始前に入力してもよい。発着地点は、ドローン100に記憶されている座標により規定される仮想の地点であってもよいし、物理的な発着台があってもよい。
【0035】
図7に本願発明に係る散布用ドローンの実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
【0036】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、サーバ405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0037】
フライトコントローラー501は、通信機530を介して、さらに、移動体通信網400を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、移動体通信網400を介した通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局404の信号とGPS等の測位衛星410からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0038】
6軸ジャイロセンサー505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段であり、さらに、加速度の積分により速度を計算する手段である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローンの高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0039】
流量センサー510は散布物の流量を測定するための手段であり、タンク104からノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は散布物の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。
【0040】
生育診断カメラ512aは、圃場403を撮影し、生育診断のためのデータを取得する手段である。生育診断カメラ512aは例えばマルチスペクトルカメラであり、互いに波長の異なる複数の光線を受信する。当該複数の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)である。また、生育診断カメラ512aは、可視光線を受光するカメラであってもよい。
【0041】
病理診断カメラ512bは、圃場403に生育する作物を撮影し、病理診断のためのデータを取得する手段である。病理診断カメラ512bは、例えば赤色光カメラである。赤色光カメラは、植物に含有されるクロロフィルの吸収スペクトルに対応する周波数帯域の光量を検出するカメラであり、例えば波長650nm付近の帯域の光量を検出する。病理診断カメラ512bは、赤色光と近赤外光の周波数帯域の光量を検出してもよい。また、病理診断カメラ512bとして、赤色光カメラおよびRGBカメラ等の可視光帯域の少なくとも3波長の光量を検出する可視光カメラの両方を備えていてもよい。なお、病理診断カメラ512bはマルチスペクトルカメラであってもよく、波長650nm乃至680nm付近の帯域の光量を検出するものとしてもよい。
【0042】
なお、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bは、1個のハードウェア構成により実現されていてもよい。
【0043】
障害物検知カメラ513はドローン侵入者を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きが生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは異なるため、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者402が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の侵入者に接触したことを検知するためのセンサーである。なお、障害物接触センサー515は、6軸ジャイロセンサー505で代用してもよい。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。注入口センサー517はタンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。
【0044】
これらのセンサー類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローンに送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報を移動体通信網400経由又はWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0045】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、吐出量の調整や吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0046】
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザーは、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。通信機530は、3G、4G、およびLTE等の移動体通信網400と接続されており、移動体通信網400を介して基地局、サーバで構成される営農クラウド、操作器と通信可能に接続される。通信機に替えて、または、それに加えて、Wi‐Fi、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0047】
●操作器の画面構成(1)
図8に本願発明に係る操作器401のディスプレイ4011に表示される、メイン画面G1の実施例を示す。本願発明に係るドローン操縦機は、スマートホンあるいはタブレット端末上で稼働するコンピュータプログラムによって実現される。メイン画面G1上には特定の圃場の画像が表示されているが、当該画面表示前に、使用者の管理下にある複数の圃場の選択を行なわせるメニュー画面が表示されてもよい。
【0048】
メイン画面G1上には、周辺機器状態表示領域801、飛行状況表示領域802、機体状況表示領域803、高度調整入力領域804、地図表示領域805、詳細ステータス表示領域806、および、緊急操作入力領域807が設けられている。なお、操縦桿に相当する機能はメイン画面G1上には表示されない。この構成によれば、操作ミスによりドローン100の作業計画に影響を及ぼすのを抑止できる。地図表示領域805は、メイン画面G1の全域に表示されている。周辺機器状態表示領域801、飛行状況表示領域802、機体状況表示領域803、高度調整入力領域804、詳細ステータス表示領域806、および、緊急操作入力領域807は、半透明に塗りつぶされた領域で構成され、地図表示領域805の前面に、地図表示領域805と重ね合わされて表示されている。
【0049】
周辺機器状態表示領域801は、メイン画面G1の右上に配置され、ドローン100のバッテリー残量、基地局404のバッテリー残量、および操作器401のバッテリー残量等を表示する。ドローン100、基地局404および操作器401は、それぞれピクトグラムで表示されている。また、バッテリー残量は、数値および模式図により表されている。バッテリー残量の模式図は、残量に応じて異なる色で表示されてもよい。ドローン100、基地局404および操作器401のいずれかにエラーが生じている場合は、エラーが生じている構成に関する表示領域内に、その旨が表示される。エラーの表示は、正常時の表示とは異なる態様、例えば異なる色で表示されていてもよい。この構成によれば、エラーである旨の情報を操作者により確実に伝えられる。
【0050】
飛行状況表示領域802は、メイン画面G1の上部に渡って帯状に配置され、ドローン100の飛行時間、飛行速度、高度等を表示する。加えて、薬剤散布の完了状況を示すためのプログレスバー(図示していない)を表示してもよい。
【0051】
機体状況表示領域803は、メイン画面G1の左上に配置され、ドローン100の現在のステータス、たとえば、飛行準備中、薬剤補充中、離陸中、飛行中、緊急退避中等を表示する。加えて、次の作業の告知やユーザーへの行動要望(たとえば、「薬剤補充の準備をしてください」)を表示してもよい。
【0052】
高度調整入力領域804は、ドローン100の現在の高度を増減する入力を受け付ける領域である。本願発明に係るドローン100は原則的に自律的に飛行し、高度もコンピュータプログラムにより自動的に調整されるが、たとえば、作物の高さの高低等に応じて、操作者が高度を微調整したい場合が生じ得るためである。高度調整入力領域804は、高度上昇ボタン804aおよび高度下降ボタン804bにより構成され、それぞれが離間して配置されていてもよい。具体的には、高度上昇ボタン804aおよび高度下降ボタン804bは、画面の右端および左端であって、操作器401を左右の手で把持したときに親指が届く位置に配置されていてもよい。この構成によれば、操作器401を両手で把持した姿勢のまま入力が可能である。
【0053】
地図表示領域805は、薬剤散布の対象となる圃場を含む地図であり、航空写真であっても地形図であっても、または、それらの重ね合わせ表示であってよい。縮尺、および、位置が、ジェスチャー操作等で調整可能になっていてもよい。地図表示領域805には、ドローン100の現在の位置を示すピン810がリアルタイムで表示される。地図表示と切り替えて、あるいは、地図表示と共に、ドローン100のカメラ512、513が撮影した圃場403の画像を表示してもよい。ドローン100の飛行予定ルートが航空写真又は地図上に表示されてもよい。
【0054】
詳細ステータス表示領域806は、メイン画面G1の右部に配置されている。詳細ステータス表示領域806は、ポンプ状況、薬剤残量、通信状況、GPS受信状況等、ドローン100およびその周辺構成の状況がより詳細に表示される。
【0055】
緊急操作入力領域807は、ドローン100の故障や衝突等の緊急事態が発生した際の指令を受け付ける領域である。緊急操作入力領域807は、緊急時に操作者が容易に操作できるように、メイン画面G1上の大きな部分、例えば他の表示領域および入力領域よりも広い範囲を占めている。緊急操作ボタンは、画面の縁から十分な距離だけ離間している。この構成によれば、操作器401を持つ操作者の指が入力領域にかかることによる誤操作を防止できる。
【0056】
緊急操作入力領域807上には、緊急時に行なうべき操作が文字で表示されている。緊急時の操作は、単一のタップ動作と比較して入力動作に長時間を要する動作である。緊急時の操作は、例えば横方向にスワイプする動作である。また、緊急時の操作は、複数回タップする動作であってもよい。さらに、緊急時の操作は、長押し動作であってもよい。このような構成によれば、操縦者が動揺している場合でも間違えることがない単純な操作であって、かつ、誤操作が行われにくい。この動作により、ドローン100は自律飛行を中断してホバリングを開始する。言い換えれば、緊急操作入力領域807が緊急時の操作の入力を受け付けると、複数種類の処理を入力可能な画面、すなわち図9に示す緊急メニュー画面G2に遷移すると共に、ドローン100にホバリング指示を出力する。
【0057】
図9は、メイン画面G1において緊急操作入力領域807に所定の操作が入力されたときに表示される、緊急メニュー画面G2を示す。緊急メニュー画面G2は、メイン画面G1の一部を覆うように重畳的に表示される。同図に示すように、緊急メニュー画面G2には、ドローン100に対する動作指示を行う複数種類の処理が表示される。緊急メニュー画面G2には、「飛行を再開」ボタンB1、「離着陸地点に戻る」ボタンB2、「その場に軟着陸」ボタンB3および「緊急モーター停止」ボタンB4がこの順に並列して表示されている。各ボタンB1乃至B4には、処理の内容に則した、それぞれ異なる模式図が、文字と合わせて表示されている。
【0058】
操作器401のディスプレイ4011上には、操作者の入力を検知する検知領域K1、K2、K3、K4が規定されている。検知領域K1、K2、K3、K4は、それぞれ異なる種類の処理が対応付けられている。本実施形態においては、各検知領域は、ディスプレイ4011上に表示される、処理内容を示す文字および図柄の表示範囲と対応付けられている。すなわち、「飛行を再開」ボタンB1の表示範囲に、ドローン100の動作を再開する再開処理を受け付ける再開処理検知領域K1が規定されている。「離着陸地点に戻る」ボタンB2および「その場に軟着陸」ボタンB3には、ドローン100を着陸させる着陸処理を受け付ける着陸処理検知領域K2、K3がそれぞれ規定されている。より詳細には、「離着陸地点に戻る」ボタンB2に対応する着陸処理検知領域K2には、離着陸地点に帰還する帰還処理が対応付けられる。「その場に軟着陸」ボタンB3に対応する着陸処理検知領域K3には、ホバリングしている地点の下方に着陸させる着陸処理が対応付けられる。
【0059】
「緊急モーター停止」ボタンB4は、揚力発生部の例であるモータ102を緊急停止させる揚力発生部停止処理を受け付ける停止処理検知領域K4が規定されている。緊急停止とは、他の飛行制御を行わず、ただちにモータ102を停止させる処理であり、当該処理によりドローン100は落下する。揚力発生部停止処理は、ドローン100が破損する可能性があるが、最も速く飛行を停止させることができる処理である。なお、文字および図柄の表示範囲と検知領域とが互いに異なる位置に規定されていてもよい。
【0060】
本実施形態においては、ボタンB1乃至B4は左から右へ向かってこの順に表示されている。また、ボタンB1は最も緊急性の低い場合に選択される処理であり、ボタンB4は最も緊急性の高い場合の処理である。交通信号機においても、左端に「進行可」、右端に緊急性の高い「停止」を指示する表示があるため、操作器401においても同様の順序で表示することにより、感覚的な入力操作がしやすい。ボタンB1は青又は緑色、ボタンB2およびB3は黄色又はこれに近い色、ボタンB4は赤色で表示することにより、一層交通信号機に近い表示となり、操作に不慣れな操作者にも理解しやすい。ひいては、誤入力を防止することができる。
【0061】
なお、ボタンB1乃至B4は、右から左へ向かってこの順に表示されていてもよい。
【0062】
停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D1は、他の検知領域K1乃至K3同士の間の距離D10、D11よりも大きい。この構成によれば、停止処理検知領域K4をタップするときに、誤って別の検知領域K1乃至K3に触れることによる誤入力を防止することができる。また、停止処理検知領域K4の周囲に他のボタンB1乃至B3が表示されないため、停止処理検知領域K4が強調して表示される効果がある。停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D1は、例えば成人の人差指の幅の統計値を参考に決めることができる。一例として、離間距離D1は、成人女性の人差指の遠位関節幅の平均値である13.8mm以上とすることができる。または成人男性の人差指の遠位関節幅の平均値である15.6mm以上としても良い。この構成によれば、人差指での入力操作時にも誤入力が起きにくい。なお、上述の寸法は、産業技術総合研究所 AIST 日本人の手の寸法データ(2012)に基づくものである。
【0063】
停止処理検知領域K4と操作器401のディスプレイ4011端部との離間距離D2は、停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D1よりも大きい。さらに言えば、停止処理検知領域K4と操作器401の外縁との離間距離D3は、停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D1よりも大きい。停止処理検知領域K4と操作器401の外縁との離間距離D2は、例えば成人の親指の付け根から親指の押圧面までの長さより長い。この構成によれば、操作器401を把持する際に指が停止処理検知領域K4にかかることを防止できる。
【0064】
緊急操作入力領域807と停止処理検知領域K4との離間距離D4は、他の検知領域K1乃至K3同士の間の距離D10、D11よりも大きい。緊急操作の入力を行うとき、緊急メニュー画面G2に遷移したことに気づかず連続して入力した場合に、緊急操作入力領域807に入力した操作が緊急メニュー画面G2に入力されてしまうと、誤動作に繋がる。そこで、緊急メニュー画面G2は、緊急操作入力領域807から所定以上離間した位置に表示される。
【0065】
●操作器の画面構成(2)
図10に示す第2実施形態に係る操作器401の緊急メニュー画面G21には、「飛行を再開」ボタンB1、「離着陸地点に戻る」ボタンB2、「その場に軟着陸」ボタンB3および「緊急モーター停止」ボタンB4が上から下に向かってこの順に並列して表示されている。停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D21は、他の検知領域K1乃至K3同士の間の距離D20a、D20bよりも大きい。停止処理検知領域K4と操作器401のディスプレイ4011端部との離間距離D22は、停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D1よりも大きい。停止処理検知領域K4と操作器401の外縁との離間距離D23は、停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D21よりも大きい。本実施形態においては、停止処理検知領域K4の左右の外縁は、ディスプレイ4011端部から同距離にあり、ディスプレイ4011の左右の外縁は、操作器401端部から同距離にあるが、それぞれの距離が互いに異なっていてもよい。緊急操作入力領域807と、停止処理検知領域K4との離間距離D24は、他の検知領域K1乃至K3同士の間の距離D20a、D20bよりも大きい。
【0066】
●操作器の画面構成(3)
図11に示す第3実施形態に係る操作器401の緊急メニュー画面G22には、「飛行を再開」ボタンB1が左上、「離着陸地点に戻る」ボタンB2が左下、「その場に軟着陸」ボタンB3が右上、および「緊急モーター停止」ボタンB4が右下に表示されている。停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D31a、D31bは、他の検知領域K1乃至K3同士の間の距離D30a、D30bよりも大きい。ここで、「離着陸地点に戻る」ボタンB2は、「その場に軟着陸」ボタンB3よりも使用頻度が高いため、特に、検知領域K2とK4の間の離間距離D31aを、検知領域K3とK4の離間距離D31bよりも大きくすることで、誤って「緊急モーター停止」ボタンB4を押してしまうリスクを低減できる。停止処理検知領域K4と操作器401のディスプレイ4011端部との離間距離D32は、停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D31よりも大きい。停止処理検知領域K4と操作器401の外縁との離間距離D32は、停止処理検知領域K4と他の検知領域K1乃至K3との離間距離D31a、D31bよりも大きい。緊急操作入力領域807と、停止処理検知領域K4との離間距離D33は、他の検知領域K1乃至K3同士の間の距離D30a、D30bよりも大きい。さらに、その場に軟着陸を行うと圃場内の農作物を痛めてしまう可能性があるため、誤って「その場に軟着陸」ボタンB3を押すことも防止できることが望ましい。そのため、使用頻度が高い「飛行を再開」ボタンB1と「その場に軟着陸」ボタンB3の間の離間距離D30bは、離間距離D30aよりも大きくすることが望ましい。
【0067】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
ドローンの操作において、緊急操作時の誤入力を防止する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11