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特許7457420医療支援システム、医療支援方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】医療支援システム、医療支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20240321BHJP
【FI】
G16H50/20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023134401
(22)【出願日】2023-08-22
【審査請求日】2023-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522358401
【氏名又は名称】株式会社グリーンメチル
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 良太
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-331581(JP,A)
【文献】特開2020-126284(JP,A)
【文献】特開2005-250836(JP,A)
【文献】特開平10-011522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に定めた、生体サンプルの複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の基準範囲を記録する基準範囲記憶部と、
予め、前記複数の臨床検査項目の組み合わせおよび当該臨床検査項目の逸脱状況を疾病の特定条件として記憶した解析ロジック記憶部と、
前記複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の検査結果であるパラメータとを対応付けた臨床検査結果データを取得する臨床検査結果データ取得部と、
前記臨床検査項目毎に、取得した前記パラメータと前記基準範囲とを比較し、当該パラメータの前記基準範囲からの値の逸脱状況を判定する診断支援前処理部と、
前記臨床検査項目毎に判定した逸脱状況が、解析ロジック記憶部に記憶されている前記疾病の特定条件を満たすか否を判定し、満たす場合、可能性がある前記疾病を原因候補疾病と判定する診断支援後処理部と、
を備え、
前記原因候補疾病を医師に提示し、当該医師からの診断確認を受け付けることで疾病を特定する医療支援システム。
【請求項2】
前記生体サンプルが、血液、毛髪、尿、汗、唾液、DNA、便、の少なくとも1つを含む請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項3】
前記解析ロジック記憶部が、前記疾病毎に、患者へ提示するコメント情報を記録し、
特定された前記疾病について前記解析ロジック記憶部から取得した前記コメント情報を、当該特定された疾病と対応付けた解析レポートを作成する解析レポート作成部を備える請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項4】
前記解析ロジック記憶部が、前記疾病毎に、患者に必要な処方情報を記録し、
解析レポート作成部は、前記特定された疾病と対応付けた前記処方情報を前記解析レポートに含める請求項3に記載の医療支援システム。
【請求項5】
前記解析レポートを、前記医師が確認し、修正を行う解析レポート確認部を備える請求項4に記載の医療支援システム。
【請求項6】
前記解析ロジック記憶部が、治療の内容と順とを示す治療ピラミッド、当該治療ピラミッドの各層の根本原因、当該根本原因に対する対応検査、当該対応検査に含まれる前記臨床検査項目、および前記疾病の症状を記録し、
前記解析レポート作成部が、前記治療ピラミッド、前記根本原因、前記対応検査、当該対応検査の前記臨床検査結果データに基づいて判明した前記疾病、および前記症状を階層的に提示した検査結果サマリーを前記解析レポートに含める請求項3に記載の医療支援システム。
【請求項7】
前記解析ロジック記憶部が、前記治療ピラミッドの各階層の治療期間を記録し、
前記解析レポート作成部が、前記治療ピラミッド、当該治療ピラミッドの治療期間に基づいて作成される前記患者の治療計画を示す治療ロードマップを前記解析レポートに含める請求項6に記載の医療支援システム。
【請求項8】
前記解析ロジック記憶部が、前記治療ピラミッドの各階層の根本治療に対応する薬を記録し、
前記解析レポート作成部が、前記解析ロジック記憶部に前記階層毎に記録されている薬と処方情報とに基づいて、各階層の治療期間毎に、作成される服薬スケジュールを前記解析レポートに含める請求項7に記載の医療支援システム。
【請求項9】
前記臨床検査結果データ取得部は、表形式の電子データでない臨床検査結果レポートから、および臨床検査機関毎のレポートフォーマットを用いたOCR処理によって、前記複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の検査結果である前記パラメータとを対応付け、所定の臨床検査項目順に並べた臨床検査結果データを取得する請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項10】
前記臨床検査結果データ取得部は、表形式の電子データである臨床検査結果レポートから、前記複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の検査結果である前記パラメータとを対応付け、所定の臨床検査項目順に並べた臨床検査結果データを取得する請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項11】
前記医師がカスタマイズした基準範囲を前記臨床検査項目と対応付けて記録するカスタマイズ記憶部を備え、
前記診断支援前処理部が、前記基準範囲記憶部と前記カスタマイズ記憶部との両方に基準範囲が記録されている場合に、当該カスタマイズ記憶部の基準範囲を前記取得した前記パラメータとの比較に用いる請求項1に記載の医療支援システム。
【請求項12】
前記解析レポート作成部は、前記診断支援後処理部において、前記臨床検査項目毎に判定した逸脱状況が、前記解析ロジック記憶部に記憶されている前記疾病の臨床検査項目の逸脱状況の組合せを満たさない疾病を、可能性がない疾病として前記解析レポートに含める請求項3に記載の医療支援システム。
【請求項13】
医療支援装置が、事前に定めた、生体サンプルの複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の基準範囲を基準範囲記憶部に記録するステップと、
医療支援装置が、予め、前記複数の臨床検査項目の組み合わせおよび当該臨床検査項目の逸脱状況を疾病の特定条件として解析ロジック記憶部に記憶するステップと、
ユーザ端末が、前記複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の検査結果であるパラメータとを対応付けた臨床検査結果データを取得するステップと、
医療支援装置が、前記臨床検査項目毎に、取得した前記パラメータと前記基準範囲とを比較し、当該パラメータの前記基準範囲からの値の逸脱状況を判定するステップと、
医療支援装置が、前記臨床検査項目毎に判定した逸脱状況が、前記解析ロジック記憶部に記憶されている前記疾病の特定条件を満たすか否を判定し、満たす場合、可能性がある前記疾病を原因候補疾病と判定するステップと、
を含み、
医療支援装置が、前記原因候補疾病を医師に提示し、当該医師からの診断確認を受け付けることで疾病を特定する医療支援方法。
【請求項14】
医療支援システムを、
事前に定めた、生体サンプルの複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の基準範囲を記録する基準範囲記憶部、
予め、前記複数の臨床検査項目の組み合わせおよび当該臨床検査項目の逸脱状況を疾病の特定条件として記憶した解析ロジック記憶部、
前記複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の検査結果であるパラメータとを対応付けた臨床検査結果データを取得する臨床検査結果データ取得部、
前記臨床検査項目毎に、取得した前記パラメータと前記基準範囲とを比較し、当該パラメータの前記基準範囲からの値の逸脱状況を判定する診断支援前処理部、
前記臨床検査項目毎に判定した逸脱状況が、解析ロジック記憶部に記憶されている前記疾病の特定条件を満たすか否を判定し、満たす場合、可能性がある前記疾病を原因候補疾病と判定する診断支援後処理部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療支援システム、医療支援方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液検査を始めとする臨床検査の検査結果に基づく診断は、血液サンプルを専門の検査機関に送付し、検査機関によって作成された検査結果レポートを臨床医師が読解した上で、当該臨床医師の経験に基づき患者へのアドバイスを行っていた。
そこで、複数の検査が実施された場合に、特に、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波画像診断装置、核医学診断装置等の医用画像診断装置による検査を含む場合に、実施された検査毎の検査結果レポートを統合して1の検査結果レポートとし、医師の労力を軽減し、かつ診断効率を上げる技術が開示されている(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-096055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、複数の検査結果を1の検査結果レポートに集約することで検査結果を把握しやすくなるが、検査結果からの判断は医師が行わなければならず、検査結果が多くなるほど時間と労力がかかり、また人による判断のために人により、また経験により判断が異なってしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、臨床検査の検査結果に基づく臨床医の判断を支援する医療支援システム、医療支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、事前に定めた、生体サンプルの複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の基準範囲を記録する基準範囲記憶部と、
前記複数の臨床検査項目から判定したい疾病毎に1以上の臨床検査項目を選択し、前記基準範囲との逸脱状況とを組み合わせて記録する解析ロジック記憶部と、
前記複数の臨床検査項目と、当該臨床検査項目の検査結果であるパラメータとを対応付けた臨床検査結果データを取得する臨床検査結果データ取得部と、
前記検査項目毎に、取得した前記パラメータと前記基準範囲とを比較し、当該パラメータの前記基準範囲からの値の逸脱状況を判定する診断支援前処理部と、
検査項目毎に判定した逸脱状況が、解析ロジック記憶部に記憶されている前記疾病の臨床検査項目の逸脱状況の組合せを満たすか否を判定し、満たす場合、可能性がある前記疾病を原因候補疾病と判定する診断支援後処理部と、
を備え、
前記原因候補疾病を医師に提示し、当該医師からの診断確認を受け付けることで疾病を特定する医療支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、臨床検査の検査結果に基づく臨床医の判断を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る医療支援システムの概要図である。
図2】本実施形態に係る医療支援装置およびユーザ端末が備えるコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る医療支援システムの機能構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る医療支援処理のフローチャートを示す図である。
図5】本実施形態に係る医療支援システムの臨床検査結果データ取得部によるデータの抽出処理のフローチャートを示す図である。
図6】本実施形態に係る基準範囲DBを模式的に示す図である。
図7】本実施形態に係る解析ロジックDBを模式的に示す図である。
図8】本実施態に係る医療支援システムで判定する疾病一覧を示す図である。
図9】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図10】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図11】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図12】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図13】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図14】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図15】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図16】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図17】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図18】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図19】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図20】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図21】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図22】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
図23】本実施形態に係る医療支援システムの画面一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0010】
[基本概念/基本構成]
図1は、本実施形態に係る医療支援システム1の概要図である。
医療支援システム1は、臨床医が行う、臨床検査結果に対する臨床医による解析レポートの作成を、支援するシステムであって、臨床医が操作するユーザ端末200と、ユーザ端末200とインターネット等の情報通信回線を介して接続される医療支援装置100と、を備える。本実施形態において、医療支援装置100は、クラウドサーバとするが、オンプレミスであってもよい。また、医療支援装置100がユーザ端末200と物理的に同じ装置であってもよい。
【0011】
まず、臨床医Dは、患者Pからの要望に基づき、例えば採血を行って、患者の生体サンプルを得る。臨床医Dは、この生体サンプルを検査機関に送付し、検査機関が所定の検査を実施し、検査機関からの臨床検査結果レポート10を受領する。この臨床検査結果レポート10は、複数の臨床検査項目が列挙して記載されており、どの臨床検査項目をどこに記載するかは検査機関によって定められた固有のフォーマットであり、検査機関を横断する統一されたフォーマットではないが、記載されている臨床検査項目自体はおおむね同様である。
【0012】
ユーザ端末200は、臨床検査結果レポート10を基に、臨床検査結果レポート10が紙であればスキャンし、データであればデータフォーマットを変換することで、所定フォーマットの臨床検査結果データ20を取得する(S1)。ここで、臨床検査結果データ20は、血液検査等における臨床検査項目と当該臨床検査項目の生体パラメータとが対応付けられたデータである。なお、臨床検査結果レポート10から臨床検査結果データ20を取得する方法の詳細については、後述する。
そして、ユーザ端末200は、取得した臨床検査結果データ20を医療支援装置100へ送信する(S2)。
【0013】
医療支援装置100は、臨床検査結果データ20をユーザ端末200から受信した後、当該臨床検査結果データ20と、予め保持している臨床検査項目毎の基準範囲とに基づいて、臨床検査項目毎に基準範囲と生体パラメータとを比較し、逸脱状況を取得する診断支援前処理を実行する(S3)。
【0014】
詳細には、医療支援装置100は、予め保持している臨床検査項目毎の基準範囲を参照して、臨床検査項目毎に、当該基準範囲に対する、臨床検査結果データ20に含まれる生体パラメータの逸脱状況を取得する。例えば、基準範囲に対する生体パラメータの逸脱状況には、生体パラメータが基準範囲を超えている「高」、生体パラメータが基準範囲内である「正」、および生体パラメータが基準範囲より小さい「低」がある。そして、医療支援装置100は、臨床検査項目毎に逸脱状況を対応付けた診断支援前結果データを作成する。
【0015】
次に、医療支援装置100は、診断支援前結果データと、予め保持している、各疾病を判定する条件である臨床検査項目毎の逸脱状況の組合せと、に基づいて、可能性のある疾病を原因候補疾病として判定する診断支援後処理を実行する(S4)。
【0016】
詳細には、医療支援装置100は、判定条件である臨床検査項目毎の逸脱状況の組合せが保持されている疾病毎に、当該臨床検査項目毎の逸脱状況の組合せを診断支援前結果データの逸脱状況が満たす、または満たさないによって、「陽性」、および「陰性」を判定する。そして、医療支援装置100は、判定結果が「陽性」である疾病を原因候補疾病として特定し、当該原因候補疾病と、判定結果「陽性」とを対応付けた解析レポートデータ30を作成する。
【0017】
後述するが、解析レポートデータ30には、臨床検査結果データ20、原因候補疾病について予め保持されている説明、他端末にある患者Pの電子カルテや電子化されたお薬手帳からAPI連携等により取得した服用中の薬・サプリメントの情報、原因候補疾病について予め保持されている処方、原因候補疾病について予め保持されているコメント情報等が含まれてもよい。
【0018】
医療支援装置100は、S4の診断支援後処理で作成した解析レポートデータ30をユーザ端末200に送信する(S5)。
ユーザ端末200は、解析レポートデータ30を受信した後、受信した解析レポートデータ30を表示部に表示し、臨床医Dからの解析レポートデータ30への修正指示を受け付ける。臨床医Dの判断によって解析レポートデータ30を更新し、臨床医Dの確認が終わった旨の入力を受け付けると、更新された解析レポートデータ30を確認後解析レポートデータ40とする解析結果確認処理を実行する(S6)。
【0019】
例えば、臨床医Dは、臨床検査結果レポート10や臨床検査結果データ20に基づいて疾病Aは「疑い」であると診断したが、解析レポートデータ30では「陽性」となっている場合に、ユーザ端末200は、解析レポートデータ30の疾病Aの「陽性」を「疑い」に修正する指示を臨床医Dから受け付けると、解析レポートデータ30を更新する。また、S4で「陰性」と判定され解析レポートデータ30に含まれない疾病Bを、臨床医Dは臨床検査結果レポート10や臨床検査結果データ20に基づいて「疑い」があると診断した場合に、ユーザ端末200は、臨床医Dから疾病Bが「疑い」であることを追加する指示を受け付けると、解析レポートデータ30を更新する。
【0020】
なお、解析レポートデータ30に、原因候補疾病について予め保持されている説明、他端末にある患者Pの電子カルテや電子化されたお薬手帳から取得した服用中の薬・サプリメントの情報、候補原因疾病について予め保持されている処方、候補原因疾病について予め保持されているコメント情報等が含まれる場合には、当該コメント情報等もユーザ端末200に併せて表示されるが、臨床医Dは、これらの情報も任意に修正することができる。
【0021】
そして、ユーザ端末200は、作成した確認後解析レポートデータ40を医療支援装置100に送信する(S7)。医療支援装置100は、受信した確認後解析レポートデータ40に基づいて、確定解析レポート50を作成し(S8)、ユーザ端末200に送信する(S9)。
【0022】
確定解析レポート50は、臨床医Dが解析結果データを確認し確定診断した結果の解析レポートであって、臨床医Dが診断した原因疾病を記載した診断結果を少なくとも含み、臨床検査結果データ20を記載した解析結果、診断結果に基づく臨床医Dによる処方が記載された処方結果、他端末にある患者Pの電子カルテや電子化されたお薬手帳から取得した服用中の薬・サプリメントが記載された服用情報等が含まれてもよい。
ユーザ端末200は、受信した確定解析レポート50を表示部に表示する確定解析レポート表示処理を実行する(S10)。表示された確定解析レポートの内容は、臨床医Dから患者Pに提供される。なお、確定解析レポート50は、プリンター等の出力部から出力されてもよい。
【0023】
図2に、本発明の実施形態に係る医療支援装置100およびユーザ端末200が備えるコンピュータ300のハードウェア構成を示すブロック図を示す。
コンピュータ300は、例えば、プロセッサ301、メモリ(主記憶装置)302、補助記憶装置303、出力装置304、入力装置305、及び通信インタフェース(I/F)306を含む。上記構成要素は、バスによって互いに接続されている。
【0024】
メモリ302は、主に実行中のプログラム及びデータを保持するために利用され、プロセッサ301がメモリ302に格納されているプログラムに従って動作することで、後述する様々な機能部(後述する図3参照)が実現される。
補助記憶装置303は、プロセッサ301が使用するデータを格納していて、後述する図3の記憶部150、ユーザ記憶部250に相当する。
【0025】
出力装置304は、入出力用の各種画像を提示するハードウェアデバイスであり、例えば、表示デバイス又は印刷デバイスである。
入力装置305は、ユーザからの指示や情報を入力するためのハードウェアデバイスであって、ユーザ端末200においては、スキャナやカメラといった撮像装置である。
通信I/F306は、ネットワークとの接続のためのインタフェースである。
【0026】
図3は、本実施形態に係る医療支援システム1の機能構成を示す図である。
医療支援システム1は、医療支援装置100とユーザ端末200とを備える。
医療支援装置100は、通信部110、診断支援前処理部120、診断支援後処理部130、確定解析レポート作成部140、および記憶部150を備える。
【0027】
記憶部150は、臨床検査結果データDB151、基準範囲DB152、解析ロジックDB153、レポートデータDB154、および確定解析レポートDB155を備える。なお、本実施形態において、記憶部150は、クラウドストレージや分散型台帳で構成されるのが望ましいが、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカードなどで構成されてもよい。
【0028】
ユーザ端末200は、通信部210、臨床検査結果データ取得部220、解析レポート確認部230、表示部240、およびユーザ記憶部250を備える。ユーザ記憶部250は、電子臨床検査結果レポートDB251、およびカスタマイズDB252を備える。
各機能部の詳細については、図4に示す医療支援処理フローにて併せて説明する。
【0029】
図4は、本実施形態に係る医療支援処理のフローチャートを示す図である。
まず、臨床検査結果データ取得部220は、臨床検査結果レポート10を取得すると、臨床検査結果レポート10に含まれる臨床検査項目と、当該項目に対応する生体パラメータとを対応付けて抽出し、臨床検査結果データ20を取得し、医療支援装置100へ送信する(S11)。
【0030】
ここで、臨床検査結果レポート10は、血液検査だけではなく、毛髪、尿、汗、唾液、DNA、便等、生体を検査して得られた生体パラメータが少なくとも検査項目と対応付けて含まれうる。例えば、血液検査の臨床検査結果レポート10には、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球Hb量)、MCHC(平均赤血球Hb濃度)、血小板、網状赤血球、好酸球、好中球、リンパ球、Fe(血清鉄)、TIBC(総鉄結合能)、フェリチン、血糖、HbAlc(ヘモグロビンAlc)、インスリン、グリコアルブミン、1.5AG、総蛋白、A/G比、アルブミン、GOT(AST)、GPT(ALT)、γGTP、ALP、LDH、コリンエステラーゼ、CPK、アミラーゼ、BUN(尿素窒素)、クレアチニン、尿酸、Cl(クロール)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、中性脂肪、LDLコレステロール、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT3(トリヨードサイロニン、FT4(サイロキシン)、CRP、ホモシステイン、25(OH)2ビタミンD3、ペプシノーゲンI、PGI/PGII比、NEFA、ヘリコバクターピロリ抗体、好塩基球数、HOMA-R、間接ビリルビン、CaxP、GOT(AST)-GPT(ALT)、等の臨床検査項目と、当該項目それぞれに対応つけた生体パラメータである検査数値が含まれる。
【0031】
臨床検査結果レポート10から、臨床検査結果データ20を取得する取得処理について、図5を用いて説明する。
【0032】
図5は、本実施形態に係る医療支援システム1の臨床検査結果データ取得部220によるデータの取得処理のフローチャートを示す図である。
臨床検査結果レポート10が紙媒体である場合には、事前に、臨床検査結果レポート10をスキャナやカメラといった撮像装置によって取り込んで、電子データとして電子臨床検査結果レポートDB251に保存する。一方、臨床検査結果レポート10が、PDF等の電子ファイルである場合には、すでに電子データであるので、そのまま電子臨床検査結果レポートDB251に保存する。以下、電子データの臨床検査結果レポート10を電子臨床検査結果レポート11という。
【0033】
臨床検査結果データ取得部220は、電子臨床検査結果レポートDB251に記憶している電子臨床検査結果レポート11が表形式の構造化された電子データであるか否かを判定する(S101)。臨床検査結果データ取得部220は、表形式の構造化された電子データでない場合はS102に処理を進め、一方、表形式の構造化された電子データである場合はS105に処理を進める。ここで、表形式の構造化された電子データとは、エクセルやCSV形式の電子データである。
【0034】
臨床検査結果データ取得部220は、電子臨床検査結果レポートDB251に記憶している電子臨床検査結果レポート11が表形式の構造化された電子データでないので、当該電子臨床検査結果レポート11にOCR処理を施して、文字列を抽出する(S102)。具体的には、臨床検査結果データ取得部220は、電子臨床検査結果レポート11に対応する書式データに基づいて、当該電子臨床検査結果レポート11の臨床検査項目の文字列を抽出する。
【0035】
ここで、臨床検査項目の配列は検査機関によって決まっているので、電子臨床検査結果レポート11のどこに何の項目が記載されているかを示す書式をあらかじめ学習し、書式データとして保持することができる。そして、あらかじめその位置に記載されているであろう文字列は事前に書式データとして学習されているため、電子臨床検査結果レポート11から文字列が抽出されると、書式データにおいて対応する文字列が臨床検査項目の文字列として抽出される。そのため、文字列が完全に正しくは抽出できなくても、当該文字が記載された位置と数・文字との一致によって正しい文字列を抽出・変換することができる。なお、電子臨床検査結果レポート11から抽出された文字列が、書式データにおいて対応する文字列と全く異なる場合には、その旨通知を行ってもよい。
【0036】
次に、臨床検査結果データ取得部220は、S101で抽出した各文字列について、文字列近傍に記載された、生体パラメータの数字を抽出する(S103)。
電子臨床検査結果レポート11における、臨床検査項目と当該臨床検査項目の生体パラメータである数字との位置関係、例えば、臨床検査項目の右隣や2マス下等、も検査機関によって決まっているので、当該位置関係も書式データに追加して学習しておくことで、S101で抽出した臨床検査項目の各文字列について生体パラメータの数字を精度よく抽出することができる。数字に関しては、一般的な文字に比較して選択肢が限られており、読みとり精度も文字よりも十分に高い。
【0037】
次に、臨床検査結果データ取得部220は、各文字列について、S102で抽出した文字列とS102で抽出した当該文字列の近傍の数字とを対応付けて、予め設定されている所定の臨床検査項目の順に並べて、臨床検査結果データ20を作成する。(S104)。
【0038】
臨床検査結果データ取得部220は、電子臨床検査結果レポートDB251に記憶している電子臨床検査結果レポート11が表形式の構造化された電子データであるので、文字列と当該文字列に対応付けられた数字とを所定の臨床検査項目の順に並べて、臨床検査結果データ20を作成する。(S105)。この際、例えばヘモグロビンとHbといった個別の臨床検査項目の表記ゆれも、事前に設定されたルールに基づき名寄せされて記憶する。
【0039】
臨床検査結果データ取得部220は、S105で作成した臨床検査結果データ20にファイル名を付与する(S106)。ファイル名は、臨床検査結果レポート10に検査機関ごとに固有のフォーマットの名称がつけられており、それをそのままの名称で付与しても良いし、任意で付けなおしてもよい。任意で付け直す場合には、ファイル名には、臨床検査結果データ20を識別する情報、患者Pの氏名、臨床検査結果レポート10の固有番号、臨床検査日、臨床検査結果レポート10の作成日の少なくとも1つを用いる。
【0040】
ファイル名を臨床検査結果レポート10の作成日とした場合、臨床検査結果レポート10が作成されてから臨床検査結果データ20が作成されるまでのタイムラグに左右されずに臨床検査結果レポート10の作成日をファイル名に用いることができる。また、ファイル名を患者名とした場合、後述する診断支援前処理において、複数のファイルから臨床医Dが間違うことなく所定の臨床検査結果データ20を選択することができる。
【0041】
臨床検査結果データ20のファイル形式は、TXT、CSV、PDFなど文字情報が格納されていれば任意であるが、本実施形態ではCSV形式とする。CSV形式とするメリットは、システム上の認識がしやすいこと、形式を変換するような場合にも対応しやすいことである。また、臨床検査結果データ20のファイルの冒頭にはファイル開始を示すヘッダ情報が、末尾にはファイルの終端であることを示すフッタ情報が、それぞれ記録されている。
【0042】
図4に戻って、臨床検査結果データ取得部220は、作成した臨床検査結果データ20に問診データ、視診データ、触診データ、打診データ、聴診データ等を紐付けて、併せて医療支援装置100へ送信してもよい。
また、臨床検査結果データ取得部220は、カスタマイズDB252に保存している臨床検査項目毎の生体パラメータの基準範囲、検査項目説明、検査項目の名称等のカスタマイズデータを、臨床検査結果データ20と併せて医療支援装置100へ送信してもよい。
医療支援装置100へ送信されたカスタマイズデータは、後述する診断支援前処理部120、診断支援後処理部130で用いられる。
【0043】
カスタマイズデータは、医療支援処理で用いるデータを臨床医Dがカスタマイズしたデータであって、具体的には、臨床検査項目毎の生体パラメータの基準範囲、検査項目説明、検査項目の名称等をカスタマイズしたデータである。カスタマイズデータは、臨床医D等が、ユーザ端末200の表示部240に表示されたデータ設定画面に、臨床検査項目毎の生体パラメータの基準範囲等のデフォルトデータを表示し、当該デフォルトデータに修正や追加をすることで作成できる。なお、臨床検査結果データ20と併せて医療支援装置100へ送信しなくてもよく、任意のタイミングでカスタマイズデータを送信し、随時医療支援装置100の記憶部150に保存しても良い。
【0044】
次に、診断支援前処理部120は、通信部110を介して取得した臨床検査結果データ20を臨床検査結果データDB151に保存する(S12)。
次に、診断支援前処理部120は、基準範囲DB152を参照して、臨床検査項目毎に、基準範囲と、臨床検査結果データ20の生体パラメータと、を比較し、基準範囲からの逸脱状況を取得する(S13)。ここで、基準範囲とは、検査項目毎に設定され、異常を検出するための基準となる値である。
【0045】
図6に、本実施形態に係る基準範囲DB152を模式的に示す図を示す。基準範囲DB152は、臨床検査項目、生体パラメータの基準範囲の上限値および下限値、単位を示す情報が含まれている。基準範囲は、男女別や年齢別、喫煙や飲酒習慣の有無や仕事(デスクワークなのか肉体労働なのか)等に分けて設定されてもよい。
なお、ユーザ端末200から、臨床検査結果データ20と併せてカスタマイズされた基準範囲を受信した臨床検査項目については、カスタマイズされた基準範囲を優先して使用する。
【0046】
図4に戻って、診断支援前処理部120は、具体的には、臨床検査項目毎に、生体パラメータが基準範囲内であれば逸脱状況は「正」、生体パラメータが基準範囲外であって下限値以下であれば逸脱状況は「低」、および生体パラメータが基準範囲外であって上限値以上であれば逸脱状況は「高」と判定し、逸脱状況を取得する。さらに、生体パラメータが下限値を大きく下回る予め設定された閾値以下であれば逸脱状況を「特低」、生体パラメータが上限値を大きく上回る予め設定された閾値以上であれば逸脱状況を「特高」としてもよい。
【0047】
次に、診断支援後処理部130は、解析ロジックDB153の、臨床検査項目毎の逸脱状況の組合せからなる疾病の判定条件に、S13で取得した臨床検査項目毎の逸脱状況を突合し、原因候補疾病を判定する診断支援後処理を実行する(S14)。
【0048】
詳細には、診断支援後処理部130は、解析ロジックDB153から、疾病毎に、判定条件である臨床検査項目毎の逸脱状況の組合せを抽出して、S13で取得した臨床検査項目毎の逸脱状況を突合する。そして、判定条件の逸脱状況を満たす場合に「陽性」、判定条件の逸脱状況を満たさない場合を「陰性」と判定し、「陽性」と判定した疾病を原因候補疾病と判定する。
【0049】
図7は、本実施形態に係る解析ロジックDB153を模式的に示す図である。解析ロジックDB153は、疾病のカテゴリー毎に、疾病が生じているか否かの判定に用いる臨床検査項目が異なるので、疾病のカテゴリー毎にテーブルを有する。
各テーブルは、疾病の判定条件である各臨床検査項目の逸脱状況、生じている可能性のある疾病のカテゴリーを示すカテゴリー1、生じている可能性のある疾病のカテゴリーを示すカテゴリー2、生じている可能性のある疾病、疾病における食事へのコメント情報である<食事>、疾病におけるサプリメントやお薬へのコメント情報である<サプリ>、疾病における日々の行動へのコメント情報である<日々の行動>を示す情報が含まれている。
<食事>、<サプリ>、<日々の行動>は、原因疾病を治療するための食事、サプリメント、日々の行動のアドバイスであって、後述する報告書を作成する際に用いられる。
【0050】
図8に、解析ロジックDB153に判定条件が格納され、本実施形態の医療支援システム1で解析する疾病の一覧の例を示す。なお、図8に示した疾病は一例であり、これらに限られない。
【0051】
疾病の判定は、人間の臨床医であれば、例えば、血中の糖度が基準範囲よりも高いというデータが得られると、いくつかの疾病候補を想定し、その中から一つを特定して診断するために次の臨床診断項目を順次確認するというステップを踏むのが典型である。一方、本医療支援システム1では、複数種類の、例えば27種類の疾病を特定するために、当初から臨床検査を行って、疾病の特定条件を保存する解析ロジック記憶部153を用いて、全ての疾病について一括に条件判定をする。具体的には、患者の臨床検査結果から臨床検査項目の逸脱状況が得られると、臨床検査項目の組み合わせおよび当該臨床検査項目の逸脱状況を疾病の特定条件として保存する解析ロジック記憶部153を用いて、全ての疾病について一括に条件判定をする。それにより、本医療支援システム1では、即自的かつ網羅的に疾病を判定でき、漏れなく原因候補疾病を特定できる。
【0052】
図4に戻って、診断支援後処理部130は、判定した原因候補疾病に基づいて、臨床検査結果データ151、解析ロジックDB153、およびレポートデータDB154を参照して、確定解析レポート50の作成前に臨床医Dが確認を行う解析レポートデータ30を含み、当該データへの修正入力を受け付ける所定画面を表示させる解析レポート画面データ31を作成する(S15)。レポートデータDB154には、詳細を後述する確定解析レポート50に提示する、予め設定されている情報、例えば、疾病に関する情報、治療ピラミッドに関する情報、検査結果に対応する症状等が記憶されている。
【0053】
解析レポート画面データ31には、臨床検査結果データ20を含む解析結果画面を表示させる解析結果画面データと、原因候補疾病に関するデータを含む診断結果画面を表示させる診断結果画面データとを含む。原因候補疾病に関するデータは、例えば、原因候補疾病の「陽性」、原因候補疾病の説明、原因候補疾病を治療するための食事、薬やサプリメントの処方、日々の行動のアドバイスである。解析結果画面および診断結果画面については後述する。なお、臨床検査結果データ20と併せてユーザ端末200から問診データ、視診データ、触診データ、打診データ、聴診データを受信した場合には、解析レポート画面データ31は、それぞれを表示させる診察結果画面データを含む。
【0054】
診断支援後処理部130は作成した解析レポート画面データ31をユーザ端末200へ送信し、ユーザ端末200の表示部240は、受信した解析レポート画面データ31に基づいて、解析結果画面および診断結果画面を表示する(S16)。
ユーザ端末200の解析レポート確認部230は、診断結果画面に表示された原因候補疾病に関するデータへの修正を受け付ける(S17)。ここで、修正には、原因候補疾病に関するデータの変更と、原因候補疾病に関するデータにないデータの追加とが含まれる。
【0055】
ユーザ端末200の解析レポート確認部230は、確定解析レポートの作成指示が入力されると、臨床検査結果データと、S17で修正された候補原因疾病に関するデータとを、確認後解析レポートデータ40として、医療支援装置100に送信する。なお、S17で修正がされなかった場合には、医療支援装置100から受信した解析レポート画面データ31に含まれていた臨床検査結果データと、原因候補疾病に関するデータとをそのまま確認後解析レポートデータ40に含める。
【0056】
確定解析レポート作成部140は、ユーザ端末200から確認後解析レポートデータ40を受信すると、受信した確認後解析レポートデータ40に基づいて、確定解析レポート50を作成し、確定解析レポートDB155に記憶する(S18)。
確定解析レポートは、確定解析レポートを識別するレポート番号、患者氏名、カルテ番号、解析方法、ファイル名、作成日時、作成状況などが対応付けられて、確定解析レポートDB155に記憶される。
【0057】
確定解析レポート作成部140は、S18で作成した確定解析レポート50をユーザ端末200に送信し、表示部240は、受信した確定解析レポート50を表示する(S19)。確定解析レポート50の詳細については後述する。
【0058】
図9図23を用いて、医療支援システム1により血液検査の臨床検査結果データ20から確定解析レポート50が作成されるまでの手順について説明する。
臨床検査結果データ20は、上述した臨床検査結果データ作成部220で臨床検査結果レポート10から取得されたテキストファイルであって、ユーザ端末200のフォルダに格納されている。
【0059】
まず、臨床医Dは、自身の端末(ユーザ端末200)にて医療支援システム1を起動し、図9に示す解析レポート作成初期画面を表示部240に表示する。図に示すように、解析レポート作成初期画面には、新規レポート作成ボタン、既存レポート一覧が表示されている。既存レポート一覧は、解析レポートを識別するレポート番号、患者名、臨床医Dの病院での患者のカルテ番号、解析方法、臨床医Dが任意に設定するファイル名、解析レポートの作成日時、解析レポートの作成状況が表示されており、任意の項目でソートすることができる。
【0060】
解析方法は、臨床検査結果レポート10に対して行う解析方法であって、臨床検査結果レポート10の検査内容に応じて決まる。本手順においては、臨床検査結果レポート10は血液検査であるので、血液栄養解析となる。
作成状況は、解析レポートの作成状況であって、臨床医Dの確認前の解析レポートは「未確認」が表示され、確認後であって、ユーザ端末200にダウンロードされていない解析レポートは、ダウンロードを促す「ダウンロードボタン」となる。
【0061】
臨床医Dは、新規に解析レポートを作成する場合には、新規レポート作成ボタンを押下する。なお、作成状況が未確認の解析レポートについて確定診断や内容の修正の作業を行う場合には、対象の解析レポートを選択し、選択項目のダウンロードボタンを押下する。選択項目のダウンロードボタンは、解析レポートが選択されると押下できるようになる。また、作成済みの解析レポートをダウンロードする場合には、対象の解析レポートの作成状況に表示されているダウンロードボタンを押下する。
【0062】
新規レポート作成ボタンが押下されると、図10に示すレポート作成の確認画面が表示される。図に示すように、レポート作成の確認画面には、解析方法、解析元ファイル、患者名それぞれの入力欄が設けられている。
解析方法の入力欄には、医療支援システム1で可能な解析方法がプルダウン等で表示され、その中から臨床医Dが選択入力する。なお、使用頻度が高い血液栄養解析をデフォルトで表示させておいてもよい。
【0063】
解析元ファイルの入力欄には、臨床医Dが選択した臨床検査結果データ20が入力される。具体的には、臨床医Dが1つ前に戻るボタンを押下すると、所定のフォルダを表示したファイル選択画面(図示せず)が表示される。臨床医Dは、ファイル選択画面には、ユーザ端末200内の所定のフォルダが表示され、臨床医Dが表示されたフォルダから臨床検査結果データ20を選択すると、レポート作成の確認画面に戻り、解析元ファイルの入力欄に選択された臨床検査結果データ20が入力される。なお、所定のフォルダに臨床検査結果データ20がない場合には、臨床医Dがフォルダを変更する操作を行い、ファイル選択画面に臨床検査結果データ20のあるフォルダを表示させる。
【0064】
患者名の入力欄には、臨床医Dが患者名を入力する。医療支援システム1が病院の電子カルテのシステムと連携している場合には、患者名が入力されると当該患者名のカルテ番号を表示し、臨床医Dが確認すると臨床検査結果データ20、患者名、カルテ番号の紐付ける。なお、患者名の入力欄に、過去に入力された患者名をプルダウン等で表示し、その中から臨床医Dが選択入力することもできる。
【0065】
そして、レポート作成の確認画面では、解析方法、解析元ファイル、患者名それぞれの入力欄が入力されると、解析開始ボタンが押下できるようになる。臨床医Dにより解析開始ボタンが押下されると、解析方法、臨床検査結果データ20、患者名が医療支援装置100に送信される。
【0066】
医療支援装置100がユーザ端末200から解析方法、臨床検査結果データ20、患者名を取得すると、図4のS12~S15の処理が実行される。医療支援装置100は、S12の処理を開始すると、処理の進捗状況を100分率値の進行状況値として随時ユーザ端末200に送信する。ユーザ端末200の表示部240は、レポート作成の確認画面上に、受信した進捗状況値を示すポップアップ画面を表示する。ポップアップ画面に表示される進捗状況値は、数字であってもよいし、線グラフや円グラフであってもよい。
【0067】
ユーザ端末200の表示部240は、医療支援装置100から処理が完了したことを示す進捗状況値100%を受信したことに応じて、図11に示す、解析レポートを確認して確定診断を促す通知画面を表示する。図に示すように通知画面には、医療支援装置100で作成された解析レポートのレポートNo、患者名、解析レポートに対する操作、解析レポートの状態を示す確認チェック、解析レポートのPDFを作成するPDFを作成するボタンが表示される。確認チェックは、解析レポートの確認が完了すると、確認済みとなり、解析レポートの確認が完了していないと後で確認するとなる。PDFを作成するボタンは、解析レポートの確認が完了しないと押下できず、この時点では、解析レポートを作成することはできない。
臨床医Dが、操作の表示欄にある確認・編集ボタンを押下すると、図12に示す出力前確認画面に遷移する。
【0068】
図に示すように出力前確認画面には、解析レポートに基づいて、解析結果画面を表示するボタン、診断結果画面を表示するボタン、服用中のお薬・サプリメント画面を表示するボタン、処方画面を表示するボタン、および主治医からのコメント画面を表示するボタンが表示される。解析結果画面、診断結果画面、服用中のお薬・サプリメント画面、処方画面、主治医からのコメント画面は、本実施形態において、ポップアップ画面であるが、画面遷移によって同一画面に表示されてもよい。
また、出力前確認画面には、これら5つを確認した後にチェックが入る確認済みにするチェックボックス、図9に示した解析レポート作成初期画面に戻る「一覧へ戻る」ボタンも表示される。
【0069】
臨床医Dは、解析結果画面、診断結果画面、服用中のお薬・サプリメント画面、処方画面、主治医からのコメント画面それぞれを表示させ、内容の確認・修正を行う。
【0070】
ユーザ端末200の表示部240は、出力前確認画面で解析結果のボタンが押下されると、解析レポートデータの解析結果画面データに基づいて、図13に示す解析結果画面を表示する。図に示すように解析結果画面には、検査項目名、基準値、適正範囲、検査結果の数値、および単位が列挙された解析結果の一覧が表示される。
【0071】
本手順における血液検査の場合には、検査項目は、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球Hb量)、MCHC(平均赤血球Hb濃度)、血小板、網状赤血球、好酸球、好中球、リンパ球、Fe(血清鉄)、TIBC(総鉄結合能)、フェリチン、血糖、HbAlc(ヘモグロビンAlc)、インスリン、グリコアルブミン、1.5AG、総蛋白、A/G比、アルブミン、GOT(AST)、GPT(ALT)、γGTP、ALP、LDH、コリンエステラーゼ、CPK、アミラーゼ、BUN(尿素窒素)、クレアチニン、尿酸、Cl(クロール)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、中性脂肪、LDLコレステロール、TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT3(トリヨードサイロニン、FT4(サイロキシン)、CRP、ホモシステイン、25(OH)2ビタミンD3、ペプシノーゲンI、PGI/PGII比、NEFA、ヘリコバクターピロリ抗体、好塩基球数、HOMA-R、間接ビリルビン、CaxP、GOT(AST)-GPT(ALT)である。
【0072】
臨床医Dは、解析結果画面にて、検査項目の各数値を基準値および適正範囲と併せて確認することができる。
【0073】
ユーザ端末200の表示部240は、出力前確認画面で診断結果のボタンが押下されると、解析レポートデータの診断結果画面データに基づいて、図14,15に示す診断結果画面を表示する。図に示すように、診断結果画面には、原因候補疾病と判定結果(「陽性」または「疑い」)とが一覧で表示される。判定結果は、最初は「陽性」となっている。そして、判定結果は臨床医Dが、「陽性」から「疑い」に変更することができ、図においては、ラジオボタンで変更できるようになっている。
【0074】
図14に示すように、臨床医Dが確認するための画面である診断結果画面には、ステータスが「陰性」の原因疾病は表示されないのが望ましい。ステータスが「陰性」の原因疾病も表示すると、表示される原因候補疾病が多くなりすぎてしまい、臨床医Dの確認項目が多くなり、見落としが発生するおそれが生じるからである。なお、臨床医Dの設定変更によって、ステータスが「陰性」の原因疾病も表示するように設定することはできる。また、医療支援装置100では、ステータスが「陰性」と判断された原因疾病を、臨床医Dが「陽性」または「疑い」として追加することもできる。
【0075】
診断結果画面の各原因候補疾病をクリックすると、図15に示すように、コメント欄が展開されて表示される。再度、原因候補疾病をクリックすると、展開されたコメント欄は折りたたまれ、原因候補疾病とステータスとの表示に戻る。コメント欄は、結果コメント欄、食事アドバイス欄、日々の行動欄、および検査項目欄がタブとして連結されており、タブをクリックすることで表示を切り替えることができる。
【0076】
本手順において、結果コメント欄、食事アドバイス欄、日々の行動欄、および検査項目欄それぞれは、タイトル入力欄と、本文入力欄とから構成される。
結果コメント欄には、診断結果画面データに含まれ、レポートデータDB154から取得された疾病に関するデータがデフォルトで表示される。
食事アドバイス欄には、診断結果画面データに含まれ、解析ロジックDB153から取得された<食事>データがデフォルトで表示される。
日々の行動欄には、診断検査結果データに含まれ、解析ロジックDB153から取得された<日々の行動>データがデフォルトで表示される。
検査項目欄には、診断結果画面データに含まれ、解析ロジックDB153から取得された原因疾病を判定するのに用いた検査項目について、解析結果画面データから抽出したデータが表示される。
【0077】
結果コメント欄、食事アドバイス欄、日々の行動欄を、臨床医Dは修正、すなわち変更・追加することができる。医療支援装置100に記憶されている、事前に用意されたコメントは多くのデータに基づき、多くの場合に当てはまるコメントとなっているものの、必ずしも個々の患者に最適となっているとは限らないため、患者Pと向き合っている臨床医Dのコメントを最重視することが肝要である。
【0078】
コメント欄は、結果コメント、食事アドバイス、日々の行動、検査項目等、患者に提示する最終報告書のフォーマットに即したテーマ分類がなされており、これによって臨床医Dの入力したコメントをデフォルトコメントと併せて最終報告書に記載する際に、テーマ分類に合わせて表記することができる。
【0079】
ユーザ端末200の表示部240は、出力前確認画面でお薬・サプリメントのボタンが押下されると、図16に示す服薬中のお薬・サプリメント画面を表示する。図に示すように、服薬中のお薬・サプリメント画面には、服薬中のお薬・サプリメントの入力欄が表示される。入力欄には、臨床医Dが、患者が持参したお薬手帳などを参照して、患者の服薬中のお薬・サプリメントを入力してもよいし、電子カルテシステムやお薬手帳アプリとAPI連携して自動入力されてもよい。入力欄に服薬中のお薬・サプリメントが入力すると、臨床医Dは、保存ボタンを押下して保存する。
【0080】
ユーザ端末200の表示部240は、出力前確認画面で処方のボタンが押下されると、図17に示す処方画面を表示する。図に示すように、処方画面には、診断結果画面データに含まれるサプリメント情報に基づいて、お薬・サプリメント名の一覧が表示され、お薬・サプリメント名をクリックすると、入力欄が展開される。再度、お薬・サプリメント名をクリックすると、入力欄は折りたたまれ、お薬・サプリメント名のみの表示に戻る。
処方画面に表示されたお薬・サプリメント名は臨床医Dが削除することができ、また、表示されていないお薬・サプリメント名を臨床医Dが追加することもできる。
【0081】
本手順において、入力欄は、お薬・サプリメント名、服用の目的、お薬・サプリメントにより治療する対象となる症状、服薬タイミング、服薬量、服薬量の単位、臨床医Dによりメモを入力する入力欄から構成される。お薬・サプリメント名の入力欄には、有効成分や一般名がデフォルトで入力されているので、臨床医Dは、処方する商品名に変更や、容量やタブレットなどの形状といった詳細な情報を追加する。
お薬・サプリメント名と、お薬・サプリメントにより治療する対象となる症状の入力欄には、診断結果画面データに含まれる原因候補疾病がデフォルトで入力されているので、臨床医Dは、複数の原因候補疾病に効果のある薬・サプリメントの場合には、原因候補疾病を追加する修正を行う。
【0082】
ユーザ端末200の表示部240は、出力前確認画面で主治医からのコメントのボタンが押下されると、図18に示す主治医からのコメント画面を表示する。図に示すように、主治医からのコメント画面には、臨床医Dがコメントを入力する入力欄が表示され、臨床医Dは、解析結果に対する統括的なコメントを記載し、保存ボタンを押下して保存する。
【0083】
解析結果画面、診断結果画面、服用中のお薬・サプリメント画面、処方画面、主治医からのコメント画面全てについて、臨床医Dが内容確認および修正を行うと、図12に示した出力前確認画面にあるチェックボックスにチェックが入る。そして、臨床医Dは、一覧へ戻るボタンを押下して、図11に示した通知画面へ戻り、「法的な責任は医師が追うものとして作成します」のチェックボックスにチェックを入れると、PDFを作成するボタンが押下できるようになる。
【0084】
臨床医Dは、PDFを作成するボタンを押下すると、臨床医Dにより確認され、編集された解析レポートが医療支援装置100に送信される。
医療支援装置100は、受信した編集された解析レポート(確認後解析レポートデータ40)に基づいて、確定解析レポート50を作成し、ユーザ端末200に送信する。医療支援装置100は、確定解析レポート50のファイル名称を、例えば、「報告書作成日_患者氏名_解析方法.pdf」とする。
【0085】
ユーザ端末200は、確定解析レポート50を受信すると、図9に示した解析レポート作成初期画面において、確定解析レポート50のファイル名称が表示され、作成状況にダウンロードボタンが表示される。臨床医Dは、ダウンロードボタンを押下すると、確定解析レポート50がダウンロードされ、表示部240に表示したり、プリンター等に出力したりすることができる。
【0086】
確定解析レポート50は、表紙、検査データの解析手法の概説、検査結果、処方薬・サプリメント、検査結果のサマリー、治療ロードマップ、アドバイスから構成されている。なお、表紙、検査データの解析手法の概説については、予め、医療支援装置100のレポートデータDB154にフォーマットが記憶されており、レポート作成の確認画面で入力された患者名と解析手法に基づいて、選択や設定がされる。
【0087】
図19は、報告書の検査結果の提示例である。本実施形態では1回の血液検査で27の疾病判定を行っており、「陽性」を赤、「疑い」をオレンジ、「陰性」を薄いグレーで表示している。患者が目にする検査結果では、検査の結果「陰性」であると判定された項目もグレーで表記することによって、患者は疾病の疑いのない項目も知ることができる。また、各疾病はブロックごとに独立して記載されており、ブロックの中には当該疾病を診断するに至った検査結果が数値とともに表記されている。
【0088】
図20は、処方薬・サプリメントの提示例である。臨床医師の処方入力画面が疾病と紐づけた入力画面となっているので、患者向けの報告書にも疾病とその原因、それに対応するために処方された薬・サプリメントを併記して記載できる。これによって、患者自身が、何のためにその薬を服用するのか容易に理解でき、インフォームドコンセントを形成し、服薬を継続する動機付けとすることができる。
【0089】
図21は、確定解析レポート50の検査結果のサマリーの提示例である。検査結果サマリーは、治療内容と治療順を示す治療ピラミッドを用いて、患者に治療フレームを提示し、治療概要を理解しやすくすることができる。図に示す治療ピラミッドは、根本原因を治療するための根本治療ピラミッドであって、治療は基本的に下層から順に治療を行って下層の治療を維持しながら上層の治療へと移行していく。
【0090】
詳細には、検査結果のサマリーには、治療ピラミッド、治療ピラミッドの各層の根本原因、根本原因に対する対応検査、対応検査で判定できる疾病が検査結果として、そして、疾病毎に対応する症状が表示される。検査結果には、「陽性」と判定された疾病を赤、「疑い」と判定された疾病をオレンジ、「陰性」と判定された疾病を薄いグレーで表示する。なお、治療ピラミッド、治療ピラミッドの各層の根本原因、根本原因に対する対応検査、疾病毎に対応する症状は、レポートデータ154に予め記憶されている。
【0091】
検査結果のサマリーにより、医師は、治療フレーム、根本原因、対応検査、検査結果、症状を、階層的に認識することが可能であるため、治療ピラミッドに基づき治療を確定し、コメント等を修正して、解析レポートを修正することが可能である。また、医師は、治療フレーム、根本原因、対応検査、臨床検査結果、症状を階層的に患者Pに提示することで、患者に治療方針を理解しやすくすることが可能である。
【0092】
図22は、治療ピラミッドに基づいて作成された治療ロードマップの提示例である。治療ピラミッドは、上述したように基本的に下層から順に治療を行って下層の治療を維持しながら上層の治療へと移行して行き、また各層には、予め定められた治療期間が設定されている。そのため、治療ロードマップは、根本的な治療である第1層から治療の期間を開始し、順次、第2層、第3層の治療へと移るように治療期間を月毎のカレンダーに対応付けて作成される。そして、各期間の最後を経過確認とする。
【0093】
このような視覚化されたロードマップを臨床医Dと患者Pが共有することで、患者P自身が治療の方針と全体における現在の治療の位置づけを把握することができ、今後の治療方針についてのインフォームドコンセントの確立に寄与することができる。
【0094】
図23は、治療ロードマップに対応する患者Pの服薬スケジュールの提示例である。服薬スケジュールは、図22に示した治療ロードマップの治療期間がクリックすると、画面遷移やポップアップ画面で表示される。服薬スケジュールは、治療ピラミッドの各階層の治療期間毎に、起床から朝食前、昼食前、昼食後、日中から夕方、夕食前、夕食後、就寝前のどのタイミングで服薬すべきかを提示する。
【0095】
治療ピラミッドの各階層の根本治療に対処するサプリメントや薬と、確認後解析レポートデータ40に含まれる患者Pに処方されたサプリメントや薬とを照合して各階層の治療期間のサプリメントや薬を特定し、特定したサプリメントや薬に設定された服薬タイミングに基づいて、服薬スケジュールが作成される。なお、根本原因に対処する個々の薬はレポートデータ154に予め記憶されている。
【0096】
このように、各階層の治療期間毎に、患者Pが服薬すべき全ての薬をまとめて、起床から朝食前等のどのタイミングで服薬すべきかを示す服薬スケジュールが自動的に作成され、提示されるので、患者Pが複数の薬を服用する必要があっても、服薬期間や服薬タイミングを間違えることがない。
【0097】
(変形例1)
上述した実施形態において、生体パラメータは検査結果の数値であったが、数値に限らず、波形や画像であってもよく、例えば、心電図、脳波、眼球運動、エコー画像、X線画像、CT画像であってもよい。波形の場合、例えば、基準範囲は波形の幅や高さの基準範囲や1以上の正常時の波形であって、逸脱状況はこれらとの対比に基づいて「高」、「正」、「低」と判定される。また、画像の場合、例えば、基準範囲は1以上の正常時の画像であって、逸脱状況は正常時の画像との対比に基づいて「高」、「正」、「低」と判定される。
それにより、様々な臨床検査結果から原因疾病候補を判定することができ、判定精度を向上させることもできる。
【0098】
(変形例2)
また、上述した実施形態において、臨床検査結果データ20と紐付けられ医療支援装置100へ送信された、問診データ、視診データ、触診データ、打診データ、聴診データ等は、ユーザ端末200の表示部240に表示されるだけであったが、問診データ、視診データ、触診データ、打診データ、聴診データ等の検査結果を、診断支援後処理部130での原因候補疾病の判定に用いてもよい。
【0099】
この場合、臨床検査結果データ取得部220は、問診データ、視診データ、触診データ、打診データ、聴診データ等から、臨床検査項目と、当該項目に対応する検査結果とを対応付けて抽出し、臨床検査結果データ20に含める。そして、臨床検査結果レポート10から抽出された生体パラメータと同様に、検査結果の逸脱状況を判定し、疾病の判定条件に基づいて原因候補疾病を判定する診断支援後処理を実行する。
それにより、医師による診察結果も含めて原因候補疾病を判定することにより、判定精度を向上させることができる。
【0100】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、医療支援システムについて説明したが、本発明において医療支援システムが実行する方法や、医療支援システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0101】
1 医療支援システム
100 医療支援装置
110 通信部
120 診断支援前処理部
130 診断支援後処理部
140 確定解析レポート作成部
150 記憶部
200 ユーザ端末
210 通信部
220 臨床検査結果データ取得部
230 解析レポート確認部
240 表示部
250 ユーザ記憶部

【要約】      (修正有)
【課題】臨床検査の検査結果に基づく臨床医の判断を支援する。
【解決手段】医療支援システム1において、ユーザ端末は、複数の臨床検査項目と、その検査結果であるパラメータとを対応付けた臨床検査結果データを取得する臨床検査結果データ取得部を有し、医療支援装置は、事前に定めた、生体サンプルの複数の臨床検査項目と、その基準範囲を記録する基準範囲DB及び複数の臨床検査項目から判定したい疾病毎に1以上の臨床検査項目を選択し、基準範囲との逸脱状況を組み合わせて記録する解析ロジックDBを含む記憶部と、臨床検査項目毎に取得したパラメータと基準範囲とを比較し、パラメータの基準範囲からの逸脱状況を判定する診断支援前処理部と、検査項目毎の逸脱状況が、解析ロジック記憶部に記憶している疾病の臨床検査項目の逸脱状況の組合せを満たすか否を判定し、満たす場合、可能性がある疾病を原因候補疾病と判定する診断支援後処理部と、を備える。
【選択図】図3
図1
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図3
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