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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/00 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
H05B3/00 370
H05B3/00 310E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023192751
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2019181863の分割
【原出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2024020360
(43)【公開日】2024-02-14
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594067195
【氏名又は名称】株式会社九州日昌
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 乙松
(72)【発明者】
【氏名】山中 正仁
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-317872(JP,A)
【文献】特開2018-048805(JP,A)
【文献】特開2008-224056(JP,A)
【文献】特開2011-065967(JP,A)
【文献】特開2017-074643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔を隔てて配置された少なくとも3枚以上の矩形状の加熱プレートと、
上下方向で対向する前記加熱プレートの加熱面により画定される、被加熱物を収容するための加熱スペースと、を有し、
前記加熱スペースの四方の少なくとも一つは外部に向けて開放された開口部を有しており、
上下方向で隣り合う前記加熱スペースは、前記加熱プレートによって分離されており、
前記加熱プレートの各々に設けられた温度センサーと、
前記加熱プレートの各々に設けられた温度センサーの検出温度が目標温度に追従するように、前記加熱プレートの発熱量を独立に制御する、または、前記加熱プレートを複数のグループに分けて当該グループ毎に発熱量を独立に制御する温調手段と、をさらに有し、
前記温調手段は、上方に配置された前記加熱プレートの発熱量を相対的に減らし、下方に配置された前記加熱プレートの発熱量を相対的に増やすように制御する、
複数の前記加熱スペースは、空気の流通路によっては連通しておらず、互いに独立した空間である、加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的大面積のガラス基板や半導体リードフレームあるいはその他の金属板や合成樹脂板などの各種板状部材またはシート状部材の熱処理に使用される加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルなどの構成部材である比較的大型のガラス基板を熱処理する装置としては、放熱板の加熱によって両面から遠赤外線を放射する両面加熱式の遠赤外線パネルヒータからなる多数の棚状ヒータを、炉本体内に上下方向に一定間隔で多段配置し、これらの棚状ヒータの間に形成される各空間部分をそれぞれ乾燥室とした加熱炉が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の加熱炉の場合には、両面加熱式の遠赤外線パネルヒータからなる多数の棚状ヒータが配置されているため、これらの棚状ヒータの間に形成される各空間部(乾燥室)を効率的に加熱することができる点では優れている。
【0004】
しかしながら、上下方向に配置された多数の棚状ヒータから発される熱は、加熱炉内を上昇して炉内の天壁寄りの領域に集まる傾向があるため、炉内上部領域の温度は、炉内下部領域の温度より高くなり、このような炉内上部領域と炉内下部領域との間の温度差をなくすことは極めて困難である。
【0005】
特許文献2は、断熱材で囲まれた空間内に距離を隔てて対向配置された複数の加熱用壁体と、加熱用壁体に設けられた発熱手段と、加熱用壁体の間に距離を隔てて配置された複数の伝熱壁体と、伝熱用壁体の間に棚状に配置された複数の熱放射部材と、上下方向に隣り合う熱放射部材の間に設けられた被加熱物の加熱スペースとを備えた構成とした加熱装置を開示している。
特許文献2に開示された加熱装置は、垂直方向に設けられた加熱用壁体により加熱するため、加熱スペース内に収容することのできる被加熱物のサイズが限定される。特許文献2に開示の技術は、そもそも大面積の板状またはシート状の被加熱物を均一に加熱することを想定していないため、大面積の被加熱物の面内において温度を均一に加熱することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-317872号公報
【文献】特開2005-352306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、広い面内で精度良く温度分布を均一にすることは、加熱装置は大気中に配置されて常に外乱の影響を受けるため難しい。多数のヒータおよび多数の温度センサーを設置して面内の温度管理をすれば、広い面積を精度良く均等に加熱することも可能であるが、装置のコストが高くなる。また、多数のヒータおよび多数の温度センサーを設置すると、加熱スペースを上下方向に積み重ねることも難しい。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、低コストで大面積の板状またはシート状の被加熱物を均一に加熱することができる加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加熱装置は、上下方向に間隔を隔てて配置された複数の矩形状の加熱プレートと、
上下方向で対向する前記加熱プレートの加熱面により画定される、被加熱物を収容するための加熱スペースと、を有し、
前記加熱プレートの各々は、
矩形状の金属製プレートと、
前記金属製プレートに内蔵された複数の面状ヒータと、を有し、
前記複数の面状ヒータは、金属製プレートの中央領域に配置された中央面状ヒータと、前記中央面状ヒータの外周を囲む複数の外周面状ヒータからなる。
【0010】
前記複数の外周面状ヒータは、
被加熱物の前記加熱スペースへの搬入方向において、前記中央面状ヒータの両側に隣接配置された第1および第2の面状ヒータと、
前記搬入方向に直交する方向において、前記中央面状ヒータの両側に隣接配置され、かつ、前記加熱プレートの一端部から他端部に延在している第3および第4の面状ヒータと、からなる。
【0011】
代替的には、前記複数の外周面状ヒータは、
被加熱物の前記加熱スペースへの搬入方向において、前記中央面状ヒータの両側に隣接配置され、かつ、前記加熱プレートの一端部から他端部に延在している第1および第2の面状ヒータと、
前記搬入方向に直交する方向において、前記中央面状ヒータの両側に隣接配置されている第3および第4の面状ヒータと、からなる。
【0012】
代替的には、前記複数の外周面状ヒータは、
前記加熱プレートの四隅に配置された第1~第4の面状ヒータと、
被加熱物の前記加熱スペースへの搬入方向および当該搬入方向に直交する方向において、
前記中央面状ヒータの両側にそれぞれ隣接配置された第5~第8の面状ヒータとからなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対向する加熱プレートの間に加熱スペースを画定し、加熱プレートに内蔵させる面状ヒータの構成を最適化したので、大面積の板状又はシート状の被加熱物を均一に加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である加熱装置を示す正面図。
図2図1に示す加熱装置の側面図。
図3A図1に示す加熱装置の加熱スペースに被加熱物を入れてセットする様子を示す拡大側面図。
図3B図1に示す加熱装置の加熱スペースに被加熱物をセットした時の様子を示すもので、図3Aに対応する拡大側面図。
図3C図1に示す加熱装置の加熱スペースから被加熱物を取り出す様子を示すもので、図3Aに対応する拡大側面図。
図4】加熱プレートの平面図。
図5】面状ヒータの構成図。
図6】加熱プレートの側面図。
図7】本発明の第2の実施形態に係る加熱プレートの面状ヒータの構成図。
図8】本発明の第3の実施形態に係る加熱プレートの面状ヒータの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
図1および図2に示すように、加熱装置1は、上下方向に等間隔に配置された複数枚の矩形状の加熱プレート10を有し、対向する加熱プレート10,10により画定される板状又はシート状の被加熱物を収容するための加熱スペース30を有する。加えて、それぞれの加熱プレート10の温度を調節するための温度調節装置40を有する。
【0016】
図1は、加熱装置1の正面を示すもので、複数の加熱プレート10は、その正面側の左右端部が左右一対の支持板50L、50Rによって支えられるとともに、その背面側の左右端部も同じように左右一対の支持板50L、50Rによって支えられている。正面側および背面側の一対の支持板50L、50Rのそれぞれは、互いに対向して配置され、それらの対向面には複数の断面矩形状の溝上下方向に等間隔(加熱スペース30の高さに相当)で水平方向に形成されている。これら複数の溝には、加熱プレート10の正面側および背面側の左右端部がそれぞれ嵌入され、それぞれの加熱プレート10が上下方向に位置決めされる。加熱スペース30内に収容された被加熱物は、上下の加熱プレート10により加熱される。
【0017】
加熱スペース30の正面側および背面側は開口し、加熱スペース30の両側面も支持板50L,50Lの間および支持板50R,50Rの間が開口している。すなわち、加熱スペース30の四方が開口している。なお、加熱スペースは四方が開口している場合もあるが、搬入方向のみ開口、または、搬入方向に扉を付けて全面閉口の場合もあり得る。
各加熱スペース30に開口部を備えることで、加熱装置1による熱処理工程を他の工程と連続的に接続することが可能となる。
【0018】
各一対の支持板50L、50Rの対向面には、さらに被加熱物20を加熱スペース30内に案内するための断面L字形状の帯状のガイド部材60L、60Rが図示しないネジ等を用いて固定されている。ガイド部材60L、60Rは、加熱装置1の前後方向L(図2参照)に向けて水平に配設されている。ガイド部材60L、60Rの手前側(加熱装置1の前側、図2において左側)には、被加熱物20を加熱スペース30内にスムーズに導くための誘い込み部材61L(不図示)、61Rが取り付けられている。
【0019】
加熱装置1の正面側および背面側の一対の支持板50L、50Rそれぞれの上端側及び下端側は、それぞれ天板71及び底板72によって連結されている。底板72の下面にはそれぞれ短めの脚部材73L、73Rが取付けられ、これらの脚部材73L、73Rの下端部は中板74に固定されている。中板74の下面にはそれぞれ長めの脚部材75L、75Rが取付けられ、これらの脚部材75L、75Rの下端部は基台76に固定されている。
【0020】
加熱装置1の正面側の左右一対の支持板50L、50Rとその背面側の左右一対の支持板50L、50Rはステンレス鋼で形成され、天板71、底板72、脚部材73L、73R、中板74、脚部材75L、75R及び基台76は、左右一対の支持板50L、50Rと同材質のステンレス鋼で形成されるのが好ましいが、これに限定されず、アルミニウムやアルミニウム合金(あるいは輻射熱の発散を抑制するため光沢のない表面処理を施したアルミニウムやアルミニウム合金)で形成しても良い。支持板50L、50Rは、ステンレス鋼以外の金属も使用する。アルミニウムやアルミニウム合金などで形成してもよい。
【0021】
図3Aに示すように、板状の被加熱物20を誘い込み部材61L、61R側から加熱スペース30内に水平に挿入される。図3Bに示すように、被加熱物20は上下の加熱プレート10で挟まれた状態で加熱される。加熱処理後には、被加熱物20は図3Cに示すように、誘い込み部材61L、61R側とは反対側の背面側の開口部から水平方向に搬出される。なお、本実施形態では、背面側の開口部から水平方向に搬出したが、これに限定されるわけではなく、いずれの開口部からも被加熱物を搬出することができる。
【0022】
ここで、本実施形態に係る加熱プレート10について説明する。
加熱プレート10は、図4図6に示すように、矩形状を有しており、複数(5個)の面状ヒータ11A~11Eを内蔵している。ここで、面状ヒータ11D側から被加熱物が搬入されるものとし、これを搬入方向Vとする。
加熱プレート10は、図5に示すように、面状ヒータ11A~11Eをこれらの両面からステンレス合金等の金属製プレート15A,15Bで挟んだ構成となっている。金属製プレート15A,15Bは、周縁部が溶接等により互いに接合されている。加熱プレート10の両面を構成する金属製プレート15A,15Bが同様の温度分布となる。
【0023】
図6に示すように、面状ヒータ11Aは加熱プレート10の中央部に配置された矩形状の中央面状ヒータであり、面状ヒータ11B,11Cは搬入方向Vにおいて面状ヒータ11Aの両側に隣接配置された矩形状の第1および第2の面状ヒータであり、面状ヒータ11D,11Eは搬入方向Vに直交する方向において面状ヒータ11Aの両側に隣接配置され、かつ、加熱プレート10の一端部から他端部に延在している第3および第4の面状ヒータである。
面状ヒータ11A~11Eのそれぞれは、例えば、略矩形状のマイカ等の電気絶縁性のシート状物に発熱線をジグザグ形状に折り返しながら配線したものである。また、加熱プレート10に内蔵される面状ヒータ11A~11Eは、例えば、以下に説明する面状ヒータ、あるいは帯状のヒータであっても良い。
面状ヒータには、発熱線(発熱線)の材質や形状によって、例えば次のような2タイプが一例として挙げられる。
1)ワイヤータイプ(兼線タイプとも言う)
材質:Ni-Cr系(ニクロム線)、Fe-Cr-Al系(鉄クロ線)、カンタル線等
例えば、ワイヤー状の発熱線を絶縁物に巻付ける、もしくは絶縁物平面に遣わすようにして配線したものである。絶縁物にワイヤーを巻付けたタイプの場合は、巻付けのピッチを変化させることで粗密巻きが可能となる。また、絶縁物平面にワイヤーを遣わせるタイプの場合は、ワイヤーのレイアウトにより親密面を確保することが可能となる。
2)帯状タイプ(テープ状タイプとも言う)
材質:Ni-Cr系(ニクロム線)、Fe-Cr-Al系(鉄クロ線)、ステンレス系線等
帯状の発熱線を絶縁物に巻付けるか、もしくはシート状からエッチングにより平面状に配線したものである。絶縁物に帯を巻付けたタイプの場合は、巻付けるピッチを変化させることで親密巻きが可能となる。また、エッチングよって成型されたタイプの場合は、パターンレイアウトにより粗密面を実現可能となる。
【0024】
面状ヒータ11A~11Eのそれぞれは、単位面積あたりの発熱量が面内で均一になるように形成されている。
また、面状ヒータ11A~11Eの間では、単位面積あたりの発熱量が等しく形成されていてもよいし、異なるように形成されていてもよい。
例えば、加熱プレート10の左右における外乱が非常に大きく、中央領域における外乱が小さいような場合に、面状ヒータ11A~11Eの間で単位面積あたりの発熱量が等しと、加熱プレート10の全体の面内で温度を均一にできない場合も考えられる。このため、左右に配置された面状ヒータ11B,11Cの単位面積当たりの発熱量(出力)を、同じ電流値の下で、残りの面状ヒータ11A,11D,11Eの単位面積当たりの発熱量(出力)よりも大きくすることができる。
【0025】
各加熱プレート10には、一または複数の温度センサー17が設けられている。温度センサー17は、例えば、熱電対からなる。本実施形態では、面状ヒータ11Aと面状ヒータ11Cの中央部に設けられている。
温度センサー17の数は、特に限定されないが、少なくとも一つは必要である。温度センサー17が一つの場合には、予め加熱プレート10の温度分布を解析しておき、1箇所の温度センサー17の値から加熱プレート10の各箇所の温度を予測してもよい。
全ての面状ヒータ11A~11Eに温度センサー17を設けてもよいが、コスト低減の観点からは温度センサー17は少ない方が好ましい。本実施形態では、加熱プレート10は、前後および左右で面状ヒータ11A~11Eが対称に配置されているので、面状ヒータ11Aと面状ヒータ11Cの中央部に設けた2つの温度センサー17の検出した温度から、残りの面状ヒータ11B,11D,11Eの温度を推定する。
【0026】
図6に示したように、各面状ヒータ11A~11Eには、複数の給電線16が接続されており、これらの給電線16は全て一端側に導出され、温度調節装置40に接続される。また、一部の給電線16は隣接する面状ヒータの間を通過している。このような構成により、給電線16が邪魔になることなく、複数の加熱プレート10を積み上げることが可能となる。
【0027】
本実施形態では、加熱プレート10の左右、すなわち、面状ヒータ11B,11Cが配置された領域が他の領域よりも温度が低下しやすい環境に置かれた場合を想定している。
各面状ヒータ11A~11Eの温度制御はそれぞれ独立に目標温度に追従するように実施されてもよいが、本実施形態では、コスト低減等の観点から、中央領域の面状ヒータ11A,11D,11Eを一つのグループ、左右の面状ヒータ11B,11Cを一つのグループとし、グループ毎に独立に温度制御を実行する。
【0028】
本実施形態では、加熱プレート10が受ける環境外乱に応じて加熱プレートに内蔵させる面状ヒータを複数に分割し、加熱プレート10の発熱量の面内分布を加熱プレート10が設置される環境から受ける外乱に対応可能にしている。加熱プレート10の発熱量の面内分布を環境外乱に応じて最適化するとともに、上記した温度調節装置40との組み合わせによって、加熱プレート10の温度の高い面内均一性を実現できる。
また、複数の加熱プレート10が積み重ねられると、熱が下方から上方に向けて上昇するため、上方に配置される加熱プレート10の温度は下方に配置された加熱プレート10よりも高くなる。温度調節装置40は、上方に配置された加熱プレート10の面状ヒータ11A~11Eの各々の発熱量を相対的に減らし、下方に配置された加熱プレート10の面状ヒータ11A~11Eの各々の発熱量を相対的に増やし、複数の加熱プレート10の全ての温度が均一化されるように電力供給を制御する。
この結果、加熱装置1の全ての加熱スペース30において大面積の板状又はシート状の被加熱物20を均一に加熱することができる。
【0029】
本実施形態の加熱装置1では、棚状に設置した複数の加熱プレート10を支持板で支持し、支持板の間、すなわち、該装置の前後左右を開放する構成としている。これにより、加熱装置1の前後からの被加熱物20の出し入れが容易になるとともに、必要に応じて、該装置の左右からの被加熱物20の出し入れも可能となり、その出し入れも容易にすることができる。
被加熱物20は、シート状の物でも、板状の物であって良い。被加熱物20は、図示しないクレーンやロボットアーム等により加熱スペース30内に挿入される。このとき、左右の誘い込み部材61L、61Rが被加熱物20を傷付けないように加熱スペース30内に導く。
【0030】
ここで、被加熱物20について説明する。
一般的に、被加熱物(ワーク)には次の2タイプがある。
1) ハードタイプ(ボードタイプとも言う)
腰の強いシート状の物である。
基板やプラスチック板、ガラス板などが対象となる。このタイプの被加熱物(ワーク)はそのものをダイレクトに炉に入れ、加熱することができる。炉内での保持方法は、被加熱物(ワーク)に接触してよい箇所に保持部品を当たる様にする。基板であれば捨て基板部を保持することを示す。保持部品は、誘い込みガイドや、後述する加熱プレート10の上側の面に設置するピンなどである。このタイプのワークは、上記したガイド部材60L、60Rで直接保持することも可能である。
2) ソフトタイプ(シートタイプとも言う)
腰の柔らかいシート状の物である。
フィルムや箔状物、ゴムシートなどが対象となる。このタイプの被加熱物(ワーク)はハンドリングの関係上、そのものをダイレクトに炉の中には入れることが出来ないため治具にセットした形で投入し、加熱する。炉内での保持方法は、治具を保持することを示す。保持部品は上記1)と同一である。
【0031】
図7に第2の実施形態に係る加熱プレート10Aを示す。なお、図7において、上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付している。また、温度センサーの図示は省略している。
加熱プレート10Aは、中央部に配置された矩形状の面状ヒータ11Aと、搬入方向Vにおいて、面状ヒータ11Aの両側に隣接配置され、かつ、加熱プレート10Aの一端部から他端部に延在している面状ヒータ11F,11Gと、搬入方向Vに直交する方向において面状ヒータ11Aの両側に隣接配置されている面状ヒータ11H,11Iとを備える。
この構成の加熱プレート10Aは、前後の面状ヒータ11F,11Gの配置領域の温度が相対的に低くなりやすい場合に適している。すなわち、面状ヒータ11F,11Gの配置領域に相対的に大きな外乱の印加により温度低下が著しい場合に、面状ヒータ11F,11Gの温度を選択的に高めることにより、加熱プレート10Aの全体として均一な温度分布が得られる。
【0032】
図8に第3の実施形態に係る加熱プレート10Bを示す。なお、図8において、上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付している。また、温度センサーの図示は省略している。
加熱プレート10Bは、中央部に配置された矩形状の面状ヒータ11Aと、四隅に配置された面状ヒータ11J~11Mと、搬入方向Vおよび当該搬入方向Vに直交する方向において面状ヒータ11Aの両側にそれぞれ隣接配置された面状ヒータ11N~11Qとを備える。
この構成の加熱プレート10Bは、面状ヒータ11Aの周囲全てで外乱による温度低下が著しい場合に適している。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る加熱装置は、比較的大面積のガラス基板や半導体リードフレームあるいはその他の金属板や合成樹脂板などの各種板状部材やシート状部材の熱処理を行う産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 :加熱装置
10,10A,10B :加熱プレート
11A~11Q :面状ヒータ
15A,15B :金属製プレート
16 :給電線
17 :温度センサー
20 :被加熱物
30 :加熱スペース
40 :温度調節装置
50L,50R :支持板
60L,60R :ガイド部材
61L,61R :誘い込み部材
71 :天板
72 :底板
73L,73R :脚部材
74 :中板
75L,75R :脚部材
76 :基台
L :前後方向
V :搬入方向
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8