(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】抗菌機能を有するモノマー組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 215/40 20060101AFI20240321BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240321BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20240321BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20240321BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240321BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240321BHJP
C07C 211/63 20060101ALI20240321BHJP
C07C 211/64 20060101ALI20240321BHJP
C07C 213/02 20060101ALI20240321BHJP
C07D 231/04 20060101ALI20240321BHJP
C08G 63/88 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
C07C215/40 CSP
A01P3/00
A61K31/14
A61K31/4164
A61P31/04
A61P31/10
C07C211/63
C07C211/64
C07C213/02
C07D231/04
C08G63/88
(21)【出願番号】P 2020529760
(86)(22)【出願日】2018-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2018059621
(87)【国際公開番号】W WO2019116161
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-05-25
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【復代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ヘドリック、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】フェブレ、マレバ
(72)【発明者】
【氏名】ピウノバ、ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ナタニエル
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ムー サン
(72)【発明者】
【氏名】タン、パン カーン ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、イー ヤン
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-224734(JP,A)
【文献】特開2005-120060(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103709049(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103705965(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103992426(CN,A)
【文献】特開2009-090645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094964(US,A1)
【文献】OL'KHOVIC, V. K. et al.,Synthesis, Antimicrobial and Antifungal Activity of Double Quaternary Ammonium Salts of Biphenyls,Russian Journal of General Chemistry,2013年,Vol. 83,pp. 329-335
【文献】HAQUE, R. A. et al.,Silver(I)-N-heterocyclic carbene complexes of bis-imidazol-2-ylidenes having different aromatic-spacers: synthesis, crystal structure, and in vitro antimicrobial and anticancer studies,Appl. Organometal. Chem.,2013年,Vol. 27,pp. 465-473
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 215/40
A01P 3/00
A61K 31/14
A61K 31/4164
A61P 31/04
A61P 31/10
C07C 211/63
C07C 211/64
C07C 213/02
C07D 231/04
C08G 63/88
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一イオネン単位を含むモノマーであって、前記単一イオネン単位は、分子骨格に沿って配置されたカチオン、および、前記分子骨格と共有結合した疎水性官能基を含み、
前記モノマーが下記の群から選ばれる構造を有し、前記単一イオネン単位が抗菌機能を有する、前記モノマー。
【化1】
上記式において、nは1以上1000以下の整数である。
【請求項2】
前記疎水性官能基が、ハロゲン化アルキルに由来する、請求項1に記載のモノマー。
【請求項3】
アミンモノマーおよび求電子試薬を溶媒中に溶解すること 、および、
前記アミンモノマーおよび
前記求電子試薬からモノマーを形成する、請求項1記載のモノマーの製造方法であって、前記モノマーは、単一イオネン単位を含み、
前記単一イオネン単位は分子骨格に沿って配置されたカチオンを含む、モノマーを形成すること
を含む方法であって、前記単一イオネン単位が抗菌機能を有する、前記方法。
【請求項4】
前記アミンモノマーが下記構造を有し、
【化2】
(上記式において、nは1以上1000以下の整数である)
前記求電子試薬は下記の群から選ばれるハロゲン化アルキルである、
【化3】
(上記式においてXはハロゲンである)
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記モノマーが下記の群から選ばれる、請求項4記載の方法。
【化4】
(上記式において、nは1以上1000以下の整数である)
【請求項6】
前記形成することが、窒素カチオンを形成する四級化を含み、前記ハロゲンは臭素及び塩素からなる群から選ばれる、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記アミンモノマー、前記求電子試薬、および前記溶媒を、摂氏15度(℃)以上150℃以下の温度で、12時間以上24時間以下の所定の時間、撹拌すること
をさらに含む、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
対象の開示は、抗菌機能を有する1つまたは複数のモノマーに関し、より詳細には、1つまたは複数のカチオンまたは疎水性官能基あるいはこの両方を含む1つまたは複数のモノマーに関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の発見および改良は、医療を改革した、20世紀における最高の業績の1つであった。例えば、ペニシリン、シプロフロキサシン、およびドキシサイクリンのような抗生物質は、特定の原核生物の代謝を標的として破壊することにより微生物選択性を達成すると同時に、真核細胞に対して良性を維持して高い選択性をもたらすことができる。適切に投与すれば、感染を根絶することができる。残念ながら、抗生物質のこの治療的特異性はまた、打消しを生じ、これは、過少量投与(不完全な死滅)により、わずかな遺伝的変異を許し、これによって、抗生物質の作用が軽減されて、耐性発現が生じるためである。結果的に、薬剤耐性微生物、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)、多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびバンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)に起因する院内感染は、さらに蔓延している。さらに複雑としているのは、アニリド、ビス-フェノール、ビグアニドおよび第四級アンモニウム化合物を含む、セルフケア製品、殺菌剤および病院洗浄剤等における抗菌剤の広汎な使用であり、この場合、主な懸念は、特に、病院において、臨床的に使用される抗生物質との交差耐性および共耐性の発現である。別の残念な特徴は、例えば、トリクロサンでは、皮膚におけるその累積的かつ持続的作用である。その上、バイオフィルムは、多数の院内感染および移植の失敗と関連しており、さらに、バイオフィルムの根絶は、今日まで未だ達成されていない課題である。抗生物質は、バイオフィルム中の細菌を被包する細胞外ポリマー物質を透過することができないため、薬剤耐性の発現を生じる、さらなる複雑性が存在する。
【0003】
しかし、カチオン電荷を有するポリマーは、細菌膜相互作用の静電的破壊をもたらし得る。その上、カチオン性ポリマーは、膜結合と、統合または溶解の両方が可能となる、疎水性領域の付加により容易に両親媒性とすることができる。両親媒性のバランスは、抗菌特性においてだけでなく、溶血活性においても重要な作用を担うことが示されている。このような抗菌ポリマーの多くは、哺乳動物細胞に対する相対毒性、または病原体と関連する溶血により定義した場合、相対的に低い選択性を示す。
【発明の概要】
【0004】
以下では、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的理解をもたらす概要を提示する。この概要は、鍵となる、または重要な要素を同定、あるいは特定の実施形態のいかなる範囲または特許請求の範囲のいかなる範囲をも描写することを意図しない。この唯一の目的は、後に提示する、より詳細な説明の前置きとして、概念を単純化した形態で提示することである。本明細書に記載する1つまたは複数の実施形態では、抗菌機能を有するイオネンに関する方法または組成物あるいはこの両方を記載する。
【0005】
実施形態では、モノマーを提供する。モノマーは、単一イオネン単位を含み得る。単一イオネン単位は、分子骨格に沿って配置されたカチオンを含み得る。また、疎水性官能基は、この分子骨格と共有結合することができ、単一イオネン単位は、抗菌機能を有し得る。
【0006】
別の実施形態では、モノマーを提供する。モノマーは、単一イオネン単位を含み得る。単一イオネン単位は、テレフタルアミド構造を含み得る、分解性分子骨格に沿って配置されたカチオンを含み得る。さらに、単一イオネン単位は、抗菌機能を有し得る。
【0007】
別の実施形態では、方法を提供する。方法は、アミンモノマーおよび求電子試薬を溶媒中に溶解することを含み得る。求電子試薬は、ハロゲン化アルキルであり得る。方法はまた、アミンモノマーおよび求電子試薬からモノマーを形成することを含み得る。モノマーは、単一イオネン単位を含み得る。単一イオネン単位は、分子骨格に沿って配置されたカチオンを含むことがあり、単一イオネン単位は、抗菌機能を有し得る。
【0008】
別の実施形態では、方法を提供する。方法は、アミンモノマーおよび求電子試薬を溶媒中に溶解することを含み得る。アミンモノマーは、テレフタルアミド構造を含み得る、分解性分子骨格を含み得る。方法はまた、アミンモノマーおよび求電子試薬からモノマーを形成することを含み得る。モノマーは、単一イオネン単位を含み得る。単一イオネン単位は、分解性分子骨格に沿って配置されたカチオンを含むことがあり、抗菌機能を有し得る。
【0009】
別の実施形態では、方法を提供する。方法は、病原体をモノマーと接触させることを含み得る。モノマーは、分子骨格に沿って配置されたカチオンを含み得る、単一イオネン単位を含み得る。また、疎水性官能基は、この分子骨格と共有結合し得る。さらに、単一イオネン単位は、抗菌機能を有し得る。加えて、この接触させることは、病原体の膜を静電的に破壊し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、非限定的なイオネン単位を、例として示す図である。
【
図2】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン単位により実施し得る、非限定的な溶解プロセスを、例として示す図である。
【
図3】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の生成を容易とし得る、非限定的な方法を、例として示す流れ図である。
【
図4】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の生成を容易とし得る、非限定的な化合物形成スキームを、例として示す図である。
【
図5】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、非限定的なイオネン組成物を、例として示す図である。
【
図6】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、非限定的なイオネン組成物を、例として示す別の図である。
【
図7】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン単位を特徴づけ得る、非限定的な化学構造式を、例として示す図である。
【
図8】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン単位の生成を容易とし得る、非限定的な方法を、例として示す流れ図である。
【
図9】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の生成を容易とし得る、非限定的な化合物形成スキームを、例として示す図である。
【
図10】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の生成を容易とし得る、非限定的な化合物形成スキームを、例として示す図である。
【
図11】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の抗菌機能を表し得る、非限定的な表を、例として示す図である。
【
図12】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の抗菌機能を表し得る、非限定的な表を、例として示す別の図である。
【
図13】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の抗菌機能を表し得る、非限定的な表を、例として示す別の図である。
【
図14】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の溶血活性を表し得る、非限定的なグラフを、例として示す図である。
【
図15】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の溶血活性を表し得る、非限定的なグラフを、例として示す別の図である。
【
図16】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の溶血活性を表し得る、非限定的なグラフを、例として示す別の図である。
【
図17】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン単位による病原体の死滅を容易とし得る、非限定的な方法を、例として示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、単に例示的であるだけでなく、実施形態、または実施形態の適用もしくは使用、あるいはこの両方を限定することを意図してもいない。その上、前述の背景技術または発明の概要の項において、あるいは発明を実施するための形態の項において提示する、いかなる情報の表現または意味によっても、拘束される意図もない。
【0012】
ここで、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を記載し、この場合、類似の数字を参照して、全体を通して類似の要素を指す。以下の記載では、説明目的のために、特定の多数の詳細を示して、1つまたは複数の実施形態のさらに徹底的な理解をもたらす。しかし、種々の場合において、1つまたは複数の実施形態が、このような特定の詳細なくして実行され得ることは、明らかである。
【0013】
抗生物質の発見および改良は、医療を改革した、20世紀における最高の業績の1つであった。例えば、ペニシリン、シプロフロキサシン、およびドキシサイクリンのような抗生物質は、特定の原核生物の代謝を標的として破壊することにより微生物選択性を達成すると同時に、真核細胞に対して良性を維持して高い選択性をもたらすことができる。適切に投与すれば、感染を根絶することができる。残念ながら、抗生物質のこの治療的特異性はまた、打消しを生じ、これは、過少量投与(不完全な死滅)により、わずかな遺伝的変異を許し、これによって、抗生物質の作用が軽減されて、耐性発現が生じるためである。結果的に、薬剤耐性微生物、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)、多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびバンコマイシン耐性腸球菌(Enterococci)(VRE)に起因する院内感染は、さらに蔓延している。さらに複雑としているのは、アニリド、ビス-フェノール、ビグアニドおよび第四級アンモニウム化合物を含む、セルフケア製品、殺菌剤および病院洗浄剤等における抗菌剤の広汎な使用であり、この場合、主な懸念は、特に、病院において、臨床的に使用される抗生物質との交差耐性および共耐性の発現である。別の残念な特徴は、例えば、トリクロサンでは、皮膚におけるその累積的かつ持続的作用である。その上、バイオフィルムは、多数の院内感染および移植の失敗と関連しており、さらに、バイオフィルムの根絶は、今日まで未だ達成されていない課題である。抗生物質は、バイオフィルム中の細菌を被包する細胞外ポリマー物質を透過することができないため、薬剤耐性の発現を生じる、さらなる複雑性が存在する。
【0014】
しかし、カチオン電荷を有するポリマーは、細菌膜相互作用の静電的破壊をもたらし得る。その上、カチオン性ポリマーは、膜結合と、統合または溶解の両方が可能となる、疎水性領域の付加により容易に両親媒性とすることができる。両親媒性のバランスは、抗菌特性においてだけでなく、溶血活性においても重要な作用を担うことが示されている。このような抗菌ポリマーの多くは、哺乳動物細胞に対する相対毒性、または病原体と関連する溶血により定義した場合、相対的に低い選択性を示す。
【0015】
本明細書において使用する場合、用語「イオネン」は、ポリマー単位、コポリマー単位、またはモノマー単位あるいはこれらの組合せを指すことがあり、これらは、分子骨格に沿って配置されるか、または分子骨格中に位置するか、あるいはこの両方である、窒素カチオンまたはリンカチオンあるいはこの両方を含み、これにより正電荷を与え得る。窒素カチオンの例としては、第四級アンモニウムカチオン、プロトン化第二級アミンカチオン、プロトン化第三級アミンカチオン、またはイミダゾリウムカチオン、あるいはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。リンカチオンの例としては、第四級ホスホニウムカチオン、プロトン化第二級ホスフィンカチオン、およびプロトン化第三級ホスフィンカチオンを含むが、これらに限定されない。本明細書において使用する場合、用語「分子骨格」は、分子の一次構造を形成する、共有結合した原子の中央鎖を指し得る。本明細書に記載の種々の実施形態では、側鎖は、1つまたは複数の官能基を分子骨格に結合させることにより形成し得る。本明細書において使用する場合、用語「ポリイオネン」は、複数のイオネンを含み得るポリマーを指し得る。例えば、ポリイオネンは、繰返しイオネン単位を含み得る。
【0016】
図1は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、非限定的なイオネン単位100の例となる図を示す。イオネン単位100は、分子骨格102、1つもしくは複数のカチオン104、または1つもしくは複数の疎水性官能基106、あるいはこれらの組合せを含み得る。種々の実施形態では、本明細書に記載の、イオネンまたはポリイオネンあるいはこの両方は、イオネン単位100を含み得る。例えば、本明細書に記載のポリイオネンは、ともに結合した複数のイオネンを含むことがあり、この場合、結合したイオネンは、イオネン単位100により例示する組成物を有し得る。
【0017】
分子骨格102は、共有結合した複数の原子(
図1および2において円として示す)を含み得る。原子は、望ましい任意の構造で結合し、鎖構造、または環構造、あるいはこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。分子骨格102は、1つまたは複数の化学構造を含み、アルキル構造、アリール構造、アルケニル構造、アルデヒド構造、エステル構造、カルボキシ構造、カルボニル構造、アミン構造、アミド構造、ホスファイド構造、ホスフィン構造、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。当業者は、分子骨格を構成し得る原子の数が、イオネン単位100の所望の機能に応じて変化し得ることを認識するであろう。例えば、
図1においては19個の原子を示すが、数十、数百、または数千、あるいはこれらの組合せの個数の原子を含み得る分子骨格102もまた、想定される。
【0018】
1つまたは複数のカチオン104は、分子骨格102中に位置する。上記のように、1つまたは複数のカチオン104は、窒素カチオンまたはリンカチオンあるいはこの両方を含み得る。カチオン104は、分子骨格102中の他の原子と共有結合する、分子骨格102に沿って配置され得る。種々の実施形態では、1つまたは複数のカチオン104は、少なくとも一部分の分子骨格102を含み得る。当業者は、イオネン単位100を構成し得るカチオン104の数が、イオネン単位100の所望の機能に応じて変化し得ることを認識するであろう。例えば、
図1においては2つのカチオン104を示すが、数十、数百、または数千、あるいはこれらの組合せの個数のカチオン104を含み得るイオネン単位100がまた、想定される。さらに、
図1では、等間隔に並んだ複数のカチオン104を示すが、カチオン104が等間隔に並んでいない他の立体配置もまた、想定される。また、1つまたは複数のカチオン104は、分子骨格102のそれぞれの末端、または分子骨格102の2つ以上の末端間にある分子骨格102の中間部、あるいはこの両方に位置し得る。1つまたは複数のカチオン104は、イオネン単位100の1つまたは複数の位置に正電荷を与え得る。
【0019】
1つまたは複数の疎水性官能基106は、分子骨格102に結合して、側鎖を形成し得る。1つまたは複数の疎水性官能基106は、カチオン104との結合を介して分子骨格102に結合し得る。加えて、1つまたは複数の疎水性官能基106は、分子骨格102の電気的に中性の原子に結合し得る。イオネン単位100は、分子骨格102の1つもしくは複数の末端、分子骨格102のすべての末端、または分子骨格102の中間部(例えば、2つの末端間の部分)、あるいはこれらの組合せに結合する、1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。
【0020】
図1では、疎水性官能基106としてビフェニル基を示すが、疎水性の他の官能基もまた、想定される。疎水性官能基106の例としては、アルキル構造、アリール構造、アルケニル構造、エステル構造、カルボキシ構造、カルボニル構造、カーボネート構造、アルコール構造、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。種々の実施形態では、1つまたは複数の疎水性官能基106は、同一の構造を含み得る。他の実施形態では、1つまたは複数の疎水性官能基106は、第1の構造を含むことがあり、1つまたは複数の他の疎水性官能基106は、別の構造を含み得る。
【0021】
図2は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、イオネン単位100により容易とされ得る、非限定的な溶解プロセス108の例となる図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。溶解プロセス108は、複数の段階を含むことがあり、これは、イオネン単位100により病原体細胞に対して実施され得る攻撃機構を集合的に含み得る。病原体細胞の例としては、グラム陽性菌細胞、グラム陰性菌細胞、真菌細胞、または酵母細胞、あるいはこれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0022】
標的病原体細胞は、リン脂質二重層110を有する膜を含み得る。種々の実施形態では、膜は、細胞外基質であり得る。リン脂質二重層110は、ともに共有結合した複数の膜分子112を含むことがあり、膜分子112は、親水性頭部114および1つまたは複数の疎水性尾部116を含み得る。さらに、複数の膜分子112のうちの1つまたは複数は、負電荷を帯び得る(
図2において「-」記号で示す)。
【0023】
118では、イオネン単位100の正電荷を帯びたカチオン104と負電荷を帯びた1つまたは複数の膜分子112との間に静電的相互作用が発生し得る。例えば、1つまたは複数の膜分子112の負電荷は、イオネン単位100を膜(例えば、リン脂質二重層110)に誘引し得る。また、静電的相互作用により、膜(例えば、リン脂質二重層110)の統合性が静電的に破壊され得る。イオネン単位100が膜(例えば、リン脂質二重層110)に誘引されると、疎水性膜への統合が120で発生し得る。例えば、120では、イオネン単位100の1つまたは複数の疎水性官能基106は、リン脂質二重層110への統合を開始し得る。イオネン単位100の正電荷を帯びた部分が誘引され、1つまたは複数の負電荷を帯びた膜分子112(例えば、1つまたは複数の親水性頭部114)を静電的に破壊すると同時に、1つまたは複数の疎水性官能基106は、親水性頭部114間に入り込んで、複数の疎水性尾部116で作られた疎水性領域に進入し得る。
【0024】
118または120あるいはこの両方で発生する機構の結果として、膜(例えば、リン脂質二重層110)の不安定化が、122で発生し得る。例えば、1つまたは複数の疎水性官能基106は、1つまたは複数の負電荷を帯びた膜分子112を隣接する膜分子112から切断するように作用することができ、正電荷を帯びたイオネン単位100は、切断された膜セグメント(例えば、リン脂質二重層110の層を構成する、1つもしくは複数の負電荷を帯びた膜分子112、または1つもしくは複数の中性の膜分子112、あるいはこの両方を含み得る)を、膜の隣接するセグメント(例えば、リン脂質二重層110の隣接するセグメント)から離すように移動し得る。膜(例えば、リン脂質二重層110)の切断されたセグメントが引き離されるため、これらは124で、他の膜分子112から完全に離れ、これにより膜(例えば、リン脂質二重層110)においてギャップを形成し得る。形成されたギャップは、対象の病原体細胞の溶解に寄与し得る。種々の実施形態では、複数のイオネン単位100により、溶解プロセス108を細胞上で同時に実施し得る。その上、溶解プロセス108に関与するイオネン単位100は、攻撃機構の同一の段階を同時に実施させる必要はない。
【0025】
図3は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン単位100(例えば、
図1または2あるいはこの両方により特徴づけられ得る)の生成を容易とし得る、非限定的な方法200の例となる流れ図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。方法200は、市販のアミンモノマーまたは市販の求電子試薬あるいはこの両方を用いて実施され、1つまたは複数のイオネン単位100を生成し得る。方法200により形成されたイオネン単位100は、1つまたは複数のモノマーを含み得る。
【0026】
方法200は、202において、1つまたは複数のアミンモノマーおよび1つまたは複数の求電子試薬を溶媒中に溶解することを含み得る。1つまたは複数のアミンモノマーは、1つまたは複数のアミノ基を含み得る。1つまたは複数のアミンモノマーを構成し得るアミノ基の例としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、複素環基(例えば、イミダゾール基もしくはピリジン基またはこの両方)、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。例えば、1つまたは複数のアミンモノマーは、第三級アミノ基を含み得る。また、1つまたは複数のアミンモノマーが複数のアミノ基を含む場合、対象のアミンモノマーの第1のアミノ基は、対象のアミンモノマーの第2のアミノ基と同一または異なる構造を有し得る。例えば、1つまたは複数のアミンモノマーは、2つ以上の第三級アミノ基を含み得る。加えて、1つまたは複数のアミンモノマーは、アルキル構造またはアリール構造あるいはこの両方を含み得る。その上、1つまたは複数のアミンモノマーは、1つまたは複数の官能基(例えば、ヒドロキシ基)を含み得る。アミンモノマーの例としては、1-ブチルイミダゾール、N-メチルジエタノールアミン、ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテル、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジエタノールアミン誘導化合物、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。
【0027】
1つまたは複数の求電子試薬は、ハロゲン化アルキル(例えば、ハロゲン化ジアルキル)を含み得る。例えば、1つまたは複数の求電子試薬は、臭化物または塩化物あるいはこの両方を含み得る。求電子試薬の例としては、p-キシリレンジクロリド、4,4’-ビス(クロロメチル)ビフェニル、1,4-ビス(ブロモメチル)ベンゼン、4,4’-ビス(ブロモメチル)ビフェニル、1,4-ビス(ヨードメチル)ベンゼン、1,6-ジブロモヘキサン、1,8-ジブロモオクタン、1,12-ジブロモドデカン、1,6-ジクロロヘキサン、1,8-ジクロロオクタン、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、1-ブロモヘキサン、2-(2-クロロエトキシ)エタノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、塩化ベンジル、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。
【0028】
溶媒は、有機溶媒であり得る。加えて、溶媒は、プロトン性もしくは非プロトン性の溶媒、またはこの両方、あるいはアルコール、さもなければこれらの組合せであり得る。溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。溶解を容易とするために、方法200は、1つもしくは複数のアミンモノマー、1つもしくは複数の求電子試薬、または溶媒、あるいはこれらの組合せを、摂氏15度(℃)以上150℃以下の温度で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の期間、撹拌することをさらに含み得る。
【0029】
方法200は、204において、1つもしくは複数のアミンモノマーまたは1つもしくは複数の求電子試薬あるいはこの両方から、1つまたは複数のモノマーを形成することを含み、各モノマーは、単一イオネン単位100を含み得る。1つまたは複数の求電子試薬は、1つまたは複数のアミンモノマーの1つまたは複数のアミノ基と共有結合し得る。例えば、204における形成は、1つまたは複数のアミンモノマーの1つまたは複数のアミノ基を、1つまたは複数の求電子試薬を用いて、アルキル化または四級化あるいはこの両方に供することを含むことがあり、このため、アルキル化または四級化あるいはこの両方により、1つまたは複数のアミノ基をイオン化し得る。したがって、204における形成では、ポリマー形成反応(例えば、イオネン単位100の形成)および帯電(例えば、カチオン104の形成)を同時に誘導し得る。
【0030】
1つまたは複数のモノマーを構成する1つまたは複数の単一イオネン単位100は、分子骨格102に沿って配置された1つまたは複数のカチオン104(例えば、204において1つまたは複数のアミノ基のイオン化により形成される)を含み得る。1つまたは複数のカチオン104は、プロトン化第二級アミンカチオン、プロトン化第三級アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオン、またはイミダゾリウムカチオン、あるいはこれらの組合せを含み得る。加えて、1つまたは複数のモノマーを構成する1つまたは複数の単一イオネン単位100は、分子骨格102と共有結合した(例えば、1つまたは複数のカチオン104を介して)1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。例えば、1つまたは複数の疎水性官能基106は、204において、1つもしくは複数の求電子試薬に由来するか、あるいはアルキル化もしくは四級化またはこの両方により形成されるか、さもなければこの両方であり得る。204において形成される、1つまたは複数の単一イオネン単位100、およびこれによる1つまたは複数のモノマーは、抗菌機能を有し得る。
【0031】
図4は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物(例えば、
図1および2により特徴づけられるか、または方法200に従って生成されるか、あるいはこの両方であり得る)の生成を容易とし得る、非限定的な化合物形成スキームの例となる図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。
図4に示す化合物形成スキームでは、市販のアミンモノマーまたは市販の求電子試薬あるいはこの両方を用いて実施され、1つまたは複数のイオネン単位100を生成し得る。
図4の化合物形成スキームにより形成および生成されたイオネン単位100は、1つまたは複数のモノマーを構成し得る。また、
図4における「n」は、1以上1,000以下の整数(例えば、1以上100以下の整数)を表し得る。1つまたは複数の特定のアミンモノマーまたは求電子試薬あるいはこの両方を表す一方、
図4に示す化合物形成スキームのさらなる実施形態もまた、想定される。例えば、
図4に示す化合物形成スキームの主要な機構は、本明細書に記載の種々の特徴による、任意のアミンモノマーまたは求電子試薬あるいはこの両方に(例えば、
図1~2または方法200あるいはこの両方を参照して)適用し得る。
【0032】
図4に示すように、スキーム300は、ハロゲン化ジアルキル(例えば、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル)および複数のアミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)からのイオネン組成物(例えば、第1のイオネン組成物302)の形成を表し得る。例えば、ハロゲン化ジアルキル(例えば、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル)は、複数のアミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)とともに溶媒(例えば、DMF)中に溶解し得る。ハロゲン化ジアルキル(例えば、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル)、複数のアミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)および溶媒は、15℃以上150℃以下の温度(例えば、室温(「RT」))で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の間、撹拌し得る。
【0033】
スキーム300では、複数のアミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)を求電子試薬(例えば、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル)と、複数のアミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)の1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級アミノ基)により共有結合させ得る。例えば、スキーム300は、1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級アミノ基)を、求電子試薬(例えば、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル)を用いてアルキル化して、複数のカチオン104(例えば、第四級アンモニウムカチオン)を含む、イオネン組成物(例えば、第1のイオネン組成物302)を形成することを含み得る。さらに、イオネン組成物(例えば、第1のイオネン組成物302)は、アルキル化の結果として、求電子試薬(例えば、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル)に由来する、1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。したがって、スキーム300により生成され得るイオネン組成物(例えば、第1のイオネン組成物302)は、
図1~2に関連して記載する種々の特徴を含み得るか、または方法200の種々の特徴に従って生成され得るか、あるいはこの両方であり得る。
【0034】
図4に示すように、スキーム308は、ハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)およびアミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)からのイオネン組成物(例えば、第2のイオネン組成物310)の形成を表し得る。例えば、ハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)は、アミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)とともに溶媒(例えば、DMF)中に溶解し得る。ハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)、アミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)および溶媒は、15℃以上150℃以下の温度(例えば、室温(「RT」))で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の間、撹拌し得る。
【0035】
スキーム308では、アミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)を求電子試薬(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)と、アミンモノマー(例えば、第1のアミンモノマー306)の1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級アミノ基)により共有結合させ得る。例えば、スキーム308は、1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級アミノ基)を、求電子試薬(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)を用いてアルキル化して、カチオン104(例えば、第四級アンモニウムカチオン)を含む、イオネン組成物(例えば、第2のイオネン組成物310)を形成することを含み得る。さらに、イオネン組成物(例えば、第2のイオネン組成物310)は、アルキル化の結果として、求電子試薬(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)に由来する、1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。したがって、スキーム308により生成され得るイオネン組成物(例えば、第2のイオネン組成物310)は、
図1~2に関連して記載する種々の特徴を含み得るか、または方法200の種々の特徴に従って生成され得るか、あるいはこの両方であり得る。
【0036】
図4に示すように、スキーム314は、複数のハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)およびジアミンモノマー(例えば、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン)からのイオネン組成物(例えば、第3のイオネン組成物316)の形成を表し得る。例えば、複数のハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)は、ジアミンモノマー(例えば、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン)とともに溶媒(例えば、DMF)中に溶解し得る。複数のハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)、ジアミンモノマー(例えば、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン)および溶媒は、15℃以上150℃以下の温度(例えば、室温(「RT」))で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の間、撹拌し得る。
【0037】
スキーム314では、複数のハロゲン化アルキル(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)をジアミンモノマー(例えば、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン)と、ジアミンモノマー(例えば、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン)の1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級アミノ基)により共有結合させ得る。例えば、スキーム314は、1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級アミノ基)を、複数の求電子試薬(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)を用いてアルキル化して、複数のカチオン104(例えば、第四級アンモニウムカチオン)を含む、イオネン組成物(例えば、第3のイオネン組成物316)を形成することを含み得る。さらに、イオネン組成物(例えば、第3のイオネン組成物316)は、アルキル化の結果として、複数の求電子試薬(例えば、4-(クロロメチル)ビフェニル)に由来する、1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。したがって、スキーム314により生成され得るイオネン組成物(例えば、第3のイオネン組成物316)は、
図1~2に関連して記載する種々の特徴を含み得るか、または方法200の種々の特徴に従って生成され得るか、あるいはこの両方であり得る。
【0038】
図5は、
図1~2に関して記載する種々の特徴を含み得るか、あるいは方法200の種々の特徴もしくは
図4に示す化合物形成スキームまたはこの両方に従って生成され得るか、さもなければこの両方であり得る、単一イオネン単位100を含み得る非限定的なイオネン組成物の例となる図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。
図5に示すイオネン組成物は、モノマーであってもよく、抗菌機能を有し得る。
【0039】
例えば、
図5は、第4のイオネン組成物402、第5のイオネン組成物404、第6のイオネン組成物406、第7のイオネン組成物408、第8のイオネン組成物410、第9のイオネン組成物412、第10のイオネン組成物414、第12のイオネン組成物418、第13のイオネン組成物420、または第14のイオネン組成物422、あるいはこれらの組合せを示し得る。
図5に示すイオネン組成物のそれぞれは、方法200の種々の特徴に従って生成し得る。さらに、
図5に示すイオネン組成物のそれぞれは、
図4の複数の化合物形成スキームに示す主要な機構に従って生成し得る。
【0040】
図6は、
図1~2に関して記載する種々の特徴を含み得るか、あるいは方法200の種々の特徴もしくは
図4に示す化合物形成スキームまたはこの両方に従って生成され得るか、さもなければこの両方であり得る、単一イオネン単位100を含み得る非限定的なイオネン組成物の例となる別の図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。
図6に示すイオネン組成物は、モノマーであってもよく、抗菌機能を有し得る。
【0041】
例えば、
図6は、第15のイオネン組成物502、第16のイオネン組成物504、第17のイオネン組成物506、第18のイオネン組成物508、第19のイオネン組成物510、第20のイオネン組成物512、第21のイオネン組成物514、第22のイオネン組成物516、第23のイオネン組成物518、第24のイオネン組成物520、または第25のイオネン組成物522、あるいはこれらの組合せを示し得る。
図6に示すイオネン組成物のそれぞれは、方法200の種々の特徴に従って生成し得る。さらに、
図6に示すイオネン組成物のそれぞれは、
図4の複数の化合物形成スキームに示す主要な機構に従って生成し得る。
【0042】
図7は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態によるイオネン単位100の構造を特徴づけ得る、非限定的な化学構造式600の例となる図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。種々の実施形態では、化学構造式600により特徴づけられる1つまたは複数のイオネン単位100は、モノマー組成物を含み得る。
【0043】
図7に示すように、化学構造式600により特徴づけられる1つまたは複数のイオネン単位100は、分解性分子骨格102を含み得る。さらに、分解性分子骨格102は、1つまたは複数のテレフタルアミド構造を含み得る。種々の実施形態では、化学構造式600により特徴づけられる1つまたは複数のイオネン単位100は、ポリエチレンテレフタレート(PET)に由来し得、この場合、1つまたは複数のテレフタルアミド構造は、このPETに由来し得る。しかし、化学構造式600の1つまたは複数の実施形態は、PET以外の1つまたは複数の分子に由来するテレフタルアミド構造を含み得る。
【0044】
図7における「X」は、1つまたは複数のカチオン104を表し得る。例えば、「X」は、これらに限定されないが、1つもしくは複数の窒素カチオン、1つもしくは複数のリンカチオン、および/またはこれらの組合せを含み得る群から選択される、1つまたは複数のカチオン104を表し得る。例えば、「X」は、これらに限定されないが、1つもしくは複数のプロトン化第二級アミンカチオン、1つもしくは複数のプロトン化第三級アミンカチオン、1つもしくは複数の第四級アンモニウムカチオン、または1つもしくは複数のイミダゾリウムカチオン、あるいはこれらの組合せを含み得る群から選択される、1つまたは複数の窒素カチオンを表し得る。別の場合では、「X」は、これらに限定されないが、1つもしくは複数のプロトン化第二級ホスフィンカチオン、1つもしくは複数のプロトン化第三級ホスフィンカチオン、または1つもしくは複数の第四級ホスホニウムカチオン、あるいはこれらの組合せを含み得る群から選択される、1つまたは複数のリンカチオンを表し得る。
【0045】
1つまたは複数のカチオン104(例えば、化学構造式600において「X」で表す)は、1つまたは複数の連結基と共有結合して、少なくとも一部分の分解性分子骨格102を形成し得る。1つまたは複数の連結基は、1つまたは複数のカチオン104を1つまたは複数のテレフタルアミド構造に連結させて、これにより分子骨格102を含み得る。
図7における「Y」は、1つまたは複数の連結基を表し得る。1つまたは複数の連結基は、本明細書に記載の分子骨格102の種々の特徴に応じて任意の構造を含み得る。例えば、1つまたは複数の連結基は、これらに限定されないが、鎖構造、または環構造、あるいはこの組合せを含む、望ましい任意の構造を有し得る。1つまたは複数の連結基は、これらに限定されないが、アルキル構造、アリール構造、アルケニル構造、アルデヒド構造、エステル構造、カルボキシ構造、カルボニル構造、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含む1つまたは複数の化学構造を含み得る。例えば、「Y」は、2個以上15個以下の炭素原子を有するアルキル鎖を含み得る1つまたは複数の連結基を表し得る。
【0046】
図7に示すように、種々の実施形態では、化学構造式600により特徴づけられる1つまたは複数のイオネン単位100は、分子骨格102に沿った複数の位置にカチオン104(例えば、「X」で表す)を含み得る。例えば、カチオン104は、分子骨格102のいずれかの末端に位置し得る(例えば、
図7に示す)。しかし、化学構造式600の1つまたは複数の実施形態では、分子骨格102は、カチオン104を、
図7に示す2つ未満またはこれよりも多く含み得る。
【0047】
さらに、
図7に示す「R」は、本明細書に記載の種々の実施形態による、1つまたは複数の疎水性官能基106を表し得る。例えば、1つまたは複数の疎水性官能基106は、1つもしくは複数のアルキル基、または1つもしくは複数のアリール基、あるいはこの両方を含み得る。例えば、疎水性官能基106は、ハロゲン化アルキルに由来し得る。1つまたは複数の疎水性官能基106(例えば、
図7において「R」で表す)は、カチオン104(例えば、
図7において「X」で表す)または分子骨格102あるいはこの両方の1つまたは複数と共有結合することができ、これは、1つもしくは複数のカチオン104(例えば、
図7において「X」で表す)、1つもしくは複数の連結基(例えば、
図7において「Y」で表す)、または1つもしくは複数のテレフタルアミド構造、あるいはこれらの組合せを含み得る。
【0048】
図8は、化学構造式600により特徴づけられる、1つまたは複数のイオネン単位100の生成を容易とし得る、非限定的な方法700の例となる別の流れ図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。方法700により生成される1つまたは複数のイオネン単位100は、モノマー組成物を含み得るか、または抗菌機能を有し得るか、あるいはこの両方であり得る。
【0049】
方法700は、702において、1つまたは複数のアミンモノマーを、1つまたは複数の求電子試薬を用いて溶媒中に溶解することを含み得る。1つまたは複数のアミンモノマーは、1つまたは複数のテレフタルアミド構造を含み得る、分解性分子骨格102を含み得る。加えて、アミンモノマーは、1つまたは複数のアミノ基を含み得る。例えば、1つまたは複数のアミンモノマーは、テトラアミンであり得る。1つまたは複数のアミンモノマーを構成し得るアミノ基の例としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、複素環基(例えば、イミダゾール基もしくはピリジン基またはこの両方)、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。さらに、1つまたは複数のアミンモノマーが複数のアミノ基を含む場合、対象のアミンモノマーの第1のアミノ基は、対象のアミンモノマーの第2のアミノ基と同一または異なる構造を有し得る。
【0050】
1つまたは複数の求電子試薬は、例えば、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、ハロゲン化ジアルキル)を含み得る。例えば、1つまたは複数の求電子試薬は、塩化物または臭化物あるいはこの両方を含み得る。求電子試薬の例としては、塩化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、1-ブロモヘキサン、2-(2-クロロエトキシ)エタノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、4-(クロロメチル)ビフェニル、1-ブロモデカン、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。
【0051】
溶媒は、有機溶媒であり得る。加えて、溶媒は、プロトン性もしくは非プロトン性の溶媒、またはこの両方、あるいはアルコール、さもなければこれらの組合せであり得る。溶媒の例としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得るが、これらに限定されない。溶解を容易とするために、方法200は、1つもしくは複数のアミンモノマー、1つもしくは複数の求電子試薬、または溶媒、あるいはこれらの組合せを、15℃以上150℃以下の温度で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の間、撹拌することをさらに含み得る。
【0052】
1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数のアミンモノマーは、PETのアミノリシスにより調製し得る。例えば、PETは、1つまたは複数のアミノリシス試薬により解重合させ得る。1つまたは複数のアミノリシス試薬は、ジアミンであり得る。ジアミンの第1のアミノ基は、第一級アミノ基および第二級アミノ基を含み得るが、これらに限定されない。また、ジアミンの第2のアミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、またはイミダゾール基、あるいはこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。例えば、1つまたは複数の実施形態では、第二級アミノ基は、第三級アミノ基またはイミダゾール基あるいはこの両方である。
【0053】
以下に提示するスキーム1では、PETのアミノリシスにより調製され得る、3つの例となる非限定的な分解性アミンモノマーを実証する。
【0054】
【0055】
複数の分解性アミンモノマーの調製(例えば、スキーム1による)は、触媒または溶媒あるいはこの両方を必要とせずに実施し得る。さらに、PETのアミノリシスは、過剰量のアミノリシス試薬(例えば、4倍の過剰量のアミノリシス試薬)を用いて実施し得る。その上、アミノリシスは、PETを昇温で解重合させ得る。冷却時、標的分解性アミンモノマーは、過剰量の試薬およびアルコール副産物(例えば、エチレングリコール)により結晶化され得る。次いで、分解性アミンモノマーは、濾過し、すすいで(例えば、酢酸エチルを用いて)、さらなる精製は必要とせずに使用し得る。
【0056】
スキーム1では、3つの例となる、PETに由来する分解性アミンモノマーを表すが、PETに由来し得る他の分解性アミンモノマーもまた、想定される。例えば、PETは、スキーム1に表す3つ以外のアミノリシス試薬を用いて解重合させ得る。例えば、水素原子を与えてテレフタルアミド構造への結合を容易とし得る、第一級アミノ基または第二級アミノ基あるいはこの両方、および後にカチオン104となり得る、第2のアミノ基またはイミダゾール基あるいはこの両方を有する任意のアミノリシス試薬を、PETを用いて重合させ、分解性アミンモノマーを調製して、402において使用し得る。さらに、本明細書に記載の、PETに由来する調製した分解性アミンモノマーは、方法700において利用され得る、1つまたは複数のアミンモノマーを含み得る。
【0057】
加えて、1つまたは複数の実施形態では、方法700とともに使用される1つまたは複数のアミンモノマーは、PET以外の分子に由来し得る。過剰量の他の開始分子が、重合されるか、または解重合されるか、あるいはこの両方によって、1つまたは複数のアミンモノマーを調製することができ(例えば、分解性骨格を有し得るか、テレフタルアミド構造を含み得るか、またはテトラアミンであり得るか、あるいはこれらの組合せであり得る)、これを方法700とともに利用し得ることを、当業者は容易に認識し得る。
【0058】
方法700は、任意選択で、1つまたは複数のアミンモノマー、1つまたは複数の求電子試薬、および溶媒を、15℃以上150℃以下の温度で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の期間、撹拌することを含み得る。
【0059】
方法700は、704において、1つまたは複数のアミンモノマーおよび1つまたは複数の求電子試薬から1つまたは複数のモノマーを形成することを含み得る。モノマーは、分解性分子骨格102に沿って配置されたカチオン104を含み得る、単一イオネン単位100(例えば、化学構造式600により特徴づけられる)を含み得る。分子骨格102は、テレフタルアミド構造(例えば、化学構造式600において示す)を含み得る。さらに、704において形成された単一イオネン単位100は、抗菌機能を有し得る。1つまたは複数の実施形態では、704における形成は、窒素ガス充填下で実施し得る。加えて、704における形成では、1つまたは複数の求電子試薬を用いた、アルキル化または四級化あるいはこの両方によりカチオンを生成し得る。種々の実施形態では、沈殿物を含むテレフタルアミド構造は、解重合して1つまたは複数のアミンモノマーを調製したPETに由来し得る。
【0060】
704における形成の間に、分解性アミンモノマーに位置する、窒素原子またはリン原子あるいはこの両方を、1つまたは複数の求電子試薬を用いた、アルキル化または四級化あるいはこの両方に供してもよく、これにより、704における形成では、ポリマー形成反応(例えば、繰返しイオネン単位100の形成)および帯電(例えば、窒素カチオンまたはリンカチオンあるいはこの両方を含む、カチオン104の形成)を同時に、触媒を必要とせずに誘導し得る。さらに、1つまたは複数の疎水性官能基106は、アルキル化または四級化あるいはこの両方のプロセスの結果として、1つもしくは複数の求電子試薬に由来し得るか、または分解性分子骨格102(例えば、1つもしくは複数のカチオン104を介して)に結合し得るか、あるいはこの両方であり得る。
【0061】
例えば、704において形成された単一イオネンは、イオネン単位100の1つまたは複数の実施形態を含むことがあり、化学構造式600の1つまたは複数の実施形態により特徴づけられ得る。例えば、704において形成された単一イオネン単位100は、分解性分子骨格102を含み得、これは、1つもしくは複数のカチオン104(例えば、化学構造式600において「X」で表す)、1つもしくは複数の連結基(例えば、化学構造式600において「Y」で表す)、1つもしくは複数のテレフタルアミド構造(例えば、
図7に示す)、または1つもしくは複数の疎水性官能基106(例えば、化学構造式600において「R」で表す)あるいはこれらの組合せを含み得る。1つまたは複数のカチオン104は、窒素カチオン(例えば、第四級アンモニウムカチオン、またはイミダゾリウムカチオン、あるいはこれらの組合せ)またはリンカチオン(例えば、第四級ホスホニウムカチオン)あるいはこれらの組合せであり得る。カチオン104は、1つまたは複数のテレフタルアミド構造に、1つまたは複数の連結基(例えば、アルキル基またはアリール基あるいはこの両方)を介して連結し得る。さらに、1つまたは複数のカチオン104は、1つまたは複数の疎水性官能基106に結合し得る。
【0062】
方法700により生成された繰返しイオネン単位100の抗菌活性は、分子量に非依存性であり得る。したがって、方法700は、拡散律速機構(例えば、ポリマー沈殿)により到達した分子量を中程度の分子量(例えば、1モルあたり10,000グラム(g/mol)未満の分子量)まで消失させ得る条件を標的とすることができ、これは、水性媒体における1つまたは複数のイオネン単位100の溶解性を助け得る。
【0063】
図9は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物(例えば、化学構造式600により特徴づけられるか、または方法700に従って生成されるか、あるいはこの両方であり得る)の生成を容易とし得る、非限定的な化合物形成スキームの例となる図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。
図9の化合物形成スキームにより形成および生成されたイオネン単位100は、1つまたは複数のモノマーを構成し得る。1つまたは複数の特定のアミンモノマーまたは求電子試薬あるいはこの両方を表す一方、
図9に示す化合物形成スキームのさらなる実施形態もまた、想定される。例えば、
図9に示す化合物形成スキームの主要な機構は、本明細書に記載の種々の特徴による、任意のアミンモノマーまたは求電子試薬あるいはこの両方に(例えば、化学構造式600または方法700あるいはこの両方を参照して)適用し得る。
【0064】
図9に示すように、化合物形成スキームは、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、または1-ブロモヘキサン、あるいはこれらの組合せ)およびアミンモノマー(例えば、第4のアミンモノマー804)からの、イオネン組成物(例えば、第26のイオネン組成物802、第27のイオネン組成物806、第28のイオネン組成物808、または第29のイオネン組成物810、あるいはこれらの組合せ)の生成を表し得る。例えば、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、または1-ブロモヘキサン、あるいはこれらの組合せ)は、アミンモノマー(例えば、第4のアミンモノマー804)とともに溶媒(例えば、DMF)中に溶解し得る。1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、または1-ブロモヘキサン、あるいはこれらの組合せ)、アミンモノマー(例えば、第4のアミンモノマー804)および溶媒は、15℃以上150℃以下の温度(例えば、室温(「RT」))で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の期間、撹拌し得る。
【0065】
図9の化合物形成スキームでは、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、または1-ブロモヘキサン、あるいはこれらの組合せ)をアミンモノマー(例えば、第4のアミンモノマー804)と、アミンモノマー(例えば、第4のアミンモノマー804)の1つまたは複数のアミノ基(例えば、イミダゾール基)により共有結合させ得る。例えば、
図9の化合物形成スキームは、1つまたは複数のアミノ基(例えば、イミダゾール基)を、求電子試薬(例えば、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、または1-ブロモヘキサン、あるいはこれらの組合せ)を用いてアルキル化して、複数のカチオン104(例えば、イミダゾリウムカチオン)を含む、イオネン組成物(例えば、第26のイオネン組成物802、第27のイオネン組成物806、第28のイオネン組成物808、または第29のイオネン組成物810、あるいはこれらの組合せ)を形成することを含み得る。さらに、イオネン組成物(例えば、第26のイオネン組成物802、第27のイオネン組成物806、第28のイオネン組成物808、または第29のイオネン組成物810、あるいはこれらの組合せ)は、アルキル化の結果として、1つまたは複数の求電子試薬(例えば、臭化ベンジル、3-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、または1-ブロモヘキサン、あるいはこれらの組合せ)に由来する、1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。したがって、
図9の化合物形成スキームにより生成され得る、イオネン組成物(例えば、第26のイオネン組成物802、第27のイオネン組成物806、第28のイオネン組成物808、または第29のイオネン組成物810、あるいはこれらの組合せ)は、
図1~2もしくは化学構造式600またはこれらの組合せに関連して記載する種々の特徴を含み得るか、あるいは方法700の種々の特徴に従って生成され得るか、さもなければこの両方であり得る。
【0066】
図10は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物(例えば、化学構造式600によりにより特徴づけられるか、または方法700に従って生成されるか、あるいはこの両方であり得る)の生成を容易とし得る、非限定的な化合物形成スキームの例となる図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。
図10の化合物形成スキームにより形成および生成されたイオネン単位100は、1つまたは複数のモノマーを構成し得る。1つまたは複数の特定のアミンモノマーまたは求電子試薬あるいはこの両方を表す一方、
図10に示す化合物形成スキームのさらなる実施形態もまた、想定される。例えば、
図10に示す化合物形成スキームの主要な機構は、本明細書に記載の種々の特徴による、任意のアミンモノマーまたは求電子試薬あるいはこの両方に(例えば、化学構造式600または方法700あるいはこの両方を参照して)適用し得る。
【0067】
図10に示すように、化合物形成スキームでは、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモヘキサン、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、3-クロロ-1-プロパノール、または臭化ベンジル、あるいはこれらの組合せ)およびアミンモノマー(例えば、第5のアミンモノマー904)からの、イオネン組成物(例えば、第30のイオネン組成物902、第31のイオネン組成物908、第32のイオネン組成物912、第33のイオネン組成物916、第34のイオネン組成物920、または第35のイオネン組成物924、あるいはこれらの組合せ)の生成を表し得る。例えば、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモヘキサン、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、3-クロロ-1-プロパノール、または臭化ベンジル、あるいはこれらの組合せ)は、アミンモノマー(例えば、第5のアミンモノマー904)とともに溶媒(例えば、DMF)中に溶解し得る。1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモヘキサン、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、3-クロロ-1-プロパノール、または臭化ベンジル、あるいはこれらの組合せ)、アミンモノマー(例えば、第5のアミンモノマー904)、または溶媒、あるいはこれらの組合せは、15℃以上150℃以下の温度(例えば、室温(「RT」))で、8時間以上72時間以下(例えば、12時間以上24時間以下)の期間、撹拌し得る。
【0068】
図10の化合物形成スキームでは、1つまたは複数のハロゲン化アルキル(例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモヘキサン、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、3-クロロ-1-プロパノール、または臭化ベンジル、あるいはこれらの組合せ)をアミンモノマー(例えば、第5のアミンモノマー904)と、アミンモノマー(例えば、第5のアミンモノマー904)の1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級基)により共有結合させ得る。例えば、
図10の化合物形成スキームは、1つまたは複数のアミノ基(例えば、第三級基)を、求電子試薬(例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモヘキサン、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、3-クロロ-1-プロパノール、または臭化ベンジル、あるいはこれらの組合せ)を用いて四級化して、複数のカチオン104(例えば、第四級アンモニウムカチオン)を含む、イオネン組成物(例えば、第30のイオネン組成物902、第31のイオネン組成物908、第32のイオネン組成物912、第33のイオネン組成物916、第34のイオネン組成物920、または第35のイオネン組成物924、あるいはこれらの組合せ)を形成することを含み得る。さらに、イオネン組成物(例えば、第30のイオネン組成物902、第31のイオネン組成物908、第32のイオネン組成物912、第33のイオネン組成物916、第34のイオネン組成物920、または第35のイオネン組成物924、あるいはこれらの組合せ)は、四級化の結果として、1つまたは複数の求電子試薬(例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモヘキサン、1-ブロモオクタン、1-ブロモドデカン、3-クロロ-1-プロパノール、または臭化ベンジル、あるいはこれらの組合せ)に由来する、1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。したがって、
図10の化合物形成スキームにより生成され得る、イオネン組成物(例えば、第30のイオネン組成物902、第31のイオネン組成物908、第32のイオネン組成物912、第33のイオネン組成物916、第34のイオネン組成物920、または第35のイオネン組成物924、あるいはこれらの組合せ)は、
図1~2もしくは化学構造式600またはこれらの組合せに関連して記載する種々の特徴を含み得るか、あるいは方法700の種々の特徴に従って生成され得るか、さもなければこの両方であり得る。
【0069】
図11は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の抗菌効果を表し得る、非限定的な表1000を例示する。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。本明細書に記載のイオネン(例えば、
図1~2に関連して記載する種々の特徴を含み得るか、あるいは方法200もしくは
図4の化合物形成スキームまたはこの両方に関する1つまたは複数の特徴に従って生成され得るか、さもなければこの両方であり得る、イオネン単位100、例えば、
図5~6に表すイオネン組成物)の抗菌作用を実証するために、複数のイオネン組成物を、広範な病原体に対して評価した。
【0070】
表1000の第1の列1002は、評価対象のイオネン組成物を表し得る。表1000の第2の列1004では、対象のイオネン組成物の、黄色ブドウ球菌(「SA」)に関する最小阻止濃度(MIC)を1ミリリットルあたりのマイクログラム(μg/mL)で示す。表1000の第3の列1006では、対象のイオネン組成物の、大腸菌(Escherichia coli、「EC」)に関するMICをμg/mLで示す。表1000の第4の列1008では、対象のイオネン組成物の、緑膿菌(「PA」)に関するMICをμg/mLで示す。表1000の第5の列1010では、対象のイオネン組成物の、カンジダ・アルビカンズ(Candida albicans、「CA」)に関するMICをμg/mLで示す。表1000の第6の列1012では、対象のイオネン組成物の、ラットの赤血球に関する溶血活性(「HC50」)をμg/mLので示す。
【0071】
図12は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の抗菌効果を表し得る、非限定的な表1100を、例示する。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。本明細書に記載のイオネン(例えば、
図1~2に関連して記載する種々の特徴を含み得るか、あるいは方法200もしくは
図4の化合物形成スキームまたはこの両方に関する1つまたは複数の特徴に従って生成され得るか、さもなければこの両方であり得る、イオネン単位100、例えば、
図6に表すイオネン組成物)の抗菌作用を実証するために、複数のイオネン組成物を、広範な病原体に対して評価した。
【0072】
表1100の第1の列1102は、評価対象のイオネン組成物を示す。表1100の第2の列1104では、対象のイオネン組成物の、黄色ブドウ球菌(「SA」)に関する最小阻止濃度(MIC)を1ミリリットルあたりのマイクログラム(μg/mL)で示す。表1100の第3の列1106では、対象のイオネン組成物の、大腸菌(「EC」)に関するMICをμg/mLで示す。表1100の第4の列1108では、対象のイオネン組成物の、緑膿菌(PA)に関するMICをμg/mLで示す。表1100の第5の列1110では、対象のイオネン組成物の、カンジダ・アルビカンズ(「CA」)に関するMICをμg/mLで示す。表1100の第6の列1112では、対象のイオネン組成物の、ラットの赤血球に関する溶血活性(「HC50」)をμg/mLで示す。
【0073】
図13は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数のイオネン組成物の抗菌効果を表し得る、非限定的な表1200を、例示する。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。本明細書に記載のイオネン(例えば、化学構造式600の種々の特徴を含み得るか、そうでなければ方法700、あるいは
図9もしくは10またはこの両方の化合物形成スキーム、さもなければこの両方に関する1つまたは複数の特徴に従って生成され得るか、ないしはこの両方であり得る、イオネン単位100)の抗菌作用を実証するために、複数のイオネン組成物を、広範な病原体に対して評価した。
【0074】
表1200の第1の列1202は、評価対象のイオネン組成物を示す。表1200の第2の列1204では、対象のイオネン組成物の、黄色ブドウ球菌(「SA」)に関する最小阻止濃度(MIC)を1ミリリットルあたりのマイクログラム(μg/mL)で示す。表1200の第3の列1206では、対象のイオネン組成物の、大腸菌(「EC」)に関するMICをμg/mLので示す。表1200の第4の列1208では、対象のイオネン組成物の、緑膿菌(「PA」)に関するMICをμg/mLで示す。表1200の第5の列1210では、対象のイオネン組成物の、カンジダ・アルビカンズ(「CA」)に関するMICをμg/mLで示す。表1200の第6の列1212では、対象のイオネン組成物の、ラットの赤血球に関する溶血活性(「HC50」)をμg/mLで示す。
【0075】
図14は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の種々の濃度における溶血活性を表し得る、非限定的なグラフ1300を例示する。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。例えば、
図14は、百万分の8(ppm)~2000ppmの範囲にわたる濃度の種々のイオネン組成物の溶血活性を示す。グラフ1300に表す溶血活性は、ラットの赤血球に関し得る。
【0076】
グラフ1300の第1の折線1302は、第25のイオネン組成物522を表し得る。グラフ1300の第2の折線1304は、第24のイオネン組成物520を表し得る。第3の折線1306は、第3のイオネン組成物316を表し得る。グラフ1300の第4の折線1308は、第18のイオネン組成物508を表し得る。グラフ1300の第5の折線1310は、第22のイオネン組成物516を表し得る。グラフ1300の第6の折線1312は、第23のイオネン組成物518を表し得る。グラフ1300の第7の折線1314は、第17のイオネン組成物506を表し得る。グラフ1300の第7の折線1316は、第20のイオネン組成物512を表し得る。グラフ1300の第8の折線1318は、第21のイオネン組成物514、第19のイオネン組成物510、または第16のイオネン組成物504、あるいはこれらの組合せを表す。
【0077】
図15は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の種々の濃度における溶血活性を表し得る、非限定的なグラフ1320を例示する。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。例えば、
図15は、百万分の8(ppm)~2000ppmの範囲にわたる濃度の種々のイオネン組成物の溶血活性を示す。グラフ1320に表す溶血活性は、ラットの赤血球に関する。
【0078】
グラフ1320の第1の折線1324は、第14のイオネン組成物422を表し得る。グラフ1320の第2の折線1326は、第4のイオネン組成物402、第5のイオネン組成物404、第6のイオネン組成物406、第7のイオネン組成物408、第8のイオネン組成物410、第9のイオネン組成物412、第10のイオネン組成物414、第12のイオネン組成物418、または第13のイオネン組成物420、あるいはこれらの組合せを表し得る。
【0079】
図16は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、種々のイオネン組成物の種々の濃度における溶血活性を表し得る、非限定的なグラフ1400を例示する。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。例えば、
図16は、百万分の8(ppm)~2000ppmの範囲にわたる濃度の種々のイオネン組成物の溶血活性を示す。グラフ1400に表す溶血活性は、ラットの赤血球に関し得る。
【0080】
グラフ1400の第1の折線1402は、第33のイオネン組成物916を表し得る。グラフ1400の第2の折線1404は、第26のイオネン組成物802、第27のイオネン組成物806、第28のイオネン組成物808、第29のイオネン組成物810、第30のイオネン組成物902、第31のイオネン組成物908、第32のイオネン組成物912、第34のイオネン組成物920、または第35のイオネン組成物924、あるいはこれらの組合せを表し得る。
【0081】
図17は、病原体の死滅、病原体増殖の予防、または病原体による汚染の予防、あるいはこれらの組合せの非限定的な方法1500の例となる別の流れ図を示す。本明細書に記載の他の実施形態において利用する類似の要素を繰返し記載することは、簡潔さのために省略する。病原体の例としては、グラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、酵母、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含むが、これらに限定されない。
【0082】
方法1500は、1502において、単一イオネン単位100を含み得る1つまたは複数のモノマーと病原体を接触させることを含み得る。1つまたは複数の単一イオネン単位100は、分子骨格102に沿って配置された1つまたは複数のカチオン104を含み得る。また、1つまたは複数の単一イオネン単位100は、分子骨格102と(例えば、1つまたは複数のカチオン104を介して)共有結合した1つまたは複数の疎水性官能基106を含み得る。1つまたは複数のカチオン104は、窒素カチオンまたはリンカチオンあるいはこの両方であり得る。窒素カチオンの例としては、プロトン化第二級アミンカチオン、プロトン化第三級アミンカチオン、第四級アンモニウムカチオン、またはイミダゾリウムカチオン、あるいはこれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。1つまたは複数の実施形態では、分子骨格102は、1つまたは複数のテレフタルアミド構造を含み得る。1つまたは複数のモノマーは、本明細書に記載の種々の実施形態(例えば、
図1~10に関して記載する種々の特徴)によるイオネン組成物を含み得る。
【0083】
方法1500は、1504において、病原体をモノマーと接触させるときに病原体の膜を静電的に破壊することを含み得る。膜は、リン脂質二重層110を含み得る。単一イオネン単位100を構成する1つまたは複数のカチオン104は、溶解プロセス108に従って、病原体膜を標的とするか、または破壊するか、あるいはこの両方であり得る。加えて、方法1500は、イオネン単位100の1つまたは複数の疎水性官能基106が膜へ統合することにより、病原体の膜を不安定化することを含み得る。
【0084】
本明細書に記載の、種々の構造(例えば、
図1、2、または7、あるいはこれらの組合せに関して記載する)、組成物(例えば、
図4~6、9~16に関して記載する)、または方法(例えば、
図3、8、または17、あるいはこれらの組合せに関して記載する)、あるいはこれらの組合せは、種々の適用に組み込まれ得る。例えば、この適用は、種々の項目、例えば、これらに限定されないが、食品包装、医療機器、床面、家具表面、創傷治癒のための用具(例えば、包帯またはガーゼあるいはこの両方)、建物表面、植物(例えば、農業作物)、地面、耕作機械、ベッド、シーツ、衣類、毛布、靴、扉、扉の枠、壁、天井、マットレス、照明器具、小平面、スイッチ、洗面台、手すり、リモコン、化粧台、コンピューター装置、カート、台車、大型のかご、大型の容器、もしくはこれらの組合せ、またはその他の、洗浄、消毒、殺菌、あるいは他の処理、さもなければこれらの組合せを含み得る。別の例では、この適用は、医薬、薬学的塩、衛生用品(例えば、石鹸またはシャンプーあるいはこの両方)、またはこれらの組合せ、あるいはその他を含み得る。さらなる例では、この適用は、食用作物の処理を容易とし得る、農業用のスプレーまたは水溶液あるいはこの両方を含み得る。
【0085】
加えて、用語「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することを意図する。すなわち、他に明示しない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを利用する」は、いずれかの自然な包括的置換を意味することを意図する。すなわち、XがAを利用するか、XがBを利用するか、またはXがAとBの両方を利用する場合、「XがAまたはBを利用する」は、前述の場合のいずれかに従って満たされる。その上、対象の明細書および添付の図面において使用する項目「a」および「an」は、他に明示しない限り、または文脈から明らかでない限り、「1つまたは複数の」を意味し、単数形を対象とする、と一般的に解釈されるべきである。本明細書において使用する場合、用語「例」または「例となるもの」あるいはこの両方を利用して、例、場合、または例示としての作用を意味する。誤解を避けるために、本明細書に開示する対象は、このような例により限定されない。加えて、「例」または「例となるもの」あるいはこの両方として本明細書に記載のいかなる態様またはデザインも、他の態様またはデザインを超える好ましいもの、または有利なものとして必ずしも解釈されず、当業者に公知の、例となる等価な構造および技術を排除することをも意味しない。
【0086】
上記に記載しているものは、系、組成物、および方法の単なる例を含む。言うまでもなく、試薬、生成物、溶媒、または本開示を説明する目的のための項目、あるいはこれらの組合せの考え得るすべての組合せを記載することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのさらなる組合せおよび置換が可能であることを認識し得る。その上、用語「含む」、「有する」、「保有する」およびその他を、詳細な説明、特許請求の範囲、添付物および図面において使用する限り、このような用語は、「含む」が特許請求の範囲において転換語として利用するときに解釈される場合の用語「含む」と同様に、包括的であることを意図する。種々の実施形態の記載は、例示目的のために提示しているが、開示する実施形態に対して、徹底的であること、または限定することを意図しない。多くの変更形態および変形形態は、記載する実施形態の範囲から逸脱することなく、当業者に明らかとなろう。本明細書において使用する用語は、実施形態の原理、実用化、または市場に見出される技術を超える技術的向上を最適に説明するため、あるいは当業者の他者が、本明細書に開示の実施形態を理解することを可能とするために選択した。