(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20240321BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
(21)【出願番号】P 2018103152
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-04-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591012392
【氏名又は名称】日本マタイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154335
【氏名又は名称】小松 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋宜
(72)【発明者】
【氏名】▲団▼栗 孝則
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】▲高▼橋 杏子
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124871(JP,A)
【文献】特開2001-225851(JP,A)
【文献】特開2015-93691(JP,A)
【文献】特開2005-178788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D75/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムからなり、幅方向に沿う両端域においてフィルムの裏面を合わせて封止されるとともに、側面または一方の平面にてフィルムが合わさって奥行方向に沿って封止される合わせ部が形成された
方形体の内容物を収容可能な包装袋であって、
奥行方向に沿う一方の側端の近傍に当該側端に沿って付される
1本のガイド線と、
前記ガイド線より幅方向中央側に
、奥行方向に沿って規則的に付され、一端または両端において前記ガイド線に近づく部分と、その部分につながり前記ガイド線に対して平行ないしは凸状の部分と、により構成され
る角がない形状のサブガイド線とを有し、
前記サブガイド線の
各全長は、前記両端域の基端から収容予定の内容物を収容した場合の包装袋の頂部までの距離の0.3倍~2.0倍であることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
フィルムからなり、奥行方向に沿う両側端より内方に折りこまれた一対の折込部が形成され、幅方向に沿う両端域において前記折込部および前記折込部以外の部分のいずれもが、それぞれフィルムの裏面を合わせて封止されるとともに、一方の平面にて幅方向の双方より中央側に伸びるフィルムが合わさって奥行方向に沿って封止される合わせ部が形成される
方形体の内容物を収容可能な包装袋であって、
前記折込部に奥行方向に沿って付される
1本のガイド線と、
前記ガイド線より幅方向中央側の前記折込部上に
、奥行方向に沿って規則的に付され、一端または両端において前記ガイド線に近づく部分と、その部分につながり前記ガイド線に対して平行ないしは凸状の部分と、により構成され
る角がない形状のサブガイド線とを有し、
前記サブガイド線の
各全長は、前記両端域の基端から収容予定の内容物を収容した場合の包装袋の頂部までの距離の0.3倍~2.0倍であることを特徴とする包装袋。
【請求項3】
前記ガイド線は、包装袋を開いた場合に、前記側端と、この側端より前記折込部の深さに相当する距離において奥行方向に沿う仮想線との間の領域に付される請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記サブガイド線は、一端または両端から前記ガイド線に近づく斜線部と、この斜線部につながり前記ガイド線に対して平行に伸びる平行部とにより構成される請求項1から3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記斜線部は、奥行方向に前記平行部から離れるように伸びる請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
前記平行部は、前記斜線部より長い請求項4または5に記載の包装袋。
【請求項7】
前記サブガイド線は、両端において前記ガイド線に近づく連続的な円弧線により構成される請求項1から3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項8】
前記ガイド線と前記サブガイド線とが接触しない請求項1から7のいずれかに記載の包装袋。
【請求項9】
隣り合う前記サブガイド線が交差しない請求項1から8のいずれかに記載の包装袋。
【請求項10】
幅方向に沿う両端縁に連続的なノッチが形成される請求項1から9のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折込部を引き裂くことなく容易に開封可能な包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムからなる袋においては、端縁を引き裂いて容易に開封が可能な袋として、たとえば、
図7に示す包装袋100のように、箱等の方形体の内容物を収容可能な、いわゆるガゼット(ピロー)タイプの袋が知られている。
【0003】
このガゼットタイプの包装袋100では、奥行X方向に沿う幅方向の中央域が、その双方より伸びるフィルムの裏面を貼り合わせた、いわゆる合掌貼りの合わせ部101となっており、この合わせ部101は、熱融着によりシールされ、その先端101aが包装袋100の外面に接するように折り曲げられている。
【0004】
また、包装袋100の幅方向に沿う両端域102も、合わせ部101と同様に熱融着によりシールされている。より詳しくは、奥行方向に沿う両側端より内方に折りこまれて一対の折込部103が形成されており、内容物を詰め込んだ後、幅方向に沿う両端域102では、折込部103および折込部103以外のいずれもが、それぞれフィルムの裏面が合わさってシールされている。
【0005】
このガゼットタイプの包装袋100では、幅方向に沿う両端域102の少なくとも一方に切込み104を形成して開封を容易にしたものがある。しかし、単に切込みを形成しただけでは、開封時にシールされた領域において引裂きが折込部に到達してしまい開封に失敗することがある。
【0006】
これを避けるべく、本出願人は、特許文献1において、開封開始点から奥行方向に沿う一方の側端に向けて、幅方向に沿う一方の端縁から離れるように形成されたガイド線を、奥行方向に沿って付すとともに、一方の側端の近傍に、ガイド線の先端をつなぐサブガイド線を、奥行方向に沿って付した包装袋を提案している。
【0007】
この提案によれば、ガイド線を等間隔に加工することで、エンドレスデザインに対応して、開封の際にガイド線からサブガイド線へスムーズに誘導でき、易開封性を付与することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の提案では、ガイド線を付する位置は折込部より内側を起点とし、形状は斜線を主とした一方の端縁から離れる向きのみからなるデザインであった。そのため、たとえば幅方向に沿う両端縁に連続的なノッチを形成する等して、開封方向を限定せずに、他方の端縁から開封するために袋を逆転させると、ガイド線からサブガイド線への誘導し難くなり、易開封性が損なわれるおそれがあった。
【0010】
本発明の目的は、開封方向を限定せずに、折込部を引き裂くことなく容易に開封可能な包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、側端近傍に奥行方向に沿って付されるガイド線より幅方向中央側に、一端または両端においてガイド線に近づくとともに、ガイド線と平行でない部分においては角が無い形状のサブガイド線を付すことにより、奥行方向を反転させてもガイド線へ誘導するように機能することを見出し、本発明に至った。したがって、本発明の課題を解決する手段は、以下の通りである。
【0012】
<1> フィルムからなり、幅方向に沿う両端域においてフィルムの裏面を合わせて封止されるとともに、側面または一方の平面にてフィルムが合わさって奥行方向に沿って封止される合わせ部が形成された包装袋であって、奥行方向に沿う一方の側端の近傍に当該側端に沿って付されるガイド線と、前記ガイド線より幅方向中央側に付され、一端または両端において前記ガイド線に近づく部分と、その部分につながり前記ガイド線に対して平行ないしは凸状の部分と、により構成されるサブガイド線とを有することを特徴とする包装袋である。
【0013】
<2> フィルムからなり、奥行方向に沿う両側端より内方に折りこまれた一対の折込部が形成され、幅方向に沿う両端域において前記折込部および前記折込部以外の部分のいずれもが、それぞれフィルムの裏面を合わせて封止されるとともに、一方の平面にて幅方向の双方より中央側に伸びるフィルムが合わさって奥行方向に沿って封止される合わせ部が形成される包装袋であって、前記折込部に奥行方向に沿って付されるガイド線と、前記ガイド線より幅方向中央側の前記折込部上に付され、一端または両端において前記ガイド線に近づく部分と、その部分につながり前記ガイド線に対して平行ないしは凸状の部分と、により構成されるサブガイド線とを有することを特徴とする包装袋である。
【0014】
<3> 前記ガイド線は、包装袋を開いた場合に、前記側端と、この側端より前記折込部の深さに相当する距離において奥行方向に沿う仮想線との間の領域に付される<2>に記載の包装袋である。
【0015】
<4> 前記サブガイド線は、一端または両端から前記ガイド線に近づく斜線部と、この斜線部につながり前記ガイド線に対して平行に伸びる平行部とにより構成される<1>から<3>のいずれかに記載の包装袋である。
【0016】
<5> 前記斜線部は、奥行方向に前記平行部から離れるように伸びる<4>に記載の包装袋である。
【0017】
<6> 前記平行部は、前記斜線部より長い<4>または<5>に記載の包装袋である。
【0018】
<7> 前記サブガイド線は、両端において前記ガイド線に近づく連続的な円弧線により構成される<1>から<3>のいずれかに記載の包装袋である。
【0019】
<8> 前記サブガイド線の全長は、前記両端域の基端から収容予定の内容物を収容した場合の包装袋の頂部までの距離の0.3倍~2.0倍である<1>から<7>のいずれかに記載の包装袋である。
【0020】
<9> 前記サブガイド線の全長は、前記両端域の基端から収容予定の内容物を収容した場合の包装袋の頂部までの距離の0.5倍~1.5倍である<8>に記載の包装袋である。
【0021】
<10> 前記ガイド線と前記サブガイド線とが接触しない<1>から<9>のいずれかに記載の包装袋である。
【0022】
<11> 隣り合う前記サブガイド線が交差しない<1>から<10>のいずれかに記載の包装袋である。
【0023】
<12> 隣り合う前記サブガイド線の間隔が1mm以内である<11>に記載の包装袋である。
【0024】
<13> 幅方向に沿う両端縁に連続的なノッチが形成される<1>から<12>のいずれかに記載の包装袋である。
【0025】
なお、本発明において、「ガイド線」および「サブガイド線」とは、袋を構成するフィルムやシートなどの外面に線状に設けられた傷または凹みを意味する。これらは、フィルム等の外面から厚さ方向の一部を削り取ることにより、フィルム等に負荷を加えた際に該当部分より引き裂きやすくする。
【0026】
また、上述の傷または凹みは、形成時に連続的に付してもよいし、断続的に破線状に付してもよく、さらには、これらの組み合わせであってもよい。
【0027】
さらに、上述の傷または凹みは、目視により概ね線状と判断できればよく、厳密に、その幅は問わない趣旨である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の包装袋の第1の態様では、奥行方向に沿う一方の側端の近傍に当該側端に沿って付されるガイド線より幅方向中央側に、一端または両端においてガイド線に近づく部分と、その部分につながり前記ガイド線に対して平行ないしは凸状の部分と、により構成されるサブガイド線を付している。このように、サブガイド線を、奥行方向を反転させてもガイド線へ近づけられる形状としたため、開封方向を逆転させた場合であっても、開封時に引裂きがサブガイド線からガイド線にスムーズに誘導される。これにより、開封方向を限定せずに容易に開封可能となる。
【0029】
本発明の包装袋の第2の態様では、折込部の奥行方向に沿って付されるガイド線より幅方向中央側の折込部上に、一端または両端においてガイド線に近づく部分と、その部分につながり前記ガイド線に対して平行ないしは凸状の部分と、により構成されるサブガイド線を付している。このように、サブガイド線を、折込部上に収まるように付すとともに、奥行方向を反転させてもガイド線へ近づけられる形状としたため、開封方向を逆転させた場合であっても、開封時に引裂きがサブガイド線からガイド線にスムーズに誘導される。これにより、開封方向を限定せずに、折込部を引き裂くことなく容易に開封可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の一形態の包装袋の表面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一形態の包装袋の一例を撮影した写真である。
【
図5】
図5は、本発明の他の形態の包装袋の表面図である。
【
図6】
図6は、本発明のさらに他の形態の包装袋の表面図である。
【
図7】
図7は、従来における本発明の包装袋と同タイプの袋の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、全図において同一機能を有するものは原則として同一の名称ないし符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。
図1は本発明の一形態の包装袋の表面図、
図2は
図1のa部拡大図、
図3は
図1のb部拡大図である。
【0032】
本発明の包装袋10は、先に述べた従来の包装袋100(
図7参照)と同様に、熱融着によりシール(封止)された裏面側の合わせ部(センターシール部)11と、幅方向に沿う両端域12a,12b(以下、端域12aは「トップシール部」、端域12bは「ボトムシール部」と言う。)と、折込部13とを有している。ボトムシール部12aおよびトップシール部12bには、開封開始点としての連続したノッチ(ギザノッチ)14a,14bがそれぞれ形成されている。
【0033】
折込部13上には、直線状のガイド線15が、長さ(奥行)方向に沿って付されている。なお、ガイド線15は、通常は図示のように直線状であるが、たとえば緩やかな波線状等、直線状から大きく逸脱しない範囲の形状で、目的に応じて適宜変更してもよい。
【0034】
ガイド線15より幅方向中央側、つまり折込部13表面の内側には、サブガイド線16が、長さ方向に沿って規則的に、トップシール部12aおよびボトムシール部12b上を含めてエンドレスに付されている。
【0035】
このサブガイド線16は、包装袋10の長さ方向に沿う側端12cと、折込部13の谷部13aとの間、つまり、包装袋10を開いた場合に、側端12cと、この側端12cより折込部の深さfに相当する距離において奥行方向に沿う仮想線(谷部13aに相当)との間の領域に付されている。
【0036】
サブガイド線16は、平行部17と斜線部18a,18bとを有し、ガイド線15と合わせると略台形状に形成されている。なお、平行部17と斜線部18a,18bとの間の角は、誘導機能の他、加工性や意匠性を考慮して若干丸みを帯びた形状となっている。
【0037】
平行部17は、谷部13aの近傍にて、長さ方向つまりガイド線15の伸びる方向に、平行に相対的に長く直線状に伸びている。斜線部18a,18bは、これにつながる平行部17の両端より、折れ曲がってガイド線15に近づく一方、平行部17からは離れる向きに相対的に短く伸びている。つまり、サブガイド線16は、平行部17の両端において折れ曲がる斜線部18a,18bによってガイド線15に近づくようになっている。
【0038】
サブガイド線16は、最も幅方向中央側の部分つまりこの例では平行部17が、折込部13の谷部13aの近傍に位置するように付し、谷部13aからの距離e(
図2参照)が谷部13aから側端12cまでの距離、つまり折込部13の深さfに対して1割弱程度の距離の位置に付すことが好ましい。サブガイド線16が谷部13aから離れすぎていると、開封時に引裂き方向にて内容物に接触して強い力を要したり、その接触により内容物が損傷するおそれがある。
【0039】
また、ガイド線15は、包装袋10の幅や折込部13の深さfにもよるが、側端12cから5mm~10mm程度の位置に付すことが好ましい。ガイド線15を付す位置が、側端12cに寄りすぎると内容物の角に当たって袋が損傷するおそれがある一方、内側に寄りすぎると開封時に引裂き方向にて内容物に接触するおそれがある。
【0040】
ガイド線15とサブガイド線16との間、つまりガイド線15と斜線部18a,18bの先端とは、
図2に示すように、接触しないことが好ましい。これにより、開封時に、一旦サブガイド線16からガイド線15に進んだ引裂きが、開封方向から見てガイド線15から離れる向きに伸びる斜線部18aまたは18bを介してサブガイド線16に戻ることなく、サブガイド線16からガイド線15への誘導を、よりスムーズに行い易くなる。また、サブガイド線16の加工時に、ガイド線15とつながらないので、製品としての耐傷性も向上する。
【0041】
なお、ガイド線15とサブガイド線16の間の距離は特に制限は無いが、上述したガイド線15やサブガイド線16の付す位置の好ましい範囲において、近いほど好ましい。
【0042】
また、サブガイド線16は、斜線部18a,18bを、ガイド線15に近づくに連れて、長さ方向に平行部17の中央側に近づくように伸びるように形成したり、双方で長さや角度が異なるように形成してもよい。ただし、ガイド線15への誘導およびサブガイド線16の加工を容易にするためには、
図1に示したように、斜線部18a,18bは、長さ方向に平行部17の中央側とは逆に離れるように、同じ長さおよび角度にて、長さ方向において上下対称形状に伸びることが好ましい。同様の理由から、サブガイド線16における平行部17と斜線部18a,18bの長さは、いずれを相対的に長く付してもよいが、
図1に示したように平行部17を斜線部18a,18bより長く付すことが好ましい。
【0043】
さらに、長さ方向において隣り合うサブガイド線16は、交差するように付してもよいが、長さや角度と同様に、ガイド線15への誘導機能と加工の容易性を考慮すれば、
図1に示したように交差しないことが好ましい。その一方で、サブガイド線16の間隔、つまり隣り合うサブガイド線16における斜線部18bと斜線部18aとの間隔k(
図3参照)は、通常1mm以内であり、0.5mm程度が好ましい。間隔kが1mmより長くなると、サブガイド線16の平行部17が短くなるので、ガイド線15への誘導機能が低下することがある。
【0044】
サブガイド線16の全長は、端域つまりトップシール部12aまたはボトムシール部12bから収容予定の内容物を収容した場合の包装袋10の頂部までの距離(
図7に示したαに相当する距離)の通常0.3倍~2.0倍であり、0.5倍~1.5倍が好ましく、この距離に等しいことがより好ましい。サブガイド線16の全長を、この好ましい範囲とすることで、サブガイド線16に開封が誘導されて内容物との接触を避け易くなる。
【0045】
なお、サブガイド線の全長とは、各線分の長さの合計を意味し、
図1の例では、サブガイド線16を構成する平行部17および斜線部18a,18bの各線の長さを合わせた合計長さである。
【0046】
サブガイド線16を、このような構成とすることにより、包装袋10の長さ方向を反転させて開封をトップシール部12aおよびボトムシール部12bのいずれのギザノッチ14a,14bから行っても、スムーズにガイド線15へ誘導することができる。つまり、開封開始時には、斜線部18aまたは18bによりサブガイド線16からガイド線15に近づくことでガイド線15方向にスムーズに引裂きを進められる。また、ガイド線15に進んだ引裂きがサブガイド線16に戻ることなく、ガイド線15に沿って進め易くなる。さらに、平行部17により、開封時にサブガイド線16に接触する可能性が高まり、開封が誘導され易くなるので、内容物に接触するおそれを低減できる。
【0047】
また、サブガイド線16により、開封方向の制限がなくなることで、印刷等により開封方向を目視で誘導させることが不要になる。さらに、加工範囲が折込部13上に制限されることでサブガイド線16のデザイン作成のための加工が簡素化できる。
【0048】
ガイド線15およびサブガイド線16は、表裏面上の同じ側に付されることが好ましい。表裏いずれかのみに付したのでは、包装袋10を容易に開封することが困難なことがある。また、表裏で異なる側に付した場合も、同様に開封が困難なことがある。ここで、同じ側とは、表裏面間の高さを挟んで同じ側との意である。なお、ガイド線15およびサブガイド線16は、表裏面上の同じ側に付されていればよく、展開時に折込部13を挟んで線対称になるように、位置や間隔が表裏で一致していなくてもよい。ただし、見映えや加工を容易にすることを考慮すれば、一致していることが、より好ましい。
【0049】
包装袋10を構成するフィルムは単層であっても多層構造であってもよいが、通常は、アルミニウム等の金属やポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン等の樹脂を含むフィルム層から構成される。具体的には、多層の場合は、最表層としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル層またはナイロン層が好ましく、逆に最裏層は、ポリエチレン等のポリオレフィン層が好ましい。また、目的にもよるが、中間にはアルミニウム層が含まれると、バリア性が向上するために好ましい。その他、ナイロン樹脂、アクリル系樹脂等による層も好適な場合がある。さらに、中間層の金属は、汎用性の面から通常はアルミニウムが用いられるが、たとえば、銅箔、スチール箔、金箔等の他の金属を含んでもよい。
【0050】
フィルムの加工方法としては、通常、包装袋のフィルムを作製する際に用いられている方法であれば特に制限はないが、フィルムが単層の場合には、たとえば、インフレーション方式またはT型ダイス方式の樹脂溶融フィルム成形等が挙げられる。また、フィルムが多層の場合には、たとえば、押出ラミネート、ドライラミネート、多層のインフレーション方式または多層のT型ダイス方式の樹脂溶融フィルム成形等が挙げられる。
【0051】
ガイド線15およびサブガイド線16は、たとえば、市販のレーザマーカにより、表面より炭酸ガスレーザを照射すれば容易に付すことができる。これにより、これらの線を容易に付すことができる。また、これらの線を付す加工は、包装袋10の製袋前後のいずれに行ってもよいが、通常、内容物を入れる前に付される。
【0052】
ここで、ガゼットタイプの袋においては、
図4に示す包装袋20のように、
図7に示した包装袋100よりも、幅が狭かったり、厚さがあることにより、幅と厚さが同程度となり、折込部が幅方向に相対的に深く形成される袋がある。このような形状の袋においては、折込部を超えて内側までサブガイド線を付し難くなるので、折込部上にサブガイド線16を付す本発明は、開封方向を逆とした場合に易開封性を維持できる他、包装袋の幅や厚さに関わらず容易にサブガイド線を付せることで易開封性を維持できる。
【0053】
さらに言えば、折込部上にサブガイド線16を付すことで、袋の幅に対する折込部の深さの割合が、どの程度であってもガイド線15への誘導機能が損なわれることがない。
【0054】
また、サブガイド線16は、端部においてガイド線に近づく部分と、その端部につながる平行ないしは内側に凸状の部分とを有していれば、長さ方向を反転させて開封をトップシール部12aおよびボトムシール部12bのいずれの方向から行う場合であっても、ガイド線へ誘導するように機能するので、
図1に示した形状に限られない。
図5は本発明の他の形態の包装袋の表面図であり、
図6は本発明のさらに他の形態の包装袋の表面図である。
【0055】
図5に示す包装袋30は、サブガイド線36が、平行部37の一端にのみ斜線部38が付された形状となっている。このサブガイド線36では、片側に斜線部が無い分、
図1に示した包装袋10の平行部17に比して、平行部37が、斜線部が形成されない側に長く伸びており、平行部37の斜線部が形成されない側の先端と、斜線部38の先端との間の長さ方向の距離が、
図3に示した間隔kに相当するようになっている。
【0056】
また、
図6に示す包装袋40は、サブガイド線46が、中間部47と、この両側においてガイド線15に近づく端部48とが、連続的かつ一体的な円弧線状に付されている。
【0057】
包装袋40では、サブガイド線46がガイド線15に対して内側に凸状の連続的な円弧線により構成されているため、開封時にサブガイド線46のどの位置においても一貫してガイド線15に誘導させることができ、トップシール部12aおよびボトムシール部12bのいずれからもスムーズな開封が可能となる。
【0058】
なお、
図6の例では、サブガイド線46は、中間部47および端部48は、いずれも同じ曲率で形成されているが、異なる曲率としてもよい。ただし、ガイド線15への誘導機能と加工の容易性を考慮すれば、端部48の曲率が中間部47の曲率以上であることが好ましく、中間部47および端部48の曲率が同じであることがより好ましい。
【0059】
また、サブガイド線46は、ガイド線15に対して内側に凸状であれば双方の端部48において長さが異なっていたり、付されるサブガイド線46ごとに形状が異なっていてもよい。ただし、
図1に示したサブガイド線16と同様の理由から、双方の端部48の長さが等しくなるように対称形状に付すことが好ましく、各サブガイド線46の形状も統一されていることが好ましい。
【0060】
なお、包装袋30,40においても、包装袋10とサブガイド線の形状が異なる以外は同様の構成である。
【0061】
また、サブガイド線の形状は、図示した例に限られず、たとえば、端部のガイド線に近づく部分のみを円弧線で形成したり、逆に端部につながる部分のみを円弧線で形成してもよい。ただし、端部につながる部分がガイド線15から離れる直線状であったり、ガイド線15側に湾曲した形状をしていると、ガイド線15への誘導機能が得られにくくなる。そのため、端部につながる部分は、直線であれば、
図1および
図5に示したようにガイド線15に平行に、円弧線であれば、
図6に示したように内側に凸状に、少なくとも付す必要がある。
【0062】
さらに、上述した各例では、開封開始点はギザノッチ14a,14bにより構成されているが、これに限らず、たとえば切欠きであってもよい。切欠きの場合は、折込部13を引き裂かないように、折込部13より幅方向中央側に形成することが好ましい。
【0063】
さらに、本発明の包装袋は、三方袋、四方袋と言った、いわゆるピロー形状をなすタイプの袋や、ガゼットタイプとは折込部の有無のみが異なる、合掌袋にも適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、PTP(Press Through Package)シート等を収容する包装袋の用途において適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10,20,30,40 包装袋
11 合わせ部(センターシール部)
12a 幅方向に沿う端域(トップシール部)
12b 幅方向に沿う端域(ボトムシール部)
12c 長さ(奥行)方向に沿う側端
13 折込部
13a 折込部の谷部
14a,14b ノッチ(ギザノッチ)
15 ガイド線
16,36,46 サブガイド線
17,37 平行部
18a,18b,38 斜線部
47 中間部
48 端部
e 谷部からの距離
f 折込部の深さ(谷部から側端までの距離)
k 間隔