(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】生体情報取得装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
(21)【出願番号】P 2020026529
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 学
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/090910(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348853(US,A1)
【文献】特開2009-229130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の外面に設けられ、接触する生体から生体情報を取得する光電センサと、
前記外面において前記光電センサを挟むように配置される溝と、
前記溝を通じて前記筐体外の音が入力されるマイクロフォンと、
前記マイクロフォンに入力される音の
フロアノイズレベルに基づいて、前記生体が前記光電センサ全体を覆っているか否かを判定する判定部と、
前記生体が前記光電センサ全体を覆っている場合に、前記光電センサに前記生体情報を取得させる制御部と、を備える、
生体情報取得装置。
【請求項2】
前記溝は、前記光電センサを囲むように設けられる、
請求項1に記載の生体情報取得装置。
【請求項3】
前記マイクロフォンは、前記筐体の内部空間に収容され
前記溝には、前記筐体の外部と前記内部空間とを連通する連通孔が設けられる、
請求項1または2に記載の生体情報取得装置。
【請求項4】
前記光電センサは、前記筐体の背面に設けられる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指先等の生体から脈波等の生体情報を取得する装置が利用されている。特許文献1には、カメラで撮影した指先の画像を基に脈波を計測する脈波検出装置が記載されている。また、特許文献2では、カメラで撮影した指先の画像を基に生体情報を取得する装置において、カメラに到達する外光に基づいて指先が正しくカメラ部に置かれているかを案内するガイダンス方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-297233号公報
【文献】特開2009-297235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光電センサを用いて生体から生体情報を取得する生体情報取得装置が提案されている。このような生体情報取得装置は、光源から出射した光を生体に照射し、光電センサが受光した生体からの反射光を基に生体情報を取得する。このような生体情報取得装置においても、光電センサに対して正しく生体が置かれていないと生体情報の取得精度が低下する。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、生体情報を取得する光電センサに対して好ましい位置に生体を置いていることを検知できる生体情報取得装置、生体情報取得方法及び生体情報取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のような生体情報取得装置によって例示される。本生体情報取得装置は、筐体の外面に設けられ、接触する生体から生体情報を取得する光電センサと、前記外面において前記光電センサを挟むように配置される溝と、前記溝を通じて前記筐体外の音が入力されるマイクロフォンと、前記マイクロフォンに入力される音のレベルに基づいて、前記生体が前記光電センサ全体を覆っているか否かを判定する判定部と、前記生体が前記光電センサ全体を覆っている場合に、前記光電センサに前記生体情報を取得させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術は、生体情報を取得する光電センサに対して好ましい位置に生体を置いていることを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスマートフォンの外観を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るスマートフォンの筐体背面に設けられた開口部周辺を拡大した図である
【
図5】
図5は、実施形態に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6、実施形態に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態において、光電脈波センサに指が接触した状態を例示する第1の図である。
【
図8】
図8は、実施形態において、光電脈波センサに指が接触した状態を例示する第2の図である。
【
図9】
図9は、実施形態において、内部マイクロフォンに入力される音のレベルを例示する第1の図である。
【
図10】
図10は、実施形態において、内部マイクロフォンに入力される音のレベルを例示する第2の図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るスマートフォンの処理フローの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係るスマートフォンの外観を例示する図である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第1変形例に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、第1変形例において、内部マイクロフォンに入力される音のレベルを例示する第1の図である。
【
図16】
図16は、第1変形例において、内部マイクロフォンに入力される音のレベルを例示する第2の図である。
【
図17】
図17は、溝の配置のバリエーションを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
実施形態に係る生体情報取得装置は、例えば、以下の構成を備える。実施形態に係る生体情報取得装置は、
筐体の外面に設けられ、接触する生体から生体情報を取得する光電センサと、
前記外面において前記光電センサを挟むように配置される溝と、
前記溝を通じて前記筐体外の音が入力されるマイクロフォンと、
前記マイクロフォンに入力される音のレベルに基づいて、前記生体が前記光電センサ全体を覆っているか否かを判定する判定部と、
前記生体が前記光電センサ全体を覆っている場合に、前記光電センサに前記生体情報を取得させる制御部と、を備える。
【0010】
光電センサは、光電センサに接触する生体に光を照射し、その反射光の強度を基に生体情報を取得する。光電センサの光源は、例えば、Light Emitting Diode(LED)である。光電センサは光を用いて生体情報を取得するため、生体情報を高精度に取得するには、光電センサ全体を生体が覆うことで外部からの光が光電センサに入射しないことが好ましい。光電センサに接触する生体としては、例えば、指先、耳たぶ、手首等を挙げることができる。
【0011】
本生体情報取得装置の筐体には、光電センサを挟むように溝が設けられる。ここで、溝は、光電センサを囲むように設けられてもよい。溝は、例えば、光電センサ全体が生体によって覆われると、当該生体によって溝全体が覆われる位置に配置される。
【0012】
本生体情報取得装置には、筐体に設けられた溝を通じて筐体外の音が入力されるマイクロフォンが設けられる。光電センサに接触する生体の位置によって、当該生体によって塞がれる溝の範囲が異なる。溝全体が生体によって塞がれたか否かによって、マイクロフォンに入力される音のレベル(音圧)が変動する。本生体情報取得装置は、マイクロフォン
に入力される音のレベルに基づいて生体が光電センサ全体を覆っているか否かを判定することができる。このような特徴を備えることで、本生体情報取得装置は、生体情報を取得する光電センサに対して好ましい位置に生体を置いていることを検知することができる。さらに、本生体情報取得装置は、生体情報を取得する光電センサに対して好ましい位置に生体が置かれているときに、光電センサに生体情報の取得を行わせることができる。
【0013】
本生体情報取得装置は、次の特徴を備えてもよい。前記マイクロフォンは、前記筐体の内部空間に収容され前記溝には、前記筐体の外部と前記内部空間とを連通する連通孔が設けられる。このような特徴を備えることで、前記筐体外の音がマイクロフォンに入力されやすくなる。
【0014】
本生体情報取得装置は、次の特徴を備えてもよい。前記光電センサは、前記筐体の背面に設けられる。光電センサが背面に設けられると、光電センサ全体を覆うように生体を置いたか否かを目視によって確認することは難しい。本生体情報取得装置は、上記のように、マイクロフォンに入力される音のレベルに基づいて生体が光電センサ全体を覆っているか否かを判定するため、光電センサが筐体の背面に設けられていても、光電センサに対して好ましい位置に生体を置いていることを容易に検知することができる。
【0015】
本生体情報取得装置は、次の特徴を備えてもよい。前記筐体の外面には、所定周波数の音を出力する音源が設けられ、前記判定部は、前記音源から前記マイクロフォンに入力される音のレベルに基づいて、前記生体が前記光電センサ全体を覆っているか否かを判定する。このような特徴を備えることで、判定部は所定周波数の音に着目して判定すればよいため、外部から入力されるノイズによる判定精度への影響が抑制される。
【0016】
上記生体情報取得装置をスマートフォンに適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、実施形態に係るスマートフォンの一方から見た外観(前面側の外観とする)と、他方から見た外観(背面側の外観とする)を例示する。
図1では、矢印によって、スマートフォン100の前面側と背面側が入れ替えて配置され、例示される。スマートフォン100は、板状の筐体110を有する。
図1には描かれていないが、筐体110の前面と背面との間の距離(厚み)は、前面または背面の外形寸法と比較して短い。
図1で紙面に向かって上側が筐体110の上側であり、紙面に向かって下側が筐体110の下側であると仮定する。以下、本明細書において、筐体110の上下方向をY方向、Y方向と直交する筐体110の幅方向をX方向とも称する。また、筐体110の厚み方向をZ方向とも称する。
【0017】
図1のように、筐体110の前面には、ディスプレイ113が設けられる。ディスプレイ113の上側中央の位置にスピーカー111が設けられる。前面が筐体110外面での第1面に相当する。
【0018】
筐体110の背面には、筐体110を厚み方向に貫通する開口部122が形成される。開口部122が設けられる位置は、例えば、筐体110を片手で把持し、把持した片手の指を開口部122に向けて伸ばすと、当該指の指先が開口部122の斜め下方から開口部122に達する位置である。開口部122には、開口部122が形成する孔を塞ぐようにカバーガラス123が設けられる。カバーガラス123は、光を透過する素材で形成される。指先から脈波を取得する光電脈波センサ121は、開口部122の直下に配置される。光電脈波センサ121は、開口部122に設けられたカバーガラス123を介して、指先の脈波を検出する。そこで、本実施形態では、光電脈波センサ121と開口部122に設けられたカバーガラス123とを含めて、指先の脈波を検出するセンサということができる。
【0019】
図2は、実施形態に係るスマートフォンの筐体背面に設けられた開口部周辺を拡大した図である。
図3は、
図2のA-A線断面図である。
図4は、
図2のB-B線断面図である。筐体110の背面には、開口部122の周囲を囲むように、筐体110を厚み方向に凹ませた溝124が設けられる。すなわち、溝124は、光電脈波センサ121の周囲を囲む。溝124の一部には、筐体110の内外を連通する貫通孔125が設けられる。溝124は、開口部122、すなわち、光電脈波センサ121の全面を指先が覆うと、当該指先によって溝124の全体が塞がれる位置に設けられる。
【0020】
図3及び
図4を参照すると理解できるように、光電脈波センサ121及び内部マイクロフォン114は、内部基板B1上に設けられる。なお、光電脈波センサ121及び内部マイクロフォン114は、互いに異なる基板上に設けられてもよい。内部マイクロフォン114は貫通孔125の下に配置される。溝124のうち、内部マイクロフォン114に対応する位置に貫通孔125が設けられることで、筐体110の外部の音が内部マイクロフォン114に入力されやすくなる。なお、貫通孔125には、筐体110内部への浸水を防止するとともに筐体110内の湿気を外部に排出するため、防水透湿膜が設けられてもよい。
【0021】
図5は、実施形態に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。スマートフォン100は、Central Processing Unit(CPU)101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、スピーカー111、通話用マイクロフォン112、ディスプレイ113、内部マイクロフォン114、光電脈波センサ121および接続バスB1を含む。CPU101、主記憶部102、補助記憶部103、通信部104、ディスプレイ113および光電脈波センサ121は、接続バスによって相互に接続されている。
【0022】
CPU101は、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPU101は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU101がマルチコア構成を有していても良い。CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、CPU101以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、CPU101が実行する処理のうち少なくとも一部は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路によって実行されてもよい。また、CPU101の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、Large Scale Integrated circuit(LSI)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。CPU101は、プロセッサと集積回路との組み合わせであっても良い。組み合わせは、例えば、マイクロコントローラユニット(MCU)、System-on-a-chip(SoC)、システムLSI、チップセットなどと呼ばれる。スマートフォン100では、CPU101が補助記憶部103に記憶されたプログラムを主記憶部102の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、スマートフォン100は、所定の目的に合致した処理を実行することができる。主記憶部102および補助記憶部103は、スマートフォン100が読み取り可能な記録媒体である。
【0023】
主記憶部102は、CPU101から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部102は、Random Access Memory(RAM)およびRead
Only Memory(ROM)を含む。
【0024】
補助記憶部103は、各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部103は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部104を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、コンピュータネットワーク等で接続された、他の情報処理装置および外部記憶装置が含まれる。なお、補助記憶部103は、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの一部であってもよい。
【0025】
補助記憶部103は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部103は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。また、補助記憶部103は、Network Attached Storage(NAS)あるいはStorage Area Network(SAN)によって提供されてもよい。
【0026】
通信部104は、例えば、情報処理装置を通信可能に接続するコンピュータネットワークとのインターフェースである。通信部104は、コンピュータネットワークを介して外部の装置と通信を行う。
【0027】
スピーカー111は、音を出力する音源である。スピーカー111は、スマートフォン100を用いた通話において、通話相手の音声等の音を出力する。通話用マイクロフォン112は、主に通話で用いられるマイクロフォンである。通話用マイクロフォン112は、スマートフォン100を用いた通話において、ユーザの音声等の音の入力を受け付ける。
【0028】
ディスプレイ113は、CPU101で処理されるデータや主記憶部102に記憶されるデータを表示する。ディスプレイ113は、例えば、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネルである。
【0029】
内部マイクロフォン114は、外部からの音の入力を受け付けるマイクロフォンである。内部マイクロフォン114に入力される音は、貫通孔125を介して筐体110の外部から入力される音を含む。内部マイクロフォン114は、例えば、外部からの音に起因するノイズの除去に用いられる。
【0030】
光電脈波センサ121は、指先から脈波を取得するセンサである。光電脈波センサ121は、指に照射した光の反射光を受光し、受光した反射光を基に脈波を取得する。指先に光を照射する光源は、光電脈波センサ121と一体であってもよいし、別体であってもよい。光源は、例えば、Light Emitting Diode(LED)である。
【0031】
スマートフォン100は、例えば、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける入力部をさらに備えてもよい。このような入力部として、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルといった入力デバイスを例示できる。
【0032】
<スマートフォン100の処理ブロック>
図6は、実施形態に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。スマートフォン100は、判定部11、通知部12及び測定部13を備える。スマートフォン100は、主記憶部102に実行可能に展開されたコンピュータプログラムをCPU101が実行することで、上記スマートフォン100の、判定部11、通知部12及び測定部13等の各部としての処理を実行する。
【0033】
判定部11は、内部マイクロフォン114に入力される音のレベルに基づいて、被測定者の指先が光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定する。
図7及び
図8は、実施形態において、光電脈波センサに指が接触した状態を例示する図である。
図7は、光電脈波センサ121全体を指先Fが覆っている状態を例示する。
図8は、光電脈波センサ121の少なくとも一部が指先Fによって覆われていない状態を例示する。
図7では、指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っていることにより、光電脈波センサ121の周囲を囲む溝124の全体も指先Fによって覆われている。一方で、
図8では、光電脈波センサ121の少なくとも一部が指先Fによって覆われていないため、溝124の少なくとも一部は指先Fによって覆われていない。
【0034】
図9及び
図10は、実施形態において、内部マイクロフォンに入力される音のレベルを例示する図である。
図9及び
図10の縦軸は音圧(dBV)を例示し、横軸は周波数(Hz)を例示する。音圧は、レベルともいう。
図9は、光電脈波センサ121全体を指先Fが覆っている状態(
図7に例示する状態)における、内部マイクロフォンに入力される音の音圧を例示する。
図10は、光電脈波センサ121の少なくとも一部が指先Fによって覆われていない状態(
図8に例示する状態)における、内部マイクロフォンに入力される音の音圧を例示する。
【0035】
図9及び
図10を対比すると理解できるように、光電脈波センサ121全体が指先Fによって覆われることで指先Fによって溝124全体が覆われると、内部マイクロフォン114に入力されるノイズレベル(フロアノイズ)は
図9に例示するように低くなる。一方で、光電脈波センサ121の少なくとも一部が指先Fによって覆われないことで溝124の少なくとも一部が指先Fによって覆われないと、内部マイクロフォン114に入力されるノイズレベル(フロアノイズ)は
図10に例示するように高くなる。判定部11は、内部マイクロフォン114に入力されるフロアノイズのレベルを基に、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定する。判定部11は、例えば、
図9に例示されるレベルと
図10に例示されるレベルとの間に設定した基準値よりも内部マイクロフォン114に入力されるフロアノイズのレベルの方が高い場合には、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っていないと判定してもよい。
【0036】
通知部12は、指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っていないと判定部11が判定すると、その旨を被測定者に通知する。通知部12は、例えば、指先Fの位置が光電脈波センサ121からずれている旨のメッセージをディスプレイ113に出力することで被測定者への通知を行う。
【0037】
測定部13は、指先F1が光電脈波センサ121全体を覆っていると判定部が判定した場合に、光電脈波センサ121に生体情報を取得させる。測定部13は、取得した生体情報を基に、心拍数、血圧、脈波、動脈血中酸素飽和度等の測定値を取得する。
【0038】
図11は、実施形態に係るスマートフォンの処理フローの一例を示す図である。以下、
図11を参照して、実施形態に係るスマートフォン100の処理フローの一例について説明する。
【0039】
T1では、測定部13は、光電脈波センサ121の光源を点灯する。T2では、判定部
11は、内部マイクロフォン114に入力される音のレベルを取得する。取得したレベルが基準値以下の場合(T3でYES)、処理はT4に進められる。取得したレベルが基準値より大きい場合(T3でNO)、処理はT7に進められる。
【0040】
T4では、測定部13は、光電脈波センサ121に生体情報を取得させる。生体情報の取得が完了すると(T5でYES)、処理はT6に進められる。生体情報の取得が完了していない場合(T5でNO)、処理はT3に進められる。
【0041】
T6では、測定部13は、T4で取得した生体情報を基に、心拍数、血圧、脈波、動脈血中酸素飽和度等の測定値を取得する。測定部13は、取得した測定値をディスプレイ113に表示する。
【0042】
T7では、通知部12は、指先Fの位置が光電脈波センサ121からずれていることを被測定者に通知する。
【0043】
<実施形態の作用効果>
実施形態に係るスマートフォンは、内部マイクロフォン114に入力されるフロアノイズのレベルを基に、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定する。そのため、本実施形態によれば、光電脈波センサ121の周囲に指Fの接触を検出するセンサ等のハードウェアを設けなくとも、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っていることを検知できる。また、実施形態に係るスマートフォンは指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定できるため、被測定者にとって視認困難な光電脈波センサ121が筐体110の背面に設けられていても、光電脈波センサ121全体を覆うように指Fを接触させることが容易になる。
【0044】
本実施形態では、溝124には貫通孔125が設けられる。貫通孔125が溝124に設けられることで、筐体110内に設けられる内部マイクロフォン114には筐体110外の音が容易に入力される。そのため、内部マイクロフォン114に入力される音のレベルに基づく判定部11の判定精度を高めることができる。
【0045】
<第1変形例>
実施形態では、筐体110の周囲から内部マイクロフォン114に入力される音のレベルに基づいて、判定部11が判定を行う。第1変形例では、筐体110の外面に音源を設け、当該音源から内部マイクロフォン114に入力される音のレベルに基づいて、判定部11が判定を行う構成について説明する。実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図面を参照して、第1変形例について説明する。
【0046】
図12は、第1変形例に係るスマートフォンの外観を例示する図である。
図12では、第1変形例に係るスマートフォン100aの背面が例示される。スマートフォン100aは、筐体110の背面の外側に音源115が設けられる点で、実施形態に係るスマートフォン100とは異なる。音源115は、筐体110の背面であって、貫通孔125の近傍に設けられることが好ましい。
【0047】
図13は、第1変形例に係るスマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。音源115は、周波数1kHzの音を出力する音源である。なお、周波数1kHzは音源115が出力する音の周波数の一例であり、音源115は他の周波数の音を出力してもよい。音源115は、例えば、後述する判定部11aからの指示によって、所定周波数の音を出力する。
【0048】
図14は、第1変形例に係るスマートフォンの処理ブロックの一例を示す図である。ス
マートフォン100aは、判定部11に代えて判定部11aを備える点で、実施形態に係るスマートフォン100とは異なる。
【0049】
判定部11aは、音源115から内部マイクロフォン114に入力される音のレベルに基づいて、被測定者の指先が光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定する。
図15及び
図16は、第1変形例において、内部マイクロフォンに入力される音のレベルを例示する図である。
図15及び
図16の縦軸は音圧(dBV)を例示し、横軸は周波数(Hz)を例示する。
図15は、光電脈波センサ121全体を指先Fが覆っている状態(
図7に例示する状態)における、内部マイクロフォンに入力される音の音圧を例示する。
図16は、光電脈波センサ121の少なくとも一部が指先Fによって覆われていない状態(
図8に例示する状態)における、内部マイクロフォンに入力される音の音圧を例示する。
【0050】
図15及び
図16を対比すると理解できるように、光電脈波センサ121全体が指先Fによって覆われることで指先Fによって溝124全体が覆われると、内部マイクロフォン114に入力される音源115からの音(周波数1kHzの音)の音圧(レベル)は
図15に例示するように低くなる。一方で、光電脈波センサ121の少なくとも一部が指先Fによって覆われないことで溝124の少なくとも一部が指先Fによって覆われないと、内部マイクロフォン114に入力される音源115からの音の音圧は
図16に例示するように高くなる。判定部11aは、内部マイクロフォン114に入力される音源115からの音の音圧を基に、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定する。
【0051】
第1変形例では、音源115から内部マイクロフォン114に入力される音のレベルに基づいて、判定部11aが判定を行う。そのため、判定部11aは、スマートフォン100aの周囲が静かな状態でも高い精度で判定を行うことができる。
【0052】
<溝の配置のバリエーション>
実施形態及び第1変形例では、溝124は光電脈波センサ121の周囲を囲むように設けられるが、溝124はこのような配置に限定されない。
図17は、溝の配置のバリエーションを例示する図である。
図17の(a)では、光電脈波センサ121の周囲をC字型に囲むように設けられた溝124が例示される。
図17の(b)では、光電脈波センサ121を挟むように略直線状に形成された溝124が例示される。
図17(c)では、平面視において略四角形である光電脈波センサ121の四隅それぞれに略正方形に形成された溝124が設けられる。
図17に例示される溝124のバリエーションは、いずれも筐体110の内部で内部マイクロフォン114が収容される空間と連通するように設けられる。すなわち、
図17の(a)、(b)、(c)のいずれにおいても、筐体110に設けられた溝124の少なくとも一部が塞がれない場合、内部マイクロフォン114に入力される音の音圧は
図10や
図16のようになり、判定部11(または判定部11a)は、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っているとの判定を行わない。
図17に例示されるような溝124によっても、判定部11は、内部マイクロフォン114に入力される音のレベルを基に、被測定者の指先Fが光電脈波センサ121全体を覆っているか否かを判定することができる。
【0053】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【0054】
<<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させる情報処理プログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行さ
せることにより、その機能を提供させることができる。
【0055】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、Compact Disc-Recordable(CD-R)、Compact Disc-ReWriterable(CD-RW)、Digital Versatile Disc(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、Digital Audio Tape(DAT)、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0056】
100、100a・・・スマートフォン
101・・・CPU
102・・・主記憶部
103・・・補助記憶部
104・・・通信部
110・・・筐体
111・・・スピーカー
112・・・通話用マイクロフォン
113・・・ディスプレイ
114・・・内部マイクロフォン
115・・・音源
121・・・光電脈波センサ
122・・・開口部
123・・・カバーガラス
124・・・溝
125・・・貫通孔
11、11a・・・判定部
12・・・通知部
13・・・測定部