IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナノストリング テクノロジーズ,インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】サンプル中の標的核酸を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/682 20180101AFI20240321BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240321BHJP
   G01N 33/532 20060101ALI20240321BHJP
   G01N 33/533 20060101ALI20240321BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALN20240321BHJP
【FI】
C12Q1/682 Z ZNA
G01N33/53 M
G01N33/532 B
G01N33/533
C12Q1/6806 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018560101
(86)(22)【出願日】2017-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 US2017032947
(87)【国際公開番号】W WO2017201073
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-04-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/337,074
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/492,889
(32)【優先日】2017-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513322707
【氏名又は名称】ナノストリング テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ルステム ハフィゾフ
(72)【発明者】
【氏名】ドウェイン エル.ダナウェイ
(72)【発明者】
【氏名】マーク グレゴリー
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】福井 悟
【審判官】中根 知大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/055995(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0088872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
C12Q1/00-3/00
CAPlus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JST7580/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、次の工程:
(1)少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる少なくとも1つのプローブと前記サンプルとを接触させ、ここで前記少なくとも1つのプローブは標的結合ドメインとバーコードドメインを含み、
前記標的結合ドメインは少なくとも4個のヌクレオチドを含みそして前記標的核酸の第一の特定領域を認識し結合することができ、前記標的結合ドメインは既知ヌクレオチド配列を含み;
前記バーコードドメインは、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子により結合可能である核酸配列を含む第一の結合領域と、少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第二の結合領域とを含んでなるバーコードドメインを含み;
前記第一の結合領域の配列は前記少なくとも第二の結合領域の配列と異なり;
(2)第一の検出可能標識を含む第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子を、前記第一の結合領域に結合させ、それにより検出可能標識を前記第一の結合領域と関連付け;
(3)前記第一の結合領域に関連付けられた前記第一の検出可能標識を検出し;
(4)前記第一の検出可能標識を除去し;
(5)第二の検出可能標識を含む少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子を、前記少なくとも第二の結合領域に結合させ、それにより検出可能標識を前記少なくとも第二の結合領域に関連付け;そして
(6)前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識を検出し;
を含み、
ここで前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識と前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識の線形順序または順番が、前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出し、
ここで検出可能標識を含む各々のレポーター複合体が、少なくとも1つの光開裂リンカーを介して第一の核酸分子と間接的に連結した相補的核酸配列を含み、
ここで工程(4)における第一の検出可能標識の除去が、第一のレポーター複合体を少なくとも1つの光開裂リンカーを開裂するのに十分な量の光に接触されることにより第一の検出可能標識を放出されることを含む、
方法。
【請求項2】
前記バーコードドメインが、少なくとも第三のレポーター複合体により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第三の結合領域を含んでなり;
ここで前記少なくとも第三の結合領域の配列は他の結合領域の配列とは異なる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
次の工程:
(7)前記第二の検出可能標識を除去し、ここで、第二の検出可能標識の除去が、第二のレポーター複合体を少なくとも1つの光開裂リンカーを開裂するのに十分な量の光に接触されることにより第二の検出可能標識を放出されることを含む、;
(8)第三の検出可能標識を含む少なくとも第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸分子を、前記少なくとも第三の結合領域に結合させ、それにより検出可能標識を前記少なくとも第三の結合領域に関連付け;そして
(9)前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識を検出し;
ここで前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識、前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識および前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識の線形順序または順番が、前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出する
を更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記バーコードドメインが、少なくとも第四のレポーター複合体により結合可能である核酸配列を含む、少なくとも第四の結合領域を含み;
ここで前記少なくとも第四の結合領域の配列が他の結合領域の配列とは異なる
請求項2記載の方法。
【請求項5】
(a)各々の検出可能標識を除去し、ここで、各々の検出可能標識の除去が、各々のレポーター複合体を少なくとも1つの光開裂リンカーを開裂するのに十分な量の光に接触されることにより各々の検出可能標識を放出されることを含む、;
(b)各々の結合領域を、検出可能標識を含むレポーター複合体の相補的核酸分子に結合させ、それにより検出可能標識を前記各々の結合領域と関連付け;そして
(c)結合領域に関連付けられた各々の検出可能標識を検出する
という工程を、前記バーコードドメイン中の各結合領域が検出可能標識を含むレポーター複合体の相補的核酸分子により連続的に結合され、そして連続的に結合された相補的核酸分子の検出可能標識が検出されるまで繰り返し;
ここで前記各結合領域に関連付けられた検出可能標識の線形順序または順番が、前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記検出可能標識が、それらの発光スペクトルにより各々同定することができる複数の部分を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記検出可能標識が蛍光成分を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記各成分の発光スペクトルが同一または異なる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの成分の発光スペクトルが他の成分とは異なる、請求項6記載の方法。
【請求項10】
少なくとも前記標的核酸の第一の位置を、基板に選択的に結合する第一のアフィニティー結合試薬を含む第一の捕捉プローブと結合させた後、前記標的核酸が基板に固定化され、ここで前記第一の捕捉プローブは少なくとも1つのプローブが前記標的核酸に結合する位置とは異なる標的核酸上の位置で標的核酸を結合する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
各第一の核酸分子が少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは少なくとも6つの第二の核酸分子にハイブリダイズされる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
各第二の核酸分子が独立に開裂可能リンカーを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記開裂可能リンカーが、光開裂可能、化学的開裂可能および酵素的開裂可能リンカーの群より独立に選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記1または複数の第二の核酸分子が少なくとも1つの検出可能標識を含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
各第二の核酸分子が、少なくとも1つの検出可能標識を含む、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つまたは少なくとも7つの第三の核酸分子にハイブリダイズされる、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記標的結合ドメインが10~100ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記標的結合ドメインが20~60ヌクレオチドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的結合ドメインが35~50ヌクレオチドを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記各々のレポーター複合体の第一の核酸が少なくとも6つの第二の核酸分子とハイブリダイズし、
ここで各々の第二の核酸分子が少なくとも5つの第三の核酸分子とハイブリダイズし、
ここで各々の第三の核酸分子が少なくとも1つの検出可能標識を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記各々の第二の核酸分子が光開裂リンカーを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2016年5月16日出願の米国特許出願第62/337,074号と2017年5月1日出願の米国特許出願第62/492,889号の優先権およびその利益を主張する。その各出願の全内容が参考として援用される。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Web経由でASCII形式で提出された配列表を含み、その全内容が参考として本明細書に組み込まれる。2017年5月16日に作成された前記ASCII複写物はNATE-032001WO_ST25.textという名称であり、ファイルサイズが22,780バイトである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
生物学的試料中の核酸を検出する方法は現在様々に存在するが、より改善された、正確で、迅速かつ高感度の標的核酸のマルチプレックス検出、同定および定量法のニーズが依然としてある。本発明はこのニーズに対処する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、サンプル中の標的核酸の、正確で、迅速かつ高感度の標的核酸のマルチプレックス検出、同定および定量を提供するプローブ、方法、キットおよび装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点は、サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出する方法である。この方法は、少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる少なくとも1つのプローブとサンプルとを接触させる第一工程であって、前記少なくとも1つのプローブは標的結合ドメインとバーコードドメインを含み、前記標的結合ドメインは少なくとも4個のヌクレオチド、好ましくは6個以上のヌクレオチドを含み、そして標的核酸の第一の特定領域を認識し結合することができ、前記標的結合ドメインは既知ヌクレオチド配列を含み;ここで前記バーコードドメインは、第一の相補的核酸分子、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子または第一のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列と、少なくとも第二の相補的核酸分子、少なくとも第二のレポーター複合体の第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のハイブリダイジング核酸分子により可能である核酸配列とを含んでなり、ここで前記第一の結合領域の配列は前記少なくとも第二の結合領域の配列とは異なることを特徴とする工程を含む。
当該方法は更に、(2) 第一の結合領域に、検出可能標識を含む第一の相補的核酸分子または検出可能標識を含む第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を前記第一の結合領域に関連付ける工程;(3) 第一の結合領域に関連付けられた検出可能標識を検出する工程;(4) 第一の検出可能標識または第一の相補的核酸分子を除去する工程;(5)前記少なくとも第二の結合領域に、検出可能標識を含む少なくとも第二の相補的核酸分子または検出可能標識を含む少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を前記少なくとも第二の結合領域に関連付ける工程;および(6) 前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた検出可能標識を検出する工程を含み;ここで前記第一の結合領域に関連付けられた検出可能標識と前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた検出可能標識の線形順序または順次が、前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを特徴とする。工程(4)と(5)は連続であっても同時であってもよい。
【0006】
ある態様では、工程(4)の第一の相補的核酸の除去が、前記第一の結合領域を、検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸分子と接触させ、それにより前記第一の相補的核酸分子を未結合にしかつ前記第一の結合領域に検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸分子を結合させること、または前記第一の相補的核酸分子を除去するのに十分なpH、塩濃度および/または温度の変化をもたらすことを含む。
【0007】
ある態様では、バーコードドメインが、少なくとも第三の相補的核酸分子、少なくとも第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸分子または少なくとも第三のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第三の結合領域を含み、ここで前記少なくとも第三の結合領域の配列は別の結合領域の配列とは異なる。
【0008】
ある態様では、該方法が更に、(7) 第二の検出可能標識または第二の相補的核酸分子を除去する工程;(8)前記少なくとも第三の結合領域に、検出可能標識を含む少なくとも第三の相補的核酸分子または検出可能標識を含む少なくとも第三のレポーター分子の少なくとも第三の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を前記少なくとも第三の結合領域と関連付ける工程;および(9)前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた検出可能標識を検出する工程を含み、ここで前記第一の結合領域に関連付けられた検出可能標識と、前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた検出可能標識と、前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた検出可能標識との線形順序または順次が、少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それによって前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを含む。工程(7)と(8)は連続であっても同時であってもよい。
【0009】
ある態様では、工程(7)の第二の相補的核酸の除去が、前記第二の結合領域を、検出可能標識を持たない第二のハイブリダイジング核酸分子と接触させ、それにより前記第二の相補的核酸分子を未結合にしかつ前記第二の結合領域に前記検出可能標識を持たない第二のハイブリダイジング核酸分子を結合させること、または前記第二の相補的核酸分子を除去するのに十分なpH、塩濃度および/または温度変化をもたらすことを含む。
【0010】
ある態様では、バーコードドメインが、少なくとも第四の相補的核酸分子、少なくとも第四のレポーター複合体または少なくとも第四のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第四の結合領域を含むことができ、ここで前記少なくとも第四の結合領域の配列は別の結合領域の配列とは異なる。ある態様では、バーコードドメインが、少なくとも第五の相補的核酸分子、少なくとも第五のレポーター複合体または少なくとも第五のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第五の結合領域を含むことができ、ここで前記少なくとも第五の結合領域の配列は別の結合領域の配列とは異なる。ある態様では、バーコードドメインが、少なくとも第六の相補的核酸分子、少なくとも第六のレポーター複合体または少なくとも第六のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第六の結合領域を含むことができ、ここで前記少なくとも第六の結合領域の配列は別の結合領域の配列とは異なる。ある態様では、バーコードドメインが、少なくとも第七の相補的核酸分子、少なくとも第七のレポーター複合体または少なくとも第七のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第七の結合領域を含むことができ、ここで前記少なくとも第七の結合領域の配列は別の結合領域の配列とは異なる。
【0011】
ある態様では、各々の検出可能標識または相補的核酸分子を除去する工程;各結合領域に、検出可能標識を含む相補的核酸分子または検出可能標識を含むレポーター複合体の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を各結合領域に関連付ける工程;および結合領域関連付けられた各検出可能標識を検出する工程を、前記バーコードドメイン中の各結合領域が前記検出可能標識を含む相補的核酸分子により連続的に結合されそして前記連続的に結合された相補的核酸分子の検出可能標識が検出されるまで繰り返し、各結合領域に結合した検出可能標識の線形順序または順次が前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の前記少なくとも1つの標的核酸を検出する。
【0012】
ある態様では、検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸分子が、少なくとも前記第一の相補的核酸分子の核酸配列を含む。
【0013】
ある態様では、第一の結合領域が少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体に隣接していてもよい。検出可能標識を持たない前記第一のハイブリダイジング核酸分子は、前記第一の結合領域に隣接した少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドに部分的に相補的である核酸配列を更に含んでもよい。
【0014】
ある態様では、検出可能標識を持たない少なくとも第二のハイブリダイジング核酸分子が、前記少なくとも第二の相補的核酸分子の核酸配列を少なくとも含む。
【0015】
ある態様では、少なくとも第二の結合領域が、少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体に隣接してもよい。前記検出可能標識を持たない少なくとも第二のハイブリダイジング核酸分子は、少なくとも第二の結合領域に隣接した少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドに部分的に相補的である核酸配列を含んでもよい。
【0016】
ある態様では、バーコードドメインが、多糖、ペプチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、または一本鎖DNA、一本鎖RNAもしくは一本鎖PNAから選択されたポリヌクレオチドを含んでなる合成骨格を含むことができる。
【0017】
ある態様では、前記少なくとも1つのプローブは、一本鎖もしくは二本鎖のRNA、DNA、PNAもしくは他のポリヌクレオチド類似体、または標的結合ドメインとバーコードドメインとの間のPEGスペーサーを含むことができる。
【0018】
ある態様では、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子、少なくとも第二の相補的核酸分子、および少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子は、独立的にRNA、DNA、PNAまたは他のポリヌクレオチド類似体である。
【0019】
ある態様では、少なくとも第三の相補的核酸または第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸は、RNA、DNA、PNAまたは他のポリヌクレオチド類似体である。
【0020】
ある態様では、前記標的結合ドメイン中の少なくとも1つのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体であってよい。前記標的結合ドメイン中の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6個のヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体である。前記標的結合ドメイン中の各ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体であってよい。そのような少なくとも1つの修飾ヌクレオチドまたは少なくとも1つの核酸類似体は、ロック核酸(LNA)であることもできる。少なくとも1つの修飾ヌクレオチドまたは少なくとも1つの核酸類似体は普遍塩基を含んでもよい。
【0021】
ある態様では、標的核酸の第一の位置を、基板に選択的に結合する第一のアフィニティー結合試薬を含む第一の捕捉プローブと結合させることにより、最初に標的核酸を基板上に固定することができる。ある態様では、標的核酸の第一の部分を、基板に選択的に結合する第一のアフィニティー試薬を含む第一の捕捉プローブと結合させることによってプローブに結合させた後で、標的核酸を基板に固定することができる。ある態様では、前記第一の捕捉プローブが、前記少なくとも1つのプローブが前記標的核酸に結合する位置とは異なる標的核酸上の位置で標的核酸を結合する。ある態様では、前記標的核酸は、第一の位置のところで前記基板に固定されている標的核酸を伸展するのに十分な力(例えば重力、流体力、電磁力、流れ伸縮力、後退メニスカス技術、またはそれの組み合わせ)を適用することにより伸長することができる。標的核酸は更に、標的核酸の少なくとも第二の位置を、基板に選択的に結合する親和性結合試薬を含む少なくとも第二の捕捉プローブと結合させることにより、前記基板に固定化することができる。典型的には、前記第二の捕捉プローブは、前記少なくとも1つのプローブと第一の捕捉プローブが標的核酸に結合するのとは異なる標的核酸上の位置で標的核酸と結合する。標的核酸は、プローブの少なくとも一部分または相補的核酸分子もしくはレポーター複合体の一部分を、基板に選択的に結合する第三のアフィニティー結合試薬を含む少なくとも第三の捕捉プローブと結合させることにより、更に基板に固定化することができる。標的核酸は、プローブの一部分、少なくとも1つの相補的核酸分子の一部分、または少なくとも1つのレポーター複合体の一部分を、第四のアフィニティー結合試薬を介して基板に結合させることにより、基板に更に固定化することができる。典型的なアフィニティー結合試薬としては、リガンド、抗原、炭水化物、レセプター、レクチン、抗体、ビオチン、アビジン、ハプテン、および既知配列を有する核酸が挙げられる。標的核酸は、約3から少なくとも10か所の位置で基板に固定化することができる。標的核酸の第二の位置が基板に固定化されたら、力を取り除くことができる。ある態様では、固定化された標的核酸が伸長される。
【0022】
ある態様では、第一の捕捉プローブが第二のアフィニティー試薬を含むことができる。
【0023】
ある態様では、第一の捕捉プローブの第二のアフィニティー試薬が、少なくとも1つのプローブの第一のアフィニティー試薬とは異なる。
【0024】
ある態様では、第一の捕捉プローブが、第二のアフィニティー試薬とは異なる第三のアフィニティー試薬を更に含むことができる。
【0025】
ある態様では、第一のアフィニティー試薬、第二のアフィニティー試薬および第三のアフィニティー試薬は異なる。
【0026】
ある態様では、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数が、バーコードドメイン中の異なる結合領域の数に等しい。
【0027】
ある態様では、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数が、バーコードドメイン中の異なる結合領域の数より少なくとも1多い。
【0028】
ある態様では、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数がバーコードドメイン中の結合領域の数の少なくとも2倍である。
【0029】
ある態様では、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数が8であり、そしてバーコードドメイン中の結合領域の数が3である。
【0030】
ある態様では、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数が、バーコードドメイン中の異なる結合領域の数より少なくとも1だけ少ない。
【0031】
ある態様では、プローブの標的結合ドメインが少なくとも6ヌクレオチド、または少なくとも8ヌクレオチドを含む。
【0032】
ある態様では、プローブの標的結合ドメインが10~100、20~60または3550ヌクレオチドを含む。
【0033】
ある態様では、少なくとも第一の結合領域がバーコードドメイン上の第一の位置から分岐している。ある態様では、少なくとも第二の結合領域がバーコードドメイン上の少なくとも第二の位置から分岐している。ある態様では、各結合領域がバーコードドメイン上の一つの位置から分岐している。バーコードドメインは、少なくとも2つの第一結合領域を含む第一の位置を含み、ここで少なくとも2つの第一の結合領域は、第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子によって結合可能である同一の核酸配列を含む。バーコードドメインは、少なくとも2つの第二の結合領域を含む少なくとも第二の位置を含んでよく、ここで前記少なくとも2つの第二の結合領域は、少なくとも第二の相補的核酸分子または第二のレポーター複合体の第二の相補的核酸分子によって結合可能である同一の核酸配列を含む。バーコードドメインは、少なくとも2つの第三の結合領域を含む少なくとも第三の位置を含んでよく、ここで前記少なくとも2つの第三の結合領域は、少なくとも第三の相補的核酸分子または第三のレポーター複合体の第三の相補的核酸分子によって結合可能である同一の核酸配列を含む。
【0034】
ある態様では、バーコードドメイン中の各位置が、同じ数の結合領域を含んでよい。ある態様では、バーコードドメイン中の少なくとも1つの位置が、複数の結合領域を含むことができる。バーコードドメイン中の各位置は複数の結合領域を含むことができる。
【0035】
ある態様では、バーコードドメイン中の少なくとも1つの位置が、別の位置よりも多数の結合領域を含んでよい。
【0036】
ある態様では、バーコードドメイン上の少なくとも1つの位置が、その結合領域の1~50コピーを含んでよく、例えばバーコードドメイン上の各位置がその結合領域の1~50コピーを含んでもよい。
【0037】
前記少なくとも1つのプローブは、バーコードドメインに作用可能に連結された標的結合ドメインの多重コピーを含むことができる。
【0038】
ある態様では、検出可能標識を含む各レポーター複合体が、第一の核酸分子に直接的に連結された相補的核酸分子を含むことができる。
【0039】
ある態様では、検出可能標識を含むレポーター複合体が、核酸スペーサーを介して第一の核酸分子に間接的に連結された相補的核酸分子を含むことができる。
【0040】
ある態様では、核酸スペーサーと同様な力学的性質を有するポリマースペーサーを介して第一の核酸分子に間接的に連結された相補的核酸分子を含むことができる。
【0041】
ある態様では、検出可能標識を含む各レポーター複合体が、開裂可能リンカーを介して初発核酸分子に間接的に連結された相補的核酸分子を含む。
【0042】
ある態様では、前記開裂可能リンカーが、光開裂、化学的開裂または酵素的開裂可能である。典型的には、各開裂可能リンカーは、他の全てのリンカーとは独立的に開裂可能である。
【0043】
ある態様では、光開裂可能リンカーは、アーク灯、レーザー、集束UV光源または発光ダイオードのような光源により開裂される。
【0044】
ある態様では、各相補的核酸分子が約8ヌクレオチドから約20ヌクレオチド、例えば約10ヌクレオチド、約12ヌクレオチド、約14ヌクレオチドを含むことができる。
【0045】
ある態様では、各第一の核酸分子は、少なくとも1つの第二核酸分子、例えば少なくとも2つの第二核酸分子、少なくとも3つの第二核酸分子、少なくとも4つの第二核酸分子、少なくとも5つの第二核酸分子、少なくとも6つの第二核酸分子にハイブリダイズさせることができる。1または複数の第二の核酸分子が少なくとも1つの検出可能標識を含んでもよい。
【0046】
ある態様では、第二の核酸分子は開裂可能リンカーを含むことができる。例えば、開裂可能リンカーは光開裂、化学的開裂または酵素的開裂可能である。ある態様では、第一の核酸分子にハイブリダイズした種々の第二の核酸分子は、同一の開裂可能リンカー、非開裂可能リンカー、種々の開裂可能リンカーの組み合わせ、種々の開裂可能リンカーと非開裂可能リンカーの組み合わせの全てを包含する。
【0047】
ある態様では、各第二の核酸分子は、少なくとも1つの検出可能標識を含む少なくとも1つの第三の核酸分子、例えば少なくとも1つの検出可能標識を含む少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、または少なくとも7個の第三の核酸分子にハイブリダイズさせることができる。
【0048】
ある態様では、少なくとも1つの第二の核酸分子は、第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域を含んでもよい。ある態様では、各第二の核酸分子は、第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域を含むことができる。第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は、第一の核酸分子に直接連結されている相補的核酸分子のヌクレオチド配列を含んでもよい。第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は、第二の核酸分子の末端に位置することができる。第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は約8~約20ヌクレオチド、例えば約12ヌクレオチドを含むことができる。
【0049】
ある態様では、少なくとも1つの標的核酸が、2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 2000, 3000, 4000, 5000またはそれ以上、およびその間の任意数の異なる標的核酸を含んでよい。
【0050】
ある態様では、当該方法は、サンプル中の少なくとも1つの標的タンパク質を検出することを更に含んでもよい。
【0051】
ある態様では、少なくとも1つの標的タンパク質が、2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 2000, 3000, 4000, 5000またはそれ以上、およびその間の任意数の異なる標的核酸タンパク質を含んでよい。
【0052】
用語「1または複数」、「少なくとも1」等は、少なくとも1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 2000, 3000, 4000, 5000 またはそれ以上、およびその間の任意数を含むことができるが、それらに限定されないものと解釈される。
【0053】
用語「複数」、「少なくとも2」、「2以上」、「少なくとも第二」等は、少なくとも2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113, 114, 115, 116, 117, 118, 119, 120, 121, 122, 123, 124, 125, 126, 127, 128, 129, 130, 131, 132, 133, 134, 135, 136, 137, 138, 139, 140, 141, 142, 143, 144, 145, 146, 147, 148, 149, 150, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 2000, 3000, 4000, 5000 またはそれ以上、およびその間の任意数を含むことができるが、それらに限定されないものと解釈される。よって、「少なくとも2つの標識結合位置」とは、2箇所の標識結合位置、4箇所の標識結合位置、6箇所の標識結合位置、8箇所の標識結合位置、10箇所の標識結合位置またはそれ以上を含むが、それらに限定されない。
【0054】
本開示は、サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出する方法であって、(1)前記サンプルを、少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる少なくとも1つのプローブと接触させ、ここで前記少なくとも1つのプローブが標的結合ドメインとバーコードドメインを含み、前記標的結合ドメインが少なくとも4個のヌクレオチドを含みかつ前記標的核酸の第一の特定領域を認識し結合することができ、そして前記標的結合ドメインが既知ヌクレオチド配列を含み;前記バーコードドメインが、第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子により結合された核酸配列を含む第一の結合領域と、少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子により結合された少なくとも第二の結合領域とを含む、バーコードドメインを含み;前記少なくとも第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子は第一の検出可能標識を含み、それにより検出可能標識を第一の結合領域に関連付け;前記少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子は第二の検出可能標識を含み、それによって検出可能標識を前記少なくとも第二の結合領域に関連付け;ここで前記第一の結合領域の配列が前記少なくとも第二の結合領域の配列とは異なり;(2) 前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識と前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識とを検出し;(3) 前記第一の検出可能標識を除去し;(4) 前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識を検出し;ここで前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識と前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識の線形順序または順次が、少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを含む方法も提供する。
【0055】
工程(4)の検出は、工程(2)における前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識と前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出標識とを検出することから生じるシグナルから、工程(4)における少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識から生じるシグナルを差し引くことを含むことができる。
【0056】
バーコードドメインは、第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子により結合された核酸配列を含む第一の結合領域と、少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子により結合された第二の結合領域と、少なくとも第三の相補的核酸分子または少なくとも第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸分子により結合された少なくとも第三の結合領域とを含むことができる。ここで、前記第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子は第一の検出可能標識を含み、それにより検出可能標識を前記第一の結合領域に関連付け;ここで前記第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の第二の相補的核酸分子は第二の検出可能標識を含み、それにより検出可能標識を前記少なくとも第二の結合領域に関連付け;前記第三の相補的核酸分子または少なくとも第三のレポーター複合体の第三の相補的核酸分子は第三の検出可能標識を含み、それにより検出可能標識を前記第三の結合領域に関連付け;ここで前記少なくとも第三の結合領域、少なくとも第二の結合領域および少なくとも第三の結合領域は異なっており;(2) 前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識と、前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識と、前記少なくとも第三の検出可能領域に関連付けられた第三の検出可能標識を検出し;(3)前記第一の検出可能標識を除去し;(4)前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識と前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識とを検出し;(5) 前記第二の検出可能標識を除去し;(6)前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識を検出し;ここで前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識、前記第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識および前記第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識の線形順序または順次が、前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを含む。
【0057】
工程(4)の検出は、工程(4)における少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識と第三の結合領域に関連付けられた少なくとも第三の検出可能標識からのシグナルを、工程(2)における前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識、前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識および第三の結合領域に関連付けられた少なくとも第三の結合標識からのシグナルから差し引くことを含むことができる。
【0058】
工程(6)の検出は、工程(6)における第三の結合領域に関連付けられた少なくとも第三の検出可能標識からのシグナルを、工程(4)における前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識と前記第三の結合領域に関連付けられた少なくとも第三の検出可能標識からのシグナルから差し引くことを含むことができる。
【0059】
本開示は、サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出する方法も提供し、該方法は(1)少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる少なくとも1つのプローブと前記サンプルとを接触させ、ここで前記少なくとも1つのプローブが標的結合ドメインとバーコードドメインとを含み、ここで前記標的結合ドメインは少なくとも4個のヌクレオチドを含みかつ前記標的核酸の第一の特定領域を認識し結合することができ、そして前記標的結合ドメインは既知ヌクレオチド配列を含み;ここで前記バーコードドメインは、第一の相補的核酸分子、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子または第一のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む第一の結合領域と、少なくとも第二の相補的核酸分子、少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第二の結合領域とを含んでなり;ここで前記第一の結合領域の配列は前記少なくとも第二の結合領域の配列とは異なり;(2) 前記第一の結合領域に第一の検出可能標識を含む第一の相補的核酸分子または第一の検出可能標識を含む第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を第一の結合領域に関連付け;(3)前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識を検出し;(4) 前記第一の検出可能標識または第一の相補的核酸分子を除去し;(5) 前記少なくとも第二の結合領域に、第二の検出可能標識を含む少なくとも第二の相補的核酸分子または第二の検出可能標識を含む少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を前記谷の結合領域に関連付け;そして(6)前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識を検出し;ここで前記第一の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識と前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識との線形順序または順次が、少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを含む。工程(4)と(5)は連続的にまたは同時に起こることができる。
【0060】
前記バーコードドメインは、少なくとも第三の相補的核酸分子、少なくとも第三のレポーター複合体または少なくとも第三のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第三の結合領域を含んでなることができ、ここで前記少なくとも第三の結合領域の配列は他の結合領域の配列とは異なっている。
【0061】
当該方法は、(7)前記第二の検出可能標識または第二の相補的核酸分子を除去し;(8) 前記少なくとも第三の結合領域に、第三の検出可能標識を含む少なくとも第三の相補的核酸分子または第三の検出可能標識を含む少なくとも第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を前記少なくとも第三の結合領域に関連付け;そして(9)前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識を検出することを含み;ここで前記第一の結合領域に関連付けられた第一の検出可能標識、前記少なくとも第二の結合領域に関連付けられた第二の検出可能標識、および前記少なくとも第三の結合領域に関連付けられた第三の検出可能標識の線形順序または順次が、前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それにより前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを特徴とする。工程(7)と(8)は連続的または同時に起こる。
【0062】
工程(4)の第一の相補的核酸の除去は、(a)第一の結合領域を、検出可能標識を含まない第一のハイブリダイジング核酸分子と接触させ、それにより前記第一の相補的核酸分子を未結合にしながら、前記第一の結合領域に、前記検出可能標識を含まない前記第一のハイブリダイジング核酸分子を結合させ;(b) 前記第一の相補的核酸分子を除去するのに十分なpH、塩濃度、および/または温度の変化を適用することを含むことができる。
【0063】
工程(7)の第二の相補的核酸の除去は、(a)第二の結合領域を、検出可能標識を含まない第二のハイブリダイジング核酸分子と接触させ、それにより前記第二の相補的核酸分子を未結合にしながら、前記第二の結合領域に、前記検出可能標識を含まない前記第二のハイブリダイジング核酸分子を結合させ;(b) 前記第一の相補的核酸分子を除去するのに十分なpH、塩濃度、および/または温度の変化を適用することを含むことができる。
【0064】
バーコードドメインは、少なくとも第四の相補的核酸分子、少なくとも第四のレポーター複合体または少なくとも第四のハイブリダイジング核酸分子、により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第四の結合領域を更に含むことができ;ここで前記少なくとも第四の結合領域の配列は他の結合領域の配列とは異なる。
【0065】
バーコードドメインは、少なくとも第五の相補的核酸分子、少なくとも第五のレポーター複合体または少なくとも第五のハイブリダイジング核酸分子、により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第五の結合領域を更に含むことができ;ここで前記少なくとも第五の結合領域の配列は他の結合領域の配列とは異なる。
【0066】
バーコードドメインは、少なくとも第六の相補的核酸分子、少なくとも第六のレポーター複合体または少なくとも第六のハイブリダイジング核酸分子、により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第六の結合領域を更に含むことができ;ここで前記少なくとも第六の結合領域の配列は他の結合領域の配列とは異なる。
【0067】
バーコードドメインは、少なくとも第七の相補的核酸分子、少なくとも第七のレポーター複合体または少なくとも第七のハイブリダイジング核酸分子、により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第七の結合領域を更に含むことができ;ここで前記少なくとも第七の結合領域の配列は他の結合領域の配列とは異なる。
【0068】
(a) 各検出可能標識または相補的核酸分子を除去し;(b) 各結合領域に、検出可能標識を含む相補的核酸分子または検出可能標識を含むレポーター複合体の相補的核酸分子を結合させ、それにより検出可能標識を各結合領域に関連付け;そして(c)前記結合領域に関連付けられた各検出可能標識を検出するという工程を、バーコードドメイン中の各結合領域が検出可能標識を含む相補的核酸分子により連続的に結合されるまでそして前記連続的に結合した相補的核酸分子の検出可能標識が検出されるまで繰り返し;ここで各結合領域に関連付けられた前記検出可能標識の線形順序または順次が前記少なくとも1つの標的分子の特定領域を同定し、それによって前記サンプル中の少なくとも1つの標的核酸を検出することを特徴とする。
【0069】
検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸分子は、第一の相補的核酸分子の核酸配列を少なくとも含むことができる。
【0070】
前記第一の結合領域は、少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体に隣接することができる。
【0071】
前記検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸分子は、前記第一の結合領域に隣接した少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドに部分的に相補的な核酸配列を更に含むことができる。
【0072】
前記検出可能標識を持たない少なくとも第二のハイブリダイジング核酸分子は、少なくとも第二の相補的核酸分子の核酸配列を少なくとも含むことができる。
【0073】
前記少なくとも第二の結合領域は、少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体に隣接することができる。
【0074】
前記検出可能標識を持たない第二のハイブリダイジング核酸分子は、前記少なくとも第二の結合領域に隣接した少なくとも1つの隣接一本鎖ポリヌクレオチドに部分的に相補的な核酸配列を含むことができる。
【0075】
工程(3)における第一の検出可能標識の除去は、第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子を、第一の検出可能標識を遊離させるのに十分な第一の相補的核酸分子の位置に力の下で接触させることを含むことができる。
【0076】
工程(5)における第二の検出可能標識の除去は、第二の相補的核酸分子または第二のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子を、第二の検出可能標識を遊離させるのに十分な第二の相補的核酸分子の位置に力の下で接触させることを含むことができる。
【0077】
工程(4)における第一の検出可能標識の除去は、第一の相補的核酸分子または少なくとも第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子を、第一の検出可能標識を遊離させるのに十分な第一の相補的核酸分子の位置に力の下で接触させることを含むことができる。
【0078】
工程(7)における第二の検出可能標識の除去は、第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の第二の相補的核酸分子を、第二の検出可能標識を遊離させるのに十分な第二の相補的核酸分子の位置に力の下で接触させることを含むことができる。
【0079】
前記第一の相補的核酸分子、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子、少なくとも第二の相補的核酸分子、少なくとも第二のレポーター複合体の第二の相補的核酸分子、少なくとも第三の相補的核酸分子、少なくとも第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸分子のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの開裂可能リンカーを含むことができる。
【0080】
前記少なくとも1つの開裂可能リンカーは、光開裂、化学的開裂および酵素的開裂可能なものからなる群より独立的に選択することができる。各開裂可能リンカーは、他の全てのリンカーとは独立的に開裂可能である。光開裂可能リンカーは、アーク灯、レーザー、収束UV光源、および発光ダイオードからなる群より選択された光源により開裂させることができる。前記力は光であることができる。
【0081】
本開示の方法は、少なくとも1つの標的核酸から前記プローブを洗浄することを更に含むことができる。前記洗浄は、標的分子からプローブを除去するのに十分なpH、塩濃度および/または温度の変化を含むことができる。
【0082】
本開示の方法は更に、(i) 前記少なくとも1つの標的分子の第二の特定領域を認識し結合することができる少なくとも第二のプローブと前記サンプルとを接触させ、ここで前記第二の特定領域が前記少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域とは異なり;(ii) 前記少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる第一のプローブの少なくとも第二のコピーと前記サンプルとを接触させ;または(iii) 少なくとも第二の標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる少なくとも第三のプローブと前記サンプルとを接触させ、ここで前記少なくとも第二の標的分子は前記少なくとも1つの標的分子とは異なり;ここで前記プローブは標的結合ドメインとバーコードドメインを含み、前記標的結合ドメインは少なくとも4個のヌクレオチドを含み;そして前記バーコードドメインは第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子により結合された核酸配列を含む第一の結合領域と、少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子により結合された少なくとも第二の結合領域、とを含んでなるバーコードドメインを含むことを特徴とする。
【0083】
本開示の方法は更に、(i)前記少なくとも1つの標的分子の第二の特定領域を認識し結合することができる少なくとも第二のプローブと前記サンプルとを接触させ、ここで前記第二の特定領域が前記少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域とは異なり;(ii) 前記少なくとも1つの標的分子の第一の特定領域を認識し結合することができる第一のプローブの少なくとも第二のコピーと前記サンプルとを接触させ;または(iii) 少なくとも第二の標的分子の第一の特定標的領域を認識し結合することができる少なくとも第三のプローブと前記サンプルとを接触させ、ここで前記少なくとも第二の標的分子は前記少なくとも1つの標的分子とは異なり;ここで前記プローブは標的結合ドメインとバーコードドメインを含み、前記標的結合ドメインは少なくとも4個のヌクレオチドを含み;そして前記バーコードドメインは第一の相補的核酸分子、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子または第一のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む第一の結合領域と、少なくとも第二の相補的核酸分子、少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のハイブリダイジング核酸分子により結合可能である核酸配列を含む少なくとも第二の結合領域とを含む。
【0084】
当該方法は更に、少なくとも第二のプローブ、第一のプローブの少なくとも第二のコピー、または少なくとも第三のプローブを用いて、請求項3の工程(1)~(6)を繰り返すことを更に含むことができる。当該方法は更に、少なくとも第二のプローブ、第一のプローブの少なくとも第二のコピー、または少なくとも第三のプローブを用いて、工程(1)~(9)を繰り返すことを更に含むことができる。少なくとも第一の標的核酸からプローブを洗浄した後、工程(1)~(6)または工程(1)~(9)を約50回まで繰り返すことができる。
【0085】
検出可能標識は、それらの発光スペクトルにより各々同定することができる多重成分を含むことができる。検出可能標識は、量子ドット、蛍光成分、比色成分またはそれらの組み合わせであることができる。好ましくは、検出可能標識は蛍光成分を含むことができる。各成分の発光スペクトルは同一であっても異なってもよい。少なくとも1つの成分の発光スペクトルがその他の成分のとは異なることができる。好ましい観点では、シグナルが発光スペクトルである。ある態様では、標識の1または複数の発光スペクトルが検出可能シグナルである。
【0086】
前記バーコードドメインは、多糖、ペプチド、ペプチド核酸、ポリペプチド、または一本鎖DNA、一本鎖RNAもしくは一本鎖PNAから選択されたポリヌクレオチドを含む合成骨格を含んでなることができる。少なくとも1つのプローブは、一本鎖もしくは二本鎖RNA、DNA、PNAもしくは他のポリヌクレオチド類似体、または標的結合ドメインとバーコードドメインの間のPEGスペーサーを含むことができる。好ましい観点では、前記スペーサーが二本鎖DNAである。
【0087】
第一の相補的核酸分子、第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子、少なくとも第二の相補的核酸分子、少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子は、独立に、RNA、DNA、PNAまたは他のポリヌクレオチド類似体であることができる。前記少なくとも第三の相補的核酸または第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸は、RNA、DNA、PNAまたは他のポリヌクレオチド類似体であることができる。
【0088】
前記標的結合ドメイン中の少なくとも1つのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体であることができる。前記標的結合ドメイン中の少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5または少なくとも6ヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体であることができる。前記標的結合ドメイン中の各ヌクレオチドが修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体であることができる。前記標的結合ドメイン中の各ヌクレオチドは、最初と最後のヌクレオチドを除いて修飾ヌクレオチドまたは核酸類似体であることができる。
【0089】
前記少なくとも1つの修飾ヌクレオチドまたは少なくとも1つの核酸類似体が、ロック核酸(LNA)であることができる。少なくとも1つの修飾ヌクレオチドまたは少なくとも1つの核酸類似体が普遍塩基を含むことができる。
【0090】
前記標的核酸は、最初に基板に固定化させた後、少なくとも標的核酸の第一の位置を、基板に選択的に結合する第一のアフィニティー結合試薬を含む第一の捕捉プローブと結合させることによりプローブと接触させ、ここで前記第一の捕捉プローブは、少なくとも1つのプローブが標的核酸に結合する位置とは異なる標的核酸上の位置で標的核酸を結合する。
【0091】
前記標的核酸は、少なくとも標的核酸の第一の位置を、基板に選択的に結合する第一のアフィニティー結合試薬を含む第一の捕捉プローブと結合させた後、基板に固定化することができ、ここで前記第一の捕捉プローブは、少なくとも1つのプローブが前記標的核酸に結合する位置とは異なる標的核酸上の位置で標的核酸を結合する。
【0092】
前記標的核酸は、第一の位置で基板に固定化されている標的核酸を伸展するのに十分な力を適用することにより伸長することができる。前記力は重力、流体力、電磁力、フローストレッチング(引き伸ばし)技術、後退メニスカス技術またはそれらの組み合わせであることができる。
【0093】
前記標的核酸は、該標的核酸の少なくとも第二の位置を、基板に選択的に結合する第二のアフィニティー結合試薬を含む少なくとも第二の捕捉プローブと結合させることにより、基板に更に固定化することができ、ここで前記第二の捕捉プローブは、前記少なくとも1つのプローブと第一の捕捉プローブが標的核酸に結合する位置とは異なる標的核酸上の位置で標的核酸を結合する。
【0094】
前記標的核酸は、該プローブの少なくとも一部分または相補的核酸分子もしくはレポーター複合体の一部分を、基板に選択的に結合する第三のアフィニティー結合試薬を含む少なくとも第三の捕捉プローブと結合させることにより、基板に更に固定化することができる。
【0095】
前記プローブ、少なくとも1つの相補的核酸または少なくとも1つのレポーター複合体は第四のアフィニティー結合試薬を含むことができる。
【0096】
前記標的核酸は、プローブの一部分、少なくとも1つの相補的核酸分子または少なくとも1つのレポーター複合体の一部分を、第四のアフィニティー結合試薬を介して基板に結合させることにより、基板に更に固定化することができる。
【0097】
前記力は、標的核酸の第二の位置が基板に固定化された後で除去することができる。
【0098】
アフィニティー結合試薬は、リガンド、抗原、炭水化物、レセプター、レクチン、抗体、ビオチン、アビジン、ハプテンおよび既知配列を有する核酸から成る群より独立に選択することができる。
【0099】
第一の捕捉プローブは、20~60ヌクレオチドを含む標的結合ドメインを含むことができ、ここで第一の捕捉プローブは、前記少なくとも1つのプローブが標的核酸に結合する位置とは異なる標的核酸上の位置において標的核酸を結合する。
【0100】
第一のアフィニティー結合試薬は第二のアフィニティー結合試薬とは異なることができる。
【0101】
第一のアフィニティー結合試薬、第二のアフィニティー結合試薬、第三のアフィニティー結合試薬および第四のアフィニティー結合試薬のうちの少なくとも1つが、その他のアフィニティー結合試薬とは異なることができる。
【0102】
標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数はバーコードドメイン中の結合領域の数の少なくとも2倍であることができる。例えば標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数が8でありかつバーコードドメイン中の結合領域の数が3であることができる。標的結合ドメインは少なくとも6ヌクレオチドを含むことができる。標的結合ドメインは少なくとも8ヌクレオチドを含むことができる。標的結合ドメインは10~100ヌクレオチドを含むことができる。標的結合ドメインは20~60ヌクレオチドを含むことができる。標的結合ドメインは35~50ヌクレオチドを含むことができる。
【0103】
各相補的核酸分子は約8ヌクレオチドから約20ヌクレオチドを含むことができる。各相補的核酸分子は約12ヌクレオチドを含むことができる。各相補的核酸分子は約14ヌクレオチドを含むことができる。
【0104】
第一の結合領域は少なくともバーコードドメイン上の第一の位置から分岐することができる。少なくとも第二の結合領域はバーコードドメイン上の少なくとも第二の位置から分岐することができる。各結合領域はバーコードドメイン上の1つの位置から分岐することができる。
【0105】
前記バーコードドメインは、少なくとも2つの第一の結合領域を含む第一の位置を含むことができ、ここで前記少なくとも2つの第一結合領域は、第一の相補的核酸分子または第一のレポーター複合体の第一の相補的核酸分子により結合可能である同一の核酸配列を含む。
【0106】
前記バーコードドメインは、少なくとも2つの第二の結合領域を含む少なくとも第二の位置を含むことができ、ここで前記少なくとも2つの第二の結合領域は、少なくとも第二の相補的核酸分子または少なくとも第二のレポーター複合体の少なくとも第二の相補的核酸分子により結合可能である同一の核酸配列を含む。
【0107】
前記バーコードドメインは、少なくとも2つの第三の結合領域を含む少なくとも第三の位置を含むことができ、ここで前記少なくとも2つの第三の結合領域は、少なくとも第三の相補的核酸分子または少なくとも第三のレポーター複合体の少なくとも第三の相補的核酸分子により結合可能である同一の核酸配列を含む。
【0108】
バーコードドメイン中の各位置は、同数の結合領域を含むことができる。バーコードドメイン中の少なくとも1つの位置が複数の結合領域を含むことができる。バーコードドメイン中の少なくとも1つの位置が別の位置よりも多い数の結合領域を含むことができる。
【0109】
少なくとも1つのプローブが、バーコードドメインに作用可能に連結された標的結合ドメインの多重コピーを含むことができる。
【0110】
各レポーター複合体は、第一の核酸分子に直接連結された相補的核酸分子を含む検出可能標識を含むことができる。各レポーター複合体は、核酸スペーサーを介して第一の核酸分子に間接的に連結された相補的核酸分子を含む検出可能標識を含むことができる。各レポーター複合体は、核酸スペーサーに類似した力学的性質を有するポリマースペーサーを介して第一の核酸分子に間接的に連結された相補的核酸分子を含む検出可能標識を含むことができる。各レポーター複合体は、開裂可能なリンカーを介して第一の核酸分子に間接的に連結された相補的核酸分子を含む検出可能標識を含むことができる。
【0111】
前記開裂可能なリンカーは、光開裂可能、化学的開裂可能および酵素的開裂可能なものから独立に選択することができる。各開裂可能なリンカーは他の全てのリンカーとは独立に開裂させることができる。光開裂可能リンカーは、アーク灯、レーザー、集束UV光源および発光ダイオードから成る群より選ばれた光源によって開裂させることができる。
【0112】
各第一の核酸分子は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6個の第二の核酸分子にハイブリダイズすることができる。
【0113】
前記1または複数の第二の核酸分子は、少なくとも1つの検出可能標識を含むことができる。各第二の核酸分子は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7個の第三の核酸分子にハイブリダイズすることができる。少なくとも1つの第二の核酸分子は、第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域を含むことができる。前記第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は、第一の核酸分子に直接連結されている相補的核酸分子のヌクレオチド配列を含むことができる。前記第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は、前記第二の核酸分子の末端に位置することができる。前記第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は、約8ヌクレオチドから約20ヌクレオチドを含むことができる。前記第一の核酸分子にハイブリダイズせずかつ第三の核酸分子にハイブリダイズしない領域は、約12ヌクレオチドを含むことができる。
【0114】
本開示は、本明細書に開示されるいずれかの方法を実施するための試薬を含むキットを提供する。
【0115】
上記観点および態様はいずれも、他の観点または態様のいずれとも組み合わせることができる。
【0116】
異なって定義されない限り、本明細書中で用いる全ての技術用語と科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0117】
本明細書中で用いる場合、異なって明記しない限り、ある単語の単数形はその単語の複数形も包含する。一例として、用語「ある」および「当該」(「a」、「an」および「the」)は単数形も複数形でも解釈され、用語「または」(「or」)は包括的であると解釈される。一例として、「或る要素」は1または複数の要素を意味する。
【0118】
明細書全体を通して、用語「含む」または「含有する」または「含んでなる」といった変形は、指摘した要素、整数もしくは工程の包含、または要素、整数もしくは工程の群の包含を意味するが、その他の要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の除外を意味するものではないと解釈されるだろう。
【0119】
「約」は指摘した値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%以内であると解釈することができる。特に明確に別記しない限り、本明細書中に提供される全ての数値は用語「約」により修飾される。
【0120】
本明細書に記載のものと類似のまたは等価の方法と材料が本発明の実施または試験において使用できるけれども、適当な方法と材料が下記に記載される。本明細書中に言及される全ての刊行物、特許出願、特許明細書および他の参考文献は、全内容が参考として組み込まれる。本明細書中に引用する参考文献は、本発明に対する先行技術であると承認するものではない。コンフリクトの場合、定義を含めて本明細書はコントロールするつもりである。加えて、材料、方法および実施例は単に例示的なものであって限定であるつもりではない。本発明の他の特徴と利点は下記に詳述する説明と特許請求の範囲から明白であろう。
【0121】
特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー作成図面を含む。本特許または特許出願公報の複写物は、請求と必要手数料の支払に応じて当局(省)により提供されるだろう。
【0122】
上記および追加の特徴は、添付の図面と併用すると下記の詳細な説明からより明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0123】
図1図1は、本発明の典型的プローブの概要を示す。
【0124】
図2図2は、本発明の典型的プローブの概要を示す。
【0125】
図3図3は、本発明の典型的プローブの概要を示す。
【0126】
図4図4は、本発明の典型的プローブの概要を示す。
【0127】
図5A図5Aは、本発明の方法の工程を説明する。
【0128】
図5B図5Bは、図5Aで始まる本発明の方法の工程を説明する。
【0129】
図5C図5Cは、図5Aで始まる本発明の方法の工程を説明する。
【0130】
図5D図5Dは、図5Aで始まる本発明の方法の工程を説明する。
【0131】
図6図6は、プローブと捕捉プローブが一緒に標的核酸に付加され、それにより三部分(tripartite)複合体を形成するという、1工程精製法の一例を説明する。前記三部分複合体は、捕捉プローブのアフィニティー試薬を介して基板に固定化することにより精製される。
【0132】
図7図7は、標的核酸に結合成分を含む捕捉プローブが付加され、次いで該結合成分を介して捕捉プローブ-標的核酸複合体が基板に固定化され、次いで該固定化された複合体にプローブが結合されるという、1段階精製法の一例を説明する。
【0133】
図8A図8Aは、多段階精製法の一例を説明する。ここで、標的核酸にアフィニティー試薬を含むプローブが結合され、次いで該プローブのアフィニティー試薬によってプローブ-標的核酸複合体が精製される(図示せず)。その後、前記複合体に結合成分を含む捕捉プローブが結合され、三部分複合体が形成される。最後に、前記捕捉プローブ結合成分を介して基板に固定化させることにより、前記三部分複合体が精製される。
【0134】
図8B図8Bは、多段階精製法の別の例を説明する。ここでは、標的核酸にアフィニティー試薬を含むプローブが結合され、次いで該プローブのアフィニティー試薬によってプローブ-標的核酸複合体が精製される(図示せず)。結合成分によって前もって基板に固定化されている捕捉プローブが、前記精製されたプローブ-標的核酸複合体を捕捉し、それによって精製・固定化された三成分複合体が形成される。
【0135】
図8C図8Cは、多段階精製法の別の例を説明する。ここでは、標的核酸にアフィニティー試薬を含むプローブが結合され、次いで該プローブのアフィニティー試薬によってプローブ-標的核酸複合体が精製される(図示せず)。その後、結合成分とアフィニティー試薬(このアフィニティー試薬は前記プローブ上のアフィニティー試薬とは異なる)を含む捕捉プローブが前記複合体に結合され、三成分複合体が形成される。捕捉プローブ上のアフィニティー試薬によって前記三成分複合体が精製される(図示せず)。最後に、精製された三成分複合体が前記捕捉プローブ上の結合成分を介して基板に固定化される。
【0136】
図8D図8Dは、多段階精製法の別の例を説明する。ここでは、標的核酸に結合成分とアフィニティー試薬とを含む捕捉プローブが結合され、次いで該捕捉プローブのアフィニティー試薬によって捕捉プローブ-標的核酸複合体が精製される(図示せず)。その後、前記複合体にプローブが結合されて三成分複合体が形成される。最後に、前記捕捉プローブの結合成分を介して基板に固定化することにより、前記三成分複合体が精製される。
【0137】
図8E図8Eは、多段階精製法の別の例を説明する。ここでは、標的核酸に結合成分とアフィニティー試薬とを含む捕捉プローブが結合され、次いで該捕捉プローブのアフィニティー試薬によって捕捉プローブ-標的核酸複合体が精製される(図示せず)。その後、前記複合体にアフィニティー試薬(このアフィニティー試薬は前記捕捉プローブ上のアフィニティー試薬とは異なる)を含むプローブが結合され、三成分複合体が形成される。前記プローブ上のアフィニティー試薬によって三成分複合体が精製される。最後に、前記精製された三成分複合体が、捕捉プローブ上の結合成分を介して基板に固定化される。
【0138】
図9A図9Aは本発明の方法の最初の工程を示す。
【0139】
図9B図9Bは、検出可能標識を含むレポーター複合体の図解を示す。
【0140】
図9C図9Cは、各々が検出可能標識を含む複数のレポーター複合体を示す。
【0141】
図9D図9Dは、図9Aで始まる方法の先の工程を示す。
【0142】
図9E図9Eは、図9Aで始まる方法の先の工程を示す。
【0143】
図9F図9Fは、図9Aで始まる方法の先の工程を示す。
【0144】
図10図10は、図9D図9Eに示した工程の別の図解とそれから得られた典型的データを示す。図示されたプローブの断片は、配列番号70の配列を有する。
【0145】
図11図11は、図10に示した方法の変形を示す。同様に図示されたプローブの断片は配列番号70の配列を有する。
【0146】
図12A図12Aは本発明のレポーター複合体の様々なデザインを示す。
【0147】
図12B図12Bは、図12Aに示したレポーター複合体から得られた蛍光カウントを示す。
【0148】
図12C図12Cは、本発明のレポーター複合体を構築するための典型的レシピを示す。
【0149】
図13A図13Aは、「エクストラ・ハンドル」を有するレポーター複合体の設計を示す。
【0150】
図13B図13Bは、「エクストラ・ハンドル」を有するレポーター複合体から得られた蛍光カウントを示す。
【0151】
図14A図14Aは、本発明のレポーター複合体の2つの典型的デザインのハイブリダイゼーション速度論を示す。
【0152】
図14B図14Bは、本発明のレポーター複合体の2つの典型的デザインのハイブリダイゼーション速度論を示す。
【0153】
図15A図15Aは、小型バーコードプローブデザインを表す。
【0154】
図15B図15Bは、プローブを低濃度で提供した時の本発明の方法により得られたデータを示す。
【0155】
図15C図15Cは、プローブを高濃度で提供した時の本発明の方法により得られたデータを示す。
【0156】
図16A図16Aは、複数の標的核酸が同時に検出される本発明の方法により得られたデータを示す。
【0157】
図16B図16Bは、本発明方法により得られたデータと検出可能標識を含むプローブを用いて得られたデータとを比較する。
【0158】
図17A図17Aは、特定のDNA標識のHyb&Count捕捉および検出を実証する。
【0159】
図17B図17Bは、100plex捕捉パネルにおける標的の検出を示す。
【0160】
図18図18は、多色レポーターの強度分布を示す。
【0161】
図19図19は、14クラスモデル(左)と10クラスモデル(右)についての誤り率を示す。
【0162】
図20図20は、2色レポータープローブの図解を示す。
【0163】
図21図21は核酸の標的指向捕捉のためのプローブハイブリダイゼーション・ワークフローを示す。
【0164】
図22図22は、ハプロタイプの長期フェージング解析に使用される核酸の標的指向捕捉を示す。
【0165】
図23図23は、開裂可能RPTRと事前複合体化したBCを使ったシーケンシングサイクルを説明する図面である。RPTRは検出可能標識と開裂可能リンカーを含む相補的核酸分子としても知られる。
【0166】
図24図24は、RPTR開裂および画像減算を使った、各RPTRの同定方法を説明する図面である。
【0167】
図25図25は、開裂可能RPTRプローブの作製の図面であり、開裂修飾の例を示す。
【0168】
図26図26は、ハイブリダイゼーションのインキュベーション時間を変動させそして画像表示の1視野当たりのカウントを用いて、単独のBCに比較したBC/RPTR複合体の相対的効率を決定し、次いで第二工程においてRPTRを結合した。使用するBCとRPTRは図27に示される。BC/RPTR複合体は単独のBCよりも遅い結合速度論を示すが、より長いインキュベーション時間では同様な結合効率を達成することができる。
【0169】
図27図27は、画像減算法を使ってRPTRのアイデンティティー(同一性)を決定することができることを示す。BRAFex15-BC3バーコードを開裂可能RPTRと事前複合体化し、そして1フルサイクル(全周期)処理した。画像の小部分から4つの特徴がハイライト表示され、各蛍光チャネルの変化が棒グラフに示される。まず最初にUSER酵素混合物〔ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)とDNAグリコシラーゼ-リアーゼ-エンドヌクレアーゼVIIIの混合物〕を使って、スポット3に結合したRPTR(sp3)について開裂を実施し、次いでUV光への暴露を使ってスポット1(sp1)について開裂を行った。スポット2に結合したRPTR(sp2)は開裂可能でなかった。
【0170】
図28図28は、開裂時のハーフカラーGY RPTRの検出および正確な同定を示す。BCを1つのUV開裂可能RPTRと2つの非開裂可能PRTRsと複合体化し、フローセルの表面上に固定化されたDNA標的にハイブリダイズさせた。単一RPTRを開裂させるためのUV暴露の前後にRPTRの蛍光強度を測定し、別のレポートの存在下でハーフカラー(すなわちフルカラーRPTRのGGの代わりにGY)が検出できる精度/範囲を決定した。
【0171】
図29図29は、図6との比較のための開裂時のフルカラーGY RPTRの検出および正確な同定を示す。BCを1つのUV開裂可能RPTRと2つの非開裂可能PRTRsと複合体化し、フローセルの表面上に固定化されたDNA標的にハイブリダイズさせた。単一RPTRを開裂させるためのUV暴露の前後にRPTRの蛍光強度を測定し、別のレポートの存在下でフルカラー(すなわちGG)が検出できる精度/範囲を決定した。
【発明を実施するための形態】
【0172】
本発明は、サンプル中の標的分子の正確で、迅速で、高感度のマルチプレックス検出、同定および定量を提供する、プローブ、方法、キットおよび装置を提供する。
サンプル中の1または複数の核酸を検出するためのプローブ
【0173】
本発明は、標的結合ドメインとバーコードドメインとを含むプローブに関する。標的結合ドメインとバーコードドメインは作用可能に連結されてもよく、例えば共有結合的に連結されてもよい。プローブは場合により、前記標的結合ドメインとバーコードドメインの間にスペーサーを含む。該スペーサーは、適当な力学的性質を有する任意のポリマー、例えば一本鎖または二本鎖DNAスペーサー(1~100ヌクレオチド、例えば2~50ヌクレオチドの)であることができる。二本鎖DNAスペーサーの非限定例としては配列番号25~配列番号29により包含される配列が挙げられる。バーコードドメインに含めることができる追加の典型的配列は、配列番号30~配列番号69に列挙される。
【0174】
本発明のプローブの非限定例は、図1~5に示される。
【0175】
図1は、本発明のプローブの図解である。この典型的プローブは、6ヌクレオチドの標的結合ドメインを有する。各プローブの標的結合ドメインは既知のヌクレオチド配列を有する。バーコードドメインは1または複数の結合領域を含み;図1では、6つの結合領域がある。第一の結合領域、第三の結合領域および第五の結合領域が指摘されている。第五(5番目)の位置は2つの結合領域を含む。バーコードドメイン上の各位置は、多重の結合領域を有することができる。例えば、1箇所の位置が1~50の結合領域を有してもよい。バーコードドメイン中の或る位置が別の位置よりも多くの結合領域を有してもよい(位置1~4および6に比較して位置5に示されるように)。あるいは、バーコードドメイン中の各位置が同数の結合領域を有する。図示していないが、各結合領域は、1つの相補的核酸分子(RNAまたはDNA)に可逆的に結合できる少なくとも1(すなわち1~50、例えば10~30)コピーの核酸配列を含む。図1では、結合領域はバーコードドメインを構成する直鎖状ポリヌクレオチド分子に不可欠である。結合位置の線形順序および/または位置の順次が、標的結合ドメインが結合する標的核酸の特定領域を同定する。
【0176】
図2は、本発明のプローブの図解である。この典型的プローブは、5ヌクレオチドの標的結合ドメインを有する。各プローブの標的結合ドメインは既知のヌクレオチド配列を有する。第一の結合領域が指摘されており;バーコードドメイン上の第一の位置が、バーコードドメインに結合されている2つの第一結合領域(不可欠でない)を含む。バーコードドメイン上の第四の位置(バーコードドメインの一部分と2つの第四の結合位置を含む)が丸で囲まれている。2つの第六の結合領域が指摘されている。ここでは、各位置が2つの結合領域を有するが、バーコードドメイン上の各位置が1つの結合領域を有してもよくまたは複数の結合領域、例えば2~50個の結合領域を有してもよい。図示していないが、各結合領域は、1つの相補的核酸分子(RNAまたはDNA)に可逆的に結合できる少なくとも1(すなわち1~50、例えば10~30)コピーの核酸配列を含む。図2では、バーコードドメインは結合領域がそれに連結/分岐する直鎖状ポリヌクレオチド分子であり;前記結合領域は該ポリヌクレオチド分子に不可欠ではない。結合位置の線形順序および/または位置の線形順序が、標的結合ドメインが結合する標的核酸の特定領域を同定する。
【0177】
図3は、本発明のプローブの別の図解である。この典型的プローブは、4ヌクレオチドの標的結合ドメインを有する。各位置には、その位置に連結しているおよび/またはその位置から分岐している3つの結合領域が示される。
【0178】
図4は、本発明のプローブの更に別の図解を示す。この典型的プローブは10ヌクレオチドの標的結合ドメインを有する。しかしながら、最初の6ヌクレオチドのみが、標的核酸に特異的である。7~10番目のヌクレオチド(「n1~n4」により示される)は標的結合ドメインの長さを増加させるために付加され、それによりプローブが標的核酸にハイブリダイズしかつハイブリダイズしたまま維持される尤度に影響を及ぼす。「n」ヌクレオチドは4種の正準塩基のいずれとも塩基対を形成できる普遍塩基〔例えばイノシン、2′-デオキシイノシン(ヒポキサンチンデオキシヌクレオチド)誘導体、ニトロインドール、ニトロアゾール類似体および疎水性芳香族非水素結合塩基)〕を有する。ある態様では、「n」ヌクレオチオドが、標的結合ドメインの特定ヌクレオチドの後に続くことができる。図4では、4つの「n」ヌクレオチドが示されている;しかし、標的結合ドメインは4つの「n」ヌクレオチドより多数または少数を含んでもよい。標的結合ドメインは「n」ヌクレオチドを欠いてもよい。第二の位置は、バーコードドメインの第二位置に連結されるおよび/または第二位置から分岐する6つの結合領域を含む。
【0179】
標的結合ドメインは少なくとも4ヌクレオチドを有し、例えば少なくとも、4,5,6,7,8,9,10,11,12またはそれより多数のヌクレオチドを有する。標的結合ドメインは10~100、20~160または35~50ヌクレオチドを含むことができる。標的結合ドメインは好ましくはポリヌクレオチドである。標的結合ドメインは標的核酸を結合することができる。
【0180】
プローブは、合成骨格に作用可能に連結された標的結合ドメインの多重コピーを含むことができる。
【0181】
プローブは、ハイブリダイゼーションおよび/または脱ハイブリダイゼーションの尤度およびそれらが生じる発生率を調整するためにデザインすることができる。一般に、プローブのTmが低ければ低いほど、より迅速にかつより多くの可能性でプローブが標的核酸から脱ハイブリダイズするだろう。よって、低Tmのプローブの使用が、標的核酸に結合するプローブの数を低減するだろう。
【0182】
標的結合ドメインの長さは、部分的に、標的核酸にハイブリダイズしかつハイブリダイズしたままに保持するプローブの尤度に影響を及ぼす。一般に、標的結合ドメインが長ければ長いほど(ヌクレオチド数が多いほど)、標的ヌクレオチド中に相補的配列が存在する確率が低いだろう。逆に、標的結合ドメインが短いほど、標的ヌクレオチド中に相補的核酸が存在する確率が大きいだろう。例えば、4マーの配列が標的核酸中に存在する確率は1/256であり、それに対し6マーの配列が標的核酸中に存在する確率は1/4096である。従って、より短鎖のプローブの集合のほうが、長鎖のプローブの集合に比べて、一定の長さの核酸あたりより多くの位置に結合しやすいだろう。
【0183】
用語「標的核酸」とは、サンプル中のその存在が本発明のプローブ、方法および装置により決定される予定である核酸分子(DNA、RNAまたはPNA)を意味する。一般に、「標的核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「核酸」、「核酸断片」、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は互いに交換可能に用いられ、そして例えばデオキシヌクレオチドかリボヌクレオチドのいずれかまたはその類似体の、様々な長さを有してよいポリマー形を包含するものであるが、それらに限定されない。核酸の非限定例としては、遺伝子、遺伝子断片、エキソン、イントロン、遺伝子間DNA(非限定的にヘテロクロマチンDNAを含む)、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、小分子干渉RNA(siRNA)、非コードRNA(ncRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、一定配列の単離DNA、一定配列の単離RNA、核酸プローブ、プライマーが挙げられる。
【0184】
ある特定の態様では、当該標的分子は染色体ではない。別の特定態様では、標的分子はサイズが1,000 kb(1 mb)以下、サイズが500 kb以下、サイズが250 kb以下、サイズが175 kb以下、サイズが100 kb以下、サイズが50 kb以下、サイズが20 kb以下、またはサイズが10 kb以下である。更に別の特定態様では、標的分子はそれの細胞環境から単離される。
【0185】
当該方法は、サンプル、例えば生物体からのサンプルから得られた、好ましくは変換(または増幅)工程を用いずに得られた核酸分子を同定し定量する。一例として、RNA同定法の場合、当該方法は、事前にRNA分子からDNA分子への変換を必要とせず(すなわちcDNAの合成を経ずに)RNAを同定することができる。大部分の場合、増幅も変換も必要としないので、本発明の核酸は、核酸がサンプル中に存在する時またはそれがサンプルから得られた時に、ユニーク塩基および/またはエピジェネティックマーカーを保持するだろう。そのようなユニーク塩基および/またはエピジェネティックマーカーは、当業界で既知の多くの方法では損失してしまう。
【0186】
標的核酸は、核酸の任意のサンプルまたは入手源、例えば任意の細胞、組織または生物体、インビトロ、化学合成装置などから得ることができる。標的核酸は任意の当業界で知られる方法により得ることができる。ある態様では、核酸は臨床被験者の血液サンプルから得ることができる。ある態様では、核酸は当業界で周知の方法とキットを使って源またはサンプルから抽出し、単離し、または精製することができる。
【0187】
当業者に理解されるように、サンプルは任意の数の物体、例えば非限定的に:事実上全ての生物体の、細胞(初代細胞と培養細胞系の両方を含む)、細胞溶解物または抽出物(非限定的にRNA抽出物、精製mRNAを含む)、組織および組織抽出物(非限定的にRNA抽出物、精製mRNAを含む);体液(非限定的に血液、尿、血清、リンパ、胆汁、脳脊髄液、間質液、房水または硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、膣および肛門分泌物、汗および精液、浸出液、滲出液(例えば膿瘍もしくは他の感染や炎症の部位から得られる液)または関節から得られる液(例えば正常な関節または関節リウマチ、変形性関節症、痛風または敗血症性関節炎といった疾病に罹患した関節)、ここで哺乳類のサンプルが好ましく、ヒトのサンプルが特に好ましく;環境試料(非限定的に空気、農産物、水および土壌サンプルを含む);生物(細菌)兵器試料;研究用試料、例えば細胞外液、細胞培養からの細胞外上清、細菌の封入体、細胞コンパートメント、細胞周辺質、ミトコンドリアコンパートメントを含むことができる。
【0188】
生体分子試料は、生物標本から間接的に誘導することができる。例えば、着目の標的分子が細胞転写物、例えばメッセンジャーRNAである場合、本発明の生体分子試料は、メッセンジャーRNAの逆転写により生産されたcDNAを含有する試料であることができる。別の例では、本発明の生体分子試料は、生物標本を分画にかけることにより、例えばサイズ分画または膜分画にかけることにより作製される。
【0189】
本発明の生体分子試料は、「生来の」、すなわち操作または処理を施していないもの、または「処理された」もの、例えば医薬品を含む候補薬剤への暴露、遺伝子操作(例えば遺伝子の付加または削除)をはじめとする任意の数の処理を含むことができる試料のいずれでもよい。
【0190】
標的核酸を含む核酸分子は、当業界で既知の任意手段により断片化することができる。好ましくは、断片化は酵素的または機械的手段により実施される。機械的手段は音波処理または物理的剪断であることができる。酵素的手段はヌクレアーゼ(例えばデオキシリボヌクレアーゼI(DNase I))または1もしくは複数の制限エンドヌクレアーゼでの消化により実施することができる。
【0191】
標的核酸を含む核酸分子が完全な染色体である場合、該染色体を断片にするのを回避するような工程を採用すべきである。
【0192】
標的核酸は、当業界で周知のように、天然型ヌクレオチド、または修飾ヌクレオチドを含む非天然型ヌクレオチドを含むことができる。
【0193】
本発明のプローブは、約20ナノメートルから約50ナノメートルの全長(標的結合ドメイン、バーコードドメインおよび任意のオプションドメイン)を有してもよい。プローブの骨格は約120ヌクレオチドを含むポリヌクレオチド分子であることができる。
【0194】
バーコードドメインは合成骨格を含む。合成骨格と標的結合ドメインは作用可能に連結され、例えば共有結合的に連結されるかまたはリンカーを介して連結される。合成骨格は任意の物質、例えば多糖、ポリヌクレオチド、ポリマー、プラスチック、ファイバー、ペプチド、ペプチド核酸、またはポリペプチドであることができる。好ましくは、合成骨格は剛体である。ある態様では、骨格は6つのDNA二重らせんの「DNAオリガミ」を含む(例えばLin他、Submicrometre geometrically encoded fluorescent barcodes self-assembled from DNA.”Nature Chemistry, 2012 10月, 4(10): 832-9参照)。バーコードはDNAオリガミタイル製であることができる(Jungmann他、“Multiplexed 3D cellular super-resolution imaging with DNA-PAINT and Exchange-PAINT”, Nature Methods, 第11巻, 第3号, 2014)。
【0195】
バーコードドメインは複数の位置、例えば1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれより多数の位置を含む。位置の数は、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数に対して少数、同数または多数であることができる。ある態様では、標的結合ドメインに、骨格ドメイン中の位置の数よりも追加したヌクレオチド、例えば1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれより多数の追加のヌクレオチドを含めることが好ましい。ある態様では、標的結合ドメインのヌクレオチドの数は、バーコードドメイン中の結合領域の数の少なくとも2倍である。追加の態様では、標的結合ドメイン中のヌクレオチドの数が8でありそしてバーコードドメイン中の結合領域の数が3である。上述した通り、少なくとも4つの位置のための十分なスペースがある限り、バーコードドメインの長さは限定されない。
【0196】
バーコードドメイン中の各位置は少なくとも1つの結合領域、例えば1~50またはそれ以上の結合領域を含む。バーコードドメイン中の或る位置が別の位置よりも多数の結合領域を有してもよい(例えば、第一の位置が3つの結合領域を有し、一方で第二の位置が2つの結合位置を有する);あるいは、バーコードドメイン中の各位置が同数の結合領域を有する。各結合領域は、相補的核酸分子(例えばDNAまたはRNA)により可逆的に結合可能である、少なくとも1(すなわち1~50、例えば10~30)コピー数の核酸配列を含む。
【0197】
各結合領域は、該結合領域が合成骨格から分岐するように合成骨格中の修飾型モノマー(例えば修飾ヌクレオチド)に連結させることができる。ある態様では、結合領域はポリヌクレオチド骨格に不可欠であり;すなわち、該骨格が単一のポリヌクレオチドでありそして結合領域が該単一ポリヌクレオチドの配列の一部分である。ある態様では、用語「バーコードドメイン」と「合成骨格」は同義語である。
【0198】
各プローブに関して、1つの位置における各結合領域のヌクレオチド配列は同一である。よって、該プローブ中、第一の位置における各々の第一結合領域は同じヌクレオチド配列を有する。同様に、第九の位置における各々の第九結合領域は同じヌクレオチド配列を有する。
【0199】
プローブにおいて、1つの位置にある各結合領域または複数の結合領域はユニーク配列を有するだろう。また、第一の位置の結合領域は第二の位置の結合領域とは異なる核酸配列を含むだろう。よって、第一の位置の結合領域中の核酸配列への、第二の位置の結合領域に特異的である相補的核酸分子の結合は全く起こらないだろう。また、第二の位置の結合領域への、第三の位置の結合領域に特異的である相補的核酸分子の結合は全く起こらないだろう。
【0200】
バーコードドメイン上の各位置は1または複数(50まで、好ましくは10~30)の結合領域を含むことができ;よって、各結合領域は1または複数(50まで、好ましくは10~30)の相補的核酸分子を結合することができる。ある態様では、バーコードドメイン中の少なくとも1つの位置が複数の結合領域を含む。別の態様では、バーコードドメイン中の少なくとも1つの位置が、別の位置よりも多数の結合領域を含む。一例として、図1に記載のプローブは2つの結合領域を含む第五の位置を有し、そして図4に記載のプローブは6つの結合領域を有する第二の位置を有する。一態様では、ある1つの位置の結合領域のヌクレオチド配列は同一である;よって、それらの結合領域に結合する相補的核酸分子は同一である。
【0201】
別の態様では、1つの位置の結合領域のヌクレオチド配列は同一でない;よって、それらの結合領域に結合する相補的核酸分子は同一でなく、例えば各々が異なる核酸配列および/または検出可能標識を含む。従って、別の態様では、結合領域に取り付けられた複数の非同一核酸分子(例えばそれらの検出可能標識)の組み合わせは、一緒になって標的核酸中の所定のヌクレオチドを同定するためのコード(暗号)を提供する。
【0202】
表1は、バーコードドメイン中に6以下の位置を有するプローブのための結合領域およびそれに結合する相補的核酸上の検出可能標識についての典型的配列を例示目的のみで提供する。
【0203】
【表1】
【0204】
表1に示される通り、第一の結合領域の核酸配列は配列番号1~配列番号4のうちの1つであることができ;第二の結合領域の核酸配列は配列番号5~配列番号8のうちの1つであることができ;そして第三の結合領域の核酸配列は配列番号9~配列番号12のうちの1つであることができる。
【0205】
表1は、所定の結合領域が4つの可能な検出可能標識を含む相補的核酸または検出可能標識を含むレポーター複合体の1つと結合することができることを示す。よって、第一の位置の結合領域が配列番号1を含むならば、第一の位置はGFPで標識することができ;あるいは、第一の位置の結合領域が配列番号2を含むならば、第一の位置はRFPで標識することができる。GFP、RFP、CFPおよびYFP以外の検出可能標識を使用してもよい。更に、結合領域のヌクレオチド配列は表1に列挙したものと異なってもよい。
【0206】
第一の位置の結合領域が配列番号1を含み、第二の位置の第二の結合領域が配列番号5を含み、そして第三の位置の第二の結合領域が配列番号9を含む場合、プローブはGFPで標識されている第一、第二および第三の位置を有するだろう。この3つの位置のGFPコード(すなわち検出可能標識の線形順序)は、プローブの標的結合部位により結合された標的核酸を同定する(例えばGATA3)。
【0207】
しかしながら、例えば、第一の位置の結合領域が配列番号1を含み、第二の位置の第二の結合領域が配列番号6を含み、そして第三の位置の第二の結合領域が配列番号12を含む場合、プローブはGFP、RFPおよびYFPのそれぞれで標的されている第一、第二および第三の位置を有するだろう。この3つの位置のGFP-RFP-YFPコード(すなわち検出可能標識の線形順序)が、プローブの標的結合部位により結合された標的核酸を同定する(例えばMafB)。総合して、各位置の結合領域の選択は、プローブ骨格が生成することのできる線形カラーコードを定義する;この線形コードは、標的結合ドメインの既知のヌクレオチド配列に相補的である特定標的核酸と関連付けられる。
【0208】
同様に、例えば、第一の位置の結合領域が配列番号1を含み、第二の位置の第二の結合領域が配列番号6を含み、そして第三の位置の第二の結合領域が配列番号11を含む場合、プローブはGFP、RFPおよびCFPでそれぞれ標識されている第一、第二および第三の位置を有するだろう。この3つの位置GFP-RFP-CFPコード(すなわち検出可能標識の線形順序)が、プローブの標的結合部位により結合された標的核酸を同定する(例えばFat3)。
【0209】
総合すると、GATA3、MafBおよびFat3にそれぞれ結合する3つのプローブを同時にサンプルに適用することができ、検出可能標識のそれらの線形順序の差によって、GATA3、MafBおよびFat3の各々の存在と量を検出することができる。
【0210】
一態様では、相補的核酸分子に検出可能標識が結合される。別の態様では、相補的核酸に検出可能標識を含むレポーター複合体が結合される。
【0211】
相補的核酸のヌクレオチド配列は限定されない;好ましくはそれは既知ヌクレオチド配列に対する実質的な相同性(例えば50%~99.9%)を欠いている;これは相補的核酸と標的核酸との望ましくないハイブリダイゼーションを回避するのに有用である。
【0212】
本発明に有用なレポーター複合体の一例は図9Bに示される。この例では、相補的核酸が第一の核酸分子に連結され(そこから分岐する)、次いで複数の第二の核酸分子にハイブリダイズされ、その各々が次いで1または複数の検出可能標識が取り付けられている複数の第三の核酸分子にハイブリダイズされる。
【0213】
一態様では、第一の核酸分子が約90ヌクレオチドを含むことができる。第二の核酸分子は約87ヌクレオチドを含むことができる。第三の核酸分子は約15ヌクレオチドを含むことができる。
【0214】
図9Cは典型的なレポーター複合体の母集団を示す。図9Cの左上のパネルには、プローブの結合領域1にハイブリダイズする4つの複合体が含まれる。プローブの標的結合ドメインのヌクレオチド位置1に存在することができるのは各々の可能なヌクレオチドについて1つの型のレポーター複合体である。
【0215】
レポーター複合体は様々なデザインのものであることができる。例えば、第一の核酸分子は少なくとも1つ(例えば1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上)の第二の核酸分子にハイブリダイズすることができる。各第二の核酸分子は少なくとも1つ(例えば1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上)の第三の核酸分子にハイブリダイズすることができる。典型的なレポーター複合体は図12Aに示される。図中、「4×3」レポーター複合体は、4つの第二核酸分子にハイブリダイズした1つの第一核酸分子(それは相補的核酸分子に連結されている/から分岐している)を有し、第二核酸分子の各々は3つの第三核酸分子(各々検出可能標識を含む)にハイブリダイズされている。この図では、複合体の各相補的核酸が12ヌクレオチドの長さ(「12塩基」)である;しかしながら、該相補的核酸の長さは非限定的であり、12ヌクレオチド未満であっても12ヌクレオチドより多くてもよい。右下の複合体は、相補的核酸と第一の核酸分子との間にスペーサー領域を含む。該スペーサーは長さが20~40ヌクレオチドとして同定される;しかしながら、スペーサーの長さは非限定的であり、20ヌクレオチドより短くても40ヌクレオチドより長くてもよい。
【0216】
図12Bは、図12Aに示された4つの典型的レポーター複合体から得られた変動平均(蛍光)カウントを示す。図12Bでは、10 pMのビオチン化標的鋳型をストレプトアビジンコーティングされたフローセル表面上に結合させ、10 nMのレポーター複合体をフローセル上を流動させた。1分間のインキュベーション後、フローセルを洗浄し、フローセルの画像を取得し、蛍光特徴をカウントした。
【0217】
一態様では、レポーター複合体は「事前作製」される。すなわち、該複合体をプローブと接触させる前に、該複合体中の各ポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる。5つの例示的レポーター複合体を事前作製するための代表的方策は図12Cに示される。
【0218】
図13Aは、第二の核酸分子が、第三核酸分子にハイブリダイズされずかつ第一の核酸分子に対して遠位である「エクストラハンドル」を有する。この図では、各々の「エクストラハンドル」は長さ12ヌクレオチド(「12マー」)である;しかしながら、それらの長さは非限定的であり、12ヌクレオチド未満であっても12ヌクレオチドより多くてもよい。一態様では、「エクストラハンドル」は各々相補的核酸のヌクレオチド配列を含み;よって、レポーター複合体が「エクストラハンドル」を含む場合、レポーター複合体は、該レポーター複合体の相補的核酸を介してまたは「エクストラハンドル」を介してプローブにハイブリダイズすることができる。従って、レポーター複合体がプローブに結合する尤度が増大する。「エクストラハンドル」デザインはハイブリダイゼーション速度論も改善することができる。理論に縛られずに、「エクストラハンドル」はレポーター複合体の相補的核酸の有効濃度を本質的に増加させる。
【0219】
図13Bは、図12Bに記載の手順を使って、「エクストラハンドル」を有する5つの典型的レポーター複合体から得られた変動平均(蛍光)カウントを示す。
【0220】
図14Aと14Bは、2つの例示的レポーター複合体についてのハイブリダイゼーション動態と蛍光強度を示す。約5分までに、総カウントはプラトー(水平状態)になり、添加された大部分のレポーター複合体が利用可能な標識を検出したことを示す。
【0221】
検出可能な成分、標識またはレポーターは、様々な方法で相補的核酸にまたは第三の核酸分子に結合することができ、例えば蛍光成分、比色成分等といった検出可能成分の直接的または間接的結合の形で結合することができる。検出可能標識は、各々が同一でも異なってもよい個別の発光スペクトルを有する複数の検出可能成分を含むことができる。例えば、検出可能標識は、各々が同一でも異なってもよい発光スペクトルを有する多重のフルオロフォアを含むことができる。当業者は、核酸を標識することに向けられた参考文献を参考にすることができる。蛍光成分の例としては、非限定的に、黄色蛍光タンパク質(YFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、時クロロトリアジニルアミンフルオレセイン、シアニン、ダンシルクロリド、フィコシアニン、フィコエリスリン等が挙げられる。蛍光標識並びにヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチドへのそれらの付着は、多数の概説書に記載されており、例えばHaugland, Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, 第9版 (Molecular Probes, Inc., Eugene, 2002); Keller & Manak, DNA Probes, 第2版 (Stockton Press, New York, 1993); Eckstein編;Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1991);およびWetmur, Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology, 26: 227-259 (1991)中に記載されている。本発明に適用できる特定の方法論は以下の参考文献の例に開示されている:米国特許第4,757,141号、同第5,151,507号および同第5,091,519号明細書。一観点では、例えば米国特許第5,188,934号(4,7-ジクロロフルオレセイン色素);同第5,366,860号(スペクトル分割可能なローダミン色素);同第5,847,162号(4,7-ジクロロローダミン色素);同第4,318,846号(エーテル置換フルオレセイン色素);同第5,800,996号(エネルギー転移色素);Lee他、同第5,066,580号(キサンチン色素);同第5,688,648号(エネルギー転移色素)等により開示されるように、1または複数の蛍光色素が標識標的配列のための標識として利用される。標的は次の特許および特許刊行物中に開示されるように、量子ドットを用いて実行することができる:米国特許6,322,901; 6,576,291;6,423,551; 6,251,303; 6,319,426; 6,426,513; 6,444,143; 5,990,479; 6,207,392; 2002/0045045;および2003/0017264。本明細書中で用いるとき、用語「蛍光標識」は、1または複数の分子の蛍光吸収および/または発光特性を通して情報を伝達するシグナル伝達成分を含む。そのような蛍光特性としては、蛍光強度、蛍光半減期、発光スペクトル特性、エネルギー転移等が挙げられる。さらなる非限定例では、蛍光標識が次のフルオロフォアの任意組み合わせを含むことができる:アレキサ-フルオル(登録商標)350(ALEXA FLUORTM 350), ALEXA FLUORTM 405, ALEXA FLUORTM 430, ALEXA FLUORTM 532, ALEXA FLUORTM 546, ALEXA FLUORTM 568, ALEXA FLUORTM 594およびALEXA FLUORTM 647。
【0222】
ヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチド配列中に容易に組み込むことができる市販の蛍光ヌクレオチド類似体としては、非限定的に、Cy3-dCTP, Cy3-dUTP, Cy5-dCTP, Cy5-dUTP (Amersham Biosciences, Piscataway, NJ), フルオレセイン-12-dUTP, テトラメチルローダミン-6-dUTP, テキサスレッド-5-dUTP(TEXAS REDTM-5-dUTP), カスケードブルー-7-dUTP(CASCADE BLUETM-7-dUTP), ボディピーFL-14-dUTP(BODIPYTM FL-14-dUTP),ボディピー R-14-dUTP(BODIPYTM R-14-dUTP),ボディピーTR-14-dUTP(BODIPYTM TR-14-dUTP), ローダミングリーンTM-5-dUTP(RHODAMINE GREENTM 5-dUTP), オレゴングリーンRTM 488-5-dUTP, テキサスレッド-12-dUTP(TEXAS REDTM-12-dUTP), ボディピー630/650-14-dUTP(BODIPYTM 630/650-14-dUTP),ボディピー650/665-14-dUTP(BODIPYTM 650/665-14-dUTP), アレキサ・フルオル(商標)488-5-dUTP(ALEXA FLUORTM 488-5-dUTP), ALEXA FLUORTM 532-5-dUTP, ALEXA FLUORTM 568-5-dUTP, ALEXA FLUORTM 594-5-dUTP, ALEXA FLUORTM 546-14-dUTP, フルオレセイン-12-UTP, テトラメチルローダミン-6-UTP, テキサスレッド-5-UTP(TEXAS REDTM-5-UTP), mCherry, カスケードブルー-7-UTP(CASCADE BLUETM-7-UTP), BODIPY TM FL-14-UTP, BODIPYTM R-14-UTP, BODIPYTM TR-14-UTP, ローダミングリーン-5-UTP(RHODAMINE GREENTM-5-UTP), アレキサ・フルオル(商標)488-5-UTP(ALEXA FLUORTM 488-5-UTP), ALEXA FLUORTM 546-14-UTP (Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)が挙げられる 。あるいは、上記フルオロフォアや本明細書中に言及されるものは、例えばホスホロアミダイト化学またはNHS化学を使ったオリゴヌクレオチド合成の間に添加することができる。別の蛍光団を有するヌクレオチドの常用合成プロトコールは当業界で既知である(Henegariu他 (2000) Nature Biotechnol. 18:345参照)。2-アミノプリンはその合成中にオリゴヌクレオチド配列中に直接組み込むことができる蛍光塩基である。核酸は、例えば挿入色素、例えばDAPI、YOYO-1、臭化エチジウム、シアニン色素(例えばSYBR Green)等で予め染色することもできる。
【0223】
合成後の取り付けに利用可能な別のフルオロフォアとしては、非限定的に、ALEXA FLUORTM 350, ALEXA FLUORTM 405, ALEXA FLUORTM 430, ALEXA FLUORTM 532, ALEXA FLUORTM 546, ALEXA FLUORTM 568, ALEXA FLUORTM 594, ALEXA FLUORTM 647, BODIPY 493/503, BODIPY FL, BODIPY R6G, BODIPY 530/550, BODIPY TMR, BODIPY 558/568, BODIPY 558/568, BODIPY 564/570, BODIPY 576/589, BODIPY 581/591, BODIPY TR, BODIPY 630/650, BODIPY 650/665, カスケードブルー、カスケードイエロー、ダンシル、リサミンローダミンB、マリナブルー、オレゴングリーン488, オレゴングリーン514, パシフィックブルー、パシフィックオレンジ、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes, Inc., Eugene, ORから入手可能), Cy2, Cy3, Cy3.5, Cy5, Cy5.5, Cy7 (Amersham Biosciences, Piscataway, NJから入手可能)等が挙げられる。FRETタンデム蛍光団も使用でき、例えば非限定的に、PerCP-Cy5.5, PE-Cy5, PE-Cy5.5, PE-Cy7, PE-Texas Red, APC-Cy7, PE-アレキサ色素 (610, 647, 680), APC-アレキサ色素等が挙げられる。
【0224】
蛍光標識されたヌクレオチドおよび/またはオリゴヌクレオチド配列からのシグナルを増強するために金属の銀または金粒子を使用してもよい(Lakowicz他(2003)Bio Techniques 34:62)。
【0225】
オリゴヌクレオチド配列に適当な他の適当な標識としては、フルオレセイン(FAM、FITC)、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、ダンシル、ビオチン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、ヘキサヒスチジン(6xHis)、リン含有-アミノ酸(例えばP-tyr、P-ser、P-thr)等が挙げられる。一態様では、次のハプテン/抗体ペアが検出に用いられ、ここで各抗体は検出可能標識:ビオチン/抗ビオチン、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)/抗DNP、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)/抗FAMにより誘導体化される。
【0226】
本明細書中に記載の検出可能標識はスペクトル分割可能である。複数の蛍光標識に関して用いられる「スペクトル分割可能」とは、標識の蛍光発光バンドが十分に異なること、すなわち十分に重複しないことを意味し、すなわち、各々の標識が取り付けられている分子タグが、標準的な光検出系、例えば米国特許第4,230,558号;同第4,811,218号など;またはWheeless他、Flow Cytometry: Instrumentation and Data Analysis (Academic Press, New York, 1985) 21-76頁中に記載される系により例示されるような、バンドパスフィルターと光増幅管の系を用いるもの等により、各々の標識から生じる蛍光シグナルに基づいて識別することができることを意味する。一態様では、スペクトル分割可能な有機色素、例えばフルオレセイン、ローダミン等は、その発光極大波長が少なくとも20 nm離れていることを意味し、そして別の観点では、少なくとも40 nm離れていることを意味する。
キレート化ランタニド化合物、量子ドット等の別の観点では、スペクトル分割可能とはその発光極大波長が少なくとも10 nm離れていることを意味し、そして別の観点では、少なくとも15 nm離れていることを意味する。
核酸の検出方法
【0227】
本発明は、本発明のプローブを使った核酸の検出方法に関する。該方法の例は図6~11に示される。
【0228】
当該方法は、本発明の少なくとも1つのプローブを、基材に固定化されている(例えば1,2,3,4,5,6,7,8,9,10またはそれ以上の位置で)標的核酸に可逆的にハイブリダイズすることを含む。
【0229】
前記基材は、標的核酸を固定化することができる、当業界で既知の任意の固体基材、例えば被覆スライドやマイクロ流体装置であることができる。ある態様では、該基材は表面、膜、ビーズ、多孔性材料、電極またはアレイである。標的核酸は当業者に明白な任意の基板上に固定化することができる。
【0230】
ある態様では、標的核酸は、該標的核酸の一部分に相補的であるドメインを含む捕捉プローブにより結合される。前記部分は標的核酸の末端であるかまたは末端の方でない部分であることができる。
【0231】
典型的な有用な基板としては、リガンド、抗原、糖類、核酸、レセプター、レクチンおよび抗体から成る群より選択された結合成分を含むものが挙げられる。捕捉プローブは前記基板の結合成分と結合することができる結合成分を含む。そのような表面は市販の源から得ることができまたは標準技術に従って調製される。反応性成分を含む典型的な有用な基板としては、非限定的に、エポキシ、アルデヒド、金、ヒドラジド、スルフヒドリル、NHS-エステル、アミン、チオール、カルボキシレート、マレイミド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、ヒドロキシル、ペンタフルオロフェニルエステル、ソラレン、ピリジルジスルヒドまたはビニルスルホン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロゲル、またはその混合物が挙げられる。反応性成分を含む典型的な有用な基材としては、非限定的に、OptArray-DNA NHS基(Accler8)、Nexterion Slide AL (Schott)およびNexterion Slide E (Schott)が挙げられる。
【0232】
一態様では、捕捉プローブの結合成分がビオチンであり、そして基板がアビジン(例えばストレプトアビジン)を含む。アビジンを含む有用な基板は市販されており、例えばTB0200 (Accelr8)、SAD6、SAD20、SAD100、SAD500、SAD2000 (Xantec)、SuperAvidin (Array-It)、ストレプトアビジンスライド(カタログ番号#MPC 000, Xenopore)およびストレプトアビジンスライド(STREPTAVIDINnslide) (カタログ番号#439003, Greiner Bio-one)を含む。
【0233】
ある態様では、捕捉プローブの結合成分がアビジン(例えばストレプトアビジン)でありそして基板がビオチンを含む。市販されているビオチン含有の有用な基板には、非限定的に、Optiarray-ビオチン(Accler8)、BD6, BD20, BD100, BD500およびBD2000 (Xantec)がある。
【0234】
ある態様では、捕捉プローブの結合成分は、光活性化により該基板に結合することができる反応性成分を含むことができる。該基板は光反応性成分を含むか、またはナノレポーターの第一の部分が光反応性成分を含んでもよい。光反応性成分の幾つかの例としては、アリールアジド、例えばN((2-ピリジルジチオ)エチル)-4-アジドサリチルアミド;フッ素化アリールアジド、例えば4-アジド-2,3,5,6-テトラフルオロ安息香酸;ベンゾフェノン型の試薬、例えば4-ベンゾイル安息香酸のスクシンイミジルエステル;および5-ブロモデオキシウリジンが挙げられる。
【0235】
ある態様では、捕捉プローブの結合成分が、当業者に明白な別の結合相手を介して前記基板に固定化させることができる。
【0236】
前記基板に結合させた後、標的核酸を伸展するのに十分な力(例えば重力、流体力、電磁力、「エレクトロストレッチング(電気的引き伸ばし)」、フローストレッチング(流れ引き伸ばし)、後退メニスカス技術およびそれらの組み合わせ)を適用することにより標的核酸を伸長することができる。
【0237】
標的核酸は、該標的核酸の第二の部分に相補的であるドメインを含む第二の捕捉プローブにより結合させることができる。その部分は標的核酸の末端でもよくまたは末端の方でなくてもよい。第二の捕捉プローブの結合は、標的核酸の伸長後にもしくは伸長中に起こることができ、または伸長されていない標的核酸に起こってもよい。第二の捕捉プローブは上述したような結合を有することができる。
【0238】
捕捉プローブは検出可能な標識を含むかまたはそれと関連付けられ、すなわち基準スポットに関連付けることができる。
【0239】
捕捉プローブはサンプルから標的核酸を単離することができる。この場合、捕捉プローブは標的核酸を含むサンプルに添加される。捕捉プローブは、標的核酸の一領域に相補的である捕捉プローブの領域を介して該標的核酸に結合する。前記標的核酸が捕捉プローブの結合成分に結合する成分を含む基板と接触すると、核酸が該基板に固定化された状態になる。
【0240】
ユーザーが高度に断片化したサンプルからできる限り多くの標的核酸分子を確実に「捕捉」できるようにするために、各々が標的核酸の異なる領域に相補的である、複数の捕捉プローブを含めることが有用である。例えば、標的核酸の領域に相補的である第一のプール、標的核酸の中間部の領域に相補的である第二のプール、およびそれの3′末端近くの領域である第三のプールという、3つのプールの捕捉プローブが存在してよい。これは標的核酸ごとに「着目のn領域(n-regions-of interest)」として一般化することができる。この例では、断片化した標的核酸の個別のプールが1つのビオチン標識を含むかまたはそれに結合されている。1/nthのインプットサンプル(ここでn=標的核酸中の異なる領域の数)が各プールチャンバーごとに単離される。捕捉プローブは着目の標的核酸を結合する。次いで標的核酸が補足プローブのビオチンを介して基板に付着されたアビジン分子に固定化される。場合により、例えば流動力または静電力により、標的核酸が引き伸ばされる。全てのnプールが同時にストレッチと結合を受けることができ、または完全にストレッチされた分子の数を最大にするために、プール1(5′領域の大部分を捕捉する)を最初にストレッチ・結合させ;次いでプール2(標的領域の中間部を捕捉する)をストレッチ・結合させ;最後にプール3をストレッチ・結合させることができる。
【0241】
必要とされる異なる捕捉プローブの数は、標的核酸断片のサイズに反比例する。言い換えれば、高度に断片化された標的核酸にはより多数の捕捉プローブが必要とされるだろう。高度に断片化され分解された標的核酸を有するサンプル種(例えばホルマリン固定パラフィン泡沫組織)の場合、捕捉プローブの多数のプールを含めることが有用である。他方で、長鎖の標的核酸断片を有するサンプル、例えばインビトロで得られた単離核酸の場合には、5′末端に単一の捕捉プローブで十分である。
【0242】
本発明のプローブまたは捕捉プローブは、各々が抗原、炭水化物、核酸、レセプター、レクチン、ハプテンおよび抗体から成る群より選択される、1または複数のアフィニティー試薬を含むことができる。該アフィニティー試薬は、プローブまたは捕捉プローブと標的核酸とにより形成された複合体の精製を可能にする。そのような精製は、検出すべき標的核酸の濃度を増加させる。
【0243】
ある態様では、アフィニティー試薬がビオチンであり、そして精製手段(例えば固体基板に結合)がアビジン(例えばストレプトアビジン)を含む。
【0244】
ある態様では、アフィニティー試薬がアビジン(例えばストレプトアビジン)であり、そして精製手段(例えば固体基板に結合)がビオチンを含む。
【0245】
ある態様では、アフィニティー試薬が既知の配列を有する核酸を含む。よって、該アフィニティー試薬を含むプローブまたは捕捉プローブは、該アフィニティー試薬に相補的な核酸を含む精製用プローブを使って、サンプルから精製することができる。同様に、該アフィニティー試薬を含むプローブまたは捕捉プローブを含む複合体も、該アフィニティー試薬に相補的な核酸を含む精製用プローブを使って、サンプルから精製することができる。同一の標的核酸に向けられたプローブまたは捕捉プローブのアフィニティー成分は、異なる核酸配列を有することができる。あるいは、同一の標的核酸に向けられたプローブのアフィニティー試薬と捕捉プローブのアフィニティー試薬は、同一の核酸配列を有してもよい。プローブの一母集団中の各プローブのアフィニティー試薬は同一の核酸配列を有してもよい。捕捉プローブの一母集団中の各プローブのアフィニティー試薬は同一の核酸配列を有してもよい。プローブの一母集団中の各プローブのアフィニティー試薬は異なる核酸配列を有してもよい。捕捉プローブの一母集団中の各プローブのアフィニティー試薬は異なる核酸配列を有してもよい。
【0246】
ある態様では、アフィニティー試薬がハプテンであり、精製手段(例えば固体基板に結合された)がタンパク質結合ドメイン(例えば抗体)を含む。
【0247】
図5Aは標的核酸に結合したプローブの図解である。ここでは、標的核酸がTCAGTGの配列を含む。プローブのバーコードドメインは、特定の線形カラーコードまたは「検出可能標識の線形順序」によって結合TCAGTGを特異的に同定する結合領域を有するようにデザインした。検出可能標識を含む相補的核酸またはレポーター複合体の第一プールが図の最上部に示され、該プールの各メンバーは異なるヌクレオチド配列と、関連付けられた検出可能標識(例えば緑色のカラー標識とシアンカラーの標識)とを有する。一例として、第一プールの核酸は表1の配列番号1~4に相補的な配列を有する。図5Aでは、プローブの第一の結合領域は、第一の位置がシアンカラー標識で標識されるはずであることを特定する1または複数のヌクレオチド配列を含む(例えば結合領域が表1の配列番号3を含む)。よって、第一の結合位置に特異的でありかつシアン標識を担持している相補的核酸だけが、図示したプローブのバーコードドメインの第一の位置に結合することができる。シアン標識は、結合した標的核酸を同定する線形カラーコードの中の最初の(第一の)カラーである。
【0248】
第一の位置に関連付けられた色が画像解析され、本発明の系において記録される。
【0249】
相補的核酸またはレポーター複合体のプールの数は、バーコードドメイン中の位置の数と同一である。よって、6位置を有するバーコードドメインの場合、該プローブ全体に6プールが循環されるだろう。
【0250】
標的核酸を含むサンプルに捕捉プローブが添加される時、最初にプローブを標的核酸に提供してもよい(図6参照)。そのようなプローブは、標的核酸に対する感受性と特異性を増加させるために異なる濃度、異なる緩衝液条件、例えば塩、および異なる温度で提供することができる。
【0251】
捕捉プローブとプローブは、多工程精製用のアフィニティー試薬を所有することができる(図7図8A~8E参照)。そのような精製を単独で使用することができまたは両末端から精製することができる。精製は標的捕捉の特異性と純度を増加させるだろう。
【0252】
プローブは、検出可能標識または検出可能標識を含むレポーター複合体を含んでなる相補的核酸を完全に欠損している標的核酸に最初に提供され結合させることができる。そのようなプローブは検出可能相補的核酸を含むプローブよりも小さいサイズであろう。そのようなプローブは検出可能標識を含むプローブよりも高濃度で提供することができる。そのような小プローブは標的核酸により迅速にかつ効率的に結合するだろう。従って、検出可能標識を含むプローブを使う場合よりも少ない時間分数でデータを提供する。
【0253】
あるいは、標的核酸をプローブと接触させる前に、プローブをその第一位置のところで検出可能標識またはレポーター複合体を含む相補的核酸にハイブリダイズさせることができる。その標的核酸と接触させた時、プローブはその第一位置から検出可能シグナルを放出することができるため、バーコードドメイン上のその第一位置に向けられる相補的核酸またはレポーター複合体の第一プールを提供することが不要である。
【0254】
図5Bは、図5Aに示した方法の続きである。ここで、バーコードドメインの第一位置の結合領域に結合された第一の相補的核酸(またはレポーター複合体)は、検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸と置き換えられている。検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸は、検出可能標識を含む既に結合した相補的核酸または既に結合したレポーター複合体と置き換わる。それにより、バーコードドメインの第一位置はもはや検出可能シグナルを発しない。
【0255】
検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸は、検出可能標識を含む既に結合した相補的核酸または既に結合したレポーター複合体と同一の配列を含むことができる(配列番号1~配列番号24)。好ましくは、検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸は、検出可能標識を含む以前に結合した相補的核酸または以前に結合したレポーター複合体よりも長鎖であるだろう。このため、該ハイブリダイジング核酸は、結合領域に隣接した一本鎖ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体に相補的である配列を更に含む。理論に縛られずに、検出可能標識を含む関連の相補的核酸よりも長鎖であるハイブリダイジング核酸は、バーコードドメインに対してより大きい親和性を有し、かつ検出可能標識を含む相補的核酸と容易に置き換わるだろう。関連の相補的核酸よりも長鎖であるそのようなハイブリダイジング核酸は図10図11に示される。
【0256】
ある態様では、検出可能標識またはレポーター複合体を含む相補的核酸は、結合領域から遊離させることができるが、検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸と置き換わることはできない。これは、例えば、カオトロピック剤の添加、温度の上昇、塩濃度の変更、pHの調整、および/または流体力の適用により行うことができる。これらの態様では、より少ない試薬類(即ち、検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸)が必要である。
【0257】
図5Cは、本発明方法の続きである。相補的核酸またはレポーター複合体の第二プールが最上部に示され(表1の配列番号5~8に相補的な配列を有する)、該プールの各メンバーは異なる検出可能標識と異なるヌクレオチド配列を有する。更に、第一プールの相補的核酸またはレポーター複合体の相補的核酸のヌクレオチド配列は、第二プールのそれらのヌクレオチド配列とは異なる。ここで、黄色の検出可能標識を含む第二プールからの相補的核酸のみが、バーコードドメインの第二の位置に結合する(例えば相補的核酸は表1の配列番号8に相補的な配列を有する)。
【0258】
第二の位置に関連付けられた色が本発明のシステムにおいて画像化され記録される。
【0259】
ある態様では、図5Cに示される工程が図5Bに示される工程の後に続く。ここで、相補的核酸またはレポーター複合体の第一プール(図5Aの)が、検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸と置き換えられ(図5B)、次いで相補的核酸またはレポーター複合体の第二プールが提供される(図5Cに示される通り)。あるいは、図5Cに示される工程が図5Bに示される工程と同時に行われる。その場合、検出可能標識を持たない第一のハイブリダイジング核酸(図5B)が相補的核酸またはレポーター複合体の第二プールと同時に提供される(図5Cに示される通り)。
【0260】
図5D図5Cに示される方法の続きである。ここでは、バーコードドメイン上の第一~第五の位置が、検出可能標識またはレポーター複合体を含む相補的核酸により結合され、それらの位置に関連付けられたカラー(色)が画像化され記録され、そして該相補的核酸が検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸と置き換えられた。現時点でバーコードドメインの第六の位置は検出可能標識またはレポーター複合体を含む相補的核酸によって結合されており、この事実は標的結合ドメイン中の第六の位置がグアニン(G)に結合していることを同定する。
【0261】
第六の位置に関連付けられたカラーが、本発明のシステムにおいて画像化され記録される。
【0262】
この点で、プローブ骨格の全線形カラーコード(即ち検出可能標識の線形順序)が検出され;次いでこの線形コードが標的結合ドメインの既知ヌクレオチド配列に相補的である特異的な標的核酸と関連付けられる。一例として、緑、シアン、赤、黄、黄、赤の線形カラーコードを発することができるプローブが、Fat2に結合することができる。よって、本発明のシステムは緑、シアン、赤、黄、黄、赤の線形カラーコードを記録するならば、ユーザーはサンプル中にFat2が存在していたことを知るだろう。
【0263】
プローブ骨格ドメインと関連付けられた各カラーが連続的に検出されるので、プローブ骨格を伸長して各カラー標識を識別し分割することはたぶん不要であろう。これは前世代の核酸検出用プローブを上回る利点である。
【0264】
上述した通り、検出可能標識またはレポーター複合体を含む相補的核酸は結合領域から遊離させることができるが、検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸と置き換わることはできない。
【0265】
必要ならば、検出可能標識の置換速度を促進する小分子一本鎖オリゴヌクレオチドを組み込むことにより、検出可能標識の置換速度を促進することができる(例えば「Toe-Hold(足掛かり)」プローブ;例えばSeeling他、”Catalyzed Relaxation of a Metastable DNA Fuel”, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128(37), 12211-12220を参照のこと)。
【0266】
図5A~5Dと同様、図9Aおよび9D~9Fは本発明の方法の工程を示す;しかしながら、図9Aと9D~9Fは、レポーター複合体(検出可能標識を含む)がプローブの結合領域に結合されることを明白に示す。図9Dと9Eは、レポーター複合体にハイブリダイズしたプローブから蛍光シグナルが連続的に発せられることを示す。
【0267】
図10は、図9Dと9Eに示した工程を要約する。この図の上部に、典型的なプローブのヌクレオチド配列が示され、プローブの重要なドメインが同定されている。該プローブは、その標的結合ドメインとバーコードドメインとの間に任意の二本鎖DNAスペーサーを含む。バーコードドメインは、順番に、「Flank 1」部分、「AR-1」部分、「AR-1/Flank 2」部分、「AR-2」部分、および「AR-2/Flank 3」部分を含む。Step 1では、「AR-1 Detect」がプローブの「AR-1」および「AR-1/Flank 2」部分にハイブリダイズする。「AR-1 Detect」は、第一位置のチミジンをコードする検出可能標識を含むレポーター複合体または相補的核酸に相当する。よって、Step 1は図9Dに相当する。Step 2では、「Lack 1」がプローブの「Flank 1」と「AR-1」部分にハイブリダイズする。「Lack 1」は、プローブの第一結合領域に特異的である検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸に相当する(図9Eにおいて第一結合領域をカバーする黒色バーとして示される)。レポーター複合体または相補的核酸の5′側にある「Flank 1」部分にハイブリダイズすることにより、ハイブリダイジング核酸は該プローブからレポーター複合体/相補的核酸と効率的に置き換わる。「Flank」部分は「Toe-Hold」としても知られる。Step 3では、「AR-2 Detect」がプローブの「AR-2」部分と「AR-2/Flank 3」部分にハイブリダイズする。「AR-2 Detect」は、第二位置のグアニンをコードする検出可能標識を含むレポーター複合体または相補的核酸に相当する。よって、Step 3は図9Eに該当する。この態様では、検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸と検出可能標識/レポーター複合体を含む相補的核酸が連続的に提供される。
【0268】
あるいは、検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸と、検出可能標識/レポーター複合体を含む相補的核酸とが同時に提供される。この代替的態様は図11に示される。Step 2では、「Lack 1」(検出可能標識を持たないハイブリダイジング核酸)が「AR-2 Detect」(第二位の「グアニン」をコードするレポーター複合体)と一緒に提供される。この代替的態様は、2ステップを1つに併合するため図10に要約される態様よりも時間効率が良いかもしれない。
【0269】
本開示の検出可能標識は、当該技術分野で既知の任意手段により検出することができる。例えば、検出可能標識は、顕微鏡、カメラ、マイクロプロセッサーおよび/またはコンピューターシステムの1つまたは複数を含むシステムにより検出することができる。一観点では、カメラがCCDカメラである。一観点では、顕微鏡、カメラおよびコンピューターシステムが相補型金属酸化膜半導体(CMOSチップ)を含むことができる。
複数の核酸のマルチプレックス検出
【0270】
ある態様では、複数の核酸が同時に検出され、すなわちマルチプレックス検出される。このため、1セットのまたは1群の異なるプローブが、固定化された核酸標的のサンプルに供給される。1セットまたは1群のプローブは、好ましくは少なくとも2つ、例えば3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,30,40,50,60,70,80,90, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000またはそれより多くの種類のプローブを包含する。
【0271】
1セットのプローブは、標的として向けられる細胞型または組織型に基づいて予め限定されたものであることができる。例えば、組織が乳癌である場合、プローブセットは、乳癌細胞に関連して発現される核酸(例えばHer2, EGFRおよびPR)に向けられたプローブおよび/または正常乳組織中で発現される核酸に向けられたプローブを含むだろう。その上、該プローブのセットは、標的として向けられる細胞または組織の発達状態に基づいて予め限定されたものであることができる。
【0272】
NanoString Technologies(登録商標)社のnCounter(登録商標)システムと方法は、多数の(800以上の)異なる標的タンパク質および/または標的核酸の同時マルチプレックス同定を可能にする。
定義:
【0273】
ある典型的態様では、本明細書中で用いる語「アニーリング」と「ハイブリダイゼーション」は、安定な二本鎖の形成を意味するために相互交換可能に用いられる。一観点では、安定な二本鎖とは、該二本鎖のTmより約5℃低いか約5℃高いかいずれかの温度、および低い一価塩濃度、例えば当業者に既知である塩濃度より0.2M低いか0.1M低い一価塩濃度のような条件下でのストリンジェント(緊縮)な洗浄により破壊されないことを意味する。二本鎖に関連して用いられる用語「完全に一致」とは、二本鎖を構成するポリペプチドおよび/またはオリゴヌクレオチド鎖が、各鎖の全ヌクレオチドが他方の鎖のヌクレオチドとワトソン・クリック塩基対合するように、互いと二本鎖構造を形成することを意味する。「二本鎖」という用語は、限定されないが、ヌクレオシド類似体、例えば使用することができるデオキシイノシン、2-アミノプリン塩基を有するヌクレオシド、PNAs等の対合を含む。2つのオリゴヌクレオチド間の二本鎖の「ミスマッチ」は、その二本鎖中のヌクレオチドペアがワトソン・クリック結合をすることができないことを意味する。
【0274】
本明細書中で用いるとき、「ハイブリダイゼーション条件」という用語は、典型的に約1M未満、より普通には約500 mM未満、更により普通には約200 mM未満の塩濃度を包含するだろう。ハイブリダイゼーション温度は5℃ほどの低温であることができるが、典型的には22℃より高温であり、更に典型的には約30℃より高温であり、しばしば約37℃を超える温度である。ハイブリダイゼーションは一般にストリンジェント条件、例えばプローブがその標的部分配列に特異的にハイブリダイズするような条件下で実施される。ストリンジェント条件は配列依存性であり、異なる周囲環境ごとに異なる。長鎖の断片の場合には特異的ハイブリダイゼーションのためにより高いハイブリダイゼーション温度が必要とされる場合がある。塩基組成や相補的配列の長さ、有機溶媒の存在および塩基のミスマッチ対合の程度をはじめとする他の要因もハイブリダイゼーションの緊縮性に影響を及ぼしうるので、パラメーターの組み合わせがいずれか1つ単独の絶対測定よりも重要である。
【0275】
一般に、ストリンジェント条件は、限定されたイオン強度とpHでの特定配列のTm値よりも約5℃低くなるように選択される。典型的なストリンジェント条件は、pH 7.0~8.3および少なくとも25℃の温度での少なくとも0.01 Mから1 M以下のNaイオン濃度(または他の塩)の塩濃度を包含する。例えば、5×SSPE(750 mM NaCl, 50 mM リン酸Na, 5 mM EDTA, pH 7.4)と25~30℃の温度の条件が対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適当である。ストリンジェント条件に関しては、例えば、Sambrook, Fritsche & Maniatis, ″Molecular Cloning A Laboratory Manual, 第2版″, Cold Spring Harbor Press (1989)およびAnderson Nucleic Acid Hybridization, 第1版, BIOS Scientific Publishers Limited (1999)を参照されたい。本明細書中で用いる用語「~に特異的にハイブリダイズする」または「特異的に~にハイブリダイズする」または同様な用語は、ある分子がストリンジェント条件下で1または複数の特定のヌクレオチド配列に実質的に結合し、二本鎖形成し、またはハイブリダイズすることを指す。
【0276】
プローブの特定の位置に関連付けられる検出可能標識は、1回または複数回「読み出す」(例えばその蛍光を検出する)ことができる;ここで「「読み出す」は「basecall」と同義であってよい。多重の読みが精度を改善する。
【0277】
本明細書中で用いるとき、「Hybe & seq cycle」は、特定のプローブまたはプローブ群の上の各々の結合領域を検出するのに必要とされる全ての工程を指す。例えば、1つの標的核酸上の6つの位置を検出することができるプローブの場合、1つの「hybe & seq cycle」は、少なくとも、該プローブを標的核酸にハイブリダイズさせ;該プローブのバーコードドメイン上の6か所の位置の各々のところでの結合領域に相補的核酸/レポーター複合体をハイブリダイズせしめ;そして6か所の位置の各々に関連付けられた検出可能標識を検出することを含むだろう。
【0278】
用語「k-merプローブ」は、本発明のプローブと同義語である。
【0279】
本明細書に記載の方法は、該方法を実装しそして/または結果を記録することのできる任意の装置を使って実装しそして/または結果を記録することができる。使用することのできる装置の例としては、非限定的に、全てのタイプのコンピューターを含む電子計算機器を包含する。本明細書に記載の方法が実装されそして/またはコンピューター中に記録される場合、当該方法の工程を実施するためにコンピューターを設定するのに用いられる該コンピュータープログラムは、該コンピュータープログラムを収容できる任意のコンピューター読み取り可能媒体の中に収容することができる。使用できるコンピューター読み取り可能媒体の例としては、限定されないが、ディスケット、CD-ROM、DVD、ROM、RAM、持続性読み取り可能媒体、並びに他のメモリーおよびコンピューター記憶装置が挙げられる。当該方法の工程を実行するためコンピューターを設定し、結合した標識核酸を同定し、そして/または結果を記録するのに使用できるコンピュータープログラムは、電子ネットワーク、例えばインターネット、イントラネットまたは他のネットワークを経由して提供することもできる。
【0280】
「消耗カード(Consumable Card)」は、技術の現状で既知の蛍光イメージング装置中に組み込むことができる。多種多様な特徴を有する任意の蛍光顕微鏡がこの読み出しを実施可能にする。たとえば:広視野ランプ、レーザー、多光子、共焦点または全反射照明を励起および/または検出に使用できる。フィルターまたは格子スペクトル分解能(一または複数のスペクトル分解される発光波長)のいずれかを有するカメラ(単眼または多眼カメラ)および/または光電子増倍管は、蛍光顕微鏡の発光検出チャネル上に置くことが可能である。標準的なコンピューターは、消耗カード(該カードを通して試薬が流れる)と蛍光顕微鏡による検出の両方を制御することができる。
【0281】
プローブは、市販のカートリッジ、ソフトウェア、システム、例えばnCounter(登録商標)カートリッジを使ったnCounter(登録商標)システムを使って検出し定量することができる。
【0282】
本発明に関連する追加の教示は1または複数の以下の刊行物中に記載されている:U.S. 8,148,512, U.S. 7,473,767, U.S. 7,919,237, U.S. 7,941,279, U.S. 8,415,102, U.S. 8,492,094, U.S. 8,519,115, U.S. 2009/0220978, U.S. 2009/0299640, U.S. 2010/0015607, U.S. 2010/0261026, U.S. 2011/0086774, U.S. 2011/0145176, U.S. 2011/0201515, U.S. 2011/0229888, U.S. 2013/0004482, U.S. 2013/0017971, U.S. 2013/0178372, U.S. 2013/0230851, U.S. 2013/0337444, U.S. 2013/0345161, U.S. 2014/0005067, U.S. 2014/0017688, U.S. 2014/0037620, U.S. 2014/0087959, U.S. 2014/0154681, U.S. 2014/0162251およびU.S. 14/946,386。その各々の全内容が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0283】
上記観点と態様のいずれも、本明細書の「概要および/または具体的記載」の項目中に開示されるような他の任意の観点または態様と組み合わせることができる。
【実施例
【0284】
実施例1:本発明は標的核酸の迅速かつ高効率の検出を提供する。
【0285】
図15A中、「小型バーコード」プローブは、30~50マーの範囲内にバーコード配列と標的検出配列を含んだ。「プローブB」は、特定の配列(30~50マー)と、表面への付着のためのビオチンを含む万能タグを有した。
【0286】
高濃度のプローブを提供し、標的核酸を含むサンプルに適用することができる。本発明のプローブは、検出可能標識を含むプローブよりも10倍から1000倍高い濃度で提供することができる。そのような高濃度プローブが、一つにおいて、標的核酸の迅速な検出を提供する要因である。
【0287】
図15Bではプローブは250ピコモル濃度(pM)で提供され、図15Cでは2.5ナノモル濃度(nM)で提供された。標準nCounterワークフローを使う別の実験では、検出可能標識を含むプローブが25 pMで提供された。図15Aでは、捕捉プローブが100 pMで提供され、図15Bでは捕捉プローブが2.5 nMで提供された。標準nCounterワークフローを使う別の実験では、検出可能標識を含む捕捉プローブは100 pMで提供された。図15Aと15Bは、標的核酸が10分後に検出できることを示す。それらの実験における有意な標的検出は、低濃度プローブでは約2時間で達成でき、高濃度プローブでは約30分以内に達成された(図16A)。標準nCounterワークフローを使う別の実験では、検出可能標識を含むプローブは、標的核酸を検出するのに約17.5時間を要した。
【0288】
図16Aでは、本発明のプローブと方法を使って4つの標的核酸を同時に検出した時の平均カウントを示す。ここでは、4つの標的核酸はMyc(緑)、Oazl(青)、RPL13A(オレンジ)およびTubB(赤)であった。プローブと捕捉プローブは2.5 nMで提供され、標的核酸は100 ngのヒト参照RNAであった。図16Bは、本発明方法が、プローブに検出可能標識を提供する方法(図面では「スプリント(Sprint)」と記載されている)よりも約9倍効率的である。これらの結果は、標準nCounterワークフローに比較して相当短い時間での効率の著しい増加を証明する。
実施例2:Hyb & Countに用いられるFFPE組織を処理するためのサンプル調製
【0289】
まず初めに、配列決定する予定の核酸を、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織から一段階法で抽出した。1または複数の厚さ10μmのFFPEカールを水性核酸抽出緩衝液中で加熱し、同時にパラフィンワックスを融解し、組織を分解し、細胞から核酸を遊離させた。適当な抽出緩衝液は当業界で知られており、典型的には、プロテイナーゼ、Triton-100のような洗剤、EDTAのようなキレート化剤、アンモニウムイオンがある。FFPEカールと抽出緩衝液を56℃で30分間インキュベートし、組織からパラフィンを分離させ、そしてプロテイナーゼKにより組織構造を消化し、包埋された細胞を洗剤に暴露して細胞溶解させた。該溶液を8分間隔で3回反転させ、組織の脱パラフィン化と消化工程の間の試薬の混合を促進した。この工程の後、溶液を98℃に加熱してホルムアルデヒド架橋の破壊(reversal)を促すことにより更に核酸の抽出を促した。
【0290】
いったん核酸がFFPE組織から抽出されたら、2.7μmの細孔径を有するガラス繊維フィルター(Whatman)を使って溶液をろ過し、組織破片と凝固したパラフィンを除去した。得られた溶液は、ホルマリン固定処理と貯蔵条件のために高度に断片化された核酸を含有する均一の半透明溶液であった。更に断片化が必要である場合には、Covaris集束超音波装置を使って機械的に剪断することができる。緩衝液条件のため、核酸を剪断するのに延長した超音波処理が必要であった。50ワット(W)の最高入射電力、20%の負荷係数、200サイクル/バーストの標準設定を使った音波処理を600秒間使用すると、捕捉される標的に最大増加が達成された(図示する通り)。より短い断片長を得るために、21,000×gと4℃での15分間の遠心分離により、ろ過溶液から乳化したパラフィンを沈殿させることができる。この処理は約225 bpまでDNAを剪断可能にする。
【0291】
次に、迅速ハイブリダイゼーション工程において捕捉プローブ対を標的に結合させることにより、標的捕捉を実施した。5′捕捉プローブは、標的付着工程において標的をストレプトアビジン被覆フローセル表面に結合させる3′ビオチン成分を含有する。3′捕捉プローブは、精製工程の間にビーズに結合することができる5′タグ配列(G配列)を含む。反応速度は捕捉プローブ濃度により指令され、該反応速度を最大にするためには低ナノモル範囲で捕捉プローブが添加される。捕捉プローブは、ウインドウを作製するための着目の領域に隣接するような方法で標的にハイブリダイズする。各DNA標的に対して、捕捉プローブは標的のアンチセンス鎖にハイブリダイズしかつ再アニーリングを防ぐようにウインドウと同じ配列から成るオリゴを更に含む。捕捉プローブを含有する溶液を98℃で3分間加熱してゲノムDNAを変性させ、次いで65℃で15分間インキュベートした。400 mM~600 mMの範囲のNaCl濃度をこのハイブリダイゼーション反応に使用した。実験検証した100以上の標的のパネルを表2に列挙し、そこに標的DNA領域の遺伝子とエキソンの詳細を示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0292】
標的DNA領域を捕捉プローブに結合させた後、それらをゲノムDNAの残部から精製して標的の濃縮溶液を得た。3′捕捉プローブの結合配列に対するアンチセンスオリゴ(抗G配列)がコーティングされたビーズを、捕捉反応混合物と共に室温で15分間インキュベートした。結合工程の後、該ビーズを0.1×SSPEで3回洗浄し、非標的DNAとビオチン含有5′捕捉プローブを除去した。洗浄の後、ビーズを14μLの0.1×SSPE中に再懸濁し、次いで45℃で10分間加熱してビーズから精製DNA標的を溶出させた。溶出後、1μLの5M NaClを添加し、確実に捕捉プローブがDNA標的に結合した状態を保持できるようにした。
【0293】
サンプル調製工程の最終工程はフローセル表面上へのDNA標的の付着であり、そこで本明細書に開示されるように本発明のプローブを使ってそれらのDNA標的を分析することができる。シリンジポンプを用いて、全ての標的がチャネルの高さを超えて拡散しかつストレプトアビジン表面に結合するための時間があるように、標的がフローセルの流体チャネルへとローディングされる速度を制御した。このローディング方法は標的の密度勾配を作り出し、該勾配は、単位面積当たりの分子の最大数が流体チャネル入口の所で最大となり、出口の方に向かう流体の流れ方向でのチャネル長さに沿って減少する。幅1.6 mmで高さ40μMのチャネルの場合、0.35μL/秒の流速が約10 mmのチャネル長さの中で定量的捕捉を達成する。標的がビオチン化5′捕捉プローブにより表面に結合されたら、3′捕捉プローブの結合配列の反転相補体であるビオチン化オリゴ(G-フック)の溶液を注入し、標的の遊離末端を突き止めて橋掛け構造を構築した。この場合、中央部のssDNA領域が着目のウインドウである。次に、G配列オリゴの溶液を添加して過剰のGフックにハイブリダイズさせ、表面上のssDNAの量を減少させた。
【0294】
濃縮されている標的を同定するために、パネル中の単一標的に特異的に結合できるような15マーのプローブを設計した。それらのプローブは、自身をユニークなバーコードオリゴに付着させることができる3′末端上のアダプター配列を使って合成した。各バーコードオリゴは、標的の同定用のレポータープローブに結合可能である3つのレポーター結合ドメインを含み、4色のレポーター化学要素を使って64プレックスの読み出しを可能にした。それらの同定プローブを流体チャネル中に注入し、1分間インキュベートし、標的にハイブリダイズさせた。その後、0.1×SSPEのストリンジェント洗浄を用いて未結合のオリゴと非特異的に結合したオリゴを除去した。3ラウンドのレポータープローブハイブリダイゼーションを使って、該標的のユニークバーコードに基づいて標的を同定した。標的特異的同定プローブの使用と、ゲノムの特定領域を捕捉するための二元捕捉プローブ系との組み合わせは、標的の濃縮と検出のための高特異的システムを提供する。図17Aは、3μgの精製済剪断gDNAから40種の標的のパネルが捕捉され列挙される特異性分析を表す。レーン1は、gDNAが存在しないレーン2に比較した、全ての捕捉プローブを一緒に用いたときの総合標的検出カウントを表す。該システムの特異性は、レーン3の青と黄色(B&Y)レポーターによりまたはレーン4の緑と赤色(G&R)レポーターにより検出される標的を濃縮する捕捉プローブのみを該システムに含めることにより確認された。
【0295】
このDNA抽出、捕捉および検出のワークフローを、3つのFFPE組織型:すなわち腱、肺および黒色腫に適用した。全ての組織型について、100プレックスの癌標的パネルの捕捉と検出は>95%が1-log均一性以内で同定される標識をもたらした。3つの組織型に渡るそれらの標識のカウントが図17Bに表示される。
実施例3:Hyb & Seqのための多色レポーター画像処理
【0296】
画像処理パイプラインは、次のステップを含む:バックグラウンド除去、登録、特徴検出および分類。バックグラウンド除去では、ある一定のチャネルの平均バックグラウンドがショットノイズと露光の関数である。本発明者らのシステムでは、青チャネルが、より大きい分散と連動した最高バックグラウンドレベルを有する。半径7ピクセルの円形構造要素を有する単純な最上層(tophat)フィルターを適用し、局所的バックグラウンド除去を実行した。
【0297】
登録には、着目の特徴が多色および多循環特徴分析用に完全に整列されることが必要不可欠である。このシステムは2つの形態の登録を必要とする。第一形態では、単一取得スタックの中の全ての画像チャネルに局所アフィン(疑似)変換を適用する。この変換は光学系の関数であり、故に所定の装置について一貫性がある(共通である)。この関数を各ランについて前もってコンピューター計算し、取得した全ての画像に適用する。第二の形態では、固定シフトの形のグローバル変換を、ランの間の機械的ガントリーのドリフトを捕捉する正規化相互相関分析を使ってコンピューター計算する。
【0298】
次の工程は特徴検出である。全ての画像が登録されたら、LoG(Laplace of Gaussian)フィルターによる整合フィルターを使って特徴を検出する。固定カーネルサイズ(特徴の回析限界に合わせる)および変動標準偏差(対応するチャネルの波長に合わせる)を使って整合させた該フィルターを適用し、スポット応答を強化した。極大値を用いて潜在的レポーター位置を同定した。同定された各特徴に関連付けられた強度値を、分類のために検索し読みだした。
【0299】
最終ステップは分類である。ガウスの単純ベイズ推定モデルを使って多色レポーター強度を分類した。このモデルは、レポーター強度が独立の正規分布に従うとを仮定する。次いでこのモデルは、下記のMAP(最大事後; maximum a posteriori)法則
【数1】
を使って、特定の特徴
【数2】
が、ある1つのクラス(Ck)に属する確率を計算する。
【0300】
レポートされた二重カラーコードの強度分布が図18に示される。この図は、2色の色素青と赤を使った解読方法を要約する。2色解読シナリオにおいて6クラス(バックグラウンドを含む)が可能である。実装システムにおいて、4色の選択は14の潜在的クラスをもたらした。単一のハーフ色素対フル色素分布との間にいくらか重複があることに注目すべきである。結果として、それらのクラス間の分類は、図19に示すように高い誤り率を与え、「xG」と「GG」の間の最大ミス分類率は11.8%であった。10クラスモデルでのミス分類率は0.2%未満であった。各レポーターは最大で8クラスを必要とするので、最小の分類誤差を有するものを選択することが簡単である。
【0301】
実施例4:2色レポータープローブの機能、設計、調製、および試験
【0302】
2色レポータープローブは該プローブのバーコードドメイン中の3領域(R1,R2,R3)に連続して結合する。各領域は、「青-青」または「緑-黄色」のような2色蛍光組み合わせにより定義される8種の「色(カラー)」をコードする。各プローブについて3連続「色」がレポートされ、それはその後、ヘキサマーを構成する3つのジヌクレオチドの読みに相当する。2色レポータープローブは次のように設計する:2色レポータープローブは、各色について15種の蛍光色素を保持するように設計された37 DNAオリゴマー分岐構造であり、レポータープローブあたり合計で30色素を有する。37のオリゴマーは3つのサイズに分類された:(1)1つの96 nt MainBranch(主鎖)は、後にヘキサマーのレポートに用いられる12マーの一本鎖DNA配列と、6つのSubBranches(副鎖)にハイブリダイズした6つの14マーの2部分から成る、(2) 6つの89 nt SubBranches(副鎖)の各々は、MainBranchにハイブリダイズした1つの14マーと、5つのDyeオリゴにハイブリダイズした5つの15マー反復配列とから成る;(3) 5つの15 nt Dyeオリゴは各々該オリゴの5′末端に1つの蛍光色素修飾を有する。
【0303】
2色レポータープローブの重大な設計特性の1つは、4つの異なる蛍光色素間で異なるSubBranchとDyeオリゴ配列を有することである。これは、異なる蛍光色素間で起こりうる「カラー・スワッピング(color-swapping)」または交差ハイブリダイゼーションを防止する。例えば、アレキサ488フルオロフォア(青色)に対する各15マーのDyeオリゴは、青色のSubBranchのみに相補的な配列に相当する。青のSubBranchは更に、MainBranch上の青の14マー配列にのみ相補的であって黄、赤または緑色配列には相補的でない別個の14マー配列を有する。従って、特定のMainBranchは、15プラス15の色素組み合わせのどれがそれを保持するだろうかを指示する特定の2色配列を有するだろう。
【0304】
2色レポータープローブの別の重要な設計特性は、次の点を満たさなければならないMainBranch上の12マー配列である:(1) R1, R2およびR3の間の異なる12マー配列;(2)高特異性を有する1領域当たり8つの異なるカラーをコードする;(3) 8つの異なるカラー間で高い結合効率と均一性;および(4)競合するtoehold配列からの全12マー配列の効率的除去。
【0305】
2色レポータープローブは次のようにして調製した。4つの蛍光色素(B=青、G=緑、Y=黄、R=赤)は10種の可能な2色組み合わせ(BB、BG、BR、BY,GG、GR、GY、RR、YR、YY)を作る。10個の2色組み合わせのうちの8個のみを、該プローブの3つのバーコードドメインの各々に用い、24種の異なるレポータープローブを生成した(8+8+8=24)。
【0306】
2色レポータープローブの調製は2連続のハイブリダイゼーション工程で行われた:(1) SubBranchへのDyeオリゴのハイブリダイゼーション;次いで(2) MainBranchへのDye+SubBranchのハイブリダイゼーション。100μMのSubBranchと600μMのDyeオリゴを4.2×SSPE緩衝液中で室温にて30分間混合することにより、4つの別々のDye-to-SubBranch反応液を調製した。次いで4.8×SSPE中の2μMのMainBranch、7.2μMのSubBranch+Dye 1、および7.2μMのSubBranch+Dye 2を別々に用いて24個のレポータープローブを調製した。それらの反応液を45℃で5分間維持し、次いで室温に30分間冷却した。24のDye+SubBranch-to-MainBranch反応液を、バーコードドメインに相当する3つの異なるプール(すなわちR1, R2, R3)に分けてプールした。例えば、R1バーコードドメインに結合する8つの異なる2色レポータープローブ(各2μM)を一緒にプールし、各レポータープローブ200 nMの最終作業濃度になるよう10倍希釈した。
【0307】
レポータープローブ調製後に品質保証のための標準試験を行う。3つのプールのレポータープローブの各々を、3つの別個のフローセル中で、それの対応するバーコード領域(すなわちR1, R2, R3)への結合について試験した。試験は、フローセル上にバーコードドメインのみが存在し固定化されている修飾プローブ構成物において実施した。すなわち、フローセル上にバーコードドメインのみが存在し固定化されている。各カラーを提示する8つの12マー全てがマルチプレックス(多重化)され、8つの2色レポータープローブ全てが高いカラーカウントで同定されると予想される。
【0308】
2色レポータープローブの図解が図20に示される。それらのプローブは核酸のターゲティング捕捉のための単純なプローブハイブリダイゼーション・ワークフローにおいて用いられる(図21に描写)。図22は、着目のハプロタイプを同定することにおける使用に関連したそれらのプローブの追加の能力を示す。
【0309】
実施例5:3つの2色レポータープローブおよび画像除去
【0310】
本実施例は、表面に固定された標的への結合前に、溶液中のシーケンス用プローブへの3つのレポーター複合体の事前ハイブリダイゼーションを例証する。溶液ハイブリダイゼーションは、表面ハイブリダイゼーションよりもずっと効率的であることが示され、シーケンス実験に有利に実施され、総サンプル対回答実行時間を大幅に減少させることができる。シーケンス用プローブからレポーターを連続的に開裂除去(化学的または光学的方法により)し、そして蛍光強度の低下を測定することにより、3つのレポーターの素性(アイデンティティー)を決定した。
【0311】
本開示は、フローセルの表面上に固定化されている標的分子への、各々が可能なヘキサマー配列である4096バーコード分子(BC)からなる1セットのうちの1つのハイブリダイゼーションを必要とし、ここで該バーコードドメインの領域は、検出可能標識を含む相補的核酸分子または検出可能標識を含むレポーター複合体の相補的核酸分子により結合されてもよいプローブとして本明細書中に記載されている。該バーコードの素性(アイデンティティー)、標的の中の関連付けられたヘキサマー配列は、3つの2色蛍光レポータープローブ(RPTR)の結合と読み出しを必要とし、該RPTRは検出可能標識を含む相補的核酸分子または検出可能標識を含むレポーター複合体の相補的核酸分子としても本明細書に記載されている。RPTRはフローセル中に流されてBCにハイブリダイズし、画像化され、各BC読み出しにつき3回のRPTRフローが必要である連続的方法でのtoe-holdingにより除去される。
【0312】
図23は、フローセル中に流す前のBCへの全3種のRPTRプローブのハイブリダイゼーションを示す。このBC/RPTR複合体は、BC/RPTR複合体の100%近くが正しく形成されるようにするために使用前に精製することができる。該BC/RPTR複合体を表面上の標的にハイブリダイズし、全6種のカラー(3つの2色RPTR)からの蛍光シグナルを含む画像を取得した。次いで該レポーターの1つを開裂させ、複合体から蛍光色素を遊離させた。開裂メカニズムは本明細書中により詳細に論じられている。次いで、4種の色(2つの2色RPTR)のみからの蛍光シグナルを含む第二の画像を取得した。
【0313】
図24に示される通り、損失したRPTRのアイデンティティーは、前記6色画像と前記4色画像との比較により得ることができる。次に、異なる開裂メカニズムを使って第二RPTRを除去し、2種の色(1つの2色RPTR)からの蛍光シグナルを含む第三の画像を取得した。同様に、開裂されたRPTRのアイデンティティーを、2色画像と4色画像との比較により測定した。残余蛍光シグナルは、第三RPTRがBCを一義的に同定すること、よってヘキサマー配列が標的中に存在することを示す。
【0314】
図25に示されるように、シーケンシングサイクルの最初の2回の読み出しに使われた開裂可能RPTRは、6つの「Sub-Branch」オリゴ(これは本明細書中第三の核酸分子としても記載される)にハイブリダイズした30個のDyedオリゴからなる、非開裂可能バージョンへと同様に構築され、それは最終的に「Main-Branch」オリゴ(これは本明細書中第二の核酸分子としても記載される)にハイブリダイズされる。それらのRPTRは、数個の開裂可能な修飾、例えば光開裂可能、化学的開裂可能および酵素的開裂可能な修飾のいずれかの1つまたは複数が、前記BCを結合する「Main Branch」の部分と「Sub-Branch」および色素を結合する部分との間に置かれている「Main Branch」オリゴを合成することにより開裂可能にされる。化学的開裂可能な修飾の例としはジスルフィド成分が挙げられる。酵素的開裂可能修飾の例としてはデオキシウラシル(dU)含有成分が挙げられる(これはNew England Biolabs社からの「USER」酵素を使って開裂可能である)。1シーケンシングサイクル内での2つのRPTRに用いられる開裂可能修飾は、連続的開裂を可能にするように異なっていなければならない。
【0315】
この方法の鍵となる特性と利点は次の通りである:(1) BC/RPTR複合体は、ハイブリゼーション中のより大きな制御を可能にするシーケンス実行に先立って調製することができる;(2)この方法は、(a) 確実に各BCが3つのRPTR全てを有するようにBC/RPTR複合体をHPLC精製できること、および(b)開裂効率がRPTRハイブリダイゼーションとtoeholdの効率よりも有意に高いことという理由で、一義的に同定されるBCの数を大幅に増加する能力を有する;(3) この方法は、(a)各RPTRがBCに結合するのにハイブリダイゼーション時間を必要としないこと、(b)RPTRシグナルを遊離させるための開裂速度論が、Toeholding(ハイブリダイゼーションに基づく)よりも有意に速いこと、および(c) それがずっと少ない試薬フローステップを必要とすること(現行法の14ステップに対して8ステップ、例えUV開裂可能リンカーを使った場合でもわずか6フローステップが必要である)という理由で、この方法はシーケンス実行時間の点でずっと速い。本方法は、より少ない画像の取得を必要とする(現行法の7画像に対して4画像、最後の水洗の暗画像を省略した場合でも、6画像に対して3画像)。
【0316】
単一のBC、UV開裂可能RPTR、デオキシウラシル(dU)含有RPTR(New England Biolabs社からの「USER」酵素混合物を使って開裂可能)および標準RPTRを使って、原理実験の確証を行った。それらの成分をBC/RPTR複合体中にハイブリダイズさせ、フローセル上に固定化された50マーの合成BRAFエキソン15標的配列にハイブリダイズさせた。まず完全なBC/RPTR複合体の第一画像を取得し、次いでUSER酵素で処理してdU含有RPTRを除去し、そして再度第二画像を取得することにより、スポットの素性(アイデンティティー)を決定した。次に、図27に示されるように、光開裂可能RPTRをUV光への暴露により開裂させ、第三の画像を取得した。それらの画像中の4つのクラスター化した特徴を処理し、それらの蛍光強度を測定し、そして単純な減法(サブトラクション)を行って3つのRPTRの素性を正確に同定した。
【0317】
このアプローチの主要な潜在的リスクは、BC/RPTR複合体のサイズと、表面に固定化された標的へのハイブリダイゼーション速度論の遅滞であった。単独のBCに比較したBC/RPTR複合体のサイズの増加は、実際、結合速度論を遅らせる;しかしながら、これは図26に示されるように、より長いインキュベーション時間を用いることで克服することができる。ここでのハイブリダイゼーション時間での損失は、他の工程における効率化と速度の削減により埋め合わせることができる(すなわち、RPTR hybの削除、画像処理工程での削減(単純化)、フロー工程での削減)。
【0318】
本発明者らは、この画像減算法を使って半色素-RPTRが検出できるかどうかも試験した。それらの色素は類似したシグナルを有するので、確実に同定することはずっと困難であるかもしれない。これを試験するために、図28図29に示すように、スポット1のRPTRだけが開裂可能である、多数の類似色RPTR(主として緑色と黄色)を有するバーコードのセットを調製した。スポット1 RPTRを開裂させるためのUV暴露の前後で画像を取得した。PPC-GYとPC-GGの両方が検出可能であり、損失した色素の数(例えば_YYGYに開裂されたGYYYGY RPTRは、その緑(G)の50%とその黄(Y)の25%を損失した)により予測されるものと同様な強度変化を生じた。一連の色素の色、クラスおよび関連配列を下記の表に示す。
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【配列表】
0007457457000001.app