(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】火災感知システム、及び火災感知プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/12 20060101AFI20240321BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240321BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G08B17/12 B
G08B17/00 C
G08B25/00 510M
(21)【出願番号】P 2019081240
(22)【出願日】2019-04-22
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉夫
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138477(JP,A)
【文献】特開2010-238028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を撮影した画像である監視領域画像に基づいて前記監視領域の火災を検出する火災感知システムであって、
前記監視領域画像に基づいて、前記火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と前記生成物の移動方向を特定し、
前記生成物存在領域の規模に基づいて、前記生成物存在領域を包含する領域を示す外形テンプレートを決定し、
前記生成物の移動方向に基づいて、前記生成物存在領域に対応する領域である生成物対応領域を決定し、
前記外形テンプレートと前記生成物対応領域の重複領域を検出基準テンプレートとして生成する
生成手段、を備え、
前記火災感知システムは、前記生成手段が生成した前記検出基準テンプレートと、前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する、
火災感知システム。
【請求項2】
前記生成手段は、前記外形テンプレート内の所定の点を端点とし、前記移動方向に対して所定の角度ずつ開いた2つの半直線により決定される領域を、前記生成物対応領域として決定する、
請求項1に記載の火災感知システム。
【請求項3】
監視領域を撮影した画像である監視領域画像に基づいて前記監視領域の火災を検出する火災感知プログラムであって、
火災感知システムを、
前記監視領域画像に基づいて、前記火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と前記生成物の移動方向を特定し、
前記生成物存在領域の規模に基づいて、前記生成物存在領域を包含する領域を示す外形テンプレートを決定し、
前記生成物の移動方向に基づいて、前記生成物存在領域に対応する領域である生成物対応領域を決定し、
前記外形テンプレートと前記生成物対応領域の重複領域を検出基準テンプレートとして生成する、
生成手段、として機能させ、
前記火災感知システムは、前記生成手段が生成した前記検出基準テンプレートと、前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する、
火災感知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知システム、及び火災感知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、煙が流入するチャンバを備えており、このチャンバに流入した煙の濃度を検出することにより、火災を検出する火災感知器が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の火災感知器においては、火災を検出するために火災感知器に到達した煙をチャンバ内に流入させる必要があったので、火源が遠い場合や風の影響で煙が火災感知器側に移動してこない場合には、火災の検出が遅れてしまう可能性があり、火災を迅速に検出する観点において改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、火災を迅速に検出することが可能な火災感知システム、及び火災感知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の火災感知システムは、監視領域を撮影した画像である監視領域画像に基づいて前記監視領域の火災を検出する火災感知システムであって、前記監視領域画像に基づいて、前記火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と前記生成物の移動方向を特定し、前記生成物存在領域の規模に基づいて、前記生成物存在領域を包含する領域を示す外形テンプレートを決定し、前記生成物の移動方向に基づいて、前記生成物存在領域に対応する領域である生成物対応領域を決定し、前記外形テンプレートと前記生成物対応領域の重複領域を検出基準テンプレートとして生成する生成手段、を備え、前記火災感知システムは、前記生成手段が生成した前記検出基準テンプレートと、前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する。
【0007】
また、請求項2に記載の火災感知システムは、請求項1に記載の火災感知システムにおいて、前記生成手段は、前記外形テンプレート内の所定の点を端点とし、前記移動方向に対して所定の角度ずつ開いた2つの半直線により決定される領域を、前記生成物対応領域として決定する。
【0009】
また、請求項3に記載の火災感知プログラムは、監視領域を撮影した画像である監視領域画像に基づいて前記監視領域の火災を検出する火災感知プログラムであって、火災感知システムを、前記監視領域画像に基づいて、前記火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と前記生成物の移動方向を特定し、前記生成物存在領域の規模に基づいて、前記生成物存在領域を包含する領域を示す外形テンプレートを決定し、前記生成物の移動方向に基づいて、前記生成物存在領域に対応する領域である生成物対応領域を決定し、前記外形テンプレートと前記生成物対応領域の重複領域を検出基準テンプレートとして生成する、生成手段、として機能させ、前記火災感知システムは、前記生成手段が生成した前記検出基準テンプレートと、前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の火災感知システムによれば、例えば、火災を迅速に検出することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の火災感知システムによれば、外形テンプレート内の所定の点を端点とし、移動方向に対して所定の角度ずつ開いた2つの半直線により決定される領域を、生成物対応領域として決定することにより、例えば、生成物である煙の特徴(例えば、上昇に伴い水平方向に広がると共に風等の影響で煙全体の流れ方向に広がり方が影響される等の特徴)を検出基準テンプレートに反映することができるので、火災を迅速且つ確実に検出することができる。
【0013】
請求項3に記載の火災感知プログラムによれば、例えば、火災を迅速に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係る監視領域に設置されている感知器の側面図である。
【
図4】重ね合わせ二値化候補領域画像を例示した図である。
【
図5】
図4の画像に対して外接矩形が図示された状態を例示した図である。
【
図7】外形テンプレート及び生成物対応領域を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る火災感知システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、火災感知システムに関するものである。
【0017】
ここで、「火災感知システム」とは、監視領域の火災を検出するシステムであり、具体的には、検出基準テンプレートと監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出するシステムであり、例えば、火災検出のための専用システム、あるいは、汎用システム対して火災検出機能を実装したシステム等を含む概念であり、一例としては、監視領域の火災を検出する機器である感知器等を含む概念である。この「火災感知システム」は、例えば、少なくとも撮影手段と、火災検出手段とを備える概念である。
【0018】
また、「監視領域」とは、火災感知システムによる監視の対象となっている領域であり、具体的には、一定の広がりを持った空間であって、屋内あるいは屋外の空間であって、例えば、建物の廊下、階段、又は部屋等の空間を含む概念である。また、「監視領域画像」とは、監視領域を撮影した画像である。また、「検出基準テンプレート」とは、火災を検出するために用いられるものであり、例えば、火災感知システムによって生成されるもの、あるいは、火災感知システムによって生成されずに予め当該火災感知システムに記録されているもの等を含む概念であり、一例としては、外形テンプレートと生成物対応領域の重複部分に対応する領域等を含む概念である。
【0019】
また、「撮影手段」とは、監視領域画像を撮影するものであり、例えば、単一の静止画を撮影するもの、複数の静止画を撮影するもの、あるいは、静止画を連続して撮影して動画を撮影するもの等を含む概念である。また、「火災検出手段」とは、検出基準テンプレートと、撮影手段が撮影した監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出するものである。
【0020】
そして、以下に示す実施の形態では、「火災感知システム」が「感知器」であり、「監視領域」が「建物の部屋」であり、「検出基準テンプレート」が「火災感知システムによって生成されるもの」であり、「撮影手段」が「動画を撮影するもの」である場合について説明する。
【0021】
(構成)
まず、本実施の形態に係る感知器の構成について説明する。
図1は、監視領域に設置されている感知器の側面図であり、
図2は、感知器のブロック図である。なお、
図1では、説明の便宜上、建物の部屋である監視領域において火災が発生し、火源から煙91が発生している状態を示している。また、以下の説明では、各図に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向であって、X方向及びY方向が鉛直方向(横方向)に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向(縦方向)と称し、+Z方向を上側(平面)と称し、-Z方向を下側(底面)と称して説明する。
【0022】
これら各図に示す感知器100は、火災感知システムであって、監視領域の火災を検出する機器であり、例えば、
図1に示すように、監視領域の天井面である設置面900に取り付けて用いられるものであり、火災の発生に伴う生成物である煙91を含む監視領域を撮影して火災を検出するものである。この感知器100は、例えば、
図2の撮影部11、警報部12、記録部13、及び制御部14を備える。
【0023】
(構成-撮影部)
図2の撮影部11は、監視領域の画像である監視領域画像を撮影する撮影手段であり、具体的には、静止画を連続して撮影することにより動画を撮影するものである。この撮影部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、
図1に示す2点鎖線で囲まれる撮影領域A11を撮影するように構成されていることとし、公知の撮像素子(例えば、CMOSイメージセンサー、CCDセンサー等)等を備えて構成することができる。なお、実際には、
図1の監視領域には、当該監視領域全体を監視できるように、感知器100と同様な構成の感知器が複数台設けられているが、ここでは、図示されている感知器100について着目して説明する。
【0024】
(構成-警報部)
図2の警報部12は、感知器100が火災を検出した場合に、警報を出力する警報手段である。この警報部12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、音声にて警報を出力するスピーカ、あるいは、発光表示にて警報を出力する表示灯等を備えるものである。
【0025】
(構成-記録部)
図2の記録部13は、感知器100の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash、ROM、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0026】
(構成-制御部)
図2の制御部14は、感知器100を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して感知器100にインストールされることで、制御部14の各部を実質的に構成する。
【0027】
この制御部14は、機能概念的に、生成部141、及び火災検出部142を備える。生成部141は、撮影部11が撮影した監視領域画像に基づいて、火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と生成物の移動方向を特定し、生成物存在領域の規模に基づいて、生成物存在領域を包含する領域を示す外形テンプレートを決定し、生成物の移動方向に基づいて、生成物存在領域に対応する領域である生成物対応領域を決定し、外形テンプレートと生成物対応領域の重複領域を検出基準テンプレートとして生成する生成手段である。また、火災検出部142は、火災を検出するための検出基準テンプレートと、撮影部11が撮影した監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出する火災検出手段であり、具体的には、生成部141が生成した検出基準テンプレートと、撮影部11が撮影した監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出するものである。なお、この制御部14の各部により行われる処理については、後述する。
【0028】
なお、「生成物」とは、火災の発生に伴うもので任意の対象であるが、ここでは例えば、火災の発生により生じる煙である場合を例示して説明する。「外形テンプレート」とは、生成物存在領域を包含する領域であり、任意の形状のものであるが、ここでは例えば、矩形形状である場合を例示して説明する。「生成物存在領域」とは、火災の発生に伴う生成物の存在する領域であり、具体的には、生成物が存在すると画像上で判定された領域であり、例えば、撮影部11が撮影した監視領域画像を元に処理された重ね合わせ二値化候補領域画像において生成物である実際に存在していると判定された領域等を含む概念である。「生成物対応領域」とは、生成物に対応する領域であり、生成物が存在することが想定される領域であり、ここでは例えば、煙が存在することが想定される領域である場合を例示して説明する。
【0029】
(処理)
次に、このように構成される感知器100によって実行される火災検出処理について説明する。
図3は、火災検出処理のフローチャートである。「火災検出処理」とは、監視領域の火災を検出する処理であり、例えば、監視領域画像を撮影して、撮影した監視領域画像に基づいて検出基準テンプレートを生成し、生成した検出基準テンプレートと前述の撮影した監視領域画像に基づいて火災を検出する処理である。この火災検出処理を実行するタイミングは任意であるが、例えば、撮影部11が毎秒30フレームにて監視領域画像を撮影することとし、この撮影間隔よりも長い任意の間隔である数秒毎に繰り返し起動されて実行するものとして、火災検出処理が起動されたところから説明する。なお、ここでは、例えば、
図1に示すように、火災が発生して煙91が発生している状態の監視領域を感知器100が撮影する場合を例示して、説明する。
【0030】
まず、
図3に示すように、SA1において撮影部11は、監視領域画像を撮影する。ここでの処理は任意であるが、具体的には、
図1の監視領域中の撮影領域A11の画像である監視領域画像を、連続的に撮影する。ここでは、例えば、
図1の煙91を含む撮影領域A11の画像である監視領域画像を、毎秒30フレームにて連続的に撮影する。
【0031】
図3に戻って、SA2において生成部141は、監視領域画像を前処理する。ここでの処理は任意であるが、少なくとも監視領域画像中に映り込んでいる煙と当該煙の背景とを識別可能にするための処理であり、具体的には、SA1で連続して撮影した監視領域画像を連続複数フレーム分取得し、取得した監視領域画像についてノイズ除去及び色補正を行うことにより、前処理を行う。なお、ここでのノイズ除去については、公知の手法を含む任意の手法を用いることができるものとする(色補正、後述の二値化、重ね合わせ、膨張・収縮処理も同様とする)。ここでは、例えば、
図1の煙91を含む撮影領域A11の画像である監視領域画像について、ノイズ除去及び色補正を行うことにより、前処理を行う。
【0032】
図3に戻って、SA3において生成部141は、候補領域の抽出等を行う。ここで、「候補領域」とは、監視領域画像中の領域であり、具体的には、火災を検出するために用いられる領域であり、例えば、監視領域画像中の一部の領域であって、火災の発生に伴う煙で有り得るものが映り込んでいる領域であり、一例としては、
図1の煙91が映り込んでいる領域である。
【0033】
ここでの処理は任意であるが、少なくとも監視領域画像中に映り込んでいる煙と当該煙の背景とを識別可能にするための処理であり、具体的には、まず、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像各々を参照して、移動平均等を考慮して時間経過により急激に変化している領域を含む所定の領域(例えば、監視領域画像全体のサイズよりも小さいサイズの領域)を候補領域として抽出した上で、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像各々における、当該抽出した候補領域に対応する領域を二値化することにより複数の二値化候補領域画像を生成する。なお、「二値化候補領域画像」とは、二値化された画像であり、具体的には、監視領域画像のうちの候補領域に対応する領域を二値化した画像であり、例えば、
図1の煙91の領域に対応する白色の画像と、当該煙91の領域以外の領域に対応する黒色の画像とを含むものである。次に、この生成された複数の二値化候補領域画像について、重ね合わせ、膨張・収縮処理等を行うことにより、重ね合わせ二値化候補領域画像を生成する。なお、「重ね合わせ二値化候補領域画像」とは、重ね合わせ等された画像であり、具体的には、複数の二値化候補領域画像について重ね合わせ、膨張・収縮処理等が行われた画像であり、例えば、1つの画像である。
図4は、重ね合わせ二値化候補領域画像を例示した図である。なお、
図4では、説明の便宜上、座標軸が図示されており、当該座標軸は、
図1の座標軸に対応しているものとして、以下説明する(後述する
図5~
図8も同様とする)。
【0034】
ここでは、例えば、
図1の煙91は時間経過により上昇するので、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像において、煙91の領域が急減に変化することになり、当該変化している領域を含む所定の領域を候補領域として抽出した上で、当該抽出した候補領域
に対応する二値化候補領域画像を複数生成し、生成した複数の二値化候補領域画像に基づいて、
図4の煙画像Im91に対応する領域に生成物である煙が存在するものと判定した上で、
図4に示すように、
図1の煙91の領域に対応する白色の煙画像Im91と、煙91以外の領域に対応する黒色の背景画像Im92とを含む重ね合わせ二値化候補領域画像を生成する。なお、例えば、この煙画像Im91が、「生成物存在領域」に対応する。
【0035】
図3に戻って、SA4において生成部141は、特徴量を特定して抽出する。ここで、「特徴量」とは、監視領域画像中の特徴的な物理量であり、具体的には、火災の検出に関連する特徴的な物理量であり、例えば、煙の移動方向及び生成物存在領域のである。ここでの手法は任意であるが、具体的には、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像、及びSA3にて生成した重ね合わせ二値化候補領域画像に基づいて、煙の移動方向及び生成物存在領域の規模を特定して抽出する。
【0036】
まず、煙の移動方向について詳細には、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像を取得し、取得したこの複数の監視領域画像各々における候補領域に対応する領域中から、ランダムに複数の点を特定し、時間経過に対するこの特定した複数の点各々の色の変化を特定し、特定した複数の点各々の色の変化に基づいて、オプティカルフローを算出し、算出したオプティカルフローを煙の移動方向として特定して抽出する。なお、「オプティカルフロー」とは、画像中の対象の移動を表す概念であり、例えば、煙の移動方向を表す概念である。ここでは、例えば、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像を取得し、取得したこの複数の監視領域画像各々における候補領域に対応する領域中から、ランダムに20個~30個の点を特定し、時間経過に対するこの特定した20個~30個の点各々の色の変化を特定し、各変化に関する演算(例えば、第1の点から第2の点に向かって色が変化した場合には、第1の点から第2の点に向かうベクトルを演算し、このような演算を前述の特定した複数の点に関して行って複数のベクトルを求めた後に、これらの複数のベクトルの合成等により向きを求める等の演算)を行って、
図4のY軸との間でなす角が角度An1となる矢印Ar1の方向をオプティカルフローとして算出し、この矢印Ar1が示す方向を煙の移動方向として特定して抽出する。
【0037】
また、生成物存在領域の規模について詳細には、SA3にて生成した重ね合わせ二値化候補領域画像を取得し、取得したこの重ね合わせ二値化候補領域画像において、煙の画像に対する外接矩形を生成し、生成した外接矩形の各辺の長さを計測し、計測した長辺の長さを生成物存在領域の規模として特定して抽出する。なお、ここでの外接矩形としては、基本的には重ね合わせ二値化候補領域画像のY軸と平行な2線分及びZ軸と平行な2線分により構成される矩形を用いる。なお、撮影部11の水平面への傾き等により、二値化候補領域画像に対して矩形を用いるようにしても良い。
図5は、
図4の画像に対して外接矩形が図示された状態を例示した図である。ここでは、例えば、SA3にて生成した
図4の二値化候補領域画像の煙画像Im91の外周部分に接した矩形である
図5の外接矩形を生成し、生成した
図5の外接矩形の各辺の長さを計測し、計測した各辺の長さを生成物存在領域の規模として特定して抽出する。なお、ここでは、外接矩形が正方形である場合、1辺の長さを特定して抽出してもよいし、また、外接矩形が長方形である場合、長辺又は短辺の何れか一方又はこれらの両方を特定して抽出してもよい。ここでは、例えば、
図5の外接矩形の長辺及び短辺の長さを抽出することとする。
【0038】
図3に戻って、SA5において生成部141は、検出基準テンプレートを生成する。
図6は、外形テンプレートを例示した図であり、
図7は、外形テンプレート及び生成物対応領域を例示した図であり、
図8は、検出基準テンプレートを例示した図である。ここでの手法は任意であるが、火災の煙に対応する検出基準テンプレートを生成するものであり、具体的には、SA4の処理結果に基づいて、
図6及び
図7の外形テンプレートIm921及び
図7の生成物対応領域Im911を生成することにより、
図8のハッチングされている検出基準テンプレートIm900を生成する。
【0039】
まず、外形テンプレートについて詳細には、SA4で特定して抽出した生成物存在領域の規模を取得し、取得した生成物存在領域の規模に対応する外形テンプレートを生成する。ここでは、例えば、SA4で特定して抽出した生成物存在領域の規模として、
図5の外接矩形の長辺及び短辺の長さを取得し、取得した当該各長さに基づいて
図5の外接矩形に対応する(つまり、煙画像Im91を包含する)
図6の外形テンプレートIm921を生成する。なお、ここでの外形テンプレートIm921の具体的なサイズや形状は前述の定義に従う限りにおいて任意であるが、例えば、
図5の外接矩形と同じ形状及びサイズを用いる場合について説明する。
【0040】
次に、生成物対応領域について詳細には、SA4で特定して抽出した煙の移動方向(例えば、
図4の矢印Ar1が示す方向)を取得し、取得した移動方向に対応して傾いている生成物対応領域を生成する。ここでは、例えば、
図7に示すように、外形テンプレートIm921中の基準点B1を基準にし、前述の取得した煙の移動方向である
図4の矢印Ar1が示す方向に伸びる基準線B2を生成し、基準点B1にて基準線B2を相互に同様な角度B3(例えば、予め定められた角度であり、15度~25度程度)ずつ開くとともに基準点B1を端とする2本の半直線B4により区切られて囲まれる領域の内、基準線B2を含む領域である生成物対応領域Im911を、外形テンプレートIm921に重畳して生成する。なお、「基準点」B1とは、外形テンプレートIm921中の点であり、具体的には、予め定められた点であり、例えば、監視領域における火源となり得る物の位置等を考慮して定められたものであって、一例としては、外形テンプレートIm921の縦方向(Z軸方向)における下側(-Z方向)寄りの位置であり、且つ、横方向(Y軸方向)における真ん中寄りの位置である。なお、
図7に示されている基準点B1の位置は説明の便宜上の記載であり、実際には、この図示されている位置に限らず、他の位置を基準点B1として処理するように構成してもよい。
【0041】
次に、検出基準テンプレートについて詳細には、前述の生成した外形テンプレートIm921及び生成物対応領域Im911が相互に重複する領域を特定し、特定した当該領域を
図8の検出基準テンプレートIm900として生成する。ここでは、例えば、
図8において、
図4の煙画像Im91の色と同色(ここでは、白色)の検出基準テンプレートIm900を生成する。
【0042】
図3に戻って、SA6において火災検出部142は、相関マッチングを行う。ここで、「相関マッチング」とは、2つの情報の相互間の一致の程度を演算する処理である。ここでの処理は任意であるが、具体的には、SA5で生成した検出基準テンプレート、及びSA3にて生成した複数の二値化候補領域画像(つまり、SA5で生成した検出基準テンプレートの生成の基となった複数の二値化候補領域画像)のうちの直近の二値化候補領域画像を取得し、取得した検出基準テンプレートに対する、取得した直近の二値化候補領域画像における
図1の煙91の領域に対応する白色の画像の一致の程度を演算する。ここでは、例えば、
図8の検出基準テンプレートIm900と、取得した直近の二値化候補領域画像における
図1の煙91の領域に対応する白色の画像とが相互にほぼ(例えば、90(%))一致している場合、90(%)を演算する場合について説明する。以下では、単位「%」については、省略する(後述する火災検出閾値も同様とする)。
【0043】
図3に戻って、SA7において火災検出部142は、火災の検出を行う。ここでの処理は任意であるが、具体的には、
図2の記録部13に火災検出閾値が格納されていることとして、説明する。なお、「火災検出閾値」とは、火災を検出するための閾値であり、具体的には、相関マッチングに関する一致の度合いであり、例えば、シミュレーション等に基づいて定められてユーザによって入力されて「85」が格納されていることとする。SA7の処理について詳細には、SA6で演算した一致の程度、及び記録部13の火災検出閾値を取得し、取得したこれらの情報を比較することにより、検出する。より詳細には、SA6で演算した一致の程度が火災検出閾値以上である場合には、火災を検出して、
図2の警報部12を介して警報を出力した後に、処理を終了する。また、SA6で演算した一致の程度が火災検出閾値未満である場合には、火災を検出せずに、処理を終了する。ここでは、例えば、SA6で「90」を演算した場合、当該「90」が火災検出閾値である「85」以上であるので、火災を検出して、警報部12の不図示スピーカから音声にて警報メッセージを出力したり、あるいは、警報部12の不図示の表示灯を点灯したりすることにより、警報を出力する。これにて、火災検出処理を終了する。
【0044】
(火災の検出及び非検出について)
前述したように、感知器100は、
図1の監視領域で火災の煙91が発生した場合には、きわめて高い一致の度合い(例えば、90)にて相関マッチングが行われて、火災を検出することになるが、一方、
図1の監視領域で例えば人や物が移動した場合にも、
図3の火災検出処理の各ステップが行われることになるが、この場合は、特に、SA5にて生成される検出基準テンプレートIm900が煙に対応するものであるのに対して、監視領域画像に煙が映り込んでおらず移動している人や物が映り込んでいるのみであるので、相関マッチングでの一致の度合い低下し、火災を検出しないことになる。このように、実際に火災が発生している場合に正確に火災を検出することが可能となる。
【0045】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、火災を検出するための検出基準テンプレートIm900と、撮影した監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出することにより、例えば、火災で発生した煙が到達するのを待たずに火災を検出することができるので、火災を迅速に検出することが可能となる。特に、検出基準テンプレートIm900を用いて火災を検出することができるので、例えば、検出基準テンプレートIm900と監視領域画像との比較等の比較的単純な処理にて火災を検出することができ、火災をより迅速に検出することができる。
【0046】
また、火災の発生に伴う生成物存在領域の規模と移動方向に基づいて検出基準テンプレートIm900を生成することにより、例えば、火災の発生に伴う生成物が煙であるような場合に、煙は所定領域の範囲に存在すると共に、移動方向として現れる風などの影響を受けた傾きが生じることが想定されるが、このような場合において煙が持つ特徴と検出した規模と移動方向に基づき煙が存在すると予測される領域を検出基準テンプレートIm900として生成するとともに、この検出基準テンプレートIm900と監視領域画像を比較することが可能となるので、火災の発生に伴う生成物として検出した領域が煙等の火災の発生に伴う生成物により生じる領域と同様な特徴を有するかどうかも含めて真に火災の発生に伴う生成物によるものかどうかを比較するので、火災を迅速且つ確実に検出することができる。
【0047】
また、外形テンプレート内の所定の点を端点とし、移動方向に対して所定の角度ずつ開いた2つの半直線により決定される領域を、生成物対応領域として決定することにより、例えば、生成物である煙の特徴(例えば、上昇に伴い水平方向に広がると共に風等の影響で煙全体の流れ方向に広がり方が影響される等の特徴)を検出基準テンプレートIm900に反映することができるので、火災を迅速且つ確実に検出することができる。
【0048】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0049】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0050】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0051】
(画像の色について)
また、上記実施の形態の
図3のSA3では、二値化候補領域画像及び重ね合わせ二値化候補領域画像について、
図1の煙91の領域に対応する白色の画像と、当該煙91の領域以外の領域に対応する黒色の画像にしたが、例えば、これらの色を入れ替えてもよい。また、例えば、
図1の煙91と監視領域の背景の色を取得し、取得したこれらの色に基づいて、
図1の煙91の領域に対応する画像の色、及び当該煙91の領域以外の領域に対応する画像の色を自動的に決定してもよい。また、例えば、3値化以上の多値化を行って全体の処理を行ってもよい。
【0052】
(検出基準テンプレートについて)
また、上記実施の形態の
図3のSA4では、SA2で前処理を行った複数の監視領域画像を用いて煙の移動方向を抽出したが、例えば、SA3で生成した複数の二値化候補領域画像を用いて煙の移動方向を抽出してもよい。
【0053】
また、上記実施の形態の
図3のSA4では、オプティカルフローを算出するために、ランダムに20個~30個の点を特定して処理したが、例えば、
図4の煙画像Im91の面積を演算し、演算した面積に応じた個数の点をランダムに特定した上で、オプティカルフローを算出してもよい。また、例えば、色の変化が所定の大きさよりも大きい点を特徴点として1つ以上を特定した上で、オプティカルフローを算出してもよい。
【0054】
また、上記実施の形態の
図3のSA4では、
図5の外接矩形の辺の長さを生成物存在領域の規模として抽出したが、例えば、外接矩形の面積、あるいは、長辺の長さ及び短辺の長さの比、又は煙画像Im91の面積を生成物存在領域の規模として抽出してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態の
図3のSA4では、
図7の生成物対応領域Im911の角度B3として、予め定められているものを用いたが、例えば、撮影した監視領域画像に基づいて煙の広がり角度を検出して、この検出した角度を角度B3として用いてもよい。
【0056】
また、別の方法として監視領域内に温度センサーを配置し、温度センサーの検出結果に応じて角度B3を変更するようにしても良い。煙画像は発熱量の上昇とともに鋭角になるため、例えば温度センサーの検出温度や所定時間内での温度上昇速度が所定以上となる場合は角度B3を鋭角にするなど、温度センサーで検出する温度や温度の上昇具合をもとに角度B3を変更するようにしても良い。
【0057】
また、上記実施の形態の
図3のSA4では、外接矩形を外形テンプレートとして決定したが、例えば外接矩形を所定の縮尺で縮小するようにしても良い。
【0058】
(相関マッチングについて(その1))
また、上記実施の形態の
図3のSA6では、SA5で生成した検出基準テンプレートと、直近の二値化候補領域画像との相関マッチングを行ったが、例えば、外形テンプレートIm921の検出基準テンプレートIm900以外の領域も対象にして直近の二値化候補領域画像との相関マッチングを行うようにしても良い。
【0059】
(相関マッチングについて)
また、上記実施の形態の
図3のSA6では、SA5で生成した検出基準テンプレートと、直近の二値化候補領域画像との相関マッチングを行ったが、例えば、検出基準テンプレートと、直近以外の二値化候補領域画像、SA1で取得した監視領域画像、SA2で前処理を行った監視領域画像、SA3で生成した重ね合わせ二値化候補領域画像、又は検出基準テンプレートを生成した後に撮影した監視領域画像との相関マッチングを行ってもよい。
【0060】
(形状について)
また、各画像(外接矩形を含む)又はテンプレート等の形状について、任意の形状(例えば、円形、楕円形、あるいは5角形等)に変更してもよい。
【0061】
(検出基準テンプレートの非生成について)
また、検出基準テンプレートを生成せずに、当該検出基準テンプレートを予め
図2の記録部13に記録しておき、この検出基準テンプレートと撮影部11が撮影した監視領域画像とに基づいて、火災を検出するように構成してもよい。この場合、生成部141を省略してもよい。
【0062】
(特徴について)
また、上記実施の形態の特徴及び変形例の特徴を任意に組み合わせてもよい。
【0063】
(付記)
付記1の火災感知システムは、監視領域を撮影した画像である監視領域画像に基づいて前記監視領域の火災を検出する火災感知システムであって、前記監視領域画像を撮影する撮影手段と、前記火災を検出するための検出基準テンプレートと、前記撮影手段が撮影した前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する火災検出手段と、を備える。
【0064】
付記2の火災感知システムは、付記1に記載の火災感知システムにおいて、前記撮影手段が撮影した前記監視領域画像に基づいて、前記火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と前記生成物の移動方向を特定し、前記生成物存在領域の規模に基づいて、前記生成物存在領域を包含する領域を示す外形テンプレートを決定し、前記生成物の移動方向に基づいて、前記生成物存在領域に対応する領域である生成物対応領域を決定し、前記外形テンプレートと前記生成物対応領域の重複領域を前記検出基準テンプレートとして生成する生成手段、を備え、前記火災検出手段は、前記生成手段が生成した前記検出基準テンプレートと、前記撮影手段が撮影した前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する。
【0065】
付記3の火災感知システムは、付記2に記載の火災感知システムにおいて、前記生成手段は、前記外形テンプレート内の所定の点を端点とし、前記移動方向に対して所定の角度ずつ開いた2つの半直線により決定される領域を、前記生成物対応領域として決定する。
【0066】
付記4の火災感知プログラムは、監視領域を撮影した画像である監視領域画像に基づいて前記監視領域の火災を検出する火災感知プログラムであって、コンピュータを、前記火災を検出するための検出基準テンプレートと、前記監視領域画像を撮影する撮影手段が撮影した前記監視領域画像とに基づいて、前記監視領域の火災を検出する火災検出手段、として機能させる。
【0067】
(付記の効果)
付記1に記載の火災感知システムによれば、火災を検出するための検出基準テンプレートと、撮影した監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出することにより、例えば、火災で発生した煙が到達するのを待たずに火災を検出することができるので、火災を迅速に検出することが可能となる。特に、検出基準テンプレートを用いて火災を検出することができるので、例えば、検出基準テンプレートと監視領域画像との比較等の比較的単純な処理にて火災を検出することができ、火災をより迅速に検出することができる。
【0068】
付記2に記載の火災感知システムによれば、火災の発生に伴う生成物の存在する領域である生成物存在領域の規模と生成物の移動方向に基づいて検出基準テンプレートを生成することにより、例えば、火災の発生に伴う生成物が煙であるような場合に、煙は所定領域の範囲に存在すると共に、移動方向として現れる風などの影響を受けた傾きが生じることが想定されるが、このような場合において煙が持つ特徴と検出した規模と移動方向に基づき煙が存在すると予測される領域を検出基準テンプレートとして生成するとともに、この検出基準テンプレートと監視領域画像を比較することが可能となるので、火災の発生に伴う生成物として検出した領域が煙等の火災の発生に伴う生成物により生じる領域と同様な特徴を有するかどうかも含めて真に火災の発生に伴う生成物によるものかどうかを比較するので、火災を迅速且つ確実に検出することができる。
【0069】
付記3に記載の火災感知システムによれば、外形テンプレート内の所定の点を端点とし、移動方向に対して所定の角度ずつ開いた2つの半直線により決定される領域を、生成物対応領域として決定することにより、例えば、生成物である煙の特徴(例えば、上昇に伴い水平方向に広がると共に風等の影響で煙全体の流れ方向に広がり方が影響される等の特徴)を検出基準テンプレートに反映することができるので、火災を迅速且つ確実に検出することができる。
【0070】
付記4に記載の火災感知プログラムによれば、火災を検出するための検出基準テンプレートと、撮影した監視領域画像とに基づいて、監視領域の火災を検出することにより、例えば、火災で発生した煙が到達するのを待たずに火災を検出することができるので、火災を迅速に検出することが可能となる。特に、検出基準テンプレートを用いて火災を検出することができるので、例えば、検出基準テンプレートと監視領域画像との比較等の比較的単純な処理にて火災を検出することができ、火災をより迅速に検出することができる。
【符号の説明】
【0071】
11 撮影部
12 警報部
13 記録部
14 制御部
91 煙
100 感知器
141 生成部
142 火災検出部
900 設置面
Ar1 矢印
A11 撮影領域
An1 角度
B1 基準点
B2 基準線
B3 角度
B4 半直線
Im91 煙画像
Im92 背景画像
Im900 検出基準テンプレート
Im911 生成物対応領域
Im921 外形テンプレート