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特許7457479トラブル対応補完装置、コンピュータプログラム、および精算用端末
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  • 特許-トラブル対応補完装置、コンピュータプログラム、および精算用端末 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】トラブル対応補完装置、コンピュータプログラム、および精算用端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240321BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20240321BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G06Q50/10
G07B15/00 M
G07F9/00 P
G07F9/00 107Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019192478
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021068137
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】尾形 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】正冨 泰寛
(72)【発明者】
【氏名】川島 正明
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-141675(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127592(WO,A1)
【文献】特開2010-033105(JP,A)
【文献】特開2013-045200(JP,A)
【文献】特開2015-023480(JP,A)
【文献】特開2003-281573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 15/00
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の精算用端末の操作に困ったユーザを遠隔にあるサポート端末にてサポートするためのトラブル対応補完装置であって、
前記の精算用端末のタッチパネルの画面データを受信する画面データ受信手段と、
前記の精算用端末から当該精算用端末を特定するための精算機IDを受信する精算機ID受信手段と、
その精算機ID受信手段が受信した精算機IDに対応する操作マニュアルを前記のサポート端末へ送信するマニュアル送信手段と、
前記の画面データ受信手段が受信した画像データを前記のサポート端末へ送信する画像データ送信手段と、
前記のサポート端末を操作するオペレータについて、サポートの経験値に関する情報を操作中のサポート端末に紐付けて蓄積しているオペレータデータベースと、
前記の精算機ID受信手段が受信した精算機IDおよび前記のオペレータデータベースにおけるサポートの経験値を用いて適切なオペレータを選択するオペレータ選択手段と、
を備え、
前記のオペレータデータベースには、精算機用端末における種類および設置場所に合わせたカスタマイズに対する経験値を含むこととし、
前記のサポート端末においては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と前記の操作マニュアルと前記の画像データとを一画面で出力させることとし、
前記のマニュアル送信手段および前記の画像データ送信手段は、前記のオペレータ選択手段が選択したオペレータの操作する端末へ操作マニュアルおよび画像データを送信することとした
トラブル対応補完装置。
【請求項2】
前記の画面データ受信手段および前記の画像データ送信手段は、前記の精算用端末とは物理的に別体であり、且つ、
前記のマニュアル送信手段を含む装置とも物理的に別体であることとした
請求項1に記載のトラブル対応補完装置。
【請求項3】
前記の精算機ID受信手段および前記のマニュアル送信手段を含む装置は、前記の精算用端末とは物理的に別体であり、且つ、
前記の画面データ受信手段および前記の画像データ送信手段とも物理的に別体であることとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載のトラブル対応補完装置。
【請求項4】
前記のサポート端末から入力された前記のユーザに対する指示用データを前記の精算用端末へ送信する指示用データ送信手段を備え、
前記の画面データ受信手段は、前記のユーザが前記の指示データに基づく操作をした後の画面データを受信することとした
請求項1から請求項3のいずれかに記載のトラブル対応補完装置。
【請求項5】
前記の画面データ受信手段は、前記のユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを受信することとし、
前記の画像データ送信手段は、前記の画面データ受信手段が受信した操作ログデータを前記のサポート端末へ送信することとした
請求項1から請求項4のいずれかに記載のトラブル対応補完装置。
【請求項6】
前記の画面データ受信手段または前記の精算機I D 受信手段は、前記のユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーからタイマーデータを受信することとし、
前記の画像データ送信手段またはマニュアル送信手段は、前記のタイマーデータを前記のサポート端末へ送信することとした
請求項1から請求項5のいずれかに記載のトラブル対応補完装置。
【請求項7】
前記の画面データ受信手段または前記の精算機I D 受信手段は、前記のユーザの顔を撮影するカメラから顔データを受信することとし、
前記の画像データ送信手段またはマニュアル送信手段は、前記の顔データを前記のサポート端末へ送信することとした
請求項1から請求項6のいずれかに記載のトラブル対応補完装置。
【請求項8】
駐車場の精算用端末の操作に困ったユーザを遠隔にあるサポート端末にてサポートするためのトラブル対応補完装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記の精算用端末のタッチパネルの画面データを受信する画面データ受信手順と、
前記の精算用端末から当該精算用端末を特定するための精算機IDを受信する精算機ID受信手順と、
その精算機ID受信手順にて受信した精算機IDに対応する操作マニュアルを前記のサポート端末へ送信するマニュアル送信手順と、
前記の画面データ受信手順にて受信した画像データを前記のサポート端末へ送信する画像データ送信手順と、
前記のサポート端末を操作するオペレータについて、サポートの経験値に関する情報を操作中のサポート端末に紐付けてオペレータデータベースに蓄積しているオペレータデータ蓄積手順と、
前記の精算機ID受信手順にて受信した精算機IDおよび前記のオペレータデータベースにおけるサポートの経験値を用いて適切なオペレータを選択するオペレータ選択手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとし、
前記のオペレータデータベースには、精算機用端末における種類および設置場所に合わせたカスタマイズに対する経験値を含むこととし、
前記のサポート端末においては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と前記の操作マニュアルと前記の画像データとを一画面で出力させることとし、
前記のマニュアル送信手順および前記の画像データ送信手順においては、前記のオペレータ選択手順にて選択したオペレータの操作する端末へ操作マニュアルおよび画像データを送信することとした
コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記のサポート端末から入力された前記のユーザに対する指示用データを前記の精算用端末へ送信する指示用データ送信手順と、
前記のユーザが前記の指示データに基づく操作をした後の画面データを受信する操作後画面データ受信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記のユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを受信する操作ログデータ受信手順と、
その操作ログデータ受信手順にて受信した操作ログデータを前記のサポート端末へ送信する操作ログデータ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記のユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーからタイマーデータを受信するタイマーデータ受信手順と、
そのタイマーデータ受信手順が受信したタイマーデータを前記のサポート端末へ送信するタイマーデータ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとした
請求項8から請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記のユーザの顔を撮影するカメラから顔データを受信する顔データ受信手順と、
その顔データ受信手順が受信した顔データを前記のサポート端末へ送信する顔データ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとした
請求項8から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
操作に困ったユーザを遠隔にあるサポート端末にてサポートするトラブル対応補完装置と通信可能な駐車場の精算用端末および前記のサポート端末を備えたトラブル対応補完システムであって、
前記の精算用端末は、
前記のトラブル対応補完装置への直通電話と、
ユーザによるタッチ操作が可能なタッチパネルと、
前記のトラブル対応補完装置へ当該精算用端末を特定するための精算機IDを送信する精算機ID送信手段と、
前記のトラブル対応補完装置へ当該精算用端末におけるタッチパネルの画面データを送信する画面データ送信手段と、
を備えるとともに、
前記の直通電話が前記のトラブル対応補完装置と通話可能な状態となった場合に、前記の精算機ID送信手段が精算機IDを送信することとするとともに、前記の画像データ送信手段がタッチパネルの画面データを送信することとし、
前記のサポート端末は、
前記の精算用端末のタッチパネルの画面データを受信する画面データ受信手段と、
前記の精算用端末から当該精算用端末を特定するための精算機IDを受信する精算機ID受信手段と、
その精算機ID受信手段が受信した精算機IDに対応する操作マニュアルを前記のサポート端末へ送信するマニュアル送信手段と、
前記の画面データ受信手段が受信した画像データを前記のサポート端末へ送信する画像データ送信手段と、
前記のサポート端末を操作するオペレータについて、サポートの経験値に関する情報を操作中のサポート端末に紐付けて蓄積しているオペレータデータベースと、
前記の精算機ID受信手段が受信した精算機IDおよび前記のオペレータデータベースにおけるサポートの経験値を用いて適切なオペレータを選択するオペレータ選択手段と、
を備え、
前記のオペレータデータベースには、精算機用端末における種類および設置場所に合わせたカスタマイズに対する経験値を含むこととし、
前記のサポート端末においては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と前記の操作マニュアルと前記の画像データとを一画面で出力させることとし、
前記のマニュアル送信手段および前記の画像データ送信手段は、前記のオペレータ選択手段が選択したオペレータの操作する端末へ操作マニュアルおよび画像データを送信することとした
トラブル対応補完システム。
【請求項14】
前記の精算用端末は、
紙幣投入ユニット、硬貨投入ユニット、磁気カードリーダ、返却物取出しユニット、および非接触リーダを備え、
前記のタッチパネルは、上部正面に配置し、
前記の紙幣投入ユニット、前記の硬貨投入ユニット、および前記の磁気カードリーダは、前記のタッチパネルの下方へ配置し、
前記の返却物取出しユニットは、前記の硬貨投入ユニット、および前記の磁気カードリーダの下方へ配置し、
前記の非接触リーダは、前記の紙幣投入ユニット、前記の硬貨投入ユニット、および前記の磁気カードリーダの位置と異なる高さへ配置することとした
請求項13に記載のトラブル対応補完システム
【請求項15】
前記の精算用端末は、
前記のトラブル対応補完装置から送信された指示用データを受信する指示用データ送信手段と、
その指示用データ送信手段が受信した指示用データを出力する指示用データ出力手段と、
を備えるとともに、
前記の画面データ送信手段は、前記のユーザが前記の指示データに基づく操作をした後の画面データを送信することとした
請求項13または請求項14のいずれかに記載のトラブル対応補完システム
【請求項16】
前記の精算用端末は、
前記のユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを蓄積する操作ログデータベースを備え、
前記の画像データ送信手段は、前記のトラブル対応補完装置へ前記の操作ログデータを送信することとした
請求項13から請求項15のいずれかに記載のトラブル対応補完システム
【請求項17】
前記の精算用端末は、
前記のユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーと、
そのタイマーが計測したタイマーデータを前記のトラブル対応補完装置へ送信するタイマーデータ送信手段と、
を備えた請求項13から請求項16のいずれかに記載のトラブル対応補完システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精算用端末(たとえば精算機)の操作が分からなくなったユーザに対して、遠隔でその操作を指示できる情報通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(精算業務の無人化と無人レジスタ)
精算業務の無人化は、自動販売機のような単純な小売りサービスは古くから存在する。近年では、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような多種多様な小売りサービスで、無人レジスタが導入され始めている。
無人レジスタは、商品に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダを備えている。そして、そのバーコードリーダへ買い物客が自ら、購入しようとする商品のバーコードを読み取らせ、購入代金の支払いを受け付ける。
【0003】
たとえば、駐車場提供サービスといった小売り以外のサービス業においても、サービス代金の精算は、無人精算機(精算用端末)を介することとする場合が増えている。
近年の精算用端末は、スピーカや液晶画面を備え、精算手順を音声や画面出力で説明する機器として進化しているものも多い。
【0004】
(無人化へのフォロー体制)
精算業務の無人化を完全とすることは、サービス提供者の理想ではある。しかし、説明の誤解、操作の誤り、想定外の事態発生など、トラブルをゼロにすることはできない。
小売業であれば、有人レジスタを併設することや、無人レジスタの操作補助をするスタッフを配置することで対応する場合が多い。
一方、駐車場提供サービスにおいては、コールセンターの配備およびコールセンター直通電話機の設置によって対応している。
【0005】
(コールセンターの配備)
商品そのものに対するサポートであれ、精算業務のサポートであれ、コールセンターというサービス体制は古くから存在している。
購入または貸し出された端末(コンピュータやスマートフォン)の操作方法が分からない、という場合に対応するコールセンター・サービスは、従来から存在する。
端末そのものが商品である場合は、コールセンター・サービスは端末の製造業者による商材に対する付加サービスである。
【0006】
特許文献1では、駐車場の設備コストや管理コストを低減させつつ、利用者が料金を精算する際の利便性を向上させ、また管理者側の料金回収の負担を低減可能な技術が開示されている。
【0007】
また、ポイント付与などのための会員証に付されたバーコードを読み取るバーコードリーダを備えた精算用端末が増えている。そうした精算用端末は、会員データを格納したホストコンピュータとの通信を前提としている。
特許文献2では、そうしたバーコードリーダ付きの精算用端末において、ホストコンピュータとの通信状態が悪くても、バーコードリーダを機能させるための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2018-10443号公報
【文献】特許第6488556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(端末操作者の混乱)
サービス代金の支払いを使用として精算用端末を操作する操作者(サービスユーザ)に対しては、前述したように、精算用端末が精算手順を音声や画面出力で説明する。しかし、サービスユーザの理解を超えてしまい、精算ができなくなることは少なくない。その原因としてまず考えられるのが、割引制度の多様化と、精算に伴う支払い方法の多様化である。
【0010】
割引制度の代表的なものとして「会員登録」があり、会員登録を済ませていることの前提として、会員証の提示、という手順がある。これが、前述したように、会員証に付されているバーコードを精算用端末に読み込ませる、という操作が必要となる。
【0011】
会員である場合の割引(ポイント加算を含む)の他、別の有料サービスとの組み合わせによる割引や、支払い方法の指定による割引など、割引制度は多様化するばかりである。多様化する割引制度を、精算用端末が自動または半自動で実行できればよいが、なかなか進まない。
【0012】
支払い方法の多様化とは、現金払いに加え、クレジットカード決済、電子マネー決済などが登場している。この支払い方法の多様化に対応するため、操作手順が複雑化することとなっている。
【0013】
(精算用端末の種類の増加)
電子マネーの新規参入が続いている現状、精算用端末はこれに対応することが望まれている。しかし、電子マネーの新規参入もあり、完全な即時対応は困難である。それが理由で、精算用端末そのものの種類が増えてしまっている。
【0014】
サービスユーザは、経験済みの精算用端末と異なる端末を操作することとなった場合、思いこみ、勘違いなども加わり、端末からの音声や画面での案内にも関わらず、誤った操作をしてしまうことがある。
【0015】
(コールセンター従事者の負担)
コールセンター従事者は、サービスユーザが置かれている現状把握をしなければ、トラブルに対応することはできない。しかし、精算手順のどの段階でトラブルになっているのか、ということをサービスユーザが上手く説明できない場合は多い。その結果、トラブル解消に多くの時間が費やされる場合が多い。
【0016】
精算用端末の種類が増えている現状では、コールセンター従事者は、スキル向上に時間が掛かることとなっている。コールセンター従事者が全ての端末のことを理解する、ということは事実上困難ともなっている。
【0017】
(サービス運営者における経営環境)
端末操作者が困っている場合を上手に処理できないと、サービス業務の顧客離れに繋がる。
コールセンターの仕事が増えることは、省力化に逆行することとなる。
コールセンター運営を採算の合う水準で有料化している場合を除き、コールセンター業務は収益を生まないため、サービス提供コストの上昇に直結し、経営状況を圧迫する。
更に、過大なストレスを抱えた従事者が増えてしまったら、離職者の増加につながるため、人的資源の損失ともなる。
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、精算用端末に対応するためのコールセンター・サービスにおいて、サービスユーザの負担軽減、およびコールセンター従事者の負担軽減に寄与する情報通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(第一の発明)
第一の発明は、精算用端末の操作に困ったユーザを遠隔にあるサポート端末にてサポートするためのトラブル対応補完装置に係る。
前記の精算用端末のタッチパネルの画面データを受信する画面データ受信手段と、
前記の精算用端末から当該精算用端末を特定するための精算機IDを受信する精算機ID受信手段と、
その精算機ID受信手段が受信した精算機IDに対応する操作マニュアルを前記のサポート端末へ送信するマニュアル送信手段と、
前記の画面データ受信手段が受信した画像データを前記のサポート端末へ送信する画像データ送信手段と、
を備える(図3参照)。
【0020】
(用語説明)
「精算用端末」とは、ホストコンピュータとのデータ通信が可能であるという意味での「端末」である。硬貨つり銭や領収書などの返却物を取り出すためのユニット、光学リーダおよび非接触通信によるリーダなどを備えている。加えて、精算しようとしているユーザからの入力と、ユーザへの何らかの指示等を実行する出力とが可能なタッチパネルを備えている。したがって、精算をしようとするユーザが精算に係る動作をタッチパネルに出力される指示に基づいたタッチ操作で進めることができる。
「精算用端末」の具体例としては、駐車料金の精算機、各種チケット(例えば搭乗券)の発券機、ATM(現金自動支払機)などである。
【0021】
(作用)
精算用端末のタッチパネルの画面データを、画面データ受信手段が受信する。精算用端末から当該精算用端末を特定するための精算機IDを、精算機ID受信手段が受信する。受信した精算機IDに対応する操作マニュアルを、前記のサポート端末へマニュアル送信手段が送信する。画像データを前記のサポート端末へ画像データ送信手段が送信する。
サポートをするためのサポート端末においては、精算機IDに対応する操作マニュアルと、サポートすべき精算用端末のタッチパネルの画面データとを受信している。よって、それらをサポート端末へ出力させることによって、サポート端末のオペレータは、精算用端末の操作に困ったユーザに対する円滑なサポートが可能となる。
【0022】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、 前記のサポート端末においては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と前記の操作マニュアルと前記の画像データとを一画面で出力させることとすると、より好ましい(図1参照)。
【0023】
(用語説明)
「メモ欄」とは、オペレータが自由に入力することができる欄であり、テキストデータが主な入力データとなる。具体的には、ユーザとの電話による通話での質問内容を要約して入力したり、質問内容に対する返答内容を入力したりする。
【0024】
(作用)
サポート端末においては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と前記の操作マニュアルと前記の画像データとを一画面で出力される。そのため、サポート端末のオペレータは、ユーザに対する円滑なサポートと、サポート記録などのメモ入力とを、同時に実行しやすい。また、メモ入力によるデータ集計や入電分析の正確性を向上させることにも寄与する。
【0025】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、サポート端末を操作するオペレータについて、サポートの経験値に関する情報を操作中のサポート端末に紐付けて蓄積しているオペレータデータベースと、
前記の精算機ID受信手段が受信した精算機IDおよび前記のオペレータデータベースを用いて適切なオペレータを選択するオペレータ選択手段と、
を備える。
そして、前記のマニュアル送信手段および前記の画像データ送信手段は、前記のオペレータ選択手段が選択したオペレータが操作する端末へ操作マニュアルおよび画像データを送信することとするのである(図3参照)。
【0026】
(用語説明)
「オペレータデータベース」は、オペレータ毎に、そのオペレータがどのような精算用端末に対するサポートの経験があるのか、その経験回数はどれくらいか、サポートに掛かった時間はそれぞれどの程度だったか、どの言語(日本語、英語、中国語、など)に対応可能か、といったデータが蓄積されている。
精算用端末には種類が多く、また、種類が同じでも設置場所に合わせたカスタマイズがなされることが少なくない。そうした状況を踏まえたデータベースを構築することが望ましい。
【0027】
(作用)
オペレータデータベースには、サポート端末を操作するオペレータについて、サポートの経験値に関する情報を操作中のサポート端末に紐付けて蓄積している。精算機ID受信手段が受信した精算機IDおよび前記のオペレータデータベースを用いることで、オペレータ選択手段は、適切なオペレータを選択する。
適切なオペレータが選択され、その選択されたオペレータが操作する端末へ操作マニュアルおよび画像データを送信ので、ユーザに対するサポート活動は円滑となることが期待できる。
【0028】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記の画面データ受信手段および前記の画像データ送信手段(たとえば、図1図2における「(駐車場)バック系システム」)は、前記の精算用端末とは物理的に別体であり、且つ、
前記のマニュアル送信手段を含む装置とも物理的に別体であることとするのである(図1参照)。
【0029】
画像データの送受信は負荷が大きい。そのため、精算用端末とも、マニュアル送信手段とも物理的に別体としたのである。このことで、負荷に対する増強(または削減)など、運用状況に合わせやすい。
なお、図中の「(駐車場)バック系システム」とは、バックオフィスシステムと同義である。すなわち、ここでの「バック系システム」とは、精算用端末を使うユーザに接する部門を支援するための間接的な業務、データ処理などを実行する。
【0030】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、 前記の精算機ID受信手段および前記のマニュアル送信手段を含む装置(たとえば、図1における「受電システム」)は、前記の精算用端末とは物理的に別体であり、且つ、 前記の画面データ受信手段および前記の画像データ送信手段とも物理的に別体であることとするのである(図1参照)。
ここで、「受電システム」として具体的に採用する技術は、CTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション=コンピュータと電話機、PBX(構内交換機)、ファックス、モデムなどの電話系装置を統合し、コールセンターやサポートセンターの情報機能を効率化するシステム)である。
【0031】
精算用端末の種類が多い場合、操作マニュアルの種類が多くなる。また、操作マニュアルの改訂が必要となる場合も多い。そうした事態に、マニュアル送信手段を含む装置が、精算用端末、画面データ受信手段および前記の画像データ送信手段のいずれとも別体で形成されていれば、運用や管理が実行しやすい。
【0032】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記のサポート端末から入力された前記のユーザに対する指示用データを前記の精算用端末へ送信する指示用データ送信手段を備え、
前記の画面データ受信手段は、前記のユーザが前記の指示データに基づく操作をした後の画面データを受信することとしてもよい(図8参照)。
【0033】
(用語説明)
「指示用データ」とは、オペレータが口頭で説明する電話による音声ではなく、タイプしたテキストデータや精算用端末の所定部分を点滅させるなどの信号といった各種デジタルデータである。
【0034】
(作用)
サポート端末から入力されたユーザに対する指示用データを、指示用データ送信手段が前記の精算用端末へ送信する。精算用端末の前にいるユーザは、指示データに基づいた操作を実行すれば、精算の終了に導かれる。
画面データ受信手段は、ユーザが指示データに基づく操作をした後の画面データを受信する。その画面データを取得することで、必要であれば、サポート端末において更なるサポート(たとえば更なる指示用データの送信)が可能である。
【0035】
(第一の発明のバリエーション6)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記の画面データ受信手段は、前記のユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを受信することとし、
前記の画像データ送信手段は、前記の画面データ受信手段が受信した操作ログデータを前記のサポート端末へ送信することとしてもよい(図10参照)。
【0036】
(作用)
ユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを、画面データ受信手段が受信する。画面データ受信手段が受信した操作ログデータを、画像データ送信手段がサポート端末へ送信する。サポート端末を操作するオペレータは、ユーザが操作した順序を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0037】
(第一の発明のバリエーション7)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記の画面データ受信手段または前記の精算機ID受信手段は、前記のユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーからタイマーデータを受信することとし、
前記の画像データ送信手段またはマニュアル送信手段は、前記のタイマーデータを前記のサポート端末へ送信することとしてもよい(図9参照)。
【0038】
(作用)
ユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーからタイマーデータを、画面データ受信手段または前記の精算機ID受信手段が受信する。受信したタイマーデータは、サポート端末へ送信される。サポート端末を操作するオペレータは、ユーザが操作を始めてからの時間を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0039】
(第一の発明のバリエーション8)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記の画面データ受信手段または前記の精算機ID受信手段は、前記のユーザの顔を撮影するカメラから顔データを受信することとし、 前記の画像データ送信手段またはマニュアル送信手段は、前記の顔データを前記のサポート端末へ送信することとしてもよい(図11参照)。
なお、サポート端末へ送信することとする「顔データ」は、カメラが撮影した画像データそのものとする場合の他、顔認証システムを介して画像データから得た性別および年齢層という性別年齢認証データのみとすることで、プライバシーを保護することとしても良い。
【0040】
(作用)
ユーザの顔を撮影するカメラから顔データを、画面データ受信手段または精算機ID受信手段が受信する。受信した顔データは、サポート端末へ送信される。サポート端末を操作するオペレータは、ユーザの顔データによって、男女の区別や代替の年齢などを把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0041】
(第二の発明)
第二の発明は、精算用端末の操作に困ったユーザを遠隔にあるサポート端末にてサポートするためのトラブル対応補完装置を制御するためのコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、前記の精算用端末のタッチパネルの画面データを受信する画面データ受信手順と、
前記の精算用端末から当該精算用端末を特定するための精算機IDを受信する精算機ID受信手順と、
その精算機ID受信手順にて受信した精算機IDに対応する操作マニュアルを前記のサポート端末へ送信するマニュアル送信手順と、
前記の画面データ受信手順にて受信した画像データを前記のサポート端末へ送信する画像データ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させる。
【0042】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記のサポート端末に対しては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と前記の操作マニュアルと前記の画像データとを一画面で出力させることとするのである。
【0043】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記のトラブル対応補完装置には、 サポート端末を操作するオペレータについて、サポートの経験値に関する情報を操作中のサポート端末に紐付けて蓄積しているオペレータデータベースを備えており、
前記の精算機ID受信手順にて受信した精算機IDおよび前記のオペレータデータベースを用いて適切なオペレータを選択するオペレータ選択手順を、前記のトラブル対応補完装置に実行させることとし、
前記のマニュアル送信手順および前記の画像データ送信手順においては、前記のオペレータ選択手順が選択したオペレータが操作する端末へ操作マニュアルおよび画像データを送信することとするのである。
【0044】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記のサポート端末から入力された前記のユーザに対する指示用データを前記の精算用端末へ送信する指示用データ送信手順と、
前記のユーザが前記の指示データに基づく操作をした後の画面データを受信する操作後画面データ受信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとするのである。
【0045】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記のユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを受信する操作ログデータ受信手順と、
その操作ログデータ受信手順にて受信した操作ログデータを前記のサポート端末へ送信する操作ログデータ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとするのである。
【0046】
(第二の発明のバリエーション5)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記のユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーからタイマーデータを受信するタイマーデータ受信手順と、
そのタイマーデータ受信手順が受信したタイマーデータを前記のサポート端末へ送信するタイマーデータ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとするのである。
【0047】
(第二の発明のバリエーション6)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記のユーザの顔を撮影するカメラから顔データを受信する顔データ受信手順と、
その顔データ受信手順が受信した顔データを前記のサポート端末へ送信する顔データ送信手順と、
を前記のトラブル対応補完装置に実行させることとするのである。
【0048】
(第二の発明の提供方法)
第二の発明に係るコンピュータプログラムは、インターネットを介して提供することが一般的であるが、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-R、CD-RW、MO(光磁気ディスク)、DVD-R、DVD-RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
【0049】
(第三の発明)
第三の発明は、第一の発明とのサブコンビネーションの関係となる発明であり、
操作に困ったユーザを遠隔にあるサポート端末にてサポートするトラブル対応補完装置(第一の発明)と通信可能な精算用端末に係る。
前記の精算用端末は、前記のトラブル対応補完装置への直通電話と、
前記のトラブル対応補完装置へ当該精算用端末を特定するための精算機IDを送信する精算機ID送信手段と、
前記のトラブル対応補完装置へ当該精算用端末におけるタッチパネルの画面データを送信する画面データ送信手段と、
を備える。
前記の直通電話が前記のトラブル対応補完装置と通話可能な状態となった場合に、前記の精算機ID送信手段が精算機IDを送信することとするとともに、前記の画像データ送信手段がタッチパネルの画面データを送信することとする(図2参照)。
【0050】
(作用)
精算用端末の操作に困ったユーザが直通電話の使用を開始する。すると、その直通電話がトラブル対応補完装置と通話可能な状態となり、精算機ID送信手段が精算機IDをトラブル対応補完装置へ送信する。また、当該精算用端末におけるタッチパネルの画面データを画面データ送信手段がトラブル対応補完装置へ送信する。
トラブル対応補完装置においては、直通電話を掛けているユーザとタッチパネルの画面データを共有できる(トラブル対応補完装置におけるオペレータがユーザと同じ画面を見ることができる)。そのため、精算機IDに対応したマニュアルデータと相まって、トラブルへの対応が円滑になる。
【0051】
(第三の発明のバリエーション1)
第三の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、タッチ操作が可能なタッチパネル(モニタ11)、紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)、磁気カードリーダ(14)、返却物取出しユニット(15)、および非接触リーダ(16)を備える。
前記のタッチパネル(11)は、上部正面に配置し、
前記の紙幣投入ユニット(12)、前記の硬貨投入ユニット(13)、および前記の磁気カードリーダ(14)は、前記のタッチパネル(11)の下方へ配置し、
前記の返却物取出しユニット(15)は、前記の硬貨投入ユニット(13)、および前記の磁気カードリーダ(14(の下方へ配置し、
前記の非接触リーダ(16)は、前記の紙幣投入ユニット(12)、前記の硬貨投入ユニット(13)、および前記の磁気カードリーダ(14)の位置と異なる高さへ配置する(図5参照)。
【0052】
(作用)
タッチパネル(11)が比較的高い位置にあり、立って使うことが前提であるユーザの視線に近いのでやすく、タッチパネル(11)に出力される指示を受けやすい。
紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)および磁気カードリーダ(14)は、タッチパネル(11)の下方へ配置することで、タッチパネル(11)を見ながらユーザの手で操作しやすい高さとなる。しかも、紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)および磁気カードリーダ(14)は、精算する際に操作の一連の流れとなるので、互いに隣り合うエリア内に配置することで、ユーザにとって円滑な操作に寄与する。
さらに、紙幣投入ユニット(12)および硬貨投入ユニット(13)は、操作の一連の流れとなるので、互いに隣り合うように配置することで、円滑な操作に寄与している。
【0053】
紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)および磁気カードリーダ(14)は、投入するINの動作であり、返却物取り出しユニット(15)は、取り出すOUTの動作であり、異なる動作である。したがって、返却物取り出しユニット(15)は、硬貨投入ユニット(13)、および磁気カードリーダ(14)の下方へ分けて配置しているので、ユーザにとって操作種類の操作が視覚的にも位置的にも区別しやすくなっている。
【0054】
非接触リーダ(16)は、紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)、および磁気カードリーダ(14)の位置と異なる高さへ配置することで、ユーザの手で投入するINの動作、および取り出すOUTの動作と分けて配置したので、ユーザにとって円滑な操作に寄与している。
【0055】
(第三の発明のバリエーション2)
第三の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記の紙幣投入ユニット(12)、前記の硬貨投入ユニット(13)、および前記の磁気カードリーダ(14)は、ほぼ横方向の一列となるように配置するのである(図5参照)。
【0056】
(作用)
人の手は上下方向より横方向に移動する方がスムーズであり身体的負荷が軽い。したがって、紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)、磁気カードリーダ(14)は、精算する際に操作の一連の流れとなるので、紙幣投入ユニット(12) の紙幣投入口、硬貨投入ユニット(13) の硬貨投入口、磁気カードリーダ(14)における磁気カードの差し込み口を、ほぼ横方向に一列に並べて配置することで、スムーズな操作の流れとなる。
【0057】
(第三の発明のバリエーション3)
第三の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記の紙幣投入ユニット(12)、前記の硬貨投入ユニット(13)、および前記の磁気カードリーダ(14)は、それぞれの下側に発光する発光部(12c,13b,14b)を配置することのである(図5参照)。
【0058】
(作用)
紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)、磁気カードリーダ(14)は、精算する際に操作の一連の流れとなる。発光部(12c,13b,14b) は、紙幣投入ユニット(12)、硬貨投入ユニット(13)、磁気カードリーダ(14) の位置を分かりやすくするので、より一層スムーズな操作の流れに寄与する。
【0059】
(第三の発明のバリエーション4)
第三の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記のトラブル対応補完装置から送信された指示用データを受信する指示用データ送信手段と、
その指示用データ送信手段が受信した指示用データを出力する指示用データ出力手段と、
を備えるとともに、
前記の画面データ送信手段は、前記のユーザが前記の指示データに基づく操作をした後の画面データを送信することとするのである。
【0060】
(作用)
トラブル対応補完装置から送信された指示用データを、指示用データ送信手段が受信する。受信した指示用データは、指示用データ出力手段が出力する。精算用端末の前にいるユーザは、指示データに基づいた操作を実行すれば、精算の終了に導かれる。
画面データ送信手段は、ユーザが指示データに基づく操作をした後の画面データを送信する。トラブル対応補完装置においては、ユーザが指示データに基づく操作をした後の画面データを受信する。その画面データを取得することで、必要であれば、サポート端末において更なるサポート(たとえば更なる指示用データの送信)が可能である。
【0061】
(第三の発明のバリエーション5)
第三の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記のユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを蓄積する操作ログデータベースを備え、
前記の画像データ送信手段は、前記のトラブル対応補完装置へ前記の操作ログデータを送信することとするのである。
【0062】
(用語説明)
「操作ログデータ」は、オペレータがユーザの操作手順を知ることができればよい。そのため、ユーザが操作する画面ほどの画質は不要であり、操作ログデータベースの記憶容量を節約するため、画質を落としたデータでよい。
【0063】
(作用)
ユーザが操作を開始してからの画面推移である操作ログデータを操作ログデータベースが蓄積する。蓄積された操作ログデータは、画像データ送信手段がトラブル対応補完装置へ送信する。
サポート端末を操作するオペレータは、操作ログデータに基づいてユーザが操作した順序を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0064】
(第三の発明のバリエーション6)
第三の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、前記のユーザが操作を開始してからの時間を計測するタイマーと、
そのタイマーが計測したタイマーデータを前記のトラブル対応補完装置へ送信するタイマーデータ送信手段と、
を備えることとするのである。
【0065】
(作用)
ユーザが操作を開始してからの時間をタイマーが計測する。タイマーが計測したタイマーデータは、タイマーデータ送信手段がトラブル対応補完装置へ送信する。
サポート端末を操作するオペレータは、ユーザが操作を始めてからの時間を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【発明の効果】
【0066】
第一の発明によれば、精算用端末に対応するためのコールセンター・サービスにおいて、サービスユーザの負担軽減、およびコールセンター従事者の負担軽減に寄与するトラブル対応補完装置を提供することができた。
第二の発明によれば、精算用端末に対応するためのコールセンター・サービスにおいて、サービスユーザの負担軽減、およびコールセンター従事者の負担軽減に寄与するトラブル対応補完装置用コンピュータプログラムを提供することができた。
【0067】
第三の発明によれば、コールセンター・サービスにおいて、サービスユーザの負担軽減、およびコールセンター従事者の負担軽減に寄与する精算用端末を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】本発明に係るトラブル対応の全体を示す概念図である。
図2】本発明に係るトラブル対応を示すブロック図である。
図3】本発明に係るトラブル対応補完装置の詳細なブロック図である。
図4】本発明に係るトラブル対応が、多数の精算用端末、多数のサポート端末にて実現していることを示すブロック図である。
図5】実施形態に用いる精算用端末の全体を示す正面図である。
図6】本発明に係る実施形態を用いない場合と比べた本実施形態による効果を示すグラフである。
図7図3に示した実施形態のバリエーションである。
図8図1に示した実施形態のバリエーションである。
図9】精算用端末にユーザをサポートするための付加機能(タイマー)を備えたバリエーションを示す。
図10】精算用端末にユーザをサポートするための付加機能(操作ログ)を備えたバリエーションを示す。
図11】精算用端末にユーザをサポートするための付加機能(カメラ)を備えたバリエーションを示す。
図12】精算用端末およびトラブル対応補完装置の主な作動を示すフローチャートである。
図13】トラブル対応補完装置において保存すべきデータを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで使用する図面は、図1から図13である。以下の実施形態では、駐車料金の精算をするための精算用端末を例として用いているが、本発明は、各種チケット販売用端末、ATMでも採用できる技術である。
【0070】
図1
図1では、精算用端末(機種A=タッチパネル式精算用端末)にて精算をしようとしていた駐車場ユーザが駐車料金を精算しようとしてトラブルとなった場合を示している。すなわち、精算用端末に付属したコールセンター直通電話機にて、電話を掛けている状態である。
【0071】
精算用端末に発生したトラブルに対応するためのトラブル対応補完装置としては、駐車場バック系システム、および受電システムを介して、コールセンターの端末へ叱るべきデータ(図中では斜字体)を送信している様子を示している。また、データ名の前にカッコ書きで付した数字は、順序を示している。
【0072】
受電システムとは、トラブルに係る精算用端末から、その精算用端末の個体識別をするための精算機IDを受信し(1)、その精算機IDに係る精算用端末に対応した操作マニュアルをコールセンターの端末へ送信する役割を果たすシステムである。コールセンターの端末からも、精算用端末からも、そして、後述する駐車場バック系システムからも独立した存在であり、通信網を介してデータの送受信が可能である。
【0073】
駐車場バック系システムとは、受電システムから精算機IDを受信し(2)、その精算機IDに対応する精算用端末のタッチパネル(モニタ)に出力された画面スクリーン画像を受信し(3)、コールセンターの端末へ画面スクリーン画像を送信する(4)、という役割を果たすシステムである。コールセンターの端末からも、精算用端末からも、独立した存在であり、通信網を介してデータの送受信が可能である。
【0074】
コールセンターの端末(サポート端末)においては、トラブルに係る精算用端末と同じ画面である画面スクリーン画像と、トラブルに係る精算用端末の操作マニュアルとを、一画面で出力する。その端末を操作するオペレータ(トラブルとなったユーザと直通電話を介して会話する者)が、ユーザが目の前にしている画面と同じ画面を見ることができ、しかも、操作マニュアルを同時に見ながら助言ができることとなる。
【0075】
このサポート端末のモニタには、画面スクリーン画像および操作マニュアルのほか、メモ欄も一画面で表示される。このメモ欄は、オペレータが自由に入力することができる欄であり、テキストデータが主な入力データとなる。具体的には、ユーザとの電話による通話での質問内容を要約して入力したり、質問内容に対する返答内容を入力したりする。
【0076】
サポート端末においては、オペレータがサポートの際に入力するメモ欄と操作マニュアルと画面スクリーン画像とを一画面で出力される。そのため、サポート端末のオペレータは、ユーザに対する円滑なサポートと、サポート記録などのメモ入力とを、同時に実行しやすい。
オペレータが画面スクリーン画像を見ることにより、「ユーザの勘違い」や「コミュニケーション不足」による不確かな情報(オペレータ、ユーザとも互いに)のやりとりから、正しい情報に基づいたやりとりに変化するため、オペレータはより正確な状況をメモに残す(図13を用いて後述するが、メモはデータとして蓄積する)ことができる。
【0077】
図2
図2では、精算用端末、精算用端末に付属した直通電話、コールセンターの直通電話、オペレータが操作するサポート端末、駐車場バック系システム、および受電システムとの関係をブロック図で示している。
【0078】
精算用端末に付属した電話機(付属の直通電話)の使用を開始すると、精算用端末に備えられた所定のトリガが機能し、データ送信手段が精算機IDを受電システムへ送信する。その後、受電システムからは、精算機IDに対応した操作マニュアルがサポート端末の操作マニュアル受信手段へ送信される。
【0079】
電話線網(専用回線でもよい)を介して、電話機のマイクからユーザの音声データは、コールセンターにおける所定の直通電話のスピーカへ送られる。また、直通電話のマイクからは、コールセンターにて電話対応をした者の音声データがスピーカへ送られる。
なお、直通電話を受けるオペレータと、ユーザへの操作指示を実行するオペレータとは、基本的に別である。加えて、直通電話を受けるオペレータの働き(機能)は、機械化することもできる。
【0080】
精算用端末の画面データは、駐車場バック系システムを介して、サポート端末の画像データ受信手段へ送信される。
サポート端末の液晶パネルには、画面データおよび操作マニュアルが同時に出力できる。
【0081】
図3
図3では、図1および図2と異なり、本願発明に係る「トラブル対応補完装置」が、ユーザ対応をするオペレータに係る端末を含めない、と考えることも可能であることを示している。このため、トラブル対応補完装置として破線で囲う枠からオペレータ(L)の端末が外れている。
【0082】
また、図1および図2と異なり、駐車場バック系システムおよび受電システムを省略し、機能として「トラブル対応補完装置」に取り込んでいる旨を示している。駐車場バック系システムおよび受電システムが「トラブル対応補完装置」が物理的に別体であるか否かは、本願発明においてはどちらも含むことを意図している。
【0083】
図3には、図1および図2では図示していない精算機データベース(図中では、「DB」と略記)と、オペレータデータベースとを示している。更に、トラブル対応補完装置には、オペレータ選択手段を備えている。
【0084】
精算機データベースは、精算機IDデータベースと、マニュアルデータベースとを含んでいる。マニュアルデータベースには、他数種類に上る精算用端末のそれぞれに対応した操作マニュアルが格納されている。
【0085】
オペレータデータベースは、オペレータ毎に、そのオペレータがどのような精算用端末に対するサポートの経験があるのか、その経験回数はどれくらいか、サポートに掛かった時間はそれぞれどの程度だったか、といったデータが蓄積されている。
トラブルとなっているユーザが目の前にしている精算用端末の機種が何であり、その機種への対応経験のあるオペレータが誰であるか、を適切に選択するのが、オペレータ選択手段である。
【0086】
図3におけるオペレータ選択手段は、機種Aについて付属電話からコールセンターに直通電話を掛けてきたユーザに対し、その瞬間に対応できるオペレータとしてオペレータ(L)を選択した旨、図示している。
【0087】
画面データ送信手段は、オペレータ選択手段に選択されたオペレータ(L)が操作する端末へ機種Aにおけるトラブル状態の画面スクリーン画像を送信する。マニュアル送信手段は、機種A用の操作マニュアルをオペレータ(L)が操作する端末へ送信する。
オペレータ(L)が操作する端末のモニタには、画面スクリーン画像が右側へ、左下には操作マニュアルが、左上にはメモ欄が出力される。
【0088】
なお、精算用端末には種類が多く、また、種類が同じでも設置場所に合わせたカスタマイズがなされることが少なくない。そうしたカスタマイズ情報についても、精算機データベースには蓄積されることが望ましい。同時に、オペレータデータベースにおいても、カスタマイズされた精算用端末への対応記録なども蓄積されることが望ましい。
【0089】
図4
図4には、図1から図3では図示できなかったことを示している。具体的には、精算用端末は数もその機種も多く存在する旨を示しており、サポート端末およびそのサポート端末を操作するオペレータが身につけているヘッドセット(スピーカおよびマイク)も多数存在する旨を示している。
【0090】
コールセンターにおいては、トラブルとなった精算用端末に付属する直通電話を最初に受けるヘッドセット(スピーカおよびマイク)と、その後、選ばれたオペレータに係るヘッドセットとは異なる(可能性がある)旨をも示している。
なお、オペレータデータベースおよびオペレータ選択手段は、図面におけるスペースの関係もあって省略している。
【0091】
図5
図5では、前述してきた精算用端末の詳細を図示している。
本実施形態に係る精算用端末1は、駐車場に設置する自動精算機の一例であり、例えばコンクリートの土台3と、この土台3の上に設置した箱型形状の精算機本体2で形成されている。
【0092】
精算機本体2に組み込まれる精算機用ユニット10は、箱型形状の精算機本体2における前面の扉部へ組み込まれ、例えば、タッチ操作が可能なタッチパネル(モニタ)11、紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13、磁気カードリーダ14、返却物取出しユニット15、および非接触リーダ16を備える。
【0093】
タッチパネル11は、精算金額や精算するための指令を与える画像などを表示したり、ユーザがすることでボタンとして機能したりする。精算機本体2の上部へ配置している。
【0094】
紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13、および磁気カードリーダ14は、前記のモニタ11の下方へ配置している。なお、紙幣投入ユニット12は、その上部に紙幣投入口12aを備えるとともに下部に紙幣返却口12bを備えている。硬貨投入ユニット13は硬貨投入口13aを備えている。磁気カードリーダ14は磁気カードの差し込み口14aを備えている。
【0095】
返却物取出しユニット15は、硬貨つり銭や領収書などの返却物を取り出すための返却物取出し口15aを備えたユニットであり、前記の硬貨投入ユニット13、および磁気カードリーダ14の下方へ配置している。
【0096】
非接触リーダ16は、光学リーダおよび非接触通信によるリーダなどを含むユニットであり、前記の紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13、および磁気カードリーダ14の横方向とは無関係の異なる高さ、本実施形態では上方へ配置する。
【0097】
タッチパネル11は、ユーザの目の高さになるように比較的高い位置にあり、ユーザが見やすく、モニタ11に出力される指示を受けやすい。
紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13および磁気カードリーダ14は、モニタ11の下方へ配置することで、モニタ11を見ながらユーザの手で操作しやすい高さとなる。しかも、紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13および磁気カードリーダ14は、精算する際に操作の一連の流れとなるので、互いに隣り合うエリア内に配置することで、ユーザにとって操作しやすくなる。
【0098】
紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13および磁気カードリーダ14は、それぞれの下側に横方向のライン状に発光するLEDの発光部12c,13b,14bを配置している。
紙幣投入ユニット12および硬貨投入ユニット13は、操作の一連の流れとなるので、互いに隣り合うように配置することで、スムーズな操作の流れとなる。なお、各発光部12c,13b,14bは、紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13および磁気カードリーダ14の位置を分かりやすくするので、より一層スムーズな操作の流れに寄与する。
【0099】
紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13および磁気カードリーダ14は、投入するINの動作であり、返却物取出しユニット15は、取り出すOUTの動作であり、異なる動作である。したがって、返却物取出しユニット15は、硬貨投入ユニット13、および磁気カードリーダ14の下方へ分けて配置しているため、ユーザにとって操作しやすくなる。
【0100】
非接触リーダ16は、ユーザの手で投入するINの動作、および取り出すOUTの動作と、異なる動作である。そこで、非接触リーダ16は、紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13および磁気カードリーダ14の横方向とは無関係で異なる高さへ配置しているので、ユーザにとって操作しやすい。
【0101】
前述の精算機用ユニット10においては、磁気カードリーダ14は、硬貨投入ユニット13における右側へ配置することが望ましい。
磁気カードリーダ14は、駐車場ユーザである場合、そのユーザが会員であることを証明するために最初に使われる。そのため、紙幣投入ユニット12および硬貨投入ユニット13に比べて利用頻度が高い。右利きの人が多いので、ユーザが対面した方向で前記の硬貨投入ユニット13における右側に磁気カードリーダ14を配置したことで、利き手での操作がスムーズで利便性が向上する。
【0102】
紙幣投入ユニット12の紙幣投入口12aと硬貨投入ユニット13の硬貨投入口13aと磁気カードリーダ14の差し込み口14aは、横方向のほぼ一列となるように配置することが好ましい。
人の手は上下方向より横方向に移動する方がスムーズであり身体的負荷が軽い。したがって、紙幣投入ユニット12、硬貨投入ユニット13、磁気カードリーダ14は、精算する際に操作の一連の流れとなるので、紙幣投入口12aと硬貨投入口13aと差し込み口14aを横方向に一列に並べて配置することで、スムーズな操作の流れとなる。
【0103】
返却物取出しユニット15の下方には、必要な操作や案内事項を音声によって知らせるスピーカ17,17を配置している。
スピーカ17,17は、精算機本体2における前面に配置されることで、ユーザは必要な操作や案内事項を知らせる音声を聞き取りやすくなる。
【0104】
図6
図6は、サポートに要した通話時間の平均値について、画面データをサポート端末へ出力させない場合と、出力させた場合とで比較している。画面データをサポート端末へ出力させた場合の方が、サポートに要した通話時間が短くなっていることは一目瞭然である。
【0105】
図7
図7は、精算用端末の画面スクリーン画像を、トラブル対応補完装置とは物理的に別体である駐車場バック系システムへ一旦送信する実施形態を示している。
画像データの送受信は負荷が大きい。一方、サポートをするサポート端末においては、できるだけ早く、画面スクリーン画像が欲しい。そのため、トラブル対応補完装置とは物理的に別体としたのである。このことで、負荷に対する増強(または削減)など、運用状況に合わせやすい。
【0106】
図8
図8は、コールセンターの端末(指示用端末)を操作するオペレータが、トラブルで困っているユーザの前にある精算用端末に対して指示用データを送信する旨、およびその指示用データを受信した精算用端末をユーザが捜査した結果の画面スクリーン画像(画像データ)をトラブル対応補完装置へ送信する旨、を示している。
【0107】
サポート端末を介して送信される「指示用データ」とは、オペレータが口頭で説明する電話による音声ではなく、タイプしたテキストデータや精算用端末の所定部分を点滅させるなどの信号といった各種デジタルデータである。
【0108】
サポート端末から入力されたユーザに対する指示用データを、指示用データ送信手段が前記の精算用端末へ送信する。精算用端末の前にいるユーザは、指示データに基づいた操作を実行すれば、精算の終了に導かれる。
画面データ受信手段は、ユーザが指示データに基づく操作をした後の画面データ(画面スクリーン画像(更新))を受信する。その画面データを取得することで、必要であれば、サポート端末において更なるサポート(たとえば、更なる指示用データの送信)が可能である。
【0109】
図9
図9は、精算用端末にタイマーとログデータベースとが備えられており、そのうちのタイマーを活かしたサポートをするための図である。
【0110】
タイマーは、ユーザが精算を開始した時から時間の計測を開始する。そして、ユーザが付属の直通電話を使用し始めたことをトリガとして、受電システム(駐車場バック系システムでもよい)へタイマーデータを送信する。タイマーデータを受信した受電システムは、トラブル対応補完装置において、対応するオペレータが決定した場合にそのオペレータが操作するサポート端末へ、タイマーデータを送信する。サポート端末の液晶パネルには、操作開始からのトータル時間が出力される。
【0111】
サポート端末を操作するオペレータは、ユーザが精算のための操作を始めてからの時間を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0112】
図10
図10は、精算用端末にタイマーとログデータベースとが備えられており、そのうちのログデータベースへ格納されたログデータを活かしたサポートをするための図である。
【0113】
ログデータベースには、ユーザが精算を開始した時からの操作画面を、操作ログとして連続して格納している。この操作ログは、どの画面なのかをオペレータが識別できる程度の画質(データ量)でよく、鮮明な画像データである必要はない。
【0114】
操作ログの取得は、ユーザが生産を開始したときから開始する。そして、ユーザが付属の直通電話を使用し始めたことをトリガとして、駐車場バック系システム(受電システムでもよい)が操作ログを送信する。操作ログを受信した駐車場バック系システムは、トラブル対応補完装置において、対応するオペレータが決定した場合にそのオペレータが操作するサポート端末へ、操作ログを送信する。サポート端末の液晶パネルには、操作開始からの操作ログが出力される。
【0115】
サポート端末を操作するオペレータは、ユーザが精算のための操作を始めてからどのような操作手順を踏んだのか、を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0116】
図11
図11は、精算用端末に精算をしようとするユーザの顔を撮影するカメラが備えられ、そのカメラ画像を活かしたサポートをするための図である。このカメラ画像は、オペレータが男女の区別、年齢層などが判別できる程度の画質(データ量)でよく、鮮明な画像データである必要はない。
【0117】
ユーザが付属の直通電話を使用し始めたことをトリガとして、カメラがユーザの撮影を開始し、カメラ画像送信手段がトラブル対応補完装置へと送信する。最初は、直通電話を受けたコールセンター職員の端末へカメラ画像データが出力されるが、オペレータ選択手段が所定のオペレータを選択した後は、選択されたオペレータのサポート端末へ出力される。
【0118】
サポート端末を操作するオペレータは、精算に戸惑っているユーザが男なのか女なのか、や年齢がどのくらいなのか、を把握することができるので、どのようにサポートをすれば適切であるか、の判断材料となる。
【0119】
図12
図12は、タイマーデータや操作ログについてどのような処理手順がなされるか、精算用端末を主体として示したフローチャートである。
【0120】
あるユーザが精算用端末にて生産を開始する。すると、タイマーが作動し、且つ操作ログの保存も開始される(S1)。
続いて、ユーザが精算をすることができず、コールセンターへの直通電話を使い始めたか否か、を判断する(S2)。その判断は、精算用端末に付属した直通電話の受話器を上げ、通話開始ボタンを押したか否か、で判断する。
【0121】
もし、ユーザが直通電話を使うことなく精算が終了した場合、タイマーによる計測を終了し、それまで取得した操作ログも消去する(S6)。
一方、ユーザが直通電話を使い始めたら、トラブル対応補完装置に対して、タイマーデータおよび操作ログを送信する(S3)。
【0122】
トラブル対応補完装置において、対応すべきオペレータが選択されたら、そのオペレータが操作するサポート端末へタイマーデータおよび操作ログが出力される。そして、選択されたオペレータによるユーザへの精算指示が開始される。操作のための指示データがサポート端末から精算用端末へ送信されたら、その指示データを受信し、出力する(S4)。そして、その指示データに基づいた操作をユーザが実行して精算用端末の出力画面(操作画面)が変化したら、その変化した画像を、新たな操作ログとして送信する(S4)。
【0123】
精算指示によって精算が終了した場合、タイマーのカウントを終了し、それまで蓄積していた操作録も消去する(S5)。精算用端末の記憶装置における記憶容量を確保するためである。
次のユーザの精算前には、タイマーはリセットされているとともに、操作ログの記憶手段においても前のユーザによる操作ログは消去されている。
【0124】
図13
図13では、サポート端末において用いられたデータがどのように処理されるか、をブロック図として示している。
【0125】
操作マニュアル受信手段が受信した操作マニュアル、メモ入力手段にてオペレータが入力したメモデータ、画面データ受信手段が受信した精算用端末の画面データ、およびカメラデータ受信手段が受信したユーザのカメラ画像が,揮発性記憶手段(ランダムアクセスメモリ)へ蓄積された後に、サポート端末における液晶パネルに出力される。
【0126】
そして、メモデータおよび画面データは、トラブル記憶データベースへ記録される。また、メモデータは、オペレータデータベースにも記録される。トラブル記憶データベースおよびオペレータデータベースに記録されたデータは、専門チームがトラブルの分析、ユーザへのサービス向上に用いるなどして活用される。
【0127】
一方、操作マニュアルは記録の必要性に乏しいため、当該ユーザへの対応が終了したら、揮発性記憶手段から消去される。また、ユーザのカメラ画像については、ユーザのプライバシー保護のため、揮発性記憶手段から消去される。
【0128】
前述した実施形態によれば、精算用端末に対応するためのコールセンター・サービスにおいて、サービスユーザの負担軽減、およびコールセンター従事者の負担軽減に寄与するトラブル対応補完装置(これを制御する制御プログラムを含む)、および精算用端末を提供することができた。
【0129】
なお、図11および図13では、精算用端末に備えられたカメラが取得した「顔データ」をサポート端末へ送信することとしているが、カメラが撮影した画像データそのものを「顔データ」とせずに、オペレータが必要な情報である性別および年齢層というデータのみを送信することとしても良い(図示は省略)。すなわち、顔認証システムを介して画像データから得た性別および年齢層という性別年齢認証データのみとすることで、プライバシーを保護することとするのである。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、自動チケット販売装置や精算用端末等の製造業、または販売業レンタル業、駐車場の管理運営サービス業、精算用端末を介する情報通信サービス業、スーパーやデパートなどの駐車場を有する設備製造業、精算用端末用のソフトウェア開発業、などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0131】
1; 精算機 2 ;精算機本体
3; 土台
10 ;精算機用ユニット 11 ;タッチパネル
12 ;紙幣投入ユニット 12a;紙幣投入口
12b;紙幣返却口 12c;発光部
13 ;硬貨投入ユニット 13a;硬貨投入口
13b;発光部
14 ;磁気カードリーダ 14a;差し込み口
14b;発光部
15 ;返却物取出しユニット 15a;返却物取出し口
16 ;非接触リーダ 17 ;スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13