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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1347 20060101AFI20240321BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240321BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240321BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/1335 500
G02F1/13357
G02F1/1368
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019236881
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105664
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健
(72)【発明者】
【氏名】廉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】池野 英徳
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072755(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0291368(US,A1)
【文献】特開2021-039166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/1335
G02F 1/13357
G02F 1/136-1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者に視認される画像を表示する第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルとスタックされ、画素サイズが前記第1液晶パネルの画素サイズの自然数倍である第2液晶パネルと、
を含み、
前記第2液晶パネルは、
画素を画定するブラックマトリックスと、
第1方向に配列された遮光性の複数のゲート線と、
前記第1方向と異なる第2方向に配列された遮光性の複数のデータ線と、
を含み、
前記画素の画素電極は、1つの電極で構成され、
前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線の少なくとも一方は、前記画素内を通過し、
前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成する、
表示装置。
【請求項2】
観察者に視認される画像を表示する第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルとスタックされ、画素サイズが前記第1液晶パネルの画素サイズの自然数倍である第2液晶パネルと、
を含み、
前記第2液晶パネルは、
画素を画定するブラックマトリックスと、
第1方向に配列された遮光性の複数のゲート線と、
前記第1方向と異なる第2方向に配列された遮光性の複数のデータ線と、
を含み、
前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線の少なくとも一方は、前記画素内を通過し、
前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線は、前記画素内を通過する、
表示装置。
【請求項3】
観察者に視認される画像を表示する第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルとスタックされ、画素サイズが前記第1液晶パネルの画素サイズの自然数倍である第2液晶パネルと、
を含み、
前記第2液晶パネルは、
画素を画定するブラックマトリックスと、
第1方向に配列された遮光性の複数のゲート線と、
前記第1方向と異なる第2方向に配列された遮光性の複数のデータ線と、
を含み、
前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線の少なくとも一方は、前記画素内を通過し、
前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記複数のゲート線の各ゲート線は、1本の線で構成され、
前記複数のデータ線の各データ線は、1本の線で構成され、
各ゲート線は、前記複数のデータ線と画素の中央で交差し、
各ゲート線と前記複数のデータ線との交差位置にトランジスタが配置されている、
表示装置。
【請求項4】
観察者に視認される画像を表示する第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルとスタックされ、画素サイズが前記第1液晶パネルの画素サイズの自然数倍である第2液晶パネルと、
を含み、
前記第2液晶パネルは、
画素を画定するブラックマトリックスと、
第1方向に配列された遮光性の複数のゲート線と、
前記第1方向と異なる第2方向に配列された遮光性の複数のデータ線と、
を含み、
前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線の少なくとも一方は、前記画素内を通過し、
前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記複数のゲート線の各ゲート線は、一つの伝送線から分岐し、前記第1方向に並び、前記画素を通過する、複数のサブゲート線で構成され、
前記複数のデータ線の各データ線は、一つの伝送線から分岐し、前記第方向に並び、前記画素を通過する、複数のサブデータ線で構成され、
前記複数のサブゲート線の各サブゲート線と、前記複数のサブデータ線の各データ線との交差位置にトランジスタが配置されている、
表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記複数のサブゲート線の一つは前記ブラックマトリックスと重なり、他は前記画素を通過し、
前記複数のサブデータ線の一つは前記ブラックマトリックスと重なり、他は前記画素を通過している、
表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の表示装置であって、
前記複数のサブゲート線のそれぞれは前記画素を通過し、
前記複数のサブデータ線のそれぞれは前記画素を通過している、
表示装置。
【請求項7】
観察者に視認される画像を表示する第1液晶パネルと、
前記第1液晶パネルとスタックされ、画素サイズが前記第1液晶パネルの画素サイズの自然数倍である第2液晶パネルと、
を含み、
前記第2液晶パネルは、
画素を画定するブラックマトリックスと、
第1方向に配列された遮光性の複数のゲート線と、
前記第1方向と異なる第2方向に配列された遮光性の複数のデータ線と、
を含み、
前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線の少なくとも一方は、前記画素内を通過し、
前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ゲート線と前記データ線とが交差する位置にトランジスタが配置され、
前記ブラックマトリックスは、前記トランジスタのダミーパターンを含む、
表示装置。
【請求項8】
請求項1から4及び7のいずれか一項に記載の表示装置であって、
前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において350μm未満のピッチで配列された暗線部群を構成し、
前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において350μm未満のピッチで配列された暗線部群を構成する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、低消費電力及び高精細化が可能という特徴を生かして、小型の携帯電話から大型のテレビモニタまで広い分野に適用されている。しかしながら、単独での液晶装置の暗所におけるコントラスト値は、高々1000から2000前後であり、OLED(Organic Light Emitting Diode)表示装置の数百万:1に比較して、低いことが指摘されている。近年のHDR映像のように、黒部分の表現力が豊かな映像ソースを用いて表示を実施した場合、臨場感が不足すると言う問題点が指摘されている。
【0003】
また、車載用表示機器や船舶向け計器において、夜間に用いられる際、黒く表示された場所においてもバックライトからの光が漏れ出して、いわゆる黒表示が浮く現象が生じ、計器表示内容を正確に判別することが難しくなるとの指摘がある、このため、表示の高い判別性を確保するため、黒表示の改善(コントラスト比の大幅な向上)が求められている。
【0004】
この問題に対応するには、液晶表示装置のコントラスト比を大幅に引き上げる必要がある。しかし、上述のように、従来の液晶表示装置のコントラスト比は高々2000:1程度であり、各アプリケーションに要求される数万:1以上というコントラスト比を得ることはできない。
【0005】
液晶表示装置においてこのような問題に対処するために、複数枚の液晶パネルを重ねること(以下スタック)で、黒輝度を低下させ、コントラスト比を向上させることが提案されている。複数枚の液晶パネルを重ねることで、1枚の液晶パネルのコントラストを超えるコントラストを得ることが可能である。
【0006】
一般に、スタックされる一方の液晶パネルは観察者に視認される画像を表示するためのカラー液晶パネルであり、観察者側に配置される。他方の液晶パネルは、バックライトとモノクロ液晶パネルの間に配置され、モノクロ画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-139865号公報
【文献】特開2007-155780号公報
【文献】特開2019-61124号公報
【文献】特開平5-119341号公報
【文献】特開2010-15117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
人の視覚は空間周波数に対する特性を持つことが知られている。例えば正弦波関数に従って明暗が変化する縞状パターンにおいて、正弦波関数の周波数が低くなれば、縞模様は粗くなり、人の目は縞模様の明暗を視認できるようになる。一方、正弦波関数の周波数が高くなると、縞模様は細かくなり、人の目は縞模様の明暗を判別できなくなる。また、視力検査に用いられるランドルフ環は、視覚特性を示す上で別の良い例である。
【0009】
ランドルフ環が小さくなり、環の切れ目が狭くなるほど、人の目は、その切れ目を判別できない。一方、ランドルフ環が大きく、環の切れ目も大きければ、人の目は、その切れ目を判別する。さらに、環の切れ目は、ランドルフ環を見る距離に応じて、視認できたり、できなかったりする。このように人の目は空間周波数特性と分解能を持つため、表示装置の画面上に周期性や規則性を持った明暗があると、それを視認してしまい、画質悪化になることがある。
【0010】
モノクロ液晶パネルは、実際の表示画像の解像度(カラー液晶パネルの解像度)に比べて、低い解像度で透過率を制御すればよいため、その1画素のサイズを大きくすることができる。一方、それに起因して、画素の境界を確定し、画素TFT(Thin Film Transistor)を隠すためのブラックマトリックスによる暗部の空間周波数が低くなり、暗部が視認されやすい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様は、観察者に視認される画像を表示する第1液晶パネルと、前記第1液晶パネルとスタックされ、画素サイズが前記第1液晶パネルの画素サイズの自然数倍である第2液晶パネルと、を含む。前記第2液晶パネルは、画素を画定するブラックマトリックスと、第1方向に配列された遮光性の複数のゲート線と、前記第1方向と異なる第2方向に配列された遮光性の複数のデータ線とを含む。前記複数のゲート線及び前記複数のデータ線の少なくとも一方は、前記画素内を通過する。前記ブラックマトリックスの前記第1方向に配列された線部と前記ゲート線とは、前記第1方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成する。前記ブラックマトリックスの前記第2方向に配列された線部と前記データ線とは、前記第2方向において所定ピッチで配列された暗線部群を構成する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、スタックされる液晶パネルを含む液晶表示装置において、表示領域内における暗部の視認性を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の液晶表示装置を模式的に示している。
図2】液晶表示モジュールの表示領域における断面構造の例を示す。
図3】カラー液晶パネルのカラー画素とモノクロ液晶パネルのモノクロ画素との間における、サイズ及び位置の関係を模式的に示す。
図4】モノクロ液晶パネルの構成例の平面図を示す。
図5図4に示すモノクロ画素の拡大図を示す。
図6図5におけるVI-VI切断線における断面図を示す。
図7】モノクロ液晶パネルの暗線部群を模式的に示す。
図8】モノクロ液晶パネルの他の構成例の平面図を示す。
図9】データ線及びデータ線が、それぞれ、複数のサブ線を含む構成例を示す。
図10】データ線及びデータ線が、それぞれ、複数のサブ線を含む他の構成例を示す。
図11図10に示すモノクロ画素の拡大図を示す。
図12図10に示す構成例の暗線部群を模式的に示す。
図13】データ線及びデータ線が、それぞれ、複数のサブ線を含む他の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0015】
以下において、スタックされた複数の液晶パネルを含む液晶表示装置を開示する。第1の液晶パネルは観察者に視認される画像を表示し、第2の液晶パネルは第1の液晶パネルより大きい画素サイズを有している。第2の液晶パネルの画素サイズが大きいため、ブラックマトリックスによる暗部の空間周波数が低くなり、暗部が視認されやすい。第2の液晶パネルにおいて、データ線群及びゲート線群の少なくとも一方が画素領域を通過することで、暗部の空間周波数を高くして、暗部を視認しにくくすることができる。
【0016】
<実施形態1>
図1は、本実施形態の液晶表示装置を模式的に示している。液晶表示装置10は、制御装置110、及び、液晶表示モジュール130を含む。液晶表示モジュール130は、スタックされた(重ねられた)複数の液晶パネルを含み、図1の構成例は、二つの液晶パネル131、132を含む。
【0017】
制御装置110は、外部から受信した画像信号の信号変換を行い、液晶表示モジュール130に画像を表示させるための信号を生成する。制御装置110は、生成した信号を、液晶表示モジュール130の液晶パネル131、132の駆動回路137、138それぞれに送信する。
【0018】
液晶表示モジュール130は、駆動回路137、138と、液晶パネル131と、液晶パネル132と、面状光源133とを含む。液晶パネル131は、カラー表示を行うカラー液晶パネルである。液晶パネル132は、モノクロ表示を行うモノクロ液晶パネルである。モノクロ液晶パネル132及び面状光源133は、光源装置を構成する。
【0019】
図1の構成例において、カラー液晶パネル131(第1液晶パネル)と面状光源133との間にモノクロ液晶パネル132(第2液晶パネル)が配置されている。つまり、モノクロ液晶パネル132が観察者に近い位置に配置され、カラー液晶パネル131が、面状光源133に近い位置に配置される。
【0020】
駆動回路137及び138は、それぞれ、制御装置110から受信した信号に基づいて、カラー液晶パネル131及びモノクロ液晶パネル132を駆動する。面状光源133は、モノクロ液晶パネル132に、その背面側から光を照射する。モノクロ液晶パネル132は、入力される駆動信号に基づいて、面状光源133からの光の透過光量を制御する。モノクロ液晶パネル132を透過した光は、カラー液晶パネル131に入射する。カラー液晶パネル131は、入力される駆動信号に基づいて、画像を表示する。観察者は、面状光源133から液晶パネル132、131を透過した光により形成される表示画像を観察する。
【0021】
カラー液晶パネル131において、画素141は、隣接する赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の副画素で構成される。モノクロ液晶パネル132における画素142は、副画素に分割されていない(一つの画素が一つの副画素で構成されている)。カラー液晶パネル131の解像度(画素数)は、モノクロ液晶パネル132の解像度(画素数)より高い。カラー液晶パネル131の例えば9又は16の画素が、モノクロ液晶パネル132の各画素と平面視において重なるように、配置される。
【0022】
一実装形態において、モノクロ液晶パネル132の画素境界は、平面視において、カラー液晶パネル131の画素境界と重なる。他の例において、モノクロ液晶パネル132の画素境界は、平面視において、カラー液晶パネル131の画素境界と重なっていなくてもよい。モノクロ液晶パネル132の一つの画素と平面視において重なるカラー液晶パネル131の画素の数は、モノクロ液晶パネル132の画素間で異なっていてもよい。
【0023】
上記構成例は、複数の液晶パネルのうちの一つにのみ、カラーフィルタ層を形成している。これにより、複数のカラーフィルタ層の位置関係のズレに起因する、見る角度に依存する表示輝度の大な変化を防止できる。なお、本実施形態において、液晶表示装置は3以上の液晶パネルを含むことができ、複数のカラー液晶パネルを含むことができる。
【0024】
図2は、液晶表示モジュール130の表示領域における断面構造の例を示す。モノクロ液晶パネル132の上にカラー液晶パネル131がスタックされており、モノクロ液晶パネル132とカラー液晶パネル131との間に拡散シート231が挟まれている。拡散シート231は、カラー液晶パネルの画素ピッチとモノクロ液晶パネルの画素ピッチによって生じるモアレ干渉縞の発生を防止する。
【0025】
カラー液晶パネル131は、透過型の液晶パネルであり、TFT基板200と、TFT基板200に対向する対向基板220と、を含む。TFT基板200と対向基板220との間には、液晶層211が挟まれている。TFT基板200は、絶縁基板202を含む。絶縁基板202は、ガラス又は樹脂からなる絶縁性の透明基板である。絶縁基板202は、例えば矩形であり、その一つの主面が対向基板220の一つの主面と対向している。絶縁基板202の液晶層211と反対側の主面上に、偏光板201が取り付けられている。
【0026】
絶縁基板202の液晶層211に対する主面上には、液晶層211に電界を与えるための画素電極203が配列されている。図2において、画素電極203との間において液晶に電界を与える共通電極は省略されている。一つの画素電極203は、一つの副画素の透過光量を制御する。データ線204は、画素電極203に与えられるデータ信号(電圧)を伝送する。
【0027】
絶縁基板202上には、制御する副画素を選択するための不図示の薄膜トランジスタ(TFT)アレイが形成されている。また、画素電極203を含む電極層を覆うように、不図示の配向膜が積層されている。配向膜は液晶層211と接触して、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0028】
カラー液晶パネル131は、任意型の液晶パネルであってよく、縦電界制御型又は横電界制御型液晶パネルであってよい。縦電界制御型液晶パネルは、例えば、TN(Twisted Nematic)型又はVA(Vertical Alignment)型液晶パネルである。横電界制御型液晶パネルは、例えば、IPS(In-Plane Switching)型又はFFS(Fringe-Field Switching)型液晶パネルである。
【0029】
対向基板220は、カラーフィルタ(CF)を含むCF基板である。対向基板220は、ガラス又は樹脂からなる絶縁基板214を含む。絶縁基板214は、例えば矩形である。絶縁基板214の液晶層211と反対側の主面上に、偏光板215が取り付けられている。
【0030】
絶縁基板214の液晶層211の側の主面上に、画素及び副画素を画定する格子状のブラックマトリックス224が積層されている。赤、緑、青のいずれかのカラーフィルタ223が、ブラックマトリックス224で囲まれている各副画素の領域に形成されている。カラーフィルタ223上に不図示の配向膜が積層される。配向膜は、液晶層211に接触し、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0031】
TFT基板200又は対向基板220の一方が、観察者が存在する前側であり、他方が後側である。つまり、面状光源133は、図2が示すカラー液晶パネル131のTFT基板200側又は対向基板220側に配置される。
【0032】
液晶層211は、各副画素における透過光量を、画素電極203と共通電極(不図示)との間の電界に応じて制御する。駆動回路137は、各副画素を対応するTFTによって選択し、その画素電極203それぞれの電位を制御する。駆動回路137は、画像データに応じて、各副画素の画素電極203の電位を制御して、副画素の透過光量を制御する。
【0033】
モノクロ液晶パネル132は、図2に示すカラー液晶パネル131の構成例から、カラーフィルタ223及び偏光板201が省略された構成を有する。なお、偏光板201は、モノクロ液晶パネル132の偏光板としても機能する。
【0034】
モノクロ液晶パネル132は、透過型の液晶パネルであり、TFT基板250と、TFT基板250に対向する対向基板270と、を含む。TFT基板250と対向基板270との間には、液晶層261が挟まれている。TFT基板250は、絶縁基板252を含む。絶縁基板252は、ガラス又は樹脂からなる絶縁性の透明基板である。絶縁基板252は、例えば矩形であり、その一つの主面が対向基板270の一つの主面と対向している。絶縁基板252の液晶層211と反対側の主面上に、偏光板251が取り付けられている。
【0035】
絶縁基板252の液晶層261に対する主面上には、液晶層261に電界を与えるための画素電極253が配列されている。図2において、画素電極253との間において液晶に電界を与える共通電極は省略されている。画素電極253及び共通電極は、例えば、ITOやIZOのような、透明導電体で形成できる。一つの画素電極253は、一つの画素の透過光量を制御する。データ線254は、画素電極253に与えられるデータ信号(電圧)を伝送する。
【0036】
絶縁基板252上には、制御する副画素を選択するための不図示の薄膜トランジスタ(TFT)アレイが形成されている。また、画素電極253を含む電極層を覆うように、不図示の配向膜が積層されている。配向膜は液晶層261と接触して、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0037】
モノクロ液晶パネル132は、任意型の液晶パネルであってよく、縦電界制御型又は横電界制御型液晶パネルであってよい。縦電界制御型液晶パネルは、例えば、TN(Twisted Nematic)型又はVA(Vertical Alignment)型液晶パネルである。横電界制御型液晶パネルは、例えば、IPS(In-Plane Switching)型又はFFS(Fringe-Field Switching)型液晶パネルである。
【0038】
対向基板270は、画素(領域)を画定するブラックマトリックス274を含む。対向基板220は、ガラス又は樹脂からなる絶縁基板214を含む。絶縁基板214は、例えば矩形である。絶縁基板264の液晶層261の側の主面上に、画素を画定する格子状のブラックマトリックス274が積層されている。ブラックマトリックス274上に不図示の配向膜が積層される。配向膜は、液晶層261に接触し、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0039】
液晶層261は、各画素における透過光量を、画素電極253と共通電極(不図示)との間の電界に応じて制御する。駆動回路138は、各画素を対応するTFTによって選択し、その画素電極253それぞれの電位を制御する。駆動回路138は、画像データに応じて、各画素の画素電極253それぞれの電位を制御して、画素の透過光量を制御する。
【0040】
上述のように、カラー液晶パネル131は、観察者に視認される詳細な映像を表示させる役割を有し、モノクロ液晶パネル132は、映像の輝度情報を映像の1画素より大きな領域で制御する役割を有している。モノクロ液晶パネル132の画素サイズは、カラー液晶パネル131の画素サイズよりも大きい。例えば、モノクロ液晶パネル132の画素サイズは、カラー液晶パネル131の画素サイズの自然数倍である。
【0041】
図3は、カラー液晶パネル131の画素(カラー画素)141と、モノクロ液晶パネル132の画素(モノクロ画素)142との間における、サイズ及び位置の関係を模式的に示す。図3の例において、一つのモノクロ画素142のサイズが、16のカラー画素141と一致し、これらカラー画素141が、平面視において、モノクロ画素142と重なっている。図3の例において、カラー画素141の四辺の長さは共通であり、モノクロ画素142の四辺の長さは共通である。なお、モノクロ画素と重なるカラー画素の数は、特定に限定されず、モノクロ画素の四辺の長さは共通でなくてもよく、カラー画素の四辺の長さは共通でなくてもよい。モノクロ画素及びカラー画素の形状は特に限定されない。
【0042】
このように、モノクロ液晶パネル132は、実際の表示画像の画素面積に比べて広い領域の透過率を制御すればよいため、1画素のサイズを大きくし、開口率を大きくすることができる。しかし、モノクロ液晶パネル132の画素サイズ大きいことは、画素を画定するブラックマトリックス274による暗部のピッチが大きい、つまり、空間周波数が低いことを意味し、暗部が観察者に視認されやすくなる。
【0043】
本実施形態のモノクロ液晶パネル132は、遮光性のゲート線及び/又はデータ線を、平面視においてブラックマトリックス274から外して配置し、ゲート線及び/又はデータ線が画素142内を通過するようにする。これにより、ブラックマトリックス274と、ゲート線及び/又はデータ線とで構成される暗部の空間周波数を高くし(暗部のピッチを小さくし)、暗部が観察者に視認されにくくする。
【0044】
図4は、本実施形態のモノクロ液晶パネル132の構成例の平面図を示す。図4は、ブラックマトリックス、データ線、ゲート線、及びTFTのレイアウトを示す。図4において、ブラックマトリックス274は格子状であり、画素を画定している。ブラックマトリックス274は、図4において左右方向(X軸方向/第2方向)に延び上下方向(Y軸方向/第1方向)に配列された複数の第1暗線部307と、上下方向に延び左右方向に配列された複数の第2暗線部309とで構成されている。上下方向と左右方向の間の角度は直角である。
【0045】
本例において、第1暗線部307は、上下方向に等間隔に配置されており、それらの線幅は共通である。第2暗線部309は、左右方向に等間隔に配置されており、それらの線幅は共通である。隣接する二つの第1暗線部307と、隣接する二つの第2暗線部309とで囲まれている領域がモノクロ画素(領域)142である。
【0046】
複数のゲート線303はバックライトからの光に対して遮光性を持ち、図4における左右方向に延び、上下方向に配列されている。図4の例において、複数のゲート線303は上下方向に等間隔に配置されており、それらの形状は共通である。複数のゲート線303は、それぞれ、平面視においてブラックマトリックス274の第1暗線部307と重なっておらず、ずれた位置に配置されている。
【0047】
従って、複数のゲート線303は、それぞれ、画素142内を通過している。図4の例において、ゲート線303は画素142の中央を通過しており、ゲート線303と第1暗線部307とは、上下方向に等間隔(所定ピッチ)P1に配列された暗線部群を構成している。一例において、ゲート線303の幅と第1暗線部307の幅は同一である。
【0048】
複数のデータ線254はバックライトからの光に対して遮光性を持ち、図4における上下方向に延び、左右方向に配列されている。図4の例において、複数のデータ線254は左右方向に等間隔に配置されており、それらの形状は共通である。複数のデータ線254は、それぞれ、平面視においてブラックマトリックス274の第2暗線部309と重なっておらず、ずれた位置に配置されている。
【0049】
従って、複数のデータ線254は、それぞれ、画素142内を通過している。図4の例において、データ線254は画素142の中央を通過しており、データ線254と第2暗線部309とは、左右方向に等間隔(所定ピッチ)P2に配列された暗線部群を構成している。一例において、データ線254の幅と第2暗線部309の幅は同一である。
【0050】
ゲート線303とデータ線254とが交差する位置に、TFT305(スイッチング素子)が配置されている。ゲート線303とデータ線254とは、画素142の中央を通過しているため、TFT305は、画素142の中心位置と重なるように配置されている。なお、画素内を通過する他の暗線部は存在していない。
【0051】
図4の構成例において、共通電極及び共通電極に電圧を供給する共通配線は、透明導電材料を用いて形成され、光透性を有する。したがって、共通電極用の共通配線による明暗は生じない。共通配線は、遮光性であって、平面視においてデータ線やゲート線に隠されるように配設されていてもよい。また、縦電界制御型液晶パネルやFFS型液晶パネルにおいて、光透過性の共通電極が、表示領域の全域を覆うように形成され得る。このように、本例において、ゲート線またはデータ線以外に、ブラックマトリックスで画定される画素内を通過する他の暗線部は存在していない。これ以降の例においても同様である。
【0052】
また、図4において、第2暗線部309、データ線254は直線状に配置されている。しかし、その配置は、モノクロ液晶パネルに積層されるカラー液晶パネルの副画素のレイアウトにより適切に配置設計される。たとえば、画素を複数の領域(ドメイン)に分割し、それぞれの領域における液晶配向方向を変えることで視野角を改善する方法、いわゆるマルチドメイン配向技術がある。
【0053】
こうした技術をIPS方式やFFS方式に用いる場合、副画素内で画素電極が屈曲するので、ブラックマトリックスやデータ線254もこれに合わせて屈曲して配置されることがある。このようなカラー液晶パネルにモノクロ液晶パネルを重ね合わせるとき、モノクロ液晶パネルの第2暗線部309、データ線254も、カラー液晶パネルのデータ線の屈曲に合わせた配置設計にすることが望ましい。以降に示す他の実施例についても同様である。
【0054】
図5は、図4に示すモノクロ画素142の拡大図を示す。ゲート線303及びデータ線254に接続されたTFT305は、コンタクトホール333において、画素電極313と接続されている。モノクロ画素142を画定するブラックマトリックス274は破線で囲まれている。
【0055】
通常、液晶パネルを1枚で表示させる場合、外光の影響により、TFTの特性が変動することを防ぐため、TFTをブラックマトリックスで覆い、外光から遮光する。しかし、本例の場合、モノクロ液晶パネルの上部にはカラー液晶パネルが積層され、カラー液晶パネルのブラックマトリックスがモノクロ液晶パネルの遮光を行うため、モノクロ液晶パネルにおいて、TFT305を遮光するためのブラックマトリックスは、必ずしも必要ない。したがって、図5において、TFT305を遮光するブラックマトリックスを設けていない。
【0056】
図5の例において、画素電極313は、モノクロ画素(領域)142の全域を覆う透明電極である。TFT305は、ゲート線303によりONされると、データ線254からのデータ信号(電圧)を、画素電極313に与える。なお、画素電極は、画素の透過光量を制御するものであれば、その形状は、モノクロ液晶パネル132のタイプに応じて任意である。一般に、画素電極は、透明電極(例えばITO)で形成される。
【0057】
図6は、図5におけるVI-VI切断線における断面図を示す。絶縁基板252の液晶層(図6において不図示)に対する主面上には、ゲート電極321が形成されている。ゲート電極321は、例えば、ゲート線303の一部である。ゲート電極321は、例えば、Al、Mo、Crなどを使用した金属又は合金の単層又は多層構造を有する。ゲート線303は、ゲート電極321と同材料で形成できる。
【0058】
ゲート絶縁膜323が、ゲート電極321を覆うように形成されている。ゲート絶縁膜323は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜又はこれらの積層膜である。TFT305に含まれる半導体膜325が、ゲート絶縁膜323上に、平面視においてゲート電極321と重なるように形成されている。
【0059】
さらに、ソース/ドレイン電極327、329が、ゲート絶縁膜323上に半導体膜325と接触して形成されている。ソース/ドレイン電極327、329は、例えば、Al、Mo、Crなどを使用した金属又は合金の単層又は多層構造を有する。データ線254は、ソース/ドレイン電極327、329と同材料で形成できる。
【0060】
パッシベーション膜331が、ソース/ドレイン電極327、329及び半導体膜325を覆うように形成されている。パッシベーション膜331は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜又はこれらの積層膜である。ソース/ドレイン電極327がパッシベーション膜331から露出するように、コンタクトホール333がパッシベーション膜331に形成されている。コンタクトホール333において、画素電極335がソース/ドレイン電極327に接触している。
【0061】
図7は、モノクロ液晶パネル132の暗線部群を模式的に示す。暗線部群は、ブラックマトリックス274、ゲート線303及びデータ線254で構成されており、格子形状を示す。図7の例において、ゲート線303と第1暗線部307とは、上下方向に等間隔(所定ピッチ)P1に配列された暗線部群を構成している。これにより、上下方向における暗線群の空間周波数が高くなり、ゲート線303と第1暗線部307からなる暗線部群が視認されにくくなる。
【0062】
また、データ線254と第2暗線部309とは、左右方向(X軸方向)に等間隔(所定ピッチ)P2に配列された暗線部群を構成している。これにより、左右方向(Y軸方向)における暗線群の空間周波数が高くなり、データ線254と第2暗線部309からなる暗線部群が視認されにくくなる。
【0063】
図4及び7に示す構成例において、ブラックマトリックス274は、ゲート線303及びデータ線254を覆う必要がない。そのため、第1暗線部307及び第2暗線部309の幅を細くすることができ、それぞれ、例えばゲート線幅及びデータ線幅と同一とすることができる。これにより、さらに、暗線部群が視認されにくくすることができる。
【0064】
人の視覚は空間周波数に対する特性を持つことが知られている。例えば正弦波関数に従って明暗が変化する縞状パターンにおいて、正弦波関数の周波数が低くなれば、縞模様は粗くなり、人の目は縞模様の明暗を視認できるようになる。一方、正弦波関数の周波数が高くなると、縞模様は細かくなり、人の目は縞模様の明暗を判別できなくなる。また、視力検査に用いられるランドルフ環は、視覚特性を示す上で別の良い例である。
【0065】
ランドルフ環が小さくなり、環の切れ目が狭くなるほど、人の目は、その切れ目を判別できない。一方、ランドルフ環が大きく、環の切れ目も大きければ、人の目は、その切れ目を判別する。さらに、環の切れ目は、ランドルフ環を見る距離に応じて、視認できたり、できなかったりする。このように人の目は空間周波数特性と分解能を持つため、表示装置の画面上に周期性や規則性を持った明暗があると、それを視認してしまい、画質悪化になることがある。
【0066】
従って、モノクロ液晶パネル132における暗線部群のピッチは、例えば、カラー液晶パネル131に表示される画像を見る観察者との距離に応じて、人の目の分解能を超える空間周波数をもつように設定される。
【0067】
例えば、人間の目の分解能を定義する場合、目に投影される物体が成す角度である「視角」を小さくして行った場合に物体を認識できる限界の視角で表されることができる。一般に、人間の目の分解能は、視力1.0の場合においてはおおよそ1/60°(=1分)の視角が分解能と言われる。これを明暗の周期で置き換えると1/30°(=2分)周期の空間周波数となる。
【0068】
従って、視認可能なピッチ限界Pは、以下の次の式で表すことができる。
P=L*sin(π/(180*30))
ここで、Lは、目と観察対象物までの距離である。例えば、車載ディスプレイの場合、観察対象と目の距離は60cm程度となる。上記数式から、観察対象が目から60cmの距離にある場合、視認可能なピッチ限界は、略350μmとなる。明暗周期が350μm以上であると、縞状または格子状のパターンが人の目に認識され得る。
【0069】
例えば、図7に示すように、モノクロ液晶パネル132の1画素142が、正方形の形状を有しており、かつ350μm以上の画素ピッチであるとする。つまり、ブラックマトリックス274の暗線部307のピッチ及び暗線部309のピッチが、350μm以上であるとする。
【0070】
ゲート線303とデータ線254を、それらが画素142の中心で交差するように配置することで、画素境界(ブラック的とリックス)の暗線の間の中央に、ゲート線303及びデータ線254それぞれによる暗線を配置することができる。これにより、上下方向及び左右方向における明暗の空間周波数を2倍にして、暗線群を観察者に視認されにくくすることができる。このように、一方向における暗線群のピッチ(間隔)を350μm未満とすることで、より効果的に暗線群を視認されにくくすることができる。
【0071】
図8は、モノクロ液晶パネル132の他の構成例の平面図を示す。図8は、ブラックマトリックス、データ線、ゲート線、及びTFTのレイアウトを示す。図4に示す構成例と差異を説明する。図8の構成例において、少なくとも、ゲート線303の幅361とブラックマトリックス274の第1暗線部307の幅365、ならびにデータ線254の幅363と及びブラックマトリックス274の第2暗線部309の幅367は、各々おおよそ同じである。このように、ゲート線、データ線、画素間境界部の幅を、全て同じ幅にすることで、暗線部群による濃淡を、見えづらくすることができる。
【0072】
<他の実施形態>
以下において、暗線部群の他のレイアウト例を説明する。以下に説明する例において、ゲート線は平行する複数のサブゲート線を含み、データ線は平行する複数のサブデータ線を含む。サブゲート線とサブデータ線の交差位置にTFTが配置される。一つのモノクロ画素に対して、複数のTFTを介してデータ信号が与えられる。
【0073】
そのため、各TFTのサイズを小さくすることができ、TFTによる暗部を目立ちにくくすることができる。なお、一つのゲート線に含まれるサブゲート線の数及び一つのデータ線に含まれるサブデータ線の数は任意である。また、ゲート線及びデータ線の一方は、複数のサブ線を含まず、一つの主線のみで構成されてもよい。
【0074】
図9は、データ線及びデータ線が、それぞれ、複数のサブ線を含む構成例を示す。図9に示す構成例において、ゲート線は、平行する2本のサブゲート線を含む。サブゲート線の一方は、平面視においてブラックマトリックスに覆われ、他方はモノクロ画素内を通過している。データ線は、平行する2本のサブデータ線を含む。サブデータ線の一方は、平面視においてブラックマトリックスに覆われ、他方はモノクロ画素内を通過している。サブゲート線とサブデータ線との交差位置にTFTが配置されている。一つのモノクロ画素に対して四つのTFTからデータ信号が供給される。
【0075】
図9に示すように、ゲート線401は、左右方向(X軸方向)の延び、上下方向(Y軸方向)の配列された、二つのサブゲート線403及び405を含む。サブゲート線403及び405は平行であって、一つの伝送線407から分岐している。サブゲート線403及び405は、表示領域外において伝送線407から分岐しており、同一のゲート信号を伝送する。サブゲート線405は、ブラックマトリックス274の第1暗線部307に、平面視において覆われている。
【0076】
一方、サブゲート線403は、隣接する第1暗線部307の間において左右方向の延びており、モノクロ画素142内を通過する。上下方向において、第1暗線部307とサブゲート線403が、等間隔(所定ピッチ)P1で配列された暗線部群を構成する。
【0077】
データ線411は、左右方向の延び、上下方向の配列された、二つのサブデータ線413及び415を含む。サブデータ線413及び415は平行であって、一つの伝送線417から分岐している。サブデータ線413及び415は、表示領域外において伝送線417に接続しており、同一のデータ信号を伝送する。サブデータ線413は、ブラックマトリックス274の第2暗線部309に、平面視において覆われている。
【0078】
一方、サブデータ線415は、隣接する第2暗線部309の間において上下方向の延びており、モノクロ画素142内を通過する。左右方向において、第2暗線部309とサブデータ線415が、等間隔(所定ピッチ)P2で配列された暗線部群を構成する。
【0079】
図9に示す構成例において、一つのモノクロ画素142に対して、四つのTFT305が配置されている。例えば、四つのTFT305は、一つの画素電極に接続され、当該一つの画素電極に同一のデータ信号を供給する。
【0080】
図10は、データ線及びゲート線が、それぞれ、複数のサブ線を含む他の構成例を示す。図10に示す構成例において、ゲート線は平行する2本のサブゲート線を含み、双方のサブゲート線はモノクロ画素内を通過している。データ線は平行する2本のサブデータ線を含み、双方のサブデータ線はモノクロ画素内を通過している。
【0081】
図10に示すように、ゲート線451は、左右方向(X軸方向)に延び、上下方向(Y軸方向)に配列された、二つのサブゲート線453及び455を含む。サブゲート線453及び455は平行であって、一つの伝送線457から分岐している。サブゲート線453及び455は、表示領域外において伝送線407から分岐しており、同一のゲート信号を伝送する。
【0082】
サブゲート線453、455は、隣接する第1暗線部307の間において左右方向に延びており、モノクロ画素142内を通過する。上下方向において、第1暗線部307とサブゲート線403、405が、等間隔(所定ピッチ)P1で配列された暗線部群を構成する。
【0083】
データ線461は、左右方向に延び、上下方向に配列された、二つのサブデータ線463及び465を含む。サブデータ線463及び465は平行であって、一つの伝送線467から分岐している。サブデータ線463及び465は、表示領域外において伝送線467に接続しており、同一のデータ信号を伝送する。
【0084】
サブデータ線463、465は、隣接する第2暗線部309の間において上下方向に延びており、モノクロ画素142内を通過する。左右方向において、第2暗線部309とサブデータ線463、465が、等間隔(所定ピッチ)P2で配列された暗線部群を構成する。
【0085】
図10に示す構成例において、一つのモノクロ画素142に対して、四つのTFT305が配置されている。例えば、四つのTFT305は、一つの画素電極に接続され、当該一つの画素電極に同一のデータ信号を供給する。
【0086】
図11は、図10に示すモノクロ画素142の拡大図を示す。サブゲート線453及びサブデータ線463の交差位置に、それらに接続されているTFT305Aが配置されている。サブゲート線453及びサブデータ線465の交差位置に、それらに接続されているTFT305Bが配置されている。サブゲート線455及びサブデータ線463の交差位置に、それらに接続されているTFT305Cが配置されている。サブゲート線455及びサブデータ線465の交差位置に、それらに接続されているTFT305Dが配置されている。
【0087】
TFT305A~305Dは、それぞれ、コンタクトホールにおいて、画素電極473と接続されている。サブゲート線453、455が同一のゲート信号を伝送し、TFT305A~305Dは同時に選択される(ONとなる)。サブデータ線463、465は同一のデータ信号を伝送し、TFT305A~305Dは同一のデータ信号を画素電極473に与える。なお、画素電極は、画素の透過光量を制御するものであれば、その形状は、モノクロ液晶パネル132のタイプに応じて任意である。
【0088】
図12は、図10に示す構成例の暗線部群を模式的に示す。暗線部群は、ブラックマトリックスの暗線部307、309、サブゲート線453、455及びサブデータ線463、465で構成されており、格子形状を示す。図12の例において、第1暗線部307、サブゲート線453及び455は、上下方向(Y軸方向)に等間隔(所定ピッチ)P1に配列された暗線部群を構成している。これにより、上下方向における暗線群の空間周波数が高くなり、第1暗線部307とサブゲート線453、455からなる暗線部群が視認されにくくなる。
【0089】
また、第2暗線部309、サブデータ線463及び465は、左右方向(X軸方向)に等間隔(所定ピッチ)P2に配列された暗線部群を構成している。これにより、左右方向における暗線群の空間周波数が高くなり、第2暗線部309とサブデータ線463、465からなる暗線部群が視認されにくくなる。
【0090】
例えば、図12に示すように、モノクロ液晶パネル132の1画素142が、正方形の形状を有しており、かつ700μm以上の画素ピッチであるとする。つまり、ブラックマトリックス274の暗線部307のピッチ及び暗線部309のピッチが、700μm以上であるとする。
【0091】
各モノクロ画素142において、二つのサブゲート線453、455が左右方向において通過し、二つのサブデータ線463、465が上下方向において通過する。上述のように上下方向及び左右における暗線部群の間隔は一定である。そのため、上下方向及び左右方向における暗線部群の間隔を、350μm未満とすることができる。このように、データ線及び/又はゲート線が平行な複数のサブ線を含むことで、モノクロ画素の画素ピッチが大きい場合にも、観察者に視認されにくい暗線部群の空間周波数を実現することができる。
【0092】
図13は、データ線及びデータ線が、それぞれ、複数のサブ線を含む他の構成例を示す。図10に示す構成例との差異を説明する。図13に示す構成例において、ブラックマトリックス501は、TFT305のダミーパターンを含む。ダミーパターンは、ブラックマトリックス501に含まれるTFT305の複数のダミー511で構成される。ダミー511は、平面視においてTFT305に近似する矩形の暗部である。なお、ダミー511は、平面視においてTFT305と同一の形状を有してもよい。
【0093】
ダミーパターンとTFT305とで構成される暗部パターンは、表示領域内に均等に配置された暗部で構成される。つまり、TFT305とダミー511は、左右方向に等間隔に配列された暗部ラインと、上下方向に等間隔に配列された暗部ラインとを構成している。TFT305が配置されていない箇所に、ブラックマトリックス501のダミー511を配置することで、表示領域における明暗の規則性を補うことができる。
【0094】
図9、10の実施例において、第1暗線部の幅とサブゲート線の幅、ならびに第2暗線部とサブデータ線の幅は、図8の場合と同様に、おおよそ同じ幅である。また図13の実施例について、第1暗線部のダミーパターン以外の暗線部の幅とサブゲート線の幅、および第2暗線部のダミーパターン以外の暗線部の幅とサブデータ線の幅は、おおよそ同じ幅である。
【0095】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0096】
10 液晶表示装置、110 制御装置、130 液晶表示モジュール、131 カラー液晶パネル、132 モノクロ液晶パネル、133 面状光源、137、138 駆動回路、141 カラー画素、142 モノクロ画素、200、250 TFT基板、201、215、251 偏光板、202、214 絶縁基板、203、253、313、335、473 画素電極、211、261 液晶層、220、270 対向基板、223 カラーフィルタ、231 拡散シート、252、264 絶縁基板、224、274、501 ブラックマトリックス、307、309 暗線部、321 ゲート電極、323 ゲート絶縁膜、325 半導体膜、327、329 ソース/ドレイン電極、331 パッシベーション膜、333 コンタクトホール、361、363、365、367 幅、303、401、451 ゲート線、403、405、453、455 サブゲート線、407、417、457、467 伝送線、204、254、411、461 データ線、413、415、463、465 サブデータ線、511 ダミー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13