(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】オゾン水製造装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20230101AFI20240321BHJP
【FI】
C02F1/78
(21)【出願番号】P 2020011175
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 岬
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-021798(JP,A)
【文献】特開2015-054996(JP,A)
【文献】特開2009-195813(JP,A)
【文献】特開2008-055353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/50、78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンガスを生成するオゾン発生装置(20)と、
前記オゾン発生装置(20)から供給されたオゾンガスを含むオゾン水が流れる供給路(40)と、
前記供給路(40)の前記オゾン水のオゾン濃度Cを検出する検出部(46)と、
前記検出部(46)により検出したオゾン濃度Cを目標濃度Csetに収束させるように、前記オゾン発生装置(20)から前記供給路(40)へオゾンガスを供給する供給制御と、前記オゾン発生装置(20)から前記供給路(40)へのオゾンガスの供給を停止する停止制御とを交互に切り換える制御部(80)とを備え、
前記制御部(80)は、前記停止制御から前記供給制御に切り換わった後、前記オゾン濃度Cが目標濃度Csetより低い下降変曲点を経て第1閾値C1より高くなると、前記停止制御を実行し、
前記第1閾値C1は、前記目標濃度Csetと、前記下降変曲点に対応するオゾン濃度である最小値Cminとに基づいて求められた、該最小値Cminと前記目標濃度Csetとの間の値であることを特徴とするオゾン水製造装置。
【請求項2】
オゾンガスを生成するオゾン発生装置(20)と、
前記オゾン発生装置(20)から供給されたオゾンガスを含むオゾン水が流れる供給路(40)と、
前記供給路(40)の前記オゾン水のオゾン濃度Cを検出する検出部(46)と、
前記検出部(46)により検出したオゾン濃度Cを目標濃度Csetに収束させるように、前記オゾン発生装置(20)から前記供給路(40)へオゾンガスを供給する供給制御と、前記オゾン発生装置(20)から前記供給路(40)へのオゾンガスの供給を停止する停止制御とを交互に切り換える制御部(80)とを備え、
前記制御部(80)は、前記供給制御から前記停止制御に切り換わった後、前記オゾン濃度Cが目標濃度Csetより高い上昇変曲点を経て第2閾値C2より低くなると、前記供給制御を実行し、
前記第2閾値C2は、前記目標濃度Csetと、前記上昇変曲点に対応するオゾン濃度である最大値Cmaxとに基づいて求められた、該最大値Cmaxと前記目標濃度Csetとの間の値であることを特徴とするオゾン水製造装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御部(80)は、前記停止制御から前記供給制御に切り換わった後、前記オゾン濃度Cが目標濃度Csetより低い下降変曲点を経て第1閾値C1より高くなると、前記停止制御を実行し、
前記第1閾値C1は、前記目標濃度Csetと、前記下降変曲点に対応するオゾン濃度である最小値Cminとに基づいて求められた、該最小値Cminと前記目標濃度Csetとの間の値であることを特徴とするオゾン水製造装置。
【請求項4】
請求項1又は3において、
前記第1閾値C1は、
C1=Cset-(Cset-Cmin)×α (0<α<1)の関係式で表されることを特徴とするオゾン水製造装置。
【請求項5】
請求項2又は3において、
前記第2閾値C2は、
C2=Cset+(Cmax-Cset)×β (0<β<1)の関係式で表されることを特徴とするオゾン水製造装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記第1閾値C1は、
C1=Cset-(Cset-Cmin)×α (0<α<1)の関係式で表され、
前記第2閾値C2は、
C2=Cset+(Cmax-Cset)×β (0<β<1)の関係式で表され、
前記βが前記αより小さいことを特徴とするオゾン水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オゾン水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾン水を生成し、生成したオゾン水を所定の対象へ供給するオゾン水製造装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたオゾン水製造装置は、オゾン発生装置と、エジェクタと、タンクとを有する。オゾン発生装置で生成したオゾンガスは、エジェクタにおいて、液流路を流れる水と混合する。エジェクタでは、オゾンガスが水に溶解し、オゾン水が生成される。オゾン水はタンクに貯留される。タンク内のオゾン水は、供給路を介して所定の対象へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなオゾン水製造装置は、対象へ供給されるオゾン水のオゾン濃度を調節する。具体的には、オゾン発生装置のガス流路には、開閉弁が設けられる。供給路には、オゾン濃度センサが設けられる。制御部は、オゾン濃度センサが検出したオゾン濃度が所定の目標濃度に収束するように開閉弁を制御する。
【0006】
ところが、このような制御では、オゾン濃度が目標濃度になかなか収束しないという問題があった。この点について
図9を参照しながら詳細に説明する。
図9において、横軸は時間、縦軸はオゾン濃度センサが検出したオゾン濃度Cである。
図9の白丸印は、供給制御の開始を意味し、×印は停止制御の開始を意味する。
【0007】
オゾン発生装置の運転が開始すると、点p1において、供給制御が実行される。供給制御では、開閉弁が開状態となり、オゾンガスが供給路へ供給される。供給制御が開始すると、オゾン濃度Cが徐々に高くなる。点p2においてオゾン濃度Cが目標濃度Csetに達すると、停止制御が実行される。停止制御では、開閉弁が閉状態となり、オゾンガスの供給路への供給が停止する。しかし、停止制御が開始された時点からオゾン濃度Cが低下するまでの間では、時間遅れが生じる。このため、オゾン濃度Cは目標濃度Csetを大きく上回り、オゾン濃度Cのオーバーシュートの幅が大きくなる。
【0008】
その後、オゾン濃度Cが低下し、点p3においてオゾン濃度Cが目標濃度Csetに達すると、再び供給制御が実行される。しかし、供給制御が開始されてからオゾン濃度が上昇するまでの間には、時間遅れが生じる。加えて、オゾン水中のオゾンは、いわゆる自己分解反応により消費される。自己分解反応は、オゾンが、例えばOHラジカルや、スーパーオキサイドラジカルと反応し連鎖的に分解される反応である。このため、点p3において、停止制御が実行されたとしても、オゾン濃度Cが目標濃度Csetを大きく下回り、オゾン濃度Cのアンダーシュートの幅が大きくなる。
【0009】
以上のように、
図9に示す比較例の制御では、オゾン濃度Cのアンダーシュート及びオーバーシュートの幅が比較的大きくなる。このため、オゾン濃度Cが目標濃度Csetになかなか収束せず、所望のオゾン濃度に対してのふらつきが大きいという問題があった。
【0010】
本開示は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、オゾン濃度を目標濃度に速やかに収束させることができるオゾン水製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本開示の制御部(80)は、停止制御から供給制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが、最小値Cminと目標濃度Csetとの間の所定の第1閾値C1より高くなると、停止制御を行うようにした。本開示では、オゾン濃度Cが目標濃度Csetよりも低い第1閾値C1を上回ると、停止制御が行われる。このため、上述した比較例よりも早いタイミングで停止制御を実行できるので、オゾン濃度Cのオーバーシュートの幅を小さくできる。
【0012】
上記の課題を解決するために、本開示の制御部(80)は、供給制御から停止制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが、最大値Cmaxと目標濃度Csetとの間の所定の第2閾値C2より低くなると供給制御を行うようにした。本開示では、オゾン濃度Cが目標濃度Csetよりも高い第2閾値C2を下回ると、供給制御が行われる。このため、上述した比較例よりも早いタイミングで供給制御を実行できるので、オゾン濃度Cのアンダーシュートの幅を小さくできる。
【0013】
第1閾値C1は、C1=Cset-(Cset-Cmin)×α (0<α<1)の関係式で表されるのが好ましい。この関係式により、第1閾値C1を目標濃度Csetより低い値にできる。
【0014】
第2閾値C2は、C2=Cset+(Cmax-Cset)×β (0<β<1)の関係式で表されるのが好ましい。この関係式により、第2閾値C2を目標濃度Csetより高い値にできる。
【0015】
前記βを前記αより小さくしてもよい。オゾンガスの自己分解反応の速度は、オゾン発生装置から供給路へオゾンガスを供給する速度よりも遅い傾向にある。このため、βが大きすぎると、供給制御が開始された後、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに至らない可能性がある。これに対し、βをαより低くすることで、第2閾値が比較的低くなる。このため、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに至らないことを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、停止制御を実行するための第1閾値C1が、目標濃度Csetよりも低くなるため、比較的早いタイミングで停止制御を実行できる。このため、オゾン濃度のオーバーシュートの幅を低減でき、オゾン濃度Cを目標濃度Csetに速やかに収束できる。第1閾値C1は、オゾン濃度Cの下降変曲点に対応する最小値Cminと、目標濃度Csetとに基づいて決定される。このため、第1閾値C1が過剰に低くなったり、過剰に高くなったりすることを抑制できる。
【0017】
本開示によれば、供給制御を実行するための第2閾値C2が、目標濃度Csetよりも高くなるため、比較的早いタイミングで供給制御を実行できる。このため、オゾン濃度のアンダーシュートの幅を低減でき、オゾン濃度Cを目標濃度Csetに速やかに収束できる。第2閾値C2は、オゾン濃度Cの上昇変曲点に対応する最大値Cmaxと目標濃度Csetとに基づいて決定される。このため、第2閾値C2が過剰に低くなったり、過剰に高くなったりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係るオゾン水製造装置の概略の構成を示す配管系統図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るオゾン濃度制御の全体のフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係るオゾン濃度制御における、オゾン濃度と時間の関係を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る供給制御のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る停止制御のフローチャートである。
【
図6】
図6は、オゾン濃度が上昇し続ける場合の制御を説明するための、
図3に対応するグラフである。
【
図7】
図7は、オゾン濃度が低下し続ける場合の制御を説明するための、
図3に対応するグラフである。
【
図8】
図8は、変形例2に係るオゾン水製造装置の概略の構成を示す配管系統図である。
【
図9】
図9は、比較例に係るオゾン濃度制御における、オゾン濃度と時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0020】
《実施形態》
実施形態に係るオゾン水製造装置(1)はオゾン水を生成し、生成したオゾン水を所定の対象へ供給する。所定の対象は、例えば半導体製造工場である。
図1に示すように、オゾン水製造装置(1)は、オゾン発生装置(20)を有するガス流路(10)と、タンク(44)、エジェクタ(35)、及びポンプ(45)を有する液流路(30)とを備える。
【0021】
〈ガス流路〉
ガス流路(10)には、オゾン発生装置(20)が設けられる。オゾン発生装置(20)は、放電方式のオゾナイザである。オゾン発生装置(20)は、酸素を原料とし、該酸素中で放電を生起することによりオゾンガスを生成する。
【0022】
ガス流路(10)は、ガス供給路(11)と、ガス排出路(12)とを含む。ガス供給路(11)の流入端は、オゾン発生装置(20)に接続する。ガス供給路(11)の流出端は、エジェクタ(35)のガス吸引部(35c)に接続する。ガス排出路(12)は、ガス供給路(11)から分岐している。
【0023】
ガス供給路(11)には、第1ガス開閉弁(13)が設けられる。第1ガス開閉弁(13)は、ガス供給路(11)におけるガス排出路(12)の分岐部の下流側に設けられる。第1ガス開閉弁(13)は、ガス供給路(11)を開閉する。
【0024】
ガス排出路(12)には、第2ガス開閉弁(14)が設けられる。第2ガス開閉弁(14)はガス排出路(12)を開閉する。ガス排出路(12)から排出されるオゾンガスは、例えばオゾン分解装置(図示省略)で処理される。
【0025】
〈液流路の全体構成〉
液流路(30)は、給水路(31)、供給路(40)、第1返送流路(60)、及び第2返送流路(70)を有する。給水路(31)は、原水を液流路(30)へ補給するための流路である。なお、原水は、水を主成分とするものであればよく、他の成分を含有する液体(例えば炭酸水)であってもよい。供給路(40)は、オゾン水を対象へ供給するための流路である。第1返送流路(60)は、供給路(40)のオゾン水をエジェクタ(35)の上流側に戻す流路である。第2返送流路(70)は、オゾン水をタンク(44)に戻す流路である。
【0026】
〈給水路〉
給水路(31)の流入端は、原水の供給源に接続する。給水路(31)の流出端は、エジェクタ(35)の液流入部(35a)に接続する。給水路(31)には、その上流側から下流側に向かって順に、給水側開閉弁(32)、及び第1流量センサ(33)が設けられる。給水側開閉弁(32)は、給水路(31)を開閉する。給水側開閉弁(32)は、例えばエアオペレイトバルブで構成される。第1流量センサ(33)は、給水路(31)を流れる水の流量を計測する。なお、以下の説明において述べる「水」は、オゾンを含有する水を意味する場合もある。
【0027】
〈エジェクタ〉
エジェクタ(35)は、液流入部(35a)、液流出部(35b)、及びガス吸引部(35c)を有する。液流入部(35a)には、給水路(31)の流出端が接続する。液流入部(35a)は、供給路(40)の流入端が接続する。ガス吸引部(35c)には、ガス供給路(11)の流出端が接続する。エジェクタ(35)の内部には、図示を省略した、ノズル部、混合部、及びディフューザ部が設けられる。エジェクタ(35)では、液流入部(35a)から流入した水がノズル部を流れる際、その水の流速が加速される。ノズル部では、その先端の絞り部分により水が減圧される。ノズル部では、その前後の水の差圧により、ガス吸引部から混合部へオゾンガスが吸引される。吸引されたオゾンガスは、混合部において水と混合する。混合部では、水中にオゾンガスが溶解し、所定濃度のオゾン水が生成される。オゾン水は、流路断面が徐々に拡大したディフューザ部を流れて昇圧された後、液流出部(35b)から供給路(40)へ流出する。
【0028】
〈供給路〉
供給路(40)は、第1管(41)と、第2管(42)と、第3管(43)とを含む。第1管(41)の流入端はエジェクタ(35)の液流出部(35b)に接続する。第1管(41)の流出端はタンク(44)に接続する。第2管(42)の流入端はタンク(44)に接続する。第2管(42)の流出端は、第1返送流路(60)の流入端、第2返送流路(70)の流入端、及び第3管(43)の流入端が接続する。第3管(43)の流出端は、所定の対象に繋がる。第2管(42)には、その上流端から下流側に向かって順に、ポンプ(45)、オゾン濃度センサ(46)、及び圧力センサ(47)が設けられる。第3管(43)には、その上流側から下流側に向かって順に、第2流量センサ(48)及び供給側開閉弁(49)が設けられる。
【0029】
タンク(44)は、中空状の容器である。タンク(44)は、水を一時的に貯留する。タンク(44)内に残留するオゾンガスは、排オゾンとしてタンク(44)の外部へ排出される。排出された排オゾンは、例えばオゾン分解装置(図示省略)で処理される。
【0030】
タンク(44)には、タンク(44)内の水位を検出するレベルセンサ(50)が設けられる。レベルセンサ(50)は、少なくともL及びHの2段階の水位を検出可能に構成される。レベルセンサ(50)は、水位検出部に対応する。
【0031】
ポンプ(45)は、供給路(40)の水を搬送する。
【0032】
オゾン濃度センサ(46)は、供給路(40)の水(オゾン水)のオゾン濃度を検出する。オゾン濃度センサ(46)は、検出部に対応する。オゾン濃度センサ(46)で検出されたオゾン濃度を示す信号は、制御部(80)に出力される。
【0033】
圧力センサ(47)は、供給路(40)(厳密には、第2管(42))の水の圧力を検出する。
【0034】
第2流量センサ(48)は、供給路(40)(厳密には、第3管(43))の水の流量を検出する。
【0035】
供給側開閉弁(49)は、供給路(40)(厳密には、第3管(43))を開閉する。供給側開閉弁(49)は、例えばエアオペレイトバルブで構成される。
【0036】
〈第1返送流路〉
第1返送流路(60)の流入端は、第2管(42)の流出端に接続する。第1返送流路(60)の流出端は、給水路(31)に接続する。第1返送流路(60)には、流量調節弁(61)が設けられる。流量調節弁(61)は、第1返送流路(60)を流れる水の流量を調節する。ここで、流量調節弁(61)によって調節される水の流量はゼロも含む。この場合、流量調節弁(61)は、全閉状態となる。
【0037】
〈第2返送流路〉
第2返送流路(70)の流入端は、第2管(42)の流出端に接続する。第2返送流路(70)の流出端は、タンク(44)に接続する。第2返送流路(70)には、第1背圧弁(71)が設けられる。第1背圧弁(71)は、第2返送流路(70)、あるいは供給路(40)の水圧を一定に調節する圧力調節弁である。
【0038】
〈制御部〉
図1に模式的に示すように、オゾン水製造装置(1)は、制御部(80)を備える。制御部(80)は、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを有する。制御部(80)は、検出信号などが入力される入力部と、制御信号などを出力する出力部とを有する。
【0039】
図1において図示は省略するが、制御部(80)の入力部には、レベルセンサ(50)で検出された水位(L及びH)が入力される。制御部(80)は、レベルセンサ(50)の検出水位に応じて、給水側開閉弁(32)を制御する。具体的には、レベルセンサ(50)の検出水位がLに達すると、制御部(80)は、給水側開閉弁(32)を開ける。給水側開閉弁(32)が開状態になると、原水がタンク(44)に補充される。その後、レベルセンサ(50)の検出水位がHに達すると、制御部(80)は、給水側開閉弁(32)を閉じる。給水側開閉弁(32)が閉状態になると、タンク(44)への原水の供給が停止する。
【0040】
図1において図示は省略するが、制御部(80)は、オゾン発生装置(20)の運転及び停止を切り換える。加えて、制御部(80)は、供給側開閉弁(49)の開閉状態を切り換える。
【0041】
制御部(80)の入力部には、オゾン濃度センサ(46)で検出されたオゾン濃度Cが入力される。制御部(80)は、オゾン濃度センサ(46)で検出したオゾン濃度Cが目標濃度Csetに収束するように、制御部(80)は少なくとも第1ガス開閉弁(13)を制御する。制御部(80)は、供給制御と停止制御とを交互に切り換える。供給制御は、オゾン発生装置(20)から供給路(40)へオゾンガスを供給するための制御である。停止制御は、オゾン発生装置(20)から供給路(40)へのオゾンガスの供給を停止する制御である。
【0042】
制御部(80)は、記憶部を有する。記憶部は、目標濃度Cset、Lower閾値C1、Upper閾値C2、最小値Cmin、最大値Cmaxを記憶する。記憶部では、これらのパラメータが適宜更新される。目標濃度Csetは、対象へ供給されるオゾン濃度Cの目標値である。Lower閾値C1は、供給制御から停止制御への切換の判定を行うための判定値である。Lower閾値C1は第1閾値に対応する。Upper閾値C2は、停止制御から供給制御への切換の判定を行うための判定値である。Upper閾値C2は、第2閾値に対応する。最小値Cminは、供給制御中における目標濃度Csetより低い範囲での、下降変曲点に対応するオゾン濃度Cである。最大値Cmaxは、停止制御中における目標濃度Csetより高い範囲での、上昇変曲点に対応するオゾン濃度Cである。
【0043】
停止制御から供給制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが第1閾値C1より高くなると、制御部(80)は停止制御を実行する。第1閾値C1は、最小値Cminと目標濃度Csetとの間の値である。制御部(80)の演算部は、以下の(1)式によって第1閾値C1を求める。
【0044】
C1=Cset-(Cset-Cmin)×α (0<α<1) ・・・・(1)
【0045】
αは0より大きく1より小さければよい。好ましくは、αは0.2より大きく0.8より小さいのがよい。より好ましくは、αは0.3より大きく0.7より小さいのがよい。より好ましくは、αは0.4より大きく0.8より小さいのがよい。最も好ましくは、αは0.5であるのがよい。制御部(80)は、αを適宜変更する設定部を有する。αの初期設定値は0.5である。
【0046】
供給制御から停止制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが第2閾値C2より低くなると、制御部(80)は供給制御を実行する。第2閾値C2は、最大値Cmaxと目標濃度Csetとの間の値である。制御部(80)の演算部は、以下の(2)式によって第2閾値C2を求める。
【0047】
C2=Cset+(Cmax-Cset)×β (0<β<1) ・・・・(2)
【0048】
βは0より大きく1より小さければよい。好ましくは、βは0.2より大きく0.8より小さいのがよい。より好ましくは、βは0.3より大きく0.7より小さいのがよい。より好ましくは、βは0.4より大きく0.8より小さいのがよい。最も好ましくは、βは0.5であるのがよい。制御部(80)は、βを適宜変更する設定部を有する。βの初期設定値は0.5である。
【0049】
-運転動作-
オゾン水製造装置(1)の運転動作について
図1を参照しながら説明する。
【0050】
オゾン水製造装置(1)の運転時には、制御部(80)がオゾン発生装置(20)を運転させる。オゾン発生装置(20)では、電極対の間で無声放電が行われる。制御部(80)は、供給側開閉弁(49)を開放する。ポンプ(45)は運転状態である。
【0051】
オゾン発生装置(20)で無声放電が行われると、所定濃度のオゾンガスが生成される。オゾン発生装置(20)で生成されたオゾンガスは、ガス供給路(11)を流れ、エジェクタ(35)のガス吸引部(35c)へ送られる。ポンプ(45)が運転されると、第1返送流路(60)の水が給水路(31)を介してエジェクタ(35)の液流入部(35a)へ送られる。エジェクタ(35)では、ガス吸引部(35c)に吸引されたオゾンガスと、液流入部(35a)に流入した水とが混合し、水中にオゾンガスが溶解する。エジェクタ(35)内のオゾン水は、第1管(41)を介してタンク(44)に送られ、タンク(44)内に一時的に貯留される。
【0052】
タンク(44)内のオゾン水は、第2管(42)、第3管(43)を順に流れ対象へ送られる。第2管(42)のオゾン水の一部は、第1返送流路(60)を介して給水路(31)に戻される。第2管(42)を流れる水量よりも、対象へ供給される水量と第1返送流路(60)を流れる水量との合計が多いことがある。この場合、第2管(42)の余剰のオゾン水は、第2返送流路(70)を介してタンク(44)へ戻される。
【0053】
〈オゾン濃度の制御〉
上述したオゾン発生装置(20)の運転時には、制御部(80)が、オゾン濃度Cを目標濃度Csetに収束させる制御(以下、オゾン濃度制御という)を行う。オゾン濃度制御について、
図2~
図7を参照しながら説明する。
【0054】
〈オゾン濃度制御の基本的な流れ〉
図2に示すように、オゾン水製造装置(1)の運転が開始されると、オゾン濃度制御が実行される。ステップST1において、制御部(80)は、Lower閾値C1、Upper閾値C2、最小値Cmin、及び最大値Cmaxを、目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定する。
【0055】
ステップST2では、制御部(80)が、オゾン水製造装置(1)の運転終了の指令の有無を判定する。運転終了の指令が制御部(80)の入力部に入力されると、制御部(80)は、オゾン濃度制御を終了させる。そうでない場合、ステップST3が実行される。
【0056】
ステップST3では、制御部(80)が供給制御を実行する。供給制御では、制御部(80)が第1ガス開閉弁(13)を開ける。加えて、制御部(80)は第2ガス開閉弁(14)を閉じる。この状態では、オゾン発生装置(20)から生成されたオゾンガスが供給路(40)へ供給される。
【0057】
ステップST4では、制御部(80)が停止制御を実行する。停止制御では、制御部(80)が第1ガス開閉弁(13)を閉じる。加えて、制御部(80)は第2ガス開閉弁(14)を開ける。この状態では、オゾン発生装置(20)から供給路(40)へのオゾンガスの供給が停止する。オゾン発生装置(20)から生成した余剰のオゾンガスは、ガス排出路(12)を流れ、例えばオゾン分解装置により分解される。
【0058】
ステップST4が終了すると、再びステップST2が実行される。以上のように、制御部(80)は、運転終了の指令が入力されるまで、供給制御(ステップST3)と、停止制御(ステップST4)とを交互に繰り返し行う。
【0059】
〈初回の供給制御〉
オゾン水製造装置(1)の運転が開始した直後には、初回の供給制御が実行される。
図4に示すように、供給制御が開始すると、ステップST31において、制御部(80)が第1ガス開閉弁(13)を開ける。ステップST31において、制御部(80)は第2ガス開閉弁(14)を閉じる。その結果、オゾン発生装置(20)から生成したオゾンガスが供給路(40)に供給される。
【0060】
図3に示すように、初回の供給制御では、点a1(オゾン濃度C=0)の状態から、オゾン濃度Cが徐々に上昇する。オゾン濃度Cが点a2(目標濃度Cset)に至るまでは、オゾン濃度Cが目標濃度Csetより低い。このため、ステップST32において、制御部(80)は、オゾン濃度Cが目標濃度Csetより低いと判断する。この場合、ステップST34が実行される。ステップST34では、制御部(80)は、最大値Cmax、Lower閾値C1を目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定する。
【0061】
ステップST35において、制御部(80)は、オゾン濃度CがLower閾値C1より高いか否かを判定する。Lower閾値C1は、ステップST1において目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定された。このため、オゾン濃度が点a2より高くなると、ステップST35の条件が成立し、供給制御が終了する。
【0062】
〈初回の供給制御の後における停止制御〉
初回の供給制御が終了すると、停止制御が実行される。
図5に示すように、停止制御が開始すると、ステップST41において、制御部(80)が第1ガス開閉弁(13)を閉じる。ステップST41において、制御部(80)は第2ガス開閉弁(14)を開ける。その結果、オゾン発生装置(20)から生成したオゾンガスは供給路(40)に供給されない。
【0063】
ステップST42では、制御部(80)は、オゾン濃度Cが目標濃度Csetより高いか否かを判定する。第1ガス開閉弁(13)が閉じると、供給路(40)へのオゾンガスの供給が停止する。しかしながら、オゾンガスの供給を停止してからオゾン濃度Cが低下するまでの間には、時間遅れが生じる。この時間遅れに起因し、点a2においてオゾンガスの供給が停止した直後には、オゾン濃度Cがさらに上昇する。その結果、ステップST42の条件が成立し、ステップST44が実行される。
【0064】
ステップST44では、制御部(80)は、最小値Cmin及びUpper閾値C1を目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定する。
【0065】
ステップST45において、制御部(80)は、オゾン濃度CがUpper閾値C2より低いか否かを判定する。前回の供給制御のステップST34では、Upper閾値C2が目標濃度(例えば20ppm)に設定された。このため、オゾン濃度Cが点a2の目標濃度Csetより高い状況では、ステップST45の条件が成立せず、ステップST46が実行される。
【0066】
ステップST46において、制御部(80)は、オゾン濃度Cが最大値Cmaxより高いか否かを判定する。直前の供給制御のステップST34では、最大値Cmaxが目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定された。このため、オゾン濃度Cが点a2の目標濃度Csetより高い状況では、ステップST46の条件が成立し、ステップST47が実行される。
【0067】
ステップST47では、制御部(80)は、最大値Cmaxを現在のオゾン濃度Cに更新する。次いで、ステップST48では、制御部(80)は、上記式(2)に基づきUpper閾値C2を算出する。次いで、ステップST45に戻る。
【0068】
ステップST46及びステップST47は、オゾン濃度Cが上昇変曲点に達するまで繰り返し実行される。
【0069】
第1ガス開閉弁(13)が閉じてからある時間が経過すると、オゾン濃度Cが点a3の上昇変曲点に達し、その後、オゾン濃度Cが低下する。オゾン濃度Cが点a2と点a3との間にある期間は、ステップST45の条件は成立しない。
【0070】
オゾン濃度Cが点a3の上昇変曲点(最大値Cmax)より低くなると、ステップST46の条件が成立しない。このため、ステップST47及びST48がスキップされ、ステップST45が実行される。言い換えると、オゾン濃度Cが上昇変曲点(点a3)を過ぎた後には、最大値Cmax及びUpper閾値C2が更新、あるいは算出されることはない。
【0071】
その後、オゾン濃度CがUpper閾値C2である点a4より低くなると、ステップST45の条件が成立する。その結果、停止制御が終了し、再び供給制御が実行される。
【0072】
〈2回目以降の供給制御〉
初回の停止制御が終了すると、2回目の供給制御が実行され、ステップST31において再びオゾンガスが供給路(40)に供給される。しかしながら、オゾンガスの供給を開始してからオゾン濃度Cが上昇するまでの間には、時間遅れが生じる。加えて、供給路(40)に供給されるオゾン水のオゾン濃度Cは、いわゆる自己分解反応により速やかに低下する。このため、点a4においてオゾンガスの供給が開始した直後では、オゾン濃度Cはさらに減少する。
【0073】
オゾン濃度Cが点a4と点a5(目標濃度Cset)との間にある期間は、ステップST32の条件が成立せず、ステップT33が実行される。ステップST33では、制御部(80)は、オゾン濃度Cが最大値Cmaxより高いか否かの判定を行う。点a4から点a5までの間のオゾン濃度Cは、最大値Cmaxより低い。なお、ここでいう最大値Cmaxは、前回の停止制御において求められた最大値(点a3)に対応する。このため、ステップST33の条件は成立せず、再びステップST32が実行される。
【0074】
その後、オゾン濃度Cが点a5の目標濃度Csetより低くなると、ステップST32の条件が成立し、ステップST34が実行される。ステップST34では、制御部(80)は、最大値Cmax及びUpper閾値C2を目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定する。
【0075】
ステップST35において、制御部(80)は、オゾン濃度CがLower閾値C1より高いか否かを判定する。前回の停止制御のステップST44では、Lower閾値C1が目標濃度(例えば20ppm)に設定された。このため、オゾン濃度Cが点a5の目標濃度Csetより低い状況では、ステップST35の条件が成立せず、ステップST36が実行される。
【0076】
ステップST36において、制御部(80)は、オゾン濃度Cが最小値Cminより低いか否かを判定する。直前の停止制御のステップST44では、最小値Cminが目標濃度Cset(例えば20ppm)に設定された。このため、オゾン濃度が点a5の目標濃度Csetより低い状況では、ステップST36の条件が成立し、ステップST37が実行される。
【0077】
ステップST37では、制御部(80)は、最小値Cminを現在のオゾン濃度Cに更新する。次いで、ステップST38では、制御部(80)は、上記式(1)に基づきLower閾値C1を算出する。次いで、ステップST35に戻る。
【0078】
ステップST36及びステップST37は、オゾン濃度Cが下降変曲点に達するまで繰り返し実行される。
【0079】
第1ガス開閉弁(13)が開いてからある時間が経過すると、オゾン濃度Cが点a6の下降変曲点に達し、その後、オゾン濃度Cが上昇する。オゾン濃度Cが点a5と点a6との間にある期間は、ステップST35の条件は成立しない。
【0080】
オゾン濃度Cが点a6の下降変曲点(最小値Cmin)より低くなると、ステップST36の条件は成立しない。このため、ステップST37及びST38がスキップされ、ステップST35が実行される。言い換えると、オゾン濃度Cが下降変曲点(点a6)を過ぎた後には、最小値Cmin及びLower閾値C1が更新、あるいは算出されることはない。
【0081】
その後、オゾン濃度CがLower閾値C1である点a7より高くなると、ステップST35の条件が成立する。その結果、供給制御が終了し、再び停止制御が実行される。その後の停止制御及び供給制御は上述したとおりである。制御部(80)は、
図2のステップST2の運転終了の指令が入力されるまで、停止制御及び供給制御を交互に繰り返し行う。この結果、
図3に示すように、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに速やかに収束する。
【0082】
〈供給制御においてオゾン濃度が目標濃度に収束しない場合の制御例〉
上述したように、供給制御から停止制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが上昇変曲点を経てUpper閾値C2より低くなると、制御部(80)は供給制御を実行する。しかし、運転条件、あるいはβの設定値によっては、供給制御においてオゾン濃度Cがさほど低くならず、目標濃度Csetまで至らない可能性がある。そこで、このような場合、制御部(80)は供給制御を終了し、停止制御を実行させる。この制御について、
図4及び
図6を参照しながら説明する。
【0083】
オゾン濃度Cが
図6の点b1のUpper閾値C2より低くなると、供給制御が実行される。時間遅れの影響により、オゾン濃度Cがさらに低下する。この場合、ステップST32の条件が成立せず、ステップST33が実行される。
図6に示すように、オゾン濃度Cの下降変曲点(点b2)が目標濃度Csetよりも高くなると、ステップST32の条件が成立せず、ステップST34以降の処理が行われない。
【0084】
この場合には、オゾン濃度Cが、さらに上昇し最大値Cmaxより高くなる。ここで、最大値Cmaxは、前回の停止制御において求められた値である。この場合、ステップST33の条件が成立し、供給制御が終了する。次いで、停止制御が実行される。
【0085】
以上のように、停止制御から供給制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが前回の停止制御の最大値Cmaxより高くなると、制御部(80)は、供給制御を終了し、停止制御を実行させる。この制御により、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに収束せずに上昇し続けることを確実に抑制できる。
【0086】
〈停止制御においてオゾン濃度が目標濃度に収束しない場合の制御例〉
上述したように、停止制御から供給制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが下降変曲点を経てLower閾値C1より高くなると、制御部(80)は停止制御を実行する。しかし、運転条件、あるいはαの設定値によっては、停止制御おいてオゾン濃度Cがさほど高くならず、目標濃度Csetまで至らない可能性がある。そこで、このような場合、制御部(80)は停止制御を終了し、供給制御を実行させる。この制御について、
図5及び
図7を参照しながら説明する。
【0087】
オゾン濃度Cが
図7の点d1のLower閾値C1より高くなると、停止制御が実行される。時間遅れの影響により、オゾン濃度Cがさらに上昇する。この場合、ステップST42の条件が成立せず、ステップST43が実行される。
図7に示すように、オゾン濃度Cの上昇変曲点(点d2)が目標濃度Csetよりも低くなると、ステップST43の条件が成立せず、ステップST44以降の処理が行われない。
【0088】
この場合には、オゾン濃度Cが、さらに低下し最小値Cminより低くなる。ここで、最小値Cminは、前回の供給制御において求められた値である。この場合、ステップST43の条件が成立し、停止制御が終了する。次いで、供給制御が実行される。
【0089】
以上のように、供給制御から停止制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが前回の停止制御の最小値Cminより低くなると、制御部(80)は、停止制御を終了し、供給制御を実行させる。この制御により、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに収束せずに低下し続けることを確実に抑制できる。
【0090】
-実施形態の効果-
停止制御では、供給制御の実行を判定するUpper閾値C2が、最大値Cmaxと目標濃度Csetとに基づいて求められる。Upper閾値C2は、最大値Cmaxと目標濃度Csetとの間の値である。Upper閾値C2は目標濃度Csetよりも高いので、速やかに供給制御を実行できる。Upper閾値C2は最大値Cmaxより低いので、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに達しないという不具合を回避できる。この結果、
図9に示す比較例と比べて、オゾン濃度Cのアンダーシュートの幅を低くでき、オゾン濃度Cを速やかに目標濃度Csetに収束させることができる。
【0091】
特にβを0.5とすることにより、Upper閾値C2は最大値Cmaxと目標濃度Csetとの中間の値となる。このため、Upper閾値C2が過剰に低くなることで、アンダーシュートの幅を十分に低減できないことを抑制できる。Upper閾値C2が過剰に高くなることで、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに達しないという不具合を確実に回避できる。
【0092】
供給制御では、停止制御の実行を判定するLower閾値C1が、最小値Cminと目標濃度Csetとに基づいて求められる。Lower閾値C1は、最小値Cminと目標濃度Csetとの間の値である。Lower閾値C1は目標濃度Csetよりも低いので、速やかに停止制御を実行できる。Lower閾値C1は最小値Cminより高いので、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに達しないという不具合を回避できる。この結果、
図9に示す比較例と比べて、オゾン濃度Cのアンダーシュートの幅を低くでき、オゾン濃度Cを速やかに目標濃度Csetに収束させることができる。
【0093】
特にβを0.5とすることにより、Lower閾値C1は最小値Cminと目標濃度Csetとの中間の値となる。このため、Lower閾値C1が過剰に高くなることで、オーバーシュートの幅を十分に低減できないことを抑制できる。Lower閾値C1が過剰に低くなることで、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに達しないという不具合を確実に回避できる。
【0094】
-実施形態の変形例-
上述した実施形態においては、以下のような変形例の構成としてもよい。
【0095】
〈変形例1〉
上記(2)式のβを上記(1)式のαより小さくしてもよい。オゾンガスの自己分解反応の速度は、オゾン発生装置(20)から供給路(40)へオゾンガスを供給する速度よりも遅い傾向にある。このため、βが大きすぎると、供給制御が開始された後、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに至らない可能性がある。これに対し、βをαより小さくすることで、第2閾値であるUpper閾値C2が比較的低くなる。このため、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに至らないことを抑制できる。
【0096】
〈変形例2〉
図8に示す変形例2のオゾン水製造装置(1)は、タンク(44)及びエジェクタ(35)の関係が上記実施形態と異なる。変形例2の液流路(30)では、エジェクタ(35)の上流側にタンク(44)が配置される。給水路(31)の流出端がタンク(44)と接続する。タンク(44)とエジェクタ(35)の液流入部(35a)との間には中継路(75)が接続される。中継路(75)には、ポンプ(45)と第1流量センサ(33)とが設けられる。エジェクタ(35)の液流出部(35b)と対象までの間に供給路(40)が設けられる。
【0097】
変形例2の液流路(30)は、実施形態と同様、第1返送流路(60)を有するが、第2返送流路(70)は有さない。第1返送流路(60)には、実施形態の流量調節弁(61)に代わって第2背圧弁(72)が設けられる。なお、変形例2の供給路(40)において、エジェクタ(35)の下流側に気液分離器を設けてもよい。気液分離器は、オゾン水中のオゾンガスを分離する。
【0098】
変形例2においても、オゾン濃度Cが目標濃度Csetに収束するように、上記実施形態と同様のオゾン濃度制御が行われる。変形例2では、供給路(40)にタンク(44)が設けられないため、供給制御及び停止制御に伴いオゾン濃度Cが変動しやすい。これに対し、上記実施形態と同様のオゾン濃度制御を行うことで、オゾン濃度Cのオーバーシュートの幅を低減できる。同様に、オゾン濃度Cのアンダーシュートの幅を低減できる。
【0099】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、供給制御において、第1ガス開閉弁(13)を開けることで、オゾン発生装置(20)で生成したオゾンガスを供給路(40)に供給する。しかし、供給制御において、停止中のオゾン発生装置(20)を運転させることで、オゾンガスを供給路(40)に供給してもよい。
【0100】
上記実施形態では、停止制御において、第1ガス開閉弁(13)を閉じることで、供給路(40)へのオゾンガスの供給を停止する。しかし、停止制御において、運転中のオゾン発生装置(20)を停止させることで、供給路(40)へのオゾンガスの供給を停止してもよい。
【0101】
上記実施形態のオゾン濃度制御では、制御部(80)は、本開示に係る次のA、Bの双方の判定を行う。A:制御部(80)は、供給制御において第1閾値C1に基づいて停止制御の実行を判定する。B:制御部(80)は、停止制御において第2閾値C2に基づく供給制御の実行を判定する。しかし、制御部(80)は、A及びBの一方の判定だけを行ってもよい。
【0102】
第1閾値C1は、必ずしも上記(1)式に基づくものでなくてもよい。第1閾値C1は、目標濃度Csetと最小値Cminとに基づいて求められ、且つ最小値Cminと目標濃度Csetとの間の値であればよい。
【0103】
第2閾値C2は、必ずしも上記(2)式に基づくものでなくてもよい。第2閾値C2は、目標濃度Csetと最大値Cmaxとに基づいて求められ、且つ最大値Cmaxと目標濃度Csetとの間の値であればよい。
【0104】
実施形態の制御部(80)は、供給制御から停止制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが前回の停止制御の最小値Cminより低くなると、停止制御を終了し、供給制御を実行させる。しかし、制御部(80)は、供給制御から停止制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが所定の第3閾値より低くなると、停止制御を終了し、供給制御を実行させてもよい。ここで、第3閾値は、目標濃度Csetよりも低い値であればよい。また、制御部(80)は、供給制御から停止制御に切り換わった後、所定時間が経過すると、停止制御を終了し、供給制御を実行させてもよい。
【0105】
実施形態の制御部(80)は、停止制御から供給制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが前回の供給制御の最大値Cmaxより高くなると、供給制御を終了し、停止制御を実行させる。しかし、制御部(80)は、停止制御から供給制御に切り換わった後、オゾン濃度Cが所定の第4閾値より高くなると、供給制御を終了し、停止制御を実行させてもよい。ここで、第4閾値は、目標濃度Csetよりも高い値であればよい。また、制御部(80)は、停止制御から供給制御に切り換わった後、所定時間が経過すると、供給制御を終了し、停止制御を実行させてもよい。
【0106】
実施形態のオゾン発生装置(20)は、放電方式のオゾナイザである。しかし、オゾン発生装置(20)は、電気分解式、あるいは紫外線式などの他の方式であってもよい。
【0107】
なお、上述した実施形態、変形例、他の例等の各構成要素を、組み合わせ可能な範囲で置換あるいは変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本開示は、オゾン水製造装置について有用である。
【符号の説明】
【0109】
1 オゾン水製造装置
20 オゾン発生装置
40 供給路
46 検出部
80 制御部