(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/26 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
H02K1/26 C
(21)【出願番号】P 2020020109
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】大場 博史
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 広大
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-047184(JP,A)
【文献】特開2014-150710(JP,A)
【文献】特開2011-193635(JP,A)
【文献】特開2018-038160(JP,A)
【文献】特開2007-068281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0352159(US,A1)
【文献】特開2016-059176(JP,A)
【文献】特開2009-213258(JP,A)
【文献】特開2014-192933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトから径方向に延在する複数のスポークを有する磁性部材と、
環状に配されたマグネットと、
前記複数のスポークそれぞれに巻き回されたコイルと、を備え、
径方向において、前記磁性部材及び前記マグネットのうち一方が他方の内側に配置され、
径方向において、前記複数のスポークのそれぞれの端部と、前記マグネットと、が対向し、
前記複数のスポークのそれぞれの端部は、周方向において、互いに反対の方向に延在する一対の磁極部と、前記マグネットに対向する面と、を有し、
前記複数のスポークは、周方向において、第1スポーク、当該第1スポークの一対の磁極部のうち一方の磁極部側にある第2スポーク、当該第1スポークの他方の磁極部側にある第3スポークと、を含み、
前記第1スポークの一対の磁極部のうち、前記一方の磁極部の磁気抵抗が前記他方の磁極部の磁気抵抗に比して大きく、
前記第1スポークの端部の面には、当該第1スポークに対して前記第2スポーク側に溝部が形成され、
前記第2スポークの一対の磁極部のうち、他方の磁極部の磁気抵抗が一方の磁極部の磁気抵抗に比して大きく、
前記第2スポークの端部の面には、前記第2スポークに対して前記第1スポーク側に溝部が形成され、
前記第3スポークの一対の磁極部のうち、一方の磁極部の磁気抵抗が前記他方の磁極部の磁気抵抗に比して大きく、
前記第3スポークの端部の面には、前記第3スポークに対して前記第1のスポーク側に溝部が形成されて
おり、
前記複数のスポークが偶数本であり、
前記複数のスポークの内、前記第1スポークに対して前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第4スポークとし、前記第2スポークに対して前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第5スポークとし、
前記第4スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の一方側の磁極部が、周方向の他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
前記第5スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、周方向の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きい、モータ。
【請求項2】
シャフトと、
前記シャフトと同軸上に配された環状部と、該環状部から径方向に延在する複数のスポークと、を有するコア、及び、前記スポークに巻き回されたコイルを有する磁性部材と、
前記シャフトと同軸上で環状に配されたマグネットと、
を備え、
前記磁性部材及び前記マグネットは、径方向において、一方の内側に他方が配置され、
前記複数のスポークのそれぞれの径方向の端部と、前記マグネットと、が径方向において対向し、
前記コアが、前記複数のスポークのそれぞれの径方向の端部に、周方向の両方向に延在する一対の磁極部を有し、
前記複数のスポークの内の少なくとも1のスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の一方側の磁極部が、周方向の他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
前記複数のスポークの内、周方向の一方側と他方側で異なる磁気抵抗となる前記一対の磁極部を有する前記スポークを第1スポークとし、該第1スポークに対して周方向の前記一方側に隣接する他のスポークを第2スポークとし、
前記第2スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、周方向の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
前記複数のスポークが奇数本であり、
前記複数のスポークの内、前記第1スポークと前記第2スポークとの間のスロットに対して、前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第4aスポークとし、
前記第4aスポークに対して周方向の両側に隣接する他の2つのスポークを第3aスポーク及び第5aスポークとし、
前記第4aスポークが有する前記一対の磁極部の双方の磁極部の磁気抵抗が略等しく、
前記第3aスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記第4aスポーク側の磁極部と、前記第5aスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記第4aスポーク側の磁極部と、の内の少なくとも一方が、前記第4aスポークが有する前記一対の磁極部の内の1の磁極部に比して、磁気抵抗が小さい、モータ。
【請求項3】
シャフトと、
前記シャフトと同軸上に配された環状部と、該環状部から径方向に延在する複数のスポークと、を有するコア、及び、前記スポークに巻き回されたコイルを有する磁性部材と、
前記シャフトと同軸上で環状に配されたマグネットと、
を備え、
前記磁性部材及び前記マグネットは、径方向において、一方の内側に他方が配置され、
前記複数のスポークのそれぞれの径方向の端部と、前記マグネットと、が径方向において対向し、
前記コアが、前記複数のスポークのそれぞれの径方向の端部に、周方向の両方向に延在する一対の磁極部を有し、
前記複数のスポークの内の少なくとも1のスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の一方側の磁極部が、周方向の他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
前記複数のスポークの内、周方向の一方側と他方側で異なる磁気抵抗となる前記一対の磁極部を有する前記スポークを第1スポークとし、該第1スポークに対して周方向の前記一方側に隣接する他のスポークを第2スポークとし、
前記第2スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、周方向の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
前記複数のスポークが奇数本であり、
前記複数のスポークの内、前記第1スポークと前記第2スポークとの間のスロットに対して、前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第4bスポークとし
、
前記第4bスポークが有する前記一対の磁極部の内の、周方向の前記一方側または前記他方側の磁極部が、その逆側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
周方向において、前記第4bスポークが有する前記一対の磁極部における、磁気抵抗が小さい磁極部側で前記第4bスポークと隣接する他のスポークを第3bスポークとし、
前記第3bスポークが有する前記一対の磁極部の内の、周方向の前記第4bスポーク側の磁極部が、前記第1スポークが有する前記一対の磁極部の内の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が小さい、モータ。
【請求項4】
前記第2スポークに対して周方向の一方側に隣接する他のスポークを第3スポークとし、
前記第3スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、前記第2スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が小さい、請求項
2又は
3に記載のモータ。
【請求項5】
前記スポークに巻き回されたコイルを含む複数のコイルを備え、
前記複数のコイルはそれぞれ、前記複数のスポークに巻き回されている、請求項
2から
4のいずれかに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報機器、車載用等に使用されるDCモータとして、例えば、特許文献1には、マグネットが一体成形ではなく、4個のマグネットで構成された構造が記載されている。また特許文献2には、一体成形されたマグネットを用いたものが記載されている。
このようなDCモータにおいては、より一層の振動の低減が望まれており、振動の原因の一つであるコギングトルクをできる限り抑制することが、通常、行われている。
【0003】
一方、車両の電動ドアや電動ハッチゲートに用いられるモータなどは、モータの停止時において、モータの軸の回転が抑制されることが望まれる。停止時のモータの軸の回転を抑制するためには、コギングトルクを寧ろ大きくすることが効果的である。
【0004】
コギングトルクを大きくする技術として、特許文献3に記載の技術が開示されている。特許文献3に記載の技術は、4個の界磁磁極と、軸部から放射状に延出し、該界磁磁極に対向する5個の歯部をもつ電機子鉄心とを備え、該電機子鉄心の各歯部の先端外周面の開角中央部に前記界磁磁極との間のエアギャップが大きくなる溝を有する直流電動機である。このエアギャップの存在により、駆動電圧が印加されていないときに、界磁磁極と電機子鉄心との対向する位置関係が安定状態になり、コギングトルクが大きくなるようになっている。
【0005】
しかし、特許文献3に記載の技術では、界磁磁極の個数が4個に、電機子鉄心の歯部の個数が5個に限定され、また、当該技術によってもなお、コギングトルクの増大効果は、十分ではなく、より大きなコギングトルクが生ずることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-103552号公報
【文献】特開2008-306844号公報
【文献】特開平1-91640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、コギングトルクの増大が図られたモータを提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明のモータは、シャフトと、
前記シャフトと同軸上に配された環状部と、該環状部から径方向に延在する複数のスポークと、を有するコア、及び、前記スポークに巻き回されたコイルを有する磁性部材と、
前記ロータシャフトと同軸上で環状に配されたマグネットと、
を備え、
前記磁性部材及び前記マグネットは、径方向において、一方の内側に他方が配置され、
前記複数のスポークのそれぞれの径方向の端部と、前記マグネットと、が径方向において対向し、
前記コアが、前記複数のスポークのそれぞれの径方向の端部に、周方向の両方向に延在する一対の磁極部を有し、
前記複数のスポークの内の少なくとも1のスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の一方側の磁極部が、周方向の他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きい。
【0009】
本発明においては、前記複数のスポークの内、周方向の一方側と他方側で異なる磁気抵抗となる前記一対の磁極部を有する前記スポークを第1スポークとし、該第1スポークに対して周方向の前記一方側に隣接する他のスポークを第2スポークとし、
前記第2スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、周方向の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きいことが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記第2スポークに対して周方向の一方側に隣接する他のスポークを第3スポークとし、
前記第3スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、前記第2スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が小さいことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記複数のスポークが偶数本である場合には、
前記複数のスポークの内、前記第1スポークに対して前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第4スポークとし、前記第2スポークに対して前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第5スポークとし、
前記第4スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記一方側の磁極部が、周方向の前記他方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
前記第5スポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記他方側の磁極部が、周方向の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きいことが好ましい。
【0012】
本発明において、前記複数のスポークが奇数本である場合には、
前記複数のスポークの内、前記第1スポークと前記第2スポークとの間のスロットに対して、前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第4aスポークとし、
前記第4aスポークに対して周方向の両側に隣接する他の2つのスポークを第3aスポーク及び第5aスポークとし、
前記第4aスポークが有する前記一対の磁極部の双方の磁極部の磁気抵抗が略等しく、
前記第3aスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記第4aスポーク側の磁極部と、前記第5aスポークが有する前記一対の磁極部における、周方向の前記第4aスポーク側の磁極部と、の内の少なくとも一方が、前記第4aスポークが有する前記一対の磁極部の内の1の磁極部に比して、磁気抵抗が小さいことが好ましい一つの態様である。
【0013】
また、本発明において、前記複数のスポークが奇数本である場合には、 前記複数のスポークの内、前記第1スポークと前記第2スポークとの間のスロットに対して、前記シャフトを中心とした点対称の位置にある他のスポークを第4bスポークとし、
前記第4bスポークが有する前記一対の磁極部の内の、周方向の前記一方側または前記他方側の磁極部が、その逆側の磁極部に比して、磁気抵抗が大きく、
周方向において、前記第4bスポークが有する前記一対の磁極部における、磁気抵抗が小さい磁極部側で前記第4bスポークと隣接する他のスポークを第3bスポークとし、
前記第3bスポークが有する前記一対の磁極部の内の、周方向の前記第4bスポーク側の磁極部が、前記第1スポークが有する前記一対の磁極部の内の前記一方側の磁極部に比して、磁気抵抗が小さいことが好ましい他の態様である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一例である第1の実施形態にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)であり、
図2におけるA-A断面図である。
【
図2】第1の実施形態にかかるモータの、軸を含む平面の断面図であり、
図1におけるB-B断面図である。
【
図3】第1の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図4】従来例にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)であり、コギングトルクの発生メカニズムを説明するための図である。
【
図5】
図1と同様の、第1の実施形態にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)であり、コギングトルクの発生メカニズムを説明するための図である。
【
図6】第2の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図7】第3の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図8】第4の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図9】第5の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図10】第6の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図11】第7の実施形態にかかるモータにおけるロータコア及びシャフトのみを抜き出した横断面図である。
【
図12】本発明の一例である第8の実施形態にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)であり、
図13におけるC-C断面図である。
【
図13】第8の実施形態にかかるモータの、軸を含む平面の断面図であり、
図12におけるD-D断面図である。
【
図14】第8の実施形態にかかるモータにおけるステータコアのみを抜き出した横断面図である。
【
図15】本発明の一例である第9の実施形態にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)である。
【
図16】第9の実施形態にかかるモータにおけるステータコアのみを抜き出した横断面図である。
【
図17】第9の実施形態にかかるモータにおける各スポークの先端部周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的態様である実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一例である第1の実施形態にかかるモータ1の、軸と垂直方向の平面の断面図であり、
図2は、軸を含む平面の断面図である。
図1は
図2におけるA-A断面図であり、
図2は
図1におけるB-B断面図である。
【0016】
本実施形態にかかるモータ1は、いわゆる「スクエアモータ」あるいは「角形(の)DCモータ」と称される、断面略四角形(略正四角形)のモータである。また、本実施形態にかかるモータ1は、界磁マグネットとして機能する全体として筒状をしたマグネット11を備えている。マグネット11は、シャフト30に垂直方向の側断面における外周の形状が、角の丸い略正四角形(正方形)であり、同じ側断面における内周の形状が円形である一体構造を有している。マグネット11は、後述するロータ20を取り囲むように配されており、当該マグネット11の外周側には、フレームを兼ねる筒状部12が配置されている。
【0017】
筒状部12は、鉄材等の磁性体であり、マグネット11の外周に接して配置され、シャフト30に垂直な側断面における内周の形状が、マグネット11の外周の形状と略同形の略正四角形の筒形状を有している。これらマグネット11及び筒状部12により、ステータ10が構成されている。筒状部12の両端開口部は、それぞれ、蓋部50と底部60とで閉塞されている。
【0018】
なお、本実施形態において、「径方向」という場合には、シャフト30を軸とする円の径方向を表し、「周方向」という場合には、シャフト30を軸とする円の周の方向を表す。
図1でいえば、外方向である矢印m方向及び内方向である矢印m方向を径方向(以下、「径方向mn」と称する場合がある。)とし、時計回りである矢印x方向及び反時計回りである矢印y方向を周方向(以下、「周方向xy」と称する場合がある。)とする。また、
図1における矢印u方向を上方向uとし、矢印d方向を下方向dとする。この上方向u乃至下方向dは、重力方向の上下方向とは必ずしも一致しない。これら方向を示す語及びそれらの符号は、他の図面においても同様である。
【0019】
マグネット11の内側には、所定の隙間を介して、鉄製のロータコア(コア)2が配置されている。ロータコア2の中心には、シャフト30が固定されている。ロータコア2は、珪素鋼板等の積層体となっており、シャフト30を取り囲む環状部2aと、シャフト30を軸として環状部2aから径方向に(放射状に)延在する6本のスポーク2bと、を有している。
【0020】
当該ロータコア2は、複数本(6本)のスポーク2bのそれぞれの径方向mn(特に、外方向m)の端部に、周方向xyの両方向に延在する一対の磁極部(以下、一対の磁極部をまとめて「磁極部対」と称する場合がある。本実施形態において、一対の磁極部をまとめて「磁極部対」と称した場合には、符号「2c」または符号「2c-□」(□は整数)が付される。)を有している。6本のスポーク2bのそれぞれには、ロータコイル(コイル)3が巻回されている。そして、ロータコア2とロータコイル3とにより、ロータ(磁性部材)20が構成されている。
【0021】
シャフト30は、その両端側が、第1の軸受40及び第2の軸受41により回転自在な状態で支持されている。第1の軸受40は蓋部50に、第2の軸受41は底部60にそれぞれ固定され、これら軸受40,41を介してステータ10に対して固定されている。そして、ロータ20がステータ10に対して回転可能な状態とされている。
【0022】
シャフト30には、図示が省略されたブラシ給電機構が配されており、このブラシ給電機構により、上述したロータコア2に巻回されたロータコイル3に、駆動電流が供給される。これらロータ20側の機械的乃至電気的構造は、通常のDCブラシモータと同様である。
【0023】
図3は、本実施形態にかかるモータ1からロータコア2及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である。
図3に示すロータコア2は、偶数である複数(本実施形態では、6本)のスポーク2b-1~2b-6の内の少なくとも1本のスポーク(本実施形態では、スポーク2b-1~2b-6の全て)が有する一対の磁極部2c-1x~2c-6x,2c-1y~2c-6yの形状が、相互に異なっている。
【0024】
より具体的に説明する。
まず、
図3において環状部2aから上方向uへ延伸するスポークを第1スポーク2b-1とし、当該第1スポーク2b-1から時計回り方向xに、順に、第2スポーク2b-2、第3スポーク2b-3、第4スポーク2b-4、第5スポーク2b-5及び第6スポーク2b-6とする。
【0025】
第1スポーク2b-1において、外方向mの端部の磁極部対2c-1には、マグネット11に対向する面に、シャフト30の軸方向と平行に延在する溝部2chが設けられている。この溝部2chは、
図3に示されるように、磁極部対2c-1において、周方向xyの中心から、時計回り方向x側(第2スポーク2b-2側)に偏った箇所に位置している。このため、
図3に示されるように、磁極部対2c-1における時計回り方向x側の磁極部2c-1xは、横断面における断面積が小さく、反時計回り方向y側の磁極部2c-1yは、横断面における断面積が大きくなっている。
【0026】
磁極部2c-1x,2c-1yにおける、横断面の断面積は。磁束が通過する道の断面積となる。
また、磁気抵抗(リダクタンス)Rmは、下記式(1)で表される。
Rm=L/μA ・・・式(1)
(上記式(1)中、Lは磁気回路の長さを、Aは断面積を、μは透磁率を、それぞれ表す。)
【0027】
即ち、式(1)の右辺における分母にある断面積μが小さければ磁気抵抗Rmが大きく(以下、磁気抵抗が大きいことを「高い」と称し、符号「H」で明示する場合がある。)なり、断面積μが大きければ磁気抵抗Rmが小さく(以下、磁気抵抗Rmが小さいことを「低い」と称し、符号「L」で明示する場合がある。)なる。
【0028】
磁極部対2c-1において、溝部2chの位置を周方向xyの中心から偏らせると、中心に位置する場合に比して、溝部2chが寄った側である磁極部2c-1xの磁気抵抗Rmが、
図3に示されるように、大きく(符号H)なり、溝部2chが遠ざかった側である磁極部2c-1yの磁気抵抗Rmが、小さく(符号L)なる。
よって、第1スポーク2b-1において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部2c-1xは、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2-cyに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0029】
本実施形態では、6本のスポーク2b-1~2b-6が有する磁極部対2c-1~2c-6の全てが、第1スポーク2b-1と同様の溝部2chを有しており、かつ、当該溝部2chの位置が、周方向xyの中心から何れかの方向(x方向、or、y方向)に偏っている。
【0030】
第1スポーク2b-1に対して時計回り方向x側(周方向xyの一方側)に隣接する第2スポーク2b-2が有する磁極部対2c-2において、溝部2chは、
図3に示されるように、周方向xyの中心から、反時計回り方向y側(第1スポーク2b-1側)に偏った箇所に位置している。このため、
図3に示されるように、磁極部対2c-2における時計回り方向x側の磁極部2c-2xは、横断面における断面積が大きく、反時計回り方向y側の磁極部2c-2yは、横断面における断面積が小さくなっている。
【0031】
したがって、磁極部対2c-2において、溝部2chの位置が周方向xyの中心に位置する場合に比して、溝部2chが遠ざかった側である磁極部2c-2xの磁気抵抗Rmが、
図3に示されるように、小さく(符号L)なっており、溝部2chが寄った側である磁極部2c-2yの磁気抵抗Rmが、大きく(符号H)なっている。
よって、第2スポーク2b-2において、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-2yは、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部2c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0032】
また、第2スポーク2b-2に対して時計回り方向x側(周方向xyの一方側)に隣接する第3スポーク2b-3が有する磁極部対2c-3において、溝部2chは、
図3に示されるように、周方向xyの中心から、時計回り方向x側(第2スポーク2b-2とは反対側)に偏った箇所に位置している。このため、
図3に示されるように、磁極部対2c-3における反時計回り方向y側の磁極部2c-3yは、横断面における断面積が大きくなっている。したがって、当該磁極部2c-3yは、第2スポーク2c-2が有する磁極部対における、反時計回り方向y側の磁極部2c-2yに比して、横断面における断面積が大きくなっている。
【0033】
したがって、磁極部対2c-3において、溝部2chの位置が周方向xyの中心に位置する場合に比して、溝部2chが遠ざかった側である磁極部2c-3yの磁気抵抗Rmが、
図3に示されるように、小さく(符号L)なっている。一方、既述の通り、磁極部対2c-2において、溝部2chが寄った側である磁極部2c-2yの磁気抵抗Rmは、大きく(符号H)なっている。
【0034】
よって、第3スポーク2b-3が有する磁極部対2c-3における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-3yが、第2スポーク2b-2が有する磁極部対2c-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-2yに比して、磁気抵抗Rmが小さい。
【0035】
また、第1スポーク2b-1に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク2b-4が有する磁極部対2c-4において、溝部2chは、
図3に示されるように、周方向xyの中心から、時計回り方向x側(第3スポーク2b-3とは反対側)に偏った箇所に位置している。このため、
図3に示されるように、磁極部対2c-4における反時計回り方向y側の磁極部2c-4yは、横断面における断面積が大きく、時計回り方向x側の磁極部2c-4xは、横断面における断面積が小さくなっている。
【0036】
したがって、磁極部対2c-4において、溝部2chの位置が周方向xyの中心に位置する場合に比して、溝部2chが遠ざかった側である磁極部2c-4yの磁気抵抗Rmが、
図3に示されるように、小さく(符号L)なっており、溝部2chが寄った側である磁極部2c-4xの磁気抵抗Rmが、大きく(符号H)なっている。
【0037】
一方、第2スポーク2b-2に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第5スポーク2b-5が有する磁極部対2c-5において、溝部2chは、
図3に示されるように、周方向xyの中心から、反時計回り方向y側(第4スポーク2b-4側)に偏った箇所に位置している。このため、
図3に示されるように、磁極部対2c-5における時計回り方向x側の磁極部2c-5xは、横断面における断面積が大きく、反時計回り方向y側の磁極部2c-5yは、横断面における断面積が小さくなっている。
【0038】
したがって、磁極部対2c-5において、溝部2chの位置が周方向xyの中心に位置する場合に比して、溝部2chが遠ざかった側である磁極部2c-5xの磁気抵抗Rmが、
図3に示されるように、小さく(符号L)なっており、溝部2chが寄った側である磁極部2c-5yの磁気抵抗Rmが、大きく(符号H)なっている。
【0039】
さらに、第1スポーク2b-1と第5スポーク2b-5との間にある第6スポーク2b-6についても、溝部2chは、
図3に示されるように、周方向xyの中心から、時計回り方向x側(第1スポーク2b-1側)に偏った箇所に位置している。このため、同様に、横断面における断面積が、磁極部2c-6xは小さく、磁極部2c-6yは大きくなっている。したがって、磁極部対2c-6において、溝部2chの位置が周方向xyの中心に位置する場合に比して、溝部2chが遠ざかった側である磁極部2c-6yの磁気抵抗Rmが、
図3に示されるように、小さく(符号L)なっており、溝部2chが寄った側である磁極部2c-6xの磁気抵抗Rmが、大きく(符号H)なっている。
【0040】
本実施形態では、6本のスポーク2b-1~2b-6が有する磁極部対2c-1~2c-6の全てにおいて、磁極部2c-1x~2c-6xと磁極部2c-1y~2c-6yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、周方向xyの磁気的なバランスが崩れて、コギングトルクの増大が図られている。
【0041】
以下、本実施形態の構成によるコギングトルクの増大メカニズムについて説明する。ただし、以下の説明におけるメカニズムは、説明のためにモデル化したものであり、かつ、一部に推測を含むものであるため、実際に生じているメカニズムを保証するものではない。
【0042】
図4に、従来例にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)を示す。この
図4は、従来例にかかるモータにおける、コギングトルクの発生メカニズムを説明するための図である。
この従来例のモータ101は、ロータ120におけるロータコア102の形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と同様の構成のものである。よって、従来例にかかる
図4においては、第1の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付している。
【0043】
従来例のロータコア102においても、スポーク102bにおける、外方向mの端部の磁極部対102cには、マグネット11に対向する面に、シャフト30の軸方向と平行に延在する溝部102chが設けられている。ただし、従来例のロータコア102では、この溝部102chが、
図4に示されるように、全てのスポーク102bが有する一対の磁極部102cx,102cyにおいて、周方向xyの中心に位置している。
【0044】
このため、
図4に示されるように、一対の磁極部102cx,102cyにおける時計回り方向x側の磁極部102cxと、反時計回り方向y側の磁極部102cyとは、横断面における断面積が等しくなっている。よって、スポーク102bにおいて、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部102cxと周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部102cyとは、磁気抵抗Rmが略等しい。
【0045】
図4中には、コギングトルクとなる方向の力を白抜きの矢印で、コギングトルクを打ち消す方向の力を斜線のハッチング入りの矢印で、それぞれ模式的に記載している(後述する
図5においても同様。)。磁極部102cxと磁極部102cyの磁気抵抗Rmが略等しいため、周方向の磁気的なバランスが採れた状態になっている。即ち、コギングトルクとなる力とコギングトルクを打ち消す方向の力とがそれぞれ逆方向に発生するため、コギングトルクとなる力が打ち消され、従来例のモータ101においては、コギングトルクが小さくなる。
【0046】
図5は、
図1と同様の、第1の実施形態にかかるモータの、軸と垂直方向の平面の断面図(横断面図)であり、コギングトルクの発生メカニズムを説明するための図である。既述の通り、本実施形態では、6本のスポーク2b-1~2b-6が有する磁極部対2c-1~2c-6の全てにおいて、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部2c-1x~2c-6xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-1y~2c-6yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。
【0047】
そのため、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっている。即ち、磁気抵抗Rmが小さくなり磁束が透過しやすくなった分、コギングトルクを打ち消す方向の力(ハッチング入りの矢印)が、径方向を向くため、コギングトルクを打ち消す力が弱まり、コギングとなる力が打ち消されず、本実施形態のモータ1においては、コギングトルクを大きくすることが可能になるものと推測される。
【0048】
本実施形態では、6本のスポーク2b-1~2b-6が有する磁極部対2c-1~2c-6の全てにおいて、磁極部2c-1x~2c-6xと磁極部2c-1y~2c-6yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている例を挙げているが、6本のスポーク2b-1~2b-6の内の少なくとも何れか1つにおいて、磁極部対における一対の磁極部の磁気抵抗Rmが相互に異なっていれば、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になるため、コギングトルクを大きくすることができる。ただし、本実施形態では、以下に示すように、コギングトルクをより大きくする条件(条件A、B及びC)を備えている点で、特に好ましい。
【0049】
本実施形態では、第2スポーク2b-2が有する磁極部対2c-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-2yが、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部2c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。そのため、
図3に示すように、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット1S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部2c-1xと磁極部2c-2yとが近接した状態になっている。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい箇所が集中し、磁気的なバランスの崩れ方がより大きい。
【0050】
このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
当該条件Aによるコギングトルク増大効果は、ロータコアが有するスポークの本数が6本である本実施形態の場合に限定されず、スポークの本数が何本であっても、この条件Aを満たせば、同様に奏される。
【0051】
また、本実施形態では、第2スポーク2b-2に対して周方向xyの一方側(時計回り方向x側)に隣接する第3スポーク2b-3が有する磁極部対2c-3における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-3yが、第2スポーク2b-2が有する磁極部対における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-2yに比して、磁気抵抗Rmが小さい。
【0052】
そのため、
図3に示すように、第2スポーク2b-2と第3スポーク2b-3との間のスロット1S
23で、ともに磁気抵抗Rmが小さい磁極部2c-2xと磁極部2c-3yとが近接した状態になっている。即ち、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部2c-1xと磁極部2c-2yとが近接している、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット1S
12のすぐ隣のスロット1S
23において、逆にともに磁気抵抗Rmが小さい磁極部2c-2xと磁極部2c-3yとが近接している。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とが近接し、磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きい。
【0053】
このように、周方向に連続した2つのスロット1S12,1S23で、一方のスロット1S12は、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部同士が、他方のスロット1S23は、ともに磁気抵抗Rmが小さい(符号L)磁極部同士が、それぞれ近接している状態にして、磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とを近接させる(条件B)ことで、コギングトルクをより一層大きくすることができている。
当該条件Bによるコギングトルク増大効果は、ロータコアが有するスポークの本数が6本である本実施形態の場合に限定されず、スポークの本数が何本であっても、この条件Bを満たせば、同様に奏される。
【0054】
さらに、本実施形態では、ロータコア2のスポークの本数が偶数本であり、第1スポーク2b-1に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク2b-4が有する磁極部対2c-4において、磁極部2c-4yの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部2c-4xの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0055】
一方、第2スポーク2b-2に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第5スポーク2b-5が有する磁極部対2c-5において、磁極部2c-5xの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部2c-5yの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0056】
そのため、
図3に示すように、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット1S
12に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク2b-4と第5スポーク2b-5との間のスロット1S
45で、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部2c-4xと磁極部2c-5yとが近接した状態になっている。
【0057】
既述の通り、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット1S12においても、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部2c-1xと磁極部2c-2yとが近接した状態になっている。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している。
【0058】
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している状態にする(条件C)ことで、コギングトルクが相乗的に増大している。
当該条件Cによるコギングトルク増大効果は、ロータコアが有するスポークの本数が6本である本実施形態の場合に限定されず、スポークの本数が偶数本でさえあれば、この条件Cを満たせば、同様に奏される。
【0059】
[第2の実施形態]
次に、本発明の一例である第2の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。第2の実施形態にかかるモータは、ロータコアの形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と同様の構成のものである。
よって、本実施形態においては、ロータコア(コア)22及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である
図6を用いて説明する。その他、本実施形態にかかるモータの他の構成や全体構成については、
図1及び
図2を参照されたい。
【0060】
また、本実施形態においては、第1の実施形態における6本のスポーク2b-1~2b-6の内、第3スポーク2b-3及び第6スポーク2b-6の有する磁極部対2c-3,2c-6に相当する磁極部(
図6における符号22c-3及び22c-6)のみ、形状が異なっており、その他は第1の実施形態におけるロータコア2と同一の形状乃至構造のものである。よって、本実施形態にかかる
図6においては、第1の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略している。
【0061】
本実施形態では、第2スポーク2b-2に対して時計回り方向x側(周方向xyの一方側)に隣接する第3スポーク22b-3が有する磁極部対22c-3において、溝部2chは、
図6に示されるように、周方向xyの中心に位置している。また、第3スポーク22b-3に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第6スポーク22b-6が有する磁極部対22c-6において、溝部2chは、磁極部対22c-3と同様に、周方向xyの中心に位置している。
【0062】
即ち、本実施形態においては、第3スポーク22b-3と、当該第3スポーク22b-3に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第6スポーク22b-6と、が有する磁極部対22c-3,22c-6において、溝部2chの位置が周方向xyに偏っていない。このため、
図6に示されるように、磁極部対22c-3及び磁極部対22c-6における一対の磁極部22c-3x,22c-3y及び一対の磁極部22c-6x,22c-6yは、横断面における断面積が相互に略等しくなっている。
【0063】
したがって、磁極部対22c-3において、磁極部22c-3x及び磁極部22c-6yの磁気抵抗Rmが、相互に略等しくなっている。この磁気抵抗Rmは、符号Hの場合よりも小さく(低く)、符号Lの場合よりも大きく(高く)なっている。溝部2chの位置が周方向xyに偏っていない場合の磁極部の磁気抵抗Rmを「中程度」と称し、
図6において、符号「M」で明示している(以下、他の実施形態及び図面においても同様。)。
【0064】
本実施形態では、6本のスポーク2b-1~22b-6の内、4本のスポーク2b-〇(〇には、1,2、4及び5の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。)が有する磁極部対2c-〇について、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部2c-〇xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-〇yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態においては、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっており、コギングトルクの増大が図られている。
【0065】
また、本実施形態においても、第2スポーク2b-2が有する磁極部対2c-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-2yが、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部2c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0066】
そのため、
図6に示すように、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット2S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部2c-1xと磁極部2c-2yとが近接した状態になっている。このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
【0067】
また、本実施形態では、第2スポーク2b-2に対して周方向xyの一方側(時計回り方向x側)に隣接する第3スポーク22b-3が有する磁極部対22c-3における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部22c-3yの磁気抵抗Rm(符号M)が、第2スポーク2b-2が有する磁極部対における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部2c-2yの磁気抵抗Rm(符号H)に比して、磁気抵抗Rmが小さい。
【0068】
そのため、
図6に示すように、第2スポーク2b-2と第3スポーク22b-3との間のスロット2S
23で、磁気抵抗Rmが小さい磁極部2c-2xと磁気抵抗Rmが中程度の磁極部2c-3yとが近接した状態になっている。即ち、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部2c-1xと磁極部2c-2yとが近接している、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット2S
12のすぐ隣のスロット2S
23において、逆に相対的に磁気抵抗Rmが小さい磁極部2c-2xと磁極部22c-3yとが近接している。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とが近接し、磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きい。
【0069】
このように、周方向に連続した2つのスロット2S12,2S23で、一方のスロット2S12は、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部同士が、他方のスロット2S23は、磁気抵抗Rmが小さい(符号L)磁極部と磁気抵抗Rmが中程度(符号M)の磁極部とが、それぞれ近接している状態にある(条件B)ことで、コギングトルクをより一層大きくすることができている。
【0070】
さらに、本実施形態では、ロータコア22のスポークの本数が偶数本であり、第1スポーク2b-1に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク2b-4が有する磁極部対2c-4において、磁極部2c-4yの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部2c-4xの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0071】
一方、第2スポーク2b-2に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第5スポーク2b-5が有する磁極部対2c-5において、磁極部2c-5xの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部2c-5yの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0072】
そのため、
図6に示すように、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット2S
12に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク2b-4と第5スポーク2b-5との間のスロット2S
45で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部2c-4xと磁極部2c-5yとが近接した状態になっている。
【0073】
既述の通り、第1スポーク2b-1と第2スポーク2b-2との間のスロット2S12においても、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部2c-1xと磁極部2c-2yとが近接した状態になっている。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している。
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している状態にある(条件C)ことで、コギングトルクが相乗的に増大している。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、本発明の一例である第3の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。第3の実施形態にかかるモータは、ロータコアの形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と同様の構成のものである。
よって、本実施形態においては、ロータコア(コア)32及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である
図7を用いて説明する。その他、本実施形態にかかるモータの他の構成や全体構成については、
図1及び
図2を参照されたい。
【0075】
図7に示されるように、磁極部対32c-1~32c-6に、第1の実施形態における溝部2chの如き形状は設けられていない。本実施形態においては、溝部の代わりに、カシメ32dを設ける位置を周方向xyにおいて偏らせている。ここで、「カシメ」とは、珪素鋼板等の積層体からなるロータコアを固定して一体化するために、ロータコアの厚み方向(シャフトの軸方向)から押圧して設ける凹部のことをいう。
【0076】
カシメ32dは、各スポーク32b-1~32b-6における磁極部対32c-1~32c-6乃至その近傍に設けられる。
ロータコア32にカシメ32dを設けると、磁束は当該カシメの部分を避けるように形成される。したがって、カシメ32dを設けた領域及びその近傍は、磁気抵抗Rmが大きくなりやすい。
【0077】
本実施形態では、
図7に示すように、第1スポーク32b-1、及び、当該第1スポーク32b-1に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク32b-4に設けられるカシメ32dの位置を、周方向xyの時計回り方向x側に偏らせている。第1スポーク32b-1及び第4スポーク32b-4に設けられるカシメ32dの位置は、シャフト30を中心とした点対称の位置になるようになっている。
【0078】
また、
図7に示すように、第2スポーク32b-2、及び、当該第2スポーク32b-2に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第5ポーク32b-5に設けられるカシメ32dの位置を、周方向xyの反時計回り方向y側に偏らせている。第2スポーク32b-2及び第5スポーク32b-5に設けられるカシメ32dの位置は、シャフト30を中心とした点対称の位置になるようになっている。
【0079】
なお、
図7に示すように、第3スポーク32b-3、及び、当該第3スポーク32b-3に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第6ポーク32b-6に設けられるカシメ32dの位置は、第3スポーク32b-3及び第6ポーク32b-6における周方向xyの中心であり、偏ってはいない。
【0080】
第1スポーク32b-1及び第4ポーク32b-4に設けられたカシメ32dの位置同士を結んだ線分を線分L14とし、第2スポーク32b-2及び第5ポーク32b-5に設けられたカシメ32dの位置同士を結んだ線分を線分L25とし、第3スポーク32b-3及び第6ポーク32b-6に設けられたカシメ32dの位置同士を結んだ線分を線分L36とする。
【0081】
すると、線分L36と線分L14との成す角α(°)と、線分L14と線分L25との成す角β(°)と、線分L25と線分L36との成す角γ(°)と、の関係は、下記式(2)に示す通りとなる。
β<α≒γ ・・・式(2)
【0082】
第1スポーク32b-1において、磁極部対32c-1の近傍では、周方向xyの時計回り方向x側に偏った位置にあるカシメ32dの影響を受けて、一方側(時計回り方向x側)の磁極部32c-1xは磁束の透過し易い領域が狭く、磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。逆に、他方側(反時計回り方向y側)の磁極部32c-1yは、カシメ32dの影響をあまり受けないため、磁束の透過し易い領域が広く、磁気抵抗Rmが小さく(符号L)なっている。シャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク2b-4も、第1スポーク32b-1と同様であり、磁極部32c-4xは磁気抵抗Rmが大きく(符号H)、磁極部32c-1yは磁気抵抗Rmが小さく(符号L)なっている。
【0083】
第2スポーク32b-2において、磁極部対32c-2の近傍では、周方向xyの反時計回り方向y側に偏った位置にあるカシメ32dの影響を受けて、他方側(反時計回り方向y側)の磁極部32c-2yは磁束の透過し易い領域が狭く、磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。逆に、一方側(時計回り方向x側)の磁極部32c-2xは、カシメ32dの影響をあまり受けないため、磁束の透過し易い領域が広く、磁気抵抗Rmが小さく(符号L)なっている。一方、シャフト30を中心とした点対称の位置にある第5スポーク2b-5も、第2スポーク32b-2と同様であり、磁極部32c-5yは磁気抵抗Rmが大きく(符号H)、磁極部32c-5xは磁気抵抗Rmが小さく(符号L)なっている。
【0084】
第3スポーク32b-3において、磁極部対32c-3の近傍では、周方向xyの中心にあり、位置が偏っていないカシメ32dの影響は、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)及び他方側(反時計回り方向y側)で略等しい。そのため、磁極部32c-3x及び磁極部32c-3yは、ともに磁気抵抗Rmが中程度(符号M)になっている。シャフト30を中心とした点対称の位置にある第6スポーク32b-6も、第3スポーク32b-3と同様であり、磁極部32c-6x及び磁極部32c-6yは、ともに磁気抵抗Rmが中程度(符号M)になっている。
【0085】
本実施形態では、6本のスポーク32b-1~32b-6の内、4本のスポーク32b-〇(〇には、1,2、4及び5の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。)が有する磁極部対32c-〇について、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部32c-〇xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部32c-〇yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態においては、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっており、コギングトルクの増大が図られている。
【0086】
また、本実施形態においても、第2スポーク32b-2が有する磁極部対32c-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部32c-2yが、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部32c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0087】
そのため、
図7に示すように、第1スポーク32b-1と第2スポーク32b-2との間のスロット3S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部32c-1xと磁極部32c-2yとが近接した状態になっている。このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
【0088】
また、本実施形態では、第2スポーク32b-2に対して周方向xyの一方側(時計回り方向x側)に隣接する第3スポーク32b-3が有する磁極部対32c-3における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部32c-3yの磁気抵抗Rm(符号M)が、第2スポーク32b-2が有する磁極部対32b-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部32c-2yの磁気抵抗Rm(符号H)に比して、磁気抵抗Rmが小さい。
【0089】
そのため、
図7に示すように、第2スポーク32b-2と第3スポーク32b-3との間のスロット3S
23で、磁気抵抗Rmが小さい磁極部32c-2xと磁気抵抗Rmが中程度の磁極部32c-3yとが近接した状態になっている。即ち、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部32c-1xと磁極部32c-2yとが近接している、第1スポーク32b-1と第2スポーク32b-2との間のスロット3S
12のすぐ隣のスロット3S
23において、逆に相対的に磁気抵抗Rmが小さい磁極部32c-2xと磁極部32c-3yとが近接している。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とが近接し、磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きい。
【0090】
このように、周方向に連続した2つのスロット3S12,3S23で、一方のスロット3S12は、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部同士が、他方のスロット3S23は、磁気抵抗Rmが小さい(符号L)磁極部と磁気抵抗Rmが中程度(符号M)の磁極部とを、それぞれ近接している状態にある(条件B)ことで、コギングトルクをより一層大きくすることができている。
【0091】
さらに、本実施形態では、ロータコア32のスポークの本数が偶数本であり、第1スポーク32b-1に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク32b-4が有する磁極部対32c-4において、磁極部32c-4yの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部32c-4xの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0092】
一方、第2スポーク32b-2に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第5スポーク32b-5が有する磁極部対32c-5において、磁極部32c-5xの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部32c-5yの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0093】
そのため、
図7に示すように、第1スポーク32b-1と第2スポーク32b-2との間のスロット3S
12に対してシャフト30を中心とした点対称の位置にある第4スポーク32b-4と第5スポーク32b-5との間のスロット3S
45で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部32c-4xと磁極部32c-5yとが近接した状態になっている。
【0094】
既述の通り、第1スポーク32b-1と第2スポーク32b-2との間のスロット3S12においても、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部32c-1xと磁極部32c-2yとが近接した状態になっている。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している。
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している状態にある(条件C)ことで、コギングトルクが相乗的に増大している。
【0095】
[第4の実施形態]
次に、本発明の一例である第4の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。第4の実施形態にかかるモータは、ロータコアの形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と近似した構成のものである。よって、本実施形態においては、ロータコア(コア)42及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である
図8を用いて説明する。
【0096】
ただし、本実施形態では、ロータコアが有するスポークの本数が第1の実施形態にかかるモータ1と異なるため、それに応じて、マグネットや制御基板の回路構造などが第1の実施形態にかかるモータ1とは異なっている。これらの相違は、外観にはほとんど現れず、また、本発明乃至本実施形態に特徴的な構成でもないので、本実施形態にかかるモータの他の構成や全体構成については、
図1及び
図2を参照されたい。このことは、以降の実施形態においても同様である。
【0097】
また、本実施形態において、各スポークが有する一対の磁極部の磁気抵抗Rmの調整には、第1の実施形態や第2の実施形態と同様、磁極部対におけるマグネット11に対向する面に設ける溝部の周方向xyの偏りを利用している。同じ原理を利用しているため、本実施形態においては重複した説明は避け、溝部の周方向xyの偏りについては触れず、その結果である磁極部の磁気抵抗Rmの大小(大きく(符号H)なる、小さく(符号L)なる、中程度(符号M)である。)のみを論ずることにする。これは、以降の実施形態においても同様である。勿論、第3の実施形態で説明したカシメを設ける位置を周方向xyにおいて偏らせる方法等、如何なる方法で一対の磁極部の磁気抵抗Rmの調整を行っても構わない。これも、以降の実施形態において同様である。
【0098】
本実施形態において、ロータコア42は、シャフト30を取り囲む環状部42aと、シャフト30を軸として環状部42aから径方向に(放射状に)延在する5本のスポーク42b-1~42b-5と、を有している。当該ロータコア42は、奇数本(5本)のスポーク42b-1~42b-5のそれぞれの径方向mn(特に、外方向m)の端部に、周方向xyの両方向に延在する一対の磁極部(磁極部対42c-1~42c-5)を有している。なお、5本のスポーク42b-1~42b-5のそれぞれには、ロータコイル(コイル)が巻回されているが、
図8においては図示が省略されている。これは、第5の実施形態にかかる
図9においても同様である。
【0099】
まず、
図8において環状部42aから下方向dへ延伸する2本のスポークの内の反時計回り方向y側のものを第1スポーク42b-1とし、当該第1スポーク42b-1から時計回り方向xに、順に、第2スポーク42b-2、第3aスポーク42b-3、第4aスポーク42b-4及び第5aスポーク42b-5とする。
【0100】
本実施形態では、第1スポーク42b-1において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-1xの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部42c-1yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
【0101】
また、第2スポーク42b-2において、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部42c-2yの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-2xの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
また、第3aスポーク42b-3において、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部42c-3yの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-3xの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
【0102】
また、第5aスポーク42b-5において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-5xの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部42c-5yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
一方、第4aスポーク42b-4が有する磁極部対42c-4においては、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)及び他方側(反時計回り方向y側)の双方の磁極部42c-4x,42c-4yの磁気抵抗Rmが略等しく(符号M)なっている。
【0103】
本実施形態では、
図8に示すように、5本のスポーク42b-1~42b-5の内、4本のスポーク42b-〇(〇には、1,2、3及び5の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。)が有する磁極部対42c-〇について、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-〇xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部42c-〇yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態においては、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっており、コギングトルクの増大が図られている。
【0104】
また、本実施形態においては、
図8に示すように、第1スポーク42b-1と第2スポーク42b-2との間のスロット4S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部42c-1xと磁極部42c-2yとが近接した状態になっている。このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
【0105】
本実施形態においては、ロータコアが有するスポークの本数が奇数本であるため、第1の実施形態で説明した条件Cを満たしてはいないが、本実施形態では、以下に示すように、コギングトルクをより大きくする、スポークの本数が奇数本である場合に特有の条件(条件D)を備えている点で好ましい。
【0106】
まず、本実施形態では、第1スポーク42b-1と第2スポーク42b-2との間のスロット4S12に対して、シャフト30を中心とした点対称の位置にある第4aスポーク42b-4が有する磁極部対42c-4の双方の磁極部42c-4x,42c-4yの磁気抵抗が、略等しい(条件D-1)。
【0107】
また、本実施形態では、第3aスポーク42b-3が有する磁極部対42c-3における、周方向の第4aスポーク42b-4側の磁極部42c-3xと、第5aスポーク42b-5が有する磁極部対42c-5における、周方向の第4aスポーク42b-4側の磁極部42c-5yと、の内の少なくとも一方(本実施形態においては、双方とも)の磁気抵抗Rm(符号L)が、第4aスポーク42b-4が有する磁極部対42c-4の内の1の磁極部の磁気抵抗Rm(42c-4x及び42c-4yとも符号M)に比して小さい(条件D-2)。
【0108】
以上の条件D-1及び条件D-2を満たすのが条件Dであり、本実施形態では、当該条件Dを満たしている。なお、条件D-2においては、磁極部42c-3x及び磁極部42c-5yの双方が、磁極部42c-4x(≒42c-4y)に比して磁気抵抗Rmが小さい本実施形態の態様は、特に好ましい。
【0109】
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロット4S12と点対称となる箇所に位置しているスポークの少なくとも何れかの側を磁気抵抗Rmが小さい状態にすることで、周方向xyにおいて磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きくなるため、コギングトルクがより一層増大するものと推測される。
【0110】
[第5の実施形態]
次に、本発明の一例である第5の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。第5の実施形態にかかるモータは、ロータコアの形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と近似した構成のものである。よって、本実施形態においては、ロータコア(コア)52及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である
図9を用いて説明する。
【0111】
また、本実施形態におけるロータコア52は、第4の実施形態における5本のスポーク42b-1~42b-5の内の、第4aスポーク42b-4の有する磁極部対42c-4に相当する磁極部対(
図9における符号52c-4)のみ、形状が異なっており、その他は第4の実施形態におけるロータコア42と同一の形状乃至構造のものである。よって、本実施形態にかかる
図9においては、第4の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略している。
【0112】
なお、本実施形態における第3bスポーク52b-3及び第5bスポーク52b-5については、第4の実施形態における第3aスポーク42b-3及び第5aスポーク42b-5と同一の構成であるが、説明の都合上、本実施形態に特有の符号(52b-3及び52b-5)を付している。第3bスポーク52b-3及び第5bスポーク52b-5に関連する部材(磁極部、磁極部対等)についても同様である。
【0113】
本実施形態では、第4bスポーク52b-4の有する磁極部対52c-4において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部52c-4xの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部52c-4yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
【0114】
即ち、第4の実施形態における第4aスポーク42b-4の有する磁極部対42c-4では、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)及び他方側(反時計回り方向y側)の双方の磁極部42c-4x,42c-4yの磁気抵抗Rmが略等しく(符号M)なっているのに対して、本実施形態では、磁極部52c-4x,52c-4yの磁気抵抗Rmが、相互に異なっている。
【0115】
本実施形態では、5本のスポーク42b-△(△には、1または2が入る。以下、本実施形態において同じ。),52b-□(□には、3~5の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。)が有する磁極部対42c-△,52c-□の全てについて、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-△x,52c-□xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部42c-△y,52c-□yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態では、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になり、コギングトルクの増大が図られている点は、第4の実施形態と同様である。
【0116】
また、第1スポーク42b-1と第2スポーク42b-2との間のスロット4S12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部42c-1xと磁極部42c-2yとが近接した状態になっており、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている点も、第4の実施形態と同様である。
【0117】
本実施形態においては、ロータコアが有するスポークの本数が奇数本であるため、第1の実施形態で説明した条件Cを満たしておらず、第4の実施形態で説明した、スポークの本数が奇数本である場合に特有の条件Dも満たさない。しかし、本実施形態では、以下に示すように、コギングトルクをより大きくする、スポークの本数が奇数本である場合に特有の他の条件(条件E)を備えている点で好ましい。
【0118】
まず、本実施形態では、第1スポーク42b-1と第2スポーク42b-2との間のスロット4S12に対して、シャフト30を中心とした点対称の位置にある第4bスポーク52b-4が有する磁極部対52c-4の内の、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部52c-4xの磁気抵抗Rm(符号H)が、その逆側の磁極部52c-4yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して、大きい(条件E-1)。
【0119】
また、本実施形態では、第4bスポーク52b-4が有する磁極部対52c-4における、磁気抵抗Rmが小さい磁極部52c-y側で第4bスポーク52b-4と隣接する第3bスポーク52b-3が有する磁極部対52c-3の内の、周方向xyの第4bスポーク52b-4側の磁極部52c-3xの磁気抵抗Rm(符号L)が、第1スポーク42c-1が有する磁極部対42c-1の内の一方側(時計回り方向x側)の磁極部42c-1xの磁気抵抗Rm(符号H)に比して、小さい(条件E-2)。
以上の条件E-1及び条件E-2を満たすのが条件Eであり、本実施形態では、当該条件Eを満たしている。
【0120】
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロット4S12と点対称となる箇所に位置しているスポークとその隣に位置するスポークとの間のスロットで、磁気抵抗Rmが小さい(本実施形態では、磁極部52c-3xが小さい(符号L)が、中程度(符号M)でも構わない。)磁極部同士が近接した状態になっている。したがって、周方向xyにおいて磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きくなるため、コギングトルクがより一層増大するものと推測される。
【0121】
[第6の実施形態]
次に、本発明の一例である第6の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。第6の実施形態にかかるモータは、ロータコアの形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と近似した構成のものである。よって、本実施形態においては、ロータコア(コア)62及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である
図10を用いて説明する。
【0122】
ただし、本実施形態では、ロータコアが有するスポークの本数が第1の実施形態にかかるモータ1と異なるため、それに応じて、マグネットや制御基板の回路構造などが第1の実施形態にかかるモータ1とは異なっている。
本実施形態において、ロータコア62は、シャフト30を取り囲む環状部62aと、シャフト30を軸として環状部62aから径方向に(放射状に)延在する11本のスポーク62b-1~62b-11と、を有している。当該ロータコア52は、奇数本(11本)のスポーク62b-1~62b-11のそれぞれの径方向mn(特に、外方向m)の端部に、周方向xyの両方向に延在する一対の磁極部(磁極部対62c-1~62c-11)を有している。なお、11本のスポーク62b-1~62b-11のそれぞれには、ロータコイル(コイル)が巻回されているが、
図10においては図示が省略されている。これは、第7の実施形態にかかる
図11においても同様である。
【0123】
まず、
図10において環状部62aから下方向dへ延伸する2本のスポークの内の反時計回り方向y側のものを第1スポーク62b-1とし、当該第1スポーク62b-1から時計回り方向xに、順に、第2スポーク62b-2、第6スポーク62b-6、第7スポーク62b-7、第8スポーク62b-8、第3aスポーク62b-3、第4aスポーク62b-4、第5aスポーク62b-5、第9スポーク62b-9、第10スポーク62b-10及び第11スポーク62b-11とする。
【0124】
本実施形態では、第1スポーク62b-1において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-1xの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部62c-1yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
また、第2スポーク62b-2において、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部62c-2yの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-2xの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
【0125】
また、第3aスポーク62b-3において、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部62c-3yの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-3xの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
また、第5aスポーク62b-5において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-5xの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部62c-5yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
【0126】
一方、第4aスポーク62b-4が有する磁極部対62c-4においては、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)及び他方側(反時計回り方向y側)の双方の磁極部62c-4x,62c-4yの磁気抵抗Rmが略等しく(符号M)なっている。
【0127】
本実施形態では、上記以外の第6~11スポーク62b-6~62b-11が有する磁極部対62c-6~62c-11においては、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)及び他方側(反時計回り方向y側)の双方の磁極部62c-6x~62c-11x,62c-6y~62c-11yの磁気抵抗Rmが略等しく(符号M)なっている。
【0128】
本実施形態では、
図10に示すように、11本のスポーク62b-1~62b-11の内、4本のスポーク62b-〇(〇には、1,2、3及び5の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。)が有する磁極部対62c-〇について、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-〇xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部62c-〇yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態においては、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっており、コギングトルクの増大が図られている。
【0129】
また、本実施形態においては、
図10に示すように、第1スポーク62b-1と第2スポーク62b-2との間のスロット6S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部62c-1xと磁極部62c-2yとが近接した状態になっている。このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
【0130】
さらに、本実施形態においては、ロータコアが有するスポークの本数が11本であり、スポークの本数が奇数本である場合に特有の条件Dを備えている点で好ましい。即ち、本実施形態では、第1スポーク62b-1と第2スポーク62b-2との間のスロット6S12に対して、シャフト30を中心とした点対称の位置にある第4aスポーク42b-4が有する磁極部対62c-4の双方の磁極部62c-4x,62c-4yの磁気抵抗が、略等しい(条件D-1)。
【0131】
また、本実施形態では、第3aスポーク62b-3が有する磁極部対62c-3における、周方向の第4aスポーク62b-4側の磁極部62c-3xと、第5aスポーク62b-5が有する磁極部対62c-5における、周方向の第4aスポーク42b-4側の磁極部62c-5yと、の内の少なくとも一方(本実施形態においては、双方とも)磁気抵抗Rm(符号L)が、第4aスポーク62b-4が有する磁極部対62c-4の内の1の磁極部の磁気抵抗Rm(62c-4x及び62c-4yとも符号M)に比して小さい(条件D-2)。
【0132】
本実施形態では、以上の条件D-1及び条件D-2を満たすので、即ち条件Dを満たしている。なお、条件D-2においては、磁極部62c-3x及び磁極部62c-5yの双方が、磁極部62c-4x(≒62c-4y)に比して磁気抵抗Rmが小さい本実施形態の態様は、特に好ましい。
【0133】
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロット4S12と点対称となる箇所に位置しているスポークの少なくとも何れかの側を磁気抵抗Rmが小さい状態にすることで、周方向xyにおいて磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きくなるため、コギングトルクがより一層増大するものと推測される。
【0134】
[第7の実施形態]
次に、本発明の一例である第7の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。第7の実施形態にかかるモータは、ロータコアの形状が異なることを除き、第1の実施形態にかかるモータ1と近似した構成のものである。よって、本実施形態においては、ロータコア(コア)72及びシャフト30のみを抜き出した横断面図である
図11を用いて説明する。
【0135】
また、本実施形態におけるロータコア72は、第6の実施形態における11本のスポーク62b-1~62b-11の内の、第3aスポーク62b-3及び第4aスポーク62b-4の有する磁極部対62c-3及び62c-4に相当する磁極部対(
図11における符号72c-3及び72c-4)のみ、形状が異なっており、その他は第6の実施形態におけるロータコア62と同一の形状乃至構造のものである。よって、本実施形態にかかる
図11においては、第6の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略している。
【0136】
なお、本実施形態における第5bスポーク72b-5については、第6の実施形態における第5aスポーク62b-5と同一の構成であるが、説明の都合上、本実施形態に特有の符号(72b-5)を付している。第5bスポーク72b-5に関連する部材(磁極部、磁極部対等)についても同様である。
【0137】
本実施形態では、第4bスポーク72b-4の有する磁極部対52c-4において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部52c-4xの磁気抵抗Rm(符号H)は、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部52c-4yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して大きい。
【0138】
一方、第3bスポーク72b-3が有する磁極部対72c-3においては、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)及び他方側(反時計回り方向y側)の双方の磁極部72c-3x,72c-3yの磁気抵抗Rmが略等しく(符号M)なっている。
【0139】
本実施形態では、
図11に示すように、11本のスポーク62b-〇(〇には、1~11(3~5を除く)の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。),72b-3,72b-□(□には、4または5が入る。以下、本実施形態において同じ。)の内、4本のスポーク62b-△(△には、1または2が入る。以下、本実施形態において同じ。),72b-□について、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-△x,72c-□xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部62c-△y,72c-□yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態では、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になり、コギングトルクの増大が図られている点は、第6の実施形態と同様である。
【0140】
また、第1スポーク62b-1と第2スポーク62b-2との間のスロット6S12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部62c-1xと磁極部62c-2yとが近接した状態になっており、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている点も、第6の実施形態と同様である。
【0141】
さらに、本実施形態においては、ロータコアが有するスポークの本数が11本であり、スポークの本数が奇数本である場合に特有の他の条件Eを備えている点で好ましい。即ち、本実施形態では、第1スポーク62b-1と第2スポーク62b-2との間のスロット6S12に対して、シャフト30を中心とした点対称の位置にある第4bスポーク72b-4が有する磁極部対72c-4の内の、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部72c-4xの磁気抵抗Rm(符号H)が、その逆側の磁極部72c-4yの磁気抵抗Rm(符号L)に比して、大きい(条件E-1)。
【0142】
また、本実施形態では、第4bスポーク72b-4が有する磁極部対72c-4における、磁気抵抗Rmが小さい磁極部72c-4y側で第4bスポーク72b-4と隣接する第3bスポーク72b-xが有する磁極部対72-3の内の、周方向xyの第4bスポーク72b-4側の磁極部72c-3xの磁気抵抗Rm(符号M)が、第1スポーク62c-1が有する磁極部対62c-1の内の一方側(時計回り方向x側)の磁極部62c-1xの磁気抵抗Rm(符号H)に比して、小さい(条件E-2)。
以上の条件E-1及び条件E-2を満たすので、即ち条件Eを満たしている。
【0143】
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロット6S12と点対称となる箇所に位置しているスポークとその隣に位置するスポークとの間のスロットで、磁気抵抗Rmが小さい(本実施形態のように、磁極部72c-3xが中程度(符号M)でも構わない。)磁極部同士が近接した状態になっている。したがって、周方向xyにおいて磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きくなるため、コギングトルクがより一層増大するものと推測される。
【0144】
[第8の実施形態]
次に、本発明の一例である第8の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。
図12は、第8の実施形態にかかるモータ8の、軸と垂直方向の平面の断面図であり、
図13は、軸を含む平面の断面図である。
図12は
図13におけるC-C断面図であり、
図13は
図12におけるD-D断面図である。
【0145】
第8の実施形態にかかるモータ8においては、第1の実施形態にかかるモータ1のロータ(ロータコア2及びロータコイル3)と同様の構成の部材を、ステータ(本実施形態においては符号80)として用いている。即ち、モータ1はインナーロータ形のモータであるのに対して、モータ8はアウターロータ形のモータである。
【0146】
その他、マグネットの形状やシャフト支持の構成等、種々の異なる点があるものの、本実施形態にかかるモータ8は、第1の実施形態にかかるモータ1と近似した構成のものである。よって、本実施形態にかかる
図12及び
図13においては、第1の実施形態と同一の構成の部材に同一の符号を付して、その詳細な説明を省略している。
【0147】
本実施形態において、ロータ81は、マグネット81a及びロータハブ81bを有する。ロータハブ81bは、シャフト30と同軸上に配され全体としてカップ状であり、マグネット81aが内周面に取り付けられる筒状部81cと、シャフト30の軸方向の一方向(
図13における左方向)側で筒状部81cに連なる円盤部81eと、円盤部81eに連なる筒状の接続部81dと、からなる。
【0148】
ロータハブ81bは、鉄材等の磁性体であり、接続部81dに嵌挿されたシャフト30が、当該接続部81dと固定され、両者が一体になっている。筒状部81cの内周面には、後述するステータコア82を取り囲むように、6個のマグネット81aが配されている。当該マグネット81aは、周方向において、N極及びS極が交互にステータコア82に対向するように配されている。
【0149】
マグネット81aの内側には、所定の隙間を介して、鉄製のステータ80の一部であるステータコア82が配置されている。本実施形態において、ステータ80は、シャフト30と同軸上でこれを取り囲むように配された環状部82a、及び、当該環状部82aから径方向に(放射状に)延在する6本のスポーク82bからなるステータコア82と、環状部82aから、シャフト30の軸方向の他方向(
図13における右方向)側で径方向に(放射状に)延びて拡径するステータハブ82eと、ステータコア82の6本のスポーク82bにそれぞれ巻き回されたステータコイル(コイル)83と、を有する。
【0150】
環状部82aには、シャフト30の軸方向において、一方向から他方向(
図13における左方向から右方向)に順に、スポーク82bとステータハブ84とが接続されており、環状部82aはさらに延伸している(この延伸した部位を「環状延伸部」と称し、符号82eを付する。)。この環状延伸部82eとステータハブ84の一部とにかけて、円盤状の底部61が取り付けられている。この底部61とステータ80とで、固定部が構成されている。
【0151】
シャフト30は、その軸方向における中央やや一方向(
図13における左方向)側、及び、他方向(
図13における右方向)側で、第1の軸受40及び第2の軸受41により回転自在な状態で支持されている。第1の軸受40及び第2の軸受41は、環状部82aの内周面にそれぞれ固定され、これら軸受40,41を介してステータ80に対して固定されている。即ち、シャフト30は、ステータ80に対して回転可能に固定されている。したがって、シャフト30とロータ81とで構成される回転部は、ステータ80及び底部61で構成される固定部に対して、回転可能な状態とされている。
【0152】
ステータ80には、図示が省略された給電機構が配されており、この給電機構により、ステータコア82に巻回されたステータコイル83に、所定の駆動電流が供給される。これらステータ80側の機械的乃至電気的構造は、一般的なブラシレスDCモータと同様である。
【0153】
図14は、本実施形態にかかるモータ80からステータコア82のみを抜き出した横断面図である。
図3と比較すればわかるように、本実施形態におけるステータコア82の形状は、第1の実施形態におけるロータコア2と同様である。本実施形態におけるステータコイル83(
図13参照)と第1の実施形態におけるロータコイル3(
図1参照)も同様の構成であり、本実施形態におけるステータ80と第1の実施形態におけるロータ20とは、部品単体としてみた場合に、同一の物と云うことができる。
【0154】
即ち、本実施形態におけるステータ80と第1の実施形態におけるロータ20とは、同一の磁性部材とみなすことができる。したがって、ステータ80とロータ20とで、それぞれモータ(8,9)における役割は異なるものの、磁気特性としては同等の特性を示す。そのため、本実施形態にかかるモータ8は、第1の実施形態にかかるモータ1と同様に、コギングトルクの増大効果を享受することができる。
【0155】
本実施形態では、6本のスポーク82b-1~82b-6が有する磁極部対82c-1~82c-6の全てが、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部82c-〇x(〇には、1~6の何れかの数字が入る。以下、本実施形態において同じ。)の磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部82c-〇yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態においては、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっており、コギングトルクの増大が図られている。
【0156】
また、本実施形態においても、第2スポーク82b-2が有する磁極部対82c-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部82c-2yが、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部82c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0157】
そのため、
図14に示すように、第1スポーク82b-1と第2スポーク82b-2との間のスロット8S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部82c-1xと磁極部82c-2yとが近接した状態になっている。このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
【0158】
また、本実施形態では、第2スポーク82b-2に対して周方向xyの一方側(時計回り方向x側)に隣接する第3スポーク82b-3が有する磁極部対82c-3における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部82c-3yの磁気抵抗Rm(符号M)が、第2スポーク82b-2が有する磁極部対における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部82c-2yの磁気抵抗Rm(符号H)に比して、磁気抵抗Rmが小さい。
【0159】
そのため、
図14に示すように、第2スポーク82b-2と第3スポーク82b-3との間のスロット8S
23で、ともに磁気抵抗Rmが小さい磁極部82c-2xと磁極部2c-3yとが近接した状態になっている。即ち、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部82c-1xと磁極部82c-2yとが近接している、第1スポーク82b-1と第2スポーク82b-2との間のスロット8S
12のすぐ隣のスロット8S
23において、逆にともに磁気抵抗Rmが小さい磁極部82c-2xと磁極部82c-3yとが近接している。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とが近接し、磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きい。
【0160】
このように、周方向に連続した2つのスロット8S12,8S23で、一方のスロット8S12は、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部同士が、他方のスロット8S23は、ともに磁気抵抗Rmが小さい(符号L)磁極部同士が、それぞれ近接している状態にして、磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とを近接させる(条件B)ことで、コギングトルクをより一層大きくすることができている。
【0161】
さらに、本実施形態では、ステータコア82のスポークの本数が偶数本であり、第1スポーク82b-1に対してシャフト30(
図12を参照)を中心とした点対称の位置にある第4スポーク82b-4が有する磁極部対82c-4において、磁極部82c-4yの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部82c-4xの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0162】
一方、第2スポーク82b-2に対してシャフト30(
図12を参照)を中心とした点対称の位置にある第5スポーク82b-5が有する磁極部対82c-5において、磁極部82c-5xの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部82c-5yの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0163】
そのため、
図14に示すように、第1スポーク82b-1と第2スポーク82b-2との間のスロット8S
12に対してシャフト30(
図12を参照)を中心とした点対称の位置にある第4スポーク82b-4と第5スポーク82b-5との間のスロット8S
45で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部82c-4xと磁極部82c-5yとが近接した状態になっている。
【0164】
既述の通り、第1スポーク82b-1と第2スポーク82b-2との間のスロット8S12においても、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部82c-1xと磁極部82c-2yとが近接した状態になっている。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している。
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している状態にある(条件C)ことで、コギングトルクが相乗的に増大している。
【0165】
なお、本実施形態において、ステータコア82の形状としては、第1の実施形態におけるロータコア2と同様の形状のものを例に挙げているが、これに限定されるものではない。例えば、ステータコア82を、上記第2~第7の実施形態において例示した何れのロータコアと同様の形状のものに置き換えてもよく、何れの形状においても本願発明にかかる効果が奏され得る。
【0166】
[第9の実施形態]
次に、本発明の一例である第9の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。
図15は、第9の実施形態にかかるモータ9の、軸と垂直方向の平面の断面図である。
【0167】
第9の実施形態にかかるモータ9は、第1の実施形態にかかるモータ1と同様、インナーロータ形のモータではあるが、モータ1とは、ロータ(第1の実施形態ではロータコア2及びロータコイル3)及びステータ(第1の実施形態ではステータ10)の構成が大きく異なっている。
【0168】
即ち、第1の実施形態にかかるモータ1では、先端の磁極部対2cが外方に向いて放射状に配された複数(6本)のスポーク2bにコイル3が巻回された磁性部材が、ロータとして用いられている。これに対して、本実施形態にかかるモータ9では、先端の後述する磁極部対92cが中心のシャフト30に向いて(モータ1とは逆方向に向いて)放射状に配された複数(6本)のスポーク92bにステータコイル(コイル)93が巻回された磁性部材が、こちらはステータ90として用いられている点が異なる。
【0169】
かかる磁性部材の構成の相違にともなって、本実施形態では、ロータ91の構成も第1の実施形態におけるロータとは勿論、ステータ10とも大きく異なっている。即ち、本実施形態におけるロータ91は、内孔にシャフト30が嵌挿されて固定された円筒状の部材であり、外表面が周方向にS極とN極とが交互に並ぶように着磁されてマグネットになっている。なお、ロータ91としては、円筒状の部材の外面にマグネットを埋め込んで、同様にS極とN極とが交互に並ぶように構成されていても構わない。
【0170】
外周面がマグネットとなっているロータ91の外側には、所定の隙間を介して先端の磁極部対2cが対向するスポーク2bを有するステータ92が配されている。ステータ90は、スポーク2bを6本有するステータコア92と、当該ステータコア92のそれぞれに巻き回されたステータコイル93を備えている。
【0171】
ステータコア92は、珪素鋼板等の積層体となっており、シャフト30を取り囲む環状部92aと、当該環状部92aの内周面から径方向の中心軸側(シャフト30側)に(放射状に)延在する既述のスポーク2bと、を有している。なお、ステータコア92の環状部92aのさらに外側には、円筒状のケース94が配されており、これにステータ90が固定されている。
【0172】
ステータコア92は、複数本(6本)のスポーク2bのそれぞれの径方向mn(特に、内方向n)の端部に、周方向xyの両方向に延在する一対の磁極部(一対の磁極部をまとめて「磁極部対」と称する場合がある。本実施形態において、一対の磁極部をまとめて「磁極部対」と称した場合には、符号「92c」または符号「92c-□」(□は整数)が付される。)を有している。
【0173】
なお、本実施形態では、モータ9の軸を含む平面の断面図は省略しているが、シャフト30が、当該シャフト30の軸方向に2つの不図示の軸受の内輪が固定され、その軸受の外輪がケース94に固定されることで、ロータ91がステータ90に対して回転可能な状態とされている。
【0174】
図16は、本実施形態にかかるモータ9からロータコア92のみを抜き出した横断面図である。
図16に示すロータコア92は、偶数である複数(本実施形態では、6本)のスポーク92b-1~92b-6の内の少なくとも1本のスポーク(本実施形態では、スポーク92b-1~92b-6の全て)が有する一対の磁極部92c-1x~92c-6x,92c-1y~92c-6yの形状が、相互に異なっている。
【0175】
より具体的に説明する。
まず、
図16において環状部92aから下方向dへ延伸するスポークを第1スポーク92b-1とし、当該第1スポーク92b-1から時計回り方向xに、順に、第2スポーク92b-2、第3スポーク92b-3、第4スポーク92b-4、第5スポーク92b-5及び第6スポーク92b-6とする。
【0176】
図17に、第9の実施形態にかかるモータにおける各スポーク92bの先端部周辺(磁極部92c周辺)の拡大図を示す。
第1スポーク92b-1において、外方向nの端部の磁極部対92c-1には、ロータ91(
図15を参照)のマグネットに対向する面に、シャフト30の軸方向と平行に延在する溝部92chが設けられている。
【0177】
この溝部92chは、
図17に示されるように、磁極部対92c-1において、周方向xyの中心から、時計回り方向x側(第2スポーク92b-2側)に偏った箇所に位置している。このため、
図17に示されるように、磁極部対92c-1における時計回り方向x側の磁極部92c-1xは、横断面における断面積が小さく、反時計回り方向y側の磁極部92c-1yは、横断面における断面積が大きくなっている。
【0178】
したがって、磁極部対92c-1において、溝部92chの位置を周方向xyの中心から偏らせると、中心に位置する場合に比して、溝部92chが寄った側である磁極部92c-1xの磁気抵抗Rmが、
図17に示されるように、大きく(符号H)なり、溝部92chが遠ざかった側である磁極部92c-1yの磁気抵抗Rmが、小さく(符号L)なる。
よって、第1スポーク92b-1において、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部92c-1xは、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部92-cyに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0179】
本実施形態では、6本のスポーク92b-1~92b-6が有する磁極部対92c-1~92c-6の全てが、第1スポーク92b-1と同様の溝部92chを有しており、かつ、当該溝部92chの位置が、周方向xyの中心から何れかの方向(x方向、or、y方向)に偏っている。
【0180】
第1スポーク92b-1に対して時計回り方向x側(周方向xyの一方側)に隣接する第2スポーク92b-2が有する磁極部対92c-2において、溝部92chは、
図17に示されるように、周方向xyの中心から、反時計回り方向y側(第1スポーク92b-1側)に偏った箇所に位置している。このため、
図17に示されるように、磁極部対92c-2における時計回り方向x側の磁極部92c-2xは、横断面における断面積が大きく、反時計回り方向y側の磁極部92c-2yは、横断面における断面積が小さくなっている。
【0181】
したがって、磁極部対92c-2において、溝部92chの位置が周方向xyの中心に位置する場合に比して、溝部92chが遠ざかった側である磁極部92c-2xの磁気抵抗Rmが、
図17に示されるように、小さく(符号L)なっており、溝部92chが寄った側である磁極部92c-2yの磁気抵抗Rmが、大きく(符号H)なっている。
よって、第2スポーク92b-2において、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部92c-2yは、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部92c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0182】
これら第1スポーク92b-1及び第2スポーク92b-2におけるそれぞれの磁極部対92c-1及び92c-2は、第1の実施形態における第1スポーク2b-1及び第2スポーク2b-2におけるそれぞれの磁極部対2c-1及び2c-2と、対向する向きが中心軸側(シャフト30側)であるか、外方側(外周方向)であるかの相違はあるものの、周方向において、磁極部92cの横断面における断面積の大小、換言すれば磁極部92cの磁気抵抗Rmの大小の並びが等しくなっている。
【0183】
即ち、時計回り方向xに順に、磁極部92c-1y、磁極部92c-1x、磁極部92c-2y及び磁極部92c-2xの磁気抵抗Rmは、第1の実施形態における磁極部2c-1y、磁極部2c-1x、磁極部2c-2y及び磁極部2c-2xの磁気抵抗Rmと同様、そのままこの順に符号で表すと、どちらもL、H、H及びLとなる。残りの磁極部92c-3y~92c-6y、及び、磁極部92c-3x~92c-6xについても、第1の実施形態における磁極部2c-3y~2c-6y、及び、磁極部2c-3x92c-6xと同一になっている。
【0184】
よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様のコギングトルクに関する作用並びに効果が奏される。即ち、本実施形態では、6本のスポーク92b-1~92b-6が有する磁極部対92c-1~92c-6の全てについて、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部92c-1x~92c-6xの磁気抵抗Rmと、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部92c-1y~92c-6yの磁気抵抗Rmと、が相互に異なっている。そのため、本実施形態においては、周方向の磁気的なバランスが崩れた状態になっており、コギングトルクの増大が図られている。
【0185】
また、本実施形態においても、第2スポーク92b-2が有する磁極部対92c-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部92c-2yが、周方向xyの一方側(時計回り方向x側)の磁極部92c-2xに比して、磁気抵抗Rmが大きい。
【0186】
そのため、
図17に示すように、第1スポーク92b-1と第2スポーク92b-2との間のスロット9S
12で、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部32c-1xと磁極部32c-2yとが近接した状態になっている。このように、少なくとも1つのスロットで、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部同士が近接している状態にある(条件A)ことで、コギングトルクをより大きくすることができている。
【0187】
また、本実施形態では、第2スポーク92b-2に対して周方向xyの一方側(時計回り方向x側)に隣接する第3スポーク92b-3が有する磁極部対92c-3における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部92c-3yの磁気抵抗Rm(符号L)が、第2スポーク92b-2が有する磁極部対92b-2における、周方向xyの他方側(反時計回り方向y側)の磁極部92c-2yの磁気抵抗Rm(符号H)に比して、磁気抵抗Rmが小さい。
【0188】
そのため、
図17に示すように、第2スポーク92b-2と第3スポーク92b-3との間のスロット9S
23で、ともに磁気抵抗Rmが小さい磁極部92c-2xと磁極部92c-3yとが近接した状態になっている。即ち、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部92c-1xと磁極部92c-2yとが近接している、第1スポーク92b-1と第2スポーク92b-2との間のスロット3S
12のすぐ隣のスロット3S
23において、逆に磁気抵抗Rmが小さい磁極部92c-2xと磁極部92c-3yとが近接している。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい箇所と小さい箇所とが近接し、磁気的なバランスの崩れ方がより一層大きい。
【0189】
このように、周方向に連続した2つのスロット9S12,9S23で、一方のスロット9S12は、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部同士が、他方のスロット9S23は、ともに磁気抵抗Rmが小さい(符号L)磁極部同士が、それぞれ近接している状態にある(条件B)ことで、コギングトルクをより一層大きくすることができている。
【0190】
さらに、本実施形態では、ステータコア92のスポークの本数が偶数本であり、第1スポーク92b-1に対してシャフト30(
図15を参照)を中心とした点対称の位置にある第4スポーク92b-4が有する磁極部対92c-4において、磁極部92c-4yの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部92c-4xの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0191】
一方、第2スポーク92b-2に対してシャフト30(
図15を参照)を中心とした点対称の位置にある第5スポーク92b-5が有する磁極部対92c-5において、磁極部92c-5xの磁気抵抗Rmが小さく(符号L)、磁極部92c-5yの磁気抵抗Rmが大きく(符号H)なっている。
【0192】
そのため、
図7に示すように、第1スポーク92b-1と第2スポーク92b-2との間のスロット9S
12に対してシャフト30(
図15を参照)を中心とした点対称の位置にある第4スポーク92b-4と第5スポーク92b-5との間のスロット9S
45で、ともに磁気抵抗Rmが大きい(符号H)磁極部92c-4xと磁極部92c-5yとが近接した状態になっている。
【0193】
既述の通り、第1スポーク92b-1と第2スポーク92b-2との間のスロット9S12においても、ともに磁気抵抗Rmが大きい磁極部92c-1xと磁極部92c-2yとが近接した状態になっている。よって、周方向xyにおいて磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している。
このように、本実施形態においては、磁気抵抗Rmが大きい磁極部同士が近接した状態のスロットが、点対称の箇所に位置している状態にある(条件C)ことで、コギングトルクが相乗的に増大している。
【0194】
本実施形態においては、本発明に特徴的な磁性部材としてのステータ90が固定され、当該ステータ90が備えるステータコイル93に所定の電流を供給することで、ステータ90の内側に位置するロータ91とともにシャフト30を回転させるインナーロータ型のモータ9を例に挙げて説明した。しかし、第8の実施形態と第1の実施形態との関係と同様に、このロータとステータの機能を入れ替えても、本発明による作用乃至効果が奏され得る。
【0195】
即ち、本実施形態において、ステータ80と同一形状かつ同一構成の磁性部材をケース94に対して回転可能に支持することで、これをロータとし、他方ロータ81に相当する部材をシャフト30から独立させてケース94に固定することで、これをステータとしたアウターロータ型のモータにおいても、本発明による作用乃至効果を実現することができる。
【0196】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のモータは上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、スポークの本数が5本、6本及び11本のものを例に挙げて説明しているが、スポークの本数は特に制限されるものではなく、複数本であれば構わない。また、偶数本に特有の条件Cについて、スポークの本数は、6本に限定されず、4本や8本以上でも構わない。さらに、奇数本に特有の条件Dや条件Eについて、スポークの本数は、5本や11本に限定されず、3本、7本、あるいは9本でも構わないし、13本以上でも構わない。
【0197】
また、上記実施形態においては、各スポークの有する磁極部の磁気抵抗を調整する方法として、磁極部対における溝の位置を偏らせる方法と、カシメの位置を偏らせる方法の2通りを挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、磁極部における磁路の断面積の大きさを他の方法によって変化させる方法等、何れの方法であっても構わない。
【0198】
また、各スポークの有する磁極部の磁極部の磁気抵抗Rmとしては、大きい(符号H)、中程度(符号M)、小さい(符号L)のそれぞれで正確に等しくしても構わないし、略等しい程度の差異や誤差があってもよいし、それぞれの磁気抵抗Rmの大きさに明らかな差を付けても構わない。
【0199】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0200】
1…モータ、2…ロータコア(コア)、2a…環状部、2b…スポーク、2b-1…第1スポーク、2b-2…第2スポーク、2b-3…第3スポーク、2b-4…第4スポーク、2b-5…第5スポーク、2b-6…第6スポーク、2c,2c-1~2c-6…磁極部対(一対の磁極部)、2c-1x~2c-6x,2c-1y~2c-6y…磁極部、2ch…溝部、3…ロータコイル(コイル)、8…モータ、9…モータ、10…ステータ、11…マグネット、12…筒状部、20…ロータ(磁性部材)、22ロータコア(コア)、22b-3…第3スポーク、22b-6…第6スポーク、22c-3,2c-6…磁極部対(一対の磁極部)、22c-3x,22c-6x,22c-3y,22c-6y…磁極部、30…シャフト、32…ロータコア(コア)、32a…環状部、32b-1…第1スポーク、32b-2…第2スポーク、32b-3…第3スポーク、32b-4…第4スポーク、32b-5…第5スポーク、32b-6…第6スポーク、32c-1~32c-6…磁極部対(一対の磁極部)、32c-1x~32c-6x,32c-1y~32c-6y…磁極部、32d…カシメ、40…第1の軸受、41…第2の軸受、42…ロータコア(コア)、42a…環状部、42b-1…第1スポーク42b-2…第2スポーク、42b-3…第3スポーク、42b-4…第4スポーク、42b-5…第5スポーク、42c-1~42c-5…磁極部対(一対の磁極部)、42c-1x~42c-5x,42c-1y~42c-5y…磁極部、50…蓋部、52…ロータコア(コア)、52b-3…第3スポーク、52b-4…第4スポーク、52b-5…第5スポーク、52c-3~52c-5…磁極部対(一対の磁極部)、52c-3x~52c-5x,52c-3y~52c-5y…磁極部、60…底部、61…底部、62…ロータコア(コア)、62a…環状部、62b-1…第1スポーク62b-2…第2スポーク、62b-3…第3スポーク、62b-4…第4スポーク、62b-5…第5スポーク、62b-6…第6スポーク62b-7…第7スポーク、62b-8…第8スポーク、62b-9…第9スポーク、62b-10…第10スポーク、62b-11…第11スポーク、62c-1~62c-11…磁極部対(一対の磁極部)、62c-1x~62c-11x,62c-1y~62c-11y…磁極部、72…ロータコア(コア)、72b-3…第3スポーク、72b-4…第4スポーク、72b-5…第5スポーク、72c-3~72c-5…磁極部対(一対の磁極部)、72c-3x~72c-5x,72c-3y~72c-5y…磁極部、80…ステータ(磁性部材)、81…ロータ、81a…マグネット、81b…筒状部、81c…ロータハブ、81d…接続部、82…ステータコア(コア)、82a…環状部、82b…スポーク、82c-1~82c-6…磁極部対(一対の磁極部)、82c-1x~82c-6x,82c-1y~82c-6y…磁極部、82e…ステータハブ、82f…環状延伸部、83…ステータコイル(コイル)、90…ステータ(磁性部材)、91…ロータ(マグネット)、92…ステータコア(コア)、92a…環状部、92b…スポーク、92c,92c-1~92c-6…磁極部対(一対の磁極部)、92c-1x~92c-6x,92c-1y~92c-6y…磁極部、93…ステータコイル(コイル)、94…ケース、101…モータ、102…ロータコア、102b…スポーク、102c…磁極部対、102ch…溝部、102cx,102cy…磁極部