(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/445 20180101AFI20240321BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240321BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20240321BHJP
【FI】
G06F9/445
B60R16/02 660U
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2020033129
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚文
(72)【発明者】
【氏名】長尾 貴史
(72)【発明者】
【氏名】江川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】村木 均至
(72)【発明者】
【氏名】小杉 正則
【審査官】渡辺 一帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-223068(JP,A)
【文献】特開2011-028622(JP,A)
【文献】特開2017-216609(JP,A)
【文献】特開2018-071212(JP,A)
【文献】特開2019-133584(JP,A)
【文献】特開2017-102553(JP,A)
【文献】特開2019-204391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/445
B60R 16/02
G06F 8/65-8/658
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能、及び前記ユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能に関する機能情報を記憶する記憶部、及び前記機能情報を出力する第1の通信部を有する端末と、
前記第1の通信部を介して前記端末と通信を行う第2の通信部、及び前記第2の通信部を介して前記端末から取得した前記機能情報に基づいて前記不許可機能のうち、少なくとも1つの機能を前記許可機能に変更、及び前記許可機能のうち、少なくとも1つの機能を前記不許可機能に変更の少なくとも一方を行う制御部を有する車両制御装置と、
を備え、
前記車両制御装置は、前記端末が車室内に存在するか否かを判定する判定部を有し、前記判定部によって前記端末が前記車室内に存在すると判定された場合、前記端末より取得した前記機能情報に基づいて前記許可機能及び前記不許可機能の変更の少なくとも一方を行う、
車両制御システム。
【請求項2】
さらに、前記機能情報を生成するソフトウェアを前記端末に送信するサーバを備えた、
請求項
1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記端末は、前記サーバから取得した前記ソフトウェアに基づいて前記機能情報を生成すると共に
前記ユーザの生体情報を読み取って登録生体情報として前記車両制御装置を介してスタートスイッチに送信する機能を備え、
前記車両制御装置は、前記端末から取得した前記機能情報に基づいて前記スタートスイッチに予め搭載されていた生体認証機能を前記不許可機能から前記許可機能に変更し、
前記スタートスイッチは、操作の際に前記生体認証機能によって読み取った前記生体情報と、前記端末を介して登録された前記登録生体情報と、を比較して生体認証を行う、
請求項
2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
車両に搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能、及び前記ユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能に関する機能情報を記憶する記憶部、及び前記機能情報を出力する第1の通信部を有する端末と、
前記第1の通信部を介して前記端末と通信を行う第2の通信部、及び前記第2の通信部を介して前記端末から取得した前記機能情報に基づいて前記不許可機能のうち、少なくとも1つの機能を前記許可機能に変更、及び前記許可機能のうち、少なくとも1つの機能を前記不許可機能に変更の少なくとも一方を行う制御部を有する車両制御装置と、
前記機能情報を生成するソフトウェアを前記端末に送信するサーバと、
を備え
、
前記端末は、前記サーバから取得した前記ソフトウェアに基づいて前記機能情報を生成すると共に前記ユーザの生体情報を読み取って登録生体情報として前記車両制御装置を介してスタートスイッチに送信する機能を備え、
前記車両制御装置は、前記端末から取得した前記機能情報に基づいて前記スタートスイッチに予め搭載されていた生体認証機能を前記不許可機能から前記許可機能に変更し、
前記スタートスイッチは、操作の際に前記生体認証機能によって読み取った前記生体情報と、前記端末を介して登録された前記登録生体情報と、を比較して生体認証を行う、
車両制御システム。
【請求項5】
前記車両制御装置は、前記端末が前記車両の外にある場合、前記端末から取得した前記機能情報に基づいて前記車両のロック、アンロックを可能とする機能を前記許可機能とする、
請求項
1乃至4のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記車両制御装置は、有料で貸し出し、又は共有される前記車両に搭載される、
請求項
1乃至
5のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車両のダッシュボード部に配置され、各種のオプションモジュールを着脱自在とされたセンターモジュールを有する車載用ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この車載用ユニットのセンターモジュールは、所定の機能を有するユニットが予め組込まれていると共に、少なくとも1箇所にモジュール装填部が設けられている。センターモジュールは、そのモジュール装填部に、ユニットの機能と異なる所定の機能を有する少なくとも1種類のオプションモジュールが着脱自在に装填可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来の車載用ユニットは、新たにユニットを追加する場合、追加するユニットを購入し、さらにセンターモジュールに組み込まなければならず、時間と手間がかかる問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、容易に新たな機能を追加することができる車両及び車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった複数の機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能、及びユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能を有し、取得した許可機能と不許可機能に関する機能情報に基づいて不許可機能のうち、少なくとも1つの機能を許可機能に変更、及び許可機能のうち、少なくとも1つの機能を不許可機能に変更の少なくとも一方を行う制御部を備えた車両制御装置を提供する。
【0008】
本発明の他の一態様は、車両に搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能、及びユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能に関する機能情報を記憶する記憶部、及び機能情報を出力する第1の通信部を有する端末と、第1の通信部を介して端末と通信を行う第2の通信部、及び第2の通信部を介して端末から取得した機能情報に基づいて不許可機能のうち、少なくとも1つの機能を許可機能に変更、及び許可機能のうち、少なくとも1つの機能を不許可機能に変更の少なくとも一方を行う制御部を有する車両制御装置と、を備えた車両制御システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に新たな機能を追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る車両制御システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、実施の形態に係る車両制御システムのサーバのブロック図の一例であり、
図2(b)は、端末のブロック図の一例であり、
図2(c)は、車両制御装置のブロック図の一例である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る車両制御システムの車両における車両通信システムのブロック図の一例である。
【
図4】
図4(a)は、実施の形態に係る車両制御システムの端末における機能の購入画面の一例を示し、
図4(b)は、指紋登録又は指紋認証時の画面の一例を示している。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る車両制御システムにおける機能の追加に関するタイミングチャートの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る車両制御装置は、搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった複数の機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能、及びユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能を有し、取得した許可機能と不許可機能に関する機能情報に基づいて不許可機能のうち、少なくとも1つの機能を許可機能に変更、及び許可機能のうち、少なくとも1つの機能を不許可機能に変更の少なくとも一方を行う制御部を備えて概略構成されている。
【0012】
この車両制御装置は、不許可機能を許可機能に変更して使用可能な機能を追加することができるので、機能を追加するために新たに電子機器などを取り付ける場合と比べて、容易に新たな機能を追加することができる。
【0013】
また実施の形態に係る車両制御システムは、車両に搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能、及びユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能に関する機能情報を記憶する記憶部、及び機能情報を出力する第1の通信部を有する端末と、第1の通信部を介して端末と通信を行う第2の通信部、及び第2の通信部を介して端末から取得した機能情報に基づいて不許可機能のうち、少なくとも1つの機能を許可機能に変更、及び許可機能のうち、少なくとも1つの機能を不許可機能に変更の少なくとも一方を行う制御部を有する車両制御装置と、を備えて概略構成されている。
【0014】
この車両制御システムは、端末の操作によって不許可機能を許可機能に変更して使用可能な機能を追加することができるので、機能を追加するために新たに電子機器などを取り付ける場合と比べて、容易に新たな機能を追加することができる。
【0015】
[実施の形態]
(車両制御システム1の概要)
図1は、車両制御システムの一例を示す図である。
図2(a)は、サーバのブロック図の一例であり、
図2(b)は、端末のブロック図の一例であり、
図2(c)は、車両制御装置のブロック図の一例である。
図3は、車両通信システムのブロック図の一例である。なお
図1では、主な情報の流れを矢印で示している。
【0016】
本実施の形態の車両制御装置80は、
図1に示すように、搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった複数の機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能(後述する許可機能90)、及びユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能(後述する不許可機能91)を有し、取得した許可機能(90)と不許可機能(91)に関する機能情報5に基づいて不許可機能(91)のうち、少なくとも1つの機能を許可機能(90)に変更、及び許可機能(90)のうち、少なくとも1つの機能を不許可機能(91)に変更の少なくとも一方を行う制御部(後述する車両制御部80d)を備えて概略構成されている。
【0017】
車両制御装置80は、車両8に搭載されている。この車両8は、例えば、価格が異なる複数のグレードに分かれて販売されている。また車両8は、複数の電子機器が搭載されている。最高グレードの車両8は、一例として、複数の電子機器の実行可能な機能のうち、標準的な機能の他、付加価値が高い機能が使用可能、つまり許可機能(90)として使用可能な状態にされている。一方、グレードが最も低い車両8は、一例として、複数の電子機器の実行可能な機能のうち、標準的な機能のみが使用可能な状態、つまり主に付加価値が高い機能が不許可機能(91)とされている。このように車両8は、グレードの違いによって搭載される電子機器が変わるのではなく全ての電子機器が搭載され、グレードの違いによって使用できる機能、つまり許可機能(90)が異なっているものとする。
【0018】
車両制御装置80は、有料で貸し出し、又は共有される車両8、所謂レンタカーやカーシェアリングなどで使用される車両8に搭載されている。車両8は、例えば、貸し出しの価格によって、許可機能(90)と不許可機能(91)が設定される。つまり貸し出しの価格が高い場合、付加価値の高い機能が許可機能(90)とされる。また貸し出しの価格が低い場合、標準的な機能が許可機能(90)とされる。
【0019】
さらに車両8は、家族で共有され、家族ごとに使用可能な機能が異なる車両としても使用される。この車両8は、例えば、家族の好みに応じて選択された機能が許可機能(90)とされ、家族の端末6ごとに機能情報5として記憶されている。
【0020】
車両8は、
図1に示すように、車両制御システム1に含まれている。この車両制御システム1は、
図2(a)~
図3に示すように、車両8に搭載された少なくとも1つの電子機器に備わった機能において、ユーザに対して使用が許可されている少なくとも1つの許可機能90、及びユーザに対して使用が許可されていない少なくとも1つの不許可機能91に関する機能情報5を記憶する記憶部62、及び機能情報5を出力する第1の通信部としての端末通信部63を有する端末6と、端末通信部63を介して端末6と通信を行う第2の通信部としての通信部80a、及び通信部80aを介して端末6から取得した機能情報5に基づいて不許可機能91のうち、少なくとも1つの機能を許可機能90に変更、及び許可機能90のうち、少なくとも1つの機能を不許可機能91に変更の少なくとも一方を行う車両制御部80dを有する車両制御装置80と、を備えている。
【0021】
車両制御システム1は、
図1に示すように、さらに、機能情報5を生成するソフトウェア3を端末6に送信するサーバ2を備えている。サーバ2と端末6は、ネットワーク4を介して接続されている。また端末6と車両8は、車両LAN(=Local Area Network)7を介して接続されている。車両制御システム1は、サーバ2と、端末6と、車両8と、を備えて構成されている。
【0022】
(サーバ2の構成)
サーバ2は、
図2(a)に示すように、サーバ通信部20と、記憶部21と、サーバ制御部22と、を備えて構成されている。サーバ通信部20は、ネットワーク4を介して端末6と相互に信号や情報などの交換を行うように構成されている。記憶部21は、半導体メモリ、HDD(=Hard Disk Drive)やSSD(=Solid State Drive)などの記憶装置から構成されている。この記憶部21には、ソフトウェア3が記憶されている。
【0023】
サーバ制御部22は、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(=Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、サーバ制御部22が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0024】
(ソフトウェア3の構成)
ソフトウェア3は、車両8に搭載された電子機器の機能の活性化及び不活性化、つまり許可機能90及び不許可機能91を管理するプログラムである。本実施の形態のソフトウェア3は、主に不許可機能91を許可機能90に変更するために用いられるがこれに限定されず、今まで使用されていた許可機能90を不許可機能91に変更するためにも用いられる。
【0025】
許可機能90から不許可機能91への変更は、例えば、許可機能90に使用期限がある場合、新たに許可機能90とした機能によって既存の許可機能90が不必要になった場合や許可機能90が廃止された場合などである。
【0026】
不許可機能91を許可機能90に変更する方法の概要は、一例として、次のようである。ユーザは、例えば、端末6を操作してネットワーク4を介してサーバ2と接続し、不許可機能91を許可機能90とするソフトウェア3を購入する。次にユーザは、サーバ2からダウンロードしたソフトウェア3を起動する。機能情報5は、例えば、ソフトウェア3の起動後に作成される。この機能情報5は、許可機能90及び不許可機能91に関する情報を含んでいる。
【0027】
車両8を有料で借りる場合、例えば、ソフトウェア3の購入代金には、車両8の貸し出しの料金が含まれる。この貸し出しの料金の金額によって利用可能な許可機能90が異なる。
【0028】
(ネットワーク4の構成)
ネットワーク4は、無線又は有線でサーバ2と端末6とを接続するものである。本実施の形態のネットワーク4は、インターネットである。なおサーバ2が車両8の販売店や修理工場などに置かれた場合、ネットワーク4としてWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などを用いても良い。
【0029】
(端末6の構成)
端末6は、例えば、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末である。端末6は、
図2(b)に示すように、表示部60と、タッチ検出部61と、記憶部62と、端末通信部63と、端末制御部64と、を備えて構成されている。
【0030】
表示部60は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(=Electro-Luminescence)ディスプレイである。タッチ検出部61は、表示部60の上に重ねて配置されている。タッチ検出部61は、絶縁を保ちながら交差する複数の透明電極で形成された静電容量方式のマルチタッチセンサである。記憶部62は、半導体メモリである。記憶部62は、サーバ2からダウンロードしたソフトウェア3、及び機能情報5が記憶されている。端末通信部63は、ネットワーク4を介してサーバ2と通信を行い、車両LAN7を介して車両8と通信を行う。
【0031】
端末制御部64は、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、端末制御部64が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0032】
(車両LAN7の構成)
車両LAN7は、有線や無線によって端末6と相互に信号や情報などの交換を可能としたネットワークである。本実施の形態の車両LAN7は、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などである。
【0033】
(車両制御装置80の構成)
車両8は、
図3に示すように、搭載された複数の電子機器が車内LAN95によって相互に接続された車両通信システム9を備えている。車内LAN95は、例えば、有線や無線によって相互に信号や情報などの交換を可能とするCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車両用ネットワークである。
【0034】
この車内LAN95には、車両制御装置80と、複数の電子機器と、が接続されている。車両制御装置80は、
図2(c)に示すように、通信部80aと、判定部80bと、記憶部80cと、車両制御部80dと、を備えている。通信部80aは、車両LAN7を介して端末6と通信を行うと共に、車内LAN95を介して複数の電子機器と通信を行う。
【0035】
判定部80bは、端末6が車室内に存在するか否かを判定する。車両制御部80dは、判定部80bによって端末6が車室内に存在すると判定された場合、端末6より取得した機能情報5に基づいて許可機能90及び不許可機能91の変更の少なくとも一方を行う。つまり許可機能90及び不許可機能91の変更は、端末6が車両8の外にある場合、行われない。
【0036】
記憶部80cは、半導体メモリである。車両制御部80dは、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、車両制御部80dが動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0037】
車両制御装置80の車両制御部80dは、端末6が車両8の外にある場合、端末6から取得した機能情報5に基づいて車両8のロック、アンロックを可能とする機能を許可機能90とする。つまり端末6が車両8の電子キーとなる。この際、端末6と車両制御装置80とで通信を行い、端末6が車両8に登録されたものである場合、端末6が電子キーとなる。この認証は、例えば、機能情報5に含まれる端末6の情報が車両8に登録された情報である場合に成立する。
【0038】
車両8が貸し出される場合、貸し出しするユーザは、ソフトウェア3を自分の端末6にダウンロードして起動することにより、電子キーに関する不許可機能91を許可機能90に変更して端末6を電子キーとして使用することが可能となる。
【0039】
複数の電子機器は、一例として、
図3に示すように、スタートスイッチ82、ロック装置83、空調装置84、ナビゲーション装置85、ウインドウ装置86、ワイパ装置87、車両設定装置88及び自動運転装置89であるがこれに限定されない。これらの電子機器は、それぞれ許可機能90及び不許可機能91、つまり活性化されている機能と不活性化されている機能とを有している。なお電子機器は、各種センサ、カメラなども含まれる。
【0040】
スタートスイッチ82は、プッシュスイッチである。スタートスイッチ82は、操作面に対してプッシュ操作が行われると、車両8の駆動装置が内燃機関(エンジン)である場合は始動させ、モータである場合はモータに電流を供給可能な駆動準備がなされ、内燃機関とモータのハイブリッドである場合は始動時に優先される駆動装置に対応して始動又は始動準備が行われる。
【0041】
スタートスイッチ82は、例えば、操作面に生体情報読取装置を有し、この生体情報読取装置を利用した生体認証機能を有している。この生体認証機能は、車両8のグレードによっては、不許可機能91とされている。またスタートスイッチ82は、駆動装置の始動及び停止以外に、ON(全ての電子機器が使用可能)、ACC(一部の電子機器が使用可能)などの機能を備えている。
【0042】
ロック装置83は、車両8のボンネット、ドア、トランクリッドなどの開閉部分のロックやアンロックを行う装置である。ロック装置83は、ボンネットのアンロック、ドアのロックとアンロック、ドアの自動ロックと自動アンロック、トランクリッドのアンロックなどの機能を有する。ロック装置83は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0043】
なおドアの自動ロックとは、認証された端末6が車両8を基準とした範囲外に出ると、自動でドアをロックする機能、及び車両8が予め定められた速度以上で走行すると、自動でドアをロックする機能である。ドアの自動アンロックとは、認証可能な端末6が範囲内に入り、認証が成立するとドアを自動でアンロックする機能である。
【0044】
空調装置84は、車室の温度を調整する装置である。空調装置84は、暖房の設定、冷房の設定、送風の設定、空調温度の設定、風量の設定、吹出口の設定、フロントウインドウの曇りの除去、リアウインドウの曇りの除去、内外気の切替、自動設定、運転席及び助手席側の設定、後部席側の設定、車室内の空気の浄化、及び個人設定などの機能を有する。空調装置84は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0045】
なお運転席及び助手席側の設定とは、運転席及び助手席ごとに設定を変える機能である。後部席側の設定とは、後部席の各種設定を行える機能である。個人設定とは、ユーザごとに設定された空調温度や風量に設定する機能である。
【0046】
ナビゲーション装置85は、地図を表示したり、設定された目的地までの経路を案内したりする装置である。ナビゲーション装置85は、現在地周辺の地図の表示、地図の縮尺の設定、目的地の設定、登録地の設定、履歴の記録、目的地の頻度表示、自宅の登録、目的地の検索、飲食店やガソリンスタンドなどの検索と表示、アイコンやボタンへの目的地の登録、経路案内、複数の経路の表示、経路ごとの料金表示、経路のスクロールなどの機能を有する。ナビゲーション装置85は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0047】
なおアイコンやボタンへの目的地の登録とは、ナビゲーション装置85の表示部に表示されたアイコンや本体に設けられた物理ボタンに目的地を登録し、操作により、登録された目的地までの経路を検索する機能である。経路のスクロールとは、検索した経路を現在地から目的地まで順番に経路を表示する機能である。
【0048】
ウインドウ装置86は、前席側のウインドウの開閉、後席側のウインドウを有する場合は当該ウインドウの開閉、サンルーフを有する場合はサンルーフの開閉を行う装置である。ウインドウ装置86は、前席側及び後席側のウインドウの開閉、サンルーフの開閉、前席側及び後席側のウインドウの全開及び全閉、ロックスイッチのオン・オフ、予め定められた量の開閉などの機能を有する。ウインドウ装置86は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0049】
なおロックスイッチとは、オンの際、子どもがウインドウの開閉スイッチを操作してもウインドウを駆動しないようにするスイッチである。ロックスイッチのオン・オフとは、このロックスイッチのオン・オフを行う機能である。予め定められた量の開閉とは、ウインドウ及びサンルーフの開閉スイッチの予め定められた操作によって、前席側及び後席側のウインドウ、サンルーフを予め定められた量だけ開閉する機能である。
【0050】
ワイパ装置87は、フロントワイパ及びリアワイパを駆動する装置である。ワイパ装置87は、フロントワイパの駆動、リアワイパの駆動、間欠駆動や駆動速度の設定、自動駆動、ウインドウォッシャー液の噴出などの機能を有する。ワイパ装置87は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0051】
車両設定装置88とは、車両8の設定を行う装置である。車両設定装置88は、シートの位置設定、ステアリングの位置設定、外ミラーの角度設定、防眩ミラーの設定、走行モードの設定、表示装置の明るさの設定、ヘッドライトの角度設定、ヘッドライトのハイビーム、ロービームの設定、フォグライトの設定、音量設定、バッテリの設定などの機能を有する。車両設定装置88は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0052】
なお防眩ミラーの設定とは、ルームミラーの光の反射を抑える機構のオン・オフ、ルームミラーの角度調整などの機能である。走行モードの設定とは、車両8の走行特性を切り替える機能である。走行モードは、例えば、雨天や雪などの悪路でも安定して走行できるモード、スポーツ走行を行えるモードなどである。各走行モードは、横滑り防止装置などの運転支援装置の設定、駆動装置やアクセルのレスポンス、ステアリングの操舵角と車輪の切れ角の設定やサスペンションの設定などが最適化されている。バッテリの設定とは、使用可能な容量を設定する機能である。
【0053】
自動運転装置89とは、自動運転を制御する装置である。自動運転装置89は、自動運転、レーンキープ、前面衝突警告、前面衝突回避ブレーキ、クルーズコントロール、車両の呼び寄せ、パーキングアシストなどの機能である。自動運転装置89は、これらの機能が許可機能90又は不許可機能91とされている。
【0054】
自動運転とは、入力された目的地までの自動運転、入力された登録地までの自動運転、自動運転装置89で判断した場所までの自動運転などの機能である。前面衝突警告とは、前方の車などの障害物との衝突可能性が高い場合に警告する機能である。前面衝突回避ブレーキとは、前方の車などの障害物との衝突可能性が高い場合にブレーキ装置を駆動させて回避を行う機能である。車両の呼び寄せとは、ユーザが操作した場所まで車両を呼び寄せる機能である。パーキングアシストとは、指定された駐車エリアに車両を駐車させる機能である。
【0055】
次に本実施の形態の車両制御システム1の動作について各図を参照しながら説明する。以下では、ユーザがスタートスイッチ82に生体認証機能を追加する場合の一例について説明する。その方法の概要は、次のようである。なお本実施の形態の生体情報は、指紋であるがこれに限定されず、静脈などの他の生体情報であっても良い。車両制御システム1は、例えば、車両8が顔認証機能を有する場合、顔認証の成立によってスタートスイッチ82に対する操作が受け付ける機能を許可機能90としても良い。
【0056】
端末6は、サーバ2から取得したソフトウェア3に基づいて機能情報5を生成すると共にユーザの生体情報を読み取って登録生体情報として車両制御装置80を介してスタートスイッチ82に送信する機能を備えている。車両制御装置80は、端末6から取得した機能情報5に基づいてスタートスイッチ82に予め搭載されていた生体認証機能を不許可機能91から許可機能90に変更する。スタートスイッチ82は、操作の際に生体認証機能によって読み取った生体情報と、端末6を介して登録された登録生体情報と、を比較して生体認証を行う。そしてスタートスイッチ82は、生体認証が成立した場合、駆動装置を始動、又は始動準備させる信号を出力する。
【0057】
(動作)
図4(a)は、端末の購入画面の一例を示し、
図4(b)は、指紋登録又は指紋認証時の画面の一例を示している。
図5は、機能の追加に関するタイミングチャートの一例を示している。この動作では、生体認証機能として指紋認証機能を活性化する。
【0058】
ユーザは、端末6を操作してサーバ2に接続する(Step1)。次にユーザは、サーバ2に接続した後、購入する指紋認証機能を選択し、指紋認証機能を追加するためのソフトウェア3を購入する(Step2)。
【0059】
図4(a)は、端末6の表示部60に表示される表示画面60aの一例を示している。この表示画面60aには、指紋認証機能の購入に関するメッセージ60bと、購入するためのアイコン60cと、購入をキャンセルするためのアイコン60dと、が表示されている。ユーザは、購入する場合、「はい」と表示されたアイコン60cに対してタッチ操作を行い、キャンセルする場合、「いいえ」と表示されたアイコン60dに対してタッチ操作を行う。
【0060】
サーバ2は、「はい」と表示されたアイコン60cに対してタッチ操作が行われた場合、購入対象のソフトウェア3を端末6に送信する(Step3)。
【0061】
端末6は、サーバ2からソフトウェア3をダウンロードしてインストールする(Step4)。そして端末6は、ユーザの操作に基づいてインストールしたソフトウェア3を起動する(Step5)。
【0062】
ソフトウェア3は、端末6において起動されると、指紋認証機能を活性化するため、不許可機能91である購入した指紋認証機能を許可機能90に変更する機能情報5を生成する(Step6)。また端末6は、ソフトウェア3の起動により、タッチ検出部61による生体情報の読み取り、つまり指紋の読み取り機能を備える。
【0063】
なおユーザは、
図4(b)に示すように、ソフトウェア3を起動した後、指紋認証に使用する生体情報をスタートスイッチ82に登録するため、操作指10の指紋の情報である生体情報60fを端末6に読み取らせる。当該生体情報60fは、ユーザを識別する登録生体情報としてスタートスイッチ82に送信される。スタートスイッチ82は、ユーザの生体情報60fが登録されるので、ユーザ以外の者がスタートスイッチ82を操作しても指紋認証が成立しない。
【0064】
ユーザが車両8に乗り込んだ後、端末6は、ソフトウェア3が生成した機能情報5を、車両LAN7を介して車両制御装置80に送信する(Step7)。
【0065】
車両制御装置80の車両制御部80dは、端末6及び車両LAN7を介して、機能情報5を取得すると、機能情報5に基づいて不許可機能91であった指紋認証機能を許可機能90に変更する(Step8)。
【0066】
端末6は、指紋認証機能が許可機能90に変更された後、登録用に読み取った操作指10の生体情報60fを登録生体情報として車両LAN7及び車両制御装置80を介してスタートスイッチ82に送信する。
図4(b)に示す読取領域60eは、ソフトウェア3によってもたらせた機能であってタッチ検出部61の一部の領域が指紋を読み取るための領域となる。ユーザは、読取領域60eに登録したい指を接触させて生体情報60fを読み取らせる。なお変形例として登録生体情報は、機能情報5に含まれても良い。
【0067】
スタートスイッチ82は、操作の際に生体認証機能によって読み取った生体情報と、端末6を介して登録された生体情報60fと、を比較して生体認証を行う。
【0068】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る車両制御システム1は、容易に新たな機能を追加することができる。この車両制御システム1の車両8は、搭載された電子機器の実行可能な全ての機能が許可機能90と不許可機能91に分けられている。ユーザは、所望の機能を実行する電子機器を購入して取り付けることなく、サーバ2から購入したソフトウェア3によって不許可機能91を許可機能90とすることで所望の機能を使用できる。従って車両制御システム1は、ユーザが所望する機能を備えた電子機器を購入して取り付ける必要がないため、時間と手間をかけないで容易に新たな機能を追加することができる。
【0069】
車両制御システム1は、車両8に搭載された複数の電子機器が実行可能なほぼ全ての機能を予め備えているので、新たな機能を追加するために電子機器を購入する必要がなく、コストが低減される。
【0070】
車両制御システム1は、端末6ごとに許可機能90及び不許可機能91を変えることができるので、変えることができない場合と比べて、家族間で使える機能を変えることができる。
【0071】
車両制御システム1は、車両8をレンタカーやカーシェアリングの貸し出し車両として使用する場合、契約したユーザに直接鍵を渡さなくてもサーバ2を介してソフトウェア3を購入することで電子キーの機能を許可機能90として貸し出すことができる。また車両制御システム1は、貸し出し料金の金額に応じて契約したユーザごとに使える機能を変えることができる。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…車両制御システム、2…サーバ、3…ソフトウェア、4…ネットワーク、5…機能情報、6…端末、7…車両LAN、8…車両、9…車両通信システム、10…操作指、20…サーバ通信部、21…記憶部、22…サーバ制御部、60…表示部、60a…表示画面、60b…メッセージ、60c…アイコン、60d…アイコン、60e…読取領域、60f…生体情報、61…タッチ検出部、62…記憶部、63…端末通信部、64…端末制御部、80…車両制御装置、80a…通信部、80b…判定部、80c…記憶部、80d…車両制御部、82…スタートスイッチ、83…ロック装置、84…空調装置、85…ナビゲーション装置、86…ウインドウ装置、87…ワイパ装置、88…車両設定装置、89…自動運転装置、90…許可機能、91…不許可機能、95…車内LAN