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特許7457543電磁弁および電磁弁を備える車両用クリーナシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電磁弁および電磁弁を備える車両用クリーナシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20240321BHJP
   B60S 1/52 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
F16K31/06 385A
B60S1/52
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020046700
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021148162
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0220598(US,A1)
【文献】実開昭55-158366(JP,U)
【文献】実開平05-057558(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
B60S 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子に対して移動する可動子を有するソレノイドと、
前記可動子に設けられた封止部と、
前記封止部を付勢する付勢部材と、
前記可動子に設けられて前記ソレノイドへの流体の流入を防止するベローズ型の密閉部と、
上流側に入口側端部を有し、下流側に第一出口側端部を有する第一管路と、
下流側に第二出口側端部を有する第二管路と、
を備え、
前記封止部は、前記可動子よりも外径が広がったリップ形状となるように形成され、
前記第二管路には、前記封止部と密着可能であって、第一位置と第二位置との間で移動可能な受座が設けられ、
前記第二管路の前記受座よりも上流側に、前記第一管路と前記第二管路が合流する合流部が設けられ、
前記第二管路の前記受座と前記第二出口側端部との間には前記流体が滞留可能な滞留部が設けられ、
第一状態では、前記入口側端部から流入した流体が前記第一出口側端部に流れることが許容される一方で、前記付勢部材による押圧力と前記合流部の流体の圧力が、前記受座を前記第一位置へと押し付けるとともに前記封止部を前記受座に押し付けるように作用することで前記封止部が前記第一位置にある前記受座に密着し、これにより、前記流体は前記第二出口側端部に流れることを許容されず、
第二状態では、前記可動子の移動により前記封止部が前記受座から離間することにより、前記入口側端部から流入した流体が前記封止部と前記受座との間を介して前記滞留部に流れることが許容され、
第三状態では、前記滞留部の流体の圧力が前記受座を前記第二位置へと移動させるように作用することで前記受座が前記滞留部と離間し、これにより、前記入口側端部から流入した流体が前記受座と前記滞留部との間を介して前記第二出口側端部に流れることが許容される、電磁弁。
【請求項2】
前記密閉部の伸縮部の外径は、前記封止部の外径よりも小さい、請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記受座は、前記第二管路に固定された弾性封止部により前記第一位置と前記第二位置との間で移動可能に支持されている、請求項1又は2に記載の電磁弁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電磁弁を含む上流側分岐部と、
前記上流側分岐部の前記電磁弁の前記入口側端部に接続され、洗浄媒体を貯留するタンクと、
前記上流側分岐部の前記電磁弁の前記第一出口側端部に接続された上流側クリーナユニットと、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電磁弁を含む下流側分岐部と、
前記上流側分岐部の前記電磁弁の前記第二出口側端部と前記下流側分岐部の前記電磁弁の前記入口側端部とを接続する接続部と、
前記下流側分岐部の前記電磁弁の前記第一出口側端部に接続された下流側クリーナユニットと、
前記下流側分岐部の前記電磁弁の前記第二出口側端部に設けられ、前記電磁弁の前記第二出口側端部から外部への前記洗浄媒体の吐出を防止する閉塞部と、
を有する、車両用クリーナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁および電磁弁を備える車両用クリーナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたカメラを洗浄液で洗浄可能な車両用クリーナが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2001-171491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両には、複数のカメラやセンサが搭載されるようになってきている。複数のカメラやセンサを特許文献1に開示のような車両用クリーナで洗浄する場合には、複数の車両用クリーナを含む車両用クリーナシステムとして統合し、車両に搭載することが考えられる。
ところでこのような車両用クリーナシステムを実現する際には、洗浄液を貯留したタンクから各々のクリーナユニットへ流体を輸送する必要がある。共通の管路から、各々のクリーナユニットへ分岐させるように配管を構成する場合には、多数の電磁弁が必要になる。複数の電磁弁を車両に搭載することになるため、各々の電磁弁の消費電力をなるべく低減したいという要求がある。
【0005】
そこで、本発明は、少ない消費電力で作動させることが可能な電磁弁、および当該電磁弁を備えた車両用クリーナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電磁弁は、
固定子に対して移動する可動子を有するソレノイドと、
前記可動子に設けられた封止部と、
前記封止部を付勢する付勢部材と、
前記可動子に設けられて前記ソレノイドへの流体の流入を防止するベローズ型の密閉部と、
上流側に入口側端部を有し、下流側に第一出口側端部を有する第一管路と、
下流側に第二出口側端部を有する第二管路と、
を備え、
前記封止部は、前記可動子よりも外径が広がったリップ形状となるように形成され、
前記第二管路には、前記封止部と密着可能であって、第一位置と第二位置との間で移動可能な受座が設けられ、
前記第二管路の前記受座よりも上流側に、前記第一管路と前記第二管路が合流する合流部が設けられ、
前記第二管路の前記受座と前記第二出口側端部との間には前記流体が滞留可能な滞留部が設けられる。
第一状態では、前記入口側端部から流入した流体が前記第一出口側端部に流れることが許容される一方で、前記付勢部材による押圧力と前記合流部の流体の圧力が、前記受座を前記第一位置へと押し付けるとともに前記封止部を前記受座に押し付けるように作用することで前記封止部が前記第一位置にある前記受座に密着し、これにより、前記流体は前記第二出口側端部に流れることを許容されず、
第二状態では、前記可動子の移動により前記封止部が前記受座から離間することにより、前記入口側端部から流入した流体が前記封止部と前記受座との間を介して前記滞留部に流れることが許容され、
第三状態では、前記滞留部の流体の圧力が前記受座を前記第二位置へと移動させるように作用することで前記受座が前記滞留部と離間し、これにより、前記入口側端部から流入した流体が前記受座と前記滞留部との間を介して前記第二出口側端部に流れることが許容される。
【0007】
本発明の一側面に係る車両用クリーナシステムは、
上記の電磁弁を含む上流側分岐部と、
前記上流側分岐部の前記電磁弁の前記入口側端部に接続され、洗浄媒体を貯留するタンクと、
前記上流側分岐部の前記電磁弁の前記第二出口側端部に接続された上流側クリーナユニットと、
請求項1に記載の電磁弁を含む下流側分岐部と、
前記上流側分岐部の前記電磁弁の前記第一出口側端部と前記下流側分岐部の前記電磁弁の前記入口側端部とを接続する接続部と、
前記下流側分岐部の前記電磁弁の前記第二出口側端部に接続された下流側クリーナユニットと、
前記下流側分岐部の前記電磁弁の前記第一出口側端部に設けられ、前記電磁弁の前記第一出口側端部から外部への前記洗浄媒体の吐出を防止する閉塞部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない消費電力で作動させることが可能な電磁弁、およびそれを有する車両用クリーナシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るクリーナシステムを搭載した車両の上面図である。
図2】車両システムのブロック図である。
図3】クリーナシステムのブロック図である。
図4】実施形態に係る第一電磁弁の正面図である。
図5】第一電磁弁の側面図である。
図6】第一状態における図5のVI-VI線断面矢視図である。
図7】第一状態における図4のV-V線断面矢視図である。
図8】第二状態における図5のVI-VI線断面矢視図である。
図9】第二状態における図4のV-V線断面矢視図である。
図10】第三状態における図4のV-V線断面矢視図である。
図11】後ポンプ、後カメラクリーナ、後LC、後WWに対して第八電磁弁~第十電磁弁が接続される様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0012】
図1は、本実施形態に係る車両用クリーナシステム100(以下、クリーナシステム100と称す)が搭載された車両1の上面図である。車両1は、クリーナシステム100を備えている。本実施形態において、車両1は自動運転モードで走行可能な自動車である。
【0013】
まず、図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。図2は、車両システム2のブロック図を示している。図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、内部センサ5と、外部センサ6と、ランプ7と、HMI8(Human Machine Interface)と、GPS9(Global Positioning System)と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0014】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。車両制御部3は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。
【0015】
内部センサ5は、自車両の情報を取得可能なセンサである。内部センサ5は、例えば、加速度センサ、速度センサ、車輪速センサ及びジャイロセンサ等の少なくとも一つである。内部センサ5は、車両1の走行状態を含む自車両の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
内部センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、車内に人がいるかどうかを検出する人感センサなどを備えていてもよい。
【0016】
外部センサ6は、自車両の外部の情報を取得可能なセンサである。外部センサは、例えば、カメラ、レーダ、LiDAR等の少なくとも一つである。外部センサ6は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を含む自車両の外部の情報を取得し、該情報を車両制御部3に出力するように構成されている。あるいは、外部センサ6は、天候状態を検出する天候センサや車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサなどを備えていてもよい。
カメラは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。
レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。
LiDARとは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略語である。LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の形状、物体の材質などの情報を取得するセンサである。
【0017】
ランプ7は、車両1の前部に設けられるヘッドランプやポジションランプ、車両1の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両の前部または側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両のドライバーに自車両の状況を知らせる各種ランプなどの少なくとも一つである。
【0018】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0019】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0020】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0021】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0022】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0023】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0024】
図1に戻り、車両1は、外部センサ6として、前LiDAR6f、後LiDAR6b、右LiDAR6r、左LiDAR6l、前カメラ6c、後カメラ6dを有している。前LiDAR6fは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後LiDAR6bは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。右LiDAR6rは車両1の右方の情報を取得するように構成されている。左LiDAR6lは車両1の左方の情報を取得するように構成されている。前カメラ6cは車両1の前方の情報を取得するように構成されている。後カメラ6dは車両1の後方の情報を取得するように構成されている。
【0025】
なお、図1に示した例では、前LiDAR6fは車両1の前部に設けられ、後LiDAR6bは車両1の後部に設けられ、右LiDAR6rは車両1の右部に設けられ、左LiDAR6lは車両1の左部に設けられた例を示しているが、本発明はこの例に限られない。例えば車両1の天井部に前LiDAR、後LiDAR、右LiDAR、左LiDARがまとめて配置されていてもよい。
【0026】
車両1は、ランプ7として、右ヘッドランプ7rと左ヘッドランプ7lを有している。右ヘッドランプ7rは車両1の前部のうちの右部に設けられ、左ヘッドランプ7lは車両1の前部のうちの左部に設けられている。右ヘッドランプ7rは左ヘッドランプ7lよりも右方に設けられている。
【0027】
車両1は、フロントウィンドウ1fと、リヤウィンドウ1bを有している。
【0028】
車両1は、本発明の実施形態に係るクリーナシステム100を有している。クリーナシステム100は、洗浄対象物に付着する水滴や泥や塵埃等の異物を洗浄媒体を用いて除去するシステムである。本実施形態において、クリーナシステム100は、前ウィンドウウォッシャ(以降、前WWと称す)101、後ウィンドウウォッシャ(以降、後WWと称す)102、前LiDARクリーナ(以降、前LCと称す)103、後LiDARクリーナ(以降、後LCと称す)104、右LiDARクリーナ(以降、右LCと称す)105、左LiDARクリーナ(以降、左LCと称す)106、右ヘッドランプクリーナ(以降、右HCと称す)107、左ヘッドランプクリーナ(以降、左HCと称す)108、前カメラクリーナ109a、後カメラクリーナ109bを有する。各々のクリーナ101~109bは一つ以上のノズルを有し、ノズルから洗浄液または空気といった洗浄媒体を洗浄対象物に向けて吐出する。
【0029】
前WW101は、フロントウィンドウ1fを洗浄可能である。後WW102は、リヤウィンドウ1bを洗浄可能である。前LC103は、前LiDAR6fを洗浄可能である。後LC104は、後LiDAR6bを洗浄可能である。右LC105は、右LiDAR6rを洗浄可能である。左LC106は、左LiDAR6lを洗浄可能である。右HC107は、右ヘッドランプ7rを洗浄可能である。左HC108は、左ヘッドランプ7lを洗浄可能である。前カメラクリーナ109aは、前カメラ6cを洗浄可能である。後カメラクリーナ109bは、後カメラ6dを洗浄可能である。なお、以降の説明で前カメラクリーナ109aと後カメラクリーナ109bをまとめてカメラクリーナ109と呼ぶことがある。
【0030】
図3は、クリーナシステム100のブロック図である。クリーナシステム100は、クリーナ101~109bの他に、前タンク111、前ポンプ112、後タンク113、後ポンプ114、クリーナ制御部116を有している。
【0031】
前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、及び前カメラクリーナ109aは、前ポンプ112を介して前タンク111に接続されている。前ポンプ112は前タンク111に貯留された洗浄液を、前WW101、前LC103、右LC105、左LC106、右HC107、左HC108、及び前カメラクリーナ109aに送る。
【0032】
後WW102、後LC104、及び後カメラクリーナ109bは、後ポンプ114を介して後タンク113に接続されている。後ポンプ114は後タンク113に貯留された洗浄液を後WW102、後LC104、及び後カメラクリーナ109bに送る。
【0033】
各々のクリーナ101~109bには、ノズルを開状態にさせて洗浄液を洗浄対象物に吐出させるアクチュエータが設けられている。各々のクリーナ101~109bに設けられたアクチュエータは、クリーナ制御部116に電気的に接続されている。また、クリーナ制御部116は、前ポンプ112、後ポンプ114、車両制御部3にも電気的に接続されている。
【0034】
本発明の第一実施形態に係るクリーナシステム100においてクリーナ制御部116は、車両制御部3から出力される信号に基づいてセンサクリーナ103~106,109を作動させる信号をセンサクリーナ103~106,109へ出力するように構成されている。
【0035】
図3に示すように、本実施形態に係るクリーナシステム100において、前ポンプ112と前WW101とを接続する管路の間に第一電磁弁21、第一電磁弁21と前LC103とを接続する管路に第二電磁弁22、第二電磁弁22と右LC105とを接続する管路に第三電磁弁23、第三電磁弁23と左LC106とを接続する管路に第四電磁弁24、第四電磁弁24と右HC107とを接続する管路に第五電磁弁25、第五電磁弁25と左HC108とを接続する管路に第六電磁弁26、第六電磁弁26と前カメラクリーナ109aとを接続する管路に第七電磁弁27、がそれぞれ設けられている。
また、後ポンプ114と後カメラクリーナ109bとを接続する管路に第八電磁弁28、第八電磁弁28と後LC104とを接続する管路に第九電磁弁29、第九電磁弁29と後WW102とを接続する管路に第十電磁弁30、がそれぞれ設けられている。
【0036】
これら第一電磁弁21から第十電磁弁30はいずれも同じ構成を有している。そのため、第一電磁弁21について、代表して、図4から図9を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る第一電磁弁21の正面図である。図5は、第一電磁弁21の側面図である。図4および図5に示すように、第一電磁弁21は、第一管路40と、第二管路50と、を備えている。第一電磁弁21は、前ポンプ112から吐出され第一電磁弁21に流入する洗浄液を前WW101に送らない第一状態と、前ポンプ112から吐出されて第一電磁弁21に流入する洗浄液を前WW101に送ることを許容する第二状態と、を切替可能である。
【0037】
図6は、第一状態における図5のVI-VI線断面矢視図である。図7は、第一状態における図4のV-V線断面矢視図である。図6および図7に示すように、第一電磁弁21の第一管路40は、第一軸線Aに沿って延びている。図6に示す例において、洗浄液は第一管路40を左方から右方に流れる。第一管路40の上流側(左側)の端部には入口側端部41が設けられている。入口側端部41は、配管を介して前ポンプ112に接続されている。第一管路40の下流側(右側)の端部には第一出口側端部42が設けられている。第一出口側端部42は、配管を介して第二電磁弁22に接続されている。第一管路40は、入口側端部41と第一出口側端部42の間で、第二管路50と合流している。
【0038】
第一電磁弁21の第二管路50は、第一軸線Aと交差する第二軸線Bに沿って延びている。図示した例では、第一管路40は第二管路50と直交する方向に延びている。洗浄液は、第二管路50内を基本的には図6および図7における上方から下方に向かって流れる。第二管路50は、内径の異なる3つの部位で構成されている。これら3つの部位を、上流側から下流側に向かって、収納部51、上流部52、下流部53と呼ぶ。上流部52と下流部53の一部は合流部として構成されている。下流部53は、配管を介して前WW101に接続されている。下流部53の下流側の端部には第二出口側端部54が設けられている。
【0039】
上流部52のハウジング52aの内径は、収納部51のハウジング51aの内径よりも小さい。下流部53のハウジング53aは、第一管路40のハウジング40aと一体的に形成されている。ハウジング53aは、その上流側において、外壁部53a1と外壁部53a1の内部に形成された内壁部53a2とを有している。外壁部53a1と内壁部53a2との間には第一管路40と連通する開口部43が形成されている。内壁部53a2の内径は、上流部52のハウジング52aの内径よりも小さい。内壁部53a2の下流側は、第二出口側端部54と連通している。第二出口側端部54の内径は、内壁部53a2の内径よりも小さい。
【0040】
収納部51には、ソレノイド60が収容されている。ソレノイド60は、コイル61(固定子の一例)と、可動子62と、ヨーク63と、バネ64(付勢部材の一例)を含んでいる。バネ64は、ヨーク63と可動子62との間に設けられている。可動子62は、第二軸線Bに沿って直線的に移動可能である。可動子62は、コイル61への通電または非通電と、バネ64の弾性力とにより第二軸線Bに沿って移動する。バネ64は、第一状態において、非圧縮状態でヨーク63と可動子62との間に設けられている。可動子62の移動方向における先端(バネ64が設けられている側と反対側の先端)には封止部65が設けられている。封止部65は、外周方向へ突出する突出部65aを有しており、可動子62よりも外径が広がったリップ形状となるように形成されている。封止部65は、ゴムなどの弾性変形可能な材料で形成されている。
【0041】
可動子62は、収納部51と上流部52とに跨るように設けられている。収納部51と上流部52との境界付近には、伸縮性および気密性を有するベローズ型の密閉部56が設けられている。密閉部56は可動子62の外周面に取り付けられている。密閉部56は、上流部52から収納部51への洗浄液の進入を阻止しつつ、可動子62が移動方向に沿って移動することを許容する。密閉部56が設けられることにより、収納部51内のソレノイド60に洗浄液が流入しないように構成されている。密閉部56の伸縮部56aの外径R1は、封止部65の外径R2よりも小さく形成されている。
【0042】
下流部53の外壁部53a1と内壁部53a2との間の領域は、第一管路40と第二管路50とが合流する合流領域として構成されている。すなわち、第一管路40を流れてきた洗浄液は、第一管路40に形成された開口部43を介して第二管路50に進入する。上流部52と下流部53との境界には、受座57が設けられている。受座57には第二軸線Bに沿って延伸する貫通孔57aが設けられている。受座57の上流側には封止部65が収容される収容部57bが形成されている。
【0043】
受座57は、伸縮性および密閉性を有する弾性封止部58により支持されている。弾性封止部58は、上流部52のハウジング52aと下流部53のハウジング53aとの間に挟み込まれるように固定されている。弾性封止部58は、受座57の下部が内壁部53a2内に入り込んだ際に内壁部53a2の周縁部に密着するように構成されている。弾性封止部58は、受座57と共に上下動して、受座57が移動方向に沿って移動することを許容するように構成されている。弾性封止部58は、受座57が上方へ移動する移動量を規制するように構成されている。図7に示すように、弾性封止部58には、開口部58aが設けられている。これにより、第一管路40から進入した洗浄液が開口部43及び開口部58aを介して上流部52内に進入する。
【0044】
可動子62が第二軸線Bに沿って移動することより、封止部65は受座57の収容部57bに密着する位置と受座57の収容部57bから離間した位置とに移動可能である。第一状態は可動子62がバネ64により押圧されて下方に移動した状態である。図6および図7に示すように、可動子62が下方に移動し封止部65が受座57に密着すると、上流部52内に進入した洗浄液は上流部52内に留まり、上流部52から下流部53へ洗浄液が流れることが阻止される。
【0045】
コイル61に通電しない通常状態では、可動子62にコイル61に近づこうとする力(図6および図7において上方に向かう力)が生じない。このため、第一電磁弁21は、図6および図7に示すように、可動子62がバネ64の弾性力によって下方に移動し、封止部65が受座57に密着した閉状態となる。
【0046】
この閉状態においては、バネ64による押圧力と上流部52に溜まった洗浄液の圧力とが、封止部65を受座57の収容部57bに押し付けるように作用している。例えば、第一電磁弁21の後段に接続される第二電磁弁22が閉状態であるなど、第一管路40の第一出口側端部42から送出される洗浄液の移動が阻止されているときには、上流部52に溜まった洗浄液の圧力(静水圧)によって封止部65が受座57の収容部57bに押し付けられる。また、第二電磁弁22が開状態である場合でも、第一管路40を流れる洗浄液の全圧のうち、上流部52に溜まった洗浄液の圧力によって封止部65が受座57の収容部57bに押し付けられる。
【0047】
封止部65が受座57に密着することにより、第一電磁弁21は、洗浄液が上流部52から下流部53へ流れることを許容しない状態(第一状態)、すなわち前ポンプ112から吐出され第一管路40の入口側端部41に流入する洗浄液を第二管路50の第二出口側端部54に接続される前WW101に送らない状態になる。
【0048】
図8は、第二状態における図5のVI-VI線断面矢視図である。図9は、第二状態における図4のV-V線断面矢視図である。第二状態は可動子62が第二軸線Bに沿って図8及び図9における上方に移動した状態である。図8及び図9に示すように、可動子62が上方に移動し封止部65が受座57から離間すると、洗浄液が封止部65と受座57との間に形成された空隙を通って上流部52から下流部53へ流れることが許容される。すなわち、第二状態において、洗浄液は、第一管路40から、開口部43、弾性封止部58の開口部58a、そして受座57の貫通孔57aを介して、第二出口側端部54へと流れ込む。第二状態においては、バネ64は、可動子62によって上方に押され圧縮状態でヨーク63と可動子62との間に設けられている。
【0049】
コイル61に通電した状態では、可動子62にコイル61に近づこうとする力(図8及び図9において上方に向かう力)が生じる。このため、第一電磁弁21は、図8及び図9に示すように、可動子62がバネ64の弾性力に抗してバネ64を圧縮させながら上方に移動し、封止部65が受座57から離間した開状態となる。
【0050】
封止部65が受座57から離間することにより、第一電磁弁21は、洗浄液が上流部52から下流部53へ流れる状態、すなわち前ポンプ112から吐出され第一管路40の入口側端部41に流入する洗浄液を第二管路50の第二出口側端部54に接続される前WW101に送る状態(すなわち、第二状態)になる。
【0051】
図10は、第一電磁弁121の第三状態における図4のV-V線断面矢視図である。第三状態は、受座57が第二軸線Bに沿って図10における上方に移動した状態である。上述の通り、第二出口側端部54の内径は、内壁部53a2の内径よりも小さくなっており、内壁部53a2と第二出口側端部54との間には段差53a3が設けられている。これにより、内壁部53a2の内部は、洗浄液が滞留可能な滞留部59として機能する。
【0052】
第一電磁弁121が第二状態となり、離隔された封止部65と受座57との間から下流部53の内壁部53a2内に洗浄液が進入すると、洗浄液の一部は第二出口側端部54側に流れずに、滞留部59内で滞留する。第二管路50を流れる洗浄液の全圧のうち滞留部59に溜まった洗浄液の圧力によって受座57の下端部57cに対して上方に向かう力が生じる。その結果、第三状態において、受座57が弾性封止部58とともに第二軸線Bに沿って上方に移動し、受座57が封止部65に密着する。すなわち、第一電磁弁21は、図8及び図9に示すような封止部65が受座57から離間した状態から、内壁部53a2の上縁部と受座57の下端部57cとが離隔された状態(第三状態)となる。この場合も、第一電磁弁21の開状態は維持されたままであって、第一管路40から流入した洗浄液が受座57と内壁部53a2との間を通って滞留部59へと流れ込む。第三状態では、第一管路40から第二管路50へ流入した洗浄液のうちの一部が開口部58aを介して上流部52へと流れ込むものの、封止部65と受座57とが密着状態となっているため、第一管路40から第二管路50へ流入した洗浄液の大部分が上流部52を介さずに下流部53(滞留部59および第二出口側端部54)へと流れ込む。
【0053】
次に、上述した第一電磁弁21の第一状態から第三状態までの作動をまとめて説明する。第一電磁弁121において、コイル61に通電されていない第一状態では、可動子62がバネ64の付勢力によって下方に移動することにより、封止部65が受座57に密着した状態になる。受座57は、封止部65が密着することで封止部65に押されて第二軸線Bに沿って下方へ移動し、受座57の下端部57cが滞留部59内に入り込むとともに、弾性封止部58が内壁部53a2の周縁部に密着する。これにより、上流部52から下流部53への洗浄液の進入が阻止される。
【0054】
一方、コイル61に通電する第二状態では、可動子62がバネ64の付勢力に抗して上方に移動し、封止部65が受座57から離間した状態になる。封止部65が受座57から離間すると、離間した封止部65と受座57との間から洗浄液が受座57の貫通孔57aへと流入し、滞留部59に流れ込む。次に、第三状態では、滞留部59に流れ込んだ洗浄液の一部が滞留部59に滞留することにより、滞留した洗浄液の圧力が受座57を第二軸線Bに沿って上方に押し上げる。受座57は、当該受座57を支持する弾性封止部58とともに第二軸線Bに沿って上方に移動し、弾性封止部58が滞留部59を画成する内壁部53a2から離間する。これにより、離間した弾性封止部58と内壁部53a2との間から洗浄液が滞留部59へと流れ込み、滞留部59を通過して第二出口側端部54へと流れ込む。
【0055】
コイル61の通電が停止されると、第一電磁弁21は第一状態へと戻る。すなわち、可動子62がバネ64の付勢力によって下方に再び移動することにより、封止部65が受座57に密着した状態で下方へ移動し、弾性封止部58が滞留部59の周縁部に密着して、上流部52から下流部53への洗浄液の進入が再び阻止される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る第一電磁弁21は、固定子61に対して移動する可動子62を有するソレノイド60と、可動子62に設けられた封止部65と、封止部65を付勢するバネ64と、可動子62に設けられてソレノイド60への洗浄液の流入を防止するベローズ型の密閉部56と、上流側に入口側端部41を有し下流側に第一出口側端部42を有する第一管路40と、下流側に第二出口側端部54を有する第二管路50とを備えている。封止部65は、可動子62よりも外径が広がったリップ形状となるように形成されている。第二管路50には、封止部65と密着可能であって、内壁部53a2に密着する位置(第一位置の一例)と内壁部53a2に密着しない位置(第二位置の一例)との間で移動可能な受座57が設けられている。第二管路50の受座57よりも上流側に、第一管路40と第二管路50が合流する合流部が設けられている。第二管路50の受座57と第二出口側端部54との間には洗浄液が滞留可能な滞留部59が設けられている。第一状態では、入口側端部41から流入した洗浄液が第一出口側端部42に流れることが許容される一方で、バネ64による押圧力と合流部(具体的には、上流部52)に滞留する洗浄液の圧力が受座57を第二軸線Bの下方へと押し付けるとともに封止部65を受座57に押し付けるように作用することで、内壁部53a2に密着した位置にある受座57に封止部65が密着する。これにより、洗浄液は第二出口側端部54に流れることを許容されない。その一方で、第二状態では、可動子62の移動により封止部65が第二軸線Bの上方に移動して受座57から離間することにより、入口側端部41から流入した洗浄液が封止部65と受座57との間を介して滞留部59に流れることが許容される。さらに、第三状態では、滞留部59の流体の圧力が受座57を第二軸線Bの上方へと移動させるように作用することで受座57が滞留部59を構成する内壁部53a2と離間する第二位置へと移動する。これにより、入口側端部41から流入した洗浄液が受座57と滞留部59との間を介して第二出口側端部54に流れることが許容される。このように、第一電磁弁121の構成によれば、封止部65が可動子62よりも外径が広がったリップ形状となっているため、第一状態において上流部52に滞留する洗浄液の圧力を封止部65が受けやすくなり、封止部65を第一位置にある受座57へと比較的低い力で押し付けることができる。また、第二状態においては、コイル61への通電だけでなく滞留部59に滞留する洗浄液の圧力による力も利用して第一管路40から第二管路50の下流部53へとつながる洗浄液の流路を形成している。これにより、第一電磁弁21を開状態にする際にコイル61への通電量を大きく設定する必要がなく、少ない消費電力で可動子62を作動させることができる。そのため、ソレノイド60を小型化することができ、第一電磁弁21をコンパクトに構成することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る第一電磁弁21において、密閉部56の伸縮部56aの外径R1が封止部65の外径R2よりも小さくなるように構成されている。そのため、第一電磁弁21を開状態にするために可動子62をコイル61に引き付けるための必要電力をさらに小さくすることができ、第一電磁弁21の小型化をさらに促進できる。
【0058】
また、本実施形態に係る第一電磁弁21において、受座57は、第二管路50に固定された弾性封止部58により第一位置と第二位置との間で移動可能に支持されている。このように、弾性封止部58を用いて受座57を第一位置と第二位置との間で移動可能な構成とすることで、第二管路50の開閉状態をより小さな力で切り替えることができる。これにより、第一電磁弁21の小型化をさらに促進できる。
【0059】
図11は、後ポンプ114、後カメラクリーナ109b、後LC104、後WW102に対して第八電磁弁28~第十電磁弁30が接続される様子を示す模式図である。図11に示すようにクリーナシステム100は、上述した第一電磁弁21(121)と同じ構造の第八電磁弁28を含む上流側分岐部71と、上流側分岐部71の第八電磁弁28の入口側端部41に接続され、洗浄液を貯留する後タンク113と、上流側分岐部71の第八電磁弁28の第二出口側端部54に接続される上流側クリーナユニット(後カメラクリーナ109b)と、上述した第一電磁弁21(121)と同じ構造の第十電磁弁30を含む下流側分岐部73と、上流側分岐部71の第八電磁弁28の第一出口側端部42と下流側分岐部73の第十電磁弁30の入口側端部41とを接続する接続部72と、下流側分岐部73の第十電磁弁30の第二出口側端部54に接続された下流側クリーナユニット(後WW102)と、下流側分岐部73の第十電磁弁30の第一出口側端部42に設けられ、第十電磁弁30の第一出口側端部42から外部への洗浄液の吐出を防止する閉塞部74と、を有している。なお、図示したクリーナシステム100において、接続部72は、第九電磁弁29を含む中間分岐部を構成している。接続部72は、複数の電磁弁を含んでいてもよい。
【0060】
第十電磁弁30の第一出口側端部42が閉塞部74で閉塞されている。このため、第十電磁弁30においては、開状態と閉状態のいずれの状態においても、第一出口側端部42から洗浄液が流れ出ることがない。つまり、第十電磁弁30の開状態と閉状態とを切り替えることにより、後WW102への洗浄液の吐出の許可と不許可とを切り替えることができる。また、閉塞部74によって第一出口側端部42が常時閉塞されているため、第十電磁弁30が閉状態のときには、合流部に溜まった洗浄液の全圧(圧力)が封止部65に作用している。
【0061】
このように、本実施形態に係るクリーナシステム100は、消費電力の少ない複数の電磁弁で構成されている。そのため、クリーナシステム100全体としても消費電力を削減することができる。
【0062】
また、上流側の電磁弁の第一出口側端部42が下流側の電磁弁の入口側端部41に接続されるべく、複数の電磁弁が互いに接続されるように構成してもよい。このような構成により、複数のクリーナへの洗浄液の供給を個別に許可する/許可しないを切り替えることが可能な車両用クリーナシステム100が提供される。
【0063】
<種々の変形例>
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0064】
上述した実施形態では、クリーナシステム100を自動運転可能な車両に搭載した例を説明したが、クリーナシステム100は自動運転不可能な車両に搭載してもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、クリーナ101,103,105~109aが前タンク111に接続され、クリーナ102,104,109bが後タンク113に接続された例を説明したが、本発明はこれに限られない。
クリーナ101~109bが単一のタンクに接続されていてもよい。クリーナ101~109bがそれぞれ互いに異なるタンクに接続されていてもよい。
あるいは、クリーナ101~109bが、その洗浄対象の種類ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、LiDARを洗浄するクリーナ103~106が共通の第一タンクに接続され、ヘッドランプを洗浄するクリーナ107,108が、第一タンクと異なる第二タンクに接続されるように構成してもよい。
あるいは、クリーナ101~109bが、その洗浄対象の配置位置ごとに共通のタンクに接続されていてもよい。例えば、前WW101と前LC103と前カメラクリーナ109aが共通の前タンクに接続され、右LC105と右HC107が共通の右タンクに接続され、後WW102と後LC104と後カメラクリーナ109bが共通の後タンクに接続され、左LC106と左HC108が共通の左タンクに接続されるように構成してもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、図3に示したように、前ポンプ、前WW、前LC、右LC、左LC、右HC、左HC、前カメラクリーナを洗浄するクリーナが一つのユニットを構成し、後ポンプ、後カメラクリーナ、後LC、後WWが別の一つのユニットを構成する例を説明した。本発明はこれに限られない。また、各々の洗浄対象が前ポンプや後ポンプに対して接続される順番もこの例に限られない。また、上述した実施形態では、図3に示したように、一つの電磁弁の下流に一つのクリーナが接続される例を説明した。本発明はこれに限られない。例えば一つの電磁弁の下流に複数のクリーナが接続されるように構成してもよい。一つの電磁弁の下流に、同時に洗浄する場合が多い洗浄対象物を洗浄する複数のクリーナを接続してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:車両、2:車両システム、3:車両制御部、21~30:電磁弁、40:第一管路、41:入口側端部、42:第一出口側端部、43:開口部、50:第二管路、51:収納部、52:上流部、53:下流部、54:第二出口側端部、56:密閉部、56a:伸縮部、57:受座、57a:貫通孔、57b:収容部、58:弾性封止部、58a:開口部、60:ソレノイド、61:コイル(固定子の一例)、62:可動子、63:ヨーク、64:バネ(付勢部材の一例)、65:封止部、65a:突出部、71:上流側分岐部、72:接続部、73:下流側分岐部、74:閉塞部、100:クリーナシステム(車両用クリーナシステム)、101~109b:クリーナ、111:前タンク、112:前ポンプ、113:後タンク、114:後ポンプ、116:クリーナ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11