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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B25J15/06 A
B25J15/06 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020050882
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146477
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】522318900
【氏名又は名称】株式会社日立オートメーション
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】稲田 泰三
(72)【発明者】
【氏名】小路 良平
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09498887(US,B1)
【文献】特開2014-176926(JP,A)
【文献】特開2018-176348(JP,A)
【文献】実開平6-3588(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸着可能な吸着手段と、
前記吸着手段を前記ワーク方向に移動可能な吸着移動手段と、
前記吸着移動手段にて前記ワーク方向に前記吸着手段を移動させ、該吸着手段にて前記ワークを吸着した後、前記吸着移動手段の移動をロックするロック手段と、を有してなり、
前記吸着手段は、
ワークの上面を吸着可能な第1吸着手段と、
ワークの側面を吸着可能な第2吸着手段と、を有し、
前記第1吸着手段を前記ワークの上面側に進退自在に移動可能な第1進退移動手段と、
前記第2吸着手段を前記ワークの側面に沿って昇降移動可能な第2進退移動手段および当該第2進退移動手段の昇降移動をロックする昇降ロック手段と、をさらに有し
前記昇降ロック手段は、前記第2進退移動手段が前記第2吸着手段を所定の位置に昇降移動させると、前記吸着手段が前記ワークを吸着する前に前記第2進退移動手段の昇降移動をロックするが、
前記ロック手段は、前記吸着移動手段が、前記ワークを吸着するために負圧に制御された前記吸着手段をワーク方向に移動させ、所定時間経過すると、前記吸着手段の移動を停止してから、前記吸着移動手段の移動をロックする、ロボットハンド。
【請求項2】
前記吸着移動手段は、
前記第1吸着手段を前記ワークの上面方向に移動可能な第1吸着移動手段と、
前記第2吸着手段を前記ワークの側面方向に移動可能な第2吸着移動手段と、を有し、
前記ロック手段は、
前記第1吸着移動手段の移動をロックする第1ロック手段と、
前記第2吸着移動手段の移動をロックする第2ロック手段と、を有してなる請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記吸着手段は、複数の吸着手段を備えてなる請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記複数の吸着手段を夫々制御可能な吸着制御手段をさらに有し、
前記吸着制御手段は、
前記複数の吸着手段を全部、又は、一部用いて、前記ワークを吸着するか否かの制御が可能である請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記第1吸着手段は、複数の第1吸着手段を備え、
前記第2吸着手段は、複数の第2吸着手段を備えてなる請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記複数の第1吸着手段を夫々制御可能な第1吸着制御手段と、
前記複数の第2吸着手段を夫々制御可能な第2吸着制御手段と、をさらに有し、
前記第1吸着制御手段は、
前記複数の第1吸着手段を全部、又は、一部用いて、前記ワークの上面を吸着するか否かの制御が可能であり、
前記第2吸着制御手段は、
前記複数の第2吸着手段を全部、又は、一部用いて、前記ワークの側面を吸着するか否かの制御が可能である請求項5に記載のロボットハンド。
【請求項7】
前記ロック手段に、ロック指示を行う制御手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記ロック手段に、ロック指示を行った後、一定時間をおいて、ロボットを動作させるよう制御するか、或いは、前記ロック手段にて、前記吸着移動手段の移動をロックしたことを示す信号を出力してなる請求項1~6の何れか1項に記載のロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流の自動化が進展する中で、吸着ハンドを備えたロボット(例えば、特許文献1参照)を用いて段ボール箱に梱包された物品を自動ピッキングすることが求められている。
【0003】
この自動ピッキングにあたっては、画像処理や3次元計測などを行い、段ボール箱の上面位置や側面位置を推定することが行われている。しかしながら、こうした推定には誤差が含まれる。
【0004】
一方、段ボール箱は一定の規格はあるものの、縦横高さには、種々のものがある。また、段ボール箱には、開梱しやすいように上面に穴がある箱、人が搬送しやすいように側面に穴が開いている箱、内容物を取り出しやすいようにミシン目が入っている箱、軽量化を図るため段ボール自体を薄型化している箱、等、様々な箱がある。
【0005】
このような段ボール箱を吸着ピッキングするにあたっては、固定したフランジ面に吸着面を固定して段ボール上面からのみ吸着する方法、或いは、固定したL字フランジに吸着面を設置し上面と側面を吸着する等の方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平6-3588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の方法は、フランジ面を固定していたため、計測誤差がある場合、吸着面が十分に段ボール箱に近づくことが出来ず、取り落とすか、或いは、ロボットハンドが箱に衝突する場合があるという問題があった。
【0008】
また、上面からのみ吸着する方法は、上面に穴がある箱では吸着力が発揮できない場合があるという問題があった。
【0009】
さらに、軽量化した段ボール箱では、段ボール箱の強度が不足し、段ボール箱を破損する恐れがあるという問題があった。
【0010】
そしてさらに、固定したL字フランジに吸着面を設置し上面と側面を吸着する方法では、吸着面が固定されているため段ボール箱との位置関係によっては、不安定な吸着しかできない場合が発生する恐れがあるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、安定的な吸着把持を実現することができるロボットハンドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1の発明に係るロボットハンドは、ワークを吸着可能な吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)と、
前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)を前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)方向に移動可能な吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)と、
前記吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)にて前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)方向に前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)を移動させ、該吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)にて前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着した後、前記吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)の移動をロックするロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)と、を有してなり、
前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)は、
ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)を吸着可能な第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)と、
ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)を吸着可能な第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)と、を有し、
前記第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)を前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)側に進退自在に移動可能な第1進退移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3)と、
前記第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)を前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)側に沿って昇降移動可能な第2進退移動手段(例えば、図1に示す、昇降移動機構6B)および当該第2進退移動手段(例えば、図1に示す、昇降移動機構6B)の昇降移動をロックする昇降ロック手段(例えば、図1に示す昇降ロック機構7b)と、をさらに有し
前記昇降ロック手段(例えば、図1に示す昇降ロック機構7b)は、前記第2進退移動手段(例えば、図1に示す、昇降移動機構6B)が前記第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)を所定の位置に昇降移動させると、前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)が前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着する前に前記第2進退移動手段(例えば、図1に示す、昇降移動機構6B)の昇降移動をロックするが、
前記ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)は、前記吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)が、前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着するために負圧に制御された前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)をワーク(例えば、図5図7に示すワークW)方向に移動させ、所定時間経過すると、前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)の移動を停止してから、前記吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)の移動をロックすることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2の発明に係るロボットハンドは、上記請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
記吸着移動手段は、
前記第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)を前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)方向に移動可能な第1吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3)と、
前記第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)を前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)方向に移動可能な第2吸着移動手段(例えば、図1に示す、前後移動機構6A)と、を有し、
前記ロック手段は、
前記第1吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3)の移動をロックする第1ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4)と、
前記第2吸着移動手段(例えば、図1に示す、前後移動機構6A)の移動をロックする第2ロック手段(例えば、図1に示す、前後ロック機構7a)と、を有してなることを特徴としている。
【0015】
一方、請求項3の発明に係るロボットハンドは、上記請求項1に記載のロボットハンドにおいて、前記吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)は、複数の吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を備えてなることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4の発明に係るロボットハンドは、上記請求項3に記載のロボットハンドにおいて、前記複数の吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を夫々制御可能な吸着制御手段(図示しない制御装置)をさらに有し、
前記吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、
前記複数の吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を全部、又は、一部用いて、前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着するか否かの制御が可能であることを特徴としている。
【0017】
一方、請求項5の発明に係るロボットハンドは、上記請求項に記載のロボットハンドにおいて、前記第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)は、複数の第1吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を備え、
前記第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)は、複数の第2吸着手段を備えてなることを特徴としている。
【0018】
また、請求項6の発明に係るロボットハンドは、上記請求項5に記載のロボットハンドにおいて、前記複数の第1吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を夫々制御可能な第1吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)と、
前記複数の第2吸着手段を夫々制御可能な第2吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)と、をさらに有し、
前記第1吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、
前記複数の第1吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を全部、又は、一部用いて、前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)を吸着するか否かの制御が可能であり、
前記第2吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、
前記複数の第2吸着手段を全部、又は、一部用いて、前記ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)を吸着するか否かの制御が可能であることを特徴としている。
【0019】
一方、請求項7の発明に係るロボットハンドは、上記請求項1~6の何れか1項に記載のロボットハンドにおいて、前記ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)に、ロック指示を行う制御手段(例えば、図示しない制御装置)をさらに有し、
前記制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、前記ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)に、ロック指示を行った後、一定時間をおいて、ロボットを動作させるよう制御するか、或いは、前記ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)にて、前記吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)の移動をロックしたことを示す信号を出力してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
請求項1に係る発明によれば、吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)にてワーク(例えば、図5図7に示すワークW)方向に吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)を移動させ、該吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)にてワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を安定的に吸着する。そしてその後、ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)にて、吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)の移動をロックするようにしている。これにより、本発明によれば、安定的な吸着把持を実現することができる。さらに、第1進退移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3)にて、第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)をワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)側に進退自在に移動可能であり、第2進退移動手段(例えば、図1に示す、昇降移動機構6B)にて、第2吸着手段をワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)に沿って昇降移動可能であるから、ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)のサイズに応じ、位置を移動させることができる。これにより、ツールチェンジャーを用いる必要がなくなり、もって、作業効率を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2に係る発明によれば、第1吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3)にて、第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)をワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)方向に移動させ、該第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)にてワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)を安定的に吸着する。そしてその後、第1ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4)にて第1吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3)の移動をロックする。さらに、第2吸着移動手段(例えば、図1に示す、前後移動機構6A)にて、第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)をワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)方向に移動させ、該第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)にてワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)を安定的に吸着する。そしてその後、第2ロック手段(例えば、図1に示す、前後ロック機構7a)にて第2吸着移動手段(例えば、図1に示す、前後移動機構6A)の移動をロックする。
【0023】
しかして、このようにすれば、安定的な吸着把持を実現することができる。
【0024】
一方、請求項3に係る発明によれば、吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2、又は、第2吸着機構5)は、複数の吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を備えてなるから、全部、又は、一部用いて、ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着することができる。
【0025】
また、請求項4に係る発明によれば、吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、複数の吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を全部、又は、一部用いて、ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着するか否かの制御が可能であるから、搬送予定のない別のワークを吸着してしまう等の事態を防止することができ、もって、作業効率を向上させることができる。
【0026】
一方、請求項5に係る発明によれば、第1吸着手段(例えば、図1に示す、第1吸着機構2)は、複数の第1吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を備え、第2吸着手段(例えば、図1に示す、第2吸着機構5)は、複数の第2吸着手段を備えてなるから、全部、又は、一部用いて、ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)を吸着することができる。
【0027】
また、請求項6に係る発明によれば、第1吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、複数の第1吸着手段(例えば、図1に示す第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22A)を全部、又は、一部用いて、ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の上面(例えば、図5図7に示すWa)を吸着するか否かの制御が可能であり、第2吸着制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、複数の第2吸着手段を全部、又は、一部用いて、ワーク(例えば、図5図7に示すワークW)の側面(例えば、図5図7に示すWb)を吸着するか否かの制御が可能である。これにより、搬送予定のない別のワークを吸着してしまう等の事態を防止することができ、もって、作業効率を向上させることができる。
【0028】
一方、請求項7に係る発明によれば、制御手段(例えば、図示しない制御装置)は、ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)に、ロック指示を行った後、一定時間をおいて、ロボットを動作させるよう制御するか、或いは、ロック手段(例えば、図1に示す、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7a)にて、吸着移動手段(例えば、図1に示す、第1移動機構3、又は、前後移動機構6A)の移動をロックしたことを示す信号を出力するようにしている。これにより、ロボットとのインターフェースを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係るロボットハンドの正面図である。
図2図1に示すX-X線矢視図である。
図3】同実施形態に係るロボットハンドの平面図である。
図4】同実施形態に係るロボットハンドの左側面図である。
図5】同実施形態に係るロボットハンドの使用例を説明するための説明図である。
図6】同実施形態に係るロボットハンドの使用例を説明するための説明図である。
図7】同実施形態に係るロボットハンドの使用例を説明するための説明図である。
図8】他の実施形態に係るロボットハンドの正面図である。
図9】他の実施形態に係るロボットハンドの平面図である。
図10】他の実施形態に係るロボットハンドの右面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るロボットハンドの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0031】
<ロボットハンドの説明>
図1図3に示すように、ロボットハンド1は、第1吸着機構2と、第1移動機構3と、第1ロック機構4と、第2吸着機構5と、第2移動機構6と、第2ロック機構7と、で構成されている。以下、各構成について具体的に説明する。
【0032】
<第1吸着機構の説明>
第1吸着機構2は、図1に示すように、第1吸着ユニット20と、第2吸着ユニット21と、第3吸着ユニット22と、で構成されている。この第1吸着ユニット20は、複数の第1吸着器20Aと、これら第1吸着器20Aが取り付けられた第1フレーム部20Bと、で構成されている。第1吸着器20Aは、図1に示すように、筒状の基端部20Aaと、基端部20Aaの下面に取付けられた蛇腹状の吸着部20Abと、で構成されている。この吸着部20Abは、図示しない真空発生装置からの負圧が内部に作用し、軸方向に伸縮可能に構成されているものである。そして、基端部20Aaの上面には、正面視矩形状の第1フレーム部20Bが取り付けられている。
【0033】
一方、第2吸着ユニット21は、図1に示すように、複数の第2吸着器21Aと、これら第2吸着器21Aが取り付けられた第2フレーム部21Bと、で構成されている。第2吸着器21Aは、図1に示すように、筒状の基端部21Aaと、基端部21Aaの下面に取付けられた蛇腹状の吸着部21Abと、で構成されている。この吸着部21Abは、図示しない真空発生装置からの負圧が内部に作用し、軸方向に伸縮可能に構成されているものである。そして、基端部21Aaの上面には、正面視矩形状の第2フレーム部21Bが取り付けられている。
【0034】
また一方、第3吸着ユニット22は、図1に示すように、複数の第3吸着器22Aと、これら第3吸着器22Aが取り付けられた第3フレーム部22Bと、で構成されている。第3吸着器22Aは、図1に示すように、筒状の基端部22Aaと、基端部22Aaの下面に取付けられた蛇腹状の吸着部22Abと、で構成されている。この吸着部22Abは、図示しない真空発生装置からの負圧が内部に作用し、軸方向に伸縮可能に構成されているものである。そして、基端部22Aaの上面には、正面視矩形状の第3フレーム部22Bが取り付けられている。
【0035】
かくして、上記のように構成される第1吸着機構2の第1吸着ユニット20と、第2吸着ユニット21と、第3吸着ユニット22とは、図1に示すように、正面視横長矩形状の取付板10に取り付けられている。具体的には、第1フレーム部20B、及び、第2フレーム部21B、並びに、第3フレーム部22Bの上面に、取付板10が取り付けられている。そして、図1に示すように、この取付板10の上面には、正面視三角形状の連結板11の下面11aが取り付けられており、この連結板11の側面11bに第1移動機構3が取り付けられている。これにより、第1吸着機構2と第1移動機構3とが連結されることとなる。
【0036】
なお、第1吸着器20A、第2吸着器21A、第3吸着器22Aの負圧制御は、個々別々に行うことが出来るようになっている。
【0037】
<第1移動機構の説明>
第1移動機構3は、図2に示すように、一対のスライドレール30と、一対のスライドレール30にそれぞれ設けられているスライドブロック31と、スライドブロック31に取り付け固定されているスライド板32(図1参照)と、スライド板32に取り付けられている第1シリンダ33と、で構成されている。一対のスライドレール30は、図2に示すように、矢視逆U字状の固定板30aの両側部にそれぞれ取り付け固定されている。なお、固定板30aは、図1に示すように、連結部材12の上面12aに立設固定されている。
【0038】
スライドブロック31は、図2に示すように、スライドレール30の軸方向(矢印Y1方向)に沿って、所定間隔を開けて、複数個(図示では2個)移動可能なように取り付けられている。そして、このスライドブロック31には、図1に示すように、正面視縦長矩形状のスライド板32が取り付け固定されている。このスライド板32には、図1に示すように、下面32aが取付板10の上面に取り付け固定され、右側面32bが連結板11の側面11bに取り付け固定されている。これにより、スライドブロック31が、スライドレール30に沿って、図2に示す矢印Y1方向に移動すると、図1に示すように、スライドブロック31に取り付け固定されているスライド板32も矢印Y1方向に移動することとなる。そしてさらに、スライド板32が矢印Y1方向に移動すると、スライド板32に取り付け固定されている取付板10及び連結板11も矢印Y1方向に移動することとなる。これにより、取付板10に取り付けられている第1フレーム部20B、及び、第2フレーム部21B、並びに、第3フレーム部22Bも矢印Y1方向に移動することとなる。それゆえ、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aも矢印Y1方向に移動することとなる。
【0039】
ところで、上記のように、スライドブロック31を、スライドレール30に沿って、図2に示す矢印Y1方向に移動させるにあたっては、図2に示す第1シリンダ33の動作によって行われる。具体的には、図2に示すように、第1シリンダ33のピストンロッド33aの先端部33a1に、矩形状の取付板34が取り付け固定されている。そして、この取付板34が、図1に示すスライド板32に取り付け固定されている。これにより、ピストンロッド33aが、図2に示す矢印Y1方向に移動すると、取付板34も、図2に示す矢印Y1方向に移動することとなるから、取付板34に取り付け固定されているスライド板32も図1に示す矢印Y1方向に移動することとなる。それゆえ、スライド板32に取り付け固定されているスライドブロック31が、スライドレール30に沿って、図2に示す矢印Y1方向に移動することとなる。
【0040】
<第1ロック機構の説明>
第1ロック機構4は、図2に示すように、一対のスライドレール30にそれぞれ設けられており、具体的には、スライドブロック31の間に設けられている。そして、この第1ロック機構4には、図1に示すように、スライド板32が取り付け固定されている。そしてさらに、この第1ロック機構4には、図2に示すように、エアーチューブ4aが取り付けられている。これにより、エアーチューブ4aに圧縮空気が送られているときは、第1ロック機構4のロックが解除され、第1ロック機構4は、スライドレール30の軸方向(矢印Y1方向)に沿って、スライドブロック31と共に、スライドレール30の軸方向(矢印Y1方向)に沿って、移動可能となる。一方、エアーチューブ4aに圧縮空気が送られていないときは、第1ロック機構4がロックされ、第1ロック機構4は、スライドレール30の軸方向(矢印Y1方向)に沿って、移動できなくなる。これにより、第1ロック機構4に取り付けられているスライド板32は、第1ロック機構4がロックされると、ピストンロッド33aが、図2に示す矢印Y1方向に移動しようとも、図1に示す矢印Y1方向に移動できなくなる。そして、第1ロック機構4のロックが解除されると、図1に示す矢印Y1方向に移動することができることとなる。
【0041】
<第2吸着機構の説明>
第2吸着機構5は、図1に示すように、複数の吸着器50Aと、これら吸着器50Aが取り付けられたフレーム部50Bと、で構成されている。吸着器50Aは、図1に示すように、筒状の基端部50Aaと、基端部50Aaの右面に取付けられた蛇腹状の吸着部50Abと、で構成されている。この吸着部50Abは、図示しない真空発生装置からの負圧が内部に作用し、軸方向に伸縮可能に構成されているものである。そして、基端部50Aaの左面には、正面視矩形状のフレーム部50Bが取り付けられている。
【0042】
かくして、上記のように構成される第2吸着機構5は、図1に示すように、フレーム部50Bが正面視縦長矩形状の取付板13に取り付けられている。これにより、取付板13と第2吸着機構5とが連結されることとなる。そして、この取付板13には、第2移動機構6が取り付けられている。
【0043】
<第2移動機構の説明>
第2移動機構6は、図1に示すように、前後移動機構6Aと、昇降移動機構6Bと、で構成されており、この前後移動機構6Aが、取付板13に取り付けられている。これにより、前後移動機構6Aと、第2吸着機構5とが連結されることとなる。
【0044】
<前後移動機構の説明>
前後移動機構6Aは、図3に示すように、一対のスライドシャフト60Aと、一対のスライドシャフト60A同士を連結する横架材61Aと、前後移動用シリンダ62Aと、で構成されている。一対のスライドシャフト60Aは、図1に示すように、基端部60Aaが取付板13に取り付けられており、矢印Y2方向(図3も参照)に移動できるようになっている。また、図3に示すように、一対のスライドシャフト60Aの先端部60Abには、横架材61Aが取り付けられている。しかして、このように横架材61Aが連結されていることにより、一対のスライドシャフト60Aは、矢印Y2方向に同時に移動することとなる。
【0045】
ところで、一対のスライドシャフト60Aを、図1及び図3に示す矢印Y2方向に移動させるにあたっては、図3に示す前後移動用シリンダ62Aの動作によって行われる。具体的には、図3に示すように、前後移動用シリンダ62Aのピストンロッド62Aaの先端部62Aa1が、横架材61Aの中間部分に取り付けられている。これにより、ピストンロッド62Aaが、図3に示す矢印Y2方向に移動すると、横架材61Aも図3に示す矢印Y2方向に移動することとなるから、横架材61Aに連結されている一対のスライドシャフト60Aも図3に示す矢印Y2方向に移動することとなる。それゆえ、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaに取り付けられている取付板13も、図3に示す矢印Y2方向に移動することとなるから、取付板13に取り付けられている第2吸着機構5も、図1に示す矢印Y2方向に移動することとなる。なお、後述するように、前後移動用シリンダ62Aは、昇降移動機構6Bに取り付け固定されている。
【0046】
<昇降移動機構の説明>
昇降移動機構6Bは、図1及び図4に示すように、一対のスライドレール60Bと、一対のスライドレール60Bにそれぞれ設けられているスライドブロック61Bと、スライドブロック61Bに取り付け固定されているスライド板62Bと、スライド板62Bに取り付けられている昇降移動用シリンダ63Bと、で構成されている。一対のスライドレール60Bは、図4に示すように、矩形状の固定板60Baの両側部にそれぞれ取り付け固定されている。なお、固定板60Baは、図1に示すように、連結部材12の左側面12bに立設されるように固定されている。
【0047】
スライドブロック61Bは、図1に示すように、スライドレール60Bの軸方向(矢印Y3方向)に沿って、所定間隔を開けて、複数個(図示では2個)移動可能なように取り付けられている。そして、このスライドブロック61Bには、図4に示すように、側面視U字状のスライド板62Bが取り付け固定されている。このスライド板62Bには、図4に示すように、前後移動用シリンダ62Aが取り付け固定されている。そして、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aa(図1参照)は、スライド板62B、及び、固定板60Baを前後方向に貫通して設けられ、取付板13に取り付けられている。これにより、スライドブロック61Bが、スライドレール60Bに沿って、図1に示す矢印Y3方向に移動すると、スライドブロック61Bに取り付け固定されているスライド板62Bも図4に示す矢印Y3方向に移動することとなる。そしてさらに、スライド板62Bが矢印Y3方向に移動すると、スライド板62Bに取り付け固定されている前後移動用シリンダ62Aも矢印Y3方向に移動することとなる。これにより、前後移動用シリンダ62Aのピストンロッド62Aaの先端部62Aa1に取り付けられている横架材61Aも図4に示す矢印Y3方向に移動することとなるから、横架材61Aに連結されている一対のスライドシャフト60Aも図4に示す矢印Y3方向に移動することとなる。それゆえ、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaに取り付けられている取付板13も、図1に示す矢印Y3方向に移動することとなるから、取付板13に取り付けられている第2吸着機構5も、図1に示す矢印Y3方向に移動することとなる。なお、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aa(図1参照)は、図4に示す矢印Y3方向に移動可能なように、スライド板62B、及び、固定板60Baを前後方向に貫通して設けられている。
【0048】
ところで、上記のように、スライドブロック61Bを、スライドレール60Bに沿って、図1に示す矢印Y3方向に移動させるにあたっては、図4に示す昇降移動用シリンダ63Bの動作によって行われる。具体的には、図4に示すように、昇降移動用シリンダ63Bのピストンロッド63Baの先端部63Ba1に、矩形状の取付板64Bが取り付け固定されている。そして、この取付板64Bが、図4に示すスライド板62Bに取り付け固定されている。これにより、ピストンロッド63Baが、図4に示す矢印Y3方向に移動すると、取付板64Bも、図4に示す矢印Y3方向に移動することとなるから、取付板64Bに取り付け固定されているスライド板62Bも図4に示す矢印Y3方向に移動することとなる。それゆえ、スライド板62Bに取り付け固定されているスライドブロック61Bが、スライドレール60Bに沿って、図1に示す矢印Y3方向に移動することとなる。
【0049】
<第2ロック機構の説明>
第2ロック機構7は、図1に示すように、前後ロック機構7aと、昇降ロック機構7bとで構成されている。前後ロック機構7aは、図1及び図4に示すように、一対のスライドシャフト60Aにそれぞれ設けられている。具体的には、前後ロック機構7aは、図1及び図4に示すように、スライド板62Bに取り付け固定されており、スライドシャフト60Aは、前後ロック機構7aに貫通して設けられている。そして、この前後ロック機構7aには、図4に示すように、エアーチューブ7a1が取り付けられている。これにより、エアーチューブ7a1に圧縮空気が送られているときは、前後ロック機構7aのロックが解除され、一対のスライドシャフト60Aは、前後ロック機構7a内を通って、図1に示す矢印Y2方向に移動できることとなる。一方、エアーチューブ7a1に圧縮空気が送られていないときは、前後ロック機構7aがロックされ、一対のスライドシャフト60Aは、前後ロック機構7a内を移動できなくなる。これにより、前後移動用シリンダ62Aのピストンロッド62Aaが、図2に示す矢印Y2方向に移動しようとも、一対のスライドシャフト60Aは、図1に示す矢印Y2方向に移動できなくなる。
【0050】
昇降ロック機構7bは、図1及び図4に示すように、一対のスライドレール60Bにそれぞれ設けられており、具体的には、スライドブロック61Bの間に設けられている。そして、この昇降ロック機構7bには、図1及び図4に示すように、スライド板62Bが取り付け固定されている。そしてさらに、この昇降ロック機構7bには、図4に示すように、エアーチューブ7b1が取り付けられている。これにより、エアーチューブ7b1に圧縮空気が送られているときは、昇降ロック機構7bのロックが解除され、昇降ロック機構7bは、スライドレール60Bの軸方向(矢印Y3方向)に沿って、スライドブロック61Bと共に、スライドレール60Bの軸方向(矢印Y3方向)に沿って、移動可能となる。一方、エアーチューブ7b1に圧縮空気が送られていないときは、昇降ロック機構7bがロックされ、昇降ロック機構7bは、スライドレール60Bの軸方向(矢印Y3方向)に沿って、移動できなくなる。これにより、昇降ロック機構7bに取り付けられているスライド板62Bは、昇降ロック機構7bがロックされると、ピストンロッド63Baが、図4に示す矢印Y3方向に移動しようとも、図4に示す矢印Y3方向に移動できなくなる。そして、昇降ロック機構7bのロックが解除されると、図4に示す矢印Y3方向に移動することができることとなる。
【0051】
なお、図1に示す符号15は、図示しないロボットアームに取り付けられるフランジ部である。このフランジ部15は、図1に示すように、連結部材12の上面12aに立設固定されている。
【0052】
<ロボットハンドの使用例の説明>
かくして、上記のように構成されるロボットハンド1は、例えば、以下のように使用される。
【0053】
図5図7に示すワークWを吸着するにあたっては、図示しない制御装置を用いて、図2に示すエアーチューブ4aに圧縮空気を送るように制御し、第1ロック機構4のロックを解除する。この状態で、図示しない制御装置を用いて、図2に示す第1シリンダ33を動作させ、ピストンロッド33aを図5に示す矢印Y10方向(図2に示す矢印Y1の下方向)に移動させる。これにより、ピストンロッド33aが、図5に示す矢印Y10方向に移動すると、スライド板32も図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y1の下方向)に移動することとなる。それゆえ、スライド板32に取り付け固定されているスライドブロック31が、スライドレール30に沿って、図5に示す矢印Y10方向(図2に示す矢印Y1の下方向)に移動することとなる。これにより、スライド板32に取り付け固定されている取付板10及び連結板11も図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y1の下方向)に移動することとなる。これにより、取付板10に取り付けられている第1フレーム部20B、及び、第2フレーム部21B、並びに、第3フレーム部22Bも図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y1の下方向)に移動することとなる。それゆえ、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aも図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y1の下方向)に移動することとなる。
【0054】
かくして、このようにして、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aは、図5に示すように、ワークWの上面Wa側に移動されることとなる。なお、この際、図5に示すように、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aと、ワークWの上面Waとの間には、僅かな隙間がある。
【0055】
一方、図示しない制御装置を用いて、図4に示すエアーチューブ7b1に圧縮空気を送るように制御し、昇降ロック機構7bのロックを解除する。この状態で、図示しない制御装置を用いて、図4に示す昇降移動用シリンダ63Bを動作させ、ピストンロッド63Baを図5に示す矢印Y10方向(図4に示す矢印Y3の下方向)に移動させる。これにより、ピストンロッド63Baが、図5に示す矢印Y10方向に移動すると、スライド板62Bも図5に示す矢印Y10方向(図4に示す矢印Y3の下方向)に移動することとなる。それゆえ、スライド板62Bに取り付け固定されているスライドブロック61Bが、スライドレール60Bに沿って、図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y3の下方向)に移動することとなる。これにより、スライド板62Bに取り付け固定されている前後移動用シリンダ62Aも図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y3の下方向)に移動することとなるから、一対のスライドシャフト60Aも図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y3の下方向)に移動することとなる。それゆえ、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaに取り付けられている取付板13も、図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y3の下方向)に移動することとなるから、取付板13に取り付けられている第2吸着機構5、すなわち、複数の吸着器50Aも、図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y3の下方向)に移動することとなる。
【0056】
かくして、このようにして、複数の吸着器50Aは、図5に示すように、ワークWの側面Wb側に移動されることとなる。なお、この際、図5に示すように、複数の吸着器50Aと、ワークWの側面Wbとの間には、僅かな隙間がある。
【0057】
ところで、複数の吸着器50Aを、図5に示すように、ワークWの側面Wb側に移動させた後、図示しない制御装置を用いて、図4に示すエアーチューブ7b1に圧縮空気を送らないように制御し、昇降ロック機構7bをロックする。これにより、複数の吸着器50Aは、図5に示す矢印Y10方向(図1に示す矢印Y3の下方向)に移動が規制されることとなる。なお、図示しない制御装置は、昇降ロック機構7bをロックしたことを示す信号を外部に出力することができる。
【0058】
次いで、図示しない制御装置を用いて、図2に示す第1シリンダ33を動作させ、ピストンロッド33aを図6に示す矢印Y10方向(図2に示す矢印Y1の下方向)に移動させる。この際、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21Aが、図6に示すワークWの上面Waに接触する前に、図示しない制御装置を用いて、図示しない真空発生装置の制御を開始し、図6に示す第1吸着器20A、第2吸着器21Aを負圧にするようにする。そしてこの状態で、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21Aを、図6に示すワークWの上面Waに軽く接触させる。そして、吸着圧力値が所定の閾値に到達すると、図示しない制御装置を用いて、図2に示す第1シリンダ33へのエア供給を停止させる。これにより、図7に示すように、吸着部20Ab、21Abが圧縮し、もって、第1吸着器20A、第2吸着器21Aにて、ワークWの上面Waを吸着することができることとなる。
【0059】
しかして、このように、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21Aを、図6に示すワークWの上面Waに軽く接触させるようにすれば、吸着不良を低減させることができる。すなわち、隙間があると真空が発生しないため、吸着することができない。また、十分に接触させようとすると、不用意な衝突や、ワークWを押すことにより、ワークWの位置ずれにつながる恐れがあり、もって、その後の吸着不良につながる恐れがある。そのため、本実施形態においては、軽く接触させるようにしている。
【0060】
また、ワークWの上面Waを吸着した際、第1シリンダ33へのエア供給を行っていると、ワークWの上面Waを引っ張ろうとするテンションがかかることとなる。してみると、吸着部20Ab、21Abの圧縮が、少なくなり、もって、ワークWの上面Waを吸着して搬送する際、揺れが生じやすくなる。そのため、第1シリンダ33へのエア供給を停止し、吸着部20Ab、21Abの圧縮を最大限にすることで、ワークWの上面Waの吸着をしっかりと行うことができるようにしている。これにより、搬送する際の揺れを生じ難くすることが出来る。さらに、ワークWの上面Waを引っ張ろうとするテンションがかかると、ワークWの外形が変形してしまう可能性がある。そこで、本実施形態においては、第1シリンダ33へのエア供給を停止し、ワークWの上面Waと密着する第1吸着器20A、第2吸着器21Aの力のみが働くだけにしている。これにより、ワークWの破れ、テープの剥がれを誘発し難くなり、もって、ワークWの外形が変形してしまう可能性を低減させることができる。なお、第3吸着器22Aは、図7に示すように、ワークWのサイズの関係で、ワークWの上面Waを吸着することができないため、第3吸着器22Aを負圧にしていない。また、第2吸着器21Aは、負圧制御しているものの、図7に示す最も右側に位置している第2吸着器21Aは、ワークWの上面Waと接触していないため、真空が発生せず、もって、最も右側に位置している吸着部21Abは、圧縮しないこととなる。
【0061】
一方、図示しない制御装置を用いて、図4に示すエアーチューブ7a1に圧縮空気を送るように制御し、前後ロック機構7aのロックを解除する。この状態で、図示しない制御装置を用いて、図3に示す前後移動用シリンダ62Aを動作させ、ピストンロッド62Aaを、図6に示す矢印Y11方向(図1及び図3に示す矢印Y2の右方向)に移動させる。これにより、図3に示す横架材61Aも図6に示す矢印Y11方向(図1及び図3に示す矢印Y2の右方向)に移動することとなるから、横架材61Aに連結されている一対のスライドシャフト60Aも図6に示す矢印Y11方向(図1及び図3に示す矢印Y2の右方向)に、前後ロック機構7a内を通って、移動することとなる。それゆえ、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaに取り付けられている取付板13も、図6に示す矢印Y11方向(図1及び図3に示す矢印Y2の右方向)に移動することとなるから、取付板13に取り付けられている第2吸着機構5、すなわち、複数の吸着器50Aも、図6に示す矢印Y11方向(図1及び図3に示す矢印Y2の右方向)に移動することとなる。
【0062】
かくして、このようにして、複数の吸着器50Aを、図6に示す矢印Y11方向(図1及び図3に示す矢印Y2の右方向)に移動させた際、ワークWの側面Wbに接触する前に、図示しない制御装置を用いて、図示しない真空発生装置の制御を開始し、図6に示す複数の吸着器50Aを負圧にする。そしてこの状態で、複数の吸着器50Aを、図6に示すワークWの側面Wbに軽く接触させる。そして、吸着圧力値が所定の閾値に到達すると、図示しない制御装置を用いて、図3に示す前後移動用シリンダ62Aへのエア供給を停止させる。これにより、図7に示すように、吸着器50Abが圧縮し、もって、複数の吸着器50Aにて、ワークWの側面Wbを吸着することができることとなる。
【0063】
しかして、このように、複数の吸着器50Aを、図6に示すワークWの側面Wbに軽く接触させることにより、吸着不良を低減させることができる。すなわち、隙間があると真空が発生しないため、吸着することができない。また、十分に接触させようとすると、不用意な衝突やワークWを押すことにより、ワークWの位置ずれにつながる恐れがあり、もって、その後の吸着不良につながる恐れがある。そのため、本実施形態においては、軽く接触させるようにしている。
【0064】
また、ワークWの側面Wbを吸着した際、前後移動用シリンダ62Aへのエア供給を行っていると、ワークWの側面Wbを引っ張ろうとするテンションがかかることとなる。してみると、吸着部50Abの圧縮が、少なくなり、もって、ワークWの側面Wbを吸着して搬送する際に、揺れが生じやすくなる。そのため、前後移動用シリンダ62Aへのエア供給を停止し、吸着部50Abの圧縮を最大限にすることで、ワークWの側面Wbの吸着をしっかりと行うことができ、もって、搬送する際の揺れを生じ難くすることが出来る。さらに、ワークWの側面Wbを引っ張ろうとするテンションがかかると、ワークWの外形が変形してしまう可能性がある。そこで、本実施形態においては、前後移動用シリンダ62Aへのエア供給を停止し、ワークWの側面Wbと密着する複数の吸着器50Aの力のみが働くだけにしている。これにより、ワークWの破れ、テープの剥がれを誘発し難くなり、もって、ワークWの外形が変形してしまう可能性を低減させることができる。
【0065】
次いで、図7に示すような状態で、図示しない制御装置を用いて、図2に示すエアーチューブ4aに圧縮空気を送らないように制御し、第1ロック機構4をロックする。これにより、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aの位置は、図7に示す位置で固定されることとなる。なお、図示しない制御装置は、第1ロック機構4をロックしたことを示す信号を外部に出力することができる。
【0066】
一方、図7に示すような状態で、図示しない制御装置を用いて、図4に示すエアーチューブ7a1に圧縮空気を送らないように制御し、前後ロック機構7aをロックする。これにより、複数の吸着器50Aの位置は、図7に示す位置で固定されることとなる。なお、図示しない制御装置は、前後ロック機構7aをロックしたことを示す信号を外部に出力することができる。
【0067】
かくして、このように、ワークWと、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aの位置、さらに、複数の吸着器50Aとの位置関係を固定することにより、ワークWを所定場所に搬送する際、安定した搬送が可能となる。なお、ワークWを所定場所に載置する際は、上記説明した手順と逆の手順を行うようにすれば良い。
【0068】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、第1吸着機構2を用いて、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21Aにて、ワークWの上面Waを安定的に吸着した後、第1ロック機構4をロックし、ワークWとの位置関係を固定するようにしている。これにより、本実施形態によれば、安定的な吸着把持を実現することができる。
【0069】
また本実施形態によれば、第2吸着機構5を用いて、複数の吸着器50Aにて、ワークWの側面Wbを安定的に吸着した後、前後ロック機構7aをロックし、ワークWとの位置関係を固定するようにしている。これにより、本実施形態によれば、安定的な吸着把持を実現することができる。
【0070】
さらに、本実施形態によれば、ワークWの上面Waを第1吸着器20A、及び、第2吸着器21Aにて安定的に吸着した後、第1ロック機構4をロックし、さらに、ワークWの側面Wbを複数の吸着器50Aにて安定的に吸着した後、前後ロック機構7aをロックし、ワークWとの位置関係を固定するようにしている。これにより、本実施形態によれば、さらに、安定的な吸着把持を実現することができる。
【0071】
一方、本実施形態によれば、第1移動機構3により、ワークWの上面Waに、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aを昇降移動させることができるから、ワークWのサイズに応じた位置に、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aを位置させることができる。これにより、ワークWのサイズに適した、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aに、ツールチェンジャーを用いて変更する必要がなくなり、もって、作業効率を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、昇降移動機構6Bにより、ワークWの側面Wbに、複数の吸着器50Aを昇降移動させることができるから、ワークWのサイズに応じた位置に、複数の吸着器50Aを位置させることができる。これにより、ワークWのサイズに適した複数の吸着器50Aに、ツールチェンジャーを用いて変更する必要がなくなり、もって、作業効率を向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態によれば、第1移動機構3により、ワークWの上面Waに、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aを昇降移動させることができ、さらに、昇降移動機構6Bにより、ワークWの側面Wbに、複数の吸着器50Aを昇降移動させることができる。これにより、ワークWのサイズに応じた位置に、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22A、さらに、複数の吸着器50Aを位置させることができる。これにより、ツールチェンジャーを用いて吸着器を変更する必要がなくなり、もって、さらに作業効率を向上させることができる。
【0074】
一方、本実施形態によれば、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aのうち、ワークWの上面Waの吸着に必要な第1吸着器20A、及び、第2吸着器21Aを負圧にする制御を行っているから、作業効率を向上させることができる。すなわち、ワークWが複数個並んでいた場合、全ての吸着器を負圧にするよう制御してしまうと、第3吸着器22Aにて、搬送予定のない別のワークWの上面Waを吸着してしまい、もって、搬送中に落下させる等の事故が生じ、作業効率を低下させてしまうこととなる。しかしながら、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aの負圧制御を個々別々に行えるようにしておけば、搬送予定のない別のワークWの上面Waを吸着してしまう事態を防止することができ、もって、作業効率を向上させることができる。さらに、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aの負圧制御を個々別々に行えるようにしておけば、ワークのサイズに応じて、第1吸着器20A、及び、第2吸着器21A、並びに、第3吸着器22Aの全て、又は、一部を使用するかの選択をすることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態によれば、図示しない制御装置は、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7aのロック指示を行った後、一定時間をおいて、図示しないロボットを動作させるよう制御することができる。又は、図示しない制御装置は、第1ロック機構4、又は、前後ロック機構7aをロックしたことを示す信号を出力することができる。これにより、ロボットとのインターフェースを備えることができる。
【0076】
ところで、上記説明した一実施形態において例示した内容は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、複数の吸着器50Aと、これら吸着器50Aが取り付けられたフレーム部50Bとを1個しか例示していなが、勿論、複数あっても良い。その際は、負圧の制御を個々別々に行えるようにすれば良い。また、本実施形態においては、第1吸着ユニット20と、第2吸着ユニット21と、第3吸着ユニット22とを3個例示したが、それ以上でもそれ以下でも良い。
【0077】
さらに、本実施形態においては、前後移動機構6Aと、昇降移動機構6Bとを分けて別々に制御する例を示したが、第1移動機構3のように一体化しても良い。また、第1移動機構3を、前後移動機構6Aと、昇降移動機構6Bのように、別々な機構にして制御するようにしても良い。
【0078】
一方、本実施形態においては、第1移動機構3、昇降移動機構6Bを用いて昇降させる例を示したが、それに限らず、昇降させないようにしても良い。具体的には、図8図10に示すような構成にすることができる。なお、上記説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付し説明は省略することとする。
【0079】
図8図10に示すロボットハンド1Aは、第2吸着機構5と連結されている前後移動機構6Aが、図8に示すように、逆L字状のロボットハンド本体16Aの上面16Aa、及び、側面16Abに、それぞれ取り付けられているものである。具体的には、図8に示す逆L字状のロボットハンド本体16Aの上面16Aa右側面側には、前後ロック機構7aが取り付け固定されており、スライドシャフト60Aは、前後ロック機構7aに貫通して設けられている。そして、図10に示すように、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaは、図10に示す矢印Y20方向に移動可能なように、ロボットハンド本体16Aを貫通して設けられている。そしてさらに、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaは、図10に示すように、取付板13に取り付けられている。
【0080】
かくして、図示しない制御装置を用いて、図10に示すエアーチューブ7a1に圧縮空気を送るように制御し、前後ロック機構7aのロックを解除する。この状態で、図示しない制御装置を用いて、図10に示す前後移動用シリンダ62Aを動作させ、ピストンロッド62Aaを、図10に示す矢印Y20の下方向に移動させる。これにより、図10に示す横架材61Aも図10に示す矢印Y20の下方向に移動することとなるから、横架材61Aに連結されている一対のスライドシャフト60Aも、図10に示す矢印Y20の下方向に、前後ロック機構7a内を通って、移動することとなる。それゆえ、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaに取り付けられている取付板13も、図10に示す矢印Y20の下方向に移動することとなるから、取付板13に取り付けられている第2吸着機構5、すなわち、複数の吸着器50Aも、図5に示すワークWの上面Waに移動することとなる。
【0081】
かくして、このようにして、複数の吸着器50Aを、図10に示す矢印Y20の下方向に移動させた際、ワークWの上面Wa(図6参照)に接触する前に、図示しない制御装置を用いて、図示しない真空発生装置の制御を開始し、複数の吸着器50Aを負圧にする。そしてこの状態で、複数の吸着器50Aを、ワークWの上面Waに軽く接触させる。そして、吸着圧力値が所定の閾値に到達すると、図示しない制御装置を用いて、図10に示す前後移動用シリンダ62Aへのエア供給を停止させる。これにより、吸着部50Abが圧縮し(図7参照)、もって、複数の吸着器50Aにて、ワークWの上面Waを吸着することができることとなる。そして、図示しない制御装置を用いて、図10に示すエアーチューブ7a1に圧縮空気を送らないように制御し、前後ロック機構7aをロックする。これにより、複数の吸着器50Aの位置は、固定されることとなる。
【0082】
一方、図8に示す逆L字状のロボットハンド本体16Aの側面16Ab下面側には、前後ロック機構7aが取り付け固定されており、スライドシャフト60Aは、前後ロック機構7aに貫通して設けられている。そして、図8に示すように、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaは、図8及び図9に示す矢印Y21方向に移動可能なように、ロボットハンド本体16Aを貫通して設けられている。そしてさらに、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaは、図8に示すように、取付板13に取り付けられている。
【0083】
かくして、図示しない制御装置を用いて、図8に示すエアーチューブ7a1に圧縮空気を送るように制御し、前後ロック機構7aのロックを解除する。この状態で、図示しない制御装置を用いて、図9に示す前後移動用シリンダ62Aを動作させ、ピストンロッド62Aaを、図9に示す矢印Y21の右方向に移動させる。これにより、図9に示す横架材61Aも図9に示す矢印Y21の右方向に移動することとなるから、横架材61Aに連結されている一対のスライドシャフト60Aも、図9に示す矢印Y21の右方向に、前後ロック機構7a内を通って、移動することとなる。それゆえ、一対のスライドシャフト60Aの基端部60Aaに取り付けられている取付板13も、図8に示す矢印Y21の右方向に移動することとなるから、取付板13に取り付けられている第2吸着機構5、すなわち、複数の吸着器50Aも、図5に示すワークWの側面Wbに移動することとなる。
【0084】
かくして、このようにして、複数の吸着器50Aを、図9に示す矢印Y21の右方向に移動させた際、ワークWの側面Wb(図6参照)に接触する前に、図示しない制御装置を用いて、図示しない真空発生装置の制御を開始し、複数の吸着器50Aを負圧にする。そしてこの状態で、複数の吸着器50Aを、ワークWの側面Wbに軽く接触させる。そして、吸着圧力値が所定の閾値に到達すると、図示しない制御装置を用いて、図9に示す前後移動用シリンダ62Aへのエア供給を停止させる。これにより、吸着部50Abが圧縮し(図7参照)、もって、複数の吸着器50Aにて、ワークWの側面Wbを吸着することができることとなる。そして、図示しない制御装置を用いて、図9に示すエアーチューブ7a1に圧縮空気を送らないように制御し、前後ロック機構7aをロックする。これにより、複数の吸着器50Aの位置は、固定されることとなる。
【0085】
なお、図8図10に示す符号15Aは、図示しないロボットアームに取り付けられるフランジ部である。このフランジ部15Aは、図8に示すように、ロボットハンド本体16Aの上面16Aa左側面側に立設固定されている。
【0086】
しかして、このようなロボットハンド1Aであっても、安定的な吸着把持を実現することができる。なお、この場合は、ワークWの形状が同形状のものを吸着する場合に適用するのが好ましい。
【0087】
一方、本実施形態においては、ワークWの上面Wa、側面Wbを吸着させる例を示したが、どちらか一方だけを吸着するようにしても良い。その際は、吸着させる吸着器だけを移動させるようにすれば良い。
【符号の説明】
【0088】
1 ロボットハンド
2 第1吸着機構(吸着手段、第1吸着手段)
3 第1移動機構(吸着移動手段、第1吸着移動手段、進退移動手段)
4 第1ロック機構(ロック手段、第1ロック手段)
5 第2吸着機構(吸着手段、第2吸着手段)
6A 前後移動機構(吸着移動手段、第2吸着移動手段)
6B 昇降移動機構(進退移動手段)
7a 前後ロック機構(ロック手段、第2ロック手段)
20A 第1吸着器(吸着手段)
21A 第2吸着器(吸着手段)
22A 第3吸着器(吸着手段)
W ワーク
Wa 上面
Wb 側面
図1
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図10