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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ウォーターサーバ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020101817
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021195146
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】平野 健
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142592(JP,A)
【文献】特開平05-112394(JP,A)
【文献】特開2020-063056(JP,A)
【文献】特開2016-210467(JP,A)
【文献】米国特許第4940164(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を貯留する飲料水ボトルから導入した飲料水を保持する1又は複数の飲料水タンクと、
前記1又は複数の飲料水タンクの各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する弁と、
前記飲料水ボトルの初期の容量から、前記1又は複数の飲料水タンクの各々の単位時間当たりの前記弁の出水量と前記弁の出水時間とを掛け合わせた量を減算して前記飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する制御部と、
温水の出水を制限するロック状態を解除可能なロック解除ボタンと、
を備え
前記制御部は、前記ロック解除ボタンの所定時間以上の押下による押下信号を受信すると、前記飲料水ボトルの残量を初期値にリセットする、ことを特徴とするウォーターサーバ。
【請求項2】
飲料水を貯留する飲料水ボトルから導入した飲料水を保持する1又は複数の飲料水タンクと、
前記1又は複数の飲料水タンクの各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する弁と、
前記飲料水ボトルの初期の容量から、前記1又は複数の飲料水タンクの各々の単位時間当たりの前記弁の出水量と前記弁の出水時間とを掛け合わせた量を減算して前記飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する制御部と、
前記飲料水タンクに導入された飲料水を出水するために前記弁を開状態にする出水ボタンと、
温水の出水を制限するロック状態を解除可能なロック解除ボタンと、を備え、
前記制御部は、前記ロック解除ボタンが押下された押下信号及び前記出水ボタンが押下された押下信号を略同時に受信すると、前記飲料水ボトルの残量を初期値にリセットする、
ことを特徴とするウォーターサーバ。
【請求項3】
飲料水を貯留する飲料水ボトルから導入した飲料水を保持する1又は複数の飲料水タンクと、
前記1又は複数の飲料水タンクの各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する弁と、
前記飲料水ボトルの初期の容量から、前記1又は複数の飲料水タンクの各々の単位時間当たりの前記弁の出水量と前記弁の出水時間とを掛け合わせた量を減算して前記飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する制御部と、
前記飲料水タンクに導入された飲料水を出水するために前記弁を開状態にする出水ボタンと、
温水の出水を制限するロック状態を解除可能なロック解除ボタンと、
音声を発する音声部と、を備え、
前記制御部は、前記ロック解除ボタンが所定時間以上押下された押下信号を受信した場合、又は前記ロック解除ボタンが押下された押下信号及び前記出水ボタンが押下された押下信号を略同時に受信した場合に、前記飲料水ボトルの残量を初期値にリセットし、前記出水ボタンを押下することを促す音声を発生させるように前記音声部の駆動を制御する、
ことを特徴とするウォーターサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーターサーバを使用するにあたり、ユーザは、飲料水ボトルの残量を目視で確認し、飲料水ボトルの残量がなくなると、適宜、交換用ボトルを発注する。この確認及び発注を忘れると、飲料水ボトルの飲料水がないために、ユーザは、ウォーターサーバを使用できない。特に、最近のウォーターサーバではデザイン性が重視され、有色のボトルカバーにより飲料水ボトルの残量が確認し難い構成もあり、この場合には、飲料水ボトルの飲料水がなくなることに気づかずに過ごし、ユーザがウォーターサーバを使用できなくなる可能性が高い。
【0003】
この状況に鑑みて、特許文献1の構成が開示されている。特許文献1には、飲料水を貯留する水タンク(飲料水ボトル)がセットされるとウォーターサーバの重量を計測する重量計測手段と、重量計測手段の計測値に基づいて水タンクの飲料水の残量を算出する水残容量算定手段と、を備えるウォーターサーバの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-188141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成において、重量計測手段を付加せずに、飲料水の残量を算定できれば、よりウォーターサーバのコストを低減させることができる。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、飲料水ボトルの重量計測手段を有さずとも、飲料水ボトルの飲料水の残量を算定できるウォーターサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るウォーターサーバは、飲料水を貯留する飲料水ボトルから導入した飲料水を保持する1又は複数の飲料水タンクと、前記1又は複数の飲料水タンクの各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する弁と、前記飲料水ボトルの初期の容量から、前記1又は複数の飲料水タンクの各々の単位時間当たりの前記弁の出水量と前記弁の出水時間とを掛け合わせた量を減算して前記飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する制御部と、温水の出水を制限するロック状態を解除可能なロック解除ボタンと、を備え、前記制御部は、前記ロック解除ボタンの所定時間以上の押下による押下信号を受信すると、前記飲料水ボトルの残量を初期値にリセットする、ことを特徴とする。又は、本発明に係るウォーターサーバは、飲料水を貯留する飲料水ボトルから導入した飲料水を保持する1又は複数の飲料水タンクと、前記1又は複数の飲料水タンクの各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する弁と、前記飲料水ボトルの初期の容量から、前記1又は複数の飲料水タンクの各々の単位時間当たりの前記弁の出水量と前記弁の出水時間とを掛け合わせた量を減算して前記飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する制御部と、前記飲料水タンクに導入された飲料水を出水するために前記弁を開状態にする出水ボタンと、温水の出水を制限するロック状態を解除可能なロック解除ボタンと、を備え、前記制御部は、前記ロック解除ボタンが押下された押下信号及び前記出水ボタンが押下された押下信号を略同時に受信すると、前記飲料水ボトルの残量を初期値にリセットする、ことを特徴とする。あるいは、本発明に係るウォーターサーバは、飲料水を貯留する飲料水ボトルから導入した飲料水を保持する1又は複数の飲料水タンクと、前記1又は複数の飲料水タンクの各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する弁と、前記飲料水ボトルの初期の容量から、前記1又は複数の飲料水タンクの各々の単位時間当たりの前記弁の出水量と前記弁の出水時間とを掛け合わせた量を減算して前記飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する制御部と、前記飲料水タンクに導入された飲料水を出水するために前記弁を開状態にする出水ボタンと、温水の出水を制限するロック状態を解除可能なロック解除ボタンと、音声を発する音声部と、を備え、前記制御部は、前記ロック解除ボタンが所定時間以上押下された押下信号を受信した場合、又は前記ロック解除ボタンが押下された押下信号及び前記出水ボタンが押下された押下信号を略同時に受信した場合に、前記飲料水ボトルの残量を初期値にリセットし、前記出水ボタンを押下することを促す音声を発生させるように前記音声部の駆動を制御する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、制御部は、各々の飲料水タンクにおいて単位時間当たりの弁の出水量及び弁の出水時間から飲料水の出水量を算出し、飲料水ボトルの初期の容量から減算して飲料水ボトルの飲料水の残量を算出する。そのため、飲料水ボトルの飲料水の残量は、飲料水ボトルの重量の情報を取得しなくても、弁を通過する飲料水の出水時間から導出することができる。その結果、飲料水ボトルの重量計測手段を有さずとも、飲料水ボトルの飲料水の残量を算出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飲料水ボトルの重量計測手段を有さずとも、飲料水ボトルの飲料水の残量を算定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るウォーターサーバを示す斜視図である。
図2】ウォーターサーバの内部の概要を示す構成図である。
図3】操作パネルの正面図である。
図4】ウォーターサーバの制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るウォーターサーバ1を示す斜視図である。図1に示すウォーターサーバ1は、外観視して略四角柱形状となる筐体10を基本構成とし、この筐体10の前面側に供給ノズル20、操作パネル30、及び容器載置部40が設けられて構成されている。このようなウォーターサーバ1は、筐体10の上部に飲料水ボトル90を載置するトップカバー41を備えている。
【0013】
供給ノズル20は、ユーザの操作パネル30への操作に応じて飲料水を出水する出水口として機能するものである。この供給ノズル20は、筐体10の前面から奥まるように形成された凹部11に少なくとも一部が収納されて形成されている。操作パネル30は、ユーザからの操作を受け付けるパネルであって、例えば冷水の出水操作、温水の出水操作、温水の加熱操作等、種々の操作が可能となっている。
【0014】
容器載置部40は、供給ノズル20から供給される飲料水を受ける飲料容器が載置されるものであって、供給ノズル20の下側の所定高さ箇所に設けられている。このような容器載置部40はその一部が凹部11内に収まっており、他の部分が筐体10の前方に突出した状態で設置されている。なお、本実施形態において飲料容器とは、コップやグラス等の飲料を飲むための容器の他、炊飯釜、鍋、急須、水筒及びペットボトル等も含まれる。
【0015】
図2は、図1に示したウォーターサーバ1の内部の概要を示す構成図である。図2に示すように、ウォーターサーバ1は、筐体10(図1参照)の内部に、冷水タンクT1(飲料水タンク)と、フロート弁Fと、冷水用電磁弁61(弁)と、温水タンクT2(飲料水タンク)と、温水用電磁弁62(弁)と、管63と、管64と、を備えている。
【0016】
(冷水タンク)
冷水タンクT1は、飲料水を貯留する飲料水ボトル90から導入した飲料水を保持するタンクである。冷水タンクT1には、熱交換部(不図示)が設けられており、冷水タンクT1内に導入された常温の飲料水が熱交換部(不図示)によって冷却されて冷水化される。
【0017】
(フロート弁)
フロート弁Fは、冷水タンクT1内の飲料水量が所定量未満となると導水路Rを開放して飲料水ボトル90からの飲料水を冷水タンクT1内に導入する。一方、フロート弁Fは、冷水タンクT1内の飲料水量が所定量に達すると導水路Rを閉塞して飲料水ボトル90からの飲料水の導入を禁止する。この結果、冷水タンクT1内は、飲料水が所定の水面高さで維持されることとなる。
【0018】
(冷水用電磁弁)
冷水用電磁弁61は、冷水タンクT1の下流に取り付けられた管63(流路)に設けられている。冷水用電磁弁61は、図3を参照しつつ後述する回転ダイヤル31aにより冷水表示部32aが選択されて給水決定ボタン31bが押下される動作がなされると、開状態となって管63を開放し、飲料水を出水する。これとは反対に、冷水用電磁弁61は、図3を参照しつつ後述する回転ダイヤル31aにより冷水表示部32aが選択されていても、給水決定ボタン31bが押下される動作がなされていないときには、閉状態となって管63を閉塞し、飲料水の出水を制限する。
【0019】
(温水タンク)
温水タンクT2は、直線状の配管を通じて冷水タンクT1の下方に接続されており、冷水タンクT1からの飲料水を導入するものである。この温水タンクT2にはヒータ(不図示)が設けられており、温水タンクT2内の飲料水はヒータによって加熱されて温水化される。なお、冷水タンクT1は、内部の飲料水について熱交換部(不図示)によって冷却され難い上層と、熱交換部(不図示)によって冷却される下層とに分ける板部材(不図示)を有し、温水タンクT2は、上層からの飲料水を導入することが好ましい。
【0020】
(温水用電磁弁)
温水用電磁弁62は、温水タンクT2の下流に取り付けられた管64(流路)に設けられている。温水用電磁弁62は、図3を参照しつつ後述する回転ダイヤル31aにより温水表示部32bが選択されてロック解除ボタン31c及び給水決定ボタン31bが押下される動作がなされると、開状態となって管64を開放し、飲料水を出水する。これとは反対に、温水用電磁弁62は、図3を参照しつつ後述する回転ダイヤル31aにより温水表示部32bが選択されていてもロック解除ボタン31c及び給水決定ボタン31bが押下される動作がなされていないときには、閉状態となって管64を閉塞し、飲料水の出水を制限する。
【0021】
(操作パネル)
図3は、操作パネル30の正面図である。操作パネル30は、操作部31と、表示部32と、表示・報知部33と、を備えている。
【0022】
(操作部)
操作部31は、ユーザからの操作を受け付けるものである。操作部31は、回転ダイヤル31aと、給水決定ボタン31b(出水ボタン)と、ロック解除ボタン31cと、を備えている。
【0023】
(回転ダイヤル)
回転ダイヤル31aは、円筒形状の操作部材であって、その中心軸を中心に回転可能に操作パネル30上に配置されている。この回転ダイヤル31aの周囲には、各機能の表示部32a~32gが周方向に沿って所定のピッチで配置されている。回転ダイヤル31aは、各表示部32a~32gのいずれか1つを選択するように回転操作を行うことができる。回転ダイヤル31aを回転操作し、複数の表示部32a~32gの中から1つの表示部32a~32gを選択することで、その表示部32a~32gに対応する機能を選択することができる。また、回転ダイヤル31aにより選択された表示部32a~32gは、光源が点灯し、他の表示部32a~32gは、光源が消灯する。
【0024】
(給水決定ボタン)
給水決定ボタン31bは、冷水タンクT1に導入された飲料水(冷水)を出水するために冷水用電磁弁61を開状態にするものであり、又は温水タンクT2に導入された飲料水(温水)を出水するために温水用電磁弁62を開状態にするものでもある。その他、給水決定ボタン31bは、表示部32に表示させるその他の機能を実行するためのものでもある。
【0025】
(ロック解除ボタン)
ロック解除ボタン31cは、温水タンクT2に導入された飲料水の出水を制限するロック状態を解除可能なものである。このロック状態は、例えば、回転ダイヤル31aにより温水表示部32bが選択されているときに給水決定ボタン31bの操作ができない状態としても良い。
【0026】
なお、ウォーターサーバ1を最後に使用した後所定時間を経過すると、回転ダイヤル31aにより温水表示部32bを選択したときの給水決定ボタン31bがロック状態になる。ユーザは、回転ダイヤル31aにより温水表示部32bを選択してロック解除ボタン31cを押下することにより給水決定ボタン31bをロック解除状態にし、給水決定ボタン31bを押下することにより温水用電磁弁62を開状態にして温水を給水する。
【0027】
(表示部)
表示部32は、ウォーターサーバ1が備える複数の機能を表示するとともに、この複数の機能の中で現在選択されている機能を表示するものである。本実施形態において、ウォーターサーバ1は、冷水機能、温水機能、常温水機能、省エネ機能、UV殺菌機能、加熱機能及び水分補給警報機能を含む7つの機能を備えている。表示部32は、これらの7つの機能と対応して、冷水表示部32a、温水表示部32b、常温水表示部32c、省エネ表示部32d、UV殺菌表示部32e、加熱表示部32f及び水分補給表示部32gを備えている。個々の表示部32a~32gは、操作パネル30上に描画されたアイコンと、操作パネル30の裏面に配置されて、当該操作パネル30を透過照明する光源(図示せず)とで構成されている。
【0028】
(表示・報知部)
表示・報知部33は、飲料水ボトル90の状態、指示内容、その他の内容を、ユーザに知らせるためのものである。表示・報知部33は、ボトル交換ランプ33a(点灯部)と、スピーカ33b(音声部)と、を有する。
ボトル交換ランプ33aは、光を発する光源である。ボトル交換ランプ33aには、例えばLEDが用いられる。ボトル交換ランプ33aの横には、ボトル交換の文字が記載されている。ボトル交換ランプ33aが点灯することにより、飲料水ボトル90の残量が少なくなって交換すべきことが表示されてユーザに知らされる。
スピーカ33bは、音声を発するものである。スピーカ33bが音声を発生することにより、指示内容、その他の内容がユーザに報知される。なお、スピーカ33bが音声により飲料水ボトルの状態もユーザに報知するように構成しても良い。
【0029】
例えば回転ダイヤル31aにより冷水表示部32aが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、冷水を供給する冷水機能が実行される。これにより、供給ノズル20から冷水が供給される。温水表示部32b又は常温水表示部32cが選択されているときも同様で、給水決定ボタン31bが操作されると、温水を供給する温水機能又は常温水を供給する常温水機能が実行される。これにより、供給ノズル20から温水又は常温水が供給される。
【0030】
また、省エネ表示部32dが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、省エネ機能が実行される。省エネ機能は、ウォーターサーバ1を省エネモードで運転させる機能である。
【0031】
UV殺菌表示部32eが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、UV殺菌機能が実行される。UV殺菌機能は、冷水タンクT1をUV殺菌させる機能である。UV殺菌機能が実行されると、冷水タンクT1内の冷水を殺菌するためのUV-LED(紫外線LED)ライトを点灯させる処理が実施され、これにより冷水タンクT1の殺菌が行われる。
【0032】
加熱表示部32fが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、加熱機能が実行される。加熱機能は、温水タンクT2内の温水の加熱を行う機能である。加熱が実行されると、例えば通常は80℃程度の温水タンクT2内の温水を90℃以上に昇温させる処理が実施される。
【0033】
水分補給表示部32gが選択されているときに給水決定ボタン31bが操作されると、警報機能が実行される。
【0034】
(CPU)
図4は、ウォーターサーバ1の制御構成を示すブロック図である。ウォーターサーバ1は、CPU70(制御部)と、通信部80と、以下前述した、操作パネル30と、冷水用電磁弁61と、温水用電磁弁62と、ボトル交換ランプ33aと、スピーカ33bと、を有する。CPU70は、弁制御部71と、残量算出部72と、残量初期値リセット部73と、警報制御部74と、を有する。
【0035】
(弁制御部)
CPU70の弁制御部71はコネクタ91に接続されており、冷水用電磁弁61及び温水用電磁弁62はコネクタ92に接続されている。コネクタ91の冷水用接続部91aとコネクタ92の冷水用接続部92aとが接続され、弁制御部71は、冷水の給水指示を冷水用接続部91a,92aを通じて冷水用電磁弁61に送信する。コネクタ91の温水用接続部91bとコネクタ92の温水用接続部92bとが接続され、弁制御部71は、温水の給水指示を温水用接続部91b,92bを通じて温水用電磁弁62に送信する。
【0036】
(残量算出部)
また、CPU70の残量算出部72は、飲料水ボトル90の初期の容量から、冷水タンクT1の単位時間当たりの冷水用電磁弁61の出水量と冷水用電磁弁61の出水時間とを掛け合わせた量を減算し、更に温水タンクT2の単位時間当たりの温水用電磁弁62の出水量と温水用電磁弁62の出水時間とを掛け合わせた量を減算し、飲料水ボトル90の飲料水の残量を算出する。
【0037】
例えば、飲料水ボトル90の残量をA[L]、飲料水ボトル90の初期の容量をB[L]、冷水用電磁弁61による飲料水の単位時間当たりの出水量をC1[L/s]、冷水用電磁弁61による飲料水の出水時間をD1[s]、温水用電磁弁62による飲料水の単位時間当たりの出水量をC2[L/s]、温水用電磁弁62による飲料水の出水時間をD2[s]とする。この場合に、CPU70の残量算出部72は、A=B-C1×D1-C2×D2の関係式に基づいて、飲料水ボトル90の飲料水の残量を算出する。
冷水用電磁弁61のC1[L/s]や温水用電磁弁62のC2[L/s]は、予め定まっている。また、CPU70の残量算出部72はタイマー72aを有し、タイマー72aが飲料水の出水時間を計測している。なお、Lはリットルである。
【0038】
(残量初期値リセット部)
また、CPU70の残量初期値リセット部73は、ユーザがロック解除ボタン31cを所定時間以上押下して、その押下信号を受信すると、飲料水ボトル90を新しいものに交換したことを認識し、飲料水ボトル90の残量を初期値にリセットする。これにより飲料水の減少を再び認識できるようになる。なお、このようにユーザが飲料水ボトル90を交換するときにロック解除ボタン31cを押下する所定時間(例えば5秒)は、ユーザが温水を飲むときにロック解除ボタン31cを押下する時間(例えば3秒)よりも長く設定されている。
【0039】
(警報制御部)
また、CPU70の警報制御部74は、飲料水ボトル90の残量が所定量未満であると判断した場合に、飲料水ボトル90が空に近いことをユーザに警報するために、ボトル交換ランプ33a及びスピーカ33bの駆動を制御する。これにより、飲料水ボトル90の水切れが起こる前に、ユーザに飲料水ボトル90の購入及び交換を促すことができる。
【0040】
また、CPU70は、飲料水ボトル90の残量が所定量未満であると判断した場合に、通信部80が新たな飲料水ボトル90を発注するように制御する。これにより、通信部80が自動的に新たな飲料水ボトル90を発注するので、ユーザが発注する手間が省略可能になる。
【0041】
(通信部)
通信部80は、外部と通信するものであり、ここでいう外部には例えば飲料水ボトル90の受注センター95等が該当する。
【0042】
次に、本実施形態に係るウォーターサーバ1の制御について説明する。まず、CPU70(残量初期値リセット部73)は、ウォーターサーバ1に対する新しい飲料水ボトル90の取り付け後にロック解除ボタン31cの所定時間(例えば5秒)以上の押下による押下信号を受信する。そうすると、CPU70(残量初期値リセット部73)は、飲料水ボトル90が新しいものに交換されたと認識し、飲料水ボトル90の残量をリセットする。
【0043】
それから、CPU70(弁制御部71)は、ユーザによる温水の給水のためのロック解除ボタン31cの押下信号を受信する。そうすると、CPU70は、温水の出水を制限するロック状態を解除する。そして、CPU70(弁制御部71)は、ユーザの回転ダイヤル31aの操作による温水表示部32bの選択と、ユーザによる給水決定ボタン31bの押下により、温水用電磁弁62を開状態にし、温水を供給ノズル20から出水する。CPU70(残量算出部72)は、A=B-C2*D2の関係式に基づいて、飲料水ボトル90の残量を算出する。
【0044】
その後、CPU70(弁制御部71)は、ユーザによって回転ダイヤル31aにより冷水表示部32aが選択されて給水決定ボタン31bが押下されると、冷水用電磁弁61を開状態にし、冷水を供給ノズル20から出水する。CPU70(残量算出部72)は、A=B-C2×D2-C1×D1の関係式に基づいて、飲料水ボトル90の残量を算出する。CPU70(警報制御部74)は、前述の飲料水ボトル90の残量であるAが所定の量未満であると判断した場合には、ボトル交換ランプ33aの光及びスピーカ33bの音によりユーザに警報する。
【0045】
前述したように、本実施形態に係るウォーターサーバ1は、飲料水を貯留する飲料水ボトル90から導入した飲料水を保持する冷水タンクT1及び温水タンクT2と、冷水タンクT1及び温水タンクT2の各々に設けられ、開状態のときに飲料水を出水すると共に閉状態のときに飲料水の出水を制限する冷水用電磁弁61及び温水用電磁弁62と、飲料水ボトル90の初期の容量から、冷水タンクT1の単位時間当たりの出水量と冷水用電磁弁61の出水時間とを掛け合わせた量を減算し、温水タンクT2の単位時間当たりの出水量と温水用電磁弁62の出水時間とを掛け合わせた量を減算し、飲料水ボトル90の飲料水の残量を算出するCPU70と、を備える。
【0046】
こうした構成によれば、CPU70は、冷水タンクT1において単位時間当たりの冷水用電磁弁61の出水量と冷水用電磁弁61の出水時間とを掛け合わせた量、及び温水タンクT2において単位時間当たりの温水用電磁弁62の出水量と温水用電磁弁62の出水時間とを掛け合わせた量を算出し、飲料水ボトル90の初期の容量から減算して飲料水ボトル90の飲料水の残量を算出する。そのため、飲料水ボトル90の飲料水の残量は、飲料水ボトル90の重量の情報を取得しなくても、冷水用電磁弁61及び温水用電磁弁62を通過する飲料水の出水時間から導出することができる。その結果、飲料水ボトル90の重量計測手段を有さずとも、飲料水ボトル90の飲料水の残量を算出することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るウォーターサーバ1は、冷水タンクT1及び温水タンクT2に導入された飲料水を出水するための給水決定ボタン31bをロック解除可能なロック解除ボタン31cを備え、CPU70(残量初期値リセット部73)は、ロック解除ボタン31cの所定時間以上の押下による押下信号を受信すると、飲料水ボトル90の残量を初期値にリセットする。
【0048】
こうした構成によれば、ロック解除ボタン31cの所定時間以上の押下による押下信号を、飲料水ボトル90が新しいものに交換されたときの信号として設定した場合に、CPU70(残量初期値リセット部73)は、古い飲料水ボトル90が取り外された後に別の新しい飲料水ボトル90が取り付けられたことを、ロック解除ボタン31cの所定時間以上の押下により認識する。そのため、例えば飲料水ボトル90にICチップを取り付けて、CPU70がそのICチップの検知信号のオフからオンへの切り替わりを認識して飲料水ボトル90の交換を認識するという構成にする必要がなくなる。その結果、ロック解除ボタン31cといった既存の構成を利用して飲料水ボトル90の交換を認識することができる。ひいては、他の機器の取り付けによるコストの上昇を抑制することができる。
【0049】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0050】
本実施形態では、CPU70は、ロック解除ボタン31cの所定時間以上の押下による押下信号を受信すると、飲料水ボトル90の残量を初期値にリセットするが、これに限定されなくても良い。例えば、CPU70(残量初期値リセット部73)は、ロック解除ボタン31cが押下された押下信号及び給水決定ボタン31bが押下された押下信号を略同時に受信すると、飲料水ボトル90の残量を初期値にリセットするように構成されていても良い。
【0051】
こうした構成によれば、略同時に受信したロック解除ボタン31cの押下信号及び給水決定ボタン31bの押下信号を、飲料水ボトル90が新しいものに交換されたときの信号として設定した場合に、CPU70(残量初期値リセット部73)は、古い飲料水ボトル90が取り外された後に新しい飲料水ボトル90が取り付けられたことを、ロック解除ボタン31c及び給水決定ボタン31bの同時押下により認識する。そのため、例えば飲料水ボトル90にICチップを取り付けて、CPU70がそのICチップの検知信号がオフからオンへの切り替わりを認識して飲料水ボトル90の交換を認識するという構成にする必要がなくなる。その結果、ロック解除ボタン31c及び給水決定ボタン31bといった既存の構成を利用して飲料水ボトル90の交換を認識することができる。ひいては、他の機器の取り付けによるコストの上昇を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、CPU70(残量初期値リセット部73)は、ロック解除ボタン31cが所定時間以上押下された押下信号を受信すると、飲料水ボトル90の残量を初期値にリセットするに留まっていたが、これに限定されなくても良い。例えば、CPU70(警報制御部74)は、ロック解除ボタン31cが所定時間以上押下された押下信号を受信した場合、又はロック解除ボタン31cが押下された押下信号及び給水決定ボタン31bが押下された押下信号を略同時に受信した場合に、飲料水ボトル90の残量を初期値にリセットし、給水決定ボタン31bを押下することを促す音声(例えば、「ボトルを交換しましたか?ボトルを交換した場合には、給水決定ボタン31bを押してください」等)を発生させるようにスピーカ33bを駆動させても良い。こうした構成によれば、CPU70は、押下信号を受信した後に、ユーザに給水決定ボタン31bを再び押下することを指示することにより、ユーザに確認作業をさせる。その結果、CPU(警報制御部74)は、飲料水ボトル90の交換が成功したことを正確に認識することができる。
【0053】
また、上記実施形態では飲料水タンクとして冷水タンクT1及び温水タンクT2を有する構成であったが、これに限定されなくても良い。例えば、飲料水ボトル90から飲料水が導入されるタンクが1つの構成であっても良い。あるいは、飲料水ボトル90から飲料水が導入されるタンクが3つ以上の構成であっても良い。そのため、飲料水ボトル90から飲料水が導入されるタンクが1又は複数あるということになる。
【符号の説明】
【0054】
1 :ウォーターサーバ
10 :筐体
11 :凹部
20 :供給ノズル
30 :操作パネル
31 :操作部
31a :回転ダイヤル
31b :給水決定ボタン(出水ボタン)
31c :ロック解除ボタン
32 :表示部
32a :冷水表示部
32b :温水表示部
32c :常温水表示部
32d :省エネ表示部
32e :UV殺菌表示部
32f :加熱表示部
32g :水分補給表示部
33 :表示・報知部
33a :ボトル交換ランプ(点灯部)
33b :スピーカ(音声部)
40 :容器載置部
41 :トップカバー
61 :冷水用電磁弁(弁)
62 :温水用電磁弁(弁)
63,64 :管(流路)
70 :CPU(制御部)
71 :弁制御部
72 :残量算出部
72a :タイマー
73 :残量初期値リセット部
74 :警報制御部
80 :通信部
90 :飲料水ボトル
91,92 :コネクタ
91a,92a :冷水用接続部
91b,92b :温水用接続部
95 :受注センター
F :フロート弁
R :導水路
T1 :冷水タンク(飲料水タンク)
T2 :温水タンク(飲料水タンク)
図1
図2
図3
図4