(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ストロー一体型飲料容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/02 20060101AFI20240321BHJP
A47G 19/00 20060101ALI20240321BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20240321BHJP
A47G 19/22 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B65D25/02 A
A47G19/00 M
B65D21/02 410
A47G19/22 M
(21)【出願番号】P 2020138209
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000157887
【氏名又は名称】KISCO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昇一
(72)【発明者】
【氏名】大石 哲史
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03921889(US,A)
【文献】実開平03-023038(JP,U)
【文献】米国特許第06155478(US,A)
【文献】登録実用新案第3005719(JP,U)
【文献】特開2016-199325(JP,A)
【文献】特開2021-054522(JP,A)
【文献】国際公開第86/004314(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/009564(WO,A1)
【文献】実公昭39-036827(JP,Y1)
【文献】特表2007-532418(JP,A)
【文献】登録実用新案第3225646(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/02
A47G 19/00
B65D 21/02
A47G 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容体の内側面に上下方向に伸びるストロー機能部が一体に設けられ、前記ストロー機能部の下端開口部が、前記容体の内底面から離隔した位置において開口して
おり、
前記容体の上面縁部は正面から背面に向かって上り傾斜していて、前記ストロー機能部は、前記上面縁部の頂点部における前記容体の内側面に配置され、
前記容体は、その上面に対する前記容体の正面側稜線のなす角度が、前記上面に対する前記容体の背面側稜線のなす角度よりも小さくなるように、あるいは、大きくなるように成形されることを特徴とするストロー一体型飲料容器。
【請求項2】
前記ストロー機能部は前記容体に一体成形される、請求項1に記載のストロー一体型飲料容器。
【請求項3】
前記ストロー機能部は前記容体と別成形され、後に前記容体の内側面に固定される、請求項1に記載のストロー一体型飲料容器。
【請求項4】
前記ストロー機能部の上端開口部は前記容体の上面縁部に一致している、請求項1乃至3のいずれかに記載のストロー一体型飲料容器。
【請求項5】
前記ストロー機能部の上端開口部は前記容体の上面縁部から上方に突出している、請求項1乃至3のいずれかに記載のストロー一体型飲料容器。
【請求項6】
前記上面縁部は平坦なフランジであってトップシールの貼着が可能である、請求項1乃至
5のいずれかに記載のストロー一体型飲料容器。
【請求項7】
前記容体はスタッキング可能である、請求項1乃至
6のいずれかに記載のストロー一体型飲料容器。
【請求項8】
前記容体の内周面下部及び/又は前記ストロー機能部の下部に、スタッキングされる別の飲料容器の底部を受ける段部が突設される、請求項
7に記載のストロー一体型飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロー一体型飲料容器に関するものであり、より詳細には、環境への負荷低減の観点から、別途ストローを用いることなく、ストローの利便性をそのまま取り込んだ、ストロー一体型飲料容器に関するものである。ここにいう飲料は、ストローで吸引可能な流動物を含む。
【背景技術】
【0002】
近時、人の出すごみ、特にプラスチックごみによる海洋汚染の問題が取り沙汰され、各分野において種々の対策が講じられている。飲食品業界や外食産業界においては、飲料容器に付随するプラチック製ストローが問題にされ、これを廃止する動きもでてきている。その対策の一つとして、蓋を工夫し、ストローなしでも飲める容器の提案があり、また、プラチック製ストローの代替品として、紙やステンレス等の素材のストローの開発も進んでいる。
【0003】
プラスチック製の飲料容器についてもプラスチックごみとしての問題が起こるが、飲料容器の場合は分別回収が進んでいて、リサイクルに供されているが、ストローの場合は、それ自体小さいためにリサイクルしにくく、分別回収されずに捨てられており、また、収まりが悪いためにごみ収集袋の嵩張りや散乱の原因となるおそれもある。
【0004】
なお、従来、容器内にストローを内装し、開栓に伴ってストローの先端部を突出させるようにしたストロー付き容器の提案が種々なされているが(例えば、特開平2-269655号公報、特開2004-238077号公報、特開2016-150748号公報)、これらは上記プラスチック製ストローの持つ問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-269655号公報
【文献】特開2004-238077号公報
【文献】特開2016-150748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
言うまでもなくストローは、特に子供や高齢者が飲料を適量ずつ吸引するのに有用であり、また、車内で容器を傾けずに飲むことができるといった利便性もあるので、なくすことは避けたいところであるが、上記のとおり、プラスチック製ストローの場合はプラスチックゴミの増加や散乱の原因となるおそれがあるため、その対応が求められている。また、ストローは、雑菌の付いた指先で摘持することが多いため、近時の感染症対策の面からして、できるだけ触れないようにすることが望まれる。
【0007】
本発明はかかる要請に応えるためになされたもので、ストローの利便性を保持し、ストロー機能部を飲料容器と一体化することで、リサイクルに供することが可能となり、しかも、ストロー機能部に指先を触れることなく使用可能で衛生的なストロー一体型飲料容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、容体の内側面に上下方向に伸びるストロー機能部が一体に設けられ、前記ストロー機能部の下端開口部が、前記容体の内底面から離隔した位置において開口しており、
前記容体の上面縁部は正面から背面に向かって上り傾斜していて、前記ストロー機能部は、前記上面縁部の頂点部における前記容体の内側面に配置され、
前記容体は、その上面に対する前記容体の正面側稜線のなす角度が、前記上面に対する前記容体の背面側稜線のなす角度よりも小さくなるように、あるいは、大きくなるように成形されることを特徴とするストロー一体型飲料容器である。
【0009】
一実施形態においては、前記ストロー機能部は前記容体に一体成形され、他の実施形態においては、前記ストロー機能部は前記容体と別成形され、後に前記容体の内側面に固定される。
【0010】
一実施形態においては、前記ストロー機能部の上端開口部は前記容体の上面縁部に一致しており、他の実施形態においては、前記ストロー機能部の上端開口部は前記容体の上面縁部から上方に突出している。
【0011】
一実施形態においては、前記上面縁部は平坦なフランジであってトップシールの貼着が可能である。
【0013】
一実施形態においては、前記容体はスタッキング可能である。そして、前記容体の内周面下部及び/又は前記ストロー機能部の下部に、スタッキングされる別の飲料容器の底部を受ける段部が突設される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記のとおりであって、上下方向に伸びるストロー機能部が容体の内側面に一体に設けられているので、ストローの利便性が保持され、また、ストロー機能部を容体と一体化させることで、両者一体にリサイクルに供することが可能となるので、環境への負荷低減に寄与し得る効果があり、更に、指先をストロー機能部に触れることなく使用可能であるので、衛生的という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るストロー一体型飲料容器の外観例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るストロー一体型飲料容器の外観例を示す正面図である。
【
図4】本発明に係るストロー一体型飲料容器の外観例を示す平面図及び底面図である。
【
図5】本発明に係るストロー一体型飲料容器のスタッキング状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明に係るストロー一体型飲料容器は、陶磁器製、ステンレス製、プラスチック製、あるいは、紙製で、反復使用可能なものとすることもできるが、主に、使い捨て用途のプラスチック製飲料容器として好適なものである。その場合、コーヒーショップ等において飲料を提供するための使い捨て容器として利用することができ、また、スーパーやコンビニエンスストア等における飲料や流動物等の販売用トップシール容器として利用することができる。
【0017】
本発明に係るストロー一体型飲料容器は、容体1の内側面に上下方向に伸びるストロー機能部5が一体に設けられたものである。通例、ストロー機能部5は容体1と一体成形されるが、両者を別成形し、後にストロー機能部5を容体1の内側面に接着、溶着等により固定することとしてもよい。
【0018】
ストロー機能部5の上端開口部6は容体1の外側に延出する上面縁部に一致させ(面一にし)、あるいは、少し突出させ、その下端開口部7は、容体1の内底面3から少し離隔した位置において開口させる(
図2,3参照)。トップシール飲料容器とする場合は、上面縁部を平坦なフランジ2にし、ストロー機能部5の上端開口部6をフランジ2の平坦面に対して面一となるようにする。また、その上端開口部6を突出させる場合は、その突出部に対応する凸部を設けたキャップを被着する。
【0019】
通例、容体1は断面円形状又は楕円形状とされるが、多角形その他の異形形状であってもよい。いずれの場合も容体1は、スタッキング可能にするために、円錐形状、角錐形状等のテーパ形状にすることが好ましい。
【0020】
図示した例における容体1は、その横断面が、正面側半分と背面側半分とで異なっている。即ち、正面側半分は、その上端がほぼ半円形であって、下方に行くに従い内に絞られ、且つ、背面側に向かうに従い深く絞られた形状であるのに対し、背面側半分は、その上端が、ストロー機能部5を頂点とするおむすび型形状であって、下方に行くに従い正面側半分よりも深く絞られた形状となっている(
図4参照)。また、ストロー機能部5の背面側は、ほぼ平坦面にされている(
図4(A)参照)。その結果、容体1の上面に対する正面側稜線のなす角度が、上面に対する背面側稜線のなす角度よりも小さくなっている(
図5参照)。逆に、容体1の上面に対する正面側稜線のなす角度の方が、上面に対する背面側稜線のなす角度よりも大きくなるように設定されることもあり、また、両角度が同じになるように設定されることもある。いずれにしても、容体1がこのような異形に形成されているため、安定したスタッキング状態が得られる(
図5参照)。
【0021】
また、上面縁部(フランジ2)は、正面側が低く背面側が高い傾斜面にされ、ストロー機能部5は、上面縁部(フランジ2)の頂点部(背面側)の内側面に配置される。容体1はインモールド成形が可能で、その場合、正面ラベル12を含む加飾フィルムを用い、
図1に示されるように、正面ラベル12が正面にくるように成形することで、正面を明確にすることができる。特に、トップシール容器とする場合は、フランジ2に定着されるトップシール11が、正面側が下がった傾斜面となることで、陳列時に正面向きにすることが容易となり、また、陳列時における商品の視認性が向上するので(
図1参照)、購入者は、即座に間違いなく所望の商品を識別することができる。トップシール11には、剥離を容易にするための摘み11aが延設される。通例、摘み11aは、トップシール11の頂点部に設けられる。
【0022】
上述したように、容体1をテーパ形状にすることによりスタッキングが可能となるが、好ましくはその場合、容体1の内周面下部及び/又はストロー機能部5の下部に、スタッキングされる別の飲料容器の底部を受け止める段部8,9が突設される。容体1の内周面下部に形成される段部8は、内周面に沿った湾曲形状となる(
図4(A)参照)。
【0023】
本発明に係るストロー一体型飲料容器の場合、例えば、食品工場等において飲料を充填するに当たっては、容体1のフランジ2をバケットの円形開口の縁に引っ掛けて搬送するが、フランジ2が傾斜面であってもバケットで受けることができるので(容体1は傾く)、この従来一般的に採用されている方法を用いることに、何ら問題はない。
【0024】
本発明に係るトップシール飲料容器の場合、飲食に際しては、通例、フランジ2の頂点部に配設されるトップシール11の摘み11aを剥取すると(全体を剥取する必要はない)、ストロー機能部5の上端開口部6が露出するので、そこに口を当てて吸い込むことで、容体1を傾けることなく、また、ストロー機能部5に手指を触れることなく、容体1内の飲料を吸い上げることができる。フランジ2が傾斜面となっている場合は,上端開口部6が若干突き出ることになるので、口を当てやすくなり、通常のストロー吸引と同じ感覚で、格別の違和感なく飲料の吸引が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は上記のとおりであって、上下方向に伸びるストロー機能部5が容体1の内側面に一体に設けられているので、ストロー機能部5で以てストローの利便性を確保でき、また、ストロー機能部5を容体1と一体に成形することで、ストロー機能部5を容体1と一体にリサイクルに供することが可能となるので、環境への負荷低減に寄与でき、更に、ストロー機能部5に手指を触れることなく、容体1内の飲料を吸い上げることができるので衛生的である、といった諸効果があるものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0026】
1 容体
2 フランジ
3 内底面
5 ストロー機能部
6 上端開口部
7 下端開口部
8,9 段部
11 トップシール
11a 摘み
12 ラベル