(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240321BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240321BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H05K13/02 C
H05K13/04 A
H05K13/08 A
(21)【出願番号】P 2020152841
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠節
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-191133(JP,A)
【文献】特開昭63-228700(JP,A)
【文献】特開2017-157762(JP,A)
【文献】特開2015-230912(JP,A)
【文献】特開2008-306046(JP,A)
【文献】特開2008-159623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品搭載装置であって、
電子部品を収容するポケットを一定間隔おきに有する部品供給テープを用いて部品供給位置に電子部品を供給する部品供給装置と、
前記部品供給位置において前記部品供給テープのポケットから電子部品を取り出して、基板上に搭載する搭載ヘッドと、
制御装置と、を含み、
前記部品供給装置は、前記部品供給位置においてポケットを停止することなく、前記部品供給テープを連続的に送り、
前記制御装置は、停止することなく連続的に送られる部品供給テープのポケットが前記部品供給位置を通過する時に、前記ポケットから、前記搭載ヘッドを用いて電子部品を取り出して、基板上に搭載し
、
前記部品搭載装置は、前記搭載ヘッドにより取り出した電子部品を撮影するカメラを更に備え、
前記制御装置は、
前記カメラにより撮影した電子部品の画像から、前記搭載ヘッドに対する前記電子部品の位置のずれ量を検出し、
検出した位置のずれ量に基づいて、前記搭載ヘッドの制御パターンである移動特性を補正する、部品搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品搭載装置であって、
前記制御装置は、前記部品供給位置において、停止することなく連続的に移動する前記搭載ヘッドを用いて、前記部品供給テープのポケットから電子部品を取り出す、部品搭載装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の部品搭載装置であって、
前記制御装置は、前記部品供給位置において、前記搭載ヘッドの移動速度を、部品供給テープの移動速度と同じ速度に制御する、部品搭載装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の部品搭載装置であって、
前記部品供給装置は、前記部品供給テープを定速で送り、
前記制御装置は、前記部品供給位置を定速で通過するポケットから電子部品が取り出せるように、前記搭載ヘッドを制御する、部品搭載装置。
【請求項5】
請求項1~
請求項4のいずれか一項に記載の部品搭載装置であって、
前記搭載ヘッドを周方向に等間隔で配置したロータリー型のヘッドユニットを備える、部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、部品供給装置のポケットから電子部品を取り出す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に搭載する電子部品の供給装置として、電子部品を、部品供給テープを用いて供給するテープフィーダ(例えば、下記特許文献1)。この文献では、電子部品を収容したポケットが部品供給位置に到達すると、部品供給テープの送りを一旦停止して、電子部品の取り出しを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品供給位置で部品供給テープの送りを停止する場合、部品供給テープの加減速により、ポケット内において電子部品が動き、姿勢が安定しないことが懸念される。電子部品の姿勢が不安定だと、ポケットから電子部品を取り出した時に、ヘッドによる電子部品の吸着姿勢が安定しない(特に傾きが問題と考えられる)ことから、基板に対する電子部品の搭載精度の低下を招く恐れがある。
【0005】
本明細書で開示される技術は、ポケット内における電子部品の姿勢を安定させることで、基板に対する電子部品の搭載精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
部品搭載装置であって、電子部品を収容するポケットを一定間隔おきに有する部品供給テープを用いて部品供給位置に電子部品を供給する部品供給装置と、前記部品供給位置において前記部品供給テープのポケットから電子部品を取り出して、基板上に搭載する搭載ヘッドと、制御装置と、を含み、前記部品供給装置は、前記部品供給位置においてポケットを停止することなく、前記部品供給テープを連続的に送り、前記制御装置は、停止することなく連続的に送られる部品供給テープのポケットが前記部品供給位置を通過する時に、前記ポケットから、前記搭載ヘッドを用いて電子部品を取り出して、基板上に搭載する。
【0007】
この構成では、部品供給装置は、部品供給位置においてポケットを停止させずに、部品供給テープを連続的に送るため、ポケット内における電子部品の姿勢が安定し易い。そのため、ポケットから電子部品を取り出した時に、ヘッドによる電子部品の吸着姿勢を安定させることが可能であり、基板に対する電子部品の実装精度の低下を抑制できる。
【0008】
本明細書で開示される部品搭載装置の一実施態様として以下の構成でもよい。
前記制御装置は、前記部品供給位置において、停止することなく連続的に移動する前記搭載ヘッドを用いて、前記部品供給テープのポケットから電子部品を取り出してもよい。この構成では、停止した搭載ヘッドで電子部品を取り出す場合に比べて、搭載ヘッドと部品供給テープの相対速度を小さくすることができるので、搭載ヘッドによる電子部品の取り出しが、安定し易い。
【0009】
本明細書で開示される部品搭載装置の一実施態様として以下の構成でもよい。
前記制御装置は、前記部品供給位置において、前記搭載ヘッドの移動速度を、部品供給テープの移動速度と同じ速度に制御してもよい。この構成では、部品供給位置において、搭載ヘッドと部品供給テープの相対速度をほぼゼロにできるので、搭載ヘッドによる電子部品の取り出しが、安定し易い。
【0010】
本明細書で開示される部品搭載装置の一実施態様として以下の構成でもよい。
前記部品供給装置は、前記部品供給テープを定速で送り、前記制御装置は、前記部品供給位置を定速で通過するポケットから電子部品が取り出せるように、前記搭載ヘッドを制御してもよい。この構成では、部品供給テープを定速で送るため、加減速がなく、ポケット内において、電子部品の姿勢が安定し易い。
【0011】
本明細書で開示される部品搭載装置の一実施態様として以下の構成でもよい。
前記搭載ヘッドにより取り出した電子部品を撮影するカメラを備え、前記制御装置は、前記カメラにより撮影した電子部品の画像から、前記搭載ヘッドに対する前記電子部品の位置のずれ量を検出し、検出した位置のずれ量に基づいて、前記搭載ヘッドの制御パターンである移動特性を補正してもよい。搭載ヘッドに対する電子部品の位置のずれを抑えることが出来るので、基板に対する部品の実装精度を向上させることが出来る。
【0012】
本明細書で開示される部品搭載装置の一実施態様として以下の構成でもよい。
前記搭載ヘッドを周方向に等間隔で配置したロータリー型のヘッドユニットを備えてもよい。この構成では、周方向に配置された搭載ヘッドによる電子部品の連続的な取り出しが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示される技術によれば、ポケット内における電子部品の姿勢を安定させることで、基板に対する電子部品の実装精度を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に適用された部品搭載装置の平面図
【
図9】カメラユニットにより撮影した電子部品の画像
【
図13】部品搭載装置の電気的構成を示すブロック図
【
図19】部品取出時におけるヘッドユニットとテープフィーダの位置関係を示す図
【
図21】テープフィーダ、N軸、Z軸の移動特性を示すグラフ
【
図22】搭載ヘッドによる電子部品の取り出し動作を示す図
【
図23】搭載ヘッドによる電子部品の取り出し動作を示す図
【
図24】搭載ヘッドによる電子部品の取り出し動作を示す図
【
図25】搭載ヘッドによる電子部品の取り出し動作を示す図
【
図26】ヘッドユニットによる電子部品の取出処理とテープフィーダによる電子部品の供給処理の手順を示すフローチャート図
【
図29】ヘッドユニットによる電子部品の取出処理とテープフィーダによる電子部品の供給処理の手順を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
1.部品搭載装置の全体構成
図1は部品搭載装置1の平面図である。部品搭載装置1は、基台10と、プリント基板Bを搬送するための搬送コンベア20と、ヘッドユニット50と、ヘッドユニット50を平面方向(XY軸方向)に移動させる駆動装置30と、部品供給部40等とを備えている。プリント基板は基板の一例である。
【0016】
基台10は、平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされる。また、基台10における搬送コンベア20の下方には、プリント基板B上に電子部品Eを実装する際にそのプリント基板Bをバックアップするバックアップ装置(図略)が設けられている。以下の説明では、プリント基板Bの搬送方向(
図1の左右方向)をX軸方向とし、基台10の短辺方向(
図1の上下方向)をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0017】
搬送コンベア20は、Y軸方向における基台10の略中央位置に配置され、プリント基板BをX軸方向に沿って搬送する。搬送コンベア20は、搬送方向であるX方向に循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えている。プリント基板Bは、搬送方向の一方側(
図1で示す右側)からコンベアベルト22に沿って基台10上の作業位置(
図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入される。そして、作業位置で停止して電子部品Eの実装作業がされた後、コンベアベルト22に沿って他方側(
図1で示す左側)に搬出される。
【0018】
部品供給部40は、搬送コンベア20の両側(
図1の上下両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらの部品供給部40には、複数のテープフィーダ210が横並び状に整列して取り付けられている。各テープフィーダ210は、複数の電子部品Eが収容された部品供給テープが巻回されたリール、及びリールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置を備えており、電子部品Eを一つずつ供給するようになっている。
【0019】
駆動装置30は、一対の支持フレーム32と、ヘッド駆動機構とから構成される。一対の支持フレーム32は、X軸方向における基台10の両側に位置しており、Y軸方向に延びている。支持フレーム32には、ヘッド駆動機構を構成するX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構が設けられている。ヘッドユニット50は、X軸サーボ機構及びY軸サーボ機構によって、基台10上の可動領域内でX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。
【0020】
Y軸サーボ機構は、一対のY軸ガイドレール33Yと、ヘッド支持体36と、Y軸ボールねじ34Yと、Y軸サーボモータ35Yとを有している。ヘッド支持体36は、一対のY軸ガイドレール33Yにより、Y軸方向にスライド可能に支持されている。また、ヘッド支持体36には、Y軸ボールねじ34Yと螺合するボールナット(図略)が固定されている。
【0021】
Y軸サーボモータ35Yが駆動すると、Y軸ボールねじ34Yに沿ってボールナットが進退し、その結果、ヘッド支持体36及び後述するヘッドユニット50がY軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
【0022】
X軸サーボ機構は、ヘッド支持体36に対して取り付けられたX軸ガイドレール(不図示)と、X軸ボールねじ34Xと、X軸サーボモータ35Xとを有している。X軸ガイドレールには、その軸方向に沿ってヘッドユニット50が移動自在に取り付けられている。また、ヘッドユニット50には、X軸ボールねじ34Xと螺合するボールナット(図略)が取り付けられている。
【0023】
X軸サーボモータ35Xが駆動すると、X軸ボールねじ34Xに沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット50が、ヘッド支持体36上をX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0024】
(ヘッドユニットの構成)
ヘッドユニット50は、テープフィーダ210によって供給される電子部品Eを吸着して、プリント基板B上に搭載する機能を果たす。ヘッドユニット50は、
図2~
図4に示すように、ユニット本体60と、ベースパネル52と、外環部材58と、カバー53、54とを有している。ベースパネル52は上下方向に長い形状をなす。外環部材58は、円環状であり、ベースパネル52に対して固定されている。ベースパネル52と外環部材58は、ユニット本体60を支持する機能を果たす。
【0025】
ユニット本体60は、ロータリー式であり、
図2~4、
図6に示すように、Z軸方向に沿った軸状をなす軸部62と、回転体64と、18本の搭載ヘッド100と、N軸駆動装置45と、を含む。
【0026】
図6に示すように、軸部62は二重構造となっており、外側軸部62Bと、外側軸部62Bの内側に位置する内側軸部62Aと、を含む。内側軸部62Aは、ベースパネル52に対して、当該軸部62Aの軸線周りに回転可能に支持されている。
【0027】
回転体64は、軸部62より大径な略円柱状をなす。回転体64は、内側軸部62Aの下部に固定されている。回転体64は、外環部材58の内周側に位置しており、外環部材58に対して相対回転可能な状態で支持されている。尚、
図4は、回転体64を図示するため、外環部材58は省略した図となっている。
【0028】
また、回転体64には、周方向に等間隔で貫通孔65が18個形成されている。各貫通孔65には、これを貫通して、後述する搭載ヘッド100が取り付けられている。
【0029】
軸部62の上部寄りの位置には、N軸被駆動ギヤ62Nと、R軸被駆動ギヤ62Rが上下に配置されている(
図4参照)。N軸被駆動ギヤ62Nは内側軸部62Aと結合し、R軸被駆動ギヤ62Rは、外側軸部62Bと結合している。
【0030】
N軸駆動装置45は、N軸サーボモータ35Nと、N軸サーボモータ35Nの出力軸に設けられたN軸駆動ギヤ(不図示)と、を有している。N軸駆動ギヤはN軸被駆動ギヤ62Nと噛み合わされている。そのため、N軸サーボモータ35Nを駆動すると、モータ35Nの動力が、N軸駆動ギヤ及びN軸被駆動ギヤ62Nを介して内側軸部62Aに伝わる。そのため、内側軸部62Aと共に回転体64が回転し、回転体64に支持された18本の搭載ヘッド100が回転体64と一体的に回転する構造になっている。つまり、N軸は、軸部62を中心に、回転体64を回転する駆動軸である(
図6参照)。
【0031】
また、外側軸部62Bは、軸方向の両端部を、ベアリングを介して内側軸部62Aと回転体64に対してそれぞれ軸受けしており、内側軸部62Aや回転体64に対して相対的に回転可能となっている。
【0032】
搭載ヘッド100は、
図7に示すように、シャフト本体110と、吸着ノズル120とを備えている。シャフト本体110は、Z軸方向に沿った軸状であり、筒状のシャフトホルダ57を介して、回転体64に形成された各貫通孔65に取り付けられている。
【0033】
吸着ノズル120は、シャフト本体110のうち回転体64から下方に突出する下端部に、連結部123を介して着脱可能に取り付けられている。
【0034】
吸着ノズル120には、負圧又は正圧が供給されるようになっている。各吸着ノズル120は、負圧によってその先端部に電子部品Eを吸着して保持するとともに、正圧によってその先端部に保持した電子部品Eを解放する。
【0035】
シャフト本体110の上部外周面には、コイルばね130が取り付けられている。コイルばね130は、シャフト本体110を上向きに付勢する機能を果たしている。
【0036】
次に、各搭載ヘッド100をその軸線L周りに回転駆動するためのR軸駆動装置70について説明する。
【0037】
R軸駆動装置70は、
図2、
図3に示すように、ヘッドユニット50のZ軸方向における略中央部に配置されており、R軸サーボモータ35Rと、R軸サーボモータ35Rの出力軸に設けられ、R軸被駆動ギヤ62Rと噛み合わされたR軸駆動ギヤ72Rと、共通ギヤ55を有している。
【0038】
共通ギヤ55は、
図5、
図7に示すように、外側軸部62Bの下部に設けられている。共通ギヤ55は、各シャフトホルダ57のギヤ57Rと噛み合わされている。R軸サーボモータ35Rを駆動すると、モータ35Rの動力が、R軸駆動ギヤ72R及びR軸被駆動ギヤ62Rを介して、外側軸部62B、共通ギヤ55に伝わり、外側軸部62Bと共通ギヤ55が回転する。
【0039】
共通ギヤ55が回転すると、ギヤ57Rとの噛み合いにより、各シャフトホルダ57が回転する。そして、各シャフトホルダ57と各シャフト本体110は、ボールスプライン結合していることから、共通ギヤ55の回転に伴って、18本の搭載ヘッド100がその軸線L周りにおいて同方向及び同角度に一斉に回転する。
【0040】
ヘッドユニット50は、各搭載ヘッド100を、回転体64に対してZ軸方向(上下方向)に昇降させるため、2つのZ軸駆動装置80を備えている。
【0041】
Z軸駆動装置80は、
図6に示すように、搭載ヘッド100の上方において、回転体64の軸部62を挟んでヘッドユニット50の左右両側(X軸方向両側)に対称配置されており、18本の搭載ヘッド100のうち
図6の左右両側(X軸方向両側)に位置する搭載ヘッド100を上下方向であるZ軸方向に昇降させる。
【0042】
Z軸駆動装置80は、Z軸リニアモータ35Zと、Z軸可動部84とを有している。Z軸リニアモータ35Zは、固定子(コイル)と、Z軸方向に移動可能な可動子(マグネット)を有している。Z軸可動部84は、可動子に固定されており、Z軸リニアモータ35Zの駆動により、Z軸方向(上下方向)に移動する。
【0043】
Z軸可動部84の下端部には、
図6に示すように、カムフォロア86が取り付けられている。Z軸リニアモータ35Zの駆動により、Z軸可動部84が
図6に示す初期位置から下降すると、カムフォロア86がシャフト本体110の上端部に当接し、搭載ヘッド100の全体がコイルばね130の弾性力に抗って「初期高さ」より下降する。
【0044】
また、カムカムフォロア86がシャフト本体110の上端部に当接した状態から、Z軸可動部84を上昇させると、コイルばね130の弾性力復帰力によって、搭載ヘッド100の全体が上昇する。
【0045】
尚、Z軸可動部84が
図6に示す初期位置にある状態では、カムフォロア86はシャフト本体110の上方にあって、シャフト本体110から離れて位置する。そのため、回転体64を回転した時に、各ノズルフャフト110とカムフォロア86が干渉しないようになっている。
【0046】
また、
図2、
図3、
図8に示すように、ヘッドユニット50は、カメラユニット150を有している。カメラユニット150は、カメラ本体151と、カメラフレーム160を有しており、回転体64を回転可能に支持する外環部材58に対して固定されている。
【0047】
カメラ本体151は、撮影対象を水平方向から撮影するサイドビューカメラである。
【0048】
カメラフレーム160は、センターフレーム160Aと、一対のサイドフレーム160B、160Cを有している。一対のサイドフレーム160B、160Cには入光窓165と、その両側に透過型の照明光源180を有している。
【0049】
また、回転体64の下部中央には拡散板190が取り付けられている。拡散板190は筒状であり、円周状に配置された吸着ノズル120の内側に位置する。
【0050】
一方のサイドフレーム160Bの光源180を点灯すると、その光は、拡散板190で拡散する。そして、拡散した光の一部が、吸着ノズル120に保持された電子部品Eを透過する。電子部品Eを透過した光は、反対側のサイドフレーム160Cの入光窓166から入射する。
【0051】
入光窓166から入光した光を、フレーム内に位置するミラー等の導光手段により、カメラ本体151に導くことで、吸着ノズル120に保持された電子部品Eの側面画像(サイドビュー画像)を撮影することが出来る(
図9参照)。
【0052】
2.部品供給テープ200と、テープフィーダ210の構成
部品供給テープ200は、
図10に示すように、キャリアテープ201と、これに貼着されるカバーテープ203とから構成されている。
【0053】
キャリアテープ201は、上方に開口した空洞状のポケット(部品収納部)202を一定間隔置きに有しており、各ポケット202にはチップ抵抗等の電子部品Eが収容されている。
【0054】
カバーテープ203は、撓み可能な薄いシート状であり、テープ幅方向の両側縁部を、キャリアテープ201の上面に貼着している。カバーテープ203は、ポケット202の上面をカバーして、ポケット202から電子部品Eが飛び出すのを抑制している。
【0055】
キャリアテープ201の一辺側には、縁部に沿って係合孔201Aが一定間隔で設けられている。
【0056】
テープフィーダ210は、部品供給テープ200を用いて電子部品Eを部品供給位置Sに供給する。テープフィーダ210は、
図11に示すように、駆動装置230と、テープガイド250と、引取装置280と、これらが取り付けられるフレーム211とを備える。テープフィーダ210は、本発明の「部品供給装置」に相当する。
【0057】
テープフィーダ210の説明に関し、部品供給位置Sが設けられた側(
図11の右側)を「前側」、部品供給位置Sの反対側(
図11の左側)を「後側」とする。
【0058】
部品供給テープ200は、テープフィーダ210の後方から前方(
図11の左側から右側)に送られることから、テープフィーダ210の後部側が部品供給テープ200の搬送方向の「上流側」であり、テープフィーダ210の前部側が、部品供給テープ200の搬送方向の「下流側」である。
【0059】
また、テープフィーダ210は、プリント基板の搬送方向であるX方向に対して直交する向きとなっているので、
図11に示すように、テープフィーダ210の前後方向はY方向と一致している。
【0060】
フレーム211は、前後方向であるY方向に長い形状であり、例えば、アルミダイキャスト製である。フレーム211には、部品供給テープ200を通すためのテープ通路213が設けられている。テープ通路213は、フレーム211の下部後端から前方に向けて延びている。その後、テープ通路213は、斜め上方に向かって延びており、フレーム211の上面に連続している。
【0061】
駆動装置230は、フレーム211の前部側に設けられている。駆動装置230は、モータ231、複数枚のギヤからなるギヤ列233、スプロケット235からなる。ギヤ列233は、モータ231の動力を伝達して、スプロケット235で回転させる。
【0062】
スプロケット235の外周には等間隔で歯235Aが形成されている。スプロケット235の歯235Aは、部品供給テープ200の係合孔201Aと係合しており、スプロケット235の回転により、部品供給テープ200のポケット202に収容された電子部品Eをテープフィーダ前部の部品供給位置Sに送出することが出来る。
【0063】
尚、本実施形態では、部品供給位置Sは、スプロケット235の概ね頂部に設定されている。
【0064】
テープガイド250は、前後に長い形状をなし、フレーム211の上面前部に設置されている。テープガイド250は、部品供給テープ200の両側をガイドするガイド壁を有し、フレーム上面を送られる部品供給テープ200の姿勢が斜かないようにしている。また、部品供給テープ200を上から押さえることによりテープの浮き抑制して、スプロケット235の歯235Aと部品供給テープ200の係止孔201Aとの係合を維持する機能を果たす。
【0065】
フレーム211は、テープガイド250の前端と後端に対応する位置に、前部ロック部271と後部ロック部273を設けている。テープガイド250は、これら2つのロック部271、273により前後をロックされることで、フレーム211に装着される構成となっている。
【0066】
図11に示すように、テープガイド250の上面壁には、スリット253と、部品取り出し孔255が前後に設けられている。
【0067】
部品取り出し孔255は部品供給位置Sにある。部品取り出し孔255の前方には、前後方向に長い長孔256が連続して設けられている。また、部品取り出し孔255の側方(
図12の上方)には、逃がし孔257が設けられている。逃がし孔257は、スプロケット235の外周に設けられた歯との干渉を避けるために設けられている。
【0068】
スリット253は、カバーテープ203の折り返し用である。スリット253は、部品供給位置Sの上流に位置しており、カバーテープ203は、スリット253の真下を通過する時点で、後方に折り返されて、引取装置280によりキャリアテープ201から引き剥がされる構造となっている。
【0069】
キャリアテープ201はカバーテープ203の剥離後、単体の状態で部品供給位置Sに送られる。そのため、部品供給位置Sにて、部品取り出し孔255を通じて、ポケット202から電子部品Eの取り出しが可能となる。
【0070】
また、フレーム211の中央下部には、駆動装置230を制御する制御部293を搭載した回路基板295が基板収容部290に収められて配置されている。基板収容部290の前端にはコネクタ290Aが設置されている。
【0071】
テープフィーダ210を部品供給部40に取り付けると、基板収容部290のコネクタ290Aが部品供給部40の相手側コネクタと電気的に接続される。
【0072】
コネクタの接続により、テープフィーダ210は、部品搭載装置1と電気的に接続される。これにより、テープフィーダ210は部品搭載装置1から電力供給を受けることが可能になると共に、部品搭載装置1のコントローラ300との間で各種の制御信号を通信することが出来る。
【0073】
次に、部品搭載装置1の電気的構成について、
図13を参照して説明する。部品搭載装置1の本体は、コントローラ300によってその全体が制御統括されている。コントローラ300は、CPU等により構成される演算制御部311を備えている。コントローラ300は、本発明の「制御装置」に相当する。
【0074】
演算制御部311には、モータ制御部312と、記憶部313と、画像処理部314と、入出力部315と、テープフィーダ通信部316、外部通信部317、表示部318と、操作部319と、がそれぞれ接続されている。
【0075】
モータ制御部312は、電子部品の搭載プログラムに従って、X軸サーボモータ35X、Y軸サーボモータ35Y、N軸サーボモータ35N、R軸サーボモータ35R、Z軸リニアモータ35Zを制御する。
【0076】
X軸サーボモータ35X、Y軸サーボモータ35Yには、それぞれエンコーダ38X、38Yが設けられている。演算制御部311は、エンコーダ38X、38Yの出力に基づいて、基台10上におけるヘッドユニット50の座標(位置)を認識することが出来る。
【0077】
N軸サーボモータ35N、Z軸サーボモータ35Zにも、エンコーダ38N、38Zがそれぞれ設けられている。演算制御部311は、エンコーダ38N、38Zの出力に基づいて回転体64の回転量、搭載ヘッド100の初期位置からの下降量を認識することが出来る。
【0078】
記憶部313は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部313には、電子部品Eの搭載プログラムと、電子部品Eの搭載に必要な各種データが記憶されている。
【0079】
画像処理部314には、カメラユニット150から出力される画像がそれぞれ取り込まれるようになっており、取り込まれた画像の解析が行われるようになっている。
【0080】
テープフィーダ通信部316は、部品供給部40に取り付けられた各テープフィーダ210と接続されている。各テープフィーダ210は駆動モータ231の回転数を検出するエンコーダ210Aが設けられている。エンコーダ210Aの出力信号から駆動モータ231の回転量、つまり部品供給テープ200のY方向の移動距離を検出することが出来る。
【0081】
表示部318は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、部品搭載装置1の状態等を表示画面上に表示する。操作部319はキーボード等であり、部品搭載装置1に対して各種設定や条件などを入力操作できる。
【0082】
3.電子部品Eの取り出し方法
図14~
図16は、搭載ヘッド100による電子部品Eの取り出し動作を示した斜視図である。
図14は取り出し前、
図15は取り出し中、
図16は取り出し後を示す。
図14~16において、矢印J1は部品供給テープ200の移動方向、矢印J2は搭載ヘッド100の移動方向を示す。
【0083】
従来は、部品供給位置Sにポケット202が到達すると、部品供給テープ200の送りを一時停止させた状態で、電子部品Eの取り出しをしていた。そのため、1吸着ごとにテープフィーダ210が加減速し、電子部品Eがポケット202内で暴れて位置が変化することから、搭載ヘッド100により電子部品Eをポケット202から取り出した時の吸着姿勢が安定しないことが課題となっていた(
図17(a)参照)。
【0084】
この明細書で開示する部品搭載装置1において、テープフィーダ210は、部品供給位置Sにおいてポケット202を停止することなく、部品供給テープ200を連続的に送る。
【0085】
そして、コントローラ300は、部品供給位置Sにおいて、停止することなく連続的に送られる部品供給テープ200のポケット202から、搭載ヘッド100を用いて電子部品Eを取り出して、それを、プリント基板Bに搭載する。
【0086】
部品供給位置Sにおいて、ポケット202を停止することなく、部品供給テープ200を連続的に送ることで、
図17の(b)に示すように、ポケット202内における電子部品Eの姿勢が安定し易い。そのため、ポケット202から電子部品Eを取り出した時に、搭載ヘッド100による電子部品Eの吸着姿勢が安定するので、プリント基板Bに対する電子部品Eの実装精度の低下を抑制できる。
【0087】
また、
図17の(b)に示すように、電子部品Eがポケット202の壁202Aに張り付く加速度で加速した後に、テープフィーダ210を一定速で送ってもよい。このようにすることで、ポケット202内の電子部品Eが常に手前側の壁202Aに張り付くことになり、安定した吸着姿勢を維持することができる。
【0088】
また、
図14に示すように、搭載ヘッド100は、定速で移動するポケット202と、部品供給位置Sで同じ位置になるように、ポケット202を待ちながら移動してもよい。
【0089】
また、部品供給位置Sにおいて、停止することなく連続的に移動する搭載ヘッド100を用いて、部品供給テープ200のポケット202から電子部品Eを取り出してもよい。この構成では、停止した搭載ヘッド100で電子部品Eを取り出す場合に比べて、搭載ヘッド100と部品供給テープ200の相対速度を小さくすることができるので、搭載ヘッド100による電子部品Eの取り出しが、安定し易い。
尚、ポケット202から電子部品Eを取り出す際、搭載ヘッド100の移動方向は、部品供給テープ200の移動方向と同じ方向であることが好ましい。
【0090】
また、ポケット202から電子部品Eを取り出す際に、搭載ヘッド100の移動速度を、部品供給テープ200の移動速度と同じ速度に制御してもよい。このようにすることで、電子部品Eを取り出す時に、搭載ヘッド100と電子部品Eの相対速度がゼロになるので、安定した吸着をすることができる。
【0091】
また、
図16に示すように、吸着後、搭載ヘッド100は部品供給テープ200より速い速度で移動してもよい。搭載ヘッド100を速く移動することで、電子部品Eをポケット202の壁に衝突させずに吸着できる。
【0092】
テープフィーダ210は、送り動作の開始後、最後部品の吸着が終わるまで(搭載ヘッド100が吸着した電子部品Eがポケット202の深さを超えるまで)定速で移動し、吸着された後で減速開始し、停止する。
【0093】
図18は、ヘッドユニット50の断面図である。ヘッドユニット50は、18本の搭載ヘッド100を円周状に等間隔で配置する。回転体64は、時計回りに回転する。
【0094】
図18において、「P1」~「P3」は、搭載ヘッド100のZ軸駆動装置80によるZ軸方向の昇降動作が実行される範囲を示している。
【0095】
「P1」は初期高さから下降動作を開始する位置、「P2」は電子部品Eの吸着高さに到達する位置、「P3」は電子部品Eの吸着高さから上昇して初期高さまで復帰する位置である。つまり、搭載ヘッド100は、「P1」~「P3」の間で、初期高さから下降して電子部品Eを吸着し、部品吸着後に上昇して初期高さまで戻る。以下、P2を「部品取出位置」とする。
【0096】
図19は、XY吸着位置におけるヘッドユニット50とテープフィーダ210の位置関係を示す図である。XY吸着位置は、テープフィーダ210から電子部品Eを取り出し作業を行う時のヘッドユニット50の位置(XY座標)である。
【0097】
図19に示すように、XY吸着位置において、ヘッドユニット50の部品取出位置P2は、テープフィーダ210の部品供給位置Sに一致し、ヘッドユニット50が回転すると、テープフィーダ210の部品供給位置Sを、円周状に配置された各搭載ヘッド100が順々に通過する構成になっている。
【0098】
図20に示すように、回転する搭載ヘッド100は、円周Vの接線方向の直線運動と見なすことが出来る。搭載ヘッド100の移動方向は、部品供給位置Sにおいて、部品供給テープ200の移動方向と一致する。
【0099】
図21は、テープフィーダ210の移動特性、回転体64のN軸移動特性、搭載ヘッド100のZ軸移動特性を示している。これら移動特性は記憶部313に記憶されている。
【0100】
図21の(A)は、テープフィーダ210の移動特性を示す。縦軸は駆動モータ231の回転角度、横軸は時間である。移動特性は、テープフィーダ210の制御パターンである。駆動モータ231の回転角度は、時間に対して比例しており、テープフィーダ210は、部品供給テープ200を定速で送出する。
【0101】
テープフィーダ210は、時刻t0で電子部品Eの送出を開始し、時刻t2で1つ目の電子部品Eが部品供給位置Sに到達し、時刻t5で2つ目の電子部品Eが部品供給位置Sに到達する。
【0102】
図21の(B)は、回転体64のN軸移動特性を示す。縦軸は回転体64の回転角度、横軸は時間である。N軸移動特性は、回転体64の制御パターンである。回転体64は、このN軸移動特性に従って、回転が制御される。N軸移動特性は、テープフィーダ210による電子部品Eの送り動作に合わせて特性が決められている。つまり、時刻t0で回転体64は回転を開始し、1つ目の搭載ヘッド100が時刻t1で「P1」に到り、時刻t2で「P2」に到達する。その後、時刻t3で「P3」に到る。
【0103】
そして、1つ目の搭載ヘッド100は、時刻t5で「P2」から1ピッチ(20度)分回転した「P5」に到り、このとき、2つ目の搭載ヘッド100は、「P2」に到る。
【0104】
つまり、電子部品Eが部品供給位置Sまで移動するタイミングと、搭載ヘッド100が部品取出位置P2まで回転するタイミングが一致するように、N軸移動特性は定めされている。
【0105】
また、時刻t1~時刻t2までの第1期間T12と、時刻t2~t3までの第2期間T23は、回転体64の回転速度(搭載ヘッド100の移動速度)を調整する調整期間である。
【0106】
第1期間T12は、時刻t2において、搭載ヘッド100の移動速度(円周Vに対する接線方向の移動速度)が、部品供給テープ200の送り速度と一致するように、グラフの傾きが決められている。
【0107】
第2期間T23は、電子部品Eの取り出し後、部品供給テープ200の送り速度よりも、搭載ヘッド100の移動速度(円周Vに対する接線方向の移動速度)が速くなるように、グラフの傾きが決められている。
【0108】
図21の(C)は、搭載ヘッド100のZ軸移動特性を示している。縦軸は搭載ヘッド100のZ軸方向への移動距離、横軸は時間である。Z軸移動特性は搭載ヘッド100のZ軸方向の制御パターンである。搭載ヘッド100は、このZ軸移動特性に従って、初期高さからの下降量が制御される。搭載ヘッド100は、時刻t1~t3の間と、時刻t4~t6の間で初期高さから昇降し、時刻t2、t5にて電子部品Eを吸着する吸着高さHまで下降する。
【0109】
図22~
図25は、搭載ヘッド100による電子部品Eの取り出し動作を示す図である。(A)はテープフィーダ210を側方から見た図、(B)はテープフィーダ210を上方から見た図である。図中の「S」は、搭載ヘッド100による電子部品Eの取り出しが行われる部品供給位置を示している。
【0110】
図22は、1つ前の搭載ヘッド100Aが、電子部品Eの取り出しを終了した直後の状態を示し、
図23は次の搭載ヘッド100Bが
図18の「P1」まで回転した状態である。「P1」に到ると、搭載ヘッド100Bは、周方向への回転(時計回りの回転)と並行して、Z軸駆動装置80により、初期高さから下降動作を開始する。
【0111】
図24は、次の搭載ヘッド100Bが
図18の「P2」まで回転した状態を示している。「P2」に到ると、搭載ヘッド100Bは電子部品Eの吸着高さに到り、電子部品Eの取り出しを行う。
【0112】
電子部品Eの取り出し後、搭載ヘッド100Bは、周方向への回転と並行して、Z軸駆動装置80により、電子部品Eの吸着高さから上昇動作を開始する。
【0113】
図25は次の搭載ヘッド100Bが
図18の「P3」まで回転した状態を示している。「P3」に到ると、電子部品Eを取り出した搭載ヘッド100Bは初期高さに復帰する。
【0114】
また、
図23に示すように、搭載ヘッド100Bは、「P1」において、電子部品Eよりも先行して部品供給位置Sに接近しており、「P1~P2」の間で、電子部品Eを待ちながら移動を続ける。
【0115】
そして、
図24に示すように、電子部品Eと同じ速度で、「P2」に到り、相対速度がほぼゼロの状態で、ポケット202から電子部品Eの取り出しを行う。
【0116】
図26は、ヘッドユニット50による電子部品Eの取出処理とテープフィーダ210による電子部品Eの供給処理の手順を示すフローチャート図である。
【0117】
コントローラ300は、処理がスタートすると、まず、S10に移行して、ヘッドユニット50の移動を開始する。
【0118】
これにより、ヘッドユニット50は、所定の初期位置から
図19に示すXY吸着位置に向けて移動を開始する。また、コントローラ300は、XY吸着位置への移動と並行して、
図21の(b)に示すN軸移動特性に従って、回転体64の回転制御を開始する。
【0119】
その後、コントローラ300は、S20に移行して、ヘッドユニット50がXY吸着位置に到達したか否かを判定する。
【0120】
また、コントローラ300は、ヘッドユニット50の移動開始後、テープフィーダ210に電子部品Eの送り出しを開始する指令を与える(F10)。
【0121】
これにより、テープフィーダ210は、部品供給テープ200の送りを開始し、電子部品Eを部品供給位置Sに向けて定速で送出する(F20)。そして、1つ目の電子部品Eは、送り動作の開始から所定時間後に部品供給位置Sに到達する(F30)。
【0122】
以下、ヘッドユニット50の動作説明に戻る。
ヘッドユニット50がXY吸着位置に到ると(S20:YES)、コントローラ300は、S30に移行して、電子部品Eの取り出しを行う搭載ヘッド100が、
図18に示す「P1」に到達したか、判定する。
【0123】
搭載ヘッド100が「P1」に到ると(S30:YES)、コントローラ300は、S40に移行して、Z軸駆動装置80を駆動する。
【0124】
これにより、電子部品Eの取り出しを行う搭載ヘッド100は、N軸による回転と並行して、初期高さから下降動作を開始する。下降動作を開始した搭載ヘッド100は「部品取出位置P2」まで回転した段階で、電子部品Eの吸着高さに達する。
【0125】
その後、コントローラ300は、S50に移行して、電子部品Eの取り出しを行う搭載ヘッド100が、
図18に示す「部品取出位置P2」まで回転したか、判定する。
【0126】
図21の(B)に示すN軸移動特性は、電子部品Eが部品供給位置Sに到達するタイミングに合わせて、搭載ヘッド100が部品取出位置P2まで回転するように設定されている。
【0127】
そのため、搭載ヘッド100が「部品取出位置P2」まで回転すると、テープフィーダ210により供給される電子部品Eを吸着保持することが出来る。
【0128】
搭載ヘッド100が「部品取出位置P2」まで回転して電子部品Eを吸着すると、その後、S60に移行し、コントローラ300は、電子部品Eを吸着した搭載ヘッド100をN軸による回転と並行して、電子部品Eの吸着高さから上昇させる。尚、搭載ヘッド100の回転速度は、P2位置を通過した以降、N軸移動特性に従って、加速する。
【0129】
その後、コントローラ300は、S70に移行して、同一のテープフィーダ210から、次に吸着する電子部品Eが有るか、判定する。
【0130】
次の電子部品Eが存在する場合(S70:YES)、コントローラ300は、S80に移行して、搭載ヘッド100により吸着した電子部品Eの下面がポケット202の高さよりも上方に到達したか判定する。この判定は、搭載ヘッド100の吸着高さからの上昇量に基づいて行うことが出来る。
【0131】
搭載ヘッド100により吸着した電子部品Eの下面がポケット202の高さよりも上方に到達した場合、コントローラ300は、S90に移行して、N軸駆動装置45により回転体64を定速で回転制御する。
【0132】
以降は、S30に戻り、テープフィーダ210により供給される2番目の電子部品Eを、次の搭載ヘッド100により取り出す処理が行われる。
【0133】
そして、同一のテープフィーダ210から次に吸着する電子部品Eが無い場合(S70:NO)、テープフィーダ210は、吸着対象の電子部品Eが部品供給位置Sを通過して取り出しが終了した後、減速して停止する(F40)。
【0134】
また、コントローラ300は、同一のテープフィーダ210から次に吸着する電子部品Eが無い場合(S70:NO)、S100に移行して、他のテープフィーダ210から吸着する電子部品Eがあるか、否かを判定する。
【0135】
他のテープフィーダ210から吸着する電子部品Eが無い場合(S100:NO)、テープフィーダ210から取り出した電子部品Eをプリント基板B上に搭載する搭載動作に移行する。
【0136】
また、他のテープフィーダ210から吸着する電子部品Eが有る場合(S100)、搭載ヘッド100を用いて、他のテープフィーダ210から電子部品Eを取り出した後、取り出した電子部品Eをプリント基板B上に搭載する搭載動作に移行する。
【0137】
図27は、電子部品Eの認識処理のフローチャート図である。電子部品Eの認識処理はS60の処理後に実行される。
【0138】
カメラユニット150による電子部品Eの認識処理は、G10~G30の3つのステップから構成されている。
【0139】
まず、G10において、コントローラ300は、搭載ヘッド100により取り出した電子部品Eを、ヘッドユニット50に搭載したカメラ本体151で撮影する処理を行う。この撮影は、回転体64の回転動作中に行うことが出来る。
【0140】
G20において、コントローラ300は、カメラ本体151で撮影した電子部品Eの画像から吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置のずれ量Δを検出する(
図9参照)。ずれ量Δは、吸着ノズル120の中心線Lcに対する部品中心OのY方向(テープフィーダ210による電子部品Eの送り方向)のずれ量である。
【0141】
その後、G30にて、コントローラ300は、G20で算出したずれ量Δが相殺または小さくなるように、N軸移動特性を補正する。
図28の(B)において、補正前のN軸移動特性を太線で、補正後のN軸移動特性を一点鎖線(H部)で示す。
【0142】
コントローラ300は、次の電子部品Eをテープフィーダ210から取り出す際に、補正後のN軸期間特性に従って回転体64を制御することで、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置のずれを小さくすることが出来る。
【0143】
4.効果説明
本構成では、テープフィーダ210は、部品供給位置Sにおいてポケット202を停止させずに、部品供給テープ200を連続的に送るため、ポケット202内における電子部品Eの姿勢が安定し易い。そのため、ポケット202から電子部品Eを取り出した時に、搭載ヘッド100による電子部品Eの吸着姿勢を安定させることが可能であり、プリント基板Bに対する電子部品Eの実装精度の低下を抑制できる。
【0144】
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1に対して、以下の点が相違している。
実施形態2において、コントローラ300は、テープフィーダ210により送られる電子部品Eの現時点の位置を、駆動モータ231の回転量を検出するエンコーダ210Aの出力に基づいて算出し、求めた電子部品Eの現時点の位置から、電子部品Eの到達時間Tsを算出する。到達時間Tsは、現時点から電子部品Eが部品供給位置Sに到達するまでに要する残り時間である。
【0145】
そして、算出した到達時間Tsに基づいて、回転体64の回転速度を調整して、電子部品Eが部品供給位置Sに到達するタイミングと、搭載ヘッド100が部品取出位置P1まで回転するタイミングを一致させる。
【0146】
具体的には、
図29に示すように、実施形態1の取出処理(
図26)に対して、破線枠の処理(F25、S55、F35)が変更されている。
【0147】
F25は、エンコーダ210Aの出力に基づいて、電子部品Eが部品供給位置Sに到達するまでの「到達時間Ts」を算出する処理である。
【0148】
S55は、F25で算出した「到達時間Ts」に基づいて、回転体64の回転速度を調整する処理である。つまり、現時点から到達時間Tsを経過した時に、搭載ヘッド100が部品取出位置P1まで移動し、かつ部品供給位置Sにおいて、テープフィーダ210による電子部品Eの送り速度と搭載ヘッド100の移動速度を一致するように、回転体64の回転位置を検出するためのN軸サーボモータ35Nのエンコーダ38Nの出力(検出値)に基づき、回転体64の回転速度を調整する。
【0149】
F35は、エンコーダ210Aの出力に基づいて、電子部品Eが部品供給位置Sに到達したか、否かを判断する処理である。
【0150】
F25、S55、F35の3つの処理を、電子部品Eが部品供給位置Sに到達するまで繰り返すことにより(ループ処理R)、電子部品Eが部品供給位置Sに到達するタイミングと、搭載ヘッド100が部品取出位置P1まで回転するタイミングを一致させ、かつ部品供給位置Sにおいて、テープフィーダ210による電子部品Eの送り速度と、搭載ヘッド100の移動速度を一致させることができる。
【0151】
図30は、電子部品Eの認識処理のフローチャート図である。電子部品Eの認識処理はS60の処理後に実行される。
【0152】
カメラユニット150による電子部品Eの認識処理は、G10~G35の3つのステップから構成されている。
【0153】
まず、G10において、コントローラ300は、搭載ヘッド100により取り出した電子部品Eを、ヘッドユニット50に搭載したカメラ本体151で撮影する処理を行う。
【0154】
G20において、コントローラ300は、カメラ本体151で撮影した電子部品の画像から吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置のずれ量Δを検出する(
図9参照)。ずれ量Δは、吸着ノズル120の中心線Lcに対する部品中心OのY方向のずれ量である。
【0155】
その後、G35にて、コントローラ300は、G20で算出したずれ量Δが相殺または小さくなるように、到達時間Tsの補正値を算出する。
【0156】
コントローラ300は、次の電子部品Eの取り出しを行う際に、F25で算出した到達時間Tsを、G35にて算出した補正値により補正する。
【0157】
そして、S55において、補正後の到達時間Tsに基づいて、回転体64の回転速度を調整することで、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置のずれを小さくすることが出来る。
【0158】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0159】
(1)実施形態1、2では、ロータリー型のヘッドユニット50を例示した。ヘッドユニット50は、ロータリー型に限らず、インライン型でもよい。インライン型は、搭載ヘッド100を一列状に配置するタイプのヘッドユニットである。
【0160】
インライン型の場合、テープフィーダ210による電子部品EのY方向への送り動作に同期して、ヘッドユニット50をY方向に移動することにより、電子部品と同期して、搭載ヘッド100をY方向に移動することが出来る。
【0161】
(2)テープフィーダ210は、部品供給テープ200を用いて電子部品Eを供給するものであれば、どのような構成でもよい。例えば、トップテープを切り開くことにより、電子部品を露出させる構成でもよい。または、キャリアテープ201に対して、ポケット202の両側で張り付けられているカバーテープ203を、その貼り付け部の片側のみを剥離することにより、電子部品を露出させる構成でもよい。
【0162】
(3)実施形態1では、ポケット202から電子部品Eを取り出す際に、搭載ヘッド100の移動速度を、部品供給テープ200の移動速度と同じ速度に制御した。搭載ヘッド100の移動速度は、部品供給テープの移動速度と異なる速度でもよい。また、部品供給位置Sにおいて、停止することなく連続的に送られる部品供給テープ200のポケット202から、搭載ヘッド100を用いて電子部品Eを取り出すものであれば、部品取り出しの際、搭載ヘッド100は静止していてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1 部品搭載装置
50 ヘッドユニット
64 回転体
100 搭載ヘッド
200 部品供給テープ
202 ポケット
210 テープフィーダ(部品供給装置)
231 駆動モータ
300 コントローラ(制御装置)