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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】自動車用変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/031 20120101AFI20240321BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20240321BHJP
   B60K 17/06 20060101ALI20240321BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20240321BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20240321BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20240321BHJP
   B60K 6/405 20071001ALI20240321BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20240321BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240321BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240321BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F16H57/031
B60K17/04 G
B60K17/06 E
B60K6/36
B60K6/48
B60K6/547
B60K6/405
B60L50/16
B60L50/60
B60L15/20 K
B60L9/18 J
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020503767
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2018067579
(87)【国際公開番号】W WO2019020314
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】102017212677.9
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】リーナス エッシェンベック
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン トゥルン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヘルド
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0005849(US,A1)
【文献】特開2015-220830(JP,A)
【文献】特開2009-201218(JP,A)
【文献】特開昭60-157563(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098646(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010002746(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0202402(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015012223(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/031
B60K 17/04
B60K 17/06
B60K 6/36
B60K 6/48
B60K 6/547
B60K 6/405
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 15/20
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用変速機(G)は、ハウジング(GG)と、前記変速機(G)の駆動軸(GW1)と出力軸(GW2)との間で複数のギヤ段を形成するように前記ハウジング(GG)内に配置された歯車セット(RS)と、電気機械(EM)と、パワーエレクトロニクスモジュール(LE)と、を備え、前記電気機械(EM)は、前記駆動軸(GW1)と、前記出力軸(GW2)と、または前記歯車セット(RS)の要素(RSx)と作動接続され、
前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)は、内側(SI)および外側(SA)を有するキャリア要素(S)と、直流電圧接続部(DC)と、インバータ(IVT)と、前記電気機械(EM)の相インターフェイス(AC2)と接続された交流電圧接続部(AC)と、を備え、
前記ハウジング(GG)は、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)を受容する領域(GGE)を外壁(GGA)に備え、前記領域(GGE)は、前記パワーエレクトロニクスモジュールの前記キャリア要素(S)によって閉鎖可能であり、
前記ハウジング(GG)の前記領域(GGE)および前記キャリア要素(S)の前記内側(SI)は、前記インバータ(INV)を受容するドライスペース(TR)を構成し、前記インバータ(INV)は前記キャリア要素(S)に固定され、
前記ハウジング(GG)の前記領域(GGE)は、前記歯車セット(RS)を、前記ドライスペース(TR)から少なくとも部分的に分離し、
前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)は、前記変速機ハウジング(GG)の側方に配置されており、前記変速機ハウジング(GG)の構造高(GH)の最下3分の1(GH3)までの部分に沿って延在し、
前記キャリア要素(S)は、1つ以上のカバー(C)を用いて閉鎖可能な開口部を備え、
前記交流電圧接続部(AC)は、前記キャリア要素(S)の前記内側(SI)に配置されて、前記キャリア要素(S)の外側(SA)から前記開口部を通してアクセス可能である、変速機(G)。
【請求項2】
請求項1に記載の変速機(G)であって、駆動インターフェイス(GW1A)および出力インターフェイス(GW2A)を備え、前記駆動インターフェイス(GW1A)および前記出力インターフェイス(GW2A)が、前記変速機(G)の両端に配置され、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)は、前記駆動インターフェイス(GW1A)と前記出力インターフェイス(GW2A)との間に配置されて、前記変速機ハウジング(GG)の構造高(GH)の最下3分の1(GH3)の上まで少なくとも部分的に延在することを特徴とする、変速機(G)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の変速機(G)であって、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)を受容する前記領域(GGE)は、前記変速機ハウジング(GG)の下縁(UK)と、前記変速機ハウジング(GG)の半分の構造高(GH2)との間に位置し、前記領域(GEE)は、前記変速機ハウジング(GG)の構造高(GH)の最下3分の1(GH3)の上に少なくとも部分的に延在することを特徴とする、変速機(G)。
【請求項4】
請求項3に記載の変速機(G)であって、前記交流電圧接続部(AC)の少なくとも一部は、前記変速機ハウジング(GG)の構造高(GH)の最下3分の1(GH3)の上に延在する前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)の部分に配置されていることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項5】
請求項3または4に記載の変速機(G)であって、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)は、部分的に、前記変速機ハウジング(GG)の構造高(GH)の3分の1(GH3)より低い構造高を有することを特徴とする、変速機(G)。
【請求項6】
請求項5に記載の変速機(G)であって、前記直流電圧接続部(DC)は、前記変速機ハウジング(GG)の構造高(GH)の3分の1(GH3)より低い構造高(LEH)を有する前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)の部分に配置されていることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項7】
請求項1~の何れか一項に記載の変速機(G)であって、前記直流電圧接続部(DC)は、前記キャリア要素(S)の前記外側(SA)に配置されていることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項8】
請求項1~の何れか一項に記載の変速機(G)であって、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)は、前記キャリア要素(S)の前記外側(SA)に配置された冷却水供給接続部(K1)および冷却水排出接続部(K2)を備えることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項9】
請求項1~の何れか一項に記載の変速機(G)であって、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)は、前記キャリア要素(S)の前記外側(SA)に信号コネクタ(I)を備え、前記信号コネクタ(I)は、前記パワーエレクトロニクスモジュール(LE)の要素と変速機外の制御ユニット(ECU)との間の信号伝送のために設けられていることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項10】
請求項1~の何れか一項に記載の変速機(G)であって、前記キャリア要素(S)は圧力補償要素(D)を備え、前記圧力補償要素(D)を用いて、前記ドライスペース(TR)が周囲と接続されていることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項11】
請求項1~の何れか一項に記載の変速機(G)であって、前記キャリア要素(S)は、換気管路(DS)用の接続部を備えることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項12】
請求項1~の何れか一項に記載の変速機(G)であって、前記ドライスペース(TR)は、前記ハウジング(GG)における少なくとも1つの孔を介して周囲と接続していることを特徴とする、変速機(G)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の変速機(G)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用変速機、およびそうした変速機を備える自動車に関する。本明細書中でいう変速機とは、特に多段変速機である。多段変速機においては、複数のギヤ段、つまり固定変速比を、変速機の駆動軸と出力軸との間で、シフト要素によって、好適には自動で切換え可能である。本明細書中では、シフト要素は、例えばクラッチまたはブレーキである。この種の変速機は、主に自動車において、駆動ユニットの回転数特性およびトルク出力特性を、適切な方法で車両の走行抵抗に対して適合させるために使用される。
【背景技術】
【0002】
本出願人のドイツ特許出願公開第10 2010 002 746 A1号は、変速機ハウジングの変速機鐘形部内に配置された電気機械を備える変速機を記載する。電気機械は、関連するパワーエレクトロニクスと結合されている。パワーエレクトロニクスは、変速機ハウジングのカバー構造に設けられ、相インターフェイスを介して電気機械と接続されている。カバー構造は、変速機鐘形部の領域において、電気機械の径方向下方で、変速機ハウジングに取り外し可能に固定されている。パワーエレクトロニクスをこのように連結することによって、そうした変速機を備える自動車の最低地上高が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2010 002 746 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、変速機の外形寸法を著しく増大させることなく、変速機がコンパクトな構造高を有するように、従来技術で既知の変速機をさらに発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の特徴により解決される。有利な実施形態は、従属請求項、明細書の記載、および図面から明らかとなる。
【0006】
変速機は、ハウジングと、変速機の駆動軸と出力軸との間で複数のギヤ段を形成するようにハウジング内に配置された歯車セットと、電気機械と、パワーエレクトロニクスモジュールと、を備える。電気機械は、駆動軸と、出力軸と、または歯車セットの要素と作動接続されている。
【0007】
パワーエレクトロニクスモジュールは、内側および外側を有するキャリア要素と、直流電圧接続部と、インバータと、交流電圧接続部と、を備える。交流電圧接続部は、電気機械の相インターフェイスと、好適には取り外し可能に接続されている。
【0008】
ハウジングは、パワーエレクトロニクスモジュールを受容する領域を外壁に備える。この領域は、パワーエレクトロニクスモジュールのキャリア要素によって閉鎖可能である。ハウジングの外壁およびキャリア要素の内側は、インバータが受容されるドライスペースを構成する。インバータはキャリア要素に固定されている。パワーエレクトロニクスモジュールが受容されるハウジングの領域は、変速機の歯車セットを、インバータのドライスペースから少なくとも部分的に分離する。
【0009】
変速機ハウジングとパワーエレクトロニクスモジュールのキャリア要素との相互作用によって、パワーエレクトロニクスモジュールの別個のハウジングを、省略することができる。ドライスペースを歯車セットの領域に構成することによって、利用可能な構造スペースを、特に効率的に使用することができる。これは、多くの場合、歯車セットが丸い断面、または少なくとも丸みを帯びた断面を有するためである。この断面は電気機械の断面よりも小さい。したがって変速機の全断面は、歯車セットの領域の構造スペースをパワーエレクトロニクスモジュール用に利用することによって、わずかに増加するのみである。
【0010】
好適には、パワーエレクトロニクスモジュールは変速機の側方に配置されている。この場合「側方」とは、パワーエレクトロニクスが、変速機ハウジングの上または下に配置されているのではなく、変速機ハウジングの外側に配置されている構成、と理解される。したがって、走行方向に平行に配向された自動車ドライブトレイン用の変速機では、パワーエレクトロニクスモジュールは、車両の一方の側に配向されている。
【0011】
好適な実施形態により、変速機は駆動軸インターフェイスおよび出力軸インターフェイスを備える。動力は、場合によっては分離クラッチまたは始動クラッチを閉じることによって、変速機外の駆動ユニットから駆動軸インターフェイスを介して、変速機の駆動軸に伝達することができる。動力は、出力軸から出力軸インターフェイスを介して、変速機を装備した自動車の駆動輪に伝達することができる。出力軸と駆動輪との間の動力経路は、1つ以上の差動歯車装置と、さらなるドライブトレイン軸と、を含むことができる。駆動インターフェイスおよび出力インターフェイスは、変速機の両端に配置されている。パワーエレクトロニクスモジュールは、駆動インターフェイスと出力インターフェイスとの間に配置されて、変速機ハウジングの構造高の最下3分の1の上まで少なくとも部分的に延在する。この場合「構造高」とは、自動車における設置位置での、変速機ハウジングの垂直寸法、と理解される。
【0012】
好適には、パワーエレクトロニクスモジュールを受容するハウジング領域は、変速機ハウジングの下縁と、変速機ハウジングの半分の構造高との間に位置する。このハウジング領域は、変速機ハウジングの構造高の最下3分の1の上に少なくとも部分的に延在する。そうした実施形態では、交流電圧接続部の少なくとも一部を、変速機ハウジングの構造高の最下3分の1の上に延在するパワーエレクトロニクスモジュールの部分に配置することができる。
【0013】
好適には、パワーエレクトロニクスモジュールは、部分的に、変速機ハウジングの構造高の3分の1より低い構造高を有する。そうした実施形態では、直流電圧接続部を、変速機ハウジングの構造高の3分の1より低い構造高を有するパワーエレクトロニクスモジュールの部分に配置することができる。
【0014】
好適な実施形態により、パワーエレクトロニクスモジュールは、大部分が、変速機ハウジングの構造高の最下3分の1に沿って延在する。換言すれば、パワーエレクトロニクスモジュールの大部分は、変速機ハウジングの最下3分の1に沿って配置されている。その結果、そうしたトランスミッションを備える自動車の内部スペースは低減されない。
【0015】
好適には、キャリア要素は、1つ以上のカバーを用いて閉鎖可能な開口部を備える。開口部を通して、パワーエレクトロニクスモジュールを変速機から取り外すことなく、変速機における組立および/または保守作業が可能である。例えば、交流電圧接続部は、キャリア要素の内側に配置することができる。交流電圧接続部は、キャリア要素の外側から開口部を通してアクセス可能である。これによって、パワーエレクトロニクスモジュールが変速機ハウジングに固定された後に、交流電圧接続部は電気機械の相インターフェイスと接触することが可能である。
【0016】
好適な実施形態により、直流電圧接続部は、キャリア要素の外側に配置されている。これによって、トランスミッションを自動車に取り付ける際に、自動車のバッテリと直流電圧接続部との間の導電接続の確立が容易になる。
【0017】
好適には、パワーエレクトロニクスモジュールは、キャリア要素の外側に配置された冷却水供給接続部および冷却水排出接続部を備える。特にインバータのパワー半導体を冷却するために、冷却水を、冷却水供給接続部を介してパワーエレクトロニクスモジュールに供給することができる。冷却水は、冷却水排出接続部を介して、パワーエレクトロニクスモジュールLEから再び導出することができる。
【0018】
好適には、パワーエレクトロニクスモジュールは、キャリア要素の外側に配置された信号コネクタを備える。信号コネクタは、パワーエレクトロニクスモジュールの要素と変速機外の制御ユニットとの間の信号伝送のために設けられている。
【0019】
パワーエレクトロニクスモジュールの様々なインターフェイスを、そのキャリア要素上に備えることによって、パワーエレクトロニクスモジュールの試験を完了させて事前に組み立てをして、変速機ハウジングに取り付けることができる。
【0020】
好適な実施形態により、キャリア要素は圧力補償要素を備える。圧力補償要素を用いて、ドライスペースは周囲と接続されている。これにより、周囲とドライスペースとの間の圧力差に起因するドライスペース内の水分の蓄積を防止することができる。これに対して代替的に、キャリア要素は、換気管路用の接続部を備えることができる。換気管路を用いて、ドライスペースが周囲と接続されている。換気管路の自由端は、そうした変速機を装備した自動車内の、高い位置にある防水エリアに配置することができる。さらなる代替実施形態によれば、ドライスペースは、ハウジングにおける少なくとも1つの孔を介して周囲と接続することができる。好適には、この孔の自由端は、変速機の高い位置にある防水エリアに配置されている。そうした実施形態では、ドライスペースがこの孔を介して換気される。
【0021】
変速機は、自動車の構成部分とすることができる。変速機に加えて、自動車は内燃機関も備える。内燃機関は、ねじり振動ダンパを介して、変速機の駆動軸とねじり弾性的に接続することができる。変速機の出力軸は、変速機内または変速機外の差動歯車装置と駆動接続されている。作動歯車装置は、自動車の車輪と作動接続されている。変速機を備える自動車は、自動車の複数の駆動モードを可能にする。電気走行駆動において、自動車は変速機の電気機械によって駆動される。内燃機関駆動において、自動車は内燃機関によって駆動される。ハイブリッド駆動において、自動車が、内燃機関と変速機の電気機械の両方によって駆動される。
【0022】
本発明の実施形態は、以下に添付の図面を参照して詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】自動車用変速機の概略図である。
図2】自動車用変速機の概略図である。
図3】自動車用変速機の概略図である。
図4】パワーエレクトロニクスモジュールが取り外された状態の、本発明による変速機の側面図である。
図5】パワーエレクトロニクスモジュールが取り付けられた状態の、本発明による変速機の断面図である。
図6】パワーエレクトロニクスモジュールが取り付けられた状態の、本発明による変速機の側面図である。
図7】パワーエレクトロニクスモジュールが取り付けられた状態の、本発明による変速機の変形例の側面図である。
図8】本発明による変速機を備える自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、自動車用変速機Gの概略図を示す。変速機Gは、ハウジングGGと、ハウジングGG内に配置された歯車セットRSと、駆動軸GW1と、出力軸GW2と、を備える。歯車セットRSは、駆動軸GW1と出力軸GW2との間で複数のギヤ段を形成する役割を果たす。さらに、変速機Gは電気機械EMを備える。電気機械EMのロータは、駆動軸GW1と作動接続されている。駆動軸GW1は、クラッチK0を介して、変速機Gの連結軸ANと接続されている。連結軸ANには、駆動インターフェイスGW1Aが構成されている。出力軸GW2には、出力インターフェイスGW2Aが構成されている。駆動インターフェイスGW1Aおよび出力インターフェイスGW2Aは、変速機Gの両端に配置されている。ハウジングGGは、歯車セットRSに加えて、分離クラッチK0および電気機械EMをも包囲する。
【0025】
図2は、図1に示す変速機に本質的に対応する変速機Gの概略図を示す。電気機械EMのロータは、この場合、出力軸GW2と作動接続されている。連結軸ANおよび分離クラッチK0は省略されている。そのため、駆動インターフェイスGW1Aが駆動軸GW1に構成されている。
【0026】
図3は、図1に示す変速機に本質的に対応する変速機Gの概略図を示す。電気機械EMのロータは、この場合、歯車セットRSの要素RSxと作動接続されている。連結軸ANおよび分離クラッチK0は省略されている。そのため、駆動インターフェイスGW1Aが駆動軸GW1に構成されている。
【0027】
図1乃至図3に示す変速機Gは、単なる例とみなされるべきである。したがって、図2および図3の実施形態では、同様に、分離クラッチK0および連結軸ANを設けることができる。例として示す変速機は、それぞれ、連結軸ANと歯車セットRSとの間に配置されたトルクコンバータを備えてよい。
【0028】
図4は、変速機Gの側面図を示す。変速機Gの構造は、例えば、図1乃至図3に示す実施形態に対応してよい。変速機Gは、いずれの場合でも、電気機械EMを備える。電気機械EMは、ハウジングGGの内部に配置されているため、図4では見ることができない。ハウジングGGは、外壁GGAに領域GGEを備える。領域GGEは、図4には示さないパワーエレクトロニクスモジュールLEを用いて閉鎖可能である。領域GGEは、フランジ面FFによって限定される。フランジ面FFは、ハウジングGGとパワーエレクトロニクスモジュールLEとの間に、機械的なインターフェイスを構成する。相インターフェイスAC2は、領域GGEに配置されている。相インターフェイスAC2が、ハウジングGG内に配置された電気機械EMに割り当てられている。
【0029】
領域GGEは、変速機ハウジングGGの下縁UKと、変速機ハウジングGGの半分の構造高GH2との間に位置する。領域GGEは、変速機ハウジングGGの構造高GHの最下3分の1GH3の上に、部分的に延在する。相インターフェイスAC2は、変速機ハウジングGGの構造高GHの最下3分の1GH3の上に延在する領域GGEの一部に、部分的に位置する。
【0030】
図5は、本発明による変速機Gの断面図を示す。パワーエレクトロニクスモジュールLEは、変速機ハウジングGGに取り付けられている。図4に示す断面Aは、歯車セットRSを通って延びている。そのため、図5において、歯車セットRSは部分的に見ることができる。パワーエレクトロニクスモジュールLEは、内側SIおよび外側SAを有するキャリア要素Sと、直流電圧接続部DCと、インバータINVと、相インターフェイスAC2と接続された交流電圧接続部ACと、を備える。インバータINVは、キャリア要素Sの内側SIに固定されている。ハウジングGGの領域GGEおよびキャリア要素Sの内側SIは、インバータINVを受容するドライスペースTRを構成する。ハウジングGGの領域GGEは、断面Aにおいて、歯車セットRSをドライスペースTRから分離する。
【0031】
交流電圧接続部ACは、ドライスペースTR内に配置されており、所与の断面図では部分的にのみ見ることができる。交流電圧接続部ACの一部は、変速機ハウジングGGの構造高GHの最下3分の1GH3の上に位置する。直流電圧接続部DCは、キャリア要素Sの外側SAに配置され、変速機ハウジングGGの構造高GHの最下3分の1GH3内に位置する。
【0032】
図6は、本発明による変速機Gの側面図を示す。図4とは異なり、パワーエレクトロニクスモジュールLEがハウジングGGに取り付けられている。ここで、パワーエレクトロニクスモジュールLEは、大部分が変速機ハウジングGGの構造高GHの最下3分の1GH3に沿って延在していることを良好に認識できる。キャリア要素Sは、カバーCを用いて閉じられている複数の開口部を備える。カバーCが取り外されると、キャリア要素Sの内側SIに配置された交流電圧接続部ACは、外側SAからアクセス可能である。
【0033】
パワーエレクトロニクスモジュールLEは、冷却水供給接続部K1および冷却水排出接続部K2を備える。これらは、キャリア要素Sの外側SAに配置されている。冷却水は、冷却水供給接続部K1を介して、パワーエレクトロニクスモジュールLEの熱交換器に供給することができる。熱交換器は、インバータINVのパワー半導体と熱的に接触している。そのため、パワー半導体が熱交換器に熱エネルギーを放出することができる。供給された冷却水は、熱交換器内で加熱される。冷却水は、冷却水排出接続部K2を介してパワーエレクトロニクスモジュールLEから導出される。好適には、このようにして加熱された冷却水を、変速機外のさらなる熱交換器に供給することができる。
【0034】
パワーエレクトロニクスモジュールLEは、キャリア要素Sの外側SAに信号コネクタIを備える。信号コネクタIは、パワーエレクトロニクスモジュールLEの要素、特にインバータINVの制御部と、図6には示されていない変速機外の制御ユニットECUとの間の信号伝送のために設けられている。さらに、パワーエレクトロニクスモジュールLEは、圧力補償要素Dを備える。圧力補償要素Dを用いて、ドライスペースTRは周囲と接続されている。これにより、周囲とドライスペースTRとの間の圧力差に起因するドライスペースTR内の水分の蓄積を防止することができる。
【0035】
図7は、本発明による変速機Gの変形例の側面図を示す。これは、図6に示す変速機Gに本質的に対応する。圧力補償要素Dの代わりに、キャリア要素Sは、ここでは換気管路DS用の接続部を備える。換気管路DSを用いて、ドライスペースTRは周囲と接続されている。換気管路DSの自由端は、そうした変速機Gを装備した自動車内の、高い位置にある防水エリアに配置することができる。
【0036】
図8は、本発明による変速機Gを備える自動車の概略図を示す。変速機Gは、駆動インターフェイスGW1Aを介して内燃機関VMと接続されている。変速機Gは、出力インターフェイスGW2Aを介して、図示されていない差動歯車装置と接続されている。この差動歯車装置を介して、出力軸GW2に加わる動力が、自動車の駆動輪DWに分配される。
【0037】
自動車は、自動車のハイブリッド駆動機能を制御するように設定された制御ユニットECUを備える。この目的のために、制御ユニットECUは、内燃機関VMと接続され、信号伝送のために、信号コネクタIを介して変速機GのパワーエレクトロニクスモジュールLEと接続されている。制御ユニットECUは、自動車のさらなる構成要素、例えばバッテリと接続することができる。
【符号の説明】
【0038】
G 変速機
GW1 駆動軸
GW2 出力軸
GW1A 駆動インターフェイス
GW2A 出力インターフェイス
RS 歯車セット
RSx 歯車セットの要素
EM 電気機械
AC2 電気機械の相インターフェイス
GG ハウジング
GGE ハウジングの領域
GGA ハウジングの外壁
FF フランジ面
UK ハウジングの下縁
GH ハウジングの構造高
GH2 ハウジングの半分の構造高
GH3 ハウジングの構造高の3分の1
LE パワーエレクトロニクスモジュール
S キャリア要素
SI キャリア要素の内側
SA キャリア要素の外側
DC 直流電圧接続部
AC 交流電圧接続部
INV インバータ
A 断面
TR ドライスペース
C カバー
K1 冷却水供給接続部
K2 冷却水排出接続部
I 信号コネクタ
ECU 制御ユニット
D 圧力補償要素
DS 換気管路
VM 内燃機関
K0 分離クラッチ
AN 連結軸
DW 駆動輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8