(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】眼内生理学的センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
A61B3/16
(21)【出願番号】P 2020517415
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 US2018053615
(87)【国際公開番号】W WO2019068026
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-22
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502373503
【氏名又は名称】グローコス コーポレーション
【住所又は居所原語表記】229 Avenida Fabricante,San Clemente,California 92672 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス マックス グン
(72)【発明者】
【氏名】シーザリオ ペレイラ ドス サントス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エス.ハフナー
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09132034(US,B2)
【文献】特表2017-522155(JP,A)
【文献】特表2016-511107(JP,A)
【文献】特表平10-505529(JP,A)
【文献】国際公開第2014/022521(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0143582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶対眼内圧測定値を取得するために患者の眼の中に移植される眼内圧検出インプラントであって、
前記眼内圧検出インプラントの近位端は前記眼の前房に配置され、前記眼内圧検出インプラントの遠位端は前記眼の脈絡膜と強膜の間の脈絡膜上腔に配置されるように前記移植され、
前記眼内圧検出インプラントは前記眼の前記前房に配置される検出モジュールを含
み、
前記眼内圧検出インプラントは、前記眼内圧検出インプラントに内蔵された第1の時間管理装置を備え、前記眼内圧検出インプラントは、前記第1の時間管理装置によって示される指定時刻における絶対眼内圧測定値を取得するように構成される、
眼内圧検出インプラントと、
大気圧測定値を取得するための外部装置
であって、前記外部装置は、第2の時間管理装置を備え、前記外部装置は、前記第2の時間管理装置によって示される指定時刻前後に延在する時間窓内の複数の大気圧測定値を取得するように構成される、外部装置と、
前記複数の大気圧測定値の間の偏差の指標を決定するために前記複数の大気圧測定値を解析するように構成された処理装置と、
を含み、
前記処理装置は、前記偏差が予め定められた範囲内にあるかどうかを判定し、前記偏差が前記予め定められた範囲内にある場合に、前記複数の大気圧測定値の1つ以上を絶対眼内圧測定値と相関させるように構成される、眼内圧(IOP)検出システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記相関させた大気圧測定値および絶対眼内圧測定値からゲージ眼内圧測定値を計算するように構成される、請求項
1に記載のIOP検出システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記外部装置と別個である、請求項
1に記載のIOP検出システム。
【請求項4】
前記外部装置は、1つ以上の大気圧測定値を1つ以上の絶対眼内圧測定値と相関させる際に支援するために、前記眼内圧検出インプラントに同期情報を無線送信することによって同期操作を実行するように構成される、請求項1に記載のIOP検出システム。
【請求項5】
前記同期情報は、固有の識別値または時間の記録を含む、請求項
4に記載のIOP検出システム。
【請求項6】
前記外部装置は、予め定められた時刻にまたは間隔で、前記同期操作を自動的に開始する、請求項
4に記載のIOP検出システム。
【請求項7】
前記外部装置は、前記同期操作を開始することを前記患者に指示するように構成される、請求項
4に記載のIOP検出システム。
【請求項8】
前記指示は、警報音を含む、請求項
7に記載のIOP検出システム。
【請求項9】
前記同期操作を開始するステップは、前記外部装置を前記患者の眼から12インチ以内に配置することを含む、請求項
7に記載のIOP検出システム。
【請求項10】
前記同期操作は、前記眼内圧検出インプラント
の前記第1の時間管理装置を前記外部装置に内蔵の
前記第2の時間管理装置と同期させるステップを含む、請求項
4に記載のIOP検出システム。
【請求項11】
前記外部装置は、前記患者によって着用されるように構成される、請求項1に記載のIOP検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権出願の参照による援用>
【0002】
本出願は、2017年9月29日出願の「眼内生理学的センサ」という名称の米国特許仮出願第62/565,893号の優先権を主張し、ここにその全体を参照により援用する。
【0003】
本発明の分野は、全体として、移植可能な生理学的センサに関する。詳しくは、本発明の実施形態は、全体として、眼内圧などの生理学的特性を測定するための移植可能な眼内センサに関する。
【背景技術】
【0004】
緑内障、糖尿病およびその他を含むいくつかの疾患は、早期に診断し、および/または効果的に監視すれば、より効果的に治療することができる。例えば、緑内障は、失明の主因である。この疾患は、眼内圧上昇が原因となって眼の中の視神経を損傷し、治療しない場合は視力を完全に失うことがある。しかし、眼内圧上昇を早期に検出し、適切に管理すれば、失明のリスクを低くすることができる。従って、眼内圧などの生理学的特性を監視するための装置改良が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の図面を参照して装置、システム、および方法のさまざまな実施形態および特徴物を記載する。図面、関連する記載、および特定の実体化は、本発明の実施形態を例示するために提供されるものであり、開示の範囲を限定するためではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】人間の眼の中に配置された移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図1B】虹彩角膜角において強膜組織に埋め込まれている線維網組織を通るアンカーによって固定された移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図1C】毛様体/脈絡膜と強膜との間の毛様体/脈絡膜上腔内のアンカーによって固定された移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図2】電気化学燃料電池を備える移植可能な眼内生理学的センサのブロック図である。
【
図3】電気化学燃料電池からの出力に基づいて生理学的特性を測定する移植可能な眼内生理学的センサのブロック図である。
【
図4】電気化学燃料電池および/または太陽電池を備える移植可能な眼内生理学的センサのブロック図である。
【
図5A】緑内障を治療するのを助けるために房水の排出も増進する移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図5B】
図5Aの装置中に用いることができる回路キャリア部材の概略図である。
【
図6】眼の中に移植された
図5Aの装置を示す概略図である。
【
図7】留置用部材を有する移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図8】留置用部材および流体チャネルを有する移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図9】留置用部材および流体チャネルを有する移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。流体チャネルは、生理学的センサのエレクトロニクスハウジング部分を通らない。
【
図10】留置用部材および薬収納部を有する移植可能な眼内生理学的センサの概略図である。
【
図11】送達装置(delivery device)が前房を横切って進んでいる眼の概略断面図を例示する。
【
図12】送達装置が前房を横切って進んでいる眼の概略断面図を例示する。
【
図13】本明細書に開示される実施形態による送達装置を例示する。
【
図15】本明細書に開示される実施形態による送達装置を例示する。
【
図19】送達装置および関連するセンサ/シャントの実施形態の断面図を例示する。
【
図20】眼内圧センサの例示的実施形態のブロック図である。
【
図21】本眼内圧センサ用のハウジングアセンブリの主ハウジング部分の例示的実施形態の斜視図である。
【
図22】毛様体/脈絡膜と強膜との間の毛様体/脈絡膜上腔内の本眼内圧センサの位置を例示する。
【
図23】主ハウジングが透明であるとして示される
図21の複製である。
【
図26】湾曲したハウジングを有する眼内圧センサの別の例示的実施形態を例示する。
【
図27】ハウジングの本体に少なくとも部分的に挿通されるように設計されている非埋め込み型センサキャップの上部斜視図および断面図を例示する。
【
図28】非埋め込み型センサキャップの底部斜視図を例示する。
【
図29】眼内圧センサの主ハウジングに挿入された、非埋め込み型センサキャップの2つの断面図を例示する。
【
図30】眼内圧センサの主ハウジングに挿入された、埋め込み型センサキャップの例示的実施形態の断面図を例示する。
【
図31A】接合部において封止を形成する前のハウジングの本体とセンサキャップとの間の外部接合部の実施形態を例示する。
【
図31B】接合部において封止を形成した後のハウジングの本体とセンサキャップとの間の外部接合部の実施形態を例示する。
【
図32】前眼房内のゲージ圧の測定値を得るために用いることができる、人間の眼の中に位置する移植可能な眼内生理学的センサシステムの概略図である。
【
図33】
図32に示した生理学的センサシステムの概略図である。
【
図34A】容量型絶対圧センサの例示的実施形態を例示する。
【
図34B】容量型差圧センサの例示的実施形態を例示する。
【
図35A】前眼房内のゲージ圧を示す測定値を得ることができる示差センサの第1の実施形態を例示する。
【
図35B】前眼房内のゲージ圧を示す測定値を得ることができる示差センサの第2の実施形態を例示する。
【
図36A】使用者によって着用されたバロメータによって測定された大気圧のグラフである。
【
図36B】
図36Aに示した信号の時刻60から時刻80までの期間の拡大部分を示す。
【
図36C】ゲージIOP値を計算するために用いた絶対IOP測定値と大気圧測定値との間の時間のずれの原因となる0.1%のタイマ不正確さの効果をシミュレーションして例示する。
【
図36D】ゲージIOP値を計算するために用いた絶対IOP測定値と大気圧測定値との間の時間のずれの原因となる1%のタイマ不正確さの効果をシミュレーションして例示する。
【
図37A】外部装置からの1つ以上の大気圧測定値と患者の眼の中のセンサインプラントからの1つ以上の絶対IOP測定値とを用いてゲージIOP値を計算するための方法の例を例示する。
【
図37B】ゲージIOP値を決定する目的で外部装置からの大気圧測定値をセンサインプラントからの絶対IOP測定値と相関させるための方法の例を例示する。
【
図38】IOP検出インプラントに対する温度変動の影響を少なくとも部分的に補償するための方法を例示するフローチャートである。
【
図39A】インプラントがバッテリーによって電力を供給される場合と、別に、インプラントがスーパーキャパシタによって電力を供給される場合とについて、IOP検出インプラントの例の電力使用量を示すグラフである。
【
図39B】バッテリーとスーパーキャパシタとの組合せによって電力を供給され、スーパーキャパシタの容量が充電相互作用時刻の間のインプラントの電力使用量より少ないIOP検出インプラントの例の電力使用量を示すグラフである。
【
図39C】バッテリーとスーパーキャパシタとの組合せによって電力を供給され、スーパーキャパシタの容量が充電相互作用時刻の間のインプラントの電力使用量より大きいIOP検出インプラントの例の電力使用量を示すグラフである。
【
図40】IOP検出インプラントに動作電力を供給するための方法を例示するフローチャートである。
【
図41】IOP検出インプラントの主ハウジングに挿通されたセンサキャップの実施形態をセンサキャップと主ハウジングとの間に形成された水分バリヤシールとともに例示する。
【
図42A】2段直径主ハウジングを有するIOP検出インプラントの実施形態の斜視図である。
【
図43A】眼内圧検出インプラント用のカップ型センサキャップの斜視図である。
【
図43B】カップ型センサキャップの別の斜視図であるが、
図43Aに示したものとは反対側からのものである。
【
図43C】カップ型センサキャップのさらに別の斜視図であるが、今度はIOPセンサインプラントハウジングの管状本体の中に装着されている。
【
図44】カップ型センサキャップを有するIOP検出インプラントを外科的に挿入するための送達機器(delivery apparatus)の遠位部分の実施形態を例示する。
【
図45】IOP検出インプラントの殺菌を容易にするために用いることができる先端キャップの例示的実施形態を例示する。
【
図46】IOP検出インプラントを組み立て、結合し、封止し、殺菌するための方法の例を例示する。
【
図47A】流れを可能にする囲まれた特徴物を有するIOPセンサインプラントハウジング本体の例の斜視図である。
【
図47C】開いた、外部の、流れを可能にする特徴物を有するIOPセンサインプラントハウジング本体の例の斜視図である。
【
図48A】眼内インプラントを眼組織に付着させるための留置用システムの例示的実施形態を例示する。
【
図48B】
図48Aに示した留置用システムを用いて眼の内部に固定された眼内インプラントを例示する。
【
図49A】基板に装着され、基板貫通バイア(vias)によって他の構成要素に電気接続された、封止された薄膜バッテリーを例示する。
【
図49B】基板に装着された、封止された薄膜リチウムイオンバッテリーの実施形態の概略断面図である。
【
図49F】基板貫通バイア電気相互配線ではなく側方電気相互配線を備える薄膜バッテリー構造を例示する。
【
図50】眼内インプラント用の小型の積層された集積回路とバッテリーとの構造を例示する。
【
図51A】眼内インプラント中に用いられ得る3つのコイルアンテナの例の断面図を概略例示する。
【
図51B】
図51Aに示した3つのコイルアンテナ設計の例示的実施形態の写真である。
【
図51C】
図51Aに示した二層コイルアンテナ設計によって提供される電磁遮蔽効果を例示する。
【
図52A】2段直径主ハウジングを有する眼内インプラントの実施形態の内部のアンテナの位置を例示する。
【
図53】本明細書に記載する眼内インプラントとともに用いることができるいくつかの装置およびシステムを記載する表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
緑内障を検知し、あるいは緑内障の進行を監視するために、患者の眼内の眼内圧を効果的に監視する必要がある。眼内圧は、例えばトノメータを用いて非侵襲的に測定することができる。トノメータには非侵襲的であるという利点があるが、一般的に高価であり、携行できず、熟練した操作を要する専用装置であるという不都合がある。従って、実際問題としては、2、3日毎または2、3週毎に1回の測定より大きな時間分解能で患者の眼の中の眼内圧を効果的に監視するためにトノメータを用いることは難しい。しかし、眼内圧は比較的短い期間で顕著に変動し得るので、そのような比較的間隔を置いた眼内圧測定は、緑内障に関する患者のリスクの十分なまたは正確な姿を提供しないかもしれない。従って、もっと頻繁に、またはいっそ連続的に、眼内圧を測定することができれば有利であろう。
【0008】
図1Aは、人間の眼100の中に配置された移植可能な眼内生理学的センサ200の概略図である。参照のために、
図1において眼100のさまざまな解剖学的特徴物に番号を付けている。例えば、
図1Aは、硝子体液102、虹彩104、水晶体106、瞳孔108、前房および房水110、角膜112、網膜114および視神経116を示す。
図1は、眼の前房内に配置されている眼内生理学的センサ200も例示する。眼内生理学的センサ200は、例えば、眼内の眼内圧を測定することができる。眼内生理学的センサ200はまた、もしくはあるいは、本明細書において考察するいくつかの他の生理学的特性のいずれかを測定するように設計することができる。眼内生理学的センサ200は、必ずしも一定の比率で描かれていないことを理解しなければならない。
【0009】
さらに、センサ200は、眼内のいくつかの異なる位置に配置することができるだろう。例えば、眼内生理学的センサ200は、特定の用途に応じて強膜または虹彩を含むがこれに限定されるものではない眼のいずれの適当な解剖学的特徴物にも固定的に付着させるかまたは留置することができるだろう。下記でさらに考察するように、眼内生理学的センサ200は、生理的房水流出路内で、または生理的房水流出路に対して、固定的に付着させるかまたは留置することができるだろう。生理的房水流出路は、小柱網およびシュレム管を含む「通常」路と、毛様体、強膜および毛様体/脈絡膜上腔を含む「ぶどう膜強膜」路と、を含む。
図1Bは、虹彩角膜角119において強膜組織118に埋め込まれている線維網組織117を通るアンカー201によって固定されたセンサ200の配置を例示する。
【0010】
図1Cは、毛様体/脈絡膜と強膜118との間の毛様体/脈絡膜上腔内のアンカー201によって固定されたセンサ200の配置を例示する。毛様体115は、脈絡膜115aとつながっている。毛様体/脈絡膜上腔は、通常は、毛様体/脈絡膜と強膜との間の界面における潜在的な空間である。この空間は、センサ200および/またはアンカー201などのインプラントを収容するために開き得る。毛様体/脈絡膜上腔は、従って、
図1Cにおいて網かけ121によって概略的に特定される。
図1Cは、眼内生理学的センサ200(部分的にまたは完全に前房110内に配置され得るか、あるいは部分的にまたは完全に毛様体/脈絡膜上腔121内に配置され得る)とアンカー201との配置の例を例示する。他の実施形態において、毛様体/脈絡膜上腔内に移植する生理学センサを、
図5Aに示すセンサ500のように構成することができるだろう。
【0011】
あるいは、なんらかの他の眼インプラント、例えば眼内レンズにセンサ200を付着させることができるだろう。位置に関わらず、センサと角膜内皮との接触を避けるように注意しなければならない。
【0012】
眼内生理学的センサ200はまた、もしくはあるいは、房水110中のグルコース濃度を測定し得る。糖尿病由来の合併症を処置または予防する手段として人体内のグルコース濃度を測定する必要がある。典型的には、血液または尿からグルコースを測定する。間質液からグルコースを測定するいくつかの移植可能なグルコースセンサが開発されている。しかし、そのようなインプラントに対して体が負の免疫応答をすることがあり、そのことが時間の経過とともにセンサの性能を低下させ得る。しかし、眼、特に前眼房は、体内で免疫的に特別に恵まれている部位である。従って、眼内のグルコースを測定するための移植可能なセンサは、免疫的に特別に恵まれていない体の部分においてグルコースを測定するために製作された他の移植可能なセンサに対して有利であろう。さらに、房水内のグルコース濃度は、血中グルコース濃度と同一ではないかもしれないが、両者は、房水中のグルコース濃度の測定値が血中グルコース濃度を予測することができるように相関し得る。
【0013】
いくつかの実施形態、例えば眼内圧センサの場合、センサ部分を完全に毛様体/脈絡膜上腔内に移植することが可能であり得る。いくつかの実施形態において、軽度の繊維症は、移植されたセンサの十分な機能を妨ぐことはない。
【0014】
既述のように、いくつかの実施形態において、眼内生理学的センサ200は、眼内圧と房水中のグルコース濃度との両方を測定する。グルコース濃度測定値は、糖尿病を処置および/または治療するために用いることができるため、このことは、有利であり得る。一方、糖尿病患者は、緑内障も発症するリスクが高い。従って、眼内圧およびグルコース濃度の測定が有用である患者集団は、顕著に重なり合い得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、眼内生理学的センサ200は、人体内で見いだされる物質を例えば電力に変換する燃料電池を用いてすべてのまたは一部の電力を供給される。例えば、いくつかの実施形態において、燃料電池は、房水中に溶解しているグルコースを用いて電気を作り出す電気化学燃料電池である。従って、グルコース自体が生理学的センサ200に電力を供給するための再生可能な燃料として働く。
【0016】
これに対して、他の移植可能な生理学的センサは、電力をバッテリーまたは外部電源に完全に依存し得る。しかし、バッテリー動作型の移植可能な生理学センサの場合、バッテリーの容量がそのような移植可能なセンサの実用寿命を制約する傾向があり得る。バッテリーによって提供される実用寿命が所定の用途に十分でない場合、移植可能なセンサを交換する必要があり得る。移植可能なセンサの挿入は、侵襲性プロセスであり、付随するリスクをすべて伴って手術が必要になり得るため、このことは、不利である。あるいは、一部の移植可能な生理学的センサは、電力を外部装置に頼る(例えば、外部供給電力を用いるリアルタイム動作のため、または内部バッテリーを繰り返し充電するため)。例えば、移植可能な生理学的センサは、誘導結合または高周波(RF)エネルギーによって外部装置から電力を外部供給され得る。しかし、そのような外部電源が移植可能な生理学的センサの実用寿命のバッテリーへの依存をなくすかまたは低下させ得るとしても、外部電源は、他の好ましくない動作制約も導入し得る。例えば、センサが電力を外部供給されている間しか測定を実行することができない場合、そのような移植可能なセンサからの測定値の時間分解能が制約を受け得る。
【0017】
従って、燃料電池動作型眼内生理学的センサ200は、動作電力をバッテリーまたは外部装置に完全に頼るセンサより大きな実用寿命を有すると予測されるため有利である。さらに、そのような移植可能なセンサは、比較的より頻繁に、または連続的にさえ測定を行うために用いることができるだろう。
【0018】
図2は、移植可能な眼内生理学的センサ200のブロック図である。いくつかの実施形態において、移植可能な眼内生理学的センサ200は、電気化学燃料電池210および電源エレクトロニクス220を備える。移植可能な眼内生理学的センサ200は、電気化学燃料電池210によって充電されるバッテリー240も備え得る。いくつかの実施形態において、移植可能な眼内生理学的センサ200は、生理学的特性検出モジュール250、測定値記憶モジュール260、コントローラモジュール270、およびアンテナ285を有する送信器モジュール280を備える。移植可能な眼内生理学的センサ200の構成要素の各々は、完全にまたは部分的に生物適合性ハウジング290の中に収容され得る。移植可能な生理学的センサ200は、本明細書においては主に眼内用途に関して記載されるが、眼以外の生体のパーツにおいても用い得ると理解しなければならない。
【0019】
燃料電池がない生理学的センサの実施形態において、バッテリー、またはバッテリーもしくは蓄電キャパシタと組合せた太陽電池などの内蔵電源があり得る。バッテリーは、外部装置(例えば生理学的測定値をダウンロードするために用いられる装置)によって再充電することができる再充電可能バッテリーであり得る。燃料電池がない生理学的センサの他の実施形態においては、誘導手段またはRF手段によって電力を供給し得る。燃料電池がない生理学的センサのさらに別の実施形態において、センサは、例えば、参照によって本明細書に全体が援用される微小電気機械システム(Journal of Microelectromechanical Systems)(2008年)、第17巻のP-Jチェンらによる「マイクロ作製移植可能パリーレン系無線受動眼内圧センサ(Microfabricated Implantable Parylene-Based Wireless Passive Intraocular Pressure Sensors)」に記載されている、外部機器によって問合せされる受動共振回路の構成要素を含み得る。
【0020】
生理学的特性検出モジュール250は、対象となる生理学的特性の測定を行う構成要素である。例えば、生理学的特性検出モジュール250は、測定される生理学的特性を定量的に表す信号(例えば電気信号)を出力する。本明細書において考察するように、生理学的特性検出モジュール250は、眼内圧を測定するように設計され得る。眼内圧を測定するためのいくつかの異なるトノメータ型装置がある。参照によって本明細書に全体が援用される米国特許第7,678,065号にいくつかのセンサが記載されている。生理学的特性検出モジュール250は、これらの装置または将来開発される装置のいかなるものを利用してもよい。あるいは、生理学的特性検出モジュール250は、眼内グルコース濃度を測定するように設計することができる。さらに他の実施形態において、生理学的特性検出モジュール250は、表1のバイオマーカー物質のいずれを測定するように設計することもできる。表1のバイオマーカー物質は、それらの物質が示し得る対応する生理的病態とともに挙げられている。
【0021】
【0022】
いくつかの実施形態において、移植可能な生理学的特性検出モジュール250は、生理学的センサ200の温度補正のための温度センサを備えてよく、および/または酸素の分圧について生理学的センサ200を補正するための酸素センサを備え得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、眼内生理学的センサ200は、参照によって本明細書に全体が援用される米国特許第7,653,424号および米国特許出願公開第2007/0030443号に開示されているような蛍光センサを含み得る。これらの実施形態において、移植されるセンサ200は、内蔵電源を要しないかもしれず、外部装置によって問合せされる。
【0024】
いくつかの実施形態において、移植可能な眼内生理学的センサ200は、生理学的特性検出モジュール250の複数の実体を備える。検出モジュール250の各実体は、異なる生理学的特性を測定するために用いられ得る。本明細書において考察するように、いくつかの実施形態において、生理学的センサ200は、眼内圧およびグルコース濃度を測定するために2つの検出モジュール250を備える。この場合も、生理学的特性検出モジュール250は、上述の物質を測定するためのあらゆる既知のまたは後で開発される装置、あるいは特定の用途にとって重要なあらゆる他の生理学的特性を用いることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、生理学的特性検出モジュール250は、定期的に測定を行うように(例えばコントローラモジュール270によって)制御される。例えば、検出モジュール250は、特定の用途に応じて少なくとも毎時、少なくとも15分毎、少なくとも毎分、またはその他の間隔で測定を行い得る。いくつかの実施形態において、生理学的特性検出モジュール250は、実質的に連続的に測定を行う。このようにすると、生理学的特性が時間の関数としてどのように変化するかについてより有用なまたは完全な姿を提供するために、関心のある生理学的特性に関する傾向データを収集することができる。あるいは、いくつかの実施形態において、エネルギー(例えばバッテリー寿命)を節約するために、1日を通じて頻度を低くして(例えば連続または15分毎に対して1日当たり4~6回)読み値を取得することができるだろう。
【0026】
移植可能な眼内生理学的センサ200は、生理学的特性検出モジュール250から外部装置に測定値を無線送信するためにアンテナ285と通信結合されている送信器モジュール280も備え得る。いくつかの実施形態において、送信器モジュール280は、同じく外部装置から通信(例えば制御命令)を受け取ることができるトランシーバモジュールによって置き換えられ得る。公知であるかまたは将来開発されるあらゆるタイプの適当な送信器またはトランシーバ装置を用いることができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、生理学的特性検出モジュール250は、生理学的特性のレベルの関数として共振振動数を発生する電気回路を含み得、共振周波数は、外部装置を用いて決定することができる。この種の実施形態において、モジュール250は、無線通信のためにアンテナを使用し得るが、必ずしも送信器を使用し得ない(例えば、参照によって本明細書に全体が援用される微小電気機械システム(Journal of Microelectromechanical Systems)(2008年)、17巻のP-Jチェンらによる「マイクロ作製した移植可能なパリーレン系無線受動眼内圧センサ(Microfabricated Implantable Parylene-Based Wireless Passive Intraocular Pressure Sensors)」参照)。いくつかの実施形態において、生理学的特性検出モジュール250および/または送信器モジュール280は、外部装置に測定値を無線送信し、および/または外部装置から指示を受信するために光(例えば赤外)発生器および/または検出器を含み得る。
【0028】
送信器モジュール280は、例えば、予め定められた間隔で、連続的に、またはデータが送信される先の外部装置から命令を受けたら、測定値を送信するように(例えば、コントローラモジュール270によって)制御され得る。いくつかの実施形態において、測定データが送信される先の外部装置は、臨床医によってダウンロードされることが可能になるまで測定値を保存するために患者によって着用されるデータロガーであり得る。他の実施形態において、外部装置は、例えば測定値記憶モジュール260によって内部保存される測定データを定期的にダウンロードするために臨床医によって用いられるハンドヘルド読み取り装置であり得る。読み取り装置は、次に、ダウンロードされた測定値を臨床医による処理および/または解析のためにコンピュータに(例えばインターネットまたはなんらかの他の通信ネットワークを介して)送信することができる。いくつかの実施形態において、送信器モジュール280は、患者によって着用されているインシュリンポンプにグルコース濃度測定値を送信する。そのような測定値は、患者の体内へのインシュリンの注入を制御するためにインシュリンポンプによって用いることができる。読み取り装置は、ダウンロードされた測定値をユーザーインターフェース経由で患者に提供することもできる。グルコース濃度測定値の場合、例えば、患者例は、彼または彼女の食事および/または運動を管理するために測定値を使用する。
【0029】
移植可能な眼内生理学的センサ200は、任意選択として、測定値記憶モジュール260を備え得る。測定値記憶モジュール260は、生理学的特性検出モジュール250からの測定値を、例えば、測定値記憶モジュール260と通信結合されている外部装置によって送信器モジュール280を介して読み出されることが可能になるまで、内部記録するために用いることができる。測定値記憶モジュール260は、例えば、ソリッドステート電子記憶装置であってよい。いくつかの実施形態において、生理学的センサ200は、例えば、1日分または他の期間分の測定値(例えばIOP測定値)を、例えば、患者のベッド横に配置された外部受信機に一度にダウンロードするように構成される。一日毎より頻度を高めるかまたは低くしてデータをダウンロードすることもできるだろう。いくつかの実施形態において、データのダウンロードは、自動プロセスである。測定データは、外部装置にダウンロードされたら、患者の眼科医または他の管理医のための報告書の作成のために遠隔読み取りセンターへ転送することができる。さらに、眼内生理学的センサ200は、生理学的測定値以外に、または生理学的測定値に加えて、他のデータを記憶するように構成された記憶モジュールを備えることができるだろう。例えば、記憶モジュールに、患者の電子医療記録データ、または他のあらゆる個人データもしくは機密データを入れることができるだろう。いくつかの実施形態において、移植可能な眼内装置は、生理学的検出機能なしで済ませ、主に安全であるが容易にアクセス可能な、免疫的に特別に恵まれている場所にデータを記憶するための記憶モジュールを提供するために用いられ得る。例えば、記憶モジュールは、セキュリティを目的として、患者に関連する同定情報を保持することができるだろう。本明細書において考察するように、移植された装置に問い合わせるために、例えば、外部読み取り装置を用いてこの情報にアクセスすることができるだろう。
【0030】
移植可能な眼内生理学的センサ200は、コントローラモジュール270も備える。コントローラモジュール270は、例えば、生理学的センサ200の他の構成要素のための制御操作を行うために用いることができる。いくつかの実施形態において、コントローラモジュール270は、生理学的特性検出モジュール250に測定を行うように命令を提供し得る。コントローラモジュール270は、測定値記憶モジュール260へのデータの書き込みおよび読み取りならびに送信器モジュール280の動作も制御し得る。さらに、コントローラモジュール270は、電気化学燃料電池210、電源エレクトロニクス220、およびバッテリー240の電力設定値を制御し得る。下記でさらに考察するように、
図2に示す相互配線は、主に電源接続を表す。しかし、センサ200の構成要素のありとあらゆるものの間に(例えば、コントローラモジュール270、生理学的特性検出モジュール250、測定値記憶モジュール260、送信器モジュール280、および/または電源エレクトロニクス220等の間に)必要に応じて信号線および/または命令線を設けることができることを理解しなければならない。
【0031】
コントローラモジュール270は、他の機能も実行し得る。例えば、いくつかの実施形態において、コントローラモジュール270は、生理学的特性検出モジュール250によって収集された測定値に対するデータ処理作業を行うことができるが、他の実施形態において、そのような内蔵処理の電力需要を避けるために、そのような必要なデータ処理はすべて測定値をダウンロードした後に外部装置によって実行することができる。さらに、コントローラモジュール270は、収集された測定値を監視し、監視されている生理学的特性がなんらかのしきい値に達するか、または他の面で即時の通知が必要とみなされる場合に、警戒信号を(例えば送信器モジュール280を介して外部装置に)出力し得る。例えば、センサが潜在的に危険な低血糖レベルを検出した場合、警報信号を起動することができる。コントローラモジュール270は、(より多くの測定値を測定値記憶モジュール260に保存することを可能にするために)測定データ圧縮も行うことができる。さらに、コントローラモジュール270は、生理学的センサ200の他の構成要素(例えば、送信器モジュール480、測定値記憶モジュール460、生理学的特性検出モジュール450等)に非使用時には停止するかまたは省電力状態に入るように命令することができる。
【0032】
上記で簡単に考察したように、移植可能な眼内生理学的センサ200は、電気化学燃料電池210などの燃料電池を備え得る。いくつかの実施形態において、電気化学燃料電池210は、グルコースとの化学反応から電力を作り出すために房水108中のグルコースを用いる。電気化学燃料電池210によって発生された電力は、移植可能な眼内生理学的センサ200のありとあらゆる他の構成要素の電力需要を、すべてであろうと一部であろうと満たすために用いることができる。
図2に電気バス230を例示する。電気バス230は、電気化学燃料電池210によって(例えば電源エレクトロニクス220および/またはバッテリー240を介して)エネルギーを供給される。移植可能な眼内生理学的センサ200のあらゆる他の構成要素は、必要に応じて動作電力を受け取るために(
図2の相互連結線によって例示される)電気バス230に接続することができる。
【0033】
電気化学燃料電池210は、電源エレクトロニクス220に接続することができる。電源エレクトロニクス220は、例えば、電圧調節器、電圧変換器、あるいは、電気化学燃料電池210によって出力された電力を、移植可能な眼内生理学的センサ200内の他の電気的な構成要素が十分に用いることができるように調整するために望ましいものとなり得る、他のあらゆる電気的な構成要素を備えることができる。いくつかの実施形態において、電気化学燃料電池210は、バッテリー240を充電するために用いることができる。バッテリー240は、例えば、送信器モジュール280からのデータ送信が電気化学燃料電池210から利用可能な瞬時電力より大きい電力のバーストを必要とする場合に有用であり得る。バッテリー240は、例えば、燃料電池210によって用いられる燃料(例えばグルコース)の供給が不規則な状況において、移植可能な眼内生理学的センサ200の他の構成要素に定常レベルの電力を提供する上でも有用であり得る。移植可能な眼内生理学的センサ200は、電力需要を少なくとも部分的に満たすために電気化学燃料電池210を備えるが、燃料電池210の存在は、生理学的センサ200に追加の動作電力を提供する他の内部または外部電源の使用を必ずしも排除しないことを理解しなければならない。さらに、いくつかの実施形態において、眼内生理学的センサ200は、燃料電池に加えて、または燃料電池の代りに、2つ以上のバッテリーを備え得る。そのような実施形態において、1つのバッテリーは、別のものがそれ以上の使用のために放電されすぎた後に活動状態となり、従ってセンサの実用寿命を延ばすことができる。バッテリー間の切り替えは、例えば、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって制御することができる。
【0034】
いくつかの推定値によると、生理学的センサ200の平均消費電力は、生理学的特性検出モジュール450によって15分毎に測定を行い、送信器モジュール480がデータ送信を1日1回行うと仮定して、約10nW未満であり得る。従って、いくつかの実施形態において、電気化学燃料電池210は、少なくとも約10nWの平均電力出力を有する。しかし、例えば、測定またはデータ送信をもっと頻繁に行う場合、あるいは2種類以上の生理学的特性を監視する場合等では、電力需要は、大きくなり得る。従って、いくつかの実施形態において、電気化学燃料電池210は、少なくとも約10μW以上の平均電力出力を発生する。
【0035】
移植可能な眼内生理学的センサ200は、特定的に例示したものに加えて、他のモジュールも備え得る。例えば、移植可能な眼内生理学的センサ200は、患者の所在に関する位置情報を提供するために、全地球測位システム(GPS)(Global Positioning System)モジュールを備えることができるだろう。GPSモジュールは、例えば、生理学的測定が行われる都度、患者の位置の読み値を保存することができるだろう。位置情報は、生理学的測定値とともに生理学的センサ200からダウンロードし、例えば、患者の位置からの気圧情報を有する気象データベースにアクセスするために用いることができるだろう。そのような気圧情報は、次に、生理学的センサ200によって検出された眼内圧測定値にあらゆる必要な補正を行うために用いることができる。
【0036】
図3は、電気化学燃料電池310からの出力に基づいて生理学的特性を測定する移植可能な眼内生理学的センサ300のブロック図である。移植可能な眼内生理学的センサ300は、例えば、電気化学燃料電池310、電源エレクトロニクス320、電気バス330、バッテリー340、生理学的特性検出モジュール350、測定値記憶モジュール360、コントローラモジュール370、アンテナ385と結合した送信器モジュール380、および生物適合性ハウジング390を備え得る。これらの構成要素の各々は、
図2に関して記載した対応する構成要素と同様であってよい。
【0037】
移植可能な眼内生理学的センサ300において、生理学的特性検出モジュール350は、電力を発生するために電気化学燃料電池310によって用いられる物質の量を(例えば、生理学的センサ300の近傍で)測定する。例えば、電気化学燃料電池310は、グルコース燃料電池であり得、検出モジュール350は、房水中のグルコース濃度を測定するように設計され得る。この実施形態において、検出モジュール350が電気化学燃料電池310によって出力される電流または電圧に基づいてグルコース濃度を測定することを示すために、検出モジュール350は、電気化学燃料電池310と直接に接続されて示される。例えば、眼房水中にグルコースが大きな濃度で存在するときほど電気化学燃料電池310は大きな電流または電圧を発生し得、小さなグルコース濃度ほどその逆になる。生理学的特性検出モジュール350によって提供されるグルコース測定値は、例えば、燃料電池310からの電流または電圧に比例し得る。
【0038】
図4は、電気化学燃料電池410および/または太陽電池415を備える移植可能な眼内生理学的センサ400のブロック図である。電気化学燃料電池410、電源エレクトロニクス420、電気バス430、バッテリー440、生理学的特性検出モジュール450、測定値記憶モジュール460、コントローラモジュール470、送信器モジュール480およびアンテナ485、ならびに生物適合性ハウジング490は、
図2および
図3に関して記載した対応する構成要素と同様であってよい。
【0039】
移植可能な眼内生理学的センサ400は、太陽電池415も備えることができる。太陽電池415は、眼100に入るあらゆる光から電力を発生する。現在公知であるかまたは将来開発されるあらゆる適当なタイプであってよい太陽電池415は、生理学的センサ400のさまざまな構成要素の電力需要を少なくとも部分的に満たすために用いることができる。例えば、電気化学燃料電池410が生理学的センサ400の所要電力を満たすことができない場合、それらの所要量を満たす助けとなる追加電源として太陽電池415を用いることができる。いくつかの実施形態において、太陽電池415は、生理学的センサ400の他の構成要素が接続されている電気バス430に(例えば、電源エレクトロニクス420を介して)エネルギーを供給するために用いられる。太陽電池415は、生理学的センサ400が暗条件においても依然動作することができるように、バッテリー440を充電するために用いることもできる。太陽電池415は、例えば電気化学燃料電池410に加えて、または電気化学燃料電池410の代りに、備えることができる。
【0040】
上記で考察したように、上記実施形態は、緑内障の診断または処置に用いられ得る。米国における人々の約2パーセントが緑内障である。緑内障とは、視神経円板における病理変化と、対応する視野低下とを引き起こし、治療しない場合は失明という結果に至る一群の眼疾である。眼内圧上昇が緑内障における主要な病因的因子である。特定の実施形態において、センサインプラント、例えば本明細書に記載されるものを、眼への薬送達および/または前房からの房水の排出を提供する1つ以上のインプラントとともに、緑内障に対する治療として使用し、および/または送達し得る。
【0041】
眼内圧(「IOP」)の上昇と関連する緑内障において、房水の流出に対する抵抗の源は、主に小柱網の中にある。小柱網の組織は、房水、または水様液(aqueous)がシュレム管に入ることを可能にし、房水は、次にシュレム管の後壁の中の集水チャネルに流れ込み、次に上強膜静脈系を形成する房水静脈に流れ込む。房水は、眼の前面において角膜と水晶体との間の領域を満たす透明な液体である。房水は、水晶体の周りの毛様体によって絶えず分泌されるので、毛様体から前眼房への基本的に一定の房水の流れがある。前房圧は、房水の産生と小柱網(主経路)またはぶどう膜強膜流出(副経路)を通るその排出との間の釣り合いによって定まる。小柱網は、前房隅角において虹彩の外縁と角膜の裏との間に位置する。小柱網のシュレム管に隣接する部分(傍シュレム管線維網(juxtacanilicular meshwork))が房水流出に対する抵抗の大部分の原因である。
【0042】
房水の産生と排出との間の不釣り合いを軽減する2つの主な方法は、IOPを下げる医薬品の使用と前房からの房水の排出を増進する眼内インプラントの使用である。インプラントは、前房からの房水の排出を可能にする経路を提供し得る。インプラントは、結膜下腔(ブレブ(bleb)の使用を含む)およびシュレム管またはぶどう膜強膜流出路などの生理的流出路(脈絡膜上腔および/または毛様体上腔を含む)を含むあらゆる適当な場所への排出を可能にするように設計し得る。
【0043】
水様液流出を増進する多様な眼インプラントのいずれも、本明細書に開示する他のインプラントとともに用いられ得る。例えば、米国特許第6,638,239号および第6,736,791号は、装置と、排出装置またはシャントを眼の内側(ab interno)に配置する方法を開示している。ステントは、入口部分と出口部分とを有する中空の細長い筒状要素を含む。出口部分は、任意選択として、シュレム管の内部に配置され安定化するようになっている2つの区分または要素を備え得る。一実施形態において、装置は、「T」字形装置のように見える。別の実施形態において、装置は、「L」字形装置のように見える。さらに別の実施形態において、装置は、「I」字形実施形態のように見える。これらの特許の各々の内容全体を、ここで参照によって本明細書に援用する。
【0044】
他のインプラントは、水様液排出を提供する際に用いるのに適している。例えば、排出インプラントの一実施形態は、縦軸を有し、少なくとも部分的に前房中に納まるサイズおよび構成の第1の部分と、シュレム管、脈絡膜上腔、または主経路もしくは副経路の別の生理的流出路に納まるサイズおよび構成の第2の部分とを含む。第1の部分は、インプラント縦軸に沿って通る内腔と連通し、装置の第2の部分の1つ以上の出口または流出ポートと連通する入口部分も備える。別のタイプの装置は、鋲に似ている形のことがあり、前房中に納まる入口部分と、1つ以上の出口を有し、生理的流出路(例えばシュレム管、ぶどう膜強膜流出路、脈絡膜上腔、毛様体上腔)中に納まるようになっている遠位部分と、組織を通って延在し、入口部分と遠位部分との間の流体連通を提供するようになっている中間部分とがある。これらの装置は、眼の中の所望の位置に装置を保持する助けとなる1つ以上の保持特徴物(例えば稜、棘、突起等)も含み得る。そのような装置は、1種類以上の薬も含み得る。ここで参照によって開示が全体として本明細書に援用される米国特許第7,135,009号、第7,857,782号、第7,431,710号および第7,879,001号にこれらおよびその他の適当なインプラントが開示されている。
【0045】
上記インプラントのいずれも、排出を提供することに加えて薬コーティングを特徴とし得、薬は、緑内障または他の眼病態を処置する薬、ならびに装置の移植の結果として生じ得る瘢痕化、線維症、凝固および他の有害作用を予防または軽減する薬を含む本明細書に開示するあらゆるタイプであり得る。他の実施形態において、装置は、例えば装置中の凹部または内腔中に配置された原薬の形態で、または装置の本体内に固定されるかまたは含有された錠剤もしくは錬剤の形で薬を提供することによって、所望の期間にわたって1種類以上の薬を送達するようにし得る。原薬も、装置の凹部または内腔中に配置されるかまたは装置に固定される小さなペレットまたは錠剤の形をとり得る。薬が原薬の形態で存在する場合、装置は、排出内腔も備え得る。いくつかの実施形態において、水様液の排出が薬溶出を容易にするように、排出内腔も薬を含む。装置は、原薬と薬コーティングとの両方も含み得る。ここで参照によって開示の全体が本明細書に援用される国際公開第2010/135369号にそのような装置の例が見いだされる。
【0046】
図5Aは、同じく緑内障を処置するのを助けるために房水の排出も増進する移植可能な眼内生理学的センサ500の概略図である。生理学的センサ500は、生理学的特性検出モジュール560を備え、このモジュールは、例えば、エレクトロメカニカル式(容量型眼内圧センサなど)、電気化学式(電流測定型グルコースセンサなど)、または光学式(蛍光グルコースセンサなど)であり得る。生理学的センサ500は、電気化学燃料電池510およびさまざまなエレクトロニクス構成要素、例えば本明細書に記載するものも備える。移植可能な装置は、内蔵メモリ、論理制御(マイクロプロセッサなど)、ソフトウェア、ファームウェア、ディジタル化、および無線(高周波または光)通信も組み込むことができる。例えば、センサ500は、コントローラモジュール570、信号調整およびアナログ-ディジタル変換モジュール574、送信器等を備えることができる。送信器は、アンテナ580を備えることができる。これらの構成要素のいくつかまたはすべては、キャリア部材572上に設けるか、または付着させることができる。いくつかの実施形態において、キャリア部材572は、回路基板である。本明細書においてさらに考察するように、センサ装置500は、眼のさまざまな解剖学的特徴物において、またはそれらの中に移植可能であるように設計され得る。従って、いくつかの実施形態において、キャリア部材572は、所望の解剖学的特徴物と十分に形を合わせることできるように可撓性である。可撓性キャリア部材572は、例えば、屈曲性フィルム、例えばカプトン(Kapton)(登録商標)(ポリイミド)であるか、または「フレックス回路」として知られる可撓性電気回路を含むことができる。
図5Bは、キャリア部材572の実施形態の概略図である。例示するように、キャリア部材572は、キャリア部材572を曲線形に変形することができるようにする可撓性材料から作ることができる。キャリア部材572において、キャリア部材の両面に間隔を空けてさまざまなモジュール590を装着することができる。モジュール590は、積層させることもできる。例示するモジュール590は、例えば、本明細書において考察するモジュールのあらゆるもの(例えばコントローラ、送信器等)を表すことができる。キャリア部材572においてさまざまなモジュール590の間に電気トレースなどの信号配線を形成することができる。モジュール590は、キャリア部材572上に離間した間隔で装着されているので、キャリア部材572とモジュール590との組合せは、移植される先の解剖構造の形をより自由にとることができる。
【0047】
図示しないが、燃料電池510およびキャリア部材572ならびにその装着されたエレクトロニクス構成要素が流体チャネル内に設けられる。流体チャネルは、例えば、一般的に、形が円筒状であるが他の形も可能である内腔または鞘であってよい。いくつかの実施形態において、内腔または鞘は、一般的に、円形、正方形、または長方形の断面形を有し得る。正方形および長方形の断面形は、鞘内に基板、エレクトロニクス等をより効率的に適合させることができるという点で有利であり得る。鞘は、一般的には正方形または長方形の断面形を有し得るが、正方形または長方形の隅は、例えばシュレム管または脈絡膜上腔への装置の挿入を容易にし、組織に対するあらゆる損傷を避けるために、丸くされ得る。流体チャネルは、意図された外科的位置にセンサ装置を移植したとき、眼の中の房水と流体連通するように設計されている入口ポートを有することができる。流体チャネルは、房水の生理的流出路と流体連通するように設計されている流体出口ポートも有することができる。例えば、流体チャネルの出口ポートは、脈絡膜上腔またはシュレム管の中に配置することができるだろう。房水は、流体チャンネルを通って流れると、燃料電池510と接触するに至り、従ってセンサ装置500を動作させる電力の発生のために燃料電池に燃料(例えば、房水中に溶解したグルコース)を提供することができる。さらに、センサ装置500は、流体チャネルを通る水様液の流れを支援するポンプモジュール(図示せず)を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、生理学的特性検出モジュール560は、眼内圧を測定するように設計される。従って、そのような実施形態において、検出モジュール560は、装置500が眼の中の意図された目的位置に移植されたとき、前眼房の中に配置されるように設計され得る。しかし、本明細書において考察するように、検出モジュール560は、同じく、またはあるいは、他の生理学的特性を測定するように設計され得る。
図5Aに例示したように、検出モジュール560は、装置500の残りから取り外すことができるモジュール式の構成要素であり得る。例示した特定の実施形態において、検出モジュール560は、基板として例示されるキャリア部材572と嵌合するノッチ付きコネクタ566を備える。回路基板は、検出モジュール560に/から信号および電力を通信するための電気線も備える。検出モジュール560は、キャリア部材572、エレクトロニクス構成要素(例えば570、574、580)および燃料電池510を内包する流体チャネルと嵌合するコネクタ564も備え得る。詳しくは、検出モジュール560は、流体チャネルとして使用される鞘の一方の開口に装着するキャップであり得る。流体チャネルが検出モジュールの周りにある房水と流体連通することが可能になる流体入口ポート562を検出モジュール560の中に設けることができる。
【0049】
本明細書において考察するように、燃料電池510は、グルコース燃料電池であってよい。
図5Aにおいては2つの別々の燃料電池を例示するが、他の実施形態は、1つだけ、またはなにか違う数の燃料電池を用い得る。グルコース含有房水は、検出モジュール560の入口ポート562に入ることができる。房水は、次に、検出モジュールによって蓋をされた流体チャネルを通り、キャリア部材572および電気的な構成要素(例えばコントローラモジュール570、信号調整モジュール574、アンテナ580)の上および周り、次に燃料電池510の上および周りを流れてから流体チャネルの出口ポートを出て房水の生理的流出路に入ることができる。
【0050】
初期の見積もりに基づくと、このグルコース燃料電池510は、およそ1.5mW/cm2表面積を提供する能力を有し得る。燃料電池510のサイズおよび表面積は、利用可能な空間に応じて用途毎に変化し得る。しかし、センサ装置500が脈絡膜上腔に挿入可能であるサイズに設定される用途についての初期の見積もりは、燃料電池の各々が約2.9×10-3cm2の表面積を有し得るというものである。これらの見積もりに基づけば、燃料電池510の各々は、約4.3×10-3mWを発生し得る。従って、これらの2つの燃料電池の組合せは、およそ8μWを提供するだろう。初期の見積もりによれば、グルコース燃料電池510は、この8μWの電力を発生するために毎分およそ4.8×10-8モルのグルコースを要するだろう。典型的な房水産生速度と水様液中のグルコース濃度とに基づくと、これらの燃料電池によって必要とされるグルコースは、眼の中で利用可能なグルコースのわずかな割合(例えば、0.4%)であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、センサ装置500は、測定を行う際に数マイクロワット、測定間の待機モードの際に数ピコワットのオーダーで消費すると見積もられる。しかし、外部装置への測定値の送信は、もっと多くの、おそらく短期間でミリワットのオーダーの電力を必要とし得る。センサ装置500の正確な電力需要は、測定の頻度、外部装置へのデータ送信の頻度および必要範囲等を含む多数の要因によって決まる。しかし、センサ装置500の所要電力に応じて追加の、またはより少数の燃料電池を用いることができる。
【0052】
図6は、眼600の中に移植された
図5Aの装置500を示す概略図である。詳しくは、
図6は、センサ装置500の配置の上面図であり、アンテナ580からの電磁波の送信も示している。
図6は、前房610、視神経616、およびさまざまな他の解剖学的特徴物とともに眼600を示す。頬骨620も示される。
【0053】
いくつかの実施形態において、センサ装置500は、例示するように、少なくとも部分的に眼の脈絡膜上腔中に移植および/または留置されるように設計される。そのような実施形態において、センサ装置500は、約0.6mm以下の外径または寸法を有する全体として細長い、円筒状の形で設計され得る。いくつかの実施形態において、全体として細長い、円筒状のセンサ装置500は、長さ約3~14mmである。いくつかの実施形態において、全体として細長い、円筒状のセンサ装置500は、長さ約4mmであり、約360μmの外径または寸法、および約160μmの内径または寸法を有する。センサ装置500の本体は、ポリエーテルスルホン(PES)を含むさまざまな材料でできていてよい。さらに、いくつかの実施形態において、センサ装置は、角膜縁またはその近くの自己封止性切り込みを介して前房に挿入することができるが、白内障手術、線維柱帯切除術または他の眼科外科手技のために作られた切り込みなどの他の開口を通して挿入することもできるだろう。既に考察したように、センサ装置500は、検出モジュール560が前房610中に残り、房水と流体連通する一方で、装置500の残りの部分が少なくとも部分的に脈絡膜上腔および/またはぶどう膜強膜流出路の他の部分に配置されるように挿入され得る。この配置は、検出モジュール560が前房610内の眼内圧を測定することを可能にする一方で、流体チャネルを経る脈絡膜上腔への水様液排出も提供する。いくつかの実施形態において、圧力センサモジュールおよび太陽電池を含むがこれに限定されるものではないセンサ装置500の特定の構成要素は、脈絡膜上腔中に留置し、続いて、配置されたら、または配置されている間に、広がるかまたは大きくなる装置の一部として、小さな切り込みを通って前房に挿入可能であるように設計することができるだろう。この広がるかまたは大きくなる働きを有する実施形態において、剛直な構成要素は、可撓性の支持体に装着することができるだろう。センサ装置500のための他の眼内配置も用いられ得る。例えば、センサ装置500は、少なくとも部分的にシュレム管に挿入されるように設計され得る。そのような実施形態において、センサ装置500は、例えば、約150μm以下の直径または寸法を有する全体として細長い、円筒状の形を有し得る。既に考察したように、いくつかの実施形態(眼内圧センサなど)において、センサ装置500は、完全に眼の脈絡膜上腔中に移植され得る。
【0054】
センサ装置500は、1つの寸法を細長くし、第2および/または第3の寸法を狭くするかまたは薄くすることによって、毛様体上腔または脈絡膜上腔中の配置に合うように構成され得る。細長い寸法は、2~25mm、またはより特定的には3~14mmの範囲であり得る一方で、狭い寸法は、(a)小型ゲージ挿通針またはカニューレを介する眼への挿入を容易にするため、および/または(b)解剖構造の湾曲(例えば強膜の湾曲)に形を合わせるのに十分なほど装置を可撓性にするために、1mm未満、好ましく0.6mm未満であり得る。
【0055】
図6に例示した配置の少なくとも1つのあり得る利点は、アンテナ580が骨、例えば眼窩骨または頬骨620によってほとんど遮蔽され得ないことである。従って、アンテナ580は、柔組織を通して送信することしか求められない。このことは、送信器の電力需要を緩やかにし、および/または装置の送信域を増大させることができる。
【0056】
前房中のセンサ装置500の配置の別の利点は、この本体位置が本明細書に考察するように免疫的に特別に恵まれていることである。他の本体位置においては、異物の存在に対する反応としてコラーゲン(「繊維性」)被包が起こり得る。線維性被包は、移植された生物医学センサの実用寿命を短縮し得る障害である。これに対して、前房は、炎症性免疫応答を誘発しないで異物を導入し得るような「免疫特権」を示す、非常に数少ない体の部位の1つである。従って、最小限の外傷で移植され、少なくとも一部が前房内に配置されたグルコース(または他の)バイオセンサなどの異物は、体の中の他の場所に移植された同じバイオセンサより少ない線維性被包および長い実用寿命を十分に経験し得る。
【0057】
本明細書において考察するように、センサ装置500は、移植されたセンサによって測定され一時的に記憶された眼内圧値が、例えば、移植されたセンサに睡眠中に問い合わせる、患者のベッド横の装置などのようなモニタによって自動的に読み取られるシステムの一部として用いることができる。いくつかの実施形態において、ベッド横のモニタは、例えばインターネットと接続し、評価のためにデータを診療室へ自動的に送るだろう。このシステムは、移植されたセンサによって行われた眼内圧測定値の時間の記録とメモリ中の一時記憶を含むことができるだろう。センサ測定値は、連続的または断続的であってよく、装置は、活動状態と静止状態との間で切り替えることができるだろう。
【0058】
図7は、留置用部材702を有する移植可能な眼内生理学的センサ700の概略図である。留置用部材702は、センサ700を眼組織704、例えば房水のための生理的流出路を含む眼組織に固定的に付着させるために用いることができる。留置用部材702は棘のある保持特徴物を有して例示されるが、多くの異なるタイプの保持特徴物のいずれを備えることもできる。さらに、生理学的センサ700は、あらゆる他のセンサ装置に関して本明細書において考察する特徴物のいずれを備えることもできる。
【0059】
図8は、留置用部材802および流体チャネルを有する移植可能な眼内生理学的センサ800の概略図である。すなわち、生理学的センサ800は、有利には、水様液排出特徴物を生理学的特性検出特徴物と組合せる。センサ800は、本明細書に考察するように、検出モジュール、コントローラモジュール、送信器、燃料電池等を備えることができるヘッド部分805を備える。ヘッド部分805は、軸部分803によって留置用部材802に付着させることができる。いくつかの実施形態において、留置用部材802は、眼組織804への貫通およびそのような眼組織中の保持を可能にするテーパを有する球根状の部分である。いくつかの実施形態において、軸部分803の長さは、センサ装置800が配置されるように設計される眼組織804の厚さに対応する。
【0060】
センサ装置800は、流体チャネル808も備えることができる。流体チャネル808は、内部の特徴物であることを示すために点線によって例示される。いくつかの実施形態において、流体チャネル808は、センサ装置800のヘッド部分805において入口ポートを有する。流体チャネル808は、センサ装置800が移植されると房水と流体連通するように設計されているヘッド部分から、軸部分803を通って留置用部材802まで延在することができる。いくつかの実施形態において、センサ装置800は、外部流体チャネルおよび出口特徴物、例えば溝を備え得る。留置用部材802は、1つ以上の流体出口ポート806を備えることができる。いくつかの実施形態において、生理学的センサ800は、前眼房に挿入され、眼組織804中に留置されるようなサイズおよび形にされる。一実施形態において、インプラントは、小柱網に留置され、従ってシュレム管への房水の排出増進を可能にする。
【0061】
図9は、留置用部材902と、生理学的センサのエレクトロニクスハウジング部分を貫通しない流体チャネル908と、を有する移植可能な眼内生理学的センサ900の概略図である。生理学的センサ900は、この実施形態においてはセンサのさまざまなエレクトロニクス構成要素(例えば検出モジュール、コントローラモジュール、送信器、燃料電池等)のためのハウジングとして使用されるヘッド部分905を備える。ヘッド部分905は、軸部分903を介して留置用部材902に接続される。
【0062】
軸部分903は、1つ以上の流体入口ポート909および流体チャネル908を備える。流体チャネル908は、留置用部材902中に延在し、留置用部材902は、1つ以上の流体出口ポート906を備える。軸部分903は、その長さに沿ってヘッド部分905と留置用部材902との間にフランジ907も備える。フランジ907は、留置用部材902とともに、ヘッド部分905が組織904の上に立ち上がるようにセンサ装置900を眼組織904に装着することを可能にする。流体チャネル908の入口ポート909は、ヘッド部分905とフランジ907との間で軸部分903に配置される。従って、流体チャネル908は、エレクトロニクス構成要素が配置されているハウジング(例えば、ヘッド部分905)を必ずしも貫通する必要がない。エレクトロニクスハウジングを通して流体チャネルを配置すると、ハウジング内のエレクトロニクス構成要素のレイアウトが複雑になり得るので、このことは有利であり得る。しかし、
図9に例示した実施形態において、エレクトロニクスハウジングと流体チャネルとは、実質的に独立に設計することができる。
【0063】
図7~10の例示は、本来、概略的である。従って、インプラントの形、位置、および設計ならびにインプラントの特徴は、例示したものと異なり得る。例えば、ヘッド部分、留置用部分、およびフランジを含むがこれに限定されるものではない特徴物の形および相対サイズは、例示した通りであってもよいが、異なる形も有し得る。他の実施形態において、ヘッド部分の断面形は、円形または多角形のことがあり、頂部は、一般に平らまたは湾曲し、インプラントの他の特徴物と比較してサイズが大きいかまたは小さいことがある。他の実施形態において、アンカー、留置用部分および/またはフランジは、ここで参照によって本明細書に全体が援用される米国特許第7,857,782号において開示されるものを含む種々のサイズおよび形であり得る。インプラントは、例示したものより多いかまたは少ない入口および/または出口ポートを有することがあり、入口および/または出口ポートは、異なるサイズおよび/形であって、異なる位置にあり得る。前述のように、センサ装置は、1つの寸法を細長くし、第2および/または第3の寸法を狭くするかまたは薄くすることによって、毛様体上腔または脈絡膜上腔中の配置に合うように構成され得る。細長くされた寸法は、2~25mmの範囲のことがあり、一方、狭い寸法は、(a)小型ゲージ挿通針またはカニューレを通す眼への挿入を容易にするため、および/または(b)装置を解剖構造の湾曲(例えば強膜の湾曲)に合わせるのに十分なほど可撓性にするために、1mm未満、好ましくは0.5mm未満であり得る。
【0064】
本明細書に記載するインプラントは、眼に送達される1種類以上の薬を含み得る。薬送達機能を有する装置は、薬が眼に直接送達されることを可能にし、眼内の構造体、例えば黄斑、網膜、毛様体、視覚神経への標的型送達、あるいは眼の特定の領域への脈管供給も可能にし得る。薬溶出インプラントの使用は、病状に応じて管理された量の薬を所望量の時間投与する機会も提供することができるだろう。例えば、いくつかの症状は、薬が一定の速度で数日間だけ放出されることを必要とすることがあり、他は、一定速度での薬の放出を最大数ヶ月間必要とすることがあり、さらに他は、時間の経過とともに定期的または変化する放出速度を必要とすることがあり、さらに他は、放出しない期間さえ必要とすることがある。さらに、薬の送達が完了したら、インプラントは、追加の機能に使用され得る。インプラントは、眼窩内の流体流路の開存性を維持することがあり、同じまたは異なる治療薬の将来の投与のための貯蔵所として機能することがあり、あるいは第1の位置から第2の位置への流体流路または通路の開存性を維持するためにも機能することがあり、例えばステントとしても機能することがある。逆に、突発的にだけ薬が必要になった場合、インプラントは、完全に生物分解性にされ得る。
【0065】
本明細書において用いられる「薬」とは、一般的に、単独で、1種類以上の薬学的に許容される添加物(例えばバインダ、崩壊剤、充填剤、希釈剤、潤滑材、薬徐放性ポリマーまたはその他の剤等)、本明細書に記載されるインプラント内に収容され得る助剤または化合物と組合されて、および/または調合されて投与され得る1種類以上の薬を指す。用語「薬」は、「治療薬」および「医薬品」または「薬剤」などの用語と区別なく用いられることがあり、いわゆる小分子薬だけでなく高分子薬、ならびにタンパク質、核酸、抗体などを含むがこれに限定されるものではない生物製剤も、そのような薬が天然物であるか、合成物であるか、または組み換え体であるかどうかに関わりなく含む広義の用語である。「薬」は、単独の薬または上記添加物と組合された薬を指し得る。「薬」は、活性な薬それ自体あるいは活性な薬のプロドラッグまたは塩も指し得る。
【0066】
眼内の所望の部位への移植の後に、インプラントのさまざまな側面の設計に基づいて標的型かつ管理された方法で好ましくは長期間、インプラントから薬が放出される。本明細書において開示されるインプラントおよび関連する方法は、後眼房、前眼房、または眼内の特定の組織への薬投与を必要とする病状の処置において用いられ得る。
【0067】
薬送達装置としてだけ機能するいくつかの実施形態において、インプラントは、管理された方法で1種類以上の薬を前眼部に送達するように構成され、一方、他の実施形態において、インプラントは、管理された方法で1種類以上の薬を後眼部に送達するように構成される。さらに他の実施形態において、インプラントは、管理された方法で薬を前眼部と後眼部との両方に同時に送達するように構成される。また他の実施形態において、インプラントの構成は、薬が標的型の方法で特定の眼内組織、例えば黄斑、毛様体、毛様体突起、毛様筋、シュレム管、小柱網、強膜静脈、水晶体皮質、水晶体上皮、水晶体嚢、脈絡膜、視神経、および/または網膜に放出されるようなものである。
【0068】
特定の実施形態において、薬送達インプラントは、生体内分解性ポリマーあるいは生体内分解性ポリマーと少なくとも1種類の追加の薬剤と調合され得るかまたは調合されないかもしれない1種類以上の薬を含有し得る。さらに他の実施形態において、薬送達インプラントは、複数の薬を順次送達するために用いられる。さらに、計画的な薬溶出プロファイルを生み出すために種々の外側シェル材料、および/またはさまざまな透過性の材料を用いて特定の実施形態が構築される。計画的な薬溶出プロファイルを生み出すためにインプラントシェル中の種々の数、寸法および/または位置のオリフィスを用いて特定の実施形態が構築される。計画的な薬溶出プロファイルを生み出すために種々のポリマーコーティングおよびインプラント上の種々のコーティング位置を用いて特定の実施形態が構築される。実施形態は、ゼロ次放出プロファイルによって一定の速度で、または可変溶出プロファイルによって薬を溶出し得る。予め定められた期間溶出を完全にまたはほぼ完全に停止し(例えば「薬休日」)、後に同じかまたは異なる溶出速度もしくは濃度で溶出を再開するようにいくつかの実施形態が設計される。いくつかのそのような実施形態は、薬休日の前後に同じ治療薬を溶出し、一方、他の実施形態は、薬休日の前後に異なる治療薬を溶出する。
【0069】
センサとともに用いる別個の薬送達インプラント、ならびに薬を含むコーティングを有するあらゆるインプラント、を含む薬送達機能を有する実施形態で利用される治療薬は、下記に提示する1種類以上の薬を単独または組合せて含み得る。利用する薬は、下記に提示する薬のうち1種類以上のものの均等物、誘導体または類縁体でもあり得る。薬は、抗緑内障薬、眼薬、抗微生物薬(例えば抗生剤、抗ウイルス剤、駆虫剤、抗真菌剤)、抗炎症剤(ステロイドまたは非ステロイド抗炎症剤を含む)、ホルモン、酵素または酵素関連成分、抗体または抗体関連成分、オリゴヌクレオチド(DNA、RNA、短鎖干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどを含む)、DNA/RNAベクター、ウイルス(野生型または遺伝的に改変されたもの)またはウィルスベクター、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、および1種類以上の生物成分を産生するように構成された生細胞を含む生物剤を含む医薬品を含むがこれに限定されるものではない。いかなる特定の薬の使用も、その主要な効果あるいは規制機関によって承認された治療の適応または用法に限定されない。薬は、別の薬または治療剤の1種類以上の副作用を軽減するかまたは治療する化合物もしくは他の物質も含む。多くの薬が単一より多い作用モードを有するので、下記のいずれか1つの薬効分類内のいずれか特定の薬の列挙も、その薬の1つの可能な使用を表しているに過ぎず、その使用の範囲を眼インプラントシステムに限定するものではない。
【0070】
上記で考察したように、治療薬は、当分野において知られているように、あらゆる数の添加物と組合され得る。上記で考察した生分解性ポリマー型添加物に加えて、ベンジルアルコール、エチルセルローズ、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セチルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、デキストラン、デキストロース、フルクトース、ゼラチン、グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、カオリン、塩化カルシウム、ラクトース、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、ポリソルベート、アルファデンプン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素(silcon dioxide)、コーンスターチ、タルカムパウダーなどを含むがこれに限定されるものではない他の添加物を用い得る。1種類以上の添加物は、約1%、5%、または10%という低い合計量で含まれてもよく、他の実施形態において50%、70%、90%以上という高い合計量で含まれてもよい。薬が微視的なペレットまたは錠剤の形のとき、多量の添加物が望ましい。ここで参照によって開示全体が援用される国際公開第2010/135369号にそのような錠剤についての追加の開示を見いだし得る。
【0071】
薬の例は、いろいろな抗分泌剤;数ある中で、アンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジンなどの抗血管新生剤、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標)およびベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ペガプタニブ(マクジェン(登録商標))、スニチニブおよびソラフェニブならびに抗血管新生作用を有するさまざまな小分子および転写阻害剤のいずれかのものなどのVEGFレセプタチロシンキナーゼ阻害剤および抗血管内皮成長因子(抗VEGF)薬を含む抗有糸分裂剤および他の抗増殖剤;例えば、アテノロールプロプラノロール、メルチプラノール、ベタキソロール、カルテオロール、レボベタキソロール、レボブノロールおよびチモロールなどのベータ遮断薬を含むアドレナリン拮抗薬のような緑内障薬を含む公知の種類の眼薬;エピネフリン、ジピベフリン、クロニジン、アプラクロニジン(aparclonidine)およびブリモニジンなどのアドレナリン作用性アゴニストまたは交感神経様作用薬;ピロカルピン、カルバコール、フォスフォリンヨウ素、およびフィゾスチグミン、サリチレート、塩化アセチルコリン、エゼリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、デメカリウムブロミドなどの副交感神経作動薬またはコリン作動薬(cholingeric agonists);ムスカリン作動薬(muscarinics);局所および/または全身薬、例えばアセタゾラミド(acetozolamide)、ブリンゾラミド、ドルゾラミドおよびメタゾラミド、エトキゾラミド、ダイアモックスおよびジクロロフェナミドを含む炭酸脱水酵素阻害薬;アトロピン、シクロペントレート、スクシニルコリン、ホマトロビン、フェニレフリン、スコポラミンおよびトロピカミドなどの散瞳性毛様体筋麻痺薬;プロスタグランジンF2アルファなどのプロスタグランジン、抗プロスタグランジン薬、プロスタグランジン前駆体、またはビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロストおよびウノプロストンなどのプロスタグランジンアナログ薬を含み得る。
【0072】
薬の他の例は、例えば、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-リン酸、メチルプレドニゾロン、プレドニソロン21-リン酸、酢酸ブレドノゾロン、プレドニソロン、フルオロメトロン(fluroometholone)、レテプレドノール、メドリゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、レテプレドノール、リメキソロンなどの糖質コルチコイドおよびコルチコステロイドを含む抗炎症剤ならびに例えば、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナクおよびケトロラク、サリチレート、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン(naxopren)、ピロキシカムおよびナブメトンを含む非ステロイド抗炎症薬;例えばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン(gentamycin)、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファダイアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、ゲンタマイシン(gentamicin)およびトブラマイシンなどのアミノ配糖体を含む抗生物質などの抗感染薬または抗微生物薬;シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシンなどのフルオロキノロン類;バシトラシン、エリスロマイシン、フシジン酸、ネオマイシン、ポリミキシンB、グラミシジン、トリメトプリムおよびスルファセタミド;アンホテリシンBおよびミコナゾールなどの抗真菌薬;イドクスウリジントリフルオロチミジン(idoxuridine trifluorothymidine)、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロンなどの抗ウイルス薬;抗真菌薬(antimicotics);例えばクロモグリク酸ナトリウム(sodium chromoglycate)、アンタゾリン、メタピリレン(methapyriline)、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミンを含む抗アレルギー薬などの免疫調節薬;アゼラスチン、エメダスチンおよびレボカバスチンなどの抗ヒスタミン薬;免疫学的薬(ワクチンおよび免疫刺激剤など);クロモリンナトリウム、ケトチフェン、ロドキサミド、ネドクリミル、オロパタジンおよびペミロラスト毛様体切除剤、例えばゲンタマイシン(gentimicin)およびシドホビルなどの肥満(MAST)細胞安定化薬;およびベルテポルフィン、プロパラカイン、テトラカイン、サイクロスポリンおよびピロカルピンなどの他の眼科薬;細胞表面糖タンパク質受容体の阻害剤;フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン(tetrahydrazoline)などのうっ血除去薬;脂質または血圧降下脂質;キンピロール、フェノルドパムおよびイボパミンなどのドーパミン作動薬および/または拮抗薬;血管痙攣阻害剤;血管拡張剤;抗高血圧薬;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;オルメサルタンなどのアンギオテンシン-1受容体拮抗薬;微小管阻害薬;分子モーター(ダイニンおよび/またはキネシン)阻害薬;サイトカラシン(cyctochalasin)、ラトランキュリン、スウィンホリドA、エタクリン酸、H-7、およびRho-キナーゼ(ROCK)阻害剤などのアクチン細胞骨格調整薬;リモデリング阻害薬;tert-ブチルヒドロ-キノロンおよびAL-3037Aなどの細胞外マトリックスの調節剤;N-6-シクロヘキシルアデノシン(N-6-cylclophexyladenosine)および(R)-フェニルイソプロピルアデノシンなどのアデノシン受容体作動薬および/または拮抗薬;セロトニン作動薬;エストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インシュリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチドおよびバソプレッシン視床下部放出因子などのホルモン薬;例えば表皮成長因子、線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子またはそれらの拮抗薬(それぞれ参照によって全体が本明細書に援用される米国特許第7,759,472号あるいは米国特許出願第12/465,051号、第12/564,863号または第12/641,270号に開示されているものなど)、トランスフォーミング成長因子β、ソマトトロピン(somatotrapin)、フィブロネクチン、結合組織成長因子、骨形態形成タンパク(BMP)を含む成長因子拮抗薬または成長因子;インターロイキン、CD44、コクリンなどのサイトカイン、および血清アミロイド、例えば血清アミロイドAも含み得る。
【0073】
他の治療薬は、ルベゾール(lubezole)、ニモジピンおよび関連化合物などの神経保護薬、ならびにドルゾラミドまたはベタキソロールなどの血行促進薬;エリスロポエチン(etythropoeitin)などの血液酸素化を促進する化合物;ナトリウムチャネル遮断薬;ニルバジピンまたはロメリジンなどのカルシウムチャネル遮断薬;メマンチンニトロメマンチン(memantine nitromemantine)、リルゾール、デキストロメトルファンまたはアグマチンなどのグルタメート阻害剤;ガランタミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(acetylcholinsterase inhibitors);ヒドロキシルアミンまたはその誘導体、例えば水溶性ヒドロキシルアミン誘導体OT-440;フラボノイド配糖体および/またはテルペノイドを含有する硫化水素化合物などのシナプスモジュレータ、例えばイチョウ;グリア細胞系統誘導神経栄養因子(neutrophic factor)、脳誘導神経栄養因子などの神経栄養因子;毛様神経栄養因子または白血病抑制因子などのIL-6ファミリーのタンパク質のサイトカイン;一酸化窒素レベルに影響を及ぼす化合物または因子、例えば一酸化窒素、ニトログリセリン、または一酸化窒素シンターゼ阻害剤;WIN55-212-2などのカンナビノイド受容体作動薬(agonsists);EDTAメチルトリエステル(MPSEDE)と組合されたメトキシポリエチレングリコールチオエステル(MPDTE)またはメトキシポリエチレングリコールチオール(methoxypolyethlene glycol thiol)などのフリーラジカル捕捉剤;アスタキサンチン(astaxathin)、ジチオールチオン、ビタミンE、またはメタロコロール(例えば鉄、マンガンまたはガリウムコロール)などの抗酸化剤;ニューログロビンまたはサイトグロビンなどの酸素ホメオスタシスに関与する化合物または因子;ミトコンドリア分割または分裂に影響を及ぼす阻害剤または因子、例えばMdivi-1(ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)の選択阻害剤);Rho-キナーゼ阻害剤H-1152またはチロシンキナーゼ阻害剤AG1478などのキナーゼ阻害剤またはモジュレータ;インテグリン機能に影響を及ぼす化合物または因子、例えばβ1-インテグリン活性化抗体HUTS-21;N-アシル-エタノールアミン(N-acyl-ethanaolamines)およびその前駆体、N-アシル-エタノールミンリン脂質;グルカゴン様ペプチド1受容体の刺激物質(例えばグルカゴン様ペプチド1);レスベラトロルなどのポリフェノール含有化合物;キレート化合物;アポトーシス関連プロテアーゼ阻害薬;新しいタンパク質合成を低下させる化合物;放射線治療薬;光力学療法薬;遺伝子治療薬;遺伝モジュレータ;グラチミルなどの神経または神経の一部分への傷害(例えば脱髄)を予防する自己免疫モジュレータ;抗NgR遮断タンパク質NgR(310)ecto-Fcなどのミエリン阻害剤;FK506結合タンパク質(例えばFKBP51)などのその他の免疫モジュレータ;ならびにサイクロスポリンAなどのドライアイ医薬、鎮痛薬(delmulcents)、およびヒアルロン酸ナトリウムを含み得る。
【0074】
使用し得る他の治療薬は、アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、エスモロール(asmolol)、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロールとピンドロールなどの他のベータ遮断薬;アスピリン、ベタメタゾン、コルチゾン、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルドロコルチゾン、フルルビプロフェン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン(indomethacine)、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、プレドニソロン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダクおよびトルメチンなどの他のコルチコステロイド系抗炎症薬および非ステロイド系抗炎症薬;セレコキシブ、ロフェコキシブおよびバルデジキシブ(rofecoxib and. Valdecoxib)のようなCOX-2阻害剤;他の免疫調節薬(例えばアルデスロイキン、アダリムマブ(フミラ(HUMIRA)(登録商標))、アザチオプリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタナーセプト(エンブレル(ENBREL)(登録商標))、ハイドロキシクロロキン、インフリキシマブ(レミケード(REMICADE)(登録商標))、レフルノミド、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチルおよびスルファサラジン);ロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジンおよびプロメタジンなどの他の抗ヒスタミン薬;アミカシンおよびストレプトマイシンのようなアミノグリコシドなどの他の抗感染性薬;アンホテリシンB、カスポファンギン、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィンおよびナイスタチンなどの抗かび剤;クロロキン、アトバクオン、メフロキン、プリマキン、キニジンおよびキニーネなどの抗マラリア薬;エタンブトール、イソニアジド、ピラジンアミド、リファンピンおよびリファブチンなどの抗マイコバクテリウム薬;アルベンダゾール、メベンダゾール、チアベンダゾール(thiobendazole)、メトロニダゾール、ピランテル、アトバクオン、ヨードキノール(iodoquinaol)、アイバメクチン、ピューロマイシン(paromycin)、プラジカンテルおよびトリメトレキセート(trimatrexate)などの抗寄生虫薬;アシクロビル、シドホビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル(gangciclovir)、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、トリフルリジンおよびフォスカーネットなどの抗CMV薬または抗ヘルペス薬を含む他の抗ウイルス薬;リトナビル、サキナビル、ロピナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビルおよびネルフィナビルなどのプロテアーゼ阻害薬;アバカビル、ddI、3TC、d4T、ddC、テノホビルおよびエムトリシタビン、デラビルジン、エファビレンツおよびネビラピンなどのヌクレオチド/ヌクレオシド/非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬;インターフェロン、リバビリンおよびトリフルリジン(trifluridiene)などの他の抗ウイルス薬;エルタペネム、イミペネムおよびメロペネムのようなカルバペネム(cabapenems)を含む他の抗菌薬;セファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セファレキシン、セファクロル、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム(ceftaxidime)、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシムおよびロラカルベフなどのセファロスポリン;アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシンおよびテリスロマイシンなどの他のマクロライドおよびケトライド;アモキシリン、アンピシリン、ピバンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリンおよびチカルシリンを含むペニシリン(クラブラネート併用/非併用);ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびテトラサイクリンなどのテトラサイクリン;アズトレオナム、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リネゾリド、ニトロフラントインおよびバンコマイシンなどの他の抗菌薬;ドキサゾシン、プラゾシンおよびテラゾシンなどのアルファ遮断薬;アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミルなどのカルシウムチャネル遮断薬;クロニジン、ジアゾキシド、フェノルドパム(fenoldopan)、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、フェノキシベンザミン、エポプロステロール、トラゾリン、トレプロスチニルおよびニトレート系薬などの他の抗高血圧薬;ヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリンおよびフォンダパリヌクスなどのヘパリンおよびヘパリノイドを含む抗血液凝固薬;ヒルジン、アプロチニン、アルガトロバン、ビバリルジン、デシルジン、レピルジン、ワルファリンおよびキシメラガトランなどの他の抗血液凝固薬;アブシキシマブ、クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド(optifebatide)、チクロピジンおよびチロフィバンなどの抗血小板薬;アルプロスタジル、カルボプロスト、シルデナフィル、タダラフィルおよびバルデナフィルなどのプロスタグランジンPDE-5阻害薬および他のプロスタグランジン薬;トロンビン抑制薬;抗血栓薬;抗血小板凝集薬;アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼおよびウロキナーゼなどの血小板溶解薬および/または線維素溶解薬;シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセルおよびミコフェノール酸などの抗増殖薬;レボチロキシン、フルオキシメステロン(fluoxymestrone)、メチルテストステロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、テストステロン、エストラジオール、エストロン、エストロピペート、クロミフェン、ゴナドトロピン、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ミフェプリストーン、ノルエチンドロン、オキシトシン、プロゲステロン、ラロキシフェンおよびタモキシフェンを含むホルモン関連薬;カルムスチンロムスチン(carmustine lomustine)、メルファラン、シスプラチン、フルオロウラシル3(fluorouracil 3)などのアルキル化剤およびブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシンおよびプリカマイシンなどのプロカルバジン抗生物質様薬を含む抗悪性腫瘍薬;抗増殖薬(1,3-cis-レチノイン酸(1,3-cis retinoic acid)、5-フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンCおよびシスプラチンなど);シタラビン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリンおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝薬;アルデスロイキン、イマチニブ、リツキシマブおよびトシツモマブなどの免疫調整薬;有糸分裂阻害薬ドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチン;ストロンチウム-89などの放射性医薬;ならびにイリノテカン、トポテカンおよびミトタンなどの他の抗悪性腫瘍薬を含む。
【0075】
図10は、留置用部材1002および薬収納もしくは薬送達装置1001を有する移植可能な眼内生理学的センサ1000の概略図である。生理学的センサ1000は、本明細書に記載されるさまざまな構成要素、例えば検出モジュール、コントローラモジュール、送信器、燃料電池等を収容し得るヘッド部分1005を備えることができる。ヘッド部分1005は、軸部分1003によって留置用部材1002に付着している。留置用部材1002は、本明細書に記載するように、装置1000を眼組織の中に装着するために(to mount to the device 1000 in eye tissue)用いることができる。生理学的センサ1000は、薬収納部1001も備える。薬収納部または薬送達装置1001は、センサ1000のヘッド部分1005の中の開口として例示されるが、装置1000のさまざまな位置に配置することができる。薬収納部または薬送達装置1001に本明細書に記載した薬のいずれを提供することもできる。いくつかの実施形態において、薬収納部または薬送達装置1001は、指令を受けて薬を連続的に放出することも管理された量の薬を放出することもできる。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する生理学的センサは、生理学的病態を処置するための閉じた監視および制御システムを提供するために用いることができる。例えば、生理学的特性のための目標値を生理学的センサ中に記憶させることができる。センサは、眼の中に移植されたら、その生理学的特性について測定した値を得るために用いることができる。センサは、測定した生理学的特性の値をその生理学的特性の目標値と比較し、次に、測定した生理学的特性の値と生理学的特性の目標値との間の差を小さくする行動を管理することができる。本明細書において考察するように、いくつかの実施形態において、行動は、眼内圧を処置するために薬を放出するか、または眼からの房水の流出を調節することであってよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、生理学的センサ1000は、緑内障患者を担当する臨床医に、その臨床医が設定する所定のIOP目標値に基づいて生理学的センサ1000が制御する個人向け薬物療法投薬計画を設計し実行する能力を与える、閉じた連続IOP監視-制御システムとして使用し得る。一般に、緑内障患者を担当する医者は、疾患進行のリスクを低くするために患者に適すると彼または彼女が感じる眼内圧の目標レベルを定めることができる。目標圧を選択する際に、医者は、現行/基準IOP、家族歴、視神経頭状態、網膜神経線維束評価、および視野作用を含むがこれに限定されるものではない複数の要因を考慮し得る。低圧の方が進行のリスクを低くすることを多数の研究が見いだしているが、臨床医は、進行のリスクと、目標圧に到達し維持するために必要な治療介入に伴う副作用および罹患率との間で適切な均衡を得る目標圧を選択する傾向がある。
【0078】
閉じた連続IOP監視システムを用いて、医者または他の使用者は、目標圧を選択し、特定のIOP測定値基準に応答して所定の用量の、例えば低血圧薬を投与することをシステムが薬送達装置に指示するようにプログラムすることができるだろう。さらに、またはあるいは、システムは、特定の出力に応答して特定の局所医薬を投与するように患者に指示することができるだろう。これによって、システムは、IOPを確実に目標圧以下に保つために必要な量の薬だけを投与することができる。
【0079】
例えば、医者は、患者のために16mmHgの目標圧を選択することができるだろう。患者に、治療レベルの薬、例えばプロスタグランジン類縁体を連続的に投与する眼内生理学的センサ1000などの装置を移植する(例えば小柱網において)ことができる。患者の脈絡膜上腔中にもアルファ作動薬などの薬を含有する装置を移植することができる。ただし、この第2の薬は、移植された装置によって測定された患者の平均IOPが設定した期間、18mmHgを上回った場合にだけ送達され得る。別の例において、医者は、目標圧、例えば18mmHgを選択し得る。治療レベルの薬、例えばプロスタグランジン類縁体を連続的に投与する装置を患者の小柱網の中に移植することができる。移植された監視装置は、患者の平均IOPがある期間、例えば6時間、例えば21mmHgを上回る場合、チモロールなどの薬の局所用量を投与するように患者に通信(例えば患者が着用している外部装置によって)し得る。別の例において、医者は、例えば18mmHgの目標圧を選択し得る。患者のIOPがある設定期間、目標値を上回る時だけ、用量の薬、例えばプロスタグランジン類縁体を投与する装置を患者の小柱網の中に移植することができる。
【0080】
薬によるIOPの管理の制御を提供する閉じた連続IOP監視制御システムに加えて、房水の流出の調節によってIOPを管理するためにステントを用いる類似の閉じた連続IOP監視制御システムを提供することができるだろう。そのような実施形態においては、例えば、臨床医によってセンサ中にプログラムされ得る目標眼内圧値とともに生理学的センサからの眼内圧測定値に基づいてステントの流出および/または薬の放出を制御することができる。
【0081】
グルコース濃度測定値を用いても類似の閉じた連続監視制御システムを実体化することができるだろう。例えば、臨床医または患者が目標グルコースレベルを設定することができるだろう。移植された眼内生理学的センサが次にグルコース濃度レベルを監視し、測定したグルコース値と目標値との間の比較に基づいてインシュリンを投与するようインシュリンポンプを(例えば無線指令インターフェースを用いて)制御することができるだろう。あるいは、および/またはさらに、生理学的センサは、測定したグルコース値と目標値との間の比較に基づいて食事をするかまたは運動をするように患者に(例えば患者が着用する外部装置を介して)通信することができるだろう。
【0082】
本明細書において開示されるインプラントのさまざまな実施形態は、眼の内側からの治療または眼の外側(ab externo)からの治療によって移植され得る。「眼の内側からの」治療は、本明細書において、前房から内部の眼組織中に開口を作り出すかまたは前房の境界を、通常は後ろ向きに、形成するあらゆる治療を意味するものとする。この眼の内側からの治療は、第1段階として、強膜壁または角膜壁を通って前房中に開始され得る。用語「眼の外側からの」治療は、本明細書において、強膜壁に開口を作り出し、内向きに前房の方へ進むあらゆる治療を意味するものとする。例えば、いくつかの「眼の外側からの」治療において、機器は、小柱網に入り前房に接近する前にシュレム管を通過するかまたはシュレム管と接触する。いくつかの実施形態において、眼の外側からの治療は、眼の内部または強膜壁内にセンサ装置を配置するために、強膜壁の厚さの一部またはすべてを貫通する。針またはカニューレを用いて、針またはカニューレの先端が前房または脈絡膜上腔にアクセスするように強膜組織を通るトンネルを形成することによって、侵襲性の低い眼の外側からの治療を達成することができる。次に、少なくとも部分的に前房の中に位置するように、または少なくとも部分的に脈絡膜上腔の中に位置するように、針またはカニューレを通してセンサ装置を進ませ得る。眼内でのセンサ装置の送達後、針またはカニューレを抜き取り、強膜を通る自己封止性トラックを残す。この方法による移植は、センサ装置の一部または全部が強膜組織内、または強膜と結膜との間に納まる結果となる。
【0083】
インプラントは、アプリケータ、例えばプッシャー、ガイドワイヤ、ピンセットまたは他の適当な装置を用いて眼の中に入れ得る。アプリケータは、1つ以上のインプラントを送達するために機器中にエネルギーを蓄えている、米国特許出願公開第2002/0133168号に開示されているものまたは米国特許第7,331,984号に開示されているものを含むがこれらに限定されるものではない送達機器(delivery instrument)でもあり得る。これら2件の文献の内容は、ここで参照によって全体が本明細書に援用される。
【0084】
アプリケータのいくつかの実施形態は、穿孔能力を有し、眼の中にインプラントを移植し、および/または固定することを可能にする孔または開口を眼組織の中に作る目的で、切削もしくは組織貫通特徴物または機構がアプリケータの一部を形成する。いくつかの実施形態において、インプラントは、自身の開口を作るように自己穿孔性であり得る。
【0085】
送達器具の一実施形態は、ハンドピース、細長い本体、ホルダおよび送達機構を備える。いくつかの実施形態において、送達機構は、アクチュエータである。ハンドピースは、遠位端および近位端を有する。細長い本体は、ハンドピースの遠位端に連結している。少なくとも細長い本体の遠位部分は、強膜または縁部もしくは縁部近くを含む角膜中の切り込みを通して前眼房中に入れられるようなサイズおよび構成にされる。ホルダは、細長い先端の遠位部分に付着し、インプラントを保持し、放出するように構成される。配備機構またはアクチュエータは、ハンドピース上にあり、インプラントをホルダから放出することに使用される。
【0086】
いくつかの実施形態において、ホルダは、クランプを含む。クランプは、インプラントの少なくとも一部、通常は近位部分にはさみ力を及ぼすように構成された複数の爪を含み得る。ホルダは、装置を保持するために摩擦を利用するか、またはインプラント上の対応する特徴物と係合する1つ以上のフランジ、バンプまたは他の出っ張った領域も含み得る。ホルダは、インプラントまたはその一部を保持するために細長い本体の末端または末端付近の凹んだ領域または溝も含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、器具は、1つ以上のインプラントがホルダによって保持されると付勢されるように構成されているハンドピース内のばねをさらに含む。ばねは、アクチュエータを作動させると少なくとも部分的に緩み、ホルダからのインプラントの放出を可能にする。
【0088】
送達器具の配備機構は、例えば、アクチュエータ機構中のばねから少なくとも一部の張力を解放するか、または送達装置の少なくとも一部を送達装置の別の部分および/またはインプラントに対して移動させることによって、インプラントの送達を引き起こすように操作されるプッシュ-プルタイププランジャ、押しボタンまたはトリガーを備え得る。いくつかの実施形態において、トロカールまたは切削装置を操作して眼組織における開口の確実かつ予測可能な形成を可能にするために、アクチュエータが用いられ得る。
【0089】
装置の細長い部分は、可撓性であるか、または可撓性材料製、例えば可撓性ワイヤ製であり得る。遠位部分は、好ましくはハンドピースの長軸から約45度の振れ範囲を有することができる。装置の細長い部分は、前房中への開口が作られる所から眼の反対側にある前隅角に達する際に支援するために湾曲し得る。送達器具は、細長い先端において潅水ポートをさらに含むことができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、送達装置は、移植と移植との間に装置を眼から取り出す必要なく2つ以上のインプラントを眼の中に送達するようになっている。送達されるインプラントは、センサ、排出装置、マイクロポンプ、薬送達装置のあらゆる組合せ、および前述の機能の1つ以上を備える装置を含む前述のもののあらゆる組合せであり得る。例えば、送達装置は、センサタイプインプラントおよび組合せ排出/薬送達インプラント、IOPセンサおよび2つの排出インプラント、IOPセンサおよび薬送達インプラントなどを送達し得る。複数のインプラントを送達するための装置は、眼の中の切り込みを通って眼の中に導入されるサイズの細長い本体と、細長い本体の上または中に配置された複数のインプラントとを備え得る。細長い本体は、アクチュエータをさらに含むことがある。細長いアクチュエータは、眼組織中の移植のために細長い本体からインプラントを順次配分する。
【0091】
1つ以上のインプラントを移植する方法は、切り込みを通して眼の中に器具を挿入するステップと、器具を利用して第1の位置において眼組織の中または上に第1のインプラントを送達するステップと、を含む。他の実施形態は、器具を利用してインプラントの送達の間に眼から器具を取り出すことなく第2の位置において第2のインプラントを眼組織の中または上に送達するステップを含む。
【0092】
切り込みは、強膜、または縁部もしくは縁部の近くを含む角膜中に作られ得る。いくつかの実施形態において、切り込みは、自己封止性であるほど小さい。他の実施形態において、移植治療が完了し、送達装置が眼から取り出されたら、開口を閉じるために1、2針縫う必要があり得る。いくつかの実施形態において、切り込みは、長さ約1mmである。次に、当分野で知られているように、前方隅角鏡または眼科手術において用いられる他の画像形成装置を用いてインプラントの配置及び移植が実行され得る。
【0093】
移植時、送達機器は、挿入部位または切り込みを通して進められ、所望の眼組織まで進められ得る。いくつかの実施形態において、この進行は、前房隅角中に経眼的にも後方的にも行われる。前房隅角を基準点として用いて、送達機器は、インプラントを前房隅角から内向きに虹彩中に押しやるために全体として後ろの方向にさらに進ませることができる。送達装置は、小柱網、シュレム管、毛様体上腔、脈絡膜上腔などを含む眼の中のいずれの位置にも1つ以上のインプラントを移植するために用いることができる。
【0094】
任意選択として、インプラント構造に基づいて、インプラントは、前房隅角中に置かれ、前房隅角の環状の形に合致するために湾曲した形をとり得る。しかし、角膜内皮などの繊細な眼組織への損傷を最小限にするために、例えば、アンカー、接着剤、摩擦力または他の力を用いてインプラントが組織にしっかりと固定されか、または少なくとも前眼房内で動く自由がない方が好ましい。
【0095】
送達装置およびインプラントが眼の中の所望の位置になったら、眼組織中に開口が作られ得る。これは、例えば、送達装置の細長い部分の遠位端を用いて、または自己穿孔性インプラントによって行われ得る。次に、インプラントが組織に送達される。送達は、配備機構を用いて行われ得る。例えば、プッシャーチューブが軸方向で送達機器の遠位端の方へ進ませられ、それによってプッシャーチューブが進むにつれてインプラントも進み得る。インプラントが所望の配置になったら、送達機器は、後退させられ、インプラントを眼組織の中に残し得る。次に、別のインプラントが眼の中の別の位置に移植されるか、あるいは送達装置が眼から取り出され得る。
【0096】
他の実施形態において、送達機器は、断続的な移植力の適用によるか、送達機器の遠位部分を用いてインプラントをタップして適所に進ませるか、またはこれらの方法の組合せによって、インプラントに所望の位置に強制的に配置するために用いられる。インプラントは、所望の配置になったら、送達機器の遠位部分を用いてタップすることによってさらに据え付けられ得る。あるいは、装置は、蓄えられたエネルギー、例えばバネまたは他のエネルギー貯蔵手段からのものを用いてインプラントを組織に押し込むアクチュエータを用いて移植され得る。
【0097】
一実施形態において、インプラントは、眼内組織に添加される。一実施形態において、この追加の添加は、生物適合性接着剤を用いて実施され得る。他の実施形態において、1つ以上の縫合が用いられるかまたは1つ以上の組織アンカーが用いられ得る。別の実施形態において、インプラントは、インプラント本体の外表面と前房隅角の周囲組織との相互作用によって実質的に適所に保持される。装置は、前述の添付方法のなんらかの組合せも用い得る。
【0098】
本明細書において、さまざまな眼内生理学的センサが記載される。本明細書にさらに記載するように、いくつかの実施形態において、そのようなセンサは、流体チャネル、または他のタイプのシャントを備える。本明細書において考察するように、いくつかの実施形態において、センサ/シャントは、移植部位から経眼的に位置する部位から挿入する。送達機器は、挿入部位から前房を横切って移植部位までセンサ/シャントを経眼的に進ませるのに十分なほど長くすることができる。機器の少なくとも一部は、可撓性であってよい。あるいは、機器は、剛直であってよい。機器は、互いに対して長軸方向に動くことができる複数の部材を含むことができる。いくつかの実施形態において、送達機器の少なくとも一部は、湾曲しているか屈曲している。いくつかの実施形態において、送達機器の一部分は、剛直であり、器具の別の部分は、可撓性である。
【0099】
いくつかの実施形態において、送達機器は、遠位湾曲を有する。送達機器の遠位湾曲は、およそ10~30mm、好ましくは約20mmの半径を特徴とし得る。
【0100】
いくつかの実施形態において、送達機器は、遠位角を有する。遠位角は、送達機器の近位区分の軸に対しておよそ90から170度、好ましくは約145度であることを特徴とし得る。この角度は、送達機器の近位区分から遠位区分への滑らかな移行を形成するために、「肘」において小さな曲率半径を組み込んでよい。遠位区分の長さは、およそ0.5から7mm、好ましくは約2から3mmであり得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、機器は、尖った前端を有し、自己穿孔性、すなわち自己貫通性であり、切り込み、孔または開口部を予め形成することなく組織を通り抜ける。あるいは、眼組織の中に、そのような組織の中にセンサ/シャントを貫通させる前に、切開部を予め形成するためにトロカール、メスまたは類似の器具を用いることができる。
【0102】
眼内センサ/シャントのいくつかの実施形態の送達のために、機器は、眼からの機器の引き抜き後の縫合なしで挿入部位が自己封止するように十分小さな断面積を有することができる。送達機器の外径は、好ましくは約18ゲージより大きくなく、約32ゲージより小さくない。明確化および疑義の回避を目的として、本明細書において開示されるすべての送達装置は、センサ、シャントまたは排出装置、およびそれらの組合せを含むがこれに限定されるものではない本明細書において開示するあらゆるインプラントを眼のあらゆる部分、および好ましくは前房からアクセスすることができる部分に送達するために用いられ得る。送達装置は、好ましくは移植と移植との間に送達装置を眼から取り出す必要なく、2つ以上の装置も送達し得る。
【0103】
眼内センサ/シャントのいくつかの実施形態の送達のために、角膜組織の中の切り込みは、好ましくは、センサ/シャントが通過する中空の針を用いて作られる。針は、切り込みが自己封止性であり、移植が粘弾性(viscoelastic)の有無にかかわらず閉じた眼房の中で行われるように、小さな直径サイズ(例えば18または19または20または21または22または23または24または25または26または27または28または29または30または31または32ゲージ)を有する。自己封止性の切り込みは、角膜を通る全体として逆V字形の切り込みを作り出すためにスパチュラ形のメスを用いる従来の「トンネリング(tunneling)」治療を用いても形成することができる。好ましいモードにおいて、角膜を通る切り込みを形成するために用いる機器は、治療中に適所に残り(すなわち、角膜切り込みを通って延在し)、移植後まで取り出されない。そのような切込み形成機器は、眼センサ/シャントを運ぶためにも送達機器と協力して切り込み形成器具を引き出すことなく同じ切り込みを通る移植を可能にするためにも用いることができる。もちろん、他のモードにおいて、1つ以上の角膜切り込みを通してさまざまな手術機器を複数回通過させることができる。
【0104】
前房に入ったら、送達機器は、挿入部位から前房隅角中に経眼的に前進させ、強膜棘突起に近い位置に配置することができる。強膜棘突起を基準点として用いて、送達機器は、強膜棘突起から虹彩に向かって少しだけ内側の位置でセンサ/シャントを眼組織中に押し込むために全体として後ろ方向にさらに進ませることができる。センサ/シャントの配置および移植は、前方隅角鏡または他の従来の画像形成設備を用いて行うことができる。送達機器は、好ましくは、断続的な移植力の適用によるか、送達機器の遠位部分を用いてセンサ/シャントをタップして適所に進ませるか、またはこれらの方法の組合せによって、センサ/シャントが所望の位置に強制的に配置されるために用いられる。センサ/シャントは、所望の配置になったら、送達機器の遠位部分を用いてタップすることによってさらに据え付けられ得る。
【0105】
送達機器は、開口遠位端とそれを通って延在する内腔とを備えることができる。内腔内に、好ましくは、内腔内で軸方向に動くことができるプッシャーチューブが配置される。プッシャーチューブは、例えば、ネジ、ロッド、バネなどのエネルギー蓄積装置などであるがこれに限定されるものではない、送達機器との関連でセンサ/シャントを押すかまたは操作することに適するあらゆる装置、であってよい。送達機器の壁は、好ましくは、内腔内におけるセンサ/シャントの配置に対応するためにプッシャー管を超えて延在する。センサ/シャントは、適所にしっかり固定することができる。例えば、センサ/シャントは、プッシャーチューブまたは壁との粘弾性または機械的な連結(interlock)によってしっかり固定することができる。センサ/シャントが前房隅角中の組織に隣接する配置に運ばれると、プッシャーチューブは、軸方向で送達機器の開口遠位端の方へ進まされる。プッシャー管が進むにつれて、センサ/シャントも進む。センサ/シャントが組織を通り、もはや送達機器の内腔の中にないように進むと、送達機器は後戻りさせられ、センサ/シャントを眼組織の中に残す。
【0106】
いくつかの実施形態は、ばね付勢されたまたはエネルギー蓄積プッシャーシステムを備えることができる。ばね付勢されたプッシャーは、好ましくは、蝶番式ロッド装置に動作可能に接続されたボタンを備える。蝶番式ロッド装置のロッドは、プッシャーの表面の凹部と係合し、プッシャーのばねを圧縮された配置に保つ。使用者がボタンを押すと、ロッドは凹部との係合から解放され、それによってばねが元に戻り、それによってプッシャーを前進させることを可能にする。
【0107】
いくつかの実施形態において、センサ/シャントを送達するためにオーバー・ザ・ワイヤ・システムが用いられる。センサ/シャントは、ワイヤ上で送達することができる。好ましくは、ワイヤは、自己穿孔性である。ワイヤは、トロカールとして機能することができる。ワイヤは、センサ/シャントと比較して超弾性、可撓性、または比較的剛直であってよい。ワイヤは、特定の形を有するように予め形成されてよい。ワイヤは湾曲させてよい。ワイヤは、形状記憶を有するか、または弾性であってよい。いくつかの実施形態において、ワイヤは、引張ワイヤである。ワイヤは、操縦可能なカテーテルであってよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、ワイヤは、センサ/シャント中の内腔内に配置される。ワイヤは、内腔内で軸方向に移動可能であってよい。内腔は、弁またはその他の流量調整装置を備え得るか、または備えないかもしれない。
【0109】
いくつかの実施形態において、送達機器は、トロカールを含む。トロカールは、折れ曲がっていることも湾曲していることもある。トロカールは、剛直、半剛直または可撓性であってよい。トロカールが硬い実施形態において、センサ/シャントは、比較的可撓性であってよいが、比較的可撓性である必要はない。トロカールの直径は、約0.001インチから約0.01インチであってよい。いくつかの実施形態において、トロカールの直径は、0.001、0.002、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009または0.01インチである。
【0110】
いくつかの実施形態において、センサ/シャントの送達は、センサ/シャントの遠位端またはその近くにおいて駆動力を加えることによって実現される。駆動力は、一般に、センサ/シャントの端に適用される引張または押しであってよい。
【0111】
機器は、器具が眼の中にあるとき、房水が送達機器および/または機器の部材の間を通り抜けないようにするために、シールを備えることができる。シールは、機器を通り、眼から外への房水の逆流を防ぐのを助けることもできる。漏れを阻止するための適当なシールは、例えば、Oリング、コーティング、親水剤、疎水剤、およびそれらの組合せを含む。コーティングは、例えば、MDX(登録商標)シリコーンフルードなどのシリコーンコートであってよい。いくつかの実施形態において、機器は、コーティングおよび親水剤または疎水剤で被覆される。いくつかの実施形態において、器具の1つの領域は、コーティングおよび親水剤で被覆され、機器の別の領域は、コーティングと疎水剤で被覆される。送達機器は、さらに、機器を含むさまざまな部材の間のシールを含むことができる。シールは、機器の部材のスリップ-フィット表面の間の疎水性コーティングまたは親水性コーティングを含むことができる。シールは、送達機器によって運ばれるとき、排出センサ/シャントの近くに配置することができる。好ましくは、シールは、互いに密接に適合するように機械加工された2つの装置の各々の少なくとも一部分に存在する。
【0112】
いくつかの実施形態において、送達機器は、面取りした形状を有する遠位端を備えてよい。送達機器は、スパチュラ形状を有する遠位端を備えてよい。面取りした形状またはスパチュラ形状は、尖った辺を有してよい。面取りした形状またはスパチュラの形状は、センサ/シャントを収容する凹部を備えてよい。凹部は、センサ/シャントを押し出すかまたは放出するプッシャーまたは他の適当な手段を備えてよい。
【0113】
送達機器は、さらに、複数のシャントを送達するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、複数のシャントが送達されるとき、シャントは、下記でより詳細に記載するようにタンデムに配置されてよい。
【0114】
眼センサ/シャントのいくつかの実施形態の送達のために、移植は、粘弾性の有無に関わらず閉じた眼房の中で行われる。シャントは、アプリケータ、例えばプッシャーを用いて配置されることがあり、あるいは、参照によってその全体が本明細書に援用され、本明細書および開示の一部となる2002年8月28日出願の米国特許出願公開第2004/0050392号において開示されるように、器具の中にエネルギーを蓄える送達機器を用いて配置されることがある。いくつかの実施形態において、センサ/シャントの遠位端において流体圧力上昇を作り出して移植を容易にするために、送達機器または治療において用いられる別の機器を通して流体が注入され得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、センサ/シャントは、毛様筋の線維性付着を通って強膜に移植される。この線維性付着区域は、
図11の2つの矢印(1020)の間に示すように、強膜棘突起から約0.5mm後方に延在する。
【0116】
いくつかの実施形態において、角膜縁またはその近くにおいて小さな切り込みを通し、眼を横切って内側からセンサ/シャントを送達することが望ましい。システム全体の幾何形状は、送達機器が遠位湾曲または遠位角を組み込むことを有利にする。前者の場合、センサ/シャントは、湾曲に沿った送達を容易にするために可撓性であってよく、または正確な経路に沿って容易に移動するために、より緩やかに保持されてよい。後者の場合、センサ/シャントは、比較的剛直であってよい。送達機器は、遠位角を通過するのに十分なほど可撓性であるセンサ/シャント前進要素(例えばプッシャー)を組み込むことができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、臨床使用時に、センサ/シャントおよび送達機器は、角膜輪部またはその近くにおける切り込みから前眼房32を通り、虹彩を横切り、毛様筋付着を通って、センサ/シャント出口部分がぶどう膜強膜流出路(例えば、強膜38と脈絡膜40との間に画定される脈絡膜上腔34に露出された)の中に位置するまで一緒に前進させることができる。術者は、次に、送達機器を引き戻すと同時にプッシャー装置を押すことができ、それによって、センサ/シャント出口部分は、ぶどう膜強膜流出路の中のその位置を維持することができる。センサ/シャントは、送達機器から放出され、送達機器は、近位方向に後退する。送達機器は、次に、前眼房から切り込みを通って引き出すことができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、センサ/シャントによってアクセスされることができるチャンバーまたはポケットを脈絡膜と強膜との間に作り出すために、脈絡膜上腔中に粘弾性を注入することができる。そのようなポケットは、脈絡膜および強膜の組織区域をより多く露出させ、ぶどう膜強膜流出を増やし、IOPを低下させることができるだろう。いくつかの実施形態において、粘弾性材料は、25または27Gのカニューレを用いて、例えば、毛様筋付着の中の切り込みまたは強膜を通して(例えば眼の外から)注入することができる。粘弾性材料は、移植が完了する前、間または後のいずれかにおいて、センサ/シャント自体を通して注入することもできる。
【0119】
いくつかの実施形態において、脈絡膜上腔に高浸透圧薬を注入することができる。そのような注入は、IOP低下を遅らせることができる。従って、脈絡膜吸収を一時的に低下させることによって、急性術後期間における低眼圧症を避けることができる。高浸透圧薬は、例えばグルコース、アルブミン、HYPAQUE(登録商標)媒体、グリセロール、またはポリ(エチレングリコール)であってよい。高浸透圧薬は、患者が治癒するにつれて分解するかまたは流出し、安定な、受け入れ可能に低いIOPを生じる結果となり、一過性の低眼圧症を避けることができる。
【0120】
図11は、人間の眼の前方区分の子午断面を示し、本明細書に記載するシャントの実施形態とともに用いることができる送達機器1130の別の実施形態を概略例示する。
図11において、矢印1020は、毛様筋1030の強膜1040への線維性付着区域を示す。毛様筋は、脈絡膜1050の一部である。脈絡膜上腔34は、脈絡膜と強膜との間の界面である。眼の中の他の構造体は、水晶体1060、角膜1070、前眼房32、虹彩1080およびシュレム管1090を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、緑内障患者における眼内圧を低下させるために、線維性付着区域を通してセンサ/シャントを移植し、従って前眼房をぶどう膜強膜流出路に接続することが望ましい。いくつかの実施形態において、角膜輪部の中の小さな切開部を通って眼の内部(ab interno)を横切る装置を用いてセンサ/シャントを送達することが望ましい。
【0122】
送達機器/センサ/シャントアセンブリは、虹彩角膜角に達するために、虹彩と角膜との間を通され得る。従って、送達機器/センサ/シャントアセンブリの高さ(
図11の寸法1095)は、好ましくは約3mm未満、より好ましくは2mm未満である。
【0123】
脈絡膜と強膜との間の脈絡膜上腔は、一般に、眼の光軸1115と約55度の角度1110を形成する。この角度は、前の段落に記載した高さ要件に加えて、送達機器/センサ/シャントアセンブリの幾何学的設計において考慮すべき特徴である。
【0124】
システムの全体的な幾何形状は、送達機器1130が
図11に示す遠位湾曲1140、または
図12に示遠位角1150を組み込むことを有利にする。遠位湾曲(
図11)は、角膜輪部において角膜または強膜切り込みをより円滑に通ると予測される。しかし、センサ/シャントは、好ましくは、この場合、湾曲しているかまたは可撓性である。あるいは、
図12の設計において、センサ/シャントは、「肘」または角1150から遠位の、送達器具の直線部分に装着され得る。この場合、センサ/シャントは、直線形であり、かつ比較的剛直であり得、送達機器は、角を通って前進するのに十分なほど可撓性である送達機構を組み込むことができる。いくつかの実施形態において、センサ/シャントは、センサ/シャントが遠位区分1160の長さより長くないという前提で、剛直な管である。
【0125】
送達機器1130の遠位湾曲1140は、およそ10から30mm、好ましくは約20mmの半径を特徴とし得る。
図12に示した送達機器の遠位角は、送達機器の近位区分1170の軸に対しておよそ90から170度、好ましくは約145度であることを特徴とし得る。この角は、送達器具の近位区分1170から遠位区分1160への円滑な移行を行うために、「肘」において小さな曲率半径を組み込む。遠位区分1160の長さは、およそ0.5から7mm、好ましくは約2から3mmであり得る。
【0126】
図13、
図14Aおよび
図14Bは、センサ/シャントのための送達機器の例を示す。いくつかの実施形態において、センサ/シャントは、切削用先端2140を有する針を通って送達される。センサ/シャントは、眼を通る送達のために針の軸部の内部に装填することができる。針は、
図14Aに例示するように、斜めに切られた開口2150とは反対の針の側で湾曲させることができる。こうすると、針の湾曲部は、装置の有効高さにこれといって影響を及ぼさずに「下向きの」方向に向かうことが可能になる。この幾何形状は、虹彩と角膜との間の前眼房を通る通過にとって有利であり得る。同時に、湾曲は、針の鋭い先端が毛様筋/強膜界面の角度(
図11に示す角度1110)に沿って進むことを可能にする。さらに、
図14Aに示す湾曲先端の設計は、強膜からの毛様筋の切開の深さを、線維性付着組織を通して切削するのに必要な最小限の深さに限定することができる。この深さは、約0.5mm未満と推定される。さらに、先端の湾曲は、センサ/シャントが針を通って遠位方向で外の方へ押されるとき方向を変えるじゃま板(baffle)としての働きをする。他の実施形態において、針の切削先端は、
図14Bに例示するように直線形である。
【0127】
図15は、さまざまな方法または治療を行うために用いることができるシステムの別の実施形態を示す。センサ/シャント2200は、脈絡膜上腔と一致する角度で「下向き」に偏向している。挿入の深さは、プッシュロッド2220の長さによって決定することができ、プッシュロッド2220の行程は、ストップ2230によって制限することができる。プッシュロッドは、針2240の開口の近位端において終ることが好ましい。このようにすると、センサ/シャントは、毛様筋の前面より下で押されない。
【0128】
図16は、さまざまな方法または治療を行うために用いることができるシステムの別の実施形態を示す。例示した実施形態において、センサ/シャント2200は、湾曲しているかまたは角度のある軸部2250上に装着される。いくつかの実施形態において、センサとシャントとの両方が軸部に装着される。他の実施形態において、センサは、シャントに接続され得るが、シャントだけが軸部に装着される(例えば、センサは、軸部に装着されたシャントに繋がれ得る)。軸部2250は、管状(図示のように)か、または中実であってよく、遠位端2260は尖っていてよい。センサ/シャント2200は、送達装置とほぼ同じ半径で湾曲してよく、それによってセンサ/シャントは、比較的硬く、それでも軸部に沿って滑ることができる。いくつかの実施形態において、プッシャーチューブ2270が、センサ/シャントが軸部に沿って遠位方向に滑り、放出されるようにする。いくつかの実施形態における操作において、尖った端2260は、毛様筋と強膜とを付着させている線維組織の中に切り込みを入れる。いくつかの実施形態において、尖った先端2260とセンサ/シャントの遠位端との間の距離が、どのくらい深く組織に切り込みが入るかを決定する。切削を行った後に、術者は、装着軸部2250を固定して保持しながら、プッシャーチューブ2270を進ませることができる。この動作は、センサ/シャント2200を切り込みの中に進ませる。センサ/シャント前進の距離は、プッシャーチューブ2270の長さによって決定することができ、プッシャーチューブ2270の行程は、
図15に示すストップによって限定される。
【0129】
本発明のさらなる実施形態は、脈絡膜上組織の後方切開を達成し、それによって房水のための定容チャンバーまたは貯め(reservoir)を作り出すために、センサ/シャントまたは軸部2250を通す粘弾性の注入を組み込む。さらに、またはあるいは、センサ/シャント2220または軸部2250を通して治療薬(例えば高浸透圧薬)を脈絡膜上腔中に送達することができる。
【0130】
図17は、さまざまな方法または治療を行うために用いることができるシステムの別の実施形態を示す。センサ/シャント2700の送達は、センサ/シャント2700の遠位端2710またはその近くにおいて、例えばプッシャー2720を用いて駆動力を加えることにより達成される。駆動力は、センサ/シャント2700の遠位端2710に加えられる押す力とすることができる。送達装置は、あるいは、組織を通してセンサ/シャントを引く引張力を供給するために、センサ/シャントを通り、またはセンサ/シャントの周りで、延び出すことができる。
【0131】
図18は、さまざまな方法または治療を行うために用いることができるシステム2800の別の実施形態を示す。センサ/シャントの送達のためにばね付勢されたプッシャーシステム2800を用いることができる。ばね付勢されたプッシャー2810は、好ましくは、蝶番式ロッド装置2830に動作可能に接続されたボタン2820を備える。蝶番式ロッド装置2830の遠位部分2835は、プッシャー2810の表面の凹部2840と係合し、プッシャー2810のばね2850を圧縮された配置に保つ。使用者がボタン2820を下方2860に押すと、蝶番式ロッド装置2830の遠位部分2835は凹部2840との係合から解放され、それによってばね2850が元に戻り、それによってプッシャー2810を前進させることを可能にする。
【0132】
図19は、さまざまな方法または治療を行うために用いることができるシステムの別の実施形態を示す。例示する実施形態において、センサ/シャント2900を送達するためにオーバー・ザ・ワイヤ・システム2920が用いられる。いくつかの実施形態において、ワイヤの上にセンサとシャントとの両方が装着される。他の実施形態において、センサは、シャントに繋がれるかまたは他の方法で接続され得る一方で、シャント部分だけがワイヤ上に装着される。そのような実施形態は、センサ部分は、ワイヤを通すことができる通路を有する必要がないかもしれないため有利であり得、このことがセンサの設計およびエレクトロニクス構成要素のレイアウトを単純化し得る。センサ/シャント2900は、遠位端において全体的に丸い遠位部分2915を有することができる。遠位部分の半径は、約70から約500ミクロンであってよい。遠位部分2915は、近位方向に向かって断面サイズが、好ましくは図示するように全体として一定のテーパもしくは半径で、または放物線状に、次第に増加してよい。
【0133】
いくつかの実施形態において、インプラントは、インプラント内の内部チャンバー、または内腔と連通する1つ以上の開口2905を含む。好ましくは、開口の縁は、図示するように丸くなっている。さらに、またはあるいは、インプラントは、上記記載のように、インプラントを留置する他の外部表面不規則構造体(例えば環状の溝)を備えることができる。
【0134】
いくつかの実施形態において、センサ/シャントは、インプラントの近位部分においてフランジ2910を有することができる。好ましくは、フランジは、図示するように鋭い縁および隅を有する。鋭い縁および隅は、インプラントの流入端の近くの細胞増殖を抑制する傾向がある。
【0135】
ワイヤまたは類似の細長い構造体2920は、トロカールとして機能することができる。好ましくは、ワイヤ2920は、自己穿孔性である。ワイヤ2920の遠位部分2930の先端の半径は、約10から約500ミクロンであってよい。いくつかの実施形態において、ワイヤ2920の遠位部分2930の先端の半径は、約70から約200ミクロンであってよい。ワイヤ2920の遠位部分2930は、近位方向に向かって断面サイズが増加してよい。いくつかの実施形態において、増加は、放物線状であってよい。描いた実施形態において、ワイヤ2920は、断面サイズが近位方向に向かって放物線状に次第に増加する遠位部分2930を有する。ワイヤ2920は、遠位部分2930の丸くなった遠位部分先端部を有してよい。他の実施形態において、遠位部分は、テーパ形であってよい。ワイヤは、センサ/シャントと比較して超弾性、可撓性、または比較的剛性であってよい。ワイヤは、特定の形状を有するように予め形成されてよい。ワイヤは、湾曲していてよい。ワイヤは、形状記憶を有するか、または弾性であってよい。いくつかの実施形態において、ワイヤは引張りワイヤである。ワイヤは、ステアラブルカテーテルであってよい。
【0136】
いくつかの実施形態において、センサ/シャント2900の送達を助けるために、ワイヤ2920とともにプッシャー2950を用いることができる。センサ/シャント2900を所望の位置に送達した後にワイヤ2920を近位方向に引くとき、センサ/シャント2900を適所に保持するためにプッシャー2950を用いることができる。
【0137】
プッシャー2950、トロカール2920およびインプラント2900は、好ましくは、外鞘または針の中に適合し、かつ動く(例えば滑る)ようなサイズである。針は、好ましくは、前眼房にアクセスするとき組織(例えば角膜組織)に貫通するために尖った遠位端を備える。
【0138】
図20は、眼内圧センサ2000の例示的実施形態のブロック図である。眼内圧センサ2000は、他のあらゆる生理学的センサに関して本明細書に記載する構成要素または特徴物のあらゆるものを含むことができる。しかし、特に明示的に記載されていない限り、どの構成要素も特徴物も眼内圧センサ2000において必然的に必要であると理解してはならない。さらに、眼の中の所望の位置に眼内圧センサ2000を移植するために本明細書に記載する移植技法およびツールのあらゆるものを用いることができ、他のあらゆるセンサ関して本明細書に開示するあらゆる検出、制御および/または治療方法は、眼内圧センサ2000とともに用いることができる。
【0139】
いくつかの実施形態において、眼内圧センサ2000は、(本明細書において
図21~29に関して記載する)ハウジングアセンブリ2100、圧力検出モジュール2050、無線送信器/アンテナ2085、コントローラモジュール2070、測定値記憶モジュール2060およびバッテリー2040を備える。しかし、これらの構成要素の各々は、眼内圧センサ2000の実施形態毎に必ずしも必要ではない。さらに、眼内圧センサ2000は、他の構成要素も含むことができる。いくつかの実施形態において、眼内圧センサ2000の構成要素の一部またはすべては、チップ上の(
図20において破線ボックスとして例示される)集積回路2075の一部として設けられるが、一部の構成要素は、例えば集積回路2075への電気接続を有する個別の構成要素としても設けることができる。
【0140】
いくつかの実施形態において、圧力検出モジュール2050は、モジュールが配置されている媒体の圧力に応答して容量が変化するキャパシタを備える。いくつかの実施形態において、圧力検出モジュール2050は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を備える。例えば、本明細書においてさらに考察するように、圧力検出モジュール2050は、可動膜またはダイヤフラムの近傍に固定キャパシタプレートを備えることができる。可動膜と固定キャパシタプレートとの間の距離および/または接触は、眼内圧センサ2000が眼の中に移植されると、例えば房水によって加えられる圧力に応答して変化する。これは、MEMS装置の容量の変化として検出される。いくつかの実施形態において、圧力検出モジュール2050は、約3mmHgから約50mmHgの眼内圧を±約0.5mmHgの分解能で測定することができるコンタクトモードセンサである。いくつかの実施形態において、可動膜またはダイヤフラムの下の空洞は、真空下で封止され、圧力検出モジュールは、ほぼ500から900mmHg絶対圧の範囲にわたって応答する。そのような実施形態において、環境圧力を独立に体外で測定し、眼内圧を得るために絶対センサ圧から差し引くことができる。いくつかの実施形態において、信号(容量)は、眼内圧に対してほぼ線形に変化する。一例において、容量は、ほぼ線形の圧力範囲にわたってほぼ5ピコファラド(pF)からほぼ20pFまで増加し得る。
【0141】
いくつかの実施形態において、圧力検出モジュール2050は、圧力検出モジュール2050の容量、従って検出された圧力を示す値を出力する容量ディジタルコンバータ2056に電気的に接続される。この値は、コントロールモジュール2070に提供することができる。いくつかの実施形態において、眼内圧センサは、1つ以上の基準キャパシタ2052も備える。基準キャパシタ2052もキャパシタ-ディジタルコンバータ2056に接続することができ、較正および/または温度補償のための基準値を提供するために用いることができる。
【0142】
圧力検出モジュール2050からの圧力測定値は、測定値記憶モジュール2060に記憶することができる。いくつかの実施形態において、測定値記憶モジュール2060は、集積回路2075上に設けられているソリッドステートメモリであり、例えば、コントローラモジュール2070および/または圧力検出モジュール2050と通信結合される。例えば、測定値記憶モジュール2060は、16kBスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であってよいが、他のタイプのメモリおよび/または容量も用いられてよい。いくつかの実施形態において、コントローラモジュール2070は、測定値記憶モジュール2060に保存する前に、圧力測定値に対してデータ圧縮を行う。データ圧縮を行うことによって、測定値記憶モジュール2060は、より多くの測定値を保持することができる。このことは、頻度のより高い測定および/または頻度のより低いデータダウンロードイベントを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、計算機資源を維持するために比較的単純な圧縮技法を用いると有利であり得る。1つの例データ圧縮アルゴリズムは、測定値自体ではなく順次測定値の間の差分を保存することであってよいだろう。この技法は、より少ない測定値あたりのビット数が測定値記憶モジュール2060によって使用されることを可能にするだろう。
【0143】
図20に示すように、眼内圧センサ2000は、コントローラモジュール2070も備えることができる。コントローラモジュール2070は、例えば、本明細書において開示する他のコントローラモジュールに関して記載する機能のあらゆるものを行うことができる。例えば、いくつかの実施形態において、コントローラモジュール2070は、例えばMSTR時計2071によって決定される予定時刻におよび/または規則的な間隔で、圧力検出モジュール2050に測定を行わせるようにプログラムすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、コントローラモジュール2070は、値測定を毎時得るようにプログラムされる。しかし、記録/報告される各測定値は、圧力検出モジュール2050による複数の測定値から計算することができる。例えば、コントローラモジュール2070は、比較的短い間隔(例えば30秒)で複数の測定値(例えば3つの測定値)を得るようにプログラムすることができる。次に、これらは、平均し、測定値記憶モジュール2060において単一の測定値として記録/報告することができる。次に、より長い間隔(例えば毎時)でこのプロセスを繰り返すことができる。
【0144】
図20に例示する眼内圧センサ2000は、コントローラモジュール2070および送信器モジュール/アンテナ2085などの構成要素に電力を供給するバッテリーモジュール2040を備える。いくつかの実施形態において、バッテリーの物理的寸法は、ほぼ0.3mm×4.5mm以下である。バッテリーは、ほぼ0.8μAh以上の電力定格を有することができる。そのような電力定格は、再充電の間の少なくともほぼ180日間十分な電力を提供すると推定される。いくつかの実施形態において、眼内圧センサ2000のスリープ電力消費量は、ピコワットのオーダーであり、一方、活動電力消費量は、ナノワットのオーダーである。しかし、バッテリーモジュール2040のサイズおよび電力定格は、眼内圧センサ2000の消費電力と同様に、上掲の数字と異なることがあってよいと理解されるべきである。上記具体例は、例でしかない。例えば、いくつかの実施形態において、バッテリーモジュール2040は、眼内圧センサ2000に少なくとも約90日間電力を供給することができる。
【0145】
いくつかの実施形態において、バッテリーモジュール2040は、本明細書においてさらに考察するように、外部装置によって再充電可能である。例えば、バッテリーモジュール2040は、外部装置から誘導結合または無線エネルギーを介して無線で再充電することができる。バッテリーモジュール2040は、太陽電力または赤外レーザによって充電することもできる(その場合、眼内圧センサ2000は、太陽光または赤外レーザ光を電力に変換する適切な光電池を備えることができる)。
【0146】
眼内圧センサ2000は、送信器/アンテナ2085も備えることができる。送信器/アンテナ2085は、測定値記憶モジュール2060に保存されている圧力測定値を外部読み取り装置に無線送信するために用いることができる。外部読み取り装置は、センサ2000から圧力測定値をダウンロードするために、患者によって着用される眼鏡の中に集積化することができる。送信器/アンテナ2085は、バッテリーモジュール2040を(例えば記憶されている測定値がダウンロードされる間に)充電するために無線で電力を受け取る二重の目的でも使用することができる。例えば、送信器/アンテナ2085は、誘導結合によって無線で電力を受け取ることができる。眼内圧センサ2000からデータをダウンロードするための外部読み取り装置を備える同じ眼鏡の中に無線充電装置を集積化することができる。送信器/アンテナ2085は、測定値データを送信し、バッテリーモジュール2040を再充電するための電力を受けることが同時にまたは1つずつ(どちらの順序でも)できる。
【0147】
いくつかの実施形態において、アンテナ2085は、例えば銀、金、白金、タングステンおよび/または同じものの合金等などの導体でできている。いくつかの実施形態において、アンテナ2085は、約92%白金と約8%タングステンとの合金でできている。本明細書においてさらに考察するように、アンテナ2085は、アンテナがハウジング内に適合することとハウジング内に設けられる他の構成要素を囲むこととの両方を可能にするために、主ハウジング2102の内径よりいくらか小さい直径を有するらせん形であってよい。
【0148】
図21は、眼内圧センサ2000のためのハウジングアセンブリ2100の主ハウジング2102部分の例示的実施形態の斜視図である。いくつかの実施形態において、主ハウジング2102は、全体として円筒状の管である。主ハウジング2102は、例えばセラミックでできていてよい。セラミックは、プラスチックより効果的である水分バリヤを提供する利点を提供するが、送信器/アンテナ2085への/からの信号を金属がするように遮蔽することがない。セラミックは、例えば、少なくとも約90%アルミナであってよい。1つの可能なセラミック材料は、~99.99%アルミナであり、一方、別の可能なセラミック材料は、~90%アルミナおよび~10%ジルコニアである。他の実施形態において、主ハウジング2102は、HDPE等などの高バリヤプラスチックでできていてよい。そのような実施形態において、プラスチックは、水分バリヤ特性を改善するためにセラミックで被覆されてよいだろう。そのような実施形態は、より複雑な主ハウジング形(例えば屈曲または湾曲を含む主ハウジング形)を作るために有用であろう。さらに、いくつかの実施形態において、主ハウジング2102の内部の構成要素(例えばエレクトロニクス構成要素)は、液体が主ハウジング2102に滲み込んだ場合に損傷の機会をさらに低下させるために疎水性材料で被覆することができる。集積回路2075、アンテナ2085等を備える主ハウジング2102の内部の部品は、さらに(またはあるいは)短絡を予防するのを助けるために、電気絶縁性コーティング(例えばパリレンコーティング)で被覆することができる。
【0149】
主ハウジング2102は、個別の先端キャップ2104および/または個別のセンサキャップ2108(
図27~29に例示する)と嵌合するように設計することができる。先端キャップ2104とセンサキャップ2108との両方は、いくつかの実施形態において、取り外し可能であってよい。先端キャップ2104は、
図21に例示するように全体として丸い末端を有してよい。丸い末端は、例えば毛様体/脈絡膜上腔などの特定の眼内の解剖学的構造内のセンサ2000の挿入を容易にすることができる。先端キャップ2104は、主ハウジング2102の一端に押し込まれるように設計することができる。先端キャップ2104と主ハウジング2102との間の適合は、液密であってよい。例えば、先端キャップ2104は、先端キャップ2104と主ハウジングとの間の内部接合部において液体が主ハウジング2102に入ることを防ぐために、1つ以上のシール(例えば、O-リング、ハンダリング、共晶物リング、圧縮ボンド、例えば金-金圧縮ボンド等)を備えることができる。センサキャップ2108は、先端キャップ2108とは反対側の主ハウジング2102の他端に押し込まれるように設計することができる。本明細書において考察するように、それも、例えば、1つ以上のシール(例えば、Oリング、ハンダリング、共晶物リング、圧縮ボンド、例えば金-金圧縮ボンド等)を用いて主ハウジング2102との水分バリヤシールを形成するように設計することができる。先端キャップ2104とセンサキャップ2108との押し込み適合は、特定のタイプの水分バリヤシール(例えばOリング)とともに、有利であり得る。なぜならば、必ずしもボンディング、熱硬化、真空蒸着/他のコーティング、電気インパルス等を必要とせずにハウジングアセンブリ2100(主ハウジング2102、先端キャップ2104、およびセンサキャップ2108を含む)を組み立て、封止することができるからである。
【0150】
主ハウジング2102は、センサ2000を所望の眼内解剖学的構造体内に、または所望の眼内解剖構造物において留置するための1つ以上の留置用部材、例えば棘2106も備えることができる。いくつかの実施形態において、留置用部材は、主ハウジング2102の外表面から立ち上がり、各留置位置において主ハウジングの外周のすべて、または一部を囲む、高くなった稜または棘2016である。
【0151】
主ハウジング2102は、あらゆる所望の眼内解剖構造に適合するようなサイズおよび形であってよい。しかし、いくつかの実施形態において、眼内圧センサ2000は、眼の毛様体/脈絡膜上腔に移植されるように設計される。そのような実施形態において、ハウジングアセンブリ2100は、約2~8mmの長さおよび/または約0.3~0.6mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態において、ハウジングアセンブリ2100の長さは、約5.4mmであり、直径は約0.48mmである。
【0152】
図22は、毛様体/脈絡膜と強膜との間の毛様体/脈絡膜上腔内の眼内圧センサ2000の位置を例示する。本明細書において考察するように、眼内圧センサ2000は、1つ以上の留置用部材2106によってこの位置に固定することができる。毛様体は、脈絡膜とつながっている。毛様体/脈絡膜上腔は、通常は、毛様体/脈絡膜と強膜との間の界面における潜在的な空間である。この空間は、眼内圧センサ2000などのインプラントを収容するために開き得る。
図22は、眼内生理学的センサ2000(部分的にまたは完全に前眼房内に配置され得るか、あるいは、部分的にまたは完全に毛様体/脈絡膜上腔内に配置され得る)の配置の例を例示する。いくつかの実施形態において、少なくとも眼内圧センサ2000のセンサキャップ末端は、房水の圧力測定値を取得するために、前眼房中に延在して房水への容易なアクセスを提供する。例示しないが、他の実施形態において、眼内圧センサ2000は、強膜、虹彩、毛様体、小柱網、またはシュレム管を含むがこれに限定されるものではない他の眼内解剖学的特徴物の中に、またはこれら眼内解剖学的特徴物において、移植されるようなサイズおよび形であってよい。
【0153】
図23は、主ハウジング2102が透明であるとして示される
図21の複製である。先端キャップ2104および棘2106がまだ見える。透明な主ハウジング2102を通してアンテナ2085、先端キャップ2104のO-リングシール2105、およびO-リングシール2109を含むセンサキャップの一部2108も見える。
図23は、さまざまな構成要素を装着することができるキャリア部材2072も示す。例えば、バッテリーモジュール2040および集積回路2075をキャリア部材2072の上に装着することができる。キャリア部材2072は、キャリア部材2072に装着されているか、または接続されているさまざまな構成要素の間に電気コンタクトを提供するために、その表面に形成されるかまたはその体積の中に埋め込まれた電気接点、配線、信号トレース等を備えることができる。いくつかの実施形態において、キャリア部材2072は、ガラスバックボーン(例えばホウケイ酸ガラス)である。
【0154】
本明細書においてさらに考察するように、キャリア部材2072は、センサ2000にさらなる構造一体性を提供するためおよびキャリア部材に装着された構成要素を主ハウジング2102内に固定するために、先端キャップ2104および/またはセンサキャップ2108と物理的に嵌合するように設計することができる。この物理的な嵌合を可能にするために、キャリア部材2072、先端キャップ2104および/またはセンサキャップ2108は、各々がハウジングアセンブリ2100の隣り合う部分の相補的な構造体と嵌合、付着、接合等するように設計されている1つ以上のコネクタ、切り欠き、突起等を備える。
【0155】
図23に例示するように、いくつかの実施形態において、アンテナ2085は、主ハウジング2102の内周に沿ってキャリア部材2072の周りにらせんを描く導体である。アンテナ2085は、キャリア部材2072に装着された集積回路2075への電気コンタクトを提供するために、例えば、ハンダによってキャリア部材2072に接続することができる。
【0156】
図24は、
図21の複製であるが、主ハウジング2102を取り除いてある。ここでも、アンテナ2085、ガラスバックボーンキャリア部材2072、先端キャップ2104およびそのO-リングシール2105、ならびにO-リングシール2109を含むセンサキャップの一部が見える。
図24は、キャリア部材2072に装着されたバッテリーモジュール2040も示す。本明細書においてさらに考察するように、ガラスバックボーンキャリア部材2072は、先端キャップ2104および/またはセンサキャップ2108と物理的に嵌合するように構成される。例えば、ガラスバックボーンキャリア部材2072は、全体として長方形の断面を有するとして例示される。先端キャップ2104およびセンサキャップ2108の各々は、キャリア部材2072の端を挿入することができる、対応する形状の内部切り欠きを備えることができる。本明細書においてさらに考察するように、切り欠きおよびキャリア部材2072は、各々が、キャリア部材がセンサキャップ2108と嵌合すると互いに接触するように設計されている電気コンタクト、または他の接続体を備えることができる。
【0157】
図25は、
図24の複製であるが、アンテナ2085を取り除いてある。前図と同じく、ガラスバックボーンキャリア部材2072、先端キャップ2104およびそのO-リングシール、O-リングシール2105を含むセンサキャップ2108の一部、ならびにバッテリーモジュール2040が見える。今回はアンテナ2085を取り除いてあるので、
図25は、ガラスバックボーンキャリア部材2072に装着された集積回路2075も示す。本明細書において考察するように、集積回路は、例えば、コントローラモジュール2070、測定値記憶モジュール2060等を備えることができる。
【0158】
図26は、湾曲したハウジング2602を有する眼内圧センサ2000の別の例示的実施形態を例示する。眼内圧センサ2000が全体として直線形の主ハウジング2102を有する実施形態を例示する
図21~25とは対照的に、
図26は、湾曲したプロファイルを有する管状主ハウジング2602を示す。主ハウジング2602は、それが移植されるべき解剖学的構造(例えば毛様体/脈絡膜上腔)の形状により密接に合致するために、その長軸方向の寸法に沿っていくらか湾曲している。しかし、異なる湾曲形も使用することができることを理解しなければならない。さらに、眼内圧センサ2000の形状および/または寸法は、他の眼内解剖学的特徴物中に、または特徴物において、移植されるように適合させることもできる。
図26は、先端キャップ2104、センサキャップ2108、および留置用棘2602も示す。これらの特徴物は、本明細書の他の箇所に記載する通りである。
【0159】
図27は、少なくとも部分的にハウジングの本体2102に挿入されるように設計されている非埋め込み型センサキャップ2108の上面斜視図および断面図を例示する。いくつかの実施形態において、センサキャップ2108は、ガラス(例えばホウケイ酸ガラス)でできているが、他の材料も可能であり得る。非埋め込み型センサキャップ2108は、プラグ部分2115およびヘッド部分2114を備える。プラグ部分2115は、ハウジングアセンブリ2100の本体2102に好適に挿入可能であるようなサイズであってよい。例えば、プラグ部分2115の直径は、本体2102の内径と等しいかまたは本体2102の内径より少しだけ小さくてよい。プラグ部分2115は、1つ以上のO-リングシール2109も備える。O-リングシールは、プラグ部分2115の外周の周りに形成された溝を備える。溝は、弾性的な回復力のある材料、例えばゴムで形成された1つ以上のO-リングと適合するようなサイズである。プラグ部分2115が本体2102に押し込まれると、O-リングシール2109は、センサキャップ2108と本体2102との接合部において房水が本体2102に入ることを防ぐ水分バリヤを形成する。
【0160】
プラグ部分2115をO-リングシールとともに例示したが、センサキャップ2108と本体2102との間の内部接合部において他のタイプのシールも使用することができる。例えば、センサキャップ2108のプラグ部分2115の周りにハンダリングまたは共晶物リングを設けることができる。プラグ部分2115を本体2102に挿入するとき、ハンダまたは共晶物リングは変形することができる。ハンダまたは共晶物リングは、加熱すると再流動化し、従って水分バリヤおよび/または気密シールを形成するようにできる。いくつかの実施形態において使用することができる別のタイプのシールは、圧縮接合である。例えば、プラグ部分2115および/または本体2102に金またはなんらかの他の展性材料でできたリング構造体を設けることができる。リング構造体は、プラグ部分2115を本体2102に挿入すると係合するように配置することができる。リング構造体は、この挿入力を加えると変形し、従って水分バリヤおよび/または気密シールを作り出すことができる。センサキャップ2108を本体2102に挿入した後に熱を加える必要なしにこのタイプの圧縮シールを作り出すことが可能であり得る。本明細書に記載するあらゆるタイプのシールは、単独でまたは本明細書に記載するあらゆる他のタイプのシールとともに用いることができることを理解しなければならない。さらに、本明細書に記載するもの以外の他のタイプのシールも用いることができる。
【0161】
非埋め込み型センサキャップ2108は、ヘッド部分2114も備える。ヘッド部分2114は、プラグ部分2115および本体2102の内径より大きな直径を有する。従って、ヘッド部分2114は、センサキャップを挿入すると本体2102の末端に対して当接する。いくつかの実施形態において、ヘッド部分の直径は、主ハウジング2102の外径と同じであるか、または同様であってよい。
【0162】
センサキャップ2108のヘッド部分2114に圧力検出モジュール2050を造り込む。本明細書において考察するように、いくつかの実施形態において、圧力検出モジュール2050は、容量型MEMS圧力センサである。容量型MEMS圧力センサは、固定キャパシタプレート2110および可動ダイヤフラム2111を備える。可動ダイヤフラム2111は、眼内圧センサ2000を眼の中に移植すると房水にさらされる。従って、可動ダイヤフラム2111は、房水によって及ぼされる圧力に応答して偏向する。その結果、可動ダイヤフラム2111とキャパシタの固定プレート2110との間の距離および/または接触は、房水によって及ぼされる圧力に応答して変化する。このことは、検出可能な容量の変化を生む結果となる。いくつかの実施形態において、固定キャパシタプレート2110および/または可動ダイヤフラム2111は、シリコンで形成されるが、他の材料も可能である。
【0163】
容量型MEMS圧力センサ2050は、フィードスルー導体2113によってキャリア部材2072および/または集積回路2075に接続される。詳しくは、
図27は、2本のフィードスルー導体2113を例示する。フィードスルー導体2113の一方は、可動ダイヤフラム2111と電気接触し、他方のフィードスルー導体2113は、固定キャパシタプレート2110と電気接触する。
図27に例示するように、フィードスルー導体2113は、センサキャップ2108のボディを通って長軸方向に形成される。本明細書においてさらに考察するように、フィードスルー導体2113は、圧力センサ2050からセンサキャップ2108とキャリア部材2072との間の接合部に延在する。いくつかの実施形態において、フィードスルー導体2113は、シリコンで形成されるが、他の導電材料でも形成することができるだろう。
【0164】
図28は、非埋め込み型センサキャップ2108の底面斜視図を例示する。
図28は、本明細書において考察するように、プラグ部分2115、ヘッド部分2114、圧力検出モジュール2050、およびO-リングシール2109を示す。
図28は、センサキャップ2108のボディ内に形成されたフィードスルー導体2113の位置も示す。さらに、
図28は、プラグ部分2115の底部に形成された切り欠き2116を示す。切り欠き2116は、センサキャップ2108を本体2102に挿入するとキャリア部材2072を受けるような形状およびサイズである。キャリア部材2072は、センサキャップ2108のプラグ部分2115に形成された切り欠きにキャリア部材2072を差し込むとフィードスルー導体2113に電気的に接続する電気コンタクトを備えることができる。キャリア部材2072とセンサキャップ2108との間の電気的接続は、それぞれの部品に配置された電気コンタクトの間の機械的接触および/またはハンダ付けによって実現することができる。このようにすると、圧力検出モジュール2050の可撓性ダイヤフラム2111および固定導体プレート2110からキャリア部材2072へ、次に集積回路2075へ電気信号を導くことができる。
【0165】
図29は、眼内圧センサ2000の主ハウジング2102に挿入された、非埋め込み型センサキャップ2108の2つの断面図を例示する。上の断面図は、切断面C-Cに沿って描かれ、下の断面図は、切断面C-Cと直交する切断面B-Bに沿って描かれている。上下の断面図は、プラグ部分2115、ヘッド部分2114、O-リングシール2109および可動ダイヤフラム2111、ならびに本明細書に記載されている圧力検出モジュール2050の固定キャパシタプレート2110を例示する。上下の断面図は、センサキャップ2108のプラグ部分2115の中に形成された切り欠き2116も示す。切り欠き2116は、キャリア部材2072を受けるような形状およびサイズである。
図29の上の断面図は、切り欠き2116の厚さ寸法を示し、一方、下の断面図は、切り欠き2116の幅寸法を示す。切り欠き2116の各寸法は、キャリア部材2072の対応する寸法に従った形状およびサイズであり、それによってキャリア部材を好適に受け入れることができる。また、下の断面図に例示するように、フィードスルー導体2113は、センサキャップ2108を通ってMEMSキャパシタから、いくつかの実施形態においてセンサキャップとキャリア部材2072との接合部である切り欠き2116へ通じる。
【0166】
図30は、眼内圧センサ2000の主ハウジング2102に挿入された埋め込み型センサキャップ3108の例示的実施形態の断面図を例示する。
図27~29に例示した非埋め込み型センサキャップ2108と異なり、埋め込み型センサキャップ3108は、プラグ部分2115を備えるが、ヘッド部分2114を備えない。従って、埋め込み型センサキャップ3108は、眼内圧センサ2000の主ハウジング2102に全体を挿入することができる。主ハウジング2102は、埋め込み型センサキャップ3108が主ハウジング2102内の所望の点を過ぎて挿入されることを防ぐ一体型プラグストップ2101を備えることができる。
【0167】
センサキャップ3108は、本明細書において考察するように、キャリア部材2072と嵌合するための切り欠き2116も備える。
図30に例示する実施形態において、固定キャパシタプレート2110および可動ダイヤフラム2111を備える容量型MEMS圧力センサは、ヘッド部分(例えば2114)ではなくプラグ部分2115の頂部に集積化される。圧力センサを集積回路に電気的に接続するために、圧力センサ(例えば固定キャパシタプレート2110および可動ダイヤフラム2111)からセンサキャップ3108とキャリア部材2072および/または集積回路2075との接合部に延在するように、センサキャップ3108を通って長軸方向に1つ以上のフィードスルー導体2113を形成することができる。
【0168】
図31は、接合部3100においてシール3110を形成する前(
図31A)および後(
図31B)におけるハウジングの本体2102とセンサキャップ2108との間の外部接合部3100の実施形態を例示する。本体2102とセンサキャップ2108との間の外部接合部3100は、房水がハウジングアセンブリの本体2102に入るエントリーポイントであり得る。依然、内部O-リング2109(または別のタイプのシール)によってあらゆるそのような房水を本体2102から閉め出し得るが、いくつかの実施形態においては、O-リング2109(または別のタイプのシール)によって提供される内部水分バリヤに加えて、または内部水分バリヤの代りに、外部接合部3100において水分バリヤシールを形成することが望ましい場合がある。
図31Bは、本体2102とセンサキャップ2108との間の外部接合部3100において形成された水分バリヤシール3110を例示する。いくつかの実施形態において、水分バリヤシール3110は、接合部3100の上/中に金、またはなんらかの他の材料をスパッタすることによって設けることができる。このようにすると、水分バリヤシール3110は、房水が本体2102に入ることを防ぐのを助けることができる。
【0169】
眼内で圧力測定値を取得するためのさまざまなセンサを本明細書に記載してきた。前房110中に配置されるかまたは他の方法で房水と流体連通するセンサによって取得される圧力測定値は、例えば、真空を基準とする絶対圧測定値であってよい。そのような圧力測定値は、眼内のゲージ圧だけでなく眼の外の大気圧も反映し得る。その結果、大気圧の変動がそのような眼内センサによって取得される圧力測定値の変動を引き起こすことができる。大気圧に起因するデータの変動は、典型的には臨床および診断の関心の対象である生理学的プロセスによって引き起こされる圧力変動と無関係であるため、状況によっては好ましくないことがある。従って、いくつかの実施形態において、大気圧の変動に支配されない、あるいは大気圧の変動の影響を受ける程度が少ない圧力測定値を得ることは、有利である。
【0170】
眼の中に移植したセンサによって記録した絶対圧測定値を、大気圧の影響を取り除くように処理して眼内のゲージ圧を決定することができる。これは、例えば、本明細書に記載するタイプの眼内センサを用いて眼内の絶対圧を測定するだけなく、体外の外部センサを用いて大気圧を同時に測定することによって行うことができる。あるいは、眼内で絶対圧測定値が記録された時刻および場所における大気圧を決定するために、地域の気圧気象データを用いることができる。いずれにせよ、眼内のゲージ圧を決定するために、眼内の絶対圧の測定値から大気圧測定値を差し引くか、または他の方法で取り除くことができる。特に明示的に記載されない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、本明細書においては、両方のタイプの前眼房中の圧力の測定値(すなわち絶対圧およびゲージ圧)がIOPとして参照され得る。
【0171】
しかし、眼内で得られた絶対圧測定値を補正するために用いる大気圧測定値を得るために、必ずしも外部圧力センサまたは場所別気圧データを用いないでゲージIOP測定値を決定することも可能である。これは、例えば、圧力が大気圧に等しいか、または大気圧と相関する解剖学的な位置において、またはその位置にアクセスして、圧力測定値を記録する移植されたセンサを用いることによって行うことができる。1つのそのような解剖学的な位置は、結膜と強膜との間に位置する結膜下腔である。
図32~35は、大気圧の作用からの影響を減らした眼内のゲージIOPを反映する圧力測定値を提供するためにこの事実を利用する、移植された圧力センサのさまざまな実施形態を描いている。
【0172】
図32は、人間の眼100の中に配置された、前眼房内のゲージ圧の測定値を得るために用いることができる移植可能な眼内生理学的センサシステム3200の概略図である。参照のために、
図32において眼100のさまざまな解剖学的特徴物に標示を付ける。例えば、
図32は、水晶体106、前房および房水110、角膜112、毛様体115、強膜118、脈絡膜124、および結膜126を示す。
図32に示すように、眼内生理学的センサシステム3200は、部分的に前房110内に、部分的に脈絡膜124と強膜118との間の脈絡膜上腔中に、および/または部分的に結膜126と強膜118との間の結膜下腔の中に移植することができる。眼内生理学的センサシステム3200は、必ずしも一定の比率で描かれていないことを理解しなければならない。
【0173】
いくつかの実施形態において、眼内生理学的センサシステム3200は、一般に一端またはその近くに配置された第1の圧力センサ3210と、一般に反対側の端またはその近くに配置された第2の圧力センサ3220と、を備える細長い管である。第1および第2の圧力センサは、容量型センサであってよいが、他のタイプの圧力センサも適し得る。
【0174】
図32に示すように、生理学的センサシステム3200は、第1の圧力センサ3210が前房110の中に配置されるかまたは前房110と流体連通するように眼内に移植することができる。一方、生理学的センサシステム3200の配置、サイズ、寸法および/または形状は、反対側の端にある第2の圧力センサ3220が同時に結膜126と強膜118との間の結膜下腔の中に配置されるかまたは結膜下腔と流体連通するようにすることができる。この配置は、例えば、鋭利なツールを用いて強膜118を通るトンネルを形成し、眼の内側からの手法を用いてその強膜トンネルを通して眼内生理学的センサシステム3200を挿入することによって達成することができる。場合によっては、強膜トンネルへのアクセスは、強膜118と脈絡膜124との間の脈絡膜上腔を介して実現することができる。他の外科的移植手技、例えば本明細書に記載されるものも用いることができる。いくつかの実施形態において、強膜118を通るトンネルは、前房110と結膜下腔との間の流体の交換を制限するために、強膜118の組織と生理学的センサシステム3200との間で実質的に液密のシールが形成されるように、形成することができる。
【0175】
生理学的センサシステム3200は、移植されると、前房および結膜下腔の内部の圧力の同時測定値を取得する能力を有する。第1の圧力センサ3210によって取得される測定値は、眼の外部の大気圧の作用を含む前房110内の絶対圧を反映し得る。一方、第2の圧力センサ3220によって取得される測定値は、眼の外部の大気圧を反映し得る。例えば、結膜下腔中で、または結膜下腔にアクセスして、測定される圧力は、眼の外部の大気圧に等しいか、または大気圧と相関している。同時圧力測定値は、第1の圧力センサ3210と第2の圧力センサ3220との両方から取得することができる。次に、第2の圧力センサ3220によって取得した大気圧測定値を第1の圧力センサ3210によって採取した絶対圧測定値から差し引くか、または他の方法によって取り除くことができる。結果として得られる値は、第1の圧力センサ3210によって取得した絶対圧測定値より大気圧の影響を受ける程度が小さいゲージIOP値である。
【0176】
いくつかの実施形態において、ゲージIOP値は、次式、
【数1】
(式中、P
センサ1は、第1の圧力センサ3210によって取得した圧力測定値に等しく、P
センサ2は、第2の圧力センサ3220によって取得した圧力測定値に等しい。)
によって得ることができる。
【0177】
あるいは、ゲージIOP値は、次式
【数2】
(式中、f(P
センサ2)は、結膜下圧中の圧力と大気圧との間に存在し得るあらゆる差を考慮するように設計された関数である。)
によって得ることができる。例えば、結膜下腔圧は、間質液の浸透圧に起因して大気圧よりわずかに低いことがある。従って、f(P
センサ2)は、この差を考慮するために負の補正を含み得る。関数f(P
センサ2)のための他の形も用いることができる。
【0178】
図33は、
図32に示した生理学的センサシステム3200の概略図である。図示するように、生理学的センサシステム3200は、両端に配置された第1の圧力センサ3210と第2の圧力センサ3220とを有する細長い管であってよい。管は、他のセンサ実施形態に関して本明細書に記載するように、バッテリー3230または他の電源を収容するように少なくとも部分的に内部が中空であってよい。さらに、管は、本明細書に開示するように、回路3240、例えばプロセッサ、圧力測定値を保存するためのメモリ、送信機/受信機、アンテナ等を備えることができる。本明細書に記載する他のセンサ実施形態の特徴物のあらゆるものも生理学的センサシステム3200に適用することができる。
【0179】
第1の圧力センサ3210および第2の圧力センサ3220によって取得した圧力測定値は、装置中のメモリ中にローカルに記憶することができる。圧力測定値は、第1の圧力センサ3210と第2の圧力センサ3220とによって同時に取得することができる。いくつかの実施形態において、同時測定値は、実質的に同時である。測定値は、両方の圧力センサによって定期的な間隔で取得することができる。いくつかの実施形態において、測定値は、両方のセンサによって実質的に断続的に取得される。既に考察したように、第1の圧力センサ3210および第2の圧力センサ3220によって取得された測定データは、眼内のゲージ圧を決定するために処理することができる。この処理は、生理学的センサシステム3200によってオンボードで行うことができる。あるいは、処理は、測定生データを外部読み取り装置によってダウンロードした後に、外部で行うことができる。
【0180】
図32および
図33は、形状および配置が前房と結膜下腔との同時の圧力測定値が取得されることを可能にする、移植されたセンサの1つの例示的実施形態を例示するが、他の形状、配置および/または構成も可能であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の圧力センサ3210および第2の圧力センサ3220が別々のセンサハウジング中に設けられ得る。そのような各々のセンサハウジングは、それ自体の電源、圧力測定値を記憶するためのメモリ、および/または本明細書に記載される他のエレクトロニクス構成要素を備えることができるだろう。さらに、各センサハウジングは、互いにおよび/または外部の読み取り装置と無線通信するために、適当なエレクトロニクス(例えば送信器、アンテナ等)を備えることができるだろう。いくつかの実施形態において、別々のセンサハウジングを繋ぐことができるだろう。例えば、第2のセンサ3220のためのセンサハウジングは、第1のセンサ3210のためのセンサハウジングへの繋具(tether)を備えることができるだろう。この繋具は、例えば、センサハウジング間で圧力測定値を通信するために用いることができるだろう。繋がれたセンサの一方は、前房中に配置され得、他方は結膜下に配置され得る。
【0181】
図32および
図33が2つの異なるセンサからの測定データの数学的な処理に基づいて前房内のゲージ圧を決定するために用いることができる生理学的センサシステム3200の実施形態を例示する一方で、前房と結膜下腔との間の差圧の直接測定値を得ることも可能である。この差圧の直接測定値も、眼内のゲージ圧の指標である。
【0182】
図34Aは、容量型絶対圧センサ3430の例示的実施形態を例示し、一方、
図34Bは、容量型差圧センサ3440の例示的実施形態を例示する。絶対圧センサ3430は、可撓性上部電極3432と、下部電極3434と、を備える。2つの電極は、封止された真空空洞3436によって分離されている。絶対圧センサ3430が圧力伝達媒質、例えば液体にさらされると、可撓性上部電極3432は、媒質の圧力に依存する量偏向する。上部電極3432のこの偏向は、今度は2つの電極の間の容量を変化させる。媒質の圧力を決定するためにこの容量を測定することができる。
【0183】
これに対して、差圧センサ3440は、2つの圧力伝達媒質の間の圧力の差を測定する。差圧センサ3440も、可撓性上部電極3442と、下部電極3444と、を備える。可撓性上部電極3442は、下部電極とは反対側に配置されている第1の圧力伝達媒質にさらすことができる。しかし、可撓性上部電極3442の反対側は、第2の圧力段達媒質にさらすことができる。
図34Bに示すように、これは、上部電極3442と下部電極3444との間の空洞から第2の圧力伝達媒質に通じるチャネル3446を介して達成することができる。
図34Bに例示する実施形態は、差圧センサの1つの例にすぎない。他の設計も可能である。いくつかの実施形態において、センサと接触している第1の圧力伝達媒質は、前房からの房水であり、一方、第2の圧力伝達媒質は、結膜下腔中の液体であるように、差圧センサ3442を眼の中に移植することができる。
【0184】
図35Aは、前眼房内のゲージ圧を示す測定値を得ることができる示差センサ3540の第1の実施形態を例示する。示差センサ3540は、細長い管状のボディを有することができる。例示する実施形態において、示差センサ3540の右端において2つの離間した電極3542、3544が設けられ、これらの電極の間の空間からチャネル3560が管状のボディを通って示差センサ3540の左端に延在する。
図34Bに関して上記で考察したように、電極3542の一方は、可撓性である。
【0185】
差圧センサ3540は、
図32に例示したように、装置の一端が前眼房の中にあるか、または前眼房と流体連通し、一方、装置の他端が結膜下腔の中にあるか、または結膜下腔と流体連通するように配置することができる。
図35Aに示したように、この場合、可撓性電極3542は、前房中に配置され、一方、装置の反対側の端は、結膜下腔中に配置される。眼の内部のこの配置によって、房水は、前房中の圧力を可撓性電極3542の右側に伝達する。一方、チャネル3560は、結膜下腔からの圧力が可撓性電極3542の左側に伝達されることを可能にする。従って、2つの電極3542、3544の間で検出される容量は、前房と結膜下腔との間の差圧を表す。結膜下腔中の圧力は、大気圧に等しいか、または大気圧と相関するので、差圧センサ3540は、大気圧と対比して前房中の圧力を測定する。この測定値は、前房内のゲージ圧を表す。
【0186】
例示していないが、チャネル3560は、結膜下腔に開放するか、あるいは、結膜下腔からの圧力が可撓性膜を介してチャネル3560中の非圧縮性流体に、最終的には非圧縮性流体を介して可撓性電極3542に伝達されることができるように、非圧縮性流体で湿し、可撓性膜で密閉することができる。さらに、いくつかの実施形態において、示差センサ3540は、例示したものとは反対の方向で、眼の中に配置することができ、それによって、電極3542、3544は、結膜下腔に直接さらされ、一方、チャネル3560は、前房へのアクセスを提供する。
【0187】
図35Bは、前眼房内のゲージ圧を表す測定値を得ることができる示差センサ3540の第2の実施形態を例示する。この第2の実施形態は、電極3542、3544が細長い差圧センサの一端ではなく中央部分に設けられていることを除いて、
図35Aに示した第1の実施形態に似ている。その結果、一方側では前房中の圧力伝達媒体からのアクセス、他方側では結膜下腔からのアクセスを提供するように、細長いボディを通って可撓性電極3542の両側にチャネル3560が形成される。これらのチャネル3560は、開放するか、あるいは、前眼房および結膜下腔からの圧力を可撓性電極3542に伝達するために可撓性膜で密閉し、非圧縮性流体で湿すことができる。
【0188】
<絶対IOP測定値と同時大気圧測定値との相関>
【0189】
考察したばかりのように、本明細書に記載する移植可能なセンサ装置のいくつかによって取得したIOP測定値は、大気圧の変動の影響を受ける絶対IOP測定値であり得る。そのような場合、絶対IOP測定値は、それらの測定値に対する大気圧の影響を補償することによって、眼内のゲージIOP、つまり典型的に臨床に関連する値、を反映するように補正することができる。これは、例えば、体の外部の地域の外部センサを用いて大気圧を同時に測定し、次に、移植したセンサによって取得した絶対IOP測定値から大気圧測定値を差し引くことによって行うことができる。実際には、これは、個人によって経験される大気圧が比較的短い期間に顕著に変動し得るため、達成することが困難であり得る。従って、大気圧測定値と眼の内部の絶対IOP測定値とのタイミングの間の不適切な同期は、ゲージIOP計算値における不正確な値の原因となり得る。
【0190】
図36Aは、使用者によって着用された気圧計によって測定された大気圧のグラフ3600である。信号3602は、約140時間の期間にわたる大気圧の変動を示す。
図36Bは、信号3602のうち60時間から80時間までの期間の部分3604を拡大して示す。この期間に、信号3602は、大気圧が通常、おそらく気象状況の正常な変化に起因して時間とともに比較的ゆっくり変動したことを示す。69時間から73時間までの信号3602によってこの種類の比較的ゆっくりした時間による気象誘導変動の例が示される。しかし、信号3602は、同じく起こる突然の比較的大きな温度変化があったことも示す。測定した大気圧におけるこれらのタイプの突然の大きな変化の例は、ほぼ63時間(すなわちグラフの62と63との間)、68時間(すなわちグラフの67と68との間)、75時間(すなわちグラフの74と75との間)および77時間(すなわちグラフの76と77との間)における信号3602に見られる。これらの突然の大きな大気圧の変化は、使用者が、彼または彼女が車を運転して丘を上るか下るかし、建物等の異なる階の間を移動する間に経験した高度の変化の結果であったかもしれない。
【0191】
これらのような比較的大きな大気圧の変化が比較的短い期間に起こり得るため、ゲージIOP値の計算に使用するために大気圧測定値を絶対IOP測定値と相関させるとき注意を払わなければならない。外部と内部との圧力測定値が時間によって互いに過度にずれる場合、2つの測定値から導かれたゲージIOP値がこれらの突然の大きな大気圧の変化の1つによって有意に影響を受け、従ってゲージIOP値の正確さを低下させる可能性があり得る。
【0192】
内部絶対IOP測定値を外部大気圧測定値と相関させる際のこの困難は、外部圧力測定装置および移植された圧力測定装置によって用いられたそれぞれの時間管理装置の正確性に時間の経過に伴うなんらかの量のふらつき(drift)があれば悪化し得る。例えば、
図20に示したように、IOPセンサインプラントは、圧力測定値が取得されるべき時刻を示すために用いられ得る時間管理装置、例えばタイマまたはクロックを備え得る。設計上の制約は、比較的簡単なタイマまたはクロック回路の使用を優先するかまたは必要とすることがある。例えば、コスト、電力消費量、および/または回路サイズの制約は、移植可能なセンサ装置において、進歩に遅れているタイマおよび/またはクロック、例えば圧電共振子を備えないものの使用を優先するかまたは必要とし得る。これらのタイマおよび/またはクロックは、例えば、より多数の回路要素、移植可能なセンサ装置内のより大きな量の空間、および/またはより多くの電力を必要とする先進的なものより、正確さが劣り得る。その結果、本明細書に記載される類の移植可能な装置中に用いられ得るタイマおよび/またはクロックの時間管理正確性は、時間の経過とともにふらつき得る。さらに、これらの時間管理装置は、温度変動の影響をより多く受け得る。
【0193】
例えば、わずか0.1%の時間管理のふらつきでも、日、週または月のような期間にわたると比較的大きな不正確な値を生じる結果となり得る。その結果、外部装置によって取得された大気圧測定値と患者の眼内のインプラントによって取得された内部絶対IOP測定値との間には、2つの装置によって用いられたそれぞれの時間管理要素が、2つの測定値は同時に取得されたことを示し得ても、時間のずれがあり得る。そして、もちろん、その時間のずれの間に大気圧または絶対IOPのどちらにも顕著な変化が起こり得るだろう。そうであれば、ゲージIOP値の不正確な計算が生じる結果となるだろう。
【0194】
図36Cおよび
図36Dは、絶対IOP測定値と大気圧測定値との間の時間のずれの結果として生じ得るゲージIOP計算値の不正確な値の例を例示するそれぞれのグラフ3610、3620である。
図36Cは、0.1%のタイマ不正確性の影響のシミュレーションを例示し、一方、
図36Dは、1%のタイマ不正確性の影響のシミュレーションを例示する。グラフ3610、3620の両方において、プロットしたゲージIOP値は、一定間隔(例えば毎時)で絶対IOP値から大気圧値を差し引くことによって計算した。これらのシミュレーション例において、絶対IOP信号と大気圧信号とは、16mmHgの一定ゲージIOP信号を生じる結果となるように設計した。すなわち、絶対IOP信号と大気圧信号との両方が
図36Aおよび
図36Bに示したものと同様に時間変動したが、これらの信号の間の差、つまりゲージIOPは、一定であるように設計された。ゲージIOP値が、時間を完璧に同期した絶対IOP値と大気圧値とを用いて計算されたら、プロットしたゲージIOP値は、16mmHgで一定のままであったろう。しかし、これらのシミュレーションにおいて、ゲージIOP値を計算するために用いた大気圧値とそれぞれの絶対IOP値との間に時間のふらつきが導入された。グラフ3610、3620に示すように、ほんの2、3日以下の範囲内で、シミュレーションしたタイマの不正確な値は、それぞれの絶対IOP値と大気圧値との間の同期の欠如を生じる結果となり、そのことが今度はゲージIOP計算値の大きな偽りの変動の原因となった。
図37Aおよび
図37Bは、これらのタイプの不正確な値を避けるための例示的方法を例示する。
【0195】
図37Aは、外部装置からの1つ以上の大気圧測定値と患者の眼内のセンサインプラントからの1つ以上の絶対IOP測定値とを用いてゲージIOP値を計算するための例示的方法3700aを例示する。この方法は、患者の眼の中のセンサインプラントを用いて絶対IOP測定値、および外部装置を用いて大気圧測定値を取得するために、指定時刻および/または間隔を設定するブロック3710aで開始される。例えば、外部装置と移植されたセンサ装置との両方を、時刻T
1、T
2、T
3、…等において、またはその前後で、測定値を取得するように(例えば内蔵ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアを用いて)設定することができる。これらの時刻は、外部装置およびセンサインプラントによって、例えばそれぞれの内蔵
された時間管理装置を用いて、独立に測定され得る。
【0196】
既に考察したように、たとえ外部装置とセンサインプラントとによって用いられるそれぞれの時間管理装置は、最初に同期され得るとしても、時間管理のふらつきがそれらの装置を互いに対して進ませるかまたは遅らせるかし、従って同期を失わせ得る。その結果、センサインプラントは、実際には時刻T1±Δ1、T2±Δ2、T3±Δ3等において絶対IOP測定値を取得し得る。同様に、外部装置は、実際には時刻T1±δ1、T2±δ2、T3±δ3等において大気圧測定値を取得し得る。ここで、Δnおよびδnは、異なりかつ未知であり得る。さらに、またはあるいは、外部装置とセンサインプラントとの両方は、間隔I1、I2、I3…で、またはその前後で測定値を取得するように設定することができる。しかし、ここでも、外部大気圧測定値および絶対IOP測定値が実際に取得されるときの瞬間の間には未知のずれがあり得る。
【0197】
ブロック3720aにおいて、センサインプラントは、指定時刻/間隔(例えばT
1、I
1)において患者の眼内の絶対IOP測定値を取得する。この測定値は、内蔵メモリ中に記憶されるかまたは外部読み取り装置等に送信され得る。少なくとも部分的に同時に、ブロック3730aにおいて、外部装置は、指定時刻/間隔(例えばT
1、I
1)の前および/または後に延び得る時間窓の間に複数の測定値を取得する。大気圧測定窓の長さは、例えば、センサインプラント時間管理装置および/または大気圧を測定する外部装置によって用いられる時間管理装置中に存在する時間管理のふらつきに基づいて決定することができる。時間管理のふらつきの量は、測定値が発生する各指定測定時刻の前後の不確定性窓を指定することができる。いくつかの実施形態において、大気圧測定窓は、少なくともこの時間管理不確定性窓と同じ大きさに設定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、外部装置は、指定時刻/間隔を中心とする20分の時間窓の間に複数の測定値を取得する。これらの大気圧測定窓は、
図36Bにおいて毎時を中心とする棒3606によって示されている。各大気圧測定窓の間に取得する大気圧測定値の数は、例えば、時間窓の長さ、所望のサンプリングレート、利用可能メモリ等に基づいて選択することができる。時間窓の間に大気圧測定値は、例えば、1秒ごと、10秒ごと、1分ごと等で取得され得る。
【0198】
ブロック3740aにおいて、時間の大気圧測定窓の間に取得された測定値は、測定値中に存在する変動の量を決定するために解析することができる。例えば、大気圧測定値は、指定測定時刻/間隔前後の窓の間に、大気圧測定値の間の変動が選択された範囲(例えば、変動≦10mmHg、≦5mmHg、≦1mmHg、≦10%、≦1%等)内に留まるかどうかを判断するために解析することができる。大気圧信号の変動の計算は、1つ以上の差の計算、分散または標準偏差の計算等を含むあらゆる適切な数学的技法によって行うことができる。この解析は、例えば、外部測定装置によって行ってよい。あるいは、解析は、大気圧測定値がアップロードされる別個の処理装置によって行ってもよい。
図36Bにおいて、斜線のない棒3606aは、大気圧測定窓の間に取得された測定値の変動の量が選択された許容範囲内にあったものの例であり、一方、斜線のある棒3606bは、変動の量が選択された許容範囲外にあることが見いだされたものの例である。
【0199】
ブロック3750aにおいて、時間窓の間に取得された大気圧測定値の変動が許容可能であれば、窓内の大気圧測定値の1つ以上は、許容され、センサインプラントを用いて指定時刻/間隔で取得された絶対IOP測定値とともに、ゲージIOP値を計算するために用いることができる。例えば、指定時刻/間隔に時刻が最も近い大気圧測定値がゲージIOP値の計算において使用するために選択され得る。または、大気圧測定窓の間のすべての測定値の平均が用いられ得る。または、なにか他の方法で大気圧測定窓の中のすべての測定値から代表大気圧値を計算または選択することができる。しかし、これらの実施形態において、大気圧測定値は、大気圧データが大気圧測定窓の範囲にわたって(用途または所望の正確性に基づいて設定することができる規定範囲内で)比較的安定である場合にだけゲージIOP値を計算するために許容される。このようにすると、ゲージIOP値は、計算された値が、大気圧測定窓の間に使用者によって経験された大気圧中の変動によって実質的に悪影響を受けないことが比較的確かである時刻についてしか計算されない。あるいは、ゲージIOP値をすべての場合に計算してから、前述の基準が満たされた場合にだけ記憶し、および/または使用者に提示してもよいだろう。または、疑わしいゲージIOP値(例えば、大気圧の変動がなにか設定されたしきい値を超えた期間に取得されたデータを用いて計算されたもの)は、フラグまたはそれが疑わしい値であるという通知を付けて使用者に提示してもよい。ブロック3750aによるゲージIOP値の計算は、例えば、大気圧測定値とIOP測定値とがともにアップロードされる外部装置によって実行することができる。
【0200】
図37Bは、ゲージIOP値の決定を目的として外部装置からの大気圧測定値をセンサインプラントからの絶対IOP測定値と相関させるための例示的方法3700bを例示する。方法3700bは、大気圧測定値を取得するために用いられる外部装置または外部システムが患者の眼内のセンサインプラントに同期情報を無線送信することによって同期操作を開始するブロック3710bから始まる。同期情報は、例えば、いつ大気圧測定値を取得するかを決定するために外部装置によって用いられる時間管理装置によって示される特定の時刻(例えば同期信号が送信される現在時刻)と関連する値、例えば時間の記録または固有の相関ID番号、であってよい。いくつかの実施形態において、同期情報は、インプラントに無線電力を送るため、および/またはインプラントからデータをダウンロードするために用いられるものとは異なる周波数で無線送信され得る。同期情報は、外部装置によって、その内蔵クロックまたはタイマによって示される同期操作の時刻と関連付けされて、記憶されてよい。同期情報は、内蔵クロックまたはタイマによって示される取得された時刻と同じく関連付けされて記憶され得る大気圧の測定値と一緒に記憶されてよい。
【0201】
いくつかの実施形態において、同期情報は、予め定められた時刻および/または間隔で外部装置によって送信される。場合によって、使用者は、同期操作を開始するために外部装置と相互作用するように指示され得る。いくつかの実施形態において、大気圧測定値を取得するために用いられる外部装置は、腕時計のように手首に着用されるように設計された物品であり得る。外部装置は、使用者に同期操作を行うことを思い出させるために、警報音または他の指示を出力し得る。同期操作は、センサインプラントが同期情報をより容易に受けることを可能にするために使用者が外部装置を彼または彼女の眼に近付けるよう要求し得る。いくつかの実施形態において、外部装置は、使用者が外部装置を彼または彼女の眼に近付けるよう要求されないように十分高い送信電力を用いて同期情報を送信し得る。そのような実施形態において、外部装置は、患者の身体、例えば使用者の手首に、または使用者の頸にかけられ、または同じ室内など使用者の近くに配置されることさえあり、使用者が外部装置を彼または彼女の眼に非常に近付けるよう要求されないかもしれない。
【0202】
ブロック3720bにおいて、センサインプラントは、同期情報を受信し、それを内蔵された時間管理装置(例えばクロックまたはタイマ)によって示される現在時刻と関連付ける。センサインプラントは、次に、同期情報を同期操作の関連時刻とともに記憶してよい。同期情報は、絶対IOPの測定値とともに記憶されてよく、絶対IOPの測定値も、センサインプラントの内蔵された時間管理装置によって示される取得された時刻と関連付けされて記憶され得る。
【0203】
次に、ブロック3730bにおいて、センサインプラントは、指定測定時刻/間隔における患者の眼内の絶対IOP測定値を取得する。少なくとも部分的に同時に、ブロック3740bにおいて、外部装置は、指定測定時刻(例えば
図37Aに関して考察したように)における、および/またはその前後の1つ以上の大気圧測定値を取得する。
【0204】
絶対IOPおよび大気圧測定値は、取得された後に、両方とも2つの装置によってそれぞれ記憶された同期情報とともに処理用装置にアップロードすることができる。処理用装置は、次に、ブロック3750bにおいて、同期情報に基づいて1つ以上の絶対IOP測定値を1つ以上の大気圧測定値と相関させることができる。既に述べたように、大気圧測定装置から受け取った同期情報は、その時間管理装置によって示される、同期操作が行われたときの時刻と関連付けされている。同様に、センサインプラントから受け取った同期情報は、その時間管理装置によって示される、同期操作が行われたときの時刻と関連付けされている。従って、同期情報は、センサインプラントからの絶対IOP測定値と同じ時刻、またはほぼ同じ時刻(例えば互いに何分か以内、またはより好ましくは何秒か以内)に取得された1つ以上の大気圧測定値を特定するために用いることができる。次に、ブロック3760bにおいて、処理装置は、相関させた絶対IOP測定値と大気圧測定値とを用いてゲージIOP値を計算することができる。他の実施形態において、インプラントは、IOP測定を開始するために必ずしも時間管理装置を備える必要はなく、代りに外部装置からの無線信号の受信に依拠し得る。外部装置は、無線信号が送信される時刻に、またはその時刻近く(例えば1秒以内、または10秒以内、または60秒以内)に大気圧測定を行うことができるだろう。
【0205】
いくつかの実施形態において、絶対IOP測定値は、信号処理技法、例えばパターン相関を用いることによってそれぞれの同時大気圧測定値と相関させることができる。例えば、時間の経過とともに取得された絶対IOP測定値から作り出された信号と少なくとも部分的に重なる期間にわたって取得された大気圧測定値から作り出された信号との両方を、信号特徴物、例えばピーク、パターン等を特定するために、公知の信号処理技法(例えば自己相関、特徴抽出アルゴリズム等)によって解析することができる。合致する特徴物が両方の信号中に特定されたら、同時に取得した絶対IOP測定値と大気圧測定値とを相関させるようにこれらの信号の一方を他方に対して(例えば合致する特徴物の間の時刻のずらしによって)時間シフトさせることができる。次に、ゲージIOP値を計算するためにこれらの同時測定値を用いることができる。この方法は、他の同期方法(例えば、
図37Aおよび
図37Bに関して考察した方法)に加えて適用することができるだろう。
【0206】
いくつかの実施形態において、外部装置、たとえば大気圧を測定するために用いるものは、IOP検出インプラントに対して、そのインプラントが絶対IOP測定値を取得する原因となる制御信号を放出することができる。外部装置は、絶対IOP測定値と大気圧測定値とがゲージIOP値の計算において実質的な不正確値を避けるのに十分なほど同時に取得されるように、大気圧測定値を制御信号と実質的に同時に取得することができる。いくつかのそのような実施形態において、外部装置は、指定時刻に絶対IOPおよび大気圧測定を開始するように使用者に指示することができる。例えば、外部装置は、指定時刻に測定を開始することを使用者に思い出させるために警報などの指標を提供し得る。測定を開始するために、使用者は、例えば、外部装置上のボタン、スイッチ等を作動させ得る。この行動は、1)大気圧測定を開始し、2)外部装置から移植されたIOP検出インプラントへの制御信号を開始し得る。考察したばかりのように、この制御信号は、IOP検出インプラントに絶対IOP測定値を取得させるために用いられ得る。そのような実施形態において、制御信号は、制御信号がIOP検出インプラントによって正しく受け取られなかった場合でもIOP検出インプラントおよび外部装置の測定値を正しく相関させることを可能にするような固有の相関ID番号、または本明細書において前に記載した他の固有に特定する特性を含むか、またはそれらからなり得る。外部装置は、キット中に、使用者は、この操作を行うときIOP検出インプラントへの制御信号の通信を改善するために、外部装置を彼または彼女の眼に近付けなければならないことを示す情報を提供され得る。
【0207】
いくつかの実施形態において、IOP検出インプラントは、インプラントが外部装置から信号を受け取ることができる準備完了状態(ready state)を開始するために、(比較的不正確であり得る)低電力クロックを備え得る。例えば、低電力クロックは、外部装置から本明細書に記載されるものなどの信号(例えば、同期信号、制御信号等)を受け取ることが予測される時間窓の間に、インプラントをこの準備完了状態に入らせ得る。この期間は、例えば、外部装置から信号が予測される時刻の前後の1、5、10、30または60分の窓であり得る。この方式は、誘導結合によって送られる信号ではなく無線信号の使用を可能にし得るため、有利であり得る。無線信号の方が遠くに届くことができる一方で、インプラントをスリープ状態から起こすのに必要な電力を欠き得る。無線信号を用いるためには、典型的に、IOP検出インプラントは、電力が入り信号を受信する準備ができている無線回路を有する必要がある。とはいえ、外部装置から信号が予測される準備完了期間の間を除いてラジオ回路を切る低出力クロックを用いることは有利であり得る。いくつかの実施形態において、低電力クロックは、外部装置によってさまざまな間隔で(例えば充電またはデータダウンロード相互作用時に)正しい時刻に同期することができる。
【0208】
<温度の変動の補償>
【0209】
本明細書に記載するIOP検出インプラントは、温度の影響を受け得る。眼の内部の温度は、大きな振れに対してはいくらか安定化されるが、それでも、例えば、環境温度および瞼が開いているか閉じているかに応じて±約5°変化し得る。さらに、発熱またはその他の個別の因子に起因して個々の使用者についての体温は、人により、ならびに時間とともにいくらか変化し得る。例えば検出モジュール自体、内蔵された時間管理装置、または他の電子回路のようなIOP検出インプラントの特定の構成要素は、そのような温度変動の影響を受け得る。従って、いくつかの実施形態において、時間の経過とともに温度測定値を取得するために温度センサが設けられ得る。温度センサは、IOP検出インプラント自体中に、IOP検出インプラントと(または同じくIOP検出インプラントと通信結合している外部装置と)通信結合している二次的な眼内インプラント(例えば薬送達インプラントまたは排出インプラント)中に、および/または本明細書に記載するものなどの外部装置中に設けられ得る。これらの温度測定値は、IOP検出インプラントの1つ以上の構成要素に対する温度変動の影響を少なくとも部分的に補償するために用いることができる。
【0210】
図38は、IOP検出インプラントに対する温度変動の影響を少なくとも部分的に補償するための方法3800を例示するフローチャートである。方法3800は、外部環境温度を測定するブロック3810から始まる。いくつかの実施形態において、これは、患者によって着用または携行される外部装置の一部として設けられる温度センサを用いて達成される。外部装置は、例えば、大気圧測定値を取得するため、またはIOP検出インプラントから測定値をダウンロードするために用いられる同じ装置であってよい。ブロック3820において、IOP検出インプラントによって経験される眼内温度を推定するために外部環境温度を用いる。これは、例えば、対照実験時に取得された測定値に基づいて外部環境温度を眼内温度と関連付ける較正情報を用いて実行することができる。
【0211】
次に、ブロック3830において、IOP検出インプラントによって取得されたIOP測定値、インプラントの内蔵された時間管理装置の時刻、または温度の影響を受けるインプラントのあらゆる他の特性を調整するために、眼内温度推定値を用いることができる。そのような調整は、インプラントからデータをダウンロードした後の後処理においてプロセッサによりIOP測定値および/または時刻に対して行うことができる。調整値は、例えば、1つ以上の温度測定値を1つ以上の対応する調整値に関連付ける較正データを用いて決定し得る。いくつかの実施形態において、温度情報は、特定の測定値を単に除外するために、さらに、またはあるいは、用いられ得る。例えば、温度測定値が、設定されたしきい値を超える、設定した範囲外にある合、時間の経過とともに指定された量を超えて変化する、等であれば、その期間に取得されたIOP測定値は、無視するかまたは他の方法で除外することができる。
【0212】
他の実施形態において、温度センサは、IOP検出インプラント自体に内蔵して設けられ得る。そのような実施形態において、温度測定値は、時間の経過とともにIOP測定値としてだけ記録しログに残すことができる。温度測定値は、考察したばかりのように、検出インプラントから同様にダウンロードし、検出インプラントに対する温度変動の影響を少なくとも部分的に補償するために後処理において用いることができる。
【0213】
<電源>
【0214】
本明細書に記載するさまざまなIOP検出インプラントは、IOP検出インプラントのさまざまな構成要素に動作電力を提供するために、1つ以上の電源装置を備えてよい。いくつかの実施形態において、IOP検出インプラントは、異なるタイプの2つの個別電源装置を備えてよい。第1の電源装置は、例えばバッテリーであってよく、一方、第2の電源装置は、例えばキャパシタまたはスーパーキャパシタであってよい。これらの個別電源装置は、IOP検出インプラントに動作電力を共同で供給してよい。
【0215】
バッテリーは、キャパシタよりはるかに大量のエネルギーを保持することができるが、キャパシタは、多くの場合、非常に速く(例えばほんの何秒か以内に)再充電される能力があるという利点を提供する。この特性は、スーパーキャパシタの場合に、他のタイプのキャパシタと比較してエネルギー蓄積容量が比較的大きいため、特に有利である。スーパーキャパシタは、例えば電解コンデンサーより単位体積または質量あたり1~2桁以上多いエネルギーを蓄えることができる。他のキャパシタによって用いられる固体誘電体と異なり、スーパーキャパシタは、エネルギーを蓄えるために、例えば、静電二重層容量および/または電気化学疑似容量も使用し得る。ある種のエネルギー蓄積装置は、バッテリー、キャパシタ、またはスーパーキャパシタとしての分類をいくらか曖昧にする物理、化学または挙動特性の組合せを備え得る。いくつかの実施形態において、スーパーキャパシタは、バッテリーより単位体積または質量あたり1~2桁少ない蓄電容量、ならびに適切な電圧の印加によって比較的短い期間(例えば1~10秒)内に完全に充電される能力を有するとみなされ得る。
【0216】
IOP検出インプラントは、バッテリーおよびスーパーキャパシタへの別々の物理的接続(例えば各電源用の一対のパッド)を有する回路を備え得る。回路は、誘導コイル(アンテナ)用の第3の別々のパッドの対も備え得る。外部誘導場が存在するとき、回路は、スーパーキャパシタとバッテリーとの両方に電圧を印加させ、電源電流に両方を充電させ得る。電圧は、外部誘導場が存在する間は印加されたままであり得る(スーパーキャパシタは比較的速くその電圧に充電され、バッテリーの方がもっと長い期間電流を引き込み続ける)。スーパーキャパシタおよびバッテリーは、同じ充電回路に並列に接続し、同じ充電電圧を印加してよい。この構成は、複雑な充電回路を必要としないため、有利であり得る。しかし、他の実施形態において、一方はスーパーキャパシタを充電し、他方はバッテリーを充電する2つの異なる充電回路(おそらく異なる電圧および/または電流で)もあってよいだろう。
【0217】
放電に関して、いくつかの実施形態において、スーパーキャパシタとバッテリーとは並列に接続されない。代りに、IOP検出インプラントは、スーパーキャパシタからその電荷がなくなるまで電力を供給され、次にインプラントは、バッテリーを用いるように切り替わり得る。あるいは、バッテリーを充電する(バッテリーがインプラントに電力を供給している間に)ためにスーパーキャパシタが用いられ得る。この手法は、バッテリーの充電時にエネルギー損失を導入する可能性があるが、例えばスーパーキャパシタの自己放電率が高い場合は有利な手法とすることができるだろう。
【0218】
図39Aは、インプラントがバッテリーによって電力を供給される場合(すなわち信号3902)と、別に、インプラントがスーパーキャパシタによって電力を供給される場合(すなわち信号3904)とについて、例示的なIOP検出インプラントの電力使用量を示すグラフ3900aである。信号3902は、IOP検出インプラントがバッテリーだけによって電力を供給される、第1の場合を例示する。この例において、IOP検出インプラントは、1時間当たり1nAhの電気エネルギーを用いると仮定され、バッテリーは、1μAhの使用可能蓄電容量を有すると仮定される。信号3902によって示されるように、プロットした残留電力容量は、1μAhで出発し、大体41日後にバッテリー中の蓄電エネルギーのすべてが使い果たされるまで1時間当たり1nAhの速度で線形に減少する。
【0219】
一方、信号3904は、IOP検出インプラントがスーパーキャパシタだけによって電力を供給される、第2の場合を例示する。IOP検出インプラントが少なくとも部分的にスーパーキャパシタによって電力を供給される場合、IOP検出インプラントは、患者にIOP検出インプラントと充電相互作用を行うか、またはもっと頻繁に充電交相互作用を行うことを指示するように設計されているシステムの一部であり得る。そのような実施形態において、IOP検出インプラントを無線充電するために外部充電装置を設けてよい。外部装置からIOP検出インプラントへの無線電力伝送は、電磁エネルギー、例えばラジオ波(RF)エネルギー、赤外(IR)エネルギー等を用いて行うことができる。電磁エネルギーは、例えば、誘導結合、伝播波等によって伝送することができる。外部充電装置は、例えば、充電電源、送信器、およびアンテナまたは誘導結合要素を備えることができる。IOP検出インプラントは、同様に、外部充電装置から電力を受け取るためにアンテナまたは誘導結合要素を備えることができる。
【0220】
さらに、外部充電装置は、出力装置、例えばスピーカ、ディスプレイ、触覚型トランスジューサ等も備えることができる。出力装置は、IOP検出インプラントと充電相互作用を行うように患者に指示を提供するために外部充電装置によって用いられてよい。そのような指示は、一定間隔(例えば毎日、12時間ごと、毎週等)で提供されてよい。または、指示は、なんらかの基準(例えばスーパーキャパシタが予め定められた百分率の残留電力容量を有するとき)に基づいて不規則な間隔で提供されてよい。指示は、例えば聞き取れる合図、例えば警報の形をとり得る。他の実施形態において、指示は、視覚型の合図、例えばディスプレイ上の特定の記号またはテキストであり得る。さらに別の実施形態において、指示は、例えば触覚型の合図のような、なんらかの他の形をとり得る。
【0221】
充電相互作用指示は、タイマ同期指示および/またはデータダウンロード指示と同時に出されてよい。そのような実施形態において、スーパーキャパシタ電源の使用には、相乗効果があり得る。なぜならば、使用者は、例えば誘導結合を用いて定期的なタイマ同期相互作用(例えば本明細書において考察するIOP検出インプラントに内蔵の時間管理のふらつきに起因して)および/またはデータダウンロード(限られた記憶容量に起因する)を行うことを既に求められている場合があるからである。これらの相互作用は、スーパーキャパシタを充電するためにも利用してよい。従って、バッテリー再充電の頻度およびそれに伴う不便を除くかまたは減らすことが可能であり得る(そうでなければ30~45分の特別な充電装置の着用が必要となり得る)。
【0222】
充電相互作用自体が多くの形をとってよい。例えば、患者は、外部充電装置上のコントロール、例えばボタン、スイッチ等を操作するように求められ得る。コントロールの操作は、外部充電装置に外部充電装置からIOP検出インプラントへの電力の無線伝送を開始させることができる。コントロールは、本明細書において他の箇所で考察するように、時間管理装置の同期、IOP検出インプラントからのデータのダウンロード等も開始してよい。
【0223】
いくつかの実施形態において、外部充電装置は、使用者に、彼または彼女は充電相互作用の一部として外部充電装置を彼または彼女の眼に近付けなければならないことを示す使用説明を含むかまたは添付され得る。外部電力充電装置とIOP検出インプラントとの間の物理的な近さが増すと、インプラントへの電力伝送を全般的に向上させる。いくつかの実施形態において、外部充電装置は、使用者が充電相互作用を実行したことを検出するまで繰り返し、または絶え間なく指示を提供し得る。電源は、スーパーキャパシタなので、充電相互作用には何秒か以内しかかからず、従って頻繁な充電相互作用を行うことが実用的になる。
【0224】
いくつかの実施形態において、外部充電装置は、時間的な間隔をおいて充電指示を提供し、その間隔内におけるIOP検出インプラントの予測エネルギー使用量がスーパーキャパシタの蓄電容量より少なくなるように設定され得る。例えば、信号3904によって例示される場合について、IOP検出インプラントは、1時間当たり1nAhの電気エネルギーを用いると仮定され、スーパーキャパシタは、0.2μAhの使用可能蓄電容量を有すると仮定される。従って、スーパーキャパシタは、IOP検出インプラントに数日間電力を供給するのに十分なエネルギーを提供することができる。この予測操作時間より短い間隔で、外部充電装置が使用者にIOP検出インプラントとの充電相互作用を行うように指示する限り(かつ指示された充電相互作用を使用者が実際に行うと仮定すれば)、IOP検出インプラントは、連続的に動作することができる。例えば、信号3904は、充電相互作用が毎日指示され、大体は行われたことを示す。しかし、たとえ患者が充電相互作用指示を一度に2、3日間無視した(鋸歯状信号波形3904中の大きくなった歯によって示される)としても、スーパーキャパシタは、装置に2、3日間電力を供給するのに十分なエネルギーを一度に蓄える能力があるため、IOP検出インプラントは、依然として連続的に動作することができる。IOP検出インプラントの予測エネルギー使用量は、典型的な使用条件時に実験的に、または検出インプラントのさまざまな構成要素の定格電力使用量に基づいて解析的に決定すること、を含むさまざまな方法で決定することができる。
【0225】
図39Bは、バッテリーとスーパーキャパシタとの組合せによって電力を供給され、スーパーキャパシタの容量が充電相互作用時刻の間のインプラントの電力使用量より少ない、例示的なIOP検出インプラントの電力使用量を示すグラフ3900bである。信号3908によって例示される例において、IOP検出インプラントは、毎時1nAhの電力を消費し、一方、バッテリーは、0.5μAhの蓄電容量を有し、スーパーキャパシタは、0.02μAhの蓄電容量を有する。
図39Aに関して記載したばかりのように、IOP検出インプラントは、スーパーキャパシタを充電するために充電相互作用を行うことを時折患者に指示する外部充電装置を備えるシステムの一部であってよい。(上述のように、充電相互作用指示は、タイマ同期指示および/またはデータダウンロード指示としても使用されるか、またはそのような指示と同時に出される。)信号3908によって例示される例において、外部充電装置は、充電相互作用指示を毎日出力し、スーパーキャパシタは、従って患者が指示を守る限り、毎日再充電される。このことは、スーパーキャパシタが充電され、次に、もう一度再充電されるまで残存容量が低下する信号3908において明白である0.02μAhの鋸歯パターンから明白である。この例におけるスーパーキャパシタの0.02μAh蓄電容量は、毎日の充電相互作用時刻の間のIOP検出インプラントによる0.024μAhの予測エネルギー使用量よりわずかに少ない。
【0226】
比較を目的として、
図39Bは、IOP検出インプラントが1μAhの蓄電容量、つまり信号3908によって表されるバッテリーの2倍の蓄電容量、を有するバッテリーだけによって電力を供給される場合を例示する信号3906も含む。信号3906によって示されるように、このバッテリー容量は、IOP検出インプラントに電力をおよそ41日間供給するのに十分である。しかし、信号3906に対応するバッテリーは、信号3908に対応するバッテリーの2倍の容量を有するという事実にもかかわらず、信号3908に対応するIOP検出インプラントは、信号3906に対応するIOP検出インプラントよりおよそ3倍長く動作することができる。これは、定期的な(例えば毎日の)充電相互作用と組合されたスーパーキャパシタの存在に起因する。この例は、IOP検出インプラントに動作電力を供給するために、比較的小さな容量のスーパーキャパシタであってもバッテリーとともに用いることによって実現することができる相乗効果を例示している。
【0227】
図39Cは、バッテリーとスーパーキャパシタとの組合せによって電力を供給され、スーパーキャパシタの容量が充電相互作用時刻の間のインプラントの電力使用量より大きい、例示的なIOP検出インプラントの電力使用量を示すグラフ3900cである。信号3912によって例示される例において、IOP検出インプラントは、ここでも、1時間あたり1nAhの電力を消費し、一方、バッテリーは、0.3μAhしかない蓄電容量を有し、スーパーキャパシタは、0.1μAhの蓄電容量を有する。ここでも、IOP検出インプラントは、スーパーキャパシタを充電するために充電相互作用を行うことを時折患者に指示する外部充電装置を含むシステムの一部であってよい。信号3912によって例示される例において、外部充電装置は、充電相互作用指示を毎日出力し、スーパーキャパシタは、従って大体において再充電されるが、これらの充電相互作用を時折省略するゆとりが生まれる。
【0228】
比較を目的として、
図39Cは、IOP検出インプラントが1μAhの蓄電容量、つまり信号3912によって表されるバッテリーの蓄電容量の3倍より多い、を有するバッテリーだけによって電力を供給される場合を例示する信号3910も含む。信号3910によって示されるように、このバッテリー容量は、IOP検出インプラントに電力を大体41日間供給するのに十分である。これに対して、信号3912に対応するIOP検出インプラントは、計画される充電相互作用指示の間の期間全体の間の必要な動作電力のすべてをスーパーキャパシタが供給することができるため、はるかに長い期間動作することができる。患者がこれらの指示を守り、充電相互作用を実行する限り、バッテリー電力は必要ない。しかし、患者が1回以上の充電相互作用指示を守り損なった場合、予備電力を供給するためにバッテリーが利用可能である。
【0229】
図40は、IOP検出インプラントに動作電力を供給するための方法4000を例示するフローチャートである。方法4000は、インプラントのための動作電力を供給するためにバッテリーとスーパーキャパシタとがIOP検出インプラントに内蔵されて設けられるブロック4010で開始する。ブロック4020において、外部充電装置が設けられる。ブロック4030において、外部充電装置は、外部充電装置とIOP検出インプラントとの間の充電相互作用を開始することを患者に指示するように設定される。最後に、ブロック4040において、充電相互作用が開始されると、外部充電装置は、例えばIOP検出インプラント内蔵のスーパーキャパシタに電力を無線伝送する。既に考察したように、充電相互作用は、外部充電装置によって、例えば、定期的な間隔でまたはなんらかの基準の充足に基づいて指示されてよい。
【0230】
<IOP検出インプラントの主ハウジングとセンサキャップとのレーザ溶接>
【0231】
上記で既に考察したように、本明細書において開示するIOP検出インプラントのさまざまな実施形態は、管状の主ハウジング(例えば2102)と、主ハウジングと嵌合するセンサキャップ(例えば2108)とを備えてよいが、他のタイプの組合せ可能なハウジング部品も用いてよい。センサキャップは、主ハウジングの一端に押し入るように設計されてよい。センサキャップと主ハウジングとの間に水分バリヤシールが設けられるかまたは形成されてよい。
【0232】
図41は、主ハウジング2102に挿入されたセンサキャップ2108の実施形態を間に形成された水分バリヤシールとともに例示する。いくつかの実施形態において、センサキャップ2108は、プラグ部分2115とヘッド部分2114とを有する2段直径設計を有する。プラグ部分2115は、ハウジングの本体2102に好適に挿入可能であるようなサイズであってよい。例えば、プラグ部分2115の直径は、本体2102の内径と等しいか、またはわずかに小さく(例えば<5%小さく、<1%小さ<、<0.1%小さく、<0.01%小さく、<0.001%小さく)てよい。ヘッド部分2114は、対照的に、本体2102の内径より大きい直径を有し得る。従って、プラグ部分2115とヘッド部分2114との間の接合部に肩部が生じる結果となる。センサキャップ2108を主ハウジング2102に挿入すると、この肩部は、主ハウジング2102の嵌合面4120に当接する機械的ストップの役をする。いくつかの実施形態において、嵌合面4120は、主ハウジング2102の側壁の端に配置され、主ハウジング2102の軸に直角に(すなわちセンサキャップ2108の挿入軸に直角に)配向する。センサキャップ2114の肩部と主ハウジング2102との間のこの当接は、主ハウジング2102内のセンサキャップ2114の正しい配置を確実にするのを助けるので有利である。
【0233】
いくつかの実施形態において、主ハウジング2102とセンサキャップ2108との間の水分バリヤシールは、これら2つの構造体を嵌合面において溶接することによって形成される。これは、例えば、嵌合面4120の位置において金属中間層4130を設けることによって達成されてよい。この金属中間層4130は、嵌合面4120の位置において主ハウジング2102またはセンサキャップ2108の上に、または隣接して形成されるかまたは設けられてよい。例えば、金属中間層4130は、センサキャップ2108のプラグ部分2115の直径以上の内径と、好ましくはセンサキャップ2108のヘッド部分2114の直径より小さい外径とを有するリングであってよい。次に、金属中間層4130を融解し、嵌合面4120において主ハウジング2102とセンサキャップ2108とを融着して一緒にするように熱を加えるためにレーザを用いてよい。レーザは、主ハウジング2102および/またはセンサキャップ2108の材料に対してレーザを実質的に透明にする動作波長を有してよい。例えば、主ハウジング2102および/またはセンサキャップ2108は、シリコン製であり得、溶接レーザは、シリコンによって実質的に吸収されない動作波長(例えば赤外スペクトル内)を有し得る。このようにすると、レーザ光は、金属中間層4130に衝突するまで主ハウジング2102および/またはセンサキャップ2108の構造体を通り抜ける。金属中間層4130は、レーザ光を吸収し、レーザ光によって加熱され、金属中間層に主ハウジング2102とセンサキャップ2108との間に溶接された界面を形成させる。いくつかの実施形態において、溶接用レーザからの光は、センサキャップ2108のヘッド部分2114を通って嵌合面の方へ施用される。
【0234】
<IOP検出インプラントのための2段直径主ハウジング>
【0235】
図42Aは、2段直径主ハウジング4202を有するIOP検出インプラントの実施形態の斜視図である。
図42Bは、
図42Aに示した2段直径主ハウジング4202の側面図である。2段直径主ハウジング4202は、両端に先端キャップ(例えば2102)とセンサキャップ(例えば2108)とを受けるように設計された細長い管状体であってよいという点で、本明細書に記載する他の主ハウジング(例えば
図21および他の図に示した主ハウジング2102)に似ていてよい。先端キャップを受ける端は、先端キャップ端として参照され、一方、センサキャップを受ける端は、センサキャップ端として参照される。2段直径主ハウジング4202は、先端キャップ端における第1の直径とセンサキャップ端における第2の、より大きな直径とを有してよい。いくつかの実施形態において、センサキャップ端の直径は、先端キャップ端の直径より少なくとも10%、および300%大きくてよい。肩部4210が2段直径主ハウジング4202の小さい方の直径(先端キャップ端)の部分と大きい方の直径(センサキャップ端)の部分とを接合してよい。いくつかの実施形態において、主ハウジングの先端キャップ端は、一定の第1の直径を有してよく、主ハウジングのセンサキャップ端は、一定の第2の、より大きな直径を有してよいが、これは、必要ではない。
【0236】
図42Cは、
図42Aおよび
図42Bに示した2段直径主ハウジング4202の肩部4210の周りの領域の拡大図を例示する。
図42Cに示すように、いくつかの実施形態において、肩部4210は、2段直径主ハウジング4202の小さい方の直径(先端キャップ端)部分と大きい方の直径(センサキャップ端)部分との間の段差移行部であってよい。言い換えると、肩部4210は、主ハウジング4202の小さい方の直径部分と大きい方の直径部分とを接合し、細長い主ハウジング4202の軸に全体として直角である、1つ以上の表面として形成されてよい。あるいは、肩部は、主ハウジングの小さい方の直径の部分と大きい方の直径の部分との間のテーパ形の移行部であってよい。
【0237】
本明細書において既に考察したように、IOP検出インプラントは、特定の眼内解剖学的構造体、例えば毛様体/脈絡膜上腔への挿入に合わせたサイズおよび形であってよい。主ハウジング4202の2段直径設計は、眼組織にIOP検出インプラントを(先端キャップ端を最初に)挿入するとき肩部4210が機械的ストップとして使用されることができるため、そのような実施形態において有利であってよい。このことは、IOP検出インプラントが眼組織の中に適正に配置されることを確実にするのを助けることができる。例えば、2段直径主ハウジング4202の肩部4210は、毛様体/脈絡膜上腔へのIOP検出インプラントの過度の挿入を防ぐのを助けることができる。このことが、今度は、センサキャップ端が前房中のIOPを測定するために少なくとも部分的に前眼房中に延在することを確実にするのを助ける。肩部4210からIOP検出インプラントのセンサキャップ端の最も遠い範囲までの距離は、IOP検出インプラントが、インプラントが留置されている眼の組織から前房中に延在するべき所望の距離に一致してよい。主ハウジング4202の2段直径設計の別の利点は、先端キャップ端の小さい方の直径が眼組織へのより容易な挿入を提供するのを助け、一方、センサキャップ端の大きい方の直径がより大きなIOP検出モジュールを収容してよいことを含む。
【0238】
図42A~
図42Cは、眼組織へのIOP検出インプラントの過度の挿入を防ぐ機械的なストップとして使用される主ハウジング4202の肩部4210を例示するが、機械的なストップのための他の設計も可能である。例えば、主ハウジングは、あるいは、および/またはさらに、ハウジングから放射状に突き出し、ハウジングの周縁を完全にまたは部分的に囲み、それによって眼組織にインプラントを挿入するとき機械的なストップとして働く1つ以上の稜、フランジ、または、他の構造体を含んでよいだろう。
【0239】
<カップ型センサキャップ設計>
【0240】
図43Aは、眼内圧検出インプラントのためのカップ型センサキャップ4308の斜視図である。例示する実施形態において、センサキャップ4308は、インプラントの主ハウジング(例えば2102、4202)に挿入されるように設計されているプラグ部分4315と、プラグ部分4315から延在するヘッド部分4314とを含む2段直径センサキャップとして実体化される。IOP検出モジュールは、例えば、ヘッド部分4314中に全部、またはヘッド部分中に一部およびプラグ部分4315中に一部、設けられ得る。センサキャップ4308のヘッド部分4314は、キャップ4308の外側に面する部分の中に形成された凹部4310を含むという点で凹形を有する。凹部4310は、センサキャップの中央部に形成され、周壁4311によって囲まれる。センサキャップのIOP検出モジュールは、周壁4311によって囲まれるように凹部4310の中に形成されてよい。いくつかの実施形態において、IOP検出モジュールは、圧力検出モジュール(例えば容量型または圧電抵抗型圧力検出モジュール)の一部である可撓性ダイヤフラム2111を備える。可撓性ダイヤフラム2111は、繊細であり得るので、周壁4311によって囲まれているセンサキャップ4308の凹部4310の中のその配置は、外科的移植の前に、および外科的移植の間に、インプラントが取り扱われるかまたは操作されるとき損傷に対して保護の手段を提供する。他の圧力検出装置も、
図43Aに示すカップ型センサキャップ設計によって提供される物理的な保護から恩恵を受け得る。
図43Aは、2段直径センサキャップ4308設計を例示するが、他のタイプのハウジングも同様に
図43Aに例示するもののようなカップ型領域を(例えば遠位位置に)備えてよい。
【0241】
図43Bは、カップ型センサキャップ4308の別の斜視図であるが、
図43Aに示したものとは反対側からのものである。
図43Bにおいて明らかであるように、センサキャップ4308は、本明細書に開示するセンサキャップ(例えば2108)の他の実施形態のように、さまざまなエレクトロニクス構成要素を上に装着したキャリア部材(例えば2072)と物理的に連結する切り欠き4316を備えてよい。さらに、センサキャップ4308は、センサキャップ4308の中に配置されたIOP検出モジュールをIOP検出インプラントの中の1つ以上の他のエレクトロニクス構成要素と電気的に接続する1つ以上の電気コンタクト4313を備えてよい。
図43Cは、カップ型センサキャップ4308のさらに別の斜視図であるが、今度は、IOPセンサインプラントハウジングの管状本体2102の中に装着されている。
【0242】
図43Aのセンサキャップ4308のカップ型設計は、その保護特性にとっては有利であるが、(センサキャップの凹部4310の中に配置された)IOP検出モジュールの眼内で動作する能力に影響を及ぼしかねないいくつかの厄介事も引き起こし得る。例えば、センサキャップ中の凹部4310は、インプラントが眼に挿入されるとき、IOP検出モジュールに隣接するエアポケットを捕集する傾向を有し得る。エアポケットは、凹部4310の内部の周壁4311によって捕捉されたら、IOP検出モジュールと房水との間の障壁として働きかねない。エアポケットは、水様液から検出モジュールに少なくとも部分的に圧力を伝達し得るが、凹部4310を満たすか、または部分的に満たすエアポケットが、エアポケットと水様液および/または可撓性ダイヤフラム2111との界面において表面張力によって発生する力に起因して、またはIOP検出モジュールに対して作用する寄生容量に影響を及ぼすなどの他の影響に起因して、IOP測定値の正確さに悪影響を及ぼし得る可能性もある。この潜在的問題は、センサキャップ4308の凹部4310の内側に親水性コーティングを設けることによって少なくとも部分的に改善され得る。例えば、周壁4311の内部を親水性材料で被覆し得る。同様に、凹部4310の底部に配置された可撓性ダイヤフラム2111も同様に親水性材料で被覆され得る。センサキャップの凹部4310内の親水性材料の存在は、房水による凹部の湿しを促進し得る。適当な親水性材料の例は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化タンタル等を含むさまざまな酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル等を含むさまざまな窒化物、炭化ケイ素、炭化チタン等を含むさまざまな炭化物を含む。そのような材料は、とりわけ原子層蒸着(ALD)、スパッタリングまたは蒸着などの物理的気相堆積(PVD)方法、または化学的気相堆積法(CVD)を用いて薄層として堆積され得る。他の材料は、ヘパリン、ポリ-L-リジン等などのバイオ材料を含む、親水性表面を作り出す薄膜として塗布され得る。あるいは、および/またはさらに、周壁4311および/または可撓性ダイヤフラム2111の内側の親水性表面の親水性は、乾式または湿式化学エッチングなどのさまざまな手段またはイオン衝撃などの物理エッチングを用いて表面粗さを増大させることによって増加され得る。そのような粗さの増加は、親水性材料によるコーティングの前、後または代りに行われ得る。あるいは、および/またはさらに、房水で湿し損なうというセンサキャップ4308のカップ型領域の潜在的な問題は、特別な送達器具を用いてインプラントを外科的に挿入することによって軽減するかまたはなくすことができる。
【0243】
図44は、カップ型センサキャップを有するIOP検出インプラントを外科的に挿入するための送達器具の遠位部分4400の実施形態を例示する。送達器具は、例えば本明細書において他の箇所に記載するハンドピース、ホルダ、送達機構、プランジャ等を備えてよい。送達器具の遠位部分4400は、外科的な移植時にIOP検出インプラントと接触する送達器具の部分である。いくつかの実施形態において、送達器具の遠位部分4400は、プランジャ先端である。プランジャ先端は、例えば、本体4405と、センサキャップ4308の凹部と係合するために用いられる突起4410と、を備えてよい。突起4410は、センサキャップ4308中に形成された凹部4310の物理的な相補物であってよい。例示する実施形態において、突起4410は、センサキャップ4308中の凹部4310の直径より大きくない直径を有し、一方、送達器具の遠位部分4400の本体4405は、センサキャップ4308中の凹部4310のものより大きい直径を有する。このことは、突起4410が本体4405と接合する肩部を生じる結果となる。本体4405からの突起4410の長さは、例えば、センサキャップ4308中の凹部4310の深さ以下であり得る。突起4410がセンサキャップ4308の凹部4310に挿入されると、肩部は、センサキャップの周壁4311と係合し得る。この係合により、センサキャップ4308の凹部4310への突起4410の過度の挿入を防ぎ得、さもなければ凹部の中に配置されたIOP検出モジュールを損傷しかねない。
【0244】
本明細書において他の箇所で考察するように、送達器具は、眼内の所望の位置においてIOP検出インプラントを外科的に挿入するために用いてよい。IOP検出インプラントが送達器具から放出されたら、突起4410はセンサキャップ4308中の凹部4310から引き抜かれる。突起4410の引き抜きは、真空を作り出し、真空は、センサキャップ4308の凹部4310中に房水を引き込み、それによって凹部を流体で湿し、センサキャップの凹部の中に捕捉されていた空気の量を減らすかまたはなくす。
【0245】
他の実施形態において、センサキャップ4308の凹部4310は、眼への挿入の前に非圧縮性の圧力伝達ジェルまたは他の物質で満たすことができる。ジェルは、センサキャップ中の凹部から空気を追い出し得る。さらに、IOP検出インプラントが外科的に移植されたら、ジェルは、眼の中の房水によってIOP検出モジュール(センサキャップの凹部の中に位置する)に圧力が及ぼされることを可能にすることができる圧力伝達性媒体として働き得る。非圧縮性、圧力伝達性ジェルのための適当な材料の例は、シリコンジェル、フルオロシリコンジェル等を含む。
【0246】
<IOP検出インプラントの封止および殺菌>
【0247】
本明細書に開示されるIOP検出インプラントのさまざまな実施形態は、細長い管状本体(例えば2102、4202)、センサキャップ(例えば2108、4308)および先端キャップ(例えば2104)から作り上げられたハウジングを備える。他の箇所で考察するように、IOP検出インプラントハウジングのこれらのさまざまな部品(またはIOP検出インプラントハウジングの別の実施形態の他の部品)を組み立てることができ、眼中に移植された後にハウジングに流体が入ることを防ぐために、さまざまな部品の間の接合部において気密シールを設けることができる。IOP検出インプラントハウジングが気密封止され得るという事実にもかかわらず、それでもインプラントの内部を殺菌することは有利であり得る。殺菌は、潜在的には、細菌、ウイルス等を殺すかまたは不活性化するのに十分である温度にインプラントを加熱することによって達成することができるだろう。しかし、IOP検出インプラントのエレクトロニクス構成要素は、そのような温度に耐えることができないかもしれない。従って、例えば、殺菌剤、例えば殺菌性ガスを用いる殺菌を行う方が有利であり得る。しかし、この技法も、IOP検出インプラントハウジングのさまざまな部品を組み立て、結合し、および/または封止しながら同時に殺菌剤を注入し、排出するか、または代りに、内部部品を含むIOP検出インプラントのさまざまな部品を殺菌してからこれらの部品を無菌状態において組み立て、結合し、および/または封止する際の難しさのため、技術的な難問となり得るだろう。従って、
図45および
図46は、これらの組み立てるステップ、結合するステップ、および/または封止するステップを製造プロセス時の殺菌ステップから有利に分離するための技法を例示する。
【0248】
図45は、IOP検出インプラントの殺菌を促進するために用いることができる先端キャップ4504の例示的実施形態を例示する。一方、
図46は、IOP検出インプラントを組み立て、結合し、封止し、殺菌するための例示的方法4600を例示する。方法は、ブロック4610において、IOPセンサインプラントハウジングのさまざまな部品を提供することにより始まる。本明細書において他の箇所で考察するように、インプラントハウジングのさまざまな部品は、例えば、細長い管状本体、センサキャップ、および先端キャップを含んでよい。これらのハウジング部品は、後に、ハウジング部品を組み立て、結合し、および/または気密封止した後で、殺菌剤の注入を容易にするようにハウジング部品の少なくとも1つの中に注入ポートを設けてよいことを除いて、本明細書において他の箇所に記載した通りであってよい。
【0249】
図45は、例えば、IOP検出インプラントハウジングを組み立て、結合し、および/または気密封止した後に、殺菌剤の注入を促進する注入ポート4534を備える先端キャップ4504を例示する。先端キャップ4504は、インプラントハウジングの管状本体に挿入されるプラグ部分4532を備える。プラグ部分4532の直径は、本体の内径に対応する。さらに、例示した先端キャップ4504は、先端キャップが本体に挿入されるとインプラントハウジングの管状本体から延在するヘッド部分4530を備える。他の箇所で考察したように、先端キャップのヘッド部分4530は、眼の組織へのインプラントハウジングの挿入を容易にするように丸くおよび/または鋭くすることができる。注入ポート4534は、先端キャップと本体とを組み立てたとき外部の位置から先端キャップ4504を通ってインプラントハウジングの管状本体中に延在する通路(
図45に点線で示す)である。
【0250】
図46に示す方法4600のブロック4630において、組み立てたIOP検出インプラントハウジングに殺菌剤、例えばエチレンオキシドまたは過酸化水素を導入するために先端キャップ4504中の注入ポート4534を用いてよい。同じポートを通して殺菌剤を排出してもよい。あるいは、殺菌剤の注入および/または排出のために複数のポートを設けてもよい。これらは、すべて同じハウジング部品の中に、または異なるハウジング部品の中に設けてよい。
【0251】
IOP検出インプラントハウジングのさまざまな部品を既に組み立て、結合し、および/または気密封止した後に殺菌を行うことができるという事実は、組み立て手順と殺菌手順との両方を、必ずしも同時に行う必要はないという理由で単純化するため、有利である。
【0252】
ブロック4640において、任意選択として、組み立てられたIOP検出インプラントハウジングに不活性ガスを注入してよい。例えば、インプラントハウジングにアルゴンガスを注入してよい。不活性ガスは、不活性ガスがなければインプラントハウジングの内部の大気との反応性が高いリチウムをバッテリーが含む場合にインプラントハウジングの内部のバッテリーの寿命を有利に延ばすことができる。
【0253】
最後に、ブロック4650において、先端キャップ4504中の注入ポート4534を封止してよい。これは、例えば、ポートの周りの先端キャップ材料を(例えばレーザエネルギーで)融解するステップ、ワイヤまたはプラグを挿入するステップ(および任意選択として注入ポートを封止するためにワイヤまたはプラグを融解するステップ)等を含むさまざまな方法で達成してよい。
【0254】
先端キャップ4504中に設けた注入ポートに関して殺菌技法を記載したが、他の実施形態において、注入ポートは、センサキャップ中に、管状本体中に、またはいずれかの他のハウジング部品中にも設けられ得る。
【0255】
<流れを可能にする特徴物を有するIOP検出インプラント>
【0256】
本明細書において開示するIOPセンサインプラントのさまざまな実施形態は、眼の生理的流出路において、または眼の生理的流出路の中に挿入/移植/留置されるように設計されてよい。健康な眼において、これらの流出路、例えばシュレム管(小柱網を経由)またはぶどう膜強膜流出路は、IOPが健康なレベルを超えることを予防するために前房から房水を排出する。
【0257】
図47A~
図47Cは、流れを可能にする特徴物を有するIOPセンサインプラントハウジングの実施形態を例示する。流れを可能にする特徴物は、水様液の流出を増進し、それによってIOPレベルを低下させることができる。流れを可能にする特徴物は、例えば、ハウジングによって囲まれていない、IOPセンサインプラントハウジングの外部特徴物であり得る。あるいは、および/またはさらに、流れを可能にする特徴物は、少なくとも部分的にIOPセンサインプラントハウジングによって囲まれ得る。
【0258】
図47Aは、流れを可能にする囲まれた特徴物を有する例示的なIOPセンサインプラントハウジング本体4702aの斜視図である。
図47Bは、
図47Aに示したIOPセンサハウジング本体4702aの断面図である。ハウジング本体4702aは、本明細書において他の箇所で考察するIOPセンサインプラントの電気的な構成要素を収容するために、中央主空洞4701を備えてよい。さらに、ハウジング本体4702aは、1つ以上の流路4703aも備えてよい。流路4703aは、例えば中央空洞4701より小さな直径を有し得る。
図47Bに例示する実施形態において、ハウジング本体4702aは、中央空洞4701の両側に2つの流路4703aを備える。これらの流路4703の各々は、例えば、IOPセンサインプラントハウジングの本体4702aの実質的に軸方向長さ全体に通る囲まれた内腔であってよい。ハウジングが、例えば、眼の生理的流出路の中に外科的に移植されると、各流路4703aの一方の端は、前房中に配置されてよく、一方、各流路の反対側の端は、生理的流出路の中に配置されてよい。これらの流路は、水様液を前房から外へ導くことによって、排出を増進することができる。
【0259】
図47Bに示すように、囲まれた流路4703aは、インプラントハウジングの本体4702に左右軸の方向に広がった形状を与える。流路4703aは、インプラントを、例えば、毛様体/脈絡膜上腔中に挿入するとき、この形状でなければ組織の層の間に存在し得る隙間を有利に占めることができる。
【0260】
図47Cは、流れを可能にする開いた外部特徴物を有する例示的なIOPセンサインプラントハウジング本体4702bの斜視図である。ここでも、ハウジング本体4702bは、IOPセンサインプラントの電気的な構成要素を収容するために、中央主空洞4701を備えてよい。さらに、ハウジング本体4702bは、1つ以上の開いた、外部の、流れを可能にする特徴物を備えてよい。例示した実施形態において、開いた、外部の、流れを可能にする特徴物は、IOPセンサインプラントハウジングの本体4702bの実質的に軸方向長さ全体に通る1つ以上のリブ4703b、またはあるいは、溝/チャネルである。リブ4703は、眼組織と接触してよく、水様液が溝/チャネルに沿って流れてよい。ここでも、ハウジング4702bが、例えば、眼の生理的流出路中に外科的に移植されると、各々の、流れを可能にする特徴物4703bの一方の端は、前房の中に配置されてよく、一方、各々の、流れを可能にする特徴物の反対側の端は、生理的流出路の中に配置されてよい。このようにすると、排出を増進することができる。
【0261】
いくつかの実施形態において、外部の、流れを可能にする特徴物は、多孔質材料、例えばガラスフリット、ポリプロピレン、ポリエチレン等などの多孔性プラスチック、ポリエチレン、ポリエステル等などの多孔性貼り合わせポリマー繊維、または好ましくは親水性であり開放セル多孔性構造体に形成することができる他の材料から製作するか、または含んでよい。そのような多孔質材料は、材料自体のバルク構造を通る流体移動を可能にする、複数の流体操作用毛細管構造体または擬毛細管構造体を提供する。例えば、多孔質材料は、ハウジングの実質的に外部表面全体の上、ハウジング上の軸方向リブまたはストリップ中、ハウジングの外側に形成された溝/チャネル(例えば
図47Cに示すリブ4703bの間)中、等に設けられ得る。
【0262】
<留置用鋲(anchoring tacks)を有する眼内圧検出インプラント>
【0263】
図48Aおよび
図48Bは、眼内インプラントを眼組織に付着させるための留置用システムの例示的実施形態を例示する。この留置用システムは、本明細書に記載されるもののようなIOP検出インプラント(例えばIOP検出インプラント2102)を眼の内部の組織および/または解剖学的構造体に(例えば前房中に)付着させるために用いることができる。留置用システムは、1つ、2つ、または3つ以上の留置用繋具4802を備え得る。これらの図に示すように、各留置用繋具の第1の部分は、下に留置されるべき眼内インプラントに付着するように設計されてよく、一方、各留置用繋具の第2の部分は、眼組織に挿入される留置用鋲に付着するように設計されてよい。留置用鋲は、単に眼組織中のアンカーとして使用されるだけではない機能を有してよい。例えば、留置用鋲は、留置用鋲によって眼組織に留置される眼内インプラントによって実行される機能と相補的である、および/または眼内インプラントによって実行される機能に追加される、1つ以上の機能を実行するインプラント装置でもあってよい。
【0264】
図48Aに例示する実施形態において、留置用システムは、IOP検出インプラント2102の先端に配置された第1の留置用繋具4802aと、センサ端に配置された第2の留置用繋具4802bを備えるが、他の実施形態は、異なる数の留置用繋具を備えてよいだろう。これらの図にはIOP検出インプラント2102が示されるが、例示する留置用繋具4802は、IOP検出インプラントの他のデザインおよび他のタイプのインプラントにも用いてよいことを理解しなければならない。留置用繋具4802は、例えば、可撓性ワイヤまたはコードでできていてよい。ニチノールは、その超弾性および生物適合性に起因して可能な材料である。また、チタン、金、またはステンレス鋼でできた細線または他のループ構造体も可能である。ナイロン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン等でできた非金属コードも、いくつかの実施形態において用いられ得る。
【0265】
各留置用繋具4802は、IOP検出インプラント2102に付着させることができる。このことは、例えば、IOP検出インプラントのハウジングの周りに巻きつく付着ループ部分4803を設けることによって行われてよい。IOP検出インプラントのハウジングは、今度は、付着ループ部分4803を配置し、および/または付着ループ部分をIOP検出インプラントハウジングに対して適所に保持するのを助けるために、1つ以上の周縁の稜、フランジまたはトラフ、および/または1つ以上のフック、ハトメ等を備え得る。
図48Aに例示するように、いくつかの実施形態において、各留置用繋具の付着ループ部分4803は、インプラントボディの軸と直交する面内でインプラントボディの外周の周りに方位的に巻き付いてよい。留置用繋具4802は、各々が、留置用鋲を受けることができるループを形成するために1つ以上の接続点において付着ループ部分4803から延在するアンカーループ部分4804も備えてよい。いくつかの実施形態において、各留置用繋具4802の留置用ループ部分4804は、インプラントボディの軸と平行である面内で付着ループ部分4803から延在してよい。言い換えると、各留置用繋具4002の付着ループ部分4003および留置用ループ部分4804は、全体として、互いに直交する面内に配向してよい。他の実施形態において、留置用繋具は、異なる方法、例えば繋具をハウジングに溶接またはロウ付けすることによって、エポキシなどの接着剤の使用によって、または例えば留置用繋具を通してループさせることができるハトメまたは類似構造体をハウジング中に設けることによって、インプラントに付着させてよいだろう。
【0266】
図48Aは、留置用鋲4810a、4810bの2つの例示的実施形態を例示する。第1の例示的な留置用鋲4810aは、薬物溶出用眼内インプラントである。このインプラントは、例えば、ここで参照によって内容全体が本明細書に援用される2015年5月28日出願の「制御された薬物送達機能を備えるインプラント及びそれを使用する方法」という名称の米国特許出願公開第2015/0342875号(添付の付録参照)の
図18に例示されているものと同様であってよい。第2の例示的な留置用鋲4810bは、眼からの房水の流出を増進する排出ステントである。このインプラントは、例えば、ここで参照によって内容全体が本明細書に援用される2013年3月14日出願の「複数の眼インプラントを送達するためのシステムおよび方法」という名称の米国特許第9,554,990号(添付の付録参照)の
図18に例示されているものと同様であってよい。
【0267】
留置用鋲4810a、4810bの各々は、眼組織、例えば強膜、小柱網等に貫通し、挿入された後にその中に留置されて残るように設計されている貫通用先端を備えてよい。各留置用鋲4810の貫通用先端は、
図48Aの矢印によって例示されるように、留置用繋具4802のそれぞれの留置用ループ部分4804を通して挿入してよい。留置用鋲4810のボディ部分は、留置用ループ部分4804を通して鋲が挿入されたら留置用繋具4802の留置用ループ部分4804がしっかりと保持されるように設計された1つ以上の構造特徴物を備えてよい。例えば、留置用鋲4810のボディ部分は、留置用鋲がループを通して挿入されたら留置用繋具4802の留置用ループ部分4804が留置用鋲を通り過ぎることを防ぐ1つ以上の特徴物(例えば稜、突起、フランジ等)を備えてよい。例えば、留置用鋲4810のボディ部分上の特徴物は、留置用ループ部分4804の直径より大きい少なくとも1つの寸法を有してよい。従って、眼組織と留置用鋲4810のボディ部分との間に留置用鋲4810の留置用ループ部分4804をしっかりと保持することができる。
【0268】
図48Bは、
図48Aに示す留置用システムを用いて眼の内部に留置された眼内インプラントを例示する。
図48Bは、留置用繋具4802を用いるIOP検出インプラント2102の1つの配置例を例示するが、例示する留置用システムは、さまざまなタイプの眼内インプラントを眼内のさまざまな他の位置に付着させるためにも用いることができる。
【0269】
<基板貫通バイア相互配線を有する封止されたバッテリー>
【0270】
図49Aは、基板4902上に装着され、基板貫通バイア4904によって他の構成要素と電気的に接続された、封止された薄膜バッテリー4910を例示する。封止された薄膜バッテリー4910は、例えば、薄膜リチウムイオンバッテリーであり得る。薄膜リチウムイオンバッテリーは、比較的高い電力密度のため、利点とすることができるが、非常に反応性の高い材料を含むことあり得るため、長時間持続する実用寿命を提供するために十分に封止しなければならない。
【0271】
いくつかの実施形態において、薄膜バッテリー4910を装着する基板4902は、本明細書において他の箇所に記載するキャリア部材572である。従って、基板4902は、本明細書に記載するように、IOP検出インプラント中に設けられ得る。バッテリー4910は、基板貫通バイア4904を用いてIOP検出インプラントの他の電気的な構成要素(例えばコントローラ、メモリ、IOP検出モジュール等)に電気的に接続され得る。いくつかの実施形態において、基板4902は、ガラスでできているが、少なくとも部分的に他の電気絶縁材料でできていてもよい。
【0272】
基盤貫通バイア4904は、基板4902において、基板のバッテリー4910を装着する側に形成される。バイア4904は、バッテリー4910の底面に対して垂直に配向し、バッテリーと電気的に接続するために用いられる導電性構造体またはターミナル(例えばポスト)を含む。バッテリー4910は、基板4902の表面と同一平面でバイア4904の上に装着するか、またはその場で(in-situ)作製してよい。本明細書においてさらに考察するように、このことは、バッテリー4910と基板との間の物理的な界面が完全に封止されることを有利に可能にする。いくつかの実施形態において、バイア4904は、基板4902の厚さ全体をまたぐ。そのような実施形態において、バイア404は、バッテリー4910が、バッテリー4910が装着されている側とは反対の基板の側に形成されている1つ以上の導電性トレースと電気的に接続されることを可能にし得る。他の実施形態において、バイア4904は、部分的にしか基板の厚さをまたがないことがあり得る。そのような実施形態において、バイア4904は、バッテリー4910が基板に埋め込まれている1つ以上の導電性トレースと電気的に接続されることを可能にし得る。
【0273】
図49Bは、基板4902に装着した、封止された薄膜リチウムイオンバッテリー4910の実施形態の概略断面図である。薄膜バッテリー4910は、いくつかの電気活性層4916、4918、4920、および4922から作り上げられていてよい。例えば、薄膜バッテリー4910は、
図49Bにおいて層4922、4920、4918、および4916としてそれぞれ描かれているカソード電流コレクタ層、カソード層、電解質層、およびアノード電流コレクタ層を備えてよい。図面に示すように、電気活性層は、いくらか異なるサイズを有し得、それによって、積層配置で設けられると1つの層の周縁端が別の層を超えて延び出し得る。薄膜バッテリーの他の実施形態において、
図49Bに例示したもの以外の異なる層および/または層配置が利用され得る。例えば、電解質層とアノード電流コレクタとの間にアノード層が備えられ得る。いくつかの実施形態において、アノード層は、薄膜バッテリーの作製時に作り出され、一方、他の実施形態において、アノード層は、バッテリーを充電する初回実動作時に形成される。いくつかの実施形態において、アノードは、リチウム金属である。「Liフリー」設計において、アノードは、バッテリーの充電時にアノード電流コレクタ上にメッキされてよい。放電時、Li金属は、脱メッキされてよい。バッテリーの初回充電後、バッテリー放電後もアノード電流コレクタ上にいくらかLi金属が残り得る。他の実施形態において、Liアノードは、バッテリー作製プロセスの一部として堆積されてよく、初回充電前でも存在し得る。
【0274】
バッテリー4910は、基板自体の上に(その場で)作製されてよい。それは、ウェハフォーマットのバッチプロセスにおいて製造してよい。基板は、バッテリー作製が完了した後にウェハから個々の基板を切削/放出することによってウェハ材料から作ることができる。
【0275】
薄膜バッテリー4910の電気伝導性ターミナルは、電気活性層4916、4918、4920、および4922のスタックの底層上に配置される。これらのターミナルは、薄膜バッテリー4910が装着されている基板4902の中に形成される(またはその場で作製される)基板貫通バイア4904と電気的に接続する。このようにすると、薄膜バッテリー4910の電気活性層のスタックは、基板4902の装着面と同一平面になることができる。
【0276】
図49Bは、電気活性層4916、4918、4920、および4922のスタックの上に形成された絶縁層4914も例示する。図面に示すように、絶縁層4914は、電気活性層4916、4918、4920、および4922のスタックの最上層の表面の上だけでなく、上の層を超えて延在し得るスタック中の層のあらゆる部分の上にも形成されてよい。絶縁層は、バッテリー4910の周縁全体の周りの基板4902の装着面に延在し得る。絶縁層4914は、例えば、あらゆる適当な電気絶縁性材料、例えばポリマーでできていてよい。
【0277】
さらに、
図49Bは、絶縁層4914の上に形成される封止層4912を示す。いくつかの実施形態において、封止層は、バッテリー4910の外部の原子または分子がバッテリーの内部の原子または分子と、およびその逆に、相互作用することを防ぐ不透過性金属バリヤ層である。封止層は、絶縁層4914の周縁部を含むバッテリー4910の周縁部全体の周りの基板4902の装着面に延在し得る。基板貫通バイア相互配線が、薄膜バッテリー4910が基板4902の表面と同一平面になることを可能にするので、封止層4912は、基板4902と封止層4912との間の隙間なしで設けられるかまたは形成されてよい。従って、例示するバッテリー構造は、封止性能向上を提供し、封止性能向上が、今度は、バッテリー4910の実用寿命を向上させ、もっと複雑な封止構造も技法も必要なく、詳しくは、封止層4912を横断しなければならない側方フィードスルーも相互配線も必要ない。
【0278】
図49C~
図49Eは、薄膜バッテリー4910の構造をさらに例示する上面図である。
図49Cは、薄膜バッテリー4910の電気活性層4916、4918、4920、4922のスタックの上面図である。例示するように、電気活性層のスタックは、基板4902の上に設けられ、スタックの下に基板貫通バイア4904(想像線で図示)が設けられる。
図49Dは、電気活性層4916、4918、4920、4922のスタックの上に設けられた絶縁層4914を示す。例示するように、絶縁層4914は、その側方広がりと縦方向広がりとの両方で基板4902全体に延在する。
図49Eは、絶縁層4914の上に設けられた金属封止層4912を示す。絶縁層4914は、金属封止層4912を電気活性層4916、4918、4920、4922から分離するために使用される。
図49Eに例示するように、金属封止層4912は、その側方広がりと縦方向広がりとの両方で基板4902全体に延在し、絶縁層4914を完全に覆い、封止層4912と基板4902との間に隙間を残さない。基板4902の装着面において、または基板4902の装着面の上でバッテリー4910から側方に外へ延在する電気相互配線構造体がないという事実は、封止層4912と基板4902との間の封止の品質が増進されていることを意味する。これは、
図49Fに示す構成と対照的である。
【0279】
図49Fは、基板貫通バイア電気相互配線ではなく側方電気相互配線を備える薄膜バッテリー構造を例示する。例示するように、側方電気相互配線は、基板の装着面においてバッテリーから側方に延在する。側方電気相互配線の結果として、
図49Fに示すバッテリーは、封止層4912と基板4902との間に有効性の低い封止を有する可能性が高い。これは、封止層4912は、側方電気相互配線の横で基板まで完全に下方に延在することはできるが、次に、封止層4912の下でバッテリーから延在する側方電気相互配線の頂部の上まで立ち上がらなければならないからである。このことは、封止層4912と基板との間の絶縁層4914を通るガス拡散経路の形成という結果となりかねず、それが、今度は、バッテリーの内部の材料が外部環境からバッテリー構造に入って来るガスおよび水蒸気と反応することを可能にし、従って、バッテリー実用寿命を低下させかねない。
【0280】
<積層されたICとバッテリーとの構造体>
【0281】
図50は、眼内インプラントのための積層された集積回路とバッテリーとの小型構造体を例示する。この小型構造体は、眼内インプラント、例えばIOP検出インプラントが典型的には非常にサイズが小さく、従ってインプラントの内部の空間が限られるため有利である。例示する積層構造体は、基板5002を備え、基板5002は、いくつかの実施形態においては、本明細書において他の箇所で記載するキャリア部材572である。従って、基板5002は、本明細書に記載されるIOP検出インプラント中に設けられ得る。基板5002の頂部に第1のバッテリー5010が装着され、基板の底部に第2のバッテリー5010が装着される。バッテリー5010は、
図49Aおよび
図49Bに関して記載されるように、基板貫通バイア5004を用いて基板5002に装着され得る。いくつかの実施形態において、第1および第2のバッテリーは、各々50μm未満の厚さを有する。例えば、第1および第2のバッテリーは、各々およそ30μm以下の厚さを有し得る。
【0282】
第1のバッテリー5010の上で、かつ第1のバッテリー5010をまたいで、基板5002の上面に第1の集積回路5012が装着される。バッテリー5010も同様に基板の上面に装着されている。例示しないが、構造体は、第2のバッテリー5010の上で、かつ第2のバッテリー5010をまたいで、基板5002の底面に装着された第2の集積回路も備えてよいだろう。第1の集積回路5012は、1つ以上のハンダバンプ5013を用いて基板5002上の1つ以上の導電性トレース5014に電気的に接続される。ハンダバンプは、上にこの集積回路が装着されるバッテリー5010の厚さより大きい少なくとも1つの寸法(例えば高さ)を有する。例えば、いくつかの実施形態において、ハンダバンプは、50μm以上の高さを有する。集積回路の側方寸法は、上にこの集積回路が装着されるバッテリー5010のものより大きい。従って、集積回路5012は、バッテリー5010をまたぐことができ、バッテリー5010の側方広がりを超えて集積回路の周縁部の周りに配置されたハンダバンプ5013によって支持することができる。ハンダバンプ5013の高さは、バッテリー5010の厚さより大きくてよいので、バッテリーは、そうでなければいかなる構成要素によっても占められず、代りに無駄になっただろう集積回路の下の空間を占めることができる。他の実施形態において、ハンダバンプは、スタッドバンプ、例えば金スタッドバンプによって置き換えられてよい。スタッドバンプは、ハンダバンプと同じ機能を実行するために導電性エポキシとともに用いられ得るが、スタッドバンプの方が小さくすることができ、低い温度で加工することができる。
【0283】
集積回路5012の下で基板5002に装着されているバッテリー5010が例示されるが、他の実施形態において、集積回路の下になにか他の電気的な構成要素が装着されてもよいだろう。しかし、この装着配置は、集積回路を基板5002に接続するために用いるハンダバンプ5013のサイズと比較して相対的に小さな厚さに起因して、薄膜バッテリーに特に適している。同様に、1つ以上のハンダバンプによって接続されかつ装着されている集積回路5012が例示されるが、他の実施形態において、ハンダバンプを用いてバッテリー5010の上になにか他の電気的な構成要素、例えば追加のバッテリーが装着されてもよいだろう。
【0284】
<眼内インプラント用アンテナ>
【0285】
本明細書に記載する眼内インプラントのさまざまな実施形態は、1つ以上の外部装置と無線通信するためのトランシーバモジュール(および/または他の無線インターフェース)とアンテナとを備えてよい。アンテナは、誘導結合によって外部装置から電力を受け取るためにも用いてよい。用いられるあらゆるアンテナは、アンテナ設計と関係するインダクタンスおよび容量に依存する固有周波数または自己共振周波数を有する。固有周波数または自己共振周波数は、アンテナが最も高感度である電磁放射の周波数である。従って、アンテナの自己共振周波数と眼内インプラントによって用いられるトランシーバモジュールまたは他の無線インターフェースの動作周波数との間に相対的な合致があれば有利である。
【0286】
図24は、ワイヤのループからなる例コイルアンテナ2085を例示する。ワイヤのループは、コイルアンテナがインプラントハウジングの縦軸に沿って延在するにつれて眼内インプラントの内部構成要素の周りにらせんを形成する。このタイプのアンテナ設計が数100メガヘルツの自己共振周波数を有し得ることも、自己共振周波数がギガヘルツ域に及ぶことさえ珍しいことではない。これらの周波数は、典型的には、本眼内インプラントによって用いられるトランシーバモジュールまたは他の無線インターフェースの動作周波数よりはるかに高い。従って、トランシーバモジュールまたは他の無線インターフェースの動作周波数にもっと感度が高くなるようにアンテナを調整するために、追加の回路要素、例えばキャパシタおよび/またはインダクタを用いることが必要になり得る。この手法に伴う1つの不利な点は、そのような回路要素が眼内インプラント内の貴重な空間を占有し得ることである。追加の回路要素の使用を必要としない別の方法でアンテナを調整することができたら、あるいは自己共振周波数がトランシーバモジュールまたは他の無線インターフェースの動作周波数に固有に対応するようにアンテナを設計することができたら、眼内インプラントのサイズを有利に小さくすることができるだろう。
【0287】
図51Aは、眼内インプラント中に用いられ得る3つのコイルアンテナ例の断面図を概略例示する。黒いドットは、ワイヤのコイルの断面を表す。一方、矢印は、ワイヤのコイルを通って流れる電流によって誘導される磁場を表す。
図51Bは、
図51Aに示す3つのコイルアンテナ設計の例示的実施形態の写真である。
図51Aの左、中央、および右のコイルアンテナは、
図51Bの上、中央、および下のコイルアンテナにそれぞれ対応する。
【0288】
図51Aの左のコイルアンテナ設計は、コイルアンテナの縦軸に沿ってワイヤ巻きが互いに離間しているものである。さらに、左のコイルアンテナ設計において、ワイヤ巻きは一層(半径方向)しかない。ワイヤの巻きによって形成されるループは、アンテナの自己共振周波数に影響を及ぼすある量のインダクタンスを生む結果となる。さらに、隣り合う巻きの間の間隔によって決定されるワイヤの巻きの近接度は、同じくアンテナの自己共振周波数に影響を及ぼすなんらかの量の寄生容量を生む結果となる。
図51Bに示すように、このコイルアンテナ設計は、典型的には、約1.2GHzの自己共振周波数を有し得る。
【0289】
図51Aの中央のコイルアンテナ設計は、中央のコイルアンテナ設計においてはワイヤの巻きが互いに触れていることを除いて、左のコイル設計と同様である。ワイヤは、ワイヤの各巻きが縦軸方向で隣り合うワイヤの巻きと接触するようにコイルアンテナの縦軸に沿ってぎっしり巻かれる(ワイヤは、ワイヤの巻きがコイルを短絡させないで互いに接触することを可能にするために薄い絶縁体で被覆され得る)。中央のコイルアンテナ設計は、左側のコイルアンテナ設計に対して特定の利点を有する。これらの利点は、互いに離間していないためにより多くの数のワイヤの巻きが所定の縦軸方向の空間に適合することができることを含む。このことは、アンテナの自己インダクタンスを増加させ、例えば、無線電力伝送を目的とするコイルアンテナの誘導結合性能を向上させることができる。さらに、隣り合うワイヤの巻きの間の分離がないことが、コイルアンテナの寄生容量を増加させる。寄生容量増加および自己インダクタンス増加は、このコイルアンテナ設計の自己共振周波数を低下させる。例えば、
図51Bに示すように、このコイルアンテナ設計は、典型的には、約500MHzの自己共振周波数を有し得る。離間したワイヤ巻きを有するコイルアンテナと比較した自己共振周波数のこの低下は、より小さなキャパシタおよび/またはインダクタ回路要素を用いるトランシーバモジュールまたは他の無線インターフェースの動作周波数に自己共振周波数を調整することができるため、有利である。
【0290】
図51Aの右手側のコイルアンテナ設計は、ワイヤ巻きの層を2つ(または3つ以上)含む(半径方向に)点で、中央のコイルアンテナ設計と違う。青い矢印(図中では色なし)によって示すように、ワイヤ巻は、ワイヤ巻の第1および第2の層を通る電流が同じ方向に流れるように巻かれる。例示するように、この設計において、ワイヤの各巻きは、今回、長軸方向で隣り合う巻き線と接触するだけでなく半径方向でも1つ以上の隣り合う巻きと接触する。複数の他のワイヤの巻きとのワイヤの各巻きの密な近接度は、右側のコイルアンテナ設計の寄生容量を大いに増加させる。このことが、今度は、コイルアンテナの自己共振周波数を大いに低下させる。例えば、
図51Bに示すように、このコイルアンテナ設計は、典型的には、約47MHzの自己共振周波数を有し得る。
図51Aの右手側に示したコイルアンテナ設計は、複数のワイヤの巻きの層を有するため半径方向でより多くの空間を占め、そのことが、相応に、他の構成要素がコイルの内部に収容されるために利用可能な空間の量を減らすか、または眼内インプラントのハウジングのサイズの増加を必要とするかのどちらかではあるが、コイルアンテナの半径方向の厚さのこの増加に伴うあらゆる難点をアンテナの自己共振周波数の低下が補って余りあることが判明した。自己共振周波数の低下は、低下しなかった場合にアンテナをトランシーバモジュールおよび/または他の無線インターフェースの動作周波数に調整するために必要になり得るキャパシタおよび/またはインダクタ回路要素のサイズを低下させるかまたは場合によっては完全になくすことができることを意味する。
図51Aの右手側に示すコイルアンテナ設計も
図51Cに例示する追加の利点を有する。
【0291】
図51Cは、
図51Aに示した2層コイルアンテナ設計によって提供される電磁遮蔽効果を例示する。本明細書においてここまでに既に考察したように、1つ以上の電気的な構成要素を有するキャリア部材をコイルアンテナの内部の空いた空間に設けることができる。
図51Cの左手側は、離間したワイヤ巻きの単一の層を有する(すなわち、
図51Aの左手側におけるような)コイルアンテナの内部空間に設けられた集積回路構成要素を示す。コイルアンテナの横断面に電磁放射(例えば環境中のバックグラウンド電磁放射)の線が入射する。電磁放射は、コイルの巻きの間の間隔に起因してコイルアンテナを通過することができる。この電磁放射は、次に集積回路に入射し、特に低電力サブスレッショルドトランジスタが用いられている場合に、集積回路の動作に有害であり得る電磁干渉を引き起こしかねない。これに対して、
図51Cの右手側に示すように、ぎっしり巻かれた、長軸方向で互いに触れているワイヤ巻きの2つ以上の層を有するコイルアンテナは、内部の集積回路を電磁放射から遮蔽する点にかけてははるかに有効である。
【0292】
<2段直径主ハウジングを有する眼内インプラントのためのアンテナ>
【0293】
図52Aは、2段直径主ハウジング5202を有する眼内インプラントの実施形態の内部のアンテナ5285の配置を例示する。眼内インプラントの2段直径主ハウジング5202は、本明細書においては、
図42Aに関して記載される。それは、2段直径主ハウジング5202のセンサキャップ端における第1の大きな方の直径と、先端キャップ端における第2の小さな方の直径と、を有する。
図52Aに示すように、
図51Aの右手側に例示されたもののようなコイルアンテナ5285を、2段直径主ハウジングのセンサキャップ端の中に少なくとも部分的に設けることができる。この配置には、複数の利点がある。第1に、2段直径主ハウジングの小さい方の直径の部分にアンテナを設けた場合より、コイルアンテナの直径を大きくすることができる。このことは、外部装置からの誘導電力伝送時にコイルを通過することができる電磁束の量を増加させる。
図52Bに別の利点を例示する。
【0294】
図52Bは、患者の眼の中に移植された
図52Aの眼内インプラントを示す。この実施形態において、眼内インプラントは、例えば患者の眼の脈絡膜/毛様体上腔の中に留置される。
図52Bの左手側は、2段直径ハウジング5202の小さな方の直径の部分に設けられていることに起因して
図52Aに示したコイルアンテナ5285より狭くかつ長いコイルアンテナ5284を示す。外部電源装置の充電コイル5286も例示されている。外部電源装置の充電コイル5286は、コイルアンテナ5284と誘導結合させるために患者の眼に近付けられる。コイルアンテナ5284の遠位端は、外部電源装置の充電コイル5286から遠く離れた方に配置されるため、誘導電力伝送への寄与が近位端より少ない。従って、インプラントが眼内の所望の位置に設置されるとき、眼内インプラントの内部のコイルアンテナのより大きな部分を外部装置の充電コイルにより近く配置することができたら有利だろう。
図52Bの右手側に示すように、この目的は、
図52Aに示す配置によって達成される。コイルアンテナ5285が眼内インプラントの大きな方の直径のセンサキャップ端に設けられると、眼内インプラントが患者の眼の内部の所望の位置に設置されたとき、コイルのより大きな百分率が外部電源装置の充電コイル5286により近く配置される。このことが、アンテナ5285と充電コイル5286との間の誘導結合を向上させ、従って眼内インプラントへの無線電力伝送を向上させる。
【0295】
<IOP検出システム装置>
【0296】
図53は、本明細書に記載する眼内インプラントとともに用いることができるいくつかの装置およびシステムを記載する表である。医師診断装置は、データ(例えばIOP測定値)をダウンロードし、患者のIOP検出インプラントを無線で再充電し、インプラントシステム診断を行い、インプラントのプログラム変更等のために医者によって用いられてよい。医師診断装置は、眼鏡、ソフトマスク等の形を取り得る。
【0297】
大気圧モニタ装置は、IOPゲージ圧値を決定するためにインプラントからの読み値とともに用いることができる局所大気圧読み値を測定し記録する患者着用装置であり得る。この装置は、リストバンド、腕時計、ペンダント、スマートフォンアプリケーション等の形をとり得る。
【0298】
インプラントから絶対IOP測定値をダウンロードし、タイマを反復同期し、および/またはインプラント上のスーパーキャパシタ電源を再充電するために患者装置を用いることができる。装置は、情報(IOP読み出し、電池寿命等)およびリマインダ(タイマを反復同期し、スーパーキャパシタを再充電するため等)を提供するために、スクリーンまたは他の出力装置を備えてよい。いくつかの実施形態においては、この装置を大気圧モニタ装置と組合せてよい。
【0299】
在宅患者再充電装置は、眼内インプラントのバッテリーおよび/またはスーパーキャパシタを再充電するため、および/またはインプラントからデータをダウンロードするために、患者によって何分間かまたは何時間か着用されてよい。この装置は、IOP検出インプラントがバッテリー電力だけで動作していると、他の進め方では、行うためにあまりにも多くの電力を消費し得るIOP検出インプラントからの増加した機能、例えば連続IOP読み値を取得し送信することも可能にし得る。この装置は、眼鏡、ソフトマスク等の形を取り得る。
【0300】
家庭用リンクボックスを、他の患者装置、例えば上記記載のものに接続して、それらによって集められたデータを中央サーバに転送することができる。それは、外部装置を再充電するために、再充電ステーションも備えてよい。
【0301】
インターネットを介して複数の患者から患者データを受け取るために中央サーバを設けてよい。中央サーバは、処理され、修正され、および/または訂正された測定値を提供するために生データを処理してよい。中央サーバは、患者および医師がデータを眺めおよび/またはダウンロードすることができるウェブ系インターフェースも設けてよい。
【0302】
上述の装置は、各々がネットワーク接続、例えば有線または無線ネットワークインターフェースを介して互いと通信し得る。
【0303】
<例示的実施形態>
【0304】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出システムは、絶対眼内圧測定値を取得するために患者の眼の中に移植される眼内圧検出インプラントと、大気圧測定値を取得するための外部装置と、を含み得、眼内圧検出インプラントは、指定時刻に絶対眼内圧測定値を取得するように構成され、外部装置は、指定時刻前後に複数の大気圧測定値を取得するように構成される。
【0305】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧検出インプラントは、内蔵された第1の時間管理装置を備え得、眼内圧検出インプラントは、内蔵された第1の時間管理装置によって示される指定時刻に眼内圧測定値を取得するように構成され得る。
【0306】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、第2の時間管理装置を備えてよく、外部装置は、第2の時間管理装置によって示される指定時刻前後に複数の大気圧測定値を取得するように構成され得る。
【0307】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、指定時刻前後に延在する時間窓内で複数の大気圧測定値を取得するように構成され得る。
【0308】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出システムは、複数の大気圧測定値の間の偏差の指標を決定するために複数の大気圧測定値を解析するように構成された処理装置をさらに含み得る。
【0309】
上記実施形態のいずれにおいても、処理装置は、偏差が予め定められた範囲内にあるかどうかを判定するように構成され得る。
【0310】
上記実施形態のいずれにおいても、処理装置は、偏差が予め定められた範囲内にある場合、複数の大気圧測定値の1つ以上を絶対眼内圧測定値と相関させるように構成され得る。
【0311】
上記実施形態のいずれにおいても、処理装置は、相関させた大気圧測定値および絶対眼内圧測定値からゲージ眼内圧測定値を計算するように構成され得る。
【0312】
上記実施形態のいずれにおいても、処理装置は、外部装置と別個であり得る。
【0313】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、1つ以上の大気圧測定値を1つ以上の絶対眼内圧測定値と相関させることを助けるために、眼内圧検出インプラントに同期情報を無線送信することによって同期操作を実行するように構成され得る。
【0314】
上記実施形態のいずれにおいても、同期情報は、固有の識別値または時間の記録を含み得る。
【0315】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、予め定められた時刻または間隔で同期操作を自動的に開始し得る。
【0316】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、同期操作を開始することを患者に指示するように構成され得る。
【0317】
上記実施形態のいずれにおいても、指示は、警報音を含み得る。
【0318】
上記実施形態のいずれにおいても、同期操作を開始するステップは、外部装置を患者の眼から12インチ以内に配置することを含み得る。
【0319】
上記実施形態のいずれにおいても、同期操作は、眼内圧検出インプラントに内蔵の第1の時間管理装置を外部装置に内蔵の第2の時間管理装置と同期させることを含み得る。
【0320】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、患者によって着用されるように構成され得る。
【0321】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出方法は、患者の眼の中に移植された眼内圧検出インプラントから絶対眼内圧測定値を受け取るステップであって、絶対眼内圧測定値は、指定時刻に取得されたステップと、眼の外部の外部装置から複数の大気圧測定値を受け取るステップであって、複数の大気圧測定値は、指定された時刻前後に取得されたステップと、を含み得る。
【0322】
上記実施形態のいずれにおいても、絶対眼内圧測定値は、眼内圧検出インプラントとともに含まれる内蔵された第1の時間管理装置によって示される指定時刻に取得され得る。
【0323】
上記実施形態のいずれにおいても、複数の大気圧測定値は、外部装置とともに含まれる第2の時間管理装置によって示される指定時刻前後に取得され得る。
【0324】
上記実施形態のいずれにおいても、複数の大気圧測定値は、指定時刻前後に延在する時間窓内で取得され得る。
【0325】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、複数の大気圧測定値の間の偏差の指標を決定するために複数の大気圧測定値を解析するステップをさらに含み得る。
【0326】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、偏差が予め定められた範囲内にあるかどうかを判定するステップをさらに含み得る。
【0327】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、偏差が予め定められた範囲内にある場合、複数の大気圧測定値の1つ以上を絶対眼内圧測定値と相関させるステップをさらに含み得る。
【0328】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、相関させた大気圧測定値および絶対眼内圧測定値からゲージ眼内圧測定値を計算するステップをさらに含み得る。
【0329】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、外部装置と別個である処理装置を用いて複数の大気圧測定値を解析するステップをさらに含み得る。
【0330】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、1つ以上の大気圧測定値を絶対眼内圧測定値と相関させることを助けるために、同期情報を眼内圧検出インプラントに無線送信することによって同期操作を実行するステップをさらに含み得る。
【0331】
上記実施形態のいずれにおいても、同期情報は、固有の識別値または時間の記録を含み得る。
【0332】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、予め定められた時刻または間隔で同期操作を自動的に開始するステップをさらに含み得る。
【0333】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、同期操作を開始することを患者に指示するステップをさらに含み得る。
【0334】
上記実施形態のいずれにおいても、指示は、警報音を含み得る。
【0335】
上記実施形態のいずれにおいても、同期操作を開始するステップは、外部装置を患者の眼から12インチ以内に配置することを含み得る。
【0336】
上記実施形態のいずれにおいても、同期操作は、眼内圧検出インプラントに内蔵の第1の時間管理装置を外部装置に内蔵の第2の時間管理装置と同期させることを含み得る。
【0337】
上記実施形態のいずれにおいても、外部装置は、患者によって着用されるように構成され得る。
【0338】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出システムは、眼内圧測定値を取得するために患者の眼の中に移植される眼内圧検出インプラントと、温度測定値を取得するための温度センサと、を含み得、温度測定値は、眼内圧検出インプラントに対する温度変動の影響を少なくとも部分的に補償するために用いられる。
【0339】
上記実施形態のいずれにおいても、温度センサは、眼内圧検出インプラントに内蔵され得る。
【0340】
上記実施形態のいずれにおいても、温度センサは、外部装置の一部として設けられ得、温度測定値は、環境温度測定値であり得る。
【0341】
上記実施形態のいずれにおいても、環境温度測定値は、眼内温度値を推定するために用いられ得る。
【0342】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出システムは、眼内圧検出インプラントに対する温度変動の影響を補償するために1つ以上の操作を行うプロセッサをさらに含み得る。
【0343】
上記実施形態のいずれにおいても、プロセッサは、温度測定値に基づいて眼内圧測定値を調整するように構成され得る。
【0344】
上記実施形態のいずれにおいても、プロセッサは、温度測定値に基づいて眼内圧測定値に対応する測定時刻を調整するように構成され得る。
【0345】
上記実施形態のいずれにおいても、プロセッサは、温度測定に基づいて1つ以上の眼内圧測定値を除外するように構成され得る。
【0346】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出方法は、患者の眼の中に移植された眼内圧検出インプラントを用いて眼内圧測定値を取得するステップと、温度センサを用いて温度測定値を取得するステップと、眼内圧検出インプラントに対する温度変動の影響を少なくとも部分的に補償するために温度測定値を用いるステップと、を含み得る。
【0347】
上記実施形態のいずれにおいても、温度センサは、眼内圧検出インプラントに内蔵され得る。
【0348】
上記実施形態のいずれにおいても、温度センサは、外部装置の一部として設けられ得、温度測定値は、環境温度測定値であり得る。
【0349】
上記実施形態のいずれにおいても、環境温度測定値は、眼内温度値を推定するために用いられ得る。
【0350】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、眼内圧検出インプラントに対する温度変動の影響を補償するために、プロセッサを用いて1つ以上の操作を行うステップをさらに含み得る。
【0351】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、温度測定値に基づいて眼内圧測定値を調整するステップをさらに含み得る。
【0352】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、眼内圧測定値に対応する測定時刻を温度測定値に基づいて調整するステップをさらに含み得る。
【0353】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、温度測定値に基づいて1つ以上の眼内圧測定値を除外するステップをさらに含み得る。
【0354】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出システムは、患者の眼の中に移植されるように構成されたIOP検出インプラントであって、IOP検出インプラントのための動作電力の少なくとも一部を供給するためのスーパーキャパシタを備えるIOP検出インプラントと、IOP検出インプラントを充電するように構成された外部充電装置であって、外部装置とIOP検出インプラントとの間の充電相互作用を行う指示を患者に提供するための出力装置を備える外部充電装置と、を含み得る。
【0355】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出インプラントは、IOP検出インプラントのための動作電力の少なくとも一部を供給するためのバッテリーをさらに備え得る。
【0356】
上記実施形態のいずれにおいても、外部充電装置は、充電相互作用時刻に指示を出力するように構成され得、スーパーキャパシタの蓄電容量は、充電相互作用時刻間のIOP検出インプラントのエネルギー使用量予測を上回り得る。
【0357】
上記実施形態のいずれにおいても、外部充電装置は、充電相互作用時刻に指示を出力するように構成され得、スーパーキャパシタの蓄電容量は、充電相互作用時刻間のIOP検出インプラントのエネルギー使用量予測を下回り得る。
【0358】
上記実施形態のいずれにおいても、蓄電キャパシタの蓄電容量は、少なくとも0.01μAhであり得る。
【0359】
上記実施形態のいずれにおいても、蓄電キャパシタの蓄電容量は、少なくとも0.10μAhであり得る。
【0360】
上記実施形態のいずれにおいても、蓄電キャパシタの蓄電容量は、少なくとも1μAhであり得る。
【0361】
上記実施形態のいずれにおいても、充電相互作用を行う指示は、IOP検出インプラントに内蔵の時間管理装置を同期させる指示と同時であり得る。
【0362】
上記実施形態のいずれにおいても、充電相互作用を行う指示は、IOP検出インプラントから測定データをダウンロードする指示と同時であり得る。
【0363】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出方法は、患者の眼の中に移植されるように構成されたIOP検出インプラントを提供するステップであって、IOP検出インプラントは、IOP検出インプラントのための動作電力の少なくとも一部を供給するためのスーパーキャパシタを備えるステップと、外部充電装置を用いてIOP検出インプラントを充電するステップと、外部充電装置とともに含まれる出力装置を用いて外部装置とIOP検出インプラントとの間の充電相互作用を行う指示を患者に提供するステップと、を含み得る。
【0364】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出インプラントは、IOP検出インプラントのための動作電力の少なくとも一部を供給するためのバッテリーをさらに含み得る。
【0365】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、充電相互作用時刻に指示を出力するステップをさらに含み得、スーパーキャパシタの蓄電容量は、充電相互作用時刻間のIOP検出インプラントのエネルギー使用量予測を上回り得る。
【0366】
上記実施形態のいずれにおいても、IOP検出方法は、充電相互作用時刻に指示を出力するステップをさらに含み得、スーパーキャパシタの蓄電容量は、充電相互作用時刻間のIOP検出インプラントのエネルギー使用量予測を下回り得る。
【0367】
上記実施形態のいずれにおいても、蓄電キャパシタの蓄電容量は、少なくとも0.01μAhであり得る。
【0368】
上記実施形態のいずれにおいても、蓄電キャパシタの蓄電容量は、少なくとも0.10μAhであり得る。
【0369】
上記実施形態のいずれにおいても、蓄電キャパシタの蓄電容量は、少なくとも1μAhであり得る。
【0370】
上記実施形態のいずれにおいても、充電相互作用を行う指示は、IOP検出インプラントに内蔵の時間管理装置を同期する指示と同時であり得る。
【0371】
上記実施形態のいずれにおいても、充電相互作用を行う指示は、IOP検出インプラントから測定データをダウンロードする指示と同時であり得る。
【0372】
いくつかの実施形態において、眼内圧センサインプラントは、管状本体と、プラグ部分とヘッド部分とを有する2段直径センサキャップであって、プラグ部分の直径は、管状本体の内径より小さく、ヘッド部分の直径は、管状本体の内径より大きく、センサキャップは、ヘッド部分とプラグ部分とが出会う肩部を有する2段直径センサキャップと、管状本体とセンサキャップの肩部との間の接合部に設けられた金属中間層と、を含み得る。
【0373】
いくつかの実施形態において、眼内圧センサインプラントを製造する方法は、管状本体を提供するステップと、プラグ部分とヘッド部分とを有する2段直径センサキャップを提供するステップであって、プラグ部分の直径は、管状本体の内径と一致し、ヘッド部分の直径は、管状本体の内径より大きく、センサキャップは、ヘッド部分とプラグ部分とが出会う肩部を有するステップと、管状本体とセンサキャップの肩部との間に金属中間層を設けるステップと、肩部が管状本体に当接するまでセンサキャップのプラグ部分を管状本体に挿入するステップと、金属中間層を融解するまで加熱し、それによって管状本体とセンサキャップとを融合させるステップと、を含み得る。
【0374】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、金属中間層をレーザで加熱するステップをさらに含み得る。
【0375】
上記実施形態のいずれにおいても、センサキャップは、実質的にレーザに透明である材料で形成され得る。
【0376】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、金属中間層を環状の予め形成された構成要素として提供するステップをさらに含み得る。
【0377】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、金属中間層を管状本体の端面上に設けるステップをさらに含み得る。
【0378】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、金属中間層をセンサキャップの肩部の上に提供するステップをさらに含み得る。
【0379】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧センサインプラントは、眼内圧検出モジュールと、管状本体であって、第1の直径を有する第1の部分と、第1の直径より大きい第2の直径を有する第2の部分とを含む管状本体と、を含み得る。
【0380】
上記実施形態のいずれにおいても、インプラントは、管状本体の第1の部分に挿入された先端キャップをさらに備え得る。
【0381】
上記実施形態のいずれにおいても、インプラントは、管状本体の第1の部分に挿入されたセンサキャップであって、眼内圧検出モジュールはセンサキャップの中に設けられるセンサキャップをさらに備え得る。
【0382】
上記実施形態のいずれにおいても、管状本体は、細長くてよい。
【0383】
上記実施形態のいずれにおいても、管状本体は、人間の眼の毛様体/脈絡膜上腔に挿入されるようなサイズおよび形にされ得る。
【0384】
上記実施形態のいずれにおいても、管状本体の第1の部分と第2の部分とは、肩部によって接合し得る。
【0385】
上記実施形態のいずれにおいても、肩部は、管状本体の第1の部分と第2の部分との間の段差移行部であり得る。
【0386】
上記実施形態のいずれにおいても、肩部は、管状本体の第1の部分と第2の部分との間のテーパ形移行部であり得る。
【0387】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出インプラントを外科的に移植するための方法は、IOP検出インプラントを提供するステップであって、IOP検出インプラントは、IOP検出モジュールと管状本体とを備え、管状本体は、第1の直径を有する第1の部分と第1の直径より大きい第2の直径を有する第2の部分とを備えるステップと、管状本体の第1の部分が眼組織中に配置され、管状本体の第2の部分が眼組織から延在するようにIOP検出インプラントを眼組織に挿入するステップと、を含み得る。
【0388】
上記実施形態のいずれにおいても、眼組織は、人間の眼の毛様体/脈絡膜上腔を含み得る。
【0389】
上記実施形態のいずれにおいても、管状本体の第1の部分と第2の部分とは、肩部によって接合され得、IOP検出インプラントを眼組織に挿入するステップは、眼組織に対して肩部を当接させることを含み得る。
【0390】
いくつかの実施形態において、眼内圧センサインプラントは、眼内圧検出モジュールと、凹部を有するハウジングであって、眼内圧検出モジュールが凹部の中に配置されるハウジングと、を含み得る。
【0391】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧センサインプラントは、凹部を囲む外周壁をさらに含み得る。
【0392】
上記実施形態のいずれにおいても、ハウジングは、管状本体と管状本体の端に挿入されるように構成されたセンサキャップとを備え得、眼内圧検出モジュールは、センサキャップの中に配置され得る。
【0393】
上記実施形態のいずれにおいても、凹部の中に親水性材料が提供され得る。
【0394】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧検出モジュールは、可撓性ダイヤフラムを備え得る。
【0395】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧センサインプラントは、凹部の中に提供される非圧縮性の圧力伝達性ジェルをさらに含み得る。
【0396】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出インプラントを外科的に移植するためのシステムは、眼内圧検出モジュールと凹部を有するハウジングとを有する眼内圧検出インプラントであって、眼内圧検出モジュールは、凹部の中に配置される眼内圧検出モジュールと、眼内圧検出インプラントと係合するように構成された遠位部分を有し、遠位部分は、眼内圧検出インプラントのハウジングの凹部と嵌合するように構成された凸部を備える送達器具と、を含み得る。
【0397】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧検出インプラントの凹部と送達器具の遠位部分の凸部とは、互いの物理的相補物であり得る。
【0398】
上記実施形態のいずれにおいても、凸部の長さは、凹部の深さ以下であり得る。
【0399】
上記実施形態のいずれにおいても、凸部の直径は、凹部の直径より大きくあり得ない。
【0400】
上記実施形態のいずれにおいても、送達器具の遠位部分は、凹部の直径より大きい直径を有する本体を備え得る。
【0401】
いくつかの実施形態において、眼内圧(IOP)検出インプラントを外科的に移植する方法は、眼内圧検出モジュールと凹部を有するハウジングとを有する眼内圧検出インプラントを提供するステップであって、眼内圧検出モジュールは、凹部の中に配置されるステップと、眼内圧検出インプラントと係合するように構成された遠位部分を有する送達器具を提供するステップであって、遠位部分は、眼内圧検出インプラントのハウジングの凹部と嵌合するように構成された凸部を備えるステップと、凹部を送達器具の遠位部分と係合させるステップと、送達器具を用いて患者の眼に眼内圧検出インプラントを挿入するステップと、を含み得る。
【0402】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、眼内圧検出インプラントを患者の眼に挿入した後に送達器具の遠位部分を凹部から取り外すステップをさらに含み得る。
【0403】
上記実施形態のいずれにおいても、送達器具の遠位部分を凹部から取り外すステップは、眼の中の房水が凹部に吸い込まれる原因となり得る。
【0404】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内圧検出インプラントの凹部と送達器具の遠位部分の凸部とは、互いの物理的相補物であり得る。
【0405】
上記実施形態のいずれにおいても、凸部の長さは、凹部の深さ以下であり得る。
【0406】
上記実施形態のいずれにおいても、凸部の直径は、凹部の直径より大きくあり得ない。
【0407】
上記実施形態のいずれにおいても、送達器具の遠位部分は、凹部の直径より大きい直径を有する本体を備え得る。
【0408】
いくつかの実施形態において、眼内圧センサインプラントは、眼内圧検出モジュールと、複数部品ハウジングであって、複数部品ハウジングの部品の少なくとも1つが、複数部品ハウジングの部品を組み立てた後の殺菌剤の注入を容易にする注入ポートを備える複数部品ハウジングと、を含み得る。
【0409】
上記実施形態のいずれにおいても、複数部品ハウジングは、少なくとも、管状本体と、管状本体と嵌合するように構成された1つ以上のキャップと、を備え得る。
【0410】
上記実施形態のいずれにおいても、注入ポートは、先端キャップの中に設けられ得る。
【0411】
上記実施形態のいずれにおいても、複数部品ハウジングは、複数部品ハウジングの部品を接合する1つ以上の連結構造体を備え得、注入ポートは、1つ以上の連結構造体と物理的に別個であり得る。
【0412】
いくつかの実施形態において、眼内圧検出インプラントを殺菌するための方法は、眼内圧検出インプラントのハウジングを形成するために少なくとも第1のハウジング部品と第2のハウジング部品とを組み立てるステップであって、ハウジングは、眼内圧検出モジュールを含み、第1のハウジング部品または第2のハウジング部品のどちらかは、注入ポートを備えるステップと、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品との間の接合部において気密シールを形成するステップと、注入ポートを通してハウジングに殺菌剤を導入するステップと、注入ポートを封止するステップと、を含み得る。
【0413】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、注入ポートを封止する前にハウジングから殺菌剤を排出するステップをさらに含み得る。
【0414】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、注入ポートを封止する前に注入ポートを通してハウジングに不活性ガスを導入するステップをさらに含み得る。
【0415】
上記実施形態のいずれにおいても、注入ポートを封止するステップは、注入ポートにプラグを挿入することを含み得る。
【0416】
上記実施形態のいずれにおいても、注入ポートを封止するステップは、注入ポートに熱を加えることを含み得る。
【0417】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、ハウジングと、1つ以上の構成要素が中に設けられたハウジング中の主空洞と、ハウジングの第1の端に配置された第1の開口からハウジングの第2の端に配置された第2の開口まで延在する第1の囲まれた内腔と、を含み得る。
【0418】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の囲まれた内腔は、ハウジングの軸方向長さ全体に通じ得る。
【0419】
上記実施形態のいずれにおいても、主空洞中に設けられた1つ以上の構成要素は、1つ以上の電気的構成要素を備え得る。
【0420】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内インプラントは、ハウジングの第1の端に配置された第3の開口からハウジングの第2の端に配置された第4の開口まで延在する第2の囲まれた内腔をさらに含み得る。
【0421】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の囲まれた内腔と第2の囲まれた内腔とは、主空洞の両側に設けられ得る。
【0422】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の囲まれた内腔の直径および第2の囲まれた内腔の直径は、主空洞の直径を下回り得る。
【0423】
上記実施形態のいずれにおいても、ハウジングは、主空洞から第1の囲まれた内腔へ、および主空洞から第2の囲まれた内腔へ、サイズがテーパを形成し得る。
【0424】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、ハウジングと、1つ以上の構成要素が中に設けられた、ハウジング中の主空洞と、ハウジング近傍における房水の流れを増加するように構成された1つ以上の流れを可能にする外部特徴物と、を含み得る。
【0425】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上の流れを可能にする外部特徴物は、ハウジングの外表面から突き出ているリブを含み得る。
【0426】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上の流れを可能にする外部特徴物は、ハウジングの外表面に形成された溝またはチャネルを含み得る。
【0427】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上の流れを可能にする外部特徴物は、ハウジングの軸方向長さ全体に延在し得る。
【0428】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上の流れを可能にする外部特徴物は、開放セル多孔質材料を含み得る。
【0429】
いくつかの実施形態において、患者の眼の中に眼内インプラントを留置するためのシステムは、眼内インプラントと、眼内インプラントに付着した第1の留置用繋具であって、眼内インプラントから延在する留置用ループ部分を備える第1の留置用繋具と、眼組織中に挿入されるように構成された貫通用先端および第1の留置用繋具を介して眼内インプラントを眼組織の適所に保持するように構成されたボディ部分を備える留置用鋲と、を含み得る。
【0430】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の留置用繋具は、眼内インプラントに巻き付けられた付着用ループ部分を備え得る。
【0431】
上記実施形態のいずれにおいても、付着ループ部分は、全体として留置用ループ部分に対して直角であり得る。
【0432】
上記実施形態のいずれにおいても、留置用鋲は、第1の留置用繋具の留置用ループ部分を介して眼内インプラントを眼組織の適所に保持するように構成され得る。
【0433】
上記実施形態のいずれにおいても、留置用鋲は、留置用ループ部分を介して挿入されるように構成され得る。
【0434】
上記実施形態のいずれにおいても、留置用鋲は、留置用ループ部分の直径より大きい寸法を有する構造体を含み得る。
【0435】
上記実施形態のいずれにおいても、留置用鋲は、薬送達インプラントを含み得る。
【0436】
上記実施形態のいずれにおいても、留置用鋲は、排出ステントを含み得る。
【0437】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の留置用繋具は、ワイヤを含み得る。
【0438】
上記実施形態のいずれにおいても、システムは、第2の留置用繋具をさらに含み得、第1の留置用繋具は、眼内インプラントの第1の端に連結され得、第2の留置用繋具は、眼内インプラントの第2の端に連結され得る。
【0439】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の留置用繋具は、眼内インプラントに溶接するかまたはろう付けすることによって、接着剤を用いて、またはハトメを通すことによって眼内インプラントに付着し得る。
【0440】
いくつかの実施形態において、患者の眼の中に眼内インプラントを留置するための方法は、眼内インプラントを提供するステップであって、眼内インプラントは、眼内インプラントから延在する留置用ループ部分を有する第1の留置用繋具を備えるステップと、眼組織に挿入されるように構成された貫通用先端を備える第1の留置用鋲を提供するステップと、眼内インプラントおよび第1の留置用鋲を眼に挿入するステップと、第1の留置用鋲の貫通用先端を第1の留置用繋具の留置用ループ部分を通して眼組織に挿入するステップと、を含み得る。
【0441】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の留置用鋲の貫通用先端は、眼内インプラントおよび第1の留置用繋具を眼に挿入する前に、第1の留置用繋具の留置用ループ部分を通して挿入され得る。
【0442】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の留置用鋲の貫通用先端は、眼内インプラントおよび第1の留置用繋具を眼に挿入した後に、第1の留置用繋具の留置用ループ部分を通して挿入され得る。
【0443】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の留置用鋲の貫通用先端は、第1の留置用繋具の留置用ループ部分を通して眼組織に1回の動作で挿入され得る。
【0444】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内インプラントは、第2の留置用繋具をさらに含み得、方法は、眼内インプラントから延在する留置用ループ部分を有する第2の留置用鋲を提供するステップと、第2の留置用繋具の留置用ループ部分を通して第2の留置用鋲の少なくとも一部分を挿入するステップと、をさらに含み得る。
【0445】
いくつかの実施形態において、眼内インプラント構成要素は、装着面を有する基板であって、装着面がその中に形成された電気伝導性バイアを備える基板と、基板の装着面に装着された薄膜バッテリーであって、1つ以上の電気活性層、バッテリーの表面にあってバイアと接触している電気ターミナル、1つ以上の電気活性層の上に形成された封止層であって、バッテリー外周全体の周りで封止層と装着面との間に隙間なく基板の装着面まで延在する封止層、を含むバッテリーと、を含み得る。
【0446】
上記実施形態のいずれにおいても、封止層は、金属を含み得る。
【0447】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内インプラント構成要素は、1つ以上の電気活性層と封止層との間に形成された絶縁層をさらに含み得る。
【0448】
上記実施形態のいずれにおいても、基板は、ガラスを含み得、バイアは、シリコンまたは金属を含み得る。
【0449】
上記実施形態のいずれにおいても、基板は、セラミックを含み得、バイアは、金属を含み得る。
【0450】
上記実施形態のいずれにおいても、薄膜バッテリーは、リチウムイオンバッテリーを含み得る。
【0451】
上記実施形態のいずれにおいても、バイアは、装着面と同一平面にあり得る。
【0452】
上記実施形態のいずれにおいても、バイアは、基板の厚さ全体にわたって延在し得る。
【0453】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上の電気活性層は、カソード電流コレクタ層、カソード層、電解質層、アノード電流コレクタ層またはアノード層を含み得る。
【0454】
上記実施形態のいずれにおいても、バッテリーは、バイアの上に装着され得る。
【0455】
上記実施形態のいずれにおいても、バッテリーは、基板の上でバッテリーから側方に延在する電気相互配線を備えないかもしれない。
【0456】
上記実施形態のいずれにおいても、バッテリーは、基板の装着面においてバイアの上に作製され得る。
【0457】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、1つ以上の電気的な構成要素のための装着面を有する基板と、基板に装着された第1の電気的構成要素と、第2の電気的構成要素であって、基板において第2の電気的構成要素が第1の電気的構成要素にまたがり、第1の電気的構成要素が第2の電気的構成要素と基板との間の空間に配置されるように第1の電気的構成要素の上に装着された第2の電気的構成要素と、を含み得る。
【0458】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の電気的構成要素は、バッテリーを含み得る。
【0459】
上記実施形態のいずれにおいても、バッテリーは、薄膜バッテリーを含み得る。
【0460】
上記実施形態のいずれにおいても、膜膜(film-film)バッテリーの厚さは、30μm以下であり得る。
【0461】
上記実施形態のいずれにおいても、第2の電気的構成要素は、集積回路を含み得る。
【0462】
上記実施形態のいずれにおいても、第2の電気的構成要素は、1つ以上のハンダバンプによって基板に接続され得る。
【0463】
上記実施形態のいずれにおいても、第2の電気的構成要素は、1つ以上のスタッドバンプによって基板に接続され得る。
【0464】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上のハンダバンプは、第1の電気的構成要素の厚さより大きい寸法を有し得る。
【0465】
上記実施形態のいずれにおいても、1つ以上のハンダバンプは、50μmより大きな直径を有し得る。
【0466】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、ハウジングと、ハウジングの中に設けられたアンテナと、を含み、アンテナは、長手方向に延在するコイルの少なくとも一部分を形成するワイヤの複数の巻きの第1の列と、コイルの少なくとも一部を形成するワイヤの複数の巻きの第2の列と、を含み、第1の列の中のワイヤの複数の巻きの各々は、長手方向の隣のワイヤの巻きと接触し、第2の列の中のワイヤの複数の巻きの各々は、長手方向の隣のワイヤの巻きおよび半径方向の隣のワイヤの巻きと接触する。
【0467】
上記実施形態のいずれにおいても、アンテナの自己共振周波数は、100MHz未満であり得る。
【0468】
上記実施形態のいずれにおいても、アンテナの自己共振周波数は、50MHz未満であり得る。
【0469】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内インプラントは、コイルの内部空間の中に設けられた1つ以上の電気的構成要素をさらに含み得る。
【0470】
上記実施形態のいずれにおいても、電気的構成要素の少なくとも1つは、サブスレッショルドトランジスタを用いて実体化された集積回路を含み得る。
【0471】
上記実施形態のいずれにおいても、アンテナは、アンテナの動作周波数を調整するために用いられるキャパシタまたはインダクタ回路要素に接続されないかもしれない。
【0472】
上記実施形態のいずれにおいても、ワイヤの巻きの第1の列と第2の列とは、第1の列と第2の列の中で電流が同じ方向に流れるように配置され得る。
【0473】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内インプラントは、第1の列および第2の列以外に、半径方向に1つ以上の追加のワイヤの巻きの列をさらに含み得る。
【0474】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、管状本体であって、第1の直径を有する第1の部分と第1の直径より大きい第2の直径を有する第2の部分とを備える管状本体と、少なくとも部分的に管状本体の第2の部分の中に配置されたアンテナと、を含み得る。
【0475】
上記実施形態のいずれにおいても、アンテナは、完全に管状本体の第2の部分の中に配置され得る。
【0476】
上記実施形態のいずれにおいても、アンテナは、コイルアンテナであり得る。
【0477】
上記実施形態のいずれにおいても、コイルアンテナの直径は、管状本体の第1の部分の第1の直径より大きくあり得る。
【0478】
上記実施形態のいずれにおいても、管状本体は、細長くあり得る。
【0479】
上記実施形態のいずれにおいても、インプラントは、患者の眼の脈絡膜/毛様体上腔に挿入されるようなサイズおよび形にされ得る。
【0480】
上記実施形態のいずれにおいても、眼内インプラントは、管状本体の第2の部分の中に配置された眼内圧検出モジュールをさらに含み得る。
【0481】
上記実施形態のいずれにおいても、管状本体の第1の部分と第2の部分とは、肩部によって接合され得る。
【0482】
上記実施形態のいずれにおいても、肩部は、管状本体の第1の部分と第2の部分との間の段差移行部であり得る。
【0483】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、第1の圧力検出モジュールと、別個の第2の圧力検出モジュールと、第1および第2の圧力検出モジュールの各々を用いて圧力測定値を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラモジュールと、を含み得る。
【0484】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力検出モジュールまたは第2の圧力検出モジュールのどちらかは、測定値記憶モジュール、コントローラモジュール、またはトランシーバモジュールを有するハウジングの中に設けられ得る。
【0485】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力検出モジュールと第2の圧力検出モジュールとの両方は、測定値記憶モジュール、コントローラモジュール、またはトランシーバモジュールを有する1つ以上のハウジングの中に設けられ得る。
【0486】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力検出モジュールと第2の圧力検出モジュールとは、共通のハウジングによって接合され得る。
【0487】
上記実施形態のいずれにおいても、ハウジングは、細長い管を含み得る。
【0488】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力検出モジュールと第2の圧力検出モジュールとは、繋具によって接合され得る。
【0489】
上記実施形態のいずれにおいても、繋具は、第1の圧力検出モジュールと第2の圧力検出モジュールとの間で圧力測定値を通信する通信ケーブルを含み得る。
【0490】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力検出モジュールは、人間の眼の第1の圧力伝達媒質の中に配置されるように構成され、第2の圧力検出モジュールは、その眼の第2の圧力伝達媒質の中に配置されるように構成され得る。
【0491】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力伝達媒質は、眼内圧と相関する圧力を有し、第2の圧力伝達媒質は、大気圧と相関する圧力を有し得る。
【0492】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力伝達媒質は、眼房水を含み得る。
【0493】
上記実施形態のいずれにおいても、第2の圧力伝達媒質は、眼の結膜の下の流体を含み得る。
【0494】
上記実施形態のいずれにおいても、コントローラは、第1および第2の圧力検出モジュールからの互いに10分以内の圧力測定値を取得するように構成され得る。
【0495】
上記実施形態のいずれにおいても、コントローラは、第1および第2の圧力検出モジュールからの互いに1分以内の圧力測定値を取り出すように構成され得る。
【0496】
上記実施形態のいずれにおいても、コントローラは、第1および第2の圧力検出モジュールからの実質的に同時の圧力測定値を取り出すように構成され得る。
【0497】
上記実施形態のいずれにおいても、コントローラは、第1または第2の圧力検出モジュールのどちらかを用いて取得した第1の測定値を第1および第2の圧力検出モジュールの他方を用いて取得した第2の測定値から差し引くように構成され得る。
【0498】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントを挿入する方法は、第1の圧力検出モジュールと、別個の第2の圧力検出モジュールと、第1および第2の圧力検出モジュールの各々を用いて圧力測定値を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラモジュールを有する眼内インプラントを提供するステップと、眼の第1の圧力伝達媒質中に第1の圧力検出モジュールを配置するステップと、眼の第2の圧力伝達媒質中に第2の圧力検出モジュールを配置するステップと、を含み得る。
【0499】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、眼の強膜を通して眼内インプラントの少なくとも一部分を挿入するステップをさらに含み得る。
【0500】
上記実施形態のいずれにおいても、眼の強膜を通して眼内インプラントの少なくとも一部分を挿入するステップは、眼の内側からの手技を用いることを含み得る。
【0501】
上記実施形態のいずれにおいても、強膜を通して眼内インプラントの少なくとも一部分を挿入するステップは、ツールを用いて強膜を通るトンネルを形成することを含み得る。
【0502】
上記実施形態のいずれにおいても、強膜を通るトンネルは、眼の脈絡膜上腔を通ってアクセスし得る。
【0503】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力伝達媒質は、眼房水を含み得る。
【0504】
上記実施形態のいずれにおいても、第2の圧力伝達媒質は、眼の結膜の下の流体を含み得る。
【0505】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントは、差圧検出モジュールと、差圧検出モジュールを用いて圧力測定値を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラモジュールと、を含み得る。
【0506】
上記実施形態のいずれにおいても、差圧検出モジュールは、少なくとも1つの可撓性ダイヤフラムを含み得る。
【0507】
上記実施形態のいずれにおいても、差圧センサは、少なくとも部分的にハウジング中に設けられ得、少なくとも1つの可撓性ダイヤフラムは、2つの面を有し得、これらの面は、ハウジングの異なる領域において外部圧力にさらされる。
【0508】
上記実施形態のいずれにおいても、少なくとも1つの可撓性ダイヤフラムは、1つ以上のチャネルを介して圧力にさらされ得る。
【0509】
上記実施形態のいずれにおいても、少なくとも1つの可撓性ダイヤフラムは、ハウジングの内部に封止された1つ以上の圧力伝達流体を介して圧力にさらされ得る。
【0510】
上記実施形態のいずれにおいても、異なる位置は、人間の眼の異なる圧力伝達媒質を含み得る。
【0511】
いくつかの実施形態において、眼内インプラントを挿入する方法は、眼内インプラントにハウジング、少なくとも部分的にハウジング中に設けられた差圧検出モジュールを提供するステップであって、差圧検出モジュールは、ハウジングの第1および第2の異なる領域において外部圧力にさらされる2つの面を有する少なくとも1つの可撓性ダイヤフラムを含み、眼内インプラントは、差圧検出モジュールを用いて圧力測定値を決定するように構成された少なくとも1つのコントローラモジュールをさらに含むステップと、眼の第1の圧力伝達媒質の中にハウジングの第1の領域を配置するステップと、眼の第2の圧力伝達媒質の中にハウジングの第2の領域を配置するステップと、を含み得る。
【0512】
上記実施形態のいずれにおいても、方法は、眼の強膜を通して眼内インプラントの少なくとも一部分を挿入するステップをさらに含み得る。
【0513】
上記実施形態のいずれにおいても、眼の強膜を通して眼内インプラントの少なくとも一部分を挿入するステップは、眼の内側からの手技を用いることを含み得る。
【0514】
上記実施形態のいずれにおいても、強膜を通して眼内インプラントの少なくとも一部分を挿入するステップは、ツールを用いて強膜を通るトンネルを形成することを含み得る。
【0515】
上記実施形態のいずれにおいても、強膜を通るトンネルは、眼の脈絡膜上腔を通ってアクセスされ得る。
【0516】
上記実施形態のいずれにおいても、第1の圧力伝達媒質は、眼房水を含み得る。
【0517】
上記実施形態のいずれにおいても、第2の圧力伝達媒質は、眼の結膜の下の流体を含み得る。
【0518】
<追加の考慮事項>
【0519】
移植可能な生理学的センサのさまざまな実施形態、および関連する方法を、多様な特徴物とともに本明細書に記載した。すべての特徴物についてすべての実施形態を例示したわけではないが、本明細書に記載した特徴物は、記載し例示したさまざまな実施形態と自由に組合せることができると理解しなければならない。本明細書に記載したさまざまな生理学的センサは、各々が参照によって本明細書に全体として援用される以下の米国特許文献中に記載されているセンサ装置と関連して開示されているあらゆる特徴物、特性、要素等も有することができる。米国特許第6,981,958号、米国特許第7,678,065号、米国特許出願公開第2010/0056978号、および米国特許出願公開第2010/0106073号。さらに、本明細書に記載したさまざまな生理学的センサは、例えば、前記特許文献中に記載されているいずれの方法においても用途においても使用することができる。
【0520】
本明細書に開示した実施形態と関連して記載したさまざまな例示装置、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、例えば、エレクトロニクスハードウェア(例えばアナログおよび/またはディジタル回路)、コンピューターソフトウェア、または両者の組合せとして実体化することができる。ハードウェアとソフトウェアとのこの交換可能性を明白に例示するために、さまざまな例示的構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、一般的にそれらのものの機能の観点で上記に記載した。そのような機能がハードウェアまたはソフトウェアとして実体化されるかどうかは、特定の用途ならびにシステム全体に課される設計上の制約によって決まる。記載した機能は、各々の特定の用途のためにさまざまな方法で実体化することができるが、そのような実体化の判断は、本開示の範囲からの逸脱の原因となると解釈してはならない。
【0521】
本明細書に開示した実施形態と関連して記載したさまざまな例示論理ブロック、モジュール、および回路のいくつかは、本明細書に記載した機能を実行するために設計された汎用プロセッサ、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジック装置、ディスクリートゲートまたはトランジスターロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはそれらのあらゆる組合せを用いて実装するかまたは実行することができる。
【0522】
添付の図面と関連させて実施形態を記載してきた。しかし、図は、必ずしも一定の比率で描かれてはいないことを理解しなければならない。距離、角度等は例示に過ぎず、例示する装置の実際の寸法および配置との厳密な関係を必ずしも持たない。さらに、上記実施形態は、本明細書に記載した装置、システム等を当業者が製作し使用することを可能にするレベルの詳しさで記載した。多種多様な変化形が可能である。構成要素、要素および/またはステップは、変更するか、追加するか、削除するか、または再編成することができる。特定の実施形態を明示的に記載したが、他の実施形態は、本開示に基づいて当業者に自明になる。本明細書に開示した特定の発明の範囲は、上記記載によってではなく添付の請求項によって示される。これら請求項の意味および均等物の範囲に属するすべての変更物は、請求項の範囲内に受け入れられるものとする。