(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】発光基板及び照明装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240321BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240321BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240321BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240321BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240321BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/62
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V9/32
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020563144
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049690
(87)【国際公開番号】W WO2020137763
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2018244545
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小西 正宏
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-034487(JP,A)
【文献】特開2016-122693(JP,A)
【文献】特開2006-261688(JP,A)
【文献】特開2017-041621(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153739(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103346241(CN,A)
【文献】特開2014-220431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
一面に複数の
前記発光素子が搭載される
絶縁基板と、
前記絶縁基板の一面に配置され、複数の
前記発光素子に接合する複数の電極を有する第1電極群と、
前記絶縁基板の一面に配置され、前記発光素子の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層と、
前記絶縁基板の他面に配置され、複数の電極を有する第2電極群と、
前記絶縁基板に搭載され、複数の前記発光素子とは異なる電子部品と、
を備え
、
前記発光素子は、LEDが組み込まれ、チップサイズにパッケージされたCSPとされており、
前記蛍光体層が配置されている領域が、前記絶縁基板の一面における80%以上の領域である
発光基板。
【請求項2】
前記絶縁基板はマザーボードである、請求項1に記載の
発光基板。
【請求項3】
前記絶縁基板における前記第1電極群の配置領域とされる第1配置領域の少なくとも一部の領域は、前記絶縁基板の厚み方向において、前記絶縁基板における前記第2電極群の配置領域とされる第2配置領域と重なっている、
請求項1または2に記載の
発光基板。
【請求項4】
前記第1配置領域の80%以上の領域は、前記絶縁基板の厚み方向において、前記第2配置領域と重なっている、
請求項3に記載の
発光基板。
【請求項5】
前記第2配置領域の面積は、前記第1配置領域の面積の90%以上110%以下の面積とされている、
請求項3又は4に記載の
発光基板。
【請求項6】
前記第1配置領域は、前記絶縁基板の一面における60%以上の領域とされている、
請求項3~5のいずれか一項に記載の
発光基板。
【請求項7】
前記第2電極群が有する前記複数の電極は、前記第1電極群が有する前記複数の電極と電気的に接続していないダミー電極とされる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の
発光基板。
【請求項8】
前記第2電極群は、パターンを形成している、
請求項1~7のいずれか一項に記載の
発光基板。
【請求項9】
前記蛍光体の相関色温度は、前記CSPに含まれる蛍光体の相関色温度と異なる相関色温度とされている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の
発光基板。
【請求項10】
前記蛍光体の相関色温度は、前記CSPに含まれる蛍光体の相関色温度と同じ相関色温度とされている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の
発光基板。
【請求項11】
請求項
1~10のいずれか1項に記載の発光基板と、
発光素子を発光させるための電力を供給する電源と、
を備える照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光基板及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子(LED素子)が搭載された基板を備えるLED照明器具が開示されている。このLED照明器具は、基板の表面に反射材を設けて、発光効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているLED照明装置は、そもそも、反射材を利用してLED照明器具が発光する光を発光素子が発光する光と異なる発光色の光に調整することができない。さらに、特許文献1には、基板の裏面の構成について明確に開示されていない。
【0005】
本発明は、一面に蛍光体層を備え、かつ、複数の発光素子が搭載される蛍光体基板において、他面に第2電極群が配置されていない場合に比べて反り難い蛍光体基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の蛍光体基板は、一面に複数の発光素子が搭載される蛍光体基板であって、絶縁基板と、前記絶縁基板の一面に配置され、前記複数の発光素子に接合する複数の電極を有する第1電極群と、前記絶縁基板の一面に配置され、前記発光素子の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層と、前記絶縁基板の他面に配置され、複数の電極を有する第2電極群と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の蛍光体基板は、第1態様の蛍光体基板であって、前記絶縁基板における前記第1電極群の配置領域とされる第1配置領域の少なくとも一部の領域は、前記絶縁基板の厚み方向において、前記絶縁基板における前記第2電極群の配置領域とされる第2配置領域と重なっている。
【0008】
本発明の第3態様の蛍光体基板は、第2態様の蛍光体基板であって、前記第1配置領域の80%以上の領域は、前記絶縁基板の厚み方向において、前記第2配置領域と重なっている。
【0009】
本発明の第4態様の蛍光体基板は、第2又は第3態様の蛍光体基板であって、前記第2配置領域の面積は、前記第1配置領域の面積の90%以上110%以下の面積とされている。
【0010】
本発明の第5態様の蛍光体基板は、第1~第4態様のいずれか一態様の蛍光体基板であって、前記第1配置領域は、前記絶縁基板の一面における60%以上の領域とされている。
【0011】
本発明の第6態様の蛍光体基板は、第1~第5態様のいずれか一態様の蛍光体基板であって、前記第2電極群が有する前記複数の電極は、前記第1電極群が有する前記複数の電極と電気的に接続していないダミー電極とされる。
【0012】
本発明の第7態様の蛍光体基板は、第1~第6態様のいずれか一態様の蛍光体基板であって、前記第2電極群は、パターンを形成している。
【0013】
本発明の第8態様の蛍光体基板は、第1~第7態様のいずれか一態様の蛍光体基板であって、前記発光素子は、LEDが組み込まれ、チップサイズにパッケージされたCSPとされている。
【0014】
本発明の第9態様の蛍光体基板は、第8態様の蛍光体基板であって、前記蛍光体の相関色温度は、前記CSPに含まれる蛍光体の相関色温度と異なる相関色温度とされている。
ここで、「蛍光体の相関色温度」とは、当該蛍光体の発光色の相関色温度という意味である(以下、同じ)。
【0015】
本発明の第10態様の蛍光体基板は、第8態様の蛍光体基板であって、前記蛍光体の相関色温度は、前記CSPに含まれる蛍光体の相関色温度と同じ相関色温度とされている。
【0016】
本発明の発光基板は、第1~第10態様のいずれか一態様の蛍光体基板と、前記第1電極群の前記複数の電極にそれぞれ接合する複数の発光素子と、を備える。
【0017】
本発明の照明装置は、前記発光基板と、前記発光素子を発光させるための電力を供給する電源と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1~第10態様の蛍光体基板は、一面に蛍光体層を備えかつ複数の発光素子が搭載される蛍光体基板において、他面に第2電極群が配置されていない場合に比べて、複数の発光素子の発熱に起因する反りの発生を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の発光基板は、蛍光体基板の反りの発生が抑制されることに伴い、複数の発光素子及び蛍光体層からの発光を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0021】
【
図1B】本実施形態の発光基板及び蛍光体基板の底面図である。
【
図1C】
図1Aの1C-1C切断線により切断した発光基板の部分断面図である。
【
図2A】本実施形態の蛍光体基板(蛍光体層を省略)の平面図である。
【
図3A】本実施形態の発光基板の製造方法における第1工程の説明図である。
【
図3B】本実施形態の発光基板の製造方法における第2工程の説明図である。
【
図3C】本実施形態の発光基板の製造方法における第3工程の説明図である。
【
図3D】本実施形態の発光基板の製造方法における第4工程の説明図である。
【
図3E】本実施形態の発光基板の製造方法における第5工程の説明図である。
【
図4】本実施形態の発光基板の発光動作を説明するための図である。
【
図5】第1比較形態の発光基板の発光動作を説明するための図である。
【
図6】本実施形態の発光基板の相関色温度の第1試験の結果を表すグラフである。
【
図7】本実施形態の発光基板の相関色温度の第2試験の結果を表すグラフである。
【
図8A】変形例(第1変形例)の発光基板及び蛍光体基板の底面図である。
【
図8B】変形例(第2変形例)の発光基板及び蛍光体基板の底面図である。
【
図8C】変形例(第3変形例)の発光基板及び蛍光体基板の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
≪概要≫
以下、本実施形態の発光基板10の構成及び機能について
図1A~
図1C、
図2A、
図2Bを参照しながら説明する。次いで、本実施形態の発光基板10の製造方法について
図3A~
図3Eを参照しながら説明する。次いで、本実施形態の発光基板10の発光動作について
図4を参照しながら説明する。次いで、本実施形態の効果について
図4~
図7等を参照しながら説明する。なお、以下の説明において参照するすべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0023】
≪本実施形態の発光基板の構成及び機能≫
図1Aは本実施形態の発光基板10の平面図(表面31から見た図)、
図1Bは本実施形態の発光基板10の底面図(裏面33から見た図)である。
図1Cは、
図1Aの1C-1C切断線により切断した発光基板10の部分断面図である。
本実施形態の発光基板10は、表面31及び裏面33から見て、一例として矩形とされている。また、本実施形態の発光基板10は、複数の発光素子20と、蛍光体基板30と、コネクタ、ドライバIC等の電子部品(図示省略)とを備えている。すなわち、本実施形態の発光基板10は、蛍光体基板30に、複数の発光素子20及び上記電子部品が搭載されたものとされている。
本実施形態の発光基板10は、リード線の直付けにより又はコネクタを介して外部電源(図示省略)から給電されると、発光する機能を有する。そのため、本実施形態の発光基板10は、例えば照明装置(図示省略)等における主要な光学部品として利用される。
【0024】
<複数の発光素子>
複数の発光素子20は、それぞれ、一例として、フリップチップLED22(以下、LED22という。)が組み込まれたCSP(Chip Scale Package)とされている(
図1C参照)。CSPとして、
図1Cに示すように、LED22の底面を除く全周囲(5面)が蛍光体封止層24により覆われていることが好ましい。蛍光体封止層24には蛍光体が含まれ、LED22の光は蛍光体封止層24の蛍光体により色変換されて外部に出射する。複数の発光素子20は、
図1Aに示されるように、蛍光体基板30の表面31(一面の一例)に、表面31の全体に亘って規則的に並べられた状態で、蛍光体基板30に搭載されている。なお、本実施形態の各発光素子20が発光する光の相関色温度は、一例として3,018Kとされている。また、複数の発光素子20は、発光動作時に、ヒートシンク(図示省略)や冷却ファン(図示省略)を用いることで、蛍光体基板30を一例として常温から50℃~100℃に収まるように放熱(冷却)されている。ここで、本明細書で数値範囲に使用する「~」の意味について補足すると、例えば「50℃~100℃」は「50℃以上100℃以下」を意味する。そして、本明細書で数値範囲に使用する「~」は、「『~』の前の記載部分以上『~』の後の記載部分以下」を意味する。
【0025】
<蛍光体基板>
図2Aは、本実施形態の蛍光体基板30の図であって、蛍光体層36を省略して図示した平面図(表面31から見た図)である。
図2Bは、本実施形態の蛍光体基板30の平面図(表面31から見た図)である。なお、本実施形態の蛍光体基板30の底面図は、発光基板10を裏面33から見た図と同じである。また、本実施形態の蛍光体基板30の部分断面図は、
図1Cの部分断面図から発光素子20を除いた場合の図と同じである。すなわち、本実施形態の蛍光体基板30は、表面31及び裏面33から見て、一例として矩形とされている。
【0026】
本実施形態の蛍光体基板30は、絶縁層32(絶縁基板の一例)と、電極層34(第1電極群の一例)と、蛍光体層36と、裏面パターン層38(第2電極群の一例)とを備えている(
図1B、
図1C、
図2A及び
図2B参照)。なお、
図2Aでは蛍光体層36が省略されているが、蛍光体層36は、
図2Bに示されるように、一例として、絶縁層32及び電極層34の表面31における、後述する複数の電極対34A(複数の電極の一例)以外の部分に配置されている。
【0027】
また、蛍光体基板30には、
図1B及び
図2Aに示されるように、四つ角付近の4箇所及び中央付近の2箇所の6箇所に貫通孔39が形成されている。6箇所の貫通孔39は、蛍光体基板30及び発光基板10の製造時に位置決め孔として利用されるようになっている。あわせて、6箇所の貫通孔39は、(発光)灯具筐体への熱引き効果確保(基板反り及び浮き防止)のための取り付け用のネジ穴として利用される。なお、本実施形態の蛍光体基板30は、後述するように、絶縁板の両面に銅箔層が設けられた両面板(以下、マザーボードMBという。
図3A参照)を加工(エッチング等)して製造されるが、マザーボードMBは一例として利昌工業株式会社製のCS-3305Aが用いられる。
【0028】
〔絶縁層〕
以下、本実施形態の絶縁層32の主な特徴について説明する。
形状は、前述のとおり、一例として表面31及び裏面33から見て矩形である。
材質は、一例としてビスマレイミド樹脂及びガラスクロスを含む絶縁材である。
厚みは、一例として100μm~200μmである。
縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、50℃~100℃の範囲において10ppm/℃以下である。また、別の見方をすると、縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、6ppm/Kである。この値は、本実施形態の発光素子20の場合とほぼ同等(90%~110%、すなわち±10%以内)である。
ガラス転移温度は、一例として、300℃よりも高い。
貯蔵弾性率は、一例として、100℃~300℃の範囲において、1.0×1010Paよりも大きく1.0×1011Paよりも小さい。
【0029】
〔電極層〕
本実施形態の電極層34は、絶縁層32の表面31側に設けられた金属層とされている。本実施形態の電極層34は一例として銅箔層(Cu製の層)とされている。別言すれば、本実施形態の電極層34は、少なくともその表面が銅を含んで形成されている。
電極層34は、絶縁層32に設けられたパターンとされ、コネクタ(図示省略)が接合される端子(図示省略)と導通している。そして、電極層34は、コネクタを介して外部電源(図示省略)から給電された電力を、発光基板10の構成時の複数の発光素子20に供給するようになっている。そのため、電極層34の一部は、複数の発光素子20がそれぞれ接合される複数の電極対34Aとされている。すなわち、本実施形態の発光基板10の電極層34は、絶縁層32に配置され、各発光素子20に接続されている。
【0030】
また、前述のとおり、本実施形態の発光基板10における複数の発光素子20は表面31の全体に亘って規則的に並べられていることから、複数の電極対34Aも表面31の全体に亘って規則的に並べられている(
図2A参照)。電極層34における複数の電極対34A以外の部分を、配線部分34Bという。本実施形態では、
図1Cに示されるように、一例として、複数の電極対34Aは、配線部分34Bよりも絶縁層32(蛍光体基板30)の厚み方向外側に突出している。別言すると、電極層34における絶縁層32の厚み方向外側に向く面において、それぞれ各発光素子20が接合される面(接合面34A1)は、接合面34A1以外の面(非接合面34B1)よりも、絶縁層32の厚み方向外側に位置している。
なお、絶縁層32の表面31における電極層34が配置されている領域(第1配置領域と定義する。)は、一例として、絶縁層32の表面31の60%以上の領域(面積)とされている(
図2A参照)。また、第1配置領域の80%以上の領域は、絶縁層32の厚み方向において、絶縁層32における裏面パターン層38が配置されている領域(第2配置領域と定義する。)と重なっている。
【0031】
〔蛍光体層〕
本実施形態の蛍光体層36は、
図2Bに示されるように、一例として、絶縁層32及び電極層34の表面31における、複数の電極対34A以外の部分に配置されている。すなわち、蛍光体層36は、電極層34における複数の電極対34A以外の領域に配置されている。別言すると、蛍光体層36の少なくとも一部は、表面31側から見て、各接合面34A1の周りを全周に亘って囲むように配置されている(
図1C及び
図2B参照)。そして、本実施形態では、絶縁層32の表面31における蛍光体層36が配置されている領域は、一例として、絶縁層32の表面31における80%以上の領域とされている。
なお、蛍光体層36における絶縁層32の厚み方向外側の面は、電極層34の接合面34A1よりも当該厚み方向外側に位置している(
図1C参照)。
【0032】
本実施形態の蛍光体層36は、一例として、後述する蛍光体とバインダーとを含む絶縁層とされている。蛍光体層36に含まれる蛍光体は、バインダーに分散された状態で保持されている微粒子とされ、各発光素子20のLED22の発光を励起光として励起する性質を有する。具体的には、本実施形態の蛍光体は、発光素子20の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある性質を有する。なお、バインダーは、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等で、ソルダーレジストに含まれるバインダーと同等の絶縁性を有するものであればよい。
【0033】
(蛍光体の具体例)
ここで、本実施形態の蛍光体層36に含まれる蛍光体は、一例として、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体、Euを含有するCASN蛍光体及びEuを含有するSCASN蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の蛍光体とされている。なお、前述の蛍光体は、本実施形態の一例であり、YAG、LuAG、BOSその他の可視光励起の蛍光体のように、前述の蛍光体以外の蛍光体であってもよい。
【0034】
Euを含有するα型サイアロン蛍光体は、一般式:MxEuySi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-nで表される。上記一般式中、MはLi、Mg、Ca、Y及びランタニド元素(ただし、LaとCeを除く)からなる群から選ばれる、少なくともCaを含む1種以上の元素であり、Mの価数をaとしたとき、ax+2y=mであり、xが0<x≦1.5であり、0.3≦m<4.5、0<n<2.25である。
【0035】
Euを含有するβ型サイアロン蛍光体は、一般式:Si6-zAlzOzN8-z(z=0.005~1)で表されるβ型サイアロンに発光中心として二価のユーロピウム(Eu2+)を固溶した蛍光体である。
【0036】
また、窒化物蛍光体として、Euを含有するCASN蛍光体、Euを含有するSCASN蛍光体等が挙げられる。
【0037】
Euを含有するCASN蛍光体(窒化物蛍光体の一例)は、例えば、式CaAlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。なお、本明細書におけるEuを含有するCASN蛍光体の定義では、Euを含有するSCASN蛍光体が除かれる。
【0038】
Euを含有するSCASN蛍光体(窒化物蛍光体の一例)は、例えば、式(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。
【0039】
〔裏面パターン層〕
本実施形態の裏面パターン層38は、絶縁層32の裏面33側に設けられた金属層とされている。本実施形態の裏面パターン層38は一例として銅箔層(Cu製の層)とされている。
【0040】
裏面パターン層38は、
図1Bに示されるように、絶縁層32の長手方向に沿って直線状に並べられている複数の矩形部分38A(複数の電極の一例、以下、複数の部分38Aという。)の塊が短手方向において位相をずらしたよう隣接して並べられている層とされている。すなわち、本実施形態の裏面パターン層38は、複数の部分38Aを並べたパターンを形成している。
【0041】
なお、裏面パターン層38は、一例として、独立フローティング層とされている。すなわち、本実施形態の裏面パターン層38(を構成する複数の部分38A)は、表面31側の電極層34が有する複数の電極対34Aと電気的に接続していない、ダミー電極とされている。また、本実施形態の第2配置領域の面積は、第1配置領域の面積よりも大きく設定されているが(
図1B及び
図2A参照)、第1配置領域の面積の90%~110%の面積に設定されている。
【0042】
以上が、本実施形態の発光基板10及び蛍光体基板30の構成についての説明である。
【0043】
≪本実施形態の発光基板の製造方法≫
次に、本実施形態の発光基板10の製造方法について
図3A~
図3Eを参照しながら説明する。本実施形態の発光基板10の製造方法は第1工程、第2工程、第3工程、第4工程及び第5工程を含んでおり、各工程はこれらの記載順で行われる。
【0044】
<第1工程>
図3Aは、第1工程の開始時及び終了時を示す図である。第1工程は、マザーボードMBの表面31に厚み方向から見て電極層34と同じパターン34Cを、裏面33に裏面パターン層38を形成する工程である。本工程は、例えばマスクパターン(図示省略)を用いたエッチングにより行われる。
【0045】
<第2工程>
図3Bは、第2工程の開始時及び終了時を示す図である。第2工程は、パターン34Cの一部をハーフハッチ(厚み方向の途中までエッチング)する工程である。本工程が終了すると、結果的に、複数の電極対34Aと配線部分34Bとを有する電極層34が形成される。すなわち、本工程が終了すると、電極層34に複数の接合面34A1と複数の非接合面34B1とが形成される。本工程は、例えばマスクパターン(図示省略)を用いたエッチングにより行われる。
【0046】
<第3工程>
図3Cは、第3工程の開始時及び終了時を示す図である。第3工程は、絶縁層32の表面31、すなわち電極層34が形成された面の全面に蛍光体塗料36Cを塗布する工程である。本工程では、例えば、印刷により蛍光体塗料36Cを塗布する。この場合、蛍光体塗料36Cをすべての電極対34Aよりも厚く塗布する。別言すると、この場合、蛍光体塗料36Cを絶縁層32の厚み方向において、各接合面34A1を厚み方向の外側から覆うように(各接合面34A1が蛍光体塗料36Cで隠れるように)塗布する。
【0047】
<第4工程>
図3Dは、第4工程の開始時及び終了時を示す図である。第4工程は、蛍光体塗料36Cが硬化した蛍光体層36の一部を除去して、すべての電極対34Aの接合面34A1を露出させる工程である。ここで、蛍光体塗料36Cのバインダーが例えば熱硬化性樹脂である場合は、加熱により蛍光体塗料36Cを硬化させた後に2次元レーザー加工装置(図示省略)を用いて蛍光体層36における各接合面34A1上の部分に選択的にレーザー光を照射する。その結果、蛍光体層36における各接合面34A1上の部分及び電極対34Aの各接合面34A1付近の部分がアブレーションされて、各接合面34A1が露出する。以上の結果、本実施形態の蛍光体基板30が製造される。
なお、本工程は、上記の方法の他に、例えば、以下の方法により行ってもよい。蛍光体塗料36Cのバインダーが例えばUV硬化性樹脂(感光性樹脂)である場合、各接合面34A1と重なる部分(塗料開口部)にマスクパターンをかけて、UV光を露光し、当該マスクパターン以外をUV硬化させ、非露光部(未硬化部)を樹脂除去液により取り除くことで、各接合面34A1を露出させる。その後、一般的には、熱をかけてアフターキュアを行う(写真現像法)。
【0048】
<第5工程>
図3Eは、第5工程の開始時及び終了時を示す図である。第5工程は、蛍光体基板30に複数の発光素子20を搭載する工程である。本工程は、蛍光体基板30の複数の電極対34Aの各接合面34A1にはんだペーストSPを印刷し、各接合面34A1に複数の発光素子20の各電極を位置合わせした状態で、一例として250℃の環境下ではんだペーストSPを溶かす。その後、はんだペーストSPが冷却された固化すると、各電極対34Aに各発光素子20が接合される。すなわち、本工程は、一例としてリフロー工程により行われる。
【0049】
以上が、本実施形態の発光基板10の製造方法についての説明である。
【0050】
≪本実施形態の発光基板の発光動作≫
次に、本実施形態の発光基板10の発光動作について
図4を参照しながら説明する。ここで、
図4は、本実施形態の発光基板10の発光動作を説明するための図である。
【0051】
まず、複数の発光素子20を作動させる作動スイッチ(図示省略)がオンになると、コネクタ(図示省略)を介して外部電源(図示省略)から電極層34への給電が開始され、複数の発光素子20は光Lを放射状に発散出射し、その光Lの一部は蛍光体基板30の表面31に到達する。以下、出射された光Lの進行方向に分けて光Lの挙動について説明する。
【0052】
各発光素子20から出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射することなく外部に出射される。この場合、光Lの波長は、各発光素子20から出射された際の光Lの波長と同じままである。
【0053】
また、各発光素子20から出射された光Lの一部分の中のLED22自身の光は、蛍光体層36に入射する。ここで、前述の「光Lの一部分の中のLED22自身の光」とは、出射された光Lのうち各発光素子20(CSP自身)の蛍光体(蛍光体封止層24)により色変換されていない光、すなわち、LED22自身の光(一例として青色(波長が470nm近傍)の光)を意味する。そして、LED22自身の光Lが蛍光体層36に分散されている蛍光体に衝突すると、蛍光体が励起して励起光を発する。ここで、蛍光体が励起する理由は、蛍光体層36に分散されている蛍光体が青色の光に励起ピークを持つ蛍光体(可視光励起蛍光体)を使用しているためである。これに伴い、光Lのエネルギーの一部は蛍光体の励起に使われることで、光Lはエネルギーの一部を失う。その結果、光Lの波長が変換される(波長変換がなされる)。例えば、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては(例えば、蛍光体に赤色系CASNを用いた場合には)光Lの波長が長くなる(例えば650nm等)。また、蛍光体層36での励起光はそのまま蛍光体層36から出射するものもあるが、一部の励起光は下側の電極層34に向かう。そして、一部の励起光は電極層34での反射により外部に出射する。以上のように、蛍光体層36の蛍光体による励起光の波長が600nm以上の場合、電極層34がCuでも反射効果が望める。なお、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては光Lの波長が前述の例と異なるが、いずれの場合であっても光Lの波長変換がなされることになる。例えば、励起光の波長が600nm未満の場合、電極層34又はその表面を例えばAg(鍍金)とすれば反射効果が望める。また、蛍光体層36の下側(絶縁層32側)に白色の反射層が設けられてもよい。反射層は、例えば、酸化チタンフィラー等の白色塗料により設けられる。
【0054】
以上のとおり、各発光素子20が出射した光L(各発光素子20が放射状に出射した光L)は、それぞれ、上記のような複数の光路を経由して上記励起光とともに外部に照射される。そのため、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光素子20(CSP)におけるLED22を封止した(又は覆う)蛍光体(蛍光体封止層24)の発光波長とが異なる場合、本実施形態の発光基板10は、各発光素子20が出射した際の光Lの束を、各発光素子20が出射した際の光Lの波長と異なる波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。例えば、本実施形態の発光基板10は、発光素子20が出射した光(波長)と蛍光体層36より出射された光(波長)との合成光を照射する。
これに対して、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光素子20(CSP)におけるLED22を封止した(又は覆う)蛍光体(蛍光体封止層24)の発光波長とが同じ場合(同じ相関色温度の場合)、本実施形態の発光基板10は、各発光素子20が出射した際の光Lの束を、各発光素子20が出射した際の光Lの波長と同じ波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。
【0055】
以上が、本実施形態の発光基板10の発光動作についての説明である。
【0056】
≪本実施形態の効果≫
次に、本実施形態の効果について図面を参照しながら説明する。
【0057】
<第1の効果>
第1の効果については、本実施形態を以下に説明する第1比較形態(
図5参照)と比較して説明する。ここで、第1比較形態(及び下記の第2比較形態)の説明において、本実施形態と同じ構成要素等を用いる場合は、その構成要素等に本実施形態の場合と同じ名称、符号等を用いることとする。
図5、第1比較形態の発光基板10Aの発光動作を説明するための図である。第1比較形態の発光基板10A(複数の発光素子20を搭載する基板30A)は、蛍光体層36を備えていない点以外は、本実施形態の発光基板10(蛍光体基板30)と同じ構成とされている。
【0058】
第1比較形態の発光基板10Aの場合、各発光素子20から出射され、基板30Aの表面31に入射した光Lは、波長が変換されることなく反射又は散乱する。そのため、第1比較形態の基板30Aの場合、発光素子20が搭載された場合に発光素子20が発光する光と異なる発光色の光に調整することができない。すなわち、第1比較形態の発光基板10Aの場合、発光素子20が発光する光と異なる発光色の光に調整することができない。
【0059】
これに対して、本実施形態の場合、絶縁層32の厚み方向から見て、絶縁層32の表面31であって、各発光素子20との各接合面34A1の周囲には蛍光体層36が配置されている。そのため、各発光素子20から放射状に出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射して、蛍光体層36により波長変換されて、外部に照射される。この場合、各発光素子20から放射状に出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射して、蛍光体層36に含まれる蛍光体を励起させ、励起光を発生させる。
【0060】
ここで、
図6は、本実施形態の発光基板10の相関色温度の第1試験の結果を表すグラフである。また、
図7は、本実施形態の発光基板10の相関色温度の第2試験の結果を表すグラフである。
第1試験は、相関色温度が2200K~2300K相当である複数の発光素子20を備えた発光基板10に給電して発光させた場合における、複数の発光素子20に電流(mA)と、相関色温度(K)との関係を調べて結果である。ここで、HE(1)及びHE(2)は電極層34の構造が本実施形態と同じ構造の場合の2つの実施例を示す。
図6の結果のとおり、いずれの場合であっても、発光基板10が発光する光Lの相関色温度は、複数の発光素子20の相関色温度よりも低くなっている。すなわち、本実施形態の場合、蛍光体層36を備えることで相関色温度をシフトさせることができていた。
【0061】
また、第2試験は、相関色温度が2900K~3000K相当である複数の発光素子20を備えた発光基板10に給電して発光させた場合における、複数の発光素子20に電流(mA)と、相関色温度(K)との関係を調べて結果である。ここで、HE(1)は電極層34の構造が本実施形態と同じ構造の場合を示す。
図7の結果のとおり、発光基板10が発光する光Lの相関色温度は、複数の発光素子20の相関色温度よりも低くなっている。すなわち、本実施形態の場合、蛍光体層36を備えることで相関色温度をシフトさせることができていた。
【0062】
したがって、本実施形態の蛍光体基板30によれば、発光素子20が搭載された場合に、蛍光体基板30から発光される光Lを発光素子20が発光する光Lと異なる発光色の光に調整することができる。これに伴い、本実施形態の発光基板10によれば、蛍光体基板30から発光される光Lを発光素子20が発光する光Lと異なる発光色の光Lに調整することができる。別の見方をすると、本実施形態の発光基板10によれば、発光素子20が発光する光Lと異なる発光色の光Lを外部に照射することができる。
【0063】
<第2の効果>
第1比較形態の場合、
図5に示されるように、各発光素子20の配置間隔に起因して外部に照射される光Lに斑が発生する。ここで、光Lの斑が大きいほど、グレアが大きいという。
これに対して、本実施形態の場合、
図2Bに示されるように、各接合面34A1の周囲を(全周に亘って)蛍光体層36に囲まれたうえで、さらに隣接する発光素子20同士の間にも蛍光体層36が設けられている。そのため、各接合面34A1の周囲(各発光素子20の周囲)からも励起光が発光される。
したがって、本実施形態によれば、第1比較形態に比べて、グレアを小さくすることができる。
特に、本効果は、蛍光体層36が絶縁層32の全面に亘って設けられている場合、具体的には、絶縁層32の表面31における蛍光体層36が配置されている領域が表面13の80%以上の領域のような場合に有効である。
【0064】
<第3の効果>
前述のとおり、複数の発光素子20は、発光動作時に、ヒートシンク(図示省略)や冷却ファン(図示省略)を用いることで、蛍光体基板30を一例として常温から50℃~100℃に収まるように放熱(冷却)される。
ここで、裏面33に裏面パターン層38を備えていない点のみ本実施形態の場合と異なる形態(図示省略、第2比較形態という。)の場合、上記の発熱の影響により、電極層34及び絶縁層32が熱膨張すると、互いに熱膨張率が異なることから、蛍光体基板30に反りが発生してしまう。その結果、第2比較形態の場合、複数の発光素子20及び蛍光体層36から発光する光Lの進行方向が反りにより影響を受ける虞がある。また、第2比較形態の場合、反りにより蛍光体層36にクラックが発生する虞がある。
これに対して、本実施形態の蛍光体基板30は、絶縁層32の裏面33に配置されている裏面パターン層38を備えている(
図1B参照)。そのため、絶縁層32を介し表裏に同じ熱挙動(膨張、収縮)する部材を(すなわち、同じような形状の部材)貼り付けることで、反りを押さえる。表面31側だけCuパターンを張ると熱挙動の異なる物質界面で応力、反りが発生するが、両面に挟み込むことで強制的に反りをなくす。別言すると、本実施形態の蛍光体基板30よれば、第2比較形態の場合に比べて、蛍光体基板30の反りの発生を抑制することができる。これに伴い、本実施形態の発光基板10は、複数の発光素子20及び蛍光体層36からの発光を安定させることができる。
なお、本実施形態の場合、絶縁層32の表面31に対する第1配置領域(電極層34の配置領域)の割合は60%以上とされている(
図2A参照)。そのため、電極層34のほとんどの部分を占める配線部分34B(
図2A参照)に放熱機能を持たせている。すなわち、本実施形態の場合、電極層34と裏面パターン層38とが協業して、複数の発光素子20による熱を効果的に放熱させている点で有効といえる。
さらに、本実施形態では、第1配置領域の少なくとも一部(80%以上)の領域が絶縁層32の厚み方向において裏面パターン層38と重なっている。そのため、絶縁層32の熱を当該厚み方向の両側から効率よく逃がす(放熱する)ことができる点で有効といえる。
さらに、本実施形態では、第2配置領域の面積が第1配置領域の面積の90%~110%とされている。すなわち、裏面パターン層38は、絶縁層32において、電極層34とほぼ同等(±10%程度)の領域で接触している。そのため、絶縁層32の熱を絶縁層32の表面31側及び裏面33側から効率よく放熱することができる。
【0065】
以上が、本実施形態の効果についての説明である。
【0066】
以上のとおり、本発明について前述の実施形態及び実施例を例として説明したが、本発明は前述の実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、下記のような形態(変形例)も含まれる。
【0067】
例えば、本実施形態の説明では、発光素子20の一例をCSPであるとした。しかしながら、発光素子20の一例はCSP以外でもよい。また、単にフリップチップを搭載したものでもよい。また、COBデバイスの基板自身に応用することもできる。
【0068】
また、本実施形態の説明では、蛍光体層36における絶縁層32の厚み方向外側の面は、電極層34の接合面34A1よりも当該厚み方向外側に位置しているとした(
図1C参照)。しかしながら、前述の第1の効果の説明のメカニズムを考慮すると、蛍光体層36における絶縁層32の厚み方向外側の面が電極層34の接合面34A1と当該厚み方向において同じ又は接合面34A1よりも当該厚み方向内側の位置としても第1の効果を奏することは明らかである。
【0069】
また、本実施形態の説明では、蛍光体層36は、絶縁層32及び電極層34の表面31における、複数の電極対34A以外の部分に配置されているとした(
図2B参照)。しかしながら、前述の第1の効果の説明のメカニズムを考慮すると、蛍光体基板30の表面31における複数の電極対34A以外の部分の全域に亘って配置されていなくても第1の効果を奏することは明らかである。したがって、本実施形態の場合と異なる表面31の範囲に蛍光体層36が配置されている点のみ本実施形態の蛍光体基板30及び発光基板10と異なる形態であっても、当該形態は本発明の技術的範囲に属するといえる。
【0070】
また、本実施形態の説明では、蛍光体基板30及び発光基板10を製造するに当たり、利昌工業株式会社製のCS-3305AをマザーボードMBとして用いると説明した。しかしながら、これは一例であり、異なるマザーボードMBを用いてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、裏面パターン層38(を構成する複数の部分38A)は、表面31側の電極層34が有する複数の電極対34Aと電気的に接続していない、ダミー電極とされているとして説明した。しかしながら、裏面パターン層38を例えばスルーホール(図示省略)を介して表面31の電極層34に接続し、裏面パターン層38を電極層34に電力を供給するための電気経路の一部として構成してもよいし、放熱ルートの一部として構成してもよい。
【0072】
また、本実施形態の裏面パターン層38は、一例として
図1Bに図示される複数の部分38Aを並べたものとして説明した。しかしながら、本発明の第2電極群は、本実施形態の裏面パターン層38と異なるパターンであってもよい。
例えば、
図8Aの第1変形例の蛍光体基板30B(発光基板10B)の裏面パターン層38Bのように、本発明の第2電極群が蛍光体基板30Bの長手方向に沿って配置された長尺体(複数の部分38B1)の組み合せであってもよい。
また、例えば、
図8Bの第2変形例の蛍光体基板30C(発光基板10C)の裏面パターン層38Cのように、本発明の第2電極群が蛍光体基板30Cの短手方向の一端から他端に沿って配置された長尺体(複数の部分38C1)の組み合せであってもよい。
また、例えば、
図8Cの第3変形例の蛍光体基板30D(発光基板10D)の裏面パターン層38Dのように、本発明の第2電極群が複数の矩形部分38D1で構成される複数の島状の塊と、複数の島状の塊以外の部分(蛍光体基板30Dの長手方向の一端から他端に亘りつつ短手方向の一端から他端に亘る網目状の部分38D2)との組み合せであってもよい。
以上のとおり、本発明の第2電極群は、パターンであればよい。この場合、第2電極群は、第1電極群と類似するパターンであることが好ましい。
【0073】
なお、本実施形態の発光基板10(その変形例も含む)は、他の構成要素と組み合せて、照明装置に応用することができる。この場合における他の構成要素は、発光基板10の発光素子20を発光させるための電力を供給する電源等である。
【0074】
この出願は、2018年12月27日に出願された日本出願特願2018-244545号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。