(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電源切換制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/00 20060101AFI20240321BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240321BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240321BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H02J9/00 120
H02J7/00 302C
H02J1/00 304H
H02J1/00 304G
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2021149578
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 淳
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-083214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0053716(US,A1)
【文献】特開2012-200100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 - 11/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電経路に対して並列に接続され作動優先度が設定された複数の負荷と、前記給電経路に対して並列に接続され複数の前記負荷に給電する複数の電源との接続・遮断を切り換える切換部と、
前記電源の側又は前記負荷の側の異常で生じた電源失陥を検知する電源失陥検知部と、
前記切換部を制御する制御部と
を備え、
前記負荷は3個以上であり、
前記制御部は、前記電源失陥検知部により
前記電源の側の異常で生じた前記電源失陥が検知され、複数の前記電源の残容量、充電率又は電圧が所定の閾値未満又は以下である場合に、
異常のある前記電源を前記切換部により前記給電経路から遮断し、その後、2個以上の前記負荷を前記作動優先度が低い方から順に前記切換部により前記給電経路から遮断していくことにより、前記電源から前記負荷への供給電流を逓減させる電源切換制御システム。
【請求項2】
給電経路に対して並列に接続され作動優先度が設定された複数の負荷と、前記給電経路に対して並列に接続され複数の前記負荷に給電する複数の電源との接続・遮断を切り換える切換部と、
前記電源の側又は前記負荷の側の異常で生じた電源失陥を検知する電源失陥検知部と、
前記切換部を制御する制御部と
を備え、
前記負荷は3個以上であり、
前記制御部は、前記電源失陥検知部により前記負荷の側の異常で生じた前記電源失陥が検知され、複数の前記電源の残容量、充電率又は電圧
が所定の閾値未満又は以下である場合に、異常のある前記負荷を前記切換部により前記給電経路から遮断し、その後、正常の2個以上の前記負荷を前記作動優先度が低い方から順に前記切換部により前記給電経路から遮断していくことにより、前記電源から前記負荷への供給電流を逓減させ
る電源切換制御システム。
【請求項3】
給電経路に対して並列に接続され作動優先度が設定された複数の負荷と、前記給電経路に対して並列に接続され複数の前記負荷に給電する複数の電源との接続・遮断を切り換える切換部と、
前記電源の側又は前記負荷の側の異常で生じた電源失陥を検知する電源失陥検知部と、
前記切換部を制御する制御部と
を備え、
複数の前記電源は、メインバッテリと、サブバッテリと、蓄電部とを備え、
前記切換部は、前記メインバッテリと前記給電経路との接続・遮断を切り換える第1スイッチと、前記サブバッテリと前記給電経路との接続・遮断を切り換える第2スイッチと、前記負荷と前記給電経路との接続・遮断を切り換える複数の第3スイッチとを備え、
前記制御部は、
前記電源失陥検知部により前記メインバッテリの側の異常で生じた前記電源失陥、及び前記サブバッテリの側の異常で生じた前記電源失陥が検知された場合に、前記第1スイッチにより前記メインバッテリを前記給電経路から遮断し、前記第2スイッチにより前記サブバッテリを前記給電経路から遮断し、前記蓄電部から前記負荷に給電する第1処理と、
前記第1処理の以後に、前記蓄電部の残容量、充電率又は電圧
が所定の閾値未満又は以下である場合に、複数の前記負荷を前記作動優先度が低い方から順に前記第3スイッチにより前記給電経路から遮断していくことにより、前記蓄電部から前記負荷への供給電流を逓減させる第2処理と
を実行す
る電源切換制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源切換制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メイン電源、サブ電源、及び複数の補機負荷が並列接続される車載電源システムにおいて、メイン電源からの出力電力が低下した場合に、作動優先度の高い補機負荷に対して、サブ電源からより多くの電力を供給するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、冗長運転のために複数の電力系統を備える車載電源システムにおいて、一部の電力系統において異常が生じた場合であっても、その異常が生じた電力系統の電源や負荷のうち使用を継続できるものについては極力使用を継続させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-127112号公報
【文献】特開2019-62727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車載電源システムでは、サブ電源から各補記負荷への供給電力を調整するDC/DCコンバータに故障が生じた場合、冗長運転が不能となる。即ち、DC/DCコンバータへの依存度が高く信頼性が低い。また、DC/DCコンバータは高価で大型である。
【0005】
特許文献2に記載の車載電源システムでは、異常が生じた電力系統の電源(蓄電池)の残容量が不足している場合、作動優先度の高い負荷の使用継続を実現できないことが考えられる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、冗長運転のために複数の電源が給電経路に並列に接続され、この給電経路に複数の負荷が並列に接続された電源システムにおいて、電源側又は負荷側の異常で電源失陥が生じた際に、給電可能な状態の電源の残容量が不足している場合であっても、作動優先度の高い負荷への給電を必要な時間維持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電源切換制御システムは、給電経路に対して並列に接続され作動優先度が設定された複数の負荷と、前記給電経路に対して並列に接続され複数の前記負荷に給電する複数の電源との接続・遮断を切り換える切換部と、前記電源の側又は前記負荷の側の異常で生じた電源失陥を検知する電源失陥検知部と、前記切換部を制御する制御部とを備え、前記負荷は3個以上であり、前記制御部は、前記電源失陥検知部により前記電源の側の異常で生じた前記電源失陥が検知され、複数の前記電源の残容量、充電率又は電圧が所定の閾値未満又は以下である場合に、異常のある前記電源を前記切換部により前記給電経路から遮断し、その後、2個以上の前記負荷を前記作動優先度が低い方から順に前記切換部により前記給電経路から遮断していくことにより、前記電源から前記負荷への供給電流を逓減させる。
本発明の電源切換制御システムは、給電経路に対して並列に接続され作動優先度が設定された複数の負荷と、前記給電経路に対して並列に接続され複数の前記負荷に給電する複数の電源との接続・遮断を切り換える切換部と、前記電源の側又は前記負荷の側の異常で生じた電源失陥を検知する電源失陥検知部と、前記切換部を制御する制御部とを備え、前記負荷は3個以上であり、前記制御部は、前記電源失陥検知部により前記負荷の側の異常で生じた前記電源失陥が検知され、複数の前記電源の残容量、充電率又は電圧が所定の閾値未満又は以下である場合に、異常のある前記負荷を前記切換部により前記給電経路から遮断し、その後、正常の2個以上の前記負荷を前記作動優先度が低い方から順に前記切換部により前記給電経路から遮断していくことにより、前記電源から前記負荷への供給電流を逓減させる。
本発明の電源切換制御システムは、給電経路に対して並列に接続され作動優先度が設定された複数の負荷と、前記給電経路に対して並列に接続され複数の前記負荷に給電する複数の電源との接続・遮断を切り換える切換部と、前記電源の側又は前記負荷の側の異常で生じた電源失陥を検知する電源失陥検知部と、前記切換部を制御する制御部とを備え、複数の前記電源は、メインバッテリと、サブバッテリと、蓄電部とを備え、前記切換部は、前記メインバッテリと前記給電経路との接続・遮断を切り換える第1スイッチと、前記サブバッテリと前記給電経路との接続・遮断を切り換える第2スイッチと、前記負荷と前記給電経路との接続・遮断を切り換える複数の第3スイッチとを備え、前記制御部は、前記電源失陥検知部により前記メインバッテリの側の異常で生じた前記電源失陥、及び前記サブバッテリの側の異常で生じた前記電源失陥が検知された場合に、前記第1スイッチにより前記メインバッテリを前記給電経路から遮断し、前記第2スイッチにより前記サブバッテリを前記給電経路から遮断し、前記蓄電部から前記負荷に給電する第1処理と、前記第1処理の以後に、前記蓄電部の残容量、充電率又は電圧が所定の閾値未満又は以下である場合に、複数の前記負荷を前記作動優先度が低い方から順に前記第3スイッチにより前記給電経路から遮断していくことにより、前記蓄電部から前記負荷への供給電流を逓減させる第2処理とを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冗長運転のために複数の電源が給電経路に並列に接続され、この給電経路に複数の負荷が並列に接続された電源システムにおいて、電源側又は負荷側の異常で電源失陥が生じた際に、給電可能な状態の電源の残容量が不足している場合であっても、作動優先度の高い負荷への給電を必要な時間維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電源切換制御システムを備える車載電源システムを示す図である。
【
図2】
図2は、自動運転走行から停車するまでの間のメインバッテリ又はサブバッテリの充電率[%]の推移を示すグラフである。
【
図3】
図3は、メインバッテリ側又はサブバッテリ側の異常による電源失陥が発生し、正常なバッテリの残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度1の重要負荷への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチの制御を示す表である。
【
図4】
図4は、優先度3の重要負荷側の異常による電源失陥が発生し、メインバッテリ及びサブバッテリの残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度1の重要負荷への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチの制御を示す表である。
【
図5】
図5は、優先度2の重要負荷側の異常による電源失陥が発生し、メインバッテリ及びサブバッテリの残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度1の重要負荷への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチの制御を示す表である。
【
図6】
図6は、優先度1の重要負荷側の異常による電源失陥が発生し、メインバッテリ及びサブバッテリの残容量[Ah]が閾値未満で有り、退避走行時間の間、優先度2の重要負荷への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチの制御を示す表である。
【
図7】
図7は、
図1の電源切換制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図1の電源切換制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図1の電源切換制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図1の電源切換制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の他の実施形態に係る電源切換制御システムを備える車載電源システムを示す図である。
【
図12】
図12は、
図11の電源切換制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、
図11の電源切換制御システムの処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限られるものではなく、以下に示す実施形態は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る電源切換制御システム10を備える車載電源システム1を示す図である。この図に示すように、車載電源システム1は、メインバッテリ2と、サブバッテリ3と、高圧/低圧DC電源4と、電源切換制御システム10とを備える。この車載電源システム1では、メインバッテリ2とサブバッテリ3とが並列で一般負荷Lと複数(本実施形態では3個)の重要負荷IL1~IL3とに接続されている。また、車載電源システム1では、走行中の通常時に一般負荷Lと重要負荷IL1~IL3とに対してメインバッテリ2とサブバッテリ3とから給電する。即ち、車載電源システム1では、走行中の通常時に電源の冗長が行われる。なお、停車時には電源の冗長は行われない。
【0012】
車載電源システム1は、メインバッテリ2を管理するBMS(Battery Management System)5と、サブバッテリ3を管理するBMS6と、車載電源システム1の全体の制御を司るECU(Electronic Control Unit)7とを備える。BMS5は、メインバッテリ2の状態(残容量[Ah]やSOC[%]:State of Chargeや電源電圧[V])の情報をECU7へ送信し、BMS6は、サブバッテリ3の状態(残容量[Ah]やSOC[%]や電源電圧[V])の情報をECU7へ送信する。
【0013】
高圧/低圧DC電源4の出力端子と電源切換制御システム10の入力端子10Aとは、給電線8Aにより接続されている。この給電線8Aには、BMS5を介してメインバッテリ2が接続され、一般負荷Lも接続されている。
【0014】
メインバッテリ2としては、12Vの鉛バッテリやリチウムイオンバッテリ等を例示できる。本実施形態では、メインバッテリ2は、12Vの鉛バッテリである。また、一般負荷Lとしては、エアーコンディショナー(A/C)、オーディオ、車幅灯、フォグランプ、デフォッガー(デフロスター)等を例示できる。
【0015】
高圧/低圧DC電源4は、48V等の高圧を12V等の低圧に降圧するDC/DCコンバータ(図示省略)を備え、メインバッテリ2、サブバッテリ3、一般負荷L、重要負荷IL1~IL3、電源切換制御システム10等に低圧の電力を出力する。
【0016】
電源切換制御システム10の入力端子10Aと入出力端子10Bとは、給電線8Bで接続され、電源切換制御システム10の入出力端子10Bとサブバッテリ3とはBMS6を介して給電線8Cで接続されている。
【0017】
サブバッテリ3としては、鉛バッテリと接続可能な12Vのリチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリ、又は鉛バッテリ等を例示できる。本実施形態では、サブバッテリ3は、鉛バッテリと接続可能なリチウムイオンバッテリである。
【0018】
電源切換制御システム10には複数の出力端子10C,10D,10Eが設けられている。出力端子10Cと重要負荷IL1とは給電線8Dで接続され、出力端子10Dと重要負荷IL2とは給電線8Eで接続され、出力端子10Eと重要負荷IL3とは給電線8Fで接続されている。
【0019】
作動優先度が1番(以下、優先度1という)の重要負荷IL1としては、電動ブレーキ、電動パーキングブレーキ、電動操舵装置(SBW:Steer By Wire)の副装置、ドアロック装置、電動パワーステアリング装置、ADAS(Advanced Driver-Assistance System、先進運転支援システム)の副装置、DCM(Data Communication Module)の主電源、エアバック装置の主電源、カメラ、運転者側のヘッドランプ、ヘッドアップディスプレイ等を例示できる。
【0020】
作動優先度が2番(以下、優先度2という)の重要負荷IL2としては、ECU7、電動操舵装置の主装置、ADASの主装置、リモート駐車ECU、メーター、カメラ等を例示できる。また、作動優先度が3番(以下、優先度3という)の重要負荷IL3としては、横滑り・空転防止装置(VDC:Vehicle Dynamic Control)、助手席側のヘッドランプ等を例示できる。
【0021】
電源切換制御システム10は、第1スイッチ11と第2スイッチ12とを備える。第1スイッチ11と第2スイッチ12とは、給電線8Bに設けられている。第1スイッチ11は、入力端子10A側(即ちメインバッテリ2側)に設けられ、第2スイッチ12は、入出力端子10B側(即ちサブバッテリ3側)に設けられている。
【0022】
給電線8Bにおける第1スイッチ11と第2スイッチ12との間には、給電線8Gが接続されている。この給電線8Gと出力端子10Cとは、給電線8Hで接続され、給電線8Gと出力端子10Dとは、給電線8Iで接続され、給電線8Gと出力端子10Eとは、給電線8Jで接続されている。即ち、優先度1の重要負荷IL1が、給電線8D,8Hで給電線8Gに接続され、優先度2の重要負荷IL2が、給電線8E,8Iで給電線8Gに接続され、優先度3の重要負荷IL3が、給電線8F,8Jで給電線8Gに接続されている。これにより、重要負荷IL1~IL3が、給電線8Gに並列で接続されている。
【0023】
車載電源システム1は、給電線8Bと給電線8Gとの接続点Pを境に、メインバッテリ2側とサブバッテリ3側とに分かれている。第1スイッチ11は、メインバッテリ2側に設けられており、メインバッテリ2、高圧/低圧DC電源4、及び一般負荷Lを、電源切換制御システム10に対して接続又は遮断する。他方で、第2スイッチ12は、サブバッテリ3側に設けられており、サブバッテリ3を、電源切換制御システム10に対して接続又は遮断する。
【0024】
電源切換制御システム10は、第3スイッチ13と、第4スイッチ14と、第5スイッチ15とを備える。第3スイッチ13は、優先度1の重要負荷IL1を給電線8Gに接続する給電線8Hに設けられている。第4スイッチ14は、優先度2の重要負荷IL2を給電線8Gに接続する給電線8Iに設けられている。第5スイッチ15は、優先度3の重要負荷IL3を給電線8Gに接続する給電線8Jに設けられている。
【0025】
第3スイッチ13は、優先度1の重要負荷IL1を給電線8Gに対して接続又は遮断する。第4スイッチ14は、優先度2の重要負荷IL2を給電線8Gに対して接続又は遮断する。第5スイッチ15は、優先度3の重要負荷IL3を給電線8Gに対して接続又は遮断する。
【0026】
第1~第5スイッチ11~15としては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体リレー、機械式リレーを例示できる。電源切換制御システム10は、スイッチ制御部30を備える。第1~第5スイッチ11~15は、スイッチ制御線SCLでスイッチ制御部30に接続されており、スイッチ制御部30から送信される制御信号により、接続/遮断(ON/OFF)が切り換えられる。
【0027】
スイッチ制御部30は、通信インターフェース21を介してECU7に通信可能に接続されている。ECU7は、BMS5から受信したメインバッテリ2の状態の情報とBMS6から受信したサブバッテリ3の状態の情報とをスイッチ制御部30に送信する。
【0028】
電源切換制御システム10は、第1~第5電流/電圧センサ16~20と、第1電源失陥判定部31と、第2電源失陥判定部32とを備える。第1~第5電流/電圧センサ16~20は、電流値[A]及び電圧値[V]の少なくとも一方を計測して第1電源失陥判定部31と第2電源失陥判定部32とに送信する。
【0029】
第1電流/電圧センサ16は、給電線8Bにおける入力端子10Aと第1スイッチ11との間に設けられ、第2電流/電圧センサ17は、給電線8Bにおける第2スイッチ12と入出力端子10Bとの間に設けられている。また、第3電流/電圧センサ18は、第3スイッチ13と出力端子10Cとの間に設けられ、第4電流/電圧センサ19は、第4スイッチ14と出力端子10Dとの間に設けられ、第5電流/電圧センサ20は、第5スイッチ15と出力端子10Eとの間に設けられている。
【0030】
第1電源失陥判定部31は、第1電流/電圧センサ16及び第2電流/電圧センサ17から受信した電流値[A]及び電圧値[V]の少なくとも一方、あるいは、受信した電圧値[V]の差(電位差)ΔV、電流値[A]の符号(電流の向き)に応じて、電源失陥の有無を判定する。特に、第1電源失陥判定部31は、電源失陥が生じた場合には、その電源失陥がメインバッテリ2側とサブバッテリ3側との何れの異常により生じたかを判定する。そして、第1電源失陥判定部31は、判定結果をスイッチ制御部30に送信する。
【0031】
第2電源失陥判定部32は、第3~第5電流/電圧センサ18~20から受信した電流値[A]及び電圧値[V]の少なくとも一方に応じて、電源失陥の有無を判定する。特に、第2電源失陥判定部32は、電源失陥が生じた場合には、その電源失陥が重要負荷IL1~IL3の何れの異常により生じたかを判定する。そして、第2電源失陥判定部32は、判定結果をスイッチ制御部30に送信する。
【0032】
電源失陥としては、高圧/低圧DC電源4の故障(内部ショート)や地絡等を要因とする瞬断・瞬停や、高圧/低圧DC電源4の故障(出力低下)やメインバッテリ2やサブバッテリ3の劣化等を要因とする電圧低下や、高圧/低圧DC電源4の故障等を要因とする電圧変動等を例示できる。
【0033】
第1電源失陥判定部31の判定条件の閾値としては、例えば、正常な電圧値[V]を8V以上16V以下、電圧低下の閾値を8V未満、過電流の閾値を150A以上というように設定すればよい。また、第2電源失陥判定部32の判定条件の閾値としては、例えば、電圧低下の閾値を5V以下、過電流の閾値を30A以上というように設定すればよい。
【0034】
スイッチ制御部30は、自己診断機能(DIAG;Diagnostic)を有しており、第1電源失陥判定部31又は第2電源失陥判定部32から電源失陥有りとの判定結果を受信した場合、DIAG信号をECU7へ送信する。DIAG信号には、車載電源システム1の異常状態の情報(電源失陥を生じさせた異常の詳細情報等)、第1~第5電流/電圧センサ16~20の計測値等の情報が含まれる。
【0035】
スイッチ制御部30は、メインバッテリ2側の電圧とサブバッテリ3側の電圧とが拮抗している状態では、第1~第5スイッチ11~15を全てONにする。これにより、高圧/低圧DC電源4がメインバッテリ2、サブバッテリ3、一般負荷L、及び重要負荷IL1~IL3に給電する。
【0036】
また、スイッチ制御部30は、サブバッテリ3の充電時にも第1~第5スイッチ11~15を全てONにする。これにより、高圧/低圧DC電源4がメインバッテリ2、サブバッテリ3、一般負荷L、及び重要負荷IL1~IL3に給電する。サブバッテリ3の充電時には、サブバッテリ3が満充電になるまで、第2スイッチ12はONに維持される。この間、電源冗長制御は実行されず、ADASシステムは、自動運転を停止し、手動運転に設定する。
【0037】
また、スイッチ制御部30は、サブバッテリ3が満充電(但し、メインバッテリ2側の電圧>サブバッテリ3側の電圧)の場合、第2スイッチ12をOFFにする。これにより、高圧/低圧DC電源4は、メインバッテリ2、一般負荷L、及び重要負荷IL1~IL3に給電する。
【0038】
また、スイッチ制御部30は、車両のアイドリングストップの開始を通知する信号をECU7から受信した場合に、第1スイッチ11をOFFにし第2スイッチ12をONにする。また、第3~第5スイッチ13~15をONにする。これにより、高圧/低圧DC電源4が重要負荷IL1~IL3から遮断され、サブバッテリ3が、重要負荷IL1~IL3に接続されて重要負荷IL1~IL3に給電する。
【0039】
ここで、車両がガソリン車の場合、高圧/低圧DC電源4は、オルタネータであり、アイドリングストップからのエンジン再始動時にはクランキングにより出力電圧に変動が生じる。そこで、アイドリングストップ時には、スイッチ制御部30が、第1スイッチ11を一時的にOFFにして高圧/低圧DC電源4を重要負荷IL1~IL3から遮断し、サブバッテリ3から重要負荷IL1~IL3への給電に切り換える。これにより、アイドリングストップからのエンジン再始動時に高圧/低圧DC電源4の電圧変動の影響が重要負荷IL1~IL3に及ぶことを防止する。
【0040】
スイッチ制御部30は、第1電源失陥判定部31によりメインバッテリ2側の異常により電源失陥が発生していることが判定された場合に、第1スイッチ11をOFFにする。これにより、異常のあるメインバッテリ2側が車載電源システム1から遮断され、正常状態のサブバッテリ3から重要負荷IL1~IL3への給電が維持される。他方で、スイッチ制御部30は、第1電源失陥判定部31によりサブバッテリ3側の異常により電源失陥が発生していることが判定された場合に、第2スイッチ12をOFFにする。これにより、異常のあるサブバッテリ3側が車載電源システム1から遮断され、正常状態のメインバッテリ2から重要負荷IL1~IL3への給電が維持される。
【0041】
スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により重要負荷IL1~IL3の何れかの側の異常により電源失陥が発生していることが判定された場合に、異常のある重要負荷IL1~IL3に対応するスイッチ(第3~第5スイッチ13~15の何れか)をOFFにする。これにより、異常のある重要負荷IL1~IL3が車載電源システム1から遮断され、正常状態の重要負荷IL1~IL3への給電が維持される。
【0042】
ところで、ADASシステム(自動運転機能)を搭載する車両では、自動運転走行に関わる機能として、ADASの主装置や副装置等の判断機能、メーターやヘッドアップディスプレイ等の表示機能、横滑り・空転防止や電動ブレーキ等の制動機能、電動操舵装置の主装置や副装置等の操舵機能、カメラやヘッドランプ等の認知機能を例示できる。ADASシステムを搭載する車両の自動運転走行中に、第1電源失陥判定部31又は第2電源失陥判定部32により電源失陥の発生が判定された場合、即ち、自動運転走行に関わる機能を実現する重要負荷IL1~IL3の少なくとも一つへの給電を維持できないことが判明した場合には、当該車両を安全な場所に停車させる必要がある。
【0043】
ここで、当該車両を自動運転走行から安全な場所に停車させるまでの時間(以下、退避走行時間という)、正常な重要負荷IL1~IL3への給電を維持する必要がある。例えば、退避走行時間を180秒以上と想定した場合、重要負荷IL1~IL3の消費電流が60[A]であれば、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が3Ah以上必要となる。
【0044】
そこで、スイッチ制御部30は、自動運転走行中に重要負荷IL1~IL3の少なくとも一つへの給電を維持できないことが判明した場合、上記退避走行時間の間、作動優先度の高い重要負荷IL1(又はIL2)への給電が維持されるように、第3~第5スイッチ13~15のON/OFF制御を実行する。以下、車両の退避走行時の電源切換制御システム10の処理について説明する。
【0045】
図2は、自動運転走行から停車するまでの間(退避走行時間の間)のメインバッテリ2又はサブバッテリ3の充電率(SOC[%])の推移を示すグラフである。このグラフの一点鎖線で示すように、メインバッテリ2又はサブバッテリ3が満充電(SOC=100%)の場合には、退避走行時間の間、全ての重要負荷IL1~IL3への給電を維持できる。それに対して、このグラフに2点鎖線で示すように、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の充電率によっては、退避走行時間の間、第3~第5スイッチ13~15の全てをONに維持したのでは、全ての重要負荷IL1~IL3への給電を維持できない場合がある。
【0046】
そこで、スイッチ制御部30は、第1電源失陥判定部31によりメインバッテリ2側の電源失陥が判定され、サブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値(例えば3Ah)以上である場合、第1スイッチ11をOFFにし、第2スイッチ12をONに維持し、第3~第5スイッチ13~15をONに維持する。これにより、退避走行時間の間、サブバッテリ3から全ての重要負荷IL1~IL3への給電が維持される。それに対して、スイッチ制御部30は、第1電源失陥判定部31によりメインバッテリ2側の電源失陥が判定され、サブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満である場合、第1スイッチ11をOFFにし、第2、第3スイッチ12,13をONに維持し、第4、第5スイッチ14,15を、第5スイッチ15、第4スイッチ14の順にOFFにしていく。即ち、この場合、第4、第5スイッチ14,15を、対応する重要負荷IL2,IL3の作動優先度の低い方から順にOFFにしていく。これにより、退避走行時間の間、サブバッテリ3から重要負荷IL1~IL3への供給電流が逓減され、サブバッテリ3の放電時間が延長されることで、優先度1の重要負荷IL1への給電が維持される。
【0047】
また、スイッチ制御部30は、第1電源失陥判定部31によりサブバッテリ3側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2の残容量[Ah]が閾値(例えば3Ah)以上である場合、第2スイッチ12をOFFにし、第1スイッチ11をONに維持し、第3~第5スイッチ13~15をONに維持する。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2から全ての重要負荷IL1~IL3への給電が維持される。それに対して、スイッチ制御部30は、第1電源失陥判定部31によりサブバッテリ3側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2の残容量[Ah]が閾値未満である場合、第2スイッチ12をOFFにし、第1、第3スイッチ11,13をONに維持し、第4、第5スイッチ14,15を、第5スイッチ15、第4スイッチ14の順にOFFにしていく。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2から重要負荷IL1~IL3への供給電流が逓減され、メインバッテリ2の放電時間が延長されることで、優先度1の重要負荷IL1への給電が維持される。
【0048】
図3は、メインバッテリ2側又はサブバッテリ3側の異常による電源失陥が発生し、正常なバッテリの残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度1(高)の重要負荷IL1への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチ13~15の制御を示す表である。この表に示すように、退避走行時間の第1段階(
図2のTime Step 1)では、第3~第5スイッチ13~15がONに維持される。そして、退避走行時間の第2段階(
図2のTime Step 2)では、優先度3(低)の重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15がOFFになり、退避走行時間の第3段階(
図2のTime Step 3)では、優先度2(中)の重要負荷IL2に対応する第4スイッチ14がOFFになる。これにより、メインバッテリ2又はサブバッテリ3から重要負荷IL1~IL3への供給電流が、例えば、60A、40A、20Aと逓減される。
【0049】
また、スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により優先度3の重要負荷IL3側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値(例えば3Ah)以上である場合、第1~第4スイッチ11~14をONに維持し、第5スイッチ15をOFFにする。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から重要負荷IL1,IL2への給電が維持される。それに対して、スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により優先度3の重要負荷IL3側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満である場合、第1~第3スイッチ11~13をONに維持し、第5スイッチ15をOFFにし、退避走行時間の途中で、第4スイッチ14をOFFにする。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2又はサブバッテリ3から優先度1、2の重要負荷IL1,IL2への供給電流が逓減され、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の放電時間が延長されることで、優先度1の重要負荷IL1への給電が維持される。
【0050】
図4は、優先度3(低)の重要負荷IL3側の異常による電源失陥が発生し、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度1(高)の重要負荷IL1への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチ13~15の制御を示す表である。この表に示すように、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)では、優先度3の重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15がOFF、優先度1、2の重要負荷IL1,IL2に対応する第3、第4スイッチ13,14がONに維持される。次に、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)では、優先度2(中)の重要負荷IL2に対応する第4スイッチ14がOFFになる。そして、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)では、優先度1の重要負荷IL1に対応する第3スイッチ13がONに維持される。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から優先度1、2の重要負荷IL1,IL2への供給電流が、例えば、40A、20A、20Aと逓減される。
【0051】
また、スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により優先度2の重要負荷IL2側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値(例えば3Ah)以上である場合、第1~第3スイッチ11~13及び第5スイッチ15をONに維持し、第4スイッチ14をOFFにする。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から重要負荷IL1,IL3への給電が維持される。それに対して、スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により優先度2の重要負荷IL2側の電源失陥が判定され、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満である場合、第1~第3スイッチ11~13をONに維持し、第4スイッチ14をOFFにし、退避走行時間の途中で、第5スイッチ15をOFFにする。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から優先度1、3の重要負荷IL1,IL3への供給電流が逓減され、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の放電時間が延長されることで、優先度1の重要負荷IL1への給電が維持される。
【0052】
図5は、優先度2(中)の重要負荷IL2側の異常による電源失陥が発生し、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度1(高)の重要負荷IL1への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチ13~15の制御を示す表である。この表に示すように、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)では、優先度2の重要負荷IL2に対応する第4スイッチ14がOFF、優先度1、3(低)の重要負荷IL1,IL3に対応する第3、第5スイッチ13,15がONに維持される。次に、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)では、優先度3の重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15がOFFになる。そして、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)では、優先度1の重要負荷IL1に対応する第3スイッチ13がONに維持される。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から優先度1、3の重要負荷IL1,IL3への供給電流が、例えば、40A、20A、20Aと逓減される。
【0053】
また、スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により優先度1の重要負荷IL1側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値(例えば3Ah)以上である場合、第1、第2、第4、第5スイッチ11,12,14,15をONに維持し、第3スイッチ13をOFFにする。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から優先度2、3の重要負荷IL2,IL3への給電が維持される。それに対して、スイッチ制御部30は、第2電源失陥判定部32により優先度1の重要負荷IL1側の異常による電源失陥が判定され、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満である場合、第1、第2、第4、第5スイッチ11,12,14,15をONに維持し、第3スイッチ13をOFFにし、退避走行時間の途中で、第5スイッチ15をOFFにする。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から優先度2、3の重要負荷IL2,IL3への供給電流が逓減され、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の放電時間が延長されることで、優先度2の重要負荷IL2への給電が維持される。
【0054】
図6は、優先度1(高)の重要負荷IL1側の異常による電源失陥が発生し、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の残容量[Ah]が閾値未満であり、退避走行時間の間、優先度2(中)の重要負荷IL2への給電を維持するという条件での第3~第5スイッチ13~15の制御を示す表である。この表に示すように、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)では、優先度1の重要負荷IL1に対応する第3スイッチ13がOFF、優先度2、3(低)の重要負荷IL2,IL3に対応する第4、第5スイッチ14,15がONに維持される。次に、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)では、優先度3の重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15がOFFになる。そして、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)では、優先度2の重要負荷IL2に対応する第4スイッチ14がONに維持される。これにより、退避走行時間の間、メインバッテリ2及びサブバッテリ3から優先度2、3の重要負荷IL2,IL3への供給電流が、例えば、40A、20A、20Aと逓減される。
【0055】
図7~
図10は、本実施形態の電源切換制御システム10の処理を説明するためのフローチャートである。これらのフローチャートに示す処理は、車両が発進すると開始されてステップS1に移行する。
【0056】
ステップS1において、スイッチ制御部30は、第1~第5スイッチ11~15を全てONにする。これにより、メインバッテリ2とサブバッテリ3とが、一般負荷L及び重要負荷IL1~IL3に接続され、一般負荷L及び重要負荷IL1~IL3に給電する。また、スイッチ制御部30は、BMS5が保有するメインバッテリ2の残容量[Ah]の情報と、BMS6が保有するサブバッテリ3の残容量[Ah]の情報とをECU7から取得する。
【0057】
次に、ステップS2において、第2電源失陥判定部32は、全ての重要負荷IL1~IL3において過電流等の異常が生じていない(正常)状態であるか否かを判定する。ステップS2において肯定判定がされた場合にはステップS3に移行し、ステップS2において否定判定がされた場合には
図9のステップS21に移行する。
【0058】
ステップS3において、第1電源失陥判定部31は、メインバッテリ2側とサブバッテリ3側との双方に電源失陥が無い(正常)状態であるか否かを判定する。ステップS3において肯定判定がされた場合にはステップS4に移行し、ステップS3において否定判定がされた場合にはステップS31に移行する。
【0059】
ステップS4において、スイッチ制御部30は、車両が停車したか否かを判定する。ステップS4において肯定判定がされた場合には処理を終了し、ステップS4において否定判定がされた場合にはステップS1に移行する。
【0060】
ステップS31において、第1電源失陥判定部31は、メインバッテリ2側の異常による電源失陥が発生したか、サブバッテリ3側の異常による電源失陥が発生したかを判定する。ステップS31においてメインバッテリ2側の異常による電源失陥が発生したと判定された場合にはステップS32に移行し、ステップS31においてサブバッテリ3側の異常による電源失陥が発生したと判定された場合には
図8のステップS311に移行する。
【0061】
ステップS32において、スイッチ制御部30は、第1スイッチ11をOFFにする。次に、ステップS33において、スイッチ制御部30は、DIAG信号をECU7へ送信する。次に、ステップS34において、スイッチ制御部30は、サブバッテリ3の残容量[Ah]が3Ah以上であるか否かを判定する。ステップS34において肯定判定がされた場合にはステップS35に移行し、ステップS34において否定判定がされた場合にはステップS36に移行する。
【0062】
ステップS35において、スイッチ制御部30は、第3~第5スイッチ13~15をONに維持し、サブバッテリ3から重要負荷IL1~IL3への給電を維持する。ステップS35からステップS4に移行する。他方で、ステップS36において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)で第3~第5スイッチ13~15をONに維持する。次に、ステップS37において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)で第5スイッチ15をOFFにする。次に、ステップS38において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)で第4スイッチ14をOFFにする。ステップS38からステップS4に移行する。
【0063】
図8のステップS311において、スイッチ制御部30は、第2スイッチ12をOFFにする。次に、ステップS312において、スイッチ制御部30は、DIAG信号をECU7へ送信する。次に、ステップS313において、スイッチ制御部30は、メインバッテリ2の残容量[Ah]が3Ah以上であるか否かを判定する。ステップS313において肯定判定がされた場合にはステップS314に移行し、ステップS313において否定判定がされた場合にはステップS315に移行する。
【0064】
ステップS314において、スイッチ制御部30は、第3~第5スイッチ13~15をONに維持し、メインバッテリ2から重要負荷IL1~IL3への給電を維持する。ステップS314から
図7のステップS4に移行する。他方で、ステップS315において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)で第3~第5スイッチ13~15をONに維持する。次に、ステップS316において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)で第5スイッチ15をOFFにする。次に、ステップS317において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)で第4スイッチ14をOFFにする。ステップS317から
図7のステップS4に移行する。
【0065】
図9のステップS21において、第2電源失陥判定部32は、重要負荷IL1に対応する第3電流/電圧センサ18の計測値が異常値であるか否かを判定する。ステップS21において肯定判定がされた場合にはステップS22に移行し、ステップS21において否定判定がされた場合にはステップS211に移行する。
【0066】
ステップS211において、第2電源失陥判定部32は、重要負荷IL2に対応する第4電流/電圧センサ19の計測値が異常値であるか否かを判定する。ステップS211において肯定判定がされた場合にはステップS212に移行し、ステップS211において否定判定がされた場合には、
図10のステップS221に移行する。
【0067】
ステップS22において、スイッチ制御部30は、重要負荷IL1に対応する第3スイッチ13をOFFにする。次に、ステップS23において、スイッチ制御部30は、DIAG信号をECU7へ送信する。次に、ステップS24において、スイッチ制御部30は、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が3Ah以上であるか否かを判定する。ステップS24において肯定判定がされた場合(メインバッテリ2及びサブバッテリ3の少なくとも一方の残容量[Ah]が3Ah以上の場合)にはステップS25に移行し、ステップS24において否定判定がされた場合にはステップS26に移行する。
【0068】
ステップS25において、スイッチ制御部30は、重要負荷IL2,IL3に対応する第4、第5スイッチ14,15をONに維持する。ステップS25から
図7のステップS4に移行する。他方で、ステップS26において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)で重要負荷IL2,IL3に対応する第4、第5スイッチ14,15をONに維持する。次に、ステップS27において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)で重要負荷IL2,IL3に対応する第4、第5スイッチ14,15をONに維持する。次に、ステップS28において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)で重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15をOFFにする。ステップS28から
図7のステップS4に移行する。
【0069】
ステップS212において、スイッチ制御部30は、重要負荷IL2に対応する第4スイッチ14をOFFにする。次に、ステップS213において、スイッチ制御部30は、DIAG信号をECU7へ送信する。次に、ステップS214において、スイッチ制御部30は、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が3Ah以上であるか否かを判定する。ステップS214において肯定判定がされた場合にはステップS215に移行し、ステップS214において否定判定がされた場合にはステップS216に移行する。
【0070】
ステップS215において、スイッチ制御部30は、重要負荷IL1,IL3に対応する第3、第5スイッチ13,15をONに維持する。ステップS215から
図7のステップS4に移行する。他方で、ステップS216において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)で重要負荷IL1,IL3に対応する第3、第5スイッチ13,15をONに維持する。次に、ステップS217において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)で重要負荷IL1,IL3に対応する第3、第5スイッチ13,15をONに維持する。次に、ステップS218において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)で重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15をOFFにする。ステップS218から
図7のステップS4に移行する。
【0071】
図10のステップS221において、スイッチ制御部30は、重要負荷IL3に対応する第5スイッチ15をOFFにする。次に、ステップS222において、スイッチ制御部30は、DIAG信号をECU7へ送信する。次に、ステップS223において、スイッチ制御部30は、メインバッテリ2又はサブバッテリ3の残容量[Ah]が3Ah以上であるか否かを判定する。ステップS223において肯定判定がされた場合にはステップS224に移行し、ステップS223において否定判定がされた場合にはステップS225に移行する。
【0072】
ステップS224において、スイッチ制御部30は、重要負荷IL1,IL2に対応する第3、第4スイッチ13,14をONに維持する。ステップS224から
図7のステップS4に移行する。他方で、ステップS225において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)で重要負荷IL1,IL2に対応する第3、第4スイッチ13,14をONに維持する。次に、ステップS226において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)で重要負荷IL1,IL2に対応する第3、第4スイッチ13,14をONに維持する。次に、ステップS227において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)で重要負荷IL2に対応する第4スイッチ14をOFFにする。ステップS227から
図7のステップS4に移行する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の電源切換制御システム10では、メインバッテリ2側、サブバッテリ3側、又は重要負荷IL1~IL3側の異常で発生した電源失陥が、第1電源失陥判定部31又は第2電源失陥判定部32により判定された場合に、スイッチ制御部30が、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の双方の残容量[Ah]が所定の閾値以上であるか否かを判定する。また、スイッチ制御部30は、メインバッテリ2とサブバッテリ3との異常のある方を第1、第2スイッチ11,12により遮断する。そして、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の双方の残容量[Ah]が所定の閾値未満である場合に、スイッチ制御部30が、重要負荷IL1~IL3を作動優先度が低い方から順に第3~第5スイッチ13~15により遮断していくことにより、重要負荷IL1~IL3への供給電流を逓減させる。
【0074】
これにより、メインバッテリ2側又はサブバッテリ3側の異常で電源失陥が発生した後の退避走行時間の間、残容量[Ah]が満充電状態に比して少ないメインバッテリ2及びサブバッテリ3の放電時間を延長して作動優先度が高い重要負荷IL1(又はIL2)への給電を維持することができる。
【0075】
また、重要負荷IL1~IL3の側の異常で発生した電源失陥が第2電源失陥判定部32により判定された場合に、スイッチ制御部30が、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の双方の残容量[Ah]が所定の閾値以上であるか否かを判定する。また、スイッチ制御部30は、異常のある重要負荷IL1~IL3を第3~第5スイッチ13~15により遮断する。そして、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の双方の残容量[Ah]が所定の閾値未満である場合に、スイッチ制御部30が、正常な重要負荷IL1~IL3を作動優先度が低い方から順に第3~第5スイッチ13~15により遮断していくことにより、正常の重要負荷IL1~IL3への供給電流を逓減させる。
【0076】
これにより、重要負荷IL1~IL3の何れかの側の異常で電源失陥が生じた後の退避走行時間の間、残容量[Ah]が満充電状態に比して少ないメインバッテリ2及びサブバッテリ3の放電時間を延長して作動優先度が高い正常な重要負荷IL1(又はIL2)への給電を維持することができる。
【0077】
なお、上記実施形態では、第1電源失陥判定部31によりメインバッテリ2又はサブバッテリ3側の異常による電源失陥が判定され、且つ、第2電源失陥判定部32により重要負荷IL1~IL3側の異常による電源失陥が判定されるケース(所謂二重故障)は想定外とした。しかしながら、第2電源失陥判定部32により重要負荷IL1~IL3側の異常による電源失陥が判定され、且つ、第1電源失陥判定部31によりメインバッテリ2側又はサブバッテリ3側の異常による電源失陥が判定された場合に、メインバッテリ2とサブバッテリ3との正常な方の残容量[Ah]を確認して当該正常なバッテリからの給電により重要負荷IL1~IL3のうち正常なものを作動させるようにしてもよい。
【0078】
図11は、本発明の他の実施形態に係る電源切換制御システム100を備える車載電源システム1を示す図である。この図に示すように、本実施形態の電源切換制御システム100は、給電線8Gの終端(始端である接続点Pの反対側)に接続された蓄電部102と、この蓄電部102と給電線8Gとを接続又は遮断する第6スイッチ104とを備える。なお、上記実施形態と同様の構成については、重複する説明は省略し、上記実施形態についての説明を援用する。
【0079】
蓄電部102としては、12Vの鉛バッテリ、鉛バッテリと接続可能な12Vのリチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリ、又は電気二重層キャパシタ(DC/DCコンバータ内蔵型を含む)等を例示できる。この蓄電部102は、メインバッテリ2とサブバッテリ3との双方に電源失陥が生じた場合に重要負荷IL1~IL3に給電する冗長電源である。そのため、スイッチ制御部30は、第6スイッチ104を常時ONに維持することにより、蓄電部102を常時、満充電に維持する。
【0080】
図12及び
図13は、本実施形態の電源切換制御システム100の処理を説明するためのフローチャートである。これらのフローチャートに示す処理は、車両が発進すると開始されてステップS1001に移行する。なお、上記実施形態と同様の処理については、重複の説明は省略し、上記実施形態についての説明を援用する。
【0081】
ステップS1001において、スイッチ制御部30は、第1~第6スイッチ11~15,104を全てONにする。これにより、メインバッテリ2とサブバッテリ3とが、一般負荷L、重要負荷IL1~IL3、及び蓄電部102に接続され、一般負荷L、重要負荷IL1~IL3、及び蓄電部102に給電する。また、スイッチ制御部30は、BMS5が保有するメインバッテリ2の残容量[Ah]の情報と、BMS6が保有するサブバッテリ3の残容量[Ah]の情報とをECU7から取得し、蓄電部102の残容量[Ah]の情報を取得する。
【0082】
次に、ステップS2において、第2電源失陥判定部32は、全ての重要負荷IL1~IL3側において過電流等の異常が生じていない(正常)状態であるか否かを判定する。ステップS2において肯定判定がされた場合にはステップS3に移行し、ステップS2において否定判定がされた場合には
図9のステップS21に移行する。
【0083】
ステップS3において、第1電源失陥判定部31は、メインバッテリ2側とサブバッテリ3側との双方に電源失陥を発生させる異常が無い(正常)状態であるか否かを判定する。ステップS3において肯定判定がされた場合にはステップS4に移行し、ステップS3において否定判定がされた場合にはステップS1002に移行する。
【0084】
ステップS4において、スイッチ制御部30は、車両が停車したか否かを判定する。ステップS4において肯定判定がされた場合には処理を終了し、ステップS4において否定判定がされた場合にはステップS1001に移行する。
【0085】
ステップS1002において、スイッチ制御部30は、メインバッテリ2側とサブバッテリ3側との一方の異常による電源失陥が発生したか否かを判定する。ステップS1002において肯定判定がされた場合にはステップS31に移行し、ステップS1002において否定判定がされた場合(メインバッテリ2側とサブバッテリ3側との双方の異常による電源失陥が発生した場合)には
図13のステップS1003に移行する。
【0086】
ステップS31~S38の処理は、メインバッテリ2側の異常による電源失陥が発生した場合の処理であり、上記実施形態と同様である。また、ステップS31において否定判定がされた後の
図8のステップS311~S317の処理は、サブバッテリ3側の異常による電源失陥が発生した場合の処理であり、上記実施形態と同様である。
【0087】
図13のステップS1003において、スイッチ制御部30は、第1、第2スイッチ11,12をOFFにし、第3~第6スイッチ13~15,104をONに維持する。次に、ステップS1004において、スイッチ制御部30は、DIAG信号をECU7に送信する。
【0088】
次に、ステップS1005において、スイッチ制御部30は、蓄電部102の残容量[Ah]が3Ah以上であるか否かを判定する。ステップS1005において肯定判定がされた場合にステップS1006に移行し、ステップS1005において否定判定がされた場合にステップS1007に移行する。
【0089】
ステップS1006において、スイッチ制御部30は、第3~第5スイッチ13~15をONに維持し、蓄電部102から重要負荷IL1~IL3への給電を維持する。ステップS1006から
図12のステップS4に移行する。他方で、ステップS1007において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第1段階(Time Step 1)で第3~第5スイッチ13~15をONに維持する。次に、ステップS1008において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第2段階(Time Step 2)で第5スイッチ15をOFFにする。次に、ステップS1009において、スイッチ制御部30は、退避走行時間の第3段階(Time Step 3)で第4スイッチ14をOFFにする。ステップS1009から
図12のステップS4に移行する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態の電源切換制御システム100では、蓄電部102が、冗長電源として設けられており、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の双方において電源失陥を生じさせる異常が発生した場合には、蓄電部102が重要負荷IL1~IL3へ給電する。そして、本実施形態の電源切換制御システム100では、メインバッテリ2側とサブバッテリ3側との双方の異常で生じた電源失陥が、第1電源失陥判定部31により判定された場合に、スイッチ制御部30は、蓄電部102の残容量[Ah]が所定の閾値以上であるか否かを判定する。そして、蓄電部102の残容量[Ah]が所定の閾値未満である場合に、スイッチ制御部30が、重要負荷IL1~IL3を作動優先度が低い方から順に第3~第5スイッチ13~15により遮断していくことにより、重要負荷IL1~IL3への供給電流を逓減させる。
【0091】
これにより、メインバッテリ2側及びサブバッテリ3側の双方の異常で電源失陥が生じた後の退避走行時間の間、残容量[Ah]が満充電状態に比して少ない蓄電部102の放電時間を延長して作動優先度が高い重要負荷IL1(又はIL2)への給電を維持することができる。
【0092】
また、現行の車載電源システムは、重要負荷への給電を維持するために重要負荷毎に蓄電部を設けているため蓄電部が増加傾向にある。しかし、本実施形態の電源切換制御システム10により、メインバッテリ2及びサブバッテリ3の2個、又は電源切換制御システム10内に設けた蓄電部102を加えた3個だけで重要負荷IL1,IL2への給電を第1~第5スイッチ11~15のON/OFF制御により維持することが可能である。
【0093】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態に変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせる等してもよい。
【0094】
例えば、上記実施形態では、3個の重要負荷IL1~IL3を設けたが、重要負荷IL1~IL3の数は適宜増減してもよい。2個の重要負荷IL1,IL2を設ける場合には、メインバッテリ2側又はサブバッテリ3側の異常により電源失陥が生じた後の退避走行時間の間、2個の重要負荷IL1,IL2のうち作動優先度の低い方を電源切換制御システム10,100から遮断すればよい。
【0095】
また、上記実施形態では、メインバッテリ2、サブバッテリ3、及び蓄電部102の残容量[Ah]が所定の閾値未満である場合に、重要負荷IL1~IL3を作動優先度の低い方から順に遮断していく退避走行時間の制御を実行した。しかしながら、例えば、メインバッテリ2、サブバッテリ3、及び蓄電部102の残容量[Ah]が所定の閾値以下である場合に、上記退避走行時間の制御を実行するようにしてもよい。さらに、メインバッテリ2、サブバッテリ3、及び蓄電部102の充電率(SOC)や電圧が所定の閾値未満又は以下である場合に、上記退避走行時間の制御を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
2 :メインバッテリ(電源)
3 :サブバッテリ(電源)
8G :給電線(給電経路)
10 :電源切換制御システム
11 :第1スイッチ(切換部)
12 :第2スイッチ(切換部)
13 :第3スイッチ(切換部、第3スイッチ)
14 :第4スイッチ(切換部、第3スイッチ)
15 :第5スイッチ(切換部、第3スイッチ)
30 :スイッチ制御部(制御部)
31 :第1電源失陥判定部(電源失陥検知部)
32 :第2電源失陥判定部(電源失陥検知部)
100 :電源切換制御システム
102 :蓄電部(電源)
IL1 :重要負荷(負荷)
IL2 :重要負荷(負荷)
IL3 :重要負荷(負荷)