(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】時間にわたる生体細胞及び生体組織の振動スペクトルを測定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
G01N21/17 Z
(21)【出願番号】P 2021533398
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019047880
(87)【国際公開番号】W WO2020041685
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-16
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521076845
【氏名又は名称】デジタル ハーモニック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ポール リード
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ウィリアム ジー.
(72)【発明者】
【氏名】モリス,シェーン ジー.ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】サライ,サンドア
(72)【発明者】
【氏名】コールター,ジョナサン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スレイ,フレデリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】プリチャード,エリック ケー.
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-12197(JP,A)
【文献】特表2013-511045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 33/48-G01N 33/98
G01R 23/00-G01R 23/20
C12M 1/00-C12M 1/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の振動スペクトルを測定するシステムであって、
光子ビームを出力するように構成された光子源と、
前記光子ビームに生体組織を露出させ、前記光子ビームを、前記生体組織を通過させるように構成された支持デバイスであって、前記生体組織の細胞運動は、ブロック、吸収、又は偏向される前記光子ビームの量を変え、それにより、前記光子ビームが前記生体組織を通過する際に前記光子ビームを直接変調する、支持デバイスと、
前記生体組織の前記細胞運動によって直接変調され、通過した前記変調された光子ビームを検出し、前記細胞運動を表すアナログ信号を生成するように構成された検出器と、
前記アナログ信号を受信し、前記細胞運動のデジタル表現を出力するように構成されたアナログ/デジタル変換器と、
デジタル信号プロセッサと、
を備え、
前記デジタル信号プロセッサは、
前記細胞運動の前記デジタル表現を
複数のパーシャルにマッピングすることであって、各パーシャル
には、
所与の周波数範囲及び時間期間にわたる振幅が関連付けられる、前記デジタル表現を前記複数パーシャルにマッピングすることと、
前記複数のパーシャルを、前記所与の周波数範囲及び時間期間にわたり特定され、同様のトポロジ性を有するパーシャルの集まりであるイベントに
リンクすること
であって、前記トポロジ性は、近傍パーシャルと比較した所与のパーシャルの振幅値の関係を示す、前記複数のパーシャルを前記イベントにリンクすることと、
前記イベントを時間
期間にわたる前記生体組織の振動スペクト
ルに特徴付けることと、
を行うように構成され、
前記デジタル信号プロセッサは、精密測定行列(PMM)技法を使用して前記マッピングすることを実行する、
システム。
【請求項2】
生体組織の振動スペクトルを測定する方法であって、
光源を使用して光子ビームを生成することと、
前記光子ビームを前記生体組織に向けることであって、前記生体組織は前記光子ビームの一部を直接遮断、吸収、又は偏向し、それにより、前記生体組織を通過する前記光子ビームを直接変調する、
前記光子ビームを前記生体組織に向けることと、
前記生体組織
の細胞運動によって直接変調され、光子検出器において通過した前記変調された光子ビームを受信することであって、前記光子検出器は、前記変調された光子ビームを表すアナログ信号を出力する、
前記変調された光子ビームを受信することと、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換することと、
前記デジタル信号を複数のパーシャルにマッピングすることであって、前記複数のパーシャルには、所与の周波数範囲及び時間期間にわたる振幅が関連付けられる、
前記複数のパーシャルにマッピングすることと、
前記所与の周波数範囲及び時間期間にわたり特定され
、同様のトポロジ性を有する前記複数のパーシャルを
集めて複数のイベントに
リンクすること
であって、前記トポロジ性は、近傍パーシャルと比較した所与のパーシャルの振幅値の関係を示す、前記複数のパーシャルを前記複数のイベントにリンクすることと、
時間期間にわたり提供されたある範囲の
前記複数のイベントの前記生体組織に関連付けられた振動スペクトルを生成することと、
を含み、
前記マッピングすることは、精密測定行列(PMM)技法を使用して実行される、方法。
【請求項3】
生体組織の振動スペクトルを測定する方法であって、
光源を使用して光子ビームを生成することと、
前記光子ビームを前記生体組織に向けることであって、前記生体組織の少なくとも1つの細胞内構造は蛍光マーカを有し、前記生体組織は前記生体組織を通過する前記光子ビームを変調し、それにより、前記少なくとも1つの細胞内構造に前記光子ビームの波長よりも長い波長の光子を放出させる、
前記光子ビームを前記生体組織に向けることと、
光学的にフィルタリングして、前記少なくとも1つの細胞内構造に関連付けられた前記放出された光子のみを透過させることと、
光子検出器において前記放出された光子を受信することであって、前記光子検出器はアナログ信号を出力する、
前記放出された光子を受信することと、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換することと、
前記デジタル信号を複数のパーシャルにマッピングすることであって、前記複数のパーシャルには、所与の周波数範囲及び時間期間にわたる振幅が関連付けられる、
前記デジタル信号を前記複数のパーシャルにマッピングすることと、
前記所与の周波数範囲及び時間期間にわたり特定され
、同様のトポロジ性を有する前記複数のパーシャルを
集めて複数のイベントに
リンクすること
であって、前記トポロジ性は、近傍パーシャルと比較した所与のパーシャルの振幅値の関係を示す、前記複数のパーシャルを前記複数のイベントにリンクすることと、
時間期間にわたり提供されたある範囲の
前記複数のイベントの前記生体組織に関連付けられた振動スペクトルを生成することと、
を含
み、
前記マッピングすることは、精密測定行列(PMM)技法を使用して実行される、方法。
【請求項4】
前記光学的にフィルタリングすることは、1つ又は複数のダイクロイックミラー及びバンドパスフィルタを用いて光学的にフィルタリングすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光子ビームを、前記支持デバイスに向けられる第1のビーム、及び
、ノイズを低減するために検出システムに向けられる
基準ビームである、2つのビームに分割するように構成されたビームスプリッタを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記
検出システムは、第2の光子検出器と、DCバイアス及び利得調整器とを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記光子ビームを2つのビームに分割し、第1のビームを前記生体組織に向け、
基準ビームを
、ノイズを低減するために検出システムに向けることを更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記
検出システムにおいて、第2の光子検出器及びDCバイアス及び利得調整器を使用して、ノイズ
低減を実行することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記デジタル信号プロセッサは
、前記イベント及び
時間期間にわたる前記イベントの集計としてのヒストグラムを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記デジタル信号プロセッサは、
前記デジタル
表現を高調波領域で処理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記デジタル信号プロセッサは、前記デジタル
表現を処理し、時間
期間にわたる
前記イベントの集計として結果をもたらす、
前記複数のパーシャル及び
前記イベントを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記結果はリアルタイムで出力され、又は不揮発性記憶装置に記憶される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記PMM技法は、(a)
前記複数のイベント及び
時間期間にわたる前記複数のイベントの集計としてのヒストグラム、並びに(b)時間
期間にわたる
前記複数のイベントの集計として結果をもたらす、
前記複数のパーシャル及び
前記複数のイベントの少なくとも一方を生成する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項14】
前記結果はリアルタイムで出力され、又は不揮発性記憶装置に記憶される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記PMM技法は前記デジタル信号を高調波領域で処理する、請求項2又は3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 本発明は、生体細胞、生体組織、及び他の生物材料の振動スペクトル、信号、及び波形の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 細胞及び生体組織により生成された振動スペクトルを予測及び/又は測定する従来の方法は、フーリエ変換と対になったタイムラプス写真/ビデオの技法、蛍光及び他の種類の光を細胞壁に向け、光の散乱及び分子マーカを調べるフローサイトメトリを用いて単細胞を測定する技法、細胞壁へのパッチクランプを介して電圧変化を測定して、細胞壁にわたる電圧変化を測定する技法、パルス電磁場を用いた細胞処理の技法、及び音響衝撃を用いた細胞処理の技法を含む。細胞を音響的に分析する既知の従来の技法には以下がある。
【0003】
[0003] 1)Pienta, K.J., et al., “Cellular Harmonic Information Transfer Through a Tissue Tensegrity-Matrix System,” Medical Hypotheses, vol. 34, no. 1, 1991, pp. 88-95。Pientaらは、細胞の動き(例えば、DNA振動、膜のラフリング及びうねり)の既知の成分並びにタイムラプスビデオ及び高速フーリエ変換(FFT)を用いてこれらの多くの形態の動きを測定するためにCoffey研究所内外で使用されている試み及び技法をまとめている。個々の(例えば、細胞骨格ソース)及び/又は統合された(核マトリックス、細胞質及び細胞骨格、細胞膜、並びに細胞外マトリックス成分のテンセグリティ媒介統合(tensegrity-mediated integration))振動波伝播(すなわち音)が、細胞媒介高調波形系を通る情報伝達を統合する通信導管として機能することができると仮定された。
【0004】
[0004] 2)Myrdal, S.E., et al., “An Agent or Agents Produced by Virus-transformed Cells Cause Unregulated Ruffling in Untransformed Cells,” The Journal of Cell Biology, vol. 102, no. 4, 1986, pp. 1224-1229。Myrdalらは、特定の形態の動き-自由細胞マージン(free cell margin)のラフリング-が、インスリン及びグルコース等の刺激に応答して定量的にどう変化するかを研究している。これらの研究は、刺激後の時間にわたりラフリング表現型を形成する正常なラットの腎細胞の割合を従来の光顕微鏡支援カウントにより達成された。ラフリング応答時間及び特徴は、細胞が、インスリン及びグルコースに応答してそれらの自由細胞マージンを動かしたことを示した。この技法の欠点としては、個々の細胞をカウントする労働集約的性質及びラフリング挙動をスコア付けする個人に関連するばらつきが挙げられる。出力もまた、1つのタイプの動きに制限される。それにも関わらず、研究は生理学的刺激に応答した細胞の動きを実証した。
【0005】
[0005] 3)Partin, A., et al., “Fourier Analysis of Cell Motility: Correlation of Motility with Metastatic Potential,” Proceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A., vol. 86, no. 4, 1989, pp. 1254-1258。Partinらは、時間にわたる個々の細胞における多くのソース(例えば、うねり、ラフリング)から生じた細胞運動性を定量化し記述するのに使用することができる数学システムを記載している。この空間-時間出力は、ラットの前立腺がん細胞における動きを転移能と相関けるのにも使用された。簡潔に言えば、低密度細胞が、より長い時間間隔にわたり広い時間間隔でビデオ記録(Zeiss IM35顕微鏡を通して)を使用して捕捉された。60秒毎に1回、ビデオ画像をデジタル化した。次に、1分のビデオ画像毎に1回、フーリエ変換をXY座標のそれぞれに対して実行した。デジタル画像から細胞外形(輪郭)を手動でトレースし、X及びY座標を128点に補間した。顕微鏡からビデオを再生し、次に、その結果生成された波形にフーリエ変換を実行した。転移する細胞がより多くの動きを示したことを示した。多種多様な振動データがそのような動きと相関すると仮説が立てられたが、これらのデータは記録することができなかった。
【0006】
[0006] 4)Vadala, M., et al., “Mechanisms and Therapeutic Effectiveness of Pulsed Electromagnetic Field Therapy in Oncology,” Cancer Medicine, vol. 5, no. 11, 2016, pp. 3128-3139。Vadalaらは、腫瘍学におけるパルス電磁場(PEMF)療法の使用の実験的及び臨床的エビデンスを探索した。PEMFへの細胞及び腫瘍モデルの応答は、細胞が実際に高調波運動を通して化学医療情報を送り得、細胞生物学に情報を提供し、潜在的にがんの治療におけるそのようなシグナルを変えるものとしてよりよく理解することができることを示唆する。
【0007】
[0007] 5)Guo, F., et al., “Three-Dimensional Manipulation of Single Cells Using Surface Acoustic Waves,” Proceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A., vol. 113, no. 6, 2016, pp. 1522-1527。Guoらは、音を使用して三次元で小さな粒子及び細胞を捕獲し操作する技術を記述している。グループは以前、2つの細胞タイプを非侵襲的に分離するこれらの「音響ツイーザ」の能力を示した(Ding et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Sep 9;111(36):12992-7)。作者らは、技法が細胞形状及び生理学的特性を保存すると主張するが、微小粒子を移動させ、又は細胞をソートするために導入された高調波情報が細胞生物学に影響しないという概念は、実際にテンセグリティ-マトリックス系が高調波運動を通して化学医療エネルギーを送り、読み取るのに使用されるか否かを綿密にテストしていない。Coffey及び同僚により提案された仮説(引用文献1)は、生成、送信、及び受信された高調波情報が実際に、細胞挙動を反映し、細胞挙動に影響を及ぼし得ることを示唆する。さらに、技法は振動エネルギーを付与して細胞を移動させるが、細胞自体により生成された振動信号及び/又は高調波の読み取り又はスキャンを開示していない。
【0008】
[0008] 6)1971年12月23日付けで出願されたDittrichらに付与された“Flow-through chamber for photometers to measure and count particles in a dispersion medium”と題する米国特許第3,761,187号。「本発明は、自動測定及びカウントデバイスに関し、より詳細には、光線の光路にわたり流れる分散媒中の粒子を選択的にカウント、測定、及び分類するデバイスに関し、速度の主成分が軸に平行し、それにより、粒子の種々の光学挙動はこれらの粒子の異なる物理的、物理化学的、又は化学的特性によって生じる」。’187号特許は、粒子及び細胞に適用される蛍光の使用を記述した最初のものであり、粒子が光を通る際、デバイスは粒子からの光散乱及び反射の種々の特性を測定し、検出器は、粒子がビームを横断する際、そのような特性を捕捉するように位置決めされる。’187号特許は、サイトメトリシステムの蛍光ベースフローを開示するが、振動又は高調波情報は捕捉されない。
【0009】
[0009] 7)Nelson, S.L., et al., “Vibrational Profiling of Brain Tumors and Cells,” Theranostics, vol. 7, no. 9, 2017, pp. 2417-2430。Nelsonらは、周波数変調により振動信号を可聴音波に変換する方法を示した。この方法は、非接触式原子間力顕微鏡法(AFM)をスペクトル解析器分析と組み合わせて、種々の細胞及び組織タイプの振動信号を導出する。生物学的振動信号を取得する目的は共有されるが、この技法及び本明細書に記載される技術は基本的に異なる。Sultan Nelsonらによる非接触式AFM手法は、レーザ信号をフォトダイオードに反射する、試料(細胞又は組織)から概ね5μmに位置する、非常に影響を受けやすいカンチレバーに依存する。試料から生成される平面波伝播はカンチレバーの動きを誘発し、カンチレバーからフォトダイオードに反射されるレーザ信号を偏向させる。そのような非接触式AFMからの測定は、カンチレバーから試料まで及び増殖基質の表面までの距離により影響を受け得る。さらに、試料により生成される波動伝播は振動信号に積分され、細胞内ソースを識別するためには、試料でのプロセスを抑制又は刺激し、これらの介入に起因した信号変化を推測することにより振動信号を間接的に調べなければならない。したがって、信号が遷移を経る場合は常に、信号の精度損失があり得る。Saltan Nelsonらの場合では、細胞からの振動信号はカンチレバー遷移を受ける。
【発明の概要】
【0010】
概要
[0010] 細胞及び生体組織は動くため、数十年にわたり、運動により振動スペクトル/周波数を生成すると理論化されてきた。この運動のタイムラプスビデオ写真は一般的であるが、制限がある。本来、そのような運動は周囲媒体に圧縮を生み出し、振動波を生成する。したがって、生体組織の振動スペクトルは細胞及び生体組織の研究及び操作に新しい洞察を提供し得るため、生体組織の振動スペクトルを測定することが望ましい。刺激への細胞及び生体組織の振動応答を測定することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011] 本明細書に開示されるマシン、システム、及び方法は、生体組織により生成された振動スペクトルを発見、測定、特徴付けるように構成される。本明細書に開示されるマシン、システム、及び方法は、細胞により生成された振動スペクトルを測定するように設計され、このシステム、方法、及びマシンの初期試行で、細胞が周波数を生成し、生理学的に関連する刺激(例えば、性ステロイドホルモン、脂溶性因子、及びグルコース)、薬剤(例えば、TNF、タキサン、ノコダゾール、ホルムアルデヒド等)、電気刺激、酸、及び塩基等に対して振動スペクトル運動で応答することを明確に実証した。本開示のコンピュータソフトウェアセクションでこれらのスペクトルを測定するシステム及び方法は、内容が参照により本明細書に援用される以下の米国特許の1つ又は複数に開示される信号処理技法を利用することができる:基本波高速発見方法、第6,766,288号;波形の精密測定、第8,620,976号;波形の精密測定、第9,600,445号;逆重畳及び窓掛けを使用した波形の精密測定、第9,390,066号;波形の精密測定のための領域識別及び分離、第9,279,839号。
【0012】
[0012] フーリエ及びウェーブレット変換を利用することもできるが、これらの変換は時間、振幅及び/又は周波数及び/又は低レベルピーク及び振動スペクトルを不鮮明にする傾向を有する。単純な閾値処理が一般に、ノイズから信号を分離するのに使用される。
【0013】
[0013] 実施形態では、開示されるシステムは、試料自体への光の直接適用から生成された振動信号を測定する。これにより、単一エンティティとして試料のみならず、細胞内構造(例えば、ミトコンドリア、個々のタンパク質、及び核)によっても生成された直接振動信号の新規特定が可能になる。これは、化学染料を用いた構造の蛍光標識又は選択された励起及び放射特性の蛍光標識分子の過剰発現を使用し、検出波長のレベルで測定された信号を制限することによりこれらの特定の放射信号を検出して行うことができる。
【0014】
[0014] これは、固定され及び/又は連続した時間期間にわたり細胞の亜音波、音波、及び超音波周波数範囲の動き、振動、細胞運動、高調波、及び/又は周波数を測定して、細胞の動的な振動スペクトルの経時変化を捕捉することを含む。したがって、どの細胞内エンティティがどの振動スペクトルを生成するかの分析が、以下に開示するように可能になる。
【0015】
[0015] 本発明の更なる特徴及び利点並びに本発明の種々の実施態様の構造及び動作は、添付図面を参照して以下に詳細に説明される。なお、本発明は本明細書に記載される特定の実施態様に限定されない。そのような実施態様は、本明細書では例示目的のみで提示される。本明細書に含まれる教示に基づいて追加の変更が関連技術分野の当業者に明かになり得る。
【0016】
図面の簡単な説明
[0016] 本明細書に組み込まれ本明細書の一部をなす添付図面/図は、本発明を示し、説明と一緒に本発明の原理を説明し、関連技術分野の当業者が本発明を作製し使用できるようにするよう更に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[0017]本開示による細胞/組織の振動スペクトルの測定を示すブロック図である。
【
図2】[0018]本開示による細胞/組織の振動スペクトルを測定するシステムを示すより詳細なブロック図である。
【
図4】[0020]本開示による測定及び特徴付け方法を示す。
【
図5】[0021]本開示による細胞/組織の振動スペクトルを測定するシステムを示す別のブロック図である。
【
図6】[0022]ホルムアルデヒドからの死んだがん細胞のノイズフロアのグラフであり、X軸は周波数ビン数であり、具体的な周波数ではなく、Y軸は本開示による時間にわたる各周波数ビン活動のカウントである。
【
図7】[0023]ノイズフロアにがん細胞組織信号を加えたグラフであり(例A-60秒、青線はイベント周波数のカウントであり、黒線はノイズフロアグラフであり、赤線はがん細胞/組織のノイズフロアよりも上の周波数イベントカウントであり、X軸は周波数ビン数であり、具体的な周波数ではない)、Y軸は本開示による時間にわたる各周波数ビン活動のカウントである。
【
図8】[0024]ノイズフロアにがん細胞組織信号を加えたグラフ(例B-60秒、青線はイベント周波数のカウントであり、黒線はノイズフロアグラフであり、赤線はがん細胞/組織のノイズフロアよりも上の周波数イベントカウントである。これらの結果は同じ細胞を用いて
図7の15分後に測定され、X軸は周波数ビン数であり、具体的な周波数ではない)であり、Y軸は本開示による時間にわたる各周波数ビン活動のカウントである。
【
図9】[0025]本開示による細胞/組織の振動スペクトルを測定するシーケンス方法を示すブロック図である。
【
図10】[0026]本開示による、特定の細胞内構造から発せられた変調光のみが振動スペクトルについて測定される、蛍光マーカ(例えばタグ又は染料)を有する組織又は細胞に基づいて特定の細胞内構造の振動スペクトルを測定するシーケンス方法を示すブロック図である。
【
図11】[0027]本開示による一例のコンピュータシステムの図である。
【
図12A】[0028]
図12A~
図12Cは、10%血清定常状態でのMCF7エストロゲン受容体陽性乳がん細胞(
図12A)、次に一晩血清を飢餓状態にした後の10%血清30分後(
図12B)、次にホルムアルデヒド固定供給15分後のキル状態(
図12C)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本発明による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図12B】[0028]
図12A~
図12Cは、10%血清定常状態でのMCF7エストロゲン受容体陽性乳がん細胞(
図12A)、次に一晩血清を飢餓状態にした後の10%血清30分後(
図12B)、次にホルムアルデヒド固定供給15分後のキル状態(
図12C)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本発明による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図12C】[0028]
図12A~
図12Cは、10%血清定常状態でのMCF7エストロゲン受容体陽性乳がん細胞(
図12A)、次に一晩血清を飢餓状態にした後の10%血清30分後(
図12B)、次にホルムアルデヒド固定供給15分後のキル状態(
図12C)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本発明による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図12D】[0029]
図12D~
図12Fは、10%血清添加状態15分後のMCF10A非がん乳細胞(
図12D)、次に10%血清添加状態30分後(
図12E)、次にホルムアルデヒド固定したキル状態15分後(
図12F)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図12E】[0029]
図12D~
図12Fは、10%血清添加状態15分後のMCF10A非がん乳細胞(
図12D)、次に10%血清添加状態30分後(
図12E)、次にホルムアルデヒド固定したキル状態15分後(
図12F)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図12F】[0029]
図12D~
図12Fは、10%血清添加状態15分後のMCF10A非がん乳細胞(
図12D)、次に10%血清添加状態30分後(
図12E)、次にホルムアルデヒド固定したキル状態15分後(
図12F)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図13A】[0030]
図13A~
図13Cは、10%血清添加状態15分後のU87膠芽腫脳がん細胞(
図13A)、次にホルムアルデヒド固定状態5分後(
図13B)、ホルムアルデヒド固定を用いたキル状態15分後の10B1非がん脳細胞(
図13C)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図13B】[0030]
図13A~
図13Cは、10%血清添加状態15分後のU87膠芽腫脳がん細胞(
図13A)、次にホルムアルデヒド固定状態5分後(
図13B)、ホルムアルデヒド固定を用いたキル状態15分後の10B1非がん脳細胞(
図13C)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図13C】[0030]
図13A~
図13Cは、10%血清添加状態15分後のU87膠芽腫脳がん細胞(
図13A)、次にホルムアルデヒド固定状態5分後(
図13B)、ホルムアルデヒド固定を用いたキル状態15分後の10B1非がん脳細胞(
図13C)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図14A】[0031]
図14A及び
図14Bは、正常成長状況でのU87膠芽腫脳がん細胞(
図14A)、正常成長状況での10B1非がん脳細胞(
図14B)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【
図14B】[0031]
図14A及び
図14Bは、正常成長状況でのU87膠芽腫脳がん細胞(
図14A)、正常成長状況での10B1非がん脳細胞(
図14B)間の遷移を示す。X軸は周波数ビン0Hz~100Hzである。Y軸は本開示による時間にわたる各周波数の合計イベントカウントである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0032] 本発明の特徴及び利点は、図面と併せて解釈された場合、以下に記載される詳細な説明からより明らかになる。別段のことが示される場合を除き、本開示全体を通して提供された図面は一定の縮尺の図面として解釈されるべきではない。さらに、示されるブロック図に含まれる文章は、例として提供されており、本明細書に記載される本発明の任意の所与のステップ又は要素を特に限定することは意図されない。
【0019】
発明の詳細な説明
[0033] 特定の構成及び配置について考察し得るが、これが例示目的のみで行われることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに他の構成及び配置も使用可能なことを関連技術分野の当業者は認識する。この発明が本明細書において特に言及される用途を超えて多種多様な他の用途でも利用可能なことが関連技術分野の当業者には明らかになる。本明細書に示され説明される特定の実施態様が例であり、その他の点で本願の範囲の限定を決して意図しないことを理解されたい。
【0020】
[0034] 量、材料比率、材料の物理的特性、及び/又は使用を示すこの説明における全ての数字は、別段のことが明記される場合を除き、「約」という言葉で修飾されるものとして理解されたい。
【0021】
[0035] 「約」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の数量の値がその値の±25%まで変動することを示す。例えば、「約100nm」は約75nm~約125nm(75nm及び125nmを含む)のサイズ範囲を包含する。
【0022】
[0036] 以下の定義が本明細書で使用される。
【0023】
[0037] A/D変換器:アナログからデジタルへの変換器。
【0024】
[0038] バンドパスフィルタ:指定された狭い範囲の波長の光を検出器に透過させるのに使用されるデバイス。
【0025】
[0039] CCD:カメラ及び/又はビデオカメラにおけるタイプの検出器にあるような電荷結合デバイス。
【0026】
[0040] 細胞:生体組織の最も小さい構造及び機能単位。
【0027】
[0041] 細胞運動:細胞の動きとは、細胞レベルでの全てのタイプの動きに関わる運動である。細胞のロコモーション及び動きを達成する分子メカニズムを包含する。
【0028】
[0042] チェーン:パーシャルのリンクされた集まり。
【0029】
[0043] 特徴付け:現象の独特の性質又は特徴を記述する。
【0030】
[0044] 一貫光子源:低ノイズ光子ビームの生成器。
【0031】
[0045] 連続ウェーブレット変換:数学では、連続ウェーブレット変換(CWT)は、ウェーブレットの平行移動及び拡大縮小パラメータを連続して変化させることにより信号の過完備表現を提供するフォーマル(すなわち、非数値)ツールである。
【0032】
[0046] ダイクロイックミラー:指定された波長の光を検出器に向けるのに使用されるデバイス。ロングパスダイクロイックは、示された波長よりも大きい波長の光を向ける。
【0033】
[0047] ドメイン:特定の特性により編成されたイベントの集まり。
【0034】
[0048] イベント:イベントは、特定のトポロジ特性に類似性を有する、時間及び周波数が特定されたパーシャルの集まりである。
【0035】
[0049] 蛍光マーカ:より高周波数のレーザ等のエネルギー源によりエネルギー付与されると特定の周波数の光子を発するタグ又は染料。蛍光とは、特定の波長の励起光子の分子吸収を特徴とする現象であり、吸収により、特徴的なより長い波長を有する光子を発する。蛍光特性を有する多くの小分子(「染料」)、巨大分子(「タグ」)、及び量子ドット(例えば無機ナノ結晶)を反応、状況、細胞内構造、及び他の生物学的特徴に特異性を有する細胞及び組織に添加することができる。そのような分子には、限定ではなく、細胞内構造に特異性を有する分子並びに細胞及び組織により生成されるように工作された蛍光タンパク質がある。
【0036】
[0050] フーリエ変換:波形のスペクトルの振幅を計算するアルゴリズム。
【0037】
[0051] 周波数:何か起こる又は特定の時間期間にわたり若しくは所与の試料で繰り返される複数のレート、振動が生じるレート。
【0038】
[0052] 周波数ビン:周波数の小さな範囲(例えば、1702~1704Hz)。
【0039】
[0053] 高調波:発振、振動、又は回転している任意のエンティティは、動いているエンティティの基本周波数の概ね整数倍の高調波を生み出す。高調波には通常、100Hzの第7次高調波等のランク番号が有り当てられ、は概ね700Hzである。これらの高調波は通常、動いている物体により生み出される正弦波エンティティと考えられる。
【0040】
[0054] ヒストグラム:面積が変数の周波数に比例し、幅がクラス間隔に等しい矩形からなる図。
【0041】
[0055] 生体組織:特定の機能を有することができる生物の任意の複数の細胞。
【0042】
[0056] 測定:標準単位に従って又は基準と比較することにより機械的且つ電子的にゲージされた器具又はデバイスを使用することにより動き、振動、及び/又は強度のサイズ、振幅、量、又は程度を突き止める。
【0043】
[0057] 変調:何かへの影響に変更又は制御を及ぼすこと。振幅、周波数、強度、トーン、又はピッチの経時変動。本願では、変調は、ブロック、吸収、又は偏向された光子ビームの量を変更させ、それにより、検出する光子ビームの残りの部分を直接変調する生体組織の細胞運動を意味するものとする。
【0044】
[0058] 動画及び/又はビデオ:本願のみの目的では、経時変化する画像又は波形として見ることができる、30フレーム/秒等のフレームレートを有する画像ストリーム。
【0045】
[0059] パーシャル:追加の明確に指定されたトポロジ性を有することができる、明確に指定された狭い範囲の時間、周波数、及び振幅により区切られた局所領域。
【0046】
[0060] 光子検出器:光の存在を検出し、それに応答して電圧信号(電子ストリーム)を発するように設計されたデバイス又は器具。
【0047】
[0061] PMM:米国特許第8,620,976号に開示される「精密測定行列」。
【0048】
[0062] 信号:送信又は受信される電気インパルス。
【0049】
[0063] 信号処理:音、画像及び生体計測等の信号の分析、変更、及び合成にフォーカスした電気工学サブフィールド[1]。信号処理技法は、送信、記憶効率、及び主観的品質を改善するとともに、測定された信号における関心のある成分を強調又は検出するのに使用することができる[2]。大半の使用は現在、デジタル領域で取り扱われ、コンピュータ又は同等のチップを含む。
【0050】
[0064] ストリーミング:電子の定常アナログ又はデジタルフロー-ビデオのようなフレームレートにおいてではない。
【0051】
[0065] 細胞内:細胞の種々の構成要素及び小器官として特徴付けることができる生物質を含む構造(例えば、ミトコンドリア、核)又は細胞内で見られ、細胞に関連する構造(例えば、タンパク質)。
【0052】
[0066] トポロジ性(パーシャル及びイベントをリンクする):近傍パーシャルと比較した所与のパーシャルの振幅値の関係。そのような特性は、例えば、極大、鞍点、又は他の同様のトポロジ特徴であることができる。
【0053】
[0067] 振動スペクトル:周波数内容に関する特徴付けは信号のスペクトルと呼ばれる。振動スペクトルは、亜音波/音波/超音波を含め、周波数内容に関した音の表現である。多くの場合、これは、時間と共に変化し得る1組の離散周波数及び追加の広スペクトルノイズとして表現することができる。通常、グラフ又はスペクトル表示/スペクトログラムとして提示される。
【0054】
[0068] 波形:時間の関数としての信号。
【0055】
[0069] 本明細書に引用された任意の引用文献と本明細書の特定の教示との任意の競合は、後者を優先して解決されるものとする。同様に、言葉又は句の当技術分野で理解されている定義と本明細書で特に教示される言葉又は句の定義との任意の競合も、後者を優先して解決されるものとする。
【0056】
[0070] 本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、別段のことが定義される場合を除き、本願が関連する技術分野の当業者により一般に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の種々の方法論及び材料を参照する。
【0057】
概説
[0071] 生体組織により生成される振動スペクトルを測定し特徴付けるシステム及び方法が開示される。細胞/生体組織により生成された振動スペクトルは極めて低振幅である。本発明の趣旨は、極めて感度が高く、レーザ、検出器、及び周囲環境により生成されるノイズレベル以下の周波数を検出し測定するように構成されるマシン、システム、及び方法である。
【0058】
[0072] マシンは、非常に低い周波数に有効な消音機に搭載される。マシンは、制御された光ビームレベル振幅及びビーム直径を有する極低ノイズ光源(低ノイズ及び/又は帯域幅制限レーザ)を使用して、生体細胞の近傍を通る光子及び生体細胞を透過する光子のビームを発する。ビーム強度は、一定、中断、又は分析を促進するように他の方法で変調することができる。これは、位相ロックループ構成の利用、又は周波数ミキサモードでの動作、レーザの周波数をチョッピングすることによる異なる周波数帯域への細胞の検出発振のシフト等の種々の他の分析モードを可能にする。
【0059】
[0073] 細胞は、動く際、入射光子ビームに露出され、したがって入射光子ビームを変調市、ビームがブロック、吸収、又は偏向される量を変える。次にこの変調された光子ビームは検出、定量化、分析され、細胞がいかに動き、振動し、及び/又はうねるかについての詳細を明らかにする。ビームはまず2つのビームに分割され、一方は細胞測定用であり、他方はノイズ相殺用の基準としてである2つのビーン分岐を介して処理することができ、基準ビームは光子検出器に直接入る。細胞により変調された後、光子ビームそれは再び、1つは接眼レンズ用、1つは低光カメラ用(位置合わせ目的)、及び1つはストリーミング出力光子検出器である光子倍増管用である幾つかのビームに分割し得る。各光子検出器は、時間の関数として信号電圧出力-V(t)-を生成する。
【0060】
[0074] システムを使用して、細胞及び組織の全体又は統合された動きのみならず、特徴的で有意味な動きを有し得る細胞内構造及び状況も測定することができる。ここで、蛍光マーカ(例えば、分子であり、タグとも呼ばれ、染料を含み得る)を利用して、励起波長(ここでは約500nm)よりも長い波長の光を発することができる。細胞内構造から発せられた光はロングパスダイクロイックミラー(特に、設定値よりも長い波長の光を向ける)を透過して、バンドパスフィルタに渡される。これらのフィルタは、指定された波長の放射光のみを検出器に到達させ、特に、
図10に関して以下に説明する細胞内構造からの光の検出を提供する。結果生成された信号は、励起光をブロックしながら、関心のある細胞内構造の振動スペクトルを提供する。
【0061】
[0075] 次に、2つの光子検出器の出力は、バイアス支援を用いて比較されて、ノイズ相殺された信号S(t)をもたらす。ビームが分割されない場合、光子検出器の出力は単にS(t)である。結果生成された信号はアナログ/デジタル変換器に渡され、結果生成されたデジタル信号はコンピュータ又はデータ記憶装置(例えば不揮発性記憶装置)に供給される。精密測定行列を使用して、パーシャル及びイベント、続けて、時間にわたる周波数イベントの集計及び潜在的な高調波として結果を生成する関連するヒストグラムを作成することができる。これは、リアルタイムで又は記録されたデータにアクセスすることから行うことができる。したがって、システム及び方法は、細胞/生体組織の振動スペクトルのデジタル表現を提供する。なお、検出時間期間(信号を記録する)が長いほど、信号対雑音比は良好になり得る。これらの信号はホルムアルデヒド(細胞振動スペクトル/動きを止める)のような化合物による細胞/組織の化学固定を通して停止することができる。
【0062】
[0076] 本発明におけるハードウェアの設計は幾つかの要因により動かされることができる。
【0063】
[0077] ・細胞は生きており、in vivoで研究されなければならず、したがって、長期観測であってもいかなる実害も細胞に生じさせてはならない。
【0064】
[0078] ・これは、入射光/光子ビームの強度に大きな制約を課し、測定値の信号対雑音を大きく低下させる。
【0065】
[0079] ・細胞の振動は、数百kHz範囲の周波数まで測定することができ、したがって、検出器をそのようなレートを読み出すことが可能でなければならない。
【0066】
[0080] ・測定された信号の信号対雑音は、入射光/光子ビームから検出される離散光電子の数に起因して、理論上の最大、すなわち、ショットノイズに近い値であるべきである。追加のノイズ源も低減、又は、なくさなければならない。
【0067】
[0081] これらの制約により基本的に、高速ビデオカメラ又は多ピクセルCCDのような多ピクセル撮像デバイスの実用が除外される。これらのCCDの読み出し速度は限られており、検出器内部の電荷移動の影響である読み出しノイズのような各ピクセルへの追加のノイズの一因となり得る(不可避の光子ショットノイズに加えて)。撮像解像度の提供は、細胞の振動を特徴付ける目的での有用性が限られている。これにより、広い周波数範囲で動作する高感度光電子増倍管ストリーミング電子出力に基づく「単一ピクセル」光子検出器の使用に繋がる。
【0068】
例示的なシステム及び方法の説明
[0082]
図1は、細胞又は生体組織の振動スペクトルを測定する一例のシステム100を示す。システム100は、細胞及び/又は生体組織を保持している支持デバイス104に光を送る低ノイズ一貫光子ビーム生成器102(医療レーザ等)を含む。システム100はまた、細胞/生体組織の透過及び/又は近傍通過から変調された光を検出/増幅する光子検出器及び増幅器106も含む。光子検出器/増幅器106からのストリーミング信号は、A/D変換器108から渡され、次にデジタル信号プロセッサ110に渡される。デジタル信号プロセッサは、データを分析する種々のソフトウェアモジュールを有するように設計することができる。第1の分析モジュール112は、信号の時間、周波数、及び振幅を特徴付けるのに使用することができる。別の分析モジュール114は、受信した信号をパーシャル及びイベントにマッピングするのに使用することができる。別のモジュール116は、所与の時間期間にわたり細胞/組織により発せられた振動スペクトル及び周波数を特徴付けるのに使用することができる。最終的に、システム100は、メモリに記憶及び/又はディスプレイに提供することができる出力データ118を提供する。出力データ118は、所与の時間期間中の細胞/組織の振動スペクトル又は振動スペクトルが経時変化するにつれての振動スペクトルの分析を含むことができる。データはデジタルファイルフォーマットに記憶、電子的に送信、又はハードコピー出力することができる。
【0069】
[0083]
図2は、本発明による細胞又は生体組織の振動スペクトルを測定する別のシステム200を示す。光子ビームの低ノイズ電源220が利用される。これはDC電池又は低ノイズDC電源の何れかであることができる。この電源220は一貫低ノイズ周波数光子源222に給電して、光子ビーム(図示せず)を生成する。例示的な実施形態では、この低ノイズレーザは500nm前後の波長を有する。任意選択的な変調源224を使用して、レーザ強度を変調することができ、出力される光子ビームのノイズを低減することができる。さらに、特定の波長が示され得る場合、より高い又はより低い波長の光を生成するレーザで置換又は追加することができる。
【0070】
[0084] ビーム直径226を制御するモジュールを光子ビーム路に提供することができる。その場合、光子ビームはスライド減光器228を通り、スライド減光器228は、可変量の遮光能力を有して光子ビームの振幅を制御する1枚のレンズを含むことができる。ビームは光学スプリッタ230を通り、光学スプリッタ230は、ビームを2つのビームに分割する1つ又は複数のミラーを含むことができる。一方のビームは細胞に向けられ、他方のビームはノイズを低減するために別個の検出器に向けられる(例えば、
図3)。
【0071】
[0085] 次にビームは、ビームが光学系を透過する際、細胞及びレンズ後に検出器の中央にセンタリングされるようにビームを位置合わせするために位置合わせ機構232に向けられる。位置合わせ機構232は回転レンズを含むことができる。加えて、位置合わせ機構及びレンズは、スプリッタ後のビームのノイズ低減に使用することができる(
図3への矢印参照)。
【0072】
[0086] 任意選択的な、調整される温度被制御ヒータを有するテーブル234を使用して、細胞/組織236を支持及び/又は保持することができる。細胞/組織236自体は、マトリックスに提供され、テーブルに配置することができ、したがって、ビームは細胞/組織236の近傍を通過又は透過することができる。任意選択的な低ノイズ電源及びステッピングモータ238を利用して、細胞をビーム内の異なる位置に移動させることができる。
【0073】
[0087] 次にビームは対物レンズ240に入り、光学ビームスプリッタ242を用いて例えば3つまでのビームに分割することができる。3つのビームは次に光学接眼レンズ244、位置決めに使用される低光カメラ246、そして光子検出器248に入ることができる。低光カメラ246はコンピュータ250に接続されて、カメラ246の出力をディスプレイに提供することもできる。
【0074】
[0088] 光子検出器248は低ノイズ光子倍増管(又は適切な低ノイズCCD)を含むことができる。光レベルメータ252を光子検出器248の出力に接続して、検出器の過負荷又は検出器信号が不十分な負荷不足を回避することができる。光子検出器248のストリーミング出力はまた、信号及びノイズレベルをモニタするためにオシロスコープ254にも入ることができる。光子検出器248の出力はまた、バイアス及び利得調整及び増幅器256に入ることもでき、バイアス及び利得調整及び増幅器256はDCオフセット及び信号レベルを支援することができる。バイアス及び利得調整増幅器256からの光子検出器出力は比較増幅器(例えば
図3)に接続される。
【0075】
[0089] 任意選択的な軸方向信号注入要素260を使用して、バイアス及び利得調整及び増幅器256に入るノイズを必要に応じて支援することができる。スイッチ262を使用して、信号注入要素260をオンオフ切り替えることができる。
【0076】
[0090] 検出システム300は、光学スプリッタ230から基準光子ビームを受信するのに使用され、
図3により詳細に示されている。測定システム400及び特徴付けシステム402は、検出システム300から出力を受信し、
図4により詳細に示されている。
【0077】
[0091]
図3は、光源のノイズを低減(又は相殺)するために基準光子ビームを検出するのに使用される検出システム300を示す。
図2に示される光子検出器出力256は、比較/増幅器370の変調信号入力に入り、信号計量374を介して測定システム400(更に後述)に渡される。基準光子ビームは、
図2に示される光学スプリッタ230から受信され、同様に位置合わせ機構376及び第2の光子検出器378をトラバースする。第2の光子検出器378の出力も比較/増幅器370(例えば差動増幅器等)に入力されて、光子検出器出力256と比較される。基準光子ビームはオシロスコープ380において示されることもできる。
【0078】
[0092]
図4は測定及び特徴付けシステム400を示す。細胞/組織の動きにより変調された信号はA/D変換器404に入る。その結果生成されたデジタル信号は次にコントローラ406により受信され、コントローラ406はデータを取得し、データを記憶し、信号のデジタル測定を実行して、パーシャル及びイベント情報を作成するように設計される。任意選択的なビデオ、刺激、及び特徴付けられた結果を同時に追跡するために、任意選択的な時間コードモジュール410が含まれる。測定システム400は、信号及び特徴付け結果を長期記憶するために、メモリ412(HDD又は固体状態デジタル記憶ユニット等の不揮発性データ記憶装置)を含むこともできる。生成されたパーシャル及びイベントデータは次に、特徴付けシステム420により受信することができ、特徴付けシステム420は、デジタル信号ストリームから作成されたイベントのフィルタリングに基づいて3Dマトリックス出力及び/又はヒストグラム及び/又は特徴付けデータを作成する精密測定行列(PMM)(又は他の時間/周波数/振幅ソフトウェア)を含むことができる。これらの測定された動いている細胞は高調波を生み出すことがあり、これは高調波領域を利用するPMMにより測定される。PMMはハードウェア、ソフトウェア、又は両方の組合せで実装することができる。PMMは、コントローラ406により実行されるソフトウェアモジュールであることができる。データは次に、他のデバイスにより受信されるように複数データフォーマット422で提供することができる。
【0079】
[0093]
図5は、細胞又は生体組織の振動スペクトルを測定する別のシステム500を示す。システム500は、システム200、300、400における上述した特徴の多くを組み合わせており、したがって、各要素の具体的な詳細については繰り返さない。
【0080】
[0094]
図6~
図8は、所与の期間時間にわたる異なる周波数ビンのカウントのスペクトル例を示す。
図6は、60秒期間にわたるシステムの背景ノイズに対応するノイズフロアスペクトル602を示す。ノイズフロアスペクトル602は、ステージ上の死細胞(細胞が全く動かないような)を使用することにより収集することができる。
【0081】
[0095]
図7は、ノイズフロアスペクトル602と、60秒期間にわたり第1の細胞試料の細胞/組織が動いた結果として収集された追加の周波数内容(スパイク)702とを含むスペクトルを示す。この特定の例で使用された細胞はがん細胞であったが、任意の細胞タイプが使用可能である。
【0082】
[0096]
図8は、ノイズフロアスペクトル602と、60秒期間にわたり同じ第1の細胞試料の細胞/組織が動いた結果として収集された追加の周波数内容(スパイク)802とを含むスペクトルを示す。
図8におけるスペクトルは、
図7に示されるスペクトルの15分後に収集された。より長い時間期間にわたって見た場合、所与の短い時間窓(例えば60秒)にわたる周波数カウントの変化は、細胞/組織の動及び外部刺激に対する細胞/組織の応答に関する有用な情報を提供する。
【0083】
[0097]
図9は、細胞及び/又は生体組織の振動スペクトルを測定する一例の方法900を示す。方法900に示される動作が網羅的ではなく、示された任意の動作の前、後、又は間に他の動作を実行することも可能なことを理解されたい。方法900の動作は異なる順序で実行することができ、及び/又は変更することができる。
【0084】
[0098] ステップ902において、衛生ワークステーションを準備することができ、準備は、ワークステーションエリアにおけるステップ904において任意の有害廃棄物を除去することを含むことができる。ステップ906において、電子機器が正確な接続についてチェックされ、ステップ908において、A/D変換器への接続がチェックされる。ステップ910において、全てのコンピュータ関連機器及びインターフェースが正確な動作についてチェックされる。ステップ912において、全ての機器に電源を投入することができ、機器は光源、コンピュータ及びモニタ、A/D変換器、記憶装置、及びオシロスコープ、カメラ、分析器、及び/又はソフトウェア等の信号モニタリング機器を含み得る。
【0085】
[0099] ステップ914において、保護めがねが任意のユーザにより装着される。ステップ916において、位置合わせ機構が調整され、ステップ918において、光子ビームレベルが調整される。ステップ920において、ベースライン測定が空の細胞容器又は死細胞を有する細胞容器(例えば、細胞は動かず、又はいかなる外部刺激にも反応しない)の何れかを使用して行われる。ステップ922において、PMM(又は別の適切な分析アルゴリズム)がベースライン測定値に対して実行され、分析に向けてヒストグラムを生成することができる。ステップ924において、ベースライン動作に一致する名前を有するファイルを保存することができる。この時点で、ステップ926に示されるように、システムは実際の細胞/組織試料の測定を開始することが可能な状態になる。
【0086】
[0100] ステップ928において、測定する細胞/組織試料が、最良の記録結果に向けて光子ビーム下に並べられる。ステップ930において、種々の光子ビームの振幅が調整されて、最適なメーター読み取り値を取得する。ステップ932において、DCオフセット及びバイアスを調整して、測定(細胞変調された)信号及び基準信号を位置合わせすることができる(ステップ934)。幾つかの例では、電動テーブルを使用して、光子ビーム下の最適な場所に細胞/組織試料を位置合わせすることができる。テーブルヒータを使用して、細胞寿命をサポートする温度を提供することもできる。
【0087】
[0101] ステップ936において、細胞/組織試料から受け取った光は所与の時間期間にわたり記録される。記録期間は、例えば30秒、60秒、90秒、又は120秒等の比較的短い時間窓であり得る。例えば30分、60分、90分、又は120分等のより長い時間期間にわたり、所与の時間期間の長さを有する複数の記録を捕捉することができる。各記録は、別個のファイルとして保存することもでき、又はより長い時間期間にわたり1つのファイルとして一緒に保存することもできる。
【0088】
[0102] ステップ938において、保存されたファイルに名前が付けられ、ステップ940において、任意の既知の分析方法を使用して保存されたスペクトルを分析し特徴付けることができる。
【0089】
[0103]
図10は、細胞及び/又は生体組織内の細胞内構造の振動スペクトルを測定する一例の方法を示す。単一又は複数の波長生成レーザを利用して、細胞内構造に固有の蛍光標識された分子を励起させ得る。その結果としての放射波長は励起波長よりも長くなり、1つ又は複数のダイクロイックミラーによりもう1つのバンドパスフィルタに特に向けられる。これらのバンドパスフィルタは、記録及び続く分析に向けて、狭い範囲の所望の波長光を下流に位置する検出器に渡せるようにする。したがって、その結果生成された信号は、特定の細胞内構造の振動スペクトル及び生体細胞又は組織の特徴を表す。これらの信号は単独で又は複数の励起レーザ、複数の検出器、ダイクロイック、バンドパスフィルタ、及びビデオ検出と共に同時に使用されて、所望の細胞内構造及び特徴の単細胞振動スペクトルを取得することができる。
【0090】
[0104] これまで説明された種々のデータ処理方法及び他の動作は、例えば、
図11に示されるコンピュータシステム1100等の1つ又は複数の周知のコンピュータシステムを使用して実施することができる。コンピュータシステム1100は、信号処理又は信号表現に関して上述した任意のコンピュータの一例であり得る。
【0091】
[0105] コンピュータシステム1100は、プロセッサ1104等の1つ又は複数のプロセッサ(中央演算処理装置又はCPUとも呼ばれる)を含む。プロセッサ1104は通信基盤又はバス1106に接続され得る。プロセッサ1104はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る。別の例では、プロセッサ1104はデジタル信号プロセッサ(DSP)であることができる。
【0092】
[0106] 1つ又は複数のプロセッサ1104はそれぞれグラフィックス処理ユニット(GPU)であり得る。GPUは、数学集約的アプリケーションを電子デバイスで高速処理するように設計された専用電子回路であるプロセッサである。GPUは、コンピュータグラフィックスアプリケーションで一般的な数学集約的データ、イメージ、及びビデオ等の大きなデータブロックの並列処理に効率的な高度並列構造を有し得る。
【0093】
[0107] コンピュータシステム1100は、ユーザ入出力インターフェース1102を通して通信基盤1106と通信する、モニタ、キーボード、ポインティングデバイス等のユーザ入出力デバイス1103を含むこともできる。
【0094】
[0108] コンピュータシステム1100は、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のメイン又は一次メモリ1108を含むことができる。メインメモリ1108は1つ又は複数のキャッシュレベルを含み得る。メインメモリ1108は制御論理(すなわちコンピュータソフトウェア)及び/又はデータを記憶する。
【0095】
[0109] コンピュータシステム1100は、1つ又は複数の二次記憶装置又はメモリ1110を含むこともできる。二次メモリ1110は、例えば、ハードディスクドライブ1112及び/又はリムーバブル記憶装置又はドライブ1114を含むことができる。リムーバブル記憶ドライブ1114はフロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、コンパクトディスクドライブ、光学記憶装置、テープバックアップデバイス、及び/又は任意の他の記憶装置/ドライブであることができる。
【0096】
[0110] リムーバブル記憶ドライブ1114はリムーバブル記憶ユニット1118と対話することができる。リムーバブル記憶ユニット1118は、コンピュータソフトウェア(制御論理)及び/又はデータを記憶するコンピュータ使用可能又は可読記憶装置を含む。リムーバブル記憶ユニット1118はフロッピーディスク、磁気テープ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、光学記憶ディスク、固体状態ハードドライブ、メモリスティック、及び/又は任意の他のコンピュータデータ記憶装置又はクラウドメモリであり得る。リムーバブル記憶ドライブ1114は、周知の様式でリムーバブル記憶ユニット1118と読み/書きする。
【0097】
[0111] 二次メモリ1110は、コンピュータプログラム及び/又は他の命令及び/又はデータにコンピュータシステム1100がアクセスできるようにする他の方法、手段、又は手法を含むことができる。そのような方法、手段、又は他の手法は、例えば、リムーバブル記憶ユニット1122及びインターフェース1120を含むことができる。リムーバブル記憶ユニット1122及びインターフェース1120の例としては、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース(ビデオゲームデバイスで見られる等)、リムーバブルメモリチップ(EPROM又はPROM等)及び関連するソケット、メモリスティック及びユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、メモリカード及び関連するメモリカードスロット、及び/又は任意の他のリムーバブル記憶ユニット及び関連するインターフェースを挙げることができる。
【0098】
[0112] コンピュータシステム1100は、通信又はネットワークインターフェース1124を更に含むことができる。通信インターフェース1124は、コンピュータシステム1100がリモートデバイス、リモートネットワーク、リモートエンティティ等の任意の組合せ(参照番号1128により個々に及びまとめて参照される)と通信し対話できるようにする。例えば、通信インターフェース1124は、コンピュータシステム1100が通信パス1126を介してリモートデバイス1128と通信できるようにし、通信パス1126は有線及び/又は無線であり得、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット等の任意の組合せを含み得る。制御論理及び/又はデータは、通信パス1126を介してコンピュータシステム1100とやりとりすることができる。当業者に明らかになるように、他のコンピュータアーキテクチャを利用することもできる。
【0099】
[0113] 制御論理(ソフトウェア)を記憶した有形コンピュータ使用可能又は可読媒体を含む有形の装置又は製品も、本明細書ではコンピュータプログラム製品又はプログラム記憶装置と呼ばれる。これには、限定ではなく、コンピュータシステム1100、メインメモリ1108,二次メモリ1110、リムーバブル記憶ユニット1118及び1122、並びに上記の任意の組合せを具現する有形製品がある。そのような制御論理は、1つ又は複数のデータ処理デバイス(コンピュータシステム1100等)により実行されると、本明細書に記載のようにそのようなデータ処理デバイスを動作させる。
【0100】
細胞振動スペクトル分析器からの結果
[0114] 6ヶ月期間にわたり、本発明者らは新技術の細胞マシン及び精密測定行列(PMM)プロプライエタリソフトウェアを利用して測定を行い、がん細胞及び非がん細胞の両方のベースラインノイズフロア並びに媒体、薬剤、及びホルムアルデヒドの導入後のそれらの細胞を系統的に測定した。分析された2つの主な細胞タイプは、エストロゲン陽性乳がん細胞及び膠芽腫脳がん細胞を含んだ。
図12A~
図12F、
図13A~
図13C、
図14A及び
図14Bのグラフは、周波数範囲100Hz、0.10Hz増分を用いて60秒時間期間にわたる特定の周波数イベント(音波スペクトル)のカウントの測定を示す。グラフにおける異なる色は同じセッションにおける異なる測定値である。各タイプの細胞の音波スペクトルは顕著に異なる。がん細胞は多くの場合、非がん細胞よりも高い振幅スペクトルを生成した。本発明者らは、細胞により生成された音波スペクトル/周波数が時間にわたり動的であることを証明した。ここで見られたことは、60秒期間(周波数イベント音波スペクトルの最終的な時間順ではない)にわたり静的なデータである。細胞に特定の薬剤が与えられ、及び/又は24時間飢餓状態にし、それからインスリン、TNF、及びホルモンを含む成長因子を与えると、細胞はより高い振幅音波スペクトル/振動/周波数で応答する。一貫して、ホルムアルデヒドが細胞に導入される場合、本発明者らは振動エネルギーの遅い崩壊を目撃し測定した。
【0101】
[0115] さらに、HL-1心筋細胞を導入して、培養液中で攪拌し、筋細胞により生成されたこれらの収縮の振動をマシン記録し、この信号はビームからの距離の関数として低下した。ビデオ撮像及び収縮の特定により平均周波数0.93Hzが導出されたが、それでもなおマシンは、うなり周波数及び生じた高調波値を取得することができた。本明細書における直交技法の使用は、予期された結果及び新規の高調波値を取得するマシンの能力を実証する証拠を提供する。
【0102】
非限定的な開示条項
[0116] システム/方法は、長期観測であっても細胞にいかなる害も生じさせないように、in vivoで生体細胞/組織を研究するのに使用することができる。
【0103】
[0117] システム/方法は、波長約500nmを有する光子ビーム源としてレーザを使用することができる。
【0104】
[0118] システム/方法は、高周波で動作することができる高感度光電子増倍管ストリーミング電子出力に基づいて「単一ピクセル」光子検出器を使用することができる。
【0105】
[0119] システム/方法は、信号の時間、周波数、及び振幅を特徴付ける第1の分析モジュールを有することができる。
【0106】
[0120] システム/方法は、光子ビーム源に給電する低ノイズ電源を含むことができる。
【0107】
[0121] システム/方法は、バイアス及び利得調整及び増幅器のノイズ低減を支援する任意選択的な軸方向信号注入要素を有することができる。そして、スイッチを使用して信号注入要素をオンオフ切り替えることができる。
【0108】
[0122] そこにおいて、任意選択的な時間コードモジュールが任意選択的な動画及び/又はビデオ、刺激、及び特徴付けられた結果を同時に追跡するために含まれる。
【0109】
[0123] そこにおいて、PMM(又は他の時間/周波数/振幅ソフトウェア)が使用されて、デジタル信号ストリームから作成されたイベントのフィルタリングに基づいて3Dマトリックス出力及び/又はヒストグラム及び/又は特徴付けデータを作成する。
【0110】
[0124] そこにおいて、参照により援用された上記特許に記載される技法を使用してDCオフセット及びバイアスを調整して、測定(細胞変調された)信号及び基準信号を位置合わせすることができる。
【0111】
[0125] そこにおいて、複数の検出器及び/又はフィルタを同時に使用することができる。
【0112】
[0126] そこにおいて、位相ロックループ又は他の手段による制御された光強度の変調を使用して、測定値から抽出されたデータを改善し、特に信号対雑音比を改善することができる。
【0113】
結び
[0127] 本開示に含まれる教示に基づいて、
図10に示される以外のデータ処理デバイス、コンピュータシステム、及び/又はコンピュータアーキテクチャを使用して本発明をいかに作製し使用するかが関連技術分野の当業者には明らかになる。そのようなことは、本明細書に記載される以外のソフトウェア、ハードウェア、及び/又はオペレーティングシステム実装、及びそれらの組合わせを用いて達成することができる。
【0114】
[0128] 本発明の特定の態様が本明細書に示され説明されたが、特許請求の範囲が説明され示された部分の特定の形態又は配置に限定されるべきではないことを理解されたい。本発明の変更及び変形が上記教示に照らして可能である。したがって、本発明が特に記載された以外で実施することも可能なことを理解されたい。