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特許7457719糖アルコールを含むカンナビノイドチューインガム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】糖アルコールを含むカンナビノイドチューインガム
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/68 20060101AFI20240321BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 31/60 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240321BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240321BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240321BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61K9/68
A61K31/05
A61K31/352
A61K31/60
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/44
A61P1/00
A61P1/02
A61P1/04
A61P1/08
A61P1/14
A61P3/10
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/18
A61P29/00
A61P31/00
A61P35/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021543320
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 DK2019050304
(87)【国際公開番号】W WO2020151791
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】16/257,963
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】3,031,530
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】521325709
【氏名又は名称】ノルディックカン・アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイジ・ツィーグラー・ブルーン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥールト・シャキンガー・ボーセン
(72)【発明者】
【氏名】アン・エリクセン
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/059859(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/202424(WO,A1)
【文献】米国特許第09833408(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0273902(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0209322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00- 1/18
A61P 3/00- 3/14
A61P 21/00-21/06
A61P 25/00-25/36
A61P 29/00-29/02
A61P 31/00-31/22
A61P 35/00-35/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイドの粘膜送達のためのチューインガムであって、チューインガムが水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースを含み、
ガムベースが、ガムベースの10~40質量%の量の1種又は複数種の天然樹脂と、ガムベースの3~30質量%の量の1種又は複数種のエラストマーと、ガムベースの8~50質量%の量の1種又は複数種のポリビニルアセテートエラストマー可塑剤とを含み、
水溶性チューインガム成分が、チューインガムの4070質量%の量の1種又は複数種の糖アルコールを含み、
チューインガムが、0.1~200mgの量の1種又は複数種のカンナビノイドを含み、
1種又は複数種の天然樹脂が、部分水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、部分水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素化メチルエステル、又はロジンのペンタエリトリトールエステルを含むエステルガム;アルファ-ピネン、ベータ-ピネン及び/又はd-リモネンから誘導されたテルペン樹脂から選択される合成樹脂;又は天然テルペン樹脂である、チューインガム。
【請求項2】
1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも10質量%が非結合型で存在する、請求項1に記載のチューインガム。
【請求項3】
1種又は複数種の糖アルコールが、チューインガムの1つの層内に部分的に位置し、非水溶性ガムベースが、チューインガムの別の層内に位置する、請求項1又は2に記載のチューインガム。
【請求項4】
1種又は複数種のカンナビノイドの放出率が、経口投与から最初の5分以内で1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも10質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項5】
1種又は複数種の糖アルコールが、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール、イソマルト、マンニトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項6】
1種又は複数種のポリビニルアセテートエラストマー可塑剤が、ガムベースの15~40質量%の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項7】
1種又は複数種のポリビニルアセテートエラストマー可塑剤が、ガムベースの15~35質量%の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項8】
1種又は複数種のポリビニルアセテートエラストマー可塑剤が、ガムベースの20~35質量%の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項9】
ガムベースがラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項10】
1種又は複数種の天然樹脂が、ガムベースの15~35質量%の量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項11】
1種又は複数種のエラストマーが、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリウレタン又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項12】
1種又は複数種のカンナビノイドのためのポリマー担体を含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項13】
1種又は複数種のカンナビノイドを、0.1~100mgの量で含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項14】
1種又は複数種のカンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、及びその塩からなる群から選択される1種又は複数種のカンナビノイドを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項15】
1種又は複数種のカンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、及びその塩からなる群から選択される1種又は複数種のカンナビノイドを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項16】
1種又は複数種のカンナビノイドが、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物中に存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項17】
1種又は複数種のカンナビノイドが、抽出物の一部を形成している少なくとも1種のフィトカンナビノイド及び/または少なくとも1種の単離カンナビノイドを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項18】
1種又は複数種のカンナビノイドのための脂質担体を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項19】
疼痛、てんかん、がん、悪心、炎症、先天性障害、神経障害、経口感染、歯痛、睡眠時無呼吸、精神障害、胃腸障害、炎症性腸疾患、食欲喪失、糖尿病、線維筋痛症、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される病状の治療又は緩和のための、請求項1から18のいずれか一項に記載のチューインガム。
【請求項20】
パッケージが、1種又は複数種のカンナビノイド及び酸素のバリアとして働く材料であるアクリロニトリル及びアクリル酸メチルのコポリマーを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載のチューインガムを含むパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド、及び1種又は複数種のカンナビノイドによる状態の緩和又は治療の分野に関する。特に、本発明は、1種又は複数種のカンナビノイドの粘膜送達のためのビヒクルとしての、チューインガムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、チューインガムは、疼痛に関連する病状等の病状の緩和又は治療のためのカンナビノイドの送達のためのビヒクルとして先行技術に記載されている。焦点は、人体に対するカンナビノイドの様々な作用を支持する臨床研究に一般に合わせられているが、先行技術では、関心が向けられた医学的目的でのチューインガム製剤自体に払われる注目はごく限られる。チューインガムは、すべてが互いに相互作用し、チューインガムに特定の特性を与える様々なタイプの成分の複合マトリックスであるので、先行技術の課題を克服することができるチューインガムが先行技術において必要とされていることが明らかである。
【0003】
先行技術の課題のうちの1つは、糖アルコール甘味料等の水溶性チューインガム成分が比較的多量に存在するとき、チューインガムの官能特性が損なわれることが見られる場合があることである。特に、チューインガムの食感と、カンナビノイドの制御放出を達成したいという組合せの欲求とに関して課題が生じる場合がある。
【0004】
加えて、チューインガム自体を除いて、先行技術では、カンナビノイドの放出特性に関するガムベース及びこのようなガムベース中の成分の影響に払われる注目は非常にごく限られる。カンナビノイドを含むチューインガムの官能特性に関するガムベース及びこのようなガムベース中の成分の影響にはあまり注目が向けられていない。ここで、重要な官能特性には、初期咀嚼、食感、香味知覚、甘味知覚、及びカンナビノイドに関連するオフノートが含まれる。これらの特性は、チューインガムにおける便宜の観点から、しかし確かに、チューインガムからのカンナビノイドの適切な送達を支持し且つカンナビノイドの有害な副作用を回避するためにも、いずれも関連する。
【0005】
カンナビノイドは、その健康改善特性で知られており、過去において様々な医学的目的に対して使用されてきた。これらの医学的目的のうち、カンナビノイドは、異なる種類の疼痛を緩和又は治療するために且つがん処置に関連する悪心等の副作用を抑制するために特に使用されてきた。
【0006】
先行技術において明らかにされたカンナビノイドを投与する1つの方法は吸入又は喫煙による。このような投与に関係する問題は、肺を介した急速な血液吸収が望ましくない場合があることである。喫煙は、ある種の副作用を有する場合があるだけでなく、カンナビノイドの投与は、安全性に関して管理するのが困難である場合もある。
【0007】
WO2009/120080には、カンナビノイドの医学的担体及び放出ビヒクルとしてのチューインガムの使用が開示されている。この中で開示されたチューインガムは、他のタイプの投与方法と比べてカンナビノイドの長時間の放出を容易にすることができる。しかし、カンナビノイドの特定の特性に部分的に基づいて、様々な問題及び課題が、開示されたチューインガムに関連する。ある特定の従来のガムベースが、開示されたチューインガムの製剤化において使用されるが、これらのガムベースは、カンナビノイドとの併用に関して欠点を有するように見受けられる。
【0008】
カンナビノイドの送達ビヒクルとしてのチューインガムの課題のうちの1つは、カンナビノイドが、化合物の特定の生理化学的特性のために、投与中のオフノートに関連する傾向があることである。より高放出のカンナビノイドがこのようなチューインガムにより送達されるとき、味マスキングの課題はより深刻である。オフノートが投与中の支配的な感覚である場合、便宜が影響されることがあり、更にいっそう決定的には、カンナビノイドの送達も影響されることがある。唾液産生が抑制されることがあり、送達ビヒクルが正しく取り扱われないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2009/120080号
【非特許文献】
【0010】
【文献】European Pharmacopoeia、第5版のDissolution Test for Chewing Gums, General Monograph 2.9.25
【文献】H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfstoffe fuer Pharmacie, Kosmetik und Angrenzende Gebiete、63~64頁(1981)
【文献】Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、2000年8月、US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research
【文献】A. Douglas Kinghorn他、Phytocannabinoids、第103巻、第1章、1~30頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、先行技術の上記の課題及び問題を解決する改善されたチューインガム製剤が先行技術において必要とされている。特に、香味知覚、甘味知覚及びオフノート等の有益な官能特性と組み合わせたカンナビノイドの適切な送達を支持する、チューインガムにおける使用のための新しいガムベース製剤が先行技術において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースを含むチューインガムであって、ガムベースが、ガムベースの10~40質量%の量の1種又は複数種の天然樹脂と、ガムベースの3~30質量%の量の1種又は複数種のエラストマーと、ガムベースの8~50質量%の量の1種又は複数種のエラストマー可塑剤とを含み、水溶性チューインガム成分が、チューインガムの35~80質量%の量の1種又は複数種の糖アルコールを含む、チューインガムが1種又は複数種のカンナビノイドを含む、チューインガムが提供される。
【0013】
本発明は、先行技術の様々な問題を解決することができ、有利な官能特性と組み合わせたカンナビノイドの有益な送達特性を組み合わせるチューインガムを確立することを目的とする。
【0014】
先行技術における焦点は、人体に対するカンナビノイドの様々な作用を裏付ける異なる種類の医学的適応及び臨床研究に一般に合わせられているが、本発明は、関心が向けられた医学的目的での改善されたチューインガム製剤を提供することを目的とする。すべてが互いに相互作用し、チューインガムに特定の特性を与える様々なタイプの成分を含むチューインガムの複雑な性質のために、カンナビノイドの送達ビヒクルとしてのチューインガムを改善することは本発明の発明者らにとって課題であった。
【0015】
課題のうちの1つは、水溶性チューインガム成分が比較的多量に存在するとき、チューインガムの官能特性が損なわれることが見られる場合があることである。特に、チューインガムの食感と、カンナビノイドの制御放出を達成したいという組合せの欲求とに関して課題が生じる場合がある。しかし、本発明者らが驚いたことに、本発明は様々な問題を解決する。
【0016】
重要なことに、水溶性チューインガム成分が本発明の量で存在すると官能特性が損なわれると考えられた。しかし、予想に反して、カンナビノイドの改善された放出と合わせて官能特性は改善された。特に、チューインガムの食感が改善された。チューインガム中のこの量の水溶性成分により、食感はより悪くなると予想された。
【0017】
本発明の非常に重要な態様は、有益な官能特性の提供である。ここで、重要な官能特性には、初期咀嚼、食感、香味知覚、甘味知覚、及びカンナビノイドに関連するオフノートが含まれる。これらの特性は、チューインガムにおける便宜の観点からだけでなく、確かに、改善された放出プロファイル等、チューインガムからのカンナビノイドの適切な送達を支持し且つカンナビノイドの有害な副作用を回避するためにも、重要な関連性があるする。
【0018】
本発明者らは、本発明の特徴の特定の組合せに対して、これらの官能特性の点で非常に驚くべき結果を示した。本発明がカンナビノイドの急速な放出等の改善された放出プロファイルに寄与することができ、同時に明確にチューインガムからのカンナビノイドの適切な送達を支持し且つカンナビノイドの有害な副作用を回避することもできる非常に有益な官能特性をもたらすことができることは予想外の結果であった。
【0019】
より高放出のカンナビノイドがこのようなチューインガムにより送達されるとき、味マスキングの課題はより深刻である。オフノートが投与中の支配的な感覚である場合、便宜が影響されることがあり、更にいっそう決定的には、カンナビノイドの送達も影響されることがある。唾液産生が抑制されることがあり、送達ビヒクルが正しく取り扱われないことがある。
【0020】
放出特性に関して、本発明は、従来のガムベースと比べて、カンナビノイドの改善された放出プロファイルを提供することができる。特に、本発明の特定のガムベース製剤は、カンナビノイドと組み合わせて適用された従来のガムベースと比べてカンナビノイドの改善された放出特性をもたらすのに役立ち得る。
【0021】
本文脈において、改善された放出プロファイルは、従来、チューインガムからのカンナビノイドの放出の課題であったので、利点として特に見られる、より高放出のカンナビノイドを指してよい。カンナビノイドの全身送達並びにカンナビノイドの局所送達の両方の点で有益な健康効果を得るために、ある一定量のカンナビノイドが経時的に放出されることが必要とされる。したがって、カンナビノイドの急速な放出は本発明の利点であり得る。
【0022】
加えて、本発明は、有効量のカンナビノイドを経時的に送達し、同時にオフノート等のカンナビノイドの有害作用を回避するようにチューインガムが調整されるようにカンナビノイドの制御放出を実現するのに役立ち得る。したがって、本発明のチューインガムは、カンナビノイドの比較的持続する放出を同時に提供することができる。
【0023】
ある一定量の1種又は複数種のエラストマー可塑剤と組み合わせたある一定量の1種又は複数種の天然樹脂による本発明の特別な組合せがカンナビノイドの放出特性に特に有利である。本発明による組合せがカンナビノイドの改善された放出特性に寄与するであろうことは本発明者らにとって予想外であった。重要なことに、本文脈におけるエラストマー可塑剤は、ガムベース中に存在するエラストマーを可塑化するのに役立つ。エラストマー可塑剤は、本文脈においてそれ自体でエラストマーと見なされるべきではない。エラストマー特性は本発明のエラストマーによりもたらされ、本発明の有益な放出特性を得る目的でエラストマーを可塑化するためにエラストマー可塑剤は存在する。
【0024】
特に有利である官能特性のうちの1つは初期咀嚼である。カンナビノイドの所望の放出を確実にし且つ消費者による感覚を改善するために、初期咀嚼が改善されることが決定的である。また、咀嚼中のチューインガムの食感が、咀嚼中の便宜と同様にカンナビノイドの放出及び体験にとって決定的である。これらの特性を本発明により改善することができ、これは本発明者らには予想されなかったことである。
【0025】
本ガムベースは、カンナビノイド及び味マスキング成分の放出の間の差を全体的に減らすことができるという意味で改善された味マスキングを提供することもできる。
【0026】
カンナビノイド及びガムベース組成物の特定の組合せの別の重要な結果は、カンナビノイドの減少した含有量が、味マスキングに関する要件を軽減する、或いは味マスキングをより効率的にすることになることである。医学的送達プラットホームとして適用されたとき、多くの患者はカンナビノイドの味を感じるのが困難である場合があるという事実を考慮すると、これは重要である。
【0027】
本発明のチューインガムの恩恵を受ける可能性がある患者の大きなグループはオフノートに対して非常に弱いであろうから、この予想外の効果は、本文脈における薬用チューインガムに関して非常に魅力的であることにも留意されたい。
【0028】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、チューインガムの40~70質量%の量の水溶性チューインガム成分を含む。
【0029】
水溶性チューインガム成分がチューインガムの40~70質量%の量で存在することが特に好ましい。この範囲の水溶性チューインガム成分は、特に有益な結果を示した。本発明者らは、改善された放出が水溶性チューインガム成分のこの範囲内で可能になることを予想しなかった。水溶性チューインガム成分は製造プロセスの間にガムベース中に混合されるので、この水溶性成分は、改善された放出を容易にするチューインガムの十分な多孔性をもたらさないと予想された。加えて、カンナビノイドの特定の特性のために、カンナビノイドの放出率が水溶性チューインガム成分により改善されることを発見したことは驚きであった。
【0030】
重要なことに、水溶性チューインガム成分がチューインガムの40~70質量%の量で存在すると官能特性が損なわれると考えられた。しかし、予想に反して、カンナビノイドの改善された放出と合わせて官能特性は改善された。特に、チューインガムの食感が改善された。チューインガム中のこの量の水溶性成分により、食感はより悪くなると予想された。
【0031】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの40~60質量%の量で存在する。
【0032】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも10質量%は非結合型で存在する。
【0033】
本発明の範囲内で、ある一定量が非結合型でも存在することになる限り、ある一定量のカンナビノイドが結合型で存在してよい。
【0034】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、非結合型で非水溶性ガムベース中に混合されている。
【0035】
カンナビノイドが非結合型で存在するとき、ある特定の利点が見られる場合がある。「非結合型」により、チューインガム製剤中のカンナビノイドの自由移動及び放出を制限するいかなる担体材料ともカンナビノイドが結合されていないことを意味する。「結合型」の一例は、カンナビノイドが植物材料の一部であり、且つカンナビノイドがこの植物材料から抽出及び分離されない場合である。他の例は微結晶セルロースのプレブレンドであり得、これはチューインガム製剤中のカンナビノイドの自由移動を制限することが本発明者らによって見られた。また、一部の実施形態において、非水溶性担体との他のプレブレンドは、感覚の出現及びカンナビノイドの放出の両方の問題のために回避されるべきである。
【0036】
遊離型のカンナビノイドを有する利点は、改善された官能特性でもあり得る。例えば、植物材料は、チューインガムマトリックスを損なう場合があり、例えば微結晶セルロースは、一般にチューインガム及びチューインガムの複合マトリックスの食感に影響する場合がある。
【0037】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも90質量%は非結合型で存在する。
【0038】
遊離型のカンナビノイドを有する利点は、改善された官能特性でもあり得る。例えば、植物材料は、チューインガムマトリックスを損なう場合があり、例えば微結晶セルロースは、一般にチューインガム及びチューインガムの複合マトリックスの食感に影響する場合がある。
【0039】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布している。
【0040】
1種又は複数種の糖アルコール中に均一に1種又は複数種のカンナビノイドを分布させることにより、カンナビノイドの味マスキングに関して最大の効果が達成されるようにすることができる。
【0041】
均一な分布の大きな利点のうちの1つは、高い含有量均一性を有するマトリックスを得ることであり得、すなわち、製品は、カンナビノイド及び糖アルコールの均一な分布を有する特徴を持つ。
【0042】
1種又は複数種のカンナビノイドが1種又は複数種の糖アルコールと共に均一に分布していると、放出特性及び官能特性が損なわれることになることが予想される。反対に、官能特性が改善されることが見られ、本発明者らが驚いたことに、改善された放出を達成することができることも見られた。
【0043】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコールと近接して位置する。
【0044】
従来、非水溶性ガムベースは、カンナビノイドの高度な放出をもたらさないマトリックスとして見られた。特に、カンナビノイドに関して、1種又は複数種のカンナビノイドが1種又は複数種の糖アルコールと近接して位置するとき、改善された放出が見られ得ることは驚きである。
【0045】
1種又は複数種の糖アルコールと密接に関連したカンナビノイドが、本発明者らによって見られたような程度まで放出されることになることは予想されなかった。
【0046】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコールに組み込まれている。
【0047】
1種又は複数種の糖アルコールにカンナビノイドを組み込む大きな利点のうちの1つは、高い含有量均一性を有するマトリックスを得ることであり得、すなわち、製品は、カンナビノイドの均一な分布を有する特徴を持つ。
【0048】
カンナビノイドが1種又は複数種の糖アルコールに組み込まれると、放出特性及び官能特性が損なわれることになることが予想される。反対に、官能特性が改善されることが見られ、本発明者らが驚いたことに、改善された放出を達成することができることも見られた。
【0049】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、自由流動性粉末として存在する。
【0050】
本発明のある実施形態において、水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースは、チューインガム中で部分的に分離されている。
【0051】
本発明のある特定の実施形態において、チューインガム中の非水溶性ガムベースから水溶性チューインガム成分を部分的に分離することは、いくつかの利点をもたらし得る。例えば、放出をより高度に制御することができ、放出をより高度にモジュレートすることができる。
【0052】
このような構成の一例は、コーティングがチューインガムに施される場合である。この場合、ある量の水溶性成分がコーティング中に存在してよく、非水溶性成分がコーティング内にコアとして置かれてよい。この構成により、有利な制御放出特性をもたらすことができる。
【0053】
このような構成の別の例は、水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースが、コーティングを除いて、チューインガム内で部分的に分離されている場合である。これは、水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースが完全に均一でないとき起こり得る。しかし、これは、水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースが、チューインガム内で部分的に分離されているときも起こり得る。ある特定の有益な放出特性及び官能特性は、このような構成に関連し得る。
【0054】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの離散領域内に部分的に位置する。
【0055】
チューインガムの均一なマトリックスが本発明の一部の実施形態において好ましいが、本発明の他の実施形態において、チューインガム内の1種又は複数種の糖アルコールの離散領域を伴うのが好ましい。例えば離散領域がチューインガム内に設けられると、放出特性を改善することができ、又はチューインガムからの放出を制御することがより容易になり得る。1種又は複数種の糖アルコールの離散領域は、押出チューインガムにとって利益になり得るが、離散領域は、密着したチューインガム塊と共に押し出されないチューインガム等、他のカテゴリーのチューインガムにとっても利益になり得る。
【0056】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの1つの層内に部分的に位置し、非水溶性ガムベースは、チューインガムの別の層内に部分的に位置する。
【0057】
本発明のある特定の実施形態において、1つの層内の1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性チューインガム成分をチューインガムの別の層内の非水溶性ガムベースから部分的に分離することは、いくつかの利点をもたらし得る。例えば、放出をより高度に制御することができ、放出をより高度にモジュレートすることができる。
【0058】
このような構成の一例は、コーティングがチューインガムに施される場合である。この場合、1種又は複数種の糖アルコール等のある量の水溶性成分がコーティング中に存在してよく、非水溶性成分がコーティング内にコアとして置かれてよい。この構成により、有利な制御放出特性をもたらすことができる。
【0059】
このような構成の別の例は、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性チューインガム成分及び非水溶性ガムベースが、コーティングを除いて、チューインガム内の1つ又は複数の層内で部分的に分離されている場合である。これは、1つの面している表面及び互いに密着していない別の表面と互いに密着された2つの別個のモジュール等、互いに分離された2つの層になるように構成されてよい。このような構成では、両方の層が、非水溶性チューインガム成分及び1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性成分を含んでよい。代わりに、ただ1つの層が、非水溶性チューインガム成分を含んでよく、両方の層が、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性成分を含んでよい。
【0060】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの1つの層内に部分的に位置し、非水溶性ガムベースは、チューインガムの別の層内に位置する。
【0061】
特に好ましい実施形態では、ただ1つの層が、非水溶性チューインガム成分を含み、両方の層が、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性成分を含む。これは、1つの面している表面及び互いに密着していない別の表面と互いに密着された2つの別個のモジュール等、互いに分離された2つの層になるように構成されてよい。これは、1つの面している表面及び互いに密着していない別の表面と互いに密着された3つの別個のモジュール等、互いに分離された2つを超える層になるように構成されてもよい。ある特定の実施形態において、1つの層は、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性チューインガム成分からなる。ある特定の他の実施形態において、1つの層は、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性チューインガム成分から実質的になり、別の層は、非水溶性チューインガム成分を含む。ある特定の有益な放出特性及び官能特性は、このような構成に関連し得る。
【0062】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの1つの層内に部分的に且つチューインガムの別の層内に部分的に位置する。
【0063】
特に好ましい実施形態では、ただ1つの層が、非水溶性チューインガム成分を含み、両方の層が、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性成分を含む。これは、1つの面している表面及び互いに密着していない別の表面と互いに密着された2つの別個のモジュール等、互いに分離された2つの層になるように構成されてよい。ある特定の実施形態において、1つの層は、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性チューインガム成分からなる。ある特定の他の実施形態において、1つの層は、1種又は複数種の糖アルコール等の水溶性チューインガム成分から実質的になり、別の層は、非水溶性チューインガム成分を含む。ある特定の有益な放出特性及び官能特性は、このような構成に関連し得る。
【0064】
本発明のある実施形態において、水溶性チューインガム成分は、チューインガムの1つの層内に部分的に且つチューインガムの別の層内に部分的に位置する。
【0065】
更なる好ましい実施形態において、1つの層は、水溶性チューインガム成分を含み、別の層は、水溶性成分を含む。これは、1つの面している表面及び互いに密着していない別の表面と互いに密着された2つの別個のモジュール等、互いに分離された2つの層になるように構成されてよい。ある特定の実施形態において、1つの層は、水溶性チューインガム成分からなる。ある特定の他の実施形態において、1つの層は、水溶性チューインガム成分から実質的になり、別の層は、非水溶性チューインガム成分を含む。ある特定の有益な放出特性及び官能特性は、このような構成に関連し得る。
【0066】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの1つの層内に部分的に且つチューインガムの別の層内に部分的に位置し、同じタイプの糖アルコールが、両方の層内に存在する。
【0067】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、チューインガムの1つの層内に部分的に且つチューインガムの別の層内に部分的に位置し、異なるタイプの糖アルコールが、層内に存在する。
【0068】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、非水溶性ガムベース中に混合されている。
【0069】
上記のもの等、様々なカテゴリーのチューインガムが本発明の範囲内であるが、ある特定の実施形態において、水溶性チューインガム成分が非水溶性ガムベース中に混合されていることが好ましい。このような構成の一例は、チューインガムの密着した塊が送達ビヒクルとして提供される押出チューインガムである。この意味で、「中に混合される」は、チューインガムの均一な塊を提供することと理解されるべきである。
【0070】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコールを含む水溶性チューインガム成分の一部である。
【0071】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、非水溶性ガムベース中に均一に分布している。
【0072】
非水溶性ガムベース中に均一に1種又は複数種のカンナビノイドを分布させることにより、カンナビノイドの放出に関して最大の効果が達成されるようにすることができる。更に、非水溶性ガムベースと密接に関連したカンナビノイドが、本発明の発明者らによって見られたような程度まで放出されることになることは予想されなかった。
【0073】
従来、非水溶性ガムベースは、カンナビノイドの高度な放出をもたらさないマトリックスとして見られた。特に、カンナビノイドに関して、エラストマー可塑剤がガムベース中で適用されたとき、改善された放出が見られ得ることは驚きである。これは、カンナビノイドがエラストマー可塑剤と近接して均一に分布しているとき、更にいっそう驚くべきことである。
【0074】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、非水溶性ガムベースに組み込まれている。
【0075】
1種又は複数種のエラストマー可塑剤を含む非水溶性ガムベースにカンナビノイドを組み込む大きな利点のうちの1つは、高い含有量均一性を有するマトリックスを得ることであり得、すなわち、製品は、カンナビノイドの均一な分布を有する特徴を持つ。
【0076】
カンナビノイドが非水溶性ガムベースに組み込まれると、放出特性及び官能特性が損なわれることになることが予想される。反対に、官能特性が改善されることが見られ、本発明者らが驚いたことに、改善された放出を達成することができることも見られた。確かに、非水溶性ガムベースはエラストマー可塑剤を含むため、カンナビノイドの放出がより少なくなるであろうことが予想される。
【0077】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、押出チューインガムとして製剤化されており、水溶性チューインガム成分が非水溶性ガムベース中に混合されている。
【0078】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの放出率は、経口投与から最初の5分以内で1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも10質量%である。
【0079】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの放出率は、経口投与から最初の5分以内で1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも20質量%である。
【0080】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの放出率は、経口投与から最初の5分以内で1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも30質量%である。
【0081】
全身作用が比較的速やかに達成される製剤等、ある種の製品製剤では、放出プロファイルが高いことが有利である。本文脈において、10%超の放出率は、比較的高いと見なされる。カンナビノイドの特定の特性のために、10%超の放出率は、高いと見なされる。本発明者らは、このような放出率が本発明に従って得られ得ることを予想しなかった。ガムベースの特定の組成物がこのような高放出率を可能にすることはないと予想された。
【0082】
本発明のある特定の実施形態において、放出率は、経口投与から最初の5分以内で20%又は30%等、10%超である。この文脈において、放出率は、チューインガムが口に挿入され、初期咀嚼が実施され、1咀嚼/秒等の適したガム咀嚼速度で咀嚼が開始された時間から5分の咀嚼まで測定される。
【0083】
重要なことに、本発明のチューインガムの改善された官能特性は、カンナビノイドの放出率の改善ももたらす。理由は、初期咀嚼が改善され、チューインガムの食感も改善されると、これが、使用者が製品を効果的に咀嚼する引き金となることになるためである可能性がある。また、製品製剤が改善されると、唾液の産生を亢進させることができ、ひいてはカンナビノイドの放出の更なる増加をもたらすことができる。しかし、正確な機構はよく理解されていない。
【0084】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの放出率は、経口投与から最初の5分以内で1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも50質量%である。
【0085】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの味は、1種又は複数種の糖アルコールにより部分的にマスクされている。
【0086】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール、イソマルト及びマンニトールからなる群から選択される。
【0087】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールはソルビトールである。
【0088】
本発明のある実施形態において、少なくとも2種の糖アルコールは、1種又は複数種の糖アルコールの一部である。
【0089】
本発明のある実施形態において、ガムベースは、50%未満のガムベースポリマーを含む。
【0090】
本発明の効果を達成するために、ポリマーの含有量が比較的低いことが一部の実施形態において好ましい場合がある。これにより、例えば、カンナビノイドの放出を改善することができるようになり、且つチューインガムの官能特性を改善することができるようになる。特に、ラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーが適用されるとき、ガムベースポリマーの含有量がガムベースの50質量%未満であるべきであることが決定的であるようである。このポリマーは、本文脈におけるチューインガム製剤を損なう場合があるようである。
【0091】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のエラストマー可塑剤は、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤を含む。
【0092】
1種又は複数種のエラストマー可塑剤が、ある一定量の1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤を含むとき、本発明の著しい利益が得られる。驚くべきことに、これらの可塑剤によりカンナビノイドの放出特性が特に改善されることが見られた。ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、本文脈においてそれ自体でエラストマーと見なされるべきではない。したがって、ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤が可塑剤として働くために、分子量及び他のポリマー特性が調整される。エラストマー特性は本発明のエラストマーによりもたらされ、本発明の有益な放出特性を得る目的でエラストマーを可塑化するためにポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は存在する。ポリ酢酸ビニルエラストマーはポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤と見なされるべきではない。
【0093】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベースの15~35質量%の量で存在する。
【0094】
ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の特に好ましい範囲は、ガムベースの15~35質量%である。ここで、カンナビノイドの放出並びに初期咀嚼、食感、香味知覚、甘味及びオフノート等の官能特性に関して非常に有利な結果が達成された。好ましい範囲がこのような高いレベルになることは本発明者らにとって驚きであった。また、このような多量のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤が、改善された官能特性の複合効果を有することになることは予想されなかった。
【0095】
本発明の他の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベースの17~33質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベースの20~35質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベースの20~30質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベースの15~40質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベースの20~40質量%の量で存在する。
【0096】
本発明のある実施形態において、ガムベースはラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含まない。
【0097】
本発明者らが驚いたことに、ラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーがカンナビノイドの放出及びチューインガムの官能特性を損なう場合があることが見られた。したがって、このコポリマーがガムベース中に存在しないことが好ましい。
【0098】
特定の他の実施形態において、ガムベースポリマーは、20質量%未満のラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含む。特定の他の実施形態において、ガムベースポリマーは、15質量%未満のラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含む。特定の他の実施形態において、ガムベースポリマーは、10質量%未満のラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含む。特定の他の実施形態において、ガムベースポリマーは、5質量%未満のラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含む。
【0099】
本発明の一部の実施形態において、ポリ酢酸ビニルエラストマーがガムベース製剤中に存在する場合、ガムベースポリマーは、10%未満等、5%未満等、20質量%未満のラウリン酸ビニル-酢酸ビニルコポリマーを含む。本文脈において、ポリ酢酸ビニルエラストマーはポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤と同じではない。基本的には、ポリ酢酸ビニルエラストマーは、チューインガムにエラストマー特性をもたらし、一方、ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、ガムベース中に存在するエラストマーを可塑化する働きをする。
【0100】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ガムベースの15~35質量%の量で存在する。
【0101】
天然樹脂は、本発明に有益な特性をもたらす。特に天然樹脂及びエラストマー可塑剤の組合せは、カンナビノイドの放出特性及び官能特性の両方の点で、一般にガムベースに、続いてチューインガム製剤に有益な特性をもたらす。
【0102】
天然樹脂の特に有利な範囲は、ガムベースの15~35質量%である。この範囲の天然樹脂は、改善された放出プロファイル及び最良の官能特性を与えることが見られた。ガムベースの10~40質量%の天然樹脂も本発明の範囲内であるが、ガムベースの15~35質量%で最良の結果が見られた。
【0103】
本発明の他の実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ガムベースの17~33質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ガムベースの20~35質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ガムベースの20~30質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ガムベースの15~40質量%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ガムベースの20~40質量%の量で存在する。
【0104】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の天然樹脂は、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ウッドロジン又はトール油ロジンに基づく樹脂からなる群から選択される。
【0105】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のエラストマーは、スチレン-ブタジエンコポリマー類、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレンコポリマー類、ポリエチレン、ポリウレタン又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0106】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のエラストマーは、3~15質量%の量等、5~10質量%の量等、3~20質量%の量で存在する。
【0107】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、全混合時間の半分超の期間の後に糖アルコールと共に非水溶性ガムベース中に混合されている。
【0108】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、水溶性チューインガム成分との予備混合物の一部として非水溶性ガムベース中に混合されている。
【0109】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドを非水溶性ガムベース中に混合する工程の前に、水溶性チューインガム成分の少なくとも一部が非水溶性ガムベース中に混合される。
【0110】
本文脈において、製造プロセスに適切に1種又は複数種のカンナビノイドを配分するために、並びに均一性が損なわれないように且つカンナビノイドが混合物中に適切に分布するように予備混合物が主に使用される。好ましくは、カンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で提供される。製造プロセスにおいてカンナビノイドを適切に分布させ、最終的に均一性が一貫している製品とするために予備混合物が重要であることは本発明者らにとって驚きであった。
【0111】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、微結晶セルロースとの予備混合物の一部ではない。
【0112】
本発明のある特定の実施形態において、カンナビノイドは、微結晶セルロースとの予備混合物の一部ではない。予備混合物中の微結晶セルロースを使用することによりカンナビノイドの放出率及び官能特性の両方がある程度損なわれることが見られた。理論によって制限されることなく、カンナビノイドは、好ましいよりも高度に微結晶セルロースに結合されることが予想される。
【0113】
一部の実施形態において、カンナビノイドの50%未満が、微結晶セルロースとの予備混合物の一部である。一部の実施形態において、カンナビノイドの20%未満が、微結晶セルロースとの予備混合物の一部である。一部の実施形態において、カンナビノイドの10%未満が、微結晶セルロースとの予備混合物の一部である。
【0114】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~200mgの量で存在する。本発明の一部の他の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~100mgの量で存在する。本発明の一部の他の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~50mgの量で存在する。本発明のある実施形態において、前記チューインガムは、1~20mg等、5~15mg等、0.1~30mgの量の前記カンナビノイドを含む。
【0115】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、その塩及び誘導体を含む。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、CBD、その塩並びに類似体及び同族体を含む誘導体を含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドはカンナビジオール(CBD)を含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドはCBDである。
【0116】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、その塩及び誘導体を含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドはテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。好ましくは、THCは、(-)-trans-Δ9-テトラヒドロカンナビノール、すなわち(6aR,10aR)-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)を意味することが意図される。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドはTHCである。
【0117】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、その塩及び誘導体を含む。
【0118】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも2種のカンナビノイドを含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、THC及びCBD等、いくつかのカンナビノイドの組合せを含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、THC及びCBDの組合せである。
【0119】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、何らかの任意選択で適用されるコーティングの前に、チューインガムの35~70質量%又はチューインガムの40~65質量%又はチューインガムの45~60質量%等、チューインガムの30~75質量%の量のガムベースを含む。
【0120】
本発明のある実施形態において、チューインガムはワックスを含む。本発明のある実施形態において、チューインガムは脂肪を含む。
【0121】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、チューインガムの0.01~5質量%の間の量等、チューインガムの0.01~10質量%の間の量の香料を含む。
【0122】
本発明の有利な実施形態によれば、チューインガムは、化学療法を受けている患者等の重症患者にとってより許容される可能性がある香料、例えば酸を含む香料と共に製剤化されてよい。
【0123】
本発明のある実施形態において、チューインガムは高甘味度甘味料を含む。
【0124】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、第1の工程が、第1の混合プロセスにおいてガムベースを提供するプロセスを含み、更なる工程が、更なる混合プロセスにおいてガムベースを更なるチューインガム成分と混合するプロセスを含む2工程プロセスで製造される。本発明のある実施形態において、チューインガムは、押出機による1工程プロセスで製造される。これは押出チューインガムと呼ばれる。
【0125】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、固体状で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、液体状又は半液体状で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、顆粒中に存在する。
【0126】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、1種若しくは複数種の糖アルコール又はサッカロースとの予備混合物中に存在する。
【0127】
本文脈において、製造プロセスに適切に1種又は複数種のカンナビノイドを配分するために、並びに均一性が損なわれないように且つカンナビノイドが混合物中に適切に分布するように予備混合物が主に使用される。好ましくは、カンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で提供される。製造プロセスにおいてカンナビノイドを適切に分布させ、最終的に均一性が一貫している製品となるために予備混合物が重要であることは本発明者らにとって驚きであった。
【0128】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、シクロデキストリンとの複合体の一部を形成する。この複合体は、本発明によるカンナビノイドの放出を促進することができる。
【0129】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、抽出物の一部を形成する少なくとも1種のフィトカンナビノイドを含む。本発明の一部の実施形態において、抽出物の一部としてのカンナビノイドは、カンナビノイドの放出を促進することができることが見られた。抽出物中で適用される濃度が低いほど、より高放出であることも見られた。
【0130】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、抽出物の一部を形成する少なくとも1種のテルペン等のテルペンを更に含む。
【0131】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも1種の単離カンナビノイドを含む。
【0132】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも1種の水溶性カンナビノイドを含む。水溶性カンナビノイドは、本発明による放出を促進することができる。
【0133】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、1種又は複数種の乳化剤を含む。
【0134】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、前記チューインガムの1~10質量%等、前記チューインガムの2~8質量%等、前記チューインガムの0.1%~25質量%の量の乳化剤を含む。
【0135】
本発明のある実施形態において、乳化剤は、アセチル化モノグリセリド、グリセロールモノステアレート等の脂肪酸のモノ-及び/又はジ-グリセリド、acetem、レシチン並びにそれらの任意の組合せの群から選択される。
【0136】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、1種又は複数種の可溶化剤を含む。
【0137】
本発明のある実施形態において、チューインガムは自己乳化剤を含む。
【0138】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、1種又は複数種のカンナビノイドのためのポリマー担体を含む。
【0139】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、1種又は複数種のカンナビノイドのための脂質担体を含む。
【0140】
本発明のある実施形態において、チューインガムは酵素阻害剤を含む。
【0141】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、1種又は複数種の酸化防止剤を含む。
【0142】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは全身作用を有する。
【0143】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは局所作用を有する。
【0144】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、チューインガムの外部コーティングに含まれる。
【0145】
本発明のある特定の実施形態において、カンナビノイドは、チューインガムのコーティング中に存在する。これは、カンナビノイドの促進放出が好ましいとき、特に好ましい。また、カンナビノイドの制御放出が好ましい場合、コーティング中にカンナビノイドを配分することが有利である。カンナビノイドを送達するためにコーティングを使用することが可能であることは本発明の発明者らにより予想されなかった。コーティング中及びチューインガム中のカンナビノイドを組み合わせることにより、カンナビノイドの制御放出を実現することができる。本文脈において、カンナビノイドは、コーティング中に、チューインガム中に、又は両方の場所に配分されてよい。
【0146】
本発明の別の態様において、本発明のチューインガムは、病状の治療又は緩和のために使用されてよい。
【0147】
本発明のある特定の実施形態において、本発明のチューインガムは、疼痛、てんかん、がん、悪心、炎症、先天性障害、神経障害、経口感染、歯痛、睡眠時無呼吸、精神障害、胃腸障害、炎症性腸疾患、食欲喪失、糖尿病及び線維筋痛症の治療又は緩和のために使用されてよい。
【0148】
本文脈において、本発明のチューインガムは、適応のリストからの単一適応として医学的適応に適用されてよい。本発明は、他の医学的適応及び医学的ではない適応、例えば、本発明の製剤により治療又は緩和することができる口内の局所状態、例えば、細菌感染又は歯肉炎に適用されてもよい。このリストは網羅的ではなく、他の適応は本発明の一部である。
【0149】
本発明の別の態様において、1種又は複数種のカンナビノイド及び酸素のバリアとして働く材料、好ましくはアクリロニトリル及びアクリル酸メチルのコポリマーを含む、本発明によるチューインガムを含むパッケージが提供される。
【0150】
本発明のある特定の実施形態において、その中に予防環境を提供するための液体又は半固体を含む、本発明によるチューインガムを含むパッケージ。
【0151】
本発明のある特定の実施形態において、ブリスターパッケージである、本発明によるチューインガムを含むパッケージ。
【0152】
本発明の別の態様において、非水溶性ガムベース、水溶性チューインガム成分及び1種又は複数種のカンナビノイドを用意する工程と、成分を高温下である期間混合する工程と、続いて最終組成物を押し出してチューインガムを得る工程とを含む方法が提供される。
【0153】
本方法のある特定の実施形態において、本方法は、第1の量の水溶性チューインガム成分を非水溶性ガムベース中に高温下で混合してガムベース及び水溶性チューインガム成分の混合物を得る工程と、ある期間の後に第2の量の水溶性チューインガム成分を混合物中に混合する工程と、ある期間の後に1種又は複数種のカンナビノイドを混合物中に混合する工程とを含む。
【0154】
本方法のある特定の実施形態において、第1の量の水溶性チューインガム成分は、1種又は複数種の糖アルコールを含む。
【0155】
本方法のある特定の実施形態において、第2の量の水溶性チューインガム成分は、1種又は複数種の糖アルコールを含む。
【0156】
本方法のある特定の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、第2の量の水溶性チューインガム成分を混合物中に混合するのとほぼ同時に混合物中に混合される。
【0157】
本方法のある特定の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、全混合時間の半分超の期間の後に混合物中に混合される。
【0158】
本方法のある特定の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、混合する工程の最後のできるだけ近くで混合物中に混合される一方、同時に1種又は複数種のカンナビノイドが非水溶性ガムベース中に均一に分布するようにする。
【0159】
本方法のある特定の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、混合する工程の前に予備混合物に含まれ、予備混合物は、1種又は複数種の糖アルコールを含む。
【0160】
本方法のある特定の実施形態において、本方法は、1種又は複数種のカンナビノイドの一部を任意選択で含む外部コーティングをチューインガムに付加する工程を含む。
【0161】
本方法のある特定の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、チューインガムの外部コーティングに含まれる。
【0162】
本方法のある特定の実施形態において、チューインガムは、本発明の製品実施形態のいずれかに従って処方される。
【発明を実施するための形態】
【0163】
ここで、本発明のある特定の態様及び実施形態に関して、本発明を更に詳細に説明する。これらの態様及び実施形態は、本発明の発明の概要及び実施例を含む残りの説明と共に理解されることが意図される。
【0164】
本説明及び特許請求の範囲において使用される「を含む(to comprise)」という動詞及びその活用形は、その非限定的な意味で使用されて、この語に続く項目が含まれるが具体的に述べられない項目が除外されないことを意味する。加えて、要素のうちの1つ及びただ1つが存在することが文脈により明確に要求されていない限り、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、1つを超える要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は「少なくとも1つの」を通常は意味する。加えて、「a」及び「an」という語は、「を含む(comprising)」又は「を含む(containing)」という語と共に本文書において使用されるとき、「1つ又は複数」を意味する。
【0165】
「ガムベース」及び「ガムベースマトリックス」という用語により、典型的にはチューインガムのバルク部分が加えられる前に、互いに混合される主に非水溶性成分及び疎水性ガムベース成分を意味する。「ガムベース」は、ガムベースポリマー並びに可塑剤、ワックス、乳化剤、脂肪及び/又は充填剤を含んでよい。したがって、ガムベースは、第1の工程において製造されてよく、続いて、第2の工程において主に水溶性部分と混合される典型的な非水溶性チューインガム成分を指してよい。ガムベースという用語は、明らかに、押出機に送られ、押出機内でチューインガム成分と混合されたとき最終チューインガムの一部を形成してよい関連するガムベース成分も指してよい。
【0166】
「バルク部分」又は「水溶性成分」という用語は、別々のプロセス又は押出機による1工程プロセスのいずれかでガムベースマトリックス中に混合されてよい主に水溶性及び親水性チューインガム成分を意味することを意図している。
【0167】
「チューインガムの質量」という用語又はそれを意味する同様の言い回しは、本文脈において、ハードコーティング、ソフトコーティング及び同種のもの等の外部コーティングの質量を含まないチューインガムの質量と定義される。
【0168】
「食感」という語句により、チューインガムの粘弾性特性の定性的尺度及び咀嚼過程の間に使用者により経験される全体的な口当たりの定性的尺度を意味する。したがって、「食感」という用語は、硬度及び弾性等の測定可能な量並びに使用者により経験される噛み心地に関係するより主観的なパラメータを包含する。
【0169】
「in vivo咀嚼」という用語は、訓練された試験者の実験セットアップにおいて統計的に原理に従ってヒト対象によりチューインガム系が咀嚼されること、及びヒト対象の唾液又は咀嚼されたチューインガムのいずれかが測定にかけられることを意味することを意図しており、実験セットアップは、60咀嚼/分の咀嚼頻度で実施される。
【0170】
「in vivo放出」若しくは「放出のin vivo試験」という用語又は同様の言い回しは、チューインガムが実施例24に従って試験されることを意味することを意図している。
【0171】
「in vitro放出」若しくは「放出のin vitro試験」という用語又は同様の言い回しは、実施例25に従って、特に欧州薬局方、第5版のDissolution Test for Chewing Gums, General Monograph 2.9.25に従ってチューインガムが試験されることを意味することを意図している。
【0172】
本文脈における「放出」という用語は、「in vivo」又は「in vitro」条件下を意味することが意図される。特に、ある一定の期間中の「放出率」は、60咀嚼/分の咀嚼頻度でこの期間中に放出されるカンナビノイドの百分率での量を意味することが意図される。
【0173】
「持続する放出」又は「延長された放出」という用語は、本明細書において、長時間の経時的な放出を意味することが意図される。「急速な放出」又は「急速な放出」又は「高放出」という用語は、本明細書において、所与の期間に放出されたより高い含有量を意味することが意図される。「制御放出」という用語は、対象の口腔内のガムの積極的な咀嚼の助けによるガムからの物質の放出を意味することが意図され、それによって、積極的な咀嚼は、放出される物質の量を制御している。
【0174】
「口腔粘膜への送達」という用語又は同様の言い回しは、チューインガムが実施例27に従って試験されることを意味することを意図している。
【0175】
「自己乳化剤」は、代わりの相が与えられると最小のエネルギー必要量でエマルションを形成する薬剤である。一方、乳化剤は、自己乳化剤とは対照的に、エマルションを形成するために追加のエネルギーを必要とする薬剤である。
【0176】
「天然樹脂」という用語は、本明細書において使用されるとき、天然起源のテルペンから誘導されたポリテルペンである樹脂性化合物又はガムロジン、ウッドロジン若しくはトール油ロジンから誘導された樹脂性化合物を意味する。
【0177】
ガムベースは、チューインガムの咀嚼物質であり、これは最終製品に咀嚼特性を与える。ガムベースは、典型的には、ガム製品において放出プロファイルを定義し、重要な役割を果たす。ガムベース部分は、咀嚼全体を通じて口内に保持される。水溶性部分は、咀嚼中のある期間にわたって消失する。
【0178】
本発明の実施形態によれば、最終チューインガム中のガムベースマトリックスの好ましい量は、何らかの任意選択で適用されるコーティング前に、チューインガムの35~70質量%又はチューインガムの40~65質量%又はチューインガムの45~60質量%等、チューインガムの30~75質量%である。
【0179】
エラストマーは、ゴムのような、エラストマー及び弾性の性質をガムに与え、これは、この成分の化学構造及びこの成分を他の成分とコンパウンドすることができる方法に応じて様々である。本発明のガムベース及びガムにおける使用に適したエラストマーは、天然型又は合成型を含んでよい。ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、本発明によるエラストマーと見なされない。
【0180】
エラストマーは、スチレン-ブタジエンコポリマー類、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレンコポリマー類、ポリエチレン、ポリウレタン又はそれらの任意の組合せからなる群から選択されてよい。好ましいエラストマーは、スチレン-ブタジエンコポリマー類(SBR)、ポリイソブチレン及びイソブチレン-イソプレンコポリマー類(BR)である。
【0181】
ブタジエン-スチレン型エラストマー又はいわゆるSBRは、典型的には、スチレン類モノマー:ブタジエンモノマー約20:80~60:40のコポリマーである。これらのモノマーの比は、ムーニー粘度により評価されるようなSBRの弾性に影響する。スチレン:ブタジエン比が低下するにつれて、ムーニー粘度は低下する。
【0182】
SBRの構造は、典型的には、フェニルエチレン(スチレン)と共重合された直鎖1,3-ブタジエンからなる。SBRの平均分子量は600.000g/モル未満である。
【0183】
イソブチレン-イソプレン型エラストマー又はいわゆるブチルは、0.2~4.0の範囲のモルパーセントレベルのイソプレンを有する。SBRと同様、イソプレン:イソブチレン比が低下するにつれて、ムーニー粘度により測定される弾性は低下する。
【0184】
ブチルゴムの構造は、典型的には、分岐2-メチルプロペン(イソブチレン)と共重合された分岐2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)からなる。SBRの平均分子量は、150.000g/モル~1.000.000g/モルの範囲内である。
【0185】
ポリイソブチレン又はいわゆるPIB型エラストマーは、2-メチルプロペンのポリマーである。低分子量エラストマーは、軟らかい咀嚼特性をガムベースに与え、依然として他のエラストマーのように弾性の品質を与える。平均分子量は、約30,000~120,000g/モルの範囲でよく、針入度は、約4ミリメートル~20ミリメートルの範囲でよい。針入度が大きいほど、PIBはより軟らかい。SBR及びブチルと同様、高分子量エラストマーは、弾性をガムに与える。平均分子量は、120.000~1.000.000g/モルの範囲でよい。
【0186】
ポリブテンは、平均分子量が約5.000g/モル~約30.000g/モルの範囲である。
【0187】
有用な天然エラストマーには、スモークラテックス又は液体ラテックス及びグアユール等の天然ゴム、ジェルトン、レッチェカスピ、ペリージョ、ソルバ、マッサランドババラタ、マッサランドバチョコレート、ニスペロ、ロシディンハ、チクル、グッタペルカ、グッタカチュウ、ニガーグッタ、ツヌー、チルテ、チクブル、グッタハンカン等の天然ガムが含まれる。天然エラストマーが本発明の態様において適用されてもよい。
【0188】
エラストマー可塑剤は、ガムベースの硬度を変える。エラストマー分子間鎖切断(可塑化)に対するその特異性並びにその様々な軟化点は、ベースにおいて使用されたときの様々な程度の完成ガム硬度及び適合性をもたらす。ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤は、本発明のエラストマー可塑剤の例である。
【0189】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の質量平均分子量(Mw)は5,000~40,000である。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の質量平均分子量(Mw)は6,000~35,000である。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の質量平均分子量(Mw)は7,000~30,000である。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の質量平均分子量(Mw)は8,000~25,000である。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の質量平均分子量(Mw)は10,000~20,000である。
【0190】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤の粘度は、ASTM D445-06(酢酸エチル中10wt.%)に従って測定された、1.0~2.5mPa*s等、1.0~3.0mPa*sである。
【0191】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤のK値は、DIN 53726(アセトン中1wt.%)に従って測定された、18~30等、15~33である。
【0192】
一般に、「ポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤」という用語は、約40,000未満の質量平均分子量(Mw)を有するポリ酢酸ビニルを意味することが意図される。
【0193】
一般に、「ポリ酢酸ビニルエラストマー」という用語は、約40,000超の質量平均分子量(Mw)を有するポリ酢酸ビニルを意味することが意図される。
【0194】
本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、10質量%未満のポリ酢酸ビニルエラストマーを含む。本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、5質量%未満のポリ酢酸ビニルエラストマーを含む。本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、2~6質量%のポリ酢酸ビニルエラストマーを含む。本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、3~5質量%のポリ酢酸ビニルエラストマーを含む。本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、ポリ酢酸ビニルエラストマーを実質的に含まない。
【0195】
本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、15~35質量%の1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤と、10質量%未満のポリ酢酸ビニルエラストマーとを含む。本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、15~35質量%の1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤と、5質量%未満のポリ酢酸ビニルエラストマーとを含む。本発明のある特定の実施形態において、ガムベースは、15~35質量%の1種又は複数種のポリ酢酸ビニルエラストマー可塑剤と、2~6質量%のポリ酢酸ビニルエラストマーとを含む。
【0196】
天然樹脂は、部分水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、部分水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素化メチルエステル、ロジンのペンタエリトリトールエステルを例として含むエステルガム、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン及び/又はd-リモネンから誘導されたテルペン樹脂等の合成樹脂、並びに天然テルペン樹脂から選択されてよい。
【0197】
本発明のある実施形態において、チューインガムは、香料、ドライバインダー、打錠助剤、アンチケーキング剤、乳化剤、酸化防止剤、エンハンサー、吸収促進剤、高甘味度甘味料、軟化剤、染料、活性成分、水溶性難消化性多糖、非水溶性多糖又はそれらの任意の組合せからなる群から選択された更なるチューインガム成分を含む。
【0198】
本発明の実施形態によれば、乳化剤は、脂肪酸のスクロースエステル(スクロースモノステアレート等)、ポリエチレングリコールエステル又はエーテル(PEG)(カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド類及びラウロイルマクロゴール-32-グリセリド類等)、脂肪酸のモノ-及びジグリセリド(グリセロールモノステアレート、グリセロールモノラウレート、グリセリルベヘネートエステル等)、脂肪酸のモノ-及びジグリセリドの酢酸エステル(Acetem)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、乳酸化モノグリセリド、グリセロリン脂質(レシチン等)、poloxamer(エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの非イオン性ブロックコポリマー)、シクロデキストリン、ソルビトールの脂肪酸エステル(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ポリソルベート等)からなる群から選択されてよい。自己乳化性乳化剤は、リン脂質(レシチン)、ポリソルベート(ポリソルベート80)でよい。
【0199】
SEDDS(自己乳化性薬物送達システム)は、自己乳化剤、1種又は複数種のカンナビノイド、油(カンナビノイドを溶解するため)及び界面活性剤からなる液体又はゲルで充填されたハード又はソフトカプセルからなってよい。SEDDSは、自己乳化剤、1種又は複数種のカンナビノイド、油(カンナビノイドを溶解するため)及び界面活性剤のブレンド又は混合物を含んでよい。SEDDSは、自己乳化剤、1種又は複数種のカンナビノイド、油(カンナビノイドを溶解するため)及び界面活性剤を含む顆粒を含んでよい。胃液と接触すると、SEDDSは、界面活性剤の存在により自発的に乳化する。しかし、多くの界面活性剤は脂質ベースであり、GIT(消化管)内でリパーゼと相互作用する。これは、1種又は複数種のカンナビノイド並びに油担体を乳化する脂質ベースの界面活性剤の能力を低下させる可能性があり、いずれもバイオアベイラビリティを低下させる。
【0200】
本発明の実施形態によれば、香料は、ココナッツ、コーヒー、チョコレート、バニラ、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、メントール、カンゾウ、カラメルアロマ、ハニーアロマ、ピーナッツ、クルミ、カシュー、ヘーゼルナッツ、アーモンド類、パイナップル、ストロベリー、ラズベリー、トロピカルフルーツ、チェリー類、シナモン、ペパーミント、ウィンターグリーン、スペアミント、ユーカリ及びミント、アップルエッセンス、ペアエッセンス、ピーチエッセンス、ストロベリーエッセンス、アプリコットエッセンス、ラズベリーエッセンス、チェリーエッセンス、パイナップルエッセンス及びプラムエッセンスから等の果実エッセンスからなる群から選択されてよい。精油には、ペパーミント、スペアミント、メントール、ユーカリ、クローブ油、ベイ油、アニス、タイム、セダーリーフ油、ナツメグ、及び上述の果実の油が含まれる。
【0201】
石油ワックスは、ガムベースから作製された完成ガムのキュアリングを助けると共に、シェルフライフ及び食感を改善する。ワックス結晶サイズは、香料の放出に影響する。iso-アルカンが多いワックスは、ノルマル-アルカンが多いワックス、特に炭素数30未満のノルマル-アルカンを含むものよりも小さい結晶サイズを有する。より小さい結晶サイズは、香料のより遅い放出を可能にする。その理由は、このワックスからの香料の漏れには、より大きい結晶サイズを有するワックスに対して障害がより多く存在するからである。
【0202】
石油ワックス(精製パラフィン及びマイクロクリスタリンワックス)及びパラフィンワックスは、主に直鎖ノルマル-アルカン及び分岐iso-アルカンから構成される。ノルマル-アルカンのiso-アルカンに対する比は様々である。
【0203】
酸化防止剤は、ガムベース、完成ガム、又は脂肪及び香味油を含むそれらのそれぞれの成分のシェルフライフ及び貯蔵を延ばす。
【0204】
ガムベースにおける使用に適した酸化防止剤には、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ベータカロチン類、トコフェロール類、ビタミンC(アスコルビン酸又は対応する塩(アスコルビン酸塩))等の酸味料、没食子酸プロピル、カテキン類、それらの他の合成型及び天然型又は混合物が含まれる。
【0205】
本発明によるチューインガムに含まれてよい更なるチューインガム成分には、界面活性剤及び/又は可溶化剤が含まれる。本発明によるチューインガム組成物中の可溶化剤として使用される界面活性剤のタイプの例として、H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfstoffe fuer Pharmacie, Kosmetik und Angrenzende Gebiete、63~64頁(1981)及び各国の承認済み食品乳化剤のリストが参照される。アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性可溶化剤を使用することができる。適した可溶化剤には、レシチン、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸塩、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のサッカロースエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、エステル交換ヒマシ油酸のポリグリセロールエステル(E476)、ナトリウムステアロイルラチレート(stearoyllatylate)、ラウリル硫酸ナトリウム及び脂肪酸のソルビタンエステル及びポリオキシエチル化水素化ヒマシ油(例えば、商品名CREMOPHORで販売されている製品)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー(例えば、商品名PLURONIC(登録商標)及びPOLOXAMERで販売されている製品)、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸のソルビタンエステル及びポリオキシエチレンステラリン酸(steraric acid)エステルが含まれる。
【0206】
特に適した可溶化剤は、ポリオキシエチレンステアレート、例えばポリオキシエチレン(8)ステアレート及びポリオキシエチレン(40)ステアレート、商品名TWEEN(登録商標)で販売されているポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばTWEEN(登録商標)20(モノラウレート)、TWEEN(登録商標)80(モノオレエート)、TWEEN(登録商標)40(モノパルミテート)、TWEEN(登録商標)60(モノステアレート)又はTWEEN(登録商標)65(トリステアレート)、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのクエン酸エステル、ナトリウムステアロイルラチレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチル化水素化ヒマシ油、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー並びにポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル等である。可溶化剤は、単一化合物又はいくつかの化合物の組合せのいずれかでよい。含まれる1種又は複数種のカンナビノイド等の活性成分の存在下で、チューインガムは、好ましくは、チューインガム及び活性成分の技術分野において既知の担体も含んでよい。poloxamer F68が、更なる非常に適した可溶化剤である。
【0207】
高甘味度人工甘味料も本発明の好ましい実施形態に従って使用することができる。好ましい高甘味度甘味料には、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムの塩、アリターム、ネオテーム、サッカリン及びその塩、シクラミン酸及びその塩、グリチルリジン、ジヒドロカルコン類、タウマチン、モネリン、モンクフルーツ抽出物、アドバンテーム、ステビオシド並びに同種のものが単独又は組合せで含まれるが、これらに限定されない。
【0208】
より長く持続する甘味及び香味知覚をもたらすために、人工甘味料の少なくとも一部をカプセル化する、或いはその放出を制御することが望ましい場合がある。
【0209】
所望の放出特性を達成するために、湿式造粒、ワックス造粒、噴霧乾燥、噴霧冷却、流動層コーティング、コンサベーション(conservation)、酵母細胞内のカプセル化及び繊維押出等の技法が使用されてよい。甘味料のカプセル化は、樹脂性化合物等の別のチューインガム成分を使用して実現することもできる。
【0210】
高甘味度甘味料の使用レベルはかなり変化し、甘味料の強さ、放出率、製品の所望の甘味、使用される香料のレベル及びタイプ並びにコスト考慮等の要因に依存することになる。したがって、人工甘味料の活性レベルは、約0.001~約8質量%(好ましくは約0.02~約8質量%)で変化し得る。カプセル化のために使用された担体が含まれるとき、カプセル化高甘味度甘味料の使用レベルは比例してより高くなる。
【0211】
チューインガム及び/又はガムベースは、希望するならば、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、粉砕石灰石、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩化合物、カオリン及びクレイ、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、モノ-、ジ-及びトリ-カルシウムホスフェート、木材等のセルロース高分子並びにそれらの組合せを例として含む1種又は複数種の充填剤/テクスチャライザー(texturizer)を含んでよい。本発明のある実施形態によれば、1つの好ましい充填剤/テクスチャライザーは炭酸カルシウムである。
【0212】
当技術分野内で周知のいくつかのチューインガム成分が本発明の範囲内で適用されてよい。このような成分には、ワックス、脂肪、軟化剤、充填剤、バルク甘味料、香料、酸化防止剤、乳化剤、着色剤、結合剤及び酸味料が含まれるが、これらに限定されない。
【0213】
本発明のある実施形態において、水溶性成分は、少なくとも1種の糖アルコールを含む。少なくとも1種の糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、イソマルト、エリトリトール、ラクチトール、マルトデキストリン、水素化デンプン加水分解物及びそれらの組合せからなる群から選択されてよい。
【0214】
ポリオール甘味料の1つのカテゴリーの特定の例には、糖、特に、デキストロース、スクロース、マルトース、フルクトース、ラクトース及びそれらの組合せからなる群から選択された糖が含まれる。
【0215】
押出チューインガムを製造する方法は以下の通りでよい。
【0216】
ガムベースは、典型的には、ある量のエラストマー、エラストマー可塑剤及び充填剤を、約1.2:1~約2:1の比のフロント対リア速度を有する加熱(100℃~120℃)されたシグマブレードミキサーに加えることにより調製され、そのエラストマーのより厳しいコンパウンディングを必要とするガムベースには、より高い比が典型的に使用される。
【0217】
初期塊を含む成分の初期量は、適切な一貫性を達成するための混合釜の稼働能力と、エラストマーを分解し、鎖の分岐を増やすのに望ましいコンパウンディングの程度とにより決定することができる。開始時の充填剤のレベル、又はある一定の粒径分布を有する充填剤の選択のレベルが高いほど、コンパウンディングの程度が高くなり、したがって、より多くのエラストマー鎖の架橋が切断され、エラストマーのより多くの分岐、したがって、より低粘度のガムベースをもたらし、したがって、最終ガムベース及びこのようなガムベースから作製されたガムがより軟らかくなる。コンパウンディングの時間が長いほど、より低い分子量又は軟化点のガムベース成分の使用、最終ガムベースの粘度及び硬度は低くなる。
【0218】
成分が互いに集まると、コンパウンディングが典型的に効果的になり始める。15分~90分のどこかがコンパウンディング時間の長さになり得る。
【0219】
好ましくは、コンパウンディングの時間は20分~約60分である。加えられるエラストマー可塑剤の量は、存在するエラストマー及び充填剤のレベルに依存する。過剰なエラストマー可塑剤が加えられると、初期塊は過可塑化され、均一でなくなる。
【0220】
初期成分が均一に集まり、所望の時間混合した後、完全に均一な溶融塊が得られるまでガムベース成分の残りが順次加えられる。典型的には、残りのエラストマー、エラストマー可塑剤及び充填剤が初期コンパウンディング時間後60分以内に加えられる。充填剤及びエラストマー可塑剤は、典型的には、個々に秤量され、この時間の間に分けて加えられる。任意選択のワックス、軟化剤及び酸化防止剤は、典型的には、エラストマー及びエラストマー可塑剤の後、次の60分の間に加えられる。次いで、塊を均一にさせてから放出する。
【0221】
典型的なガムベース加工時間は、製剤に応じて約1~約3時間、好ましくは約1.5~2.5時間で変化し得る。放出されるときの最終塊温度は、70℃~130℃の間、好ましくは100℃~120℃の間であり得る。完成溶融塊は、混合釜からコーティング又はライニングされたパンの中に出され、押し出され、又は任意の望ましい形状に鋳造され、徐冷され、固化する。上記の手順の多くの変形に従ってよいことを当業者は認識されよう。
【0222】
チューインガムの水溶性部分は、軟化剤、甘味料、高甘味度甘味料、香味剤、酸味料、充填剤、酸化防止剤、及び所望の属性をもたらす他の成分を含んでよい。軟化剤は、典型的には、チューインガムの約0.5%~約25.0質量%を構成する。増量剤は、一般に、チューインガムの約5%~約90%、好ましくは約20%~約80%を含む。ガム中の高甘味度甘味料は、典型的には、約0.01~0.50質量パーセントの範囲でよい。香味剤は、ガムの約0.1~約15.0質量パーセントの範囲内の量でチューインガム中に存在してよい。
【0223】
一般に、チューインガムは、完成ガムベースが既に存在する、当技術分野において既知の市販のミキサーに様々なチューインガム成分を順次加えることにより製造することができる。初期成分が完全に混合された後、ガム塊はミキサーから排出され、シートにローリングし、スティックに切断する、チャンクに押し出される、又はペレットに鋳造する等により、所望の形態に成形される。
【0224】
一般に、成分は、ガムベースをまず溶融し、運転しているミキサーにこれを加えることにより混合することができる。染料、活性剤及び/又は乳化剤もこの時点で加えることができる。グリセリン等の軟化剤もシロップ及び増量剤/甘味料の一部と共にこの時点で加えることができる。次いで、増量剤/甘味料の更なる部分をミキサーに加えることができる。香味剤は、典型的には、増量剤/甘味料の最終部分と共に加えられる。高甘味度甘味料は、好ましくは、増量剤の最終部分及び香料が加えられた後に加えられる。
【0225】
混合手順全体は、典型的には30~40分かかるが、より長い混合時間が時には必要になることがある。上記の手順の多くの変形に従ってよいことを当業者は認識されよう。
【0226】
本発明によれば、チューインガムは、チューインガム中心の上に適用された約0.1~約75質量%の外部コーティングを含んでよい。したがって、適したコーティングタイプには、チューインガムのコーティングにおいて現在使用されるものを含む任意の組成物のハードコーティング、フィルムコーティング及びソフトコーティングが含まれる。
【0227】
1つの本発明に好ましい外部コーティングタイプはハードコーティングであり、この用語は、糖コーティング及び糖を含まない(又は無糖の)コーティング並びにそれらの組合せを含むその用語の従来の意味で使用される。ハードコーティングの目的は、消費者により理解される甘いクランチー(crunchy)層を得ることであり、ハードコーティングは、様々な理由でガム中心を更に保護することができる。チューインガム中心に保護糖コーティングを施す典型的なプロセスにおいて、ガム中心は、適したコーティング装置内で、スクロース又はデキストロース等の結晶性糖の水性溶液で連続的に処理され、これは、到達したコーティングの段階に応じて、他の機能性成分、例えば充填剤、結合剤、染料等を含んでよい。本文脈において、糖コーティングは、香料化合物及び/若しくは活性化合物を含む更なる機能性又は活性化合物を含んでよい。
【0228】
以下に詳細に説明するように典型的なハードコーティングプロセスにおいて、結晶性糖及び/又はポリオールを含む懸濁液は、ガム中心の上に適用され、含まれる水は、空気でブローすることにより蒸発させる。このサイクルは、必要な膨張に達するために、数回、典型的には3~80回繰り返されなければならない。「膨張」という用語は、コーティング操作の最後に最初と比較して考慮される、コーティングされた製品の最終質量又は厚さに対する、製品の質量又は厚さの増加を指す。本発明によれば、コーティング層は、約15~約50質量%を含む約10~約60質量%等、完成チューインガム要素の約0.1~約75質量%を構成する。
【0229】
更なる有用な実施形態において、本発明のチューインガム要素の外部コーティングは、フィルムコーティングプロセスが施される要素であり、したがって、1種又は複数種のフィルム形成ポリマー剤及び任意選択で1種又は複数種の補助化合物、例えば可塑剤、顔料及び乳白剤を含む要素である。フィルムコーティングは、上記の形態のいずれかのチューインガム中心に適用された薄いポリマーベースのコーティングである。このようなコーティングの厚さは、通常20~100μmの間である。一般に、フィルムコーティングは、適した水性又は有機溶媒ビヒクル中のコーティング材料の霧化された液滴を含む噴霧ゾーンにチューインガム中心を通すことによって得られ、この後、ガム中心に接着している材料は、コーティングの次の部分が受け入れられる前に乾燥される。このサイクルは、コーティングが完了するまで繰り返される。
【0230】
本文脈において、適したフィルムコーティングポリマーには、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むセルロースエーテル類等の食用セルロース誘導体が含まれる。他の有用なフィルムコーティング剤は、アクリルポリマー及びコポリマー、例えば、メチルアクリレートアミノエステルコポリマー又はセルロース誘導体及びアクリルポリマーの混合物である。官能性ポリマーとも呼ばれる特定の群のフィルムコーティングポリマーは、そのフィルム形成特性に加えて、チューインガム製剤の活性成分に関して修飾された放出性能を与えるポリマーである。このような放出修飾ポリマーには、メチルアクリレートエステルコポリマー、エチルセルロース(EC)、及び酸性の胃環境に耐えるよう設計された腸溶性ポリマーが含まれる。ポリマーの後者の群には、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、シェラック、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)及びHPMCが含まれる。本発明による外部フィルムコーティングは、上記のフィルムコーティングポリマーの任意の組合せを含んでよいことを理解されたい。
【0231】
本発明によれば、1種又は複数種のカンナビノイドは、様々なカンナビノイドから選択されてよい。
【0232】
「カンナビノイド」は、エンドカンナビノイド、フィトカンナビノイド、及びエンドカンナビノイドでもフィトカンナビノイドでもないもの(以下「シントカンナビノイド」)を含む化合物の群である。
【0233】
「エンドカンナビノイド」は内因性カンナビノイドであり、CB1及びCB2受容体の高親和性リガンドである。
【0234】
「フィトカンナビノイド」は、天然に由来し、大麻植物に見出すことができるカンナビノイドである。フィトカンナビノイドは、植物性薬物物質を含む抽出物中に存在することができ、単離することができ、又は合成的に再現することができる。
【0235】
「シントカンナビノイド」は、カンナビノイド受容体(CB1及び/又はCB2)と相互作用することができる化合物であるが、内因的に、又は大麻植物中に見出されない。例には、WIN 55212及びリモナバンが含まれる。
【0236】
「単離フィトカンナビノイド」は、大麻植物から抽出され、二次的で少量のカンナビノイド及び非カンナビノイド画分等の余分な成分が除去される程度まで精製されたものである。
【0237】
「合成カンナビノイド」は、化学合成により生成されたものである。この用語は、単離フィトカンナビノイドを、例えばその薬学的に許容される塩を形成することにより改変することを含む。
【0238】
「実質的に純粋な」カンナビノイドは、純度95%(w/w)超、より好ましくは96%(w/w)超~97%(w/w)~98%(w/w)~99%(w/w)以上で存在するカンナビノイドと定義される。
【0239】
「高度に精製された」カンナビノイドは、大麻植物から抽出され、高度に精製されたカンナビノイドが純度95%(w/w)以上になるようにカンナビノイドと共抽出される他のカンナビノイド及び非カンナビノイド成分が実質的に除去される程度まで精製されたカンナビノイドと定義される。
【0240】
「植物材料」は、植物又は植物部分(例えば樹皮、木材、葉、茎、根、花、果実、種、液果又はそれらの部分)並びに滲出物と定義され、Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、2000年8月、US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research中の「植物性原材料」の定義内に入る材料を含む。
【0241】
本出願の文脈において、同義で使用される「カンナビノイド抽出物」又は「カンナビノイドの抽出物」という用語は、大麻植物材料に由来する「植物性薬物物質」を包含する。植物性薬物物質は、Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、2000年8月、US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Centre for Drug Evaluation and Researchに、「1種又は複数種の植物、藻類、又は巨視的な菌類に由来する薬物物質。これは、以下のプロセスのうちの1つ又は複数により植物性原材料から調製される:粉砕、煎出、圧搾、水性抽出、エタノール性抽出、又は他の同様のプロセス」と定義されている。植物性薬物物質は、天然源に由来する高度に精製又は化学修飾された物質を含まない。したがって、大麻の場合、大麻植物に由来する「植物性薬物物質」は、高度に精製された薬局方グレードのカンナビノイドを含まない。
【0242】
「大麻植物」という用語は、野生型カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)並びに異なる量の個々のカンナビノイドを天然に含む大麻化学変種を含む野生型カンナビス・サティバの変種、変種インディカ(var. indica)及び変種カフィリスタニカ(var. kafiristanica)の変種を含むカンナビス・サティバ亜種インディカ、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)並びに遺伝的交雑、自己交雑又はそれらのハイブリッドの結果である植物も包含する。したがって、「大麻植物材料」という用語は、1種又は複数種の大麻植物に由来する植物材料を包含すると解釈されるべきである。誤解を避けるために、「大麻植物材料」は乾燥大麻バイオマスを含むことがここに記載される。
【0243】
好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCV)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールプロピル変種(CBGV)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビノール(CBN)、カンナビノールプロピル変種(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)から選択される。より好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドは、CBD又はTHCである。このリストは網羅的ではなく、参考のために本出願に示されたカンナビノイドを単に詳述するものである。
【0244】
これまで、120種を超える様々なフィトカンナビノイドが同定されており、これらは本発明の範囲内である。
【0245】
カンナビノイドは、以下の異なる群:フィトカンナビノイド、エンドカンナビノイド及び合成カンナビノイドに分けることができる。
【0246】
カンナビノイド受容体は、本発明において、本明細書においてそのように明示的に表されているか否かに関わらず、エンドカンナビノイド(哺乳類細胞により内因的に産生される)、フィトカンナビノイド(大麻植物により産生される、カンナビジオール等)及び合成カンナビノイド(HU-210等)とそれぞれ分類される、本質的に親油性である3つの主な群のアゴニストリガンドにより活性化することができる。
【0247】
フィトカンナビノイドは、カンナビノイドを抽出するために使用される方法に応じて、中性カルボン酸の形態又は脱カルボキシル化された形態のいずれかとして見出すことができる。例えば、カルボン酸の形態を加熱すると、カルボン酸の形態の大部分を脱カルボキシル化させることになることが既知である。
【0248】
フィトカンナビノイドは、ペンチル(5個の炭素原子)又はプロピル(3個の炭素原子)変種のいずれかとしても存在し得る。例えば、フィトカンナビノイドTHCはCB1受容体アゴニストであることが既知であり、一方、プロピル変種THCVはCB1受容体アンタゴニストであることが発見されており、これがほぼ反対の作用を有することを意味する。
【0249】
本発明によれば、フィトカンナビノイドの例は、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCV)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールプロピル変種(CBGV)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビノール(CBN)、カンナビノールプロピル変種(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)であり得る。より好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドは、CBD又はTHCである。
【0250】
本発明による製剤は、A. Douglas Kinghorn他、Phytocannabinoids、第103巻、第1章、1~30頁に開示されたものから選択された少なくとも1種のカンナビノイドを含んでもよい。
【0251】
エンドカンナビノイドの例は、体内でカンナビノイド受容体を活性化する分子である。例には、2-アラキドニルグリセロール(2AG)、2-アラキドニルグリセリルエーテル(2AGE)、アラキドニルドーパミン及びアラキドニルエタノールアミド(アナンダミド)が含まれる。同様の構造的特徴を共有し、しかし、カンナビノイド受容体に対して弱い活性を示すか、又は活性を示さないが、同じくエンドカンナビノイドと呼ばれる構造的に関連する内因性分子が同定されている。これらのエンドカンナビノイド脂質の例には、2-アシルグリセロール類、アルキル又はアルケニルグリセリルエーテル、アシルドーパミン類、及び代替の脂肪酸又はアルコール部分を含むN-アシルエタノールアミド類、並びに様々な頭部基を含む他の脂肪酸アミドが含まれる。これらには、N-アシルセリン類並びに多くの他のN-アシル化アミノ酸が含まれる。カンナビノイド受容体アゴニストの例は神経調節性であり、短期記憶、食欲、ストレス応答、不安、免疫機能及び無痛覚に影響する。
【0252】
合成カンナビノイドは、様々な別個の化学的分類:THCに構造的に関連するカンナビノイド、アミノアルキルインドール、1,5-ジアリールピラゾール、キノリン類及びアリールスルホンアミドを含む(カンナビミメティクス(cannabimimetics))等のTHCに関連しないカンナビノイド、並びにエンドカンナビノイドに関連するエイコサノイドを包含する。これらのカンナビノイドのすべて又はいずれかを本発明において使用することができる。
【0253】
製剤が1種又は2種の主要なカンナビノイドを含むことが好ましく、これらは、カンナビジオール(CBD)又はカンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビゲロール(CBG)及びカンナビジオール酸(CBDA)又はそれらの組合せからなる群から好ましくは選択される。製剤がカンナビジオール及び/又はテトラヒドロカンナビノールを含むことが好ましい。
【0254】
好ましくは、本発明のチューインガムは、疼痛、てんかん、がん、悪心、炎症、先天性障害、神経障害、経口感染、歯痛、睡眠時無呼吸、精神障害、胃腸障害、炎症性腸疾患、食欲喪失、糖尿病及び線維筋痛症の治療又は緩和のために使用されてよい。
【0255】
本発明の更なる態様において、経口カンナビノイド製剤は、神経保護薬又は抗痙攣薬の投与を必要とする状態の処置における使用に適している。
【0256】
経口カンナビノイド製剤は、発作の処置における使用のためのものでよい。
【0257】
経口カンナビノイド製剤は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ミオクローヌス発作、若年性ミオクローヌスてんかん、難治性てんかん、統合失調症、若年性けいれん、ウエスト症候群、乳児けいれん、難治性乳児けいれん、結節性硬化症複合、脳腫瘍、神経障害性疼痛、大麻使用障害、外傷後ストレス障害、不安、早期精神病、アルツハイマー病及び自閉症の処置における使用のためのものでよい。
【0258】
以下の非限定的な例は、本発明の様々な変形を示す。これらの例は本発明概念を示すためのものであり、したがって、述べられる例は、現在のところ網羅的なものと理解されるべきではない。特に、CBDが例示的な化合物として使用されるが、別のカンナビノイドでもよい。
【実施例
【0259】
(実施例1)
ガムベースの調製
20種の異なる非水溶性ガムベースを調製した。ガムベースは、以下で説明するプロセスにおいて調製した。後に続く実施例では、ガムベース(GB10~GB29)の特定の組成物を概説する。
【0260】
水平に設置された混合用Z字形アームを有するミキサー内で、エラストマー及びエラストマー可塑剤(PVA)を充填剤(炭酸カルシウム又はタルクのいずれか)と一緒に120℃で混合した。エラストマーの形態ではない、組成物中のエラストマーのためのエラストマー可塑剤としてPVAを適用したことに留意されたい。エラストマー可塑剤としてのPVAは、本文脈において特殊な特性を有する。比較例のいくつかについては、別の比較ポリマーをエラストマー及びエラストマー可塑剤と一緒に加え、エラストマー及びエラストマー可塑剤と一緒に混合した。
【0261】
ポリマーの混合の約30分後に天然樹脂を加えた。ポリマー及び天然樹脂が組成物中で軟化した後、トリアセチン、乳化剤、ワックス、酸化防止剤及び植物脂肪等の追加の成分を加えた。
【0262】
約45~60分の全混合時間の後、混合物をパンの中に排出し、室温で徐冷した。
【0263】
ブチルゴム(BR)をエラストマーとして加えた実施例のいくつかについては、任意選択の充填剤の量に応じて混合時間を合計で約90~105分まで任意選択で延長した。
【0264】
すべてのガムベース実施例において、様々な成分の量は、ガムベースの質量%として示される。
【0265】
(実施例2)
様々なガムベース製剤
【0266】
【表1】
【0267】
(実施例3)
様々なガムベース製剤
【0268】
【表2】
【0269】
(実施例4)
様々なガムベース製剤
【0270】
【表3】
【0271】
(実施例5)
様々なガムベース製剤
【0272】
【表4】
【0273】
(実施例6)
52% CBD抽出物
CBDepot社により供給された含有量52%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号CSFF 2018/5)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、抽出物を追加のチューインガム成分と一緒に直接使用するか、又は抽出物を予備混合物中で適用した。
【0274】
(実施例7)
10% CBD抽出物
Medical Hemp社により供給された含有量10%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号MH131B Gold)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、抽出物を追加のチューインガム成分と一緒に直接使用するか、又は抽出物を予備混合物中で適用した。
【0275】
(実施例8)
CBD単離物
Medical Hemp社により供給された含有量98.5%のCBDを含む大麻植物組織からのCBD単離物(フィトカンナビノイド)(バッチ番号MH18212)を96%エタノール溶液に溶解した。CBD単離物とエタノールの間の比は1:1であった。CBDをエタノールに溶解したら、CBD単離物を追加のチューインガム成分と一緒に直接使用するか、又は抽出物を予備混合物中で適用した。
【0276】
(実施例9)
カンナビノイド糖アルコール予備混合物の調製
CBD及び糖アルコール粒子、ここではソルビトールを用いて予備混合物を作製した。実施例6~8で概説したCBDの形態のうちのいずれか1つを用いて、CBD及びソルビトールの1:5の質量比で予備混合物を作製した。CBDを糖アルコール粒子に加え、穏やかに均一化した。
【0277】
(実施例10)
カンナビノイドシクロデキストリン予備混合物の調製
CBD(抽出物又は単離物)をポリソルベート80の5%溶液に加え、溶解して、CBDの10%溶液を得た。10% CBD溶液をゆっくり加え、10%シクロデキストリンを含む溶液中に混合して、CBD-シクロデキストリン複合体を形成する。水が除去され、次いで、複合体を追加のチューインガム成分と一緒に直接使用するか、又は複合体を予備混合物中で適用した。
【0278】
(実施例11)
カンナビノイド微結晶セルロース予備混合物の調製
遊離カンナビノイドをpoloxamer F68(PF)にまず加えることによりカンナビノイド-微結晶セルロース(MCC)予備混合物を作製して、poloxamer F68中のカンナビノイドの10%ブレンドを得た。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を50グラムのカンナビノイド-poloxamer F68固体混合物に加え(0.5%)、FMC Biopolymer社からAvicel PH 102として供給された50グラムの微結晶セルロースに加えた。次いで、これを、約30RPM、室温で約30分間操作したKitchenaid社製ミキサー内で混合した。この混合物を密封コンテナ内で約30分間平衡化させた。これによって、5%でカンナビノイド-MCC予備混合物を得た。
【0279】
(実施例12)
カンナビノイドチューインガム製剤の調製
実施例1に従って調製され、実施例2~5に従って製剤化されたガムベース(GB)を、水平に設置された混合用Z字形アームを有する60gミキサー内で、充填剤、ここではタルク、炭酸カルシウム又は糖アルコールのいずれかと混合した。ミキサーをおよそ50℃の温度まで予熱した。ミキサーの内容物が均一になったら、指定のタイムスケジュールに従ってチューインガム成分を加えた。
【0280】
(実施例13)
特定の順序によるカンナビノイドチューインガム製剤の調製
実施例1に従って調製され、実施例2~5に従って製剤化されたガムベース(GB)を、水平に設置された混合用Z字形アームを有する60gミキサー内で、充填剤、ここでは糖アルコールと混合した。ミキサーをおよそ50℃の温度まで予熱した。ミキサーの内容物が均一になったら、以下のような指定のタイムスケジュールに従って水溶性成分を含むチューインガム成分及びカンナビノイドを加えた:
【0281】
【表5】
【0282】
(実施例14)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0283】
【表6】
【0284】
(実施例15)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0285】
【表7】
【0286】
(実施例16)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0287】
【表8】
【0288】
(実施例17)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0289】
【表9】
【0290】
(実施例18)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0291】
【表10】
【0292】
(実施例19)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0293】
【表11】
【0294】
(実施例20)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0295】
【表12】
【0296】
(実施例21)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0297】
【表13】
【0298】
(実施例22)
カンナビノイドチューインガムの組成物
以下の実施例で概説される製剤を用いて、実施例13の手順に基づくカンナビノイドチューインガムを作製した。製剤を押出(ローリング及びスコアリング)によりチューインガム片に形成した。押出チューインガム片は、各片につき1gの質量及び各片につき5mgのCBDの含有量を有していた。すべてのチューインガム実施例において、様々な成分の量は、チューインガムの質量%として示される。
【0299】
【表14】
【0300】
(実施例23)
チューインガムのコーティング
以下の組成を有する選択された試料についてハードコーティングを調製した:
【0301】
【表15】
【0302】
実施例15のCG100の製剤を用いて、1g押出チューインガムに、上記で概説したように予熱された懸濁液としてコーティングを適用した。但し、52% CBD又はCBD単離物をCG100中のソルビトールで置換したことを除く。したがって、CBDは押出ガム中に存在せず、コーティング中にのみ存在した。合計5mgのCBDが、コーティングされた錠剤中に存在した。従来のコーティング技法に従って、その後の3工程で1g押出ガムに合計0.45gのコーティングまで懸濁液を適用した。これは、70:30の押出ガムのコーティングに対する比に対応する。
【0303】
(実施例24)
放出のin vivo試験
試料を8名の試験者の試験パネルにおいて60咀嚼/分の咀嚼頻度で3分間又は5分間咀嚼した。試験者は、特定の要件に従って客観的に指名された健康人であった。3分後又は5分後、残ったチューインガム残滓中のCBDの含有量を測定した。8名の試験者のそれぞれについてチューインガムを三重測定にかけ、各試料につき合計24個の測定値を得た。24個の測定値の平均を計算し、試料中のCBDの当初の含有量に対して質量%放出を計算した。残ったチューインガム残滓中のCBDの含有量を測定した。チューインガム残滓をフラスコ内に置き、秤量した。続いて、有機溶媒を溶解目的で加え、混合物を実験室用振盪機で一晩混合した。有機相を希釈し、遠心分離した。上澄みをHPLCシステムに直接注入し、アッセイ法により分析した。
【0304】
(実施例25)
放出のin vitro試験
CBDのin vitro放出を咀嚼機により確立した(European Pharmacopoeia、第5版のDissolution Test for Chewing Gums, General Monograph 2.9.25)。咀嚼チャンバーを緩衝液(リン酸緩衝液pH 7.4)20mlで充填した。チューインガム試料をチャンバー内に置き、咀嚼機を摂氏20度、1咀嚼/秒で起動した。3分又は5分の咀嚼後、咀嚼機を停止し、チューインガム試料(残滓)をバイアル内に置いた。更に多くの放出時点が必要な場合(放出プロファイル)、咀嚼緩衝液を5分毎に20mlの新鮮な緩衝液と交換しなければならない。残ったチューインガム残滓中のCBDの含有量を測定した。チューインガム残滓をフラスコ内に置き、秤量した。続いて、有機溶媒を溶解目的で加え、混合物を実験室用振盪機で一晩混合した。有機相を希釈し、遠心分離した。上澄みをHPLCシステムに直接注入し、アッセイ法により分析した。
【0305】
(実施例26)
安定性試験法
安定性試験については、ICHガイドラインが使用される;25℃/60%RH(2年)、30℃/65%RH(1年)、40℃/75%RH(3カ月)。これらの条件で保管される前に、すべての試料をdumaボトルに充填した。すべての試料を官能的及び分析的に評価した。残ったチューインガム残滓中のCBDの含有量を測定した。チューインガム残滓をフラスコ内に置き、秤量した。続いて、有機溶媒を溶解目的で加え、混合物を実験室用振盪機で一晩混合した。有機相を希釈し、遠心分離した。上澄みをHPLCセットアップに直接注入し、アッセイ法により分析した。以下の方法は、CBD、デルタ-9 THC、デルタ-8 THC及びCBNを分離及び定量化することができた。
【0306】
(実施例27)
口腔粘膜に送達されたCBD
試料を8名の試験者の試験パネルにおいてin vivoで60咀嚼/分の咀嚼頻度で5分間咀嚼した。試験者は、手順の間、嚥下することを許されなかった。1分後、唾液を試験者から得て、後で分析するために容器に採取した。5分の放出試験では、最後の試料を採取して総合分析のために同じ容器に加えた5分まで、同じ手順に従った。試験者は、特定の要件に従って客観的に指名された健康人であった。総合唾液試料を5分後に採取し、唾液中のCBDの含有量を測定した。残ったチューインガム残滓中のCBDの含有量も測定した。チューインガム残滓をフラスコ内に置き、秤量した。続いて、有機溶媒を溶解目的で加え、混合物を実験室用振盪機で一晩混合した。有機相を希釈し、遠心分離した。上澄みをHPLCシステムに直接注入し、アッセイ法により分析した。8名の試験者のそれぞれについてガム及び唾液を3回の三重測定にかけ、各試料につき合計24個の測定値を得た。24個の測定値の平均を計算し、質量%放出を計算した。残ったチューインガム残滓中のCBDの量と唾液中のCBDの量とを比較することにより、口腔粘膜に送達されたCBDの量を推定することができた。
【0307】
(実施例28)
官能評価試験セットアップ
in vivo又はin vitroのいずれかの放出測定並びに押出チューインガムの安定性試験とは別に、押出チューインガムの非常に重要な特徴及び特性を明らかにするために官能試験も実施した。この官能パラメータは、チューインガム組成物の構造及び咀嚼されたときのガムの挙動の指標として重要である。構造は、チューインガムが比較チューインガムの構造にどのように似ているかについての基礎的ガイダンスであり、比較チューインガムは、試験シリーズにおいて標準として設定され、すなわち、チューインガムは、試験シリーズにおいて互いに比較される。試験セットアップは、試験パネルにおいて8名の試験者から構成した。試験者のそれぞれは、特定の要件に従って客観的に指名された健康人であった。ISO 8589による試験条件で、ISO 4121-2003に従って官能分析を実施した。結果は、8名の結果の平均である。
【0308】
試験者は「+」から「+++++」まで格付けし、ここで、「+」は悪く、「+++++」は優れており、且つ標準と同等であり、すなわち、「+++++」は、ガムが標準と同等であったことを意味し、「+」は、ガムが標準と同等からは非常に遠いことを意味する。「0」は、ガムを試験しなかったことを示した。
【0309】
5つの異なるパラメータを試験パネルにおいて試験した:
【0310】
【表16】
【0311】
「初期咀嚼」-咀嚼されたときの最初の30秒以内のガムの第一印象。例えば、非常に硬い、粘性の構造は、非常に低い格付けを与え、非常に脆い構造も、非常に低い格付けを与えた。
【0312】
「食感」-30秒のガムの咀嚼後又はガムが定常状態の構造を得たときのガムの全体的な印象。例えば、非常に硬い構造は、非常に低い格付けを与え、非常に滑らかな構造も、非常に低い格付けを与えた。
【0313】
「香味」-咀嚼中の香味に関するガムの全体的な印象。例えば、非常に低い香味体験は、非常に低い格付けを与え、標準と同等ではない高すぎる香味体験も、非常に低い格付けを与えた。
【0314】
「甘味」-咀嚼中の甘味に関するガムの味の全体的な印象。例えば、甘味が急速に減少した場合、非常に低い格付けが与えられ、甘味が高すぎ、不快な感覚を与えた場合も非常に低い格付けが与えられた。
【0315】
「オフノート」-咀嚼中の組成物中の1種又は複数種のカンナビノイドからのオフノートの全体的な印象。例えば、オフノート(グラス(grass)、ビターノート、喉に刺激)が喉で経験された場合、低い格付けが与えられ、他の不快な感覚が経験された場合も、低い格付けが与えられた。
【0316】
(実施例29)
カンナビノイドチューインガムの官能評価
【0317】
【表17A】
【0318】
【表17B】
【0319】
(実施例30)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0320】
【表18】
【0321】
【表19】
【0322】
結果は、本発明による範囲の外端において、放出がより少なかったが、依然として許容されることを示す(CG103及びCG104)。しかし、エラストマー可塑剤及び天然樹脂のそれぞれの範囲がチューインガムの全体的な効果及び放出特性に組合せで寄与するように、範囲は組合せで見られるべきである。したがって、天然樹脂の範囲端の量が適用される場合、エラストマー可塑剤の量は、悪影響をある程度抑制することができる。
【0323】
(実施例31)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0324】
【表20】
【0325】
【表21】
【0326】
結果は、本発明による範囲の外端において、放出がより少なかったが、依然として許容されることを示す(CG108及びCG109)。しかし、エラストマー可塑剤及び天然樹脂のそれぞれの範囲がチューインガムの全体的な効果及び放出特性に組合せで寄与するように、範囲は組合せで見られるべきである。したがって、天然樹脂の範囲端の量が適用される場合、エラストマー可塑剤の量は、悪影響をある程度抑制することができる。
【0327】
CG110~114の放出は、CG105~109と同等であった。
【0328】
(実施例32)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0329】
【表22】
【0330】
【表23】
【0331】
VA-VLの組成物への添加が、本発明によるポリマー及び天然樹脂の使用によるよりもはるかに低放出をもたらす(CG117~119)という意味で結果は明らかである。加えて、VA-VLの使用による官能特性(上記参照)も、VA-VLが好ましくはないことを明らかにする。
【0332】
(実施例33)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0333】
【表24】
【0334】
【表25】
【0335】
タルクがより多孔質の構造を押出チューインガムにもたらし、それによって、CBDのより良い放出を促進するであろうことが予想されたため、タルクの組成物への添加は、CBDのより高放出をもたらすと予想された。しかし、これは見られず(CG120及びCG122)、糖アルコールの量が、あらかじめ予想されたよりも放出特性にとってより重要であるように見受けられる。
【0336】
(実施例34)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0337】
【表26】
【0338】
【表27】
【0339】
結果は、ガム中の少なすぎる量の糖アルコール(CG125)がカンナビノイドの放出の問題を引き起こしたこと、及びより多い量が望ましかったことを示す。全体として、これは驚きであった。しかし、多すぎる量の糖アルコール(CG129)は、官能結果に見られるようにチューインガムの他の特性に影響し、これは予想されなかった。
【0340】
(実施例35)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0341】
【表28】
【0342】
【表29】
【0343】
結果は、CBD 10%(CG130及びCG133)が、CBD 52%(CG130及びCG134)よりも押出チューインガムからのより高放出に対して寄与することを示す。この結果は非常に驚くべきことであり、あらかじめ認識されなかった一般的な傾向であるように見受けられる。単離物の添加(CG132)は、結果としてガムからの放出が少し少なくなったが、依然として許容される。見られるようになぜ放出が異なるのかは未知のようである。この結果は、カンナビノイドの制御放出プロファイルを具体的に設計するために使用することができる。例えば、ある一定量のCBD 52%並びにある一定量のCBD 10%は、放出プロファイルが異なるので、CBDの放出を設計することを可能にする。
【0344】
(実施例36)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0345】
【表30】
【0346】
一般に、押出チューインガム製剤中のより多くの量の高甘味度甘味料を用いて、CBDのわずかにより多い放出が得られた。高甘味度甘味料の量は押出チューインガム中で比較的少ないため、これは非常に予想外であった。しかし、上記の官能試験に見られるように、高甘味度甘味料の量が上端にあるとき(CG139等)、これは押出チューインガムの他の特性に影響し得る。
【0347】
(実施例37)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0348】
【表31】
【0349】
【表32】
【0350】
全体的な結果は、CBDとのシクロデキストリン複合体(CG143)又は自己乳化剤系(CG144)等の放出促進系が、より高放出が望ましい場合、本発明による特定の利点になり得ることを示す。しかし、10% MCC系中の担体としての微結晶セルロースの使用(CG142)は、より低い全体的な放出をもたらし、これは、5% MCC系については更に低かった(CG141)。
【0351】
(実施例38)
安定性試験
【0352】
【表33】
【0353】
他の送達ビヒクルの比較研究において、極端な条件下でCBDがTHCに、後にCBNに分解することが見られた。しかし、この研究の結果は、押出チューインガムが送達ビヒクルとして使用されたとき、CBDがTHCに、又は後にCBNに分解されなかったことを示す。これは非常に驚くべきことであった。そして、CBDが押出チューインガムマトリックス中でより良く保護されることを示す。
【0354】
(実施例39)
特定の順序によるカンナビノイドチューインガム製剤の調製
実施例13によるCBD 52%の添加の時間をこの実施例では変更した。添加の時間は実施例13では8分であったが、カンナビノイドの放出に対する添加の時間の実質的な意味を明らかにするために、以下の追加のタイムテーブルを用意した:
【0355】
【表34】
【0356】
(実施例40)
押出チューインガムからのカンナビノイドの放出
【0357】
【表35】
【0358】
結果は、1種又は複数種のカンナビノイドの放出が押出チューインガムの製造プロセスの間の適用順序に依存し得ることを示す。この例において、カンナビノイドが押出ガム中に均一に分布している限り、混合時間の半分の後の1種又は複数種のカンナビノイドの適用が好都合であることが見られた。この例又は更に後において8分の適用時間が特に好都合であった。
【0359】
(実施例41)
CBDを含むコーティング
【0360】
【表36】
【0361】
咀嚼するとコーティングからの多量のCBDがチューインガムに吸収されることが予想されたため、結果は非常に驚くべきことであった。しかし、結果は、ハードコーティング等のコーティング中への1種又は複数種のカンナビノイドの適用が、カンナビノイドを送達する有望な方法であり得ることを示す。また、コーティング中並びに押出チューインガム中の1種又は複数種のカンナビノイドの適用を組み合わせることにより、カンナビノイドの制御放出を達成することができる。これは、初期の高放出がコーティングにより実現され、より持続する放出がカンナビノイドを押出チューインガムに取り込むことにより実現されるようなカンナビノイドの二相性放出を実現するために使用することもできる。
【0362】
(実施例42)
口腔粘膜に送達されたCBD
実施例27の試験方法に従って試験を実施した。CG100及びCG101について試験を実施した。唾液中及びチューインガム残滓中のCBD分の値を5分の咀嚼後に測定した。この値から、口腔粘膜に送達されたCBD分を計算することができた。
【0363】
【表37】
【0364】
5分の咀嚼後に放出されたCBDのほとんど全部が口腔粘膜に送達されたので、試験の結果は非常に驚くべきことであった。はるかに多くの量のCBDが5分の咀嚼後に唾液中に存在することが予想されたが、非常に少量のCBDのみが唾液中に見出された。CBDの放出量(それぞれ13%、12%)に対して、放出されたCBDの1%未満が唾液中に存在し、したがって、99%超のCBDが口腔粘膜に送達されたことを計算することができた。したがって、本発明のチューインガム製剤は、予想されたであろうよりもはるかに良く、カンナビノイドの口腔粘膜への送達に非常に適している。
【0365】
(実施例43)
口腔粘膜に送達されたCBD
実施例27の試験方法に従って試験を実施した。CG145及びCG146について試験を実施した。唾液中及びチューインガム残滓中のCBD分の値を5分の咀嚼後に測定した。この値から、口腔粘膜に送達されたCBD分を計算することができた。
【0366】
【表38】
【0367】
5分の咀嚼後に放出された非常に多量のCBDが口腔粘膜に送達されたので、試験の結果は驚くべきことであった。はるかに多くの量のCBDが5分の咀嚼後に唾液中に存在することが予想された。口腔粘膜に送達された総CBD分は、CBDがコーティング(実施例43)と比べてチューインガム(実施例42)中に存在するとき口腔粘膜に送達された総CBD分の約2倍と計算することができた。本チューインガム製剤を用いて、このような高CBD分を口腔粘膜に送達することができることは予想されなかった。実際、ポリソルベートは、CBDが更に高度に口腔粘膜に送達されるのを妨げる唾液の乳化特性を促進するため、ポリソルベートがコーティング懸濁液に適用されなかった場合、CBD分はより高くなるであろう。
【0368】
コーティング中のCBDの含有量及びチューインガム中のCBDの含有量を変化させることにより、制御送達システムを確立することができる。