(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】複数個の反射面を有するユニタリな固定型光学反射器を用い管状部材をレーザ溶接するシステム及び方法並びに医用デバイス
(51)【国際特許分類】
B29C 65/16 20060101AFI20240321BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20240321BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240321BHJP
【FI】
B29C65/16
B23K26/064 Z
B23K26/21 N
(21)【出願番号】P 2021545409
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020016618
(87)【国際公開番号】W WO2020163363
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-23
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519092897
【氏名又は名称】デューケイン アイエーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザヴィトゥスキー アレクサンドル
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/143181(WO,A2)
【文献】国際公開第2018/053238(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104400996(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102005010193(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/064,26/21
B29C 65/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のワークピースの周縁を巡り
溶接するレーザ
溶接システムであって、
レーザビームを差し向けるよう構成されたレーザビーム源と、
少なくとも2個の光学反射面部分が備わ
る光学反射器を有するアセンブリであり、その光学反射面部分がその光学反射器の第1側面及び第2側面上にそれぞれあり、その光学反射器の第1及び第2側面が互いにあ
る鈍角をなし配列されており、上記ワークピースを
、固定
された光学反射器に対し、そのワークピースの長軸を横断する軸に沿い動かすことで、それら光学反射器
とワークピース
との間の縦方向距離を調整することができ、且つ当該第1及び第2側面により当該長軸を横断する曲線が画定されるアセンブリと、
上記ワークピースに対して移動して上記レーザビーム源を上記光学反射器に沿い動かすことで上記ワークピースを巡る360度周縁
溶接部を作り出すよう構成されている走査ヘッドと、
を備え
、
上記光学反射器が略V字又はU字形状を有し、ひいては上記第1及び第2側面が平坦であり集まってある曲面をなしており、
前記縦方向距離は、上記光学反射器の最下点と上記ワークピースとの間の距離である、
システム。
【請求項2】
請求項
1のシステムであって、上記
光学反射面
部分が上記第1側面の端部から上記第2側面の対応する端部まで連続的に延びるシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムであって、上記少なくとも2個の光学反射面部分が、上記第1側面の一端から上記第2側面の一端まで延びる単一の連続的反射面の一部分であるシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムであって、上
記光学反射器が単体部品であるシステム。
【請求項5】
管状のワークピースの周縁を巡り
溶接するレーザ
溶接方法であって、
少なくとも2個の光学反射面部分を有し、その光学反射面部分が第1側面及び第2側面上にそれぞれあり、それら第1側面及び第2側面が互いにあ
る鈍角をなし配列されてい
る光学反射器を、準備するステップと、
上
記光学反射器が備わるアセンブリ内にワークピースを位置決め及び固定するステップと
、
固定されていて不可動な上記光学反射器に対し、そのワークピースの長軸を横断する軸に沿いそのワークピースを動かすことで、それ
ら光学反射器
とワークピース
との間の縦方向距離を調整するステップであり、上記第1及び第2側面により当該長軸を横断する曲線が画定されるステップと、
上記調整に応じレーザビームを差し向け上記光学反射器
に沿
ってそれを動かすことで、上記ワークピースを巡る360度周縁
溶接部を作り出すステップと、
を有
し、
上記光学反射器が略V字又はU字形状を有し、ひいては上記第1及び第2側面が平坦であり集まってある曲面をなし、
前記縦方向距離は、上記光学反射器の最下点と上記ワークピースとの間の距離である、
方法。
【請求項6】
請求項
5の方法であって、上記少なくとも2個の光学反射面部分が、上記第1側面の一端から上記第2側面の一端まで延びる単一の連続的反射面の一部分である方法。
【請求項7】
請求項
6の方法であって、上記
光学反射面
部分が上記第1側面の端部から上記第2側面の対応する端部まで連続的に延びる方法。
【請求項8】
請求項
5の方法であって、上
記光学反射器が単体部品である方法。
【請求項9】
請求項1のシステムであって、上記走査ヘッドは、マウントと
互いに直交する2つのガントリとに結合されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願では、2019年2月5日付米国暫定特許出願第62/801269号及び2019年3月13日付米国特許出願第16/352104号に基づく優先権及び利益を主張するので、それらそれぞれの全容を参照により本願に繰り入れることにする。
【0002】
(発明の分野)
本件開示の諸態様は一般にレーザ溶接システムに関し、より具体的には、複数個の光学反射面を有する単一の固定型光学反射器とレーザビームとを用い管状部材を溶接するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
大抵の薬剤送達装置においては、プラスチック配管によりその装置の様々な部品が連結され、それらを通じ薬が患者に送達される。様々な管状部材間のジョイント(接合部)、例えばチューブ対ポート又はチューブ対チューブタイプのそれは、最も一般的なサブアセンブリの一つであり、大抵の薬剤送達装置にて見出すことができる。
【0004】
レーザ溶接プロセスは現在のところ最も先進的な組立技術であり、大量製造に関する多数の検証済利点を有している。しかしながら、レーザ溶接プロセスを利用し管状部材同士を接合することや管状部材を他部品に接合することは、それらの合わせ面を巡る360°周縁溶接が必要となることから、技術的難題を引き起こすものである。アセンブリを巡りレーザ光源を回動させることや、静止型レーザヘッドの下方でそのアセンブリ(容器その他の部材がそれに装着されていることがある)を自転させることは、製造プロセスに常に適することではないので、その難題に対処すべく多数の方法が提案されている。
【0005】
例えば、管状ワークピースを凹面円形鏡の中心に長手方向沿い配置し、その凹面円形鏡によりそのワークピースを包囲させることができる。その上で、そのワークピースの上方にある鏡を巡りレーザビームを旋回又は周回させることで、そのワークピースの周縁外表面全体を巡りそのレーザビームを差し向ける。その円形鏡の中心を通るワークピースの操作は非常に難しく、とりわけ大量生産設定時には煩わしいので、この従来技術は製造環境に適していない。
【0006】
また例えば、複雑なセットの光学反射器を用い、ワークピースの逆側上へとレーザビームを方向転換させることができる。複数個の凹面鏡及び平坦鏡の組合せ、例えば錐面鏡、球面鏡及び平面鏡の組合せを用いることで、溶接中に、そのワークピースの逆側及び横側の方へとレーザビームの向きを変えることができる。しかしながら、そうした入り組んだ渦巻き状光学システムは非常に高価であり、保守時に修理するのが難しい。
【0007】
別の従来手法が特許文献1にて提案されており、その記載によれば、管状アセンブリの下に配置された一対の可調光学反射器の角度並びに横方向及び縦方向位置を調整することができ、ひいてはそれら反射器から反射されてきたビームによりそのアセンブリの下部の両側をカバーすることが可能となる一方、そのアセンブリの上部を直接ビームに曝してそのアセンブリを横方向に走査することができる。この方法につき記述されている目的は、「より単純でより空間節約的な技術」を届ける、というものである。しかしながら、反射ビームによりアセンブリ下部全体を均一に加熱しその素材の均一熔解を発生させるには、この方法では、そのアセンブリに対するそれら2個の反射器の正しい角度並びに横方向及び縦方向位置を見出すため、各反射器対の時間消費的調整が必要となる。
【0008】
それら2個の反射器間の角度、或いはそれらの横方向位置又は縦方向位置が正しくない場合、その誤差がもとで下部(ワークピース)の様々な部分が不均一加熱されることとなろう。例えば、それら反射器間の角度が広めであったり、それら2個の反射器の基部とそのアセンブリの位置との間のZ軸(対地垂直軸)沿い距離が大きめであったりすると、ワークピース部品の最下部の過剰加熱並びにその側部の加熱不足につながることとなろう。それら反射器間の横方向距離が大きめであったり、角度が小さめであったり、Z軸分離が短めであったりすると、そのアセンブリの下部の側部の過剰加熱並びにその下部の中央(最下部)の加熱不足につながり、その個所にて不適切加熱及び潜在的漏れ経路が生じることとなろう。そのアセンブリ内でワークピースの下部の両側を均一に加熱するためには、両反射器の表面がZ軸(鉛直軸)に対しなす角度を厳密同一にする必要があり、また一方の反射器の角度方向位置を調整することは容易であるが、それら反射器間の角度をその固定具内で計測することは非常に厄介、時間消費的且つ難題である。この調整を多数回繰り返さないと、そのアセンブリの特定位置に対応する正しい角度を見出せないし、両反射器の位置を確と同一にすることができない。このように、両反射器同士を精密に角度方向整列させる必要があることが、セットアップの困難性の大きな原因となっている。
【0009】
言い換えれば、特許文献1にて提案されている手法では、多数の調整コンビネーションを、そのアセンブリの複数個の稼働部材に対しワークピース部品毎になさねばならないため、セットアップ過誤の機会が非常に多くなり又はセットアップ時間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第20170182592号明細書(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、必要とされているのは、より正確に管状部材をレーザ溶接することができ、それによってより均質且つより高品質な溶接結果を得ることができ、しかも大量生産製造設定に従い溶接する前における広範囲的、誤差誘発的又は時間消費的な事前調整又は校正をそのアセンブリにつき行う必要がないシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の諸態様は、特許文献1にて説明された開示事項に改善を反映させたものである。根幹的相違の一つは、本件開示では、一対の光学反射器を用いるのに代え、互いにある鈍角(90度超180度未満の角度)をなすよう角度付けされた複数個の光学反射側面(レーザビームを反射しうるよう構成されたもの)を有する、単一のユニタリな固定型光学反射器を用いることを、提案していることである。もう一つの根幹的相違は、その溶接アセンブリで必要とされる溶接前セットアップを、レーザ溶接開始前における光学反射器対ワークピースのZ軸調整(縦方向)のみとしたことである。それら反射面同士の個別的な横方向位置又は角度の調整は、ワークピースとの関連では必要ない。実のところ、本件開示の光学反射器は固定されたユニタリ片であるので、そうした調整は可能でさえない。即ち、本光学反射器は、その機器の溶接前セットアップ中、並びにレーザエネルギがそのワークピースに付与される溶接自体の最中の双方で、常時固定されたままとなる。更に、溶接中にレーザ光源をワークピース周りで回動させる必要はなく、寧ろ溶接前セットアップ中及び溶接中の双方にてレーザ光源がワークピースに対しある静止距離に保たれる。大量生産設定では、セットアップ時間を短くする必要がある一方、製造プロセス中にて同じ部品群をする際に、セットアップに対する微調整無しでどの部品でも溶接を均質且つ高品質なものとしなければならないところ、これらの態様によれば、大量生産設定にて、均質且つ高品質な360°周縁溶接部が、高い再現性及び非常に低い変動性並びに非常に些少なセットアップ時間及び労力(ワークピースと光学反射器の下部又は中央との間の縦方向距離の調整のみ)で以て作成される。本件開示では、管状部品(ワークピース)の周縁溶接に備えたレーザ溶接セットアップの「セットイットアンドフォーゲットイット」(設定後放置型)コンフィギュレーションが促進され、同じ部品群に係る溶接開始前セットアップ中に必要とされる調整が一種類のみとなり、大量生産設定における同部品の更なる調整が何ら必要とされない。溶接品質が全体として改善されていてどの部品でも目立って均質なだけでなく、セットアップ(アセンブリの一部品の縦方向調整)の時間が短いこと並びにセットアップ完了後に必要であった調整全てが廃止されることから、スループットも顕著に向上する。
【0013】
好適諸実施形態についての後掲の記述と併せ、以下の添付図面を参照することで、本発明をより良好に理解頂けよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】レーザアセンブリ及びワークピースアセンブリの一例として、静止反射面同士がある鈍角をなし固定された固定型U字状光学反射器を有するものを示す図である。
【
図2】
図1に示したワークピースアセンブリの斜視図である。
【
図3】本件開示に係る光学反射器を用い達せられたレーザ
溶接の一例の図面代用写真である。
【
図4】本件開示に係る光学反射器を用い達せられたレーザ
溶接の更なる例の図面代用写真である。
【
図5】ワークピースと光学反射器の上面の底又は最下点との間の可調な縦方向距離の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すレーザアセンブリ200は従来型のレーザ光源210を有しており、それによりレーザ輻射ビーム120が生成されている。マウント212aは相直交するガントリ214a及び214bに結合されている。走査ヘッド212内に備わる1個又は複数個のスキャナ鏡を、プロセッサ制御型駆動ユニット又は機構213により制御することで、レーザビーム120を、
溶接により接合されるべき管状部品を有する熱可塑性ワークピース110が組み込まれたアセンブリ250上へと、下向きに差し向けることができる。駆動ユニット213を制御しそれらスキャナ鏡の位置を調整することで、レーザビーム120を必須要領、即ちアセンブリ110内に固定されたワークピース110の上面にある所定の溶接ゾーンを照明するのに必要な要領にて、動かすことができる。
【0016】
実験を踏まえ確立されたところによれば、単一のユニタリなV字又はU字状反射器260を用いること、またそれに備わる2個の平坦側面262a,262bを約110~135度(例.±15%)にて相互固定し端264aから端264bに至る連続的反射面とすることで、その光学反射器260の側面262a,262bに対し等距離配置された管状ワークピース110向けのセットアップを、従来手法に比べ大きく簡略化することが可能になると共に、必須セットアップ労力がその部品位置の縦方向調整(Z軸)のみに限定される。ワークピース110及び光学反射器260を動かし互いに近付けること(
図5にてラベル付けされている距離Dを小さくすること)で、レーザ光源210からそのワークピース部品110の奥底へとより多くのレーザエネルギを差し向けることが可能となり、またワークピース110及び光学反射器260を動かし遠ざけること(Z軸沿いに動かし
図5に示す距離Dを大きくすること)で、そのワークピース110の下部の両側の照明量が増すこととなる。部品下部に均一な照明をもたらすZ値が見つかったら、それらワークピース110及び光学反射器260をそのZ値の距離D(
図5)にてロックすることで、セットアップが完了となる。アセンブリ250の上方に配置された
溶接ヘッド212により横方向に沿いレーザビーム120で以てワークピース110を走査することで(回動無し、
図1にてラベル付けされているX及び/又はY軸参照)、レーザビーム120に対する直接露出によりワークピース110の上部が照明され、且つV字又はU字状反射器260により反射されたレーザビーム120によりそのワークピース110の下部が照明されることとなるので、管状ワークピース110を巡る360°周縁
溶接が可能となる。
【0017】
光学反射器260の(両)光学反射面262a,262bを金メッキ鏡とし、受領したレーザエネルギ120を反射するよう構成することができる。表面262a,262bに角度が付いているので、ワークピース110の表面のうち、ワークピース110上方で固定されているレーザビーム120では直にアクセスできないところに、そのレーザエネルギ120を差し向けることができる。
溶接分野に習熟した者(いわゆる当業者)には察せられる通り、表面262a,262b全体を光学反射素材で被覆する必要はない。実際問題としては、光学反射器260の表面全体を金その他の光学反射素材で以てメッキするのが都合よいが、無論、光学反射器260の表面諸部分のうちレーザビーム120が差し向けられることとなる部分にしか、光学反射素材を設ける必要がない。他の諸部分、例えばワークピース110の直下にありレーザエネルギが受領されない底部又は最下部270(最もよく見えるのは
図2及び
図5)は、光学反射性である必要がない。ワークピース110直下の部分270(
図2)にて受領されるのは、光学反射器260の光学反射面262a,262bにて反跳された反射レーザエネルギである。これは即ち、いわゆる当業者には察せられる通り、表面諸部分のうちレーザエネルギ120が差し向けられることとなるところしか、その光学反射器260上で光学反射性とする必要がない、ということである。ここで肝要な点は、そのアセンブリのセットアップ中を含め常にその光学反射器260が不動であり静止していること、またワークピース110の下面とそのワークピース110の下面の直下にある光学反射器260の底又は最下点270との間のZ軸沿い縦方向距離Dがそのセットアップ中に最適化されることである。
【0018】
その固定型光学反射器260の第1側面262a及び第2側面262bは、互いにある固定鈍角αをなし配列されている。固定とは、レーザ
溶接開始前のセットアップ中でもその角度αが変化しない、という意味である。アセンブリ250は高さ調整機構(図示せず)を有しており、ワークピース110の長軸(例.Y軸)を横断するZ軸に沿い光学反射器260の最下点270とワークピース110の下面との間の縦方向距離Dを調整しうるようそれが構成されている。好ましいことに、ワークピース110はアセンブリ250の可調部品であるので、光学反射器260に対しワークピース110を上下動させることで、縦方向距離D(
図5に示すそれ)を変化させることができる。これに代え、ワークピース110を固定し光学反射器260を上下方向に調整して縦方向距離Dを変化させることもできるが、何れにせよ反射面262a・262b間の角度αは一定且つ固定とする。更にそれらに代え、ワークピース110及び光学反射器260双方をZ軸に沿い調整して距離Dを変化させること、例えば本件開示に従い構成されうるよう改造又は修正されたアセンブリ250にてそうすることができる。
【0019】
第1及び第2側面262a,262bは上記長軸(例.Y軸)を横断する曲線を画定しており、その曲線により光学反射器260のV字又はU字形状がかたちづくられている。なお、この部分にはレーザエネルギが向かわず、ひいてはその形状が役目無しであって光学反射に影響を及ぼさないので、同部分が厳密に曲線状である必要はない。寧ろ、反射面262a,262bのデザインパラメタ及び角度次第で、相対的に平坦にすることやノッチ化することもできる。また、そこを光学反射素材で以て被覆する必要もないが、製造容易性の観点からすれば、光学反射器260の表面全体を被覆するのが望ましい。
【0020】
ある態様によれば、光学反射器260上の反射面を連続的なものとすることができるが、いわゆる当業者には察せられる通り、光学反射器260のうち(入来レーザビーム120を基準として)ワークピース110の直下又は下方に座している部分ではレーザビーム120を直に受け取らないので、同面のその部分を光学反射性にする必要はない。連続的表面を製造する方が容易ではあるが、本件開示は連続的表面に限定されない。光学反射器260の平坦な側面262a,262bに反射性光学被覆を受け入れうる一方、その光学反射器260のうちワークピース110直下に座している部分270は反射性光学被覆無しとすることができる。更に、単体のユニタリな光学反射器260であることも述べられているが、他の諸態様によれば、光学反射器260を複数個の部品で構成すること、但しそれらのなす角度αをアセンブリ250のセットアップ中に調整し得ないようそれらの部品全てを互いに固定且つ静止とすることもできる。要点は、少なくとも2個の反射面262a,262bがあり、アセンブリ250のセットアップ中にそれらが固定且つ静止とされること、ひいてはワークピース110とそれら反射面262a,262bとの間の距離Dの縦方向調整しかセットアップ中に必要とされないことである。それら反射器の横方向距離及び角度方向変位並びにそれら反射器とワークピースとの間の距離の調整につき過大な自由度を許容したことで、却って、セットアップ時間の長時間化、セットアップパラメタの更なる複雑化、それらセットアップパラメタの反復的調整その他、上掲の諸問題につながっていた従来手法とは、この点で異なっている。
【0021】
図3及び
図4に描かれているのは、本願開示の
溶接装置及び方法により接合された熱可塑性標本ワークピースの断面写真であり、その接合界面の周縁を巡る高品質で均質、均一な溶接部を示している。反射面262a,262bは133度なる角度αに角度付けされている。本願開示の
溶接方法は、周縁
溶接が必要なあらゆるデバイス用の部品、例えば一般に薬剤送達デバイスを含め医用デバイス用の部品の
溶接に、用いることができる。
【0022】
ある種の好適諸実施形態又は諸例との関連で本発明及びその他の諸態様が記述されているが、ご理解頂けるように、本件開示はそれら特定の諸実施形態又は諸例に限定されるものではない。その逆に、本件開示は、添付する特許請求の範囲により定義されている発明の神髄及び技術的範囲内に収まりうるところの、全ての代替物、修正物及び等価配列をカバーすることを意図している。