(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】外部共振器レーザ装置、対応するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01S 5/14 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
H01S5/14
(21)【出願番号】P 2021547341
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 IB2020051055
(87)【国際公開番号】W WO2020165744
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】102019000002013
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521355876
【氏名又は名称】ラボラトリオ・エウロペオ・ディ・スペットロスコピエ・ノン・リネアリ(エッレエエンネエッセ)
【氏名又は名称原語表記】Laboratorio Europeo di Spettroscopie Non Lineari (LENS)
(73)【特許権者】
【識別番号】521355887
【氏名又は名称】イスティトゥート・ナツィオナーレ・ディ・リチェルカ・メトロロジカ(イ・エンネ・エッレイ・エンメ)
【氏名又は名称原語表記】Istituto Nazionale di Ricerca Metrologica (I.N.RI.M.)
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】シアス,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーカ,ルチア
(72)【発明者】
【氏名】ペレゴ,エリア
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/081212(WO,A1)
【文献】特開2011-040627(JP,A)
【文献】特表2012-523104(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105591283(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0151214(US,A1)
【文献】特開2015-026860(JP,A)
【文献】特開昭63-276288(JP,A)
【文献】特開2008-193003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ソース(S)の外部の光路(
OP)を進む光線を発生するように構成された電磁
光放射のソース(S)と、
-前記ソース(S)によって発生された前記光線の前記光路(
OP)に沿って前記ソース(S)の外側に配置された分散ステージ(
6)であって、
前記分散ステージ(
6)は、
前記光線の前記光路(
OP)と角度(
φ)を形成する少なくとも1つの反射軸を備え、
前記ソース(S)によって発生された前記光線の少なくとも第1のスペクトル部分を前記ソース(S)に向かって反射し、前記ソース(S)によって発生された前記光線の第2のスペクトル部分を前記
少なくとも1つの反射軸の方向に反射
し、
少なくとも1つの可変長外部光学共振器(RS,L,6)が、前記ソース(S)と前記分散ステージ(6)の間を画定する、分散ステージと、
-前記光路(
OP)に沿って配置され、前記ソース
(S)から来る前記光線をコリメートするように構成された少なくとも1つのコリメートレンズ(C)と、
-前記ソース(S)と
前記少なくとも1つのコリメートレンズ(C)が取り付けられ
、前記ソース(S)と前記少なくとも1つのコリメータレンズ(C)が組み込まれたコリメータモジュール(3)と、
-
前記少なくとも1つの可変長外部光学共振器(RS,L,6)の長さ(L)を変えるように構成されたアクチュエータ(
24)と、を備え、
-前記アクチュエータ(24)は、前記コリメータモジュール(3)に機械的に結合され、
-前記アクチュエータ(24)は、前記光線の周波数を調節する際、前記
少なくとも1つのコリメータモジュール(3)を動かすことによって、前記
少なくとも1つの可変長外部光学共振器(RS,L,6)の長さ(L)を変えるように構成され、
前記
少なくとも1つの可変長外部光学共振器(RS,L,6)の長さ(L)が変化する間、前記分散ステージ(6)の前記
少なくとも1つの反射軸が前記
光線の前記光路(OP)となす前記角度(φ)が一定である、レーザ装置(100)。
【請求項2】
前記ソース(S)によって発生される前記光線の前記第2のスペクトル部分が前記分散ステージ(6)によってゼロ次で反射される、請求項1に記載のレーザ装置(100)。
【請求項3】
前記ソース(S)は、少なくとも1つの反射領域(RS)を備え、
前記
少なくとも1つの可変長外部光学共振器(RS,L,6)は、
前記少なくとも1つの反射領域(RS)と前記分散ステージ(6)の間に画定される、請求項1又は2に記載のレーザ装置(100)。
【請求項4】
前記アクチュエータ(24)は、前記コリメータモジュール(3)の端部の1つに関連付けられる可変長素子(2)を備え、
前記可変長素子(2)は圧電アクチュエータである、請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ装置(100)。
【請求項5】
前記可変長素子(2)は、前記ソース(S)から来る前記光線
が通過できるように構成された中空円筒状の形状である、請求項4に記載のレーザ装置(100)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(24)は、前記可変長素子(2)によって加えられる力に対抗するコリメータ(3)への弾性力を加えるようにコリメータ(3)と関連付けられる弾性戻り素子(4)を備える、請求項
4に記載のレーザ装置(100)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(24)は、複数の圧電アクチュエータ(2)を備える、請求項4乃至6のいずれか1項に記載のレーザ装置(100)。
【請求項8】
前記分散ステージ(6)は、前記第1のスペクトル部分及び/または前記第2のスペクトル部分の周波数が
変化するにつれて、前記ソース(S)によって発生される前記光線の前記第2のスペクトル部分を、
前記レーザ装置(100)への出力を一定方向(φ)に偏向するように構成される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレーザ装置(100)。
【請求項9】
前記分散ステージ(6)は、調整可能な支持体(7)と結合し、
前記調整可能な支持体(7)は、
-回転軸及び/または移動軸に方向付け可能なように構成され、
-前記ソース(S)と前記分散ステージ(6)の前記調整可能な支持体(7)を揃えるように構成された、少なくとも1つの調整可能なねじ(8)を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレーザ装置(100)。
【請求項10】
-ベース(9)、ヒートシンク(12)、及びペルチェ素子(11)と、
-保護ケース(P)とを備え、
-前記ベース(9)は、支持体(5)及び/または1またはそれ以上の調節可能なねじ(10)を備え、前記ソース(S)、前記アクチュエータ、
前記1またはそれ以上の調節可能なねじ(10)の中
の少なくとも1つに結合するように構成され、
前記ペルチェ素子(11)は、前記ベース(9)と前記ヒートシンク(12)の間に配置されるように構成される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレーザ装置(100)。
【請求項11】
前記ソース(S)は、代わりに、
-ダイオードレーザ、または
-利得チップ、または
-超発光LED-SLEDを備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のレーザ装置(100)。
【請求項12】
-請求項1乃至11のいずれか1項に記載のレーザ装置(100)と、
-前記レーザ装置(100)と結合可能で、前記レーザ装置(100)に配置された
前記ソース(S)を提供するように構成された電源(540)と、
-前記レーザ装置(100)の前記アクチュエータ(24)と結合する制御ユニット(520)と、
を備える、調節可能な光学レーザシステム(500)。
【請求項13】
前記制御ユニット(520)は前記電源(540)に接続され、
前記レーザ装置(100)は
、前記制御ユニット(520)によって前記アクチュエータ(24)及び/又は前記電源(540)に提供されるフィードバック信号を介して、フィードバックネットワークにおいて前記光学レーザシステム(500)に提供される周波数基準に周波数が固定される、請求項12に記載の調節可能な光学レーザシステム(500)。
【請求項14】
-請求項
13に記載の調節可能な光学レーザシステム(500)を用いるステップ(1500)と、
-前記ソース(S)から来る前記光線の前記光路(
OP)と前記分散ステージ(
6)の少なくとも1つの前記反射軸によって形成される前記角度(
φ)を選択するステップ(1510)と、
-前記光学レーザシステム(500)に提供される周波数基準(1520)を示す信号と、前記
光線を示す信号の比較(1540)を実行するステップと、
-前記比較(1540)を示す信号を前記
光学レーザシステム(500)の前記制御ユニット(520)に提供するステップ(1550)と、
-前記比較(1550)を示す前記フィードバック信号の関数として前記ソース(S)を動かす(24)ことによって、前記比較(1550)を示す前記フィードバック信号の関数として
前記少なくとも1つの可変長外部光学共振器(RS,L,6)の前記長さ(L)を繰り返して変えるステップ(1560)と、を備える、レーザ調節方法(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外部共振器レーザ装置に関する。そのような装置の例は、例えば外部共振器レーザ(ECL)または長外部共振器レーザ(LECL)である。
【0002】
1またはそれ以上の実施形態は、原子及び/または分子の光学分光法の背景及び計量背景に適用される。
【背景技術】
【0003】
外部共振器レーザ(ECL)、特に外部共振器ダイオードレーザ(ECDL)と呼ばれる、ダイオードレーザを備えるそれらは、周波数が安定しているコヒーレント放射源の一種である。
【0004】
例えば原子及び/または分子の光学分光法及び計量などの、多数の及び/または多様な用途において、上記レーザは、
-外部オペレータの側のいかなる介入もなくその引き延ばされた使用を容易にする機械強度の特性を示し、
-基準に対して周波数の調整ができることを求める。
【0005】
このタイプの装置に用いられる、利得媒体または光源とも呼ばれる、放射のソースは、述べられたように、ダイオードレーザ、利得チップ、または超発光LED(SLED)など他のタイプの利得媒体を含み、超発光LEDは、増幅された自然放出によって光を発生するように構成された利得媒体である。
【0006】
ダイオードレーザ及び利得チップの両方並びにSLEDは、例えば少なくとも1つの反射領域、特に例えば利得媒体の2面の1つに、特に反射面を備える半導体利得媒体を備える。この反射領域は、例えば反射処理を適用することによって、または(全体的または部分的)内部反射によって得られる。
【0007】
外部共振器レーザ装置及び対応する調節可能システムは、従来、
-光線を発生する及び/または放射するように構成された電磁放射のソース(簡単に「光源」または「利得媒体」)であって、言及されたようにこのソースは、例えばダイオードレーザ、SLED、またはいわゆる「利得チップ」を備え、特にこれらは、ほとんど可視スペクトル、近紫外、及び近及び中間赤外の光を発生するように構成され、そのようなソースは、少なくとも1つの反射領域、特にその反射面によって識別される外部光学共振器に含まれる、電磁放射のソースと、
-ソースによって放射された光をコリメートするレンズと、
-目標周波数においてレーザ放射を得るように、例えば光学フィルタまたは回折格子など光線の周波数選択を容易にするスペクトル選択光学素子と、
-出力において光線を提供する少なくとも1つの反射素子を備える出力カプラであって、この素子は、またスペクトル選択光学素子と一致する出力カプラと、を備える。
【0008】
簡潔にするために「外部共振器」と呼ばれる、可変長外部光学共振器は、このためそのような電磁放射のソースとスペクトル選択光学素子の間、特にソースの反射領域とスペクトル選択光学素子の間に画定される。外部光学共振器の共振モードは、現在、共振器の縦モードとして知られている。
【0009】
従来、少なくとも1つのアクチュエータが、例えば、外部共振器の長さの変動をできるように、電気的に制御された圧電アクチュエータなどが存在する。レーザの光の放射の周波数は、以下に説明するように、それに応じて変わる。
【0010】
様々なタイプの外部共振器レーザが知られ、一般に用いられる、例えば、出力カプラ及びスペクトル選択素子の異なる選択に関して、互いに異なる。
【0011】
「エタロンのような」形態と呼ばれる第1のタイプの形態は、スペクトル選択手段として干渉フィルタを用いる一方で、出力カプラは、アクチュエータと結合されたミラーを備える。
【0012】
ミラーの使用により、システムを機械的に安定させる、特にミラーにビームを集光するさらなるレンズが導入されるならば、ずれに対して感度の低下を促進する。干渉フィルタ(例えばエタロンフィルタ)が、外部共振器内に配置され、制限された周波数範囲においてのみ入射光放射の伝達を容易にする。この範囲は、エタロン干渉フィルタの法線(すなわちそれに垂直な方向)と、入射放射の波ベクトルの角度を変えることによって、またはフィルタ自体が配置された温度を変えることによって変わる。
【0013】
スペクトル選択のための(すなわち周波数選択のための)素子としてフィルタの使用は以下のいくつかの欠点を示す。
-温度安定性の欠如:延ばされた期間において、1つの同じ縦モードの放射を得るために、実際に干渉フィルタの正確な温度制御が求められる。
-フィルタ自体の高い吸収損失の値:そのような損失は、レーザの出力の低下を犠牲にして出力カプラミラーのより大きな反射率によって相殺される。
【0014】
リットマン-メトカーフ形態と呼ばれる第2のタイプの既知の形態は、
-圧電アクチュエータが提供される意図的に提供された支持体に取り付けられたミラーと、
-回折格子と、からなるシステムをスペクトル選択手段及び出力カプラの両方として用いる。
【0015】
干渉フィルタの使用と比較してリットマン-メトカーフ形態の使用は、温度への出力光線のスペクトルの依存を減らすことを提供する。このタイプの形態において、光線の第一回折次数は、ミラーに送られ、再び回折格子に向かって放射を反射し、それをソースに向かって反射し、そのため外部光学共振器を形成する。しかしながら、放射波長への回折格子の反射の角度の依存を考慮すると、スペクトル成分(すなわち周波数)の限定された範囲のみがレーザ放射に加わる。
【0016】
この範囲、-したがってレーザ放射波長を変えるために、回折格子と入射放射の波ベクトルの間の角度を変えることが、必須である。この条件は、例えば外部旋回点に対して回転可能なアームなど、ミラー支持体の回転可能なアームの回転によって、ミラーと回折格子の間の角度を変えることによって実行される。出力結合は、レーザから来る及び回折格子によってゼロ次で反射された放射によって得られる。
【0017】
リットマン-メトカーフ形態において、さらに主にミラーによって反射され、次に回折格子によってゼロ次で反射される放射によって外部共振器の重要な損失がある。そのような損失は、もう一度エタロンのような形態におけるように、レーザ放射出力の減少につながる。
【0018】
リトロー形態として知られる、第3のタイプの形態において、回折格子は、
図1に関して次に説明されるように、出力カプラ及びスペクトル選択素子の両方として用いられる。
【0019】
特に、
図1の部分a)において、リトロータイプのレーザ装置の形態の第1の例100aが光源S、コリメートレンズC並びに特に回折格子6a及びアクチュエータAによって得られるスペクトル選択素子を備える、出力カプラモジュール6abを備える。リトロータイプの形態の第2の例100bにおいて、構造100aを参照して前に説明された素子に加えて、出力カプラモジュール6abは、回折格子6a及び例えば回折格子6aが取り付けられた支持体と同じ支持体に取り付けられたミラー6bを備える。
【0020】
ミラー6bは、配向角度θにおいて回折格子によって反射されたビームを受け入れ、ソースSの放射の光学軸と平行な軸に沿ってビームを反射するように配置される。リトロー形態100aに関する続く説明は、リトロー形態100bに類似の素子に同じ方法で適用する。
【0021】
例えばダイオードレーザなどの、利得媒体/ソースSは、それ自体既知の方法で得られる例えば反射領域RS(例えば表面などの空間の接続領域)などの少なくとも1つの反射領域RSを有する。ソースSは、放射(または可視光)を放出するように構成される。
【0022】
例えば、利得媒体Sは、ダイオード支持体に収納される。
【0023】
ソースSによって発生される/放出される光線は、図の点線によって示される、ソースSの外部の光路OPa(100a)またはOPb(100b)に進む。ソースSは、例えばダイオードレーザを意味し、光路OPa、OPbは、ソースSを識別するモジュールの、特に半導体接合及びもしあるならば、内部ファブリーペロー共振器の外部またはソースSのパッケージの外部であることが指摘される。
【0024】
-コリメートレンズCと、
-特に回折格子6aの、スペクトル選択素子を備える出力カプラモジュール6abがそのような光路OPa、OPbに沿って配置される。
【0025】
ソースSから放出される光線は、レンズCでコリメートされると、この理由でまた光源Sの外部にある、回折格子6aに作用する。
【0026】
例えば圧電アクチュエータなどのアクチュエータAは、出力カプラモジュール6abで回折格子6aに結合される。
【0027】
ソースSの反射領域/表面RS及び出力カプラモジュール6abの(例えばコリメートレンズCを通る光軸の端部に配置された)回折格子6aは、可変長Lを備える少なくとも1つの外部共振器を形成する。
【0028】
外部共振器の長さLは、式
【数1】
に従ってソースSから放出された光線の波長λを決定する。ここでnは整数である。
【0029】
出力カプラモジュール6abのスペクトル選択素子として動作する回折格子6aは、光の光路OPaとOPbと配向角度θを形成する、軸に従って入射ビームをゼロ次において反射する。
【0030】
出力カプラ6abの配向の水平及び垂直角度は、例えば第1回折次数などそこに入射する光線のスペクトル部が光源Sに向かって戻って反射するように、光路OPa、OPbに沿ってモジュール6abの回折格子6aを揃えるようである。言い換えると、回折格子6aに入射するビームのスペクトル部は、入射方向に対して180°の角度で伝播する。例えばゼロ次の反射ビームなど、出力において光線の残りの部分は、光路OPa、OPbに沿って進む。
【0031】
利得媒体/ソースSに向かって反射される光の部分は、長さLの外部光学共振器RS,L,6aの縦共振モードの周波数に等しい周波数の少なくとも1つにおいてスペクトル成分を有する。この条件は、ソース自体のフィードバックネットワークを発生し、もはやソースSの放射の特性のみに基づいてではなく、外部共振器の特性のみに基づいて放射の特性の規制を促進する。レーザ装置100a,100bの動作は、ソースSの特性によってよりむしろ外部共振器の特性によって何らかの方法で「影響される」または支配される。
【0032】
配向角度θは、従来、
-回折格子6aを備える出力カプラ6abが取り付けられる支持体の1またはそれ以上の調節ねじ(図示せず)によって、及び/または
-例えば機械的にモジュール6abと結合される圧電アクチュエータAに送られる出力において、光の部分のスペクトル分析によって処理される電気信号によって調節される。
【0033】
図1の部分a)及び部分b)の両方に描かれるように、光が伝播する方向、すなわち光路OPa、OPbに対して回折格子6aの傾きの角度θの変動を実行するためのアクチュエータAは、機械的に回折格子6aと結合され、回折格子は回折格子6aに対して固定される調節可能なベースを備える出力カプラモジュール6ab内に配置される。圧電トランスデューサAが機械的にモジュール6abまたは回折格子6aと結合する事実は、回折格子6aの法線と入射放射の間の角度θを変えることを容易にする。出力ビームの放射の波長λは、回折格子6aの配向角度θを変えることによって調節される。
【0034】
この理由で、リトロー形態100a,100bは、光パワーの分散がなく、温度にあまり依存しないスペクトル選択手段6aが提供される利点を示す。
【0035】
特定の場合において、アクチュエータAは、例えば、アクチュエータAを収納するために支持体が作られた材料に凹部を刻むことによって形成された、意図的に設けられた「フォーク形状」スロット内の回折格子を支持する機械的支持体内に配置される。また他のタイプの機械的支持体が従来技術で知られている。リトロー形態100a,100bの使用は、出力カプラモジュール6abに含まれる支持体が特定の弾性特性を備えて設計され、アクチュエータAが十分に広い移動を有することができるが、高分解能の配向、すなわち角度θの変動を容易にすることを必要とする。したがって、リトロー形態100a、100bの欠点は要求される製造の機械的複雑さである。
【0036】
前に説明されたように放出の波長λの調節の欠点は、代わりに波長の変動の間、いわゆる「モードの間の競合」が、例えば反射領域RSとスペクトル選択素子6aによって形成される外部共振器の様々な共振周波数の間のシステムのモードホップが成立する、事実にある。
【0037】
ソースSの利得、回折格子6aの分散、及び外部共振器の共振モードの組み合わされた生産物によって得られる全体的な利得の値は、外部共振器の隣接/近接モード(すなわち周波数)に匹敵する。回折格子6aの配向角度θの-アクチュエータAによって得られる-小さい変動は、現在の発振モードに近い周波数の全体的な利得を高くし、それによりレーザ装置100a,100bは高い利得を有するモードにホップし、放射の周波数の安定性を失う。
【0038】
このため、リトロータイプ100a,100bの形態は、特に精密な調節を提供するように要求し、複雑な電気機械設定を示すようにアクチュエータAの特性の特に制約された条件をもたらす。
【0039】
リトロー形態100a,100bのさらなる欠点は、回折格子の角度θの変動が、また装置からの出力におけるレーザ放射に加わる回折格子6aによって回折された周波数の範囲の変動を引き起こすことである。圧電アクチュエータAの動作がレーザに2重の効果を有する事実-すなわち外部共振器の長さLを変えることと、回折格子6aのスペクトル選択の範囲を変えることは、モードホップによる放出のスペクトルの不安定性を引き起こす。
【0040】
この効果は、回折格子6aが回転する旋回点/軸を適切に選択することによって克服され、この点/軸は、ソースSの光放射の放出の平面に配置されるように選択される。出力モジュール6abのスペクトル選択素子6aのそのような旋回点は、ソースSの放出の平面に配置されるように制約される。この形態100a及び100bにおいて、回折格子6aは、このため-低周波数機械ノイズの結合のためにレーザ放出周波数の安定性を危険にさらさないように-十分に硬く、レーザ放出周波数を制御できるように精密にθ回転する機械システムに取り付けられる。
【0041】
2つの同時におこる技術パラメータの存在により、システムの複雑さは、光学機械観点から生み出され、レーザがずれに敏感になる。このため、これらの装置100a,100b及び対応する光学機械システムは、増加した機械的複雑さによって特徴付けられ、その結果レーザの生産コストが増加し、例えばさらに複雑なまたは携帯型装置内にレーザを一体化する可能性が低くなる。
【0042】
再び、リトロー形態100aの波長の調節を実行するさらなる欠点は、回折格子6aの配向角度θを変えることによって、また出力ビームの方向が、変わり、例えばポインティングの安定性が必要とされない状況に、その用途を制限することである。特に、リトロー形態100aは、波長の変動がレーザ放出の角度の変動を引き起こす限り放出周波数が変わるので、ポインティングの安定性を示さない。
【0043】
そのような効果は、回折格子の支持体に対して固定されたミラーによってレーザによって放出された放射を反射することによって減らされ、しかしながら、レーザの機械的具現化をますますさらに複雑にする
【0044】
構造100bの実施形態において、モジュール6abの回折格子6aに取り付けられる方法で結合されたミラー6bは、回折格子6aの配向角度θが変わるとき、放出の固定軸を有する出力光線を得ることを容易にしつつ、欠点として、それにもかかわらず配向角度θの関数として、放出の方向の剛体変位を示す。
【0045】
図1に対して説明されたもののような解決法、特に解決法100aは、例えば米国特許第7970024号で知られている。
【0046】
前に説明されたように、この分野の膨大な活動にもかかわらず、さらなる解決法に興味がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【発明の概要】
【0048】
1またはそれ以上の実施形態の目的は、そのように改善された解決法を提供することに貢献することである。
【0049】
1またはそれ以上の実施形態に従って、上記目的は、続く特許請求の範囲に規定された特性を有する装置によって達成される。ソースにおいて作動されるように構成された外部共振器レーザ装置は、そのような装置の例を提供する。
【0050】
1またはそれ以上の実施形態は、対応するシステムに関する。調整可能な光学レーザシステムは、そのようなシステムの例を提供する。
【0051】
1またはそれ以上の実施形態は、対応する方法に関する。
【0052】
1またはそれ以上の実施形態は、例えば、部品の複雑さの減少と共に、高い機械的/光学安定性などの、改善された性能を得ることを容易にする利点を示す。
【0053】
特許請求の範囲は、実施形態を参照して本明細書に提供される技術的教示の不可欠な部分を形成する。
【0054】
1またはそれ以上の実施形態は、ここから添付された図面を参照して例として純粋に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図2】本明細書で説明される外部共振器レーザ装置の1またはそれ以上の実施形態の例示的な光学図である。
【
図3】本明細書で説明される装置の1またはそれ以上の実施形態の例示的な分解図である。
【
図4】本明細書で説明される装置の1またはそれ以上の実施形態の周波数スペクトルの例示的な図である。
【
図5】本明細書で説明される装置の1またはそれ以上の実施形態の放出のスペクトルの例示的な図である。
【
図6】1またはそれ以上の実施形態に従う調節可能な光学レーザシステムの例示的な図である。
【
図7】1またはそれ以上の実施形態に従うレーザ調節方法の例として提供される図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
続く明細書において、1またはそれ以上の特定の詳細が開示の実施形態の例を深い理解を可能にするために描かれる。実施形態は、特定の詳細の1またはそれ以上なく、または他の方法、部品、材料などとともに得られる。他の場合において、既知の動作、材料、または構造は、実施形態の特定の態様が不明瞭であるように、詳細に描かれないまたは記載されない。
【0057】
本明細書のフレームワークで、「1つの実施形態」(an embodiment)または「1つの実施形態」(one embodiment)への参照は、実施形態を参照して説明される特定の形態、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを示すように意図される。このため、本明細書の1またはそれ以上の点に存在すると例えば「1つの実施形態において」(in an embodiment)または「1つの実施形態において」(in one embodiment)などの語句は、必ずしも正確に1つの同じ実施形態を参照しない。
【0058】
さらに、特定の形態、構造または特性は、1またはそれ以上の実施形態のいずれかに任意に適切な方法で組み合わされる。
【0059】
本明細書で用いられる参照は、単に便宜上用いられ、このため保護の範囲または実施形態の範囲を定義しない。
【0060】
前に説明された解決法において、光路において損失が引き起こされないならば、装置にから放出されるビームのポインティングを変えることなく、アクチュエータによってレーザの放出の周波数を連続的に変えることは実現可能でないことに注目した。
【0061】
1またはそれ以上の実施形態は、レーザの周波数安定性からレーザのポインティングを切り離すために、配置の機械的安定性を切り離すことを容易にする。
【0062】
この関連で、
図2は、ソースに機械的に結合されるリニアアクチュエータによってソースSにおいて、駆動/作動される外部共振器レーザ装置100の実施形態の例として提供される光学図を示し、
-機械部品を製造する複雑さの減少、及び/または
-周波数及びポインティング安定性を容易にする。
【0063】
もう一度、簡単にするために、特に明記されない限り、類似の符号は、
図1のそれらと同様な部分を指定するために次に用いられる。
【0064】
例えば
図2に例示されたように外部共振器レーザ装置100は、
-可変寸法素子2、すなわち、要求量の受け取りの際に、1つの軸に少なくとも沿ってその寸法を変えるように構成された素子、このため、特に要求量をリニア動作に変換する変換素子を備える、リニアアクチュエータ24であって、可変寸法素子2は、例において、圧電材料で作られた素子であり、リニアアクチュエータ24は、さらに好ましくは例えばポリマ材料で作られたOリングまたは機械的ばねなど、弾性戻り素子4、すなわちアクチュエータが可変寸法素子2に移動によって働く力の方向と反対の方向に反力の弾性を発揮するように動作する素子に配置され、そのためその安定性を保証することを容易にする、弾性素子を備える、リニアアクチュエータと、
-電磁放射のソース(また単に「光源」と呼ばれる)Sとモジュール3に取り付けられる少なくとも1つのコリメートレンズCを備えるコリメータモジュール3と、
-例えば光学回折格子など、スペクトル選択手段及び出力カプラの両方として用いられる分散ステージ6と、を備える。
【0065】
コリメートレンズCは、例えば、利得媒体Sによって放出される光放射をコリメートするように設計された、アクロマティックダブレットまたは任意のレンズのセットを備える。
【0066】
光源S及びコリメートレンズCは、例えば、そのような光をコリメートするように、光源Sから出力において光の光路OPに沿って配置されるレンズCを備えて、コリメータモジュール3に一緒に組み立てられる。
【0067】
光学的観点から、光源Sは、光線を生み出し、回折格子6上に/に向かってコリメートされるコリメータ3のコリメートレンズCに光線を送る。回折格子から静的配向角度φにおいてゼロ次において反射される。この場合において、実際に、回折格子6は、装置100aの場合においてのように、その配向を変えるアクチュエータと関連付けられない。
【0068】
リニアアクチュエータ24は、コリメータモジュール3の上流に配置される。特に、リニア移動に電気要求信号を変換する可変寸法素子2は、コリメータモジュール3の上流に配置される。
【0069】
代わりにその機械構造を理解することを容易にする装置100の分解図が
図3に示される。
【0070】
図2及び3に示される実施形態において、少なくとも1つの可変長外部光学共振器RS,L,6は、電磁放射のソースSと分散ステージ6の間に画定される。
【0071】
リニアアクチュエータ24は、軸、特に例えば外部共振器RS,L,6の軸に沿ってソースSの放射の軸の方向にソースSとレンズCを動かすように、例えばそこに一体化される光源Sに、コリメートモジュール3に機械的に結合される。
【0072】
コリメートモジュール3は、例において、円筒形コリメータチューブを備える。リニアアクチュエータ24において、可変寸法素子2、すなわち、圧電アクチュエータは、例えば利得媒体/ソースSの側面において、コリメータモジュール3の第1の表面(またはファセット)に結合される一方で、描かれる例において、戻り素子4は、コリメータモジュール3の第2の表面に結合され、例えばレンズCの側面の、ソースSに対して可変寸法素子2の反対側に配置される。リニアアクチュエータ24の素子の上記配置は、純粋に例として提供されることに留意すべきである。配置の他の例は、戻り素子4がモジュール3の第1のファセットに結合される一方で、可変寸法素子2がモジュール3の第2のファセットに結合されることを予測する。
【0073】
弾性戻り素子4(Oリング)は、その欠如が可変寸法素子2によって実施、動作、または同調性を危うくしない限り、アクチュエータ24に存在しない場合さえある。戻り素子4の機能は、安定性を改善すること及び可変寸法素子2の動作のヒステリシスを減らすことである。
【0074】
1つの実施形態において、例えば可変寸法素子2がモジュール3の第2のファセットに結合されたとき、可変寸法素子2は、そこに光放射の自由な通過を許容する形状を有する。例えば中空円筒のような形状にされる。
【0075】
代わりに、複数のアクチュエータが、用いられ、例えば互いに対して例えば120°の角度において配置された長手方向の軸を有する3つの可変長素子2によって形成され、コリメータモジュール3に結合され、そのため、アクチュエータ自体の穴の存在を要求することなく、ケーブルの通過に都合が良い。
【0076】
そのような目的に適合される戻り素子4は、例えばポリマ材料で作られたOリングなど、弾性材料を備える任意の円筒形素子である。
【0077】
弾性戻り素子4は、可変寸法素子2の拡張及び圧縮と共動作し、結果としてコリメータモジュール3を移動する。特に、戻り素子4は、可変寸法素子2によって働かされる力と反対の(すなわち反対方向に作用する)力を働かされその移動の調節を容易にする。
【0078】
リニアアクチュエータ24は、またこの分野の当業者によって理解されるように、圧電材料を備えるリニアアクチュエータに限定されずに、同様な動的及び分解能条件を有するそれ自体既知の他の技術で得られることに留意すべきである。例えば、電磁タイプのアクチュエータが磁石と移動軸に沿って動作するコイルを備えて用いられる。
【0079】
このため、特に
図2の光学図を参照して、光路OPa,OPbに関して前に説明されたものと同様の方法で、装置100の光源Sによって放出された光は、ソースSの外部に光路OPに沿って伝播し、分散ステージ、特に回折格子6の表面に作用する。理解されるように、回折格子6は、ソースから光の伝播の方向と静的角度φを形成する、例えば反射軸など少なくとも1つの光学軸を有する。
【0080】
装置100がもはや例えば精密な調節による静的角度φを動的に変えることを求めないので、構造は、リトロータイプ100a,100bの構造と異なる特性を有することに留意する。例えば、本明細書で説明される1またはそれ以上の実施形態に用いられる回折格子6の機械的支持体は、圧電アクチュエータまたは特定の柔軟な材料において特定の筐体の存在を必要としない。例えば、従来のミラーホルダが用いられる。
【0081】
外部共振器レーザ装置100は、安定ポインティング方向を有する光線を得ることを容易にする。分散ステージ、例において回折格子6は、例えばリニアアクチュエータ24による放出の波長の変動の間、回折格子によって選択される周波数または波長の全範囲に渡って、1つの同じ値、すなわち一定の角度を維持する角度φで目標の周波数を選択するように揃えられる。
【0082】
特に、分散ステージ6の回転素子の旋回点は、もはや利得媒体/光源Sの放出の平面に配置されるように制約されない。これは、さらにレーザ装置自体の全体の寸法を減らす可能性をもたらす。
【0083】
例えば、光路OPで光線の伝播の方向と回折格子の反射軸によって形成された静的角度φは、このため装置100の放出の周波数を、粗くても決定するように選択される一方で、周波数(または波長)の精密な調節は、コリメータモジュールを動かすリニアアクチュエータ24によって実行される。
【0084】
図3の分解図で例示されるように、機械構造を備える実施形態は、例えば一定の方向、すなわち広範な周波数範囲に渡ってポインティング安定性を有する空間的に及び時間的にコヒーレントである光線(装置100からの出力において)を得ることを容易にする。
図3で観察されるように、この実施形態は、前に少なくとも部分的に言及されたように、例えばマイクロメトリックねじなど1またはそれ以上の調節ねじ10を備える、調節可能なベース9で組み立てられる、コリメータ3、回折格子を備える分散ステージ6、リニアアクチュエータ24及び支持モジュール7を備える。支持体モジュールは、例えばマイクロメトリックねじなど、1またはそれ以上の調節ねじ8を備える。
【0085】
もう一度言及されたように、コリメートモジュール3は、例において、その二つの端部において例えば電磁放射のソースなどの光源S及び少なくとも1つのコリメートレンズCを備える。
【0086】
前に説明されたように、例えばダイオードレーザ、反射防止コーティング(利得チップ)を備えるダイオードレーザ、またはSLEDなど光源/利得媒体Sは、適切に反射する少なくとも1つの領域RSを示す。特に、光源は、それ自体既知の方法で、反射防止コーティングでコーティングされた領域(例えば領域、表面、または角または側面)を有する。実質的に、ソースSは、1、2またはそれ以上の適切な反射領域RSを有する。
【0087】
特にダイオードレーザなどソースSの場合において、領域RSは、利得媒体/ソースSの外側端部、すなわち光線の放出表面の反対端部の近くに配置される。
【0088】
変形の実施形態において、そのような反射領域RSは、光導波路の内面の少なくとも1つに対応する。
【0089】
ソースSは、コリメータモジュール3の内側のコリメートレンズCと共に組み立てられ、そのようなコリメータモジュールは、例えば、可変寸法素子2として動作する圧電トランスデューサと取り付け支持体5内の弾性戻り素子4として動作するポリマ材料で作られたOリングの間に配置される。
【0090】
例えば対称軸に沿って、コリメータモジュールを動かす圧電トランスデューサ2は、装置100、すなわちECL装置の外部共振器RS,L,6の長さLのわずかな変動をもたらし、例えば外部共振器RS,L,6のモードを変えることによって、レーザ放射など放射の波長の正確な変動及び修正を容易にする。Oリング4は、リニアアクチュエータ24の可変寸法素子2の動作を容易にし、安定性を保証する目的を有する。
【0091】
このため、コリメータモジュール3は、ソースとコリメータの間の目標焦点距離を維持すると同時に、ソースSの側面の一端、すなわち、例えば外部共振器RS,L,6の反射領域RSの移動を容易にする機能を有する。
図3に観察されるように、リニアアクチュエータ24及びコリメータモジュール3は、円筒のような形状にされ、ダイオード支持体5の対応した中空筐体に適合される。その内側にリニアアクチュエータ24とコリメータモジュール3を含む、例えばダイオード支持体5のねじ山端部に接続されるブッシングが、
図3の符号1によって指定され、このブッシングは、素子の集合体を一緒に保持し、例えばリニアアクチュエータ24をあらかじめ組み込むことを容易にする。実際にコリメータ3の第2の表面に関連付けられた弾性戻り素子4は、素子2によって働かされる力と反対の弾性力を働かす支持体5の円筒形共振器の端部壁に影響する。例えばばねなどの素子4は、このため特定の方法であらかじめ組み込まれ、圧電素子2の拡張の変動の範囲の調整を容易にする。
【0092】
支持体5または圧電アクチュエータ2は、例えばダイオードの供給ケーブルが支持体5から出ることができるように、円筒形状を有する穴を空けられる。
【0093】
1つの実施形態において、光源Sは、ドイツ、ベルリン、イーグルヤードフォトニクスにおいて生産される790nm(1nm=10-9m)の光を放出する、出力表面上の反射防止コーティングを備える半導体ダイオードレーザ(利得チップ)を備える。特に、レーザ装置100は、様々な実施形態において、適切なソース及び適切な光学材料が利用可能であるならば、例えば近紫外から中間赤外の異なるスペクトル範囲でその動作が可能な利得媒体及び光学材料で動作する。
【0094】
言及されたように、コリメートレンズCは、例えばレンズのダブレットからなるアクロマティックレンズを備える。
【0095】
リニアアクチュエータ24は、コヒーレント光を放出するように構成された光源Sに結合される。言及されたように、例えばソースは、ダイオードレーザタイプまたはSLEDタイプである。
【0096】
説明された例において、分散ステージ6を実行する回折格子は、スペクトル選択素子及び出力カプラの両方として動作する。そのような回折格子6は、単に例として、Thorlabsにおいて製造されたミリメータ(1ミリメータ=10-3m)当たり1800溝のピッチで商品名GH13-18Vで知られるホログラフィック分散格子である。
【0097】
言及されたように、リニアアクチュエータ24は、電磁放射のソースS及びコリメータレンズCを備えるコリメータモジュール3を動かすように構成される。
【0098】
リニアアクチュエータ24は、例えば、ピエゾシステム Jena HPSt500/15-5/7タイプのリング圧電アクチュエータを備える。
【0099】
リトロー形態100a,100bの回折格子のアクチュエータを支持する従来技術で用いられるフォーク形状スロットを備える機械的支持体と同様のタイプである回折格子6のための支持モジュール7が
図3に示される。これは、可能な機械的支持体の例である。変形の実施形態において、支持モジュール7は、例えば単純なミラーホルダである。全体的に、さらなる実施形態において、支持体モジュール7は、また異なる方法で得られる。1またはそれ以上の実施形態において、利得媒体S及びコリメータ3と同様なレンズCは、例えば単一の/一体化したモジュールを形成するためにリニアアクチュエータ24内に一体化される。
【0100】
1つまたはそれ以上の実施形態において、コリメータモジュール3は、単に例として、商品名Thorlabs LT230P-Bで知られるタイプのコリメータチューブを備える。
【0101】
図3の分解図でさらに観察されるように、回折格子6は、回折格子6の反射軸が光の伝播の方向に静的角度φを形成するように、回転アームを有する支持モジュール7に取り付けられる。そのような角度φは、マイクロメトリックねじ8を動かすことによって選択される。これは、前に説明されたように回折格子の特性に基づいてスペクトル分解能を備えて波長の選択を容易にする。
【0102】
ソースS(例えばダイオード)及び回折格子6の支持体5,7は、例えばマイクロメトリックねじ10によって任意に調節可能であるベース9に取り付けられる。この変形において、回折格子6のための支持体7が取り付けられるベース9の部分は、2つのねじ10によって曲げられる。(例えば、ソースSに向かって)回折格子によって反射されるビームの垂直配置は、ベースの2つの対向面を押す及び引っ張るために反対に働く少なくとも2つのねじ10によって得られるベース9の一部の曲げを調整することによって得られる。
【0103】
ペルチェセル11は、例えばアルミニウムで作られるブロック12に取り付けられ、ヒートシンクとして動作する。ベース9及び制御ユニットまたは制御回路を備える利得媒体/ソースSのヘッドの温度を安定化するために用いられる。
【0104】
例えばこの実施形態において、レーザ装置100によって放出される光線は、温度の依存が低く、放出の周波数は外部光学共振器RS,L,6自体の長さLを調節することによって基準に固定され、回折格子6の位置(例えば静的角度φ)を維持し、このため放出の角度を変えることがない。回折格子6が装置100の放出の周波数を選択するように揃えられると、このためレーザ100は安定なポインティングφを示す。
【0105】
変形の実施形態において、外部共振器RS,L,6の寸法は、10cm(1cm=10-2m)以上であり、すなわちLECL形態である。
【0106】
LECLの、特に
図2に関連して、前に説明されたような実施形態の使用は、装置がモードホップの欠如で動作する周波数の範囲に延在することが容易であるので、特に有利である。実際に、リトロー形態において、旋回点が放出面に配置されることを保証することが必要とされる回折格子6aのアクチュエータAの変動のダイナミックレンジは、複雑であり、機械的及び光学的の両方で提供されることが重荷になる。
【0107】
変形の実施形態において、装置100は、例えばPVCまたはプレキシグラスで作られた保護ケースP内に取り付けられる。
【0108】
外部共振器装置100は、
図4の図に示されるように、周波数の動きを有する。
【0109】
横座標の水平軸fは、周波数fの範囲を示す一方で、縦座標の垂直軸S(f)は、周波数スペクトルの規模を示す。第1の曲線gmは、分散ステージ6(回折格子モードプロファイル)のスペクトルを示す一方で、第2の曲線ecmは、外部共振器RS,L,6(外部共振器モード)の(共振)モードのスペクトルを示し、共振器自体の長さLの関数として変わる。リトロータイプの装置100a,100bにおいて、それぞれの回折格子モードプロファイル及びそれぞれの外部共振器モードの両方は、モジュール6abに結合された圧電アクチュエータAの動作によって周波数fにおいて、例えば移動されるなど変えられる一方で、長共振器レーザ装置100の1またはそれ以上の実施形態において、外部共振器モードのみが、回折格子モードプロファイルが例えば回折格子ホルダ7に配置された調節ねじによって手動で変えられるなど静的角度φの選択に基づきながら、例えば可変長素子2など、リニアアクチュエータ24の動作によって変えられ(shifted)/変えられる(changed)。
【0110】
したがって、装置100の分散ステージ6を例示するそのような回折格子の分散スペクトルgmは、分散スペクトルが光線の伝播の方向と回折格子6の反射軸の1つによって形成された静的角度φに依存する限り、可変長外部光学共振器RS,L,6の長さLの変動に無関係である。さらに、同時に、共振スペクトルecmは、外部共振器RS,L,6の単一幾何パラメータの関数、すなわち可変長外部光学共振器RS,L,6の長さLの関数として変わる。
【0111】
図5は、
図2及び3に例示されたように、外部共振器レーザ装置100の1またはそれ以上の実施形態の放出のスペクトルの図を示す。
【0112】
図5は、
図2及び3を参照して説明されたもののようにリトロー形態装置及び外部共振器レーザ装置が独立の方法で(周波数帯<15Hzで)圧電トランスデューサへのゆっくりなフィードバックによってルビジウムセルから飽和分光信号に周波数固定されるとき、横座標の水平軸fに任意単位の周波数の範囲と縦座標の軸に光強度を示す。フィードバックカウンタは、温度の変動または他のいくつかの自然の変動による2つのレーザの周波数の変動を遅らせる。
図5に示されるように、2つの(独立な)レーザの間のビートを表す信号の周波数スペクトルは、もう一度例として、リトロー装置100a,100bの周波数固定ECLの前の設計で得られる線幅に匹敵する単一のレーザにおける線幅をもたらす。
【0113】
1またはそれ以上の実施形態は、
図6に例示されるように対応するシステム500を備える。
【0114】
装置100は、自動的な方法で調節されるレーザ光学システム500に配置され、装置100の放出の波長(または周波数)は、例えば外部共振器RS,L,6自体の長さLの寸法の変動を容易にするフィードバックネットワークの基準に固定され、例えば
図6に関して続くものに説明されたように、回折格子6の配向φを一定に維持する。
【0115】
例えば
図6に示されたように、システム500は、
-例えば、前に説明された外部共振器レーザ装置100などのレーザ装置と、
-当該光学装置100に結合され、光学装置100に存在する光源Sを供給するように構成された電源540と、
-例えば出力において提供される周波数の値の不一致、例えば装置100の目標動作に対する誤差の信号、など(例えばそれを処理する及び/またはそれを供給する及び駆動としてそれを用いる)フィードバック信号で動作するように構成されたアクチュエータ24に結合された制御ユニットであって、制御ユニット520は、任意にアクチュエータ24及び光源Sに電力を与える電源540の両方に結合される、制御ユニット520と、
-利得媒体Sの電力供給を実行する及び制御ユニット520によって装置100のリニアアクチュエータ24を駆動する方法に関する情報を提供するように構成された、例えばソフトウェアのグラフィックインターフェースなど、設定インターフェース510と、
-任意に、装置100から電源540を切り離すように及び/または装置100から電源540を切り離すために制御ユニット520を駆動するように構成される安全インターロックであって、例として制御ユニット540は、Thorlabsで製造された商品名Thorlabs LDC8002で知られるコントローラを備える。
【0116】
1またはそれ以上の実施形態において、ECL(及び/またはLECL)装置100を備えるシステムにおいて、電源540は、装置100の外部共振器RS,L,6によって放出される光の出力周波数の安定性を維持することを容易にするように、例えば光源Sの電力供給540によって供給される、例えばこのため供給電力を調整するさらなる電流調整を実行することによって、例えば装置100のさらなる調整器として動作するように制御ユニット520によって駆動される。これに加えて、変形の実施形態において、制御ユニット520は、また周波数掃引中ソースSの電流を変えるように電力供給540を駆動するように構成され、次に説明されるように、リニアアクチュエータ24の変動が同時に起こる。
【0117】
リニアアクチュエータ24は、フィードバック信号を制御ユニット520から受信し、アクチュエータ24がそのようなカットオフ値以下の周波数で稼働/または応答するように、例えばそれ自体のカットオフ周波数の値に基づいて、制御ユニット520によって供給されるフィードバック信号のスペクトルの部分を動作に変換する。代わりに、放射源Sに電力を与える電源540は、リニアアクチュエータ24の周波数より高い周波数を備える(周波数)帯を備える信号によって駆動される。リニアアクチュエータ24によって得られる調節より早い調節を実行することが効果的である場合に、制御ユニット520によって供給されるフィードバック信号が、装置100の動きを修正または調整するための電源540を駆動するために用いられることが続く。1またはそれ以上の実施形態において、リニアアクチュエータ24は、温度変動の補償及び/または低周波音響及び機械ノイズ(例えば、10kHz未満の周波数で)が可能である制御ユニット520から来るフィードバック信号のスペクトル成分に応答するために適切なカットオフ周波数を有する一方で、放射源Sに電力を与える電源540は、誤差の微修正または既に説明されたものに加えて誤差のさらなるソースの修正を容易にする。このため、フィードバック信号は、アクチュエータのカットオフ周波数を考慮して、例えば異なるスペクトル区分に従ってなど、様々な戦略に従って、アクチュエータと電力供給の間に共有される。
【0118】
そのような配置は、外部共振器レーザ装置100によって放出される放射のスペクトル線幅の減少を容易にする目的を有する。
【0119】
図7は、説明されたシステム500及び装置100によって実行される方法1000の動作を示す図を示す。図を参照して、
-前に説明されたように調節可能な光学レーザシステム500を提供するステップと、
-ソースSからの光の伝播の光路OPと分散ステージ6の反射軸によって形成される静的角度φを選択するステップと、
-例えば安定光学共振器、安定レーザ放射、または特定の基準スペクトルを示す信号を提供する原子または分子サンプルからの分光信号(例えば吸収分光システムによって得られる)からの周波数基準など、それ自体既知の方法で周波数基準を提供するステップ1520と、
-そのようなシステム500によって光線を作り出すステップ1530と、
-そのような基準信号と光線の比較1540を実行するステップと、
-そのように実行された比較を代表する信号をそのようなシステム500のそのような制御ユニット520に提供するステップ1550と、
例えば、反復方法で比較を示すそのような信号の関数として、外部共振器RS,L,6の例えば長さLなど寸法を変えるステップ1560と、を備える。
【0120】
本発明の方法は、また変形の実施形態において、方法1000と共にまたは代わりに、システム500のソースSの供給電流540の変動を実行するステップを備える。
【0121】
図7の図に描かれる行為の順番は、純粋に例として提供され、異なってもよいことに留意する。例えば、周波数基準を提供する行為1520及びビームを発生する行為1530は、方法の開始においてまたは行為1510の前に実行されてもよい。
【0122】
したがって、このフレームワークにおいて、レーザ調節方法1000の1またはそれ以上の実施形態は、例えば、
-そのような調節可能な光学レーザシステム500を用いるステップ1500と、
-電磁放射のソースSから来る当該光線の当該光路OPと分散ステージ6の少なくとも1つの当該反射軸によって形成される角度φを選択するステップ1510と、
-システム500に提供されたそのような周波数基準1520を示す信号とそのような光線530を示す信号の比較1540を実行するステップと、
-そのような実行された比較1540を示す信号をそのようなシステム500のそのような制御ユニット520に提供するステップ1550と、
-そのような比較1550を示す当該信号の関数として、そのような電磁放射のソースSを動かす24ことによってそのような比較1550を示すそのような信号の関数として、そのような少なくとも1つの外部共振器RS,L,6のそのような長さLを繰り返して変えるステップ1560と、の動作を備える。
【0123】
根底にある原則を損なうことなく、詳細及び実施形態は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の保護の範囲から逸脱することなく、例として純粋に説明されたものに対して、かなりでさえ変わってもよい。