(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】動的光スポットを用いたレーザ溶接システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/21 20140101AFI20240321BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20240321BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240321BHJP
【FI】
B23K26/21 W
B23K26/073
B23K26/00 Q
(21)【出願番号】P 2022077471
(22)【出願日】2022-05-10
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】202110711033.7
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄春蓮
(72)【発明者】
【氏名】荘▲ぶん▼羽
(72)【発明者】
【氏名】張耿寧
(72)【発明者】
【氏名】呂庭宇
(72)【発明者】
【氏名】宮春斐
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132655(JP,A)
【文献】特開2013-086180(JP,A)
【文献】特開2013-016703(JP,A)
【文献】特開2020-163413(JP,A)
【文献】特開昭60-234768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/21
B23K 26/073
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的光スポットを用いたレーザ溶接方法であって、
予熱パワーに基づいて溶接対象に対して予熱を行うようにレーザモジュールを制御することと、
前記予熱パワーより大きい溶接パワーに基づいて前記レーザモジュールを制御して第1レンズ及び第2レンズに向けて照射して、前記溶接対象に光スポットを形成して溶接を実行することと、
溶接段階においていずれかの光スポット調整条件が満たされているか否かを継続的に検出し、いずれかの光スポット調整条件が満たされたことを検出すると、前記光スポット調整条件に基づいて前記第1レンズと前記第2レンズとの間のレンズ距離を動的に調整して、前記光スポットの光スポットサイズを調整することと、
溶接が完了する前に、いずれかの光スポット調整条件が満たされているか否かを継続的に検出することと、を含む、
動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項2】
前記レーザ溶接方法は、溶接を実行する前に、
加工データを取得することと、
前記加工データに基づいて、前記予熱パワーと前記溶接パワーとを含む加工パラメータを設定することと、を含み、
溶接を実行することは、前記加工パラメータに基づいて、前記レーザモジュールを制御して加熱を行うことを含む、
請求項1に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項3】
前記加工データは、対象データを含み、
前記対象データには、前記溶接対象のサイズ、厚さ、面積、材質及び放熱性のうちの少なくとも1つが記録され、
前記加工パラメータは、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の初期の前記レンズ距離と、前記レーザモジュールの各段階でのパワーとを含み、
前記加工パラメータを設定することは、放熱指標データベースにおいて前記対象データに対応する前記加工パラメータを検索することを含む、
請求項2に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項4】
前記溶接対象は、溶接材料と回路基板上のランドとを備え、
前記レーザ溶接方法、溶接を実行する前に、
撮像モジュールを制御して前記溶接対象を継続的に撮影し、連続的な複数の溶接前の画像を取得することと、
前記溶接材料を前記ランドの溶接位置に移動させると同時に、前記複数の溶接前の画像に基づいて自動位置合わせプログラムを実行して、前記溶接材料が前記溶接位置に到達したか否かを検出することと、を含む、
請求項2に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項5】
いずれかの前記光スポット調整条件が満たされたことを検出する際に前記レーザモジュールの前記光スポットサイズを調整することは、
撮像モジュールを制御して前記溶接対象を継続的に撮影し、連続的な複数の溶
接画像を取得することと、
前記複数の溶接画像に基づいて、前記溶接対象の溶接状態が異常であることを認識すると、前記溶接状態に対応する調整方針を取得することと、
前記調整方針に基づいて、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の前記レンズ距離を調整して、前記溶接対象の前記光スポットサイズを調整することと、を含む、
請求項1に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項6】
前記複数の溶接画像に基づいて前記溶接状態を認識することは、
連続的な前記複数の溶接画像を学習モデルに入力して溶接状態を取得することを含み、
前記学習モデルは,異常な前記溶接状態に対応する前記複数の溶接画像及び機械学習アルゴリズムに基づいてトレーニングされたものである、
請求項5に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項7】
前記光スポット調整条件は、溶接材料が空中で溶融すること、溶融していない前記溶接材料が電子ピンに衝突すること、前記溶接材料が球状に溶融すること、及び前記光スポットが前記溶接対象以外の回路基板本体を焼くことのうちの少なくとも1つを含み、
いずれかの前記光スポット調整条件が満たされたことを検出する際に前記レーザモジュールの前記光スポットサイズを調整することは、
前記溶接材料が空中で溶融する場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを拡大して、前記光スポットの熱エネルギー密度を低めることと、
溶融していない前記溶接材料が前記電子ピンに衝突する場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを縮小し、前記光スポットの熱エネルギー密度を高めることと、
前記溶接材料が球状に溶融する場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを縮小し、前記光スポットの熱エネルギー密度を高めることと、
前記光スポットが回路基板本体を焼く場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを拡大し、前記光スポットの熱エネルギー密度を低めることと、を含む、
請求項1に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項8】
いずれかの前記光スポット調整条件が満たされたことを検出する際に前記レーザモジュールの前記光スポットサイズを調整することは、
温度検出モジュールにより前記溶接対象の検出温度を取得すること、
前記検出温度に基づいて、前記溶接対象の溶接状態が異常であることを検出すると、前記溶接状態に対応する調整方針を取得することと、
前記調整方針に基づいて、前記第1レンズと前記第2レンズとの間の前記レンズ距離を調整して、前記溶接対象の前記光スポットサイズを調整することと、を含む、
請求項1に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項9】
前記光スポット調整条件は、前記溶接対象の検出温度が予め設定された溶接温度に一致しないこと、及び電子ピンの温度と前記溶接対象のランドの温度との温度差が予め設定された溶接温度差よりも大きいことのうちの少なくとも1つを含み、
いずれかの前記光スポット調整条件が満たされたことを検出する際に前記レーザモジュールの前記光スポットサイズを調整することは、
前記検出温度が前記予め設定された溶接温度よりも高い場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを拡大して、前記光スポットの熱エネルギー密度を低めることと、
前記検出温度が前記予め設定された溶接温度よりも低い場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを縮小して、前記光スポットの熱エネルギー密度を高めることと、
前記温度差が前記予め設定された溶接温度差よりも大きい場合、前記レンズ距離を調整して前記光スポットサイズを縮小して、前記光スポットの熱エネルギー密度を高めて、前記光スポットが温度の低い前記電子ピン又は前記ランドにより高い熱エネルギーを供給することと、を含む、
請求項1に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項10】
前記レンズ距離を調整することは、
複数の実験距離と複数の実験サイズとの対応関係を取得することと、
現在の前記光スポットサイズと、満たされた前記光スポット調整条件に対応する調整方針とに基づいて前記対応関係を検索して、対応する前記実験距離を決定することと、
前記レンズ距離を前記実験距離に調整することと、を含む、
請求項1に記載の動的光スポットを用いたレーザ溶接方法。
【請求項11】
第1レンズと第2レンズとを備える写真レンズと、
前記第1レンズ及び前記第2レンズのうちの少なくとも1つに接続され、前記第1レンズと前記第2レンズとの間のレンズ距離を調整するために移動するように構成された電動変位モジュールと、
前記写真レンズに向けてレーザ光を発して、前記写真レンズの後の溶接対象に光スポットを形成するように構成されたレーザモジュールと、
前記レーザモジュールと前記電動変位モジュールとに電気的に接続され、予熱段階において予熱パワーに基づいて前記レーザモジュールを制御して溶接対象に対して予熱を行い、溶接段階において前記予熱パワーより大きい溶接パワーに基づいて前記レーザモジュールを制御して前記溶接対象に対して加熱を行うように構成された制御モジュールと、を含み、
前記制御モジュールは、前記溶接段階においていずれかの光スポット調整条件が満たされているか否かを継続的に検出し、いずれかの光スポット調整条件が満たされたことを検出すると、前記光スポット調整条件に基づいて前記第1レンズと前記第2レンズとの間の前記レンズ距離を動的に調整して、前記レーザモジュールの前記光スポットの光スポットサイズを調整し、溶接が完了する前に、いずれかの光スポット調整条件が満たされているか否かを継続的に検出するように構成される、
動的光スポットを用いたレーザ溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接に関し、特に、動的光スポットを用いるレーザ溶接システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ溶接方法では、レーザモジュールのパワー設定は溶接開始前(オフライン状態)に完了しなければならず、溶接過程(オンライン状態)でパワーを任意に変更することはできなかった。
【0003】
また、従来のレーザ溶接方法では、写真レンズの焦点距離が固定されているため、溶接対象に形成される光スポットサイズも固定されており、レーザの有効加熱範囲を任意に調整することができない。
【0004】
したがって、従来のレーザ溶接方法は、溶接過程に一定の熱エネルギー密度で溶接対象を溶接することしかできず、異なる溶接状態(例えば溶接点の温度が低すぎる又は高すぎる)に応じて光スポットの熱エネルギー密度を調整することができず、溶接品質を低下させて、溶接不良が発生してしまうという問題があった。
【0005】
そのため、従来のレーザ溶接方法には上記の問題があり、より効果的な解決策が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、溶接段階において光スポットサイズを調整することにより、熱エネルギー密度を変化させることができる動的光スポットを用いたレーザ溶接システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る動的光スポットを用いたレーザ溶接方法は、レーザモジュールを制御して第1レンズ及び第2レンズに照射して、溶接対象に光スポットを形成して溶接を実行することと、溶接段階においていずれかの光スポット調整条件が満たされたことを検出すると、前記光スポット調整条件に基づいて前記第1レンズと前記第2レンズとの間のレンズ距離を調整して、前記光スポットの光スポットサイズを調整することと、を含む。
【0008】
本発明に係る動的光スポットを用いたレーザ溶接システムは、第1レンズと第2レンズとを備える写真レンズと、前記第1レンズ及び前記第2レンズのうちの少なくとも1つに接続され、前記第1レンズと前記第2レンズとの間のレンズ距離を調整するために移動するように構成された電動変位モジュールと、前記写真レンズに向けてレーザ光を発して、前記写真レンズの後の溶接対象に光スポットを形成するように構成されたレーザモジュールと、前記レーザモジュールと前記電動変位モジュールとに電気的に接続され、前記レーザモジュールを照射制御するとともに、溶接段階においていずれかの光スポット調整条件が満たされたことを検出すると、前記光スポット調整条件に基づいて前記第1レンズと前記第2レンズとの間のレンズ距離を調整して、前記レーザモジュールの前記光スポットの光スポットサイズを調整するように構成された制御モジュールと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、光スポットの光スポットサイズを調整することにより、1つのレーザパワーで異なる溶接状態にそれぞれ適用する多様な熱エネルギー密度を生成することができ、溶接品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接システムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接システムの構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る制御モジュールの構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法の一部のフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法の一部のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法の一部のフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接の概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るレーザ溶接の概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る溶接対象の概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るランドの総作用パワーと温度応答との関係を示すグラフである。
【
図12】本発明の一実施形態に係る光スポットサイズと温度応答との関係を示すグラフである。
【
図13】本発明の一実施形態に係るランド位置と作用パワーとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態については、図面を参照しながら以下に説明する。
【0012】
本発明に係る動的光スポットを用いたレーザ溶接システム及び動的光スポットを用いたレーザ溶接方法は、レーザ溶接過程で溶接状態を判断するとともに、レンズ間の距離を調整することにより光スポットサイズを調整し、熱エネルギー密度を動的に調整することができ、現在の溶接状態に最も合致した光スポットサイズ及び熱エネルギー出力を提供し、溶接効率や溶接品質を向上させることができる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接システムの構成図である。本実施形態に係るレーザ溶接システムは、特に、レーザモジュール11と、電動変位モジュール12と、写真レンズ13と、レーザモジュール11と電動変位モジュール12とに電気的に接続される制御モジュール10とを含む。
【0014】
レーザモジュール11は、溶接材料(例えば、スズ、アルミニウム、鋼、合金、熱可塑性プラスチックなどで作られる溶接ワイヤ又は溶接粉末)を溶融するための熱源として高エネルギー密度のレーザ点光源を発するために用いられ、溶融した溶接材料で複数の部品の接点を被覆して固定する。
【0015】
写真レンズ13は、複数のレンズ130を含む、
図1は、2群のレンズ130(第1レンズと第2レンズ)を例とるが、レンズの最大数量を限定するものではない。写真レンズ13は、レーザモジュール11からのレーザ光を受け、レーザ光を(反射又は屈折して)溶接対象2(上述した接点と溶接材料)に導き、溶接範囲を示す光スポットを形成するために用いられる。
【0016】
上記光スポットの光スポットサイズは、レーザの有効加熱範囲を示すことに用いられ、例えば、レーザ熱エネルギーの実際の照射範囲であり、予め設定された温度(溶接材料の熔点や他の所定温度など)又は予め設定されたパワー割合(例えば10%、50%、90%又は他の所定割合)を超える範囲である。
【0017】
本発明では、電動変位モジュール12は、複数のレンズ130のうちの少なくとも1つに接続され、任意の光路(即ち、レーザモジュール11から写真レンズ13を貫通して溶接対象2に達するレーザ経路)において、光軸の平行方向で上記光路中の任意の2つのレンズの距離を調整して(例えば、1群のレンズの位置のみを移動するか、又は複数群のレンズの位置を同時に移動する)、上記光路の直線長さを長く又は短くして、写真レンズ13の焦点距離を変えて、投影した光スポットサイズを変える。
【0018】
なお、レーザモジュール11の加工パラメータ(例えばレーザパワー)が一定である(即ち、レーザの総パワーが一定である)場合には、光スポットサイズが大きいほど(例えば直径3mm)、光スポットにおける各箇所の熱エネルギー密度が低くなる(一箇所の加熱パワーが低くなる)ことを示し、光スポットサイズが小さいほど(例えば直径0.8mm)、光スポットにおける各箇所の熱エネルギー密度が高くなる(一箇所の加熱パワーが高くなる)ことを示す。
【0019】
また、上記光スポットサイズは、写真レンズ13の複数のレンズ130の曲率及びレンズ距離にも関係している。
【0020】
制御モジュール10(CPU、GPU、TPU、MCUなどのプロセッサ又はそれらの任意の組み合わせ)は、レーザ溶接システムを制御するために用いられる。
【0021】
図1及び
図2を併せて参照する。
図2は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接システムの構成図である。
【0022】
図2に示す実施形態において、電動変位モジュール12は、電動モータ32と、変位アセンブリ33と、1つ又は複数のレンズ台34とを含む。
【0023】
電動モータ32は、回転によって変位アセンブリ33にパワーを供給する。変位アセンブリ33(例えば、スライドレール装置又はガイドレール装置)は、動力を受けて各レンズ台34の位置を移動して複数のレンズ間のレンズ距離を変えることに用いられる。各レンズ台34は、各レンズを固定装備するためのものであり、変位アセンブリ33によって移動されると、載置された各レンズと一緒に移動する。
【0024】
一実施形態において、写真レンズ13は、1つ又は複数の変位可能な変位レンズ30と、1つ又は複数の変位不能な固定レンズ31とを含む。変位不能な固定レンズ31は、写真レンズ13内に固定配置され、その位置が不変である。変位レンズ30は、レンズ台34上に移動可能に配置されている。
【0025】
本発明は、一部のレンズのみを変位可能に設定し、他のレンズを変位不能に設定することにより、変位による光軸ずれの確率を大幅に低減することができ、光スポットサイズを調整する感度を低減することができる。
【0026】
一実施形態において、写真レンズ13は、1つの変位レンズ30及び1つの固定レンズ31のみを有している。これにより、光スポットサイズを調整する感度を最小限に抑え、光スポットサイズの変化を正確に制御することができる。
【0027】
例えば、1つの変位レンズ30と1つの固定レンズがある場合、光スポットサイズの変化幅は比較的に小さく(例えば、変位レンズ30を1mm移動して、光スポットは1mm大きく/小さくなる)、2群以上の変位レンズ30、又は3群以上のレンズを配置した場合、光スポットサイズの変化幅は比較的に大きく(例えば、変位レンズ30を1mm移動して、光スポットは5mm大きく/小さくなる)、精密な制御に不利である。
【0028】
一実施形態において、少なくとも1つのレンズ(又は一面)は凸レンズであり、レーザ光の集束効果を実現する。
【0029】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、制御モジュール10に電気的に接続される赤外線レーザ温度計や熱画像計などの温度検出モジュール40をさらに含む。温度検出モジュール40は、溶接対象2に対して温度を検出して、溶接対象2の1点又は複数点の検出温度を取得するために用いられる。
【0030】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、制御モジュール10に電気的に接続される、溶接対象2を撮影して溶接対象2の画像を取得するための撮像モジュール41をさらに含む。
【0031】
一実施形態において、撮像モジュール41は、溶接対象2のカラー画像(例えばRGB画像)を撮影するカラーカメラ(例えばRGBカメラ)であってもよい。
【0032】
一実施形態において、撮像モジュール41は、溶接対象2の赤外線画像を撮影する赤外線カメラであってもよい。
【0033】
一実施形態において、撮像モジュール41は、溶接対象2の熱感知画像を撮影する熱感知カメラであってもよい。
【0034】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、制御モジュール10に電気的に接続されるイーサネット(登録商標)カード、Wi-Fiネットワークカード、Bluetooth(登録商標)ネットワークカード、セルラネットワークモジュールなどの通信インタフェース42をさらに含む。通信インタフェース42は、ネットワーク(無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラネットワーク、ローカルエリアネットワーク、又はインターネットなど)を介して外部機器(管理者コンピュータなど)と通信することができる。
【0035】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、制御モジュール10に電気的に接続される、ディスプレイ、タッチスクリーン、又はプロジェクトモジュールなどの表示装置とマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの入力装置との任意の組み合わせなどのマンマシンインタフェース43をさらに含む。マンマシンインタフェース43は、ユーザがデータを入力し、情報を出力するために用いられる。
【0036】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、制御モジュール10に電気的に接続される記憶モジュール44をさらに含み、記憶モジュール44は、例えば、RAM、EEPROM、SSD、磁気ディスク、フラッシュメモリなどの記憶装置、又は上記任意の組み合わせであってもよく、データを格納するために用いられる。
【0037】
一実施形態において、記憶モジュール44は、放熱指標データベース440を記憶することができる。放熱指標データベース440は、予め構築されており、複数の加工データとそれぞれ適用される複数の加工パラメータとの対応関係が記録されている。
【0038】
一実施形態において、上記対応関係は、異なる溶接対象に対して加熱実験を実行することによって取得することができ、又は機械学習によるトレーニングによって取得することができるが、これらに限定されない。
【0039】
一実施形態において、上記加工データは、異なる溶接対象(溶接する部品及び/又は溶接材料)の対象データを含んでもよく、対象データには、溶接対象のサイズ、厚さ、面積、材質、及び/又は放熱性が記録されてもよい。
【0040】
一実施形態において、上記加工パラメータは、複数のレンズ間の初期のレンズ距離、及び/又は、各段階(予熱段階、溶接段階、及び/又は成形段階)におけるレーザモジュール11のパワーを含んでもよい。
【0041】
これにより、レーザ溶接システムは、現在の溶接対象の対象データを取得した後、放熱指標データベース440を検索して適用可能な加工パラメータ441を取得し、加工パラメータ441に基づいて溶接を実行して最適なパワー制御を達成することができる。
【0042】
一実施形態において、記憶モジュール44は、光スポット調整条件442を記憶してもよい。光スポット調整条件442は、例えば、いずれかの異常状態の発生が検出され、指定された光スポットサイズを調整するタイミングが到来したこと(例えば、予熱段階に入ること、溶接段階に入ること、成形段階に入ること、溶接材料が溶融していないか、又は溶融したことなど)であってもよいが、これらに限定されない。
【0043】
一実施形態において、記憶モジュール44は、様々な異常状態及び/又はタイミングに対応する調整方針443を記憶してもよい。調整方針443は、光スポットサイズの拡大又は縮小(対応するレンズ移動方向)、及び/又は調整された光スポットサイズ(対応するレンズ距離又は変位レンズ30の位置)であってもよい。
【0044】
一実施形態において、異常状態が、溶接材料が空中で溶融すること、溶融していない溶接材料が電子ピンに衝突すること、溶接材料が球状に溶融すること、光スポットが溶接対象以外の回路基板本体を焼くことなど、コンピュータ視覚(computer vision)によって認識できる異常状態である場合、対応する調整方針443は、それぞれ、溶接材料が空中で溶融する場合に光スポットサイズを拡大すること、溶融していない溶接材料が電子ピンに衝突する場合に光スポットサイズを縮小すること、溶接材料が球状に溶融する場合に光スポットサイズを縮小すること、光スポットが溶接対象以外の回路基板本体を焼く場合に光スポットサイズを拡大することであってもよい。
【0045】
一実施形態において、異常状態が、溶接対象の検出温度が予め設定された溶接温度に一致しないこと(即ち、温度が高すぎる又は低すぎること)、電子ピンの温度と溶接対象(例えばランド)の温度との温度差が予め設定された溶接温度差よりも大きいことである場合、対応する調整方針443は、それぞれ、温度が高すぎる場合に光スポットサイズを拡大すること、温度が低すぎる場合に光スポットサイズを縮小すること、温度差が大きすぎる場合に光スポットサイズを縮小して、光スポットの熱エネルギー密度を高めること、温度が低い電子ピン又はランドに高い熱エネルギーを提供することであってもよい。
【0046】
図1~
図3を併せて参照する。
図3は、本発明の一実施形態に係る制御モジュールの構成図である。本実施形態では、制御モジュール10は、モジュール50~56を含んでもよい。これらのモジュール50~56は、それぞれ異なる機能を実行するように設定されている(詳細は後述する)。
【0047】
上記のモジュール50~56は、相互接続(電気接続及び情報接続であってもよい)されており、ハードウェアモジュール(例えば、電子回路モジュール、集積回路モジュール、SoC等)、ソフトウェアモジュール(例えば、ファームウェア、作業システムやアプリケーションプログラム)、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0048】
なお、上記モジュール50~56がソフトウェアモジュール(例えば、ファームウェア、作業システムやアプリケーションプログラム)である場合、記憶モジュール44は、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(図示せず)を含んでもよい。上記非一時的なコンピュータ可読記録媒体には、コンピュータプログラム445が記憶され、コンピュータプログラム445には、コンピュータ実行可能なプログラムコードが記録されている。制御モジュール10は、上記プログラムコードを実行すると、対応するモジュール50~56として機能することができる。
【0049】
次に、本発明のレーザ溶接方法について説明するが、本発明の各実施形態に係るレーザ溶接方法は、上述した
図1~
図3及び/又は
図8~
図10のいずれかの実施形態に係るレーザ溶接システムに適用することができる。
【0050】
図4は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法のフローチャートである。本実施形態に係るレーザ溶接方法は、以下のステップS10~S14を含む。
【0051】
ステップS10において、制御モジュール10は、レーザ制御モジュール50によりレーザモジュール11を制御して写真レンズ13(第1レンズと第2レンズとを含む)に向けて照射し、溶接対象2に光スポットを形成して溶接を実行する。
【0052】
ステップS11において、溶接段階において、制御モジュール10は、監視モジュール54により、予め設定されたいずれかの光スポット調整条件が満たされているか否かを検出する。
【0053】
いずれかの光スポット調整条件が満たされたことを検出すると、ステップS12を実行する。ステップS12において、制御モジュール10は、変位制御モジュール51により、電動変位モジュール12を制御して光スポット調整条件に基づいて複数のレンズ間のレンズ距離を調整することで、光スポットサイズを調整する。例えば、光スポットサイズを縮小して光スポットの熱エネルギー密度を高めるか、又は光スポットサイズを拡大して光スポットの熱エネルギー密度を低める。一実施形態において、記憶モジュール44は、複数の実験距離と複数の実験サイズとの対応関係を記憶していてもよい。本実施形態において、制御モジュール10は、現在の光スポットサイズと、満たされた光スポット調整条件に対応する調整方針とに基づいて上記対応関係を検索する。これにより、制御モジュール10は、対応する実験距離を決定するとともに、上記レンズ距離を上記実験距離に調整することができ、その結果、光スポットのスポットサイズを調整することができる。
【0054】
光スポット調整条件が満たされたことを検出しなかった場合には、ステップS13を実行する。
【0055】
ステップS13において、制御モジュール10は、監視モジュール54により、溶接が完了したか否か、例えば接点が溶融した溶接材料に被覆されているか否かを判断する。
【0056】
ステップS14において、制御モジュール10は、レーザ制御モジュール50により、レーザモジュール11を制御して、溶融した溶接材料が冷却成形されるまで溶接材料の加熱を停止する(又は光スポットサイズを大きくして熱エネルギー密度を小さくして冷却成形の速度を緩やかにする)。
【0057】
本発明は、光スポットの光スポットサイズを調整することにより、1つのレーザパワーで異なる溶接状態にそれぞれ適用する多様な熱エネルギー密度を生成することができ、溶接品質を向上させることができる。
【0058】
図4及び
図5を併せて参照する。
図5は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法の一部のフローチャートである。
図4に示すレーザ溶接方法に比べて、
図5に示すレーザ溶接方法は、溶接段階を開始する前に、以下の予熱段階のステップS20~S22を含む。
【0059】
ステップS20において、制御モジュール10は、パラメータ設定モジュール52によって加工データを取得する。例えば、マンマシンインタフェース43を介して入力を受け付けるか、又は通信インタフェース42を介して加工データを受信する。
【0060】
ステップS21において、制御モジュール10は、パラメータ設定モジュール52により、加工データに基づいて対応する加工パラメータを設定するとともに、レーザ制御モジュール50により、予熱プログラムを実行するようにレーザモジュール11を制御する。
【0061】
一実施形態において、制御モジュール10は、加工データの対象データに基づいて、放熱指標データベース440において対応する加工パラメータを検索する。
【0062】
一実施形態において、上記加工パラメータは、予熱段階の予熱パワー、溶接段階の溶接パワー、及び/又は成形段階の成形パワーを含んでもよい。溶接パワーは予熱パワーよりも大きく、予熱パワーは成形パワーよりも大きい。
【0063】
一実施形態において、上記加工パラメータは、初期の光スポットサイズ(又は対応するレンズ距離或いはレンズ位置)を含んでもよい。制御モジュール10は、変位制御モジュール51により、初期の光スポットサイズに基づいて光スポットサイズを初期の光スポットサイズに調整する。
【0064】
一実施形態において、上記予熱プログラムは、予熱パワーに基づいてレーザモジュール11を制御して予熱を実行すること、例えば、溶接対象をより低いパワーで予め加熱することを含んでもよい。
【0065】
ステップS22において、制御モジュール10は、位置合わせ処理を実行して、溶接対象を溶接位置(
図10に示す)に正確に移動させるとともに、材料吐出装置711が溶接材料を溶接位置(
図9に示す)に移動させる。
【0066】
一実施形態において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により撮像モジュール41を制御して溶接対象を継続的に撮影し、連続的な複数の溶接前の画像を取得し、材料吐出装置711により溶接材料を溶接位置に移動させると同時に、位置合わせ制御モジュール53により、撮影された複数の溶接前の画像に基づいて自動位置合わせプログラムを即時実行して、コンピュータ視覚により溶接材料が溶接位置に到達したか否かを検出する。
【0067】
図4~
図6を併せて参照する。
図6は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法の一部のフローチャートである。
図6に示すレーザ溶接方法は、
図4に示すレーザ溶接方法に比べて、ステップS11及びステップS13において、以下の溶接段階の監視ステップS30~S36が含まれる。
【0068】
本実施形態では、制御モジュール10は、ステップS30~S31を実行することにより、コンピュータ視覚に基づいて現在の溶接状態を認識することができる。
【0069】
ステップS30において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により、撮像モジュール41を制御して溶接対象を連続的に撮影し、連続的な複数の溶接画像を取得する。
【0070】
ステップS31において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により、撮像された複数の溶接画像に基づいて、溶接対象の溶接状態を認識し、例えば、画像特徴認識、機械学習、又は他の画像解析技術によって溶接状態を決定する。
【0071】
一実施形態では、溶接段階において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により、溶接材料の溶融流動の状態(画像)を分析して、溶接状態(温度が高すぎる又は低すぎるなど)を認識することができる。
【0072】
本実施形態では、制御モジュール10は、ステップS32及びステップS33を実行することにより、温度検出に基づいて現在の溶接状態を認識することができる。
【0073】
ステップS32において、制御モジュール10は、温度検出モジュール40によって溶接対象の検出温度を取得する。
【0074】
ステップS33において、制御モジュール10は、温度監視モジュール56により、検出した検出温度に基づいて溶接対象の溶接状態を決定し、例えば、温度が高すぎる又は低すぎ、温度差が大きすぎる。
【0075】
一実施形態では、溶接段階又は成形段階(溶接点が冷却するのを待っている)において、制御モジュール10は、ランド及び電子ピンの温度(又は温度差)をそれぞれ検出し、ランド及び電子ピンの温度のうちの低い方を判定し、その光スポットサイズを縮小して加熱速度及び温度を向上させることができる。
【0076】
ステップS34において、制御モジュール10は、監視モジュール54(画像監視モジュール55と温度監視モジュール56とを含む)により、認識された溶接状態が異常状態であるか否かを判断する。
【0077】
ステップS35において、制御モジュール10は、監視モジュール54により、異常な溶接状態に対応する調整方針443を取得する。
【0078】
ステップS36において、制御モジュール10は、変位制御モジュール51により、取得した調整方針に基づいて写真レンズ13の複数のレンズ間のレンズ距離を調整して、溶接対象に形成する光スポットサイズを調整する。
【0079】
このようにして、本発明は、画像監視や温度監視により溶接状態を自動的に認識し、溶接状態が異常である場合には、光スポットサイズを自動的に調整して異常状態を排除することができる。
【0080】
図4~
図7を併せて参照する。
図7は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接方法の一部のフローチャートである。本実施形態では、記憶モジュール44は、画像認識及び分類を実行するための学習モデル444をさらに記憶している。
【0081】
図7に示すレーザ溶接方法は、
図6に示すレーザ溶接方法に比べて、ステップS31において、以下の画像に基づく溶接状態の認識ステップS40~S42がさらに含まれる。
【0082】
ステップS40において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により、連続的な複数の画像(上述した溶接画像や溶接前の画像)を取得する。
【0083】
ステップS41において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により、学習モデル444に連続的な画像を入力して溶接状態を取得する。
【0084】
一実施形態において、学習モデル444は、異常な溶接状態に対応する複数の溶接画像及び機械学習アルゴリズムに基づいてトレーニングされたデータモデルである。
【0085】
一実施形態において、学習モデル444は、様々な溶接状態が内蔵された標的データであり、溶接対象(例えばランドサイズ)及び溶接段階の様々な異常状態を認識することができる。
【0086】
一実施形態において、学習モデル444は、光スポットサイズを認識することができる。具体的には、まず赤外線厚紙(又はフィルタ)によってフィルタリングされた画像をローパスフィルタリング(low-pass filter)し、次に画像処理のために画像の二値化を実行し、二値化された画像から光スポットサイズを算出する。
【0087】
一実施形態において、学習モデル444は、3D CNN(Convolutional Neural Network)又はConvLSTM(Convolutional Long Short-Term Memory)深層学習モデルを含む。
【0088】
一実施形態において、制御モジュール10は、画像監視モジュール55により、連続的な画像をマージし、マージされた画像を学習モデル444に入力して、学習モデル444が連続的な画像における物体の移動ベクトルを分析できるようにする。
【0089】
ステップS42において、学習モデル444は、入力された連続的な画像に対応する溶接状態である認識結果を出力する。
【0090】
本発明は、機械学習を用いて画像に基づいて溶接状態を認識することにより、認識速度及び正確性を大幅に向上させることができる。
【0091】
図8は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接の概略図である。本実施形態では、レーザモジュール11からのレーザ光60は、変位レンズ30及び固定レンズ31(即ちレンズ距離d1)を貫通して、溶接対象2上に光スポット61(即ち光スポットサイズd3)を形成する。これらの光学システムは、溶接対象2から一定の距離d2を有している。
【0092】
光スポット61の光スポットサイズを調整する場合には、電動モータ32を作動させて変位アセンブリ33(例えばガイドレール)を駆動し、変位レンズ30を載置したレンズ台34を(上方向又は下方向に)移動させることにより、レンズ距離d1を変化させ、その結果、光スポットサイズd3を変化させる。
【0093】
図9は、本発明の一実施形態に係るレーザ溶接の概略図である。本実施形態では、レーザモジュール700の光学システムは、反射鏡701と、変位レンズ702、703と、反射鏡704とを含むズーム系である。また、電動変位モジュール705を制御することにより、変位レンズ702、703間のレンズ距離d4を調整し、焦点距離を調整し、レーザ光の光スポットサイズを調整することができる。
【0094】
一実施形態において、レンズ距離d4の調整範囲は35mm~45mmであってもよく、光スポットサイズの調整範囲は0.8mm~3mmであってもよいが、これらに限定されない。
【0095】
一実施形態において、レーザ溶接システムは正面カメラ706を含む。正面カメラ706の光学システムは、反射鏡707,708を含む。正面カメラ706は、反射鏡707,708により、溶接対象の真上の俯瞰画像を撮影できる。
【0096】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、溶接対象の側面画像を撮影するための側面カメラ709を含む。
【0097】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、溶接対象の温度を感知するためのレーザ温度計710を含む。
【0098】
一実施形態において、溶接対象は、溶接ステージ712上に載置され、回路基板上のランド80、電子ピン81、及びこれらを被覆する溶接材料82を含む。
【0099】
一実施形態において、レーザ溶接システムは、材料吐出装置711を含む。材料吐出装置711は、制御モジュール10によって制御され、溶接材料82をランド80の溶接位置に移動できる。
【0100】
図10は、本発明の一実施形態に係る溶接対象の概略図である。本発明は、はんだ付け及びランドに適用することができる。具体的には、電子部品900の複数のピン901を複数のランド911の複数の穴912に位置合わせして挿入し、はんだによりはんだ付けして、複数のピン901を回路基板910の複数のランド911に電気的に固定する。
【0101】
図11~
図13を併せて参照する。
図11は、本発明の一実施形態に係るランドの総作用パワーと温度応答との関係を示すグラフである。
図12は、本発明の一実施形態に係る光スポットサイズと温度応答との関係を示すグラフである。
図13は、本発明の一実施形態に係るランド位置と作用パワーとの関係を示すグラフである。
【0102】
一般的な半田付け部品(溶接対象)では、光スポットサイズが大きくなると、熱エネルギー密度が低下し、温度応答が悪くなる(温度が低くなる)。
【0103】
しかし、溶接対象が穴のある部品(ランドなど)である場合、レーザ光はガウス形でパワーを出力する(中間エネルギーは高く、周辺エネルギーは低い)ため、大部分のパワーは穴に作用し、実際にランドに作用するパワーはごくわずかである。
【0104】
図13を参照すると、総出力パワー10Wを例にとると、ランドは実際には3~4Wのパワー入力しか受け入れず、パワーの大部分は穴に作用して無駄になる。
【0105】
図11を参照すると、ランドは、内径が小さいほど面積が大きくなるので、総作用パワー(ランドに作用する総パワー)が高くなり、温度応答が良くなり、即ち昇温が速くなる。
【0106】
図12を参照すると、本発明は、穴部品の上記のような特性に対応するために、溶接対象がランドなどの穴部品である場合、光スポットサイズを適時に大きくすることにより、ランドが照射される面積を大きくし、ひいては温度応答を向上させることができる。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、上記変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
10 制御モジュール
11 レーザモジュール
12 電動変位モジュール
13 写真レンズ
130 レンズ
2 溶接対象
30 変位レンズ
31 固定レンズ
32 電動モータ
33 変位アセンブリ
34 レンズ台
40 温度検出モジュール
41 撮像モジュール
42 通信インタフェース
43 マンマシンインタフェース
44 記憶モジュール
440 放熱指標データベース
441 加工パラメータ
442 光スポット調整条件
443 調整方針
444 学習モデル
445 コンピュータプログラム
50 レーザ制御モジュール
51 変位制御モジュール
52 パラメータ設定モジュール
53 位置合わせ制御モジュール
54 監視モジュール
55 画像監視モジュール
56 温度監視モジュール
60 レーザ光
61 光スポット
700 レーザモジュール
701、704、707,708 反射鏡
702、703 レンズ
705 電動変位モジュール
706 正面カメラ
709 側面カメラ
710 レーザ温度計
711 材料吐出装置
712 溶接ステージ
80 ランド
81 電子ピン
82 溶接材料
900 電子部品
901 ピン
910 回路基板
911 ランド
912 穴
d1、d2、d4 距離
d3 光スポットサイズ