(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】医療映像の病変の特徴による映像処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240321BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240321BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20240321BHJP
【FI】
A61B6/03 560T
A61B6/03 560D
G06T7/00 350C
G06T7/00 612
G06V10/82
A61B6/03 560J
(21)【出願番号】P 2022116451
(22)【出願日】2022-07-21
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0096565
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522292448
【氏名又は名称】クラリパイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ソク・パク
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ヨン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】テ・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・ヨン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ミュン・イ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-083821(JP,A)
【文献】国際公開第2019/135234(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
A61B 5/055
A61B 8/00 - 8/15
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前学習されたディープラーニングモデルに医療映像を入力して、前記医療映像の元の判読部位とは異なる判読領域を認識するステップと、
前記医療映像から前記判読領域の位置及びサイズの内、少なくともいずれかを1つを含む特徴を抽出するステップと、
前記医療映像を再構成して前記医療映像の撮影目的とは異なる前記判読領域に対する判読映像を生成するステップを含み、
前記医療映像は、病変のうちA病変を検出するために撮影された画像であり、前記判読映像は、前記病変のうち前記A病変とは異なるB病変を判読するために用いられる画像であ
り、
前記判読映像を生成するステップは、前記判読領域に含まれる前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように映像を再構成するステップを含み、
前記再構成するステップは、前記医療映像の切片を再構成するステップを含み、
前記医療映像は、胸部または腹部CT映像を含み、
前記病変は、脊椎骨折を含み、
前記映像を再構成するステップは、前記脊椎骨折の形態が強調されるように、前記医療映像を視床軸(Sagittal axis)で再構成するステップを含む映像処理方法。
【請求項2】
前記認識するステップは
前記医療映像から検出が予想される前記病変を選択するステップと、
複数のディープラーニングモデルにおいて、前記病変の検出が可能なディープラーニングを選択するステップと、
前記選択されたディープラーニングに前記医療映像を入力して前記病変を含む前記判読領域を認識するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の映像処理方法。
【請求項3】
前記検出するステップは
前記選択したディープラーニングに医療映像を入力する前に、
前記病変の検出効率が向上するように前記ディープラーニングに対応する前処理を行うステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の映像処理方法。
【請求項4】
前記判読映像を生成するステップは
前記判読領域に含まれる前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように前記医療映像に含まれる前記病変の大きさをリサイジング(Resizing)するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の映像処理方法。
【請求項5】
前記リサイジングするステップは
前記病変を映像の中心領域に配置するようにし、前記映像を拡大して前記病変の大きさがリサイズされるようにすることを特徴とする、請求項4に記載の映像処理方法。
【請求項6】
前記判読映像を生成するステップは、
前記判読領域に含まれる前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように映像特性を変換するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の映像処理方法。
【請求項7】
前記映像特性を変換するステップにおいては
前記医療映像の解像度及び成分の内、少なくともいずれか1つを変換することを特徴とする、請求項6に記載の映像処理方法。
【請求項8】
前記脊椎骨折の前記映像特性を変換するステップにおいては
前記医療映像の高周波成分を強調するように前記医療映像の映像特性を変換することを特徴とする、請求項6に記載の映像処理方法。
【請求項9】
前記病変は
さらに心血管病変を含み、
前記心血管病変の前記映像特性を変換するステッ
プにおいては
前記医療映像の強調周波数帯域を調整して前記医療映像の映像特性を変換することを特徴とする、請求項6に記載の映像処理方法。
【請求項10】
前記病変は
さらに心血管病変を含み、
前記心血管病変の前記映像を再構成するステップでは
前記心血管病変の形態が強調されるように前記医療映像を曲面再構成(Curved planar reformation)して再構成することを特徴とする、請求項
1に記載の映像処理方法。
【請求項11】
前記判読映像を生成するステップは、
前記判読領域に含まれる前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように前記医療映像に含まれる前記病変の大きさをリサイジングしてリサイジング映像を生成するステップと、
前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように、前記リサイジング映像の解像度及び成分の内、なくともいずれか1つを変換して映像特性変換映像を生成するステップと、
前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように前記映像特性変換映像の切片を再構成して再構成映像を生成するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の映像処理方法。
【請求項12】
事前学習されたディープラーニングモデルに医療映像を入力して、前記医療映像の元の判読部位とは異なる判読領域を認識する検出部と
前記医療映像から前記判読領域の位置及び大きさの内、少なくともいずれか1つを含む特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記医療映像を再構成して前記医療映像の撮影目的とは異なる前記判読領域に対する判読映像を生成する映像処理部を含み、
前記医療映像は、病変のうちA病変を検出するために撮影された画像であり、前記判読映像は、前記病変のうち前記A病変とは異なるB病変を判読するために用いられる画像であ
り、
前記判読映像を生成するステップは、前記判読領域に含まれる前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように映像を再構成するステップを含み、
前記再構成するステップは、前記医療映像の切片を再構成するステップを含み、
前記医療映像は、胸部または腹部CT映像を含み、
前記病変は、脊椎骨折を含み、
前記映像を再構成するステップは、前記脊椎骨折の形態が強調されるように、前記医療映像を視床軸(Sagittal axis)で再構成するステップを含む映像処理装置。
【請求項13】
医療装備及びデータベースの内、少なくともいずれか1つから提供される医療映像に対する処理を実行するプロセッサを含み、
前記プロセッサは
事前学習されたディープラーニングモデルに医療映像を入力して、前記医療映像の元の判読部位とは異なる判読領域を認識するステップと、
前記医療映像から前記判読領域の位置及び大きさの内、少なくともいずれか1つを含む特徴を抽出するステップと、
前記医療映像を再構成して前記医療映像の撮影目的とは異なる前記判読領域に対する判読映像を生成するステップを実行し、
前記医療映像は、病変のうちA病変を検出するために撮影された画像であり、前記判読映像は、前記病変のうち前記A病変とは異なるB病変を判読するために用いられる画像であ
り、
前記判読映像を生成するステップは、前記判読領域に含まれる前記病変の特徴に応じて、前記病変が強調されるように映像を再構成するステップを含み、
前記再構成するステップは、前記医療映像の切片を再構成するステップを含み、
前記医療映像は、胸部または腹部CT映像を含み、
前記病変は、脊椎骨折を含み、
前記映像を再構成するステップは、前記脊椎骨折の形態が強調されるように、前記医療映像を視床軸(Sagittal axis)で再構成するステップを含む映像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療映像の病変特徴に係る映像処理装置及び方法に関し、さらに詳細には、医療映像から病変を検出する医療映像の病変特徴に係る映像処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に医療映像の獲得いおいては、X-ray、CT、MRIなどの医療装備が使用されている。このような医療装備から取得される医療映像は、現代医学において患者の診断及び治療過程で病変の存在有無とその特徴を判別して意思決定を下すことに非常に重要な根拠として活用される。ただし、病変は大きさ、形状、方向が多様であるため、その特徴を精密に観察し把握できるようにする高画質の映像獲得が求められる。
【0003】
従来の医療映像処理に関する技術は、すでに「大韓民国公開特許公報第2014-0134903号(医療映像画質改善方法及びその装置、2014.11.25.)」により公開されている。前記公開発明は、医療映像のノイズ補正係数を用いて低画質医療映像の画質を改善することができる。このように、高画質の映像を獲得することは、医療映像検査において非常に不可欠な要件である。
【0004】
特に、医療映像は、獲得過程で決定される検出装置の配列、角度及び信号獲得手順などに応じて、方向別解像度と周波数特性が変化する。したがって、観察しようとする病変の特性が映像に最もよく表現されるように獲得装置を調整することが必要である。ただし、もともと観察しようとする病変の他に新たな病変が存在すれば、既存に獲得された映像では新たな病変の特徴を把握することが難しい場合がある。このとき、事前に獲得得された映像が存在するにもかかわらず、新しい病変の特徴に応じて追加の映像検査を実施しなければならない。
【0005】
したがって、患者の訪問と追加の検査が必要になるにつれて、時間不便が存在し、人体に有害な放射線を再照射しなければならない状況が発生するようになる。このため、医療映像検査の過程では、判読医師の病変観察過程で患者の診断が遅れたり、さらなる不具合が発生しないように、映像獲得及び処理機能を備えることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
大韓民国公開特許公報第2014-0134903号(医療映像画質改善方法及びその装置、2014.11.25.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、医療映像の病変特徴による映像処理装置及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、事前に獲得された医療映像に新たな病変が存在する場合に追加の検査を実行せずに新たな病変を適切に表現することができるようにする医療映像の病変特徴による映像処理装置及び方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、事前に獲得された医療映像における新たな病変の存在を確認し、病変が探知される場合に既に獲得得された映像データを活用して、 探知された病変の特性を読者が適切に観察することができるようにする医療映像の病変の特徴による映像処理装置及び方法を提供るためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る映像処理方法は、事前学習されたディープラーニング(Deep learning)モデルに医療映像を入力して、前記医療映像の元の判読部位とは異なる判読領域を認識するステップと、前記医療映像から前記判読領域の位置と、サイズの内、少なくともいずれか1つを含む特徴を抽出するステップと、前記医療映像を再構成して、前記医療映像の撮影目的とは異なる前記判読領域の判読映像を生成するステップを含む。
【0011】
前記認識するステップは、前記医療映像から検出が予想される病変を選択するステップと、複数個のディープラーニングモデルにおいて前記病変の検出が可能なディープラーニングを選択するステップと、前記選択されたディープラーニングに前記医療映像を入力して前記病変を含む判読領域を認識するステップを含み得る。
【0012】
前記検出するステップは、前記選択されたディープラーニングに前記医療映像を入力する以前に、前記病変の検出効率が向上するように前記ディープラーニングに対応する前処理を実行するステップをさらに含み得る。
【0013】
前記判読映像を生成するステップは、前記判読領域に含まれる病変の特徴に応じて前記病変が強調されるように、前記医療映像に含まれる前記病変のサイズをリサイジング(Resizing)するステップを含み得る。
【0014】
前記リサイジングするステップは、前記病変が映像の中心に配置されるようにし、前記映像を拡大して前記病変のサイズをリサイジングすることができる。
【0015】
前記判読映像を生成するステップは、ぜn判読領域に含まれる病変の特徴に従ってz前記病変が強調されるように映像特性を変換するステップを含み得る。
【0016】
前記映像特性を変換するステップでは、前記医療映像の解像度及び成分の内、少なくともいずれか1つを変換することができる。
【0017】
前記医療映像は胸部または腹部CT映像を含み、前記病変は脊椎骨折を含み、前記映像特性を変換するステップでは、前記医療映像の高周波成分を強調するように前記医療映像の映像特性を変換することができる。
【0018】
前記医療映像は胸部または腹部CT映像を含み、前記病変は心血管病変を含み、前記映像特性を変換するステップでは前記医療映像の強調周波数帯域を調整して前記医療映像の映像特性を変換することができる。
【0019】
前記判読映像を生成するステップは、前記判読領域に含まれる病変の特徴に従って前記病変が強調されるように映像を再構成するステップを含み得る。
【0020】
前記再構成するステップでは、前記医療映像の切片を再構成することができる。
【0021】
前記医療映像は胸部または腹部CT映像を含み、前記病変は脊椎骨折を含み、前記映像を再構成するステップでは、前記脊椎骨折の形態が強調されるように前記医療映像を視床軸(Sagittal axis)に再構成することができる。
【0022】
前記医療映像は胸部または腹部CT映像を含み、前記病変は心血管病変を含み、前記映像を再構成するステップでは前記心血管病変の形態が強調されるように前記医療映像を曲面再構成(Curved planar reformation)して再構成することができる。
【0023】
前記判読映像を生成するステップは、前記判読領域に含まれる病変の特徴に応じて前記病変が強調されるように前記医療映像に含まれる前記病変の大きさをリサイジングしてリサイジング映像を生成するステップと、前記病変の特徴にしたがって、前記病変が強調されるように前記リサイジング映像の解像度及び成分の内、少なくともいずれか1つを変換して映像特性変換映像を生成するステップと、前記病変の特徴に応じて前記病変が強調されるように前記映像特性変換映像の切片を再構成して再構成映像を生成することを含み得る。
【0024】
一方、本発明に係る映像処理装置は、事前学習されたディープラーニングモデルに医療映像を入力して、前記医療映像の元の判読部位とは異なる判読領域を認識する検出部と、前記医療映像からの前記判読領域の位置及び大きさの内、少なくともいずれか1つを含む特徴を抽出する特徴抽出部と、前記医療映像を再構成して前記医療映像の撮影目的とは異なる前記判読領域に対する判読映像を生成する映像処理部を含む。
【0025】
一方、本発明に係る映像処理装置は、医療装備及びデータベースの内、少なくともいずれか1つから提供される医療映像に対する処理を行うプロセッサを含み、前記プロセッサは、事前学習されたディープラーニングモデルに医療映像を入力して前記医療映像の元の判読部位とは異なる判読領域を認識するステップと、前記医療映像から前記判読領域の位置及び大きさの内、少なくともいずれか1つを含む特徴を抽出するステップと、前記医療映像を再構成して前記医療映像の撮影目的とは異なる前記判読領域の判読映像を生成するステップを実行する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る医療映像の病変特徴に係る映像処理装置及び方法は、次のような効果を有する。
【0027】
第1、本発明は、医療映像の病変特徴に応じた映像処理を行うことにより、元々観察しようとする病変の他に新たな病変が存在しても、予め獲得した映像を用いて新たな病変の特徴が適切に表現されるようにして追加検査を施行せずに映像診断を行うことができる効果がある。
【0028】
第2に、本発明は、医療映像の病変特徴に応じた映像処理を行うことにより、追加の検査を実施せずに映像診断が可能であり、追加の検査によって患者の訪問や検査過程で発生する時間と不便が発生しないようにする効果がある。
【0029】
第3に、本発明は、医療映像の病変特徴に応じた映像処理を行うことにより、追加の検査を施さずに映像診断を行い、追加検査による人体に有害な放射線照射が不要な効果がある。
【0030】
以上のような本発明の技術的効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及されないまた他の技術的効果は、以下の記載から当業者には明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施形態に係る映像処理装置を概略的に示す概念図である。
【
図2】本実施形態に係る映像処理装置を用いた判読映像生成方法を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態に係る判読映像生成方法の病変検出方法を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る判読映像生成方法の特徴抽出方法を示す概念図である。
【
図5】本実施形態に係る判読映像生成方法の映像処理方法を示す概念図である。
【
図6】本実施形態に係る映像処理装置に胸部または腹部CT映像を入力して脊椎骨折の判読映像を生成する方法を示す概念図である。
【
図7】本実施形態に係る映像処理装置に胸部または腹部CT映像を入力して心血管病変の判読映像を生成する方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本実施形態は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに様々な形態で具現することができ、単に本実施形態は、本発明の開示が完全するようにし、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されることである。図面における要素の形状などは、さらに明確な説明のために誇張するように表現された部分があり得、図上で、同一符号を付した要素は同一要素を意味する。
【0033】
図1は、本実施形態に係る映像処理装置を概略的に示す概念図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る映像処理装置100は、医療装備10から医療映像30を獲得して判読映像200を生成する。
【0035】
ここで、医療装備10は、X線、CT及びMRIなどを含むことができるが、医療装備10の種類は限定しない。
【0036】
そして、判読映像200は、医療映像30の撮影目的とは異なる種類の病変を示す映像で有り得る。すなわち、医療映像は「A病変」を検出するために撮影された映像で有り得、判読映像200は「A病変」とは異なる「B病変」に対する判読を行うための映像で有り得る。
【0037】
このような映像処理装置100は、病変検出部110、特徴抽出部120、及び映像処理部130を含むことができる。ただし、映像処理装置100の構成がこれに限定されるものではなく、コンピュータシステム等のような単一または複数のプロセッサにおいて病変検出、特徴抽出及び映像処理等の一連のプロセスを実行できることを事前に明らかにする。
【0038】
このような映像処理装置100には、医療装備10から医療映像30が提供される。また、これとは異なり、図示されていないデータベースから医療映像30を提供することができる。
【0039】
これにより、映像処理装置100は、医療映像30に対する病変検出を行うことができる。一例として、病変検出部110においてはは、事前学習されたディープラーニング(Deep learning)モデルを用いて、医療映像30から実際の撮影目的と異なる病変検出を行う。
【0040】
そして、映像処理装置100は、検出された病変に対して特徴抽出を行うことができる。一例として、特徴抽出部120では、事前学習されたディープラーニングモデルを用いたり、映像処理技法を用いて検出された病変に対する特徴を抽出することができる。
【0041】
そして、映像処理装置100は、抽出された病変特徴に応じて映像処理を行い、判読映像200を生成する。一例として、映像処理部130では、事前学習されたディープラーニングモデルを用いたり、映像処理技法を用いて判読映像200を生成することができる。
【0042】
以下においては、添付の図面を参照して、本実施形態に係る映像処理装置に基づく判読映像生成方法について詳細に説明する。ただし、前述した構成要素については詳細な説明を省略し、同一の参照符号を付して説明する。
【0043】
図2は、本実施形態に係る映像処理装置を用いた判読映像生成方法を示すフローチャートである。
【0044】
図2に示すように、本実施形態に係る映像処理装置100は、医療映像30から実際の撮影目的とは異なる種類の病変を含む判読領域を認識する。このとき、映像処理装置100は、医療映像30を予め訓練されたディープラーニングモデルに入力して病変を検出することができる。
【0045】
一例として、
図3のように映像処理装置100に基づく病変検出(S100)では、病変選択ステップ(S110)、ディープラーニング選択ステップ(S120)、及び病変検出ステップ(S130)が順次進行され得る。
【0046】
まず病変選択ステップ(S110)においては、医療映像30から検出が予想される病変の種類を指定する。この時、病変の種類の指定は自動または手動で行うことができる。
【0047】
そして、ディープラーニング選択ステップS120においては、指定された病変の種類に応じて予め訓練されたディープラーニングモデルの類型を指定する。すなわち、映像処理装置100には複数個のディープラーニングモデルを搭載することができる。複数個のディープラーニングモデルは、それぞれ異なる病変を検出するためのモデルであり得る。したがって、ディープラーニング選択ステップS120では、複数個のディープラーニングモデルの内、指定された病変に適したディープラーニングモデルを自動または手動で選択することができる。
【0048】
そして、病変検出ステップS130においては、選択されたディープラーニングモデルを用いて実体撮影目的と異なる病変を検出する。すなわち、病変検出ステップS130では、医療映像30を選択されたディープラーニングモデルに入力して、医療映像30から他の種類の病変を検出するようになる。
【0049】
ここで、映像処理装置100は、病変選択ステップS110の前に医療映像30に対した前処理を行い、医療映像30が予め訓練されたディープラーニングモデルによる検出が容易になるようにする。
【0050】
一方、映像処理装置100は、病変の検出以後に特徴抽出(S200)を行う。
図4に示すように、特徴抽出(S200)では、医療映像30から検出された病変の位置と大きさを抽出する。
【0051】
そして、映像処理装置100は、特徴抽出(S200)の以後に映像処理(S300)を行う。
【0052】
一例として、
図5に示すように、映像処理装置100は、映像処理(S300)のためにリサイジングステップ(S310)、映像特性変換ステップ(S320)、再構成ステップ(S330)及び伝送ステップ(S340)を選択的に行うかまたは一緒に行うことができる。
【0053】
まず、リサイジングステップS310においてでは、特徴抽出された医療映像30、すなわち病変の位置と大きさが検出された医療映像30を予め定めた割合で拡大することができる。一例として、リサイジングステップS310においては、抽出された病変が中心領域に配置されるようにし、医療映像30を拡大してリサイジング映像31を生成することができる。
【0054】
そして、映像特性変換ステップS320においては、病変の特徴に応じてリサイジング映像31の映像特性を変換することができる。一例として、映像特性変換ステップS320においては、リサイジング映像31の解像度や成分等を変換して映像特性が変化した映像特性変換映像32を生成することができる。
【0055】
そして、再構成ステップS330においては、病変の特徴に応じて予め定めた規則で再構成を行うことができる。一例として、再構成ステップS330においては、映像特性変換映像32の切片を再構成して病変が正確に現れるように再構成映像33を生成することができる。
【0056】
以後、伝送ステップS340においては、再構成映像33が判読映像200として判読医師に伝達することができる。一例として、伝送ステップS340においては、予め指定されたコンピュータシステムに判読映像200を伝送することができる。これに、判読医師は、判読映像200に基づいて医療映像30の実際の撮影目的とは異なる種類の病変観察および診断を行うことができる。
【0057】
以下においては、添付の図面を参照して、本実施形態に係る映像処理装置を用いた多様の入力医療映像の適用について詳細に説明する。ただし、前述した構成要素については詳細な説明を省略し、同一の参照符号を付して説明する。
【0058】
まず、本実施形態に係る映像処理装置100は、胸部または腹部CT映像60から脊椎骨折に対する判読映像200を生成することができる。
【0059】
図6は、本実施形態に係る映像処理装置に胸部または腹部CT映像を入力して脊椎骨折の判読映像を生成する方法を示す概念図である。
【0060】
図6に示すように、本実施形態に係る映像処理装置100に入力される医療映像30は、胸部又は腹部CT映像60で有り得る。一例として、映像処理装置100は、胸部CT映像60に対する病変検出(S610)、特徴抽出(S620)及び映像処理(S630)を行い、脊椎骨折に対する判読映像200を生成する。すなわち、本実施形態においては、一般的に、胸部CT映像60で観察および診断が困難な脊椎骨折の判読映像200を生成する。
【0061】
まず、病変検出(S610)においては、胸部CT映像60に対して病変選択ステップ(S611)、ディープラーニング選択ステップ(S612)及び病変検出ステップ(S613)を行う。
【0062】
病変選択ステップS611においては、胸部CT映像60から検出が予想される病変の種類を指定する。このとき、病変選択ステップS611で選択される病変は脊椎骨折で有り得る。一般的に、脊椎骨折は、胸部CT映像60で検出が予想される病変ではない。したがって、胸部CT映像60は、脊椎骨折の観察と診断に適していない映像である。
【0063】
しかし、映像処理装置100は、胸部CT映像60に対する病変選択ステップ(S611)で脊椎骨折を選択すると、ディープラーニング選択ステップ(S612)で複数個のディープラーニングモデルの内、脊椎骨折に対応するディープラーニングモデルの類型を決定する。そして、病変検出ステップS613では、決定されたディープラーニングモデルを介して病変を検出する。
【0064】
すなわち、映像処理装置100は、胸部CT映像60を予め脊椎骨折を検出するように訓練されたディープラーニングモデルに入力して脊椎骨折の有無を検出する。このとき、胸部CT映像60は、ディープラーニングモデルによる脊椎骨折検出性能が向上するように前処理された状態で有り得る。
【0065】
一方、ディープラーニングモデルを介して胸部CT映像60で脊椎骨折が見つかった場合、映像処理装置100は特徴抽出(S620)を行う。特徴抽出(S620)においては、脊椎骨折の大きさ及び位置の内、いずれか1つを含む特徴を抽出することができる。
【0066】
そして、映像処理装置100は、胸部CT映像60の映像処理を行う。
【0067】
映像処理(S630)では、胸部CT映像60に対して、リサイジングステップ(S631)、映像特性変換ステップ(S632)、再構成ステップ(S633)及び伝送ステップ(S634)を行う。
【0068】
まず、リサイジングステップ(S631)では、脊椎骨折の観察に適合するように胸部CT映像60をリサイジングしてリサイジング映像61を生成する。一例として、リサイジングステップS631においては、脊椎骨折の位置が映像の中心領域に配置されるようにする。そして、脊椎骨折の観察及び診断が可能するように映像を拡大してリサイジング映像61を生成する。
【0069】
これに、リサイジング映像61が生成されると、映像処理装置100は、映像特性変換7ステップS632を実行することができる。一例として、映像特性変換ステップS632では、リサイジング映像61に対する高周波成分を強調して映像特性変換映像62を生成することができる。
【0070】
そして、映像処理装置100は、高周波成分が強調された映像特性変換映像62に対して再構成ステップS633を行うことができる。一例として、再構成ステップS633では、脊椎骨折の形態観察が容易になるように映像特性変換映像62を視床軸(Sagittal axis)に再構成して再構成映像64を生成することができる。
【0071】
その後、再構成映像64が生成されると、映像処理装置100は伝送ステップS634を実行することができる。一例として、伝送ステップS634では、再構成映像64を判読医師に伝達するために予め指定されたコンピュータシステムに伝送することができる。
【0072】
ここに、判読医師は、胸部CT映像60に基づいて生成された判読映像200で脊椎骨折の観察及び診断を行うことができる。
【0073】
一方、本実施形態に係る映像処理装置100は、胸部または腹部CT映像70から心血管病変に対する判読映像200を生成することができる。
【0074】
図7は、本実施形態に係る映像処理装置に胸部または腹部CT映像を入力して心血管病変の判読映像を生成する方法を示す概念図である。
【0075】
図7に示すように、本実施形態に係る映像処理装置100に入力される医療映像30は、胸部または腹部CT映像70で有り得る。一例として、映像処理装置100は、胸部CT映像70に対する病変検出(S710)、特徴抽出(S720)及び映像処理(S730)を実行して、心血管病変に対する判読映像200を生成する。すなわち、本実施形態においては、一般的に、胸部CT映像60で観察及び診断が困難な心血管病変の判読映像200を生成する。
【0076】
まず、病変検出(S710)においては、胸部CT映像70に対して病変選択ステップ(S711)、ディープラーニング選択ステップ(S712)及び病変検出ステップ(S713)を行う。
【0077】
病変選択ステップS711においては、胸部CT映像70から検出が予想される病変の種類を指定する。このとき、病変選択ステップS711で選択される病変は心血管病変であり得る。一般的に、心血管病変は、胸部CT映像70で検出が予想される病変ではない。したがって、胸部CT映像70は、心血管病変の観察と診断に適合しない映像である。
【0078】
しかし、映像処理装置100は、胸部CT映像70に対する病変選択ステップ(S711)で心血管病変を選択すると、ディープラーニング選択ステップ(S712)で複数個のディープラーニングモデルの内、心血管病変に対応するディープラーニングモデルの類型を決定する。そして、病変検出ステップS713では、決定されたディープラーニングモデルを介して病変を検出する。
【0079】
すなわち、映像処理装置100は、胸部CT映像70を予め心血管病変を検出するように訓練されたディープラーニングモデルに入力して心血管病変を検出する。このとき、胸部CT映像70は、ディープラーニングモデルによる心血管病変検出性能が向上するように前処理された状態で有り得る。
【0080】
一方、ディープラーニングモデルを通じて胸部CT映像70で心血管病変が発見された場合、映像処理装置100は特徴抽出(S720)を行う。特徴抽出(S720)においては、心血管病変の大きさ及び位置の内、いずれか1つを含む特徴を抽出することができる。
【0081】
そして、映像処理装置100は、胸部CT映像70に対して映像処理(S730)を行う。
【0082】
映像処理(S730)においては、胸部CT映像70に対してリサイジングステップ(S731)、映像特性変換ステップ(S732)、再構成ステップ(S733)、及び伝送ステップ(S734)を行う。
【0083】
まず、リサイジングステップS731においては、心血管病変の観察が適合するように胸部CT映像70をリサイジングしてリサイジング映像71を生成する。一例として、リサイジングステップS731においては、心血管病変の位置が映像の中心領域に配置されるようにし、心血管疾患の観察及び診断が可能になるように映像を拡大してリサイジング映像71を生成する。
【0084】
ここに、リサイジング映像71が生成されると、映像処理装置100は映像特性変換ステップS732を実行することができる。一例として、映像特性変換ステップS732においては、強調周波数帯域を調整して映像特性変換映像72を生成することができる。
【0085】
そして、映像処理装置100は、強調周波数帯域が調整された映像特性変換映像72の再構成ステップS733を行うことができる。一例として、再構成ステップS733では、心血管病変の形態観察が容易になるように映像特性変換映像72を曲面再構成(Curved planar reformation)して再構成映像73を生成することができる。
【0086】
その後、再構成映像73が生成されると、映像処理装置100は伝送ステップS734を実行することができる。一例として、伝送ステップS734では、再構成映像73を判読医師に伝達するために予め指定されたコンピュータシステムに伝送することができる。
【0087】
ここに、判読医師は、胸部CT映像70に基づいて生成された判読映像200で心血管病変の観察及び診断を行うことができる。
【0088】
このように、本実施形態に係る映像処理装置は、予め獲得された医療映像から他の種類の病変判読映像を生成し、以下の効果を有する。
【0089】
第1、本発明は、医療映像の病変特徴に応じた映像処理を行うことにより、元々観察しようとする病変の他に新たな病変が存在しても、予め獲得した映像を用いて新たな病変の特徴が適切に表現されるようにして追加検査を施行せずに映像診断を行うことができる効果がある。
【0090】
第2に、本発明は、医療映像の病変特徴に応じた映像処理を行うことにより、追加の検査を実施せずに映像診断が可能であり、追加の検査によって患者の訪問や検査過程で発生する時間と不便が発生しないようにする効果がある。
【0091】
第3に、本発明は、医療映像の病変特徴に応じた映像処理を行うことにより、追加の検査を施さずに映像診断を行い、追加検査による人体に有害な放射線照射が不要な効果がある。
【0092】
前に説明され、図面に示された本発明の一実施形態は、本発明の技術的思想を限定すると解釈されてはいけない。本発明の保護範囲は請求範囲に記載された事項によってのみ制限され、本発明の技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想を様々な形態に改良変更することが可能である。したがって、このような改良及び変更は、通常の知識を有する者にとって自明である限り、本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0093】
100 映像処理装置
110 病変検出部
120 特徴抽出部
130 映像処理部
200 判読映像