(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】たばこ商品用包材及びたばこ商品用パッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20240321BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B65D85/10
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2022543878
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2020031301
(87)【国際公開番号】W WO2022038719
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大沼 雄太
(72)【発明者】
【氏名】小野 広善
(72)【発明者】
【氏名】岩田 慎一
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167881(JP,A)
【文献】特開2003-181983(JP,A)
【文献】特開2016-159932(JP,A)
【文献】特表2000-509681(JP,A)
【文献】特許第2568116(JP,B2)
【文献】国際公開第2011/007422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封された内部収容部にたばこ商品を包装するたばこ商品用パッケージを形成するシート状の包材であって、
繊維質セルロース系材料を含む紙基層と、
前記紙基層に積層されたアルミニウム含有層と、
前記包材における少なくとも片面側に外層として形成され、前記包材の縁部同士をヒートシールするヒートシール剤が塗工されたヒートシール層と、
を備え、
前記ヒートシール層の厚さが0.5μm以上5μm以下であ
り、
前記アルミニウム含有層の厚さが1μm以上10μm未満であり、
前記アルミニウム含有層の厚さと前記紙基層の厚さとの比が0.2以上0.6未満である、
たばこ商品用包材。
【請求項2】
前記ヒートシール層は、前記包材における片面のみに形成されている、請求項1に記載のたばこ商品用包材。
【請求項3】
前記ヒートシール層は、前記包材における片面の全領域に形成されている、請求項2に記載のたばこ商品用包材。
【請求項4】
前記ヒートシール層は、前記包材における片面の外縁部のみに形成されている、請求項2に記載のたばこ商品用包材。
【請求項5】
前記ヒートシール層は、前記包材における両面に形成されている、請求項1に記載のたばこ商品用包材。
【請求項6】
前記ヒートシール層は、前記包材における両面の全領域に形成されている、請求項5に記載のたばこ商品用包材。
【請求項7】
前記ヒートシール層は、前記包材における両面の外縁部のみに形成されている、請求項5に記載のたばこ商品用包材。
【請求項8】
請求項1に記載されたたばこ商品用包材によって形成されたパッケージであって、
前記包材によって密封された内部収容部に収容されたたばこ商品と、
前記包材の縁部同士がヒートシールされたヒートシール部と、
を備える、
たばこ商品用パッケージ。
【請求項9】
前記包材の前記ヒートシール層は、前記パッケージにおいて内部収容部に面する内表面に少なくとも形成されており、
前記ヒートシール部は、前記包材の縁部同士が合掌状態で重ね合わされた合掌シール形態として形成されている、
請求項8に記載のたばこ商品用パッケージ。
【請求項10】
前記包材は、前記パッケージの内表面側に前記アルミニウム含有層が配置され、当該内表面と反対側に位置する外表面側に前記紙基層が配置され、前記アルミニウム含有層に前記ヒートシール層が積層されている、
請求項9に記載のたばこ商品用パッケージ。
【請求項11】
前記包材の前記ヒートシール層は、前記パッケージにおける前記内表面と反対側に位置する外表面にも形成されており、
前記合掌シール形態を有する前記ヒートシール部は前記ヒートシール部に近接する部位に沿って重ね合わされた状態で外表面同士が接着されている、
請求項9又は10に記載のたばこ商品用パッケージ。
【請求項12】
前記包材の前記ヒートシール層は、前記パッケージにおいて内部収容部に面する内表面及び当該内表面と反対側に位置する外表面に形成されており、
前記ヒートシール部は、前記包材の縁部同士における一方の内表面側に形成されたヒートシール層と他方の外表面側に形成されたヒートシール層が重ね合わされた重ね貼り形態として形成されている、
請求項8に記載のたばこ商品用パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこ商品用包材及びたばこ商品用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ商品を包装する包材として種々のものがある。典型的には、所定本数(例えば、20本程度)のたばこ物品の束をひとまとめにして個装したハードパッケージ、ソフトパッケージ等が知られている。
【0003】
例えば、ハードパッケージの一形態として、ヒンジを介してアウタボックスに開閉自在に連結された蓋部を備えるヒンジリッドパッケージが広く知られている。アウタボックス内に収容されているたばこ商品は、一般的に柔軟なシート材料を折り込むことで形成されたインナパックによってアウタボックス内に収容されている。また、ソフトパッケージは、典型的には、内包紙を折り込むことによって形成されたインナパックによってたばこ商品を包み込み、このインナパックを柔軟な外包紙に包装することによって形成されている。
【0004】
上述した各種のパッケージは、たばこ商品を包み込むためにインナパックの折り込み端部がシールされてはいないため、インナパック自体でたばこ商品の密封性を担保することが難しい。例えば、典型的には、たばこ商品はその水蒸気量がコントロールされた状態で出荷される。従って、たばこ商品を包装する包材が水蒸気バリア性を有しないと、例えばたばこ商品の流通過程や存置期間中にたばこ商品の水蒸気量が増減してしまい、たばこ商品の喫味に影響を及ぼす虞がある。また、包材内に外部から水蒸気が侵入することで、内部に収容するたばこ商品の巻き紙等にシミが発生する虞がある。つまり、包材の水蒸気バリア性が担保されないと、内部に収容するたばこ商品の品質低下を招く虞がある。
【0005】
そこで、従来の各種パッケージにおいては、パッケージの外側を更に透明な樹脂フィルム包装によって覆い、パッケージを密封するようにしている。しかしながら、近年においては、環境配慮型、省資源化のニーズからすると、パッケージを外装する樹脂フィルムを省略することが好ましい。
【0006】
これに関連して、特許文献1には、パッケージのブランクを、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックフィルムを紙基材に積層した積層シートによって形成する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、パッケージのブランクを、繊維質セルロース系材料を含む基層と、基層の外側に提供された金属含有層と、密封可能な高分子材料を含み且つ基層の内側の少なくとも密封領域上に提供された密封可能な層、を含む層構造とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2018/092179号
【文献】特表2020-500126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1、2に記載されているパッケージは、収容するたばこ商品を密封することができるとされている。しかしながら、特許文献1に記載されているパッケージは、紙基材にプラスチックフィルムを積層する技術であるため、プラスチックフィルムの厚さが厚くなり、環境配慮性が十分とは言えない虞がある。また、特許文献2においても、パッケージにおける密封可能な層に含まれる高分子材料として、ポリオレフィン系およびアクリル系のポリマーを含むことが開示され、特にポリエチレンまたはポリプロピレンを含むことが開示されているが、高分子材料の含有量については何ら規定されていない。
【0010】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、たばこ商品を密封可能で、しかも樹脂材料の使用量を少なくすることで従来よりも環境に配慮したたばこ商品用包材及びたばこ商品用パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るたばこ商品用包材の一形態は、密封された内部収容部にたばこ商品を包装するたばこ商品用パッケージを形成するシート状の包材であって、繊維質セルロース系材料を含む紙基層と、前記紙基層に積層されたアルミニウム含有層と、前記包材における少なくとも片面側に外層として形成され、前記包材の縁部同士をヒートシールするヒートシール剤が塗工されたヒートシール層と、を備え、前記ヒートシール層の厚さが0.5μm以上5μm以下である。
【0012】
ここで、前記ヒートシール層は、前記包材における片面のみに形成されていても良い。この場合、前記ヒートシール層は、前記包材における片面の全領域に形成されていても良い。或いは、前記ヒートシール層は、前記包材における片面の外縁部のみに形成されていても良い。
【0013】
また、前記ヒートシール層は、前記包材における両面に形成されていても良い。この場合、前記ヒートシール層は、前記包材における両面の全領域に形成されていても良い。或いは、前記ヒートシール層は、前記包材における両面の外縁部のみに形成されていても良い。
【0014】
また、本発明は、上述までの何れかのたばこ商品用包材によって形成されたパッケージであって、前記包材によって密封された内部収容部に収容されたたばこ商品と、前記包材の縁部同士がヒートシールされたヒートシール部と、を備えるたばこ商品用パッケージとして特定することもできる。
【0015】
本発明に係るたばこ商品用パッケージは、前記包材の前記ヒートシール層は、前記パッケージにおいて内部収容部に面する内表面に少なくとも形成されており、前記ヒートシール部は、前記包材の縁部同士が合掌状態で重ね合わされた合掌シール形態として形成されていても良い。この場合、前記包材は、前記パッケージの内表面側に前記アルミニウム含有層が配置され、当該内表面と反対側に位置する外表面側に前記紙基層が配置され、前記アルミニウム含有層に前記ヒートシール層が積層されていても良い。
【0016】
また、本発明に係るたばこ商品用パッケージは、前記包材の前記ヒートシール層は、前記パッケージにおける前記内表面と反対側に位置する外表面にも形成されており、前記合掌シール形態を有する前記ヒートシール部は前記ヒートシール部に近接する部位に沿って重ね合わされた状態で外表面同士が接着されていても良い。
【0017】
また、本発明に係るたばこ商品用パッケージは、前記包材の前記ヒートシール層は、前記パッケージにおいて内部収容部に面する内表面及び当該内表面と反対側に位置する外表面に形成されており、前記ヒートシール部は、前記包材の縁部同士における一方の内表面側に形成されたヒートシール層と他方の外表面側に形成されたヒートシール層が重ね合わされた重ね貼り形態として形成されていても良い。
【0018】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、たばこ商品を密封可能で、しかも樹脂材料の使用量を少なくすることで従来よりも環境に配慮したたばこ商品用包材及びたばこ商品用パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るパッケージの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るパッケージを形成するためのシート状の包材を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るパッケージを形成する包材の層構造を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るパッケージにおけるヒートシール部を含む外被の断面構造を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、変形例1に係る包材の層構造を説明する図である。
【
図6】
図6は、変形例2に係る包材の層構造を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態2にパッケージの外観斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係るパッケージを形成するための包材の平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係るパッケージを形成する包材の層構造を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係るパッケージを組み立てる際の包材の折り込み手順を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係るパッケージを組み立てる際の包材の折り込み手順を説明する図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係るパッケージを組み立てる際の包材の折り込み手順を説明する図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係るパッケージを組み立てる際の包材の折り込み手順を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係るパッケージにおいて、ヒートシール部近傍の断面構造を概略的に示す図である。
【
図15】
図15は、変形例3に係る包材を用いてパッケージを形成したときのヒートシール部近傍における断面構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明に係るたばこ商品用包材及びパッケージの実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は一例である。
【0022】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るたばこ商品用パッケージ(以下、単に「パッケージ」という)1の外観斜視図である。
図2は、実施形態1に係るパッケージ1を形成するためのシート状のたばこ商品用包材(以下、単に「包材」という)2を示す平面図である。パッケージ1は、略直方体の箱形状を有し、
図2に示すシート状の包材2を折り込むことによってたばこ商品の束を収容する外被3を有している。パッケージ1における外被3の内部には密封された内部収容部が形成されており、当該内部収容部にたばこ商品が収容されている。
【0023】
図1に、パッケージ1の前後上下左右の各方向を示す。但し、パッケージ1の前後上下左右の各方向は、パッケージ1の各部の相対的な位置関係を説明するために用いるものであり、パッケージ1の絶対的な向きを意味するものでは無い。また、パッケージ1の上下方向は、「高さ方向」と呼ぶことができ、左右方向は「幅方向」と呼ぶことができ、前後方向は「奥行方向」と呼ぶことができる。
【0024】
パッケージ1の外被3は、シート状の包材2を折り込み、包材2の縁部同士をヒートシールにて接着することによって形成され、たばこ商品を収容する内部収容部を密封している。
図2に示す例では、包材2は矩形形状をなしており、たばこ商品の回りに折り込まれることで、たばこ商品を密封する外被3を形成する。なお、包材2の層構造やその詳細については後述する。
【0025】
ここで、
図1に示す符号31は、外被3(包材2)の縁部同士を重ね合わせて熱溶着したヒートシール部である。ヒートシール部31は、パッケージ1の幅方向(左右方向)に沿って延在する横ヒートシール部31Aと、パッケージ1の高さ方向(上下方向)に沿って延在する縦ヒートシール部31Bを含む。特に横ヒートシール部31Aと縦ヒートシール部31Bを区別しない場合には単にヒートシール部31と呼ぶ。なお、本実施形態においては、外被3(包材2)の縁部同士を合掌形態で重ね合わせることでヒートシール部31を形成している。
【0026】
図1に示すように、縦ヒートシール部31Bは、パッケージ1の左右にそれぞれ設けられている。また、各縦ヒートシール部31Bは、パッケージ1の上端から下端に至るまで延在している。また、横ヒートシール部31Aは、一方の縦ヒートシール部31Bからパッケージ1の幅方向全域に亘って横断し、そして、他方の縦ヒートシール部31Bまで延びている。なお、横ヒートシール部31Aの両端部は各縦ヒートシール部31Bとオーバラップしている。
【0027】
また、
図1に示す例では、横ヒートシール部31の先端縁中央には扁平な略M字状の切欠が形成されている。この切欠は、横ヒートシール部31にV字状の摘み33を提供する。但し、摘み33はパッケージ1において必須ではなく、適宜省略されていても良い。また、摘み33の形状、位置などについても特に限定されない。
【0028】
パッケージ1の外被3は、摘み33に連なる切離し片34を含んでいる。切離し片34は、外被3における上面35の後縁35Aから前面36にかけて一対の第1分離線37で区画して設けられた帯状体である。第1分離線37は、V字状の摘み33の両端から上方へ延び、更に、上面35を横切って、その後縁35Aに至るまで延在している。また、外被3の前面36には、摘み33の上方に第2分離線38が設けられている。第2分離線38は、パッケージ1の幅方向に沿って延在している。第1分離線37及び第2分離線38は、脆弱部によって形成されている。「脆弱部」は、パッケージ1における外被3(或いは、外被3を形成する包材2)の表面の一部分であって、当該部分の強度が他の部位よりも弱化された部分である。例えば、脆弱部は、他の部位に比べて包材2の板厚が薄くなるような加工(例えば、ハーフカット)が施されることで形成されていても良い。本実施形態においては、パッケージ1の密封性を確保するために、包材2に小孔を穿孔する穿孔列は「脆弱部」として採用しない方が好ましい。また、
図1に示す符号39は、パッケージ1における外被3の側面である。なお、包材2にハーフカット加工を施すことで脆弱部を形成する場合、
図3で説明するアルミニウム含有層22側に設けてしまうと水蒸気バリア性が損なわれる虞があるので、水蒸気バリア性に大きく寄与しない紙基層21に設けるのが好ましい。
【0029】
図3は、実施形態1に係るパッケージ1の外被3を形成する包材2の層構造を示す図である。
図3に示すように、包材2は、繊維質セルロース系材料を含む紙基層21と、紙基層21に積層されたアルミニウム含有層22と、ヒートシール層23が積層された層構造を有している。
【0030】
本実施形態において、アルミニウム含有層22は、アルミ箔によって形成されており、優れた水蒸気バリア性を有している。アルミニウム含有層22は、接着剤24を介してアルミニウム含有層22(アルミ箔)が紙基層21に接着されている。また、包材2は、少なくとも片面側にヒートシール層23が外層として形成される。ヒートシール層23は、包材2の縁部同士をヒートシール(熱融着)するため(
図1に示すヒートシール部31を形成するため)のヒートシール剤を含有するヒートシールニスが塗工対象に塗工されることで形成される。
図3には、アルミニウム含有層22にヒートシール層23を積層する一形態が示されており、本例ではアルミニウム含有層22にヒートシール剤を含有するヒートシールニスを塗工することでヒートシール層23が形成されている。
【0031】
ここで、アルミニウム含有層22の厚さは、約1μm以上であることが好ましく、約5μm以上であると更に好ましい。また、アルミニウム含有層22の厚さは、約15μm未満とする態様が一例として挙げられ、約10μm未満であることが好ましい。上記のようにアルミニウム含有層22の厚さの上限値を規定し、アルミニウム含有層22が過度に厚くなることを抑制することは環境配慮の観点から好ましい。また、上記のようにアルミニウム含有層22の厚さの下限値を規定し、アルミニウム含有層22が過度に薄くなることを抑制することは、アルミニウム含有層22に小孔が形成されることを抑制し、当該小孔からの水蒸気のリークを抑制する観点から好ましい。
【0032】
また、紙基層21の厚さは、約15μm以上とする態様が一例としてあげられる。また、紙基層21の厚さは、約20μm以上であることが好ましく、約30μm以上であることがより好ましい。また、紙基層21の厚さは、約110μm未満とする態様が一例として挙げられる。また、紙基層1の厚さは、約90μm未満であることが好ましく、約70μm未満であることがより好ましい。上記のように紙基層21の厚さの下限値を規定することで、包材2として必要な強度、剛性を担保することができる。また、紙基層21の厚さの上限値を規定することで、包材2の強度や剛性が過剰になりすぎることを抑制することができ、折り曲げ加工等を行う際における製造適性が低くなることを抑制できる。
【0033】
また、紙基層21の坪量は、約25g/m2以上とする態様が一例として挙げられる。また、紙基層21の坪量は、約35g/m2以上であることが好ましく、約40g/m2以上であることがより好ましい。紙基層21の坪量は、約65g/m2未満とする態様が一例として挙げられる。また、紙基層21の坪量は、約60g/m2未満であることが好ましく、約55g/m2未満であることがより好ましい。
【0034】
また、アルミニウム含有層22の厚さと紙基層21の厚さとの比は、約0.01以上であることが好ましく、約0.2以上であることがより好ましい。また、アルミニウム含有層22の厚さと紙基層21の厚さとの比は、約1未満であることが好ましく、約0.6未満であることがより好ましい。特に好ましい態様として、アルミニウム含有層22の厚さと紙基層21の厚さとの比は、約0.2~約0.6である。
【0035】
ここで、紙基層21は、30重量パーセント以上の繊維質セルロース系材料を含む態様が一例として挙げられる。また、紙基層21は、50重量パーセント以上の繊維質セルロース系材料を含むことが好ましく、70重量パーセント以上の繊維質セルロース系材料を含むことがより好ましい。一例として、紙基層21は実質的に繊維質セルロース系材料のみによって形成されている。紙基層21における繊維質セルロース系材料の含有量が増加すると、たばこ商品の周りに沿って包材2を折り込む際に、包材2の曲げが促進され、製造プロセスが簡略化される。また、紙基層21における繊維質セルロース系材料の含有量が増加すると、紙基層21がより容易に分解可能になるため、環境により一層配慮されたパッケージ1を提供することができる。更に、紙基層21は、その表面に炭酸カルシウムやカオリン等を含むコート層が配置されたコート紙として形成されていることが好ましい。
【0036】
ここで、ヒートシール層23を形成するヒートシールニスに含まれるヒートシール剤は特に限定されないが、100~200℃程度の融点を有するものが好ましい。ここで、ヒートシール剤の融点が100℃よりも低いと、製造工程時以外においてヒートシール剤が溶融してしまい、ヒートシール剤がたばこ商品と接着されてしまう懸念がある。また、ヒートシール剤の融点が200℃よりも高いと、製造工程時においてヒートシール剤の溶融に時間が掛かり、パッケージの高速製造が困難となることが懸念される。上記のようにヒートシールニスに含まれるヒートシール剤の融点を100~200℃程度とすることで、上記不具合が起こることを好適に抑制できる。また、ヒートシール剤は水性であっても良いし、溶剤系であっても良い。また、ヒートシール剤はエマルション系であっても良いし、非エマルション系であっても良い。また、ヒートシール剤を形成する樹脂の種類は特に限定されず、例えばエチレン酢酸ビニル(Ethylene-vinyl acetate, EVA)樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が例示できる。
【0037】
ここで、ヒートシール層23の厚さは、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。このような範囲にヒートシール層23の厚さを規定することで、包材2を折り込んでパッケージ1(外被3)を成形する際に、包材2の縁部同士を確実に接着することができると共に、使用する樹脂量を少なくすることができる。すなわち、パッケージ1(外被3)の製造容易性に優れ、しかも環境に配慮した包材2及びこれを用いたパッケージ1(外被3)を提供することができる。
【0038】
ここで、
図3に示す符号20Aは包材2における第1面、符号20Bは包材2における第1面20Aと反対側に位置する第2面である。包材2における第1外面20A及び第2外面20Bは、包材2において外層に位置する材料の表面によって形成されている。また、
図3に併記される符号30Aは外被3の外表面(
図1を参照)であり、符号30Bは外被3の内表面である。ここで、「内表面」という用語は、本明細書において、パッケージ1(外被3)の内部に形成される内部収容部に面する(例えば、たばこ商品に面する)組み立て済みのパッケージ1(外被3)の表面を指すものとして使用される。また、「外表面」という用語は、本明細書において、パッケージ1(外被3)の外部に露出する表面、すなわち「内表面」の反対側に位置する表面を指すものとして使用される。
【0039】
図3に示す態様では、包材2を折り込むことによりパッケージ1(外被3)の形態とした状態で、包材2の第1面20Aが外部に面して配置されることで外被3の外表面30Aを形成し、包材2の第1面20Aが内部(内部収容部側、たばこ商品側)に面して配置されることで外被3の内表面30Bを形成することを例に説明する。
【0040】
図3に示すように、包材2の層構造は、第2面20B(パッケージ形態において外被3の内表面30B)側から第1面20A(パッケージ形態において外被3の外表面30A)側に向けて、ヒートシール層23、アルミニウム含有層22、紙基層21が積層された層構造となっている。また、
図3に示す包材2の層構造は、紙基層21及びヒートシール層23がそれぞれ包材2の外層を形成している。また、
図3に示す例では、パッケージ形態において外被3の内表面30Bを形成する包材2の第2面20Bのみ(片面のみ)にヒートシール層23を形成する態様が示されている。
【0041】
本実施形態では、包材2における第2面20B側の外層として形成されたヒートシール層23は、アルミニウム含有層22の表面(アルミ箔の表面)に対してヒートシール剤を含有するヒートシールニスを全面的に塗工することで、第2面20Bの全領域に形成されている。但し、ヒートシール層23は、アルミニウム含有層22の表面にヒートシールニスを部分的に塗工することで形成されても良い。例えば、パッケージ1(外被3)の製造時に互いに接着される包材2の縁部のみに、アルミニウム含有層22の表面(アルミ箔の表面)に対してヒートシールニスをパターン塗工しても良い。これにより、包材2の第2面20B(片面)の一部のみに、ヒートシール層23が形成される。なお、詳しくは後述するが、包材2は、その両面(第1面20A及び第2面20B)にヒートシール層23が形成されても良い。その場合、包材2の各面(第1面20A、第2面20B)の全領域にヒートシール層23を形成しても良いし、ヒートシール部31を形成する部位(縁部)に対してのみヒートシール層23を形成しても良い。
【0042】
なお、本実施形態におけるパッケージ1の内部収容部に収容されるたばこ商品はたばこ原料を含む種々の商品を収容することができる。例えば、たばこ商品は、シガレット、葉巻、シガリロ等の喫煙物品であっても良いし、スヌース等の嗅ぎたばこであっても良い。また、パッケージ1に収容されるたばこ商品は、炭素質熱源と、エアロゾル発生部とを備えた非燃焼型喫煙物品であっても良い。また、たばこ商品は、非燃焼加熱式たばこ製品に適用されるたばこスティックであっても良い。また、上記のたばこ商品を一例であり、たばこ原料を含む種々のたばこ商品をパッケージ1に収容することができる。
【0043】
次に、
図2を参照して、パッケージ1を組み立てる際の包材2の折り込み形態について説明する。上記のように、
図2に示す包材2は矩形形状のシート形態を有している。
図2は、包材2の第2面20B(外被3の内表面30Bとなる方の面)を上から眺めた平面図(展開図)である。
図2に示す1点鎖線は、包材2に形成される折込み線を示している。
図2に示す平面図(展開図)から明らかなように、折込み線により区画された包材2の各領域は
図1に示す外被3の各部を形成する。更に、
図3で説明したように、包材2の第2面20Bは、その全面にヒートシール層23が露出するように形成されており、このヒートシール層23は
図1で説明した各ヒートシール部31の形成を可能とする。
【0044】
より詳しくは、包材2の各領域には、外被3の前面36の一部となる下部前面領域64、この下部前面領域64の上側に順次位置し、外被3の底面となる底面領域80、外被3の後面となる後面領域86、外被3の上面となる上面領域92及び外被3の前面36の残部となる上部前面領域98が含まれている。更に、領域64,80,86,92,98の左右には、外被3の側面を形成する側面領域66,82,88,94,100がそれぞれ位置している。
【0045】
また、包材2における下部前面領域64の下端部及び上部前面領域98の上端部には、V字形状の摘み33を形成する切欠部74,102が形成されている。一方、下部前面領域64や、上部前面領域98及び上面領域92には、前述した切離し片34、即ち、第1分離線37を形成する脆弱部106や、第2分離線38を形成する脆弱部76が設けられている。なお、包材2における側面領域82,94内の1点鎖線は、包材2を折り込む際にこれら側面領域82,94にてガセット折りがなされることを示す。また、下部前面領域64及び側面領域66の下端縁部54a(
図2中、ハッチングにて示される)と、上部前面領域98及び側面領域100の上端縁部54b(
図2中、ハッチングにて示される)は互いに重ね合わされ、熱溶着(ヒートシール)により、横ヒートシール部31Aを形成する。また、包材2における左右の側面領域においては、同一側の側面領域の外側縁部50a(
図2中、ハッチングにて示される)が互いに重ね合わされ、熱溶着により縦ヒートシール部31Bをそれぞれ形成する。なお、包材2における下端縁部54a及び上端縁部54bと、一対の外側縁部50aは端部同士が相互に接続されることで全体としてロの字形状を形成するように包材2の外縁領域に形成されている。
【0046】
上記のように構成される包材2は、たばこ商品の商品束の回りに折り込まれることで、たばこ商品を密封する内部収容部を内部に有する外被3を形成する。包材2をパッケージ形態とする際には、先ず、包材2の後面領域86等にたばこ商品における商品束を載置した状態で、包材2の各領域を折込み線に沿って順次折り込む。その際、下部前面領域64及び側面領域66の下端縁部54aと、上部前面領域98及び側面領域100の上端縁部54bは互いに重ね合わされた状態で熱溶着(ヒートシール)が行われる。このとき、重ね合わされた包材2の端縁部同士は、第2面20B側の外層として形成されたヒートシール層23同士が重ね合わされた状態で加熱及び加圧される。
【0047】
その結果、ヒートシール層23に含まれるヒートシール剤同士が熱溶着することで、横ヒートシール部31Aが形成される。なお、横ヒートシール部31Aは、外被3の内表面30Bを形成する包材2の第2面20B同士を重ね合わせて接着する(背貼りする)合掌貼り形態として形成されており、包材2における端部の第1面20Aと第2面20Bを重ね合わせる形態のシールと比べて、ヒートシール時にたばこ商品への熱の影響をより一層少なくすることができる。
【0048】
上述した横ヒートシール部31Aが形成されると、包材2はたばこ商品の商品束の両側からそれぞれ突出する矩形部位を形成する。これら矩形部位は、側面領域82,94におけるガセット折りを経て、対応する側の商品束の側面を覆うべく側面領域66,82,88,94,100が折込み線に沿って折り込まれ、外被3の側面をそれぞれ形成する。なお、側面領域82,94におけるガセット折りは、
図2に示す側面領域82,94内における1点鎖線に沿って行われる。また、側面領域66,82,88,94,100を折り込む際には、包材2における同一側の側面領域の外側縁部同士を互いに重ね合わせた状態で熱溶着(ヒートシール)が行われる。その結果、ヒートシール層23に含まれるヒートシール剤同士が熱溶着することにより、各縦ヒートシール部31Bが形成される。なお、縦ヒートシール部31Bにおいても、横ヒートシール部31と同様、外被3の内表面30Bを形成する包材2の第2面20B同士を重ね合わせて接着する合掌貼り形態として形成される。これにより、ヒートシール時にたばこ商品への熱の影響をより一層少なくすることができる。
【0049】
以上のようにして、包材2から外被3が形成され、たばこ商品を内部の内部収容部に密封したパッケージ1の成形が完了する。本実施形態における包材2によれば、繊維質セルロース系材料を含む紙基層21と、紙基層21に積層されたアルミニウム含有層22と、包材2における少なくとも片面側に外層として形成され、包材2の縁部同士をヒートシールするヒートシール剤が塗工されたヒートシール層23と、を備えるため、密閉性の優れたパッケージ1(外被3)を形成することができる。つまり、パッケージ1を、更に外装樹脂フィルムによって密封することなく、密閉性の優れた包装体を提供することができる。これにより、パッケージ1の流通過程や存置期間中にたばこ商品の水蒸気量が増減することを好適に抑制できる。そして、包材2におけるヒートシール層23の厚さを0.5マイクロメートル以上5マイクロメートル以下としたので、包材2を折り込んでパッケージ1(外被3)を成形する際に、包材2の縁部同士を確実に接着することができると共に、使用する樹脂量を少なくすることができる。すなわち、パッケージ1(外被3)の製造容易性に優れ、しかも環境に配慮した包材2及びこれを用いたパッケージ1(外被3)を提供できる。なお、本実施形態において0.5μm以上5μm以下の範囲に規定しているヒートシール層23の厚さは、ヒートシール剤が乾燥した後の状態における厚さを指している。従って、最終的に包材2の完成時(ヒートシール剤の乾燥後)におけるヒートシール層23の厚さが0.5μm以上5μm以下の範囲となるように、ヒートシールニスの塗工量を調整すると良い。
【0050】
図4は、実施形態1に係るパッケージ1におけるヒートシール部31を含む外被3の断面構造を概略的に示す図である。
図4には、ヒートシール部31及びその周辺部における外被3の断面構造が示されている。また、
図4に示す符号ASは、外被3によって密封された内部収容部ASである。但し、
図4において、内部収容部ASに収容されているたばこ商品の図示は省略されている。また、
図4には、鎖線で囲まれた領域A及び領域Bにおける拡大図も併せて示している。また、
図4に示す符号20Cは、包材2の縁部である。包材2の縁部20C同士が重ね合わされた状態で合掌貼り形態で熱溶着されることでヒートシール部31が形成されている。
【0051】
図4における領域Aの拡大図に示すように、外被3の内表面30B(包材2の第2面20B)側から、ヒートシール層23、アルミニウム含有層22、紙基層21がこれらの順に積層されており、紙基層21が外被3の外表面30Aを形成している。また、包材2の第1面20Aに位置するヒートシール層23が外被3の内表面30Bを形成している。
【0052】
ここで、
図4における領域Bの拡大図に示すように、本実施形態においてはヒートシール層23の直ぐ外側に水蒸気バリア性を有するアルミニウム含有層22が配置されている。これによれば、ヒートシール部31において、ヒートシール層23を形成するヒートシールニスが塗工されたアルミニウム含有層22同士を密着させることができる。これにより、ヒートシール部31において、互いに貼り合された包材2の接着界面に沿って水蒸気がより一層通過しにくくなる。その結果、外被3の密封性をより一層高めることができる。また、
図4に示すように、アルミニウム含有層22にヒートシール層23を積層する態様では、ヒートシールニスを塗工する塗工面がアルミニウム含有層22の表面になるため、塗工時にヒートシールニスが染み込みにくいという利点がある。そのため、包材2の縁部同士の接着に使用する樹脂量をより好適に少なくすることができる。
【0053】
なお、本実施形態における包材2の層構造は、
図2、
図4で説明した層構造に限られず、種々の形態を採用することができる。例えば、
図2、
図4で説明した層構造における紙基層21及びアルミニウム含有層22を入れ替えて配置しても良い。また、包材2は、紙基層21、アルミニウム含有層22、ヒートシール層23以外にも、随意に、一つ以上の追加的な層を含みうる。例えば、包材2は、紙基層21の表面にオーバープリントニス等を塗布することで、オーバーコートニス層を紙基層21に積層しても良い。勿論、紙基層21の表面には、デザインやブランドロゴ等に関するインキが印刷されていても良い。
【0054】
また、上記実施形態においては、パッケージ形態において外被3の内表面30Bを形成する包材2の第2面20Bの全領域にヒートシール層23を形成する形態を説明したが、ヒートシール部31を形成するための包材2における外縁部のみ、すなわち下端縁部54a、上端縁部54b、一対の外側縁部50a(
図2におけるハッチング領域)のみにヒートシール層23を形成しても良い。ヒートシール層23を形成するヒートシールニスをパターン塗工する場合には、塗工時における多少の位置ずれを考慮して設計位置よりも多少広め(例えば、0.5mm程度)にヒートシールニスを塗工するようにしても良い。このように、包材2における片面の一部のみにヒートシール層23をパターン形成することで、使用する樹脂量をより一層少なくすることができる。
【0055】
図5は、変形例1に係る包材2Aの層構造を説明する図である。本変形例において、上述までの形態と同一の構成要素については同一の符号を付すことで詳しい説明を省略する。
図5に示す例では、
図2、
図4で説明した包材2における紙基層21及びアルミニウム含有層22が相互に入れ替わった層構造を有している。すなわち、
図5における領域Aの拡大図に示すように、外被3の内表面30B(包材2Aの第2面20B)側から、ヒートシール層23、紙基層21、アルミニウム含有層22がこれらの順に積層されている。そして、アルミニウム含有層22が外被3の外表面30Aを形成し、ヒートシール層23が外被3の内表面30Bを形成している。
【0056】
図5に示す変形例1においても、包材2Aの第2面20Bの全領域にヒートシール層23が形成されていても良いし、ヒートシール部31を形成するための包材2における外縁部のみ、すなわち下端縁部54a、上端縁部54b、一対の外側縁部50a(
図2におけるハッチング領域)のみにヒートシール層23を形成しても良い。勿論、本変形例における包材2Aにおいても、随意に、一つ以上の追加的な層を含みうる。また、包材2Aにおけるアルミニウム含有層22の表面にデザインやブランドロゴ等に関するインキが印刷されていても良い。また、オーバープリントニス等を塗布することで、オーバーコートニス層をアルミニウム含有層22に積層し、当該オーバーコートニス層によって外被3の外表面30Aを形成しても良い。
【0057】
図5に示す変形例1においても、実施形態1と同様、別体の外装樹脂フィルムでパッケージ1を密封することなくたばこ商品を密封することが可能で、しかも樹脂材料の使用量を少なくすることで従来よりも環境に配慮した包材2A及びパッケージ1を提供できる。但し、
図5に示す変形例1では、ヒートシール層23とアルミニウム含有層22の間に紙基層21が介在する形態となっている。そのため、
図4に示す包材2の層構造と比較すると、ヒートシール部31において、互いに貼り合された包材2におけるアルミニウム含有層22同士の間に介在する紙基層21を通って水蒸気が通過しやすいため、本変形例よりも
図4に示す層構造の方が水蒸気バリア性の優れた層構造であるといえる。なお、
図5に示すように紙基層21にヒートシール層23を積層する態様では、ヒートシールニスを塗工する塗工面が紙基層21の表面になる。そのため、
図4に示したようにアルミニウム含有層22にヒートシールニスを塗工する場合に比べて、塗工時にヒートシールニスが紙基層21に染み込みやすい。但し、この場合においても、包材2の完成時(ヒートシール剤の乾燥後)におけるヒートシール層23の厚さが0.5μm以上5μm以下の範囲となるようにヒートシールニスの塗工量を調整すると良い。なお、本変形例のように、紙基層21にヒートシール層23を積層する場合、紙基層21は、表面に炭酸カルシウムやカオリン等を含むコート層が配置されたコート紙として形成され、紙基層21のコート層にヒートシール層23を積層することが好ましい。この場合、紙基層21のコート層にヒートシールニスを塗工することができるため、ヒートシールニスが紙基層21に染み込みにくくなる。そのため、ヒートシール層23を形成するために使用する樹脂量をより好適に少なくすることができる。
【0058】
図6は、変形例2に係る包材2Bの層構造を説明する図である。本変形例において、上述までの形態と同一の構成要素については同一の符号を付すことで詳しい説明を省略する。変形例2に係る包材2Bは、包材2Bの第1面20A及び第2面20B(外被3の外表面30A及び内表面30B)の全面にヒートシール層23が形成されている。その他の点については、
図4に示す包材2と同様である。また、本変形例において、包材2Bの第1面20A及び第2面20Bの外縁部のみにヒートシール層23を形成しても良い。
【0059】
上記の通り、本変形例においては外被3の外表面30Aを形成する包材2Bの第1面20Aにもヒートシール層23が形成されている。そのため、合掌貼り形態として形成されているヒートシール部31を、その基端部310(
図6を参照)を基点として外被3に外表面30Aに向かって折込み、例えばヒートシール部31の外表面30Aを外被3の近接部位32における外表面30Aに沿わせた状態で熱溶着することができる。ここでいう外被3の近接部位32とは、ヒートシール部31に近接する部位であり、ヒートシール部31を基端部310から外被3の側面39に沿って折り込んだ際に、ヒートシール部31の外表面30Aを当接可能な位置における側面39の外表面30Aである。このように、包材2Bの第1面20A及び第2面20B(両面)にヒートシール層23を形成することで、ヒートシール部31の形態の自由度を高めることができる。一方、使用する樹脂量に関する観点からは、包材の両面にヒートシール層23を形成する場合に比べて片面のみにヒートシール層23を形成する方が、使用する樹脂量をより一層少なくすることができるため好ましい。なお、包材の両面にヒートシール層23を形成し、ヒートシール部31を外被3の側面に沿って折り込んで外表面30A同士を接着する態様については、変形例1で説明した層構造を有する包材2Aに適用しても良い。
【0060】
また、上述した実施形態1及び各変形例に係る包材によって形成したパッケージ1は、
図1に示すようなピロー包装形態で流通しても良いし、公知のハードパッケージやソフトパッケージの外包紙に組み込まれた形態で流通しても良い。
【0061】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係るパッケージ1Aについて説明する。本実施形態において、上述までの形態と同一の構成要素については同一の符号を付すことで詳しい説明を省略する。
図7は、実施形態2にパッケージ1Aの外観斜視図である。
図8は、実施形態2に係るパッケージ1Aの外被3Aを形成するための包材2Cの平面図である。
【0062】
図7に示す例では、パッケージ1Aは略直方体の箱形状を有している。パッケージ1Aは、
図8に示すシート状の包材2Cを折り込むと共に包材2Cの縁部同士をヒートシールにて接着することによってパッケージ形態に成形された外被3Aを有している。また、パッケージ1における外被3Aの内部には密封された内部収容部が形成されており、当該内部収容部にたばこ商品が収容されている。
【0063】
図7に、パッケージ1Aの前後上下左右の各方向を示す。但し、パッケージ1Aの前後上下左右の各方向は、パッケージ1Aの各部の相対的な位置関係を説明するために用いるものであり、パッケージ1Aの絶対的な向きを意味するものでは無い。また、パッケージ1Aの上下方向は、「高さ方向」と呼ぶことができ、左右方向は「幅方向」と呼ぶことができ、前後方向は「奥行方向」と呼ぶことができる。
【0064】
図中、符号34はパッケージ1Aの上面、符号36はパッケージ1Aの前面、符号39はパッケージ1Aの側面である。また、シガレット1Aは、外被3Aの内部からたばこ商品を取り出し可能な取り出し開口部11を有し、この取り出し開口部11をカバーフラップ12によって覆っている。カバーフラップ12は、例えば弱粘着糊を用いて外被3Aの表面に取り付けられており、再剥離が可能なカバーである。カバーフラップ12は摘み12Aを有している。ユーザーは、摘み12Aを把持してカバーフラップ12を引き上げることでカバーフラップ12を外被Aの外表面30Aから少なくとも一部を剥がし、取り出し開口部11を開放することで内部収容部に収容されるたばこ商品を取り出すことができる。
【0065】
図9は、実施形態2に係るパッケージ1Aを形成する包材2Cの層構造を示す図である。包材2Cにおける層構造の説明において、実施形態1に係る包材2と同一の要素について、同一の符号を付すことで詳しい説明を省略する。包材2Cは、第1面20A及び第2面20Bにヒートシール層23が形成されている。すなわち、包材2の厚さ方向における双方の外層がヒートシール層23によって形成されている。
【0066】
包材2Cは、第2面20Bから、ヒートシール層23、アルミニウム含有層22、紙基層21、ヒートシール層23がこれらの順に積層されている。なお、本実施形態における包材2Cにおいてもアルミニウム含有層22は、例えば水蒸気バリア性に優れたアルミ箔によって形成することができる。また、アルミニウム含有層22は、接着剤24を介して紙基層21に接着されている。包材2Cにおける第1面20A側の外層として形成されたヒートシール層23は、紙基層21にヒートシール剤を含有するヒートシールニスを塗工することで形成されている。また、包材2Cにおける第2面20B側の外層として形成されたヒートシール層23は、アルミニウム含有層22にヒートシール剤を含有するヒートシールニスを塗工することで形成されている。ここでの例では、包材2Cにおける両面(第1面20A、第2面20B)の全領域(全面)にヒートシール層23が形成されている。但し、後述するように、包材2Cにおける第1面20A、第2面20Bにおけるヒートシール層23は、これらの一部のみにパターン形成されていても良い。なお、包材2Cを形成する紙基層21、アルミニウム含有層22、ヒートシール層23については実施形態1で記述のため、詳しい説明を省略する。また、ここでは、包材2Cを折り込むことによりパッケージ1A(外被3A)の形態とした状態で、包材2Cの第1面20Aが外部に面して配置されることで外被3の外表面30Aを形成し、包材2Cの第1面20Aが内部(内部収容部側、たばこ商品側)に面して配置されることで外被3の内表面30Bを形成する場合を例に説明する。
【0067】
図10から
図13は、実施形態2に係るパッケージ1Aを組み立てる際の包材2Cの折り込み手順を説明する図である。
図8に示すように、シート状の包材2Cを用意する。
図8に示すように包材2Cは矩形状形状を有している。また、包材2Cには、取り出し開口部11が形成されており、この取り出し開口部11を覆うようにカバーフラップ12が弱粘着糊を用いて包材2Cの第1面20Aに貼り付けられている。なお、
図8においては、包材2Cを第1面20A側から眺めた平面図である。なお、
図8において、包材2Cの折込み線については図示を省略している。
【0068】
パッケージ1Aの組み立てに際して、まず、
図10に示すようにたばこ商品TAの束の周囲に包材2Cが折込み線(図示せず)に沿ってU字状に折り込まれる。この状態において、包材2Cは、たばこ商品TAの束の端面からそれぞれ突出する矩形部位41,42を形成する。そして、
図11、
図12に示すように矩形部位41,42を、たばこ商品TAの束の端面に沿って折込み、矩形部位41の上に矩形部位42が重ね合わせ、矩形部位41,42同士を熱溶着させる。
【0069】
次に、包材2Cにおいて、たばこ商品TAの束の両側面からそれぞれ突出する突出部位をそれぞれガセット折りし、
図13に示すように台形フラップ43~46を形成する。次に、台形フラップ43~46をそれぞれの基端部に沿って折込む。その際、台形フラップ44の上に台形フラップ43が重なるようにして、これら台形フラップ43,44同士を熱溶着させることでヒートシール部31を形成する。同様に、台形フラップ46の上に台形フラップ45が重なるようにして、これら台形フラップ45,46同士を熱溶着させることでヒートシール部31(
図7を参照)を形成する。その結果、
図7に示すようなパッケージ1Aの成形が完了する。
【0070】
図14は、実施形態2に係るパッケージ1Aにおいて、ヒートシール部31近傍の断面構造を概略的に示す図である。
図14において、内部収容部ASに収容されているたばこ商品の図示は省略されている。また、
図14には、鎖線で囲まれた領域Cにおける拡大図も概略的に示している。パッケージ1A(外被3A)におけるヒートシール部31は、互いに重ね合わされた一組の台形フラップ45,46のうち下側に位置する台形フラップ46における外表面30A(包材2Cにおける第1面20A)に対して、上側に覆い被さる方の台形フラップ45における内表面30B(包材2Cにおける第2面20B)が重ね貼りされている。パッケージ1A(外被3A)における他方の側面39のヒートシール部31における台形フラップ43,44同士の貼り付け態様も、
図14に示す台形フラップ45,46同士の貼り付け態様と同様である。すなわち、実施形態2に係るパッケージ1Aは、外表面30A(包材2Cにおける第1面20A)及び内表面30B(包材2Cにおける第2面20B)にヒートシール層23が形成されており、ヒートシール部31は、包材2Cの縁部同士における一方の内表面30B(包材2Cにおける第2面20B)側に形成されたヒートシール層23と他方の外表面30A(包材2Cにおける第1面20A)側に形成されたヒートシール層23が重ね合わされることで接着された重ね貼り形態として形成されている。
【0071】
以上のように、本実施形態における包材3C及びこれによって形成されるパッケージ1Aによれば、上述した実施形態1及び各変形例に係る包材、パッケージと同様の効果を奏する。すなわち、別体の外装樹脂フィルムでパッケージ1Aを密封することなく、たばこ商品TAを密封することが可能で、しかも樹脂材料の使用量を少なくすることで従来よりも環境に配慮した包材2C及びパッケージ1Aを提供できる。
【0072】
なお、本実施形態における包材2Cにおいても、紙基層21及びアルミニウム含有層22が相互に入れ替わった層構造を有していても良い。
図15は、変形例3に係る包材2Dを用いてパッケージ1Aを形成したときのヒートシール部31近傍における断面構造を概略的に示す図である。変形例3においては、包材2Dの層構造以外は
図7~
図14で説明した形態と同様であり、実施形態2に係る包材2Cと同様の効果を奏する。
【0073】
なお、実施形態2及び変形例3においては、包材2C,2Dにおける両面(第1面20A、第2面20B)の全領域(全面)にヒートシール層23を形成する態様を例に説明したが、これには限られない。例えば、包材2C,2Dにおける第1面20A、第2面20Bのうち、ヒートシール部31を形成する外縁部のみにヒートシール層23をパターン形成しても良い。これにより、パッケージ1A(外被3A)の形成に使用する樹脂量をより一層少なくすることができる。
【0074】
以上、本発明に係るたばこ商品用包材およびこれによって形成されるパッケージの実施形態及び変形例を説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0075】
1・・・パッケージ
2・・・包材
3・・・外被
21・・・紙基層
22・・・アルミニウム含有層
23・・・ヒートシール層
31・・・ヒートシール部