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特許7457830被ばく線量測定シミュレーション装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】被ばく線量測定シミュレーション装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/00 20060101AFI20240321BHJP
   G21C 17/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
G01T1/00 D
G21C17/00 500
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022560308
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2021002991
(87)【国際公開番号】W WO2021215657
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0048942
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ユン,チャンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ギリム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,チョン-ウ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-357488(JP,A)
【文献】特開2000-221292(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0039042(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00
G21C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線施設の作業区域に対応する仮想作業区域を生成する仮想作業区域生成部と、
前記仮想作業区域に位置する作業者の被ばく線量を予測する被ばく線量予測部と
を含み、
前記被ばく線量予測部は、データベース部と、被ばく線量計算部とを含み、
前記データベース部は、前記放射線施設の空間線量率に対する第1データと、
前記放射線施設の線源の位置に対する第2データと、
前記放射線施設の原子炉内部構造物から放出される放射線に対する第3データと、
前記放射線施設の区域被ばく線量に対する第4データと、
前記仮想作業区域の遮蔽体に対する第5データとを含み、
前記区域被ばく線量は、前記作業区域を複数個の格子に分割した格子区域に対する被ばく線量であり、
前記被ばく線量計算部は、
前記原子炉内部構造物以外の解体の対象が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合に、前記第1データおよび第2データを利用して、前記仮想作業区域内の複数の作業者の位置における空間線量率、及び、前記線源の位置と前記複数の作業者の位置との間の距離を抽出し、距離の逆2乗法則および放射線の減衰公式に適用して、線源の線量率を計算し、前記線源の線量率、及び、線源の位置と作業者の位置との間の距離に対する情報を、距離の逆2乗法則および放射線の減衰公式に適用し、作業者の作業動線および作業時間を入力することで、第1被ばく線量を計算し、さらに、前記第5データを反映させることによって、作業者の被ばく線量を計算するのであり
前記原子炉内部構造物が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、前記第3データ及び第4データを利用して、第2被ばく線量を計算し、さらに、前記第5データを反映させることによって、作業者の被ばく線量を計算するのであり、
前記第1データの空間線量率は、原子力発電所の運営中に線源に隣接した任意の地点で測定されたか、または、解体作業時に原子力発電所に進入して線源に隣接した任意の地点で測定されたものであり、
前記仮想作業区域生成部は、3次元建物情報モデリング装置を含み、
前記3次元建物情報モデリング装置は、パイプの切断、壁への孔の打ち抜き、または機器の移動に応じて、前記仮想作業区域を修正または交替することができる、被ばく線量測定シミュレーション装置。
【請求項2】
前記第2被ばく線量は、作業者の作業動線に該当する格子区域についての被ばく線量に、作業時間を掛け、これらを全て足し合わせることで計算される、請求項1に記載の被ばく線量測定シミュレーション装置。
【請求項3】
仮想作業区域生成部を利用して、放射線施設の作業区域に対応する仮想作業区域を生成する段階と、
被ばく線量予測部を利用して、前記仮想作業区域に位置する作業者の被ばく線量を予測する段階と
を含み、
前記作業者の被ばく線量を予測する段階は、
前記原子炉内部構造物以外の解体の対象が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合に、前記被ばく線量予測部の第1被ばく線量計算部に、前記放射線施設の空間線量率に対する第1データと、前記放射線施設の線源の位置に対する第2データとを適用して、線源の線量率を計算し、前記線源の線量率、及び、線源の位置と作業者の位置との間の距離に対する情報を、距離の逆2乗法則および放射線の減衰公式に適用し、作業者の作業動線および作業時間を入力することで、第1被ばく線量を計算し、さらに、前記仮想作業区域の遮蔽体に対する第5データを反映させることによって、前記作業者の被ばく線量を計算する段階、及び、
前記放射線施設の原子炉内部構造物に隣接して作業を行う場合、前記データベース部に連結された第2被ばく線量計算部に、前記放射線施設の原子炉内部構造物から放出される放射線に対する第3データ、及び、前記放射線施設の区域被ばく線量に対する第4データ、並びに、前記作業者の作業動線および作業時間を適用して、第2被ばく線量を計算し、さらに、前記仮想作業区域の遮蔽体に対する第5データを反映させることによって、前記作業者の被ばく線量を計算する段階
を含み、
前記区域被ばく線量は、前記放射線施設を複数個の格子に分割した格子区域に対する被ばく線量であり、
前記第1データの空間線量率は、原子力発電所の運営中に線源に隣接した任意の地点で測定されたか、または、解体作業時に原子力発電所に進入して線源に隣接した任意の地点で測定されたものであり、
前記仮想作業区域生成部は、3次元建物情報モデリング装置を含み、
前記3次元建物情報モデリング装置は、パイプの切断、壁への孔の打ち抜き、または機器の移動に応じて、前記仮想作業区域を修正または交替することができる被ばく線量測定シミュレーション方法。
【請求項4】
前記第2被ばく線量は、作業者の作業動線に該当する格子区域についての被ばく線量に、作業時間を掛け、これらを全て足し合わせることで計算される、請求項3に記載の被ばく線量測定シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被ばく線量測定シミュレーション装置および方法に関し、より詳しくは、原子力発電所の被ばく線量測定シミュレーション装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、原子力発電所の解体作業は解体作業者の安全性が確保されなければならず、このためには、解体作業者の被ばく線量を予測する過程が必要である。そのため、解体作業者の被ばく線量を予測する装置および方法が開発されている。
【0003】
しかし、従来の被ばく線量予測の装置および方法は、作業区域の空間線量率に作業時間と作業人員を掛けて被ばく線量を予測しており、この場合、解体作業者の作業動線および作業計画を反映することができず、実際の被ばく線量との差が大きかった。したがって、予測された被ばく線量についての精密度および信頼性が高くない。
【0004】
また、解体作業者の被ばく線量を予測するために、解体作業者の被ばく線量を計算することができるMCNP(Monte Carlo N-Particle Transport)またはVISIPLANといった被ばく線量測定シミュレーション装置および方法を用いる場合、計算速度が非常に遅く、使用方法が複雑であり、解体時に変化する作業環境を反映すべく複雑な修正作業を行わなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、線源の線量率に対する情報なしに、作業者の被ばく線量を迅速かつ正確に予測することができる被ばく線量測定シミュレーション装置および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による被ばく線量測定シミュレーション装置は、(1)放射線施設の作業区域に対応する仮想作業区域を生成する仮想作業区域生成部;そして(2)前記仮想作業区域に位置する作業者の被ばく線量を予測する被ばく線量予測部;を含み、前記被ばく線量予測部は、(i)前記放射線施設の空間線量率に対する第1データ、及び前記放射線施設の線源の位置に対する第2データを含むデータベース部と、(ii)前記第1データおよび第2データを利用して前記仮想作業区域に位置した前記作業者の被ばく線量を計算する第1被ばく線量計算部とを含む。
【0007】
前記データベース部は、(1)前記放射線施設の原子炉内部構造物から放出される放射線に対する第3データと、(2)前記放射線施設の区域被ばく線量に対する第4データとを含み、前記被ばく線量予測部は、前記第3データおよび前記第4データに、前記作業者の作業動線および作業時間を適用して、前記作業者の被ばく線量を計算する第2被ばく線量計算部をさらに含むことができる。
【0008】
前記区域被ばく線量は、前記作業区域を複数個の、格子で分割した格子区域に対する被ばく線量であり得る。
【0009】
前記仮想作業区域生成部は、3次元建物情報モデリング装置を含み、前記3次元建物情報モデリング装置は、前記仮想作業区域を修正するかまたは交替させることができる。
【0010】
また、本発明の一実施形態による被ばく線量測定シミュレーション方法は、(1)仮想作業区域生成部を利用して、放射線施設の作業区域に対応する仮想作業区域を生成する段階;(2)被ばく線量予測部を利用して、前記仮想作業区域に位置する作業者の被ばく線量を予測する段階;を含み、前記作業者の被ばく線量を予測する段階は、前記被ばく線量予測部の第1被ばく線量計算部に、(i)前記放射線施設の空間線量率に対する第1データ、そして(ii)前記放射線施設の線源の位置に対する第2データを適用して、前記作業者の被ばく線量を計算する段階を含む。
【0011】
前記作業者の被ばく線量を予測する段階は、前記放射線施設の原子炉内部構造物に隣接して作業する場合、前記データベース部に連結された第2被ばく線量計算部に、(i)前記放射線施設の原子炉内部構造物でから放出される放射線に対する第3データ、そして(ii)前記放射線施設の区域被ばく線量に対する第4データ、(iii)前記作業者の作業動線および作業時間を適用して、前記作業者の被ばく線量を計算する段階をさらに含むことができる。
【0012】
前記区域被ばく線量は、前記放射線施設を複数個の格子に分割した格子区域に対する被ばく線量であり得る。
【0013】
前記仮想作業区域生成部は、3次元建物情報モデリング装置を含み、前記3次元建物情報モデリング装置を利用して、前記仮想作業区域を修正するかまたは交替させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、原子力発電所で線源の位置での線量率に対する情報なしでも、線源に隣接した任意の地点で測定した空間線量率に対する第1データ、線源の位置に対する第2データに、作業者の作業動線および作業時間を適用して、作業者の被ばく線量を迅速かつ正確に、そして安全に予測することができる。
【0015】
また、放射化された原子炉内部構造物(RVI)が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合には、データベース部に含まれている原子炉内部構造物(RVI)から放出される放射線に対する第3データ、区域被ばく線量に対する第4データに、作業者の作業動線および作業時間を適用することによって、作業者の被ばく線量を迅速かつ正確に予測することができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態による被ばく線量測定シミュレーション装置および方法は、作業区域に対応する仮想作業区域を生成し、仮想作業区域を表示部に表示して、作業者の被ばく線量を計算することができるため、作業区域の変化を正確かつ便利に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置の概略的な図面である。
図2】本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置の仮想作業区域生成部により生成された仮想作業区域を示した図面である。
図3】本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置の仮想作業区域生成部に形成された格子区域を示した図面である。
図4】本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション方法を順に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の多様な実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が、容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0019】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については、同一の参照符号を付した。
【0020】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。
【0021】
図1は、一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置の概略的な図面であり、図2は、本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置の仮想作業区域生成部により生成された仮想作業区域を示した図面である。
【0022】
図1に示したように、本発明の一実施形態による被ばく線量測定シミュレーション装置は、仮想作業区域生成部100、被ばく線量予測部200、そして表示部300を含む。
【0023】
図1および図2に示したように、仮想作業区域生成部100は、放射線施設、例えば原子力発電所の、内部の作業区域に対応する仮想作業区域Aを生成して、表示部300に表示することができる。
【0024】
仮想作業区域生成部100は、3次元建物情報モデリング装置(Building Information Modeling、BIM)を含むことができる。
【0025】
このような仮想作業区域生成部100は、表示部300に表示された仮想作業区域Aをより容易に修正したり交替させ(置き換え)たりすることができる。つまり、解体作業を行う場合、パイプの切断、壁への孔の打ち抜き、機器の移動など多様な解体作業によって、作業区域が多様に変化するようになり、このような作業区域の変化を反映して仮想作業区域Aを修正することによって、作業者の被ばく線量を迅速かつ正確に予測することができる。また、原子力発電所の内部の、新たな作業区域にて解体作業を行う場合には、当該作業区域に対応する仮想作業区域Aに迅速に交替させ(置き換え)ることによって、作業者の被ばく線量を迅速かつ正確に予測することができる。
【0026】
また、原子力発電所の内部の全ての作業空間を3次元で具現したため、使用者の可視性および便宜性を向上させて、人的ミスを最小化することができる。
【0027】
本実施形態では原子力発電所の解体作業を行う作業者の被ばく線量を予測する場合を説明しているが、必ずしもこれに限定されるのではなく、運営(運転)中である原子力発電所または放射線利用施設における作業者の被ばく線量を予測する場合にも適用可能である。
【0028】
被ばく線量予測部200は、仮想作業区域Aに位置する作業者の被ばく線量を予測することができる。
【0029】
被ばく線量予測部200は、データベース部210、第1被ばく線量計算部220、そして第2被ばく線量計算部230を含むことができる。
【0030】
データベース部210は、(i)線源に隣接した任意の地点で測定した空間線量率に対する第1データD1、(ii)仮想作業区域A内の線源の位置に対する第2データD2、(iii)原子力発電所の全ての作業区域での原子炉内部構造物(Reactor Vessel Internal、RVI)から放出される放射線に対する第3データD3、(iv)原子力発電所の全ての作業区域での区域被ばく線量に対する第4データD4、及び、(v)仮想作業区域Aの遮蔽体に対する第5データD5を含むことができる。
【0031】
第1データD1は、原子力発電所の運営中に線源に隣接した任意の地点で測定した空間線量率に対するデータであるか、または、解体作業時に原子力発電所に進入して線源に隣接した任意の地点で測定した空間線量率に対するデータでありうる。第1データD1は、核種別の放射性崩壊が反映されるため、1回測定したデータを持続的に使用することができる。
【0032】
第2データD2は、原子力発電所の作業区域に対応する仮想作業区域A内に位置し、放射線を放出する線源の位置に対するデータでありうる。
【0033】
第3データD3は、放射化が激しく行われる原子炉内部構造物RVIから放出される放射線に対するデータでありうる。
【0034】
第4データD4は、原子力発電所の全ての作業区域の区域被ばく線量に対するデータであり、区域被ばく線量(Q1)は、全ての作業区域を複数個の格子で分割した格子区域Rに対する細部的な被ばく線量でありうる。
【0035】
データベース部210は、原子力発電所の作業区域に対する第1データD1、第2データD2、第3データD3、第4データD4、そして第5データD5を保存しているのでありうる。このようなデータベース部210は、第1被ばく線量計算部220および第2被ばく線量計算部230と連結されて、解体の対象に応じて、第1被ばく線量計算部220および第2被ばく線量計算部230に、第1データD1、第2データD2、第3データD3、第4データD4、及び第5データD5のうちの一部を供給して、作業者の被ばく線量を計算することができる。
【0036】
第1被ばく線量計算部220は、原子炉内部構造物RVI以外の解体の対象、例えば補助建屋(Auxiliary Building、AB)、非常ディーゼル発電機(Emergency Diesel Generator Building、EDGB)などが位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、作業者の被ばく線量を計算することができる。第1被ばく線量計算部220は、線源に隣接した任意の地点で測定した空間線量率に対する第1データD1と、仮想作業区域Aの線源の位置に対する第2データD2とを利用して、作業者の被ばく線量を計算することができる。
【0037】
以下、第1データおよび第2データを利用して作業者の被ばく線量を計算する方法について、図2を参照して具体的に説明する。
【0038】
図2に示したように、仮想作業区域Aは、表示部300の仮想作業区域表示部310に表示され得る。
【0039】
まず、仮想作業区域Aを参照して、第1データD1および第2データD2から、(1)原子力発電所の任意の位置P1、P2、P3、P4の空間線量率、及び、(2)線源の位置S1、S2、S3と任意の位置P1、P2、P3、P4との間の距離に対する情報を抽出し、このような情報を、距離の逆2乗法則および放射線の減衰公式に適用して、線源の線量率を計算する。
【0040】
次に、(1)線源の線量率、及び、(2)線源の位置S1、S2、S3と作業者の位置との間の距離に対する情報を、距離の逆2乗法則および放射線の減衰公式に適用し、作業者の作業動線(W)および作業時間(h)を入力して、作業区域内に位置した作業者の線量、つまり、作業者の被ばく線量を計算する。
【0041】
したがって、線源の放射線情報なしでも、空間線量率および線源の位置に関するデータD1、D2を利用して、作業者の被ばく線量を迅速かつ正確に計算することができる。
【0042】
この際、遮蔽体に対する第5データD5を反映することによって、作業者の被ばく線量をより正確に計算することができる。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置の仮想作業区域生成部100に形成された格子区域Rを示した図面である。
【0044】
図3に示したように、第2被ばく線量計算部230は、放射化された原子炉内部構造物RVIが位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、作業者の被ばく線量を計算することができる。第2被ばく線量計算部230は、データベース部210の第3データD3および第4データD4に、作業者の作業動線Wおよび作業時間を適用して、作業者の被ばく線量を計算することができる。
【0045】
つまり、第2被ばく線量計算部230は、(1)データベース部210から供給を受けた原子炉内部構造物RVIから放出される放射線に対する第3データD3、及び、(2)区域被ばく線量に対する第4データD4を利用して、作業者の作業動線Wに該当する格子区域Rについての被ばく線量に、作業時間を掛け、これらを全て足し合わせて作業者の被ばく線量を計算することができる。作業者の被ばく線量は、次の数式1のように表現され得る。
【0046】
[数式1]
作業者の被ばく線量(μSv)=作業者の作業動線(W)に該当する空間線量率(μSv/h)×作業時間(h)
【0047】
表示部300は、(1)仮想作業区域表示部310、(2)一般的な解体時に、作業者の被ばく線量を計算する第1被ばく線量計算インターフェース部320、そして(3)原子炉内部構造物RVIの解体時に、作業者の被ばく線量を計算する第2被ばく線量計算インターフェース部330を含む。
【0048】
仮想作業区域表示部310は、仮想作業区域生成部100に連結され、仮想作業区域表示部310に、仮想作業区域Aを表示することができる。
【0049】
第1被ばく線量計算インターフェース部320は、第1被ばく線量計算部220に連結され、原子炉内部構造物RVI以外の解体対象が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、第1被ばく線量計算インターフェース部320を利用して、第1データD1、第2データD2、および作業者の作業動線Wおよび作業時間を、第1被ばく線量計算部220に入力することによって、作業者の被ばく線量を計算することができる。この際、図2に示したように、作業者の作業動線W、空間線量率を測定した任意の位置、そして線源の位置が、仮想作業区域表示部に表示されるため、容易に作業者の被ばく線量を計算することができる。
【0050】
第2被ばく線量計算インターフェース部330は、第2被ばく線量計算部230に連結され、解体の対象である原子炉内部構造物RVIが位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、第2被ばく線量計算インターフェース部330を利用して、第3データD3、第4データD4、そして作業者の作業動線Wおよび作業時間を、第2被ばく線量計算部230に入力することによって、作業者の被ばく線量を正確に計算することができる。この際、図3に示したように、作業者の作業動線Wをリアルタイムで把握することができるため、作業者の移動速度、作業の種類による作業動線Wを反映して、作業者の被ばく線量をより正確に計算することができる。
【0051】
前記本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション装置を利用した被ばく線量測定シミュレーション方法について、以下にて図4を参照して詳細に説明する。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーションの方法を順に示したフローチャートである。
【0053】
図4に示したように、本発明の一実施形態による、被ばく線量測定シミュレーション方法は、仮想作業区域生成部100を利用して、放射線施設の作業区域に対応する仮想作業区域Aを生成する(S100)。
【0054】
次に、放射線施設における原子炉内部構造物以外の解体の対象が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、被ばく線量予測部200の第1被ばく線量計算部220に、(1)放射線施設の空間線量率に対する第1データD1、(2)放射線施設の線源の位置に対する第2データD2、そして(3)作業者の作業動線Wおよび作業時間を適用して、作業者の被ばく線量を計算する(S200)。
【0055】
次に、解体の対象である原子炉内部構造物が位置する作業区域にて作業者が解体作業を行う場合、データベース部210に連結された第2被ばく線量計算部230に、(1)放射線施設の原子炉内部構造物から放出される放射線に対する第3データD3、そして(2)放射線施設の区域被ばく線量に対する第4データD4、並びに(3)作業者の作業動線Wおよび作業時間を適用して、作業者の被ばく線量を計算する(S300)。
【0056】
この際、データベース部210は、原子力発電所の作業区域に対する第1データD1、第2データD2、第3データD3、第4データD4、そして第5データD5を保存しており、第1被ばく線量計算部220および第2被ばく線量計算部230と連結されて、解体の対象に応じて、第1被ばく線量計算部220および第2被ばく線量計算部230に、第1データD1、第2データD2、第3データD3、第4データD4、及び第5データD5のうちの一部を供給して、作業者の被ばく線量を計算することができる。
【0057】
本開示を以上で記載したように好適な実施形態を通じて説明したが、本発明はこれに限定されず、以下で記載する特許請求の範囲の範囲を逸脱しない限り、多様な修正および変形が可能であることを本発明が属する技術分野に従事する者であれは簡単に理解できるだろう。
図1
図2
図3
図4