(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】無線電力受信装置および無線電力送信装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20240321BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2022564103
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 KR2021011511
(87)【国際公開番号】W WO2022045826
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0108384
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508148079
【氏名又は名称】エスケイシー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】102, Jeongja-ro, Jangan-gu Suwon-si Gyeonggi-do 16338 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ナヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、スンファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンハク
(72)【発明者】
【氏名】キム、テキョン
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/162859(WO,A1)
【文献】特開2014-197587(JP,A)
【文献】特開2020-115703(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0183967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信パッド及び送信側共振インダクタを含む無線電力送信装置から送信された電力を受信するように設けられた受信パッドと、
前記受信パッドに供給される電力を制御する受信側共振インダクタを含む受信側共振ネットワークと、を含み、
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスと前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスとは互いに異なるように決定され
、
前記受信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は2.0℃/min以下である、無線電力受信装置。
【請求項2】
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスは、前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスよりも小さく決定される請求項1に記載の無線電力受信装置。
【請求項3】
前記第1インダクタンスは前記第2インダクタンスとの割合が1よりも小さく決定される請求項2に記載の無線電力受信装置。
【請求項4】
前記受信パッドの透磁率が300
H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から10分間測定された発熱温度の変化量は3.1
℃/min以下である請求項1に記載の無線電力受信装置。
【請求項5】
前記受信パッドの透磁率が300H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は3.00以下℃/minである請求項1に記載の無線電力受信装置。
【請求項6】
受信パッド及び受信側共振インダクタを含む無線電力受信装置に電力を送信するように設けられた送信パッドと、
前記送信パッドに供給される電力を制御する送信側共振インダクタを含む送信側共振ネットワークと、を含み、
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスと前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスとは互いに異なるように決定され
、
前記送信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は2.0℃/min以下である、無線電力送信装置。
【請求項7】
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスは、前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスよりも小さく決定され、
前記第1インダクタンスは、前記第2インダクタンスとの割合が1よりも小さく決定される
請求項6に記載の無線電力送信装置。
【請求項8】
前記送信パッドの透磁率が300
H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から20分間測定された発熱温度の変化量は2.4
℃/min以下であり、
前記送信パッドの透磁率が300
H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から10分間測定された発熱温度の変化量は3.1
℃/min以下である
請求項6に記載の無線電力送信装置。
【請求項9】
前記送信パッドの透磁率が300
H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は3.00
℃/min以下であり、
前記送信パッドの透磁率が300
H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から20分間測定された発熱温度の変化量は3.8
℃/min以下であり、
前記送信パッドの透磁率が300
H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から10分間測定された発熱温度の変化量は5.50
℃/min以下である
請求項6に記載の無線電力送信装置。
【請求項10】
送信パッドおよび送信側共振インダクタを含む無線電力送信装置から送信された電力を受信するように設けられた受信パッドと、前記受信パッドに供給される電力を制御する受信側共振インダクタを含む受信側共振ネットワークを含む無線電力受信装置と、
前記無線電力受信装置を用いて受信された電力で充電されるバッテリーと、を含み、
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスと前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスとは互いに異なるように決定され
、
前記無線電力受信装置は、前記受信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は2.0℃/min以下である、移動手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力を送受信する無線電力受信装置および無線電力送信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線電力伝送とは、従来の有線であった電力線の代わりに無線で電気を利用する移動手段に電源を供給する技術であって、ユーザーの電気使用の便宜性増大、感電に対する危険減少、周辺美観造成などの長所により色々な形態の無線電力伝送が開発されている。
【0003】
特に、ユーザーの便宜性を極大化できる長距離無線電力伝送に対する関心が増加し、これに関連する研究も活発に進行されている。
【0004】
従来の無線電力送受信装置は、共振ネットワークのパラメータを設計して進めており、送信側共振インダクタと受信側共振インダクタを同一に設定して出力電力を決定している。
【0005】
最近は、無線電力送受信装置で用いられる送受信パッドから発生する磁束を均等に分布させるためにパッドの材質として磁性素材が使用されている。ところが、一部の磁性素材が低い透磁率と相対的に大きな発熱を有する特性のため、密閉された空間内部に実際に適用することは難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した問題点を解決するために、本発明は無線電力送受信装置で用いられるパッドの磁性素材特性を考慮して電流及び磁束を制御するための無線電力受信装置および無線電力送信装置を提供することをその目的とする。
【0007】
また、本発明は無線電力送受信装置で用いられるパッドで発生する発熱を低減させるための無線電力受信装置および無線電力送信装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による無線電力受信装置は、送信パッド及び送信側共振インダクタを含む無線電力送信装置から送信された電力を受信するように設けられた受信パッドと、前記受信パッドに供給される電力を制御する受信側共振インダクタを含む受信側共振ネットワークと、を含み、前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスと前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスとは互いに異なるように決定されることができる。
【0009】
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスは、前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスよりも小さく決定されることができる。
【0010】
前記第1インダクタンスは、前記第2インダクタンスとの割合が1未満であり得る。
【0011】
前記受信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は2.0℃/min以下であり得る。
【0012】
前記受信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から10分間測定された発熱温度の変化量は3.0℃/min以下であり得る。
【0013】
前記受信パッドの透磁率が300H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力送信装置から前記電力を受信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は3.00℃/min以下であり得る。
【0014】
また、本発明による無線電力送信装置は、受信パッド及び受信側共振インダクタを含む無線電力受信装置に電力を送信するように設けられた送信パッドと、前記送信パッドに供給される電力を制御する送信側共振インダクタを含む送信側共振ネットワークと、を含み、前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスと前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスとは互いに異なるように決定されることができる。
【0015】
前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスは、前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスよりも小さく決定され、前記第1インダクタンスは前記第2インダクタンスとの割合が1よりも小さく決定されることができる。
【0016】
前記送信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は2.0℃/min以下であり、前記送信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から20分間測定された発熱温度の変化量は2.4℃/min以下であり、前記送信パッドの透磁率が300H/mを超過し、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から10分間測定された発熱温度の変化量は3.0℃/min以下であり得る。
【0017】
前記送信パッドの透磁率が300H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から30分間測定された発熱温度の変化量は3.00℃/min以下であり、前記送信パッドの透磁率が300H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から20分間測定された発熱温度の変化量は3.8℃/min以下であり、前記送信パッドの透磁率が300H/m以下であり、前記第1インダクタンスと前記第2インダクタンスとの割合が1未満の場合、前記無線電力受信装置に前記電力を送信した時点から10分間測定された発熱温度の変化量は5.50℃/min以下であり得る。
【0018】
本発明による移動手段は、送信パッド及び送信側共振インダクタを含む無線電力送信装置から送信された電力を受信するように設けられた受信パッドと、前記受信パッドに供給される電力を制御する受信側共振インダクタを含む受信側共振ネットワークを含む無線電力受信装置と、前記無線電力受信装置を用いて受信された電力で充電されるバッテリーと、を含み、前記受信側共振インダクタの第1インダクタンスと前記送信側共振インダクタの第2インダクタンスとは互いに異なるように決定されることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、送信側共振インダクタと受信側共振インダクタを非対称に設計することにより、送受信パッドで発生する発熱を減少させることができる効果がある。
【0020】
なお、本発明は、送信側共振インダクタと受信側共振インダクタのインダクタンスを最適化させることにより、送受信パッドで磁束を均一に分布させることができる効果がある。
【0021】
また、本発明は、送受信パッドの素材を考慮することにより、より効果的に発熱を制御できる効果がある。
【0022】
また、本発明は、送信側共振インダクタの構成を多様に形成することにより、CR値が相違しても無線電力送信部と無線電力受信部との間の互換性を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による無線電力送受信装置を示すブロック図である。
【
図3】CR値による送信コイル電流および受信コイル電流の変化量を示すグラフである。
【
図4】CR値による送信コイルの磁束および受信コイルの磁束の変化量を示すグラフである。
【
図5】CR値の変化に応じた送受信パッドでの磁束分布の変化を示す図である。
【
図6】受信パッドの透磁率が300
H/m超過の場合、CR変化値に応じた充電効率および発熱温度の値を示す図である。
【
図7】受信パッドの透磁率が300
H/m超過の場合、CR変化値に応じた充電効率を示すグラフである。
【
図8】受信パッドの透磁率が300
H/m超過の場合、CR変化値に応じた発熱温度を示すグラフである。
【
図9】受信パッドの透磁率が300
H/m以下の場合、CR変化値に応じた充電効率及び発熱温度の値を示す図である。
【
図10】受信パッドの透磁率が300
H/m以下の場合、CR変化値に応じた充電効率を示すグラフである。
【
図11】受信パッドの透磁率が300
H/m以下の場合、CR変化値に応じた発熱温度を示すグラフである。
【
図12】送信側共振インダクタの変形例を示す図である。
【
図13】送信側共振インダクタの変形例を示す図である。
【
図14】本発明による充電効率と発熱温度の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して本発明を詳しく説明する。
【0025】
図1は、本発明による無線電力送受信装置を示すブロック図であり、
図2は、
図1の無線電力送受信装置の回路図である。
【0026】
図1および
図2を参照すると、本発明による無線電力送受信装置(1000)は、無線電力送信部(100)と、無線電力受信部(200)を含むことができる。
【0027】
無線電力送信部(100)は、電圧変換部(110)と、送信側共振ネットワーク(120)と、送信パッド(130)と、を含むことができる。
【0028】
電圧変換部(110)は、DC型の第1入力電圧(UDC)をAC型の電圧に変換させることができる。
【0029】
電圧変換部(110)は、複数の整流器(Q1、Q2、Q3、Q4)を含み、複数の整流器(Q1、Q2、Q3、Q4)の各々はインバーター(例えば、MOSFET)とコンバータ(例えば、ダイオード)を含むことができる。
【0030】
電圧変換部(110)に含まれている複数の整流器(Q1、Q2、Q3、Q4)の連結関係について調べてみると、第1入力電圧(UDC)の両極と第1整流器(Q1)の一端(例えば、MOSFETのドレン)と第3整流器(Q3)の一端(例えば、MOSFETのドレン)は、第4ノード(D)に連結され、第1整流器(Q1)の他端(例えば、MOSFETのソース)と第2整流器(Q2)の一端(例えば、MOSFETのドレン)は第1ノード(A)に連結されることができる。
【0031】
また、第4整流器(Q4)の一端(例えば、MOSFETのドレン)と第3整流器(Q3)の他端(例えば、MOSFETのソース)は、第2ノード(B)に連結され、第2整流器(Q2)の他端(例えば、MOSFETのソース)と第4整流器(Q4)の他端(例えば、MOSFETのソース)は、第3ノード(C)に連結されることができる。
【0032】
送信側共振ネットワーク(120)は、電圧変換部(110)と連結されることができる。送信側共振ネットワーク(120)は第1ノード(A)と第2ノード(B)との間の電圧差である第2入力電圧(UAB)を入力受けることができる。第2入力電圧(UAB)はAC電圧であり得る。
【0033】
送信側共振ネットワーク(120)は、送信側共振インダクタ(L1)、第1送信側共振コンデンサ(Cf1)及び第2送信側共振コンデンサ(Cp1)を含むことができる。
【0034】
送信側共振ネットワーク(120)に含まれたインピーダンスの連結関係について調べてみると、送信側共振インダクタ(L1)の一端、第1送信側共振コンデンサ(Cf1)の一端及び第2送信側共振コンデンサ(Cp1)の一端は第5ノード(E)に連結され、第2送信側共振コンデンサ(Cp1)の他端は第2ノード(B)に連結され、送信側共振インダクタ(L1)の他端は第1ノード(A)に連結されることができる。
【0035】
送信側共振ネットワーク(120)は電圧変換部(110)を構成する一対のレッグを連結する入力電圧線上に具現されることができる。すなわち、送信側共振インダクタ(L1)及び第2送信側共振コンデンサ(Cp1)の他端がそれぞれ電圧変換部(110)と連結されることができる。
【0036】
送信パッド(130)は磁性体または磁性複合体に具現されることができる。ここで、前記磁性体は透磁率が300H/mを超過し、磁性複合体は透磁率が300H/m以下であり得る。
【0037】
また、磁性体はフェライトを含み、磁性複合体はバインダー樹脂およびバインダー樹脂内に分散されたフィラーを含む高分子型磁性複合体を含むことができる。高分子型磁性複合体は、高分子型磁性ブロック(PMB)を含むことができる。ただし、磁性体および磁性複合体の種類を前記例に限定するものではない。
【0038】
高分子型磁性複合体は、バインダー樹脂によってフィラーが互いに結合されることにより、広い面積で全体的に欠陥が少なく衝撃によって損傷が少ないことがある。
【0039】
フィラーは、フェライト(Ni-Zn系、Mg-Zn系、Mn-Zn系フェライトなど)のような酸化物フィラー;パーマロイ(permalloy)、センダスト(sendust)、ナノ結晶質(nanocrystalline)磁性体のような金属系フィラー;若しくはこれらの混合粉末であり得る。より具体的には、フィラーはFe-Si-Al合金組成を有するセンダスト粒子であり得る。
【0040】
一例として、フィラーは下記化学式1の組成を有することができる。
【0041】
[化1]
Fe1-a-b-c Sia Xb Yc
【0042】
前記式において、Xは、Al、Cr、Ni、Cu、またはこれらの組み合わせであり、Yは、Mn、B、Co、Mo、またはこれらの組み合わせであり、0.01≦a≦0.2、0.01≦b≦0.1、及び0≦c≦0.05である。具体的に、前記式において、Xは、Al、Cr、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0043】
フィラーは、センダストを含むことができる。
【0044】
フィラーの平均径(D50)は、約1μmないし300μm、約10μmないし200μm、または約30μmないし150μmの範囲であり得る。フィラーの平均径が前記範囲を満たす場合、150ないし180℃の温度で位置変化量を最小化して磁性複合体の耐熱特性及び磁性特性をさらに向上させることができ、これによって充電効率を向上させることができる。
【0045】
フィラーは、高分子型磁気複合体の総重量を基準にして60重量%以上、70重量%以上、または85重量%以上の量に含むことができる。
【0046】
例えば、高分子型磁気複合体はフィラーを60重量%~90重量%、70重量%~90重量%、75重量%~90重量%、78重量%~90重量%、80重量%~90重量%、85重量%~90重量%、87重量%~90重量%、または89の重量%~90重量%の量に含むことができる。もし、フィラーの含量が60重量%未満の場合、高分子型磁気複合体の位置変化量が増加して磁性複合体の耐熱特性が低下し、高温で磁性複合体の変形や破損が発生することができ、これによって磁性の特性が減少して充電効率が減少することができる。
【0047】
バインダー樹脂の融点(Tm)は150ないし210℃であり得る。例えば、前記バインダー樹脂の融点(Tm)は160ないし200℃例えば、160ないし180℃であり得る。バインダー樹脂の融点(Tm)が前記範囲を満たす場合150ないし180℃の温度で位置変化量を最小限にして磁性複合体の耐熱特性及び磁性特性をさらに向上させることができ、これによって充電効率を向上させることができる。
【0048】
バインダー樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PSS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0049】
バインダー樹脂は硬化性樹脂であり得る。具体的に、バインダー樹脂は光硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂であり得、特に硬化されて接着性を示すことができる樹脂であり得る。より具体的に、バインダー樹脂はグリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基またはアミド基等のような熱による硬化が可能な官能基または部位を一つ以上含むか、若しくはエポキシド基(epoxide)、環状エーテル基(cyclic ether)、サルファイド基(sulfide)、アセタール基(acetal)またはラクトン基(lactone)などのような活性エネルギーによって硬化が可能な官能基または部位を一つ以上含む樹脂を使用することができる。このような官能基または部位は、例えば、イソシアネート基(-NCO)、ヒドロキシ基(-OH)、またはカルボキシル基(-COOH)であり得る。
【0050】
具体的に、バインダー樹脂はポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂やポリプロピレン樹脂からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0051】
なお、バインダー樹脂として耐熱特性に優れた樹脂を使用しても、フィラーとの混合がうまくできない場合、150~180℃の温度で位置変化量が増加することができる。従って、バインダー樹脂およびフィラーとの混合がうまくできるように選択することが重要である。
【0052】
例えば、バインダー樹脂はポリアミド樹脂を使用することができ、フィラーはセンダストを使用することができる。
【0053】
高分子型磁性複合体はバインダー樹脂を5重量%ないし40重量%、10重量%ないし40重量%、10重量%ないし20重量%、5重量%ないし20重量%、5重量%ないし15重量%、または7重量%ないし15重量%の量で含有することができる。
【0054】
一具現例によれば、150~180℃の温度で高分子型磁性複合体の位置変化量を20%以下に制御するためにバインダー樹脂10重量%ないし40重量%、およびフィラーを60重量%ないし90重量%の量で含むことができる。
【0055】
一具現例によれば、150~180℃の温度で高分子型磁性複合体の位置変化量を3%以下に制御するためにバインダー樹脂10重量%ないし20重量%、およびフィラーを80重量%ないし90重量%の量で含むことができる。
【0056】
また、高分子型磁性複合体は添加剤をさらに含むことができる。具体的には、高分子型磁性複合体はリン酸およびシランからなる群より選択された1種以上の絶縁コーティング剤をさらに含むことができる。添加剤は高分子型磁性複合体の総重量を基準にして絶縁コーティング剤は高分子型磁性複合体の総重量を基準にして0.1ないし10重量%の量で添加できる。
【0057】
添加剤を前記範囲の含量で含む場合、150~180℃の温度で位置変化量を減少させるのに有利であって充電効率を向上させることができる。
【0058】
高分子型磁性複合体は一定比率で伸長することができる。例えば、高分子型磁性複合体の伸び率は0.5%以上であり得る。伸長特性は高分子を適用しないセラミック系磁性体では得にくいものであって、大面積の磁性複合体が衝撃によって歪みなどが発生しても損傷を減らすことができる。具体的には、高分子型磁性複合体の伸び率は0.5%以上、1%以上、または2.5%以上であり得る。伸び率の上限には特別な制限がないものの、伸び率向上のために高分子樹脂の含量が多くなる場合、磁性複合体のインダクタンスなどの物性が落ちる可能性があるので、前記伸び率は10%以下にすることが良い。
【0059】
送信パッド(130)は、平板型、階段型またはサンドイッチ構造を含むことができる。送信パッド(130)は送信コイル(LP)を含むことができる。送信コイル(LP)は磁場(magnetic field)を媒介に物理的な電極間の接触なしに電気エネルギーを受信コイル(LS)に伝達することができる。
【0060】
無線電力受信部(200)は、受信パッド(210)、受信側共振ネットワーク(220)、整流部(230)及び負荷部(240)を含むことができる。
【0061】
受信パッド(210)は、磁性体または磁性複合体に具現されることができる。ここで、前記磁性体は透磁率が300H/mを超過し、磁性複合体は透磁率が300H/m以下であり得る。磁性体はフェライトを含み、磁性複合体はバインダー樹脂およびバインダー樹脂内に分散されたフィラーを含む高分子型磁性複合体を含むことができる。高分子型磁性複合体は、高分子型磁性ブロック(PMB)を含むことができる。ただし、磁性体および磁性複合体の種類を前記例に限定するものではない。高分子型磁性複合体に関する説明は、前述した送信パッド(130)に関する説明と同一であるため、省略する。
【0062】
受信パッド(210)は、受信コイル(LS)を含むことができる。
【0063】
受信側共振ネットワーク(220)は、送信側共振ネットワーク(120)と同様に構成されることができる。すなわち、受信側共振ネットワーク(220)は受信側共振インダクタ(L2)、第1受信側共振コンデンサ(Cf2)及び第2受信側共振コンデンサ(Cp2)で構成されることができる。
【0064】
送信側共振ネットワーク(120)と同様に、第1受信側共振コンデンサ(Cf2)の一端と受信側共振インダクタ(L2)の一端は第6ノード(F)に連結されることができる。受信側共振インダクタ(L2)の他端は第7ノード(G)に連結されることができる。また、第2受信側共振コンデンサ(Cp2)の一端は第6ノード(F)に連結され、第2受信側共振コンデンサ(Cp2)の他端は第7ノード(H)に連結されることができる。
【0065】
整流部(230)は、複数のダイオード(D1、D2、D3、D4)が設けられたフルブリッジ回路であって、複数のダイオード(D1、D2、D3、D4)により受信側共振ネットワーク(220)から伝達される電圧を整流して負荷部(240)に伝達することができる。
【0066】
第1ダイオード(D1)の一端と第3ダイオード(D3)の一端は第8ノード(H)に連結されることができ、第1ダイオード(D1)の他端と第2ダイオード(D2)の一端は第7ノード(G)に連結されることができる。第3ダイオード(D3)の他端と第4ダイオード(D4)の一端は第9ノード(I)に連結されることができ、第2ダイオード(D2)の他端と第4ダイオード(D4)の他端は第10ノード(J)に連結されることができる。
【0067】
負荷部(240)は、並列で連結された出力コンデンサ(Co)及び負荷抵抗(RL)で構成され、この時、負荷抵抗(RL)はバッテリーであり得る。出力コンデンサ(Co)の両端は、整流部(230)を構成するフルブリッジ回路の上側接点及び下側接点にそれぞれ連結され、整流部(230)を通じて整流された出力電圧を伝達されることができる。例えば、出力コンデンサ(Co)の両端は、第8ノード(H)と第10ノード(J)の間に連結されることができる。
【0068】
一方、送信側共振ネットワーク(120)と受信側共振ネックワーク(220)は、送信パッド(130)の送信コイル(LP)と受信パッド(210)の受信コイル(LS)との間のインピーダンスを補償することができる。
【0069】
このため、送信側共振ネットワーク(120)の送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスと受信側共振ネットワーク(220)の受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンスを設定することができる。送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスと受信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスは、送受信コイルの大きさ及び重さの制限事項に基づいて設定されることができる。
【0070】
数学式1のように、受信側共振ネットワーク(220)の出力電流(Io)は、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンス値と受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンス値の積に反比例することができる。
【0071】
【0072】
数学式2のように、送信側共振ネットワーク(120)の送信コイル電流(Ip)は送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンス値と反比例することができる。
【0073】
【0074】
数学式3のように、受信パッド(210)の受信コイル電流(Is)は送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンス値と受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンス値の平方値を乗じた値に反比例することができる。
【0075】
【0076】
本発明では、出力電力決定時に送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンス値と受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンス値を調節または変更して送信側電流である送信コイル電流(Ip)と受信側電流である受信コイル電流(Is)を可変させることができる。
【0077】
例えば、送信側共振インダクタ(L1)と受信側共振インダクタ(L2)の積が一定である場合、送信側共振インダクタ(L1)を増加させ、受信側共振インダクタ(L2)を減少させると、送信コイル電流(Ip)は減少し、受信コイル電流(Is)は増加することができる。これと逆に、送信側共振インダクタ(L1)を減少させ、受信側共振インダクタ(L2)を増加させると、送信コイル電流(Ip)は増加し、受信コイル電流(Is)は減少することができる。
【0078】
送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンス値は数学式4のように定義できる。ここで、CR(Current Rate)は送信側共振インダクタ(L1)と受信側共振インダクタ(L2)に基づいて決定される係数である。
【0079】
【0080】
受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンス値は数学式5のように定義されることができる。
【0081】
【0082】
ここで、L'は数学式6のように、第1入力電圧(UDC)、出力電力(Po)、負荷抵抗(Ro)、無線電力送信部(100)と無線電力受信部(200)の結合係数(k)、無線電力送信部(100)と無線電力受信部(200)の共振周波数(Wo)、送信コイル(LP)及び受信コイル(Ls)のインダクタンス値を用いて計算できる。
【0083】
【0084】
【0085】
本発明では、数学式4および数学式5によってCR値が決定されると、送信コイル電流(Ip)と受信コイル電流(Is)は互いに反比例するように決定できる。
【0086】
したがって、送信コイル電流(Ip)と受信コイル電流(Is)が調節されると、送信パッド(130)と受信パッド(210)で発生する電流の損失が調節されることができ、これにより、無線電力送信部(100)と無線電力受信部(200)それぞれの発熱量も調節できる。
【0087】
例えば、受信パッド(210)を低い磁性特性を有する素材として適用する場合、受信コイル電流(Is)を低くして送信コイル電流(Ip)を高めると受信パッド(210)の発熱を減少させることが可能であり、全体効率が向上できる。
【0088】
また、送信パッド(130)の磁束(φP)は数学式7によって決定され、受信パッド(210)の磁束(φs)は数学式8によって決定できる。
【0089】
【0090】
ここで、Lpk1は送信コイル(LP)の漏れインダクタンスであり、Lsk2は受信コイル(Ls)の漏れインダクタンスであり、Lmは磁化インダクタンスであり、ILMは磁化電流である。
【0091】
数学式7および数学式8に示されているように、送信パッド(130)の磁束(φP)および受信パッド(210)の磁束(φs)は送信コイル電流(Ip)と受信コイル電流(Is)によって影響を受けることが分かる。
【0092】
これにより、CR値を制御することになれば、送受信パッド(130、210)の磁束が局部的に発生しないように磁束分布を調節できるようになるので、送受信パッド(130、210)での発熱はより効果的に制御できる。
【0093】
図3は、CR値に応じた送信コイル電流(I
p)および受信コイル電流(I
s)の変化量を示すグラフであり、
図4はCR値に応じた送信コイル磁束及び受信コイル磁束の変化量を示すグラフである。
【0094】
図2および
図3を参照して、CR値に応じた、送受信コイル電流(I
p、I
s)の大きさを比較すると、CR値がおよそ1.1以下では送信コイル電流(I
p)が受信コイル電流(I
s)よりも大きな値を有することが分かる。反面、CR値がおよそ1.1を超過すれば送信コイル電流(I
p)が受信コイル電流(I
s)よりも小さい値を有することが分かる。ここで、送受信パッド(130、210)は、磁性素材を使用して出力電力は6.6kWであることを前提としているが、これに限定されるものではない。
【0095】
また、
図2および
図4を参照して、これと同一の条件下で、CR値に応じた送受信パッド(130、210)の磁束を調べてみると、CR値がおよそ0.9以下では送信コイルの磁束(φ
P)が受信コイルの磁束(φ
s)よりも大きな値を有し、CR値がおよそ0.9を超過すれば送信コイルの磁束(φ
P)が受信コイルの磁束(φ
s)よりも小さい値を有することが分かる。
【0096】
このように、CR値を約0.9以下に設定すれば、受信コイルの電流および磁束が送信コイルの電流および磁束よりも小さくなるので、受信パッド(210)での発熱を減少させることができる。
【0097】
また、CR値がおよそ0.6未満の場合、インダクタンス値を具現しにくいため、送受信コイルの電流及び磁束の測定が難しく、これにCR値は0.6ないし0.9に設定することが効果的である。
【0098】
図5は、CR値の変化に応じた送受信パッドでの磁束分布の変化を示す図である。
【0099】
図2および
図5を参照すると、CR値が1.0の場合、送信パッド(130)の磁束密度は43.5であり、受信パッドの磁束密度は77.5であることがわかることができる。反面、CR値が0.8の場合、送信パッドの磁束密度は51.2であり、受信パッドの磁束密度は63であることがわかることができる。
【0100】
CR値が0.8の場合、CR値が1の場合に比べて受信パッド(210)の磁束密度はより低く、受信パッド(210)の全領域でも均等に分布して発熱が少なく現れることが分かる。
【0101】
以下では、送信パッドおよび受信パッドの素材およびCR値による充電効率および発熱温度を測定する過程を説明する。
【0102】
測定のために充電周波数は85kHzに設定し、パワーサプライを利用して電圧と電流を供給した。また、性能診断テスト用E-Loadを無線電力受信部(200)の先端に連結した。また、出力電力は8.8kWに設定し、30分の駆動時間の間に受信パッド(210)の充電効率と発熱温度を測定した。
【0103】
受信パッド(130)の発熱温度制御が必要な場合、CR<1に設計し、受信部(200)の冷却が容易で送信パッド(230)の発熱温度制御が必要な場合、CR≧1に設計できる。
【0104】
電気を動力とする移動手段(例えば、電気自動車、電気自転車、ドローン、電動キックボード、電気バイクなど)に本発明の実施例による無線電力送受信装置(1000)を適用した場合、無線電力送信部(100)は充電ステーションに位置し、無線電力受信部(200)は移動手段に位置することができる。この時、重さの制限、技術的限界などにより、移動手段は充電ステーションに比べて放熱に制限的であり得るため、移動手段の発熱を減少させる方法が必要となる。
【0105】
したがって、移動手段の発熱を減少させるために、無線電力送信部(100)に含まれている送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスおよび/または無線電力受信部(200)に含まれている受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンスを調整することができ、これにより、受信パッド(130)の発熱温度を減少させることができ、これは移動手段の発熱減少につながりうるものの、これに限定されるものではない。すなわち、前述した説明は、移動手段の発熱減少だけでなく、充電ステーションの発熱減少にも同様に適用できる。
【0106】
送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスと受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンスの割合(CR)は1未満であり得る。また、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスと受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンスの割合は0.6以上、0.7以上、0.8以上であり得る。
【0107】
以下では、比較例1はCRが1の場合であり、実施例1はCRが0.8の場合であり、実施例2はCRが0.6の場合を例にして説明する。
【0108】
また、以下では、受信パッドを基準にCR値の変化に応じた充電効率および発熱温度の変化量を説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、以下で説明する内容は送信パッドにも同様に適用できる。
【0109】
図6は、受信パッドの透磁率が300
H/m超過の場合、CR値ごとの充電効率及び発熱温度の時間に応じた値を示す表であり、
図7は、受信パッドの透磁率が300
H/m超過の場合、CR値ごとの充電効率の時間による変化量を示すグラフであり、
図8は、受信パッドの透磁率が300
H/m超過の場合、CR値ごとの発熱温度の時間による変化量を示すグラフである。
【0110】
図2、
図6、
図7及び
図8を参照すれば、受信パッド(210)の透磁率が300H/mを超過する所定の磁性部Aを含む場合、実施例1は比較例1に比べて全区間で充電効率が高く、発熱温度が低いことが確認できる。一例として、磁性部Aはフェライトであり得るが、磁性部Aの種類はフェライトに限定されるものではない。
【0111】
例えば、
図6を参照すると、充電開始時点(0min)から10分間の温度変化量は、比較例は3.16(℃/min)であり、実施例1は2.81(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始時点(0min)から10分間の実施例1の温度変化量は、3.1(℃/min)以下、3.0(℃/min)以下、2.9(℃/min)以下、2.85(℃/min)以下であることが分かる。
【0112】
また、充電開始時点(0min)から20分間の温度変化量も比較例は2.48(℃/min)であり、実施例1は2.09(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始時点(0min)から20分間の実施例1の温度変化量は2.4(℃/min)以下、2.3(℃/min)以下、2.2(℃/min)以下、2.1(℃/min)以下であることが分かる。
【0113】
また、充電開始時点(0min)から30分間の温度変化量も比較例は2.01(℃/min)であり、実施例1はおよそ1.58(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始時点(0min)から30分間の実施例1の温度変化量は、2.0(℃/min)以下、1.9(℃/min)以下、1.8(℃/min)以下、1.7(℃/min)以下、1.6(℃/min)以下であることが分かる。
【0114】
また、充電開始後10分が過ぎた後から20分までの温度変化量も比較例は1.8(℃/min)であり、実施例1も1.37(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始後10分経過後から20分までの実施例1の温度変化量は1.7(℃/min)以下、1.6(℃/min)以下、1.5(℃/min)以下、1.4(℃/min)以下であることが分かる。
【0115】
また、充電開始後20分経過後から30分までの温度変化量も比較例は1.07(℃/min)であり、実施例1は0.57(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始後20分経過後から30分までの実施例1の温度変化量は、1.0(℃/min)以下、0.9(℃/min)以下、0.8(℃/min)以下、0.7(℃/min)以下、0.6(℃/min)以下であることが分かる。
【0116】
また、充電開始後30分間の実施例1の充電効率は91.1以上、91.3以上であり得る。
【0117】
図9は、受信パッドの透磁率が300
H/m以下の場合、CR値ごとの充電効率及び発熱温度の時間に応じた値を示す図であり、
図10は、受信パッドの透磁率が300
H/m以下の場合、CR値ごとの充電効率の時間による変化量を示すグラフであり、
図11は、受信パッドの透磁率が300
H/m以下の場合、CR値ごとの発熱温度の時間による変化量を示すグラフである。
【0118】
図2、
図9、
図10および
図11を参照すれば、受信パッドの透磁率が300H/m以下の素子である磁性部Bを使用した場合、比較例1は充電時間が経つほど充電効率が低下することが分かるものの、実施例1および実施例2は充電時間が経っても充電効率が殆ど低下しないことが分かる。一例として、磁性部Bは磁性複合体であり得るが、磁性部Bの種類は磁性複合体に限定されるものではない。
【0119】
また、受信パッドの透磁率が300H/m以下の素材である磁性部Bを使用した場合、実施例1および実施例2は比較例1に比べて発熱温度がさらに少なく上昇して発熱温度制御により効果的であることが分かる。
【0120】
さらに、比較例1による発熱温度は、充電時間の初期10分間は充電時間が経つほど急速に上昇する反面、充電時間の初期10分を超過すれば緩やかに上昇することが分かる。実施例1および実施例2による発熱温度は、充電時間の全区間で比較例1に比べて緩やかに上昇することが分かる。また、実施例2による発熱温度は実施例1による発熱温度に比べて充電時間が経つほどさらに緩やかであることが分かる。
【0121】
図9を参照すると、充電開始時点(0min)から10分間の温度変化量も比較例1は5.51(℃/min)であり、実施例1は2.94(℃/min)であり、実施例2は1.66(℃/min)であることが確認できる。 すなわち、充電開始時点から10分間で実施例1による温度変化量は5.50(℃/min)以下、5.0(℃/min)以下、4.5(℃/min)以下、4.0(℃/min)以下、3.5(℃/min)以下、3.0(℃/min)以下であることができる。また、充電開始時点から10分間で実施例2による温度変化量は5.50(℃/min)以下、5.0(℃/min)以下、4.5(℃/min)以下、4.0(℃/min)以下、3.5(℃/min)以下、3.0(℃/min)以下、2.5(℃/min)以下、2.0(℃/min)以下、1.8(℃/min)以下、1.7(℃/min)以下であり得る。
【0122】
また、充電開始時点(0min)から20分間の温度変化量も比較例1は約3.84(℃/min)であり、実施例1は約2.54(℃/min)であり、実施例2は約1.41(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電時間が0分から20分の間で実施例1による温度変化量は3.8(℃/min)以下、3.5(℃/min)以下、3.0(℃/min)以下、2.8(℃/min)以下、2.6(℃/min)以下であることができる。また、充電時間が0分から20分の間で実施例2による温度変化量は、3.8(℃/min)以下、3.5(℃/min)以下、3.0(℃/min)以下、2.8(℃/min)以下、2.6(℃/min)以下、2.0(℃/min)以下、1.8(℃/min)以下、1.5(℃/min)以下であり得る。
【0123】
また、充電開始時点(0min)から30分間の温度変化量も比較例1は約3.09(℃/min)であり、実施例1は約2.14(℃/min)であり、実施例2は約1.09(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始時点から30分の間で実施例1による温度変化量は3.0(℃/min)以下、2.5(℃/min)以下、2.3(℃/min)以下、2.2(℃/min)以下であることができる。また、充電開始時点から30分の間で実施例2による温度変化量は、3.0(℃/min)以下、2.5(℃/min)以下、2.3(℃/min)以下、2.2(℃/min)以下、2.0(℃/min)以下、1.5(℃/min)以下、1.3(℃/min)以下であり得る。
【0124】
また、充電開始時点(0min)から10分経過後から20分までの温度変化量も比較例1は2.16(℃/min)であり、実施例1は2.13(℃/min)であり、実施例2は1.15(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始後10分経過後から20分までの実施例1の温度変化量は2.15(℃/min)以下、2.14(℃/min)以下であることができる。また、充電開始後10分経過後から20分までの実施例2の温度変化量は、2.15(℃/min)以下、2.14(℃/min)以下、2.0(℃/min)以下、1.5(℃/min)以下、1.3(℃/min)以下であることができる。
【0125】
また、充電開始時点(0min)から20分経過後から30分までの温度変化量も比較例1は1.59(℃/min)であり、実施例1は1.36(℃/min)であり、実施例2は0.47(℃/min)であることが確認できる。すなわち、充電開始後20分経過後から30分までの実施例1の温度変化量は1.58(℃/min)以下、1.5(℃/min)以下、1.4(℃/min)以下であることができる。また、充電開始後20分経過後から30分までの実施例2の温度変化量は、1.58(℃/min)以下、1.5(℃/min)以下、1.4(℃/min)以下、1.0(℃/min)以下、0.6(℃/min)以下であり得る。
【0126】
また、充電開始時点(0min)から30分間充電したとき、実施例1及び実施例2による充電効率は88.2以上、88.5以上、89.0以上、89.3以上、90以上、91以上であることが分かる。
【0127】
図9ないし
図11から確認できるように、CR値が0.6の場合が0.8の場合より、すなわち、CR値が低いほど充電効率が良く、発熱温度も低いことが分かる。
【0128】
一方、
図2では、送信側共振インダクタ(L
1)を一つのインダクタで構成したが、これに限定されず、多様な構造で形成されることができる。
【0129】
図12及び
図13は、送信側共振インダクタの変形例を示す図である。
【0130】
図12を参照すれば、一実施例により、送信側共振インダクタ(L
1)は第1インダクタ(L
11)と第2インダクタ(L
12)と第1スイッチ(S1)を含むことができる。実施例により、第1インダクタ(L
11)と第1スイッチ(S
1)は直列に連結され、第1インダクタ(L
11)と第1スイッチ(S
1)は第2インダクタ(L
12)と並列連結することができる。
【0131】
第1スイッチ(S1)がオン(ON)されると、送信側共振インダクタのインダクタンスは数学式9のように計算されることができる。
【0132】
【0133】
反面、第1スイッチ(S1)がオフ(OFF)されれば、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスはL12であり得る。
【0134】
すなわち、第1スイッチ(S1)のオン/オフ可否によって、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスを調整することができる。このように、無線電力送信部(100)は受信側共振インダクタ(L2)のインダクタンスによって(すなわち、無線電力受信部(200)の種類によって)第1スイッチ(S1)をオン/オフすることにより、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスを調整することができる。
【0135】
また、
図13を参照すれば、他の実施例によって送信側共振インダクタ(L
1)は第1インダクタ(L
11)と第2インダクタ(L
12)と第1スイッチ(S
1)と第2スイッチ(S
2)とを含むことができる。
【0136】
実施例により、第1インダクタ(L11)と第1スイッチ(S1)は直列に連結され、第2インダクタ(L12)と第2スイッチ(S2)は直列に連結されることができる。また、第1インダクタ(L11)と第1スイッチ(S1)は、第2インダクタ(L12)及び第2スイッチ(S2)と並列連結されることができる。
【0137】
第1スイッチ(S1)がオンされ、第2スイッチ(S2)がオフされると、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスはL11であり得る。反面、第1スイッチ(S1)がオフされ、第2スイッチ(S2)がオンされると、送信側共振インダクタ(L1)のインダクタンスはL12であり得る。
【0138】
図12および
図13に示されているように、無線電力送信部(100)は送信側共振インダクタ(L
1)を2つのインダクタで構成することで、受信側共振インダクタとのCR値によって選択的に送信側共振インダクタ(L
1)のインダクタンスを取得して無線電力受信部(200)に電力を伝送することができる。
【0139】
図14は、実施例による充電効率と発熱温度の特性を示す図である。
【0140】
従来は送信側共振インダクタと受信側共振インダクタのCR値が異なると、充電効率と発熱温度の測定が不可能であった。
【0141】
反面、
図14に示されているように、
図12及び
図13で説明した実施例は送信側共振インダクタの構成を複数で構成することにより、送信側共振インダクタと受信側共振インダクタのCR値が異なっても充電効率と発熱温度の測定が可能であるので、無線電力送信部(100)と無線電力受信部(200)との間の互換性が向上する効果がある。
【0142】
前記では図面及び実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練者は下記の特許請求範囲に記載の実施例の技術的思想から外れない範囲内で実施例は多様に修正及び変更させることができることは理解できるであろう。