(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】受信チャネル電力インジケータ値の解析方法、機器、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 24/10 20090101AFI20240321BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240321BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2022581568
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021101315
(87)【国際公開番号】W WO2022001731
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202010607400.4
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 策
(72)【発明者】
【氏名】趙 恩 東
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0031367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器によって実行される、受信チャネル電力インジケータRCPI値の解析方法であって、
接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信するステップと、
端末によって前記測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付されている測定レポートを受信するステップと、
前記RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定するステップと、
決定した前記解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析するステップと、を含
み、
前記RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定する前記ステップは、
前記RCPI値が位置する数値区間の最小値が予め設定された閾値区間の最大値よりも大きい場合、非標準解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析すると決定するステップを含む受信チャネル電力インジケータRCPI値の解析方法。
【請求項2】
前記RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定する前記ステップは、
前記RCPI値が位置する数値区間の最大値が前記予め設定された閾値区間の最小値よりも小さい場合、標準解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析すると決定するステップを含む請求項
1に記載のRCPI値の解析方法。
【請求項3】
前記RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定する前記ステップは、
前記RCPI値が位置する数値区間が前記予め設定された閾値区間である場合、非標準解析アルゴリズムまたは標準解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析すると決定するステップを含む請求項
2に記載のRCPI値の解析方法。
【請求項4】
前記RCPI値に対応する端末に非標準解析アルゴリズム識別子をマークするステップと、
前記非標準解析アルゴリズム識別子によってマークされた端末の端末情報を保存するステップと、をさらに含む請求項
1に記載のRCPI値の解析方法。
【請求項5】
前記RCPI値に対応する端末に標準解析アルゴリズム識別子をマークするステップと、
前記標準解析アルゴリズム識別子によってマークされた端末の端末情報を保存するステップと、をさらに含む請求項
2に記載のRCPI値の解析方法。
【請求項6】
決定した前記解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析する前記ステップは、
以下の非標準解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析するステップを含み、
RSSI=RCPI─256
ここで、RSSIは受信信号強度インジケータである請求項
1に記載のRCPI値の解析方法。
【請求項7】
決定した前記解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析する前記ステップは、
以下の標準解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析するステップを含み、
RSSI=(RCPI/2)-100
ここで、RSSIは受信信号強度インジケータである請求項
2に記載のRCPI値の解析方法。
【請求項8】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む機器であって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムによって、請求項1~
7のいずれか1項に記載のRCPI値の解析方法を実行することを特徴とする機器。
【請求項9】
プロセッサによって実行されると、請求項1~
7のいずれか1項に記載のRCPI値の解析方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号202010607400.4、出願日2020年6月29日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全ての内容はここで参考として本願に組み込まれている。
【0002】
本願の実施例は、通信技術の分野に関するが、これに限定されるものではなく、特に、受信チャネル電力インジケータ値の解析方法、機器、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
人々の生活水準と住居条件の改善に伴い、家庭ではワイヤレスネットワークの需要はますます高まっており、これはWi-Fi信号のカバレッジに新しい要求を求めてきて、このような場合、ワイヤレスmeshネットワーク(すなわち、ワイヤレスメッシュネットワーク)が登場する。ワイヤレスmeshネットワークは、「マルチホップ」(multi-hop)ネットワークとも呼ばれ、ワイヤレスリンクを利用して複数のアクセスポイント(AP:Access Point)を接続するスター型動的アドホック自己構成のワイヤレスネットワークであり、従来のワイヤレスLANと比べて、ワイヤレスmeshネットワークの最大の特徴は、基幹ネットワークのAPをワイヤレスで接続することであり、「ラストワンマイル」を解決するための重要な技術の1つである。
【0004】
ワイヤレスmeshネットワークでは、多くの場合、異なるAP間のローミングが含まれており、このため、ワイヤレスLAN規格IEEE 802.11kが必要とされ、この規格が実現する機能の1つはローミング決定を改善することであり、受信信号強度に関連するパラメータである受信チャネル電力インジケータ(RCPI:Received Channel Power Indicator)の解析の問題に関連する。実際の適用では、RCPI値の記入、解析には2種類のアルゴリズムがあり、1つはIEEE 802.11k規格で定義されたものであり、もう1つは非規格で定義されたものであり、この2つの方式の違いは極めて大きく、互換性と識別が困難である。IEEE 802.11k規格により端末ステーション(STA:Station)を案内して他の特定のAPの信号を測定する場合、異なるメーカーのSTAは、出力されるRCPI値が前記の2種類の互換性のない方式に基づいているため、RCPI値の識別、解析が困難であり、よって、RCPI値解析の正解率を下げ、端末のローミング決定の精度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下、本明細書で詳細に説明されている主題の概要を示す。本概要は、特許請求の範囲の特許範囲を限定するものではない。
【0006】
本願の実施例は、RCPI値解析の正確率を高めることができる受信チャネル電力インジケータ値の解析方法、機器、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0007】
第1態様では、本願の実施例は、
接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信するステップと、
端末によって前記測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付されている測定レポートを受信するステップと、
前記RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定するステップと、
決定した前記解析アルゴリズムを用いて前記RCPI値を解析するステップと、を含むRCPI値の解析方法を提供する。
【0008】
第2態様では、本願の実施例は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む機器であって、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムによって、上記第1態様のRCPI値の解析方法を実行する機器も提供する。
【0009】
第3態様では、本願の実施例は、上記第1態様のRCPI値の解析方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供する。
【0010】
本願の他の特徴および利点は、後の明細書で説明され、明細書から部分的に明らかになるか、または本願を実施することによって理解される。本願の目的および他の利点は、明細書、特許請求の範囲、および図面において特に指摘された構造によって達成され得る。
【0011】
図面は、本願の技術案の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を説明するために使用され、本願の技術案を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願の一実施例によるRCPI値の解析方法を実行するためのネットワークトポロジの概略図である。
【
図2】本願の実施例1によるRCPI値の解析方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例2によるRCPI値の解析方法のフローチャートである。
【
図4】本願の実施例3によるRCPI値の解析方法のフローチャートである。
【
図5】本願の実施例4によるRCPI値の解析方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の目的、技術案および利点をより明確に理解するために、以下では、図面および実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0014】
なお、機能モジュール分割は装置の概略図に示され、論理的順序はフローチャートに示されているが、示されたまたは説明されたステップは、場合によっては、装置のモジュール分割またはフローチャートに示された順序とは異なるもので実行されてもよい。明細書及び特許請求の範囲、並びに上記の図面における「第1」、「第2」等の用語は、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0015】
本願の実施例は、RCPI値の解析方法、機器、およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。本願の実施例による形態は、現在の2つの解析アルゴリズムのそれぞれに存在する重複しない、不合理な区間と呼ばれているブラインド領域を十分に利用し、これかあれかどちらかだという排除法に基づいて、得られたRCPI値が位置する数値区間を利用して適切な解析アルゴリズムを決定することができ、これにより、2種類の異なる定義に基づいて出力されたRCPI値に対して互換性を持って解析を行うことができ、よって、RCPI値解析の正確率を高め、さらに各種端末のローミング決定に対するサポートの能力を高め、ローミング決定の精度を高めることができる。
【0016】
以下、図面を参照して、本願の実施例についてさらに説明する。
図1に示すように、
図1は、本願の一実施例による、RCPI値の解析方法を実行するためのネットワークトポロジの概略図である。
図1の例では、このネットワークトポロジは、コントローラAP(Controller AP)、複数のエージェントAP(Agent AP)(説明を簡略化するために、
図1にはエージェントAP1とエージェントAP2の2つのエージェントAPのみが示されている)、および端末STA、たとえば、各メーカーのIEEE 802.11k仕様をサポートする携帯電話やコンピュータ端末などを含む。このネットワークトポロジは、本願の実施例に係るRCPI値の解析方法を実行する際に、コントローラAPによって接続信号強度の測定を要求する測定要求(たとえば、測定要求フレーム、または測定要求情報をカプセル化したデータフレーム)を測定対象STAに送信し、STAは、AP信号のRCPI値を取得し、測定レポート(たとえば、測定レポートフレームまたは測定レポートをカプセル化したデータフレーム)を生成し、次いで、次の解析のために測定レポートをコントローラAPに戻す。また、このネットワークトポロジでは、APノード、たとえばAgent AP1とAgent AP2がビーコン(Beacon)フレームを定期的に送信し、そのネットワークの存在をSTAに知らせることで、そのネットワークに加入するために必要なパラメータを調整する。また、移動するノード、たとえばSTAもプローブ要求(Probe Request)フレームを送信し、位置する領域内で使用可能なAPをスキャンする。APノードは、プローブ要求フレームを受信すると、ビーコンフレームの内容とほぼ一致するプローブ応答(Probe Response)フレームを返送し、その後、APノードはこのプローブ応答フレームの情報の一部を利用してアクセスのプロセスを開始し続ける。
【0017】
本願の実施例に記載のネットワークトポロジおよび適用シナリオは、本願の実施例の技術案をより明確に説明するために記載されており、本願の実施例が提供する技術案に対する限定を構成するものではない。当業者によって明らかなように、ネットワークトポロジの進化と新たな適用シナリオの出現に伴い、本願の実施例による技術案は類似の技術的課題にも適用される。
【0018】
当業者であれば、
図1に示す様々な構成要素およびトポロジーは本願の実施例を限定するものではなく、図示よりも多くまたは少ない構成要素を含んだり、いくつかの構成要素を組み合わせたり、異なる構成要素の配置を取ったりすることができることを理解することができる。
【0019】
上記したネットワークトポロジに基づいて、本願のRCPI値の解析方法の様々な実施例が提案される。
【0020】
実施例1
図2に示すように、
図2は本願の実施例1によるRCPI値の解析方法のフローチャートであり、このRCPI値の解析方法は、ステップS101、ステップS102、ステップS103、及びステップS104を含むが、これらに限定されない。
【0021】
ステップS101:接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信する。
一実施例では、端末は、IEEE 802.11k仕様をサポートする携帯電話またはコンピュータ端末など、各メーカーのIEEE 802.11k仕様をサポートするSTAを含む。
【0022】
一実施例では、測定要求は、測定要求フレーム、または測定要求をカプセル化したデータフレームである。
【0023】
ステップS102:端末によって測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付されている測定レポートを受信する。
【0024】
一実施例では、測定レポートは、測定レポートフレーム、または測定レポートをカプセル化したデータフレームである。
【0025】
ステップS103:RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定する。
【0026】
一実施例では、解析アルゴリズムは、以下を含む。
(1)標準解析アルゴリズム
RSSI=(RCPI/2)-110
ここで、RSSIは受信信号強度インジケータである。
【0027】
(2)非標準解析アルゴリズム
RSSI=RCPI─256
ここで、RSSIは受信信号強度インジケータである。
【0028】
なお、上記した標準解析アルゴリズムおよび非標準解析アルゴリズムは、後に説明するすべての実施例にも適用される。
【0029】
通常、測定されたワイヤレス信号のRSSI値はすべて負の値で、1つの場合、すなわち、理想的な状態で実験的に測定した結果しかは0dBmであり、0dBmは、受信側が送信側から送信されたすべてのワイヤレス信号を受信した、すなわち、受信したワイヤレスカードはワイヤレスAPが送信した電力の分だけ電力を取得することを意味し、実際にはこれは達成不可能である。以上のアルゴリズムによれば、APが受信したRCPI値が220以上である場合、標準解析アルゴリズムを用いて解析されたRSSI値が0dBm以上であり、信号強度が強すぎて、実際には達成不可能であるので不合理であり、そのRCPI値を報告した端末STAが非標準解析アルゴリズムに適合していると判定することができる。APが受信したRCPI値が156以下である場合、非標準解析アルゴリズムを用いて解析されたRSSI値は-100dBm以下であり、信号強度がここまで低いと、端末STAは通常すでにドロップしているはずなので不合理であり、このRCPI値を報告した端末STAは標準解析アルゴリズムに適合していると判定することができる。APが受信したRCPI値が156より大きく220より小さい場合、この端末STAがAPの識別エリアに存在しないことを示し、今回の解析にはデフォルトの解析アルゴリズムが使用される。その後、端末STAが位置変化を起こしてAPの識別エリアに入ると、適切な解析アルゴリズムが、端末STAが新たに報告したRCPI値に基づき決定される。
【0030】
ステップS104:決定した解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析する。
本願の実施例による形態は、現在の2つの解析アルゴリズムのそれぞれに存在する重複しない、不合理な区間と呼ばれているブラインド領域を十分に利用し、これかあれかどちらかだという排除法に基づいて、得られたRCPI値が位置する数値区間を利用して適切な解析アルゴリズムを決定することができ、これにより、2種類の異なる定義に基づいて出力されたRCPI値に対して互換性を持って解析を行うことができ、よって、RCPI値解析の正確率を高め、さらに各種端末のローミング決定に対するサポートの能力を高め、ローミング決定の精度を高めることができる。
【0031】
実施例2
図3に示すように、
図3は、本願の実施例2によるRCPI値の解析方法のフローチャートであり、このRCPI値の解析方法は、ステップS201、ステップS202、ステップS203、及びステップS204を含むが、これらに限定されない。
【0032】
ステップS201:接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信する。
一実施例では、端末は、IEEE 802.11k仕様をサポートする携帯電話またはコンピュータ端末など、各メーカーのIEEE 802.11k仕様をサポートするSTAを含む。
【0033】
一実施例では、測定要求は、測定要求フレーム、または測定要求をカプセル化したデータフレームである。
【0034】
ステップS202:端末によって測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付さている測定レポートを受信する。
【0035】
一実施例では、測定レポートは、測定レポートフレーム、または測定レポートをカプセル化したデータフレームである。
【0036】
ステップS203:RCPI値が位置する数値区間の最小値が、予め設定された閾値区間の最大値よりも大きい場合、非標準解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析すると決定する。
【0037】
一実施例では、予め設定された閾値区間は(156,220)である。通常、測定されたワイヤレス信号のRSSI値はすべて負の値で、1つの場合、すなわち、理想的な状態で実験的に測定した結果しかは0dBmであり、0dBmは、受信側が送信側から送信されたすべてのワイヤレス信号を受信した、すなわち、受信したワイヤレスカードはワイヤレスAPが送信した電力の分だけ電力を取得することを意味し、実際にはこれは達成不可能である。APが受信したRCPI値が220以上である場合、標準解析アルゴリズムを用いて解析されたRSSI値が0dBm以上であり、信号強度が強すぎて、実際には達成不可能であるので不合理であり、そのRCPI値を報告した端末STAが非標準解析アルゴリズムに適合していると判定することができる。
【0038】
上記閾値区間は、本願の一例にすぎず、本願の特許範囲を限定するものではない。なお、当業者は、実際のネットワーク状況に応じて、上記した予め設定された閾値区間を適切に狭めてもよい。
【0039】
ステップS204:非標準解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析する。
本願の実施例による形態は、現在の2つの解析アルゴリズムのそれぞれに存在する重複しない、不合理な区間と呼ばれているブラインド領域を十分に利用し、これかあれかどちらかだという排除法に基づいて、得られたRCPI値が位置する数値区間を利用して適切な解析アルゴリズムを決定することができ、これにより、2種類の異なる定義に基づいて出力されたRCPI値に対して互換性を持って解析を行うことができ、よって、RCPI値解析の正確率を高め、さらに各種端末のローミング決定に対するサポートの能力を高め、ローミング決定の精度を高めることができる。
【0040】
さらに、
図3を再び参照すると、本実施例の前記RCPI値の解析方法は、ステップS205をさらに含んでもよい。
【0041】
ステップS205:RCPI値に対応する端末に非標準解析アルゴリズム識別子をマークし、非標準解析アルゴリズム識別子によってマークされた端末の端末情報を保存する。
【0042】
一実施例では、端末情報は、端末のmacアドレスを含む。
本願の実施例では、端末をマークすることにより、後続のRCPI値の解析プロセスにおいて、保存された端末情報に対応する識別子に基づいて、非標準解析アルゴリズムを直接用いて端末によって報告されたRCPI値を解析することができ、これによって、RCPI値の解析効率を向上させる。
【0043】
実施例3
図4に示すように、
図4は、本願の実施例3によるRCPI値の解析方法のフローチャートであり、このRCPI値の解析方法は、ステップS301、ステップS302、ステップS303、およびステップS304を含むが、これらに限定されない。
【0044】
ステップS301:接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信する。
一実施例では、端末は、IEEE 802.11k仕様をサポートする携帯電話またはコンピュータ端末など、各メーカーのIEEE 802.11k仕様をサポートするSTAを含む。
【0045】
一実施例では、測定要求は、測定要求フレーム、または測定要求をカプセル化したデータフレームである。
【0046】
ステップS302:端末によって測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付されている測定レポートを受信する。
【0047】
一実施例では、測定レポートは、測定レポートフレーム、または測定レポートをカプセル化したデータフレームである。
【0048】
ステップS303:RCPI値が位置する数値区間の最大値が、予め設定された閾値区間の最小値よりも小さい場合、標準解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析すると決定する。
【0049】
一実施例では、予め設定された閾値区間は(156,220)である。通常、測定されたワイヤレス信号のRSSI値はすべて負の値であり、RSSI値が小さいほど信号強度が弱いことを示している。すなわち、受信したワイヤレスカードはワイヤレスAPが送信した電力の分だけ電力を取得することを意味し、実際にはこれは達成不可能である。APが受信したRCPI値が156以下である場合、非標準解析アルゴリズムを用いて解析されたRSSI値は-100dBm以下であり、信号強度がここまで低いと、端末STAは通常すでにドロップしているはずなので不合理であり、このRCPI値を報告した端末STAは標準解析アルゴリズムに適合していると判定することができる。
【0050】
上記閾値区間は、本願の一例にすぎず、本願の特許範囲を限定するものではない。なお、当業者は、実際のネットワーク状況に応じて、上記した予め設定された閾値区間を適切に狭めてもよい。
【0051】
ステップS304:標準解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析する。
本願の実施例による形態は、現在の2つの解析アルゴリズムのそれぞれに存在する重複しない、不合理な区間と呼ばれているブラインド領域を十分に利用し、これかあれかどちらかだという排除法に基づいて、得られたRCPI値が位置する数値区間を利用して適切な解析アルゴリズムを決定することができ、これにより、2種類の異なる定義に基づいて出力されたRCPI値に対して互換性を持って解析を行うことができ、よって、RCPI値解析の正確率を高め、さらに各種端末のローミング決定に対するサポートの能力を高め、ローミング決定の精度を高めることができる。
【0052】
さらに、
図4を再び参照すると、本実施例の前記RCPI値の解析方法は、ステップS305をさらに含んでもよい。
【0053】
ステップS305:RCPI値に対応する端末に標準解析アルゴリズム識別子をマークし、標準解析アルゴリズム識別子によってマークされた端末の端末情報を保存する。
【0054】
一実施例では、端末情報は、端末のmacアドレスを含む。
本願の実施例では、端末をマークすることにより、後続のRCPI値の解析プロセスにおいて、保存された端末情報に対応する識別子に基づいて、標準解析アルゴリズムを直接用いて端末によって報告されたRCPI値を解析することができ、これによって、RCPI値の解析効率を向上させる。
【0055】
実施例4
図5に示すように、
図5は、本願の実施例4によるRCPI値の解析方法のフローチャートであり、このRCPI値の解析方法は、ステップS401、ステップS402、ステップS403、及びステップS404を含むが、これらに限定されない。
【0056】
ステップS401:接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信する。
一実施例では、端末は、IEEE 802.11k仕様をサポートする携帯電話またはコンピュータ端末など、各メーカーのIEEE 802.11k仕様をサポートするSTAを含む。
【0057】
一実施例では、測定要求は、測定要求フレーム、または測定要求をカプセル化したデータフレームである。
【0058】
ステップS402:端末によって測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付さている測定レポートを受信する。
【0059】
一実施例では、測定レポートは、測定レポートフレーム、または測定レポートをカプセル化したデータフレームである。
【0060】
ステップS403:RCPI値が位置する数値区間が予め設定された閾値区間である場合、非標準解析アルゴリズムまたは標準解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析すると決定する。
【0061】
一実施例では、予め設定された閾値区間は(156,220)である。APが受信したRCPI値が156より大きく220よりも小さい場合、この端末STAがAPの識別エリアに存在しないことを示し、今回の解析にはデフォルトの解析アルゴリズムが使用され、両方のアルゴリズムがデフォルトの解析アルゴリズムとして使用され得る。その後、端末STAが位置変化を起こしてAPの識別エリアに入ると、適切な解析アルゴリズムが、端末STAが新たに報告したRCPI値に基づいて決定される。
【0062】
上記閾値区間は、本願の一例にすぎず、本願の特許範囲を限定するものではない。なお、当業者は、実際のネットワーク状況に応じて、上記した予め設定された閾値区間を適切に狭めてもよい。
【0063】
ステップS404:非標準解析アルゴリズムまたは標準解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析する。
【0064】
一実施例では、非標準解析アルゴリズムが一般的に使用され、これによって、一方では、非標準解析アルゴリズムを使用するメーカーの方が一般的であり、他方では、標準解析アルゴリズムを用いた端末は認識及びマークがより容易であり、マークエラーが発生した場合により容易に訂正される。
【0065】
本願の実施例による形態は、現在の2つの解析アルゴリズムのそれぞれに存在する重複しない、不合理な区間と呼ばれているブラインド領域を十分に利用し、これかあれかどちらかだという排除法に基づいて、得られたRCPI値が位置する数値区間を利用して適切な解析アルゴリズムを決定することができ、これにより、2種類の異なる定義に基づいて出力されたRCPI値に対して互換性を持って解析を行うことができ、よって、RCPI値解析の正確率を高め、さらに各種端末のローミング決定に対するサポートの能力を高め、ローミング決定の精度を高めることができる。
【0066】
また、本願の一実施例は、AP機器とすることができる機器を提供し、この機器は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む。
【0067】
プロセッサおよびメモリは、バスまたは他の手段を介して接続することができる。
メモリは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、非一時的なソフトウェアプログラムと、非一時的なコンピュータ実行可能なプログラムとを記憶するために使用することができる。さらに、メモリは、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、また、少なくとも1つの磁気ディスクメモリ、フラッシュメモリデバイス、または他の非一時的なソリッドステートメモリデバイスのような非一時的なメモリを含むこともできる。いくつかの実施形態では、メモリは、任意に、プロセッサに対してリモートに配置されたメモリを含んでもよく、このようなリモートに配置されたメモリはネットワークを介してこのプロセッサに接続されることができる。上記のネットワークの例には、インターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
なお、本実施例における機器は、
図1に示す実施例のネットワークトポロジに適用することができ、
図1に示す実施例のコントローラAPとして、本実施例の機器と
図1に示す実施例のコントローラAPとは同一の発明の概念であるため、これらの実施例は同一の実現原理及び技術的効果を有するので、ここでは詳述しない。
【0069】
プロセッサは、コンピュータプログラムによって、上記した実施例のRCPI値の解析方法を実行し、たとえば、上記した
図2の方法のステップS101~S104、
図3の方法のステップS201~S205、
図4の方法のステップS301~S305、及び
図5の方法のステップS401~S404を実行する。
【0070】
上記した装置の実施例は単に概略的なものであり、分離された構成要素として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもよいし、そうでなくてもよい。すなわち、1つの場所に配置されていてもよいし、複数のネットワークユニットに分散されていてもよい。これらのモジュールの一部または全部は、実際の必要に応じて、本実施例の目的を達成するために選択されてもよい。
【0071】
さらに、本願の一実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供し、このコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を記憶しており、このコンピュータ実行可能命令は、プロセッサまたはコントローラによって実行され、たとえば、上記アクセスポイントAP機器の1つのプロセッサによって実行されると、上記プロセッサに、上記実施例におけるRCPI値の解析方法を実行させることができ、たとえば、上記した
図2の方法のステップS101~S104、
図3の方法のステップS201~S205、
図4の方法のステップS301~S305、及び
図5の方法のステップS401~S404を実行させることができる。
【0072】
本願の実施例は、接続信号強度の測定を要求する測定要求を端末に送信するステップと、端末によって測定要求に基づいて送信された、RCPI値が付されている測定レポートを受信するステップと、RCPI値が位置する数値区間に基づき対応する解析アルゴリズムを決定するステップと、決定した解析アルゴリズムを用いてRCPI値を解析するステップと、を含む。本願の実施例による形態は、現在の2つの解析アルゴリズムのそれぞれに存在する重複しない、不合理な区間と呼ばれているブラインド領域を十分に利用し、これかあれかどちらかだという排除法に基づいて、得られたRCPI値が位置する数値区間を利用して適切な解析アルゴリズムを決定することができ、これにより、RCPI値解析の正確率を高めることができる。
【0073】
当業者にとって明らかなように、上記で開示された方法におけるステップの全部または一部、システムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、およびそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよい。物理的構成要素の一部または全部は、中央プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、またはハードウェアとして、または特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(または非一時的媒体)および通信媒体(または一時的媒体)を含むことができるコンピュータ読み取り可能な媒体に配置されてもよい。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えばコンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ)を記憶するための任意の方法または技術において実施される、揮発性および不揮発性の、取り外し可能な、および取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置や他の磁気記憶装置や、所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体が含まれるが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報伝送媒体を含み得ることが当業者には周知である。
【0074】
以上は本願の好ましい実施例について具体的に説明したが、本願は上記の実施形態に限定されるものではなく、当業者は本願の趣旨に反することなく様々な均等な変形又は置換を行うことができ、これら均等な変形又は置換はいずれも本願の請求項によって限定される範囲内に含まれるものとする。