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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/27 20180101AFI20240321BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240321BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20240321BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20240321BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240321BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240321BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240321BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240321BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240321BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240321BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240321BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240321BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240321BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S43/14
F21S43/19
F21S45/47
F21S43/237
F21S43/245
F21V19/00
F21W103:10
F21W103:55
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:35
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023016750
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2018175159の分割
【原出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2023052961
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 貴丈
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大介
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-250290(JP,A)
【文献】特開2009-289750(JP,A)
【文献】特表2005-513744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21S 45/47
F21V 19/00
F21W 103/10
F21W 103/55
F21W 103/00
F21W 103/20
F21W 103/35
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口と、灯室外へ通じる発光素子受入口を有し、前記発光素子受入口が前記前面開口とは別の開口部である灯具ボディと、
前記前面開口を覆うように前記灯具ボディと組み合わされて前記灯具ボディとの間に前記灯室を形成する透光カバーと、
前記透光カバーによって支持され、前記灯室内に配置された光学部材であって、前記発光素子受入口の近傍に配置された入光部を有する光学部材と、
前記発光素子受入口を塞ぐように前記灯具ボディに装着された発光素子搭載部であって、前記入光部と対向して配置された発光素子と、前記発光素子と電気接続された基板と、前記基板を支持する支持部材とを備える発光素子搭載部と、
前記透光カバーとは別体の位置決め部材であって、前記発光素子搭載部が前記灯具ボディに装着された状態で前記入光部と前記発光素子とを互いに位置決めするように、前記発光素子受入口に配置された位置決め部材と、を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記支持部材は、前記基板を支持する基板支持面と、前記発光素子受入口の径方向に前記基板支持面と隣接する部分と、前記基板支持面および前記部分に設けられた放熱部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記放熱部は、前記基板とは反対側で前記基板支持面および前記部分に立設された複数の放熱フィンを備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記発光素子受入口の径方向に細長い形状を有しており、
前記発光素子受入口の径方向における前記放熱部の長さが、前記発光素子受入口の径よりも長いことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記位置決め部材と係合する位置決め爪部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記位置決め爪部は、前記基板と同じ側で、前記支持部材の基板支持面の外周部に立設されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記発光素子搭載部は、前記発光素子受入口に対する前記発光素子の発光面に垂直な方向まわりに第1角度回転することにより前記位置決め部材と係合し、前記垂直な方向まわりにさらに第2角度回転することにより前記位置決め部材によって前記入光部と前記発光素子とが互いに位置決めされるように前記灯具ボディに装着されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記発光素子受入口は、前記灯具ボディの背面に形成されている特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に自動車などの車両に用いられる車両用灯具に関する。また、本発明は、そうした車両用灯具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、放熱部が一体形成されたLEDユニットを有する車両用灯具が知られている。LEDユニットに支持されたLEDチップの放熱に関しては、LEDユニットの全体が灯室内に収容される内部放熱方式と、灯室内にLEDチップを配置する一方、灯室外に放熱部が配置されるようにして車両用灯具のボディにLEDユニットが装着される外部放熱方式(例えば、特許文献1参照)の二種類がある。LEDからの発熱を灯具外に効率的に排出するには、外部放熱方式が内部放熱方式に比べて有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-84692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDなどの発光素子とそこから光を受け入れる光学部材(例えば導光体)とは所定の位置決め精度で互いに位置決めされるべきである。外部放熱方式の車両用灯具では、発光素子および放熱部を有する発光素子ユニットが灯具ボディに装着される。ここで、灯具ボディと組み合わされて灯室を形成する透光カバーによって光学部材が支持される設計が望まれたとすると、発光素子と光学部材が灯具ボディと透光カバーとに分かれて配置されることになる。このような発光素子と光学部材の分離型の配置では、発光素子と光学部材が予め正確に位置決めされるようにユニット化された設計と比較して、発光素子と光学部材の位置決め精度を確保しにくくなる。なお、分離型の配置は外部放熱方式には限定されない。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光素子と光学部材の正確な位置決めを可能にする車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、灯室外へ通じる発光素子受入口を有する灯具ボディと、灯具ボディと組み合わされて灯具ボディとの間に灯室を形成する透光カバーと、透光カバーに取り付けられ、灯室内に配置された光学部材であって、発光素子受入口の近傍に配置された入光部を有する光学部材と、発光素子受入口を塞ぐように灯具ボディに装着された発光素子搭載部であって、入光部と対向して配置された発光素子を備える発光素子搭載部と、発光素子搭載部が灯具ボディに装着された状態で入光部と発光素子とを互いに位置決めするように、発光素子受入口に配置された位置決め部材と、を備える。
【0007】
この態様によると、発光素子と光学部材の正確な位置決めを可能にする車両用灯具を提供することができる。
【0008】
位置決め部材は、発光素子の発光面に平行な面内方向に関して入光部と発光素子とを互いに位置決めしてもよい。
【0009】
車両用灯具は、入光部を保持する保持部をさらに備えてもよい。位置決め部材は、発光素子搭載部との係合により発光素子と位置決め部材とを互いに面内方向に位置決めするとともに、保持部との係合により入光部と位置決め部材とを互いに位置決めしてもよい。
【0010】
位置決め部材は、発光素子の発光面に垂直な方向に関して入光部と発光素子とを互いに位置決めしてもよい。
【0011】
車両用灯具は、入光部を保持する保持部をさらに備えてもよい。発光素子搭載部は、発光素子受入口に対する垂直な方向まわりの回転により灯具ボディに装着され、位置決め部材は、発光素子搭載部とともに垂直な方向まわりに回転するように発光素子受入口に配置されるとともに、位置決め部材の回転変位を垂直な方向における入光部の位置変位に変換するように保持部と当接してもよい。
【0012】
保持部は、透光カバーに対して撓み変形可能であってもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、車両用灯具の製造方法である。この方法は、灯室外へ通じる発光素子受入口を有する灯具ボディと、入光部を有する光学部材を支持する透光カバーと、発光素子を備える発光素子搭載部と、位置決め部材とを用意する工程と、灯具ボディと透光カバーとの間に灯室を形成するとともに、光学部材が灯室内に配置されかつ入光部が発光素子受入口の近傍に配置されるように、灯具ボディに透光カバーを取り付ける工程と、発光素子受入口に位置決め部材を配置する工程と、発光素子受入口を塞ぐとともに、発光素子が入光部と対向して配置されるように、発光素子搭載部を灯具ボディに装着する工程と、を備える。装着する工程は、位置決め部材によって入光部と発光素子とが互いに位置決めされるように行われる。
【0014】
この態様によると、発光素子と光学部材の正確な位置決めを可能にする車両用灯具を提供することができる。
【0015】
装着する工程は、発光素子搭載部が位置決め部材と係合するように、発光素子搭載部を発光素子受入口および位置決め部材に対して回転させる工程と、位置決め部材によって入光部と発光素子とが互いに位置決めされるように、発光素子搭載部を位置決め部材とともに発光素子受入口に対してさらに回転させる工程と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発光素子と光学部材の正確な位置決めを可能にする車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る車両用灯具の概略正面図である。
図2図2(A)および図2(B)は、実施の形態に係る第2灯具ユニットの一部を示す概略斜視図である。
図3図3(A)および図3(B)は、実施の形態に係る灯具ボディの一部を示す概略斜視図である。
図4図4(A)および図4(B)は、実施の形態に係る発光素子搭載部を示す概略斜視図である。
図5図5(A)から図5(D)は、実施の形態に係る位置決め部材を示す概略斜視図である。
図6】実施の形態に係る車両用灯具の一部を示す概略側面図である。
図7】実施の形態に係る車両用灯具の製造方法における各工程を示す概略背面図である。
図8】実施の形態に係る車両用灯具の製造方法における各工程を示す概略背面図である。
図9】実施の形態に係る車両用灯具の製造方法における各工程を示す概略背面図である。
図10】実施の形態に係る車両用灯具の製造方法における各工程を示す概略背面図である。
図11】実施の形態に係る車両用灯具の製造方法における各工程を示す概略背面図である。
図12図12(A)から図12(C)は、図7に示される工程をより詳細に示す概略断面図である。
図13図13(A)から図13(D)は、図8に示される工程をより詳細に示す概略断面図である。
図14図9に示される工程をより詳細に示す概略断面図である。
図15図15(A)および図15(B)は、図10に示される工程をより詳細に示す概略断面図である。
図16図16(A)から図16(C)は、図11に示される工程をより詳細に示す概略断面図である。
図17図17(A)から図17(C)は、図11に示される工程をより詳細に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0019】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具10の概略正面図である。車両用灯具10は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置である。一対の前照灯ユニットは概ね左右対称の構造を有し、実質的に同一の構成であるため、図1には車体前方から見て左側に位置する車両用灯具を示す。よって、図1において左側が車幅方向外側にあたり、右側が車幅方向内側にあたる。
【0020】
車両用灯具10は、前面開口13を有する灯具ボディ12と、前面開口13を覆うように灯具ボディ12に取り付けられた透光カバー14と、を備える。灯具ボディ12は、車体に取付可能に構成され、透光カバー14は、灯具ボディ12を介して車体に取り付けられる。灯具ボディ12と透光カバー14とによって灯具筐体が構成され、灯具筐体の内部空間が灯室16として形成されている。灯具ボディ12は、灯室16外へ通じる発光素子受入口15を有する。発光素子受入口15は、前面開口13とは別の開口部として灯具ボディ12の背面に形成されている。灯具ボディ12は、例えば、樹脂材料で形成されている。前面開口13は、車両前方側に開口している。透光カバー14は、透光性を有する樹脂やガラス等で形成されている。
【0021】
車両用灯具10は、第1灯具ユニット18および第2灯具ユニット20を備え、これらは灯室16内に配置されている。例えば、第1灯具ユニット18は、前照灯として機能し、第2灯具ユニット20は、クリアランスランプ及び/またはデイライトランニングランプとして機能する。
【0022】
第1灯具ユニット18は、灯具ボディ12に取り付けられ、第2灯具ユニット20は、透光カバー14に取り付けられている。第2灯具ユニット20は、第1灯具ユニット18より上側に配置され、灯室16の上部に収容されている。第2灯具ユニット20は、透光カバー14によって支持され、灯室16内に配置された導光体22を備える。導光体22は、発光素子受入口15の近傍に配置された導光体入光部22aを有する。導光体入光部22aは、導光体22の先端部である。
【0023】
詳細は後述するが、車両用灯具10は、発光素子受入口15を塞ぐように灯具ボディ12に装着された発光素子搭載部24を備える。発光素子搭載部24は、車両用灯具10(具体的には第2灯具ユニット20)に外部放熱を提供するように構成されている。発光素子搭載部24は、導光体入光部22aと対向して配置された1つ又は複数の発光素子26を備える。発光素子搭載部24は、第2灯具ユニット20の光源としての発光素子26を支持するとともに、発光素子受入口15に取り外し可能に装着されるように構成されており、例えばLEDソケットまたはLEDモジュールと称することもできる。
【0024】
また、車両用灯具10は、発光素子搭載部24が灯具ボディ12に装着された状態で導光体入光部22aと発光素子26とを互いに位置決めするように、発光素子受入口15に配置された位置決め部材28を備える。位置決め部材28は、発光素子26の発光面に平行な面内方向に関して導光体入光部22aと発光素子26とを互いに位置決めする。発光素子26の発光面に平行な面内方向(以下では単に、面内方向ともいう)は例えば、発光素子受入口15における径方向、または周方向、またはその両方であってもよい。位置決め部材28は、発光素子26の発光面に垂直な方向(以下、光軸方向ともいう)に関して導光体入光部22aと発光素子26とを互いに位置決めする。位置決め部材28についても、更なる詳細は後述する。
【0025】
図2(A)および図2(B)は、実施の形態に係る第2灯具ユニット20の一部を示す概略斜視図である。図2(A)には導光体入光部22aおよびその近傍が示され、図2(B)には図2(A)とは別の角度から見た導光体入光部22aおよびその近傍が示されている。
【0026】
第2灯具ユニット20は、導光体入光部22aを保持する保持部30を備える。保持部30は、後述するように、位置決め部材28と係合するように構成されている。導光体入光部22aは保持部30を介して第2灯具ユニット20の本体に支持されている。保持部30は、透光カバー14(図2には明示せず)に対して撓み変形可能となっている。保持部30は、第2灯具ユニット20の構成要素を支持するためのブラケットまたは支持部材の一部であってもよい。
【0027】
保持部30は、導光体入光部22aを保持する第1部分30aと、位置決め部材28と係合する第2部分30bと、撓み変形可能な第3部分30cとを有する。これら3つの部分は、一体形成されている。
【0028】
第1部分30aによって保持部30と導光体入光部22aとの相対位置が固定される。例えば、第1部分30aは、導光体入光部22aの周囲に設けられた略円板状の板状部であり、導光体入光部22aが挿通される穴を有する。この穴に導光体入光部22aが嵌め込まれ、導光体入光部22aは保持部30に確実に保持される。すなわち、位置決め部材28との係合により保持部30が移動するとき、保持部30とともに導光体入光部22aが変位して位置決めされる。
【0029】
第2部分30bは、周方向に導光体入光部22aを少なくとも部分的に取り囲むように形成されている。例えば、第2部分30bは、第1部分30aの外周縁に沿って第1部分30aから光軸方向に外向き(灯室16の外に向かう方向)に延出している。
【0030】
第2部分30bの外周面には、保持部30が発光素子搭載部24および位置決め部材28と係合するための特徴的な形状が設けられている。すなわち、第2部分30bは、面内方向位置決め面32と、光軸方向位置決め凸部34とを有する。面内方向位置決め面32は、第2部分30bの外周面の一部である。光軸方向位置決め凸部34は、第2部分30bの外周面から径方向外向きに突き出しており、光軸方向外向きの上面34aと、光軸方向内向きの下面34bを有する。面内方向位置決め面32と光軸方向位置決め凸部34は、面内方向位置決め面32が光軸方向位置決め凸部34の下面34bと光軸方向に隣接するようにして、光軸方向に並んで配置されている。面内方向位置決め面32と光軸方向位置決め凸部34は、周方向に間隔をあけて複数箇所に形成されている。例えば、面内方向位置決め面32と光軸方向位置決め凸部34は、周方向に概ね等間隔に3箇所に形成されている。
【0031】
第3部分30cは、透光カバー14に対して保持部30を変位可能とするように保持部30を第2灯具ユニット20の本体に接続する。例えば、第3部分30cは、第1部分30aから導光体22に沿って第2部分30bとは反対側に向けて延びている。第3部分30cが撓むことにより、保持部30および導光体入光部22aは、ある程度(例えば、面内方向に±3mmの範囲、および光軸方向に±5mmの範囲で)動くことができる。位置決め部材28の回転によって、保持部30とともに導光体入光部22aが変位し、それにより、導光体入光部22aが発光素子26に対し正確に位置決めされる。
【0032】
保持部30は、樹脂材料で形成されている。樹脂材料は、適宜の汎用樹脂であってよく、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリレート)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)等が例示される。保持部30は、例えば射出成形またはその他の適切な成形方法により製造される。
【0033】
なお、導光体22として、例えば2本の棒状の導光体(ライトガイド)が設けられているが、第2灯具ユニット20は、1本または3本以上の棒状の導光体を有してもよいし、あるいはその他の形状の導光体を有してもよい。
【0034】
図3(A)および図3(B)は、実施の形態に係る灯具ボディ12の一部を示す概略斜視図である。図3(A)には灯室16の外から見た発光素子受入口15が示され、図3(B)には灯室16の中から見た発光素子受入口15が示されている。
【0035】
発光素子受入口15は、灯具ボディ12に形成された円形の開口である。図3(A)に示されるように、発光素子受入口15の内周面には、位置決め部材28との係合のための形状として、庇状部分36、面内方向位置決め部38、および規制リブ40が形成されている。
【0036】
庇状部分36は、発光素子受入口15の内周面から径方向内側へと折れ曲がった形状を有し、発光素子受入口15の灯室16側の縁(すなわち、外から見て発光素子受入口15の最も深い位置)に形成されている。面内方向位置決め部38と規制リブ40は、庇状部分36に対して光軸方向に外側で庇状部分36と隣接している。発光素子受入口15の内周面からの面内方向位置決め部38と規制リブ40の径方向高さは、庇状部分36の径方向高さより小さい。面内方向位置決め部38と規制リブ40は、発光素子受入口15の内周面上で周方向に近接して配置されている。規制リブ40が点状の突起であるのに対して、面内方向位置決め部38は、規制リブ40に比べて周方向に長く線状に延びている。庇状部分36、面内方向位置決め部38、および規制リブ40は、周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、周方向に概ね等間隔に3箇所)に形成されている。
【0037】
図3(B)に示されるように、発光素子受入口15は、発光素子搭載部24が灯具ボディ12に装着されるとき位置決め部材28をロックするための第1案内面42および第1ロック部44を有する。
【0038】
第1案内面42は、庇状部分36の裏面において周方向端部に形成されている。第1案内面42は、周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、周方向に概ね等間隔に3箇所)に形成されている。第1ロック部44は、庇状部分36の裏面において第1案内面42と周方向に隣接している。図示の例では、第1ロック部44は1つの庇状部分36にだけ形成されているが、他の庇状部分36に追加されてもよい。
【0039】
第1案内面42は、発光素子搭載部24および位置決め部材28が発光素子受入口15に対して回転するとき第1ロック部44によってロックされる部位(例えば、図5(B)に示される位置決め部材28の第2ロック部68)を、第1ロック部44へと案内するために設けられている。発光素子搭載部24および位置決め部材28が第1案内面42によって案内され、第1ロック部44を乗り越えることによって、第1ロック部44と第2ロック部68とが係合し、発光素子搭載部24および位置決め部材28がロックされ灯具ボディ12に固定されることになる。
【0040】
図4(A)および図4(B)は、実施の形態に係る発光素子搭載部24を示す概略斜視図である。図4(A)には発光素子26側から見た発光素子搭載部24が示され、図4(B)には反対側から見た発光素子搭載部24が示されている。発光素子搭載部24が灯具ボディ12に装着された状態では、図4(A)が内側、図4(B)が外側となる。
【0041】
発光素子搭載部24は、支持部材46と、発光素子26を支持するとともに発光素子26への電気接続を提供する基板48とを備える。支持部材46は、基板48を支持するだけでなく、発光素子26が発生する熱を放熱する放熱部材としても機能し、ヒートシンクとも呼ばれる。支持部材46は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの高熱伝導率をもつ金属材料で形成され、例えばダイキャスト法により製造されている。
【0042】
支持部材46は、基板支持面46a、平坦部46b、および放熱部46cを有する。基板支持面46aは、基板48を支持する平坦面を有する。基板支持面46aは、発光素子受入口15とほぼ等しい半径の円形に形成されており、発光素子受入口15は基板支持面46aを受け入れることができる。基板支持面46aの周囲には、発光素子搭載部24が発光素子受入口15に装着されたとき密閉するためのOリング49が取り付けられている。平坦部46bは、基板支持面46aに隣接する板状の部分である。放熱部46cは、発光素子26および基板48とは反対側で、基板支持面46aおよび平坦部46bに立設された複数の放熱フィンとして形成されている。
【0043】
よって、支持部材46は、基板支持面46aの直径の方向に細長い形状を有する。言い換えれば、放熱部46cの長さが、基板支持面46aの直径よりも長い。このように支持部材46を細長くすることにより、発光素子搭載部24を灯具ボディ12に装着する作業が容易になる。放熱部46cは、発光素子搭載部24を灯具ボディ12に装着するとき灯具ボディ12に対する発光素子搭載部24の回転を容易にするハンドルとして使用することができる。作業者は基板支持面46a側ではなく平坦部46b側で放熱部46cを把持して発光素子受入口15に基板支持面46aをセットする。仮に発光素子搭載部24が細長形状ではなく基板支持面46aと同じ円形部分のみからなる場合と比べると、作業者は、平坦部46b側で放熱部46cを把持することにより、てこの原理を利用して、発光素子搭載部24を小さな力で回転させることができる。
【0044】
支持部材46はさらに、位置決め爪部47を有する。位置決め爪部47は、発光素子26および基板48と同じ側で、基板支持面46aの外周部に立設されている。位置決め爪部47は、周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、周方向に概ね等間隔に3箇所)に形成されている。
【0045】
位置決め爪部47は、位置決め爪部47の端面である第1位置決め面47aと、位置決め爪部47の外面である第2位置決め面47bと、第1位置決め面47aとは反対側を向く第3位置決め面47cとを有する。第1位置決め面47aおよび第3位置決め面47cは、光軸方向の位置決めに関与し、第2位置決め面47bは、面内方向の位置決めに関与する。
【0046】
第1位置決め面47aは平坦であり略台形状である。第2位置決め面47bは、第1位置決め面47aを第3位置決め面47cに接続し、発光素子搭載部24の回転中心を中心として円筒状に湾曲している。第3位置決め面47cは、第1位置決め面47aと周方向に同じ長さを有するが、径方向の幅は第1位置決め面47aより小さい。
【0047】
また、発光素子搭載部24が発光素子受入口15に装着されるときの回転方向Rにおいて第3位置決め面47cの前端側には、第2案内面47dが形成されている。第2案内面47dは、第3位置決め面47cから第1位置決め面47aに向かって傾斜した傾斜面または面取り面である。第2案内面47dは、発光素子搭載部24および位置決め部材28が回転されるとき、第2案内面47dと発光素子受入口15の第1案内面42とで位置決め部材28の第2ロック部68を第1ロック部44へと誘い込むために設けられている。
【0048】
発光素子26は、例えば、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子であり、図示される例では、1本目の導光体22のための6個の発光素子26が2行3列に密集して基板48上に配置され、また、2本目の導光体22のための1個の発光素子26が6個の発光素子26から離れて基板48上に配置されている。
【0049】
基板48は、位置決め爪部47との干渉を避けつつ、基板支持面46aに収まるように形状が定められている。基板48には、発光素子26への給電のためのコネクタ50が設置されている。コネクタ50には、灯室16内から延びるワイヤーハーネスを接続することができ、それにより発光素子26に給電することができる。発光素子搭載部24が発光素子受入口15に装着されたときコネクタ50は灯室16内に配置される。基板48は、スクリュ51によって基板支持面46aに固定されている。
【0050】
図5(A)から図5(D)は、実施の形態に係る位置決め部材28を示す概略斜視図である。図5(A)から図5(D)はそれぞれ位置決め部材28を異なる角度から見た様子を示す。図5(A)および図5(B)には、発光素子受入口15に配置されたとき外側を向く面が主に示され、図5(C)および図5(D)には、内側を向く面が主に示されている。
【0051】
位置決め部材28は、発光素子受入口15、発光素子搭載部24、および保持部30と係合するための種々の形状が随所に形成されているが、全体としては、中心部に開口52を有する円環状の形状を有する。位置決め部材28は、中心部の開口52に保持部30および導光体入光部22aを受け入れて円環形状の内周側で保持部30と係合し、円環形状の外周側で発光素子受入口15および発光素子搭載部24と係合するように構成されている。
【0052】
位置決め部材28は、中心部の開口52を囲むように概ね同心円状に配置された第1リング28aおよび第2リング28bを有し、これら2つのリングは一体形成されている。第2リング28bは、位置決め部材28が発光素子受入口15に配置されたとき第1リング28aに対して外側に位置する。また、第2リング28bは、第1リング28aよりも大きい外径を有する。
【0053】
第1リング28aは、面内方向位置決め面54、光軸方向位置決め面56、および傾斜面58を有する。面内方向位置決め面54は、保持部30の面内方向位置決め面32と当接することによって、位置決め部材28に対して導光体入光部22aを面内方向に位置決めする。光軸方向位置決め面56は、保持部30の光軸方向位置決め凸部34の下面34bを当接することによって、位置決め部材28に対して導光体入光部22aを光軸方向に位置決めする。
【0054】
そのため、面内方向位置決め面54および光軸方向位置決め面56は、第1リング28a上で、保持部30の面内方向位置決め面32および光軸方向位置決め凸部34と対応する場所に配置されている。光軸方向位置決め面56は、面内方向位置決め面54に対して光軸方向に外側に隣接している。また、光軸方向位置決め面56は、傾斜面58に対して回転方向Rにおいて後側に隣接している。傾斜面58は、位置決め部材28が発光素子搭載部24とともに回転方向Rに回転するとき保持部30の光軸方向位置決め凸部34を位置決め部材28の光軸方向位置決め面56へと案内するように傾斜している。面内方向位置決め面54、光軸方向位置決め面56、および傾斜面58は、第1リング28a上で周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、周方向に概ね等間隔に3箇所)に形成されている。
【0055】
また、第1リング28aは、2箇所の爪部60と、保持部案内スロープ62とを有する。爪部60は、発光素子受入口15の庇状部分36を爪部60と第2リング28bの間に挟むことによって位置決め部材28を光軸方向に仮保持するために設けられている。保持部案内スロープ62は、位置決め部材28が発光素子受入口15に仮保持されるとき保持部30を中心部の開口52へと受け入れることを容易にするために設けられている。
【0056】
第2リング28bは、発光素子搭載部24の位置決め爪部47と係合する係合突起64を有する。係合突起64は、発光素子搭載部24の位置決め爪部47と対応する第2リング28b上の位置から光軸方向に外向きに延出している。係合突起64は、第2リング28b上で周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、周方向に概ね等間隔に3箇所)に形成されている。
【0057】
係合突起64は、第1係合面64a、第2係合面64b、および第3係合面64cを有する。第1係合面64a、第2係合面64b、および第3係合面64cはそれぞれ、位置決め爪部47の第1位置決め面47a、第2位置決め面47b、および第3位置決め面47cと係合する。第1位置決め面47aおよび第3位置決め面47cは、光軸方向の位置決めに関与し、第2位置決め面47bは、面内方向の位置決めに関与する。
【0058】
加えて、係合突起64は、位置決め部材28を発光素子搭載部24とともに回転させるために設けられた位置決め爪部突き当て面64dを有する。発光素子搭載部24が位置決め部材28に対して回転し、位置決め爪部47が係合突起64と係合するとき位置決め爪部47の側面が位置決め爪部突き当て面64dに当接する。
【0059】
また、第2リング28bは、発光素子受入口15の規制リブ40と係合する仮保持部66を有する。仮保持部66は、第2リング28bから径方向外側に突出した小突起であり、規制リブ40に対応して、第2リング28b上で周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、周方向に概ね等間隔に3箇所)に形成されている。第2リング28bは、第1ロック部44と係合する第2ロック部68を有する。
【0060】
位置決め部材28は、樹脂材料で形成されている。樹脂材料は、適宜の汎用樹脂であってよく、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリル、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリレート)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)等が例示される。位置決め部材28は、例えば射出成形またはその他の適切な成形方法により製造される。
【0061】
図6は、実施の形態に係る車両用灯具10の一部を示す概略側面図である。図6には、発光素子搭載部24が灯具ボディ12に装着された状態での発光素子搭載部24、位置決め部材28、および保持部30が示されている。理解を容易にするために、灯具ボディ12および透光カバー14の図示は省略されている。
【0062】
図7から図11は、実施の形態に係る車両用灯具10の製造方法における各工程を示す概略背面図である。各図には、発光素子受入口15およびその近傍が示されている。以下では、必要に応じて、図6に示されるA-A線、B-B線、C-C線による各工程における断面を参照しつつ、発光素子受入口15、発光素子搭載部24、位置決め部材28、および保持部30の係合をさらに説明する。
【0063】
まず、灯具ボディ12、透光カバー14、発光素子搭載部24、および位置決め部材28が用意される。透光カバー14には予め第2灯具ユニット20が取り付けられており、導光体入光部22aが保持部30を介して透光カバー14に支持されている。
【0064】
図7に示されるのは、発光素子搭載部24および位置決め部材28が発光素子受入口15にセットされる前の状態である。灯具ボディ12に透光カバー14が取り付けられ、灯具ボディ12と透光カバー14との間に灯室16が形成されると、導光体入光部22aは、発光素子受入口15の近傍に配置される。導光体入光部22aは保持部30とともに発光素子受入口15の中心付近に位置する。導光体入光部22aおよび保持部30は、灯具ボディ12とは直接接触していない。
【0065】
図12(A)、図12(B)、および図12(C)にはそれぞれ、図7に示される位置決め部材28のセット前の状態におけるA-A線断面、B-B線断面、およびC-C線断面が示されている。図12(A)には保持部30の第1部分30aが示され、図12(B)および図12(C)には保持部30の第2部分30bが示されている。
【0066】
次に、図8に示されるように、発光素子受入口15に位置決め部材28が配置される。位置決め部材28が発光素子受入口15にセットされるとき、位置決め部材28は、発光素子受入口15によって仮保持されるとともに、中心部の開口52に導光体入光部22aおよび保持部30を受け入れる。
【0067】
図13(A)、図13(B)、および図13(C)にはそれぞれ、図8に示される位置決め部材28のセット後の状態におけるA-A線断面、B-B線断面、およびC-C線断面が示されている。図13(D)には、図13(A)におけるD-D線断面が示されている。
【0068】
図13(A)には保持部30の第1部分30aと位置決め部材28の第1リング28aが示されている。図13(A)と図13(D)から理解されるように、位置決め部材28は、ランス係合により発光素子受入口15に対して光軸方向に保持される。すなわち、
発光素子受入口15の庇状部分36が位置決め部材28の爪部60と第2リング28bとの間に挟み込まれ、それにより位置決め部材28の光軸方向への移動が規制されている。また、保持部30の面内方向位置決め面32と位置決め部材28の面内方向位置決め面54とは周方向にずれているため、接触していない。
【0069】
図13(B)に示されるように、位置決め部材28の仮保持部66は、発光素子受入口15の面内方向位置決め部38と規制リブ40との間に位置する。このように、仮保持部66が面内方向位置決め部38と規制リブ40に挟まれることにより、位置決め部材28は周方向(光軸まわりの回転方向)の移動が規制されている。
【0070】
図13(A)から図13(C)に示されるように、保持部30の第1部分30aは位置決め部材28の第1リング28aに接触しつつ取り囲まれ、保持部30の第2部分30bは位置決め部材28の第2リング28bに接触しつつ取り囲まれている。発光素子受入口15、位置決め部材28、および保持部30の間には、いくらかの遊びがあり、その範囲での位置決め部材28の移動は許容される。
【0071】
位置決め部材28が発光素子受入口15にセットされるとき、位置決め部材28の保持部案内スロープ62は、保持部30を位置決め部材28の開口52の中へと案内するように働く。このとき、位置決め部材28は発光素子受入口15とランス係合をしており、保持部30は、位置決め部材28によって、ある初期位置へと導かれる。初期位置は、保持部30が最終的に位置決めされるべき位置(すなわち、発光素子搭載部24が装着されたとき導光体入光部22aが発光素子26に対して位置決めされるべき位置)とは異なる。
【0072】
なお、図示されていないが、灯室16内から発光素子受入口15へとワイヤーハーネスが延びている。位置決め部材28が発光素子受入口15にセットされた後、そのワイヤーハーネスのコネクタが発光素子搭載部24のコネクタ50に結合される。発光素子搭載部24への電気接続は、灯室16内からなされる。
【0073】
続いて、図9から図17(D)を参照して、発光素子搭載部24の装着工程を説明する。発光素子搭載部24は、発光素子受入口15を塞ぐとともに、発光素子26が導光体入光部22aと対向して配置されるように、灯具ボディ12に装着される。この装着工程は、位置決め部材28によって導光体入光部22aと発光素子26とが互いに位置決めされるように行われる。装着工程は、発光素子搭載部24が位置決め部材28と係合するように、発光素子搭載部24を発光素子受入口15および位置決め部材28に対して回転させる工程と、位置決め部材28によって導光体入光部22aと発光素子26とが互いに位置決めされるように、発光素子搭載部24を位置決め部材28とともに発光素子受入口15に対してさらに回転させる工程と、を備える。
【0074】
図9に示されるように、発光素子搭載部24が発光素子受入口15に規定のセット角度でセットされる。図14には、図9に示される発光素子搭載部24のセット後の状態におけるC-C線断面が示されている。発光素子搭載部24の位置決め爪部47が保持部30の周囲に配置されている。ただし、位置決め爪部47は、位置決め部材28の係合突起64とは周方向に離れており、係合していない。よって、発光素子受入口15、位置決め部材28、および保持部30の間には、まだ遊びがある。
【0075】
図10に示されるように、発光素子搭載部24が発光素子受入口15に対して第1角度回転される。発光素子搭載部24は、例えば、反時計回りにセット角度から18度回転される。図15(A)には、図10に示される状態におけるC-C線断面が示されている。図15(B)には、図15(A)におけるE-E線断面が示されている。
【0076】
発光素子搭載部24が第1角度回転している間は、発光素子搭載部24のみが回転し、位置決め部材28は上述のように、灯具ボディ12に仮保持されたままである。このとき、位置決め部材28は発光素子搭載部24と一緒に回転しない。
【0077】
発光素子搭載部24が第1角度回転したとき、図15(A)および図15(B)から理解されるように、発光素子搭載部24の位置決め爪部47が位置決め部材28の係合突起64に係合する。位置決め爪部47の第1位置決め面47aは、係合突起64の第1係合面64aに当接する。また、位置決め爪部47の第3位置決め面47cは、係合突起64の第3係合面64cに当接する。このようにして、位置決め爪部47と係合突起64が噛み合うことにより、位置決め部材28と発光素子搭載部24は互いに光軸方向に位置決めされる。
【0078】
それとともに、位置決め爪部47の第1位置決め面47aは、保持部30の光軸方向位置決め凸部34の上面34aにも当接する。係合突起64の第1係合面64aおよび保持部30の光軸方向位置決め凸部34の上面34aは同じ平面上に位置する。よって、保持部30は、発光素子搭載部24の位置決め爪部47によって灯室16側へと押さえ込まれる。こうして、保持部30および導光体入光部22aが光軸方向に外向きに変位することが規制される。
【0079】
また、図15(A)に示されるように、位置決め爪部47の第2位置決め面47bは、係合突起64の第2係合面64bに当接する。これにより、発光素子搭載部24は、位置決め部材28に対して面内方向に位置決めされる。さらに、発光素子搭載部24が第1角度回転した結果、位置決め爪部47の側面が係合突起64の位置決め爪部突き当て面64dに当接する。
【0080】
続いて、図11に示されるように、発光素子搭載部24が発光素子受入口15に対してさらに第2角度回転される。発光素子搭載部24は、例えば、図10の状態から反時計回りに32度回転される(すなわち、図9のセット角度から50度回転されたことになる)。第2角度の回転の結果、発光素子搭載部24の放熱部46cの放熱フィンは鉛直方向に平行となっている。
【0081】
このとき、発光素子搭載部24と位置決め部材28との係合により、位置決め部材28は発光素子搭載部24と一緒に第2角度回転する。位置決め爪部47の側面が係合突起64の位置決め爪部突き当て面64dに当接しているので、発光素子搭載部24の回転により位置決め爪部47が周方向に移動するとき、位置決め部材28の係合突起64も周方向に押され、それにより位置決め部材28も回転する。
【0082】
図16(A)、図16(B)、および図16(C)にはそれぞれ、図11に示される状態におけるA-A線断面、B-B線断面、およびC-C線断面が示されている。図17(A)および図17(B)にはそれぞれ、図16(B)のF-F線断面およびG-G線断面が示され、図17(C)には、図16(C)のH-H線断面が示されている。
【0083】
位置決め部材28は、発光素子搭載部24との係合により発光素子26と位置決め部材28とを互いに面内方向に位置決めするとともに、保持部30との係合により導光体入光部22aと位置決め部材28とを互いに位置決めする。
【0084】
図16(A)から図16(C)から理解されるように、発光素子搭載部24が第2角度回転したとき、保持部30の面内方向位置決め面32が位置決め部材28の面内方向位置決め面54に当接する。保持部30の面内方向位置決め面32は、周方向に隣接する保持部30の部位よりもわずかに径方向寸法が大きい。そのため、面内方向位置決め面32と面内方向位置決め面54は密着し、保持部30と位置決め部材28との間の遊びが埋められる。こうして、保持部30と位置決め部材28は互いに面内方向に位置決めされる。それとともに、位置決め部材28の第2リング28bの外周面が発光素子受入口15の面内方向位置決め部38に当接する。発光素子受入口15と位置決め部材28との間の遊びが埋められ、発光素子受入口15と位置決め部材28は互いに面内方向に位置決めされる。
【0085】
位置決め部材28は、発光素子搭載部24とともに回転するように発光素子受入口15に配置されるとともに、位置決め部材28の回転変位を光軸方向における導光体入光部22aの位置変位に変換するように保持部30と当接する。
【0086】
発光素子搭載部24が第2角度回転するとき、保持部30の光軸方向位置決め凸部34が位置決め部材28の傾斜面58に沿って案内され、それにより、位置決め部材28の回転変位が保持部30の光軸方向の位置変位に変換される。そうして、最終的には、図17(B)に示されるように、保持部30の光軸方向位置決め凸部34の下面34bが位置決め部材28の光軸方向位置決め面56に当接する。光軸方向位置決め凸部34の上面34aは位置決め爪部47の第1位置決め面47aに当接する。よって、光軸方向位置決め凸部34は、位置決め部材28の光軸方向位置決め面56と発光素子搭載部24の位置決め爪部47によって上下から挟み込まれる。これにより、保持部30が発光素子搭載部24に対して光軸方向に位置決めされる。
【0087】
したがって、発光素子搭載部24が灯具ボディ12に装着されたとき、位置決め部材28は、発光素子受入口15において発光素子搭載部24と保持部30との間に配置されている。位置決め部材28は、発光素子搭載部24および保持部30それぞれと係合するとともに発光素子受入口15において灯具ボディ12にロックされる。それにより、位置決め部材28は、導光体入光部22aを発光素子26に対し面内方向および光軸方向に位置決めする。
【0088】
以上説明したように、実施の形態に係る車両用灯具10によると、位置決め部材28を利用して、面内方向と光軸方向の両方について発光素子26と導光体22を正確に位置決めすることができる。また、発光素子搭載部24を灯具ボディ12に対して回転させるという簡単な取付操作で正確な位置決めが完了される。
【0089】
また、実施の形態に係る車両用灯具10によると、外部放熱構造が提供される。そのため、例えば多数の高光束の発光素子26が集積された場合、発熱量が比較的大きくなりうるが、内部放熱に比べて小型の放熱部46cを用いて良好に放熱することができる。とくに、第2灯具ユニット20が灯室16の上部に設置されているが、灯室16の上部は下部に比べて熱がこもりやすい。しかし、外部放熱の採用により適切な温度環境を車両用灯具10内に維持するように熱設計をすることが容易となる。また、導光体入光部22aの過剰な加熱やそれにより起こりうる損傷も抑制される。発光素子26の集積により、車両用灯具10の点灯の見映えもよくなる。発光素子搭載部24の小型化は、美観に優れる灯具意匠の実現にも役立つ。発光素子搭載部24は車両用灯具10の外部から脱着でき、サービス性が向上する。
【0090】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態や変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態や変形例、及び上述した実施の形態や変形例と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0091】
上述の実施の形態では、棒状の導光体22を例に挙げて説明したが、実施の形態に係る位置決め構造は、その他の光学素子の入光部と発光素子26との位置決めにも適用されうる。また、実施の形態に係る位置決め構造は、前照灯への適用には限定されず、テールランプ、ターンランプ、ストップランプなど他の車両用灯具にも適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 車両用灯具、 12 灯具ボディ、 14 透光カバー、 15 発光素子受入口、 16 灯室、 22 導光体、 22a 導光体入光部、 24 発光素子搭載部、 26 発光素子、 28 位置決め部材、 30 保持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
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図17