(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-19
(45)【発行日】2024-03-28
(54)【発明の名称】旅客搭乗橋
(51)【国際特許分類】
B64F 1/305 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B64F1/305
(21)【出願番号】P 2023509960
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013522
(87)【国際公開番号】W WO2022208655
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明上 武史
(72)【発明者】
【氏名】土橋 秀章
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012648(WO,A1)
【文献】特表2019-526477(JP,A)
【文献】国際公開第2020/030735(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルビルに接続されたロタンダと、
基端が前記ロタンダに俯仰自在に接続されるとともに長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、
前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、
前記キャブを移動させて航空機の乗降部に装着するための移動手段と、
前記キャブの内側に設けられ、前記移動手段によって前記キャブが前記乗降部に装着された後、前記乗降部のドアの幅が所定幅以上の場合に前記キャブに対する前記ドアの幅方向の縁部の位置を検出するドア位置検出部と、
前記ドア位置検出部により検出された前記ドアの幅方向の縁部の位置が所定の許容領域内であるか否かに基づいて、前記乗降部のドアを円滑に開放できるか否かを判定するドア開放判定部と、
前記ドア開放判定部が前記乗降部のドアを円滑に開放できないと判定したときに、異常である旨を報知する報知部と、
を備えた旅客搭乗橋。
【請求項2】
前記移動手段は、自動制御によって、前記キャブを、移動の起点となる所定の待機位置から、前記乗降部から所定距離前方の位置となる一時停止位置へ移動させた後、前記乗降部に装着される位置へ移動させる動作が行われるよう構成されており、
前記キャブに取り付けられ、前記航空機の乗降部を撮影するカメラと、
前記キャブが前記一時停止位置において、前記カメラによって撮影される前記乗降部の画像に基づいて前記乗降部のドアの周囲に存在し互いに前記ドアの幅方向に離れた第1及び第2の特徴部を検出し、前記画像上での前記第1及び第2の特徴部の位置に基づいて前記ドアの幅を算出する装着前ドア幅算出部と、
前記装着前ドア幅算出部で算出される前記ドアの幅が前記所定幅以上であるか否かを判定するドア幅判定部と、をさらに備え、
前記ドア位置検出部は、
前記ドア幅判定部により前記装着前ドア幅算出部で算出される前記ドアの幅が前記所定幅以上であると判定された場合に、前記キャブに対する前記ドアの幅方向の縁部の位置を検出するよう構成された、
請求項1に記載の旅客搭乗橋。
【請求項3】
前記キャブが前記待機位置において、前記カメラによって撮影される前記乗降部の画像に基づいて前記第1及び第2の特徴部を検出し、前記画像上での前記第1及び第2の特徴部の位置に基づいて前記ドアの幅を算出する移動前ドア幅算出部を、さらに備え、
前記移動前ドア幅算出部で算出された前記ドアの幅と、前記装着前ドア幅算出部で算出された前記ドアの幅との誤差が所定の許容範囲を超えると、前記移動手段の動作の自動制御を中止するよう構成された
請求項2に記載の旅客搭乗橋。
【請求項4】
前記第1及び第2の特徴部は、前記ドアの左右方向及び上下方向において互いに異なる所定の位置関係を有しており、
前記画像上での前記第1及び第2の特徴部の位置関係が前記所定の位置関係であるか否かを判定する画像判定部を、さらに備え、
前記画像判定部により前記第1及び第2の特徴部の位置関係が前記所定の位置関係ではないと判定されたときに、前記移動手段の動作の自動制御を中止するよう構成された
請求項2または3に記載の旅客搭乗橋。
【請求項5】
前記キャブの先端に設けられた前後方向に伸縮可能な蛇腹状のクロージャと、
前記キャブに取り付けられ、前記航空機と当接して前記キャブに対する前記航空機の上下動を検出するレベル検出装置と、をさらに備え、
前記移動手段の動作の自動制御に続いて前記クロージャ及び前記レベル検出装置の動作が自動制御によって行われるよう構成されており、
前記ドア開放判定部が前記乗降部のドアを円滑に開放できないと判定したときには、前記クロージャ及び前記レベル検出装置の動作の自動制御の実施を中止するよう構成された、
請求項2~4のいずれかに記載の旅客搭乗橋。
【請求項6】
前記移動手段は、手動制御によって、前記キャブを、移動の起点となる所定の待機位置から、前記乗降部に装着される位置へ移動させる動作が行われるよう構成されており、
前記キャブの先端に設けられた前後方向に伸縮可能な蛇腹状のクロージャと、
前記キャブに取り付けられ、前記航空機と当接して前記キャブに対する前記航空機の上下動を検出するレベル検出装置と、
装着対象の前記航空機の機種情報が入力され、この入力された機種情報から前記航空機のドアの幅が前記所定幅以上であるか否かを識別するドア幅識別部と、をさらに備え、
前記ドア位置検出部は、
前記ドア幅識別部によって前記航空機のドアの幅が前記所定幅以上であると識別された場合に、前記キャブが前記乗降部に装着された後、手動制御による前記クロージャの伸長操作および手動制御による前記レベル検出装置の動作開始操作の少なくともいずれか一方の操作に基づいて、前記キャブに対する前記ドアの幅方向の縁部の位置を検出するよう構成された、
請求項1に記載の旅客搭乗橋。
【請求項7】
前記ドア位置検出部は、前記ドアの幅方向の縁部と機体との間の溝を検出するレーザ変位計である、
請求項1~6のいずれかに記載の旅客搭乗橋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅客搭乗橋に関する。
【背景技術】
【0002】
空港のターミナルビルと航空機との間の乗客の歩行通路になる設備として、旅客搭乗橋が知られている。
【0003】
特許文献1には、キャブの航空機との接続部分に沿って一列以上に結合される複数の照明部材を含む照明モジュールと、航空機出入口の位置に対応する照明部材の色又は点滅を制御する制御モジュールとを含む搭乗橋の出入口位置表示装置が開示されている。これによれば、搭乗橋に航空機出入口の位置を照明表示できるので、オペレータが接続位置を視覚的に確認することができる。
【0004】
また、特許文献2には、キャブ内に設けた2次元レーザ変位計により、キャブと航空機の乗降部との間の相対位置を非接触で計測する技術が開示されている。そして、制御装置が、2次元レーザ変位計から得られる相対位置データに基づき、キャブをパーキング位置(待機位置)から航空機の乗降部に装着するまでの各種の制御量を算出し、各駆動装置を制御することにより、キャブを航空機の乗降部に自動装着させることが記載されている。さらに、自動装着完了後には、2次元レーザ変位計から得られる航空機の乗降部の下部エッジの位置データに基づき、キャブを航空機の上下動に追従移動させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2019-531977号公報
【文献】国際公開第2018/096773号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の場合、オペレータが照明表示を頼りに目視でキャブを航空機出入口に装着できるが、キャブの装着精度はオペレータのスキルに大きく依存する。特に出入口のドアが大きい大型航空機に装着する場合、ドアの移動軌跡とキャブの内部空間との隙間に余裕が少ないため、シビアな装着精度が要求される。そのため、熟練度の低いオペレータの場合には、ドアを完全に開けきる前にドアがキャブの一部と干渉する虞がある。
【0007】
また、特許文献2の場合、キャブを航空機の乗降部に自動装着させた後、キャブを航空機の上下動に追従移動させるようになっているが、特に大型ドアを有する大型航空機の乗降部へ装着させる場合に、自動装着を完了した状態がシビアな装着精度を充たしているか否かまで考慮されていない。キャブを大型ドアのある乗降部へ装着させる場合、装着位置の最終確認はドアとキャブとの干渉を未然に防ぐうえで重要な課題となる。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、大型航空機のドアを完全に開けきる前のドアとキャブとの干渉を防止することができる旅客搭乗橋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続され、水平回転自在なロタンダと、基端が前記ロタンダに俯仰自在に接続されるとともに長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に回転自在に設けられたキャブと、前記キャブを移動させて航空機の乗降部に装着するための移動手段と、前記キャブの内側に設けられ、前記移動手段によって前記キャブが前記乗降部に装着された後、前記乗降部のドアの幅が所定幅以上の場合に前記キャブに対する前記ドアの幅方向の縁部の位置を検出するドア位置検出部と、前記ドア位置検出部により検出された前記ドアの幅方向の縁部の位置が所定の許容領域内であるか否かに基づいて、前記乗降部のドアを円滑に開放できるか否かを判定するドア開放判定部と、前記ドア開放判定部が前記乗降部のドアを円滑に開放できないと判定したときに、異常である旨を報知する報知部と、を備えている。
【0010】
この構成によれば、ドアの幅が所定幅以上である大型航空機の場合に、キャブが乗降部に装着された後、ドアが開けられる前に、ドア位置検出部により検出されたドアの幅方向の縁部の位置が所定の許容領域内であるか否かに基づいて、ドア開放判定部がドアを円滑に開放できるか否かを判定するようにしている。そして、円滑に開放できないと判定したときには、異常である旨を報知部によって報知するようにしているので、オペレータによるキャブの乗降部への装着のやり直しが行われ、大型航空機のドアを開いたときのドアとキャブとの干渉を防止することができる。
【0011】
前記移動手段は、自動制御によって、前記キャブを、移動の起点となる所定の待機位置から、前記乗降部から所定距離前方の位置となる一時停止位置へ移動させた後、前記乗降部に装着される位置へ移動させる動作が行われるよう構成されており、前記キャブに取り付けられ、前記航空機の乗降部を撮影するカメラと、前記キャブが前記一時停止位置において、前記カメラによって撮影される前記乗降部の画像に基づいて前記乗降部のドアの周囲に存在し互いに前記ドアの幅方向に離れた第1及び第2の特徴部を検出し、前記画像上での前記第1及び第2の特徴部の位置に基づいて前記ドアの幅を算出する装着前ドア幅算出部と、前記装着前ドア幅算出部で算出される前記ドアの幅が前記所定幅以上であるか否かを判定するドア幅判定部と、をさらに備え、前記ドア位置検出部は、前記ドア幅判定部により前記装着前ドア幅算出部で算出される前記ドアの幅が前記所定幅以上であると判定された場合に、前記キャブに対する前記ドアの幅方向の縁部の位置を検出するよう構成されていてもよい。
【0012】
前記キャブが前記待機位置において、前記カメラによって撮影される前記乗降部の画像に基づいて前記第1及び第2の特徴部を検出し、前記画像上での前記第1及び第2の特徴部の位置に基づいて前記ドアの幅を算出する移動前ドア幅算出部を、さらに備え、前記移動前ドア幅算出部で算出された前記ドアの幅と、前記装着前ドア幅算出部で算出された前記ドアの幅との誤差が所定の許容範囲を超えると、前記移動手段の動作の自動制御を中止するよう構成されていてもよい。
【0013】
前記第1及び第2の特徴部は、前記ドアの左右方向及び上下方向において互いに異なる所定の位置関係を有しており、前記画像上での前記第1及び第2の特徴部の位置関係が前記所定の位置関係であるか否かを判定する画像判定部を、さらに備え、前記画像判定部により前記第1及び第2の特徴部の位置関係が前記所定の位置関係ではないと判定されたときに、前記移動手段の動作の自動制御を中止するよう構成されていてもよい。
【0014】
前記キャブの先端に設けられた前後方向に伸縮可能な蛇腹状のクロージャと、前記キャブに取り付けられ、前記航空機と当接して前記キャブに対する前記航空機の上下動を検出するレベル検出装置と、をさらに備え、前記移動手段の動作の自動制御に続いて前記クロージャ及び前記レベル検出装置の動作が自動制御によって行われるよう構成されており、前記ドア開放判定部が前記乗降部のドアを円滑に開放できないと判定したときには、前記クロージャ及び前記レベル検出装置の動作の自動制御の実施を中止するよう構成されていてもよい。
【0015】
前記移動手段は、手動制御によって、前記キャブを、移動の起点となる所定の待機位置から、前記乗降部に装着される位置へ移動させる動作が行われるよう構成されており、前記キャブの先端に設けられた前後方向に伸縮可能な蛇腹状のクロージャと、前記キャブに取り付けられ、前記航空機と当接して前記キャブに対する前記航空機の上下動を検出するレベル検出装置と、装着対象の前記航空機の機種情報が入力され、この入力された機種情報から前記航空機のドアの幅が前記所定幅以上であるか否かを識別するドア幅識別部と、をさらに備え、前記ドア位置検出部は、前記ドア幅識別部によって前記航空機のドアの幅が前記所定幅以上であると識別された場合に、前記キャブが前記乗降部に装着された後、手動制御による前記クロージャの伸長操作および手動制御による前記レベル検出装置の動作開始操作の少なくともいずれか一方の操作に基づいて、前記キャブに対する前記ドアの幅方向の縁部の位置を検出するよう構成されていてもよい。
【0016】
前記ドア位置検出部は、前記ドアの幅方向の縁部と機体との間の溝を検出するレーザ変位計であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上に説明した構成を有し、大型航空機のドアを完全に開けきる前のドアとキャブとの干渉を防止することができる旅客搭乗橋を提供することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る旅客搭乗橋の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、旅客搭乗橋を側方から視た概略図である。
【
図3】
図3は、キャブを航空機に装着した状態の一例を示す側面図である。
【
図4】
図4は、航空機に装着されるキャブ先端部分を正面(航空機側)から視た図である。
【
図5】
図5は、キャブに設置されるレーザ変位計の配置の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、旅客搭乗橋の装着時の動作の概略の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、旅客搭乗橋の自動制御中に行われる種々の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、キャブが待機位置でのカメラの撮影画像の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0021】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る旅客搭乗橋の一例を示す概略平面図である。また、
図2は、旅客搭乗橋を側方から視た概略図である。
図3は、キャブを航空機に装着した状態の一例を示す側面図である。
図4は、航空機に装着されるキャブ先端部分を正面(航空機側)から視た図である。
図5は、キャブに設置されるレーザ変位計の配置の一例を示す平面図である。
図6は、操作盤等の一例を示す図である。
【0022】
この旅客搭乗橋1は、空港のターミナルビル2の乗降口に接続された水平回転自在なロタンダ(基部円形室)4と、基端がロタンダ4に俯仰自在に接続されて長手方向に伸縮自在に構成されたトンネル部5と、トンネル部5の先端に正逆回転自在に設けられたキャブ(先端部円形室)6と、ドライブコラム7とを備えている。
【0023】
ロタンダ4は、支柱70によって回転軸(鉛直軸線)CL1の回りに正逆回転自在に支持されている。
【0024】
トンネル部5は、乗客の歩行通路を形成し、筒状体からなる複数のトンネル5a,5bが入れ子式に嵌合されて長手方向に伸縮自在に構成されている。なお、ここでは、2つのトンネル5a,5bによって構成されたトンネル部5が例示されているが、トンネル部5は2つ以上の複数のトンネルによって構成されていればよい。また、トンネル部5の基端部は、ロタンダ4に、水平回転軸CL4(
図2)の回りに揺動自在(上下に揺動自在)に接続されることにより、ロタンダ4に俯仰自在に接続されている。
【0025】
また、トンネル部5の先端寄り部分(最も先端側のトンネル5b)には、支持脚としてドライブコラム7が取り付けられている。なお、ドライブコラム7は、キャブ6に取り付けられていてもよい。
【0026】
ドライブコラム7には、キャブ6及びトンネル部5を上下移動(昇降)させる昇降装置8が設けられている。昇降装置8は、例えば、2つの柱が入れ子式に嵌合されて伸縮可能に構成された一対の支柱部を有し、この一対の支柱部によってトンネル部5を支持している。この一対の支柱部の伸縮によって昇降装置8はトンネル部5を昇降(上下移動)させることができる。これにより、キャブ6及びトンネル部5は、ロタンダ4を基点として上下方向に揺動運動することができる。
【0027】
また、ドライブコラム7には、昇降装置8の下方に、個々に独立して正逆回転駆動可能である2つの走行車輪9(右側走行車輪9R及び左側走行車輪9L)を有する走行装置10が設けられている。走行装置10は、2つの走行車輪9の正回転駆動によって前進走行(矢印F方向への走行)が可能であり、2つの走行車輪9の逆回転駆動によって後進走行(矢印Fとは逆方向への走行)が可能に構成されている。また、走行装置10は、舵角がトンネル部5の伸縮方向(長手方向)に対して、-90度~+90度の範囲内で変更可能なように、回転軸CL2の回りに正逆回転が自在に構成され、走行方向を変更可能である。例えば、2つの走行車輪9を互いに逆方向に回転させることにより、その場において走行方向(走行車輪9の向き)を変更することもできる。走行装置10(走行車輪9)がエプロン上を走行することにより、トンネル部5をロタンダ4のまわりに回転させるとともにトンネル部5を伸縮させることができる。
【0028】
キャブ6は、トンネル部5の先端に設けられており、キャブ回転装置6R(
図6)によってキャブ6の床面に垂直な回転軸線CL3の回りに正逆回転可能に構成されている。
【0029】
本実施形態において、キャブ6を移動させる移動手段は、走行装置10、昇降装置8及びキャブ回転装置6Rによって構成されている。
【0030】
また、
図3、
図4に示すように、航空機3に装着されるキャブ6の床61の先端にはバンパー62が設けられ、このバンパー62の左右方向に並んで、キャブ6と航空機3との間の距離を計測する計測手段としての距離センサ23(例えばレーザー距離計)が複数(この例では2つ)取り付けられている。なお、距離センサ23の設置位置は、適宜変更可能であり、例えば、キャブ6の床61の上に配置されていてもよい。
【0031】
また、
図4に示すように、キャブ6の先端部分の奥まった位置に航空機3の乗降部3A(ドア3a)を撮影するための第1,第2カメラ21,22が設置されている。この第1,第2カメラ21,22は、キャブ6に対して撮影方向を調整(変更)できるものが好ましく、画角を調整できるものであってもよい。本例では、第1カメラ21の上方に第2カメラ22が配置されているが、これらの第1,第2カメラ21,22は、互いに離れて配置されて航空機3のドア3aを撮影できれば、設置位置は適宜変更してもよい。
【0032】
図4、
図5に示すように、キャブ6の内側で、キャブ6の床61の右側のやや上方には、ドア位置検出部であるレーザ変位計20が設置されている。このレーザ変位計20は、本例では2次元レーザ変位計を用いている。レーザ変位計20の検出領域20A(
図10も参照)をハッチングで示している。レーザ変位計20は、航空機3が大型航空機である場合に、キャブ6を航空機3の乗降部3Aに装着した後、ドア3aの右側の縁部(長辺部)と機体との間の溝3g(
図10参照)を検出するためにレーザ照射を行う。
【0033】
また、キャブ6の先端部分には、クロージャ63が設けられている。クロージャ63は、前後方向に展開及び収縮可能な蛇腹部を備え、キャブ6を航空機3に装着して、蛇腹部を前方へ展開することにより、蛇腹部の前端部を航空機3の乗降部3A(ドア3a)の周囲に当接できる。
【0034】
また、キャブ6の外側の例えば側壁にレベル検出装置64が取り付けられている。レベル検出装置64は、キャブ6を航空機3に装着した後、乗客の乗降や荷物の積み下ろし等によって航空機3が上下動した場合に、キャブ6に対する航空機3の相対的な上下の移動量を検出する機器である。
【0035】
このレベル検出装置64は、前進可能なホイル64Aと、ホイル64Aが前進する際に最適な位置で停止させるための接触リミットスイッチ(図示せず)等を有する。この接触リミットスイッチは、航空機3の機体表面へのホイル64Aの圧力が最適となるように予め調整されていて、ホイル64Aが前進移動する場合に、接触リミットスイッチがオンすることで、この前進移動を所望の移動量で停止できる。これにより、レベル検出装置64は、航空機3の機体表面にホイル64Aを最適な圧力で押すことが可能となる。
【0036】
レベル検出装置64を作動させると、ホイル64Aが前進し、接触リミットスイッチがオンすることでホイル64Aの前進が停止し、ホイル64Aが航空機3の機体表面へ最適な圧力で当接する。そして航空機3が上下動するとホイル64Aが回転する。レベル検出装置64は、ホイル64Aの回転方向及び回転角度に基づいて、航空機3の上下の移動量を検出し、この移動量が所定量以上になると、この移動量を制御装置50へ出力する。制御装置50は、上記移動量に基づき、キャブ6が航空機3の上下動に追従移動するようにドライブコラム7の昇降装置8を制御する。
【0037】
さらに、
図6に示すように、旅客搭乗橋1には、ロタンダ4の回転角度φr(
図1)を検出するロタンダ用角度センサ24と、トンネル部5に対するキャブ6の回転角度φc(
図1)を検出するキャブ用角度センサ25と、トンネル部5に対する走行装置10の回転角度(走行方向を示す角度)φw(
図1)を検出する走行用角度センサ26と、昇降装置8の昇降量を検出する昇降センサ27と、距離計等で構成されトンネル部5の長さを検出するトンネル長さセンサ28とが、適宜な位置に設けられている。なお、ロタンダ4の回転角度φrは、平面視において、X軸に対して反時計回りに計算されるトンネル部5の中心線Edがなす角度である。また、キャブ6の回転角度φcは、トンネル部5の中心線Edに対するキャブ6の回転角度を示している。また、走行装置10の回転角度φwは、平面視において、トンネル部5の中心線Edに対する走行装置10の回転角度を示している。
【0038】
なお、
図1では、トンネル部5が水平状態(
図2の傾斜角度β=0の状態)で、キャブ6の先端部分が航空機3の方を向いた状態が示されている。一方、
図2では、トンネル部5が傾斜角度βにて傾斜した状態で、キャブ6の先端部分がトンネル部5の伸長方向と同方向を向いた状態(キャブ6の回転角度φc=0の場合)が示されている。
図2に示すように、旅客搭乗橋1は、トンネル部5の伸縮方向と昇降装置8の伸縮方向(昇降方向)とが直交するように、トンネル部5に昇降装置8が取り付けられている。
【0039】
そして、キャブ6の内部には、
図6に示すような操作盤31が設けられている。操作盤31には、昇降装置8によるトンネル部5及びキャブ6の昇降や、キャブ6の回転等を操作するための各種操作スイッチ33の他、走行装置10を操作するための操作レバー32及び表示装置34が設けられている。操作レバー32は、多方向の自由度をもったレバー状入力装置(ジョイスティック)によって構成されている。操作レバー32及び各種操作スイッチ33によって操作装置30が構成されている。なお、操作装置30の構成は、適宜変更可能である。
【0040】
また、制御装置50は、操作盤31と相互に電気回路で接続され、操作装置30の操作に基づく動作指令等の情報が入力されるとともに、各センサ23~28の出力信号等が入力されて、旅客搭乗橋1の動作を制御するとともに、表示装置34に表示される情報等を出力する。
【0041】
なお、制御装置50には、CPU等の演算処理部と、ROM、RAM等の記憶部とを有している。記憶部には、旅客搭乗橋1を動作させるための制御プログラム及び当該動作に必要な情報が予め記憶されており、演算処理部が制御プログラムを実行することにより、制御装置50は、旅客搭乗橋1の各部(走行装置10、昇降装置8及びキャブ回転装置6R等)の動作の制御等を行うとともに、画像判定部51、移動前ドア幅算出部52、装着前ドア幅算出部53、ドア幅判定部54及びドア開放判定部55等として機能する。なお、旅客搭乗橋1の動作中に記憶される情報も記憶部に記憶される。制御装置50は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、インターネットやLANを経由して互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。制御装置50は、例えば、キャブ6または最も先端側のトンネル5b等に設けられている。
【0042】
制御装置50は、
図1に示すようなXYZ直交座標系を用いて、リアルタイムで旅客搭乗橋1の各部の位置(座標)を把握している。すなわち絶対座標として、ロタンダ4の回転軸CL1とエプロンEP(
図2)の平面との交点を原点(0,0,0)にして、X軸、Y軸、Z軸(上下方向に延びる軸)をとり、旅客搭乗橋1の各部の位置座標をあらわす。この位置座標のX座標値、Y座標値、Z座標値は、それぞれ、ロタンダ4の回転軸CL1の位置である原点(0,0,0)からの距離(例えば単位〔mm〕)を示す。この例では、X座標値は
図1において原点(0,0,0)より右側を正の値とし、左側を負の値とする。また、Y座標値は原点(0,0,0)に対しターミナルビル2と反対方向を正の方向とし、Z座標値は原点(0,0,0)より上方向を正の方向とする。制御装置50は、航空機3及び旅客搭乗橋1の各部の位置を、上述の3次元直交座標系(XYZ直交座標系)を用いた位置座標として表現する。
【0043】
図2において、直線100は、ロタンダ4とトンネル部5との接続部(CL4)からトンネル部5の伸縮方向に伸ばした直線を示し、走行装置10(2つの走行車輪9)の中心点P2から直線100までの距離を、伸縮可能な昇降装置8の長さLAとして昇降センサ27により検出することができる。
【0044】
制御装置50は、キャブ6の中心点P1から先端部6aの基準点6Pまでの距離LB(所定値)と、キャブ6の中心点P1からトンネル部5の先端までの距離LC(所定値)と、トンネル部5の先端からドライブコラム7の取付位置までの距離LD(所定値)と、ロタンダ4の中心点からトンネル部5の接続部(水平回転軸CL4の位置)までの距離LR(所定値)と、上記接続部の高さHR(所定値)と、走行車輪9の半径HW(所定値)と、基準点6Pと直線100との高低差LGとを予め記憶部に記憶している。トンネル部5の基端(上記接続部)からドライブコラム7の取付位置までの距離LEは、トンネル長さセンサ28で検出されるトンネル部5の長さLFから距離LDを減じることにより算出できる。
【0045】
ここで、トンネル長さセンサ28の検出値LFを用いて算出できる距離LEと、昇降センサ27により検出される昇降装置8の長さLAとが決まれば、ロタンダ4の中心点から走行装置10の中心点P2までの水平距離L2及び走行装置10の中心点P2の高さ(Z座標値=HWで一定)は一意に決まる。同様に、ロタンダ4の中心点からキャブ6の中心点P1までの水平距離L1及びキャブ6の中心点P1の高さ(Z座標値)も一意に決まる。さらに、ロタンダ4の回転角度φrが決まれば、走行装置10の中心点P2及びキャブ6の中心点P1の各XY座標値が一意に決まる。この結果、走行装置10の中心点P2及びキャブ6の中心点P1の位置座標が一意に決まる。さらに、キャブ用角度センサ25で検出されるキャブ回転角度φcが決まれば、キャブ6の先端部6aの基準点6Pの位置座標も一意に決まる。
【0046】
よって、制御装置50は、トンネル長さセンサ28の検出値LFと昇降センサ27の検出値LAとロタンダ用角度センサ24の検出値φrとを逐次取得し、これらから順運動学に基づいて、走行装置10の中心点P2の位置座標及びキャブ6の中心点P1の位置座標を算出することができる。また、制御装置50は、前述の検出値LF,LA、φrに加えてキャブ回転角度φcも逐次取得するので、順運動学に基づいて、キャブ6の先端部6aの基準点6Pの位置座標も算出することができる。なお、キャブ6を回転軸線CL3方向の上方から見て、キャブ6の基準点6Pと中心点P1とを結ぶ線分と、トンネル部5の中心線Edとのなす角度が、キャブ回転角度φcとなるように、キャブ6の基準点6Pが定められている。そして、キャブ6の基準点6Pと中心点P1とを通る直線と、キャブ6の先端部6aに沿った直線とが直交している。
【0047】
次に、旅客搭乗橋1の動作の一例について説明する。
航空機3がエプロンに到着していないときには、旅客搭乗橋1は
図1の二点鎖線で示される所定の待機位置で待機している。航空機3の正規の停止位置は、航空機3の機軸が機体誘導ラインAL上で、かつ、機体誘導ラインALの延伸方向において定められた所定の位置である。航空機3は、正規の停止位置を目標にして停止されるが、実際の停止位置が正確に正規の停止位置になるとは限らない。なお、機体誘導ラインALは、エプロンの地面上に描かれている。また、機体誘導ラインALがX軸となす角度αは、所定値として、予め制御装置50の記憶部に記憶されている。
【0048】
旅客搭乗橋1の待機位置は、旅客搭乗橋1を航空機3の乗降部3A(ドア3a)に装着する際に移動の起点となる移動開始位置である。旅客搭乗橋1が航空機3の乗降部3Aに装着される際には、キャブ6が待機位置(
図1の二点鎖線で示された位置)から一時停止位置(
図1の実線で示された位置)へ移動し、その後、装着位置へ移動することによりキャブ6が乗降部3Aに装着される。そして、キャブ6が乗降部3Aから離脱したときには待機位置に戻って停止し、次の航空機の乗降部への装着動作が開始されるまで、待機位置で待機している。なお、キャブ6が航空機3から離脱して待機位置へ戻る際に、走行装置10の目標とする待機位置における走行装置10の中心点P2の位置座標は、予め制御装置50に記憶されている。
【0049】
ここでは、旅客搭乗橋1の動作が制御装置50による制御によって自動的に行われる自動制御の場合について、まず、その概略を説明する。
図7は、旅客搭乗橋1のキャブ6を航空機3へ装着する時の動作の概略の一例を示すフローチャートである。この動作は、制御装置50の制御によって実現される。
【0050】
旅客搭乗橋1(キャブ6)が待機位置において、オペレータが操作盤31の自動制御のスタートボタン(操作スイッチ33の一つ)を押すことにより、以下の自動制御が開始される。
【0051】
上記のスタートボタンが押されると、制御装置50は、待機位置にあるキャブ6を一時停止位置へ移動させるための制御量の算出処理を行う(ステップS1)。このステップS1では、制御装置50は、まず、第1,第2カメラ21,22に航空機3の乗降部3A(ドア3a)を撮影させる。
図9は、キャブ6が待機位置での第1カメラ21の撮影画像の一例を示す概略図である。航空機3では、ドア3aが視認できるようにドア3aの輪郭部分にペイントが施されている(ペイント部分41)。
図9の撮影画像A1におけるx及びy軸はカメラ座標系を示す。
【0052】
続いて、制御装置50は、2つのカメラ21,22の撮影画像データを取得し、これらの撮影画像データから画像処理を行ってドア3aの基準点3Pを検出し、所定の演算式に基づいて航空機3のドア3aの基準点3Pの位置座標を算出する。このとき、ドア3aの輪郭のペイント部分41や補強プレート3cの形状等に基づいてドア3a及びそのドア3aの基準点3Pを検出することができる。ドア3aの基準点3Pは、
図9に示すようにドアシルの中央部である(またはドア3aの直下に設けられている補強プレート3cの上端中央部としてもよい)。
【0053】
さらに、制御装置50は、ドア3aの基準点3Pの位置座標を算出した後、一時停止位置におけるキャブ6の先端部6a(バンパー62)の基準点6Pの目標位置座標を算出する。このキャブ6の基準点6Pの目標位置は、平面視において、キャブ6の先端部6aが機体誘導ラインALと平行となり、概ねドア3aから所定距離(例えば1000mm)前方の所定位置となるように定められる。より詳しくは、キャブ6の基準点6Pの目標位置は、例えば、高さがドア3aの基準点3Pと同じ位置で、水平位置がドア3aの基準点3Pに対して機体誘導ラインALと平行方向の距離及び垂直方向の距離がそれぞれ予め定められた距離となる位置として定められる。そして、一時停止位置におけるキャブ6が、平面視において、その先端部6aが機体誘導ラインALと平行となる姿勢になるときの、キャブ6の絶対角度θcの値(θc1)を算出する。キャブ6の絶対角度θcは
図1に示すようにX軸の正方向を基準として計算されるキャブ6の回転角度である。そして、制御装置50は、一時停止位置におけるキャブ6の基準点6Pの目標位置座標と、キャブ6の絶対角度θc1とを用いて、逆運動学に基づく計算を行うことにより、一時停止位置における走行装置10の中心点P2の目標位置座標と、昇降装置8の目標長さLA1(昇降装置8の長さLAの目標値)と、キャブ回転角度φcの目標回転角度φc1とを算出する。
【0054】
次に制御装置50は、ステップS2のキャブ6の一時停止位置への移動処理を行う。この移動処理では、キャブ6を待機位置から一時停止位置へ移動させる。つまり、制御装置50は、走行装置10の中心点P2がステップS1により算出された目標位置座標となるように走行装置10を走行動作させるとともに、昇降装置8の長さLAが目標長さLA1となるように昇降装置8を伸縮動作させるとともに、キャブ回転角度φcが目標回転角度φc1となるようにキャブ回転装置6Rを駆動させることにより、キャブ6を待機位置から一時停止位置へ移動させる。
【0055】
次に制御装置50は、キャブ6が一時停止位置において、ステップS3のキャブ回転処理を行う。このキャブ回転処理では、制御装置50は、キャブ6が一時停止位置で停止しているときに、一対の各々の距離センサ23で計測されるキャブ6の先端部6aと航空機3との距離が等しくなるようにキャブ回転装置6Rを駆動させる。つまり、平面視において、キャブ6の先端部6aを、航空機3のキャブ6が装着される部分(ドア3a及びその近傍部分)の表面の水平方向に延びる接線TLと平行にする。
【0056】
次に制御装置50は、一時停止位置にあるキャブ6を装着位置へ移動させるための制御量の算出処理を行う(ステップS4)。このステップS4では、制御装置50は、まず、第1カメラ21に航空機3の乗降部3A(ドア3a)を撮影させる。続いて、制御装置50は、撮影したカメラ21の撮影画像データを取得し、この撮影画像データと、距離センサ23で計測されたキャブ6の先端部6aと航空機3との距離等に基づいて、航空機3のドア3aの基準点3Pの位置座標を算出する。ここで、算出したドア3aの基準点3Pの位置座標は、近距離で撮影した画像データを用いるとともに、距離センサ23により正確な距離が計測できているので、ステップS1で算出したものに比べて精度が高い。
【0057】
さらに、制御装置50は、ドア3aの基準点3Pの位置座標を算出した後、装着位置におけるキャブ6の先端部6a(バンパー62)の基準点6Pの目標位置座標を算出する。このキャブ6の基準点6Pの目標位置は、平面視において、キャブ6の先端部6aが上記接線TLと平行となり、概ねドア3aから所定距離(例えば20mm)前方の所定位置となるように定められる。より詳しくは、キャブ6の基準点6Pの目標位置は、例えば、高さがドア3aの基準点3Pよりやや下方の位置で、水平位置がドア3aの基準点3Pに対して上記接線TLと平行方向の距離及び垂直方向の距離がそれぞれ予め定められた距離となる位置として定められる。そして、装着位置におけるキャブ6が、平面視において、その先端部6aが上記接線TLと平行となる姿勢になるときの、キャブ6の絶対角度θcの値(θc2)を算出する。そして、制御装置50は、装着位置におけるキャブ6の基準点6Pの目標位置座標と、キャブ6の絶対角度θc2とを用いて、逆運動学に基づく計算を行うことにより、装着位置における走行装置10の中心点P2の目標位置座標と、昇降装置8の目標長さLA2(昇降装置8の長さLAの目標値)と、キャブ回転角度φcの目標回転角度φc2とを算出する。
【0058】
次に制御装置50は、ステップS5のキャブ6の装着位置への移動処理を行う。この移動処理では、キャブ6を一時停止位置から装着位置へ移動させる。ここで、制御装置50は、例えば、昇降装置8の長さLAが目標長さLA2となるように昇降装置8を伸縮動作させ、キャブ回転角度φcが目標回転角度φc2となるようにキャブ回転装置6Rを駆動させる。その後、走行装置10の中心点P2がステップS4により算出された目標位置座標となるように走行装置10を走行動作させる。ここで、走行装置10は、その中心点P2が目標位置座標に向かうように走行動作させ、前述のように中心点P2が目標位置座標に到達した時点で停止させるようにしてもよいし、走行中に距離センサ23で計測されるキャブ6の先端部6aと航空機3との距離が所定距離になった時点で停止させるようにしてもよい。以上により、キャブ6の航空機3の乗降部3Aへの自動装着が完了する。
【0059】
さらに、制御装置50は、ステップS6で、レベル検出装置64を動作させるとともにクロージャ63を動作させて蛇腹部を展開させる。ここで、レベル検出装置64の動作とクロージャ63の動作とはどちらが先に行われてもよい。
【0060】
この後、オペレータ等によって、航空機3のドア3aが開かれる。上記のように、本例では、キャブ6の乗降部3Aへの装着が自動制御によって行われ、さらにクロージャ63及びレベル検出装置64の動作も自動制御によって行われる。
【0061】
なお、自動制御によってキャブ6を航空機3の乗降部3Aへ装着する方法は、上記に述べた方法に限られない。例えば、ステップS1において、待機位置におけるキャブ6の位置座標及び姿勢(回転角度)に対する一時停止位置におけるキャブ6の位置座標及び姿勢(回転角度)の差分を算出し、その差分を補うための走行装置10の走行距離及び走行方向、昇降装置8の昇降量、キャブ6の回転量を算出するようにし、これらに基づいて、ステップS2で、走行装置10、昇降装置8及びキャブ回転装置6Rを動作させるようにしてもよい。同様に、ステップS4において、一時停止位置におけるキャブ6の位置座標及び姿勢(回転角度)に対する装着位置におけるキャブ6の位置座標及び姿勢(回転角度)の差分を算出し、その差分を補うための走行装置10の走行距離及び走行方向、昇降装置8の昇降量、キャブ6の回転量を算出するようにし、これらに基づいて、ステップS5で、走行装置10、昇降装置8及びキャブ回転装置6Rを動作させるようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、上記自動制御中にさらに種々の判定処理が行われる。
図8は、旅客搭乗橋1の自動制御中に行われる種々の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS11では、制御装置50は、まず、キャブ6が待機位置において、前述のステップS1で第1カメラ21によって撮影した撮影画像A1(
図9参照)を用いて、ドア3aの第1の特徴部r1及び第2の特徴部r2を検出し、カメラ座標系における位置であるxy座標を求める(移動前ドア幅算出部52の前半部の機能)。なお、制御装置50は、
図9の撮影画像A1において、所定の位置(例えば左上の角部)を原点(0,0)としてxy直交座標系を定めている。撮影画像A1上の任意の点のx座標値及びy座標値は、原点(0,0)から数えたピクセル値で表される。例えば、
図9では、撮影画像A1の左上の角部の原点よりも右方の位置になるほどx座標値が増加し、同原点よりも下方の位置になるほどy座標値が増加する。
【0064】
第1の特徴部r1は、ドア3aのペイント部分41の左下側のコーナー部の曲線部分とそのコーナー部から上に延びる直線部分との境界点である。第2の特徴部r2は、本例では、ドア3aの基準点3Pと同じドアシルの中央部である。第1及び第2の特徴部r1、r2は、互いにドア3aの幅方向(左右方向)に離れてドア3aの周囲に存在する部分であり、ドア3aの左右方向及び上下方向において互いに異なる所定の位置関係(N)を有している。所定の位置関係(N)とは、ここでは、第2の特徴部r2が第1の特徴部r1より低い位置にあり、第2の特徴部r2が第1の特徴部r1より右側の位置にあるという関係である。
【0065】
続いて制御装置50は、画像上で求めた第1及び第2の特徴部r1、r2の位置関係が正常な位置関係(所定の位置関係(N))であるか否かを判定する(画像判定部51の機能)。ここで、第1の特徴部r1のxy座標を(x1,y1)とし、第2の特徴部r2のxy座標を(x2,y2)とした場合に、x2>x1であり、かつ、y2>y1である場合、すなわち所定の位置関係(N)である場合に、第1及び第2の特徴部r1、r2の位置関係が正常であると判定し、それ以外の場合は正常ではないと判定し、自動制御を中止し、報知部にシステム異常を報知させる(ステップS21)。この報知部は、文字等で異常を報知する表示装置34であってもよいし、操作盤31に設けられてブザー音や音声等で異常を報知する音響出力部(図示せず)であってもよい。以降に記載された「報知部」についても同様である。
【0066】
次にステップS12では、制御装置50は、第1カメラ21の撮影画像A1上での第1及び第2の特徴部r1、r2のx座標の差分(x2-x1)を用いて実際のドア3aの幅を算出して記憶しておく(移動前ドア幅算出部52の後半部の機能)。待機位置では、前述のように2台のカメラ21,22で乗降部3Aを撮影しているので、三角測量などによりキャブ6と乗降部3Aとの距離を算出することができる。この距離と上記差分(x2-x1)を2倍した値とを所定の演算式に代入することでドア3aの幅を算出することができる。
【0067】
次にステップ13では、制御装置50は、キャブ6が一時停止位置において、前述のステップS4で第1カメラ21によって撮影した撮影画像を用いて、ドア3aの第1の特徴部r1及び第2の特徴部r2を検出してこれらのxy座標を求める(装着前ドア幅算出部53の前半部の機能)。続いて、ステップS11の場合と同様にして、第1及び第2の特徴部r1、r2の位置関係が正常であるか否かを判定する(画像判定部51の機能)。正常ではないと判定した場合は、自動制御を中止し、報知部にシステム異常を報知させる(ステップS21)。
【0068】
次にステップ14では、制御装置50は、一時停止位置において撮影した第1カメラ21の撮影画像上での第1及び第2の特徴部r1、r2のx座標の差分を用いて実際のドア3aの幅を算出する(装着前ドア幅算出部53の後半部の機能)。一時停止位置では、前述のように距離センサ23によってキャブ6と乗降部3Aとの距離を計測することができる。この距離と上記差分を2倍した値とを所定の演算式に代入することでドア3aの幅を算出することができる。
【0069】
次にステップ15では、制御装置50は、ステップS12で算出したドア3aの幅とステップS14で算出したドア3aの幅との誤差を算出し、その誤差が所定の許容範囲内か否かを判定する。制御装置50は、上記誤差が許容範囲内ではないと判定した場合には、自動制御を中止し、報知部にシステム異常を報知させる(ステップS21)。上記許容範囲は、誤差がその範囲内であればステップS11とS13で検出対象となったドア3aが同一のものであると認めることができる狭い範囲に設定されている。
【0070】
制御装置50は、上記誤差が許容範囲内であると判定した場合には、ステップS14で算出したドア3aの幅がドアとして妥当な幅であるか否かを判定する(ステップS16)。ここで、制御装置50は、妥当な幅ではないと判定した場合には、自動制御を中止し、報知部にシステム異常を報知させる(ステップS21)。
【0071】
次にステップ17では、制御装置50は、ステップS14で算出したドア3aの幅が所定幅以上であるか否かを判定する(ドア幅判定部54の機能)。
【0072】
上記のステップS16、S17の処理の意味について説明する。例えば、ステップS14で算出したドア3aの幅をW、小型航空機のドアの幅よりも少し小さい所定値をt1、中型航空機のドアの幅と大型航空機のドアの幅との間の所定値(上記所定幅)をt2とする。ステップS16では、ドア3aの幅Wが所定値t1より大きいか否かを判定し、ドア3aの幅Wが所定値t1より大きい場合にはドアとして妥当な幅であると判定するようにしている。つまり、ドア3aの幅Wが所定値t1以下の場合には、航空機のドアとして妥当な幅ではなく、画像処理等においてドアの認識に誤りがあったと考えられる。また、ステップS17では、ステップS16の判定がYesの場合に、ドア3aの幅Wが所定幅t2以上であるか否かを判定し、これはドア3aが大型航空機のドアであるか否かを判定するものである。
【0073】
つまり、ステップS17の判定がYesの場合には、ドア3aが大型航空機のドアであることを認識し、ステップS17の判定がNoの場合には、ドア3aが小型又は中型航空機のドアであることを認識するものである。
【0074】
ステップS17の判定がYesの場合には、制御装置50は、キャブ6が航空機3の乗降部3Aに装着されると、レーザ変位計20を動作させる(ステップS18)。レーザ変位計20は、その検出領域20Aが予め決められている。
【0075】
図10は、レーザ変位計20の検出領域20A(
図5も参照)を示す図である。
図10に示されたドア3aは大型航空機のドアである。二点鎖線で示されたドア3aは開かれた状態を示す。ドア3aの周囲には機体との間に溝(隙間)3gがある。レーザ変位計20は、大型航空機のドア3aの右側の縁部と機体との間の溝3gを検出するものであり、溝3gが検出されたか否かの検出結果が制御装置50へ出力される。ここで、キャブ6が大型航空機の乗降部3Aに正常に装着された場合(ドア3aを円滑に開放できる状態に装着された場合)には、検出領域20A内に溝3gが検出されるように、検出領域20Aが設定されている。つまり、ここでは、航空機のドア3aの右側の縁部に沿った溝3gが検出領域20A内にある状態がドア3aを円滑に開放できる状態であり、検出領域20Aが許容領域になっている。
【0076】
制御装置50は、レーザ変位計20の検出結果に基づいてドア3aを円滑に開放できるか否かを判定する(ドア開放判定部55の機能)。具体的には、制御装置50は、ステップS19では、レーザ変位計20によって溝3gが検出されたか否かを判定し、溝3gが検出されなければ、キャブ6が乗降部3Aに正常に装着されていないためドア3aを円滑に開放できないと判定し、自動制御を中止し、報知部に装着異常を報知させる(ステップS22)。
【0077】
一方、レーザ変位計20によって検出領域20Aに溝3gが検出されると、制御装置50は、キャブ6が乗降部3Aに正常に装着されておりドア3aを円滑に開放できると判定し、次のステップS6を行って自動制御を終了する。このステップS6は、
図7で説明した通りである。
【0078】
また、ステップS17の判定がNoの場合には、ドア3aが小型又は中型航空機のドアであり、このような小型又は中型のドアの場合にはシビアな装着精度を要求されることもないので、制御装置50は、ステップS6を行って自動制御を終了する。
【0079】
上記のステップS19では、レーザ変位計20の検出領域20Aに溝3gが存在するか否かによって判定しているが、溝3gの位置を示す数値で検出し、その数値が許容範囲内であるか否かによって判定するようにしてもよい。
【0080】
ステップS21で自動制御が中止された後は、オペレータの手動制御によってキャブ6が航空機3に装着された後、レベル検出装置64及びクロージャ63の作動が行われる。
【0081】
また、ステップS22で自動制御が中止された後は、オペレータの手動制御によってキャブ6の航空機3への装着のやり直しが行われた後、レベル検出装置64及びクロージャ63の作動が行われる。ここで、キャブ6の航空機3への装着のやり直しが行われたときに、手動操作によってレーザ変位計20を作動させるようにしてもよい。そして、レーザ変位計20の検出結果に基づいて制御装置50がキャブ6が正常に装着できているか否か(ドア3aを円滑に開放できるか否か)を判定し、この判定結果を表示装置34等の報知部に報知させ、オペレータが確認できるようにしてもよい。
【0082】
本実施形態では、ステップS11,S13,S15,S16の判定処理によって、ドア3a等を認識する画像認識を含む画像処理の誤り等を検出することができる。
【0083】
また、航空機3が大型航空機である場合、すなわちドア3aが大型である場合に、キャブ6を乗降部3Aに自動装着した後、ドア3aが開けられる前に、レーザ変位計20を作動させるようにしている。そして、レーザ変位計20の検出結果に基づいて制御装置50がドア3aを円滑に開放できるか否かを判定し、円滑に開放できないと判定したときには、その旨(装着異常の旨)を報知するようにしているので、オペレータの手動制御によってキャブ6の航空機3への装着のやり直しが行われ、大型航空機のドアを開いたときのドアとキャブとの干渉を防止することができる。
【0084】
〔変形例〕
上記では、自動制御によってキャブ6を航空機3の乗降部3Aに装着する場合を例示したが、ここでは、手動制御によってキャブ6を乗降部3Aに装着する場合について説明する。
【0085】
手動制御の場合、オペレータが操作装置30を操作することにより、走行装置10の走行動作、昇降装置8の昇降動作、及びキャブ回転装置6Rの回転動作を行うことができる。この手動制御の場合に、待機位置において、装着対象の航空機3の機種情報が制御装置50に入力されると、例えば昇降装置8の昇降量(昇降装置8の長さLA)がキャブ装着時のキャブ6の高さに応じた昇降量に自動で設定できるように構成されている場合がある。このような構成において、制御装置50に入力された機種情報が大型の航空機の場合に、制御装置50は、キャブ6が航空機3に装着された後、ドア3aが開けられる前に、レーザ変位計20を作動させて、レーザ変位計20によって溝3gが検出されなければ、表示装置34等の報知部に装着異常を報知させるようにしてもよい。
【0086】
例えば、制御装置50の記憶部に予め機種対応情報を記憶している。この機種対応情報は、航空機の複数の機種について、機種ごとに、予め決められたキャブ装着時の昇降装置8の昇降量(昇降装置8の長さLA)の情報と、ドアの幅が前述の所定幅t2以上の大型の航空機(大型のドア)であるか否かの情報と、が関連付けられてなる情報である。
【0087】
そして、待機位置において、オペレータが操作装置30を操作して装着対象の航空機の機種情報を入力し、プリセットボタンを押す。オペレータによる機種情報の入力は、例えば、表示装置34に複数の機種名を表示し、その中からオペレータが1つの機種を選択することにより、行われるようにしてもよい。そして、プリセットボタンが押されると、制御装置50は、機種対応情報を参照し、入力された機種(機種情報)に応じたキャブ装着時の昇降量となるように昇降装置8を昇降動作させる。この後、オペレータは操作装置30を操作してキャブ6を航空機3の乗降部3Aに装着する。
【0088】
さらにこの後、オペレータは操作装置30を操作して、クロージャ63を伸長動作させて蛇腹部を展開させ、レベル検出装置64を動作させる。なお、クロージャ63の伸長動作とレベル検出装置64の動作とはどちらが先に行われてもよい。
【0089】
ここで、制御装置50は、機種対応情報を参照して、待機位置において入力された機種情報から航空機3が大型の航空機であるか否か(すなわち、ドア3aの幅が所定幅t2以上であるか否か)を識別する(ドア幅識別部としての機能)。そして、航空機3が大型の航空機である場合には、操作装置30からの操作信号に基づいて、クロージャ63の伸長動作が開始されたとき、または、レベル検出装置64の動作が開始されたときに、レーザ変位計20を作動させる。そして、制御装置50は、レーザ変位計20によって溝3gが検出されなければ、キャブ6が乗降部3Aに正常に装着されていないためドア3aを円滑に開放できないと判定し、報知部に装着異常を報知させる。これにより、オペレータは、装着のやり直しを行うので、大型航空機のドアを開いたときのドアとキャブとの干渉を防止することができる。なお、レーザ変位計20を作動させるタイミングは、レベル検出装置64の動作が開始されたときに代えて、レベル検出装置64の動作が開始されてレベル検出装置64の接触リミットスイッチがオンしたときにレーザ変位計20を作動させるようにしてもよい。また、クロージャ63の伸長動作が開始されたときに代えて、クロージャ63の伸長動作の停止信号(伸長動作の終了)に基づいてレーザ変位計20を作動させるようにしてもよい。以上のように、手動制御によるクロージャ63の伸長操作および手動制御によるレベル検出装置の動作開始操作の少なくともいずれか一方の操作に基づいて、レーザ変位計20を作動させるようにしてもよい。
【0090】
なお、機種対応情報として、さらに、航空機の各機種に応じたキャブ装着時のキャブ6の回転角度(φc)を記憶しておいて、上記プリセットボタンが押されると、制御装置50は、機種対応情報を参照し、入力された機種(機種情報)に応じたキャブ装着時のキャブ6の回転角度となるようにキャブ回転装置6Rを回転動作させるようにしてもよい。
【0091】
また、上記では、制御装置50への機種情報の入力をオペレータが行うようにしたが、これに代えて、次のようにしてもよい。制御装置50は、待機位置において、VDGS(Visual Docking Guidance System)またはFIDS(Flight Information Display System)等の外部装置から装着対象の航空機の機種情報を入力(受信)する。この場合、オペレータの操作装置30の操作により走行装置10の走行が開始されると、この走行開始と同時に、制御装置50は、前述の機種対応情報を参照し、入力された機種(機種情報)に応じたキャブ装着時の昇降量となるように昇降装置8を昇降動作させる。続いて、オペレータが操作装置30を操作してキャブ6を航空機3の乗降部3Aに装着する。
【0092】
この場合も、前述同様、制御装置50は、機種対応情報を参照して、待機位置において入力された機種情報が大型の航空機である場合には、クロージャ63の伸長動作が開始されたとき、クロージャ63の伸長動作が終了したとき、レベル検出装置64の動作が開始されたとき、または、レベル検出装置64の動作が開始されてレベル検出装置64の接触リミットスイッチがオンしたときなど、手動制御によるクロージャ63の伸長操作および手動制御によるレベル検出装置の動作開始操作の少なくともいずれか一方の操作に基づいて、レーザ変位計20を作動させるようにすればよい。
【0093】
また、例えば、旅客搭乗橋1の全ての動作がオペレータの操作に基づいて行われる場合も含め、操作装置30にレーザ変位計20の作動ボタンを設けておいて、大型の航空機である場合には、キャブ6を乗降部3Aに装着した後、ドア3aを開くまでの間に、オペレータが上記作動ボタンを操作してレーザ変位計20を作動させるようにしてもよい。
【0094】
上記の変形例を含め、本実施形態では、航空機3が大型航空機の場合に、レーザ変位計20によって、航空機3のドア3aの右側の縁部の溝3gが許容領域(検出領域20A)内にあるか否かを検出することによって、ドア3aを円滑に開放できるか否かを判定するようにしたが、これに限らない。例えば、レーザ変位計によって、航空機3のドア3aの左側の縁部の溝3gがその許容領域内にあるか否かを検出することによって、ドア3aを円滑に開放できるか否かを判定するようにしてもよい。あるいは、レーザ変位計によって、航空機3のドア3aの幅方向の両側(右側及び左側)の縁部の溝3gの両方がそれぞれの許容領域内にあるか否かを検出することによって、ドア3aを円滑に開放できるか否かを判定するようにしてもよい。
【0095】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、大型航空機のドアを開いたときのドアとキャブとの干渉を防止することができる旅客搭乗橋等として有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 旅客搭乗橋
3 航空機
3A 乗降部
3a ドア
3g 溝
4 ロタンダ
5 トンネル部
6 キャブ
6R キャブ回転装置
8 昇降装置
10 走行装置
20 レーザ変位計
21 第1カメラ
50 制御装置
51 画像判定部
52 移動前ドア幅算出部
53 装着前ドア幅算出部
54 ドア幅判定部
55 ドア開放判定部
63 クロージャ
64 レベル検出装置
r1 第1の特徴部
r2 第2の特徴部