(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】誘導灯
(51)【国際特許分類】
F21S 9/02 20060101AFI20240322BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240322BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240322BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240322BHJP
【FI】
F21S9/02 120
F21V23/00 160
F21V23/00 170
F21Y115:10
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2019180892
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-05-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【氏名又は名称】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】世良 大志郎
(72)【発明者】
【氏名】冨山 和也
(72)【発明者】
【氏名】川越 真
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-023671(JP,A)
【文献】特開2018-129151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/02
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側が開口された箱形で、
内側に取付機構を有し、前面側からの正面視において中央に設けられた配線孔
と、前記正面視において左右方向の一端側に設けられた端子台とを有する本体と;
前記本体
の前記取付機構に取り付けられる枠体、この枠体に配置される表示パネル、この表示パネルを照明する光源、前記枠体の内側
であり前記正面視において左右方向の他端側に配置される電源部およびバッテリを有し、前記枠体の内側に前記電源部および前記バッテリが配置される部品配置領域と前記枠体が前記本体に取り付けられた状態で前記配線孔が連通する空間領域とが設けられ、前記本体に取り付けられることで前記本体の前面側の開口を塞ぐ表示ユニットと;
を備え、前記正面視において前記端子台は前記空間領域と重なる位置に設けられる
ことを特徴とする誘導灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源部およびバッテリを内蔵する誘導灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘導灯は、本体と、この本体内に配置された光源、電源部およびバッテリと、これら光源、電源部およびバッテリを覆って本体に取り付けられる表示パネルを有する枠体とを備えている。この誘導灯を施工する場合、ねじ止め用の工具を用いて、本体の内側から本体を設置面にねじ止めして取り付けている。
【0003】
しかし、誘導灯の施工時には、本体を設置面にねじ止めするために、本体から光源などの部品を取り外さなければならず、また、ねじ止め操作する工具が本体内の電源部やバッテリと干渉し、操作しにくい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、施工性を向上できる誘導灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の誘導灯は、本体と表示ユニットを備える。本体は、前面側が開口された箱形で、内側に取付機構を有し、前面側からの正面視において中央に設けられた配線孔と、正面視において左右方向の一端側に設けられた端子台とを有する。表示ユニットは、本体の取付機構に取り付けられる枠体、この枠体に配置される表示パネル、この表示パネルを照明する光源、枠体の内側であり正面視において左右方向の他端側に配置される電源部およびバッテリを有し、枠体の内側に電源部およびバッテリが配置される部品配置領域と枠体が本体に取り付けられた状態で配線孔が連通する空間領域とが設けられ、本体に取り付けられることで本体の前面側の開口を塞ぐ。端子台は、正面視において空間領域と重なる位置に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の誘導灯によれば、施工性が向上することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態を示す誘導灯の斜視図である。
【
図2】同上誘導灯の本体と表示ユニットの分解状態の斜視図である。
【
図5】同上表示ユニットのバッテリを外した斜視図である。
【
図10】第2の実施形態を示す表示ユニットの背面図である。
【
図11】第3の実施形態を示す誘導灯の分解状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、
図1ないし
図9を参照して説明する。
【0010】
図1および
図2に誘導灯10を示す。誘導灯10は、被設置面である天井面および壁面のいずれにも選択的に設置可能とする片面表示形誘導灯である。
【0011】
誘導灯10は、被設置面に設置される本体ユニット11、この本体ユニット11の主面である前面側に配置される表示ユニット12、および本体ユニット11に対して表示ユニット12を着脱可能に取り付ける取付機構13などを備えている。なお、本実施形態の誘導灯10では、天井面に取り付けられる面を上面、この上面に対して反対側を下面、壁面に取り付けられる面を背面(後面)、背面に対して反対側を前面(正面)、これら上下面および前後面に交差する幅方向の両側面を左右の側面として説明する。
【0012】
そして、
図1ないし
図3に示すように、本体ユニット11は、本体ケースである本体20、この本体20内に配置される補強部材21、および端子台22などを備えている。
【0013】
本体20は、樹脂製で、上面部20a、下面部20b、左右の側面部20c、および背面部20dを有し、前面を開口した箱形に一体に形成されている。本体20の前面側は、表示ユニット12が取り付けられる表示ユニット取付面aである。
【0014】
本体20の上面部20aには、天井面に取り付けられる複数の取付孔24、および天井面側からの配線である電源ケーブルを引き込むための配線孔25が設けられている。本体20の背面部20dの上部側にも、同様に、壁面に取り付けられる複数の取付孔26、および壁面からの配線である電源ケーブルを引き込むための配線孔27が設けられている。配線孔25,27は本体20の左右方向の中央に設けられている。下面部20bの前側中央領域は切欠部28が設けられている。
【0015】
また、補強部材21は、金属製であり、金属板を折曲して一体に形成されている。補強部材21は、本体20の内側面に沿ってそれぞれ配置される上面部21a、下面部21b、左右の側面部21c、および背面部21dを有している。
【0016】
補強部材21の上面部21aには、本体20の上面部20aの取付孔24および配線孔25の各位置に対応して取付孔30および配線孔31が形成されている。補強部材21の背面部21dの上部側には、本体20の背面部20dの取付孔26および配線孔27の各位置に対応して取付孔32および配線孔33が形成されている。
【0017】
補強部材21の下面部21bは、左右の側面部の下部側から互いに対向するように折曲されているが、本体20の下面部20bの切欠部28までの小さい幅に形成されている。補強部材21の下面部21bは、取付機構13によって本体ユニット11に取り付けられる表示ユニット12を支持する支持部34として構成されている。
【0018】
補強部材21の左右の側面部21cには、取付機構13の本体20側の構成が設けられている。
【0019】
また、端子台22は、補強部材21の背面部の前面側で上部側左寄りの位置に取り付けられ、本体20内に収容されている。端子台22は、取付状態で、下面側に本体20内に引き込まれる電源ケーブルが差し込み接続される外部接続部36が設けられ、上面側に表示ユニット12側と電気的に接続するためのコネクタ付の端子台側接続ケーブルが差し込み接続される内部接続部37が設けられている。
【0020】
次に、
図1、
図2、
図4ないし
図6に示すように、表示ユニット12は、本体20の表示ユニット取付面aに対して垂直な方向である前方から組み合わされて取り付けられる。
表示ユニット12は、枠体40、この枠体40の前面側に配置される表示パネル41および導光板42(
図7ないし
図9参照)、枠体40の背面側に取り付けられる補強部材でもある取付部材43、枠体40の上面側に取り付けられる光源44、取付部材43の背面側に取り付けられる電源部45およびバッテリ46などを備えている。
【0021】
枠体40は、四角形枠状に形成され、本体20の前面側に嵌合されて取り付けられる。枠体40は、枠状の前面部40a、下面部40b、両側の側面部40cおよび背面部40dを有している。枠体40の前面部40aには、表示パネル41が臨む開口部48が設けられている。枠体40の両側の側面部40cの上部側には、本体20の両側の側面部20cの内側に挿入されるガイド部49が突設されている。枠体40の下面部40bは本体20の下面部20b上に挿入され、この枠体40の下面部40bの左右両側部が補強部材21の下面部21b上つまり本体ユニット11の支持部34上に載って支持される。この下面部40bには点検用の窓部50が開口形成されている。なお、本体20と枠体40とで誘導灯10の筐体が構成される。
【0022】
また、表示パネル41は、透光性を有し、誘導表示のピクトグラムが表示されている。表示パネル41は、枠体40の前面部40aの背面側に枠体40の上面側から挿入され、前面部40aの開口部48を背面側から覆って配置されている。
【0023】
また、導光板42は、例えばアクリルなどの透明な樹脂製で平板状に設けられている。導光板42は、枠体40に配置される表示パネル41と枠体40の背面部40dとの間に枠体40の上面側から挿入され、表示パネル41の背面側に対向配置されている。導光板42は、光源44からの光を入射して表示パネル41に導くものである。
【0024】
また、取付部材43は、金属製の平板状に形成されている。取付部材43は、枠体40の背面側に取り付けられている。取付部材43には、電源部45およびバッテリ46が取り付けられるとともに、取付機構13の表示ユニット12側の構成が設けられている。
【0025】
また、光源44は、導光板42を介して表示パネル41を照明する。光源44は、発光モジュール52、およびこの発光モジュール52を保持するホルダ53を備えている。光源44は、横長に設けられ、発光モジュール52からの光が導光板42の上面側に入射するようにホルダ53によって枠体40の上面側に取り付けられている。
【0026】
発光モジュール52は、光源基板52a、およびこの光源基板52aに実装された発光素子を有している。発光素子は、LEDや有機ELなどの半導体発光素子が用いられている。
光源基板52aの一側には電源部45上に突出するコネクタ実装部52bが設けられ、このコネクタ実装部52bに電源部45と電気的に接続される図示しないコネクタが実装されている。
【0027】
ホルダ53は、発光モジュール52を上下方向から挟み込んで保持し、幅方向の両端部に設けられたホルダ取付部54によって筐体40に取り付けられている。
【0028】
また、電源部45は、図示しない電源回路部、およびこの電源回路部を収容する電源ケース56を備えている。
【0029】
電源回路部は、電源基板、およびこの電源基板に実装された各種の電源回路部品を備えている。電源回路部の入力部に端子台側接続ケーブルと電気的に接続されるコネクタ付の電源側接続ケーブルが電気的に接続され、電源回路部の出力部に発光モジュール52がコネクタ接続されている。電源基板上には、入力部に入力される外部電源である交流電源を点灯電源である直流電源に変換して出力する変換回路、この変換回路から出力される直流電源によって発光モジュール52(発光素子)を点灯させる常時点灯回路、変換回路から出力される直流電源によってバッテリ46を充電する充電回路、外部電源の停電時にバッテリ46の電源によって発光モジュール52(発光素子)を点灯させる非常時点灯回路、および点検操作時に動作する点検回路などの回路が少なくとも設けられている。
【0030】
電源ケース56は、左右方向に比べて上下方向に長く、枠体40内の一側(正面視で右側)に寄った位置に配置され、取付部材43に取り付けられている。電源ケース56は、下部側から上部側に亘って枠体40の他側(正面視で左側)から徐々に離反するように段階的に傾斜されている。
【0031】
電源ケース56は、前側ケース部57および後側ケース部58を有し、これら前側ケース部57と後側ケース部58の間に電源回路部が収容されている。電源ケース56内には、略全域に亘って電源基板が配置されている。電源ケース56内の下部側の領域には、例えばインダクタや電界コンデンサなどの高さが高い電源回路部品が実装された電源基板の領域が配置され、また、電源ケース56内の上部側の領域には、例えばICやスイッチング素子、抵抗を含むチップ部品などの高さの低い電源回路部品が実装された電源基板の領域が配置されている。電源ケース56は、収容する電源回路部の部品配置に対応して、下部側の領域の前後方向の寸法に対して、上部側の領域の前後方向の寸法が小さく、薄形に形成されている。後側ケース58に上部側の領域に、背面側に向けて開口する凹部59が形成されている。この後側ケース58の凹部59にバッテリ46が着脱可能に装着されるバッテリ装着部60が設けられている。このバッテリ装着部60にはバッテリ46を電源回路部側にコネクタ接続するための接続孔61が設けられている。
【0032】
電源ケース56の下面側には、電源回路部の点検回路が備える点検スイッチや点検ランプなどの点検部62が配置されている。点検部62は、枠体40の下面部40bの窓部50に対向されている。
【0033】
また、バッテリ46は、充放電可能な二次電池であるバッテリ本体64、およびこのバッテリ本体64を収容したバッテリケース65を有している。バッテリ46は、電源部45のバッテリ装着部60に着脱可能に装着される。バッテリ46は、バッテリ46が備えるコネクタがバッテリ装着部60の接続孔61を通じて電源部45の電源回路部に電気的に接続される。あるいは、バッテリ46には、バッテリ装着部60の接続孔61から引き出される電源回路部のコネクタ付ケーブルが電気的に接続される。
【0034】
そして、表示ユニット12の枠体40の内側には、電源部45およびバッテリ46が配置される部品配置領域67と、枠体40が本体20側に取り付けられた状態で本体20の配線孔25,27(補強部材21の配線孔31,33)に連通するとともに端子台22が配置される配線スペースである空間領域68とが設けられている。すなわち、表示ユニット12の正面視において、枠体40内の右側に電源部45およびバッテリ46が配置される部品配置領域67が設けられ、枠体40内の左側に本体20の配線孔25,27(補強部材21の配線孔31,33)に連通するとともに端子台22が配置される空間領域68が設けられている。また、端子台22は、正面視において、表示ユニット12の電源部45およびバッテリ46と重ならないように、枠体40の空間領域68に対応して、本体20側に取り付けられている。
【0035】
次に、
図2ないし
図9に示すように、取付機構13は、本体ユニット11および表示ユニット12の左右両側にそれぞれ設けられた一側の第1取付機構71および他側の第2取付機構72を備えている。
【0036】
図2、
図7および
図8などに、第1取付機構71を示す。第1取付機構71は、表示ユニット12側に設けられた第1係合部74と、本体ユニット11側に設けられた第1取付ばね75とを有している。
【0037】
第1係合部74は、取付部材43の側部から折曲された係合片76に設けられている。第1係合部74は、係合片76の先端側から枠体40の内側に向けて切り起こされた切起し部77を有している。切起し部77は、上下方向に沿って切り起こされている。係合片76は、補強部材21の側面部21cの内側に挿入配置される。
【0038】
第1取付ばね75は、板ばねで、一体に形成されている。第1取付ばね75は、補強部材21の側面部21cに取り付けられる取付片部78、この取付片部78の後端から前方へ向けて折曲されるとともに補強部材21の側面部21cの内面側に向けて略L字形に屈曲された係止片部79、この係止片部79から前方へ向けて延設されたガイド片部80、およびこのガイド片部80の先端側から補強部材21の側面部21cの内面側に向けて屈曲された引掛り部である係止部81を有している。
【0039】
そして、第1取付機構71では、本体ユニット11に表示ユニット12を取り付けた際、第1取付ばね75の係止片部79が第1係合部74の切起し部77に弾性的に嵌り込んで引っ掛かり、取付状態を保持する。また、本体ユニット11から表示ユニット12を離反させる際、第1取付ばね75の係止部81が第1係合部74の切起し部77に引っ掛かって係止する。第1取付ばね75の係止部81が第1係合部74の切起し部77に引っ掛かった状態では、本体ユニット11と表示ユニット12との間に隙間bが形成され、その隙間bから工具など差し込んで第1取付ばね75の係止部81を第1係合部74の切起し部77から外すことにより、本体ユニット11からの表示ユニット12の取り外しが可能となる。したがって、第1取付機構71は、仮止め機能を有している。
【0040】
また、
図2、
図4および
図9などに、第2取付機構72を示す。第2取付機構72は、本体ユニット11側に設けられた第2係合部83と、表示ユニット12側に設けられた第2取付ばね84とを有している。
【0041】
第2係合部83は、補強部材21の側面部21cに設けられた係合孔85を有している。
【0042】
第2取付ばね84は、板ばねで、一体に形成されている。第2取付ばね84は、取付部材43に取り付けられる取付片部86、この取付片部86から後方へ向けて折曲されるとともに取付部材43の外側方に向けて略L字形に屈曲された係止片部87、およびこの係止片部87から後方へ向けて延設されたガイド片部88を有している。
【0043】
そして、第2取付機構72では、本体ユニット11に表示ユニット12を取り付けた際、第2取付ばね84の係止片部87が第2係合部83の係合孔85に弾性的に嵌り込んで引っ掛かり、取付状態を保持する。
【0044】
そして、本実施形態では、第1取付機構71が第2取付機構72よりも上側位置に配置されている。第1取付機構71は、電源部45のバッテリ装着部60およびバッテリ46の側部位置で、枠体40の部品配置領域67に臨んで配置され、また、第2取付機構72は、端子台22よりも下側位置で、枠体40の空間領域68に臨んで配置されている。なお、第1取付機構71と第2取付機構72とは逆の位置に配置してもよい。
【0045】
次に、誘導灯10の施工について説明する。
【0046】
施工にあたっては、まず、本体ユニット11を設置面である天井面または壁面に設置する。
【0047】
誘導灯10を天井面に設置する場合には、天井面から引き出されている電源ケーブルを本体20の上面部20aの配線孔27および補強部材21の上面部21aの配線孔31から引き込み、補強部材21の上面部21aの取付孔30および本体20の上面部20aの取付孔24を通じてねじを天井面に螺着し、本体ユニット11を天井面に取り付ける。
【0048】
誘導灯10を壁面に設置する場合には、壁面から引き出されている電源ケーブルを本体20の背面部20dの配線孔27および補強部材21の背面部21dの配線孔3から引き込み、補強部材21の背面部21dの取付孔32および本体20の背面部20dの取付孔26を通じてねじを壁面に螺着し、本体ユニット11を壁面に取り付ける。
【0049】
本体ユニット11を設置面にねじ止め作業する際、本体ユニット11の内側から工具を用いてねじを回動操作するが、本体ユニット11の内側は端子台22が配置されているだけで開放されているため、端子台22を避けて工具を操作すれば、工具によるねじ止め作業を容易に行うことができ、本体ユニット11を設置面に施工しやすい。
【0050】
続いて、電線ケーブルを端子台22に接続する。電線ケーブルは、本体20の配線孔25または配線孔27から端子台22の側部を通じて本体20の下部側に導き、本体20の下部側で上向きに屈曲させて端子台22の下面側の外部接続部36に挿入して接続する。この電源ケーブルは、本体ユニット11に取り付けられる表示ユニット12の空間領域68に配置されるように、端子台22に寄せた位置、つまり正面視で左側に寄せた位置に配置する。
【0051】
続いて、端子台22の内部接続部37に挿入接続されている端子台側接続ケーブルと表示ユニット11の電源部45に接続されている電源側接続ケーブルとをコネクタ接続し、本体ユニット11の前方から表示ユニット12を組み合わせる。
【0052】
表示ユニット12の枠体40の背面側から突出する左右のガイド部49および下面部40bが、本体20の左右の側面部20cの内側および本体ユニット11の補強部材21の下面部21bの上側にそれぞれに係合し、表示ユニット12が本体20に位置決めされた状態で、表示ユニット12が本体ユニット11の前面側から組み合わされる。
【0053】
そして、表示ユニット12の枠体40が本体ユニット11の本体20に組み合わされると、取付機構13によって表示ユニット12が本体ユニット11に係止された状態に取り付けられる。
【0054】
図7に示すように、第1取付機構71では、第1取付ばね75の係止片部79が第1係合部74の切起し部77に弾性的に嵌り込んで引っ掛かり、表示ユニット12が本体ユニット11に係止された状態に取り付けられる。
【0055】
図9に示すように、第2取付機構72では、第2取付ばね84の係止片部87が第2係合部83の係合孔85に弾性的に嵌り込んで引っ掛かり、表示ユニット12が本体ユニット11に係止された状態に取り付けられる。
【0056】
このようにして施工された誘導灯10では、表示ユニット12の空間領域68に、本体ユニット11の端子台22およびこの端子台22に接続された電源ケーブルなどが収容配置される。
【0057】
さらに、取付機構13によって表示ユニット12が本体ユニット11に取り付けられた状態に保持されるが、表示ユニット12の枠体40の下面部40bが本体ユニット11の金属製の補強部材21の下面部21b上に載り、この金属製の補強部材21によって表示ユニット12の荷重が支えられる。
【0058】
次に、誘導灯10の動作について説明する。
【0059】
外部電源の供給時には、電源部45が備える電源回路部の常時点灯回路により、外部電源を電源として発光モジュール52の発光素子を点灯させ、かつ、電源回路部の充電回路により、外部電源を電源としてバッテリ46を充電する。
【0060】
また、外部電源の停電時には、電源回路部の非常時点灯回路により、バッテリ46を電源として発光モジュール52の発光素子を点灯させる。
【0061】
そして、発光モジュール52の発光素子の光は、導光板42に入射され、この導光板42内を導光されて表示パネル41に向けて出射され、表示パネル41が照明される。
【0062】
また、バッテリ46の交換時には、表示ユニット12を本体ユニット11から外し、バッテリ46を交換する。表示ユニット12を本体ユニット11から外すには、表示ユニット12を本体ユニット11に対して前方に向けて引き離すように操作する。これにより、第1取付機構71では、第1取付ばね75の係止片部79が第1係合部74の切起し部77から外れ、また、第2取付機構72では、第2取付ばね84の係止片部87が第2係合部83の係合孔85から外れ、表示ユニット12が本体ユニット11に対して前方に移動する。
【0063】
表示ユニット12が本体ユニット11に対して前方に移動すると、
図8に示すように、第1取付機構71の第1取付ばね75の係止部81が第1係合部74の切起し部77に引っ掛かって係止する。この表示ユニット12の移動位置では、表示ユニット12の両側のガイド部49および下面部40bが本体20側に係合している状態にあるため、表示ユニット12は本体ユニット11からまだ外れない。そのため、表示ユニット12が本体ユニット11から不用意に外れるのを防止できる。
【0064】
第1取付ばね75の係止部81が第1係合部74の切起し部77に引っ掛かった状態では、本体ユニット11と表示ユニット12との間に隙間bが形成される。そして、その隙間bから工具など差し込んで第1取付ばね75の係止部81を第1係合部74の切起し部77から外すことにより、表示ユニット12を本体ユニット11から外すことができる。
【0065】
バッテリ46の交換後は、上述したように表示ユニット12を本体ユニット11に取り付ける。
【0066】
そして、本実施形態の誘導灯10では、表示ユニット12が電源部45およびバッテリ46を備えるため、本体20を設置面に施工する際に、本体20の内側が開放されていて施工作業がしやすく、施工性を向上できる。
【0067】
しかも、表示ユニット12の枠体40の内側に、電源部45およびバッテリ46が配置される部品配置領域67と、本体20に取り付けられた状態で本体20の配線孔25,27が連通する空間領域68とを設けているため、表示ユニット12を本体20側に取り付けた際に、本体20内に引き込まれている電源ケーブルを枠体40の空間領域68に収容することができる。
【0068】
さらに、端子台22を備える場合でも、この端子台22が枠体40の空間領域68に収容されるようにすることにより、端子台22を本体20側に配置することができる。
【0069】
また、表示ユニット12が本体20側の表示ユニット取付面aに垂直な方向から取り付けられる構造において、表示ユニット取付面aに垂直な方向から本体20側に表示ユニット12を取り付ける取付機構13を備えるとともに、この取付機構13とは別に、本体20側に取り付けられる表示ユニット12を支持する支持部34を備えるため、取付機構13に表示ユニット12の自重方向の荷重による応力が加わらず、取付機構13によって取付状態を維持でき、表示ユニット12の安定した取付構造を確保することができる。
【0070】
さらに、本体20の内側に配置される金属製の補強部材21に支持部34を設けているため、支持部34の劣化のおそれが少なく、表示ユニット12の安定した取付構造を確保することができる。
【0071】
さらに、支持部34が本体20の下部側に配置され、取付機構13は支持部よりも上側に配置されているため、本体20側に対する表示ユニット12の支持および取り付けを安定させることができる。
【0072】
さらに、取付機構13が本体20側および表示ユニット12の左右両側で異なる高さ位置に設けられているため、例えば、第1取付機構71は取付状態が安定しやすい上部側に寄せて配置し、端子台22の近傍に配置される第2取付機構72は端子台22への電源ケーブルの接続に支障がないように端子台22から下方に離れた位置に配置することができる。
【0073】
さらに、本体20の一側である正面視の左側に端子台22および第2取付機構72が配置されるが、仮に第2取付機構72の第2取付ばね84が配置されていた場合には、本体20の施工時において電源ケーブルを端子台22に挿入接続する際に第2取付ばね84が作業の支障となるおそれがある。本実施形態では、本体20の一側である正面視の左側に端子台22および第2取付機構72の第2係合部83つまり係合孔85が配置されるため、本体20の施工時において電源ケーブルを端子台22に挿入接続する際に第2係合部83が作業の支障となるおそれがなく、作業性を向上できる。
【0074】
さらに、表示ユニット12の正面視で右側に仮止め機能を有する第1取付機構71が配置されるため、右側から上述した第1取付ばね75による係止解除操作を行え、比較的多い右利きの作業者とって作業性がよい。
【0075】
なお、第1取付機構71と第2取付機構72とは同じ高さ位置にあってもよい。
【0076】
【0077】
表示ユニット12において、バッテリ46が電源部45の上部側の凹部59ではなく、電源部45の側部に配置される場合を示す。
【0078】
本体20では、端子台22の少なくとも一部が、表示ユニット12の正面視において電源部45と重なる位置つまり電源部45の凹部59に配置されるように、本体20に配置される。この場合、端子台22は枠体40内の部品配置領域67に配置されるが、端子台22の外部接続部36は側方である枠体40の空間領域68に向けて配置され、本体20内に引き込まれた電源ケーブルが端子台22の側方から挿入接続される。
【0079】
この場合、本体20内または枠体40内における端子台22、電源部45およびバッテリ46の各位置の自由度を高くできる。
【0080】
【0081】
誘導灯10は、本体ユニット11の一面側に配置される第1表示ユニット91と他面側に配置される第2表示ユニット92とを有する両面表示形誘導灯である。この誘導灯10は、被設置面である天井面に設置される。
【0082】
上述した第1の実施形態に対して、本体ユニット11の構成は基本的に同様であるとともに、第1表示ユニット91の構成は表示ユニット12の構成と基本的に同様であるが、取付機構13の配置が異なっている。なお、電源部45、バッテリ46などの一部の構成は図示を省略している。
【0083】
本体ユニット11と第1表示ユニット91の取付機構13は、第1取付機構71と第2取付機構72を備えている。第1表示ユニット91の正面視で、右側に第1取付機構71が配置され、左側に第2取付機構72が配置されている。第1取付機構71と第2取付機構72は異なる高さ位置に配置されている。第2取付機構72は、第1取付機構71よりも高い位置に配置されているとともに、端子台22よりも上側の高い位置に配置されている。なお、第1取付機構71および第2取付機構72の構成は第1の実施形態と同様に構成されている。
【0084】
また、第2表示ユニット92の構成についても、表示ユニット12の構成と基本的に同様であるが、電源部45およびバッテリ46などは備えず、さらに、取付機構13の配置が異なっている。
【0085】
本体ユニット11と第2表示ユニット92の取付機構13は、第1取付機構71と第2取付機構72を備えている。第2表示ユニット92の正面視で、左側に第1取付機構71が配置され、右側に第2取付機構72が配置されている。なお、第2表示ユニット92を第1表示ユニット91側から見た場合、第1表示ユニット91側と同様に、右側に第1取付機構71が配置され、左側に第2取付機構72が配置されている。
【0086】
第2表示ユニット92側の第1取付機構71と第2取付機構72は異なる高さ位置に配置されている。第2取付機構72は、第1取付機構71よりも低い位置に配置されている。さらに、第2表示ユニット92側の第1取付機構71および第2取付機構72は、第1表示ユニット91側の第1取付機構71および第2取付機構72よりも下側の低い位置に配置され、互いに干渉しないように構成されている。なお、第2表示ユニット92側の第1取付機構71および第2取付機構72の構成についても第1の実施形態と同様に構成されている。
【0087】
本体20の背面部20dおよび補強部材21の背面部21dには、第2表示ユニット92側の第1取付機構71の第1取付ばね75が挿通する第1挿通孔93、および第2表示ユニット92側の第2取付機構72の第2取付ばね84が挿通する第2挿通孔94がそれぞれ設けられている。
【0088】
また、第1表示ユニット91は発光モジュール52の光源基板52aのコネクタ実装部52bに実装されたコネクタ95を備え、第2表示ユニット92は発光モジュール52の光源基板52aのコネクタ実装部52bに実装されたコネクタ96を備え、本体ユニット11に両方の表示ユニット91,92を取り付けることにより、これらコネクタ95,96がコネクタ接続される。これにより、第2表示ユニット92は発光モジュール52が第1表示ユニット91の電源部45に電気的に接続される。なお、本体20の背面部20dおよび補強部材21の背面部21dには、コネクタ95,96がコネクタ接続されるための図示しない挿通孔がそれぞれ設けられている。
【0089】
そして、第3の実施形態の誘導灯10においても、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0090】
さらに、取付機構13が本体20側および表示ユニット12の左右両側で異なる高さ位置に設けることにより、本体ユニット11の一面と他面に対する第1表示ユニット91および第2表示ユニット92の取付方向の間違いが分かりやすくなったり、第1表示ユニット91の取付機構13と第2表示ユニット92の取付機構13とが干渉するのを防止することができる。
【0091】
さらに、第1表示ユニット91の取付機構13と第2表示ユニット92の取付機構13とを異なる高さ位置に配置しているため、これら取付機構13が互いに干渉するのを防止することができる。
【0092】
さらに、誘導灯10の一側に、第1表示ユニット91の仮止め機能を有する第1取付機構71と第2表示ユニット92の仮止め機能を有する第1取付機構71を配置しているため、本体ユニット11から第1表示ユニット91および第2表示ユニット92を外す際の作業性がよい。
【0093】
また、第2表示ユニット92の第2取付機構72は端子台22よりも上側に配置されているため、例えば第2表示ユニット92が取り付けられた状態の本体ユニット11を天井面に設置する場合、本体20内に引き込んだ電源ケーブルを端子台22に接続する際に、第2取付機構72が作業の支障となるおそれが少なく、作業性がよい。
【0094】
なお、各実施形態において、仮止め機能を有する第1取付機構71は下部側に配置することが好ましい。これは、高い位置に設置される誘導灯10に対して第1取付機構71の係止解除操作をするので、第1取付機構71は天井面から離れていて低い位置にある方が作業しやすいためである。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10 誘導灯
12 表示ユニット
20 本体
22 端子台
25,27 配線孔
40 枠体
41 表示パネル
44 光源
45 電源部
46 バッテリ
67 部品配置領域
68 空間領域