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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】研磨装置および研磨方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20240322BHJP
   B24B 7/12 20060101ALI20240322BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240322BHJP
【FI】
B24B37/30 Z
B24B7/12
B24B41/06 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019223026
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021091042
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄士
(72)【発明者】
【氏名】古重 徹
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-166342(JP,A)
【文献】特開平06-031604(JP,A)
【文献】特開昭58-017043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0258173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
B24B 7/12
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に走行するフィルム状の基材表面に被研磨物を形成した部材を連続的に研磨する研磨装置であって、
被研磨物に作用するための回転可能な研磨工具と、
研磨スラリーを供給するスラリーノズルと、
前記研磨工具を前記被研磨物に押圧するための研磨ステージと、
前記研磨ステージと前記被研磨物との間に液体を噴射する噴射ノズルと、
を備え、
前記研磨ステージの表面には凹凸形状が付与され、
前記凹凸形状は、前記研磨ステージの平面視において、前記凹凸形状の長辺が前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対して0°より大きく90°より小さい角度を有する、
研磨装置。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、前記凹凸形状の凹部にノズルが沿うようにして配置される、
請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記凹凸形状は、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対して、前記凹凸形状の長辺が前記進行方向に垂直な方向となす鋭角の大きさは、前記凹凸形状の短辺が前記進行方向に垂直な方向となす鋭角の大きさより小さい、
請求項1または2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記凹凸形状は、長辺と短辺のうち、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対して角度の小さい辺同士の間隔が、他方の辺同士の間隔より大きい、
請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記凹凸形状は、前記研磨ステージの端部側に比べ、前記研磨ステージの中央部側のほうが、前記凹凸形状の長辺が、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対する角度が小さい、
請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨装置を用いて、被研磨物の研磨を行う研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、研磨剤を含有する研磨スラリーを用いて、連続する被研磨物の表面の金属膜を研磨除去する研磨装置および研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属や板ガラスなどの研磨においては、例えば、砥粒と呼ばれる粒状の研磨剤と水とを混合した研磨スラリーが用いられている。具体的には、被研磨面(研磨が施される面)に研磨スラリーを供給しつつ研磨パッドなどの研磨手段によって当該被研磨面を押圧しながら磨き上げる。より高速に被研磨面を除去したい場合には、エッチング性能を有する成分を添加した研磨スラリーを用いた研磨が一般的であり、CMP(Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれている。このような化学的作用を有する研磨スラリーは、単純な機械的作用のみを有する研磨スラリーと比較すると、研磨スラリー内の化学成分の反応が終了した時点で材料の除去レートが著しく低下するという問題がある。
【0003】
被研磨物を構成する基材には、シリコンやGaNなどのウエハ状かつ枚葉なものもあれば、PETのようなフィルム状のものもある。ウエハ状の被研磨物の場合、被研磨物サイズと比較し、より大きな研磨パッドを用いてパッド表面に研磨スラリーを滴下しパッド内にスラリーを含浸させてパッド表面に被研磨物を押しつけることで加工が行われる。その際に発生する研磨くずは、パッド表面に形成された溝形状により外周部に排出される(例えば、特許文献1参照。)。一方、特にフィルム状に形成された被研磨物を研磨する場合には、ロールtoロール方式でウェブ搬送を行いながら表面を連続的に研磨する方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-013325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した連続したフィルム状の被研磨物を研磨する場合、被研磨物よりも小さなパッドで研磨することとなる。その場合、研磨に作用する研磨パッドは被研磨物と接触し続け、パッド内に含浸された研磨スラリーが新しい研磨スラリーと交換されにくくなる。特に、前述したCMPスラリーの場合では化学反応による研磨レートの低下が発生し、所定の時間で研磨を完了することができず、研磨不具合により製品品質が劣化する場合がある。一方で連続したフィルムを連続して研磨する場合、安定して搬送し続ける必要がある。
【0006】
本開示は、上記従来の問題点に鑑み、研磨レートを安定に保ち高品位な研磨を行うことができる研磨装置および研磨方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る研磨装置は、フィルム状の基材表面に被研磨物を形成した部材を連続的に研磨する研磨装置であって、
被研磨物に作用するための回転可能な研磨工具と、
研磨スラリーを供給するスラリーノズルと、
前記研磨工具を前記被研磨物に押圧するための研磨ステージと、
前記研磨ステージと前記被研磨物との間に液体を噴射する噴射ノズルと、
を備え、
前記研磨ステージの表面には凹凸形状が付与されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る研磨装置によって、高品質かつ高い除去レートの連続研磨を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態1に係る研磨装置の構成を示す概略模式図である。
図2】本実施の形態1における過酸化水素濃度を変化させたときの研磨除去レートの変化を示すグラフである。
図3】本実施の形態1における研磨ユニットと対向する研磨ステージの表面の凹凸形状を示す模式断面図である。
図4】(a)乃至(d)は、本実施の形態1における研磨ステージの表面の様々な凹凸形状を示す概略模式図である。
図5】(a)は、本実施の形態1に係る研磨装置における研磨ステージ全面の一例の凹凸形状を示す概略模式図であり、(b)は、研磨ステージ全面の別例の凹凸形状を示す概略模式図である。
図6】本実施の形態1における研磨ステージ全面の設計違いによる搬送抵抗の時間変化のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様に係る研磨装置は、フィルム状の基材表面に被研磨物を形成した部材を連続的に研磨する研磨装置であって、
被研磨物に作用するための回転可能な研磨工具と、
研磨スラリーを供給するスラリーノズルと、
前記研磨工具を前記被研磨物に押圧するための研磨ステージと、
前記研磨ステージと前記被研磨物との間に液体を噴射する噴射ノズルと、
を備え、
前記研磨ステージの表面には凹凸形状が付与されていることを特徴とする。
【0011】
第2の態様に係る研磨装置は、上記第1の態様において、前記噴射ノズルは、前記凹凸形状の凹部にノズルが沿うようにして配置されてもよい。
【0012】
第3の態様に係る研磨装置は、上記第1又は第2の態様において、前記凹凸形状は、前記研磨ステージの平面視において、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向にストライプ状に形成されていてもよい。
【0013】
第4の態様に係る研磨装置は、上記第3の態様において、前記凹凸形状は、前記研磨ステージの平面視において、前記凹凸形状の長辺が前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対して0°より大きく90°より小さい角度を有してもよい。
【0014】
第5の態様に係る研磨装置は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記凹凸形状は、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対して、前記凹凸形状の長辺が前記進行方向に垂直な方向となす鋭角の大きさは、前記凹凸形状の短辺が前記進行方向に垂直な方向となす鋭角の大きさより小さくてもよい。
【0015】
第6の態様に係る研磨装置は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記凹凸形状は、長辺と短辺のうち、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対して角度の小さい辺同士の間隔が、他方の辺同士の間隔より大きくてもよい。
【0016】
第7の態様に係る研磨装置は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記凹凸形状は、前記研磨ステージの端部側に比べ、前記研磨ステージの中央部側のほうが、前記凹凸形状の長辺が、前記被研磨物の進行方向と垂直な方向に対する角度が小さくてもよい。
【0017】
第8の態様に係る研磨方法は、上記第1から第7のいずれかの態様の研磨装置を用いて、被研磨物の研磨を行う。
【0018】
以下、実施の形態に係る研磨装置及び研磨方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係るロールtoロール研磨装置10の構成を示す概略模式図である。なお、便宜上、フィルム状の基材表面に被研磨物を形成した被研磨部材1の進行方向(搬送方向)をx方向とし、幅方向をy方向とし、鉛直上方をz方向とした。
実施の形態1に係るロールtoロール研磨装置10は、フィルム状の基材表面に被研磨物を形成した被研磨部材1を連続的に研磨する研磨装置である。この研磨装置10は、被研磨部材1に作用するための回転可能な研磨工具(研磨ユニット)31と、研磨スラリーを供給するスラリーノズル21と、研磨工具31を被研磨部材1に押圧するための研磨ステージ4と、を備える。また、研磨ステージ4の表面には凹凸形状が付与されている。前記被研磨部材1と研磨ステージ4に液体を噴射するための裏面噴射ノズル6が設置されている。
そこで、この研磨装置10によれば、高品質かつ高い除去レートの連続研磨を実現することができる。
【0020】
表面に被研磨材料を形成したフィルム状の被研磨部材1は、巻き出しロール11から供給され、巻き取りロール12にて回収される。巻き出しロール11と巻き取りロール12との間には、研磨ステージ4が配置され、被研磨部材1は、研磨ステージ4上を滑りながら搬送される。
【0021】
裏面噴射ノズル6は、被研磨部材1の搬送の際、研磨スラリーを被研磨部材1と研磨ステージ4との間に噴射している。裏面噴射ノズル6は、効率的に研磨スラリーを被研磨部材1と研磨ステージ4との間に供給するよう、ノズルが研磨ステージ4の表面に沿うようにして配置される。さらに好ましくは、裏面噴射ノズル6は、研磨ステージ4の表面に付与される凹凸形状の凹部にノズルが沿うようにして配置される。このことで、裏面噴射ノズル6から噴射される研磨スラリーが、研磨ステージ4の表面に付与される凹凸形状の凹部に沿って、被研磨部材1の幅方向(y方向)へ行き渡る。すなわち、裏面噴射ノズル6は、特にロールtoロール方式に見られる幅方向(y方向)に長い被研磨部材1においても、幅方向中央付近へ効率的に研磨スラリーを供給することができる。したがって、被研磨部材1の搬送抵抗が低減する。
【0022】
裏面噴射ノズル6は、本実施の形態では研磨ステージ4の外に設置することを想定しているが、例えば研磨ステージ4の内部に設置してもよい。この場合、例えば、研磨ステージ4は孔部を有し、研磨ステージ4内部に設置された裏面噴射ノズル6から噴射される研磨スラリーは、孔部を通して被研磨部材1と研磨ステージ4との間に供給される。
裏面噴射ノズル6は、被研磨部材1の搬送中に継続して研磨スラリーを噴射することが好ましい。また、裏面噴射ノズル6は、未使用もしくは搬送下流で回収され再利用される研磨スラリーを噴射することが好ましい。このことで、被研磨部材1の研磨される加工界面に余分な成分が入り込むことによる研磨スラリーの濃度低下を低減し、除去レートが低下することを防止することができる。
【0023】
研磨ステージ4には、研磨パッド311とノズル付きの研磨ヘッド312とで構成される研磨ユニット31が固定されて配置されている。研磨ヘッド312は、中央に空孔が設けられ、上部から供給された研磨スラリーを下方へ流し込むことが可能になっている。研磨ユニット31は、フィルム状の被研磨部材1の進行方向(搬送方向)(x方向)と幅方向(y方向)に平行な位置にそれぞれ複数セット配置されている。
【0024】
図2は、本実施の形態1における過酸化水素濃度を変化させたときの研磨除去レートの変化を示すグラフである。研磨を行うために準備された研磨スラリーは、スラリー供給タンク2にて、例えば、過酸化水素水が0.75wt%以上3.0wt%以下の濃度に調合された後に、スラリーノズル21を介して各研磨ユニット31へ供給される。これは図2の濃度範囲Aに示すように、エッチング作用を付与する加工においては上記濃度範囲Aであることが、研磨除去レートが高くなることから望ましい。なお、濃度範囲Aは、0.75wt%以上3.0wt%以下の濃度範囲である。
【0025】
研磨ヘッド312の空孔を通して供給された研磨スラリーは、フィルム状の被研磨部材1の表面に滴下される。また同時に研磨ユニット31は、フィルム状の被研磨部材1の表面に接触し加圧し、表面で回転する。この動作にて研磨パッド311の研磨作用により表面の被研磨材料は除去されることになる。研磨に用いられた研磨スラリーは、研磨ステージ4の側面から流れ落ち、回収パン5へ滴下した後、図示されていない回収タンクに回収される。
【0026】
以下に、この研磨装置10を構成する各部材について説明する。
【0027】
<研磨ユニット(研磨工具)>
研磨ユニット31は、研磨パッド311と、ノズル付きの研磨ヘッド312とで構成される。研磨ユニット31は、z軸を回転軸として回転可能であり、フィルム状の被研磨部材1に作用する。研磨ヘッド312の上部にはスラリーノズル21が設けられている。スラリーノズル21を介して供給された研磨スラリーは、研磨ヘッド312の空孔を通して研磨パッド311の下面のフィルム状の被研磨部材1の表面に滴下される。つまり、スラリーノズル21によって、研磨パッド311とフィルム状の被研磨部材1との間に研磨スラリーが供給される。
【0028】
<スラリー供給タンク>
スラリー供給タンク2には、研磨スラリーが保持されている。スラリー供給タンク2において、研磨スラリーは、例えば、過酸化水素水が0.75wt%以上3.0wt%以下の濃度に調合される。
【0029】
<研磨ステージ>
図3は、研磨ユニット31と対向する研磨ステージ4の表面の凹凸形状を示す模式断面図である。研磨ステージ4の表面には、エッチングやブラストなどで形成された100μmから300μmの高低差を有する凹凸形状41が形成されている。なお、高低差は、凹部のz方向の高さと凸部のz方向の高さとの差である。
【0030】
図4は、本実施の形態1における研磨ステージ4の表面の様々な凹凸形状を示す概略模式図である。なお、図4では、凹凸形状のうちの凸部を描画している。
【0031】
図4(a)に示すように、変形例1では、凹凸形状41は、z方向からの平面視でフィルム状の被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)に、ストライプ状に形成されている。つまり、凹凸形状の長辺とy方向とのなす角θ1は0°である。このことで被研磨面の全体が均一に研磨されるため、なおよい。
【0032】
または、凹凸形状41は、図4(b)に示すように、変形例2では、z方向からの平面視で凹凸形状の長辺がフィルム状の被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)に対してなす角θ2が0°より大きく90°より小さい角度を有する、ストライプ状に形成されている。すなわち、凹凸形状41は、長辺が被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)に対して0°より大きく90°より小さい角度θ2を有する。このことで、裏面に噴射されている潤滑用に供給した研磨スラリーが研磨に伴う上方からの加圧などによって、裏面の研磨スラリーが排出された際に排出される方向を制御できるため、なおよい。好ましくは、凹凸形状41は、被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)に対して30°から60°の角度を有するのがよい。さらに好ましくは、凹凸形状41は、被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)に対して45°の角度を有するのがよい。
【0033】
または、凹凸形状41は、図4(c)に示すように、変形例3では、z方向からの平面視でストライプ形状が断続的に形成されている。すなわち、凹凸形状41における一つ一つの凸部の四角形状について、長辺とy方向とのなす角θ31が短辺とy方向とのなす角θ32より小さくなることが望ましい。つまり、θ31<θ32の関係を満たしてもよい。もしくは、凹凸形状41における凸部同士について、y方向に対して角度の小さい辺同士の間隔が、他方の辺同士の間隔より大きくなることが望ましい。またはこの両方を満たすように配置されてもよい。このことで、研磨スラリーが排出されずフィルム状の被研磨部材1の裏面に留まりやすくなり、フィルムの搬送抵抗が小さくなるため、なおよい。
【0034】
または、凹凸形状41は、図4(d)に示すように、変形例4では、z方向からの平面視でフィルム状の被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)に対して、0°より大きく90°より小さい角度内で変動する角度θ41及びθ42を有するストライプ状に形成されている。このとき、凹凸形状41は、研磨ステージ4の端部側の凹凸形状の長辺とy方向とのなす角θ42に比べ、研磨ステージ4の中央部側の凹凸形状の長辺とy方向とのなす角θ41のほうが、小さいことが好ましい。つまり、θ41<θ42の関係を満たしてもよい。このことで、研磨スラリーが排出されずフィルム状の被研磨部材1の裏面に留まりやすくなり、フィルムの搬送抵抗が小さくなるため、なおよい。なお、図4(d)においては、図面下方(-y方向)が研磨ステージ4の端部に近いことを想定している。
【0035】
図5(a)及び(b)は、本実施の形態1における研磨ステージ4の全面の一例と別例との凹凸形状を示す概略模式図である。図6は、本実施の形態1における研磨ステージ4の全面の設計違いによる搬送抵抗の時間変化のグラフである。
【0036】
図5(a)に示すように、一例としては、研磨ステージ4の全面で同一のデザインの凹凸形状としてもよい。つまり、全面で凹凸形状41eの長辺とy方向とのなす角θ5が同じであってもよい。また、図5(b)に示すように、別例としては、凹凸形状41fは、研磨ステージ4における場所ごとに異なる様式を採用してもよい。より好ましくは、研磨ステージ4の端部側のみ、フィルム上の被研磨部材1の進行方向と垂直な方向(y方向)と凹凸形状41f及び41hの長辺とのなす角度θ61及びθ63が0°より大きく90°より小さくなるように配置される。このことで、図5(a)に示す研磨ステージ4の全面で同一のデザインの場合と比較して、更に潤滑用の液体が排出されずフィルム状の被研磨部材1の裏面にとどまりやすくなる。したがって、図5(b)に示す前面の凹凸形状の場合に、図6に示すように、連続して長い時間、研磨を継続した場合のフィルムの搬送抵抗が増加せず、なおよい。なお、研磨ステージ4の中央部では、凹凸形状41gの長辺とy方向とのなす角θ62は0°であってもよい。
【0037】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る研磨装置によれば、高品質かつ高い除去レートの連続研磨を実現することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 被研磨部材
11 巻き出しロール
12 巻き取りロール
2 スラリー供給タンク
21 スラリーノズル
22 スラリー供給管
31 研磨ユニット(研磨工具)
311 研磨パッド
312 研磨ヘッド
4 研磨ステージ
41、41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h 凹凸形状
5 回収パン
6 裏面噴射ノズル
10 ロールtoロール研磨装置(研磨装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6