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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/325 20200101AFI20240322BHJP
   H05B 45/36 20200101ALI20240322BHJP
【FI】
H05B45/325
H05B45/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020163015
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055543
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】清水 智章
(72)【発明者】
【氏名】石北 徹
(72)【発明者】
【氏名】横田 聖冬
(72)【発明者】
【氏名】藤原 章裕
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0193864(US,A1)
【文献】特開2015-219954(JP,A)
【文献】特開2019-169249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0070417(US,A1)
【文献】特開2020-098718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/325
H05B 45/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯させるとともに、前記光源の点灯状態を変更可能な点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
直流電流に対してパルス幅変調制御を行うことにより、パルス幅変調した変調電流を前記直流電流から生成し、前記変調電流を前記光源に供給する変換回路と、
前記パルス幅変調制御のパルス幅を表す制御信号の入力を受け、前記制御信号に基づいて前記変換回路の動作を制御することにより、前記制御信号に応じたパルス幅の前記変調電流を前記変換回路から前記光源に供給させる制御部と、
を有し、
前記変換回路は、
前記光源に対して並列に接続され、前記直流電流の前記光源への出力及び出力の停止を切り替えることにより、前記直流電流から前記変調電流を生成するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子と並列に設けられ、抵抗素子、コンデンサ、及びダイオードのいずれかのみを有し、前記変調電流に重畳する交流成分のノイズを抑制するフィルタ回路と、
を有し、
前記制御部は、前記変調電流の周波数を20kHz以上の第1周波数と、20kHz未満の第2周波数と、に変更可能であり、前記制御信号の表す前記パルス幅が所定値以上である場合に、前記第1周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させ、前記制御信号の表す前記パルス幅が前記所定値未満である場合に、前記第2周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記変換回路は、前記スイッチング素子と前記光源との間に設けられ、前記光源側から前記スイッチング素子への電流の逆流を抑制する整流素子をさらに有し、
前記フィルタ回路は、前記整流素子よりも前記スイッチング素子に近い位置において、前記スイッチング素子と並列に設けられることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記変換回路は、前記スイッチング素子と前記光源との間に設けられ、前記光源側から前記スイッチング素子への電流の逆流を抑制する整流素子をさらに有し、
前記フィルタ回路は、前記整流素子よりも前記光源に近い位置において、前記スイッチング素子と並列に設けられることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2周波数は、前記第1周波数の10分の1以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの光源と、光源に電力を供給することにより、光源を点灯させる点灯装置と、を備えた照明装置が知られている。こうした照明装置において、点灯装置が、直流電力に対してパルス幅変調制御を行い、パルス幅変調した電流を光源に供給することが行われている。点灯装置は、制御信号の入力を受け、制御信号に基づいて上記のパルス幅変調制御を行う。これにより、制御信号に応じて光源の明るさを変化させることができる。いわゆる調光制御を行うことができる。
【0003】
このように、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式では、直流電流の大きさを変化させる制御方式と比べて、明るさの変化にともなう発光光色の変化を抑制することができる。
【0004】
また、点灯回路では、パルス幅変調した電流に重畳する交流成分のノイズを抑制するために、パルス幅変調制御を行うためのスイッチング素子の後にインダクタによるフィルタ回路を設けることが行われている。これにより、交流成分のノイズに起因する明るさの変化や発光光色の変化を抑制することができる。
【0005】
しかしながら、インダクタによるフィルタ回路を設けると、パルス幅変調に応じてインダクタが振動し、パルス幅変調制御の周波数が人間の可聴周波数の範囲である場合に、インダクタの振動が、騒音となって聞こえてしまう可能性が生じる。
【0006】
パルス幅変調制御の周波数を人間の可聴周波数よりも高くし、インダクタの振動による騒音を抑制することも考えられる。しかしながら、この場合には、1周期の時間が短くなり、パルス幅変調した電流のオン時間の短い低出力時に高い制御分解能が必要となってしまう。
【0007】
このため、照明装置では、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、高い制御分解能を必要とすることなく、騒音の発生を抑制できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-139939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、高い制御分解能を必要とすることなく、騒音の発生を抑制できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、光源と、前記光源を点灯させるとともに、前記光源の点灯状態を変更可能な点灯装置と、を備え、前記点灯装置は、直流電流に対してパルス幅変調制御を行うことにより、パルス幅変調した変調電流を前記直流電流から生成し、前記変調電流を前記光源に供給する変換回路と、前記パルス幅変調制御のパルス幅を表す制御信号の入力を受け、前記制御信号に基づいて前記変換回路の動作を制御することにより、前記制御信号に応じたパルス幅の前記変調電流を前記変換回路から前記光源に供給させる制御部と、を有し、前記変換回路は、前記光源に対して並列に接続され、前記直流電流の前記光源への出力及び出力の停止を切り替えることにより、前記直流電流から前記変調電流を生成するスイッチング素子と、前記スイッチング素子と並列に設けられ、抵抗素子、コンデンサ、及びダイオードのいずれかのみを有し、前記変調電流に重畳する交流成分のノイズを抑制するフィルタ回路と、を有し、前記制御部は、前記変調電流の周波数を20kHz以上の第1周波数と、20kHz未満の第2周波数と、に変更可能であり、前記制御信号の表す前記パルス幅が所定値以上である場合に、前記第1周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させ、前記制御信号の表す前記パルス幅が前記所定値未満である場合に、前記第2周波数の前記変調電流を前記変換回路に生成させることを特徴とする照明装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
発明の実施形態によれば、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、高い制御分解能を必要とすることなく、騒音の発生を抑制できる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係るDC/PWM変換回路を模式的に表すブロック図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図4】実施形態に係るDC/PWM変換回路の変形例を模式的に表すブロック図である。
図5】実施形態に係るDC/PWM変換回路の変形例を模式的に表すブロック図である。
図6】実施形態に係る照明装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、照明装置10は、光源12と、点灯装置14と、を備える。照明装置10は、例えば、スタジオや舞台などに設置して使用される演出用の照明装置である。
【0015】
光源12は、例えば、発光素子12aを有する。光源12は、例えば、複数の発光素子12aを有する。複数の発光素子12aは、直列に接続される。複数の発光素子12aは、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。発光素子12aの数は、任意でよい。発光素子12aの数は、例えば、1つでもよい。
【0016】
発光素子12aには、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。光源12は、例えば、複数のLEDを有するLEDモジュールである。発光素子12aは、例えば、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic ElectroLuminescence)発光素子、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence)発光素子、または、その他の電界発光型の発光素子などでもよい。但し、光源12は、発光素子12aを有するものに限ることなく、例えば、電球などでもよい。光源12は、直流電流の供給によって点灯する任意の光源でよい。
【0017】
点灯装置14は、光源12を点灯させるとともに、光源12の点灯状態を変更可能である。点灯装置14は、例えば、交流電源2と接続され、交流電源2から供給される交流電力を直流電力に変換して光源12に供給することにより、光源12を点灯させる。
【0018】
点灯装置14は、AC/DC変換回路20と、DC/PWM変換回路22(変換回路)と、制御部24と、信号変換部26と、を有する。
【0019】
AC/DC変換回路20は、交流電源2から供給された交流電力を直流電力に変換する。なお、点灯装置14に供給される電力は、交流電力に限ることなく、直流電力でもよい。この場合、AC/DC変換回路20は、省略可能である。
【0020】
DC/PWM変換回路22は、AC/DC変換回路20から供給された直流電流に対してパルス幅変調制御を行うことにより、パルス幅変調した変調電流を直流電流から生成し、生成した変調電流を光源12に供給する。パルス幅変調制御は、換言すれば、PWM(Pulse Width Modulation)制御である。変調電流は、換言すれば、PWM電流である。
【0021】
制御部24は、パルス幅変調制御のパルス幅を表す制御信号の入力を受け、制御信号に基づいてDC/PWM変換回路22の動作を制御することにより、制御信号に応じたパルス幅の変調電流をDC/PWM変換回路22から光源12に供給させる。これにより、制御部24は、制御信号に応じた点灯状態で光源12を点灯させる。
【0022】
制御信号は、例えば、外部機器4から照明装置10の点灯装置14に入力される。外部機器4は、例えば、上位のコントローラである。外部機器4は、例えば、調光卓などと呼ばれる場合もある。
【0023】
信号変換部26は、外部機器4と通信を行う。信号変換部26は、外部機器4から入力された制御信号を受け、入力された制御信号を制御部24に対応した形式の制御信号に変換する。そして、信号変換部26は、変換後の制御信号を制御部24に入力する。なお、信号の変換が必要無い場合などには、外部機器4から入力された制御信号を直接的に制御部24に入力してもよい。信号変換部26は、点灯装置14に必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0024】
図2は、実施形態に係るDC/PWM変換回路を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、DC/PWM変換回路22は、定電流回路30と、調光回路40と、を有する。
【0025】
定電流回路30は、光源12に供給される電流の大きさが一定になるように、出力電流を制御する。定電流回路30は、一対の入力端子30a、30bと、一対の出力端子30c、30dと、を有する。一対の入力端子30a、30bは、AC/DC変換回路20の出力端子と電気的に接続される。これにより、AC/DC変換回路20からの直流電力が定電流回路30に供給される。出力端子30cは、光源12の発光素子12aの一端と電気的に接続される。出力端子30dは、光源12の発光素子12aの他端と電気的に接続される。発光素子12aの一端は、例えば、LEDのアノードである。発光素子12aの他端は、例えば、LEDのカソードである。これにより、定電流回路30から出力された電流が、光源12に供給される。
【0026】
定電流回路30は、例えば、スイッチング素子31と、インダクタ32と、ダイオード33と、を有する。スイッチング素子31は、電極31a~31cを有する。スイッチング素子31は、例えば、nチャネル形のFETである。例えば、電極31aは、ドレインであり、電極31bは、ソースであり、電極31cは、ゲートである。スイッチング素子31は、例えば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタなどでもよい。
【0027】
電極31aは、入力端子30aと電気的に接続されている。電極31bは、インダクタ32の一端に接続されている。インダクタ32の他端は、高電位側の出力端子30cと電気的に接続されている。ダイオード33のカソードは、スイッチング素子31の電極31bと電気的に接続されている。ダイオード33のアノードは、低電位側の入力端子30b及び出力端子30dと電気的に接続されている。
【0028】
電極31cは、制御部24と電気的に接続されている。スイッチング素子31は、制御部24からの信号に応じてスイッチングする。定電流回路30は、例えば、スイッチング素子31をスイッチングすることにより、実質的に一定の直流電流を出力する。制御部24は、スイッチング素子31のスイッチングを制御することにより、直流電流を実質的に一定に制御するとともに、直流電流(パルス幅変調した変調電流)の大きさを制御する。
【0029】
また、この例において、定電流回路30は、いわゆる降圧チョッパ回路である。定電流回路30は、AC/DC変換回路20から供給された直流電力の電圧値を、光源12に対応した電圧値に降圧する。なお、定電流回路30の構成は、上記に限ることなく、実質的に一定な電流を出力可能な任意の構成でよい。
【0030】
調光回路40は、スイッチング素子42と、整流素子44と、フィルタ回路50と、を有する。スイッチング素子42は、光源12に対して並列に接続される。スイッチング素子42は、電極42a~42cを有する。スイッチング素子42には、スイッチング素子31に関して説明したものと同様のものを用いることができる。
【0031】
電極42aは、定電流回路30の出力端子30cと電気的に接続されている。電極42bは、定電流回路30の出力端子30dと電気的に接続されている。これにより、スイッチング素子42が、光源12と並列に接続される。電極42cは、制御部24と電気的に接続されている。スイッチング素子42は、制御部24からの信号に応じてスイッチングする。
【0032】
整流素子44は、スイッチング素子42と光源12との間に設けられる。整流素子44は、例えば、ダイオードである。整流素子44の一端(アノード)は、スイッチング素子42の電極42a、及び定電流回路30の出力端子30cと電気的に接続されている。整流素子44の他端(カソード)は、光源12の発光素子12aの一端(アノード)と電気的に接続される。このように、発光素子12aの一端は、整流素子44を介して定電流回路30の出力端子30cと電気的に接続される。整流素子44は、定電流回路30の出力端子30cから発光素子12aの一端に向かう方向に整流する。
【0033】
フィルタ回路50は、スイッチング素子42と並列に設けられる。フィルタ回路50は、例えば、スイッチング素子42と整流素子44との間の位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。換言すれば、フィルタ回路50は、整流素子44よりもスイッチング素子42に近い位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。
【0034】
フィルタ回路50の一端は、スイッチング素子42の電極42a及び整流素子44の一端(アノード)と電気的に接続されている。フィルタ回路50の他端は、スイッチング素子42の電極42bと電気的に接続されている。これにより、フィルタ回路50は、整流素子44よりもスイッチング素子42に近い位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。
【0035】
フィルタ回路50は、抵抗素子51と、コンデンサ52と、を有する。コンデンサ52は、抵抗素子51と直列に接続されている。フィルタ回路50は、例えば、抵抗素子51とコンデンサ52との直列接続体である。例えば、抵抗素子51とコンデンサ52との直列接続体の一端が、スイッチング素子42の電極42aと電気的に接続され、抵抗素子51とコンデンサ52との直列接続体の他端が、スイッチング素子42の電極42bと電気的に接続される。この例において、フィルタ回路50は、換言すれば、RCスナバ回路である。
【0036】
調光回路40(DC/PWM変換回路22)及び制御部24は、外部機器4から入力された制御信号に応じてスイッチング素子42のオン・オフを切り替え、直流電流の出力及び出力の停止を周期的に切り替えることにより、直流電流に対してパルス幅変調制御を行う。換言すれば、スイッチング素子42は、直流電流の光源12への出力及び出力の停止を切り替えることにより、直流電流から変調電流を生成する。このように、調光回路40(DC/PWM変換回路22)は、スイッチング素子42のオン・オフを切り替えることにより、直流電流から変調電流(PWM電流)を生成し、変調電流を光源12に供給する。
【0037】
制御部24は、制御信号に応じて変調電流のパルス幅を変化させる。換言すれば、制御部24は、制御信号に応じてスイッチング素子42のオン時間を変化させる。これにより、スイッチング素子42のオン・オフの切り替えによって、光源12から照射される光の明るさを変化させることができる。換言すれば、光源12から照射される光の調光制御を行うことができる。制御信号は、換言すれば、調光信号である。変調電流のパルス幅は、換言すれば、光源12から照射される光の調光度である。
【0038】
点灯装置14では、調光回路40よりも光源12側(出力側)には、電圧を平滑するような比較的大きな容量の電荷蓄積素子(例えばコンデンサなど)が設けられていない。これにより、例えば、パルス状に変化する変調電流の立ち上りや立ち下りが遅れ、不本意な調光度となってしまうことを抑制することができる。
【0039】
調光回路40では、光源12と並列に接続されるスイッチング素子42をオフにすることにより、光源12に直流電流を供給することができる。一方、スイッチング素子42をオンにすると、スイッチング素子42に電流が流れることにより、光源12側への直流電流の供給が停止される。
【0040】
整流素子44は、定電流回路30の出力端子30cから発光素子12aの一端に向かう方向に電流を整流することにより、スイッチング素子42をオフ状態からオン状態に切り替えた際に、光源12側からスイッチング素子42に流れる電流を抑制する。このように、整流素子44は、スイッチング素子42と光源12との間に設けられ、光源12側からスイッチング素子42への電流の逆流を抑制する。これにより、例えば、スイッチング素子42をオン状態とした際に、光源12に流れる電流を素早く遮断することができる。例えば、スイッチング素子42をオン状態とした際に、光源12側からスイッチング素子42に電流が流れ、パルス状に変化する変調電流が所望の形状とならなくなってしまうことを抑制することができる。換言すれば、所望の調光度とならなくなってしまうことを抑制することができる。
【0041】
フィルタ回路50は、スイッチング素子42のスイッチングにともなって変調電流に重畳する交流成分のノイズを抑制する。これにより、交流成分のノイズに起因する明るさの変化や発光光色の変化を抑制することができる。また、フィルタ回路50は、例えば、スイッチング素子42のスイッチングにともなってスイッチング素子42に印加されるスパイク状の高電圧を抑制する。これにより、スパイク状の高電圧からスイッチング素子42などを保護することができる。フィルタ回路50は、例えば、スイッチング素子42のスイッチングにともなうスイッチング素子42などの故障を抑制するとともに、電磁ノイズの発生を抑制する。
【0042】
コンデンサ52の容量は、例えば、100pF以上2200pF以下である。これにより、変調電流に重畳する交流成分のノイズを適切に抑制しつつ、コンデンサ52の容量により、変調電流の立ち上りや立ち下りが遅れ、不本意な調光度となってしまうことを抑制することができる。但し、コンデンサ52の容量は、上記に限ることなく、スイッチング素子42に印加される電圧の大きさやスイッチング素子42に流れる電流の大きさ、及び変調電流の立ち上りや立ち下りに許容される時定数などに応じて適宜設定すればよい。
【0043】
定電流回路30は、例えば、検出部34をさらに有する。検出部34は、光源12及びスイッチング素子42の下流側に設けられ、スイッチング素子42がオフになり、光源12に直流電流が流れた時に、光源12に流れる直流電流の電流値を検出し、スイッチング素子42がオンになり、光源12への直流電流の供給が停止された時に、スイッチング素子42に流れる直流電流の電流値を検出する。検出部34は、制御部24と電気的に接続され、制御部24に検出結果を入力する。
【0044】
検出部34は、例えば、光源12の低圧側の端子及びスイッチング素子42の電極42bの接続点と低電位側の入力端子30bとの間に設けられる。検出部34は、例えば、直流電流の電流値を検出するための検出抵抗である。検出部34は、例えば、磁束の変化などを計測するクランプ型の電流計などでもよい。
【0045】
制御部24及び定電流回路30は、検出部34の検出結果に基づいて、スイッチング素子31をスイッチングすることにより、光源12及びスイッチング素子42に流れる直流電流の電流値が一定になるように制御する。また、制御部24及び調光回路40は、前述のように、制御信号に基づいてスイッチング素子42をスイッチングさせることにより、調光回路40の調光制御を行う。これにより、制御信号に応じた所望の明るさで、光源12を点灯させることができる。
【0046】
スタジオや舞台などに設置して使用される演出用の照明装置10では、例えば、消灯状態から点灯状態とする際に、素早く所望の明るさにすることが望まれる。照明装置10では、定電流回路30を動作させつつ、調光回路40のスイッチング素子42をオン状態とし、実質的に一定の直流電流をスイッチング素子42に流すことにより、直流電流をスイッチング素子42側に流した状態のまま光源12を消灯状態とすることができる。
【0047】
これにより、照明装置10では、スイッチング素子42をオフ状態とすることで、光源12を消灯した状態から素早く所望の明るさで点灯させることができる。例えば、定電流回路30の動作を停止させ、直流電流の供給を完全に停止させた状態から光源12を点灯させる場合などと比べて、光源12を素早く所望の明るさで点灯させることができる。このように、照明装置10では、光源12を消灯状態から点灯状態に切り替える場合などに、高い応答性を得ることができる。
【0048】
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図3(a)及び図3(b)は、DC/PWM変換回路22から光源12に供給される変調電流MC、及び制御部24からスイッチング素子42の電極42cに入力するパルス信号PSの一例を模式的に表す。
【0049】
図3(a)及び図3(b)に表したように、制御部24は、変調電流MCの周波数を20kHz以上の第1周波数と、第1周波数よりも低い第2周波数と、に変更可能である。換言すれば、DC/PWM変換回路22及び制御部24は、第1周波数の第1変調電流MC1と、第2周波数の第2変調電流MC2と、を生成可能である。
【0050】
制御部24は、例えば、スイッチング素子42の電極42cに入力するパルス信号PSの周波数(スイッチング周波数)を変化させることにより、変調電流MCの第1周波数と第2周波数とを変更する。換言すれば、制御部24は、第1周波数の第1パルス信号PS1と、第2周波数の第2パルス信号PS2と、をスイッチング素子42の電極42cに入力可能である。
【0051】
但し、第1周波数と第2周波数との変更方法は、これに限ることなく、変調電流の周波数を第1周波数と第2周波数とに変更可能な任意の方法でよい。また、DC/PWM変換回路22の構成は、上記に限ることなく、変調電流MCを生成可能であるとともに、変調電流MCの周波数を第1周波数と第2周波数とに変更可能な任意の構成でよい。
【0052】
第2周波数は、例えば、20kHz未満に設定されることが好ましい。第2周波数は、例えば、第1周波数の10分の1以下である。例えば、第1周波数を20kHzに設定した場合には、第2周波数を2kHz未満に設定することが好ましい。但し、第2周波数は、第1周波数のよりも低い任意の周波数でよい。なお、図3(a)及び図3(b)では、図示を簡単にするため、便宜的に第2周波数を第1周波数の2分の1として図示している。
【0053】
制御部24は、例えば、外部機器4から入力された制御信号の表すパルス幅が所定値以上である場合に、第1周波数の第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、外部機器4から入力された制御信号の表すパルス幅が所定値未満である場合に、第2周波数の第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。換言すれば、制御部24は、調光度が所定値以上である場合に、第1変調電流MC1を生成させ、調光度が所定値未満である場合に、第2変調電流MC2を生成させる。
【0054】
第1周波数と第2周波数とを切り替える制御信号のパルス幅の所定値は、例えば、10%である。制御部24は、制御信号の表すパルス幅が10%以上である場合に、第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、制御信号の表すパルス幅が10%未満である場合に、第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。換言すれば、制御部24は、調光度が10%以上である場合に、第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、調光度が10%未満である場合に、第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。但し、第1周波数と第2周波数とを切り替える制御信号のパルス幅の所定値は、上記に限ることなく、任意の値でよい。
【0055】
DC/PWM変換回路22において、変調電流MCに重畳する交流成分のノイズを抑制するために、スイッチング素子42の後に、インダクタを用いたフィルタ回路を設ける場合がある。
【0056】
しかしながら、インダクタによるフィルタ回路を設けると、パルス幅変調に応じてインダクタが振動し、パルス幅変調制御の周波数が人間の可聴周波数の範囲である場合に、インダクタの振動が、騒音となって聞こえてしまう可能性が生じる。
【0057】
パルス幅変調制御の周波数を人間の可聴周波数よりも高くし、インダクタの振動による騒音を抑制することも考えられる。しかしながら、この場合には、図3(a)に表したように、1周期の時間が短くなり、パルス幅変調した電流のオン時間の短い低出力時に高い制御分解能が必要となってしまう。
【0058】
このため、照明装置では、パルス幅変調した電流を光源に供給する制御方式において、高い制御分解能を必要とすることなく、騒音の発生を抑制できるようにすることが望まれる。
【0059】
これに対し、本実施形態に係る照明装置10では、調光回路40が、抵抗素子51及びコンデンサ52からなるフィルタ回路50を有する。本実施形態に係る照明装置10では、フィルタ回路50が、インダクタを有しない。
【0060】
これにより、本実施形態に係る照明装置10では、変調電流MCの周波数を如何様に設定したとしても、インダクタの振動による騒音が発生することがない。本実施形態に係る照明装置10では、変調電流MCの周波数を20kHz未満の人間の可聴周波数の範囲に設定したとしても、インダクタの振動による騒音の発生を抑制することができる。
【0061】
さらに、変調電流MCの周波数を20kHz未満に設定可能とすることにより、変調電流MCのオン時間の短い低出力時においても、高い制御分解能が必要となってしまうことを抑制することができる。従って、本実施形態に係る照明装置10では、パルス幅変調した電流を光源12に供給する制御方式において、高い制御分解能を必要とすることなく、騒音の発生を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る照明装置10では、制御部24が、制御信号の表すパルス幅が所定値以上である場合に、第1周波数の第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させ、制御信号の表すパルス幅が所定値未満である場合に、第2周波数の第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。
【0063】
このように、パルス幅が所定値以上の比較的高い出力の時には、20kHz以上の第1周波数の第1変調電流MC1をDC/PWM変換回路22に生成させる。これにより、例えば、パルス幅変調の動作が、騒音となって聞こえてしまうことを抑制することもできる。例えば、スイッチング素子42のスイッチングの動作が騒音となって聞こえてしまうことを抑制し、騒音の発生をより確実に抑制することができる。
【0064】
そして、パルス幅が所定値未満の比較的低い出力の時には、第1周波数よりも低い第2周波数の第2変調電流MC2をDC/PWM変換回路22に生成させる。これにより、変調電流のパルス幅の短い低出力時に高い制御分解能が必要となってしまうことを抑制することができる。
【0065】
なお、制御部24は、必ずしも第1周波数と第2周波数との切り替えを行わなくてもよい。制御部24は、変調電流MCの周波数を常に20kHz未満に設定してもよい。
【0066】
図4は、実施形態に係るDC/PWM変換回路の変形例を模式的に表すブロック図である。
図4に表したように、この例では、フィルタ回路50aが、抵抗素子51と、コンデンサ52と、ダイオード53と、を有する。なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0067】
ダイオード53は、抵抗素子51とコンデンサ52との直列接続体に対し、抵抗素子51と並列に設けられる。また、ダイオード53の整流の向きは、スイッチング素子42に流れる電流の向きと同じである。フィルタ回路50aは、換言すれば、RCDスナバ回路である。
【0068】
このように、フィルタ回路50aの構成は、抵抗素子51とコンデンサ52とからなる構成に限ることなく、ダイオード53をさらに有する構成でもよい。この例において、フィルタ回路50aは、換言すれば、RCDスナバ回路である。
【0069】
なお、フィルタ回路50、50aの構成は、上記に限ることなく、抵抗素子、コンデンサ、及びダイオードのいずれかのみを有し、変調電流MCに重畳する交流成分のノイズを抑制することができる任意の構成でよい。換言すれば、フィルタ回路50、50aの構成は、インダクタを用いることなく、変調電流MCに重畳する交流成分のノイズを抑制することができる任意の構成でよい。なお、ダイオードは、例えば、ツェナーダイオードなどでもよい。フィルタ回路50aは、例えば、ツェナーダイオードを用いたスナバ回路などでもよい。
【0070】
図5は、実施形態に係るDC/PWM変換回路の変形例を模式的に表すブロック図である。
図5に表したように、この例では、フィルタ回路50bが、光源12と整流素子44との間の位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。換言すれば、フィルタ回路50bは、整流素子44よりもスイッチング素子42から遠い位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。フィルタ回路50bは、整流素子44よりも光源12に近い位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。フィルタ回路50bは、換言すれば、光源12と並列に設けられる。
【0071】
フィルタ回路50bの一端は、整流素子44の他端(カソード)と電気的に接続されている。フィルタ回路50bの他端は、スイッチング素子42の電極42bと電気的に接続されている。これにより、フィルタ回路50bは、整流素子44よりもスイッチング素子42から遠い位置において、スイッチング素子42と並列に設けられる。
【0072】
フィルタ回路50bは、抵抗素子51と、コンデンサ52と、を有する。フィルタ回路50bは、ダイオード53をさらに有してもよい。フィルタ回路50bの構成は、上記と同様に、抵抗素子、コンデンサ、及びダイオードのいずれかのみを有し、変調電流MCに重畳する交流成分のノイズを抑制することができる任意の構成でよい。
【0073】
このように、フィルタ回路は、整流素子44よりもスイッチング素子42に近い位置に設けてもよいし、整流素子44よりも光源12に近い位置に設けてもよい。フィルタ回路50、50aのように、整流素子44よりもスイッチング素子42に近い位置にフィルタ回路を設けた場合には、整流素子44よりも光源12に近い位置に設けた場合と比べて、例えば、スイッチング素子42のスイッチングにともなってスイッチング素子42に印加されるスパイク状の高電圧をより適切に抑制することができる。例えば、スイッチング素子42のスイッチングにともなうスイッチング素子42などの故障をより適切に抑制することができる。
【0074】
反対に、フィルタ回路50bのように、整流素子44よりも光源12に近い位置にフィルタ回路を設けた場合には、整流素子44よりもスイッチング素子42に近い位置にフィルタ回路を設けた場合と比べて、例えば、変調電流MCに重畳する交流成分のノイズをより適切に抑制することができる。
【0075】
整流素子44よりもスイッチング素子42に近い位置にフィルタ回路を設けるか、整流素子44よりも光源12に近い位置にフィルタ回路を設けるかは、スイッチング素子42に印加されるスパイク状の高電圧の大きさや、変調電流MCに重畳する交流成分のノイズの大きさなどに応じて適宜設定すればよい。例えば、2つのフィルタ回路を整流素子44の前後に1つずつ設けてもよい。
【0076】
図6は、実施形態に係る照明装置の変形例を模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、照明装置10aでは、光源12が、複数の発光素子12a~12cを有するとともに、点灯装置14aが、複数のDC/PWM変換回路22を有する。複数のDC/PWM変換回路22は、それぞれ変調電流を生成し、複数の変調電流のそれぞれを複数の発光素子12a~12cのそれぞれに供給する。複数のDC/PWM変換回路22は、例えば、図2図4図5に関して説明した回路を複数設けることによって実現することができる。
【0077】
発光素子12aは、例えば、電圧の印加により、赤色光を照射する。発光素子12bは、例えば、電圧の印加により、緑色光を照射する。発光素子12cは、例えば、電圧の印加により、青色光を照射する。複数のDC/PWM変換回路22は、制御信号に基づいて各発光素子12a~12cのそれぞれに供給する変調電流のパルス幅を変化させることにより、各色の光の強度を変化させる。これにより、光源12から任意の色の光を照射することができる。いわゆる調色制御を行うことができる。複数の発光素子12a~12cは、赤色光、緑色光、青色光に限ることなく、色温度の異なる光を照射する発光素子などでもよい。
【0078】
このように、点灯装置14aは、複数の変調電流を生成する複数のDC/PWM変換回路22を有する構成としてもよい。なお、光源12の発光素子の数は、3つに限ることなく、4つ以上でもよい。DC/PWM変換回路22の数は、発光素子の数に応じた任意の数でよい。また、例えば、照明装置10aに複数の光源12を設け、複数のDC/PWM変換回路22は、パルス幅の異なる複数の変調電流を複数の光源12のそれぞれに供給してもよい。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
2 交流電源、 4 外部機器、 10、10a 照明装置、 12 光源、 12a~12c 発光素子、 14、14a 点灯装置、 20 AC/DC変換回路、 22 DC/PWM変換回路、 24 制御部、 26 信号変換部、 30 定電流回路、 31 スイッチング素子、 32 インダクタ、 33 ダイオード、 34 検出部、 40 調光回路、 42 スイッチング素子、 44 整流素子、 50、50a、50b フィルタ回路、 51 抵抗素子、 52 コンデンサ、 53 ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6