(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】制御方法、プログラム、制御システム、搬送装置、及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240322BHJP
【FI】
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2019187179
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-117804(JP,A)
【文献】特開平03-189805(JP,A)
【文献】特開平08-123551(JP,A)
【文献】特開平08-249063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪を有して搬送物を搬送する搬送装置の、軌道に対する基準姿勢からの前記搬送装置の傾きのずれに関する回転ずれ情報、及び前記基準姿勢からの前記搬送装置の位置のずれに関する位置ずれ情報を取得する取得ステップと、
前記複数の操向輪の各々について、前記取得ステップにて取得した前記回転ずれ情報及び前記位置ずれ情報に基づいて舵角を補正する補正ステップと、を有し、
前記補正ステップは、前記搬送装置の旋回半径R0を、前記基準姿勢からの前記搬送装置の傾きの前記ずれである回転ずれ量D2と、
前記回転ずれ量D2に対する補正係数K2と
に基づいてPID制御し、前記PID制御の比例項が次式
K2/D2
である、
制御方法。
【請求項2】
前記補正ステップは、前記複数の操向輪の各々について、前記軌道に沿って直進する向きとなる基準舵角に舵角を補正するステップを含む、
請求項1記載の制御方法。
【請求項3】
前記補正ステップは、前記複数の操向輪の各々について、
前記位置ずれ情報に基づいて前記舵角を補正する第1補正ステップと、
前記回転ずれ情報に基づいて前記舵角を補正する第2補正ステップと、を交互に実行する、
請求項2記載の制御方法。
【請求項4】
前記補正ステップは、前記複数の操向輪の各々について、
前記位置ずれ情報に基づいて得られる第1舵角と、前記回転ずれ情報に基づいて得られる第2舵角と、を合成した合成舵角に基づいて前記舵角を補正する、
請求項2記載の制御方法。
【請求項5】
前記補正ステップは、前記回転ずれ情報に基づいて前記舵角を補正する場合、前記複数の操向輪のうち前記搬送装置の長さ方向の第1端に位置する第1輪の前記舵角と、前記複数の操向輪のうち前記搬送装置の前記長さ方向の第2端に位置する第2輪の前記舵角と、を互いに逆位相にする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記複数の操向輪の各々について、前記補正ステップで補正する前記舵角に基づいて、対応する操向輪の速度を補正する速度補正ステップを更に有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記複数の操向輪の各々について、前記補正ステップで補正する前記舵角に基づいて、対応する操向輪の各々の軸に加わるトルクを補正するトルク補正ステップを更に有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記複数の操向輪は、前記搬送装置の長さ方向の第1端に位置する第1輪と、前記搬送装置の前記長さ方向の第2端に位置する第2輪と、からなる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項9】
前記軌道は、前記搬送装置が移動する移動面に設置されている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記搬送装置は、前記搬送装置の本体部における前記軌道に交差する一面にて前記搬送物を連結する連結部を有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
1以上のプロセッサに、
請求項1~10のいずれか1項に記載の制御方法を実行させる、
プログラム。
【請求項12】
前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪を有して搬送物を搬送する搬送装置の、軌道に対する基準姿勢からの前記搬送装置の傾きのずれに関する回転ずれ情報、及び前記基準姿勢からの前記搬送装置の位置のずれに関する位置ずれ情報を取得する取得部と、
前記複数の操向輪の各々について、前記取得部にて取得した前記回転ずれ情報及び前記位置ずれ情報に基づいて舵角を補正する補正部と、を備え、
前記補正部は、前記搬送装置の旋回半径R0を、前記基準姿勢からの前記搬送装置の傾きの前記ずれである回転ずれ量D2と、
前記回転ずれ量D2に対する補正係数K2と
に基づいてPID制御し、前記PID制御の比例項が次式
K2/D2
である、
制御システム。
【請求項13】
請求項12記載の制御システムと、
前記制御システムが搭載され、前記搬送物の搬送を行う本体部と、を備える、
搬送装置。
【請求項14】
請求項12記載の制御システムと、
部品を基板に実装する少なくとも1つの部品実装機と、を含む部品実装システムであって、
前記部品実装機は、
前記部品を供給する部品供給装置と、
前記部品を前記基板に実装する実装ヘッドを含む実装本体と、を有し、
前記部品供給装置は、
前記制御システムが制御する前記搬送装置によって前記実装本体まで搬送される、
部品実装システム。
【請求項15】
前記搬送装置は、
前記部品供給装置のうち前記部品を前記実装本体に排出する部位と反対側の部位と連結可能である、
請求項14記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に制御方法、プログラム、制御システム、搬送装置、及び部品実装システムに関する。より詳細には、本開示は、搬送装置を制御する制御方法、プログラム、制御システム、制御システムを搭載した搬送装置、及び搬送装置を用いた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工場内等に敷設した軌道等の走行路に沿って複数台の無人搬送車(搬送装置)を走行させて、資材や製品等を搬送する設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、搬送装置の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置を軌道に追従させやすい制御方法、プログラム、制御システム、搬送装置、及び部品実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る制御方法は、取得ステップと、補正ステップと、を有する。前記取得ステップは、回転ずれ情報、及び位置ずれ情報を取得するステップである。前記回転ずれ情報は、搬送装置の、軌道に対する基準姿勢からの前記搬送装置の傾きのずれに関する情報である。前記位置ずれ情報は、前記基準姿勢からの前記搬送装置の位置のずれに関する情報である。前記搬送装置は、前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪を有して搬送物を搬送する。前記補正ステップは、前記複数の操向輪の各々について、前記取得ステップにて取得した前記回転ずれ情報及び前記位置ずれ情報に基づいて舵角を補正するステップである。前記補正ステップは、前記搬送装置の旋回半径R0を、前記基準姿勢からの前記搬送装置の傾きの前記ずれである回転ずれ量D2と、前記回転ずれ量D2に対する補正係数K2とに基づいてPID制御し、前記PID制御の比例項が次式 K2/D2 である。
【0006】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法を実行させる。
【0007】
本開示の一態様に係る制御システムは、取得部と、補正部と、を備える。前記取得部は、回転ずれ情報、及び位置ずれ情報を取得する。前記回転ずれ情報は、搬送装置の、軌道に対する基準姿勢からの前記搬送装置の傾きのずれに関する情報である。前記位置ずれ情報は、前記基準姿勢からの前記搬送装置の位置のずれに関する情報である。前記搬送装置は、前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪を有して搬送物を搬送する。前記補正部は、前記複数の操向輪の各々について、前記取得部にて取得した前記回転ずれ情報及び前記位置ずれ情報に基づいて舵角を補正する。前記補正部は、前記搬送装置の旋回半径R0を、前記基準姿勢からの前記搬送装置の傾きの前記ずれである回転ずれ量D2と、前記回転ずれ量D2に対する補正係数K2とに基づいてPID制御し、前記PID制御の比例項が次式 K2/D2 である。
【0008】
本開示の一態様に係る搬送装置は、上記の制御システムと、本体部と、を備える。前記本体部は、前記制御システムが搭載され、前記搬送物の搬送を行う。
【0009】
本開示の一態様に係る部品実装システムは、前記制御システムと、部品を基板に実装する少なくとも1つの部品実装機と、を含むシステムである。前記部品実装機は、前記部品を供給する部品供給装置と、前記部品を前記基板に実装する実装ヘッドを含む実装本体と、を有する。前記部品供給装置は、前記制御システムが制御する前記搬送装置によって前記実装本体まで搬送される。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、搬送装置の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置を軌道に追従させやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る制御システムが対象とする搬送装置の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図2は、同上の制御システムの概要を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の制御システムの動作における位置ずれ量及び回転ずれ量の説明図である。
【
図4】
図4は、同上の制御システムの動作における基準舵角の説明図である。
【
図5】
図5は、同上の制御システムの動作における第1舵角の説明図である。
【
図6】
図6は、同上の制御システムの動作における第2舵角及び合成舵角の説明図である。
【
図7】
図7は、同上の制御システムの動作における逆位相制御の説明図である。
【
図8】
図8は、同上の制御システムの動作における逆位相制御の説明図である。
【
図9】
図9は、同上の制御システムの動作における逆位相制御の説明図である。
【
図10】
図10は、同上の制御システムの動作における速度制御の一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、同上の制御システムを用いることで構築される部品実装システムの概要の説明図である。
【
図12】
図12は、同上の制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、比較例の制御システムによる搬送装置の制御の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、同上の制御システムによる搬送装置の制御の一例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、同上の制御システムの他の動作の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)概要
本実施形態に係る制御方法は、
図1に示すように、搬送物A1を搬送する搬送装置1を軌道L1に追従させるように搬送装置1を制御するための方法である。この制御方法は、制御システム100(
図2参照)にて実現される。本実施形態では、搬送物A1は車輪A11を有しており、搬送装置1と共に移動可能に構成されている。
【0013】
本実施形態では、搬送装置1は、搬送装置1の前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪2を有しており、移動面B1の上を移動して搬送物A1を搬送する装置である。本開示でいう「前後方向」は、搬送装置1の幅方向であって、搬送装置1が進行する向きを「前」、その逆の向きを「後」とする方向である。また、本実施形態では、「前後方向と交差する方向」とは、搬送装置1の長さ方向であって、
図1における左右方向である。
【0014】
図1における白抜きの矢印は、搬送装置1の進行方向を表している。また、
図1における十字の矢印は、搬送装置1の「前」、「後」、「左」、及び「右」を表している。
図1におけるこれらの矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。また、
図1において、搬送装置1の複数の操向輪2等の車輪は、実線で描かれているが、実際には、搬送装置1の本体部10(後述する)に隠れている。さらに、
図1において、軌道L1は実線で描かれているが、実際には、軌道L1のうち搬送装置1と重なる箇所は、搬送装置1の本体部10に隠れている。
図1以外の図面においても同様である。
【0015】
搬送装置1は、例えば物流センター(配送センターを含む)、工場、オフィス、店舗、学校、及び病院等の施設に導入される。移動面B1は、その上を搬送装置1が移動する面であり、搬送装置1が施設内を移動する場合は施設の床面等が移動面B1となり、搬送装置1が屋外を移動する場合は地面等が移動面B1となる。以下では、工場に搬送装置1を導入する場合について説明する。なお、
図1以外の図面においては、移動面B1の図示を省略している。
【0016】
本実施形態では、複数の操向輪2は、搬送装置1の長さ方向の第1端に位置する第1輪21と、搬送装置1の長さ方向の第2端に位置する第2輪22と、からなる。つまり、搬送装置1は、2つの操向輪2により移動面B1の上を移動するように構成されている。なお、本実施形態では、搬送装置1は、2つの操向輪2の他に、4つの補助輪3を有しているが、これらの補助輪3は、制御システム100により舵角θ(
図4参照)を変更可能な操向輪2には含まれない。本開示でいう「舵角」は、搬送装置1を上方から見た平面視において、搬送装置1の前後方向と、車輪(操向輪2)の車輪面(言い換えれば、車輪の転動方向)とがなす角度をいう。本開示でいう「車輪面」は、車輪(操向輪2)の移動面B1に接している面をいう。
【0017】
本開示でいう「軌道」は、搬送装置1が搬送物A1を目的地まで搬送する際における、搬送装置1の移動経路を規定している。本実施形態では、軌道L1は、搬送装置1が移動する移動面B1に設置されている。具体的には、軌道L1は、移動面B1に設置されている磁気テープ、又は磁気マーカ等の線状の物体である。制御システム100は、搬送装置1に搭載されたセンサ4(後述する)による軌道L1の検知に基づいて、搬送装置1が軌道L1に追従するように搬送装置1を制御する。これにより、搬送装置1は、軌道L1に追従しながら搬送物A1を目的地まで搬送することが可能である。なお、「軌道に追従する」とは、搬送装置1が軌道L1の上を移動することの他、搬送装置1が軌道L1と重ならないように軌道L1に沿って移動することを含み得る。
【0018】
本実施形態の搬送装置1の制御方法は、取得ステップST1と、補正ステップST2と、を有している(
図12参照)。
【0019】
取得ステップST1は、回転ずれ情報、及び位置ずれ情報を取得するステップである。回転ずれ情報は、搬送装置1の軌道L1に対する基準姿勢からの搬送装置1の傾きのずれに関する情報である。位置ずれ情報は、基準姿勢からの搬送装置1の位置のずれに関する情報である。本開示でいう「基準姿勢」は、搬送装置1の前後方向が軌道L1と平行となるような搬送装置1の姿勢をいう。なお、「平行」とは、完全な平行のみならず、ほぼ平行を含む概念である。本実施形態では、取得部11は、後述する第1センサ41及び第2センサ42の各々の検知結果に基づいて、回転ずれ情報及び位置ずれ情報を取得する。
【0020】
補正ステップST2は、複数の操向輪2の各々について、取得ステップST1にて取得した回転ずれ情報及び位置ずれ情報に基づいて舵角θを補正するステップである。つまり、本実施形態では、回転ずれ情報及び位置ずれ情報に基づいて、複数の操向輪2を一括して同じ舵角θとなるように補正するのではなく、複数の操向輪2の各々の舵角θを個別に補正する。もちろん、補正ステップST2の結果として、複数の操向輪2の各々の舵角θが同じとなる場合はあり得る。
【0021】
したがって、本実施形態では、搬送装置1の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置1を軌道L1に追従させやすい、という利点がある。
【0022】
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る制御システム100について
図1及び
図2を参照して説明する。本実施形態では、制御システム100は、搬送装置1の本体部10(後述する)に内蔵されており、上位システム6と互いに通信可能に構成されている。つまり、搬送装置1は、制御システム100と、制御システム100が搭載されて搬送物A1の搬送を行う本体部10と、を備えている。本開示における「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器7等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。本実施形態では、上位システム6と複数台の搬送装置1の各々とは、互いに双方向に通信可能であって、上位システム6から搬送装置1への情報の送信、及び搬送装置1から上位システム6への情報の送信の両方が可能である。
【0023】
上位システム6は、複数台の搬送装置1を統括的に制御するためのシステムであって、例えばサーバ装置で実現されている。上位システム6は、複数台の搬送装置1の各々に対して指示を出すことで、複数台の搬送装置1を間接的に制御する。
【0024】
本実施形態では、上位システム6は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、上位システム6の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0025】
(2.2)搬送装置
次に、本実施形態の搬送装置1の構成について、より詳細に説明する。搬送装置1は、
図1に示すように、搬送物A1を運搬するための無人搬送車であり、搬送物A1を連結して目的地まで自律走行する。本実施形態では、上位システム6が、ネットワークNT1及び中継器7を介して搬送装置1と通信し、搬送装置1の移動を間接的に制御する。
【0026】
搬送装置1は、例えば床面等からなる平坦な移動面B1を自律走行する。ここでは一例として、搬送装置1は、蓄電池を備え、蓄電池に蓄積された電気エネルギを用いて動作することとする。本実施形態では、搬送装置1は、搬送物A1を連結した状態で移動面B1上を走行する。これにより、搬送装置1は、例えば、ある場所に置かれている搬送物A1を、搬送装置1でけん引したり、搬送装置1で押し動かしたりすることで、別の場所に搬送することが可能である。
【0027】
搬送装置1は、本体部10を備えている。本体部10は、直方体状に形成されている。本実施形態では、本体部10の側面には、例えばフック等、搬送物A1の一部を引っ掛けることが可能な連結部5が設けられている。ここでいう「本体部の側面」は、搬送装置1が基準姿勢をとっている場合に、軌道L1に交差する一面をいう。このため、本実施形態では、連結部5に搬送物A1の一部を引っ掛けることで、搬送装置1により搬送物A1を連結することが可能である。つまり、搬送装置1は、搬送装置1の本体部10における軌道L1に交差する一面(背面)にて、搬送物A1を連結する連結部5を有している。
【0028】
搬送装置1は、本体部10の下部に複数(ここでは、6つ)の車輪を有している。6つの車輪のうち、本体部10の長さ方向(左右方向)の第1端(左端)に位置する第1輪21と、本体部10の長さ方向の第2端(右端)に位置する第2輪22とは、いずれも操向輪2である。また、6つの車輪のうち、本体部10の前端において第1センサ41を挟んだ両側に位置する2つの車輪、及び本体部10の後端において第2センサ42を挟んだ両側に位置する2つの車輪は、いずれも補助輪(従動輪)である。本実施形態では、2つの操向輪2は、いずれも駆動輪を兼ねており、これら駆動輪が個別に駆動されることにより、搬送装置1が移動面B1上を所望の方向に移動可能となる。また、2つの操向輪2の各々は、搬送装置1が軌道L1に追従する経路からずれた場合に、この経路に復帰するのに十分な範囲で舵角θを変更可能に構成されている。
【0029】
(2.3)制御システム
次に、本実施形態の制御システム100の構成について、より詳細に説明する。制御システム100は、
図2に示すように、検知部101と、制御部102と、通信部103と、記憶部104と、走行装置105と、を備えている。本実施形態では、検知部101、制御部102、通信部103、記憶部104、及び走行装置105が制御システム100の構成要件に含まれているが、制御部102のみが制御システム100の構成要件に含まれていてもよい。
【0030】
検知部101は、本体部10の挙動、及び本体部10の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、本体部10の挙動は、本体部10が走行中/停止中を表す本体部10の動作状態、本体部10の速度(及び速度変化)、本体部10に作用する加速度、及び本体部10の姿勢等を含む。具体的には、検知部101は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部10の挙動を検知する。また、検知部101は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部10の周辺状況を検知する。
【0031】
また、検知部101は、本体部10の位置、つまり搬送装置1の現在位置を特定する位置特定部を有している。位置特定部は、一例として、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含む。複数の発信器は、搬送装置1が移動する範囲内の複数箇所に配置されている。位置特定部は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、本体部10の位置を測定する。位置特定部は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて実現されてもよい。
【0032】
さらに、検知部101は、複数のセンサ4を含んでいる。複数のセンサ4(ここでは、第1センサ41及び第2センサ42)は、それぞれ複数の操向輪2(ここでは、第1輪21及び第2輪22)の間に設置されている。第1センサ41は、本体部10の前端における2つの補助輪3の間に設置される。第2センサ42は、本体部10の後端における2つの補助輪3の間に設置される。
【0033】
複数のセンサ4は、いずれも棒状の磁気センサであって、軌道L1の発生する磁束を検知することでセンサ4と軌道L1との相対的な位置関係、つまりセンサ4の軌道L1に対する位置ずれを検知する。ここでいう「位置ずれ」は、一例として、センサ4の中心と軌道L1との最短距離により表される。
【0034】
通信部103は、上位システム6と通信可能に構成されている。本実施形態では、通信部103は、搬送装置1を運用するエリア内に設置された複数の中継器7のいずれかと、電波を媒体とする無線通信によって通信を行う。そのため、通信部103と上位システム6とは、少なくともネットワークNT1及び中継器7を介して、間接的に通信を行うことになる。
【0035】
つまり、各中継器7は、通信部103と上位システム6との間の通信を中継する機器(アクセスポイント)である。中継器7は、ネットワークNT1を介して、上位システム6と通信する。本実施形態では一例として、中継器7と通信部103との間の通信には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。また、ネットワークNT1は、インターネットに限らず、例えば、搬送装置1を運用するエリア内又はこのエリアの運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよい。
【0036】
記憶部104は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。記憶部104は、例えば、搬送装置1を運用するエリアのマップに関する地図情報、及び上位システム6から与えられた指令情報等を記憶する。
【0037】
走行装置105は、制御部102からの制御命令を受けて、本体部10に備えられた複数の駆動輪(本実施形態では、2つの操向輪2)を個別に駆動することで、搬送装置1を所望の方向に走行させる。
【0038】
制御部102は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そのため、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部102の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0039】
制御部102は、検知部101の検知結果に基づいて、搬送装置1を制御する。本実施形態では、制御部102は、搬送装置1を制御するために、取得部11と、補正部12と、を有している。取得部11及び補正部12は、いずれも制御部102の実行する機能として実現される。
【0040】
取得部11は、複数のセンサ4と通信することにより、回転ずれ情報及び位置ずれ情報を取得する。つまり、取得部11は、取得ステップST1の実行主体である。本実施形態では、取得部11は、第1センサ41及び第2センサ42の各々の検知結果に基づいて、回転ずれ情報及び位置ずれ情報を取得する。具体的には、取得部11は、
図3に示すように、第1センサ41の中心と軌道L1との間の距離と、第2センサ42の中心と軌道L1との間の距離との中間値(つまり、搬送装置1の本体部10の制御点P1と軌道L1との位置ずれ量D1)を、位置ずれ情報として取得する。制御点P1は、搬送装置1の本体部10の中心である。また、取得部11は、第1センサ41の中心と第2センサ42の中心との間の距離D11と、差分D12と、を正接(tangent)とする角度である回転ずれ量D2を、回転ずれ情報として取得する。差分D12は、第1センサ41の中心と軌道L1との間の距離と、第2センサ42の中心と軌道L1との間の距離との差分である。
【0041】
補正部12は、複数の操向輪2の各々について、取得部11にて取得した回転ずれ情報及び位置ずれ情報に基づいて舵角θを補正する。つまり、補正部12は、補正ステップST2の実行主体である。本実施形態では、補正部12は、取得部11にて取得した回転ずれ情報及び位置ずれ情報に基づいて、第1輪21の舵角θと、第2輪22の舵角θと、を個別に補正する。本実施形態では、第1輪21及び第2輪22の各々の舵角θの補正量は、PID(Proportional-Integral-Differential)制御により決定される。
【0042】
以下、補正部12による複数の操向輪2の各々の舵角θを補正する過程について、
図4~
図6を参照して説明する。まず、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、基準舵角θ0を算出する。基準舵角θ0は、操向輪2が軌道L1に沿って直進する向きとなる角度であって、回転ずれ情報に基づいて得られる角度である。言い換えれば、補正ステップST2は、複数の操向輪2の各々について、基準舵角θ0に舵角θを合わせるように補正するステップを含んでいる。
【0043】
図4は、複数の操向輪2(ここでは、第1輪21及び第2輪22)の各々の舵角θを基準舵角θ0とした場合の搬送装置1を表している。
図4に示すように、複数の操向輪2の各々の基準舵角θ0は、回転ずれ量D2と一致する。つまり、基準舵角θ0は、回転ずれ量D2を求めることにより算出される。
図4では、第1輪21の舵角θ(基準舵角θ0)と、第2輪22の舵角θ(基準舵角θ0)とは、同じ値となる。
【0044】
次に、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、第1舵角θ1を算出する。第1舵角θ1は、位置ずれ情報に基づいて得られる角度である。第1舵角θ1は、位置ずれ量D1が零となる(つまり、制御点P1が軌道L1に乗る)ように搬送装置1を旋回させずに平行移動させる角度である。
図5は、複数の操向輪2(ここでは、第1輪21及び第2輪22)の各々の舵角θを、基準舵角θ0に第1舵角θ1を加算した角度とした場合の搬送装置1を表している。ここで、第1輪21の第1舵角θ1と、第2輪22の第1舵角θ1とは、同じ値となる。したがって、
図5では、第1輪21の舵角θと、第2輪22の舵角θとは、同じ値となる。本実施形態では、第1舵角θ1は、以下の式(1)で表される。式(1)において、「K1」は、位置ずれ量D1に対する補正係数を表している。
【0045】
【0046】
ここで、式(1)で表される第1舵角θ1は、PID制御での比例項(P項)を表している。PID制御での積分項、及び微分項を含めると、第1舵角θ1は、以下の式(2)で表される。式(2)において、「D1i」は位置ずれの積分量、「D1d」は位置ずれの微分量、「K1i」は位置補正係数(積分係数)、「K1d」は位置補正係数(微分係数)を表している。
【0047】
【0048】
次に、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、第2舵角θ2を算出する。第2舵角θ2は、回転ずれ情報に基づいて得られる角度である。第2舵角θ2は、回転ずれ量D2が零となる(つまり、搬送装置1が基準姿勢となる)ように搬送装置1を旋回移動させる角度である。
図6は、複数の操向輪2(ここでは、第1輪21及び第2輪22)の各々の舵角θを、基準舵角θ0に第1舵角θ1及び第2舵角θ2を加算した角度とした場合の搬送装置1を表している。ここで、第1輪21の第2舵角θ21と、第2輪22の第2舵角θ22とは、後述するように互いに逆位相となっている。したがって、
図6では、第1輪21の舵角θと、第2輪22の舵角θとは、互いに異なる値となる。
【0049】
本実施形態では、第2舵角θ2(第1輪21の第2舵角θ21及び第2輪22の第2舵角θ22)は、以下の式(3)~(7)で表される。式(3)、(4)において、「R0」は、補正後の制御点P1の点X0を中心とする旋回半径を表している。点X0は、第1輪21の軸方向と第2輪22の軸方向との交点である。式(5)において、「K2」は、回転ずれ量D2に対する補正係数を表している。式(6)、(7)において、「T0」は、第1輪21の中心と第2輪22の中心との間の距離を表している。
【0050】
【0051】
ここで、式(5)で表される旋回半径R0は、PID制御での比例項(P項)を表している。PID制御での積分項、及び微分項を含めると、旋回半径R0は、以下の式(8)で表される。式(8)において、「D2i」は回転ずれの積分量、「D2d」は回転ずれの微分量、「K2i」は回転補正係数(積分係数)、「K2d」は回転補正係数(微分係数)を表している。
【0052】
【0053】
そして、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、算出した基準舵角θ0と、第1舵角θ1と、第2舵角θ2と、を合成した合成舵角θ3(
図6参照)に基づいて舵角θを補正する。言い換えれば、補正ステップST2は、複数の操向輪2の各々について、第1舵角θ1と、第2舵角θ2と、を合成した合成舵角θ3に基づいて舵角θを補正するステップである。
図6に示すように、第1輪21の合成舵角θ3は、第1輪21の基準舵角θ0と、第1輪21の第1舵角θ1と、第1輪21の第2舵角θ21と、を加算した角度となる。また、第2輪22の合成舵角θ3は、第2輪22の基準舵角θ0と、第2輪22の第1舵角θ1と、第2輪22の第2舵角θ22と、を加算した角度となる。
【0054】
ここで、補正部12は、第2舵角θ2を算出する際には、第1輪21の第2舵角θ21と、第2輪22の第2舵角θ22と、が互いに逆位相となるように、複数の操向輪2の各々の第2舵角θ2を算出する、逆位相制御を実行する。本開示でいう「互いに逆位相」とは、第1輪21を時計回り又は反時計回りに回転させた場合の第1輪21の舵角θと、第2輪22を第1輪21とは逆回りに回転させた場合の第2輪22の舵角θとの関係をいう。例えば、第1輪21の第2舵角θ21が30度であると仮定すると、互いに逆位相の関係を満たす場合、第2輪22の第2舵角θ22は-30度となる。言い換えれば、補正ステップST2は、回転ずれ情報に基づいて舵角θを補正する場合、複数の操向輪2のうち搬送装置1の長さ方向の第1端(左端)に位置する第1輪21の舵角θと、複数の操向輪2のうち搬送装置1の長さ方向の第2端(右端)に位置する第2輪22の舵角θと、を互いに逆位相にするステップを有する。
【0055】
以下、上記の逆位相制御の利点について、搬送装置1Aを例に挙げて
図7~
図9を参照して説明する。搬送装置1Aは、搬送装置1の長さ方向を進行方向とする点で、搬送装置1と異なっている。つまり、搬送装置1Aにおいては、搬送装置1Aの長さ方向が前後方向であって、第1輪21が前輪21A、第2輪22が後輪22Aとなっている。また、搬送装置1Aは、補助輪を2つ備えている点で、搬送装置1と異なっている。なお、
図7~
図9においては、複数のセンサ4、連結部5、及び搬送物A1の図示を省略している。
【0056】
まず、前輪21A及び後輪22Aの各々の舵角θを、補正部12で算出した第1舵角θ1で補正して搬送装置1Aを制御する、と仮定する。この場合、
図7に示すように、搬送装置1Aには、第1舵角θ1を向く慣性ベクトルV1で表される慣性が働く。
【0057】
この状態で、前輪21Aのみを更に第2舵角θ21を加算した舵角θ110で補正して搬送装置1Aを制御する、と仮定する。この場合、
図8に示すように、後輪22Aの移動面B1との接地点を中心とするヨーイングモーメントが搬送装置1Aに作用することで、慣性ベクトルV1が慣性ベクトルV2へと急峻に変化する。このように搬送装置1Aに働く慣性が急峻に変化すると、搬送装置1A及び搬送物A1のバランスが崩れやすくなったり、搬送装置1Aの推進力の損失が大きくなったりする、という問題が生じ得る。
【0058】
そこで、上記の逆位相制御を実行することにより、上記の問題の解消を図ることが可能である。すなわち、搬送装置1Aが
図7に示す状態において、補正部12が逆位相制御を実行した場合、搬送装置1Aには、
図9に示すように、搬送装置1Aの旋回軌道の接線方向を向く慣性ベクトルV3で表される慣性が働く。この慣性ベクトルV3は、逆位相制御を実行する直前の慣性ベクトルV1と殆ど同じ向きであるため、搬送装置1Aに働く慣性の変化が極力抑えられることになる。したがって、搬送装置1A(搬送装置1)及び搬送物A1のバランスが崩れにくく、かつ、搬送装置1A(搬送装置1)の推進力の損失を抑えることができる、という利点がある。
【0059】
また、本実施形態では、補正部12は、上記のように複数の操向輪2の各々について舵角θを補正する他に、複数の操向輪(駆動輪)2の各々の速度を補正する。具体的には、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、上記のように補正した舵角θに基づいて、対応する操向輪2の速度(周速度)を補正する。言い換えれば、制御方法は、複数の操向輪2の各々について、補正ステップST2で補正する舵角θに基づいて、対応する操向輪2の速度を補正する速度補正ステップST3を更に有している。
【0060】
以下、複数の操向輪2の各々の速度を決定する過程について、搬送装置1Aを例に挙げて
図10を参照して説明する。
図10に示す搬送装置1Aは、
図7~
図9に示す搬送装置1Aと同じである。
図10では、搬送装置1Aが右向きに移動している、と仮定する。また、
図10において、「α」は前輪21Aの舵角θ、「β」は後輪22Aの舵角θ、「V
α」は前輪21Aの速度、「V
β」は後輪22Aの速度、「W」は前輪21Aの中心と後輪22Aの中心との間の距離を表している。また、
図10において、「r
α」は前輪21Aの軸方向と後輪22Aの軸方向との交点X1を中心とする前輪21Aの旋回半径、「r
β」は前輪21Aの軸方向と後輪22Aの軸方向との交点X1を中心とする後輪22Aの旋回半径を表している。
【0061】
ここで、前輪21Aの舵角θ、及び後輪22Aの舵角θに応じて、前輪21Aの旋回半径、及び後輪22Aの旋回半径は変化する。したがって、基本的に、前輪21Aの旋回半径と、後輪22Aの旋回半径とは互いに異なっている。このため、前輪21Aの速度と後輪22Aの速度とを同じにした場合、前輪21Aの角速度と後輪22Aの角速度とが一致せずに前輪21Aの動きと後輪22Aの動きとの整合が取れず、いずれか一方の操向輪2が空転する等して、搬送装置1Aを軌道L1に追従させにくくなる可能性がある。
【0062】
そこで、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、舵角θに基づいて速度を補正することで、前輪21Aの角速度と後輪22Aの角速度とを一致させ、前輪21Aの動きと後輪22Aの動きとの整合を取るようにしている。ここで、前輪21Aの角速度と後輪22Aの角速度とが一致する場合における前輪21Aの速度と後輪22Aの速度との比(以下、単に「速度比」という)は、以下の式(9)で表される。
【0063】
【0064】
つまり、速度比は、搬送装置1Aの寸法(例えば、前輪21Aの中心と後輪22Aの中心との間の距離「W」等)に依らず、前輪21Aの舵角θと後輪22Aの舵角θとに基づいて決定することが可能である。
【0065】
上述のように、補正部12は、前輪21A(第1輪21)及び後輪22A(第2輪22)の各々について、舵角θを補正し、かつ、補正した舵角θに基づいて前輪21A(第1輪21)及び後輪22A(第2輪22)の各々の速度を補正することで、搬送装置1A(搬送装置1)を軌道L1に追従するように制御する。
【0066】
(2.4)部品実装システム
本実施形態では、
図11に示すように、搬送物A1は、一例として、1以上のフィーダを有する部品供給装置8である。部品供給装置8は、工場内に設置された部品実装機9の実装本体90に対して部品を供給するために用いられる。ここでいう「部品実装機」は、例えば基板等の対象物に部品を実装する機械である。実装本体90は、部品を基板に実装する実装ヘッドを含んでいる。つまり、本実施形態では、搬送装置1は、制御システム100に制御されることにより、搬送物A1としての部品供給装置8を、部品実装機9の実装本体90の設置場所まで搬送する。これにより、部品実装システム200を構築することが可能である。言い換えれば、部品実装システム200は、部品を基板に実装する少なくとも1つの部品実装機9を含むシステムである。そして、部品供給装置8は、制御システム100が制御する搬送装置1によって実装本体90まで搬送される。
【0067】
ここで、搬送装置1は、部品供給装置8のうち部品を実装本体90に排出する部位と反対側の部位と連結可能であるのが好ましい。この場合、部品供給装置8を部品実装機9の実装本体90の設置場所まで搬送した際に、部品供給装置8における部品を排出する部位が実装本体90の方を向くことになる。したがって、部品供給装置8を部品実装機9の実装本体90の設置場所まで搬送した際に、上記の排出する部位が実装本体90に向くように部品供給装置8の向きを変える作業をしなくて済む。
【0068】
(3)動作
以下、本実施形態の制御システム100の動作の一例について
図12を参照して説明する。
図12に示す動作例では、搬送装置1が搬送物A1を搬送しながら軌道L1を追従して目的地まで移動中である、と仮定する。搬送装置1の移動中において、取得部11は、第1センサ41及び第2センサ42から定期的に検知結果を取得することにより、位置ずれ情報及び回転ずれ情報を取得する(S1)。ステップS1は、取得ステップST1に相当する。
【0069】
次に、補正部12は、取得部11にて取得した位置ずれ情報に基づいて、第1輪21及び第2輪22の各々の基準舵角θ0を算出し(S2)、かつ、第1輪21及び第2輪22の各々の第1舵角θ1を算出する(S3)。また、補正部12は、取得部11にて取得した回転ずれ情報に基づいて、第1輪21及び第2輪22の各々の第2舵角θ2を算出する(S4)。そして、補正部12は、算出した基準舵角θ0、第1舵角θ1、及び第2舵角θ2から、第1輪21及び第2輪22の各々の合成舵角θ3を算出する(S5)。その後、補正部12は、算出した合成舵角θ3に基づいて、第1輪21及び第2輪22の各々の舵角θを補正する(S6)。ステップS2~S6は、補正ステップST2に相当する。
【0070】
その後、補正部12は、補正後の第1輪21の舵角θ及び第2輪22の舵角θに基づいて、第1輪21及び第2輪22の速度比を補正する(S7)。つまり、補正部12は、第1輪21の速度と、第2輪22の速度と、を補正する。ステップS7は、速度補正ステップST3に相当する。
【0071】
そして、制御部102は、補正部12にて補正した第1輪21の舵角θ及び第1輪21の速度に基づいて、第1輪21を制御する(S8)。同様に、制御部102は、補正部12にて補正した第2輪22の舵角θ及び第2輪22の速度に基づいて、第2輪22を制御する(S9)。以下、搬送装置1が目的地に到達するまで(S10:Yes)、上記の処理を周期的に(例えば、数十ミリ秒ごとに)繰り返す。これにより、搬送装置1は、基準姿勢からのずれを抑えながら、軌道L1に追従して目的地に向かって移動することになる。
【0072】
(4)利点
以下、本実施形態の制御システム100の利点について、比較例の制御システムとの比較を交えて説明する。比較例の制御システムは、
図13に示すように、搬送物A1を搬送する搬送装置300を制御している、と仮定する。搬送装置300は、2つのセンサ4の代わりに、搬送装置300の中央部に位置するセンサ40を有している点で、搬送装置1と異なっている。また、搬送装置300は、第1輪21及び第2輪22の代わりに、舵角θを変更することのできない2つの駆動輪210,220を有している点で、搬送装置1と異なっている。つまり、搬送装置300は、2つの駆動輪210,220の各々の速度差を利用して移動する、いわゆる差動型の搬送装置である。また、
図13に示すように、搬送装置300の中心が軌道L1に対してずれた位置にある、と仮定する。
【0073】
比較例の制御システムは、センサ40の検知結果に基づいて、センサ40の中心(つまり、搬送装置300の中心)が軌道L1に乗るように、2つの駆動輪210,220の各々の速度を制御する。
図13に示す例では、比較例の制御システムは、一方の駆動輪210の速度よりも他方の駆動輪220の速度の方が大きくなるように各駆動輪210,220を制御する。これにより、搬送装置300が反時計回りに旋回するので、
図14に示すように、センサ40の中心が軌道L1に乗るように、搬送装置300が制御される。
【0074】
しかしながら、
図14に示す例では、センサ40の中心は軌道L1に乗っているが、搬送装置300は、基準姿勢に対して傾いている。そして、比較例の制御システムは、センサ40の中心が軌道L1に乗っているため、各駆動輪210,220の速度が同じ速度となるように各駆動輪210,220を制御する。したがって、搬送装置300は、基準姿勢に対して傾いた状態を維持しながら直進するため、再び搬送装置300の中心が軌道L1に対してずれてしまう。
【0075】
このように、比較例の制御システムでは、搬送装置300が基準姿勢となるまで、センサ40の中心が軌道L1に乗るように各駆動輪210,220を制御する処理を繰り返すことになる。このため、比較例の制御システムでは、搬送装置300が基準姿勢を維持しながら軌道L1に追従するようになるまでに要する時間が長くなりがちである、という問題があった。
【0076】
また、比較例の制御システムでは、センサ40の軌道L1に対する位置ずれを補正することはできるが、搬送装置300全体の軌道L1に対するずれは補正することが難しい。このため、比較例の制御システムにより搬送物A1を搬送する搬送装置300を制御した場合、搬送物A1と搬送装置300との走行抵抗の偏りにより、搬送装置300が基準姿勢から傾いた状態で軌道L1に追従することになる。このため、比較例の制御システムで搬送装置300を制御した場合、通路の幅に対して搬送装置300及び搬送物A1が占める割合が大きくなりやすく、搬送装置300を狭路にて移動させることが難しい、という問題もあった。
【0077】
これに対して、本実施形態では、搬送装置1の軌道L1に対する基準姿勢からの搬送装置1の傾きのずれと、基準姿勢からの搬送装置1の位置のずれと、を修正するように、搬送装置1の全ての操向輪2(ここでは、第1輪21及び第2輪22)が制御される。このため、本実施形態では、搬送物A1を搬送しながら移動している場合であっても、搬送装置1の姿勢が基準姿勢となるように修正されることになる。したがって、本実施形態では搬送装置1の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置1を軌道L1に追従させやすい、という利点がある。また、本実施形態では、比較例の制御システムと比較して、搬送装置1が基準姿勢を維持しながら軌道L1に追従するようになるまでに要する時間の短縮を図りやすい、という利点もある。
【0078】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る制御方法(制御システム100)と同様の機能は、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の制御方法を実行させる。
【0079】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0080】
本開示における制御システム100は、例えば、制御部102等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0081】
また、制御システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム100に必須の構成ではなく、制御システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、制御システム100の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0082】
上述の実施形態において、制御システム100は、複数の操向輪2の舵角θを固定して、複数の操向輪2の各々の速度差を利用して搬送装置1を移動させる、いわゆる差動型の制御により搬送装置1を軌道L1に追従させてもよい。
【0083】
上述の実施形態において、制御システム100は、例えば
図15に示すように、複数の操向輪2の舵角θを固定して、複数の操向輪2の各々の軸方向が交差する交点X1を中心とする円周軌道を複数の操向輪2が辿るように、搬送装置1を旋回させてもよい。
【0084】
上述の実施形態において、補正部12は、複数の操向輪2の各々の速度を補正する制御は実行しなくてもよい。この場合、上述の実施形態のように、複数の操向輪2の全てが駆動輪を兼ねている必要はなく、少なくともいずれか1つの操向輪2が駆動輪を兼ねていればよい。
【0085】
上述の実施形態において、補正部12は、複数の操向輪2の各々の速度を補正する代わりに、複数の操向輪2の各々の軸に加わるトルクを補正してもよい。
【0086】
上述の実施形態において、複数の操向輪2の各々の舵角θの補正量は、PID制御により決定される他に、P(Proportional)制御又はPI(Proportional-Integral)制御により決定されてもよい。
【0087】
上述の実施形態において、軌道L1は、移動面B1に設置されていなくてもよい。つまり、軌道L1は、実体を有していなくてもよい。例えば、軌道L1は、搬送装置1に与えられる地図情報における仮想的な軌道であってもよい。この場合、センサ4は、磁気センサではなく、例えばGPS等の衛星測位システム及びLiDAR等の組み合わせにより、センサ4の位置の仮想的な軌道に対する位置ずれを検知する態様であればよい。
【0088】
上述の実施形態では、制御システム100は搬送装置1に搭載されているが、これに限らない。例えば、上位システム6が制御システム100として機能してもよい。この場合、上位システム6は、搬送装置1からセンサ4の検知結果を無線通信により取得することで、ずれ情報を取得する取得ステップST1を実行する。また、この場合、上位システム6は、取得したずれ情報に基づいて複数の操向輪2の各々について舵角θ及び速度を補正し、補正した舵角θ及び速度に変更させる指令を無線通信により搬送装置1に送信することで、補正ステップST2及び速度補正ステップST3を実行する。
【0089】
上述の実施形態において、連結部5は、フック等の搬送物A1の一部を引っ掛ける態様に限らず、電磁石により搬送物A1を吸引する態様であってもよい。
【0090】
上述の実施形態において、搬送装置1は、連結部5を有していなくてもよい。例えば、搬送装置1は、搬送装置1の上に搬送物A1を積載する構造を有していてもよい。つまり、搬送装置1は、搬送物A1を搬送可能な態様であればよい。
【0091】
上述の実施形態において、補正部12は、複数の操向輪2の各々について、合成舵角θ3に基づいて舵角θを補正しているが、これに限らない。例えば、補正部12は、基準舵角θ0に基づいて舵角θを補正する処理と、第1舵角θ1に基づいて舵角θを補正する処理と、第2舵角θ2に基づいて舵角θを補正する処理と、を交互に実行してもよい。言い換えれば、補正ステップST2は、複数の操向輪2の各々について、第1補正ステップと、第2補正ステップと、を交互に実行してもよい。第1補正ステップは、回転ずれ情報に基づいて舵角θを補正するステップであり、
図12のステップS3にて算出した第1舵角θ1に基づいて舵角θを補正するステップに相当する。第2補正ステップは、位置ずれ情報に基づいて舵角θを補正するステップであり、
図12のステップS4にて算出した第2舵角θ2に基づいて舵角θを補正するステップに相当する。
【0092】
上述の実施形態において、センサ4は、位置ずれ情報及び回転ずれ情報を生成可能な物理量を検知する態様であればよい。例えば、センサ4は、複数の棒状の磁気センサを環状に配置した態様であってもよいし、リング状の1つの磁気センサであってもよい。また、センサ4は、搬送装置1のいずれかに設けられて軌道L1を撮像する撮像装置であってもよい。さらに、センサ4は、搬送装置1の外側から搬送装置1を撮像する撮像装置であってもよい。その他、センサ4は、位置ずれ情報及び回転ずれ情報の精度を要求しないのであれば、GPSモジュール、又は地磁気センサであってもよい。
【0093】
上述の実施形態において、補正部12は、第2舵角θ2を算出する際に、逆位相制御を実行しなくてもよい。つまり、補正部12は、第1輪21の第2舵角θ21と、第2輪22の第2舵角θ22と、を互いに同位相としてもよい。
【0094】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る制御方法は、取得ステップ(ST1)と、補正ステップ(ST2)と、を有する。取得ステップ(ST1)は、回転ずれ情報、及び位置ずれ情報を取得するステップである。回転ずれ情報は、搬送装置(1)の、軌道(L1)に対する基準姿勢からの搬送装置(1)の傾きのずれに関する情報である。位置ずれ情報は、基準姿勢からの搬送装置(1)の位置のずれに関する情報である。搬送装置(1)は、前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪(2)を有して搬送物(A1)を搬送する。補正ステップは、複数の操向輪(2)の各々について、取得ステップにて取得した回転ずれ情報及び位置ずれ情報に基づいて舵角(θ)を補正するステップである。
【0095】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0096】
第2の態様に係る制御方法では、第1の態様において、補正ステップ(ST2)は、複数の操向輪(2)の各々について、軌道(L1)に沿って直進する向きとなる基準舵角(θ0)に舵角(θ)を補正するステップを含む。
【0097】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0098】
第3の態様に係る制御方法では、第2の態様において、補正ステップ(ST2)は、複数の操向輪(2)の各々について、第1補正ステップと、第2補正ステップと、を交互に実行する。第1補正ステップは、位置ずれ情報に基づいて舵角(θ)を補正する。第2補正ステップは、回転ずれ情報に基づいて舵角(θ)を補正する。
【0099】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0100】
第4の態様に係る制御方法では、第2の態様において、補正ステップ(ST2)は、複数の操向輪(2)の各々について、合成舵角(θ3)に基づいて舵角(θ)を補正する。合成舵角(θ3)は、位置ずれ情報に基づいて得られる第1舵角(θ1)と、回転ずれ情報に基づいて得られる第2舵角(θ2)と、を合成した角度である。
【0101】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0102】
第5の態様に係る制御方法では、第1~第4のいずれかの態様において、補正ステップ(ST2)は、回転ずれ情報に基づいて舵角(θ)を補正する場合、第1輪(21)の舵角(θ)と、第2輪(22)の舵角(θ)と、を互いに逆位相にする。第1輪(21)は、複数の操向輪(2)のうち搬送装置(1)の長さ方向の第1端に位置する。第2輪(22)は、複数の操向輪(2)のうち搬送装置(1)の長さ方向の第2端に位置する。
【0103】
この態様によれば、搬送装置(1)及び搬送物(A1)のバランスが崩れにくく、かつ、搬送装置(1)の推進力の損失を抑えることができる、という利点がある。
【0104】
第6の態様に係る制御方法は、第1~第5のいずれかの態様において、速度補正ステップ(ST3)を更に有する。速度補正ステップ(ST3)は、複数の操向輪(2)の各々について、補正ステップ(ST2)で補正する舵角(θ)に基づいて、対応する操向輪(2)の速度を補正するステップである。
【0105】
この態様によれば、複数の操向輪(2)の各々の動きの整合を取りやすいので、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0106】
第7の態様に係る制御方法では、第1~第6のいずれかの態様において、複数の操向輪(2)は、搬送装置(1)の長さ方向の第1端に位置する第1輪(21)と、搬送装置(1)の長さ方向の第2端に位置する第2輪(22)と、からなる。
【0107】
この態様によれば、二輪型の搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0108】
第8の態様に係る制御方法では、第1~第7のいずれかの態様において、軌道(L1)は、搬送装置(1)が移動する移動面(B1)に設置されている。
【0109】
この態様によれば、軌道(L1)が電子地図上の仮想的な軌道である場合と比較して、搬送装置(1)の軌道(L1)に対するずれを検知しやすい、という利点がある。
【0110】
第9の態様に係る制御方法では、第1~第8のいずれかの態様において、搬送装置(1)は、搬送装置(1)の本体部(10)における軌道(L1)に交差する一面にて搬送物(A1)を連結する連結部(5)を有する。
【0111】
この態様によれば、搬送装置(1)に積載することが難しい搬送物(A1)であっても搬送しやすい、という利点がある。
【0112】
第10の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第1~第9のいずれかの態様の制御方法を実行させる。
【0113】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0114】
第11の態様に係る制御システム(100)は、取得部(11)と、補正部(12)と、を備える。取得部(11)は、回転ずれ情報、及び位置ずれ情報を取得する。回転ずれ情報は、搬送装置(1)の、軌道(L1)に対する基準姿勢からの搬送装置(1)の傾きのずれに関する情報である。位置ずれ情報は、基準姿勢からの搬送装置(1)の位置のずれに関する情報である。搬送装置(1)は、前後方向と交差する方向に並ぶ複数の操向輪(2)を有して搬送物(A1)を搬送する。補正部(12)は、複数の操向輪(2)の各々について、取得部(11)にて取得した回転ずれ情報及び位置ずれ情報に基づいて舵角(θ)を補正する。
【0115】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0116】
第12の態様に係る搬送装置(1)は、第11の態様の制御システム(100)と、本体部(10)と、を備える。本体部(10)は、制御システム(100)が搭載され、搬送物(A1)の搬送を行う。
【0117】
この態様によれば、搬送装置(1)の基準姿勢からのずれを抑えながら、搬送装置(1)を軌道(L1)に追従させやすい、という利点がある。
【0118】
第13の態様に係る部品実装システム(200)は、部品を基板に実装する少なくとも1つの部品実装機(9)を含むシステムである。部品実装機(9)は、部品を供給する部品供給装置(8)と、部品を基板に実装する実装ヘッドを含む実装本体(90)と、を有する。部品供給装置(8)は、第11の態様の制御システム(100)が制御する搬送装置(1)によって実装本体(90)まで搬送される。
【0119】
この態様によれば、搬送装置(1)により部品供給装置(8)を部品実装機(9)の実装本体(90)の設置場所まで安定して搬送することができるので、実装本体(90)に対する部品の供給の安定化を図りやすい、という利点がある。
【0120】
第14の態様に係る部品実装システム(200)では、第13の態様において、搬送装置(1)は、部品供給装置(8)のうち部品を実装本体(90)に排出する部位と反対側の部位と連結可能である。
【0121】
この態様によれば、部品供給装置(8)を部品実装機(9)の実装本体(90)の設置場所まで搬送した際に、上記の排出する部位が実装本体(90)に向くように部品供給装置(8)の向きを変える作業をしなくて済む、という利点がある。
【0122】
第2~第9の態様に係る方法については、制御方法に必須の方法ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0123】
100 制御システム
200 部品実装システム
11 取得部
12 補正部
1 搬送装置
10 本体部
2 操向輪
21 第1輪
22 第2輪
5 連結部
8 部品供給装置
9 部品実装機
90 実装本体
A1 搬送物
B1 移動面
L1 軌道
ST1 取得ステップ
ST2 補正ステップ
ST3 速度補正ステップ
θ 舵角
θ0 基準舵角
θ1 第1舵角
θ2 第2舵角
θ3 合成舵角