(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】中継器具、負荷機器及びダクトレール配線システム
(51)【国際特許分類】
H01R 25/14 20060101AFI20240322BHJP
H01R 13/64 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01R25/14 Z
H01R13/64
(21)【出願番号】P 2023525443
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015389
(87)【国際公開番号】W WO2022254926
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2021090932
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】池田 敏
(72)【発明者】
【氏名】古賀 達雄
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-32870(JP,A)
【文献】特開2014-116174(JP,A)
【文献】特開2014-23240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0136353(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 25/14
H01R 41/00
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトレールに取り付けられ、前記ダクトレールに設けられたダクトレール配線から供給される直流電力を負荷機器に供給するための中継器具であって、
前記中継器具は、第1方向を向いた状態で前記ダクトレールに対して挿抜可能であり、前記ダクトレールにさし込まれた状態で前記第1方向とは異なる第2方向へ回転させられることで、前記ダクトレールに対する挿抜が抑制され、
前記中継器具は、
前記ダクトレールにさし込まれた状態の前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制する回転抑制部と、
前記回転抑制部が、前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制しない場合、前記負荷機器の動作をオフさせるためのオフ信号を出力し、前記回転抑制部が、前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制する場合、前記負荷機器の動作をオンさせるためのオン信号を出力する出力部と、を備える、
中継器具。
【請求項2】
前記回転抑制部は、前記ダクトレールのレール間に嵌まる状態と嵌まらない状態とに変位可能であり、前記ダクトレールのレール間に嵌まることで、前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制し、
前記出力部は、前記回転抑制部が前記ダクトレールのレール間に嵌まらない状態の場合に前記オフ信号を出力し、前記回転抑制部が前記ダクトレールのレール間に嵌まる状態の場合に前記オン信号を出力する、
請求項1に記載の中継器具。
【請求項3】
前記出力部は、前記負荷機器に前記オフ信号又は前記オン信号を出力する、
請求項1又は2に記載の中継器具。
【請求項4】
前記出力部は、前記中継器具と前記負荷機器とを接続する機器に前記オフ信号又は前記オン信号を出力する、
請求項1又は2に記載の中継器具。
【請求項5】
前記中継器具と前記負荷機器とを接続する機器は、電源アダプタである、
請求項4に記載の中継器具。
【請求項6】
前記出力部は、電力線通信を用いて前記オフ信号又は前記オン信号を出力する、
請求項3~5のいずれか1項に記載の中継器具。
【請求項7】
前記中継器具は、前記負荷機器への直流電力の供給を制御する電力供給制御部を備え、
前記出力部は、前記電力供給制御部に前記オフ信号又は前記オン信号を出力する、
請求項1又は2に記載の中継器具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の中継器具を備え、
前記中継器具から直流電力が供給される、
負荷機器。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の中継器具と、
前記ダクトレールと、を備える、
ダクトレール配線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継器具、負荷機器及びダクトレール配線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線ダクト(ダクトレールとも呼ぶ)と、これに接続されるプラグ(中継器具とも呼ぶ)とを備える配線ダクトシステムが開示されている。ダクトレールには直流電力を供給可能なダクトレール配線が設けられており、ダクトレールを給電路として用いることができる。中継器具がダクトレールにさし込まれ、ダクトレール配線から中継器具を介して負荷機器に直流電力を供給することができる。このような配線ダクトシステムでは、中継器具をダクトレールにおける任意の位置にさし込むことができることから、一般的なコンセントを用いるシステムと比較して中継器具の設置位置の自由度が高くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ダクトレール配線が活線状態となっているダクトレールに対して中継器具の挿抜が行われると、アーク現象が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ダクトレール配線が活線状態となっているダクトレールに対して中継器具の挿抜が行われたときに、アーク現象の発生を抑制できる中継器具等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る中継器具の一態様は、ダクトレールに取り付けられ、前記ダクトレールに設けられたダクトレール配線から供給される直流電力を負荷機器に供給するための中継器具であって、前記中継器具は、第1方向を向いた状態で前記ダクトレールに対して挿抜可能であり、前記ダクトレールにさし込まれた状態で前記第1方向とは異なる第2方向へ回転させられることで、前記ダクトレールに対する挿抜が抑制され、前記中継器具は、前記ダクトレールにさし込まれた状態の前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制する回転抑制部と、前記回転抑制部が、前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制しない場合、前記負荷機器の動作をオフさせるためのオフ信号を出力し、前記回転抑制部が、前記中継器具の前記第2方向からの回転を抑制する場合、前記負荷機器の動作をオンさせるためのオン信号を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明に係る負荷機器の一態様は、上記の中継器具を備え、前記中継器具から直流電力が供給される。
【0008】
本発明に係るダクトレール配線システムの一態様は、上記の中継器具と、前記ダクトレールと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ダクトレール配線が活線状態となっているダクトレールに対して中継器具の挿抜が行われたときに、アーク現象の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ダクトレールに対して中継器具が挿抜可能な状態と挿抜が抑制された状態を説明するための図である。
【
図2】
図2は、回転抑制部を説明するための図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る中継器具の一例を示す構成図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1の変形例に係るダクトレール配線システムの一例を示す構成図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る中継器具の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ並びにステップの順序等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。
【0012】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る中継器具10及びダクトレール配線システム1について説明する。まず、中継器具10のダクトレール50に対する挿抜について
図1を用いて説明する。
【0014】
図1は、ダクトレール50に対して中継器具10が挿抜可能な状態と挿抜が抑制された状態を説明するための図である。
図1には、施設の天井、壁又は床等に設けられたダクトレール50を見たときのダクトレール配線システム1が示されている。また、
図1の上側には、ダクトレール50に対して中継器具10が挿抜可能な状態となっているときのダクトレール配線システム1が示され、
図1の下側には、ダクトレール50に対して中継器具10の挿抜が抑制された状態となっているときのダクトレール配線システム1が示される。
【0015】
ダクトレール配線システム1は、中継器具10とダクトレール50とを備えるシステムである。
【0016】
ダクトレール50は、例えば、施設の天井、壁又は床等に沿って設けられる。ダクトレール50には、ダクトレール配線51が設けられる。ダクトレール配線51は、例えば、正極側配線及び負極側配線からなり、正極側配線は、直流電源100の正極端子に接続され、負極側配線は、直流電源100の負極端子に接続される。これにより、ダクトレール配線51から直流電力を供給可能となっている。
【0017】
中継器具10は、ダクトレール50に取り付けられ、ダクトレール50に設けられたダクトレール配線51から供給される直流電力を負荷機器60に供給するための器具である。中継器具10は、プラグとも呼ばれる。中継器具10は、正極出力端子13及び負極出力端子14を備える。また、中継器具10は、ダクトレール50に対して挿抜可能となっており、中継器具10がダクトレール50にさし込まれることで、
図1には図示されていない正極入力端子16がダクトレール配線51の正極側配線に接続され、
図1には図示されていない負極入力端子17がダクトレール配線51の正極側配線に接続される。例えば、正極出力端子13と正極入力端子16とは中継器具10内で接続されており、負極出力端子14と負極入力端子17とは中継器具10内で接続されているため、ダクトレール50に取り付けられた中継器具10の正極出力端子13及び負極出力端子14に、負荷機器60に電力を供給するためのケーブル等が接続されることで、負荷機器60に直流電力を供給することができる。詳細は後述するが、中継器具10は、負荷制御端子15を備える。
【0018】
中継器具10は、第1方向を向いた状態でダクトレール50に対して挿抜可能となっている。
図1の上側に示されるように、例えば、中継器具10は直方体形状を有しており、中継器具10は、正極入力端子16及び負極入力端子17をダクトレール50へ向けた状態で、かつ、中継器具10の長手方向が第1方向と平行となっている状態で、ダクトレール50に対して挿抜可能となっている。第1方向は、特に限定されないが、例えば、ダクトレール50の延びる方向と垂直な方向である。具体的には、ダクトレール50が天井、壁又は床に設けられる場合、第1方向は、天井、壁又は床と平行な面上で、ダクトレール50の延びる方向と垂直な方向である。
【0019】
図1の下側に示されるように、中継器具10は、ダクトレール50にさし込まれた状態で第1方向とは異なる第2方向へ回転させられることで、ダクトレール50に対する挿抜が抑制される。例えば、中継器具10は、ダクトレール50にさし込まれた状態で、かつ、中継器具10の長手方向が第2方向と平行となっている状態で、ダクトレール50に対する挿抜が抑制される。第2方向は、特に限定されないが、例えば、ダクトレール50の延びる方向と平行な方向である。具体的には、ダクトレール50が天井、壁又は床に設けられる場合、第2方向は、天井、壁又は床と平行な面上で、ダクトレール50の延びる方向と平行な方向である。例えば、中継器具10が第2方向を向いた状態になることで、正極入力端子16及び負極入力端子17がダクトレール50に引っ掛かり、中継器具10のダクトレール50に対する挿抜が抑制される。
【0020】
なお、中継器具10が第1方向又は第2方向を向いた状態は、中継器具10の長手方向が第1方向又は第2方向と平行となっている状態に限らず、中継器具10の短手方向が第1方向又は第2方向と平行となっている状態であってもよい。また、中継器具10は、
図1に示される方向から見たときに正方形又は円形の形状を有していてもよく、中継器具10の向きがわかるような表示が中継器具10に付されていてもよい。
【0021】
中継器具10は、ダクトレール50にさし込まれた状態の中継器具10の第2方向からの回転を抑制する回転抑制部11を備える。ここで、回転抑制部11の具体例について、
図2を用いて説明する。
【0022】
図2は、回転抑制部11を説明するための図である。
図2は、ダクトレール50にさし込まれた状態で第2方向を向いている中継器具10の外観斜視図である。
図2では、負荷機器60に電力を供給するためのケーブルが正極出力端子13及び負極出力端子14に接続されている。
【0023】
例えば、回転抑制部11は、ダクトレール50のレール間に嵌まる状態と嵌まらない状態とに変位可能であり、ダクトレール50のレール間に嵌まることで、中継器具10の第2方向からの回転を抑制する。回転抑制部11は、固定ラッチとも呼ばれる。
図2では、回転抑制部11がダクトレール50側にずらされて、ダクトレール50のレール間に嵌まる状態になっている。これにより、中継器具10を第2方向から別の方向に回転させようとしても、回転抑制部11がダクトレール50に引っ掛かって中継器具10の第2方向からの回転が抑制される。また、回転抑制部11がダクトレール50離れるようにずらされて、ダクトレール50のレール間に嵌まらない状態になることで、回転抑制部11は、中継器具10の第2方向からの回転を抑制しなくなり、中継器具10は、第2方向から別の方向に回転させることが可能となる。
【0024】
第1方向を向いた中継器具10では、回転抑制部11がダクトレール50のレール間に嵌まらない位置にあり、第2方向を向いた中継器具10では、回転抑制部11がダクトレール50のレール間に嵌まる位置にある。
【0025】
このようにして、中継器具10をダクトレール50に対して挿抜し、取り付けることができる。
【0026】
なお、ダクトレール配線51は、活線状態となっていることが多く、ダクトレール配線51が活線状態となっているダクトレール50に対して中継器具10の挿抜が行われ得る。このため、ダクトレール50に対する中継器具10の挿抜が行われたときに、アーク現象が発生するおそれがある。以下、ダクトレール配線51が活線状態となっているダクトレール50に対して中継器具10の挿抜が行われたときに、アーク現象の発生を抑制できる中継器具10等について説明する。
【0027】
図3は、実施の形態1に係る中継器具10の一例を示す構成図である。
【0028】
中継器具10は、回転抑制部11、正極出力端子13、負極出力端子14、負荷制御端子15、正極入力端子16及び負極入力端子17を備え、機能構成要素として出力部12を備える。
図3に示されるように、正極入力端子16及び負極入力端子17を介して入力された直流電力は、正極出力端子13及び負極出力端子14を介して出力される。例えば、出力部12は、マイコン(マイクロコンピュータ)により実現されてもよい。マイコンは、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)、RAM(Randam Access Memory)、プログラムを実行するプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、通信インタフェース、タイマ、A/D変換器及びD/A変換器等を有する半導体集積回路等である。なお、出力部12は、A/D変換器、論理回路、ゲートアレイ及びD/A変換器等で構成される専用の電子回路等によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0029】
出力部12は、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制しない場合、負荷機器60の動作をオフさせるためのオフ信号を出力し、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制する場合、負荷機器60の動作をオンさせるためのオン信号を出力する。具体的には、出力部12は、回転抑制部11がダクトレール50のレール間に嵌まらない状態の場合にオフ信号を出力し、回転抑制部11がダクトレール50のレール間に嵌まる状態の場合にオン信号を出力する。例えば、出力部12は、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制しない場合、オフ信号を出力することを示す情報を取得することで、オフ信号を出力する。また、例えば、出力部12は、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制する場合、オン信号を出力することを示す情報を取得することで、オン信号を出力する。
【0030】
なお、回転抑制部11は、中継器具10の回転を抑制する機能のオン及びオフを切り替える半導体スイッチ等であってもよく、出力部12は、半導体スイッチ等の切り替えに応じて、オフ信号又はオン信号を出力してもよい。
【0031】
例えば、出力部12は、負荷機器60にオフ信号又はオン信号を出力してもよい。例えば、負荷制御端子15に負荷機器60が接続されており、出力部12は、負荷制御端子15を介して負荷機器60にオフ信号又はオン信号を出力してもよい。負荷機器60は、取得したオフ信号又はオン信号に応じて、自身の動作のオフ及びオンを制御する。
【0032】
或いは、出力部12は、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器にオフ信号又はオン信号を出力してもよい。これについて、
図4を用いて説明する。
【0033】
図4は、実施の形態1の変形例に係るダクトレール配線システム1の一例を示す構成図である。
【0034】
図4に示されるように、中継器具10と負荷機器60とが電源アダプタ70を介して接続されていてもよい。電源アダプタ70は、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器の一例である。例えば、電源アダプタ70は、オフ信号を取得した場合、負荷機器60への電力供給を停止し、オン信号を取得した場合、負荷機器60への電力供給を行う。これにより、負荷機器60の動作のオン及びオフを制御することができる。なお、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器は、電源アダプタ70に限らず、負荷機器60の動作のオン及びオフを制御することができる機能を有する機器であれば特に限定されない。
【0035】
なお、出力部12は、電力線通信を用いてオフ信号又はオン信号を出力してもよい。この場合、中継器具10は、正極出力端子13及び負極出力端子14を介してオフ信号又はオン信号を出力することができるため、負荷制御端子15を備えていなくてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る中継器具10は、ダクトレール50に取り付けられ、ダクトレール50に設けられたダクトレール配線51から供給される直流電力を負荷機器60に供給するための器具である。中継器具10は、第1方向を向いた状態でダクトレール50に対して挿抜可能であり、ダクトレール50にさし込まれた状態で第1方向とは異なる第2方向へ回転させられることで、ダクトレール50に対する挿抜が抑制される。中継器具10は、ダクトレール50にさし込まれた状態の中継器具10の第2方向からの回転を抑制する回転抑制部11と、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制しない場合、負荷機器60の動作をオフさせるためのオフ信号を出力し、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制する場合、負荷機器60の動作をオンさせるためのオン信号を出力する出力部12と、を備える。
【0037】
これによれば、回転抑制部11が、中継器具10の第2方向からの回転を抑制しない場合には、ダクトレール50に対して中継器具10の挿抜が行われてアーク現象が発生し得るため、負荷機器60の動作がオフされる。負荷機器60の動作がオフされた状態では、ダクトレール配線51から負荷機器60への電力供給がされないため、ダクトレール配線51が活線状態となっているダクトレール50に対して中継器具10の挿抜が行われたときに、アーク現象の発生を抑制できる。
【0038】
例えば、回転抑制部11は、ダクトレール50のレール間に嵌まる状態と嵌まらない状態とに変位可能であり、ダクトレール50のレール間に嵌まることで、中継器具10の第2方向からの回転を抑制し、出力部12は、回転抑制部11がダクトレール50のレール間に嵌まらない状態の場合にオフ信号を出力し、回転抑制部11がダクトレール50のレール間に嵌まる状態の場合にオン信号を出力してもよい。
【0039】
これによれば、中継器具10の第2方向からの回転をダクトレール50のレール間に嵌まることで抑制して、中継器具10の挿抜が可能な第1方向に中継器具10を回転できないようにするために設けられている回転抑制部11を、負荷機器60の動作のオン及びオフの制御のためにも用いることができ、低コストかつ容易にアーク現象の発生を抑制できる。
【0040】
例えば、出力部12は、負荷機器60にオフ信号又はオン信号を出力してもよい。
【0041】
このように、負荷機器60に対して直接オフ信号又はオン信号を出力してもよい。
【0042】
例えば、出力部12は、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器にオフ信号又はオン信号を出力してもよい。具体的には、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器は、電源アダプタ70であってもよい。
【0043】
このように、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器(例えば電源アダプタ70)に対してオフ信号又はオン信号を出力し、当該機器に負荷機器60の動作のオフ又はオンを制御させてもよい。
【0044】
例えば、出力部12は、電力線通信を用いてオフ信号又はオン信号を出力してもよい。
【0045】
これによれば、オフ信号又はオン信号の出力に電力線を用いることができるため、オフ信号又はオン信号を出力するための通信線を電力線とは別途設ける必要がなく、低コスト化が可能となる。
【0046】
本実施の形態に係るダクトレール配線システム1は、中継器具10と、ダクトレール50と、を備える。
【0047】
これによれば、ダクトレール配線51が活線状態となっているダクトレール50に対して中継器具10の挿抜が行われたときに、アーク現象の発生を抑制できるダクトレール配線システム1を提供できる。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態1では、出力部12が中継器具10の外部の負荷機器60、又は、中継器具10と負荷機器60とを接続する機器に対してオフ信号又はオン信号を出力する例について説明したが、これに限らない。例えば、オフ信号又はオン信号は、中継器具10内に出力されてもよい。これについて、
図5を用いて説明する。
【0049】
図5は、実施の形態2に係る中継器具10aの一例を示す構成図である。実施の形態2では、中継器具10aが、出力部12の代わりに出力部12aを備え、負荷制御端子15を備えておらず、電力供給制御部18を備えている点が、実施の形態1と異なる。その他の点は、実施の形態1におけるものと同じであるため、説明は省略する。
【0050】
例えば、出力部12a及び電力供給制御部18は、マイコン(マイクロコンピュータ)により実現されてもよい。マイコンは、プログラムが格納されたROM、RAM、プログラムを実行するプロセッサ(CPU)、通信インタフェース、タイマ、A/D変換器及びD/A変換器等を有する半導体集積回路等である。なお、出力部12a及び電力供給制御部18は、A/D変換器、論理回路、ゲートアレイ及びD/A変換器等で構成される専用の電子回路等によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0051】
出力部12aは、電力供給制御部18にオフ信号又はオン信号を出力する。実施の形態1では、出力部12は、負荷制御端子15を介して中継器具10の外部へオフ信号又はオン信号を出力する例を説明したが、実施の形態2のように、出力部12aは、中継器具10aの内部の機能構成要素へオフ信号又はオン信号を出力してもよい。
【0052】
電力供給制御部18は、負荷機器60への直流電力の供給を制御する。例えば、電力供給制御部18は、出力部12aから取得したオフ信号又はオン信号に応じて、正極入力端子16及び負極入力端子17に入力された直流電力を正極出力端子13及び負極出力端子14から出力するか否かを制御する。具体的には、電力供給制御部18は、オフ信号を取得した場合、直流電力を正極出力端子13及び負極出力端子14から出力せず、オン信号を取得した場合、直流電力を正極出力端子13及び負極出力端子14から出力する。これにより、正極出力端子13及び負極出力端子14に接続された負荷機器60の動作をオン又はオフすることができる。
【0053】
以上説明したように、中継器具10aは、負荷機器60への直流電力の供給を制御する電力供給制御部18を備え、出力部12aは、電力供給制御部18にオフ信号又はオン信号を出力する。
【0054】
このように、中継器具10aの内部にオフ信号又はオン信号を出力し、中継器具10aに負荷機器60の動作をオフ又はオンさせてもよい。
【0055】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る中継器具10又は10a及びダクトレール配線システム1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、中継器具10又は10aから直流電力を供給される負荷機器60は、中継器具10又は10aを備えていてもよい。すなわち、負荷機器60と中継器具10又は10aとが一体化して設けられていてもよい。例えば、負荷機器60が照明器具の場合に、負荷機器60と中継器具10又は10aとが一体化して設けられる場合がある。
【0057】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 ダクトレール配線システム
10、10a 中継器具
11 回転抑制部
12、12a 出力部
50 ダクトレール
51 ダクトレール配線
60 負荷機器
70 電源アダプタ