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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20240322BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20240322BHJP
   F24F 11/84 20180101ALI20240322BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20240322BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20240322BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/36
F24F11/84
F25B5/02 510Q
F25B13/00 J
F25B49/02 520M
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020027296
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021131194
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 良美
(72)【発明者】
【氏名】川端 立慈
(72)【発明者】
【氏名】清水 章吾
(72)【発明者】
【氏名】広田 正宣
(72)【発明者】
【氏名】松井 大
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009268(JP,A)
【文献】特開平08-123554(JP,A)
【文献】特開2014-228224(JP,A)
【文献】特開2005-321145(JP,A)
【文献】特開平04-369370(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 1/00- 7/00
F25B 13/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を有する室外機と、
利用側熱交換器を有する室内機と、
前記室外機と前記室内機を接続する冷媒配管と、
前記冷媒配管に配置される開閉装置と、
制御部と、
を備える空気調和装置において、
前記制御部は、冷媒が漏洩していない場合に前記開閉装置を開閉動作させる固着予防運転を実行し、
前記制御部は、前記開閉装置を閉制御させてから所定時間が経過した後に、前記開閉装置の異常状態を判定する異常判定制御を実行する
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
冷媒の温度を検知する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサの検知温度に基づいて、前記異常判定制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記冷媒配管は、液側配管とガス側配管とを有し、
前記開閉装置は、前記室内機に接続された前記液側配管を開閉する第1開閉装置と、前記室内機に接続された前記ガス側配管を開閉する第2開閉装置とを有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置とを開閉動作させる前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記液側配管には、前記第1開閉装置と前記利用側熱交換器との間の冷媒流量を制御する絞り装置が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
並列に配置された複数の前記室内機を備え、
前記室内機毎に、前記第1開閉装置と、前記第2開閉装置とが設けられ、
前記室内機毎に、前記絞り装置が設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、前記圧縮機が停止中の場合には、全ての前記室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、前記圧縮機が運転中の場合であり且つ運転停止中の前記室内機がある場合には、前記運転停止中の室内機の前記絞り装置を開制御すると共に、運転中の前記室内機の前記絞り装置を閉制御して、前記運転中の室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、前記圧縮機が運転中の場合であり且つ運転中の前記室内機が複数ある場合には、第1の運転中の前記室内機の前記絞り装置を閉制御して、前記第1の運転中の室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行した後に、第2の運転中の前記室内機の前記絞り装置を閉制御して、前記第2の運転中の室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、運転停止中の前記室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記固着予防運転を実行してから第1所定時間経過後に、再度、前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記圧縮機の運転周波数が所定値以下の場合に前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項13】
前記固着予防運転への移行許可を入力する入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部による入力を検知した場合に、前記固着予防運転を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記絞り装置を開放した状態で、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の少なくとも一方を閉制御させ、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置のうち閉制御した開閉装置の異常状態を判定する異常判定制御を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置。
【請求項15】
前記第1開閉装置と前記利用側熱交換器の間の前記液側配管に配置され冷媒温度を検知する第1温度センサと、
前記第2開閉装置と前記利用側熱交換器の間の前記ガス側配管に配置され冷媒温度を検知する第2温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記異常判定制御において、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置のうちの一方の開閉装置を開制御すると共に他方の開閉装置を閉制御させ、前記第1温度センサと前記第2温度センサの検知温度の差分値が所定温度よりも高い場合に前記他方の開閉装置が異常状態であると判定する
ことを特徴とする請求項14に記載の空気調和装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記異常判定制御において、前記絞り装置を絞り、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の内の冷媒の流通方向の上流側の開閉装置を開制御すると共に下流側の開閉装置を閉制御させ、前記下流側の開閉装置が異常状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項15に記載の空気調和装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記異常判定制御において、前記下流側の開閉装置が異常状態であるか否かを判定した後に、前記下流側の開閉装置を開制御すると共に前記上流側の開閉装置を閉制御させて、前記上流側の開閉装置が異常状態であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項16に記載の空気調和装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記異常判定制御において前記開閉装置を異常状態と判定した場合に、前記開閉装置が異常状態である旨を報知する、
ことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記圧縮機の運転周波数が所定値以下の場合に、前記異常判定制御を実行してから第2所定時間が経過している場合には、再度、前記異常判定制御を実行する
ことを特徴とする請求項14乃至18のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項20】
前記異常判定制御への移行許可を入力する第2入力部を備え、
前記制御部は、前記第2入力部による入力を検知した場合に、前記異常判定制御を実行する
ことを特徴とする請求項14乃至19のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記異常判定制御において、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の少なくとも一方が異常状態であると判定した場合に、前記絞り装置を閉制御する
ことを特徴とする請求項14乃至20のいずれか一項に記載の空気調和装置。
【請求項22】
前記室内機は、冷媒濃度を検知する冷媒漏洩センサを備え、
前記制御部は、前記冷媒漏洩センサの検知濃度が所定値以上の場合に、前記圧縮機の運転周波数を所定値以下に制御した後、前記開閉装置を閉状態とする
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の空気調和装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記冷媒漏洩センサの検知濃度が所定値以上の場合、前記絞り装置を閉制御した後、前記開閉装置を閉状態とする
ことを特徴とする請求項22に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和装置において、冷媒配管に開閉装置を設け、冷媒の漏洩が発生した場合に、冷媒の漏洩量を抑制する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、冷房運転時において、室外機の絞り装置を制御して液側配管を流れる冷媒を気液二相状態にし、冷媒の漏洩を検知した際に、室内熱交換器の上流の開閉装置と下流の開閉装置とを閉状態として、冷媒の漏洩量をより少なくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/203606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の空気調和装置では、冷媒漏洩が発生しない限りは、開閉装置を閉状態としない。このため、長期間、開閉装置を閉状態としないことによる固着が発生する虞がある。開閉装置の固着が発生すると、冷媒の漏洩が発生した場合に開閉装置を閉状態とできず、室内機からの冷媒の漏洩量が増加する虞がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、空気調和装置において、開閉装置の固着を抑制し、室内機からの冷媒の漏洩量を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機を有する室外機と、利用側熱交換器を有する室内機と、前記室外機と前記室内機を接続する冷媒配管と、前記冷媒配管に配置される開閉装置と、制御部と、を備える空気調和装置において、前記制御部は、冷媒が漏洩していない場合に前記開閉装置を開閉動作させる固着予防運転を実行し、前記制御部は、前記開閉装置を閉制御させてから所定時間が経過した後に、前記開閉装置の異常状態を判定する異常判定制御を実行することを特徴とする。
これによれば、冷媒が漏洩していない場合でも、開閉装置を開閉させるため、開閉装置の固着を抑制できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、開閉装置の固着を抑制できるため、冷媒の漏洩が発生した場合に開閉装置を適切に作動させ易く、室内機から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る空気調和装置の構成を示す図
図2】第1実施形態に係る空気調和装置の制御部のブロック図
図3】第1実施形態の空気調和装置の固着予防の移行判定動作を示すフローチャート
図4】空気調和装置の固着予防動作を示すフローチャート
図5】第1実施形態の空気調和装置の異常検知の移行判定動作を示すフローチャート
図6】空気調和装置の開閉装置の異常検知動作を示すフローチャート
図7図6の残りを示すフローチャート
図8】第1実施形態の空気調和装置の冷媒の漏洩検知動作を示すフローチャート
図9】第2実施形態の空気調和装置の固着予防の移行判定動作を示すフローチャート
図10】第3実施形態の空気調和装置の固着予防の移行判定動作を示すフローチャート
図11】第4実施形態の空気調和装置の異常検知の移行判定動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の発明は、圧縮機を有する室外機と、利用側熱交換器を有する室内機と、前記室外機と前記室内機を接続する冷媒配管と、前記冷媒配管に配置される開閉装置と、制御部と、を備える空気調和装置において、前記制御部は、冷媒が漏洩していない場合に前記開閉装置を開閉動作させる固着予防運転を実行する。
これにより、開閉装置が長期間、開閉しないことを防止して、開閉装置の固着を抑制できる。このため、冷媒の漏洩が発生した場合に開閉装置を適切に作動させ易く、室内機から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0009】
第2の発明は、前記冷媒配管は、液側配管とガス側配管とを有し、前記開閉装置は、前記室内機に接続された前記液側配管を開閉する第1開閉装置と、前記室内機に接続された前記ガス側配管を開閉する第2開閉装置とを有する。
これにより、室内機に接続される液側配管とガス側配管とのそれぞれを開閉可能であり、冷媒の漏洩が発生した場合に、室内機から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0010】
第3の発明は、前記制御部は、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置とを開閉動作させる前記固着予防運転を実行する。
これにより、第1開閉装置および第2開閉装置が長期間、開閉しないことを防止でき、第1開閉装置および第2開閉装置の固着を抑制できる。このため、冷媒の漏洩が発生した場合に、室内機に接続される液側配管とガス側配管とを適切に開閉できる。
【0011】
第4の発明は、前記液側配管には、前記第1開閉装置と前記利用側熱交換器との間の冷媒流量を制御する絞り装置が設けられている。
これにより、利用側熱交換器を流れる冷媒流量を絞り装置により制御することができる。
【0012】
第5の発明は、並列に配置された複数の前記室内機を備え、前記室内機毎に、前記第1開閉装置と、前記第2開閉装置とが設けられ、前記室内機毎に、前記絞り装置が設けられている。
これにより、並列に配置された複数の前記室内機を備える空気調和装置において、各室内機から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0013】
第6の発明は、前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、前記圧縮機が停止中の場合には、全ての前記室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する。
これにより、全ての室内機について、冷媒の流れから受ける衝撃を抑制しつつ、開閉装置の固着予防運転を実行することができる。
【0014】
第7の発明は、前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、前記圧縮機が運転中の場合であり且つ運転停止中の前記室内機がある場合には、前記運転停止中の室内機の前記絞り装置を開制御すると共に、運転中の前記室内機の前記絞り装置を閉制御して、前記運転中の室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する。
これにより、運転停止中の室内機では冷媒の流量を増大させ易くし、運転中の室内機では冷媒の流量を減少させ易くしている。このため、運転中の室内機に対応する開閉装置は冷媒の流れから衝撃を受け難い状態で開閉可能である。また、運転停止中の室内機を利用して冷媒を流すことができるため、開閉装置を開閉させても冷媒回路の過剰な圧力上昇を抑制できる。
【0015】
第8の発明は、前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、前記圧縮機が運転中の場合であり且つ運転中の前記室内機が複数ある場合には、第1の運転中の前記室内機の前記絞り装置を閉制御して、前記第1の運転中の室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行した後に、第2の運転中の前記室内機の前記絞り装置を閉制御して、前記第2の運転中の室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する。
これにより、固着予防運転を実行する場合に、圧縮機が運転中の場合であり且つ運転中の室内機が複数ある場合には、第1の運転中の室内機と、第2の運転中の室内機に分けて、固着予防運転を実行する。このため、第1と第2の一方の運転中の室内機の開閉装置について固着予防運転を実行する際に、第1と第2の他方の運転中の室内機を利用して、冷媒を流すことができるため、冷媒回路の過剰な圧力上昇を抑制できる。
【0016】
第9の発明は、前記制御部は、前記固着予防運転を実行する場合に、運転停止中の前記室内機の前記開閉装置について前記固着予防運転を実行する。
これにより、圧縮機が運転中の場合に、運転停止中の室内機の開閉装置について固着予防運転を実行できる。
【0017】
第10の発明は、前記制御部は、前記固着予防運転を実行してから第1所定時間経過後に、再度、前記固着予防運転を実行する。
これにより、第1所定時間毎に固着予防運転を実行でき、必要十分な頻度で固着予防運転を実行できる。
【0018】
第11の発明は、前記制御部は、前記圧縮機の運転周波数が所定値以下の場合に前記固着予防運転を実行する。
これにより、冷媒の流量が小さい状態で開閉装置を開閉させ易く、開閉装置が冷媒の流れから衝撃を受け難くなっている。
【0019】
第12の発明は、前記固着予防運転への移行許可を入力する入力部を備え、前記制御部は、前記入力部による入力を検知した場合に、前記固着予防運転を実行する。
これにより、固着予防運転への移行許可を制御部に入力できる。このため、制御部に対して、任意のタイミングで固着予防運転への移行を許可できる。
【0020】
第13の発明は、前記制御部は、前記絞り装置を開放した状態で、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の少なくとも一方を閉制御させ、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置のうち閉制御した開閉装置の異常状態を判定する異常判定制御を実行する。
これにより、室内機内を流れる冷媒が閉制御した開閉装置で遮断されるか否かにより、第1開閉装置と第2開閉装置との異常状態を判定できる。
【0021】
第14の発明は、前記第1開閉装置と前記利用側熱交換器の間の前記液側配管に配置され冷媒温度を検知する第1温度センサと、前記第2開閉装置と前記利用側熱交換器の間の前記ガス側配管に配置され冷媒温度を検知する第2温度センサと、を備え、前記制御部は、前記異常判定制御において、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の内の一方の開閉装置を開制御すると共に他方の開閉装置を閉制御させ、前記第1温度センサと前記第2温度センサの検知温度の差分値が所定温度よりも高い場合に前記他方の開閉装置が異常状態であると判定する。
これにより、第1開閉装置と利用側熱交換器の間の冷媒温度と、第2開閉装置と利用側熱交換器の間の冷媒温度とを検知できる。このため、利用側熱交換器の液側とガス側との温度差に基づいて冷媒が遮断されているか否かを判定して、開閉装置の異常状態を判定できる。
【0022】
第15の発明は、前記制御部は、前記異常判定制御において、前記絞り装置を絞り、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の内の冷媒の流通方向の上流側の開閉装置を開制御すると共に下流側の開閉装置を閉制御させ、前記下流側の開閉装置が異常状態であるか否かを判定する。
これにより、絞り装置により、下流側の開閉装置へ流れる冷媒流量が小さくなった状態で、冷媒の流通方向の下流側の開閉装置を閉制御するため、開閉装置が冷媒から受ける衝撃を抑制できる。
【0023】
第16の発明は、前記制御部は、前記異常判定制御において、前記下流側の開閉装置が異常状態であるか否かを判定した後に、前記下流側の開閉装置を開制御すると共に前記上流側の開閉装置を閉制御させて、前記上流側の開閉装置が異常状態であるか否かを判定する。
これにより、冷媒の流通方向の上流側の開閉装置の異常状態も判定できる。
【0024】
第17の発明は、前記制御部は、前記異常判定制御において前記開閉装置を異常状態と判定した場合に、前記開閉装置が異常状態である旨を報知する。
これにより、開閉装置が異常状態であることを認識し易くできる。
【0025】
第18の発明は、前記制御部は、前記圧縮機の運転周波数が所定値以下の場合に、前記異常判定制御を実行してから第2所定時間が経過している場合には、再度、前記異常判定制御を実行する。
これにより、冷媒の流れから受ける衝撃が小さい場合に開閉装置を開閉させて異常判定制御を実行することができる。また、過剰な異常判定制御の実行を抑制することができる。
【0026】
第19の発明は、前記異常判定制御への移行許可を入力する第2入力部を備え、前記制御部は、前記第2入力部による入力を検知した場合に、前記異常判定制御を実行する。
これにより、制御部に対して、任意のタイミングで異常判定制御への移行を許可できる。
【0027】
第20の発明は、前記制御部は、前記異常判定制御において、前記第1開閉装置と前記第2開閉装置の少なくとも一方が異常状態であると判定した場合に、前記絞り装置を閉制御する。
これにより、開閉装置が異常状態の場合に、絞り装置を閉制御して冷媒の流れを規制することができる。
【0028】
第21の発明は、前記室内機は、冷媒濃度を検知する冷媒漏洩センサを備え、前記制御部は、前記冷媒漏洩センサの検知濃度が所定値以上の場合に、前記圧縮機の運転周波数を所定値以下に制御した後、前記開閉装置を閉状態とする。
これにより、冷媒漏洩検知後、圧縮機の運転周波数を低下させ冷媒回路内を流れる冷媒の流量が少ない状態で開閉装置を閉制御することで、開閉装置へ伝わる冷媒の衝撃が抑制される。これにより、開閉装置の破損リスクを軽減でき、開閉装置の動作信頼性を向上させることができる。
【0029】
第22の発明は、前記制御部は、前記冷媒漏洩センサの検知濃度が所定値以上の場合、前記絞り装置を閉制御した後、前記開閉装置を閉状態とする。
これにより、冷媒漏洩検知後、絞り装置を閉制御させ冷媒回路内を流れる冷媒の流量が少ない状態で開閉装置を閉制御することで、開閉装置へ伝わる冷媒の衝撃が抑制される。このため、開閉装置の破損リスクを軽減でき、開閉装置の動作信頼性を向上させることができる。
【0030】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
[1.第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る空気調和装置1の構成を示す図である。
空気調和装置1は、室外機20と、複数の室内機30a、30b、30cを備える。各々の室内機30a、30b、30cは、液側配管11およびガス側配管12によって、室外機20に並列に接続される。液側配管11は、各室内機30a、30b、30cに分岐して接続される液側配管13a、13b、13cを備える。ガス側配管12は、各室内機30a、30b、30cに分岐して接続されるガス側配管14a、14b、14cを備える。空気調和装置1は、室外機20で圧縮した冷媒を室外機20と、室内機30a、30b、30cとの間で流通させ、室内機30a、30b、30cが設置された被調和空間を空調する。
【0031】
各室内機30a、30b、30cは同様に構成されるため、以降の説明においては、各室内機30a、30b、30cの対応する構成要素には、同一の数字の符号を付すると共に、添え字a、b、cを付して区別する。また、対応する構成要素について特に区別する必要がない場合には、数字の符号のみを用い、添え字a、b、cを省略する場合がある。
【0032】
室外機20は、冷媒を圧縮する圧縮機201、冷媒の熱交換を行う室外熱交換器202、室外ファン203、膨張弁204、および、切替弁205を備える。
圧縮機201は、吸込管208から冷媒を吸引して圧縮し、吐出する。
室外熱交換器202は、室外機20において冷媒と室外空気とを熱交換させる。
【0033】
室外ファン203は、室外熱交換器202に送風する。
膨張弁204は、高圧の冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁204は、開度を調整可能に構成されている。膨張弁204の開度は、制御部100によって制御される。膨張弁204は、開度を調整可能であり冷媒を遮断できる弁であってもよい。
切替弁205は、例えば四方弁で構成される。切替弁205は、圧縮機201の吐出冷媒および圧縮機201に戻る冷媒の流れを切り替える。切替弁205によって、空気調和装置1の冷房運転モードと暖房運転モードとが切り替えられる。
【0034】
室内機30は、室内熱交換器301、室内ファン302、室内膨張弁304、第1温度センサ305、第2温度センサ306、および、冷媒漏洩センサ307を備える。
室内熱交換器301は、室外機20から液側配管11またはガス側配管12を通じて供給される冷媒と室内空気との熱交換を行う。室内熱交換器301は、利用側熱交換器の一例に対応する。
室内ファン302は、室内熱交換器301に送風する。
【0035】
室内膨張弁304は、膨張弁204と室内熱交換器301との間の液側配管11に配置される膨張弁である。本実施形態では、室内膨張弁304は、室内熱交換器301に接続された液側配管13に配置される。室内膨張弁304は、膨張弁204と同様に構成されている。室内膨張弁304は、絞り装置の一例に対応する。
【0036】
室内熱交換器301の液側配管13には、第1温度センサ305が設けられている。本実施形態では、第1温度センサ305は、液側配管13が室内熱交換器301に接続される接続部に設けられている。第1温度センサ305は冷媒の温度を検知して、制御部100に検知信号を入力する。
室内熱交換器301のガス側配管14には、第2温度センサ306が設けられている。本実施形態では、第2温度センサ306は、ガス側配管14が室内熱交換器301に接続される接続部に設けられている。第2温度センサ306は冷媒の温度を検知して、制御部100に検知信号を入力する。
【0037】
室内熱交換器301の近傍には、冷媒漏洩センサ307が配置されている。冷媒漏洩センサ307は、冷媒の濃度を検知して、制御部100に検知信号を入力する。冷媒の濃度が所定値以上の場合に、冷媒の漏洩が検知される。
【0038】
室内機30の室内熱交換器301の両側には、室内機30への冷媒の流量を調整する第1開閉装置101と第2開閉装置102とが設けられる。
【0039】
第1開閉装置101は、室内熱交換器301に接続される液側配管13に設けられる。本実施形態の第1開閉装置101は、電動弁や電磁弁等の開閉弁で構成される。第1開閉装置101は、冷媒が流通する開状態と、冷媒の流れを遮断する閉状態とを切り替え可能である。第1開閉装置101は、制御部100により開閉が制御可能に構成されている。また、第1開閉装置101は、停電時には、閉状態となるように構成されている。
なお、第1開閉装置101は、開状態と閉状態の間の状態を設定可能な弁であってもよく、制御部100により、第1開閉装置101の開度を制御される構成でもよい。
【0040】
第2開閉装置102は、室内熱交換器301に接続されるガス側配管14に設けられる。第2開閉装置102は、第1開閉装置101と同様に構成される。
【0041】
空気調和装置1の冷房運転モードでは、冷媒は流通方向F1に流れ、冷媒が圧縮機201、切替弁205、室外熱交換器202、膨張弁204、室内膨張弁304、室内熱交換器301、切替弁205の順に流れ、切替弁205から吸込管208に戻る。
【0042】
また、空気調和装置1の暖房運転モードでは、冷媒は流通方向F2に流れ、冷媒は圧縮機201、切替弁205、室内熱交換器301、室内膨張弁304、膨張弁204、室外熱交換器202、切替弁205の順に流れ、切替弁205から吸込管208に戻る。
【0043】
図2は、第1実施形態に係る空気調和装置1の制御部100のブロック図である。
図1図2に示すように、空気調和装置1は、制御部100を備える。制御部100には、リモコンや操作パネル等で構成される操作部100aが、有線または無線で接続される。操作部100aには、表示部100bが設けられている。表示部100bには、操作部100aの操作状態や、空気調和装置1の運転状態が表示されるように構成されている。操作部100aは、入力部の一例に対応する。表示部100bは、報知手段の一例に対応する。
【0044】
制御部100は、圧縮機201の運転制御、膨張弁204および室内膨張弁304の開度および開閉の制御、切替弁205の流路の切り替えの制御、室外ファン203および室内ファン302の運転および停止の制御を実行する。また、制御部100は、第1開閉装置101および第2開閉装置102の開閉の制御を実行する。
【0045】
制御部100は、膨張弁204、室内膨張弁304および切替弁205を動作させて、空気調和装置1の冷房運転モードと暖房運転モードとを切り替える。また、制御部100は、操作部100aに対する操作により設定された目標温度に合わせて、圧縮機201の運転周波数や運転および停止の制御、室外ファン203および室内ファン302の制御を実行し、目標温度に合わせて被調和空間を空調する。
【0046】
制御部100は、固着予防動作の処理を実行する。制御部100は、固着予防動作の処理を実行するために、空気調和装置1の固着予防の移行判定動作の処理を実行する。
また、制御部100は、開閉装置の異常検知動作の処理を実行する。制御部100は、開閉装置の異常検知動作の処理を実行するために、空気調和装置1の異常検知の移行判定動作の処理を実行する。
さらに、制御部100は、空気調和装置1の冷媒の漏洩検知動作の処理を実行する。
【0047】
空気調和装置1で使用される冷媒種々のものが挙げられる。近年、いわゆる代替フロンとして、炭化水素、アンモニア、R32等の冷媒が空気調和装置に利用されている。これらの代替フロンには、微燃性あるいは可燃性のものがある。微燃性あるいは可燃性の冷媒が漏洩した場合には、室内機30の被調和空間の冷媒濃度が燃焼下限界(LFL:Lower Flammability Limit)に達しないように、冷媒の漏洩量を抑制することが求められる。特に、被調和空間またはその近傍に設置される室内機30からの冷媒の漏洩量を抑えることが望まれる。
【0048】
図3は、第1実施形態の空気調和装置1の固着予防の移行判定動作を示すフローチャートである。図4は、空気調和装置1の固着予防動作を示すフローチャートである。図3図4の動作は、制御部100が空気調和装置1の各部を制御することにより実行される。
【0049】
図3に示すように、制御部100は、固着予防の移行判定動作の処理を開始すると、第1所定時間の計測を開始する(ステップST11)。第1所定時間は、固着予防動作を実行する間隔を設定するための時間である。第1所定時間により、第1開閉装置101と第2開閉装置102とを必要十分な頻度で開閉させることができ、過剰に開閉させて開閉装置101、102を損耗させることを抑制できる。本実施形態では、一例として、第1所定時間は一週間に設定されている。
制御部100は、第1所定時間の計測を開始すると、第1所定時間が経過したか否かを判定する(ステップST12)。
【0050】
制御部100は、第1所定時間が経過してないと判定した場合(ステップST12;NO)、ステップST12の処理を実行する。
制御部100は、第1所定時間が経過したと判定した場合(ステップST12;YES)、図4に示す固着予防動作を実行する(ステップST13)。
制御部100は、固着予防動作を実行すると、ステップST11に戻り、第1所定時間の計測を開始する(ステップST11)。すなわち、制御部100は、第1所定時間毎に、固着予防動作を実行する。
【0051】
図4に示すように、制御部100は、固着予防動作を開始すると、圧縮機201が運転中(ON)か否かを判定する(ステップST21)。
制御部100は、圧縮機201が運転中の場合(ステップST21;YES)、室内機30の運転台数が1台か否かを判定する(ステップST22)。
【0052】
室内機30の運転台数が1台の場合(ステップST22;YES)、制御部100は、運転停止中の室内機30の室内膨張弁304を開制御の一例として全開とする(ステップST23)。本実施形態では、全ての運転停止中の室内機30の室内膨張弁304を全開とする。これにより、運転停止中の室内機30内を冷媒が流通できるようにする。運転停止中の室内機30内を冷媒が流通可能になるため、運転中の室内機30で冷媒の流れを遮断しても、冷媒回路の過剰な圧力上昇が抑制される。
ここで、全ての運転停止中の室内機30の室内膨張弁304を全開とする構成に代えて、運転停止中の一部の室内機30の室内膨張弁304を全開とする構成にしてもよい。この場合には、例えば、室外機20側の室内機30a、30bを全開としてもよい。
【0053】
制御部100は、運転中の室内機30の室内膨張弁304を閉制御する(ステップST24)。ステップST24の閉制御は、室内膨張弁304の開度が現在よりも全閉側となるように室内膨張弁304の開度を制御する。これにより、運転中の室内機30内を流れる冷媒の流量を抑制し、開閉装置101、102が開閉時に冷媒の流れから受ける衝撃を抑制する。
【0054】
制御部100は、運転中の室内機30に対応する第1開閉装置101を閉状態とする(ステップST25)。
制御部100は、運転中の室内機30に対応する第1開閉装置101を開状態とする(ステップST26)。
制御部100は、運転中の室内機30に対応する第2開閉装置102を閉状態とする(ステップST27)。
制御部100は、運転中の室内機30に対応する第2開閉装置102を開状態とする(ステップST28)。
ステップST25~ST28により、運転中であった室内機30の第1開閉装置101および第2開閉装置102が開閉されるため、第1開閉装置101および第2開閉装置102の固着が予防される。
【0055】
制御部100は、運転中の室内機30の室内膨張弁304を開制御する(ステップST29)。ステップST29の開制御は、ステップST24で室内膨張弁304を閉制御する前の開度となるように室内膨張弁304の開度を制御する。これにより、室内機30を運転中と同じ流量の冷媒が流れるようにする。
制御部100は、ステップST23において全開させた運転停止中の室内機30の室内膨張弁304を全閉とする(ステップST30)。これにより、運転停止中の室内機30について冷媒の流れを遮断する。
【0056】
制御部100は、運転停止中の室内機30に対応する第1開閉装置101を閉状態とする(ステップST31)。
制御部100は、運転停止中の室内機30に対応する第1開閉装置101を開状態とする(ステップST32)。
制御部100は、運転停止中の室内機30に対応する第2開閉装置102を閉状態とする(ステップST33)。
制御部100は、運転停止中の室内機30に対応する第2開閉装置102を開状態とする(ステップST34)。
ステップST31~ST34により、運転停止中であった室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102が開閉されるため、第1開閉装置101および第2開閉装置102の固着が予防される。
そして、制御部100は、室内機30の運転台数が1台の場合の固着予防動作を終了する。
【0057】
室内機30の運転台数が1台でない場合、すなわち、室内機30の運転台数が複数の場合(ステップST22;NO)、制御部100は、運転中の室内機30について、「先発」と「後発」のグループ分けの設定を行う(ステップST41)。「先発」と「後発」のグループには、運転中の室内機30が少なくとも一台以上設定されればよい。一台以上設定される限り「先発」と「後発」のグループの設定方法は任意である。本実施形態では、室内機30aが運転中の場合には、室内機30aが「先発」に設定され、残りの運転中の室内機30b、30cが「後発」に設定されるように構成されている。また、室内機30aが運転停止中の場合には、室内機30bが「先発」に設定され、室内機30cが「後発」に設定されるように構成されている。「先発」の運転中の室内機30が、第1の運転中の室内機30の一例に対応する。また、「後発」の運転中の室内機30が、第2の運転中の室内機30の一例に対応する。
【0058】
制御部100は、「先発」の運転中の室内機30の室内膨張弁304を閉制御する(ステップST42)。ステップST42の閉制御は、ステップST24と同様の閉制御である。
制御部100は、「先発」の運転中の室内機30に対応する開閉装置101、102を閉状態とする(ステップST43)。
制御部100は、「先発」の運転中の室内機30に対応する開閉装置101、102を開状態とする(ステップST44)。
ステップST43~ST44により、「先発」の運転中の室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102が開閉されるため、第1開閉装置101および第2開閉装置102の固着が予防される。この際に、「後発」の運転中の室内機30では冷媒が流通可能なため、冷媒回路の過剰な圧力上昇は抑制される。
制御部100は、「先発」の運転中の室内機30に対応する室内膨張弁304を開制御する(ステップST45)。ステップST45の開制御は、ステップST29と同様の開制御である。
【0059】
制御部100は、「後発」の運転中の室内機30に対応する室内膨張弁304を閉制御する(ステップST46)。ステップST46の閉制御は、ステップST24と同様の閉制御である。
制御部100は、「後発」の運転中の室内機30に対応する開閉装置101、102を閉状態とする(ステップST47)。
制御部100は、「後発」の運転中の室内機30に対応する開閉装置101、102を開状態とする(ステップST48)。
ステップST47~ST48により、「後発」の運転中の室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102が開閉されるため、第1開閉装置101および第2開閉装置102の固着が予防される。このとき、「先発」の運転中の室内機30では冷媒が流通可能なため、冷媒回路の過剰な圧力上昇は抑制される。
制御部100は、「後発」の運転中の室内機30に対応する室内膨張弁304を開制御する(ステップST49)。ステップST49の開制御は、ステップST29と同様の開制御である。
【0060】
制御部100は、運転停止中の室内機30がないか否かを判定する(ステップST50)。
制御部100は、運転停止中の室内機30がないと判定する場合(ステップST50;YES)、運転中の室内機30が複数ある場合の固着予防動作を終了する。
【0061】
制御部100は、運転停止中の室内機30がある場合(ステップST50;NO)、運転停止中の室内機30について、ステップST31~ST34の処理を実行する。そして、制御部100は、運転中の室内機30が複数ある場合の固着予防動作を終了する。
【0062】
制御部100は、圧縮機201が停止中と判定する場合(ステップST21;NO)、全ての室内機30に対応する第1開閉装置101を閉状態とする(ステップST51)。
制御部100は、全ての室内機30に対応する第1開閉装置101を開状態とする(ステップST52)。
制御部100は、全ての室内機30に対応する第2開閉装置102を閉状態とする(ステップST53)。
制御部100は、全ての室内機30に対応する第2開閉装置102を開状態とする(ステップST54)。
ステップST51~ST54により、運転停止中の室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102が開閉されるため、第1開閉装置101および第2開閉装置102の固着が予防される。このとき、圧縮機201が停止中であり冷媒が流れていないため、室内膨張弁304の制御は省略している。
そして、制御部100は、圧縮機201が停止中の場合の固着予防動作を終了する。
【0063】
ここで、特許文献1に記載の従来の構成では、冷媒漏洩が発生しない限りは、開閉装置を閉状態としない。このため、長期間、開閉装置を閉状態としないことによる固着が発生する虞がある。よって、実際に冷媒漏洩が発生した時に、開閉装置が正常に機能せず、冷媒回路を遮断させることができず、冷媒の漏洩量が増加するという課題を有していた。
【0064】
これに対して、本実施形態では、ステップST25~ST28、ステップST31~ST34、ステップST43~ST44、ステップST47~ST48、ステップST51~ST54の処理により、冷媒が漏洩していない場合にも開閉装置101、102が開閉される。これにより、開閉装置101、102が、閉状態(全閉)と開状態(全開)との間で移動しており、開閉装置の固着が抑制することができる。このため、冷媒の漏洩が発生した場合に開閉装置101、102を適切に作動させ易く、室内機30から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0065】
本実施形態では、上述のステップST25~ST28において、第1開閉装置101について開閉させた後に、第2開閉装置102を開閉させる。しかしながら、これに代えて、第2開閉装置102について開閉させた後に、第1開閉装置101を開閉させてもよい。また、第1開閉装置101と第2開閉装置102を同時に開閉させてもよい。
同様に、本実施形態では、上述のステップST31~ST34において、第1開閉装置101について開閉させた後に、第2開閉装置102を開閉させるが、これに代えて、第2開閉装置102について開閉させた後に、第1開閉装置101を開閉させてもよく、第1開閉装置101と第2開閉装置102を同時に開閉させてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、上述のステップST31~ST34において、運転停止中の室内機30の全ての開閉装置101、102を同時に開閉させる。しかし、これに代えて、運転停止中の室内機30毎にステップST31~ST34を実行して、運転停止中の室内機30の順に、開閉装置101、102を開閉させることにより、運転停止中の室内機30の全ての開閉装置101、102を開閉させてもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1は、圧縮機201を有する室外機20と、室内熱交換器301を有する室内機30と、室外機20と室内機30を接続する液側配管11、13およびガス側配管12、14と、液側配管13およびガス側配管14に配置される開閉装置101、102と、制御部100と、を備える。この空気調和装置1において、制御部100は、冷媒が漏洩していない場合に開閉装置101、102を開閉動作させる固着予防運転を実行する。
これにより、開閉装置101、102が長期間、開閉しないことを防止して、開閉装置101、102の固着を抑制できる。このため、冷媒の漏洩が発生した場合に開閉装置101、102を適切に作動させ易く、室内機30から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0068】
本実施形態では、冷媒配管は、液側配管11、13と、ガス側配管12、14とを有する。開閉装置は、室内機30に接続された液側配管13を開閉する第1開閉装置101と、室内機30に接続されたガス側配管14を開閉する第2開閉装置102とを有する。
これにより、室内機30に接続される液側配管13とガス側配管14とのそれぞれを開閉可能であり、冷媒の漏洩が発生した場合に、室内機30から漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0069】
また、本実施形態では、制御部100は、第1開閉装置101と第2開閉装置102とを開閉動作させる固着予防運転を実行する。
これにより、第1開閉装置101および第2開閉装置102が長期間、開閉しないことを防止でき、第1開閉装置101および第2開閉装置102の固着を抑制できる。このため、冷媒の漏洩が発生した場合に、室内機30に接続される液側配管11とガス側配管12とを適切に開閉できる。
【0070】
また、本実施形態では、液側配管11には、第1開閉装置101と室内熱交換器301との間の冷媒流量を制御する室内膨張弁304が設けられている。
これにより、室内熱交換器301を流れる冷媒流量を室内膨張弁304により制御することができる。
【0071】
また、本実施形態では、並列に配置された複数の室内機30a、30b、30cを備え、室内機30a、30b、30c毎に、第1開閉装置101a、101b、101cと、第2開閉装置102a、102b、102cとが設けられ、室内機30a、30b、30c毎に、室内膨張弁304a、304b、304cが設けられている。
これにより、並列に配置された複数の室内機30a、30b、30cを備える空気調和装置1において、各室内機30a、30b、30cから漏洩する冷媒量を効果的に抑制できる。
【0072】
また、本実施形態では、制御部100は、固着予防運転を実行する場合に、圧縮機201が停止中の場合には、全ての室内機30の開閉装置101、102について固着予防運転を実行する。
これにより、全ての室内機30について、冷媒の流れから受ける衝撃を抑制しつつ、開閉装置101、102の固着予防運転を実行することができる。
【0073】
また、本実施形態では、制御部100は、固着予防運転を実行する場合に、圧縮機201が運転中の場合であり且つ運転停止中の室内機30がある場合には、運転停止中の室内機30の室内膨張弁304を開制御すると共に、運転中の室内機30の室内膨張弁304を閉制御して、運転中の室内機30の開閉装置101、102について固着予防運転を実行する。
これにより、運転停止中の室内機30では冷媒の流量を増大させ易くし、運転中の室内機30では冷媒の流量を減少させ易くしている。このため、運転中の室内機30に対応する開閉装置101、102は冷媒の流れから衝撃を受け難い状態で開閉可能である。また、運転停止中の室内機30を利用して冷媒を流通させることができるため、開閉装置101、102を開閉させても冷媒回路の過剰な圧力上昇を抑制できる。
【0074】
また、本実施形態では、制御部100は、固着予防運転を実行する場合に、圧縮機201が運転中の場合であり且つ運転中の室内機30が複数ある場合には、「先発」の運転中の室内機30の室内膨張弁304を閉制御して、「先発」の運転中の室内機30の開閉装置101、102について固着予防運転を実行する。そして、その後に、「後発」の運転中の室内機30の室内膨張弁304を閉制御して、「後発」の運転中の室内機30の開閉装置101、102について固着予防運転を実行する。
これにより、固着予防運転を実行する場合に、圧縮機201が運転中の場合であり且つ運転中の室内機30が複数ある場合には、「先発」の運転中の室内機30と、「後発」の運転中の室内機30に分けて、固着予防運転を実行する。このため、「先発」と「後発」の一方の運転中の室内機30の開閉装置101、102について固着予防運転を実行する際に、「先発」と「後発」の他方の運転中の室内機30を利用して、冷媒を流通させることができるため、冷媒回路の過剰な圧力上昇を抑制できる。
【0075】
また、本実施形態では、制御部100は、固着予防運転を実行する場合に、運転停止中の室内機30の開閉装置101、102について固着予防運転を実行する。
これにより、圧縮機201が運転中の場合に、運転停止中の室内機の開閉装置101、102について固着予防運転を実行できる。
【0076】
また、本実施形態では、制御部100は、固着予防運転を実行してから第1所定時間経過後に、再度、固着予防運転を実行する。
これにより、第1所定時間毎に固着予防運転を実行でき、必要十分な頻度で固着予防運転を実行できる。
【0077】
図5は、第1実施形態の空気調和装置1の異常検知の移行判定動作を示すフローチャートである。図6は、空気調和装置1の開閉装置の異常検知動作を示すフローチャートである。図7は、図6の残りを示すフローチャートである。図5図7の動作は、制御部100が空気調和装置1の各部を制御することにより実行される。
【0078】
図5に示すように、制御部100は、異常検知の移行判定動作の処理を開始すると、第2所定時間の計測を開始する(ステップST101)。第2所定時間は、異常検知動作を実行するための最短の時間間隔である。これにより、過剰に開閉装置の異常検知動作を行うことを抑制できる。すなわち、第1開閉装置101と第2開閉装置102とを、過剰に開閉させて開閉装置101、102を損耗させることを抑制できる。本実施形態では、第2所定時間は、一例として、一ヵ月が設定されている。
【0079】
制御部100は、圧縮機201の運転周波数の下降制御の指示があるか否かを判定する(ステップST102)。
制御部100は、圧縮機201の運転周波数の下降制御の指示がない場合(ステップST102;NO)、ステップST102の処理を実行する。
制御部100は、圧縮機201の運転周波数の下降制御の指示がある場合(ステップST102;YES)、圧縮機201の運転周波数が所定値以下であるか否かを判定する(ステップST103)。ステップST103の所定値は、冷媒の流量が少なく開閉装置101、102の開閉時に開閉装置101、102が冷媒の流れから衝撃を受け難い運転周波数が設定されている。
【0080】
制御部100は、圧縮機201の運転周波数が所定値以下でないと判定した場合(ステップST103;NO)、ステップST102の処理を実行する。
制御部100は、圧縮機201の運転周波数が所定値以下であると判定した場合(ステップST103;YES)、運転周波数が0でないか否かを判定する(ステップST103)。
制御部100は、圧縮機201の運転周波数が0であると判定した場合(ステップST104;NO)、空気調和装置1の運転を停止し(ステップST107)、ステップST102の処理を実行する。
【0081】
制御部100は、圧縮機201の運転周波数が0でないと判定した場合(ステップST104;YES)、第2所定時間が経過済みか否かを判定する(ステップST105)。これにより、冷媒の流量が少ない状態で第2所定時間が経過済みか否かを判定している。
制御部100は、第2所定時間が経過済みでないと判定する場合(ステップST105;NO)、ステップST102の処理を実行する。
制御部100は、第2所定時間が経過済みと判定する場合(ステップST105;YES)、図6図7に示す開閉装置の異常検知動作を実行する(ステップST106)。
制御部100は、開閉装置の異常検知動作が終了すると、ステップST101に戻り、ステップST101の処理を実行する。
【0082】
図6図7において、開閉装置の異常検知動作は、室内機30a、30b、30c毎に実行される。本実施形態では、室内機30a、室内機30b、室内機30cの順に、図6図7に示す開閉装置の異常検知動作のフローチャートが繰り返される。開閉装置の異常検知動作は、開閉装置の異常判定制御の一例に対応する。
図6に示すように、制御部100は、開閉装置の異常検知動作の処理を開始すると、冷房運転モードか否かを判定する(ステップST110)。これにより、冷媒の流通方向F1、F2を判定して、第1開閉装置101と第2開閉装置102のいずれが冷媒の流通方向の上流にあるかを判定する。
【0083】
制御部100は、冷房運転モードであると判定する場合(ステップST110;YES)、室内膨張弁304を閉制御して絞る(ステップST111)。室内膨張弁304を絞ることで冷媒流量を減らし、その後で、下流側の第2の開閉装置102を閉状態とすることで、閉状態とする第2の開閉装置102への衝撃を抑制できる。
制御部100は、上流側に対応する第1開閉装置101を開状態とすると共に、下流側に対応する第2開閉装置102を閉状態とする(ステップST112)。これにより、第2開閉装置102が正常に機能する場合には、第2開閉装置102が閉状態となるため、冷媒が遮断される。このため、室内熱交換機301内に冷媒が滞留して、室内熱交換301では熱交換が行われなくなる。よって、室内熱交換301の上流側の液側配管13の冷媒と下流側のガス側配管14の冷媒との温度差が小さくなる。
【0084】
制御部100は、室内膨張弁304を全開とする(ステップST113)。これにより、第2開閉装置102に異常がある場合に、室内熱交換機301に冷媒が流れ易くしている。
制御部100は、第3所定時間が経過したか否かを判定する(ステップST114)。ステップST114の第3所定時間は、室内熱交換器301に滞留する冷媒が室内空気と熱交換をしなくなる時間が設定されている。本実施形態では、第3所定時間の一例として、4分が設定されている。
【0085】
制御部100は、室内熱交換器301の液側配管13の冷媒温度とガス側配管14の冷媒温度が所定値以下か否かを判定する(ステップST115)。本実施形態では、液側配管13に設けられた第1温度センサ305の検知温度と、ガス側配管14に設けられた第2温度センサ306の検知温度との差分値を算出する。そして、検知温度の差分値が微小な所定値以下であるか否かを判定する。
ここで、第2開閉装置102が正常に作動する場合には、冷媒の流れが遮断されて室内熱交換301に冷媒が滞留する。このため、室内熱交換器301では冷媒と室内空気との熱交換が行われなくなり、液側配管13とガス側配管14との間で冷媒の温度差が小さくなる。一方、第2開閉装置102が異常な場合には、室内熱交換301を冷媒が流れ続けて、室内熱交換器301では冷媒と室内空気との熱交換が行われ続ける。このため、液側配管13とガス側配管14との間で冷媒の温度差が生じる。よって、ステップST115では、第2開閉装置102に異常があるか否かを判定するために、室内熱交換器301の液側配管11の冷媒温度とガス側配管12の冷媒温度が所定値以下か否かを判定する。
【0086】
制御部100は、室内熱交換器301の液側配管13の冷媒温度とガス側配管14の冷媒温度が所定値以下と判定する場合(ステップST115;YES)、上流側に対応する第1開閉装置101を閉状態にすると共に、下流側に対応する第2開閉装置102を開状態にする(ステップST116)。
制御部100は、第3所定時間が経過したか否かを判定する(ステップST117)。ステップST117は、ステップST114と同様である。
制御部100は、室内熱交換器301の液側配管13の冷媒温度とガス側配管14の冷媒温度が所定値以下か否かを判定する(ステップST118)。ステップST118は、ステップST115と同様である。
【0087】
制御部100は、室内熱交換器301の液側配管13の冷媒温度とガス側配管14の冷媒温度が所定値以下と判定する場合(ステップST118;YES)、第1開閉装置101を開状態とする(ステップST119)。これにより、第1開閉装置101を元の状態に戻す。
そして、制御部100は、開閉装置の異常検知動作を終了する。
【0088】
制御部100は、室内熱交換器301の液側配管13の冷媒温度とガス側配管14の冷媒温度が所定値以下でないと判定する場合(ステップST115;NO)、第2開閉装置102に異常があると判定して、第2開閉装置102の異常を報知する(ステップST122)。第2開閉装置102の異常の報知手段としては、操作画面100bに第2開閉装置102が異常であると表示したり、図示しない報知手段の一例としての音源を制御して報知音を鳴らすなどの構成が可能である。
制御部100は、室内膨張弁304を全閉する(ステップST121)。これにより、冷媒の流れを遮断する。
そして、制御部100は、開閉装置の異常検知動作を終了する。
【0089】
制御部100は、室内熱交換器301の液側配管13の冷媒温度とガス側配管14の冷媒温度が所定値以下でないと判定する場合(ステップST118;NO)、第1開閉装置101に異常があると判定して、第1開閉装置101の異常を報知する(ステップST120)。
制御部100は、室内膨張弁304を全閉し(ステップST121)、開閉装置の異常検知動作を終了する。
【0090】
制御部100は、冷房運転モードでない場合、すなわち、暖房運転モードの場合(ステップST110;NO)、室内膨張弁304を閉制御して絞る(図7のステップST130)。室内膨張弁304を絞ることで冷媒流量を減らす。
制御部100は、上流側に対応する第2開閉装置102を開状態とすると共に、下流側に対応する第1開閉装置101を閉状態とする(ステップST131)。
図7に示すステップST131~ST141は、上流側の開閉装置と下流側の開閉装置が図6に示すステップST112~ST121の開閉装置と逆になる点以外は、ステップST112~ST121と同様になるため、詳細な説明は省略する。
【0091】
ここで、特許文献1に記載の従来の構成では、冷媒漏洩が発生しない限りは、開閉装置を閉状態としないため、開閉装置に固着が発生等する場合があり、開閉装置の信頼性が低下するという課題を有していた。
【0092】
これに対して、本実施形態では、ステップST112~ST115、ステップST116~ST118、ステップST131~ST134、ステップST135~ST137の処理により、開閉装置101、102が閉状態の場合に、正常に、冷媒が遮断されているか否かが判定される。よって、開閉装置101、102が異常と判定された場合には、開閉装置101、102の修理、交換することが出来るため、開閉装置101、102の信頼性が向上している。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1は、圧縮機201を有する室外機20と、室内熱交換器301を有する室内機30と、室外機20と室内機30を接続する液側配管11、13およびガス側配管12、14と、室内機30に接続された液側配管13を開閉する第1開閉装置101と、室内機30に接続されたガス側配管13を開閉する第2開閉装置102と、第1開閉装置101と室内熱交換器301との間に設けられて冷媒流量を制御する室内膨張弁304と、制御部100と、を備える。この空気調和装置1において、制御部100は、室内膨張弁304を開放した状態で、第1開閉装置101と第2開閉装置102の少なくとも一方を閉制御させ、第1開閉装置101と第2開閉装置102のうち閉制御した開閉装置101、102の異常状態を判定する異常検知動作を実行する。
これにより、室内機30内を流れる冷媒が、閉制御した開閉装置101、102で遮断されるか否かにより、第1開閉装置101と第2開閉装置102との異常状態を判定できる。
【0094】
本実施形態では、空気調和装置1は、第1開閉装置101と室内熱交換器301の間の液側配管13に配置され冷媒温度を検知する第1温度センサ305と、第2開閉装置102と室内熱交換器301の間のガス側配管14に配置され冷媒温度を検知する第2温度センサ306と、を備える。そして、空気調和装置1の制御部100は、異常検知動作において、第1開閉装置101と第2開閉装置102の内の一方の開閉装置101、102を開制御すると共に他方の開閉装置102、101を閉制御させ、第1温度センサ305と第2温度センサ306の検知温度の差分値が所定温度よりも高い場合に他方の開閉装置102、101が異常状態であると判定する。
これにより、第1開閉装置101と室内熱交換器301の間の冷媒温度と、第2開閉装置102と室内熱交換器301の間の冷媒温度とを検知できる。このため、室内熱交換器301の液側とガス側との温度差に基づいて冷媒が遮断されているか否かを判定して、開閉装置101、102の異常状態を判定できる。
【0095】
また、本実施形態では、制御部100は、異常検知動作において、室内膨張弁304を絞り、第1開閉装置101と第2開閉装置102の内の冷媒の流通方向の上流側の開閉装置101、102を開制御すると共に下流側の開閉装置102、101を閉制御させて、下流側の開閉装置102、101が異常状態であるか否かを判定する。
これにより、室内膨張弁304により、冷媒の流通方向の下流側の開閉装置102、101へ流れる冷媒流量が小さくなった状態で、冷媒の流通方向の下流側の開閉装置102、101を閉制御するため、開閉装置102、101が冷媒から受ける衝撃を抑制できる。
【0096】
また、本実施形態では、制御部100は、異常検知動作において、下流側の開閉装置102、101が異常状態であるか否かを判定した後に、下流側の開閉装置102、101を開制御すると共に上流側の開閉装置101、102を閉制御させて、上流側の開閉装置101、102が異常状態であるか否かを判定する。
これにより、冷媒の流通方向の上流側の開閉装置102、101の異常判定もできる。
【0097】
また、本実施形態では、制御部100は、異常検知動作において開閉装置101、102を異常状態と判定した場合に、開閉装置101、102が異常状態である旨を報知する。
これにより、開閉装置101、102が異常状態であることを認識し易くできる。
【0098】
また、本実施形態では、制御部100は、異常検知動作において、第1開閉装置101と第2開閉装置102の少なくとも一方が異常状態であると判定した場合に、室内膨張弁304を閉制御する。
これにより、開閉装置101、102が異常状態の場合に、室内膨張弁304を閉制御して冷媒の流れを規制することができる。
【0099】
また、本実施形態では、制御部100は、圧縮機201の運転周波数が所定値以下の場合に、異常検知動作を実行してから第2所定時間が経過している場合には、再度、異常検知動作を実行する。
これにより、冷媒の流れから受ける衝撃が小さい場合に、開閉装置101、102を開閉させて異常検知動作を実行することができる。また、過剰な異常検知動作の実行を抑制することができる。
【0100】
図8は、第1実施形態の空気調和装置1の冷媒の漏洩検知動作を示すフローチャートである。図8の動作は、制御部100が空気調和装置1の各部を制御することにより実行される。
図8に示すように、制御部100は、冷媒の漏洩検知動作の処理を開始すると、冷媒漏洩センサ307の検知結果に基づいて、冷媒の漏洩が検知されたか否かを判定する(ステップST201)。
【0101】
制御部100は、冷媒の漏洩を検知しない場合(ステップST201;NO)、ステップST201の処理を実行する。
制御部100は、冷媒の漏洩を検知した場合(ステップST201;YES)、室内ファン302の運転を継続する(ステップST202)。これにより、室内に漏洩した冷媒が室内ファン302の送風により搬送され、室内に漏洩した冷媒が希釈され易くなる。
【0102】
制御部100は、圧縮機201の運転周波数を下降制御する(ステップST203)。運転周波数の下降制御は、例えば、次のように行われる。検知前の圧縮機201の運転周波数に対して、全室内機30の運転能力に対する、漏洩が検知された室内機30の運転能力の割合を乗じた値になるように行う。具体的には、例えば、検知前の運転周波数が60Hzであり、漏洩が検知された室内機30の運転能力が5HP(馬力)であり、全室内機30の運転能力が15HPである場合には、60Hz×(5HP/15HP)=20Hzとなるように、運転周波数の下降制御を行う。
【0103】
制御部100は、漏洩が検知された室内機30において、室内膨張弁304を全閉とする(ステップST204)。これにより、冷媒の流れを規制できる。
制御部100は、漏洩が検知された室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102を閉状態とする(ステップST205)。
制御部100は、漏洩が検知されていない室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102について、開状態か否かを判定する(ステップST206)。
【0104】
制御部100は、漏洩が検知されていない室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102が開状態の場合(ステップST206;YES)、運転を継続し(ステップST207)、冷媒の漏洩検知動作の処理を終了する。
制御部100は、漏洩が検知されていない室内機30に対応する第1開閉装置101および第2開閉装置102が開状態でない場合(ステップST206;NO)、運転を停止し(ステップST208)、冷媒の漏洩検知動作の処理を終了する。
【0105】
ここで、特許文献1に記載の従来の構成では、冷媒漏洩が発生した場合に開閉装置を閉状態とする。しかしながら、冷媒漏洩が発生した場合に、単純に開閉装置を閉状態とするだけでは、閉状態となった開閉装置に、冷媒回路内を流れている冷媒の衝撃が伝わり、開閉装置が破損する虞がある。よって、従来の構成では、開閉装置の動作信頼性が低下するという課題があった。
【0106】
これに対して、本実施形態では、ステップST203により駆動周波数を低減させ冷媒の流量を低下させると共に、さらにステップST204により室内膨張弁304を閉じて冷媒の流れを規制した後に、ステップST205により第1開閉装置101および第2開閉装置102を閉状態としている。このため、冷媒回路内を流れている冷媒の衝撃が、閉状態となった開閉装置101、102に伝わることが防止される。よって、開閉装置101、102の破損リスクを軽減でき、開閉装置101、102の動作信頼性を向上させることができる。
【0107】
上述のステップST204はあった方が望ましいが省略してもよい。すなわち、制御部100は、ステップST203を実行した後に、ステップST205に移行してもよい。
【0108】
以上説明したように、本実施形態の空気調和装置1は、圧縮機201を有する室外機20と、室内機30と、室外機20と室内機30を接続する冷媒配管11、12、13、14と、冷媒配管13、14を開閉する開閉装置101、102と、冷媒濃度を検知する冷媒漏洩センサ307と、制御部100を備える。そして、制御部100は、冷媒漏洩センサ307の検知濃度が所定値以上の場合に、圧縮機201の運転周波数を所定値以下に制御した後、開閉装置101、102を閉状態とする。
これにより、冷媒漏洩検知後、圧縮機201の運転周波数を低下させ冷媒回路内を流れる冷媒の流量が少ない状態で開閉装置101、102を閉制御することで、開閉装置101、102へ伝わる冷媒の衝撃が抑制される。このため、開閉装置101、102の破損リスクを軽減でき、開閉装置101、102の動作信頼性を向上させることができる。
【0109】
本実施形態では、制御部100は、冷媒漏洩センサ307の検知濃度が所定値以上の場合、室内膨張弁304を閉制御した後、開閉装置101、102を閉状態とする。
これにより、冷媒漏洩検知後、室内膨張弁304を閉制御させ冷媒回路内を流れる冷媒の流量が少ない状態で開閉装置101、102を閉制御することで、開閉装置へ伝わる冷媒の衝撃が抑制される。このため、開閉装置101、102の破損リスクを軽減でき、開閉装置101、102の動作信頼性を向上させることができる。
【0110】
[2.第2実施形態]
図9は、第2実施形態の空気調和装置1の固着予防の移行判定動作を示すフローチャートである。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の空気調和装置1の制御部100は、図3に示すフローチャートの制御に代えて、図9に示すフローチャートの制御を行う点が第1実施形態と異なっている。
図9に示すように、制御部100は、固着予防の移行判定動作の処理を開始すると、圧縮機201の運転周波数が所定値以下であるか否かを判定する(ステップST61)。ステップST61の所定値は、冷媒の流量が少なく冷媒の流れが開閉装置101、102に衝撃を与え難い周波数が設定されている。
【0111】
制御部100は、圧縮機201の運転周波数が所定値以下でないと判定した場合(ステップST61;NO)、ステップST61の処理を実行する。
制御部100は、圧縮機201の運転周波数が所定値以下であると判定した場合(ステップST61;YES)、ステップST62にて、図4に示す固着予防動作を実行し、ステップST61に戻る。
【0112】
本実施形態では、制御部100は、圧縮機201の運転周波数が所定値以下の場合に固着予防運転を実行する。
これにより、冷媒の流量が少ない状態で開閉装置101、102を開閉させ易く、開閉装置101、102が冷媒の流れから衝撃を受け難くなっている。
【0113】
[3.第3実施形態]
図10は、第3実施形態の空気調和装置1の固着予防の移行判定動作を示すフローチャートである。第3実施形態において、第1および第2実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
第3実施形態の空気調和装置1の操作部100aは、制御部100に対して、固着予防運転への移行許可を入力するように構成されている。操作部100aは入力部の一例に対応する。
【0114】
第3実施形態の空気調和装置1の制御部100は、図3に示すフローチャートの制御に代えて、図10に示すフローチャートの制御を行う点が第1実施形態と異なっている。
図10に示すように、制御部100は、操作部100aの入力の有無を検知して、固着予防運転の入力があるか否かを判定する(ステップST71)。
【0115】
制御部100は、固着予防運転の入力を検知しない場合(ステップST71;NO)、ステップST71の処理を実行する。
制御部100は、固着予防運転の入力を検知する場合(ステップST71;YES)、ステップST72にて、図4に示す固着予防動作を実行し、ステップST71に戻る。
【0116】
本実施形態では、固着予防運転への移行許可を入力する操作部100aを備え、制御部100は、操作部100aによる入力を検知した場合に、固着予防運転を実行する。
これにより、固着予防運転への移行許可を制御部100に入力できる。このため、制御部100に対して、任意のタイミングで固着予防運転への移行を許可できる。
【0117】
[4.第4実施形態]
図11は、第4実施形態の空気調和装置1の異常検知の移行判定動作を示すフローチャートである。第4実施形態において、第1乃至第3実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
第4実施形態の空気調和装置1の操作部100aは、制御部100に対して、開閉装置の異常検知動作への移行許可を入力するように構成されている。操作部100aは、第2入力部の一例に対応する。
【0118】
第4実施形態の空気調和装置1の制御部100は、図5に示すフローチャートの制御に代えて、図11に示すフローチャートの制御を行う点が第1実施形態と異なっている。
図11に示すように、制御部100は、操作部100aの入力の有無を検知して、開閉装置の異常検知動作への移行許可の入力があるか否かを判定する(ステップST181)。
【0119】
制御部100は、開閉装置の異常検知動作への移行許可の入力を検知しない場合(ステップST181;NO)、ステップST181の処理を実行する。
制御部100は、開閉装置の異常検知動作への移行許可の入力を検知する場合(ステップST181;YES)、ステップST182にて、図6図7に示す開閉装置の異常検知動作を実行し、ステップST181に戻る。
【0120】
本実施形態では、開閉装置の異常検知動作への移行許可を入力する操作部101aを備え、制御部101は、操作部101aによる入力を検知した場合に、開閉装置の異常検知動作を実行する。
これにより、制御部101に対して、任意のタイミングで開閉装置の異常検知動作への移行を許可できる。
【0121】
[5.他の実施形態]
なお、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、および応用が可能である。
【0122】
固着予防動作は、第1実施形態では、第1所定時間に基づいて実行され、第2実施形態では圧縮機201の運転周波数に基づいて実行され、第3実施形態では操作部100aの入力に基づいて実行される構成を説明した。しかしながら、例えば、固着予防動作は、第1所定時間に基づいて実行すると共に、圧縮機201の運転周波数に基づいて実行する構成としてもよい。また、例えば、固着予防動作は、圧縮機201の運転周波数に基づいて実行すると共に、操作部100aの入力に基づいて実行する構成としてもよい。すなわち、第1実施形態の図3に示すフローチャート、第2実施形態の図9に示すフローチャート、第3実施形態の図10に示すフローチャートは、制御部100が別々に処理する構成に限定されず、制御部100が並列に処理する構成でもよい。
【0123】
開閉装置の異常検知動作は、第1乃至第3実施形態では、第2所定時間および圧縮機201の運転周波数に基づいて実行され、第4実施形態では操作部100aの入力に基づいて実行される構成を説明した。しかしながら、開閉装置の異常検知動作は、第2所定時間および圧縮機201の運転周波数に基づいて実行すると共に、操作部100aの入力に基づいて実行する構成としてもよい。すなわち、第1乃至第3実施形態の図5に示すフローチャート、第4実施形態の図11に示すフローチャートは、制御部100が別々に処理する構成に限定されず、制御部100が並列に処理する構成でもよい。
【0124】
上記実施形態では、一例として、1台の室外機20と3台の室内機30とを備えたパッケージエアコン(PAC)の構成を有する空気調和装置1を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、1台の室外機20と1台の室内機30とを備えたルームエアコン(RAC)や、複数の室外ユニットに複数の室内機を接続したパッケージエアコン(PAC)や、ビル用マルチエアコン(VRF)の構成にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明に係る空気調和装置は、冷媒の漏洩が発生した場合であっても、漏洩する冷媒量を抑制できる空気調和装置として、好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 空気調和装置
11、13a、13b、13c 液側配管(冷媒配管)
12、14a、14b、14c ガス側配管(冷媒配管)
20 室外機
30a、30b、30c 室内機
100 制御部
100a 操作部(入力部、第2入力部)
101a、101b、101c 第1開閉装置
102a、102b、102c 第2開閉装置
201 圧縮機
301a、301b、301c 室内熱交換器(利用側熱交換器)
302a、302b、302c 室内ファン
304a、304b、304b 室内膨張弁(絞り装置)
305a、305b、305c 第1温度センサ
306a、306b、306c 第2温度センサ
307a、307b、307c 冷媒漏洩センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11