(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-21
(45)【発行日】2024-03-29
(54)【発明の名称】着席位置管理システムおよび着席位置管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240322BHJP
【FI】
G06Q10/06
(21)【出願番号】P 2020049662
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平澤 園子
(72)【発明者】
【氏名】藤松 健
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特許第6413068(JP,B1)
【文献】特開2018-181225(JP,A)
【文献】特開2013-77086(JP,A)
【文献】特開2008-250830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
執務エリア内での利用者の着席位置を管理する処理をプロセッサにより実行する着席位置管理システムであって、
執務エリアの入口周辺を撮影する入口カメラと、
執務エリア内を撮影するエリア内カメラと、を備え、
前記プロセッサが、
執務エリアに入場する利用者に対して人物識別処理を行うことで、執務エリアに入場した利用者を特定し、
執務エリアに入場する利用者を前記入口カメラで撮影した撮影画像から取得した第1の人物画像と、執務エリア内で着席しようとする利用者を前記エリア内カメラで撮影した撮影画像から取得した第2の人物画像とを用いた人物照合処理を行うことで、執務エリアに入場する利用者と執務エリア内で着席する利用者とを対応付けて、執務エリア内での利用者の着席位置を特定することを特徴とする着席位置管理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記人物識別処理として、執務エリアに入場する利用者を前記入口カメラで撮影した撮影画像から取得した顔画像と、予め登録された利用者ごとの顔画像とを用いた顔照合を行うことを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
執務エリア内において利用者の着席を検知したタイミングで、その直前の時刻の前記第2の人物画像を用いて前記人物照合処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記人物照合処理において、前記第1の人物画像および前記第2の人物画像の各々から抽出した特徴情報を比較することを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
執務エリア内を前記エリア内カメラで撮影した撮影画像に基づいて、在席検知エリアに関する在席と空席との2つの状態を検知して、その検知結果に基づいて、利用者の着席と離席とを判定することを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
執務エリアに入場後の着席位置が不明な人物が存在する場合には、該当する人物のユーザ装置に対して、着席位置の登録操作を行うように催促する通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
人物が着席していないはずの執務席に人物が着席している場合には、該当する人物のユーザ装置に対して、利用者の近傍のカメラを用いた顔照合を行うように催促する通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記執務エリアのレイアウトを表すエリアマップ上に、利用者の着席位置を表す画像を重畳した画面を生成してユーザ装置に表示することを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
在席検知エリアの周辺に存在する利用者の持ち物を検知して、在席検知エリアが在席か空席かを判定することを特徴とする請求項1に記載の着席位置管理システム。
【請求項10】
執務エリア内での利用者の着席位置を管理する処理をプロセッサにより実行する着席位置管理方法であって、
前記プロセッサが、
執務エリアに入場する利用者に対して人物識別処理を行うことで、執務エリアに入場した利用者を特定し、
執務エリアに入場する利用者を入口カメラで撮影した撮影画像から取得した第1の人物画像と、執務エリア内で着席しようとする利用者をエリア内カメラで撮影した撮影画像から取得した第2の人物画像とを用いた人物照合処理を行うことで、執務エリアに入場する利用者と執務エリア内で着席する利用者とを対応付けて、執務エリア内での利用者の着席位置を特定することを特徴とする着席位置管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、執務エリア内での利用者の着席位置を管理する着席位置管理システムおよび着席位置管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、勤務者間のコミュニケーションの活性化や、部署や部門を超えたコラボレーションなどを目的として、利用者が執務席を自由に選択して執務を行うフリーアドレス制のオフィスが注目されている。
【0003】
このようなフリーアドレス制のオフィスでは、執務室を訪問した面会者が、面会相手の人物がどこに着席しているかわからず、面会相手の人物を探し出すのに時間を要する。そこで、だれがどこに着席しているかを面会者に提示する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、従来の技術では、利用者がフリーアドレスエリアへの入室後に、各利用者の着席位置を特定するため、利用者が所持する無線タグの受信機を執務席ごとに設置し、または、執務席に座った利用者の顔を撮像するカメラを執務席ごとに設置し、または、利用者が所持するICカードを読み取るカードリーダーを執務席ごとに設置し、または、執務席マップ画面で、利用者が、自分が利用する執務席の位置を入力する、などの手法が採られていた。そのため、利用者の着席位置の特定にかかる設備投資コスト、メンテナンスコストが増大するという問題があった。
【0006】
また、入室時に個人認証を行って人物を特定した後に、人物追尾により、人物がどこに着席したかを検知することで、人物の着席位置を特定することができる。しかしながら、入室から着席位置までの間を途切れなく追尾するのが難しく、人物追尾が失敗する場合がある。また、場合によってはカメラを多数設置する必要があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、フリーアドレス制のオフィスにおいて、各利用者の着席位置の特定を、設備コストなどを増大させることなく安価にかつ精度よく行うことができる着席位置管理システムおよび着席位置管理方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の着席位置管理システムは、執務エリア内での利用者の着席位置を管理する処理をプロセッサにより実行する着席位置管理システムであって、執務エリアの入口周辺を撮影する入口カメラと、執務エリア内を撮影するエリア内カメラと、を備え、前記プロセッサが、執務エリアに入場する利用者に対して人物識別処理を行うことで、執務エリアに入場した利用者を特定し、執務エリアに入場する利用者を前記入口カメラで撮影した撮影画像から取得した第1の人物画像と、執務エリア内で着席しようとする利用者を前記エリア内カメラで撮影した撮影画像から取得した第2の人物画像とを用いた人物照合処理を行うことで、執務エリアに入場する利用者と執務エリア内で着席する利用者とを対応付けて、執務エリア内での利用者の着席位置を特定する構成とする。
【0009】
また、本発明の着席位置管理方法は、執務エリア内での利用者の着席位置を管理する処理をプロセッサにより実行する着席位置管理方法であって、前記プロセッサが、執務エリアに入場する利用者に対して人物識別処理を行うことで、執務エリアに入場した利用者を特定し、執務エリアに入場する利用者を入口カメラで撮影した撮影画像から取得した第1の人物画像と、執務エリア内で着席しようとする利用者をエリア内カメラで撮影した撮影画像から取得した第2の人物画像とを用いた人物照合処理を行うことで、執務エリアに入場する利用者と執務エリア内で着席する利用者とを対応付けて、執務エリア内での利用者の着席位置を特定する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着席した利用者を識別するための装置を執務席ごとに設置する必要がなく、また、人物追尾を行う必要がないため、人物追尾のためにカメラを多数設置する必要もなくなる。これにより、フリーアドレス制のオフィスにおいて、各利用者の着席位置の特定を、設備コストなどを増大させることなく安価にかつ精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る着席位置管理システムの全体構成図
【
図2】執務室のレイアウトと、カメラ1,2,3の設置状況と、在席検知エリアの設定状況を示す説明図
【
図3】着席位置管理システムで行われる処理の概要を示す説明図
【
図4】入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、およびデータベースサーバ6の概略構成を示すブロック図
【
図5】入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、およびデータベースサーバ6で処理される管理情報を示す説明図
【
図6】ユーザ端末8に表示される着席位置確認画面を示す説明図
【
図7】ユーザ端末8に表示される着席位置登録時の着席位置確認画面を示す説明図
【
図8】ユーザ端末8に表示されるアラート発令時の着席位置確認画面を示す説明図
【
図9】入室管理サーバ4で行われる顔照合処理および人物検知処理の手順を示すフロー図
【
図10】在席管理サーバ5で行われる在席検知処理の手順を示すフロー図
【
図11】在席管理サーバ5で行われる人物照合処理の手順を示すフロー図
【
図12】在席管理サーバ5で行われる着席位置検証処理の手順を示すフロー図
【
図13】第1実施形態の変形例に係る在席管理サーバ5で行われる在席検知処理の手順を示すフロー図
【
図14】第2実施形態に係る着席位置管理システムで行われる処理の概要を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、執務エリア内での利用者の着席位置を管理する処理をプロセッサにより実行する着席位置管理システムであって、執務エリアの入口周辺を撮影する入口カメラと、執務エリア内を撮影するエリア内カメラと、を備え、前記プロセッサが、執務エリアに入場する利用者に対して人物識別処理を行うことで、執務エリアに入場した利用者を特定し、執務エリアに入場する利用者を前記入口カメラで撮影した撮影画像から取得した第1の人物画像と、執務エリア内で着席しようとする利用者を前記エリア内カメラで撮影した撮影画像から取得した第2の人物画像とを用いた人物照合処理を行うことで、執務エリアに入場する利用者と執務エリア内で着席する利用者とを対応付けて、執務エリア内での利用者の着席位置を特定する構成とする。
【0013】
これによると、着席した利用者を識別するための装置を執務席ごとに設置する必要がなく、また、人物追尾を行う必要がないため、人物追尾のためにカメラを多数設置する必要もなくなる。これにより、フリーアドレス制のオフィスにおいて、各利用者の着席位置の特定を、設備コストなどを増大させることなく安価にかつ精度よく行うことができる。
【0014】
また、第2の発明は、前記プロセッサは、前記人物識別処理として、執務エリアに入場する利用者を前記入口カメラで撮影した撮影画像から取得した顔画像と、予め登録された利用者ごとの顔画像とを用いた顔照合を行う構成とする。
【0015】
これによると、人物識別処理を利用者の手間をかけずに簡便にかつ精度よく行うことができる。
【0016】
また、第3の発明は、前記プロセッサは、執務エリア内において利用者の着席を検知したタイミングで、その直前の時刻の前記第2の人物画像を用いて前記人物照合処理を行う構成とする。
【0017】
これによると、適切なタイミングで人物照合処理を行うことができる。
【0018】
また、第4の発明は、前記プロセッサは、前記人物照合処理において、前記第1の人物画像および前記第2の人物画像の各々から抽出した特徴情報を比較する構成とする。
【0019】
これによると、人物照合処理を精度よく行うことができる。なお、人物の外観(服装の色など)や身体の骨格などに関した特徴情報を人物画像から抽出すればよい。
【0020】
また、第5の発明は、前記プロセッサは、執務エリア内を前記エリア内カメラで撮影した撮影画像に基づいて、在席検知エリアに関する在席と空席との2つの状態を検知して、その検知結果に基づいて、利用者の着席と離席とを判定する構成とする。
【0021】
これによると、利用者の着席と離席とを精度よく判定することができる。
【0022】
また、第6の発明は、前記プロセッサは、執務エリアに入場後の着席位置が不明な人物が存在する場合には、該当する人物のユーザ装置に対して、着席位置の登録操作を行うように催促する通知を行う構成とする。
【0023】
これによると、着席位置の登録操作を行うことにより、着席している人物が不明な状態を解消することができる。
【0024】
また、第7の発明は、前記プロセッサは、人物が着席していないはずの執務席に人物が着席している場合には、該当する人物のユーザ装置に対して、利用者の近傍のカメラを用いた顔照合を行うように催促する通知を行う構成とする。
【0025】
これによると、顔照合を行うことにより、着席している人物が不明な状態を解消することができる。
【0026】
また、第8の発明は、前記プロセッサは、前記執務エリアのレイアウトを表すエリアマップ上に、利用者の着席位置を表す画像を重畳した画面を生成してユーザ装置に表示する構成とする。
【0027】
これによると、執務エリアの着席状況を利用者が即座に確認することができる。
【0028】
また、第9の発明は、前記プロセッサは、在席検知エリアの周辺に存在する利用者の持ち物を検知して、在席検知エリアが在席か空席かを判定する構成とする。
【0029】
これによると、利用者が、執務室内の他の人物との面談などで一時的に離席して不在となる場合でも、執務席に持ち物があれば、空席(執務席が使用中でないこと)とはならない。このため、執務エリアの着席状況を知りたい利用者に適切な情報を提供する。
【0030】
また、第10の発明は、執務エリア内での利用者の着席位置を管理する処理をプロセッサにより実行する着席位置管理方法であって、前記プロセッサが、執務エリアに入場する利用者に対して人物識別処理を行うことで、執務エリアに入場した利用者を特定し、執務エリアに入場する利用者を入口カメラで撮影した撮影画像から取得した第1の人物画像と、執務エリア内で着席しようとする利用者をエリア内カメラで撮影した撮影画像から取得した第2の人物画像とを用いた人物照合処理を行うことで、執務エリアに入場する利用者と執務エリア内で着席する利用者とを対応付けて、執務エリア内での利用者の着席位置を特定する構成とする。
【0031】
これによると、第1の発明と同様に、フリーアドレス制のオフィスにおいて、各利用者の着席位置の特定を、設備コストなどを増大させることなく安価にかつ精度よく行うことができる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る着席位置管理システムの全体構成図である。
【0034】
この着席位置管理システムは、フリーアドレス制の執務室(執務エリア)において執務席に着席する人物を管理するものであり、顔照合用の第1の入口カメラ1と、人物照合用の第2の入口カメラ2と、着席検知および人物照合用の室内カメラ3(エリア内カメラ)と、入室管理サーバ4と、在席管理サーバ5と、データベースサーバ6と、配信サーバ7と、ユーザ端末8(ユーザ装置)と、を備えている。
【0035】
第1の入口カメラ1は、執務室の入口周辺に設置され、顔照合(顔認証)を受ける人物の顔を撮影する。この第1の入口カメラ1には、所定の画角の範囲を撮影するボックスカメラが採用される。
【0036】
第2の入口カメラ2は、執務室の入口周辺に設置され、執務室の入口から入室する人物を撮影する。この第2の入口カメラ2には、魚眼レンズを用いて360度の範囲を撮影する全方位カメラが採用される。
【0037】
室内カメラ3は、執務室内に設置され、執務室内に滞在する人物を撮影する。この室内カメラ3には、魚眼レンズを用いて360度の範囲を撮影する全方位カメラが採用される。なお、室内カメラ3に、所定の画角の範囲を撮影するボックスカメラを採用するようにしてもよい。また、室内カメラ3に、執務室内のPCに接続された簡易なカメラ(例えばUSBカメラ)を採用するようにしてもよい。
【0038】
入室管理サーバ4は、第1の入口カメラ1の撮影画像と第2の入口カメラ2の撮影画像とに基づいて、執務室に入室する人物を管理する処理を行う。
【0039】
在席管理サーバ5は、室内カメラ3の撮影画像に基づいて、執務室内の各執務席に在席する人物を管理する処理を行う。
【0040】
データベースサーバ6は、入室管理サーバ4および在席管理サーバ5の各々で処理される管理情報を格納する。
【0041】
配信サーバ7は、データベースサーバ6に格納された管理情報に基づいて、執務室内における利用者の着席位置に関する情報をユーザ端末8に配信する。
【0042】
ユーザ端末8は、配信サーバ7からの配信情報に基づいて、執務室内における利用者の着席位置に関する情報を利用者に提示する。
【0043】
次に、執務室のレイアウトと、カメラ1,2,3の設置状況と、在席検知エリアの設定状況について説明する。
図2は、執務室のレイアウトと、カメラ1,2,3の設置状況と、在席検知エリアの設定状況を示す説明図である。
【0044】
執務室の入口には第1の入口カメラ1および第2の入口カメラ2が設置されている。この第1の入口カメラ1により、執務室に入室する人物の顔が撮影される。また、第2の入口カメラ2により、執務室に入室する人物の全身または上半身が撮影される。
【0045】
なお、
図2に示す例では、執務室の外側に第2の入口カメラ2が設置されているが、執務室の内側に第2の入口カメラ2が設置されて、入口から入室する最中の人物の顔が撮影されるようにしてもよい。
【0046】
執務室には、机および執務席(椅子)が並べて配置されている。利用者は、空き状態のいずかの執務席を見つけて着席する。
【0047】
執務室の天井には、室内カメラ3が設置されており、執務室内に滞在する人物を撮影する。
【0048】
本実施形態では、室内カメラ3の撮影画像上に執務席ごとの在席検知エリアが予め設定され、この検知エリアの画像に基づいて、人物が執務席に座っているか否かを検知する。なお、
図2に示す例では、執務室の平面図上に在席検知エリア(点線のエリア)を矩形で表しているが、実際には、室内カメラ3で撮影された全方位画像(魚眼画像)上に多角形で在席検知エリアが設定される。
【0049】
この在席検知エリアは、執務席に座った人物の身体が存在することが想定される位置に設定され、1つの検知エリアが1人の人物に対応するように、人物の身体の大きさを基準にして設定される。また、検知エリアは、室内カメラ3の撮影画像を表示した画面上で検知エリアの範囲を利用者が指定する操作を行うことで設定されるとよいが、室内カメラ3の撮影画像から物体(椅子および机)を検出して、その検出結果に基づいて検知エリアを設定するようにしてもよい。
【0050】
次に、着席位置管理システムで行われる処理の概要について説明する。
図3は、着席位置管理システムで行われる処理の概要を示す説明図である。
【0051】
入室管理サーバ4は、第1の入口カメラ1の撮影画像から人物の顔の画像領域を切り出して顔画像を取得し、その顔画像から、入室する人物の顔特徴情報を抽出する。そして、登録済みの人物ごとの顔特徴情報と、入室する人物の顔特徴情報とを比較して、入室する人物を特定する(顔照合処理)。この顔照合処理により、入室する人物と登録された人物とが紐付けられ、入室する人物が特定される。この入室する人物の人物IDは、データベースサーバ6の入室データベースに登録される。また、顔照合(顔認証)が成功すると、利用者が執務室に入室することができる。なお、ここでは、人物識別処理として、顔認証を行う構成を示したが、後述の第2実施形態に記載のカード認証やバイオメトリクス認証などにより人物識別処理を行うようにしてもよい。
【0052】
また、入室管理サーバ4は、顔照合が成功した場合に、その顔照合と同一時刻の第2の入口カメラ2の撮影画像から人物の全身または上半身の画像領域を切り出して人物画像(第1の人物画像)を取得し、その人物画像から、入室する人物の人物特徴情報を抽出する(人物検知処理)。この入室する人物の人物特徴情報は、データベースサーバ6の入室データベースに登録される。
【0053】
なお、人物特徴情報は、人物の服装の色、人物が所持する荷物、人物の身体の骨格など、人物の全身または上半身の外観上の特徴を表すものである。
【0054】
在席管理サーバ5は、室内カメラ3の撮影画像から在席検知エリア(執務席)の画像領域を切り出して在席検知エリア画像を取得し、その在席検知エリア画像から、在席検知エリアに人物が存在するか否かを判定して、その判定結果に応じて、在席検知エリアの状態を在席および空席のいずれかに設定する(在席検知処理)。この在席検知処理は定期的に実施される。
【0055】
また、在席管理サーバ5は、在席検知エリアの状態が空席から在席に変化した場合、すなわち、人物が着席した場合に、その直前の室内カメラ3の撮影画像から人物の全身または上半身の画像領域を切り出して人物画像(第2の人物画像)を取得し、その人物画像から、着席直前の人物に関する人物特徴情報を抽出する。そして、データベースサーバ6の入室データベースに登録された入室する人物の人物特徴情報と、着席直前の人物に関する人物特徴情報とを照合する(人物照合処理)。この人物照合処理により、入室データベースに登録された入室した人物と着席する人物とが紐付けられ、着席する人物が特定される。
【0056】
ここで、利用者が執務席に着席した状態では、机や椅子で人物の身体の一部が隠れてしまうため、適切な人物特徴情報を抽出することができない場合がある。そこで、本実施形態では、利用者が執務席に着席する直前の立っている状態で撮影された画像から人物画像を取得し、その人物画像から人物特徴情報を抽出する。
【0057】
配信サーバ7は、データベースサーバ6の在席データベースおよび人物データベースの各々に登録された情報に基づいて、執務室内での利用者の着席位置に関する情報を生成して、その情報をユーザ端末8に配信する。
【0058】
なお、本実施形態では、入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、データベースサーバ6、および配信サーバ7の4つの情報処理装置が設けられた構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、データベースサーバ6、および配信サーバ7の各機能を1台の情報処理装置で実現する構成としてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、顔照合用の第1の入口カメラ1と人物照合用の第2の入口カメラ2とが設けられた構成としたが、1台のカメラ(例えば全方位カメラ)で顔照合と人物照合とを兼用する構成としてもよい。また、全方位カメラで撮影された全方位画像から顔照合用の顔画像を取得する場合、全方位画像をパノラマ展開したパノラマ画像から顔の画像領域を切り出して顔画像を取得すればよい。
【0060】
次に、入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、およびデータベースサーバ6の概略構成について説明する。
図4は、入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、およびデータベースサーバ6の概略構成を示すブロック図である。
図5は、入室管理サーバ4、在席管理サーバ5、およびデータベースサーバ6で処理される管理情報を示す説明図である。
【0061】
入室管理サーバ4は、通信部21と、記憶部22と、プロセッサ23と、を備えている。
【0062】
通信部21は、ネットワークを介してデータベースサーバ6と通信を行う。また、通信部21は、第1の入口カメラ1および第2の入口カメラ2と通信を行い、第1の入口カメラ1および第2の入口カメラ2から撮影画像を受信する。
【0063】
記憶部22は、プロセッサ23で実行されるプログラムなどを記憶する。また、記憶部22は、予め登録された利用者ごとの顔照合情報、具体的には、人物ID、および顔特徴情報などの情報を記憶する。また、記憶部22は、第2の入口カメラ2の撮影画像を一時的に蓄積する。
【0064】
プロセッサ23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することで入室管理に係る各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ23が、顔照合処理、および人物検知処理などを行う。
【0065】
顔照合処理(顔認証処理)では、プロセッサ23が、第1の入口カメラ1の撮影画像から、入室する人物の顔の画像領域を切り出して顔画像を取得し、その顔画像から、入室する人物の顔特徴情報を抽出する。そして、登録済みの人物ごとの顔特徴情報を記憶部22から取得して、その登録済みの人物ごとの顔特徴情報と、入室する人物の顔特徴情報とを照合して、入室する人物を特定する。
【0066】
人物検知処理では、プロセッサ23が、第2の入口カメラ2の撮影画像から人物を検出して、第2の入口カメラ2の撮影画像から人物の全身または上半身の画像領域を切り出して人物画像を取得し、その人物画像から、入室する人物の人物特徴情報を抽出する。この入室する人物の人物特徴情報は、データベースサーバ6の入室データベースに登録される。なお、第2の入口カメラ2(全方位カメラ)の撮影画像(全方位画像)から直接人物画像を切り出すことができるが、パノラマ展開した上で、その撮影画像(パノラマ画像)から人物画像を切り出してもよい。
【0067】
ここで、顔照合処理で取得した顔照合結果情報と、人物検知処理で取得した人物特徴情報とは、同一人物として紐づけられた状態で、データベースサーバ6の入室データベースに登録される。なお、顔照合処理の対象人物と人物検知処理の対象人物とが別人となることを避けるため、人物検知処理では、顔照合に用いた撮影画像と同一時刻またはその直後の撮影画像を用いるとよい。これにより、顔照合を受けている最中またはその直後の時点の人物画像から人物特徴情報を抽出することができる。
【0068】
データベースサーバ6は、通信部31と、記憶部32と、プロセッサ33と、を備えている。
【0069】
通信部31は、ネットワークを介してデータベースサーバ6と通信を行う。
【0070】
記憶部32は、プロセッサ33で実行されるプログラムなどを記憶する。また、記憶部32は、入室データベース、在席データベース、および人物データベースの登録情報を記憶する。入室データベースには、顔照合結果情報、具体的には、顔照合時刻、カメラID、人物ID、および顔照合スコアなどの情報と、人物特徴情報とが登録される。在席データベースには、エリアIDと、在席検知時刻と、人物照合結果情報、具体的には、人物ID、および人物照合スコアなどの情報が登録される。人物データベースには、人物管理情報、具体的には、人物ID、人物の名前、所属、および役職などの情報が登録される。また、記憶部32は、在席検知エリア管理情報、具体的には、在席検知エリアのエリアID、在席検知エリアを表す多角形の頂点数、および各頂点の座標などの情報が登録される。
【0071】
プロセッサ33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することでデータ管理に係る各種の処理を行う。なお、データベースサーバ6の登録情報は一定期間で削除される。
【0072】
在席管理サーバ5は、通信部41と、記憶部42と、プロセッサ43と、を備えている。
【0073】
通信部41は、ネットワークを介してデータベースサーバ6と通信を行う。また、通信部41は、室内カメラ3と通信を行い、室内カメラ3から撮影画像を受信する。
【0074】
記憶部42は、プロセッサ43で実行されるプログラムなどを記憶する。また、記憶部42は、室内カメラ3の撮影画像を一時的に蓄積する。
【0075】
プロセッサ43は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することで在席管理に係る各種の処理を行う。本実施形態では、プロセッサ43が、在席検知処理、人物照合処理、および着席位置検証処理などを行う。
【0076】
在席検知処理では、プロセッサ43が、室内カメラ3の撮影画像内の在席検知エリアの画像領域に対して人物検出を行い、対象とする在席検知エリアに人物が存在するか否かを判定する。ここで、在席検知エリアに人物が存在する場合には、在席検知エリアの状態を在席に設定する。一方、在席検知エリアに人物が存在しない場合には、在席検知エリアの状態を空席に設定する。そして、在席検知結果情報(在席検知時刻、エリア数)と、在席検知結果詳細情報(在席検知時刻、エリアID、検知状態)とを記憶部42に格納する。
【0077】
人物照合処理では、プロセッサ43が、在席検知処理で取得した在席検知エリアの状態が空席から在席に変化した場合、すなわち、人物が着席した場合に、その直前の室内カメラ3の撮影画像から人物の全身または上半身の画像領域を切り出して人物画像を取得し、その人物画像から、着席直前の人物に関する人物特徴情報を抽出する(人物照合処理)。この人物照合処理により、入室データベースに登録された入室する人物と着席する人物とが紐付けられ、着席する人物が特定される。
【0078】
なお、着席直前の人物画像を取得する際には、人物の着席を検知したタイミングから所定のフレーム数分だけ過去に遡った時点における室内カメラ3の撮影画像を取得して、その撮影画像から人物画像を取得すればよい。また、室内カメラ3が全方位カメラである場合には、撮影画像をパノラマ展開したパノラマ画像から人物画像を取得するとよい。また、着席直前の人物に関する人物特徴情報を抽出する際には、室内カメラ3の撮影画像から検出された人物のうち、着席が検知された執務席の近傍に存在する人物を選択して、その人物に関する人物特徴情報を抽出すればよい。
【0079】
着席位置検証処理では、プロセッサ43が、入室データベースおよび在席データベースの登録情報に基づいて、入室後の着席位置が不明な人物、すなわち、入室してから所定の時間が経過しても着席しない人物が存在するか否かを判定し、入室後の着席位置が不明な人物が存在する場合には、該当する人物のユーザ端末8に対して、着席位置の登録操作をユーザ端末8で行うように催促する通知を行う。
【0080】
具体的には、例えば、着席位置の登録操作を行うように催促する電子メールをユーザ端末8に送信して、ユーザ端末8に着席位置確認画面(
図7参照)を表示させて利用者に人物情報を入力させる。これにより、着席する利用者が特定されるため、その利用者の情報を在席データベースに登録する。
【0081】
また、着席位置検証処理では、プロセッサ43が、在席データベースの登録情報と在席検知結果詳細情報とに基づいて、空席状態の執務席(在席検知エリア)、すなわち、人物が着席していないはずの執務席に人物が着席しているか否かを判定し、人物が着席していないはずの執務席に人物が着席している場合には、該当する人物のユーザ端末8に対して、利用者の近傍のカメラを用いた顔照合を行うように催促する通知を行う。
【0082】
具体的には、ユーザ端末8の着席位置確認画面(
図8参照)にアラート画面58を表示させて、再照合(顔照合)による位置登録を促す。このとき、利用者に対して、執務エリア内に設置された室内カメラ3のうち、利用者の近傍にある室内カメラ3に顔を向けるように案内する。これにより、着席する利用者の顔画像が得られ、その顔画像から抽出した顔特徴情報と、予め登録された利用者ごとの顔特徴情報とを照合することで、着席する利用者が特定されるため、その利用者の情報を在席データベースに登録する。
【0083】
なお、ユーザ端末8に対する通知は、配信サーバ7を介して行われるが、在席管理サーバ5から直接にユーザ端末8に通知するようにしてもよい。
【0084】
次に、ユーザ端末8に表示される着席位置確認画面について説明する。
図6は、ユーザ端末8に表示される着席位置確認画面を示す説明図である。
【0085】
配信サーバ7は、データベースサーバ6に登録された情報に基づいて、執務室内の各執務席に着席している人物を提示する着席位置確認画面を生成して、その表示情報をユーザ端末8に配信し、ユーザ端末8において、着席位置確認画面が表示される。
【0086】
この着席位置確認画面では、各執務席が描画された執務室の配置
図51(エリアマップ)が表示されており、この配置
図51における各執務席の位置には、執務席に着席する人物を表す人物アイコン52(利用者の着席位置を表す画像)が表示される。この人物アイコン52には、人物の顔画像が表示される。なお、人物アイコン52には、人物の撮影画像から切り出した人物の顔画像の他に、人物の似顔絵や人物の名前を表す文字などを表示するようにしてもよい。
【0087】
人物アイコン52をユーザが操作すると、吹き出し53(人物情報表示部)が表示される。この吹き出し53には、人物に関する詳細情報が表示される。この吹き出し53に、人物の名前、在席検知エリア(執務席)の識別情報、在席開始時刻(着席時刻)、所属、職種などが表示される。
【0088】
次に、ユーザ端末8に表示される着席位置登録時の着席位置確認画面について説明する。
図7は、ユーザ端末8に表示される着席位置登録時の着席位置確認画面を示す説明図である。
【0089】
在席管理サーバ5において、人物の着席を検知して人物照合が行われたものの、人物照合が失敗すると、執務席に着席した人物を特定できないため、執務席に着席している人物が不明な状態となる。一方、このような場合、執務席に着席した人物は、その前に顔照合を受けた人物の中のいずれかの人物である。
【0090】
そこで、本実施形態では、顔照合が行われて執務室に入室した人物に関して、顔照合から所定の時間が経過しても、顔照合を受けた人物の着席を検知できない場合には、その人物に対して、電子メールなどを利用して着席位置登録の依頼を行う。具体的には、ユーザ端末8に着席位置確認画面を表示させて着席位置の登録操作を行うように催促する。
【0091】
図7に示す着席位置確認画面では、執務席に着席した人物が不明であることを表す不明状態の人物アイコン55が表示される。この不明状態の人物アイコン55をユーザが操作すると、人物情報を入力するための吹き出し56(人物情報入力部)が表示される。この吹き出し56には、人物の名前および人物IDの入力部が設けられており、人物の名前および人物IDのいずれかを入力して登録ボタンを操作すると、自分を執務席に着席している人物として登録することができる。
【0092】
次に、ユーザ端末8に表示されるアラート発令時の着席位置確認画面について説明する。
図8は、ユーザ端末8に表示されるアラート発令時の着席位置確認画面を示す説明図である。
【0093】
執務室内の別の人物との面談のため、人物が執務席から離れる場合がある。この場合、在席から空席に状態が変化するが、人物が執務席から離れてから執務席に戻るまでの空席状態の継続時間が所定の制限時間以内であれば、着席のままで離席と判定されない。一方、空席状態の継続時間が制限時間を越えると、離席と判定される。この場合、その後に人物が執務席に戻ると、着席が検知されるが、離席に応じて在席データベースから登録情報が削除され、かつ、入口での顔照合に応じて実施される着席直前の人物照合が行われないか、または、その人物照合が行われても失敗するため、執務席に着席している人物が不明な状態となる。
【0094】
そこで、本実施形態では、室内カメラ3(全方位カメラ)の撮影画像を用いた人物再照合が行われる。具体的には、執務席に着席した人物のユーザ端末8に表示される着席位置確認画面上に、アラート画面58がポップアップ表示される。この場合、執務室に入室中の人物の中で、着席位置が不明な人物を特定して、その人物が所持するユーザ端末8に対して、アラート画面58を表示させるようにすればよい。
【0095】
また、
図8に示す例では、着席位置確認画面では、着席している人物が不明な状態の執務席の位置に、不明状態の人物アイコン55が表示され、さらに、この不明状態の人物アイコン55では点滅表示などの強調表示が行われる。
【0096】
このとき、ユーザ端末8に対して、再照合(顔照合)による位置登録を促す通知が行われる。例えば、ユーザが、アラート画面58でOKボタンを操作すると、近傍の室内カメラ3に顔を向けるように促す案内画面がユーザ端末8に表示される。これに応じて、ユーザが、近傍の室内カメラ3に顔を向けると、利用者の顔が室内カメラ3により撮影される。在席管理サーバ5は、室内カメラ3の撮影画像から人物の顔特徴情報を取得して、顔照合(再照合)により、執務席に着席している人物を特定する。
【0097】
なお、再照合による位置登録をユーザに促すメッセージとして、ユーザ端末8の画面内のアイコンを点滅表示させるようにしてもよい。また、人物が着席している執務席の位置情報に基づいて、着席位置が不明な人物が所持するユーザ端末8を特定して、そのユーザ端末8に対して位置登録を促すメッセージ送信するようにしてもよい。また、人物が着席している執務席の近傍に設置されたモニターやライトやスピーカー等の出力デバイスを用いて、位置登録を促す通知を行うようにしてもよい。
【0098】
次に、入室管理サーバ4で行われる顔照合処理および人物検知処理について説明する。
図9は、入室管理サーバ4で行われる顔照合処理および人物検知処理の手順を示すフロー図である。
【0099】
入室管理サーバ4では、まず、プロセッサ23が、通信部21により第1の入口カメラ1から受信した撮影画像を取得する(ST101)。次に、プロセッサ23が、第1の入口カメラ1の撮影画像から、入室する人物の顔特徴情報を抽出する(ST102)。そして、登録済みの人物ごとの顔特徴情報を記憶部22から取得して、その登録済みの人物ごとの顔特徴情報と、入室する人物の顔特徴情報とを比較して、顔照合スコアを取得する(ST103)。
【0100】
次に、プロセッサ23が、通信部21により第2の入口カメラ2から受信した撮影画像を取得する(ST104)。このとき、第1の入口カメラ1の撮影画像と同一時刻または近接する時刻の第2の入口カメラ2の撮影画像を取得する。次に、プロセッサ23が、第2の入口カメラ2の撮影画像から、入室する人物の人物特徴情報を抽出する(ST105)。
【0101】
次に、プロセッサ23が、顔照合スコアが所定の閾値以上であるか否かを判定する(顔照合スコア判定)(ST106)。
【0102】
ここで、顔照合スコアが閾値以上である場合、すなわち、顔照合が成功した場合には(ST106でYes)、プロセッサ23が、入室する人物を特定して、その人物IDと顔照合スコアとを含む顔照合結果情報を生成する(ST108)。一方、照合スコアが閾値未満である場合、すなわち、顔照合が失敗した場合には(ST106でNo)、プロセッサ23が、該当する人物がいないものとして、人物IDを含まない顔照合結果情報を生成する(ST107)。
【0103】
次に、プロセッサ23が、顔照合結果情報と人物特徴情報とを、データベースサーバ6に送信して入室データベースに登録させる(ST109)。
【0104】
次に、在席管理サーバ5で行われる在席検知処理について説明する。
図10は、在席管理サーバ5で行われる在席検知処理の手順を示すフロー図である。
【0105】
在席管理サーバ5では、まず、プロセッサ43が、室内カメラ3の撮影画像を取得する(ST201)。そして、全ての在席検知エリアを対象にして、在席検知処理(在席検知ループ)を行う(ST202~ST207)。
【0106】
この在席検知処理では、まず、プロセッサ43が、室内カメラ3の撮影画像内の在席検知エリアの画像領域に対して人物検出を行い、対象とする在席検知エリアに人物が存在するか否かを判定する(ST203)。
【0107】
ここで、対象とする在席検知エリアに人物が存在する場合には(ST203でYes)、プロセッサ43が、対象とする在席検知エリアの状態を在席とする(ST204)。一方、対象とする在席検知エリアに人物が存在しない場合には(ST203でNo)、プロセッサ43が、対象とする在席検知エリアの状態を空席とする(ST205)。そして、プロセッサ43が、在席検知結果情報および在席検知結果詳細情報を記憶部42に格納する(ST206)。
【0108】
次に、在席管理サーバ5で行われる人物照合処理について説明する。
図11は、在席管理サーバ5で行われる人物照合処理の手順を示すフロー図である。
【0109】
在席管理サーバ5では、まず、プロセッサ43が、在席検知結果情報を記憶部42から取得する(ST301)。そして、プロセッサ43が、全ての在席検知エリアを対象にして、人物照合処理(人物照合ループ)を行う(ST302~ST315)。
【0110】
この人物照合処理では、まず、プロセッサ43が、在席検知エリアの状態が変化したか否かを判定する(ST303)。
【0111】
ここで、在席検知エリアの状態が変化した場合には(ST303でYes)、次に、プロセッサ43が、在席検知エリアの状態が在席から空席に変化したか否かを判定する(ST304)。
【0112】
ここで、在席検知エリアの状態が空席から在席に変化した場合、すなわち、人物が着席した場合には(ST304でYes)、次に、プロセッサ43が、人物が着席したタイミングの直前の室内カメラ3の撮影画像を記憶部42から取得する(ST305)。そして、室内カメラ3の撮影画像から、着席直前の人物に関する人物特徴情報を抽出する(ST306)。
【0113】
次に、プロセッサ43が、データベースサーバ6から入室データベースに登録された入室時の人物特徴情報を取得する(ST307)。そして、プロセッサ43が、入室時の人物特徴情報と着席直前の人物特徴情報とを比較して、人物照合スコアを取得する(ST308)。
【0114】
次に、プロセッサ43が、人物照合スコアが所定の閾値以上であるか否かを判定する(人物照合スコア判定)(ST309)。
【0115】
ここで、人物照合スコアが閾値以上である場合、すなわち、人物照合が成功した場合には(ST309でYes)、プロセッサ43が、着席する人物を特定して、その人物IDと人物照合スコアとを含む人物照合結果情報を生成する(ST311)。一方、照合スコアが閾値未満である場合、すなわち、人物照合が失敗した場合には(ST309でNo)、プロセッサ43が、該当する人物がいないものとして、人物IDを含まない人物照合結果情報を生成する(ST310)。そして、プロセッサ43が、人物照合結果情報を、データベースサーバ6に送信して在席データベースに登録させる(ST312)。
【0116】
なお、人物照合が成功して該当する人物の情報が在席データベースに登録されると、その人物の情報が入室データベースから削除される。
【0117】
一方、在席検知エリアの状態が在席から空席に変化した場合には(ST304でNo)、次に、プロセッサ43が、空席状態が所定時間以上継続したか否かを判定する(ST313)。ここで、空席状態が所定時間以上継続した場合には(ST313でYes)、離席と判定して、対象とする在席検知エリアに関する登録情報を、データベースサーバ6の在席データベースから削除する(ST314)。
【0118】
次に、在席管理サーバ5で行われる着席位置検証処理について説明する。
図12は、在席管理サーバ5で行われる着席位置検証処理の手順を示すフロー図である。
【0119】
在席管理サーバ5では、まず、プロセッサ43が、入室データベースおよび在席データベースの登録情報に基づいて、入室後の着席位置が不明な人物が存在するか否かを判定する(ST401)。
【0120】
ここで、入室後の着席位置が不明な人物が存在する場合には(ST401でYes)、その人物に対して着席位置登録の依頼を行う(ST402)。具体的には、例えば、着席位置の登録操作を行うように催促する電子メールをユーザ端末8に送信して、ユーザ端末8に着席位置確認画面(
図7参照)を表示させて利用者に人物情報を入力させる。
【0121】
また、プロセッサ43が、在席データベースの登録情報と在席検知結果詳細情報とに基づいて、人物が着席していないはずの執務席(在席検知エリア)に人物が着席しているか否かを判定する(ST403)。
【0122】
ここで、人物が着席していないはずの執務席に人物が着席している場合には(ST403でYes)、その人物に対して顔照合の依頼を行う(ST404)。具体的には、ユーザ端末8の着席位置確認画面(
図8参照)にアラート画面58を表示させて、再照合(顔照合)による位置登録を促す。
【0123】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図13は、第1実施形態の変形例に係る在席管理サーバ5で行われる在席検知処理の手順を示すフロー図である。
【0124】
第1実施形態(
図10参照)では、対象とする在席検知エリアに人物が存在する場合には、対象とする在席検知エリアの状態を在席とし、対象とする在席検知エリアに人物が存在しない場合には、対象とする在席検知エリアの状態を空席とした。
【0125】
一方、本変形例では、人物が着席していなくても執務席に持ち物があれば、その執務席は、在席(執務席が使用中であること)とする。これにより、利用者が、執務室内の他の人物との面談などで一時的に離席して不在となる場合でも、執務席に持ち物があれば、空席(執務席が使用中でないこと)とはならない。
【0126】
具体的には、プロセッサ43が、室内カメラ3の撮影画像を取得して(ST201)、全ての在席検知エリアを対象にした在席検知処理を開始すると(ST202)、まず、室内カメラ3の撮影画像内の在席検知エリアの画像領域に対して人物検出を行い、対象とする在席検知エリアに人物が存在するか否かを判定する(ST203)。
【0127】
ここで、対象とする在席検知エリアに人物が存在する場合には(ST203でYes)、対象とする在席検知エリアの状態を在席とする(ST204)。一方、対象とする在席検知エリアに人物が存在しない場合には(ST203でNo)、次に、対象とする在席検知エリアの周辺に持ち物が存在するか否かを判定する(ST211)。
【0128】
ここで、対象とする在席検知エリアの周辺に持ち物が存在する場合には(ST211でYes)、対象とする在席検知エリアの状態を在席とする(ST204)。一方、対象とする在席検知エリアの周辺に持ち物が存在しない場合には(ST211でNo)対象とする在席検知エリアの状態を空席とする(ST205)。以降は、第1実施形態(
図7参照)と同様である。
【0129】
ここで、利用者の持ち物とは、利用者が持ち込んだ鞄やPCなどであり、執務席の机上に置かれる。一方、在席検知エリアは執務席の椅子の周囲に設定される。このため、在席検知エリアの周辺、特に執務席の机上の周囲に持ち物検知エリアを設定して、持ち物を検知するようにしてもよい。
【0130】
なお、利用者の持ち物のみが存在する場合、対象とする在席検知エリアの状態を在席としたが、一時退席(人物アイコン52あり)など、第3の状態を表すようにしてもよい。この場合、在席と一時退席とを区別するため、人物アイコン52の枠の色を変えたり、人物アイコン52に状態ごとのマークを付加したりして、それぞれの状態が区別できるようにするとよい。
【0131】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図14は、第2実施形態に係る着席位置管理システムで行われる処理の概要を示す説明図である。
【0132】
第1実施形態(
図3参照)では、執務室に入室する際に行われる人物識別処理として、顔認証(顔照合)が行われるようにしたが、本実施形態では、人物識別処理として、カード認証が行われる。
【0133】
具体的には、執務室に入室する際に、利用者が自分が所持するICカード61をカードリーダー62にかざして認証を受ける。このカード認証により、入室する利用者の人物IDを取得することができる。
【0134】
なお、本実施形態では、カード認証が行われるようにしたが、人物識別処理として行われる個人認証は、カード認証に限定されない。例えば、RFID(radio frequency identifier)やNFC(Near field communication)を利用した認証や、2次元コードを表示させて認証を行うスマートフォン認証や、指紋などによるバイオメトリクス認証などを行うようにしてもよい。
【0135】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明に係る着席位置管理システムおよび着席位置管理方法は、フリーアドレス制のオフィスにおいて、各利用者の着席位置の特定を、設備コストなどを増大させることなく安価にかつ精度よく行うことができる効果を有し、執務エリア内での利用者の着席位置を管理する着席位置管理システムおよび着席位置管理方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0137】
1 第1の入口カメラ
2 第2の入口カメラ
3 室内カメラ(エリア内カメラ)
4 入室管理サーバ
5 在席管理サーバ
6 データベースサーバ
7 配信サーバ
8 ユーザ端末(ユーザ装置)
21 通信部
22 記憶部
23 プロセッサ
31 通信部
32 記憶部
33 プロセッサ
41 通信部
42 記憶部
43 プロセッサ
51 配置図
52 人物アイコン
53 吹き出し
55 人物アイコン
56 吹き出し
58 アラート画面
61 ICカード
62 カードリーダー